説明

ボンベ用保護カバー

【課題】容器弁に接続される配管やキャップがボンベに接触したときに塗装が付着してしまうのを防止することができるボンベ用保護カバーを提供する。
【解決手段】本発明のボンベ用保護カバー10は、ボンベ11の上端から高さ方向の途中までの範囲を覆うものである。好ましくは、保護カバー10は、下部側が円筒形状であり、上部側が先細り形状に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体や液体等を収容するボンベに装着される保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
気体や液体等を収容するボンベは、半導体製造用、医療用、食品用などあらゆる分野で使用されている。この種のボンベは鋼やアルミニウム合金等から形成されており、その外表面には収容物の種類等に応じた色の塗装が施されている。また、ボンベの上端部には容器弁が取り付けられており、この容器弁の口金に接続された配管を介してボンベ内の収容物が送出されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−16235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器弁の口金に配管を接続するときや口金から配管を取り外すときに、配管の端部がボンベの外表面に誤って衝突すると、外表面の塗装が剥がれて配管に付着してしまう場合がある。そして、配管に塗装が付着したまま容器弁に配管を接続すると、接続不良やシール性の悪化、コンタミネーション等の問題を引き起こすおそれがある。
【0005】
また、配管を接続していないときに容器弁の口金を閉鎖するキャップは、不使用時の紛失防止のために容器弁に鎖で繋がれ、吊り下げられている。そのため、このキャップもボンベ11の外表面に接触し、塗装が付着する可能性がある。塗装が付着したキャップを口金に装着すると、上記と同様にシール性の悪化やコンタミネーションの問題が発生するおそれがある。
【0006】
なお、上記特許文献1には、ガスボンベの外表面にカバーを装着することが記載されているが、このカバーは、外観の向上等のためにボンベの胴部に巻き付けられるものであるため、容器弁に接続される配管やキャップがボンベの上部に接触するのを防止することはできない。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、容器弁に接続される配管やキャップがボンベの外表面に接触するのを防止することができるボンベ用保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、上端部に容器弁が取り付けられたボンベの外表面を被覆して保護するボンベ用保護カバーであって、前記ボンベの上端から高さ方向の途中までの範囲を被覆することを特徴としている。
このような構成によって、容器弁に接続される配管や容器弁を塞ぐためのキャップが接触しやすいボンベの上部側を適切に保護カバーによって保護することができる。そのため、配管やキャップに塗装が付着するのを防止し、配管やキャップを容器弁に接続したときの接続不良やシール性悪化、コンタミネーションの発生を抑制することができる。
【0009】
(2)前記保護カバーは、前記ボンベの外表面のうち、前記容器弁に連結紐を介して吊り下げられたキャップが届く範囲を被覆することが好ましい。
このような構成によって、容器弁から吊り下げられたキャップがボンベの外表面に接触するのを確実に防止することができる。
【0010】
(3)上記ボンベ用保護カバーは、下部側が円筒形状であり、上部側が上方へ向けて先細り形状に形成されていることが好ましい。
このような構成によって、一般的なボンベの上部側に保護カバーを密着させた状態で装着することができる。
【0011】
(4)本発明の保護カバーは、合成樹脂材料により形成されていることが好ましい。
これにより、ボンベの外表面の形状に応じて保護カバーを容易に成形することができる。また、保護カバーに配管やキャップが強く衝突した場合、保護カバーによって衝撃を吸収することができ、配管やキャップの損傷を防止することができる。
【0012】
(5)本発明の保護カバーは、透明又は半透明に形成されていることが好ましい。
このような構成によって、ボンベの外表面に施された刻印やラベル等の表示を保護カバーを装着したまま確認することができる。
【0013】
(6)本発明の保護カバーは、一部を捲って前記ボンベの表面を露出させることが可能な弾性を有していることが好ましい。
このような構成によって、ボンベの外表面に施された刻印やラベル等の表示を保護カバーを捲ることによって確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器弁に接続される配管やキャップがボンベの外表面に接触するのを好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る保護カバーを装着したボンベを示す斜視図である。
【図2】保護カバーを単体で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る保護カバー10を装着したボンベ11を示す斜視図である。
このボンベ11は、円筒形状の胴部12と、この胴部12の下端に設けられた底部13と、胴部12の上端に設けられた頭部14とを備えている。頭部14は、上方へ向かうに従って先細りとなるように略円弧状に湾曲した形状に形成され、その上端部には容器弁15が取り付けられている。
【0017】
ボンベ11は、ステンレス鋼やマンガン鋼、アルミニウム合金等から形成され、高圧のガスや液体を収容し、密封することが可能である。また、ボンベ11の外表面には、収容物の種類等に応じた色で塗装が施されている。さらに、ボンベ11の外表面には、容器や収容物の種類、容器の容量や耐圧力等を記した刻印やラベル等の表示17が施されている。
【0018】
容器弁15には、配管19を接続するための口金20、弁開閉用の操作ハンドル21、安全栓22等が設けられている。この口金20には雄ネジ又は雌ネジが形成され、配管19がネジ結合される。また、口金20は、配管19が接続されていないときにキャップ23によって閉鎖される。このキャップ23は、鎖やロープ等の連結紐24によって容器弁15の下部に繋がれている。そして、キャップ23は、不使用時に連結紐24によって吊り下げられた状態となる。
【0019】
ボンベ11には保護カバー10が装着されている。この保護カバー10は、比較的軟質で弾性変形が可能な合成樹脂材料、例えば、EVA樹脂(エチレン酢酸ビニル共重合体)やポリエチレン等の熱可塑性樹脂材料により形成されている。また、保護カバー10は、ボンベ11に対して着脱可能に装着される。また、保護カバー10は、透明又は半透明の合成樹脂材料により形成されている。
【0020】
保護カバー10は、ボンベ11の上端から高さ方向の途中までの範囲を被覆するように設けられている。例えば、保護カバー10は、ボンベ11の上端から、高さT1の約10〜20%の範囲T2を覆うように設けられる。
また、保護カバー10の下端は、連結紐24によって吊り下げられたキャップ23よりもやや下側に位置している。したがって、保護カバー10は、ボンベ11の外表面のうちキャップ23が届く範囲全てを被覆している。
【0021】
図2は、保護カバー10を単体で示す断面図である。保護カバー10は、上下方向に貫通した筒形状に形成されている。また、保護カバー10は、ボンベ11の頭部14全体と、胴部12の上部側とに密着した状態で装着されるように、これらに倣った形状に形成されている。すなわち、保護カバー10は、下部側10aが円筒形状であり、上部側10bが上方へ向けて先細りとなるように略円弧状に湾曲した形状に形成されている。また、保護カバー10は、1〜2mm程度の厚さに形成されている。
【0022】
保護カバー10の内面の寸法は、ボンベ11の外表面の寸法とほぼ同じか、若干小さめに形成されている。後者の場合、保護カバー10をボンベ11に対してやや伸張させた状態で装着することができ、保護カバー10をボンベ11の外表面に強く密着させることができる。これにより、ボンベ11に装着した保護カバー10が位置ずれしてしまうのを防止することができる。
【0023】
本実施の形態では、ボンベ11の上端から高さ方向の途中までの範囲、より具体的にはキャップ23の下側の位置までの範囲が保護カバー10によって覆われているので、容器弁15の口金20に配管19を接続するときや取り外すときなどに、配管19の先端部がボンベ11の外表面に接触することはほとんどない。また、連結紐24によって吊り下げられたキャップ23が、ボンベ11の外表面に直接的に接触することがない。そのため、配管19やキャップ23にボンベ11の塗装が付着してしまうことはほとんどなく、配管19やキャップ23を容器弁15の口金20に接続するときに、シール性を損なったり、接続不良を生じたり、コンタミネーションを発生させたりすることもない。
【0024】
上述のように、配管19やキャップ23がボンベ11の外表面に接触するのを防止するためには、ボンベ11の上部側のみを保護カバー10で覆えば十分である。そのため、本実施の形態の保護カバー10は、ボンベ11の高さ全体を覆うのではなく、上端から高さ方向の途中までの範囲に設けられている。これにより、保護カバー10を小型に形成することができ、ボンベ11に対して容易に装着し、取り外すことが可能となる。
【0025】
保護カバー10は、透明又は半透明に形成されているので、ボンベ11の外表面に施された表示17を、保護カバー10を装着したまま確認することが可能である。そのため、当該表示17を確認するために保護カバー10を外す必要がない。
また、保護カバー10は、比較的軟質で弾性変形可能な合成樹脂材料により形成されており、弾性変形によって下端部を上方へ捲り上げたり、元に戻したりすることが可能である。このように保護カバー10を捲り上げることによってもボンベ11の表示17を確認することができる。
【0026】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、保護カバー10は、ボンベ11の外表面に合成樹脂材料を塗布することによって構成することができる。
また、保護カバーは、網状に形成することも可能である。この場合も、ボンベ11の外表面の表示17を保護カバーを装着したまま確認することが可能となる。なお、保護カバー網状とした場合の網目の大きさは、キャップがボンベの外表面に接触しない程度であることが好ましい。
【符号の説明】
【0027】
10: 保護カバー
11: ボンベ
15: 容器弁
19: 配管
20: 口金
23: キャップ
24: 連結紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に容器弁が取り付けられたボンベの外表面を被覆して保護するボンベ用保護カバーであって、
前記ボンベの上端から高さ方向の途中までの範囲を被覆することを特徴とするボンベ用保護カバー。
【請求項2】
前記ボンベの外表面のうち、前記容器弁に連結紐を介して吊り下げられたキャップが届く範囲を被覆する請求項1に記載のボンベ用保護カバー。
【請求項3】
下部側が円筒形状であり、上部側が上方へ向けて先細り形状に形成されている請求項1又は2に記載のボンベ用保護カバー。
【請求項4】
合成樹脂材料により形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のボンベ用保護カバー。
【請求項5】
透明又は半透明に形成されている請求項4に記載のボンベ用保護カバー。
【請求項6】
一部を捲って前記ボンベの外表面を露出させることが可能な弾性を有している請求項4又は5に記載のボンベ用保護カバー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−2575(P2013−2575A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135467(P2011−135467)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【Fターム(参考)】