説明

ポリアミドの製造方法

ポリアミド、そのオリゴマー又はその、必要により他の反応生成物との混合物は、アミノニトリル又はジニトリルとジアミン、又はアミノニトリル、ジニトリル及びジアミンを含む混合物、並びに必要により他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーと、水とを、反応生成物が底部から排出され、形成したアンモニア、形成した他の低分子量化合物及び水が頂部(2)から取り出され、垂直に向いた縦軸を有する反応器(1)中で反応させることにより製造され、且つ
反応器(1)は、
相互に液漏れ防止トレイ(5)によって分離され、縦方向に相互に重ねて配置された少なくとも2基のチャンバー(4)を有し、且つ
各々のチャンバー(4)は、直下のチャンバー(4)と液体用配管(6)を介して連結され且つ液体の生成物流が最も下側のチャンバー(4)の液体用配管(6)から取り出され、
各々のチャンバー(4)内の液面より上側の気体空間(7)は、直上に配置されたチャンバー(4)に接続され、その接続は、液面より下側で気体出口用オリフィス(11)を有するガス分配器(9)に通じる1本以上の導管(8)を用いることによって行われ、
チャンバー(4)は、ガス分配器(9)の周囲に垂直に配置され、上端部が液面より下側で、下端部がチャンバー(4)の液漏れ防止トレイ(5)より上側に在り、そしてチャンバー(4)をガスが供給される1以上の空間(13)とガスが供給されない1以上の空間(14)に分割する少なくとも1枚のバッフル板(12)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノニトリル又はジニトリル及びジアミン或いはアミノニトリル、ジニトリル及びジアミン、必要により他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーを含む混合物と水を反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー又は混合物、又は必要により他の反応生成物を有するオリゴマー又は混合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノニトリル又はジニトリルとジアミン、或いはアミノニトリル、ジニトリル及びジアミンを含む混合物、必要により他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーと水とを反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー又はその、必要により他の反応生成物との混合物を製造する方法、特に、この種の連続法は知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、反応蒸留装置中において上記の方法、特に連続法を行うための手順について記載しており、その際に反応蒸留装置の下部に熱を導入する。反応生成物を反応蒸留装置の底部から取り除き、そして反応中に形成したアンモニア、形成した他の低分子量化合物及び水を頂部から取り除く。使用可能な反応蒸留塔として、棚段塔、泡鐘塔及び分割壁塔(dividing wall column)について記載している。
【0004】
特許文献2には、反応蒸留装置中において上記の方法、特に連続法を行うための手順について記載されており、その際に反応蒸留装置の下部に水蒸気を導入する。生成物として得られる高分子量化合物を反応蒸留装置の底部から取り除く。使用可能な反応蒸留塔として、棚段塔、例えば穿孔板を有する棚段塔を記載している。特許文献3によると、6−アミノカプロニトリルとカプロラクタムの混合物を特許文献2に記載された方法において出発モノマーとして用いることができる。
【0005】
特許文献2及び特許文献3によると、均一な温度を保証するには、塔における全て又は殆どのトレイに、各トレイの温度を独立して調節するための補助器具、例えば加熱素子を設ける必要がある。
【0006】
特許文献1によると、上記の方法では、トレイにおける液滞留量が僅かであることから、相混合が制限されている。相混合を改善するために、トレイ上の液滞留量を増大させることができる。しかしながら、トレイより上側の気体側で、高い圧力降下がもたらされる。このような圧力降下により、トレイでの温度分散が顕著となり、結果として種々の反応速度がもたらされる。これにより、反応器の下部で生成物の分解が生じることもあり、一方、反応器の上部では、極めて低い温度に起因して反応が停止する。
【0007】
更に、上述の方法の目的は、水及びアンモニアの混合物とポリマーの生成物とを、精留によって頂部生成物と底部生成物に分離することにある。この場合、所望の分離効果を達成するために、装置の高さに対して温度勾配を必要とする。
【0008】
例えば、特許文献4によると、開示された多段階反応器の上部において、一方で十分な加水分解を保証し、他方で気体状態の低分子量反応生成物の漏れを回避するように温度及び水含有率を設定する必要がある。
【0009】
【特許文献1】WO99/43732
【特許文献2】US6201096
【特許文献3】US6437089
【特許文献4】WO00/24808
【発明の開示】
【0010】
上記の多段階反応器での重合は、装置の上部で気体状態の低分子量有機成分の漏れを制限するのに必要な低温により、ニトリル基及びアミノ基を適当な滞留時間で最適に加水分解することができない点において不都合である。多段階反応器の下部において、このような低水分含有率が、生成物の溶融体の粘度を増大させる高温条件下にてもたらされる。従って、生成物の溶融体の粘度を増大させることにより、気体側で流動損失が大きくなり、撹拌エネルギの形で更に外部エネルギを供給して、十分な混合を保証する必要がある。更に、高温条件下では、生成物に損傷を与える。
【0011】
これらの方法において望ましいのは、反応器の長手軸に対する更に均一な温度分を達成し、そして反応成分の混合を改善することである。これにより、平均反応時間が短縮することから、ポリアミドの製造方法を、上記の不都合を回避しつつ技術的に簡易で且つ経済的な方法で行うことができる。
【0012】
従って、本発明者等は、 アミノニトリル又はジニトリル及びジアミンと、又はアミノニトリル、ジニトリル及びジアミンを含む混合物と、必要により他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーと、水とを、垂直縦方向の長さ軸を有し、反応生成物が底部から排出され、形成したアンモニア、他の低分子量化合物及び水が頂部(2)から取り出される反応器(1)中で反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー又は混合物、又は必要により他の反応生成物とのオリゴマー又は混合物を製造する方法であって、
反応器(1)は、
相互に液漏れ防止トレイ(5)によって分離され、縦方向に相互に重ねて配置された少なくとも2基のチャンバー(4)を有し、且つ
各々のチャンバー(4)は、直下のチャンバー(4)と液体用配管(6)を介して連結され且つ液体の生成物流が最も下側のチャンバー(4)の液体用配管(6)から取り出され、
各々のチャンバー(4)内の液面より上側の気体空間(7)は、直上に配置されたチャンバー(4)に接続され、その接続は、液面より下側で気体出口用オリフィス(11)を有するガス分配器(9)に向かって開口する1本以上の導管(8)を用いることによって行われ、
各々のチャンバー(4)は、ガス分配器(9)の周囲に垂直に配置され、上端部が液面より下側で、下端部がチャンバー(4)の液漏れ防止トレイ(5)より上側に在り、そしてチャンバー(4)をガスが供給される1以上の空間(13)とガスが供給されない1以上の空間(14)に分割する少なくとも1枚のバッフル板(12)を備えていることを特徴とする製造方法を見出した。
【0013】
本発明の方法を連続的に行うことが望ましい。
【0014】
本発明の方法は、反応器(1)、好ましくはチャンバー(4)、特に最も下側のチャンバー(4)以外のチャンバー(4)を介して断熱により行われるのが好ましい。
【0015】
反応器(1)は、多相反応での良好な相混合と、各チャンバーの全容積に対する(チャンバーの断面積と特に液体の高さの両方に対して)反応混合物の実質的に一定の組成とを可動装置部品を用いることなく液体のエアリフト循環(air-lift circulation)によって保証すると同時に、反応終了後に液相と気相とを簡単に分離することを保証する装置である。ガス分配器から気体を取り出して、このガス分配器とガス分配器の周囲に垂直に配置された1枚以上のバッフル板との間の液体空間に通すことにより、液体空間の静水圧が、気体が供給されない液体空間と比較して低圧となり、これにより運動エネルギーに変換される圧力勾配が得られる。この圧力勾配により、エアリフト循環を以下の流れの形で稼働させることができる。その流れは、気体が供給される空間、即ちガス分配器とこのガス分配器の周囲に配置されたバッフル板との間の空間において上方に向い、バッフル板の最上端部より上側で且つ液面より下側の領域でバッフル板によって向きがそらされ、バッフル板の外側の気体が供給されない空間を通って頂部から底部に流れ、そしてチャンバーの液漏れ防止トレイの上側で且つバッフル板の最下端部より下側で流れが底部から頂部に向かうように再びそらされ、これによりループ移動を閉じている。
【0016】
反応器は、垂直縦方向の長手軸を有する装置であり、即ち、上側領域で1種以上の液体、液/固、気/液又は気/液/固の出発材料流を供給し、下側領域で気体流(即ち、出発材料及び/又は不活性ガス)を供給する、即ち、液体、液/固又は気体の流れを向流供給する縦型装置である。
【0017】
更に、1種以上の液体、液/固、気/液又は気/液/固の流れ、即ち、出発材料、中間体、生成物又は不活性ガス或いはかかる物質の複数又は全ての混合物を、反応器(1)の中間領域又は下部領域に供給することができる。特に、ジニトリルとジアミンから、又はアミノニトリル、ジニトリルおよびジアミンを含む混合物からのポリアミドの調製(製造)において、ニトリル基、好ましくはジアミンを有していない化合物が、このように反応器(1)の中間領域又は下部領域に供給される場合に有利である。
【0018】
反応器(1)は、好ましくは一方を他方の上側に配置した複数のチャンバーを備えている。
【0019】
チャンバーの数は、200基以下、好ましくは50基以下、特に10基以下とするのが有利な場合がある。
【0020】
チャンバーの数は、少なくとも2基とするのが有利であり、特に少なくとも3基とする。
【0021】
反応器の幾何構造は、屡々、円筒形であるが、その他の幾何構造を用いることも可能である。
【0022】
チャンバーは液漏れ防止トレイにより相互に分離されており、その場合、各々のチャンバーは、直下に配置されたチャンバーに1本の液体用配管を介して連結されている。この液体用配管は、例えば、パイプ又はシャフトの形であっても良く、反応器の内側と外側の両方に配置されていても良い。特に、2基の連続するチャンバーの液体用配管は、反応器の反対側に配置されていても良い。液体の生成物流を、最も下側のチャンバーに設けられた液体用配管から取り除く。反応器(1)の最も下側のチャンバー、即ち、底部領域は、少なくとも2基のチャンバーに分割されていても良い。これらの少なくとも2基のチャンバーは、一方を他方の頂部に重ねるか又は並設され、或いは一方を他方の頂部に重ね且つ並設される。
【0023】
好ましい実施の形態において、反応器(1)の底部領域から取り除いた生成物流の一部を、熱交換器に液体の状態で供給することができ、生成物流に含まれる水の一部又は全てを、熱交換器によって気体の状態に変換することができ、そして熱交換器を通過した混合物を反応器(1)に供給することができる。本発明の方法により得られるポリアミド、そのオリゴマー又は混合物を、特に底部領域において、液体の生成物として反応器(1)から取り除くことが好ましい。
【0024】
別の実施の形態において、反応器(1)の底部領域から取り除いた生成物流の一部又は全体を液体の状態で熱交換器に供給することができ、生成物流に含まれる水の一部又は全てを、熱交換器によって気体の状態に変換することができ、気体の水を反応器(1)に供給することができ、そして熱交換器を出た液体の生成物を所望の生成物として得ることができる。
【0025】
更に別の実施の形態において、液体の形の生成物を、反応器(1)の底部領域に設けられた少なくとも1基のチャンバーから熱交換器に供給することができ、生成物流に含まれる水の一部又は全てを熱交換器によって気体の状態に変換することができ、そして熱交換器を出た混合物を反応器(1)に供給することができる。本発明の方法により得られるポリアミド、そのオリゴマー又は混合物を、特に底部領域において、液体の状態の生成物として反応器(1)から取り除くことができるのが好ましい。
【0026】
更に別の実施の形態において、液体の状態の生成物を、反応器(1)の底部領域に設けられた少なくとも1基のチャンバーから熱交換器に供給することができ、生成物流に含まれる水の一部又は全てを、熱交換器によって気体の状態に変換することができ、気体の水を反応器(1)に供給することができ、そして熱交換器を出た液体の生成物を所望の生成物として得ることができる。
【0027】
上述した好ましい実施の形態で用いられる熱交換器を、反応器(1)中に又は反応器(1)の外側に、或いは部分的に反応器(1)の内側で且つ部分的に反応器(1)の外側に設けても良い。更に、熱交換器は、1基の装置又は複数の別個の装置を備えていても良い。
【0028】
各チャンバー内の液面より上側の気体空間は、直上側に配置されたチャンバーに接続されている。その接続は、液面より下側でガス出口(ガス取り出し)用開口部を有するガス分配器に開口する1本以上の導管を用いることによって行われている。原則として、導管の数及び配置に関して限定されるものではない:単一の中心導管又は反応器の断面に対して分配された複数の導管を設けることができる。チャンバーごとに単一のガス分配器を設ける代わりに、複数のガス分配器を別個に設けることも可能であり、その際に各々のガス分配器は、1本以上の導管を間に介してガス供給部を有している。気体流を、反応器の外側から及び/又は底部領域から1本以上の導管を介して反応器の終わりから2番目のチャンバーのガス分配器に導入し通過させる。
【0029】
従って、1本以上の導管を間に介してガス供給部を有する単一のガス分配器、及び相互に連結されていない複数のガス分配器(それぞれ1本以上の導管を間に介してガス供給部を有する)を設けることができる。
【0030】
本発明で使用可能なガス分配器に関して基本的に限定はされない:重要なことは、ガス分配器により、導管を間に介してガス分配器に供給された気体が、ガス分配器を配置したチャンバーの液面より下側で、直下に配置されたチャンバーの気体空間から出現することができるようにすることである。気体は、可能な限り均一に取り出されるのが望ましい。原則として、市販のガス供給手段をガス分配器として使用することができ、例えば、ガス出口孔が設けられ且つ例えば水平方向に配置され得る、即ちチャンバーの液漏れ防止トレイと平行な面で配置され得るパイプの形のガス分配器を使用することができる。輪状のガス分配器を設けることも可能である。しかしながら、気体出口用オリフィスをチャンバー内の液面より下側に常に設ける必要があり、チャンバー内の液体の全高(深さ)に対して、液面から少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも50%の距離をもって設けるのが好ましい。チャンバー内の液面より下側に在る気体出口用オリフィスの特に有利な浸漬深さは、少なくとも50mmであることが見出された。
【0031】
好ましい実施の形態において、ガス分配器は、頂部が閉じられ且つ下部に気体出口用オリフィスを有するフードの形をしたサイホン様である。
【0032】
下部にガス供給用開口部及び気体出口用オリフィスのための導管の通路以外、フードを完全に閉じることができる。
【0033】
しかしながら、フードの下部が開放されるようにフードを形成することも可能である。
【0034】
フードの上側閉端部は、液面より下側にて終端とされていても良いが、液面を超え、気体空間にまで至るようにしても良い。
【0035】
サイホン様ガス分配器のフードは、原則として、任意の幾何学的形状を有していても良い:例えば、相互に連結され、断面に好ましくは交差するように及び/又は平行に或いは軸方向に又は径方向に配置される複数の構成部品を備えていても良い。
【0036】
数、断面積及びチャンバー内の液面からの距離に関して、気体出口用オリフィスは、ガス分配器における気体流の圧力降下が0.1〜50ミリバールとなるように形成されるのが好ましい。
【0037】
ガス分配器の開口部は、相互に同一の高さで配置されるのが好ましい。
【0038】
開口部は原則として任意の幾何学的形状を有意していても良く、例えば、環状、三角形又は溝のような形をしていても良い。
【0039】
開口部の中心線は、フードの下端部から約1〜15cmの距離であるのが好ましい。或いは、開口部の代わりに、フードの下端部の縁に切り込みを入れることも可能である。その他に、フードの下端部を環状分散器の形で形成することも可能である。
【0040】
相互に異なる高さをもって開口部を配置するのは、2以上の荷重範囲で運転する場合に有利である。
【0041】
気体出口用オリフィスの高さは、一方で、特定の気/液又は気/液/固反応を行うのに十分な質量輸送領域が提供され、他方で、液体のエアリフト循環に十分な運転が提供されるように、反応器で行われる特定の反応の関数としての要件に従って選択される。
【0042】
上端部がチャンバー内の液面より下側に在り且つチャンバーのトレイから所定の距離の少なくとも1枚の垂直バッフル板が、新規な反応器の各ガス分配器の周囲に配置され、このバッフル板は、各々のチャンバーを1以上の気体が供給される空間と1以上の気体が供給されない空間に分離する。
【0043】
好ましい実施の形態において、バッフル板は、円筒状の挿入管の形であっても良い。しかしながら、例えば、平坦で簡素な金属シートの形であっても良い。
【0044】
少なくとも1枚のバッフル板は、液面及びチャンバーのトレイから所定の距離をもって離れており、バッフル板による液体流の絞りが実質的に生じないような距離をもって離れているのが好ましい。従って、液面及びチャンバーのトレイからのバッフル板の距離は、たとえバッフル板によりそらされても液体の流速が僅かに変化するだけとなるように設定されるのが好ましい。
【0045】
原則として、バッフル板の全高に関して限定されるものではない。特に、チャンバー毎に所望の滞留時間による作用を有し、これと同時に十分な混合を保証するように適当な寸法とすることができる。
【0046】
好ましい実施の形態において、固体触媒を、反応器における1基以上のチャンバー、好ましくは全てのチャンバーに、特に、固体の触媒床として又は触媒被覆積層充填物、例えばモノリスの形で導入することができる。
【0047】
更に好ましくは、イオン交換樹脂を1基以上のチャンバー、好ましくは全てのチャンバーに導入することができる。
【0048】
従って、本発明の反応器は、気/液又は気/液/固の反応の場合に、極めて良好な相混合により、高い転化率と、混合及び反応の終了後の気相と液相の実質的な分離とを保証する点において有利である。エアリフト循環の運転は、ガス分配器からの気体の取り出しがチャンバー内の液面より下側で行われる必要があり、その際に、原則として、ガスの出口から液面までの距離を極めて広範囲にて変更することができるという理由から、新規な反応器には、液体の滞留時間及び気体の圧力降下が実質的に分断された装置が設けられている。
【0049】
本発明の反応器を、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0050】
図1は、反応器(1)における第1実施の形態のチャンバー(4)の縦断面を示し、断面を図1a(図1A)に示し、
図2は、反応器(1)における第2実施の形態のチャンバー(4)の縦断面を示し、断面を図2a(図2A)に示し、
図3は、反応器(1)における第3実施の形態のチャンバー(4)の縦断面を示し、断面を図3a(図3A)に示している。
【0051】
図1は、反応器1における複数のチャンバー4のうちの1基について例示しており、チャンバー4は、一方を他方の頂部に縦方向に重ねて配置されている。チャンバー4は、反応器1の上側領域に液体又は気/固の出発材料流の供給部2及び下側領域に気体流3の供給部を備え、チャンバー4毎に1枚のトレイ5と反応器1内部に例示されている液体用配管6をそれぞれ備え、各チャンバー4内の液面より上側に気体空間7を備えている。その気体空間は、上側に配置されているチャンバー4と導管8によって接続され、そして頂部が閉じられ且つ下部に気体出口用オリフィス11を有するフード10の形のサイホン様ガス分配器9に通じている。サイホン様ガス分配器9の周囲には、液面及びチャンバー4のトレイから所定の距離をもって離れており且つチャンバー4をガスが供給される複数の空間13とガスが供給されない複数の空間14とに分離するバッフル板12が設けられている。
【0052】
図1aの断面図において、本発明におけるガス分配器9のフード10の形状を示しており、平行に配置された構成部品の形で例示されている。
【0053】
図2における他の具体的な実施の形態の縦断面において、図1と同一の特徴については同一の参照番号にて示している。
【0054】
ガスが供給されない空間14の領域において導入された触媒15を更に示している。
【0055】
図2aの断面図において、本発明におけるガス分配器9のフード10の形状を示しており、平行に配置された構成部品の形で例示されている。
【0056】
図3における他の具体的な実施の形態の縦断面において、図1と同一の特徴については同一の参照番号にて示している。
【0057】
図3aの断面図では、サイホン様ガス分配器9のフード10の構成部品の配置を示しており、径方向の配置について例示している。
【0058】
考え得る処理において、例えば、アミノニトリル又はジニトリル及びジアミンと、或いはアミノニトリル、ジニトリル及びジアミンを含む混合物と、水とを、反応器(1)の上側半分に供給する。その後、反応で形成した低沸点物質(low boiler)(アンモニア及び水)を、反応器(1)の頂部で富化して除去し、一方、オリゴマー及びポリアミドを含む所望の生成物を底部で高沸点物質(high boiler)として得る。
【0059】
別の考え得る処理において、例えば、ニトリル基を含む化合物、特にアミノニトリル又はジニトリル或いはアミノニトリル及びジニトリルを含む混合物と、水とを、反応器(1)の上側半分に供給し、ニトリル基を含まない化合物、特にジアミンを、反応器(1)の中間部又は下部に供給する。その後、反応で形成した低沸点物質(アンモニア及び水)を反応器(1)の頂部で富化して除去し、一方、オリゴマー及びポリアミドを含む所望の生成物を底部で高沸点物質として得る。
【0060】
生成物の連続単離を伴う組み合わせ処理により、熱交換と物質移動を高いエネルギー効率で理想的に平行して行い、更に、出発材料の急速な加熱と出発材料の均一な混合を行うという特徴を有している。反応を、自生圧力下で行うことができる。
【0061】
本発明のシステムの場合、プレポリマーと反応生成物のアンモニアの向流輸送は、反応器(1)の頂部生成物を介したアンモニアの連続除去が組み合わされており、これにより、装置(所望の生成物に実質的に転化されるアミノニトリルを含んでいる。)の構成部品におけるアンモニア含有率が極めて低くなることを保証する。
【0062】
所望の生成物の高い転化率は、頂部生成物を介するアンモニアの連続除去が行われないときより本発明の新規な方法によって達成されることが見出され、結果として、反応時間が短縮され、望ましくない副成分の形成が少なくなる。
【0063】
反応を促進するために、加水分解及び/又は縮合を促進する所望の触媒を使用することができる。好ましい触媒は、固体の状態で導入することにより、所望の生成物から容易に分離することができる触媒か、或いは反応器の構成部品上に被膜として存在する触媒である。
【0064】
本発明は、アミノニトリル又はジニトリルとジアミン、或いはアミノニトリル、ジニトリル及びジアミンを含む混合物を加水分解反応させて、ポリアミド及び/又はその前駆体並びにポリアミドを得るための他のポリアミド形成性モノマー及びオリゴマーを形成する連続法に関する。
【0065】
アミノニトリル又はジニトリル及びジアミン、或いはアミノニトリル、ジニトリル及びジアミンを含む混合物は、反応器(1)の上側部分の中間トレイに計量導入されるのが好ましい。その後、アミノニトリル又はジニトリル及びジアミン、或いはアミノニトリル、ジニトリル及びジアミンを含む混合物は、引力下に装置を通って下方に向かって流れ、そして連続的に水と反応する。これにより得られたアンモニアは、その揮発性に起因して連続的に上方に向かって上昇し、そしてアンモニアを頂部から分離することができる。
【0066】
他の好ましい実施の形態において、例えば、ニトリル基を含む化合物、特にアミノニトリル又はジニトリル或いはアミノニトリル及びジニトリルを含む混合物を、反応器(1)の上部の中間トレイに計量導入し、ニトリル基を含まない化合物、特にジアミンを、反応器(1)の中部又は下部に計量導入することができる。その後、ニトリル基を含む化合物は、引力下に装置を通って下方に向かって流れる。これにより得られたアンモニアは、その揮発性に起因して連続的に上方に向かって上昇し、そしてアンモニアを頂部から分離することができる。
【0067】
必要により、出発材料を必要により設けられた頂部凝縮器にて予備加熱することができる。
【0068】
図4は、新規な方法の原理を示すダイアグラムである。
【0069】
図4に示されたダイアグラムは、反応器(1)を用い、アミノニトリルを反応させてポリアミドを形成する方法について示している。Aはアミノニトリルであり、Dは水蒸気であり、Nはアンモニアであり、Pはポリアミドプレポリマーであり、
図4a(図4A)に示されたダイアグラムは、反応器(1)を用い、ジニトリル及びジアミンを反応させてポリアミドを形成する方法について示している。A1はジニトリルであり、A2はジアミンであり、Dは水蒸気であり、Nはアンモニアであり、Pはポリアミドプレポリマーである。
【0070】
触媒のペレットを装置に導入することにより、カラム中の気体と液体の流れを更に均一にすることができることが見出された。
【0071】
溶融体中のアンモニアを低減するのは、不活性ガス(例えば窒素)又は水蒸気でストリッピングすることによって更に支持することができる。
【0072】
アミノニトリルとして、原則として任意のアミノニトリルを使用することができ、即ち、少なくとも1個のアミノ基と少なくとも1個のニトリル基の両方を有する化合物である。このような化合物の中でω−アミノニトリルが好ましく、ω−アミノニトリルの中で、特に、アルキレン基に4〜12個、好ましくは4〜9個の炭素原子を有するω−アミノアルキルニトリル又は8〜13個の炭素原子数のアミノアルキルアリールニトリルを使用し、この中で、芳香族単位とアミノ基及びニトリル基との間に少なくとも1個の炭素からなるアルキルスペーサーを有するものが好ましい。アミノアルキルアリールニトリルの中で、アミノ基とニトリル基を相互に1,4位に有するアミノアルキルアリールニトリルが特に好ましい。
【0073】
他のω−アミノアルキルニトリルとして、直鎖のω−アミノアルキルニトリルを使用するのが好ましく、その際にアルキレン基(−CH2−)は、4〜12個、好ましくは4〜9個の炭素原子を含み、例えば、6−アミノ−1−シアノペンタン(6−アミノカプロニトリル)、7−アミノ−1−シアノヘキサン、8−アミノ−1−シアノヘプタン、9−アミノ−1−シアノオクタン又は10−アミノ−1−シアノノナンであり、6−アミノカプロニトリルが特に好ましい。
【0074】
6−アミノカプロニトリルは、例えばDE−A836938、DE−A848654又はUS5151543に記載されている公知の方法によってアジポニトリルを水素化することにより得るのが一般的である。
【0075】
勿論、複数のアミノニトリルの混合物又はアミノニトリルと他のコモノマー、例えばカプロラクタム又は以下に記載の混合物を用いることも可能である。
【0076】
原則として、全てのジニトリル、即ち少なくとも2個のニトリル基を有する化合物をジニトリル基として用いることができる。ジニトリルの中で、α,ω−ジニトリルが好ましく、特に、アルキレン基に4〜12個、好ましくは4〜9個の炭素原子を有するα,ω−ジニトリル又は炭素原子数7〜12個のシアノアルキルアリールニトリルを用い、これらの中で、芳香族単位と2個のニトリル基との間に少なくとも1個の炭素原子からなるアルキルスペーサーを有するものが好ましい。シアノアルキルアリールニトリルの中で、2個のニトリル基を相互に1,4位に有するものが特に好ましい。
【0077】
他のα,ω−アルキレンジニトリルとして、直鎖のα,ω−アルキレンジニトリルを使用するのが好ましく、その際にアルキレン基(−CH2−)は、3〜11個、好ましくは3〜8個の炭素原子を含み、例えば、1,4−ジシアノブタン(アジポニトリル)、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン又は1,10−ジシアノデカンであり、アジポニトリルが特に好ましい。
【0078】
原則として、全てのジアミン、即ち、少なくとも2個のアミノ基を有する化合物をジアミンとして用いることができる。ジアミンの中で、α,ω−ジアミンが好ましく、特にアルキレン基に4〜14個、好ましくは4〜10個の炭素原子を有するα,ω−ジアミン又は7〜12個の炭素原子を有するアミノアルキルアリールニトリルを使用し、この中で、芳香族単位と2個のニトリル基との間に少なくとも1個の炭素原子からなるアルキルスペーサーを有するものが好ましい。アミノアルキルアリールアミンの中で、2個のアミノ基を相互に1,4位に有するものが特に好ましい。
【0079】
他のα,ω−アルキレンジアミンとして、直鎖のα,ω−アルキレンジアミンを使用するのが好ましく、その際にアルキレン基(−CH2−)は、3〜12個、好ましくは3〜8個の炭素原子を含み、例えば、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン又は1,10−ジアミノデカンであり、ヘキサメチレンジアミンが特に好ましい。
【0080】
必要により、分岐のアルキレン又はアリーレン又はアルキルアリーレンから誘導されるジアミン、ジニトリル及びアミノニトリルを用いても良く、例えば2−メチルグルタロジニトリル又は2−メチル−1,5−ジアミノペンタンである。
【0081】
ポリアミドの新規な製造(製造法)において、ジニトリル及びジアミン又はジニトリル、ジアミン及びアミノニトリルを含む混合物を用いる場合、出発材料中に含まれ且つポリアミドを形成可能なニトリル基の、出発材料中に含まれ且つポリアミドを形成可能なアミノ基に対するモル比は、0.9〜1.1の範囲であり、0.95〜1.05の範囲が好ましく、特に0.99〜1.01の範囲であり、特に好ましくは1であることが有効であると判明した。
【0082】
ジカルボン酸、例えば6〜12個、特に6〜10個の炭素原子のアルカンジカルボン酸、例えばアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸又はセバシン酸並びにテレフタル酸、イソフタル酸及びシクロヘキサンジカルボン酸、或いはアミノ酸、例えば5〜12個の炭素原子のアルカンアミノ酸、特にα,ω−C5〜C12アミノ酸を、他のポリアミド形成性モノマーとして用いても良い。
【0083】
5−アミノペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸、好ましくは6−アミノヘキサン酸、又はこれらの内部アミド、即ちラクタム、特にカプロラクタムをα,ω−C5〜C12アミノ酸として用いても良い。
【0084】
更に、新規な方法での好適な出発材料(出発物質)は、式I:
【0085】
【化1】

【0086】
[但し、R1が−OH、−OC1〜C12アルキル又は−NR23を表し、
2、R3が相互に独立して、それぞれ水素、C1〜C12アルキル又はC5〜C8シクロアルキルを表し、
mが3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12を表す。]
で表されるアミノカルボン酸化合物を有する混合物である。
【0087】
特に好ましいアミノカルボン酸化合物において、R1が−OH、−OC1〜C4アルキル、例えば−O−メチル、−O−エチル、−O−n−プロピル、−O−イソプロピル、−O−n−ブチル、−O−sec−ブチル、−O−tert−ブチル、そして−NR23、例えば−NH2、−NHMe、−NHEt、−NMe2又は−NEt2を表し、そしてmが5を表す。
【0088】
6−アミノカプロン酸、6−アミノカプロン酸メチル、6−アミノカプロン酸エチル、6−アミノカプロン酸メチルアミド、6−アミノカプロン酸ジメチルアミド、6−アミノカプロン酸エチルアミド、6−アミノカプロン酸ジエチルアミド及び6−アミノカプロアミドが特に好ましい。
【0089】
出発化合物は市販されているか、又は例えば、EP−A0234295及びInd. Eng. Chem. Process Des. Dev. 17 (1978), 9-16頁に従って調製可能である。
【0090】
上記の化合物、アミノカルボン酸化合物、ラクタム、ジアミン及び二酸の所望の混合物並びにこれらの塩を使用することも可能である。
【0091】
使用されるポリアミド形成性モノマーは、水と一緒に、特に好ましくは当該製造方法全体を通じて1:1〜1:20のモル比のアミノニトリル又はジニトリル及びジアミン、或いはアミノニトリル、ジニトリル及びジアミンを含む混合物である。アミノカプロニトリルは、当該方法全体を通じて1:1〜1:10のACN:水のモル比にて使用するのが特に好ましい。更に、アジポニトリルとヘキサメチレンジアミンの混合物は、当該方法全体を通じてアジポニトリルとヘキサンメチレンジアミンの合計の水に対するモル比1:1〜1:10にて使用するのが特に好ましい。アジポニトリル、ヘキサメチレンジアミン及びアミノカプロニトリルの混合物は、当該方法においてアジポニトリル、ヘキサメチレンジアミン及びアミノカプロニトリルの合計の水に対するモル比1:1〜1:10にて使用するのが特に好ましい。
【0092】
ポリアミド形成性モノマーとオリゴマーの混合物を用いても良い。
【0093】
アミノカプロニトリルに加えて、必要によりカプロラクタム及び/又はヘキサメチレンジアンモニウムアジペート(AH塩)をポリアミド形成性モノマーとして使用するのが好ましい。
【0094】
アジポニトリル及びヘキサメチレンジアミンに加えて、必要により、カプロラクタム及び/又はヘキサメチレンジアンモニウムアジペート(AH塩)をポリアミド形成性モノマーとして使用するのが好ましい。
【0095】
文献に広く記載された酸触媒、例えばホスホン酸等に加えて、好適な触媒は、特に不均一系触媒である。β−ゼオライト、シート状シリケート又は70〜100%がアナターゼで、0〜30%がルチルのTiO2を実質的に含む固定床触媒(40%以下のTiO2は、酸化タングステンに置換されていても良い。)から選択されるブレンステッド酸触媒を使用するのが好ましい。
【0096】
例えば、FINNTiS150(ケミラ ピグメント Oy(Kemira Pigments Oy)社、フィンランド)等の対応のTiO2変性体を使用することも可能である。
【0097】
不均一系触媒を、例えば懸濁液として装置に導入し、充填物上で焼結するか、或いは必要により被膜形成された触媒充填物又は触媒床若しくはインターナルとして装置に導入する。不均一系触媒は、反応混合物からの分離が容易に行われるように装置内に壁部被膜又は壁部上での触媒床として存在していても良い。
【0098】
アミノニトリル又はジニトリル及びジアミン、或いはアミノニトリル、ジニトリル及びジアミンを含む混合物の供給箇所の下に配置されている反応器(1)の多数のチャンバーにおける水の濃度が極めて高い濃度に到達することにより(高沸点物質の水に対するモル比は約1:4〜1:50の範囲であり、1:10〜1:40の範囲が好ましい。)、各成分を化学量論量で装置に計量導入した場合であっても、水は装置自体に過剰の化学量論量にて存在することもあり、これにより反応の平衡を生成物側にシフトさせ且つ平衡を確立させる速度を上昇させることもある。
【0099】
反応器(1)の反応部分、即ち出発材料供給部の下側での反応のための温度は、水の濃度、滞留時間、触媒の使用法及び出発材料の組成又は濃度に応じて異なり、約180〜300℃の範囲であり、200〜280℃の範囲が好ましく、220〜270℃の範囲が特に好ましい。反応器(1)のチャンバー(4)における温度は、狭い範囲内とするのが有利であり、15℃内とするのが好ましく、10℃内とするのが更に好ましく、特に8℃内である。
【0100】
二段階処理により、反応に必要とされる圧力レベルを低減することができる。なぜなら、気体の成分を、一段階処理の場合のように、液相中で保持する必要がないからである。システムの自生圧力だけを温度の関数として設定する。その圧力は、約10〜60バールの範囲である。装置の複雑さを、処理操作の集約、例えば熱交換と質料輸送を1基の同一の装置中で行うことによって単純な形にする。
【0101】
チャンバー(4)の数を増やすと、装置中の液相の流れ分布が理想的な栓流となり、装置の滞留時間範囲が極めて均一となる。
【0102】
これにより得られた所望の生成物は、反応器(1)での滞留時間、処理温度、圧力条件、そして他のプロセス工学パラメータに応じて、種々の分子量(広範囲にて調節可能である)及び種々の性質を有している。反応後、必要により、生成物の所望の性質を確立するために生成物を更に処理することができる。
【0103】
生成物を重縮合に付して、分子量を増大させることができる。かかる重縮合は、ポリアミドの調製及び後処理のためのそれ自体公知の方法により、例えば完全に連続する流管(VK管)中で行われ得る。
【0104】
これにより得られたポリアミドを、例えば、DE−A4321683(3頁54行目〜4頁3行目)に詳細に記載されているようにそれ自体公知の方法によって後処理することができる。
【0105】
好ましい実施の形態において、本発明により得られるポリアミド6中の環式ダイマー含有率は、最初に、ポリアミドをカプロラクタムの水溶液で抽出し、その後、水で抽出するか、及び/又はポリアミドを気相抽出(例えば、EP−A0284968を参照されたい)に付すことにより更に低減することができる。後処理で得られた低分子量成分、例えばカプロラクタム並びに直鎖及び環式オリゴマーを、新規な方法又は反応器の上流に循環させることができる。
【0106】
次いで、抽出後に得られたポリアミドを、それ自体公知の方法で乾燥することができる。
【0107】
乾燥は、不活性ガス、例えば窒素又は加熱媒体としての過熱水蒸気の存在下、例えば向流法によって行われ得るのが有利である。このようにして、高温、例えば150〜190℃の温度条件下で加熱することにより、96%硫酸における1質量%濃度溶液中で25℃にて測定される所望の粘度を確立することができる。
【0108】
新規な方法は、比較的低い複雑さの装置においてエネルギー及び供給材料コストが削減された連続反応処理の点において顕著である。従って、本発明の方法は、公知の方法より更に経済的に運転可能であり且つ本発明の方法により高い価値の生成物を得ることができる。
【0109】
以下の実施例で本発明を説明する:
【実施例】
【0110】
[実施例1]
カプロラクタム(9.7質量%)及び水(4.6質量%)の連続流(残りは、US6437089の実施例1で使用されているようなナイロン6プレポリマーである。)を、5段階と底部領域を備える本発明の反応器(1)の上部に供給した。
【0111】
この供給流は、20.4kg/時の処理量及び250℃の温度を有していた。
【0112】
反応器の圧力を調節して、18.25バールのゲージ圧とした。底部の温度を調節して、265℃とした。
【0113】
250℃での過熱水蒸気(14.5kg/時)を底部に連続的に加えた。
【0114】
反応器での温度曲線は断熱傾向を示しており、その数学的モデルは、以下の温度曲線:第1チャンバー257.6℃、第2チャンバー257.1℃、第3チャンバー256.8℃、第4チャンバー256.1℃及び第5チャンバー254℃について計算する。
【0115】
反応器での滞留時間の合計は、1.75時間であり、この時間には、底部領域での10分未満の滞留時間が含まれていた。
【0116】
計算結果により、14.8kg/時の処理量を有する気体流が反応器の頂部から得られた。この気体流は、1.8質量%のNH3、0.0015質量%のACN、1.2質量%のカプロラクタム及び約97質量%の水を含んでいた。
【0117】
数学的モデルにより、5.5質量%の水を含む20.1kg/時のナイロン6生成物流が得られた。末端基に関して、以下の結果が得られた:241ミリモル/kgのアミノ、233ミリモル/kgのカルボキシル、3ミリモル/kgのアミド及び5ミリモル/kgのニトリルの各末端基。生成物中において、1分子当たりモノマーの数平均は24.3であった。
【0118】
結果として、US6437089の実施例1による品質より良好な品質の所望の生成物が、技術的に簡易で且つ経済的な方法で得られた。
【0119】
[実施例2]
管状反応器中、80バールのゲージ圧及び250℃の温度の条件下、6−アミノカプロニトリル及び水の混合物からプレポリマーを調製した。滞留時間は、プレポリマーが975ミリモル/kgのアミノ、547ミリモル/kgのカルボキシル、423ミリモル/kgのアミド及び5ミリモル/kgのニトリルの各末端基を含むように選択された。
【0120】
カプロラクタム(12.3質量%)、水(22.4質量%)及びNH3(0.53質量%)の連続流(残りは、上述のようにナイロン6プレポリマー)を、5段階及び底部領域を備える反応器(1)の上部に供給した。
【0121】
この供給流は、37.7kg/時の処理量及び235℃の温度を有していた。
【0122】
反応器の圧力を調節して、28バールのゲージ圧とした。底部の温度を調節して、275℃とした。
【0123】
反応器での温度曲線は、断熱傾向を有しており、その数学的モデルは、以下の温度曲線:第1チャンバー238.2℃、第2チャンバー239.9℃、第3チャンバー240.7℃、第4チャンバー241℃及び第5チャンバー241.6℃について計算する。
【0124】
反応器での滞留時間の合計は、1.65時間であり、この時間には、底部領域での10分未満の滞留時間が含まれていた。
【0125】
計算結果により、6.3kg/時の処理量を有する気体流が反応器の頂部から得られた。この気体流は、7.5質量%のNH3、0.000086質量%のACN、0.077質量%のカプロラクタム及び約92.4質量%の水を含んでいた。
【0126】
数学的モデルにより、8.9質量%の水を含む31.4kg/時のナイロン6生成物流が得られた。末端基に関して、以下の結果が得られた:338.2ミリモル/kgのアミノ、334.6ミリモル/kgのカルボキシル、3.3ミリモル/kgのアミド及び0.3ミリモル/kgのニトリルの各末端基。生成物中において、1分子当たりモノマーの数平均は21.9であった。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】第1実施の形態における反応器(1)のチャンバー(4)の縦断面を示す。
【図1A】第1実施の形態における反応器(1)のチャンバー(4)の横断面を示す。
【図2】第2実施の形態における反応器(1)のチャンバー(4)の縦断面を示す。
【図2A】第2実施の形態における反応器(1)のチャンバー(4)の横断面を示す。
【図3】第3実施の形態における反応器(1)のチャンバー(4)の縦断面を示す。
【図3A】第3実施の形態における反応器(1)のチャンバー(4)の横断面を示す。
【図4】反応器(1)を用いてポリアミドを得るためにジニトリルを反応させる方法について示す。
【図4A】反応器(1)を用いてポリアミドを得るためにジニトリル及びジアミンを反応させる方法について示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノニトリル又はジニトリルとジアミン、又はアミノニトリル、ジニトリル及びジアミンを含む混合物、並びに必要により他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーと、水とを、反応生成物が底部から排出され、形成したアンモニア、形成した他の低分子量化合物及び水が頂部(2)から取り出され、垂直に向いた縦軸を有する反応器(1)中で反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー又はその、必要により他の反応生成物との混合物を製造する方法であって、
反応器(1)は、
相互に液漏れ防止トレイ(5)によって分離され、縦方向に相互に重ねて配置された少なくとも2基のチャンバー(4)を有し、且つ
各々のチャンバー(4)は、直下のチャンバー(4)と液体用配管(6)を介して連結され且つ液体の生成物流が最も下側のチャンバー(4)の液体用配管(6)から取り出され、
各々のチャンバー(4)内の液面より上側の気体空間(7)は、直上に配置されたチャンバー(4)に接続され、その接続は、液面より下側で気体出口用オリフィス(11)を有するガス分配器(9)に通じる1本以上の導管(8)を用いることによって行われ、
チャンバー(4)は、ガス分配器(9)の周囲に垂直に配置され、上端部が液面より下側で、下端部がチャンバー(4)の液漏れ防止トレイ(5)より上側に在り、そしてチャンバー(4)をガスが供給される1以上の空間(13)とガスが供給されない1以上の空間(14)に分割する少なくとも1枚のバッフル板(12)を備えていることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
反応器(1)のガス分配器(9)は、頂部が閉じられたフード(10)の形ではサイホン様である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
サイホン様分散器(9)のフードの下部は開放されている請求項2に記載の方法。
【請求項4】
サイホン様分散器(9)のフード(10)は、相互に連結され、横断面が軸方向又は径方向に、交差するように及び/又は平行となるように配置される2以上の構成部品から形成されている請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
気体出口用オリフィス(11)の数及び寸法並びに気体出口用オリフィス(11)とチャンバー(4)内の液面との距離は、ガス分配器(9)の気体流の圧力降下が0.5〜50ミリバールとなるように設定される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
気体出口用オリフィス(11)は相互に同一の高さとなるように配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
気体出口用オリフィス(11)は、フード(10)の下端部から1〜15cmの距離にあるフード(10)の下部に配置される請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
バッフル板は、液面とチャンバー(4)のトレイから、バッフル板(12)を通る液体流の絞りが実質的に生じないような距離に配置されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ガス分配器(9)の周囲に垂直に配置されている少なくとも1枚のバッフル板(12)が挿入管の形状である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
バッフル板及びガス分配器(9)は、ガス供給時断面積がガス供給時断面積とガス非供給時断面積の合計に対して10〜80%、好ましくは40〜60%、特に好ましくは約50%となるように配置される請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
固体触媒を反応器(1)の1基以上のチャンバー(4)、好ましくは全てのチャンバー(4)に、固体の触媒床として、又は触媒被覆積層充填物、例えばモノリスの形で導入する請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
イオン交換樹脂を1基以上のチャンバー(4)、好ましくは全てのチャンバー(4)に導入する請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ブレンステッド酸触媒の存在下に行われる請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
不均一系のブレンステッド酸触媒を使用する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
反応が自生圧力下で行われる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
反応器(1)が複数の理論段又は実際段を有する1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
当該方法の全体を通じて1:1〜1:20のモル比のアミノニトリル及び水を、ポリアミド形成性モノマーとして使用する請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
水蒸気から得られる水が使用される請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
更に、不活性ガスによるストリッピングが反応中に行われる請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
反応器(1)の上流側に別の反応器が配置される請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
上流側の別の反応器を一段階処理法により稼働させる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
上流側の別の反応器を二段階処理法により稼働させる請求項20に記載の方法。
【請求項23】
反応生成物を気相中で分離する装置が、上流側の別の反応器と反応器(1)との間に配置される請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
反応器(1)の下流側に別の反応器が配置される請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
下流側の別の反応器を一段階処理法により稼働させる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
下流側の別の反応器を二段階処理法により稼働させる請求項24に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1基のチャンバー(4)が熱交換器を有する請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
液体又は気体の状態の水を少なくとも1基のチャンバー(4)に供給する請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
反応器(1)の底部領域が、少なくとも2基のチャンバーに分割されている請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
各チャンバーが並設されている請求項29に記載の方法。
【請求項31】
一方のチャンバーが他のチャンバーの頂部に配置されている請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
反応器(1)の底部領域から取り除かれた生成物流の一部を液体状態で熱交換器に供給し、生成物流に含まれる一部又は全ての水を熱交換器によって気体状態に転換し、そして熱交換器を通過した混合物を反応器(1)に供給する請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
反応器(1)の底部領域から取り除かれた生成物流の一部を液体状態で熱交換器に供給し、生成物流に含まれる一部又は全ての水を熱交換器によって気体状態に転換し、気体の水を反応器(1)に供給し、そして熱交換器を通過した液体の生成物を所望の生成物として得る請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
液体の生成物を、反応器(1)の底部領域に設けられた少なくとも1基のチャンバーから熱交換器に供給し、生成物流に含まれる一部又は全ての水を熱交換器によって気体状態に転換し、そして熱交換器を通過した混合物を反応器(1)に供給する請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
液体の生成物を、反応器(1)の底部領域に設けられた少なくとも1基のチャンバーから熱交換器に供給し、生成物流に含まれる一部又は全ての水を熱交換器によって気体状態に転換し、気体の水を反応器(1)に供給し、そして熱交換器を通過した液体の生成物を所望の生成物として得る請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−521432(P2006−521432A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504741(P2006−504741)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002875
【国際公開番号】WO2004/085512
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】