説明

ポリイソシアネート及びアセタール溶媒を主成分とする混合物、この混合物から得られる水性エマルジョン並びに被膜及び接着剤を製造するためのこのエマルジョンの使用

本発明の混合物は、水乳化性ポリイソシアネート組成物と、式(1):(R1O)2C(R2)−X−R3(式中、R1は、直鎖状又は分岐状C1〜C4アルキル基を表し、これらの基R1は同一のもの又は異なるものであってよく、また結合していてよく、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状C1〜C4アルキル基を表し、Xは共有結合又は1〜6個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐状の2価のアルキル基を表し、R3はH、C(OR122、C(O)OR1、OC(O)R2又はOC(O)OR1を表す。)の少なくとも1種の溶媒とを含む。この混合物から水性エマルジョンを得ることができ、当該エマルジョンは、第一又は第二ヒドロキシル官能基、フェノール、第一及び/又は第二アミン、カルボキシル官能基及びチオール官能基から選択される移動性水素官能基を有する化合物或いはヒドロキシル官能基を遊離させることができる先駆官能基を含有する化合物をさらに含む。当該エマルジョンは、特にセメント、木材又は革状に被膜を製造するために使用でき、また接着剤の製造にも使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネート及びアセタール溶媒を主成分とする混合物、この混合物から得られる水性エマルジョン並びに被膜及び接着剤を製造するためのこのエマルジョンの使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジイソシアネート、特にアルキレンジイソシアネート及びビウレット型のそれらの誘導体又はそれらの3量体がペイント及びワニス分野において幅広く使用されていることが知られている。
【0003】
近年まで、これらの製品は、通常、有機溶媒溶液の状態で使用されていた。しかしながら、有機溶媒を使用することに対して、次第に批判を受けつつある。というのは、当該有機溶媒又は当該溶媒の少なくともいくつかには毒性又は経時毒性があると言われているからである。そのため、少量の溶媒しか使用しない又はさらには溶媒を使用しない技術を開発する試みが益々なされつつある。この目的で、容易に乳化できかつ水中エマルジョンの状態で容易に使用できるポリイソシアネートを主成分とする組成物が開発されてきた。この場合には、水は、当該処方物の成分に対するキャリヤーとして機能するが、これは該処方物中の有機溶媒含有量を低下させることを可能にする。さらに、このような組成物は、それらを適用するために使用された材料を水ですすぐことができる。
【0004】
このタイプの技術に関連する問題の一つは、良好な安定性を有するエマルジョン、つまり液相中に懸濁された状態の液滴の寸法が可能な限り細かいエマルジョンを得るという問題である。さらに、勿論、これらのエマルジョンを使用して得られた被膜が、少なくとも全体的に、有機溶媒中の組成物から得られた被膜の特性に匹敵する特性を有することも必要である。外観、より具体的には光沢に関しては特にそうである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、これらの問題を解決することができる製品を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的で、本発明は、ポリイソシアネートを主成分とする混合物であって、
・水乳化性ポリイソシアネート組成物;
・次式(1)の少なくとも1種の溶媒
【化1】

(式中、
1は直鎖状又は分岐状C1〜C4アルキル基を表し、当該2個の基R1は、同一のもの又は異なるものであってよく、また結合していてよく;
2はH又は直鎖状若しくは分岐状C1〜C4アルキル基を表し;
Xは、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状の2価アルキル基を表し、ここで、Xは単一の共有結合を表すことも可能であり;
3は、H、C(OR122、C(O)OR1、OC(O)R2又はOC(O)OR1を表す。)
を含むことを特徴とする、ポリイソシアネートを主成分とする混合物に関する。
【0007】
また、本発明は、上記の水乳化性ポリイソシアネート組成物及び式(1)の少なくとも1種の溶媒を含む上記混合物を水乳化させることによって得られることを特徴とする水性エマルジョンに関するものでもあるが、このエマルジョンは、第一又は第二ヒドロキシル官能基、フェノール、第一及び/又は第二アミン、カルボキシル官能基並びにチオール官能基から選択される少なくとも1個の移動性水素官能基を有する少なくとも1種の化合物、或いはヒドロキシル官能基を遊離させることができる先駆官能基を含有する化合物も含む。
【0008】
本発明の他の特徴、詳細及び利点は、次の説明、また様々な具体的な実施例を読めばさらに完全に明らかになるであろう。これらの実施例は例示を目的とするものであり本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記のように、本発明のポリイソシアネートを主成分とする混合物は、2種の必須成分:水乳化性ポリイソシアネート組成物及び特定の溶媒を含む。以下、これら2種の成分についてさらに具体的に説明する。
【0010】
用語「水乳化性ポリイソシアネート組成物」とは、1種以上のポリイソシアネートを主成分とし、かつ、水中に置かれたときにエマルジョン、すなわち液体の粒子(液滴又は液体粒子)であって別の液相中に分散されたものからなる液体媒体、を与えることができる組成物を意味するものとする。
【0011】
好ましくは、当該組成物は、自己乳化型のものである。すなわち、これは、該組成物が混和しない液体媒体の存在下で、自発的な機構によりエマルジョンを形成することのできる組成物である。この自発的乳化機構では、エマルジョンを形成させるのに要するエネルギーは、当該混合物中における乳化すべき材料を再分配するのに要するエネルギーしか必要としない:つまり、エマルジョンを創り出すために、いかなる外部エネルギー、本質的には撹拌エネルギーも必要がない。言い換えると、不連続相の肉眼的に均一な分布を確保し、それによってエマルジョンを得るには、単に手で撹拌することで十分である。
【0012】
水乳化性ポリイソシアネート組成物は、説明されてきた既知の物質である。以下、例示の目的で、このタイプの物質について説明するが、これは網羅的なものではない。
【0013】
好ましいポリイソシアネートは、特に「ビウレット」型及び「3量体」型の生成物を含めてアルキレンジイソシアネートのホモ縮合又はヘテロ縮合生成物又は特に尿素、ウレタン、アロファネート、エステル、アミド、アシル尿素、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、イミノ2量体、イミノ3量体(イミノトリアザジオン)、イミノオキサジアジンジオン(不斉3量体とも呼ばれる)若しくはジアゼチジンジオン(2量体とも呼ばれる)官能基を含めてイソシアネート官能基を有する「初期重合体」並びにこれらのものを含有する混合物から選択される。
【0014】
また、これらのポリイソシアネート化合物は、真のカルバメート官能基(R−O−C(=O)−NH2)又はエポキシ官能基又はカーボネート官能基であって、好ましくは環状のものを有することもできる。
【0015】
これらのものは、例えば、ロディア社が商品名「Tolonate(商標)」の下に販売するポリイソシアネートであることができる。
【0016】
一般に、好ましいポリイソシアネートは、次の脂肪族(シクロ又はアリール)脂肪族イソシアネート単量体のホモ縮合又はヘテロ縮合生成物である:
・1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、
・1,12−ドデカンジイソシアネート、
・1,3−シクロブタンジイソシアネート、
・1,3−及び/又は1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、
・1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートIPDI)、
・イソシアナトメチルオクチレンジイソシアネート(TTI)、特に4−イソシアナトメチル−1,8−オクチレンジイソシアネート、
・2,4−及び/又は2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート(H6TDI)、
・ヘキサヒドロ−1,3及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、
・ペルヒドロ−2,4’及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)及び一般に芳香族アミノ先駆物質又は過水素化カルバメート、
・ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン(特に1,3−及び1,4−)(BIC)、
・ビスイソシアナトメチルノルボルナン(NBDI)、
・2−メチルペンタメチレンジイソシアネート(MPDI)、
・テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、及び
・リシンジイソシアネート、また、リシンジイソシアネート又はリシントリイソシアネート(LDI又はLTI)のエステル。
【0017】
ホモ縮合生成物とは、上で列挙したイソシアネート単量体の1種単独での縮合により誘導される生成物のことである。ヘテロ縮合生成物とは、上で列挙した単量体の2種以上を互いに及び/又は随意に1種以上の移動性水素化合物、例えばアルコール、ジオール、第一又は第二アミン及び他の同様の化合物と共に縮合させることによって誘導される生成物のことである。
【0018】
また、本発明の組成物に含まれるポリイソシアネートは、単独で使用される又は脂肪族化合物との混合物として使用される芳香族イソシアネートから誘導されるポリイソシアネート誘導体であることもできる。
【0019】
芳香族イソシアネートの例としては、次の物質:
・2,4−及び/又は2,6−トルイレンジイソシアネート、
・2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、
・1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、
・4,4’、4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、及び
・MDI又はTDIのオリゴマー
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
また、これらの(シクロ)脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネートの混合物も使用できる。
【0021】
本発明の特定の実施形態によれば、当該組成物は、HDI及びIPDIから選択されるイソシアネートのホモ縮合生成物である又はこれらのホモ縮合生成物の混合物から誘導されるポリイソシアネートを含む。
【0022】
当該ポリイソシアネート組成物が上記の意味において乳化可能であるために、当該組成物は、当該組成物をエマルジョンにするための添加剤又は当該組成物を分散性若しくは水溶性にするための添加剤も含む。この添加剤は界面活性剤型のものであり、その構造内に少なくとも1個の親水性官能基を有する。以下の説明においては、「親水性添加剤」という用語を用いる。
【0023】
そのため、様々なものが想起できる。
【0024】
第一の変形例の場合には、ポリイソシアネート組成物は、非反応型の親水性添加剤を含む。すなわち、この添加剤は、この添加剤と当該組成物のポリイソシアネートとが反応することなく、当該組成物との混合物として存在する。このタイプの添加剤としては、文献WO97/31960及び仏国特許第2855768−A1号に記載されたものが挙げられる。これらの教示を参照されたい。これらの添加剤は、陰イオン性官能基と、有利には少なくとも1個、好ましくは少なくとも5個のエチレニルオキシ単位を有するポリエチレングリコール鎖の断片とを有する。
【0025】
さらに特定すると、これらの添加剤のなかでは、以下の式(2)のもの:
【化2】

が挙げられ、ここで、qがゼロに等しい場合には、式(3)のもの:
【化3】

が挙げられ、
上記式中、pは0又は1〜2の整数を表し(閉区間、すなわち限界値を含む);
mは0又は1〜2の整数を表し(閉区間、すなわち限界値を含む);
p+m+qの合計は、大きくとも3に等しく;
1+p+2m+qの合計は、3又は5に等しく;
X及びX’は同一のもの又は異なるものであってよく、多くとも2種の炭素系鎖要素を含むアームを表し;
n及びsは同一のもの又は異なるものであってよく、5〜30の間、有利には5〜25の間、好ましくは9〜20の間から選択される整数を表し(閉区間、すなわち限界値を含む);
式(2)及び(3)のR1及びR2は同一のもの又は異なるものであってよく、特にハロゲン原子、特に弗素で置換されていてよいアリール及びアルキルから有利に選択される炭化水素系基を表す。
【0026】
第二の変形例の場合には、ポリイソシアネート組成物は反応型の親水性添加剤を含有する。すなわち、この添加剤は、当該組成物中に存在するが、ただし、当該組成物のポリイソシアネートにグラフトすることによって存在する。ポリイソシアネートにグラフトできる添加剤としては、米国特許第4663377号で言及された親水性添加剤が挙げられる。その教示を参照されたい。
【0027】
他のグラフト可能な添加剤としては、非イオン性又はイオン性(陽イオン性又は陰イオン性)型のもの、例えばEP−A−0703255号に記載されたもの(これらの添加剤は−SO3H又は−SO3-基を有する)も挙げられる。
【0028】
最後に、前述の2つの変形例の組合せである第三の変形例が想起できる。すなわち、当該組成物は、非反応性添加剤とグラフト添加剤の両方を含有する。
【0029】
ポリイソシアネート組成物対親水性添加剤の質量比は、最も一般的には、多くともおよそ33%に等しく、有利には多くともおよそ20%に等しく、好ましくはおよそ10%に等しい。この質量比は、有利には1%よりも大きく、好ましくは2%よりも大きい。
【0030】
本発明のポリイソシアネートを主成分とする混合物の他の必須成分は溶媒である。当該溶媒は、アセタール型のものであり、上記式(1)に相当する。
【0031】
以下、当該溶媒の性質に関してさらに特定する実施形態を、常に上記式(1)を参照しながら説明する。
【0032】
まず、基R1は、ジオキソラン又はジオキサン架橋を形成するように結合していてよいことに留意すべきである。
【0033】
Xは、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基であることができる。当該アルキル基は、例えば、ケトン、エステル又はエーテル基を含むように置換されていてもよい。
【0034】
溶媒は、多くとも20個の炭素原子を含有してよく、また、当該溶媒は高くても0℃の融点及び高くても350℃の沸点を有していてよい。
【0035】
当該溶媒は、特に、式(1)(式中、R2はH又はCH3を表し、Xは共有結合であり、R3はCH3、−(CH)(OR12又は−C(=O)(OR1)を表す。)に相当し得る。
【0036】
特定の実施形態によれば、当該溶媒は、式(1)(式中、基R1はメチル又はエチル基であることができ、Xは共有結合であり、R2は水素である。)のものから選択できる。この実施形態の場合には、当該溶媒は、R2がHを表し、R3が−(CH)(OR12を表し、R1がエチル基を表す式(1)に相当することができ、このときに、当該溶媒は、1,1,2,2−テトラエトキシエタンである。この実施形態の場合には、当該溶媒は、特に、R2がHを表し、R3が−C(=O)(OR1)を表し、R1がエチル基を表す式(1)に相当することもでき、このときには、当該溶媒は、2,2−ジエトキシ酢酸エチルである。また、当該溶媒は、R2がHを表し、R3が−C(=O)(OR1)を表し、R1がメチル基を表す式(1)に相当することもでき、このときには、当該溶媒は、2,2−ジメトキシ酢酸メチルである。
【0037】
好ましい実施形態では、当該溶媒は、R2がHを表し、R3が−(CH)(OR12を表し、R1がメチル基を表す式(1)に相当し、このときには、当該溶媒は1,1,2,2−テトラメトキシエタンである。
【0038】
後者の溶媒は、1,1,2,2−テトラメトキシエタンが、ほとんど臭気がなく、引火性ではなく、しかも非毒性の物質であるため、有益な変形例を構成する。また、当該溶媒は、任意の割合では水混和性でもある。
【0039】
説明してきた本発明において使用される溶媒は、公知物質である。特に、FR−A−2855171号の教示を参照されたい。
【0040】
勿論、本発明は、混合物が数種の溶媒を含有する場合をカバーする。これらの溶媒は、上記式(1)に従う溶媒の混合物であることができる。また、このものは、式(1)に従う溶媒又は溶媒の混合物と、このタイプの混合物のために使用される他の1種以上の公知の溶媒、例えば酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、プロピレングリコールジアセテート、ブチルエチレングリコールアセテート、ジメチルジプロピレングリコール、炭酸エステル、例えばプロピレンカーボネート、ラクトン、例えば、カプロラクトン、エトキシプロピオン酸エチル又はN−エチルピロリドンとの組合せであることもできる。ただし、これらの溶媒は、好ましくは、非引火性で非毒性のものから選択される。
【0041】
好ましくは、50℃〜350℃の沸点を有する溶媒、特に100℃〜300℃の沸点を有する溶媒が使用される。
【0042】
本発明の混合物に使用される溶媒は、当該混合物に所望の用途に従って好適な粘度を与えることを可能にする。
【0043】
本発明の混合物中におけるポリイソシアネート組成物と溶媒との各割合は、一般に、混合物全体に対して5質量%〜60質量%、特に5質量%〜50質量%、特に5質量%〜30質量%の溶媒である。
【0044】
本発明に従う1種以上の溶媒と上記1種以上の公知溶媒との混合物の場合には、本発明に従う溶媒の割合は、好ましくは、これらの溶媒全てに対して少なくとも50質量%であり、この場合、当該溶媒全ての全割合は、前段落で与えた範囲内にあることに留意すべきである。
【0045】
また、本発明は、新規な生成物として、上記混合物のための先駆物質生成物であると考えることができる混合物に関するものでもある。後の説明においては、この生成物を、上記第一混合物と区別するために、「先駆混合物」というが、ただし、この先駆混合物は、そのもの自体とみなされるべきであること、及び本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の第一混合物を製造する目的以外の目的で使用できることを理解すべきである。
【0046】
この先駆混合物は、ポリイソシアネート組成物及び上記式(1)の少なくとも1種の溶媒を含むことを特徴とする。溶媒及び組成物のポリイソシアネートに関して上記してきた全てのことが当該先駆混合物に関しても当てはまる。上記混合物との相違点は、当該先駆混合物では、ポリイソシアネート組成物がいかなる親水性添加剤も含まない点である。
【0047】
本発明の先駆混合物から混合物そのものにするために、当該先駆混合物に親水性添加剤を添加する。この添加は、当該添加剤とポリイソシアネート組成物とを溶媒の溶液の状態で単純に混合させることによって実施できる。反応型の親水性添加剤の場合には、混合は、具体的には、添加剤の種類によって、例えば50℃〜130℃の温度で実施できる。
【0048】
先駆混合物から本発明の第一混合物を得るための別の可能性は、乳化性ポリイソシアネートを当該先駆混合物に添加することである。この場合には親水性添加剤を当該先駆混合物に添加する必要はない。
【0049】
本発明の混合物は、ポリウレタンの水性分散液と混合できる。本発明において好適な水性分散液は、それ自体公知であり、例えば、米国特許第3479310号、英国特許第1076688号、米国特許第4108814号、米国特許第4092286号、独国特許第2651505号、米国特許第4190566号、独国特許第2732131号若しくは独国特許第2811148号又は米国特許出願公開第2006240264号、米国特許出願公開第2005288431号、米国特許出願公開第2005209425号、米国特許出願公開第7012115号又は欧州特許第986592号に記載されている。
【0050】
上記のように、本発明は、上記水乳化性ポリイソシアネート組成物/溶媒混合物から得られる水性エマルジョンに関するものでもある。
【0051】
当該エマルジョンの水性相は、ポリイソシアネート組成物のポリイソシアネートと重縮合できる共反応体、すなわち上記移動性水素化合物用のベクターとして機能する。
【0052】
使用できる移動性水素化合物は周知である。好ましくは、これらの化合物は、単独で使用しても混合物として使用してもよいポリオール又はヒドロキシル官能基を遊離させることができる先駆官能基を含有する化合物から選択される。このものは、有利には、アクリル重合体、ポリエステル重合体若しくはポリウレタン重合体又はこれらの重合体の混合物であることができる。また、ポリエーテルも挙げられる。
【0053】
ヒドロキシル官能基を遊離させることができる先駆官能基としては、例えば、エポキシ、カーボネート又はジオキソラン官能基が挙げられる。これらの先駆官能基は、随意に、例えば50〜5000ppm、特に100〜500ppmの量(この量は、ポリイソシアネート組成物及び少なくとも1個の移動性水素官能基を有する化合物の乾燥抽出物に対する触媒の重量で表す)の酸性化合物又はルイス酸であることができる触媒の存在下で、好適な求核試薬、例えばアミン又は水と反応させることによってヒドロキシル官能基を遊離させる。
【0054】
また、当該エマルジョンは、所望の特定に応じて、有機又は無機添加剤、例えば、顔料、レオロジー添加剤、濃厚剤、表面剤又は触媒を含むこともできる。
【0055】
このようにして得られたエマルジョンは、ポリイソシアネート部分について、d50が大きくとも200nm、特に大きくとも160nm、特に大きくとも130nmである粒子(液滴)を有する。
【0056】
また、本発明は、基材上に被膜を製造するための方法であって、上記エマルジョンを使用する方法に関するものでもある。用語「被膜」とは、基材を保護及び/又は装飾するように基材に塗布された任意のタイプの層、例えばペイント又はワニスを意味するものとする。
【0057】
この方法は、当該エマルジョンを基材に任意の既知の技術によって塗布することにより実施できる。この基材は、木材、金属、セメント、プラスチック、織物及び革から選択できる材料である。
【0058】
金属基材の場合には、当該金属は、例えばアルミニウム又はスチールであることができる。
【0059】
この方法は、いくつかの層状の被膜を有することができる基材に適用され、この場合には、本発明の生成物をこれらの被膜のいずれか一つを製造するために使用できることに留意すべきである。しかしながら、本発明の生成物は、特に革基材の場合には、有利には仕上塗りのために使用できる。
【0060】
当該エマルジョンを付着させたら、ポリイソシアネート組成物と少なくとも1個の移動性水素官能基を有する化合物との反応を周囲温度で又は30℃〜300℃、好ましくは40℃〜250℃、特に好ましくは50℃〜150℃であることができる温度の加温条件下で行うことができる。架橋の温度と時間は、基材に従って調節される。温度に影響を受けやすい基材の場合には、特に架橋用触媒が使用されるであろう。
【0061】
また、本発明のエマルジョンは、接着剤としても使用できる。このような場合には、別の構成部材と結合させることを目的とした基材上に、上記のように被膜を形成させる。この場合、この被膜は接着特性を有する。この基材は、特に、木材から作られた基材であることができる。
【0062】
以下、実施例を与える。
【実施例】
【0063】
これらの例において、用いた略語は、以下に示す意味を有する。
TME:1,1,2,2−テトラメトキシエタン
HDI:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
50:メジアン粒度
【0064】
次の出発材料を使用した:
Tolonate(商標)HDT:ロディア社が販売する、100%乾燥抽出物(D.E.)を含有し、物質100g当たりおよそ22%のNCO官能基及び25℃でおよそ2400mPa.sの粘度を有するHDI系ポリイソシアネート化合物。
Rhodocoat(商標)XEZ−M502:ロディア社が販売する、100%乾燥抽出物(D.E.)を含有し、物質100g当たりおよそ18.4%のNCO官能基及び25℃でおよそ3600mPa.sの粘度を有するHDI系親水性ポリイソシアネート化合物。
親水性添加剤又は乳化剤:これらのものは、(C13)アルキル脂肪鎖を有するポリエチレンオキシドの燐酸エステルである。これらのものは、モノエステル/ジエステル比の点で相違する。乳化剤の特性を以下の表1に与える。これらの乳化剤は、FR−A−2870253号の実施例1にさらに記載されている。
【0065】
【表1】

【0066】
また、これらの例は、以下に説明する試験の基準となる。
【0067】
光沢:この測定は、皮膜の均質性と外観を特徴付ける。これは、エリクセンS40型光沢計を使用し、特定された角度に従って、乾燥後7日間にわたって実行する。
【0068】
ペルソ硬度:このペルソ硬度の測定は、23±3℃及び50±10%の相対湿度の空調管理室内で実行する。使用した装置は、発射停止及び自動計数付き300型試験振子(エリクセン社製)である。硬度振子の原理は、被膜上に位置した振子の振動に基づく。振動数は、ワニスの硬度及び乾燥度が増大するにつれて増加する。硬度増加の測定は、振子が勢いを失い、その後停止するまでの振動数である。1回の振動の所要時間は1秒である。この試験は、振動の減衰が4°の振幅に達したときに終える。
【0069】
例1
この例は、本発明に従う混合物が粒度の細かい水中エマルジョンを与えることができることについて例示する。
45mLの水、次いで5gの乳化性ポリイソシアネート処方物を、機械撹拌システムを備える100mLビーカーに導入する。5分間にわたり400rpmで撹拌を実施する。このようにして得られたエマルジョンをMalvern Mastersizer2000レーザー回折粒度計で分析する。
こうして、次の混合物を形成させる。
本発明に従う混合物A:70gのRhodocoat XEZ−M502を30gのTMEと混合する。
本発明に従う混合物B:50gのRhodocoat XEZ−M502を50gのTMEと混合する。
混合物C(比較):70gのRhodocoat XEZ−M502を30gのShellsol Aと混合する。
混合物D(比較):70gのRhodocoat XEZ−M502を30gのRhodiasolv DIB(ジイソブチルエステル)と混合する。
混合物E(比較):70gのRhodocoat XEZ−M502を30gのN−メチルピロリジノン(NMP)と混合する。
以下の表2及び3は、これらの混合物から得られたエマルジョンの特性を与える。
【0070】
【表2】

【0071】
【表3−1】

【0072】
TMEの使用により、自己乳化性ポリイソシアネート処方物の粘度を大きく減少させることが可能になると同時に、非常に小さなメジアン粒度を維持することが可能になる。同じ溶媒の割合では、本発明に従うエマルジョンは、従来技術のエマルジョンの場合よりも小さな粒度を有する。
【0073】
例2
この例は、コンクリート床用のラッカー処方物において本発明に従うエマルジョンを使用することを例示する。
【0074】
ペイントの製造
コンクリート床用の2成分ポリウレタン型ペイントを次の方法で製造する:
A部:
次の製品の第一シリーズを連続的に混合する:
【0075】
【表3−2】

【0076】
次の製品の第二シリーズをボールミルでさらに分散させる:
【表3−3】

【0077】
製品の第一及び第二シリーズ(合計100g)を強く撹拌しつつ混合してA部を与える。
【0078】
B部:
80gのRhodocoat XEZ−M502及び20gのTMEを混合する。
被膜の製造
6.7gのB部を30gのA部に導入する。このようにして得られた調製物を、均質化が完了するまでスパーテルで混合する(2分)。次いで、これを平板ガラス基材に200μmの湿潤厚さで塗布し、そして全体を、23℃及び50%相対湿度の調節雰囲気中で7日間にわたり乾燥するまで放置する。次の特徴を有する被膜が得られる:
・60°での光沢:77
・硬度(ペルソ):93
・厚さ:52μm。
【0079】
例3
この例は、コンクリート床用のつや消しラッカー処方物における本発明に従うエマルジョンの使用を例示するものである。
ペイントの製造
コンクリート床用の2成分ポリウレタン型ペイントを次の方法で製造する:
A部:
次の製品の第一シリーズを連続的に混合する:
【0080】
【表3−4】

【0081】
次の製品の第二シリーズをボールミルでさらに分散させる:
【表3−5】

【0082】
製品の第一及び第二シリーズ(合計100g)を強く撹拌しつつ混合してA部を与える。
【0083】
B部:
80gのRhodocoat XEZ−M502及び20gのTMEを混合する。
被膜の製造
15.9gのB部を100gのA部に導入する。このようにして得られた調製物を、均質化が完了するまでスパーテルで混合する(2分); このものは、比較的流動的なままである。その後、このものを平板ガラス基材に200μmの湿潤厚さで塗布し、そして全体を、23℃及び50%の相対湿度の調節雰囲気中で7日間にわたり乾燥するまで放置する。次の特徴を有する被膜が得られる:
・60°での光沢:14
・硬度(ペルソ):154。
【0084】
例4(比較)
コンクリート床用の2成分ポリウレタン型ペイントを例3で説明したA部及び次のB部で製造する:
B部:
80gのRhodocoat XEZ−M502及び20gのRhodiasolv RPDE(カルボン酸の混合物のメチルジエステル)を混合する。
被膜の製造
15.9gのB部を100gのA部に導入する。このようにして得られた調製物を、均質化が完了するまでスパーテルで混合する(2分)。この調製物はペースト状になる。その後、このものを平板ガラス基材に200μmの湿潤厚さで塗布し、そして全体を、23℃及び50%相対湿度の調節雰囲気中で7日間にわたり乾燥するまで放置する。次の特徴を有する被膜が得られる:
【0085】
【表4】

【0086】
TMEの使用により、A部とB部とを混合した後にさらに流動的な調製物を得ることができるが、これは、当該調製物を容易に塗布するために重要である。また、この使用により、硬度が実質的に大きい被膜を得ることもできるが、これは、床用のペイントの機械的強度にとって重要な点である。
【0087】
例5
この例は、本発明に従う先駆混合物の製造に関するものである。
IPDIの3量体を仏国特許出願FR−A−2808528号明細書に従って製造する。反応しなかったIPDIを蒸留により分離した後に、25℃に冷却する間に固化する粘稠な液体が得られる。このようにして得られた固形物を細かく粉砕する。
1.3kgのTMEを6L反応器に導入する。機械的に撹拌しながら100℃での加熱を実施し、そして、上で得られた固形物3.1kgを少しずつ添加する。この固形物が完全に溶解するまで2時間にわたり混合を実施する。次の特徴を有する無色透明で粘稠な液体が得られる:
・乾燥抽出物:70%
・粘度:13500mPa.s
・NCOタイター:11.5%
【0088】
例6
この例は、乳化性ポリイソシアネート処方物を含む本発明に従う混合物の製造に関するものである。
例5で製造されたIPDI3量体処方物11.2g、Tolonate HDT 15.8g、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)で中和された上記TA.X及びTA.Y乳化剤の混合物3g、及びTME2gを連続的に60mLガラスフラスコに導入する。このフラスコをポットローラー型の水平型ミキサー上で24時間にわたり混合する。均質で無色の液体が得られる。
【0089】
例7
この例は、床用の光沢ラッカー処方物のための本発明の混合物の使用について説明する。
例2で説明したA部及び例6で説明した硬化剤混合物を使用する。
6.5gの硬化剤をA部30gに対して添加する。この混合物を5分間にわたりスパーテルを使用して均質にする。その後、このものを平板ガラス基材に200μmの湿潤厚さで塗布し、そして全体を、23℃及び50%相対湿度の調節雰囲気中で7日間にわたり乾燥するまで放置する。
次の結果が得られる:
A部単独:20°での光沢:61
完全なペイント:20°での光沢:77
硬度:203。
【0090】
例8〜20
これらの例は、革処理用処方物における本発明の混合物の使用について説明する。
例8〜17
使用した革は、主として自動車及び家具の分野で使用される柔軟な黒いフルグレイン仔牛革である。
製造した革試料について次の方法で試験を実施する:
・次の処方(下塗り番号1)に従う黒色着色下地の塗布:
【0091】
【表5】

・乾燥
・押圧梨地化(滑らかな平面)
・上記処方物の第二の塗布による塗りつぶし
・乾燥
・本発明の混合物を含有する水性固定用混合物のスプレーによる塗布
・乾燥/赤外線トンネル80℃
・梨地化/最終しぼ仕上げ。
【0092】
市販製品から調製された水性固定用混合物は次のものである:
【表6】

【0093】
【表7】

【0094】
【表8】

【0095】
使用した架橋剤は、Rhodocoat(商標)X EZ−M502と80%の乾燥抽出物を有するTMEとの混合物である。架橋剤の量は、当該固定用混合物の乾燥抽出物に対するRhodocoat(商標)X EZ−M502の割合が10、20、30又は40%となるように選択される。
【0096】
【表9】

【0097】
湿潤摩擦耐性
この試験をVeslicの機械を使用して実施するが、これは、1000gの負荷の下で200サイクルにわたり湿ったフェルトパッドを使用して平行移動摩擦運動を実行することからなる。この試験の終了時に、摩擦を受けた表面の最終的な状態及びフェルトパッドの外観に従って等級を割り当てる。この等級は、1(非常に乏しい耐性)から5(非常に良好な耐性)までを範囲とする。
【0098】
【表10】

【0099】
耐屈曲性
この試験は、革試験片をBally屈曲試験装置で一連の曲げに付すことからなる。20000サイクル後に、各種組成物の間にはいかなる相違も記録されず、いかなる劣化(ひび割れ)も示さない。
【0100】
例18
風合い剤を次の組成に従って固定用混合物に添加する:
【表11】

【0101】
使用した革を上記と同様の方法で処理する(下塗り番号1)。
架橋剤の使用量は次の通りである:63.75g。
【0102】
可使時間
この試験は、製造した固定用混合物が特性の劣化なしに使用できる時間を評価することからなる。
固定用混合物の調製物に対して様々な時間で塗布を実施する。
0:この混合物の調製直後
2:この混合物の調製後2時間
4:この混合物の調製後4時間
8:この混合物の調製後8時間。
また、この混合物の粘度もフォードカップ4を使用して決定する。
湿潤摩擦耐性試験を上記の方法に従って塗布後6日目に実施するが、ただし、200のサイクル数の代わりに250のサイクル数を用いる。
【0103】
【表12】

【0104】
これらの結果は、固定用混合物の化合物を混合した後8時間まで性能レベルが変化しない状態を保持することを示している。
【0105】
例19〜22
最適な特性を得るために、所定量の架橋剤を次の下塗り番号2に導入する(当該下塗りの乾燥抽出物に対して20%の活性剤)。
【0106】
【表13】

【0107】
下塗りにおいて使用した架橋剤は、それぞれの固定用混合物に導入したのと同じものである。次の処方に従う基準系で比較を実施する:
【0108】
【表14】

【0109】
【表15】

【0110】
使用した市販の架橋剤は、BASF社が販売する基準製品Astacin CNである;このものは、脂肪族ポリイソシアネートをプロピレンカーボネートで70%に希釈したものである。
架橋剤の使用量は次のとおりである:
【0111】
【表16】

【0112】
湿潤摩擦耐性
湿潤摩擦耐性試験を各種攻撃剤を使用して上記のとおりに実施する:
【表17】

【0113】
湿潤摩擦耐性は、全ての状況において優れている。
【0114】
光沢測定
光沢を、85°の角度でMercury datacolor光沢計を使用して測定する。
0は、非常につやのない物体に相当し、100は非常に光沢のある物体に相当する。
【0115】
【表18】

【0116】
理想的には、当該革の処理表面は、可能な限りつや消しの状態であるべきである。半つや消し処方物5では、本発明の主題である架橋剤によって、低い光沢値を得ることが可能になる。
【0117】
耐屈曲性
この試験は、革試験片をBally屈曲試験装置で一連の曲げに付すことからなる。100000サイクル後に、各種組成物の間ではいかなる差も記録されず、いかなる劣化(ひび割れ)も示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネートを主成分とする混合物であって、
・水乳化性ポリイソシアネート組成物;
・次式(1)の少なくとも1種の溶媒:
【化1】

(式中、
1は直鎖状又は分岐状C1〜C4アルキル基を表し、当該2個の基R1は、同一のもの又は異なるものであってよく、また結合していてよく;
2はH又は直鎖状若しくは分岐状C1〜C4アルキル基を表し;
Xは、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状の2価アルキル基を表し、ここで、Xは単一の共有結合を表すことも可能であり;
3は、H、C(OR122、C(O)OR1、OC(O)R2又はOC(O)OR1を表す。)
を含むことを特徴とする、ポリイソシアネートを主成分とする混合物。
【請求項2】
前記溶媒が多くとも20個の炭素原子を含有し、しかも高くても0℃の融点及び高くても350℃の沸点を有することを特徴とする、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
前記溶媒は、R2がH又はCH3を表し、Xが共有結合であり、R3がCH3、−(CH)(OR12又は−C(=O)(OR1)を表す式(1)に相当することを特徴とする、請求項1又は2に記載の混合物。
【請求項4】
前記水乳化性ポリイソシアネート組成物が、混合物として、少なくとも1種のポリイソシアネート及び少なくとも1種の親水性添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の混合物。
【請求項5】
前記親水性添加剤が、陰イオン性官能基と、少なくとも1個、好ましくは少なくとも5個のエチレニルオキシ単位を有するポリエチレングリコール鎖の断片とを有することを特徴とする、請求項4に記載の混合物。
【請求項6】
先駆混合物であって、
・ポリイソシアネート組成物;
・前記式(1)の少なくとも1種の溶媒
を含むことを特徴とする、先駆混合物。
【請求項7】
基R1がメチル又はエチル基であり、Xが共有結合であり、R2が水素を表す式(1)の溶媒を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の混合物。
【請求項8】
1,1,2,2−テトラエトキシエタン,1,1,2,2−テトラメトキシエタン、2,2−ジメトキシ酢酸メチル及び2,2−ジエトキシ酢酸エチルから選択される少なくとも1種の溶媒を含むことを特徴とする、請求項7に記載の混合物。
【請求項9】
前記ポリイソシアネートが、特に尿素、ウレタン、アロファネート、エステル、アミド、アシル尿素、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、イミノ2量体、イミノ3量体(イミノトリアザジオン)、イミノオキサジアジンジオン(不斉3量体)又はジアゼチジンジオン(2量体)官能基を有するビウレット型及び3量体型の生成物を含めてアルキレンジイソシアネートのホモ縮合又はヘテロ縮合生成物並びにこれらのものを含有する混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の混合物。
【請求項10】
前記ポリイソシアネートが次の脂肪族の(シクロ又はアリール)脂肪族イソシアネート単量体:
・1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、
・1,12−ドデカンジイソシアネート、
・1,3−シクロブタンジイソシアネート、
・1,3−及び/又は1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、
・1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートIPDI)、
・イソシアナトメチルオクチレンジイソシアネート(TTI)、
・2,4−及び/又は2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート(H6TDI)、
・ヘキサヒドロ−1,3及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、
・ペルヒドロ−2,4’及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)及び一般に芳香族アミノ先駆物質又は過水素化カルバメート、
・ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン(特に1,3−及び1,4−)(BIC)、
・ビスイソシアナトメチルノルボルナン(NBDI)、
・2−メチルペンタメチレンジイソシアネート(MPDI)、
・テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、
・リシンジイソシアネート及びリシンジイソシアネート又はリシントリイソシアネート(LDI又はLTI)のエステル、
・2,4−及び/又は2,6−トルイレンジイソシアネート、
・2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、
・1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、
・4,4’、4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、並びに
・MDI又はTDIのオリゴマー
のホモ縮合又はヘテロ縮合によって誘導されることを特徴とする、請求項9に記載の混合物。
【請求項11】
前記ポリイソシアネートがHDI及びIPDIから選択されるイソシアネートのホモ縮合生成物であり、又はこれらのホモ縮合生成物の混合物から誘導されることを特徴とする、請求項10に記載の混合物。
【請求項12】
水性エマルジョンであって、請求項1〜11のいずれかに記載の混合物を水乳化させることによって得られ、該混合物が前記水乳化性ポリイソシアネート化合物及び前記式(1)の少なくとも1種の溶媒を含み、該エマルジョンが第一又は第二ヒドロキシル官能基、フェノール、第一及び/又は第二アミン、カルボキシル官能基並びにチオール官能基から選択される少なくとも1個の移動性水素官能基を有する少なくとも1種の化合物、或いはヒドロキシル官能基を遊離させることができる先駆官能基を含有する化合物も含むことを特徴とする、水性エマルジョン。
【請求項13】
請求項12に記載のエマルジョンを使用することを特徴とする、基材上に被膜を製造するための方法。
【請求項14】
前記基材が木材、金属、セメント、プラスチック、織物及び革から選択される材料であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記被膜が接着剤特性を有する被膜であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2009−531499(P2009−531499A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502070(P2009−502070)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052922
【国際公開番号】WO2007/110425
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】