説明

ポケットティシュー包装体及びその製造方法

【課題】ポケットティシュー包装体を容易に製造する。
【解決手段】
【請求項1】
連続筒状包装フィルムに対して取手部を形成する工程と、連続筒状包装フィルムを裁断して開口部を形成する工程と、前記開口部からポケットティシューを挿入する工程と、前記開口部をポケットティシューが収納された状態で封止する工程と、を一連で行い、かつ、
前記取手部を形成する工程において、所定の溶着パターンの溶着ヘッドを、前記連続筒状包装フィルムに押し当てて当該溶着パターンで連続筒状包装フィルムを溶着するとともに、前記溶着ヘッドが連続筒状包装フィルムに押し当てられている状態で、陳列用穴を溶断により形成する、ポケットティシュー包装体の製造方法により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のティシューの束を個包装したポケットティシューを、複数個まとめてフィルム包装したポケットティシュー包装体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚のティシュペーパーをコンパクトに折り畳んで包装したいわゆるポケットティシューはよく知られる。このポケットティシューは、一般的には複数個をまとめてフィルム包装して市販される。
【0003】
ポケットティシューは、略長方形状の上下面及びこれらを繋ぐ長側縁及び短側縁とからなる平型立体形状であり、上面に取出し口を形成するためのミシン目線が形成されているのが一般的形状である。
【0004】
そして、係るポケットティシューを複数個まとめてフィルム包装した包装体における、ポケットティシューの収容態様は、ポケットティシューを長側縁同士、短側縁同士を突き合わせて横並び方向に概ね2〜3個、さらに上下面重ね合わせ方向に概ね2〜10個重ね合わせた配列での収容態様となっており、包装体は、全体として概ね座布団型あるいは枕型の平型形状をなし、外装フィルムを開封して、個々のポケットティシューを取り出すようになっている。(長側縁突き合わせ方向2個×上下面重ね合わせ方向2個の収納態様の従来のポケットティシュー包装体X2を図5に例示する。図中、ポケットティシューは符号P、ポケットティシューのミシン目線は符号111、外装フィルムは符号140で表している)。
【0005】
他方、包装体を構成する包装フィルム(包装袋)140は、ポケットティシューPが収納される袋状の収納部分150とこれに連接するシート状の取手部102とを有し、前記取手部102には店舗等の陳列用フックEに掛けて陳列するための陳列用孔104が一般に形成される。
【0006】
ここで、従来、ポケットティシュー包装体X2は、包装袋の前駆体を包装資材メーカーが製造し、かかる包装袋の前駆体をポケットティシュー製造業者が購入して、ポケットティシューを収納して製造する態様が採られている。図6に示すように、包装資材メーカーで製造される包装袋前駆体101Zは、印刷が施された筒状の連続フィルムを平坦とした連続筒状包装フィルム101の流れ方向に適宜の間隔で幅方向に平行な一対の溶着部130を形成して取手部102となる部分102’を形成し、さらに当該溶着部間における連続筒状包装フィルム101の幅方向中央に陳列用穴104が打ち抜きにより形成されたものを巻き取ってなるものである。したがって、従来のポケットティシュー製造業者におけるポケットティシュー包装体の製造は、図7に示すように、まず、(A)包装袋前駆体101Zからシート101を繰りだし、所定間隔で連続する取手部102となる部分間においてシートを裁断(裁断部分101Aで示す)し、(B)裁断した部分を開口させて開口部101Bを形成し、(C)前記開口部101BからポケットティシューPを適当数詰め、(D)その後に開口部101Bを溶着等して封止するといった手順で行なわれている。
【0007】
しかし、このような従来の包装資材メーカーとポケットティシュー製造業者との跨って行なわれるポケットティシュー包装体の製造態様では、次のような問題がある。まず、包装資材メーカーにおいて取手部の溶着作業、陳列用穴の打抜き作業を行なうため、各作業中に不良が少なからず発生することがあり、これにともなう歩留まり、資材ロスの問題を擁する。その一方で、ポケットティシュー製造業者においても、ポケットティシュー収納のための開口形成のための切断、封止のための溶着作業にかかる歩留まり、資材ロスの問題を擁する。さらに、包装資材メーカーにおいて取手部形成の為の溶着を行ない、ポケットティシュー製造業者でもポケットティシュー収納後の封止のための溶着を行なうため、溶着設備、溶着に必要なエネルギーが業者間で分断されており、設備コスト、エネルギーコストに無駄がある。
【0008】
包装資材メーカーにおいて、取手部となる部分や陳列用穴を形成せずに、印刷された筒状の前駆体のみを製造してポケットティシュー製造業者に納入し、ポケットティシュー業者において、各部の溶着作業、陳列用穴形成作業、収納作業が行えれば、包装資材メーカーとしては歩留まりコストを低下させることができ、また、ポケットティシュー製造業者においては前駆体購入コストを低下させることができ、さらに、全体として設備コストやエネルギーコストの無駄もなくすことができる。
【0009】
しかし、このような態様は下記の問題がある。まず、ポケットティシュー製造業者において、取手部形成のための溶着作業、陳列用穴を形成するための打抜き作業、ポケットティシュー収納作業、開口部封止のための溶着作業を行なうと、製造ラインが長くなるという問題がある。この問題は、取手部形成のための溶着作業と、陳列用穴の形成作業を同時に行なうことが困難で、別工程とする必要があることが一要因である。すなわち、取手部形成のための溶着は、連続筒状包装フィルムに対して溶着ヘッドを押しつけることで行なわれるが、その際に熱や超音波等により連続筒状包装フィルムの収縮或いは延び、さらに皺が少なからず生ずる。そして、このような収縮、延び、皺が発生した状態において打抜き作業を行なうと所望の円形穴が形成されないことが多々生ずる。これは、上記のとおり連続筒状包装フィルムが二枚のシート状フィルムが積層された積層構造でもあるため、陳列用穴の打抜き箇所に皺や延びがあると、二枚のフィルムに対して完全に同位置に穴が形成されなくなる(穴ずれ)や、穴のそのものが所望の円形とならなくなる(形状不良)が生ずるためである。そして、このような穴ずれや形状不良が生ずると、陳列用のフックにかけられない、或いは形状不良に起因して当該穴からフィルムが意図せず裂ける事態が生ずる。
【0010】
このように、従来のポケットティシュー包装体の製造には、種々の改善が求められる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−286470号公報
【特許文献2】特開2007−269326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の主たる課題は、上記従来のポケットティシュー包装体の製造に係る種々の問題を改善すべく、これら問題を解決したポケットティシューの製造態様、製造方法、さらにはポケットティシュー包装体の形態、包装袋の前駆体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決した本発明及び作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
印刷が施された筒状の連続フィルムを平坦とした連続筒状包装フィルムに対して取手部を形成する工程と
連続筒状包装フィルムを裁断して開口部を形成する工程と、
前記開口部からポケットティシューを挿入する工程と、
前記開口部をポケットティシューが収納された状態で封止する工程と、を一連で行い、かつ、
前記取手部を形成する工程が;
連続筒状包装フィルムの幅方向に1mm以下の間隔で並ぶ単位溶着部で構成される溶着部群が10〜20mmの間隔を開けて連続筒状包装フィルムの幅方向に沿って直線状に配され、かつ、その溶着部群の一つが前記連続筒状包装フィルムの幅方向の中央を跨ぐ位置にある溶着部列が、前記連続筒状包装フィルムの流れ方向に間隔を開けて配置された溶着パターンの溶着ヘッドを、前記連続筒状包装フィルムに押し当てて当該溶着パターンで連続筒状包装フィルムを溶着するとともに、
前記溶着ヘッドが連続筒状包装フィルムに押し当てられている状態で、前記溶着部列間にあって連続筒状包装フィルムの幅方向中央部に、陳列用穴を溶断により形成する、作業を含む、
ことを特徴とするポケットティシュー包装体の製造方法。
【0014】
<請求項2記載の発明>
前記溶着ヘッドを連続筒状包装フィルムに押しつけて溶着作業を行なっている間に、前記開口部を形成する工程と、ポケットティシューを収納する工程とを行なう請求項1記載のポケットティシュー包装体の製造方法。
【0015】
<請求項3記載の発明>
前記単位溶着部は、連続筒状包装フィルムの幅方向に20〜120mm、連続筒状包装フィルムの流れ方向に2〜10mmの大きさとし、かつ、一つの溶着部群の長さを20〜50mmとする請求項1記載のポケットティシュー包装体の製造方法。
【0016】
<請求項4記載の発明>
連続筒状包装フィルムの流れ方向における溶着部列間の間隔を20〜40mmとする請求項1又は2記載のポケットティシュー包装体の製造方法。
【0017】
<請求項5記載の発明>
前記陳列用穴を形成するにあたり、周縁の一部を完全に切断せず、取手部の他の部分との連結箇所を残す請求項1〜3の何れか1項に記載のポケットティシュー包装体の製造方法。
【0018】
<請求項6記載の発明>
略長方形状の上下面及びこれら繋ぐ長側縁及び短側縁とからなる立体形状をなすポケットティシューの複数個を包装袋に収納してなるポケットティシュー包装体であって、
前記ポケットティシュー包装体は、ポケットティシューが収納される収納部とこの収納部の縁から延出する取手部を有し、
その取手部は、幅方向に1mm以下の間隔で並ぶ単位溶着部で構成される溶着部群が10〜20mmの間隔を開けて前記幅方向に沿って直線状に配され、かつ、その溶着部群の一つが前記幅方向の中央を跨ぐ位置にある溶着部列が間隔を開けて並列され、かつ、それら溶着部列間であって連続筒状包装フィルムの幅方向中央部に、周縁が溶着されている陳列用穴が形成されている、
ことを特徴とするポケットティシュー包装体。
【0019】
<請求項7記載の発明>
前記陳列用穴は、周縁の一部を完全に切断せず、取手部の他の部分との連結箇所は残されている請求項6記載のポケットティシュー包装体。
【0020】
(作用効果)
本発明では、連続筒状包装フィルムに対して取手部を形成する工程と、連続筒状包装フィルムを裁断して開口部を形成する工程と、前記開口部からポケットティシューを挿入する工程と、前記開口部をポケットティシューが収納された状態で封止する工程と、を一連としたオンラインで行うため、各工程が包装資材メーカーやポケットティシュー製造業者等の業者間に跨って行なわれない。また、各業者においても、各工程が分断されたオフラインで行なわない。よって、上記背景技術で述べたような、各業者間で工程が跨ることにより発生する、歩留まり、資材ロスの問題が改善され、また、溶着設備、溶着に関する設備コスト、エネルギーコストの無駄も改善される。このメリットは、工程が異なる業者に跨っている場合のみならず、一業者において、取手部を形成した包装袋の前駆体を形成する工程と、前記前駆体を用いてポケットティシューを収納する工程とがオフラインで分断されている場合にも得られる。
【0021】
他方、背景技術でも述べたとおり、単に各工程を一連にするには、取手部を形成する工程において溶着部を形成する作業と陳列用穴を形成する作業とを同時に行なおうとした場合には穴ずれや形状不良など問題があり、また、それら工程を別途にすると製造ライン長や製造時間の長期化等の問題が生じ、一連の工程とするに困難な要因であったが、本発明では、これを特定の溶着パターン及び陳列用穴の溶断形成により解決している。すなわち、本発明では、前記取手部を形成する工程において、連続筒状包装フィルムの幅方向に1mm以下の間隔で並ぶ単位溶着部で構成される溶着部群が10〜20mmの間隔を開けて連続筒状包装フィルムの幅方向に沿って直線状に配され、かつ、その溶着部群の一つが前記連続筒状包装フィルムの幅方向の中央を跨ぐ位置にある溶着部列を、前記連続筒状包装フィルムの流れ方向に間隔を開けて配置する溶着パターンの溶着ヘッドを、前記連続筒状包装フィルムに押し当てて当該溶着パターンで連続筒状包装フィルムを溶着するとともに、前記溶着ヘッドが連続筒状包装フィルムに押し当てられている状態で、前記溶着部列間であって連続筒状包装フィルムの幅方向中央部に、陳列用穴を溶断により形成する。
【0022】
上記溶着パターンとすることにより、陳列用穴形成時の穴ずれなどが生じない原理は、かならずしも定かではないが、まず、1mm以下という極めて狭い間隔で単位溶着部からなる溶着部群を形成することとしたため、溶着時の加熱や超音波付与により生ずるフィルム素材の収縮、延び、皺が単位溶着部間に集約されるとともに、それら収縮、延び、皺が溶着部群全体として固定され、その他の溶着部群で構成される溶着部列間の広範な範囲に延び収縮等の影響が生じ難く、当該広範な範囲おいてはフィルム素材の引張が適度に維持され、そのような適度な引張が維持された部位に溶断によって陳列用穴を形成するため穴ずれや形状不良が生じ難くなるものと思われる。
【0023】
さらに、本発明では、溶着部群の一つが前記連続筒状包装フィルムの幅方向の中央を跨ぐ位置にあることとしたうえで、陳列用穴を前記連続筒状包装フィルムの幅方向の中央部に形成するので、陳列用穴形成時に当該陳列用穴形成部分の連続筒状包装フィルムの流れ方向の上流側及び下流側の双方に溶着部群が位置しており、溶断部分近傍が比較的強固に固定された状態となっていることも上記この穴ずれ等の問題の改善に寄与していると考えられる。また、上記穴ずれ等の問題の改善は、溶着部群間に10〜20mmの間隔を開けることとしたため、陳列用穴の溶断時に生ずるフィルム素材の収縮、延び、皺が、当該間隔に逃げるようになるとともに、陳列用穴を溶断としたことも一要因と考えられる。
【0024】
また、陳列用穴を溶断により形成するため形成される陳列用穴の周縁が溶着されることとなり、当該周縁を起点としてフィルム素材が破れるようなこともないものとなる。
【0025】
ここで、本発明では、溶着ヘッドが連続筒状包装フィルムに押し当てられている際には、当該連続筒状包装フィルムの先端縁部が固定された状態となるため、当該溶着作業中に、前記開口部を形成する工程と、ポケットティシューを収納する工程とを行なうことができる。このようにすると、製造ライン長さ、製造時間をより短縮することができる。
【0026】
なお、本発明においては、単位溶着部は、連続筒状包装フィルムの幅方向に20〜120mm、連続筒状包装フィルムの流れ方向に2〜10mmの大きさとし、かつ、一つの溶着部群の長さを20〜50mmとするのが望ましい。この態様であると穴ずれや形状不良の防止性がより確実なものとなる。
【0027】
また、本発明では、連続筒状包装フィルムの流れ方向における溶着部列間の間隔を10〜20mmとするのが望ましい。取手部として適切な大きさとなるとともに、穴ずれや形状不良の防止の確実性が高まる。
【0028】
他方、本発明では、前記陳列用穴を形成するにあたり、周縁の一部を完全に切断せず、取手部の他の部分との連結箇所を残すのが望ましい。このようにすると、陳列用穴を打ち抜いた際に生ずる打抜きかすが発生せず、係る打抜きかすを処理する必要がなくなる。ここで、完全に打ち抜かずに一部連結箇所を残した場合には、当該連結箇所を起点としてフィルム素材が破れるおそれが一般には高まるが、本発明は溶断によって陳列用穴を形成することから、陳列用穴の周縁が溶けて強固になるため、完全に打ち抜いたものとしなくても、取手部の他の部分との連結箇所から意図せずフィルム素材が破れるようなことはない。しかも、溶断によるフィルム素材の収縮、皺、延び等が連結箇所に集約され却って破断がし難いものとなる。
【発明の効果】
【0029】
以上の本発明によれば、従来のポケットティシュー包装体の製造に係る種々の問題が改善されたポケットティシューの製造態様、製造方法、さらにはポケットティシュー包装体の形態、包装袋の前駆体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にかかるポケットティシューの斜視図である。
【図2】本発明にかかるポケットティシュー包装体の斜視図である。
【図3】本発明にかかるポケットティシュー包装体の製造方法を説明するための図である。
【図4】本発明にかかるポケットティシュー包装体の特に取手部を説明するための図である。
【図5】従来のポケットティシュー包装体の斜視図である。
【図6】従来のポケットティシュー包装体を構成する包装袋の前駆体を示す斜視図である。
【図7】従来のポケットティシュー包装体の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次いで、本発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
本発明のポケットティシュー包装体は、図1に示すとおり、ポケットティシューPを、複数個まとめて包装袋Fによってフィルム包装(パッケージング)したものである。
【0032】
本発明のポケットティシュー包装体X1の製造方法は、図2(A)に示すように、まず、上記包装袋Fの前駆体でもある予め印刷が施された筒状の連続フィルムを平坦とした連続筒状包装フィルム1を、例えばロール状に巻いたものから順次、当該連続筒状包装フィルム1を繰り出す。
【0033】
次いで、図2(B)に示すように、その繰り出した連続筒状包装フィルム1の先端部分に、包装体X1を陳列用フックに掛けるため、或いは持ち運びや掴みやすさを向上させるための取手部2となる部分を形成する。この取手部2の形成は、後述する溶着パターンを有する溶着ヘッド3を連続筒状包装フィルム1の先端部分に押し当て、二層積層構造となっている各フィルム層を溶着して一体化するとともに、陳列用穴4を形成することにより行なう。なお、溶着ヘッドの形状は図示のものに限定されるわけではない。溶着ヘッド3を連続筒状包装フィルム1に対して押し当てるにあたっては、例えば、当該溶着ヘッド3と対になる受け部3Aとで当該連続筒状包装フィルム1を挟持するようにして行なうことができる。
【0034】
本形態では、係る溶着ヘッド3を押し当てて、筒状連続包装フィルム1の先端を受け部3Aとで挟持した状態で、当該溶着ヘッド3から所定距離間離した上流側位置で連続筒状包装フィルム1を幅方向に沿って切断する(図2中、切断箇所を符号1Aで示す)。そして、図2(C)に示すように、その切断縁1Aから袋状とされた筒状包装用フィルム1Zを開口させて開口部1Bを形成し、そこから図2(D)に示すように、所望の配列状態でポケットティシューPを内部に挿入する。そして、図2(E)に示すように、ポケットティシューPを挿入した後、前記開口部1Bを溶着等によって封止する(図中係る封止部分を符号1Cで示す)。
【0035】
そして、ポケットティシューPの封止が完了した後、図2(F)に示すように、前記溶着ヘッド3と受け部3Aとの挟持を開放し、ポケットティシュー包装体X1とする。
【0036】
なお、図2に示す形態では、溶着ヘッド3による取手部2を形成する際に、連続筒状包装フィルム1を裁断して開口部1Bを形成する工程と、開口部1BからポケットティシューPを挿入する工程と、ポケットティシューPが収納された状態で開口部1Bを封止する工程とを行なっているが、本発明では必ずしもこの順で作業を行なう必要はない。例えば、取手部2を形成した後、溶着ヘッド3と受け部3Aとの挟持を開放した後に、当該取手部2となる部分を形成した連続筒状包装フィルム1を下流に移送し、溶着作業箇所よりも下流において開口部1Bの形成、ポケットティシューPの挿入、開口部1Bの封止を行なうこともできる。
【0037】
ここで、連続筒状包装フィルム1の形状は、側縁部1Eが部分的に積層内側に折り込まれたマチ部を有するものであると、厚みのあるポケットティシューを挿入しやすく望ましい。
【0038】
なお、連続筒状包装フィルム1の素材は、熱溶着、超音波溶着等の溶着可能な素材であれあれば特に限定されず、既知のフィルムを用いることができる。例示すれば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムが例示できるが、特に、安価なポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが好ましく、透明性が高いポリエチレンフィルムが最も好ましい。
【0039】
また、前記連続筒状包装フィルム1は、内包物であるポケットティシューの視認性が良好であるのがよく、ヘイズ値が0.1〜20%の範囲のものとするのが望ましい。
【0040】
また、意図せず破断し難くハンドリングも良好なことから連続筒状包装フィルム1を構成するフィルムの厚さは、20〜80μmであるのが望ましい。
【0041】
他方、本発明に係る溶着ヘッド3は、所望の溶着パターンに係る凸溶着部形成部を有し、当該凸溶着部形成部の頂面を対象物に当て、その凸溶着部形成部から熱或いは超音波などを対象物に加え、前記対象物の溶着を行なう構成のものを用いることができる。本発明では、溶着の具体的な方法は、特に限定されないが、熱溶着であるのが本発明の効果が最も発揮される。
【0042】
ここで、本発明に係る溶着ヘッド3の溶着パターンを、溶着ヘッド3から転写される溶着パターンを図3に示して説明する。本発明の溶着ヘッド3は、特徴的に、連続筒状包装フィルム1の幅方向に1mm以下の間隔L1で並ぶ単位溶着部30で構成される溶着部群31が10〜20mmの間隔L2を開けて連続筒状包装フィルム1の幅方向に沿って直線状に配され、かつ、その溶着部群31の一つが前記連続筒状包装フィルム1の幅方向の中央Cを跨ぐ位置にある溶着部列32,32を、前記連続筒状包装フィルム1の流れ方向に間隔L3を開けて配置する溶着パターンを有している。
【0043】
単位溶着部30及び溶着部群31の具体的な数は、限定はされないが、溶着部群31は筒状包装連続フィルム1の中央部及び両側部の三カ所を溶着するように配したものであるのが望ましい。また、溶着ヘッド3は、詳細には少なくとも溶着部群31,31間の離間部分(L2で示す部分)については、前記連続筒状フィルム1に押し当らないように構成されたものがよい。このように溶着部群間の離間部分が連続筒状包装フィルム1に当たらないものであると、当該離間部分を介して連続筒状包装フィルム1の内外通気が確保される。よって、上述の図2で示す形態のように、取手部形成時にポケットティシューPを収納する場合において、開口部1Bを開く際、ポケットティシューPを収納する際、さらに開口部1Bを封止する際に、内部の空気が上記離間部を介して逃げることができ、取手部形成時にポケットティシューPを収納する図2で示す好ましい製造形態を好適に採ることができるようになる。
【0044】
ここで、前記単位溶着部30の具体的形状は限定されないが、望ましくは、連続筒状包装フィルム1の幅方向に20〜120mm、連続筒状包装フィルム1の連続方向(流れ方向)に2〜10mmの大きさを有する矩形或いは楕円形である。
【0045】
また、一つの溶着部群31の長さは、ポケットティシューPの収納態様、連続筒状包装フィルム1の幅によっても相違するが、概ね20〜50mmとするのが望ましい。特に、図1に示すポケットティシュー包装体X1のように、連続筒状包装フィルム1の幅がポケットティシューPの長側縁P1と同程度の幅となるものでは、25〜45mmとするのが望ましい。
【0046】
なお、連続筒状包装フィルム1の連続方向(流れ方向)における溶着部列32,32の間の間隔L3は、2〜10mmであるのが望ましい。ここで、本発明では、二つの溶着部列32,32は、同一の溶着ヘッド3に形成されている必要はなく、同時に押し当て可能な二つの溶着ヘッドに分かれていてもよい。
【0047】
他方、本発明では、前記溶着ヘッド3が連続筒状包装フィルム1に押し当てられている状態で、前記溶着部列32,32間であって連続筒状包装フィルム1の幅方向中央部に、陳列用穴4を溶断により形成する。陳列用穴4の形成は、例えば、図示はしないが円形環状の溶着刃により陳列用穴形成部を打ち抜くようにすればよい。また、本発明では、前記陳列用穴4を形成するにあたり、周縁の一部を完全に切断せず、取手部2の他の部分との連結箇所4Aを残すようにするのが、打抜きに係るゴミが生じないため望ましい。かかる態様の陳列用穴4を形成するには先端略C形状の溶着刃によって当該陳列用穴の形成部分を貫通するようにして行なえばよい。ここで、溶着刃は、先端鋭利な加熱可能なものであり、既知の構成のものが利用できる。なお、溶着ヘッド3を押し当てた状態で溶着刃により連続筒状包装フィルム1を打ち抜くにあたっては、例えば、溶着ヘッド3や受け部3Aに当該溶着刃が移動可能な空間を形成しておくようにすればよい。
【0048】
ここで、陳列用穴4の大きさとしては、陳列用フックの大きさに応じて適宜設計すればよく限定されるものではないが、概ね8〜12mφである。なお、完全に打ち抜かない場合における上記連結部分4Aは、1〜5mm程度であれば十分である。
【0049】
以上の本発明の製造方法によるポケットティシュー包装体X1は、図1に示すように、ポケットティシューP,Pが内包された収納部50と、この収納部50の上縁から延出する取手部2を有するものとなる。そして、その取手部2には、上記溶着ヘッド3の溶着パターンに対応したパターンの溶着部分が形成され、幅方向に1mm以下の間隔で並ぶ単位溶着部分30Aで構成される溶着部群31Aが20〜50mmの間隔を開けて前記幅方向に沿って直線状に配され、かつ、その溶着部群31Aの一つが前記幅方向の中央Xcを跨ぐ位置にある溶着部列32A,32Aが間隔を開けて並列され、かつ、それら溶着部列間であって連続筒状包装フィルム1の幅方向中央部に、周縁が溶着されている陳列用穴4が形成されているものとなる。もちろん、周縁の一部を完全に切断しない製造態様では、前記陳列用穴4は、取手部2の他の部分との連結箇所が残されたものとなる。
【0050】
なお、本発明では内包されるポケットティシューPは既知のものであり、特に限定されないが、例示すれば、図4に示すように、略長方形状の上下面61,62及びこれら繋ぐ長側縁P1及び短側縁P2とからなる座布団様の偏平状の立体形状をなすものであり、大きさは、概ね短側縁P2の長さL4×長側縁P1の長さL5×厚さが、75±10mm×125±10mm×15±5mmである。
【0051】
また、本発明におけるポケットティシュー包装体X1においては、ポケットティシューPの配列態様も特に限定されないが、図1に示すような、長側縁突き合わせ方向に2個×上下面突き合わせ方向に2個が本発明の効果が十分に発揮され望ましい。
【符号の説明】
【0052】
X1,X2…ポケットティシュー包装体、P…ポケットティシュー、P1…ポケットティシューの長側縁、P2…ポケットティシューの短側縁、L4…短側縁の長さ、L5…長側縁の長さ、F…包装袋、1…連続筒状包装フィルム、1A…切断部、1B…開口部、1C…封止部、1E…連続筒状包装フィルムの側縁、2,102…取手部、3…溶着ヘッド、
3A…受け部、4,104…陳列用穴、30…単位溶着部、31…溶着部群、32…溶着部列、L1…単位溶着部間の間隔、L2…溶着部群間の間隔、L3…溶着部列間の間隔、L4…短側縁P2の長さ、L5…長側縁P1の長さ、50,150…収納部、30A…単位用着部、31A…溶着部群、32A…溶着部列、61…ポケットティシューの上面、62…ポケットティシューの下面、E…陳列用フック、101Z…包装袋前駆体、130…溶着部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷が施された筒状の連続フィルムを平坦とした連続筒状包装フィルムに対して取手部を形成する工程と
連続筒状包装フィルムを裁断して開口部を形成する工程と、
前記開口部からポケットティシューを挿入する工程と、
前記開口部をポケットティシューが収納された状態で封止する工程と、を一連で行い、かつ、
前記取手部を形成する工程が;
連続筒状包装フィルムの幅方向に1mm以下の間隔で並ぶ単位溶着部で構成される溶着部群が10〜20mmの間隔を開けて連続筒状包装フィルムの幅方向に沿って直線状に配され、かつ、その溶着部群の一つが前記連続筒状包装フィルムの幅方向の中央を跨ぐ位置にある溶着部列が、前記連続筒状包装フィルムの流れ方向に間隔を開けて配置する溶着パターンの溶着ヘッドを、前記連続筒状包装フィルムに押し当てて当該溶着パターンで連続筒状包装フィルムを溶着するとともに、
前記溶着ヘッドが連続筒状包装フィルムに押し当てられている状態で、前記溶着部列間であって連続筒状包装フィルムの幅方向中央部に、陳列用穴を溶断により形成する、作業を含む、
ことを特徴とするポケットティシュー包装体の製造方法。
【請求項2】
前記溶着ヘッドを連続筒状包装フィルムに押しつけて溶着作業を行なっている間に、前記開口部を形成する工程と、ポケットティシューを収納する工程とを行なう請求項1記載のポケットティシュー包装体の製造方法。
【請求項3】
前記単位溶着部は、連続筒状包装フィルムの幅方向に20〜120mm、連続筒状包装フィルムの流れ方向に2〜10mmの大きさとし、かつ、一つの溶着部群の長さを20〜50mmとする請求項1記載のポケットティシュー包装体の製造方法。
【請求項4】
連続筒状包装フィルムの流れ方向における溶着部列間の間隔を20〜40mmとする請求項1又は2記載のポケットティシュー包装体の製造方法。
【請求項5】
前記陳列用穴を形成するにあたり、周縁の一部を完全に切断せず、取手部の他の部分との連結箇所を残す請求項1〜3の何れか1項に記載のポケットティシュー包装体の製造方法。
【請求項6】
略長方形状の上下面及びこれら繋ぐ長側縁及び短側縁とからなる立体形状をなすポケットティシューの複数個を包装袋に収納してなるポケットティシュー包装体であって、
前記ポケットティシュー包装体は、ポケットティシューが収納される収納部とこの収納部の縁から延出する取手部を有し、
その取手部は、幅方向に1mm以下の間隔で並ぶ単位溶着部で構成される溶着部群が10〜20mmの間隔を開けて前記幅方向に沿って直線状に配され、かつ、その溶着部群の一つが前記幅方向の中央を跨ぐ位置にある溶着部列が間隔を開けて並列され、かつ、それら溶着部列間であって連続筒状包装フィルムの幅方向中央部に、周縁が溶着されている陳列用穴が形成されている、
ことを特徴とするポケットティシュー包装体。
【請求項7】
前記陳列用穴は、周縁の一部を完全に切断せず、取手部の他の部分との連結箇所は残されている請求項6記載のポケットティシュー包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−71748(P2013−71748A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211640(P2011−211640)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】