説明

ボード

【課題】自然のぬくもりを感じさせて人の心を和ませる木材と、ホルムアルデヒドやアンモニア等の有害物を吸着脱臭したり、マイナスイオンを発生したりする炭を併せ用いて構成することにより、それらの有する作用効果を併せ発現させ、以て人や環境にやさしい空間を作り上げることが可能であり、シックハウス症候群、シックスクール等の対策に寄与し得るボードを提供することを課題とする。
【解決手段】木製の表面板1の裏側に炭要素を配したことを特徴とするボードである。前記炭要素としては、炭塗料を塗布し又は含浸させたコア材8、炭塗料を塗布又は含浸させたシート、炭塗料を塗布した前記表面板の裏面、あるいは、固形、粒状又は粉状の炭等が考えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボード、より詳細には、黒板、ホワイトボード、掲示板等の狭義のボードのみならず、パーティション、床材、壁材、家具表面材等の住宅用建材を含む広義のボードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記ボードとしては、一般に木材、合成板、プラスチック材、リノリューム材等が用いられているが、中でも木製の板材が多用されている。木製板材は、木をその長さ方向に柾目又は板目にて切り出したもので、その木目をそのまま生かしたものもあるが、多くの場合化粧塗料が塗布されていて、自然のぬくもりを感じさせるものではない。
【0003】
日本の住宅は古来から木造であり、現在も木造が多数を占めていることもあって、特に木目の表われた木製品は人の心を落着かせ、和ませるものであり、所謂癒やし効果がある。
【0004】
また、炭も日本人に馴染みの深いものであり、最近は、燃料としてではなく、そのすぐれた吸着効果等を利用して、脱臭材等としての利用が広まりつつある。
【0005】
このように、木及び炭は日本人にとって馴染みが深く、それぞれ心身に有用な作用を及ぼすものであるが、木及び炭を併用してそれらの有する効用を併せ発現させることを企図したボードは未だ提唱されていない。
【0006】
【特許文献1】特開2000−343631号公報
【特許文献2】特開2004−57097号公報
【特許文献3】特開2004−57538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記背景の下になされたもので、自然のぬくもりを感じさせて人の心を和ませる木材と、ホルムアルデヒドやアンモニア等の有害物を吸着脱臭したり、マイナスイオンを発生したりする炭を併せ用いて構成することにより、それらの有する作用効果を併せ発現させ、以て人や環境にやさしい空間を作り上げることが可能であり、シックハウス症候群、シックスクール等の対策に寄与し得るボードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、木製の表面板の裏側に炭要素を配したことを特徴とするボードである。前記炭要素としては、炭塗料を塗布し又は含浸させたコア材、炭塗料を塗布又は含浸させたシート、炭塗料を塗布した前記表面板の裏面、あるいは、固形、粒状又は粉状の炭等が考えられる。
【0009】
前記表面板の裏側は開放されていて、前記炭要素は前記表面板の裏面に定着される構成とすることもあり、前記表面板の裏側には裏面板が配置され、前記炭要素は前記表面板と前記裏面板との間に保持される構成とすることもある。後者の構成の場合、前記表面板と前記裏面板との間の周囲に桟木が配置されることにより前記表面板と前記裏面板との間に閉塞空間が形成され、前記炭要素は前記閉塞空間内に保持されるようにすることができる。
【0010】
掲示板、住宅用建材等として利用する場合は、前記表面部材は、ベニヤ板等の下地材の上に表面部材を貼合せたものとされる。好ましくは、前記表面部材として、木材を横断して年輪を表出させたものを用いる。また、前記表面板の周囲に、その周縁部を被覆する額縁を取り付けることがある。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記のとおりであって、自然のぬくもりを感じさせて人の心を和ませる木材と、ホルムアルデヒドやアンモニア等の有害物を吸着脱臭したり、マイナスイオンを発生したりする炭を併せ用いて構成されるため、掲示板、黒板、パネル、床材、壁材、家具の表面材等として用いることにより、上記木及び炭の有する諸効果を併せ発現させて、人や環境にやさしい空間を作り上げることが可能であり、シックハウス症候群、シックスクール等の対策に寄与し得る効果がある。
【0012】
請求項11に記載の発明においては、表面部材として、木材を横断して年輪を表出させたものが用いられるために、更に、その厚さ方向への通気が可能となり、以て、コアによる吸着・脱臭能力が向上すると共に、マイナスイオン等の供給作用が促進され、また、いずれの場合も木材を用いるために画鋲刺し等が容易となる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態について、添付図面に依拠して説明する。本発明に係るボードは、木製の表面板の裏側に炭要素を配したことを特徴とする。炭要素としては、炭塗料を塗布し又は含浸させたコア材、炭塗料を塗布又は含浸させたシート、炭塗料を塗布した表面板の裏面、あるいは、固形、粒状又は粉状の炭が考えられる。
【0014】
図1乃至4は、本発明に係るボードを用いて構成した掲示板を示すもので、それは、木製の表面板1の裏面周囲に桟木6を取り付け、桟木6で囲まれる空間5内に、炭要素として、炭塗料を塗布し又は含浸させたペーパーハニカムコア等のコア材8を配したものである。表面板1は、例えば、杉、ヒノキ、松等の集成材、又は無垢材の正方形、長方形等の表面部材2を複数縦横に継ぎ合わせて形成され(図4、図5参照)、あるいは、その裏面にベニヤ板等の下地材3を貼合わせて成る。
【0015】
表面部材2として無垢材を用いる場合は、好ましくは、木材を横断して(輪切りにして)年輪を表出させたものを用いる(図4参照)。その場合は、年輪が表出する面白味があるだけなく、微細な通気路がその厚み方向に存在しているために一層通気状態が良くなる。また、集成材の場合も、同様に年輪を表出させることができる(図5参照)。
【0016】
壁材、床材、家具の表面装飾材等として片面のみ利用する場合は、炭要素8aを表面板1の裏面に定着し(例えば、上記炭塗料を塗布・含浸させたシートを接着し、あるいは、表面板1の裏面に炭塗料を塗布する。)、裏側は開放したままとすることができる。もちろんその場合、表面板1に裏面板4を密着配置して、炭要素8aを挟み込むようにすることもできる(図5参照)。この場合の裏面板4としては、通例、ベニヤ板が用いられる。
【0017】
両面利用とする場合は、裏面板4として、表面板1と同種又は異種(例えば、表面側が黒板で裏面側が掲示板)の構成のものが配置される。表面板1と裏面板4とは、その四周に配した桟木6を介して固定されて表面板1と裏面板4との間に空間5が確保され、そこに、例えばコア材8が装填されて接着固定される。ボードのサイズによっては、周囲だけでなく、中仕切り用に桟木6が用いられることもある(図2参照)。また、表面板2の外周縁部から木口にかかる部分を隠すように、全周に亘り、あるいは、一部に額縁7が取り付けられることもある。
【0018】
裏面板4を配して閉塞された空間5を形成する構成において、炭要素として空間5内に、適宜サイズに砕いた固形の炭や、粒状又は粉状の炭を充填することもできる。粒状又は粉状の炭を充填する場合の空間5は、固形の炭を用いる場合に比較して幅狭なものとなる。
【0019】
更に、両面利用の場合においても、表面板1の裏側に配設される炭要素として、炭塗料を塗布又は含浸させた樹脂製又は紙製のシートを用いることができ、あるいは、表面板1自体の裏面に炭塗料を塗布することも考えられる。通例これらの場合には、空間5を設けることなく、表面板1と裏面板4とを密着固定する。
【0020】
図6及び図7は、本発明に係るボードを用いた黒板あるいは掲示板の構成例を示すもので、図6に示す例では、表面板1は、ベニヤ板等の下地材3の表面に黒板面9及び/又は掲示板面を設けて構成され、黒板の場合は、下辺の桟木6の下に、桟木6に沿って延びる粉受け10が設置されている。
【0021】
黒板面9は、一般的構成の鋼製黒板、ほうろう黒板、あるいは、ホワイトボードとすることができる。
【0022】
図7に示す例では、額縁7aが四周の木口を覆い、且つ、前方にせり出すようにして取り付けられている。この場合、粉受け10は下辺の額縁7aに取り付けられる。それ以外の構成は、図6に示すものと同じである。
【0023】
図8(A)、(B)に示す例は、黒板(又はホワイトボード)の変形例で、黒板面(白板面)9の周囲に表面部材2を露出させて(通例黒板面9の上に表面部材2を貼り付ける。)、上記木材の発現する諸効果を強調したものである。
【0024】
図9に示す例は、本ボードを家具の表面装飾材として構成し、ダストボックスの表面扉に貼り付けたものである。本ボードはこの他にも、種々の家具、システムキッチン、パーティション、壁面等、多用途に利用可能である。
【0025】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るボードの一構成例の正面図である。
【図2】本発明に係るボードの一構成例の正面縦断面図である。
【図3】本発明に係るボードの一構成例の側面縦断面図である。
【図4】本発明に係るボードの要部斜視図である。
【図5】集成材を用いて形成した表面板の例を示す図である。
【図6】本発明に係るボードの一使用例の側面縦断面図である。
【図7】本発明に係るボードの他の使用例の側面縦断面図である。
【図8】本発明に係るボードの更に他の使用例の正面図である。
【図9】本発明に係るボードの更に他の使用例の斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 表面板
2 表面部材
3 下地材
4 裏面板
5 空間
6 桟木
7、7a 額縁
8 コア材
8a 炭要素
9 黒板面
10 粉受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製の表面板の裏側に炭要素を配したことを特徴とするボード。
【請求項2】
前記表面板の裏側は開放されていて、前記炭要素は前記表面板の裏面に定着されている請求項1に記載のボード。
【請求項3】
前記表面板の裏側には裏面板が配置され、前記炭要素は前記表面板と前記裏面板との間に保持される請求項1に記載のボード。
【請求項4】
前記表面板と前記裏面板との間の周囲に桟木が配置されることにより前記表面板と前記裏面板との間に閉塞空間が形成され、前記炭要素は前記閉塞空間内に保持される請求項3に記載のボード。
【請求項5】
前記表面板と前記裏面板は、同種又は異種の目的に使用可能に構成される請求項3又は4に記載のボード。
【請求項6】
前記炭要素は、炭塗料を塗布し又は含浸させたコア板である請求項1に記載のボード。
【請求項7】
前記炭要素は、炭塗料を塗布又は含浸させたシートである請求項1に記載のボード。
【請求項8】
前記炭要素は、炭塗料を塗布した前記表面板の裏面である請求項1に記載のボード。
【請求項9】
前記炭要素は、固形、粒状又は粉状の炭である請求項1に記載のボード。
【請求項10】
前記表面板の裏面にベニヤ板等の下地材を貼合せた請求項1乃至9のいずれかに記載のボード。
【請求項11】
前記表面板を構成する表面部材として、木材を横断して年輪を表出させたものを用いる請求項1乃至10のいずれかに記載のボード。
【請求項12】
前記表面板の周囲の全体又は一部に、その周縁部を被覆する額縁を取り付けた請求項1乃至11のいずれかに記載のボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−137048(P2007−137048A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166308(P2006−166308)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(593068649)株式会社サカワ (31)
【Fターム(参考)】