説明

ボール供給装置及びボール供給方法

【課題】本発明は、自重落下方式を採用することにより、ボールの飛散がなく、且つ開閉部によるボール潰れの危険をなくし、さらには、ボール供給量の変更にも柔軟に対応できるボール供給装置を提供するものである。
【解決手段】本発明は、課題を解決するため、ボール供給装置に次の手段を採用した。第1に、ボール貯留部の内部下方を狭く形成してボール供給口を設ける。第2に、ボール供給口に開放閉鎖可能な開閉部を設ける。第3に、ボール貯留部に負圧源を接続する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボール供給装置及びその方法に関するものであって、主としてBGA(ボールグリッドアレー)へ半田ボールを搭載する半田ボールマウント装置で微小な半田ボールに損傷を与えることなく安定した供給を行うことのできるボール供給装置及びその方法を主眼に開発されたものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半田ボールマウント装置におけるボール溜まりへのボール供給は、升で量った半田ボールを自重で落下させるか、半田ボールを圧縮空気で押して送るかのいずれかであった。
【0003】しかし、自重落下方式の場合は、供給停止のための開閉部が必要となり開閉部でボールが挟まり潰れてしまうことがある。他方、圧送送り出し方式の場合は、半田ボールが圧縮空気を受けてボール溜まりを飛びだしてしまうという問題点がある。
【0004】自重落下方式の問題点を解決するため、特開平9−306919号公開特許公報に示されるように、供給容器の構造を工夫したり、特開平11−163050号公開特許公報に示されるように、供給チューブを工夫する等の解決案が提案されてきた。しかし、前者は供給量の変更に供給容器の変更を必要とするなど変更作業が繁雑であり、後者は供給チューブ内に半田ボールが残りメンテナンスがしにくいと言った難点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、自重落下方式を採用することにより、ボールの飛散がなく、且つ開閉部によるボール潰れの危険のないボール供給装置及びその方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するため、ボール供給装置に次の手段を採用した。第1に、ボール貯留部の内部下方を狭く形成してボール供給口を設ける。第2に、ボール供給口に開放閉鎖可能な開閉部を設ける。第3に、ボール貯留部に負圧源を接続する。
【0007】又、方法の発明として、ボール貯留部の内部下方を狭く形成してボール供給口を設け、ボール供給口に開放閉鎖可能な開閉部を設けると共にボール貯留部に負圧源を接続し、開閉部の動作と関連させて負圧源を動作させることを特徴とするボール貯留部からのボール供給方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面に従って、実施例と共に本発明の実施の形態について説明する。図1はボール供給装置の一実施例を示す平面説明図で、図2は同左側面説明図で、図3は同部分断面正面説明図である。ボール供給装置には、ボール貯留部となるボールホッパ1(図1では図示が省略されており、図2左方に示されている)と、半田ボールのマウントヘッドへの受け渡し部となるボールトレイ2と、先端にボール受け8を有し、ボールトレイ2とボールホッパ1の間を往復運動する搬送アーム3が設けられている。
【0009】搬送アーム3は、先端のボール受け8の反対側(図2中右方端付近)で基台4に回動自在に装着されている。搬送アーム3は、搬送シリンダ5によりボールトレイ2とボールホッパ1の間を往復運動する。搬送シリンダ5はエアシリンダを用いている。該搬送シリンダ5のロッド51が縮んだ状態で搬送アーム3は、ボールホッパ1側に位置し(図1で実線で示される)、搬送シリンダ5のロッド51が伸びることにより搬送アーム3はボールトレイ2側に移動する(図1で点線で示される)。
【0010】搬送アーム3にはツイストシリンダ6が仕込まれており、ツイストシリンダ6のロッド61の進退により搬送アーム3の先端が90度回転する。すなわち、ツイストシリンダ6のロッド61が縮んだ状態で搬送アーム3先端のボール受け8は上向きにされているが、ロッド61が伸びることによりボール受け8は90度回転し、横向きになる。ボール受け8は上向きの状態で搬送シリンダ5によりボールホッパ1の下方からボールトレイ2の上方に移動し、その後、ツイストシリンダ6によりボールトレイ2の中央に進みながら横向きにされるのである。
【0011】搬送アーム3の先端にはボール受け8が取り付けられている。正確には、図2の丸囲みに示されるように先端部に筒状体のホルダ7が取り付けられており、筒状体のホルダ7にボール受け8が摺動自在に取り付けている。ボール受け8の上部には筒状体のホルダ7上部内径より広いフランジ9が形成されており、このフランジ9でボール受け8はホルダ7内に保持されている。
【0012】ボール受け8の内側の収納空部81は図3に示されているように一方に傾いて形成されており、ボールトレイ2上で回転したときにボール受け8内の半田ボールがボールトレイ2に落ちやすいように傾斜している。
【0013】ボールホッパ1は、本発明におけるボール貯留部に相応し、内部にボール収納スペース19を形成し、密閉可能とされている。ボールホッパ1の内部ボール収納スペース19の下方部には中央に絞られたロート状の絞り部17が形成されており、一番絞った部分の下に通路10が構成されている。
【0014】通路10の出口は供給口11とされており、供給口11には開閉部材12が取り付けられている。この開閉部材12はエアシリンダ13により作動する。すなわち、図4(イ)に示すようにエアシリンダ13のロッド31が伸びている状態では開閉部材12は、供給口11を閉鎖しており、図4(ロ)に示すようにロッド31が縮んだ状態で開閉部材12は、供給口11を開放する。尚、エアシリンダ13は図5に示されるように圧縮エアー源20と接続されており、圧縮エアー源20により作動する。
【0015】ボールホッパ1の上部は図5に示されるようにボールホッパ1内に負圧を導入する負圧発生源が接続されている。負圧発生源は圧縮エアー源14とエジェクタ22とで構成されている。図2乃至図4中18は吸引連結パイプである。従って、負圧発生源により必要に応じてボールホッパ1内の圧力を低下できる。実施例では100mmHgの負圧をかけている。尚、図中21は酸化防止のための窒素ガス導入源である。
【0016】ボールホッパ1の下には重量計15が上下動自在に配置されており、ボール受け8が重量計15の上部に配置された状態で上昇し、ボール受け8を筒状体のホルダ7から持ち上げ、ボール受け8の重量を測定できるようになっている。
【0017】実施例のボール供給装置の作動手順は次の通りである。第1に、図2に示すようにボール受け8はボールホッパ1の下で待機している。図示しないセンサによりボール供給の信号が入ったら、重量計15が上昇を開始する(図6の重量計上昇グラフがOFFよりONに変化する)。同時に負圧発生源が動作し、ボールホッパ1内に負圧導入を開始する(図6の真空吸引グラフがOFFよりONに変化する)。
【0018】重量計15が上昇してボール受け8を支持し、ボール受け8がホルダ7から持ち上げられたところでボール受け8の空重量を測定し、負圧導入が完了した後、エアシリンダ13により開閉部材12が回動して、図3に示されるように供給口11が開放される。
【0019】供給口11の開放後、負圧は徐々に解除され、これに伴い半田ボールは自重により落下を始め、ボール受け8内部に投入される。半田ボールが投入されるとボール受け8の重量は徐々に増加し、所定重量になった時点(図6の重量計出力グラフが設定値に達した時点)でボール供給を停止する。
【0020】具体的には半田ボールの供給スピード(重量上昇スピード)と負圧を導入した時から半田ボール供給が停止するまでの時定数から所定の重量で停止するときに負圧を導入するタイミングを算出し、実際に所定重量を測定する前に負圧導入する。すなわち、図6のボール供給グラフのタイマー値Aを加味して真空吸引グラフのタイマー値Bを設定するのである。
【0021】半田ボールの供給が停止してから開閉部材12でボール供給口11を閉鎖し、同時に重量計15は下降し、ボール受け8は、搬送アーム3によりボールトレイ2上に搬送される。搬送後ボール受け8内のボールはボールトレイ2内に投入される。
【0022】尚、絞り部17より下部の通路10は開閉装置の構造上必要なもので、絞り部17直下に開閉装置を設置し、下部の通路10をなくしてもよい。又、重量計15が昇降せず、ボール受け8のホルダ7が昇降してもよい。
【0023】
【発明の効果】本発明は、ボール貯留部の内部下方を狭く形成してボール供給口を設け、ボール供給口に開放閉鎖可能な開閉部を設けると共にボール貯留部に負圧源を接続したことを特徴とするボール供給装置であるため、負圧源をコントロールすることにより、開閉部付近のボールを吸い上げ、ボールの存在しない状態で開閉部の動作を行うことが可能であるので、開閉部によるボール潰れの危険をなくすことができるボール供給装置となった。
【0024】請求項3記載の発明の効果ではあるが、開閉部の閉鎖に合わせて負圧源を動作させることにより、開閉部の閉鎖動作によるボール潰れの危険のないボール貯留部からのボール供給方法となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボール供給装置の一実施例を示す平面説明図
【図2】同左側面説明図
【図3】同部分断面正面説明図
【図4】ボールホッパの拡大断面説明図で、(イ)は開閉部材が閉の状態を示す図で、(ロ)は開閉部材が開の状態を示す図である。
【図5】ボールホッパの接続回路図
【図6】動作タイミングを示すグラフ
【符号の説明】
1.....ボールホッパ
2.....ボールトレイ
3.....搬送アーム
4.....基台
5.....搬送シリンダ
6.....ツイストシリンダ
7.....ホルダ
8.....ボール受け
9.....フランジ
10....通路
11....供給口
12....開閉部材
13....エアシリンダ
14....圧縮エアー源
15....重量計
17....絞り部
18....吸引連結パイプ
19....収納スペース
20....圧縮エアー源
21....窒素ガス導入源
22....負圧発生源
31,51,61.ロッド
81....収納空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】ボール貯留部の内部下方を狭く形成してボール供給口を設け、ボール供給口に開放閉鎖可能な開閉部を設けると共にボール貯留部に負圧源を接続したことを特徴とするボール供給装置。
【請求項2】ボール貯留部の内部下方を狭く形成してボール供給口を設け、ボール供給口に開放閉鎖可能な開閉部を設けると共にボール貯留部に負圧源を接続し、開閉部の動作と関連させて負圧源を動作させることを特徴とするボール貯留部からのボール供給方法。
【請求項3】開閉部の閉鎖に合わせて負圧源を動作させることを特徴とする請求項2記載のボール貯留部からのボール供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2002−43349(P2002−43349A)
【公開日】平成14年2月8日(2002.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−222185(P2000−222185)
【出願日】平成12年7月24日(2000.7.24)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】