説明

ポインティングデバイス

【課題】本発明は、高さ変更に容易に対応できる、ポインティングデバイスの提供を目的とする。
【解決手段】発光ダイオード4及び受光センサ5が実装された基板3と、発光ダイオード4からの放射光が透過可能な透過領域部12が設けられたハウジング9と、透過領域部12を挟んで発光ダイオード4の反対側の物体に反射して透過領域部12を透過した前記放射光の反射光を受光センサ5に集めるレンズ8と、レンズ8を支えるレンズベース6とを備え、レンズベース6の上向き端部13がハウジング9に当接し、レンズベース6の下向き端部14が基板3に当接する、ポインティングデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力を接触又は非接触で受ける光学式ポインティングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、特許文献1に開示されたポインティングデバイスの断面図である。発光ダイオード43から放射された光は、光源ガイド45を経て、カバーグラス41の外部に透過する。カバーグラス41を透過した光は、カバーグラス41上に置かれた指などの被写体で反射する。被写体で反射した光は、レンズ42と遮断膜44を通って、イメージセンサ46に集光される。したがって、イメージセンサ46が、集光された像の変化を感知して電気的な信号に変換することによって、個人用携帯端末機などの不図示の本体が、その電気的な信号に基づいて、カバーグラス41上の被写体の動きを検知することができる。
【0003】
カバーグラス41は、ハウジング49に設けられ、レンズ42は、ベース48によって支えられている。ハウジング49とベース48は、発光ダイオード43が実装される基板47に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−510248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図1の構造では、ポインティングデバイスの薄型化等を目的としてハウジング49の高さ寸法を設計変更すると、カバーグラス41とレンズ42との間の距離aが変化するので、レンズ42とイメージセンサ46との間の距離bを距離aの変化量に応じて調整するために、ベース48の高さ寸法も設計変更しなければならない。すなわち、ハウジング49とベース48の両方を設計変更しなければ、ポインティングデバイスの高さ変更とその高さ変更に伴うポインティングデバイスの光学的距離(光路長)の調整に対応できない。その結果、例えば、高さの異なる製品バリエーションを展開するたびに、大幅な設計変更が必要となり、コストが増大してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、高さ変更に容易に対応できる、ポインティングデバイスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るポインティングデバイスは、
発光素子及び受光センサが実装された基板と、
前記発光素子からの放射光が透過可能な透過領域部が設けられたハウジングと、
前記透過領域部を挟んで前記発光素子の反対側の物体に反射して前記透過領域部を透過した前記放射光の反射光を前記受光センサに集めるレンズと、
前記レンズを支えるベースとを備え、
前記ベースの上向き端部が前記ハウジングに当接し、前記ベースの下向き端部が前記基板に当接する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高さ変更に容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来のポインティングデバイスの断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態であるポインティングデバイス100の斜視図である。
【図3】ポインティングデバイス100の分解斜視図である。
【図4】ポインティングデバイス100の六面図である。
【図5】ポインティングデバイス100の図4に示したY−Yにおける断面図である。
【図6】レンズベース6の斜視図である。
【図7】レンズベース6の六面図である。
【図8】レンズベース6の図7に示したY−Yにおける断面図である。
【図9】受光センサ5が貫通穴20A,20Bを通して視認可能なことを示した図である。
【図10】本発明の第2の実施形態であるポインティングデバイス200の分解斜視図である。
【図11】ポインティングデバイス200の断面図である。
【図12】ハウジング9の裏面側が色づけされた状態を示した図である。
【図13】本発明の第3の実施形態であるポインティングデバイス300の断面図である。
【図14】壁部23を備えたベース26の説明図である。
【図15】レンズ28の突起24を示した図である。
【図16】突起24が受光センサ5に突き当てて組み付けられた状態を示した図である。
【図17】レンズ29の下方からの斜視図である。
【図18】レンズ29が受光センサ5に突き当てられた状態を示した図である。
【図19】集光レンズ29Bが受光センサ5に突き当てられた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の説明を行う。本発明の一実施形態であるポインティングデバイスは、操作者の人体又はその一部、操作棒やタッチペンなどの操作入力補助具などの物体による操作入力を検知するための操作インターフェイスであって、当該物体の動きを非接触又は接触で検出するものである。操作者の人体の一部とは、例えば、腕又はその一部(例えば、手指、手のひらなど)、足又はその一部(例えば、足指、足の裏など)などが挙げられる。このポインティングデバイスからの信号に基づいて、当該物体の動きに応じた操作入力内容を中央演算処理装置が内蔵された電子機器に把握させることができる。
【0011】
例えば、携帯電話等の携帯端末、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、電化製品などの電子機器に搭載又は接続される画面上に現れるカーソルやポインタなどの指示表示を、操作者が意図した操作内容に従って、移動させることができる。
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態であるポインティングデバイスの具体例について説明する。
【0013】
図2(a)は、本発明の第1の実施形態であるポインティングデバイス100の上方からの斜視図である。図2(b)は、ポインティングデバイス100の下方からの斜視図である。図3は、ポインティングデバイス100の分解斜視図である。図4は、ポインティングデバイス100の六面図である。図5は、ポインティングデバイス100の図4に示したY−Yにおける断面図である。ポインティングデバイス100は、これらの図に示されている通り、少なくとも、基板3と、ハウジング9と、レンズ8と、レンズベース6とを備える。
【0014】
基板3には、発光ダイオード4及び受光センサ5がその上面に実装されている。ハウジング9には、発光ダイオード4からの放射光(典型的には、赤外線)が透過可能な透過領域部12が設けられている。レンズ8は、発光ダイオード4からの放射光が透過領域部12を挟んで発光ダイオード4の反対側の物体(図の場合、指)に反射して透過領域部12を透過してきた反射光を受光センサ5に集める集光部材である。受光センサ5は、例えばイメージセンサである。発光ダイオード4から放射された赤外線が、指の凸面に反射し(指内部での反射も含む)、透過領域部12とレンズ8を介して、受光センサ5に指の像が映る。一方、赤外線は指の凹面には当たらず、受光センサ5に指の像は映らない。
【0015】
レンズベース6は、レンズ8を支える台座である。レンズベース6の上向きの上端面13が、ハウジング9に当接し、レンズベース6の下向きの下端面14が基板3に当接している。
【0016】
したがって、ポインティングデバイス100は、レンズベース6の上端面13がハウジング9に当接し、レンズベース6の下端面14が基板3に当接しているので、ハウジング9を設計変更しなくても、レンズベース6を設計変更するだけで、基板3の最下端からハウジング9の最上端までの高さHの寸法変更に容易に対応できる。すなわち、レンズベース6の厚さh(下端面14から上端面13までの高さ)を変更するだけで、高さHを変更することができ(厚さhを薄くすれば、高さHを低くでき、厚さhを厚くすれば、高さHを高くでき)、高さHの変更の自由度が高い。したがって、例えばレンズベース6とハウジング9が成型加工品であれば、ハウジング9用の型を変更しなくても、レンズベース6用の型を変更するだけで、高さの異なる複数種の製品を低コストで製造できる。また、組み立ても容易である。ハウジング9は、後述の可撓性のフレキシブル基板2に当接させずに、フレキシブル基板2よりも硬く可撓性の無いレンズベース6に当接させるので、高さHの組み立てばらつきも抑えることができる。
【0017】
また、透過領域部12が設けられたハウジング9が、図1に例示した従来のポインティングデバイスのように基板3に取り付けられるのではなく、レンズ8を支えるレンズベース6に当接している。そのため、レンズベース6の仕上がり寸法精度を高めるだけで、透過領域部12とレンズ8との間の距離c及びレンズ8と受光センサ5との距離dの組み立てばらつきを容易に低減できる。その結果、光学特性のばらつきを容易に抑制でき、ひいては操作の安定性につなげることが容易にできる。これに対し、ベース48とハウジング49が基板47に取り付けられている図1の構造では、光学特性のばらつきを抑えるためには、ベース48の仕上がり寸法精度を高めるだけでなく、基板47へのハウジング49の取り付け精度も高めなければならないため、光学特性のばらつきを抑えることが容易ではない。
【0018】
さらに、レンズ8はレンズベース6によって支えられるものなので、高さHの寸法変更に伴う光路長の調整に容易に対応できる。すなわち、高さHの設計変更によって距離cが変化しても、レンズベース6の部位のうちレンズ8を支える部位の形状及び/又は寸法を変更するだけで、距離c及び距離dを容易に微調整できる。したがって、高さHの変更と高さHの変更に伴う光路長の調整に容易に対応できる。
【0019】
次に、ポインティングデバイス100の各構成要素を更に詳細に説明する。
【0020】
基板3は、発光ダイオード4及び受光センサ5が実装される実装面を有している。発光ダイオード4と受光センサ5は、X,Y,Z軸によって定まる直交座標系のXY平面に対して平行な基準方向に、互いに離間して配置されている。基板3は、外光や発光ダイオード4の光などが基板3を透過することを防ぐため、遮光性を有することが好ましい。また、基板3として、樹脂製のプリント基板(例えば、FR4に銅箔を取り付けたガラスエポキシ基板)を使用すると、軽量化や実装容易性などの点で有利である。基板3の実装面にレンズベース6が実装され、基板3の実装面とレンズベース6の下端面14が当接する。レンズベース6の下端面14は、基板3の実装面に、エポキシ樹脂系の接着剤で熱硬化して固定することによって、レンズベース6の基板3への組み付け寸法精度が向上する。また、基板3の実装面とレンズベース6の下端面14とを当接させた状態で、基板3とレンズベース6をネジ止めしてもよい。
【0021】
図6(a)は、レンズベース6の上方からの斜視図である。図6(b)は、レンズベース6の下方からの斜視図である。図7は、レンズベース6の六面図である。図8は、レンズベース6の図7に示したY−Yにおける断面図である。
【0022】
下端面14は、レンズベース6の下面の縁部の全周にわたって形成された平らな部位である。下端面14は、レンズベース6の下面の縁部の一部に形成されていてもよい。レンズベース6の下面の縁部の内側部位には、下向き開口部17が形成されている。下向き開口部17は、レンズベース6が基板3に固定された状態で、発光ダイオード4及び受光センサ5の四方を囲んでノイズの混入を防ぐことができるように形成されている。発光ダイオード4と受光センサ5は、下向き開口部17を第1の下向き開口部17Aと第2の下向き開口部17Bに区分する仕切り18によって、互いの光が相手に漏れないように隔てられている。レンズベース6が基板3に固定された状態で、発光ダイオード4は、その放射光が通るべき光路を除いて第1の下向き開口部17Aによって覆われ、受光センサ4は、その入射光が通るべき光路を除いて第2の下向き開口部17Bによって覆われる。
【0023】
上端面13も、下端面14と同様に、レンズベース6の上面の縁部の一部又は全周にわたって形成された平らな部位である。レンズベース6の上面の縁部の内側部位には、上向き開口部16が形成されている。上向き開口部16には、図5に示されるように、レンズ8が収容される。レンズベース6は、レンズ8を、上向き開口部16の底部に載せて支持する。上向き開口部16の底部には、レンズ8の透過光を調整する絞り部19が形成されている。すなわち、絞り部19は、上向き開口部16と第2の下向き開口部17Bとが貫通するように、レンズベース6に形成された孔である。レンズ8の透過光は、絞り部19によって絞られて、受光センサ5に集められる。
【0024】
また、上向き開口部16の底部に、下向き開口部17との貫通穴20を一つ以上設けることによって、レンズベース6を基板3に組み付けた後に、基板3への受光センサ5の取り付け位置を貫通穴20から視認することができる。例えば、図9に示されるように、貫通穴20A,20Bから、受光センサ5のコーナーを目視できる。受光センサ5の取り付け位置の確認は、目視でもよいが、レンズ8を上向き開口部16に組み込む工程においてXY方向(平面方向)の組み込み位置を調整する時に実行される画像処理で行ってもよい。その結果、受光センサ5とレンズ8のXY方向(平面方向)の取り付け精度の向上を容易に実現できる。貫通穴20の形状に制限は無く、円形でも多角形でもよい。
【0025】
また、受光センサ5が実装された基板3をレンズベース6で封止し、受光センサ5の取り付け位置を貫通穴20から確認した後に、貫通穴20を樹脂(例えば、エポキシ樹脂、UV樹脂など)で埋めてもよいし、貫通穴20を埋めずにレンズ8をそのまま上向き開口部16に取り付けることによって貫通穴20を塞いでもよい。
【0026】
また、基板3とレンズベース6をエポキシ樹脂系の接着剤で熱硬化させるときに、受光センサ5をレンズベース6で囲んだ密閉空間が熱膨張することによってレンズベース6を押し上げることを防ぐため、貫通穴20を空気逃げとして作用させることもできる。
【0027】
また、上向き開口部16には、図5及び図9に示されるように、導光レンズ7も収容される。レンズベース6は、導光レンズ7を、上向き開口部16の底部に載せて支持する。導光レンズ7は、発光ダイオード4からの放射光を、ハウジング9の透過領域部12に導く導光ガイドである。
【0028】
レンズベース6の材質として、液晶ポリマー(LCP)が挙げられる。レンズ8及び導光レンズ7の材質として、シクロオレフィンポリマー(具体例:ZEONEX(登録商標))が挙げられる。
【0029】
ハウジング9は、発光ダイオード4からの所定の波長域の光(例えば、波長が0.8μm〜1.0μmの赤外線)を透過させることが可能な透過領域部12を有している。透過領域部12は、検出対象の物体の動きを検知しやすいように、ハウジング9の最上面に設けられている。ハウジング9及び透過領域部12の材質として、ABS樹脂、AS樹脂、それらのコンパウンド、PMMAアロイなどが挙げられる。透過領域部12は、ハウジング9との一体成形品でもよいし、ハウジング9に取り付けられた別部品でもよい。レンズベース6及び基板3は、その側面が露出しないようにハウジング9によって覆われる。
【0030】
ハウジング9の内側の隅部且つ透過領域部12の周縁にわたって設けられた段差15の下向きの段差面(後述の図12参照)に、レンズベース6の上端面13が当接する。段差15の下向きの段差面は、レンズベース6の上端面13に、エポキシ樹脂系の接着剤で熱硬化して固定することによって、ハウジング9のレンズベース6への組み付け寸法精度が向上する。また、段差15の下向きの段差面とレンズベース6の上端面13とを当接させた状態で、ハウジング9とレンズベース6をネジ止めしてもよい。
【0031】
また、レンズ8及び導光レンズ7、並びに透過領域部12を含むハウジング9を耐熱性レンズ用材料(例えば、エポキシ系樹脂、屈折率1.3〜1.7、アッベ数20〜75、透過率(可視光領域)≧60%)から生成することによって、耐熱性が向上し、リフロー実装が可能になる。
【0032】
また、ハウジング9自体に、例えば、蒸着やスパッタ等の表面処理により、可視光をカットする遮光膜や色付けなどが施されてもよい。これにより、外乱光がカットされるため、結果的に、ポインティングデバイスの操作性が向上する。また、色付けによって、意匠的に有効である。可視光をカットする表面処理を施すことによって、遮光すべき波長領域、透過率、色づけなどの設定の自由度が広がる。表面処理の方法を調整することで、光学的特性の設定幅や意匠の選定幅を広げることができる。
【0033】
また、ハウジング9の表面、裏面、又は両面に、着色コートが施されてもよい。コーティングによって、指など検出対象物の接触による摩擦や外部からの衝撃などによるデバイスの劣化を防止できる。また、デバイス外観への着色によって、受光センサ5やレンズ8等の内部部品が透けて見えることが防止され、意匠性が向上する。着色コートは、例えば、蒸着、スパッタ、塗装、成型材料に着色料を練り込み等の方法によって、実施できる。指等の物体の摩擦によって着色コートが剥がれることを防ぐため、ハウジング9の裏面側のみに着色コートを施してもよい。
【0034】
カバー11は、ハウジング9のフランジ部の上面で粘着テープ10によって固定される。カバー11は、携帯電話機等の不図示の本体との固定部材として用いられ、本体の意匠性向上の効果もある。カバー11の材質として、ABS樹脂が挙げられる。カバー11は、無くてもよい。
【0035】
フレキシブルプリント基板(FPC)2は、基板3の配線と不図示の本体とを接続する部材である。基板3は、FPC2に設けられたランド電極31に実装される。ランド電極31は、不図示の本体と接続される外部電極32に配線されている。FPC2を設けることによって、FPC2の設計変更(例えば、ランド電極31と外部電極32との配線構成の変更)だけで、基板3を設計変更することなく、端子機能が互いに相違する異機種の本体に接続することが可能になる。
【0036】
ドームスイッチ1は、ハウジング9の透過領域部12の上方からの操作入力のオンとオフを検知するためのスイッチである。ドームスイッチ1の中央部には、操作者に対してクリック感を与えるクリックばね30がその頂点を下方にして設けられている。この構成の場合、クリックばね30の頂点が不図示の他の部品の基面に当接した状態で、ポインティングデバイス100は使用される。ハウジング9の透過領域部12に下方に加えられた荷重は、レンズベース6、基板3及びFPC2を介して、クリックばね30に伝達される。これにより、クリックばね30は変形し、その頂点部がFPC2の裏側に形成された電極に接触する。この接触を電気的に検出することによって、ハウジング9が下方に押されたことを、不図示の本体に検知させることができる。ドームスイッチ1の材質として、ばね用ステンレス鋼帯が挙げられる。
【0037】
図10は、本発明の第2の実施形態であるポインティングデバイス200の分解斜視図である。図11は、ポインティングデバイス200の断面図である。上述の実施形態と同様の構成については、その説明を省略する。ポインティングデバイス200は、迷光対策のフィルタ21を備える。
【0038】
フィルタ21は、透過領域部12とレンズ8との間のクリアランスに配置されている。段差15を設けることによって生まれたクリアランスにフィルタ21を挿入することによって、発光ダイオード4から出射された余分な光(迷光)を容易に遮断することができ、指紋の取り込みの安定性を向上させることができる。フィルタ21は、透過領域部12の下面に固定される。
【0039】
図12に示されるように、迷光対策のため、ハウジング9の透過領域部12の裏面を黒色22等で色付けしてもよい。例えば、ドーナツ状に色付けされる。色付けの方法として、蒸着、スパッタ、塗布などが挙げられる。また、ハウジング9の透過領域部12の裏面を、迷光を遮断可能な形状に成形してもよい。例えば、梨地加工などの表面を荒らした形状にしてもよい。
【0040】
図13は、本発明の第3の実施形態であるポインティングデバイス300の断面図である。上述の実施形態と同様の構成については、その説明を省略する。ポインティングデバイス300には、導光レンズ7とレンズ8とを隔てる壁部23を備えたレンズベース26が構成されている。壁部23を設けることによって、発光ダイオード4からの放射光が、透過領域部12を透過する前に、レンズ8に入射されることを防止できる。
【0041】
図14(a)は、壁部23を備えたレンズベース26の斜視図である。図14(b)は、基板3に当接するレンズベース16に導光レンズ7が載った状態を示した斜視図である。図14(c)は、図14(b)の平面図である。壁部26は、上向き開口部16を、導光レンズ7を収容する第1の上向き開口部と、レンズ8を収容する第2の上向き開口部に区分するように、上向き開口部16の底部から突き出た形状を有している。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形、改良及び置換を加えることができる。
【0043】
例えば、図15,16に示されるように、受光センサ5に集光するためのレンズ28の下面に突起24(24A,24B)を設けてもよい。突起24(24A,24B)が、レンズベース6の貫通穴20(20A,20B)を貫通して受光センサ5の表面に設けられた受光部33の外側の周縁部に当接する。受光部33は、撮像エリアである。これにより、受光センサ5とレンズ28との間の距離のばらつきを抑えて、光学特性のばらつきを更に低減することができる。
【0044】
また、受光センサ5に集光するための集光レンズ28の下面に設けられる突起24は、1つ又3つ以上あってもよく、例えば図17,18に示されるように、3つの突起24C,24D,24Eを設けてもよい。図17,18において、レンズ29は、発光ダイオード4の光を透過領域部12に導く導光レンズ29Aと透過領域部12を透過した光を受光センサ5に集める集光レンズ29Bとを一体成形したものである。これにより、部品点数が削減され、組み付け性が向上する。
【0045】
また、図19に示されるように、集光レンズ29Bの下面に設けられる突起を筒状にしてもよい。筒状の突起24Fを受光センサ5の表面に突き当て、集光レンズ29Bを支える不図示のレンズベースを使って前絞り構造を採用すれば、受光センサ5の受光部33を完全に覆うことができるので、ゴミによる撮像不具合を無くすことができる。
【0046】
また、レンズベースにおいてハウジングと実際に当接している端部(上述の実施形態では、上端面13に相当)は、その端部が上向きであればよく、レンズベースの最上位の端部でなくてもよい。レンズベースにおいて基板と実際に当接している端部(上述の実施形態では、下端面14に相当)は、その端部が下向きであればよく、レンズベースの最下位の端部でなくてもよい。また、その当接形態は、面接触に限らず、点接触でもよい。凸部と凹部の嵌合形態でもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 ドームスイッチ
2 フレキシブル基板
3 基板
4 発光ダイオード
5 受光センサ
6,26 レンズベース
7 導光レンズ
8,28 レンズ
9 ハウジング
10 粘着テープ
11 カバー
12 透過領域部
13 上端面
14 下端面
15 段差
16 上向き開口部
17(17A,17B) 下向き開口部
18 仕切り
19 絞り部
20(20A,20B) 貫通穴
21 フィルタ
22 黒色
23 壁部
24(24A−24F) 突起
29 レンズ
30 クリックばね
31 ランド電極
32 外部電極
33 受光部
100,200,300 ポインティングデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子及び受光センサが実装された基板と、
前記発光素子からの放射光が透過可能な透過領域部が設けられたハウジングと、
前記透過領域部を挟んで前記発光素子の反対側の物体に反射して前記透過領域部を透過した前記放射光の反射光を前記受光センサに集めるレンズと、
前記レンズを支えるベースとを備え、
前記ベースの上向き端部が前記ハウジングに当接し、前記ベースの下向き端部が前記基板に当接する、ポインティングデバイス。
【請求項2】
前記上向き端部が、前記ベースの上縁部に位置する、請求項1に記載のポインティングデバイス。
【請求項3】
前記レンズが、前記上縁部の内側に形成された上向き開口部に収容された、請求項2に記載のポインティングデバイス。
【請求項4】
前記上向き端部が、前記ハウジングの内側に設けられた段差に当接する、請求項1から3のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項5】
前記段差が、前記透過領域部の周縁に設けられた、請求項4に記載のポインティングデバイス。
【請求項6】
前記下向き端部が、前記ベースの下縁部に位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項7】
前記発光素子及び前記受光センサが、前記下縁部の内側に形成された下向き開口部に囲まれた、請求項6に記載のポインティングデバイス。
【請求項8】
前記発光素子と前記受光センサが、前記下向き開口部を区分する仕切りによって隔てられた、請求項7に記載のポインティングデバイス。
【請求項9】
前記ベースが、前記レンズを透過した前記反射光を調整する絞り部を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項10】
前記透過領域部と前記レンズとの間のクリアランスにフィルタを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項11】
前記ベースが、前記放射光が前記透過領域部を透過する前に通る光路と前記レンズとを隔てる壁部を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項12】
前記レンズに設けられた突起が、前記ベースに形成された孔を貫通して前記受光センサに当接する、請求項1から11のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項13】
前記突起が、前記受光センサの受光部の周りで前記受光センサに当接する、請求項12に記載のポインティングデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−133455(P2012−133455A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282982(P2010−282982)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】