説明

ボンディング装置

【課題】電子部品のボンディングに必要な熱量を確保するため、複数の光照射手段をボンディングヘッドの外周に配置することで、高出力を確保できるボンディングヘッドを有するボンディング装置を提供する。
【解決手段】ボンディング装置に次の手段を採用する。
第1に、先端に電子部品4を吸着保持する保持ツール2を有したボンディングヘッド3と、光を発する光源5と、光源から照射された光を保持ツールまで導光する導光手段6、7とを有し、ボンディング時に保持ツールに吸着保持された電子部品に光を照射して加熱するボンディング装置である。第2に、光源は複数の光照射手段をボンディングヘッドの外周に配置して形成される。第3に、光照射手段がボンディングヘッドの外周から内方に向けて光を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に光を照射することにより加熱して接合するボンディング装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品にボンディングヘッドの内側からレーザを照射することにより加熱して接合するボンディング装置として、電子部品を吸着保持するボンディングツールをレーザが透過可能なものとして、電子部品に対し直接レーザを照射し、電子部品を加熱する方式が知られている(特許文献1)。この方式では、加熱時間が短くて済む上、特別な冷却手段も必要とせず、短時間で冷却することができる。
【0003】
このボンディング装置では、小さな電子部品の場合には適するが、大きな電子部品にあっては、加熱のための出力が不足する場合があった。更に、近年、電子部品であるチップの裏側に、貫通電極や冷却のための薄膜の金が成膜されている場合があり、このような場合には、YAGレーザ光などは、その多くが反射されてしまい、チップの均一かつ充分な加熱昇温ができないという問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3195970号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電子部品のボンディングに必要な熱量を確保するため、複数の光照射手段をボンディングヘッドの外周に配置することで、高出力を確保できるボンディングヘッドを有するボンディング装置を提供し、上記課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、ボンディング装置に次の手段を採用する。
第1に、先端に電子部品を吸着保持する保持ツールを有したボンディングヘッドと、光を発する光源と、前記光源から照射された光を前記保持ツールまで導光する導光手段とを有し、ボンディング時に前記保持ツールに吸着保持された電子部品に光を照射して加熱するボンディング装置である。
第2に、前記光源は複数の光照射手段を前記ボンディングヘッドの外周に配置して形成される。
第3に、前記光照射手段が前記ボンディングヘッドの外周から内方に向けて光を照射する。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に次の手段を付加したボンディング装置である。
第1に、導光手段として、アクシコンミラーと、カライドを有し、ボンディングヘッドの内部に、前記アクシコンミラーと前記カライドが配置される。
第2に、前記アクシコンミラーが光照射手段から内方に向けて出射される光を下方に反射する。
第3に、この下方に反射された光を前記カライドが整形すると共に均一化して上記保持ツールに保持された電子部品まで導光する。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明における光照射手段から照射される光が紫外線であることを付加したボンディング装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、電子部品のボンディングに必要な熱量を確保するため、複数の光照射手段をボンディングヘッドの外周に配置することで、高出力を確保できるボンディングヘッドを有するボンディング装置となった。
【0010】
第2の発明の効果ではあるが、カライドを用いて光を全反射して、電子部品まで導光するため、ボンディングヘッド自体が昇温されて熱膨張で歪んだり、変形したりすることのないボンディング装置となった。
【0011】
更に、第3の発明の効果ではあるが、光照射手段から照射される光が紫外線であることにより、ICチップ等(電子部品)の裏面に金属膜などがある場合であっても均一な加熱ができるボンディング装置となった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るボンディング装置に用いられるボンディングヘッドの第1実施例を示す断面説明図
【図2】同ボンディングヘッドにおける高出力UVーLEDの配置を示す平面説明図
【図3】同ボンディングヘッド内の導光状態を示す断面説明図
【図4】異なるアクシコンミラーを用いたボンディングヘッドの第2実施例を示す断面説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に従って、実施例と共に本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係るボンディング装置に用いられるボンディングヘッドの第1実施例を示す断面説明図であり、同図に従って説明する。本実施例に係るボンディング装置は、電子部品をプリント基板に接合する装置である。実施例における電子部品は、ICチップ4であり、ICチップ4は電子部品としては大きい50mm×50mmのサイズのものを利用する。このICチップ4の裏面の配線材料には金が用いられている。
【0014】
ボンディング装置は、ボンディングヘッドと、LED光源と、導光手段とを有する。図1中符号3はボンディングヘッドであり、符号8は、ボンディングヘッド3のホルダであり、符号1は、ボンディングヘッド3の支持固定部材である。ボンディングヘッド3は、支持固定部材1により図示されていない昇降装置に装着されている。尚、図中符号9は、上部フランジである。
【0015】
ボンディングヘッド3は、その先端、具体的にはホルダ8の先端(図1では下方端部)に電子部品たるICチップ4を吸着保持する保持ツール2を有する。保持ツール2には、ICチップ4を吸着保持するための吸引口10が形成されている。更に、保持ツール2は、石英やサファイアといったLED光12を透過する部材を用いる。
【0016】
ボンディングヘッド3のホルダ8には、真空吸引手段11との接続口16が形成されている。ボンディングヘッド3は、ホルダ8の接続口16と保持ツール2の吸引口10以外が密閉されている。そのため、真空吸引手段11を作動させると、ICチップ4は吸引口10に働く吸引力により保持ツール2に吸着される。吸引口10と真空吸引手段11は接続されている。
【0017】
図1中符号5は高出力UVーLED5であり、本発明における光照射手段となる。高出力UVーLED5は、紫外線領域の光(好ましくは365nmの波長の光)を照射するものである。高出力UVーLED5は、複数個、実施例では12個が、ボンディングヘッド3のホルダ8の上部でホルダ8の周囲を囲むように配置され、上部フランジ9とホルダ8の間に発光部15をボンディングヘッド3の内方に向けて(具体的には、LED光12がアクシコンミラー6に向かうように)取り付けられている。
【0018】
高出力UVーLED5からボンディングヘッド3の内方へ照射されたLED光12を保持ツール2まで導光する導光手段として、アクシコンミラー6及びカライド7がある。アクシコンミラー6は円錐形で、テーパ部13即ち円錐面が鏡面とされており、ボンディングヘッド3のホルダ8の内部に頂部14を下方に向け、底円部を上部フランジ9に装着されて保持されている。
【0019】
尚、図1及び図3に示す第1実施例のボンディングヘッド3におけるアクシコンミラー6は、円錐形のものであるが、図4に示す第2実施例のボンディングヘッド3のアクシコンミラー6のように、テーパ部13(鏡面とされる円錐面)を内方に曲状に凹む形状にすると共に、頂部(円錐形の下端)14をカットした断面台形状にすることによって、水平出射されたLED光12をより効率的に下方に導くことができる。
【0020】
アクシコンミラー6の下方には、カライド7が配置される。カライド7は、筒形で内側が鏡面の多重反射体であり、上部開口が円で、下方に行くに連れて徐々に縮径されると共に、下部開口が四角となる。このカライド7は、アクシコンミラー6より入射する円形のLED光12を全反射し、縮小しながら、ICチップ4のサイズに相当する四角形のLED光12へと整形する。実施例では、ICチップ4が四角形であるため、カライド7による整形も四角形とされているが、カライド7の下方開口を任意の形状にすることにより様々な形状にも対応が可能である。
【0021】
尚、図示の実施例では、カライド7の下端は、ボンディングヘッド3の下端に装着されている保持ツール2に達しているが、ボンディングヘッド3の先端部で、カライド7の端部と保持ツール2の間に平凸レンズやシリンドリカルレンズといった光学レンズを配置して、任意のサイズの集光パターンを整形することが可能である。この点は図示されていない。
【0022】
以下、本実施例の動作につき説明する。まず半導体チップ供給装置より供給されるICチップ4は半田バンプを下方に位置させて供給される。該ICチップ4は上面中心を保持ツール2の吸引口10によって吸着されて取出される。同時に別設の駆動装置によりプリント基板がボンディング位置に供給される。
【0023】
保持ツール2をボンディング位置に移動させ、位置合わせを行った後、保持ツール2をICチップ4の半田バンプがプリント基板のリード線と接触するまで下降させる。
【0024】
この時点で、高出力UVーLED5よりLED光12の照射が開始される。図3は、本発明に係るボンディング装置に用いられるボンディングヘッド3内の導光状態を示す断面説明図である。
【0025】
高出力UVーLED5から水平出射されたLED光12はアクシコンミラー6で下方に向けて反射され、カライド7により、円形のLED光12から縮小し、均一なICチップ4のサイズに相当するLED光12へと整形される。整形されたLED光12は保持ツール2を透過して、ICチップ4に照射され、該照射によって半田バンプが溶けて、ICチップ4がプリント基板に溶着される。この間の加圧は別途制御手段により制御されている。この照射は保持ツール2が透光性に優れているので、ICチップ4全面に照射可能である。
【0026】
整形されたLED光12は保持ツール2を透過してICチップ4に直接照射され、ICチップ4の加熱に使われる。実施例では、50mm×50mmのサイズのICチップ4を用いたが、この大きさであっても摂氏300度まで4秒で昇温が可能であった。尚、本実施例では、光源としてLEDを使用したが、固体レーザ、半導体レーザといったレーザや、キセノンランプといったランプを用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1・・・・・・・・支持固定部材
2・・・・・・・・保持ツール
3・・・・・・・・ボンディングヘッド
4・・・・・・・・ICチップ
5・・・・・・・・高出力UVーLED
6・・・・・・・・アクシコンミラー
7・・・・・・・・カライド
8・・・・・・・・ホルダ
9・・・・・・・・上部フランジ
10・・・・・・・吸引口
11・・・・・・・真空吸引手段
12・・・・・・・LED光
13・・・・・・・テーパ部
14・・・・・・・頂部
15・・・・・・・発光部
16・・・・・・・接続口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に電子部品を吸着保持する保持ツールを有したボンディングヘッドと、光を発する光源と、前記光源から照射された光を前記保持ツールまで導光する導光手段と、を有し、ボンディング時に前記保持ツールに吸着保持された電子部品に光を照射して加熱するボンディング装置において、
前記光源は複数の光照射手段を前記ボンディングヘッドの外周に配置して形成され、
前記光照射手段が前記ボンディングヘッドの外周から内方に向けて光を照射することを特徴とするボンディング装置。
【請求項2】
上記導光手段として、アクシコンミラーと、カライドを有し、上記ボンディングヘッドの内部に、前記アクシコンミラーと前記カライドが配置され、
前記アクシコンミラーが上記光照射手段から内方に向けて出射される光を下方に反射し、
この下方に反射された光を前記カライドが整形すると共に均一化して上記保持ツールに保持された電子部品まで導光する
ことを特徴とする請求項1に記載のボンディング装置。
【請求項3】
上記光照射手段から照射される光が紫外線であることを特徴とする請求項1又は2に記載のボンディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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