説明

ポリアミドの連続製造方法

本発明は、垂直方向の長手軸を有し、その長手方向に実質的な流れが生じる反応器おいて、アミノニトリル又はジニトリルとジアミン又はその混合物を、適宜他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーと一緒に、ポリマーを水で抽出することによるポリアミドの製造から得られる水性モノマー及びオリゴマー抽出物からなる水性媒体を用いて、反応させることによりポリアミド、そのオリゴマー又はその、適宜他の反応生成物との混合物を製造する連続方法であって、水及び/又は水性媒体を垂直方向の長手軸に沿って2カ所以上から反応器に導入し、且つ水性媒体を1カ所以上から導入することを特徴とするポリアミドの連続製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーを水で抽出することによるポリアミドの製造から得られる水性モノマー及びオリゴマー抽出物を用いることによってポリアミド、そのオリゴマー又はその混合物を製造する連続法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばε−カプロラクタムの重合によるポリアミドの製造で形成するポリマーは、カプロラクタムと、そのオリゴマーとから構成される低分子量分を含んでいる。特に、かかる低分子量分は、熱水での抽出によって除去される。カプロラクタム分をかかる抽出水から除去し(水性モノマー及びオリゴマー抽出物)、精製し、適宜、重合に再導入する。サイフォン試薬(siphoning reagent)を添加して、抽出水中のオリゴマーをカプロラクタムに転化し、同様に単離し、精製し、そして再利用することも可能である。
【0003】
従来の処理方法において、殆どの場合に、抽出物全体又はその成分、特にカプロラクタムを新たな重合で使用可能とする前に、抽出水を場合によっては多段階で後処理する必要がある点において不都合を有している。カプロラクタムの除去、後処理及び再循環を予想させる方法では、抽出水中のオリゴマーを後処理しないが、処分する必要がある点において更に不都合を有している。更に、抽出水を再循環させる上述の方法は、抽出水濃縮物又は抽出水成分とカプロラクタムの混合物を加水分解重合する処理工程を用いる必要がある。
【0004】
特許文献1は、抽出水、すなわちポリマーを水で抽出することによるポリアミドの製造から得られる水性モノマー及びオリゴマー抽出物を再循環させる方法であって、抽出物の水溶液を事前の後処理、濃縮又は分離工程無しに直接アミノニトリルの重合で理想的に使用可能であることを特徴とする方法に関する。水性抽出物を再循環させる方法は、バッチ式で操作され得る。
【0005】
アミノニトリルからポリアミドを製造する連続重合法は、特許文献2に記載されている。かかる方法での反応は、向流(反応性)蒸留塔において2相で行われる。反応物質流が下方に向かって流れる塔は、下部領域において複数の箇所から導入される水蒸気を有している。蒸留塔の中央の領域で温度制御用の水を添加することも可能である。
【0006】
特許文献3は、最初にプレポリマーに転化されるポリアミド用モノマーからポリアミドを製造する方法に関する。プレポリマー溶液をフラッシャー(二次気水分離器)と、該フラッシャーに続いて在る分離器に入れて分離し、これにより得られた固体のプレポリマーを結晶化し、そして固体状態重合容器中で高分子量のポリアミドに更に転化する。
【0007】
【特許文献1】WO99/38907
【特許文献2】WO00/24808
【特許文献3】WO99/10408
【発明の開示】
【0008】
アミノニトリル又はジニトリル及びジアミンからポリアミドを製造する従来の方法は、出発モノマーの加水分解に関して依然として改良の余地を残している。多くの場合、例えば、カルボキシル末端基の含有量が高く且つその後の段階(工程)でポリアミドに有利に転化可能であるプレポリマーを得ることが望ましい。
【0009】
従って、本発明の目的は、ポリアミド及びその、高カルボキシル末端基含有量のプレポリマーを製造可能であり且つ従来の方法の不都合を回避するポリアミドの製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明者等は、上記目的が垂直方向の長手軸を有し、その長手方向に実質的な流れが生じる反応器おいて、アミノニトリル又はジニトリルとジアミン又はその混合物を、適宜他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーと一緒に、ポリアミドの製造からポリマーを水で抽出することにより得られる水性モノマー及びオリゴマー抽出物からなる水性媒体を用いて反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー又はその、適宜他の反応生成物との混合物を製造する連続方法であって、水及び/又は水性媒体を垂直方向の長手軸に沿って2カ所以上から反応器に導入し、且つ水性媒体を1カ所以上から導入することを特徴とするポリアミドの連続製造方法により達成されることを見出した。
【0011】
水性媒体だけを少なくとも2カ所の相互に異なる位置から反応器に送るのが好ましい。
【0012】
本発明者等は、水を単独で用いる代わりに、ポリマーを水で抽出することによるポリアミドの製造から得られる水性のモノマー又はオリゴマー抽出物を使用することにより、水性モノマー及びオリゴマー抽出物を含む水性媒体を垂直方向の長手軸に沿って2カ所以上の相互に異なる位置から反応器に導入した場合、ポリアミド、特にカルボキシル末端基の含有率の高いプレポリマーを得ることを見出した。水性媒体を、例えば2〜4カ所から供給することができる。水性媒体を、好ましくは20カ所以下、更に好ましくは10カ所以下から添加することができる。一実施の形態において、水性媒体を垂直方向の長手軸に沿って2〜20カ所又は3〜20カ所の相互に異なる位置から反応器に導入することができる。個々の添加位置は、反応器の長手方向に沿って相互に所定の間隔を持って設けられている。供給は、長手軸に直交する反応器の断面に対して、縁部領域で、中央で、又は複数の位置の間で行われても良い。
【0013】
配置された複数の箇所から反応中に水性媒体を添加することにより、更に加水分解されたプリポリマーを得て、結果として、ヒドロキシル末端基含有量がより高くなる。更に、反応器における温度分布を滑らかに又は均一にすることができる。これは、特に反応器の連続する他の位置から加熱処理されなかった水性媒体を供給した場合に可能となる。これにより、加水分解反応の発熱状態を確認し、そして一様にすることができる。加水分解を改善する他に、本発明の方法によるポリアミド又はポリアミドプレポリマーについて、生成物の損傷が限定され、例えばアミノ及びカルボキシル末端基の欠損が最小になる。なぜなら、本発明による反応の管理により、望まない副反応をもたらし得る著しく高い温度の領域(すなわち、ホットスポット)を回避するからである。対照的に、反応器の導入口から、予備加熱された水性媒体を供給するのが一般的である。反応器に対して分散された供給により、結果として、エネルギーを節約することも可能となる。なぜなら、水の全量を従来通りに加熱する必要がないからである。連続流通反応装置に沿った相互に異なる供給位置及び数を、実用上の要件に適合させて、反応器の長さ及び断面に亘って極めて均一な温度分布を得ることができ、そしてプレポリマーの製造中に極めて実質的に加水分解することができる。反応器に沿った適当な位置は、簡易な試験によって決定可能である。個々の供給位置に対する水性媒体の量の割り当てについても同様に、極めて実質的な加水分解と極めて均一な温度分布が得られるように良好に行われる。反応器の導入口(入口)から反応器に供給される全水性媒体の一部は、一般に35〜95質量%の範囲であり、更に好ましくは50〜75質量%の範囲である。水性媒体の残りを個々の他の供給位置に割り当てる。好ましくは、個々の位置は、その個々の位置での差が50質量%以下となるように添加される水を有している。
【0014】
本発明により使用される水性媒体は、ポリマーを水で抽出することによるポリアミドの製造から得られる。例えば、WO99/38907及びDE−A19808442に記載されている水性モノマー及びオリゴマー抽出物を用いることができる。
【0015】
本発明により使用される水性媒体の固体含有量は、2〜30質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは3〜15質量%の範囲であり、特に4〜10質量%の範囲である。これにより得られる抽出水を、濃縮又は水で希釈して、所望の水準の抽出性を達成することができる。
【0016】
好ましくは、固体に対して、水性媒体における固体の少なくとも50質量%は、ラクタム、及び使用されるアミノニトリルから誘導される2〜6環員のオリゴマーの環式ラクタムである。同様のことは、ジニトリル及びジアミンにも適用される。
【0017】
更に好ましくは、水性モノマー及びオリゴマー抽出物を、更なる後処理工程無しに重合に戻す。従って、濃縮、分離又は精製の必要がない。
【0018】
抽出段階から直接得られる水性モノマー及びオリゴマー抽出物の固体含有量は、一般に3〜20質量%の範囲であり、好ましくは4〜15質量%の範囲であり、特に5〜12質量%の範囲である。
【0019】
N6の場合、カプロラクタム及びその、2〜5環員の環式オリゴマーが存在するときの質量比は、カプロラクタムと各々の2−、3−、4−及び5員環に対して、好ましくは60〜90:5〜20:3〜17:2〜8:1〜5であるのが好ましい。例えば、質量比は、70〜80:8〜12:3〜11:3〜7:2〜4としても良い。例として、約79:約10:約5:約4:約2の質量比も含まれる。
【0020】
約70質量%の固体含有量に濃縮された抽出水は、例えば50〜80:1〜5:0.5〜2:0.3〜2:0.02〜1の割合の個々の構造を含んでいる。好ましい範囲は、60〜70:2〜4:0.8〜1.3:0.6〜0.9:0.1〜0.7である。
【0021】
第1の反応器における反応中に相互に異なる位置から連続的に上述の水性抽出物を供給することにより、反応の発熱状態を確認し、そして例えば、反応器全体において実質的に均一に温度を設定することが可能となる。結果として、好ましくは、温度を、例えば220〜245℃の範囲とすることができる。これにより、生成物の損傷が少ないポリアミド及びポリアミドプレポリマーを得ることができる。従って、反応器を断熱で稼働させることができ、そして反応器導入口における水性抽出物並びにアミノニトリル又はジニトリル及びジアミン、適宜他のポリアミド形成性モノマー/オリゴマーだけを加熱するのが一般的である。反応器導入口において全ての水を添加するときと比較して、生成物の損傷の少ない、更に加水分解されたプレポリマーを得て、処理のエネルギー要件を低くし、そして使用される触媒の加水分解性能の作用寿命を延ばす。本発明の一実施の形態では、第1の反応器中、液相中において単一相で反応を行う。特に、かかる形式の操作では、反応の発熱状態を制御することが重要である。なぜなら、これにより生成する熱を反応器から除去するのが一般的に簡単ではないからである。
【0022】
本発明の方法で用いられる反応器は、垂直方向の長手軸を有し、その長手方向に実質的な流れが生じる。好ましくは、反応器は、流管、TVA反応器(例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第6版, 200 Electronic releaseに記載されている)、並流式又は向流式で運転させるマルチチャンバー(multichamber)反応器、又は反応蒸留装置若しくは非反応蒸留装置である。
【0023】
一実施の形態において、反応器は、マルチチャンバー反応器であるか、或いはアミノニトリル又はジニトリルとジアミン又はその混合物が、適宜他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーと一緒に供給され、且つ一方の端部から水性媒体の一方の一部が供給され、水性媒体の他方の一部が連続的に添加され、他方の端部から、ポリアミド、そのオリゴマー又はその混合物を含む反応混合物が排出される流管である。
【0024】
他の実施の形態において、反応器は、反応蒸留装置であるか、或いは反応器は、下流側で反応蒸留装置に取り付けられた流管であり、その場合、反応蒸留装置において、反応生成物を底部から除去し、形成したアンモニア及び形成した他の低分子量化合物並びに水を頂部から取り出す。
【0025】
好適な連続反応器はそれ自体公知である。かかる反応器は、例えば、DE−A19635077、DE−A19808407、EP−A1053275、EP−A1054919、WO99/038907、WO00/24808に記載されている。
【0026】
反応蒸留装置は、例えば、トレイ塔、泡鐘塔又は隔壁塔を含んでいても良い。
【0027】
反応器を変更して、水性媒体を、垂直方向の長手軸に沿って2カ所以上の相互に異なる位置から導入可能にする。反応器の適当な変更は、当業者等に知られている。
【0028】
本発明の一実施の形態において、本発明の方法は、垂直に配置された長手軸を有する反応器(1)において行われ、その反応器(1)において、反応生成物を底部から除去し、形成したアンモニア及び形成した他の低分子量化合物並びに水を頂部(2)から取り出し、且つ
上記の反応器(1)は、
液漏れ防止底部プレート(5)によって相互に分離され、長手方向に相互に重ねて配置された少なくとも2基のチャンバー(4)を有し、且つ
各々のチャンバー(4)は、直下のチャンバー(4)に液体用配管(6)を介して連結され、液体の生成物流が最も下側のチャンバー(4)の液体用配管(6)を介して取り出され、
各々のチャンバー(4)内の液面より上側の気体空間(7)は、直上に配置されたチャンバー(4)に接続され、その接続は、液面より下側で気体出口用オリフィス(11)を有するガス分配器(9)に通じる1本以上の導管(8)を用いることによって行われ、
チャンバー(4)には、ガス分配器(9)の周囲に垂直に配置され、上端部が液面より下側に、下端部がチャンバー(4)の液漏れ防止底部プレート(5)より上側に在り、そしてチャンバー(4)をガスが流れ込む1以上の空間(13)とガスが流れ込まない1以上の空間(14)とに分割する少なくとも1枚のガイド板(12)が設けられている。
【0029】
反応器(1)のガス分配器(9)は、頂部が閉じられたフード(10)の形ではサイホン様であっても良い。
【0030】
サイホン様分散器(9)のフードの下部は開放されていても良い。
【0031】
サイホン様分散器(9)のフード(10)は、相互に連結され、横断面が軸方向又は径方向に、交差するように及び/又は平行となるように配置される2以上の構成部品から形成されていても良い。
【0032】
気体出口用オリフィス(11)の数及び寸法並びに気体出口用オリフィス(11)とチャンバー(4)内の液面との距離は、ガス分配器(9)の気体流の圧力降下が0.5〜50ミリバールとなるように設定されても良い。
【0033】
気体出口用オリフィス(11)は、相互に同一の高さとなるように配置されるのが好ましい。
【0034】
気体出口用オリフィス(11)は、フード(10)の下端部から1〜15cmの距離にあるフード(10)の下部に配置されても良い。
【0035】
ガイド板は、液面とチャンバー(4)のトレイから、ガイド板(12)を通る液体流の絞りが実質的に生じないような距離に配置されていても良い。
【0036】
ガス分配器(9)の周囲に垂直に配置されている少なくとも1枚のガイド板(12)が挿入管の形状で構成されていても良い。
【0037】
ガイド板及びガス分配器(9)は、ガスが流れ込まないときの断面積がガス供給時断面積とガス非供給時断面積の合計に対して10〜80%、好ましくは40〜60%、特に好ましくは約50%となるように配置されても良い。
【0038】
反応器(1)の1基以上のチャンバー(4)、好ましくは全てのチャンバー(4)に、固体触媒、特に、固体粒子の触媒床として、又は触媒被覆規則充填物、例えばモノリスの形で充填することができる。
【0039】
イオン交換樹脂を1基以上のチャンバー(4)、好ましくは全てのチャンバー(4)に導入することができる。
【0040】
反応器(1)は、多相反応での良好な相混合と、各チャンバーの全容積に対する(すなわち、チャンバーの断面積と特に液体の高さの両方に対して)反応混合物の実質的に一定の組成とを可動部品を用いることなく液体のエアリフト循環(air-lift circulation)によって保証すると同時に、反応終了後に液相と気相とを簡単に分離することを保証する装置である。ガス分配器から気体を取り出して、このガス分配器とガス分配器の周囲に垂直に配置された1枚以上のガイド板との間の液体空間に通すことにより、液体空間の静水圧が、気体の供給されない液体空間と比較して低圧となり、これにより運動エネルギーに変換される圧力勾配が得られる。この圧力勾配により、エアリフト循環を以下の流れの形で稼働させることができる。その流れは、気体が供給される空間、即ちガス分配器とこのガス分配器の周囲に配置されたガイド板との間の空間において上方に向い、ガイド板の最上端部より上側で且つ液面より下側の領域でガイド板によって向きがそらされ、ガイド板の外側の気体が供給されない空間を通って頂部から底部に流れ、そしてチャンバーの液漏れ底部プレートの上側で且つガイド板の最下端部より下側で流れが底部から頂部に向かうように再びそらされ、これによりループ移動を閉じている。
【0041】
反応器は、垂直方向に配置された長手軸を有する装置であり、即ち、上側領域で1種以上の液体、液/固、気/液又は気/液/固の反応物質流が供給され、下側領域で気体流(即ち、反応物質流及び/又は不活性ガス)が供給され、即ち、液体、液/固又は気体の流れが向流供給される装置である。
【0042】
反応器(1)は、好ましくは一方を他方の上側に配置した複数のチャンバーから構成されている。
【0043】
チャンバーの数は、200基以下、好ましくは50基以下、特に10基以下とするのが有利な場合がある。
【0044】
チャンバーの数は、2基以上とするのが有利であり、特に3基以上とする。
【0045】
反応器の幾何構造は、屡々、円筒形であるが、その他の幾何構造を用いることも可能である。
【0046】
チャンバーは液漏れ底部プレートにより相互に分離されており、その場合、各々のチャンバーは、直下に配置されたチャンバーに液体用配管を介して連結されている。この液体用配管は、例えば、管又はシャフトの形であっても良く、反応器の内側と外側の両方に配置されていても良い。特に、2基の連続するチャンバーの液体用配管は、相互に反応器の反対側に配置されていても良い。液体の生成物流を、最も下側のチャンバーに設けられた液体用配管から取り除く。反応器(1)の最も下側のチャンバー、即ち、底部領域は、少なくとも2基のチャンバーに分割されていても良い。これらの少なくとも2基のチャンバーは、一方を他方の頂部に重ねるか又は並設され、或いは一方を他方の頂部に重ね且つ並設される。
【0047】
好ましい実施の形態において、反応器(1)の底部領域から取り除いた生成物流の一部を、熱交換器に液体の状態で供給することができ、生成物流に含まれる水の一部又は全てを、熱交換器によって気体の状態に変換することができ、そして熱交換器から出た混合物を反応器(1)に供給することができる。本発明の方法により得られるポリアミド、そのオリゴマー又は混合物を、特に底部領域において、液体の生成物として反応器(1)から取り除くことが好ましい。
【0048】
別の好ましい実施の形態において、反応器(1)の底部領域から取り除いた生成物流の一部又は全体を液体の状態で熱交換器に供給することができ、生成物流に含まれる水の一部又は全てを、熱交換器によって気体の状態に変換することができ、気体の水を反応器(1)に供給し、そして熱交換器を出た液体の生成物を所望の生成物として得る。
【0049】
更に別の好ましい実施の形態において、反応器(1)の底部領域に設けられた少なくとも1基のチャンバーから得られる生成物を、液体の状態で熱交換器に供給し、生成物流に含まれる水の一部又は全てを熱交換器によって気体の状態に変換し、そして熱交換器を出た混合物を反応器(1)に供給する。本発明の方法により得られるポリアミド、そのオリゴマー又は混合物を、特に底部領域において、液体の状態の生成物として反応器(1)から取り除くことができるのが好ましい。
【0050】
更に別の実施の形態において、反応器(1)の底部領域に設けられた少なくとも1基のチャンバーから得られた生成物を、液体の状態で熱交換器に供給し、生成物流に含まれる水の一部又は全てを、熱交換器によって気体の状態に変換し、気体の水を反応器(1)に供給し、そして熱交換器を出た液体の生成物を所望の生成物として得る。
【0051】
上述した好ましい実施の形態で用いられる熱交換器を、反応器(1)中に又は反応器(1)の外側に、或いは部分的に反応器(1)の内側で且つ部分的に反応器(1)の外側に設けても良い。更に、熱交換器は、1基の装置又は複数の別個の装置を備えていても良い。
【0052】
各チャンバー内の液面より上側の気体空間は、直上側に配置されたチャンバーに接続されている。その接続は、液面より下側でガス出口(ガス取り出し)用開口部を有するガス分配器に開口する1本以上の導管を用いることによって行われている。原則として、導管の数及び配置に関して限定されるものではない:単一の中心導管又は反応器の断面に対して分配された複数の導管を設けることができる。チャンバーごとに単一のガス分配器を設ける代わりに、1本以上の導管を間に介してガスが供給される複数のガス分配器を別個に設けることも可能である。気体流を、反応器の外側から及び/又は底部領域から1本以上の導管を介して反応器の終わりから2番目のチャンバーのガス分配器に導入する。
【0053】
従って、1本以上の導管を間に介してガスが供給される(ガス供給部を有する)単一のガス分配器、及び相互に連結されていない複数のガス分配器(それぞれ1本以上の導管を間に介してガスが供給される)を設けることができる。
【0054】
本発明で使用可能なガス分配器に関しては、原則として限定されない:重要なことは、ガス分配器により、導管を間に介してガス分配器に供給された気体が、ガス分配器を配置したチャンバーの液面より下側で、直下に配置されたチャンバーの気体空間から出現することができるようにすることである。気体は、均一に取り出されるのが望ましい。原則として、市販のガス供給手段をガス分配器として使用することができ、例えば、ガス出口孔が設けられ且つ例えば水平方向に配置され得る、即ちチャンバーの液漏れ防止底部プレートと平行な面で配置され得るパイプの形のガス分配器を使用することができる。輪状のガス分配器を設けることも可能である。しかしながら、気体出口用オリフィスをチャンバー内の液面より下側に常に設ける必要があり、チャンバー内の液体の全高(深さ)に対して、液面から少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも50%の距離をもって設けるのが好ましい。チャンバー内の液面より下側に在る気体出口用オリフィスの特に有利な浸漬深さは、少なくとも50mmであることが見出された。
【0055】
好ましい変体において、ガス分配器は、頂部が閉じられ且つ下部に気体出口用オリフィスを有するフードの形をしたサイホン様の形状を有している。
【0056】
下部にガス供給用開口部及び気体出口用オリフィスのための導管の開口部以外、フードを完全に閉じることができる。
【0057】
しかしながら、フードの下部が開放されるようにフードを形成することも可能である。
【0058】
フードの上側閉端部は、液面より下側にて終端とされていても良いが、液面を超え、気体空間にまで至るようにしても良い。
【0059】
サイホン様ガス分配器のフードは、原則として、任意の幾何学的形状を有していても良い:例えば、相互に連結され、断面に好ましくは交差するように及び/又は平行に或いは軸方向に又は径方向に配置される複数の構成部品を備えていても良い。
【0060】
気体出口用オリフィスの数、断面積及びチャンバー内の液面からの距離は、ガス分配器における気体流による圧力降下が0.1〜50ミリバールとなるように形成されるのが好ましい。
【0061】
ガス分配器の開口部は、相互に同一の高さで配置されるのが好ましい。
【0062】
開口部は原則として任意の幾何学的形状を有していても良く、例えば、環状、三角形又は溝のような形をしていても良い。
【0063】
開口部の中心線は、フードの下端部から約1〜15cmの距離であるのが好ましい。或いは、開口部の代わりに、フードの下端部の縁に切り込みを入れることも可能である。その他に、フードの下端部を環状分散器の形で形成することも可能である。
【0064】
相互に異なる高さをもって開口部を配置するのは、2以上の荷重範囲で運転する場合に有利である。
【0065】
気体出口用オリフィスの高さは、第1に、特定の気/液又は気/液/固反応を行うのに十分な質量輸送領域が提供され、第2に、液体のエアリフト循環に十分な推進力が提供されるように、反応器で行われる特定の反応に応じて選択される。
【0066】
上端部がチャンバー内の液面より下側に在り且つチャンバーの底部トレイから所定の距離に在る少なくとも1枚の垂直のガイド板が、本発明の反応器の各ガス分配器の周囲に配置され、このガイド板は、各々のチャンバーを1以上の気体が流れ込む空間と1以上の気体が流れ込まない空間に分離する。
【0067】
好ましい実施の形態において、ガイド板は、円筒状の挿入管として構成されても良い。しかしながら、例えば、簡素な平板の形状を有していても良い。
【0068】
少なくとも1枚のガイド板は、液面及びチャンバーの底部トレイから所定の距離をもって離れており、ガイド板による液体流の絞りが実質的に生じないような距離をもって離れているのが好ましい。従って、液面及びチャンバーの底部トレイからのガイド板の距離は、ガイド板によりそらされても液体の流速が変化しないか、又は僅かに変化するだけとなるように決定されるのが好ましい。
【0069】
原則として、ガイド板の全高に関して限定されるものではない。特に、チャンバー毎に所望の滞留時間による作用を有し、これと同時に十分な混合を保証するように適当な寸法とすることができる。
【0070】
本発明の方法を1段階(1工程)以上で行うことができる。
【0071】
本発明の一実施の形態において、本発明の方法は、以下の段階:
(1)90〜400℃、好ましくは180〜310℃の温度及び0.1〜35×106Pa、好ましくは1〜10×106Paの圧力の条件下、反応器中において、アミノニトリル又はジニトリルとジアミン又はその混合物を、適宜他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーと一緒に、水性媒体を用いて反応させて、反応混合物を得る段階、
(2)更に反応混合物を、150〜400℃、好ましくは200〜300℃の温度及び段階1の圧力より低い圧力の条件下で反応させ、その際、温度と圧力を、第1の気相及び第1の液相が得られるように選択し、そして第1の気相を、第1の液相から分離する段階、及び
(3)第1の液相を、90〜370℃、好ましくは200〜300℃の温度及び0.1〜30×106Paの圧力の条件下で水又は水性媒体を含む気相又は液相と混合して、生成混合物を得る段階、を含んでいる。
【0072】
上記の方法は、段階3に加え、又は段階3の代わりに、以下の段階:
(4)生成混合物を、200〜280℃の温度及び段階3が行われた場合には段階3より低い圧力にて後縮合し、その際、温度及び圧力を、水及びアンモニアを含む第2の気相と、ポリアミドを含む第2の液相と、を得るように選択する段階、を含む。
【0073】
固定床の形の金属酸化物触媒を反応器中において又は段階1又は段階3で、或いは反応器中において又は段階1並びに段階3で利用することができる。
【0074】
一般に、反応器中での反応は、固定床触媒、更に好ましくはブレンステッド酸の固定床触媒の存在下で行われても良い。
【0075】
混合物中のアミノニトリルとして、原則として任意のアミノニトリルを使用することができ、即ち、少なくとも1個のアミノ基と少なくとも1個のニトリル基の両方を有する化合物である。ω−アミノニトリルが好ましく、特に、アルキレン部分に4〜12個、好ましくは4〜9個の炭素原子を有するω−アミノアルキルニトリル又は8〜13個の炭素原子数のアミノアルキルアリールニトリルを使用し、この中で、芳香族単位とアミノ基及びニトリル基との間に少なくとも1個の炭素原子を有するアルキレン基を有するものが好ましい。アミノアルキルアリールニトリルの中で、アミノ基とニトリル基を相互に1,4位に有するアミノアルキルアリールニトリルが特に好ましい。
【0076】
ω−アミノアルキルニトリルとして、直鎖のω−アミノアルキルニトリルを使用するのが好ましく、その際にアルキレン部分(−CH2−)は、4〜12個、好ましくは4〜9個の炭素原子を含み、例えば、6−アミノ−1−シアノペンタン(6−アミノカプロニトリル)、7−アミノ−1−シアノヘキサン、8−アミノ−1−シアノヘプタン、9−アミノ−1−シアノオクタン又は10−アミノ−1−シアノノナンであり、6−アミノカプロニトリルが特に好ましい。
【0077】
6−アミノカプロニトリルは、例えばDE−A836938、DE−A848654又はUS5151543に記載されている公知の方法によってアジポニトリルの水素化により得るのが一般的である。
【0078】
勿論、複数のアミノニトリルの混合物、又はアミノニトリルと別のコモノマー(例、カプロラクタム)との混合物、又は下記に定義された混合物を使用することもできる。
【0079】
特定の実施の形態において、特に、コポリアミド(共重合ポリアミド)又は分岐若しくは鎖延長ポリアミドを製造すべき場合、下記の混合物が純粋な6−アミノカプロニトリルの代わりに使用される:
50〜99.99質量%、好ましくは80〜90質量%の6−アミノカプロニトリル、
0.01〜50質量%、好ましくは1〜30質量%の、C4〜C10−α,ω−脂肪族ジカルボン酸、C8〜C12−芳香族ジカルボン酸及びC5〜C8−シクロアルカンジカルボン酸から選択される少なくとも1種のジカルボン酸、
0〜50質量%、好ましくは0〜30質量%の炭素原子数4〜10のα,ω−ジアミン、
0〜50質量%、好ましくは0〜30質量%のα,ω−C2〜C12−ジニトリル、
0〜50質量%、好ましくは0〜30質量%のα,ω−C5〜C12−アミノ酸又は対応のラクトン、
0〜10質量%の少なくとも1種の無機酸又はその塩、
(但し、個々の質量%の合計は100%である)。
【0080】
好適なジカルボン酸は、C4〜C10−α,ω−脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸、好ましくはアジピン酸及びセバシン酸、特にアジピン酸、そしてC8〜C12−芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、並びにC5〜C8−シクロアルカンジカルボン酸、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸である。
【0081】
炭素原子数4〜10の好適なα,ω−ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン及びデカメチレンジアミン、好ましくはヘキサメチレンジアミンを挙げることができる。
【0082】
更に、上述のジカルボン酸とジアミンの塩、特にアジピン酸とヘキサメチレンジアミンの塩(6,6塩として公知)を使用することも可能である。
【0083】
α,ω−C2〜C12−ジニトリルとしては、脂肪族ジニトリル(例、1,4−ジシアノブタン(アジポニトリル)、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、特にアジポニトリル)を使用することが好ましい。
【0084】
所望により、分岐アルキレン又はアリーレン又はアルキルアリーレンから誘導されるジアミン類、ジニトリル類及びアミノニトリル類も使用することができる。
【0085】
α,ω−C5〜C12−アミノ酸としては、5−アミノペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸又は12−アミノドデカン酸、好ましくは6−アミノヘキサン酸、又はその内部アミド、特にカプロラクタムを挙げることができる。
【0086】
本発明の方法で有用な出発材料(出発物質)は、更に、以下の一般式I:
【0087】
【化1】

【0088】
[但し、R1が−OH、−OC1〜C12アルキル又は−NR23を表し、
2、R3が相互に独立して、それぞれ水素、C1〜C12アルキル又はC5〜C8シクロアルキルを表し、
mが3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12を表す。]
で表されるアミノカルボン酸化合物との混合物を含む。
【0089】
特に好ましいアミノカルボン酸化合物において、R1が−OH、−OC1〜C4アルキル、例えば−O−メチル、−O−エチル、−O−n−プロピル、−O−イソプロピル、−O−n−ブチル、−O−sec−ブチル、−O−tert−ブチル、そして−NR23、例えば−NH2、−NHMe、−NHEt、−NMe2又は−NEt2を表し、そしてmが5を表す。
【0090】
6−アミノカプロン酸、6−アミノカプロン酸メチル、6−アミノカプロン酸エチル、6−アミノ−N−メチルカプロアミド、6−アミノ−N,N−ジメチルカプロアミド、6−アミノ−N−エチルカプロアミド、6−アミノ−N,N−ジエチルカプロアミド及び6−アミノカプロアミドが特に好ましい。
【0091】
出発化合物は市販されているか、又は例えば、EP−A0234295及びInd. Eng. Chem. Process Des. Dev. 17 (1978), 9-16頁に従って調製可能である。
【0092】
上記の化合物、アミノカルボン酸化合物、ラクタム、ジアミン及び二酸の所望の混合物並びにこれらの塩を使用することも可能である。
【0093】
第1段階の反応は、触媒を用いないか、又は金属酸化物触媒の存在下で行われても良い。以下において、反応条件を、触媒無しと触媒を用いたとき(括弧書き)について記載する。
【0094】
本発明によれば、第1段階(段階1)は、アミノニトリルと水とを、約100(90)〜約400(400)℃(好ましくは約200(180)〜約350(310)℃、特に約240(220)〜約290(270)℃)の温度で、約0.1〜約35(15)×106Pa、好ましくは約1(1)〜約15(10)×106Pa、特に約4(4)〜約11(9)×106Paの圧力に設定して、加熱する。この段階では、圧力と温度を、液相と固相が得られるように相互に調節することができる。反応混合物は、単一の液相として存在するのが好ましい。
【0095】
本発明によれば、水又は水性抽出物は、アミノアルキルニトリルの水に対するモル比で、1:1〜1:30(1:10)の範囲、特に好ましくは1:2〜1:10(1:8)の範囲、極めて好ましくは1:2〜1:8(1:6)の範囲で使用され、使用されるアミノアルキルニトリルに対して水又は水性抽出物を過剰に使用することが好ましい。
【0096】
この実施の形態において、液相が反応混合物に相当し、一方、気相は分離除去される。この段階の一部として、気相を、液相から同時に分離することができ、或いはこの工程で形成する合成混合物を、二相の形態:即ち液/気で存在させることができる。勿論、圧力と温度は、合成混合物が単一の液相として存在するように相互に調節することもできる。
【0097】
気相の除去は、撹拌機付き又は持たない分離容器或いは容器群、そして蒸発装置を用いて、例えば循環式蒸発装置又は薄層蒸発装置(例えば、フィルム押出機)、或いは拡大した相界面を保証する管状円盤反応器によって行うことができる。所定の場合には、合成混合物の再循環又はループ式反応器の使用が、相界面の増大に必要であることもある。さらに、気相の除去は、気相への水蒸気又は不活性ガスの添加により促進することができる。
【0098】
圧力は、所定の温度で、アンモニアの平衡蒸気圧より低いが、所定の温度で合成混合物の他の成分の平衡蒸気圧より高くなるように調節することが好ましい。こうして、アンモニアの除去に有利となるので、酸アミド基の加水分解の速度を上昇させることができる。
【0099】
他の実施の形態において、第1段階の反応器には、反応物質の軸方向の逆混合を制限する充填素子が設けられている。結果として、反応器で開放されるアンモニアガス、主として反応器に入った直後のアンモニアガスは、一番近い経路で反応器の頂部から気相に到達する。従って、更なる連続の反応器において、上昇気泡又は対流によるフロー分布に起因する妨害が最小限となる。
【0100】
第1工程の合成混合物の滞留時間について、特に限定はない;しかしながら、一般に、約10分〜約10時間の範囲、好ましくは約30分〜約6時間の範囲に設定されるのが一般的である。
【0101】
段階1のニトリル基の転化程度に関しても特に限定はないが、経済的理由から、段階1でのニトリル基の転化は、使用したアミノニトリルのモル数に対して、一般に約70モル%以上、好ましくは約95モル%以上、特に約97〜約99モル%の範囲であることが特に求められる。
【0102】
ニトリル基の転化率は、通常、IR分光法(波数2247でのCN伸縮振動)、NMR又はHPLC、好ましくはIR分光法により決定される。
【0103】
他の好ましい実施の形態において、アミノニトリル/水の混合物を、熱交換機を用いて連続的に加熱し、これにより加熱された混合物を同一の温度に加熱された反応容器、好ましくは、必要によりインターナル、例えば逆混合を回避するためのズルツァー(Sulzur)混合素子を含んでいても良い管に導入する。勿論、アミノニトリル及び水を別個に加熱することも可能である。
【0104】
本発明は、段階1の反応を、酸素含有リン化合物、特にリン酸、亜リン酸及び次亜リン酸並びにそのアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、そしてアンモニウム塩、例えばNa3PO4、NaH2PO4、Na2HPO4、NaH2PO3、Na2HPO3、NaH2PO2、K3PO4、KH2PO4、K2HPO4、KH2PO3、K2HPO3、KH2PO2の存在下で行うのを除外するものでなく、この場合、ω−アミノニトリルのリン化合物に対するモル比は、0.01:1〜1:1の範囲、好ましくは0.01:1〜0.1:1の範囲となるように選択される。
【0105】
公知の金属酸化物、例えば二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム等、好ましくはベータゼオライト触媒(β−ゼオライト触媒)、シート状シリケート触媒又は二酸化チタン触媒から選択されるブレンステッド酸触媒を、個々の処理工程における不均一系触媒に用いて、転化率、特にニトリル基の転化率を上昇させることができるようにするのが更に有効である。この種の触媒は、例えばWO03/089496又はそこで引用されている従来技術に記載されている。二酸化チタンが好ましく、二酸化チタンは、特に、70〜100質量%のアナターゼ及び0〜30質量%のルチルを含み、40質量%までの二酸化チタンが酸化タングステン等の他の酸化物に置き換わっていても良い。純粋な出発材料(アミノニトリル)の場合、アナターゼ含有量の高い二酸化チタンを使用するのが好ましい。この触媒の細孔容積は、0.05〜5ml/gの範囲であるのが好ましく、特に好ましくは0.2〜0.5ml/gの範囲である。切断硬度は、小さな値(例えば2〜10Nの範囲)であり、中位の値(例えば、10〜20Nの範囲)であり、又はその他に、より高い値(例えば、20Nを超えるか、又は25Nを超える)である。BET表面積は、5m2/gを超えるのが好ましく、更に好ましくは15m2/gを超える(ドイツ工業規格66131)。
【0106】
この触媒は、市販のTiO2粉末から調製可能である。酸化タングステンを使用する場合、40質量%まで、好ましくは30質量%まで、特に好ましくは15〜25質量%の範囲の二酸化チタンが、酸化タングステンで置き換えられる。触媒は、Ertl, Knoezinger, Weitkamp:"Handbook of heterogeneous catalysis", VCH Weinheim, 1977, 98頁以下に記載のように調製可能である。この金属酸化物を、所望の好適な形で使用することができる。成形品、押出物又はペレットの形で使用するのが好ましい。1〜6mmの平均径及び5〜30mmの平均長さを有する押出物が特に好ましい。ペレット及び押出物を、単独で、或いは金属充填物、例えばラシヒリングと組み合わせて用いることができる。ペレットと成形体の混合物が存在していても良く、或いは金属酸化物層及び成形体層の順序で存在していても良い。
【0107】
上述の金属酸化物を段階4で使用せずに、段階1〜3で、好ましくは1と3で用いることができ、その場合、段階1で使用するのが特に好ましい。
【0108】
本発明によれば、第1工程で得られる反応混合物を、段階2で、約200(150)〜約400(350)℃の範囲、好ましくは約210(200)〜約330(330)℃の範囲、特に約230(230)〜約290(270)℃の範囲の温度及び段階1の圧力より低い圧力にて反応させる。第2工程の圧力は、段階1の圧力より低く、好ましくは少なくとも約0.5×106Pa低く、一般に、圧力は約0.1〜約45×106Paの範囲、好ましくは約0.5〜約15×106Paの範囲、特に約2〜約6×106Paの範囲とする。
【0109】
段階2において、温度及び圧力は、第1の気相及び第1の液相が得られるように選択され、そして第1の気相を第1の液相から分離する。
【0110】
実質的にアンモニア及び水蒸気から構成される第1の気相は、一般的に、蒸留装置、例えば蒸留塔により連続的に除去される。この蒸留の際に共除去される蒸留液の有機成分、主に未転化アミノニトリルは、全体又はその一部を段階1及び/又は段階2に循環させることができる。
【0111】
段階2での反応混合物の滞留時間は、いかなる限定も受けないが、一般に、約2分〜約5時間の範囲、好ましくは約10分〜約1時間の範囲である。
【0112】
第1及び第2段階の間の製造ラインは、反応混合物の気相への制御膨張を容易にする充填素子、例えばラシヒリング又はサルツァ混合素子を含んでいても良い。
【0113】
段階3において、第1の液相を、水性媒体、好ましくは水又は水蒸気又は抽出物を含む気相又は液相と混合する。これは、連続的に行われる。添加される水又は抽出物(液相として)の量は、1kgの第1の液相若しくは第1の固相又は第1の液相及び第1の固相の混合物に対して、約10〜約500mlの範囲が好ましく、約20〜約150mlの範囲がさらに好ましい。水又は抽出物を添加することにより、段階2で受けた水の損失を主として相殺し、そして合成混合物中の酸アミド基の加水分解を促進する。これにより、段階1で使用されるような出発材料の混合物を少し過剰の水のみで使用可能であるという本発明の別の利点が得られる。
【0114】
本発明の他の実施の形態において、段階3を、85%以下の高い抽出性含有量の水性抽出物を用いて行うことができる。必要により、高濃縮水性抽出物は、段階3への導入前に、これに添加されるカプロラクタムを有していても良く、これにより、カプロラクタムオリゴマーの溶解性を改善し、そしてオリゴマーの析出を抑制して、装置の目詰まりを防止することができる。
【0115】
水又は水性抽出物を含む気相又は液相を、段階3への導入前に熱交換器で予備加熱し、その後第1の液相と混合するのが好ましい。この反応器は、各成分の混合を促進する混合素子を具備していても良い。
【0116】
段階2から除去される気相の有機分も同様に第3段階に再循環させても良い。
【0117】
このような有機相の再循環は、水性の形で行われるのが一般的である。
【0118】
段階3は、150〜370℃の温度及び0.1〜30×106Paの圧力で操作され得る。触媒床を存在させる場合、段階1に適用される条件を用いても良い。
【0119】
圧力は、所定の温度で、アンモニアの平衡蒸気圧より低いが、所定の温度で合成混合物の他の成分の平衡蒸気圧より高くなるように調節することが好ましい。こうして、アンモニアの除去に有利となるので、酸アミド基の加水分解の速度を上昇させることができる。
【0120】
この工程で使用できる装置/反応器は、上述した段階1のものと同一であっても良い。
【0121】
好ましい実施の形態において、第1段階の反応器を下方への流れに付すことによって2相処理手続きを行い、その場合、かかる反応器には、触媒、及び反応物質の軸方向の逆混合を制限する充填素子が対応して設けられているのが好ましい。結果として、反応器で開放されるアンモニアガス、主として反応器に入った直後のアンモニアガスは、一番近い経路で反応器の頂部から気相に到達する。従って、更なる連続の反応器において、上昇気泡又は対流によるフロー分布に起因する妨害が最小限となる。
【0122】
この工程の滞留時間は、いかなる制約を受けないが、経済上の理由から、一般に約10分〜約10時間の範囲、好ましくは約1〜約8時間の範囲、特に好ましくは約1〜約6時間の範囲とすることが求められている。
【0123】
段階3で得られた生成混合物を、以下の開示するようにさらに処理することができる。
【0124】
好ましい実施の形態において、段階3の生成混合物は、約200〜約350℃の範囲、好ましくは約220〜約300℃の範囲、特に約250〜270℃の範囲の温度で第4段階にて後縮合される。段階4は、段階3の圧力より低い圧力で行われ、約5〜1000×103Paの範囲が好ましく、さらに約10〜約300×103Paの範囲が好ましい。この工程に関して、温度及び圧力は、第2の気相及び第2の液相若しくは固相又は第2の液相及び第2の固相の混合物(各相は、ポリアミドを含む)が得られるように選択される。
【0125】
段階4の後縮合(postcondensation)は、ポリアミドの相対粘度(25℃の温度、及び濃度96質量%硫酸100ml当たりのポリマー1gに対する濃度で測定)が約1.6〜約3.5の範囲の数値となるように行われるのが好ましい。
【0126】
好ましい態様において、液相中に存在する水を、窒素等の不活性ガスにより追い出すことができる。
【0127】
段階4の反応混合物の滞留時間は、特に、所望の相対粘度、温度、圧力及び段階3に添加される水の量に応じて異なる。
【0128】
段階3と段階4の間の製造ラインは、生成混合物の気相への制御膨張を可能にする充填素子、例えばラシヒリング又はズルツァ混合素子を含んでいても良い。
【0129】
本発明の他の実施の形態において、段階3を省略して、段階(1)、(2)及び(4)を行うことによりポリアミドを製造しても良い。
【0130】
かかる変体、すなわち触媒の使用は、以下のように行われるのが好ましい:
少なくとも1種のアミノアルキルニトリルを過剰の抽出水と一緒に加熱して、約250〜約350℃の範囲の温度及び約4〜30×106Paの範囲の圧力とし、その際に、圧力及び温度は、合成混合物が単一の液相として存在するように相互に調節され、そしてニトリル基の転化率は、使用されるアミノアルキルニトリルに対して、95モル%以下であり、これにより反応混合物を得る。
【0131】
反応混合物は、段階2において、約220〜約300℃の範囲の温度及び約1〜約7×106Paの範囲内の圧力(この段階2の圧力は、段階1より少なくとも0.5×106Pa低い)の条件下で処理される。同時に、得られた第1の気相を第1の液相から分離する。
【0132】
第2段階で得られた第1の液相を、約220〜約300℃の範囲の温度及び約10〜約300×103Paの範囲内の圧力条件下にて段階4で処理し、これにより得られる第2の水−及びアンモニア−含有気相を第2の液相から分離する。この段階の間に、得られたポリアミドの相対粘度(上述したように測定)は、温度及び滞留時間を選択して、約1.6〜約3.5の範囲の所望の数値に調節される。
【0133】
その後、得られた第2の液相を慣用的に排出し、必要により後処理する。
【0134】
金属酸化物触媒を使用する場合、上述の低温及び低圧を用いることができる。
【0135】
更に、本発明の方法の場合、連鎖延長若しくは枝分かれ又はその組み合わせを行うことも可能である。このために、当該技術者等に公知のポリマー枝分かれ又は鎖延長物質を、個々の段階に添加する。この物質は、段階3又は段階4で添加されるのが好ましい。
【0136】
使用可能な物質は、以下の通りである:
枝分かれ剤又は架橋剤として、3官能性アミン又はカルボン酸。少なくとも3官能性のアミン又はカルボン酸の適例は、EP−A0345648に開示されている。少なくとも3官能性のアミンは、カルボン酸基と反応可能なアミノ基を少なくとも3個有している。これは、カルボン酸基を有していないのが好ましい。この少なくとも3官能性のカルボン酸は、アミンと反応可能で、かつ例えばエステル等のその誘導体の状態で存在することもできるカルボン酸基を少なくとも3個有している。カルボン酸は、カルボン酸基と反応可能なアミノ基を含んでいないのが好ましい。カルボン酸の適例としては、トリメシン酸、三量化脂肪酸(例えばオレイン酸から調製され、かつ50〜60個の炭素原子を有する)、ナフタレンポリカルボン酸(例えば、ナフタレン−1,3,5,7−テトラカルボン酸)である。カルボン酸は、規定された有機化合物であり、高分子量化合物でないのが好ましい。
【0137】
少なくとも3個のアミノ基を有するアミンの例としては、ニトリロトリアルキルアミン(特に、ニトリロトリエタンアミン)、ジアルキレントリアミン(特に、ジエチレントリアミン)、トリアルキレンテトラアミン及びテトラアルキレンペンタアミンであり、アルキレン部分は、エチレン単位であるのが好ましい。さらに、デンドリマーをアミンとして使用することができる。デンドリマーは、一般式I:
【0138】
【化2】

【0139】
[但し、RがH又は−(CH2n−NR12を表わし、
このR1がH又は−(CH2n−NR22を表わし、
このR2がH又は−(CH2n−NR32を表わし、
このR3がH又は−(CH2n−NH2を表わし、
nが2〜6までの整数を表わし、そして
xが2〜14までの整数を表す。]
を有しているのが好ましい。
【0140】
nは3又は4、特に3を表わし、xは2〜6までの整数、好ましくは2〜4まで、特に2を表すのが好ましい。基Rは、相互に独立して上述の意味を有していても良い。Rは水素原子又は−(CH2n−NH2基を表すのが好ましい。
【0141】
好適なカルボン酸は、3〜10個のカルボン酸基、好ましくは3又は4個のカルボン酸基を有している。カルボン酸は、芳香族核及び/又は複素環核を有しているのが好ましい。例としては、ベンジル、ナフチル、アントラセン、ビフェニル、トリフェニル基であるか、或いは複素環、例えばピリジン、ビピリジン、ピロール、インドール、フラン、チオフェン、プリン、キノリン、フェナントレン、ポルフィリン、フタロシアニン、ナフタロシアニンが挙げられる。3,5,3’,5’−ビフェニルテトラカルボン酸−フタロシアニン、ナフタロシアニン、3,5,3’,5’−ビフェニルテトラカルボン酸、1,3,5,7−ナフタレンテトラカルボン酸、2,4,6−ピリジントリカルボン酸、3,5,3’,5’−ビピリジルテトラカルボン酸、3,5,3’,5’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,3,6,8−アクリジンテトラカルボン酸が好ましく、特に1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)及び1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸が好ましい。かかる化合物は市販されているか、又はDE−A4312182に開示された方法により調製可能である。オルト−置換芳香族化合物を使用する場合、イミドの形成が、反応温度を適当に選択することにより防止されるのが好ましい。
【0142】
これらの物質は、少なくとも3官能性であり、少なくとも4官能性であるのが好ましい。官能基の数は、3〜16個の範囲であり、4〜10個の範囲が好ましく、4〜8個の範囲が特に好ましい。本発明の方法は、少なくとも3官能性のアミン又は少なくとも3官能性のカルボン酸を用いて行われるが、上記のアミン又はカルボン酸の混合物は使用されない。しかしながら、少なくとも3官能性のアミン少量を、3官能性のカルボン酸に存在させても良く、またその逆であっても良い。
【0143】
この物質は、ポリアミド1g当たり、1〜50μモルの範囲、好ましくは1〜35μモルの範囲、特に好ましくは1〜20μモルの範囲の量で存在する。この物質は、ポリアミド1g当たり、3〜150当量のμモル、好ましくは5〜100当量のμモル、特に好ましくは10〜70当量のμモルの量で存在するのが好ましい。この当量は、官能性アミノ基又はカルボン酸基の数に基づいている。
【0144】
2官能性カルボン酸又は2官能性アミンを鎖延長剤として使用する。これらは、アミノ基と反応可能なカルボン酸基を2個か、又はカルボン酸と反応可能なアミノ基を2個有している。この2官能性カルボン酸又はアミン、並びにカルボン酸基又はアミノ基は、アミノ基又はカルボン酸基と反応可能な別の官能基を含んでいない。これらは、別の官能基をさらに含んでいないのが好ましい。2官能性アミンの適例は、2官能性のカルボン酸と塩を形成するものである。これらは、直鎖の脂肪族、例えばC1〜C14アルキレンジアミン、好ましくはC2〜C6アルキレンジアミン(例えば、ヘキシレンジアミン)であって良い。これらは脂環式であっても良い。例としては、イソホロンジアミン、ラロミン(laromine)が挙げられる。分枝の脂肪族ジアミンも使用可能であり、例としては、ベスタミンTMD(Vestamin TMD;トリメチルヘキサメチレンジアミン、ヒュール社(Huels AG)の製品)が挙げられる。さらに、このジアミンは芳香族−脂肪族であっても良く、例えばn−キシリレンジアミンを使用することができる。全てのアミンは、炭素骨格上でそれぞれC1-12アルキル、好ましくはC1-4アルキル基により置換されていても良い。
【0145】
2官能性のカルボン酸は、例えば2官能性のジアミンと塩を形成するものである。これらは、直鎖の脂肪族ジカルボン酸であり、C4-20ジカルボン酸であるのが好ましい。例としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸が挙げられる。これらは、芳香族であっても良い。例としては、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、並びに二量化脂肪酸である。
【0146】
2官能性の塩基性構成ブロックは、ポリアミド1g当たり1〜55μmの範囲、好ましくは1〜30μmの範囲、特に好ましくは1〜15μmの範囲の量で使用されるのが好ましい。
【0147】
好ましい実施の形態において、本発明により得られるナイロン−6中の環式ダイマーレベルは、ポリアミドを最初にカプロラクタム水溶液、その後水で抽出する、及び/又はそれを気相抽出(例えば、EP−A0284968に開示)することにより、さらに低下させることができる。このように後処理した後に得られる低分子量成分、例えばカプロラクタム、直鎖のカプロラクタムオリゴマー及び環式カプロラクタムオリゴマーを、第1及び/又は第2及び/又は第3段階に再循環させることができる。
【0148】
出発混合物及び合成混合物を、全ての段階において、鎖調節剤、例えば脂肪族及び芳香族カルボン酸及びジカルボン酸並びに酸素含有リン化合物等の触媒と、用いられるポリアミド形成性モノマー及びアミノニトリルの量に対して0.01〜5質量%の範囲、好ましくは0.2〜3質量%の範囲の量で混合することができる。好適な鎖調節剤としては、例えばプロピオン酸、酢酸、安息香酸、テレフタル酸及びトリアセトンジアミンである。
【0149】
添加剤及びフィラー(例えば、顔料、染料及び安定剤)を、一般に、ペレット化前に、好ましくは第2、第3及び第4段階で合成混合物に添加する。合成又はポリマー混合物が処理の残部で固定床触媒と遭遇しないであろう場合はいつでもフィラー及び添加剤を使用するのが特に好ましい。1種以上の耐衝撃性ゴムを添加剤として組成物中に、全組成物に対して0〜40質量%の範囲、好ましくは1〜30質量%の範囲の量で存在させても良い。
【0150】
以下の実施例で本発明を説明する。
【実施例】
【0151】
[本願実施例]
全長4.5m及び内径10cmであり、二酸化チタン触媒が充填され、そして80バールで断熱運転される送り管(流管)に、20kg/hのACNと、14.6kg/hの、91質量%の水、8質量%のカプロラクタムモノマー及び1質量%のカプロラクタムダイマーからなる抽出水と、の導入流を底部から供給した。導入流の温度は208℃であった。85℃の温度を有する5.3kg/hの抽出水(導入流の抽出水に類似の組成)の連続流を、反応器の高さ1mから導入した。更に、反応器の高さ2mから抽出水を側部供給した。この場合、計量導入速度は、第1の側部計量導入の場合の抽出水と同じ組成及び温度と組み合わせ、2.1kg/hであった。
【0152】
カルボキシル末端基の濃度がアミノ末端基の濃度に対して25.3%であるN6プレポリマーを、流管の末端において、全有機成分の合計に対して、23kg/hの速度で得た。
【0153】
[比較実施例1]
比較実施例1を本願実施例1と同様の方法で行ったが、抽出水の側部計量導入は行わなかった、すなわち、導入流は、20kg/hのACNと、22kg/hの、91質量%の水、8質量%のカプロラクタムモノマー及び1質量%のカプロラクタムダイマーからなる抽出水と、をちょうど含んでいた。導入流の温度は208℃であった。カルボキシル末端基の濃度がアミノ末端基の濃度に対して15.4%であるN6プレポリマーを、流管の末端において、全有機成分の合計に対して、23kg/hの速度で得た。
【0154】
[比較実施例2]
比較実施例2を本願実施例1と同様の方法で行ったが、抽出水の代わりに、完全イオン非含有水(脱イオン水)を使用した。従って、導入流は、22kg/hのACNと、13.3kg/hの完全イオン非含有水を含んでいた。完全イオン非含有水を、第1の側部供給の場合には4.8kg/hの速度で、そして第2の側部供給の場合には1.9kg/hの速度で連続的に供給した。カルボキシル末端基の濃度がアミノ末端基の濃度に対して17.2%であるN6プレポリマーを、流管の末端において、全有機成分の合計に対して、23kg/hの速度で得た。
【0155】
[比較実施例3]
比較実施例3を本願実施例1と同様の方法で行ったが、抽出水の代わりに、完全イオン非含有水を使用した。流通反応装置において側部計量導入を行わなかった。従って、導入流は、22kg/hのACNと、20kg/hの完全イオン非含有水を含んでいた。導入温度を再び208℃とした。カルボキシル末端基の濃度がアミノ末端基の濃度に対して14.5%であるN6プレポリマーを、流管の末端において、全有機成分の合計に対して、23kg/hの速度で得た。
【0156】
かかる実施例において、完全イオン非含有水の代わりに抽出水を使用し、そしてその側部計量導入を行った本願発明の方法では、従来技術の方法の場合より高いカルボキシル末端基含有量のポリアミド及びポリアミドプレポリマーを提供することが説明された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向の長手軸を有し、その長手方向に実質的な流れが生じる反応器おいて、アミノニトリル又はジニトリルとジアミン又はその混合物を、適宜他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーと一緒に、ポリアミドの製造からポリマーを水で抽出することにより得られる水性モノマー及びオリゴマー抽出物からなる水性媒体を用いて反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー又はその、適宜他の反応生成物との混合物を製造する連続方法であって、
水及び/又は水性媒体を垂直方向の長手軸に沿って2カ所以上から反応器に導入し、且つ水性媒体を1カ所以上から導入することを特徴とするポリアミドの連続製造方法。
【請求項2】
水性媒体を、垂直方向の長手軸に沿って3カ所以上から反応器に導入する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応器は、流管、TVA反応器、並流式又は向流式で運転させるマルチチャンバー反応器、又は反応蒸留装置若しくは非反応蒸留装置である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
反応器は、マルチチャンバー反応器であるか、或いはアミノニトリル又はジニトリルとジアミン又はその混合物が、適宜他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーと一緒に供給され、且つ一方の端部から水性媒体の一部分が供給され、水性媒体の他の部分が連続的に添加され、他方の端部から、ポリアミド、そのオリゴマー又はその混合物を含む反応混合物が排出される流管である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
以下の段階:
(1)180〜310℃の温度及び1〜10×106Paの圧力の条件下、反応器中において、アミノニトリル又はジニトリルとジアミン又はその混合物を、適宜他のポリアミド形成性モノマー及び/又はオリゴマーと一緒に、水性媒体を用いて反応させて、反応混合物を得る段階、
(2)更に反応混合物を、200〜300℃の温度及び段階1の圧力より低い圧力の条件下で反応させ、その際、温度と圧力を、第1の気相及び第1の液相が得られるように選択し、そして第1の気相を、第1の液相から分離する段階、及び
(3)第1の液相を、200〜300℃の温度及び0.1〜30×106Paの圧力の条件下で水及び水性媒体を含む気相又は液相と混合して、生成混合物を得る段階、
を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
段階3に加え又は段階3の代わりに、以下の段階:
(4)生成物混合物を、200〜280℃の温度及び段階3が行われた場合には段階3より低い圧力にて後縮合し、その際、温度及び圧力を、水及びアンモニアを含む第2の気相と、ポリアミドを含む第2の液相と、を得るように選択する段階、
を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
固定床の形の金属酸化物触媒を反応器中に又は段階1又は段階3で、或いは反応器中に又は段階1だけでなく段階3で利用する請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
垂直に配置された長手軸を有する反応器(1)を利用し、且つ該反応器(1)において、反応生成物を底部から除去し、形成したアンモニア及び形成した他の低分子量化合物並びに水を頂部(2)から取り出し、且つ
前記反応器(1)は、
液漏れ防止底部プレート(5)によって相互に分離され、長手方向に相互に重ねて配置された少なくとも2基のチャンバー(4)を有し、且つ
各々のチャンバー(4)は、直下のチャンバー(4)に液体用配管(6)を介して連結され、液体の生成物流が最も下側のチャンバー(4)の液体用配管(6)を介して取り出され、
各々のチャンバー(4)内の液面より上側の気体空間(7)は、直上に配置されたチャンバー(4)に接続され、その接続は、液面より下側で気体出口用オリフィス(11)を有するガス分配器(9)に通じる1本以上の導管(8)を用いることによって行われ、
チャンバー(4)には、ガス分配器(9)の周囲に垂直に配置され、上端部が液面より下側に、下端部がチャンバー(4)の液漏れ防止底部プレート(5)より上側に在り、そしてチャンバー(4)をガスが流れ込む1以上の空間(13)とガスが流れ込まない1以上の空間(14)とに分割する少なくとも1枚のガイド板(12)が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項9】
水性媒体の固体含有量は2〜30質量%の範囲であり、固体の少なくとも50質量%は、ラクタム、及び使用されるアミノニトリルから誘導された2〜6環員のオリゴマーの環式ラクタムである請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
水性媒体のみを少なくとも2カ所の相互に異なる位置から反応器に導入する請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−522298(P2007−522298A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552523(P2006−552523)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001248
【国際公開番号】WO2005/078004
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】