説明

ポリイソブテニルアルコールおよび燃料組成物

【課題】ポリイソブテニルアルコールおよび置換ポリイソブテニルアルコールを提供する。
【解決手段】次の式のポリイソブテニルアルコールおよび置換ポリイソブテニルアルコール:
【化1】


式中、nは5乃至90の整数であり、Rは水素原子、ハロアルキル、アルコキシカルボニル、および置換アリールからなる群より選ばれ、上記置換アリールの少なくとも1つの置換基はシアノ、ニトロ、およびアルコキシカルボニルから選ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソブテニルアルコールに関し、より具体的にはカルボニル−エン反応を介して製造される置換ヒドロキシメチルポリイソブチレン化合物に関する。そのような化合物は、燃料添加剤のため燃料組成物中の有用なキャリヤー液である。
【背景技術】
【0002】
ポリアルカンから誘導されるアルコール、より具体的にはポリイソブチルアルコールは、燃料添加剤のためのキャリヤー液として用いられ、燃料組成物において採用されている。その主な理由は、それらの製造が比較的安価にでき、ハロゲンを含まないように製造することができ、一般に採用される他の添加剤と相溶性があって、それ自身がある種の清浄作用に寄与することにる。キャリヤー液は燃料添加剤と共に普通に採用されており、それらはいくつかの機能を提供することがあり、例えば燃料添加剤もしくは活性成分の粘性/相溶性/流動性を改良する。また、キャリヤー液は、添加剤の望ましい性能を補助する場合もある。さらに特許文献1〜6に記載されているように、ポリイソブチルアルコールは、エンジン堆積物を制御する燃料添加剤を製造するための前駆体としても適している。
【0003】
一般に上記ポリイソブチルアルコールは、ポリイソブチレンから、高温かつ高圧におけるヒドロホルミル化(特許文献6および7)もしくはポリイソブテンのヒドロホウ素化と引き続き行う酸化(特許文献1)により製造されている。このヒドロホルミル化反応をポリイソブチレンに応用する場合の有効性はポリマーの種類によって異なり、変換効率は最も反応性が高いポリイソブテンを採用する場合で59〜81%である(特許文献8参照)。先行技術のポリイソブチルアルコールは、高温かつ高圧が必要なため、高価な装置が必要となる飽和化合物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5055607号明細書
【特許文献2】米国特許第5399178号明細書
【特許文献3】米国特許第5413615号明細書
【特許文献4】米国特許第5827344号明細書
【特許文献5】米国特許第6039733号明細書
【特許文献6】米国特許第4859210号明細書
【特許文献7】米国特許第3429936号明細書
【特許文献8】米国特許第4832702号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術において知られていない反応経路による新規なポリイソブテニルアルコールおよび置換ポリイソブテニルアルコールに関する。本発明では、穏和な温度および圧力を採用して、高い収量で生成物を導くことができる。本発明では、カルボニル−エン反応によるポリイソブテンの官能基化により、燃料の用途におけるキャリヤ−液および添加剤としての使用に適しているこれらの新たな化合物が導かれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、ポリイソブテニルアルコールおよび置換ポリイソブテニルアルコール、並びにそれらを含む燃料添加剤組成物に関する。ポリイソブテニルアルコールおよび置換ポリイソブテニルアルコールは、燃料添加剤のためのキャリヤー液に適しており、キャリヤー液は燃料清浄剤とも呼ばれる。さらに、これらのポリイソブテニルアルコールおよび置換アルコールのいくつかは、それら自身により、あるいは他の燃料添加剤と相乗的に機能して、清浄性/分散性を改良もしくは付与することがあると理解される。
【0007】
従って、本発明は、下記式Iの化合物を開示する:
【0008】
【化1】

【0009】
式中、nは5乃至90の整数であり、Rは水素原子、ハロアルキル、アルコキシカルボニル、および置換アリールからなる群より選ばれるが、この置換アリールの少なくとも一つの置換基はシアノ、ニトロ、およびアルコキシカルボニルから選ばれる。上記置換アリールは、1乃至6の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、およびアルカリールから選ばれる1乃至3の置換基で任意に置換されていてもよい。ある態様において、nは6乃至52の整数であり、さらに好ましくは、nは14乃至42の整数である。
【0010】
式Iの化合物のある態様では、Rは水素原子、アルコキシカルボニル、およびモノ置換アリールから選ばれる。従って、ある態様では、Rは水素原子であってもよい。別の態様では、Rは、式−C(O)ORのアルコキシカルボニル基であって、Rは1乃至6の炭素原子を有するアルキルである。この点に関して、上記化合物はポリイソブテンα−ヒドロキシエステルとして記述することができ、式Iaにより示される:
【0011】
【化2】

【0012】
式中、nは5乃至90の整数であり、Rは1乃至6の炭素原子を有するアルキルである。ある態様では、nは6乃至52の整数であり、さらに好ましくは、nは14乃至42の整数である。ある態様では、Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、およびペンチルである。さらに具体的には、Rはメチル、エチル、もしくはイソプロピルである。
【0013】
別の態様では、Rが置換アリール基である。別の態様では、式IIの化合物である。
【0014】
【化3】

【0015】
式中、Rはシアノ、ニトロ、および−C(O)ORからなる群より選ばれるが、Rは1乃至6の炭素原子を有するアルキルである。ある態様では、nは5乃至90の整数であり;好ましくは、nは6乃至52の整数であり;さらに好ましくは、nは14乃至42の整数である。好ましい態様では、Rはパラ位にある。ある態様では、ニトロおよびシアノ基が選択される。別の態様では、Rは−C(O)ORであって、Rは1乃至6の炭素原子を有するアルキルである。
【0016】
ポリイソブテニルアルコールおよび置換ポリイソブテニルアルコールは、炭化水素燃料の用途における添加剤および/またはキャリヤー液としての使用に適している。従って、ある態様では、ガソリンもしくはディーゼルの領域に沸点を有する主要量の炭化水素;
a.100乃至5000ppmの次の化合物:
【0017】
【化4】

【0018】
式中、nは5乃至90の整数であり、Rは水素原子、アルコキシカルボニル、および置換アリールからなる群より選ばれ、上記置換アリールの少なくとも1つの置換基はシアノ、ニトロ、およびアルコキシカルボニルから選ばれる;および
b.50乃至2500ppmの窒素含有清浄剤;
を含む燃料組成物に関する。
【0019】
上記燃料組成物において、特に好ましい窒素含有清浄剤は、脂肪族炭化水素アミン、炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミン、炭化水素置換コハク酸イミド、マンニッヒ反応生成物、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロおよびアミノ芳香族エステル、ポリアルキルフェノキシアミノアルカン、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で使用する場合、使用する用語は以下の意味を有する。
【0021】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「アルキル」は直鎖もしくは分岐鎖の飽和炭化水素部分を意味する。「低級アルキル」は、1乃至6の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0022】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素を意味する。
【0023】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「ハロアルキル」は以上で定義したアルキル基が1つ以上の以上で定義したハロゲン基で置換されているものを意味し、例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチル、3−ブロモ−2−フルオロプロピル、1−ブロモメチル−2−ブロモエチル、その他である。
【0024】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「アシル」は−C(O)Rを意味し、Rは水素原子、アルキル、もしくはアリールであって、これらは本明細書で定義した通りである。用語「低級アシル」は、Rが以上で定義した低級アルキルである場合を意味する。
【0025】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「カルボキシル」は−COOHを意味する。
【0026】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「アルコキシ」は−O−(アルキル)を意味し、アルキルは以上で定義した通りである。
【0027】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「アルコキシカルボニル」は−C(=O)O−(アルキル)を意味し、アルキルは以上で定義した通りである。
【0028】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「アルコキシアルキル」は−(アルキル)−O−(アルキル)を意味し、「アルキル」は、それぞれ独立に、以上で定義したアルキル基である。
【0029】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「アリール」は5乃至14の環構成原子を含む炭素環の芳香族環を意味する。炭素環アリール基の環構成原子は、すべて炭素原子であり、例えばフェニル、トリル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、およびナフチル、並びにベンゾ縮合炭素環部分、例えば5,6,7,8−テトラヒドロナフチルその他を含む。炭素環アリール基は未置換でも1乃至3の置換基により置換されていてもよく、置換基はハロゲン、カルボキシル、アシル、低級アシル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、シアノ、およびニトロから選ばれる。
【0030】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「アリールオキシ」は−O−アリール基を意味し、アリールは以上で定義した通りである。アリールオキシ基は未置換でも置換されていてもよい。
【0031】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「アリールアルキル」は−(アルキル)−(アリール)を意味し、アルキルおよびアリールは以上で定義した通りである。
【0032】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「アリールアルキルオキシ」は−O−(アルキル)−(アリール)を意味し、アルキルおよびアリールは以上で定義した通りである。
【0033】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「シクロアルキル」は炭素原子と水素原子とを含み、炭素−炭素間の多重結合を有していない単環式もしくは多環式の飽和環を意味する。シクロアルキル基は未置換でも置換されていてもよい。シクロアルキル基は単環式の環もしくは二環式の環であることが好ましい。
【0034】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「触媒量」は、この技術分野で認識されているものであり、反応体に関する化学量論的な量よりも少ないことを意味する。
【0035】
本明細書で使用する場合、別に明記しない限り、用語「電子求引基」は、電子をそれ自身に、水素原子が同じ位置に求引される場合よりも、求引する機能を意味する。具体的な電子求引基は、カルボニル基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、その他を含む。
【0036】
(ポリイソブテン)
本発明に用いるポリイソブテンは、高い割合で末端二重結合を有していることが特徴であり、本発明の目的に関連して反応性ポリイソブテンもしくは高反応性ポリイソブテンと称する。これは、カルボニル−エン反応スキームにおいて容易に反応を受けることがない−C(CH)=C(CH)−CH(CHのような非反応性鎖末端を持つ「従来の」ポリイソブチレンと対照的である。従来のポリイソブテンは一般に、おおよそ90%以上の内部結合を含むため不適切であって、これらの内部オレフィンは本発明のスキームでは反応性を示さない。従って、高いモル%でアルキルビニリデンと1,1−ジアルキル異性体、例えばメチルビニリデン異性体とを含む高反応性ポリイソブテンが用いられる。一般にポリイソブテンは、32乃至360の炭素原子を有するポリイソブテンの混合物である。ポリイソブテン混合物は、50モル%を超える反応性メチルビニリデン異性体、好ましくは70モル%を超える反応性メチルビニリデン異性体、さらに好ましくは80モル%を超える反応性メチルビニリデン異性体を含む。
【0037】
ポリイソブテンは、約450乃至約5000の範囲の数平均分子量を有する。約550、1000、1300、もしくは2300の数平均分子量を有するポリイソブテン、およびその混合物が特に有用である。ポリイソブテンは、450乃至5000の数平均分子量を有するように選択され;好ましい態様は450乃至3000の数平均分子量に関し;さらに具体的には700乃至3000の数平均分子量であり、さらにまた好ましくは900乃至2500の数平均分子量を有する。
【0038】
高含有量でオレフィン性不飽和末端基を有する反応性ポリイソブテンは、この技術分野で知られており、一般に三フッ化ホウ素錯体触媒の存在下、イソブテンもしくはイソブテン含有炭化水素蒸気のカチオン重合によって製造される。例えば、適切な方法は、米国特許第4152499号、同第5286823号、同第5408018号、欧州特許出願公開第145235号、欧州特許出願公開第481297号、欧州特許第671419号、欧州特許出願公開第628575号、欧州特許出願公開第807641号の各明細書、および国際公開第99/31151号その他に記載されている。
【0039】
(エノフィル)
本発明の態様は、カルボニル化合物もしくはカルボニル前駆体を含む適切なエノフィルの使用を含む。さらに具体的に好ましいエノフィルは、反応性(すなわち、電子欠損を持つ)アルデヒドから選ばれ、その反応性は、エノフィルの立体配置および電子による効果、もしくは反応の結果が立体的な密集状態からの解放となるような緊張状態のエノフィルにより影響され得る。好ましいエノフィルは、次の構造を有する反応性アルデヒドとして示すことができる:
【0040】
【化5】

【0041】
式中、Rは、水素原子、ハロアルキル、アルコキシカルボニル、および少なくとも一つの電子求引基で置換されたアリールであって、電子求引基は、ニトロ、シアノ、およびアルコキシカルボニルから選ばれる。
【0042】
好ましくは、カルボニル化合物もしくはカルボニル前駆体は、アルデヒドもしくはパラホルムアルデヒドである。適切なアルデヒドはホルムアルデヒドであって、それが重合した状態のパラホルムアルデヒドもしくはトリオキサンであってよい。ホルムアルデヒドをエノフィルとして、高い反応性のポリイソブテンをエンとして、共に適切なルイス酸を伴う反応条件下で用いる場合、製造される化合物はω−ヒドロキシメチルポリイソブテン化合物である。
【0043】
が水素原子である場合、アルデヒドはホルムアルデヒドである。ホルムアルデヒドは、気体、液体、および固体を含む全ての状態、並びにホルムアルデヒド同等物を意味する。ホルムアルデヒド同等物は、限定されるものではないが、パラホルムアルデヒド(重合ホルムアルデヒド(CHO))もしくは1,3,5−トリオキサン(ホルムアルデヒドの環状三量体)を含む。水および様々なアルコール中のホルムアルデヒド溶液(例、ホルマリン=37%水溶液)としては、市販品が利用できる。明らかに、水性の溶液は、水蒸気に対して不安定なルイス酸には適していない。パラホルムアルデヒドは固体であり、一般に約91%乃至93%当量のホルムアルデヒドを含む粉末もしくは薄片状の生成物である。水性ホルマリン溶液は、それらの水留分が及ぼす否定的な効果のため、望ましくない。
【0044】
ホルムアルデヒドの炭素の電子吸引性は相対的に高く、ホルムアルデヒドは一般に他の置換アルデヒドと比較して反応性が高い。すなわち、カルボニルにおける、例えば、アルキルもしくはアリール基による置換はカルボニルを安定化し、ホルムアルデヒドと比較して、その反応性を低くする。ただし、意図的に置換基に配置される電子求引基は、カルボニルの反応性を向上させ、適切な置換アルデヒドを導くことができる。
【0045】
従って、例えば、クロラールおよび他のハロアルキル置換アルデヒドは、適切なルイス酸の存在下で、ポリイソブテンの付加物に対する適度の反応性を示す。ただし、ハロゲン置換基は、商業的なエンジンでの使用では、特に良く適しているとは言えない。
【0046】
特に好ましいアルデヒドにおいて、上記Rは、1乃至6の炭素原子を有するアルキル基を有するアルコキシカルボニル置換基から選ばれる。これらの化合物は、次の式のグリオキシル酸化合物と示すこともできる:
【0047】
【化6】

【0048】
式中、Rは1乃至6の炭素原子を有するアルキルおよびそれらの混合物である。好ましい化合物は、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸エチル、グリオキシル酸イソプロピル、グリオキシル酸n−ブチル、およびグリオキシル酸t−ブチルを含む。特に好ましいものは、グリオキシル酸メチルである。
【0049】
別の態様では、Rがニトロ、シアノ、およびアルキル基が1乃至6の炭素原子を有するアルコキシカルボニルから選ばれる少なくとも一つの電子求引基で置換されたアリールである。上記アリール基は任意に、顕著な立体障害を伝達することがなく、また電子求引基の影響を顕著に否定しない1乃至3の置換基で置換されていてもよい。この点に関して、アリール基がベンゼンである場合、電子求引基は、好ましくはカルボニル基のパラ位に位置する。よって、特に好ましい化合物は置換ベンズアルデヒドであり、さらに好ましくは4−ニトロベンズアルデヒド、4−シアノベンズアルデヒド、およびベンズアルデヒドの4−C1−6のアルキルエステルから選ばれる。
【0050】
アルデヒドを本明細書に記載の反応条件に適用する場合を含め、本発明において使用するためにルイス酸と組み合わせる好ましいアルデヒドを決定するため、スクリーニング試験を採用できる。本明細書に記載のカルボニル−エン反応は、容易に実施でき、必要とする反応時間が比較的短く、試験すべきアルデヒドとルイス酸との組合せおよび最適な反応条件について、広い範囲が許容される。
【0051】
ポリイソブテン対アルデヒド化合物のモル比は1:1で良いが、アルデヒド化合物に対するポリイソブテン部分が過剰であると反応によるモノ付加生成物の収量が向上する。例えば1:1乃至10:1、好ましくは1:1乃至6:1の比率が本発明の方法で採用できる。
【0052】
(ルイス酸)
適切なルイス酸と反応条件は、カルボニル−エン反応が、反応性がより低い三置換オレフィンよりも、メチルビニリデンの異性化が優先的に促進されるように選択する必要がある(スキーム1)。
【0053】
スキーム1
ルイス酸触媒によるオレフィンの異性化
【0054】
【化7】

【0055】
ルイス酸および反応条件も、ポリイソブテンの脱重合(スキーム2)が起きないように選択する必要がある。
【0056】
スキーム2
ルイス酸触媒によるポリイソブテンの脱重合
【0057】
【化8】

【0058】
これを実施するためのある種のルイス酸は触媒的な方法で使用することができ、それ以外は化学量論的に使用する必要がある。触媒的な方法で使用することができるルイス酸、例えば三フッ化ホウ素もしくは三フッ化ホウ素錯体(例、三フッ化ホウ素エーテル化合物)は、付加生成物もオレフィンであるため、ポリイソブテンに対するカルボニル化合物のモノおよびビス付加物の双方を生じる。これについての合理的な説明は、三フッ化ホウ素をルイス酸として使用する場合についてスキーム3に示す。モノ付加生成物は、カルボニル化合物に対して過剰なポリイソブテンを用いることにより最大にすることで生成する。
【0059】
スキーム3
カルボニル−エン反応−触媒的ルイス酸
モノおよびビス生成物
三フッ化ホウ素の例
【0060】
【化9】

【0061】
カルボニル−エン反応で消費されない触媒としてのルイス酸については、上記ルイス酸を、モノ付加ポリイソブテンアルコールが生成する触媒量で使用する。一般に、ポリイソブテンの当量当たりルイス酸の当量数は、約0.005乃至1の範囲であり、好ましくは約0.005乃至0.5の範囲である。
【0062】
ビー・スナイダー(アカウンツ・オブ・ケミカル・リサーチ(Acc. Chem. Res.)、1980、13、426〜432(1980年))は、塩化ジメチルアルミニウムおよび二塩化エチルアルミニウムのルイス酸が、化学量論的な量で使用した場合、重合体ではなく、ポリイソブテンが影響を受けやすい副反応の主題にもならないオレフィンにカルボニル化合物のモノ付加生成物を与えることを見出した。これについての説明は、塩化ジメチルアルミニウムをルイス酸として使用する場合について、スキーム4に示す。
【0063】
スキーム4
カルボニル−エン反応−化学量論的ルイス酸
モノ生成物
塩化ジメチルアルミニウムの例
【0064】
【化10】

【0065】
本発明者は、ある種のルイス酸を化学量論的な量で使用すると、ポリマーを劣化することなく、またオレフィンをより反応性が低い異性体に異性化することなしに、ポリイソブテンにモノ付加生成物を与えることを発見した。本発明で使用できる好ましいルイス酸は、式R’AlX(3−y)で表されるハロゲン化アルキル−アルミニウムであって、R’はC1−6のアルキルであり;Xはハロゲンであり;そして、yは1乃至2の整数である。特に好ましいアルキル基は、メチルおよびエチルである。好ましいハロゲンは塩素である。特に適しているルイス酸は、MeAlCl、EtAlCl、および主要なカルボニル−エン反応の後、副反応を生成することがない類似のルイス酸である。
【0066】
本発明者は、カルボニル−エン反応において化学量論的に使用した場合、モノ付加生成物を与える別の有用なルイス酸は、式:R”SiX4−zのハロゲン化炭化水素シリルであることも見出した。上記式中、R”はC1−6のアルキルまたはアリールであり、Xはハロゲンであり、zは1乃至2の整数である。これらのハロゲン化炭化水素シリルは、これまで、カルボニル−エン反応を触媒するために使用されることはなかった。これらは、自然発火性ではなく、それらの取り扱いが容易であるとの利点を示す。
【0067】
一般に、化学量論的な量で使用するルイス酸について、ポリイソブテンの当量当たりルイス酸の当量数は、約1〜10の範囲であり、好ましくは約1.1〜2.0の範囲である。
【0068】
(溶媒)
溶媒は、本発明の方法において好ましく使用される。溶媒は、非極性で、比較的低い誘電率を伴い、優先的にルイス酸と錯体を形成しないものを選択する。適切な溶媒は、ハロゲン化アルカン類(例えば、クロロホルム、塩化エチル、塩化n−ブチル、塩化メチレン、塩化メチル、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、塩化n−プロピル、塩化イソプロピル、1,2−ジクロロプロパン、もしくは1,3−ジクロロプロパン)、アルケン類、およびハロゲン化アルケン類(例えば、塩化ビニル、1,1−ジクロロエテン、および1,2−ジクロロエテン)を含む。適切な溶媒は、エステル類、例えば、酢酸エチルを含むことができる。炭化水素溶媒も用いることができ、例えば、直鎖アルカン(例、プロパン、直鎖ブタン、直鎖ペンタン、直鎖ヘキサン、直鎖ヘプタン、直鎖オクタン、直鎖ノナン、および直鎖デカン)および分岐鎖アルカン(例、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、その他)を含むアルカン類、芳香族溶媒(例、ベンゼン、トルエン、キシレン、その他)、並びにハロゲン置換芳香族化合物(例、クロロベンゼン)を含む。溶媒は、ルイス酸触媒のエン反応に使用される上記および他の公知の有機化合物の混合物を含むこともできる。好ましい溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロメタン、およびジクロロエタンである。
【0069】
(温度)
本発明の方法で採用する反応条件は、溶媒および反応体もしくは生成物の性質、すなわち沸点もしくは安定性に依存する。反応温度は、一般に−30℃乃至60℃の範囲であり、さらに好ましくは0乃至40℃の範囲である。該方法は、任意の適切な圧力、例えば、大気圧、大気圧よりも高い圧力、もしくは減圧において有効である。ただし、ポリイソブテン、エノフィル、もしくは反応生成物が反応温度において揮発性もしくは気体である場合には、反応圧力はそれらを液体状態中(例、溶液中)に保つために充分である必要がある。一般に、反応は、自然環境の圧力もしくは個々の反応温度における反応体による自律的な圧力において実施される。本発明の方法は、バッチ式もしくは連続式のいずれでも実施できる。
【0070】
出発物質およびカルボニル−エンにより生成する副生成物は、クロマトグラフィーもしくはこの技術で知られている他の手段により、容易に除去できる。
【0071】
(燃料組成物)
前記式Iのポリイソブテニルアルコールおよび置換ポリイソブテニルアルコールは、炭化水素燃料の用途における添加剤としての使用に適している。用語「燃料」もしくは「炭化水素燃料」は、ガソリン燃料および/またはディーゼルの領域の範囲に沸点を有する通常は液体の炭化水素を意味する。これらの化合物は、それ自身で堆積物の防止および制御を補助することができ、特に他の公知の窒素含有清浄添加剤と共にキャリヤー液として使用するために適している。これらの化合物は、清浄添加剤との相溶性が改良され、キャリヤーとして機能することにより、堆積物の除去および阻止を補助すると考えられる。キャリヤーは、一種以上の窒素含有清浄添加剤と組み合わせて使用する場合に、相乗的な堆積物制御性能を示すこともある。キャリヤー液として、式Iのポリイソブテニルアルコールおよび置換ポリイソブテニルアルコールは、一般に炭化水素燃料の百万質量部当たり約100乃至約5000質量部(ppm)、好ましくは、燃料の400乃至3000ppmの範囲の量で、燃料中に用いられる。好ましくは、式Iのポリイソブテニルアルコールおよび置換ポリイソブテニルアルコール対窒素含有清浄添加剤の比は、約0.5:1乃至約10:1の範囲、さらに好ましくは1:1乃至4:1、さらに好ましくは約2:1である。別の態様において、式Iのポリイソブテニルアルコールおよび置換ポリイソブテニルアルコールを大量に、窒素含有清浄剤と共に加えて、燃料濃縮物を調製することもできる。燃料濃縮物中で使用する場合、キャリヤー液は、一般に約20乃至約60質量%、好ましくは約30乃至約50質量%の範囲の量で使用される。燃料濃縮物は、おおよそ約10乃至70質量%、好ましくは10乃至50質量%、さらに好ましくは20乃至40質量%の窒素含有清浄剤を含む。
【0072】
(窒素含有清浄剤)
燃料組成物は、主要量の、ガソリンもしくはディーゼルの領域に沸点を有する炭化水素、式Iのポリイソブテニルアルコール、および置換ポリイソブテニルアルコールを含み、さらに少なくとも一種の窒素含有清浄添加剤も含む場合がある。望ましい堆積物制御を達成するために必要とされる清浄添加剤の適切な濃度は、使用する燃料の種類、エンジンの種類、および他の添加剤の存在によって異なる。一般に、炭化水素燃料における窒素含有清浄添加剤の濃度は、質量当たり50乃至約2500ppm、好ましくは質量当たり50乃至1000ppmの範囲である。
【0073】
本発明における使用に適した清浄添加剤は、例えば、脂肪族炭化水素アミン、炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミン、炭化水素置換コハク酸イミド、マンニッヒ反応生成物、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロおよびアミノ芳香族エステル、ポリアルキルフェノキシアミノアルカン、およびそれらの混合物を含む。本発明において用いることができる脂肪族炭化水素置換アミンは、一般に少なくとも1つの塩基性窒素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素置換アミンであって、その炭化水素基は約700乃至3000の数平均分子量を有する。好ましい脂肪族炭化水素置換アミンは、ポリイソブテニルおよびポリイソブチルのモノアミンおよびポリアミンを含む。本発明において用いられる脂肪族炭化水素アミンは、この技術で公知の通常の手順で製造される。そのような脂肪族炭化水素アミンおよびそれらの製造方法は、米国特許第3438757号、同第3565804号、同第3574576号、同第3848056号、同第3960515号、同第4832702号、および同第6203584号の各明細書に詳細に記載されており、それらの開示内容は参照のため本明細書の記載とする。
【0074】
本発明における使用に適している別の分類の清浄添加剤は、炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミンであって、ポリエーテルアミンとも呼ばれる。一般的な炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミンは、炭化水素ポリ(オキシアルキレン)のモノアミンおよびポリアミンを含み、上記炭化水素基は1乃至約30の炭素原子を含み、オキシアルキレン単位の数は約5乃至100の範囲であり、アミン部分はアンモニア、一級アルキルもしくは二級ジアルキルモノアミン、または末端アミノ窒素原子を有するポリアミンから誘導される。好ましくは、オキシアルキレン部分は、オキシプロピレンもしくはオキシブチレン、またはそれらの混合物である。そのような炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミンは、例えば、米国特許第6217624号明細書(Morris外)および米国特許第5112364号明細書(Rath外)に記載されており、それらの開示内容は参照のため本明細書の記載とする。好ましい炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)モノアミンの種類は、アルキルフェニルポリ(オキシアルキレン)モノアミンであって、そのポリ(オキシアルキレン)部分はオキシプロピレン単位もしくはオキシブチレン単位、またはオキシプロピレン単位とオキシブチレン単位との混合物を含む。好ましくは、アルキルフェニル部分のアルキル基は、1乃至24の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである。特に好ましいアルキルフェニル部分はテトラプロペニルフェニルであって、言い換えると、そのアルキル基はプロピレン4量体から誘導される12の炭素原子を有する分岐鎖アルキルである。
【0075】
本発明において用途が見いだせるまた別の種類の炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミンは、炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミノカルバメートであって、例えば、米国特許第4288612号、同第4236020号、同第4160648号、同第4191537号、同第4270930号、同第4233168号、同第4197409号、同第4243798号、および同第4881945号の各明細書に開示されており、それらの開示内容は参照のため本明細書の記載とする。これらの炭化水素ポリ(オキシアルキレン)アミノカルバメートは少なくとも1つの塩基性窒素原子を含み、約500乃至10000、好ましくは約500乃至5000、さらに好ましくは約1000乃至3000の平均分子量を有する。好ましいアミノカルバメートは、アルキルフェニルポリ(オキシブチレン)アミノカルバメートであって、そのアミン部分はエチレンジアミンもしくはジエチレントリアミンから誘導される。
【0076】
本発明における使用に適しているさらに別の分類の清浄添加剤は、炭化水素置換コハク酸イミドである。代表的な炭化水素置換コハク酸イミドは、ポリアルキルおよびポリアルケニルコハク酸イミドを含み、そのポリアルキルもしくはポリアルケニル基は、約500乃至5000、好ましくは約700乃至3000の平均分子量を有する。炭化水素置換コハク酸イミドは、一般に炭化水素置換コハク酸無水物を、アミン性窒素原子に結合している少なくとも一つの反応性水素原子を有するアミンもしくはポリアミンと反応させることにより製造される。好ましい炭化水素置換コハク酸イミドは、ポリイソブテニルおよびポリイソブタニルコハク酸イミド、並びにそれらの誘導体を含む。本発明において用途が見いだせる炭化水素置換コハク酸イミドは、例えば、米国特許第5393309号、同第5588973号、同第5620486号、同第5916825号、同第5954843号、同第5993497号、同第6114542号、および英国特許第1486144号の各明細書に記載されており、それらの開示内容は参照のため本明細書の記載とする。
【0077】
本発明において用いることができる別の分類の清浄添加剤は、一般に高分子量アルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物、少なくとも一つの反応性水素原子を含むアミン、およびアルデヒドのマンニッヒ縮合から得られるマンニッヒ反応生成物である。高分子量アルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物は、好ましくは、ポリアルキルフェノール、例えば、ポリプロピルフェノールおよびポリブチルフェノール、特にポリイソブチルフェノールであって、そのポリアルキル基は、約600乃至3000の平均分子量を有する。アミン反応体は一般にポリアミン、例えば、アルキレンポリアミン、特にエチレンもしくはポリエチレンのポリアミンであって、例としてはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、その他である。アルデヒド反応体は一般に脂肪族アルデヒド、例えばホルムアルデヒドであって、パラホルムアルデヒドおよびホルマリン、並びにアセトアルデヒドを含む。好ましいマンニッヒ反応生成物は、ポリイソブチルフェノールをホルムアルデヒドおよびジエチレントリアミンで縮合することにより得られ、そのポリイソブチル基は約1000の平均分子量を有する。本発明における使用に適しているマンニッヒ反応生成物は、例えば、米国特許第4231759号および同第5697988号の各明細書に記載されており、それぞれの開示内容は参照のため本明細書の記載とする。
【0078】
本発明における使用に適しているさらにまた別の分類の清浄添加剤は、ポリアルキルフェノキシアミノアルカンである。好ましいポリアルキルフェノキシアミノアルカンは、下記式を有するものを含む:
【0079】
【化11】

【0080】
式中、Rは約600乃至5000の範囲の平均分子量を有するポリアルキル基であり;RおよびRは独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有する低級アルキルであり;そして、Aはアミノ、アルキル基中に約1乃至約20の炭素原子を有するN−アルキルアミノ、各アルキル基中に約1乃至約20の炭素原子を有するN,N−ジアルキルアミノ、もしくは約2乃至約12のアミン性窒素原子と約2乃至約40の炭素原子とを有するポリアミン部分である。上記式IIIのポリアルキルフェノキシアミノアルカンおよびそれらの製造方法は、米国特許第5669939号明細書に詳細に記載されており、その開示内容は参照のため本明細書の記載とする。
【0081】
ポリアルキルフェノキシアミノアルカンとポリ(オキシアルキレン)アミンとの混合物は、本発明における使用に適している。これらの混合物は、米国特許第5851242号明細書に詳細に記載されており、その開示内容は参照のため本明細書の記載とする。
【0082】
本発明において用途が見いだせる好ましい分類の清浄添加剤は、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロおよびアミノ芳香族エステルである。好ましいポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロおよびアミノ芳香族エステルは、次の式を有するものを含む:
【0083】
【化12】

【0084】
式中、Rはニトロもしくは−(CH−NR1314であって、R13とR14は独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有する低級アルキルであり、nは0もしくは1であり;Rは水素原子、ヒドロキシ、ニトロ、または−NR1516であって、R15およびR16は独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有する低級アルキルであり;R10およびR11は独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有する低級アルキルであり;そしてR12は約450乃至5000の範囲に平均分子量を有するポリアルキル基である。上記式IVで示されるポリアルキルフェノキシアルカノールの芳香族エステルおよびそれらの製造方法は、米国特許第5618320号に詳細に記載されており、その開示内容は参照のため本明細書の記載とする。
【0085】
ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロおよびアミノ芳香族エステルと炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミンとの混合物も、本発明における使用に好ましく企画できる。これらの混合物は、米国特許第5749929号に詳細に記載されており、その開示内容は参照のため本明細書の記載とする。
【0086】
本発明において清浄添加剤として使用できる好ましい炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミンは、次の式を有するものを含む:
【0087】
【化13】

【0088】
式中、R17は約1乃至約30の炭素原子を有する炭化水素基であり;R18およびR19は、それぞれ独立に、水素原子もしくは約1乃至約6の炭素原子を有する低級アルキルであって、各−O−CHR18−CHR19−単位毎にR18およびR19のそれぞれが独立に選択され;Bは、アミノ、アルキル基中に約1乃至約20の炭素原子を有するN−アルキルアミノ、各アルキル基中に約1乃至約20の炭素原子を有するN,N−ジアルキルアミノ、もしくは約2乃至約12のアミン性窒素原子と約2乃至約40の炭素原子とを有するポリアミン部分であり;そして、mは約5乃至約100の整数である。上記式Vの炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミンおよびそれらの製造方法は、米国特許第6217624号明細書に詳細に記載されており、その開示内容は参照のため本明細書の記載とする。式Vの炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミンは、好ましくは、それ自身で、あるいは他の清浄添加剤、特に式IIIのポリアルキルフェノキシアミノアルカンもしくは式IVにおいて示されるポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロおよびアミノ芳香族エステルと組み合わせて使用される。さらに好ましくは、本発明において用いられる清浄添加剤は、式Vの炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミンと、式IVにおいて示されるポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロおよびアミノ芳香族エステルとの組合せである。特に好ましい炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミン清浄添加剤はドデシルフェノキシポリ(オキシブチレン)アミンであり、特に好ましい清浄添加剤の組合せは、ドデシルフェノキシポリ(オキシブチレン)アミンと4−ポリイソブチルフェノキシエチル・パラアミノベンゾエートとの組合せである。
【0089】
本発明における使用に適している清浄添加剤の別の種類は、窒素含有キャブレター/インジェクター清浄剤である。このキャブレター/インジェクター清浄添加剤は、一般に、約100乃至約600の数平均分子量および少なくとも一つの極性部分と少なくとも1つの非極性部分とを有する比較的低分子量の化合物である。上記非極性部分は、一般に約6乃至約40の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルキルもしくはアルケニル基である。上記極性部分は、一般に窒素を含有する。代表的な窒素含有極性部分は、アミン(例えば、米国特許第5139534号明細書および国際公開第90/10051号に記載されているもの)、エーテルアミン(例えば、米国特許第3849083号明細書および国際公開第90/10051号に記載されているもの)、アミド、ポリアミド、およびアミドエステル(例えば、米国特許第2622018号、同第4729769号、同第5139534号、および欧州特許第149486号の各明細書に記載されているもの)、イミダゾリン(例えば、米国特許第4518782号明細書に記載されているもの)、アミンオキシド(例えば、米国特許第4810263号および同第4836829号の各明細書に記載されているもの)、ヒドロキシアミン(例えば、米国特許第4409000号明細書に記載されているもの)、およびコハク酸イミド(例えば、米国特許第4292046号明細書に記載されているもの)を含む。
【0090】
ガソリン燃料において、他の燃料添加剤を本発明において用いられる添加剤組成物と共に用いることができる。他の燃料添加剤は、例えば、酸素化剤(例、t−ブチルメチルエーテル)、アンチノック剤(例、メチルシクロペンタジエニルマンガン・トリカルボニル)、および他の分散剤/清浄剤(例、炭化水素アミン、もしくはコハク酸イミド)を含む。さらに、酸化防止剤、金属不活性化剤、抗乳化剤、およびキャブレターもしくは燃料インジェクター清浄剤が存在してよい。ディーゼル燃料において、他の良く知られている添加剤、例えば、流動点降下剤、流動性向上剤、セタン価向上剤その他が使用できる。
【0091】
本発明において使用する添加剤組成物と共に用いるガソリン燃料は、硫黄、芳香族、およびオレフィンのレベルが代表的な量から痕跡的な量のみに至るまでの範囲であるクリーン燃焼ガソリンも含む。
【0092】
燃料溶解性で非揮発性の液体もしくは油も、本発明において用いられる燃料添加剤組成物と共に用いることができる。上記液体は、化学的に不活性な炭化水素溶解性の液状坦体であって、非揮発性残渣(NVR)、もしくは燃料添加剤組成物の溶媒を含まない液体分画を実質的に増加させるが、オクタン価に対する要求が増加することに対して圧倒的に寄与することはない。上記液体は、天然もしくは合成の液体であってもよく、例えば、鉱物油、精製石油、水素化および非水素化ポリアルファオレフィンおよび合成ポリオキシアルキレン誘導液体、例えば、米国特許第4191537号(Lewis)明細書に記載のものを含む合成ポリアルカンおよびアルケン、およびポリエステル、例えば米国特許第3756793号(Robinson)、同第5004478号(Vogel外)、欧州特許出願公開第356726号(1990年3月7日公開)、および同第382159号(1990年8月16日公開)の各明細書に記載のものを含む。
【実施例】
【0093】
以下の実施例は、特定の態様と合成による製造とを説明するために、示されており、本発明の範囲を限定するように解釈すべきではない。
【0094】
[実施例1]
(塩化ジメチルアルミニウムによるω−ヒドロキシメチルポリイソブチレンの製造)
【0095】
【化14】

【0096】
磁気攪拌機と窒素取り入れ口とを備えたフラスコに、5gのポリイソブチレン(分子量:1000、80%メチルビニリデン)、136.5mgのパラホルムアルデヒド、および15ミリリットルの無水塩化メチレンを加えた。塩化ジメチルアルミニウム(6.8ミリリットルの1Mヘキサン溶液)を、シリンジを用いて一度に加えた。反応溶液は次に室温で16時間、攪拌した。反応は氷浴中で冷却し、15ミリリットルの1%塩酸溶液を滴下した。結果として得られた二相の溶液を、ヘキサン類で抽出した(3×15ミリリットル)。有機層を一緒にし、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を吸引除去して、粗製生成物を得た。粗製反応生成物は、ヘキサン、および引き続くヘキサン中の10%酢酸エチルで溶出させるシリカゲルによるクロマトグラフィーで精製して、3.85gの目的生成物を無色の油として得た。H−NMR(CDCl)δ:4.95(d,1H)、4.85(d,1H)、3.70(t,2H)、2.35(t,2H)、2.00(s,2H)、0.90−1.50(m,137H)。
【0097】
[実施例2]
(塩化ジメチルアルミニウムによるω−4−ニトロフェニルヒドロキシメチルポリイソブチレンの製造)
【0098】
【化15】

【0099】
磁気攪拌機と窒素取り入れ口とを備えたフラスコに、5.35gのポリイソブチレン(分子量:1000、80%メチルビニリデン)、0.74gの4−ニトロベンズアルデヒド、および15ミリリットルの無水塩化メチレンを加えた。塩化ジメチルアルミニウム(6.8ミリリットルの1Mヘキサン溶液)を、シリンジを用いて一度に加えた。反応溶液は次に室温で16時間、攪拌した。反応は氷浴中で冷却し、15ミリリットルの1%塩酸溶液を滴下した。結果として得られた二相の溶液を、ヘキサン類で抽出した(3×15ミリリットル)。有機層を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を吸引除去して、粗製生成物を得た。粗製反応生成物は、ヘキサン、および引き続いてのヘキサン中の10%酢酸エチルで溶出させるシリカゲルによるクロマトグラフィーで精製して、4.3gの目的生成物を褐色の油として得た。H−NMR δ:8.20(d,2H)、7.55(d,2H)、5.05(d,1H)、5.00(d,1H)、4.85(dd,1H)、2.50(d,2H)、2.05(s,2H)、0.80−1.50(m,137H)。
【0100】
[実施例3]
(三フッ化ホウ素エーテル化合物によるω−ヒドロキシメチルポリイソブチレンの製造)
磁気攪拌機と窒素取り入れ口とを備えたフラスコに、20gのポリイソブチレン(分子量:1000、80%メチルビニリデン)、0.6gのパラホルムアルデヒド、および60ミリリットルの無水塩化メチレンを加えた。三フッ化ホウ素エーテル化合物(0.123ミリリットル)を、シリンジを用いて一度に加えた。反応混合物を室温で16時間、攪拌した。混合物を40ミリリットルの塩化メチレンおよび引き続き2ミリリットルの飽和水酸化アンモニウム水溶液で希釈した。沈殿物を濾過で除いた。溶液を、飽和炭酸水素ナトリウムの溶液および引き続き飽和塩化ナトリウムの溶液で洗浄した。塩化メチレン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を吸引除去し、粗製生成物を得た。粗製反応生成物は、ヘキサン、および引き続きのヘキサン溶液中の10%酢酸エチルで溶出させるシリカゲルによるクロマトグラフィーで精製して、6.85gの目的生成物を得た。
【0101】
[実施例4]
(三フッ化ホウ素エーテル化合物によるω−ヒドロキシメチルポリイソブチレンの製造)
磁気攪拌機と窒素取り入れ口とを備えたフラスコに、100gのポリイソブチレン(分子量:1000、80%メチルビニリデン)、0.6gのパラホルムアルデヒド、および60ミリリットルの無水塩化メチレンを加えた。三フッ化ホウ素エーテル化合物(0.123ミリリットル)を、シリンジを用いて一度に加えた。反応混合物を室温で16時間、攪拌した。混合物を40ミリリットルの塩化メチレンおよび引き続き2ミリリットルの飽和水酸化アンモニウム水溶液で希釈した。沈殿物を濾過で除いた。溶液を、飽和炭酸水素ナトリウムの溶液および引き続き飽和塩化ナトリウムの溶液で洗浄した。塩化メチレン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を吸引除去し、粗製生成物を得た。粗製反応生成物は、ヘキサン、および引き続きのヘキサン溶液中の10%酢酸エチルで溶出させるシリカゲルによるクロマトグラフィーで精製して、13.6gの目的生成物を得た。
【0102】
[実施例5]
(三フッ化ホウ素エーテル化合物によるω−4−ニトロフェニルヒドロキシメチルポリイソブチレンの製造)
磁気攪拌機と窒素取り入れ口とを備えたフラスコに、100gのポリイソブチレン(分子量:1000、80%メチルビニリデン)、3.02gの4−ニトロベンズアルデヒド、および60ミリリットルの無水塩化メチレンを加えた。三フッ化ホウ素エーテル化合物(0.123ミリリットル)を、シリンジを用いて一度に加えた。反応混合物を室温で16時間、攪拌した。混合物を40ミリリットルの塩化メチレンおよび引き続き2ミリリットルの飽和水酸化アンモニウム水溶液で希釈した。沈殿物を濾過で除いた。溶液を、飽和炭酸水素ナトリウムの溶液および引き続き飽和塩化ナトリウムの溶液で洗浄した。塩化メチレン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を吸引除去し、粗製生成物を得た。粗製反応生成物は、ヘキサン、および引き続きのヘキサン溶液中の10%酢酸エチルで溶出させるシリカゲルによるクロマトグラフィーで精製して、15.2gの目的生成物を得た。
【0103】
[実施例6]
(メチルトリクロロシランによるω−ヒドロキシメチルポリイソブチレンの製造)
【0104】
【化16】

【0105】
磁気攪拌機と窒素取り入れ口とを備えたフラスコに、5.35gのポリイソブチレン(分子量:1000、80%メチルビニリデン)、146mgのパラホルムアルデヒド、および15ミリリットルの無水塩化メチレンを加えた。メチルトリクロロシラン(0.86ミリリットル)を、シリンジを用いて一度に加えた。反応混合物を室温で16時間、攪拌した。反応は氷浴中で冷却し、15ミリリットルの0.5N塩酸溶液を滴下した。酸の添加によって、ケイ素系のゲルが生成した。塩化メチレン/HCl(水)溶液をゲルを傾けて除き、ゲルをヘキサン中の10%酢酸エチル溶液で(三回)洗浄した。水層をヘキサン類で(三回)抽出した。有機層の全てをまとめて、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を吸引除去し、粗製生成物を得た。粗製反応生成物は、ヘキサン、および引き続きのヘキサン中の10%酢酸エチルで溶出させるシリカゲルによるクロマトグラフィーで精製して、3.85gの目的生成物を無色の油として得た。H−NMR(CDCl)δ:4.95(d,1H)、4.85(d,1H)、3.70(t,2H)、2.35(t,2H)、2.00(s,2H)、0.90−1.50(m,137H)。
【0106】
[実施例7]
(ジメチルジクロロシランによるω−ヒドロキシメチルポリイソブチレンの製造)
磁気攪拌機と窒素取り入れ口とを備えたフラスコに、5.06gのポリイソブチレン(分子量:1000、80%メチルビニリデン)、138mgのパラホルムアルデヒド、および15ミリリットルの無水塩化メチレンを加えた。ジメチルジクロロシラン(0.83ミリリットル)を、シリンジを用いて一度に加えた。反応混合物を室温で16時間、攪拌した。反応は氷浴中で冷却し、15ミリリットルの0.5N塩酸溶液を滴下した。結果として得られた二相の溶液を、ヘキサン類(3×15ミリリットル)で抽出した。有機層を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を吸引除去して、粗製生成物を得た。粗製反応生成物は、ヘキサン、および引き続きのヘキサン中の10%酢酸エチルで溶出させるシリカゲルによるクロマトグラフィーで精製して、3.0gの目的生成物を得た。
【0107】
[実施例8]
(メチルトリクロロシランによるω−ヒドロキシメチルポリイソブチレンの製造)
【0108】
【化17】

【0109】
磁気攪拌機と窒素取り入れ口とを備えたフラスコに、7.26gのポリイソブチレン(分子量:2300、80%メチルビニリデン)、86mgのパラホルムアルデヒド、および15ミリリットルの無水塩化メチレンを加えた。メチルトリクロロシラン(0.51ミリリットル)を、シリンジを用いて一度に加えた。反応混合物を室温で16時間、攪拌した。反応は氷浴中で冷却し、15ミリリットルの0.5N塩酸溶液を滴下した。酸の添加によって、ケイ素系のゲルが生成した。塩化メチレン/HCl(水)溶液をゲルを傾けて除き、ゲルをヘキサン中の10%酢酸エチル溶液で(三回)洗浄した。有機層を一緒にして分離し、水層をヘキサン類で(三回)抽出した。有機層の全てをまとめて、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を吸引除去して、粗製生成物を得た。以上の反応により、2.32gの目的生成物を無色の油として得た。H−NMR(CDCl)δ:4.95(d,1H)、4.85(d,1H)、3.70(t,2H)、2.35(t,2H)、2.00(s,2H)、0.90−1.50(m,321H)。
【0110】
[実施例9]
(フェニルトリクロロシランによるω−ヒドロキシメチルポリイソブチレンの製造)
磁気攪拌機と窒素取り入れ口とを備えたフラスコに、5.16gのポリイソブチレン(分子量:1000、80%メチルビニリデン)、141mgのパラホルムアルデヒド、および15ミリリットルの無水塩化メチレンを加えた。フェニルトリクロロシラン(1.1ミリリットル)を、シリンジを用いて一度に加えた。反応混合物を室温で16時間、攪拌した。反応は氷浴中で冷却し、15ミリリットルの0.5N塩酸溶液を滴下した。結果として得られた二相の溶液を、ヘキサン類(3×15ミリリットル)で抽出した。有機層を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を吸引除去して、粗製生成物を得た。以上の反応により、2.1gの目的生成物を得た。
【0111】
[実施例10]
(メチルトリクロロシランによるω−ヒドロキシメチルポリイソブチレンの製造)
磁気攪拌機と窒素取り入れ口とを備えたフラスコに、5.53gのポリイソブチレン(分子量:1000、80%メチルビニリデン)、151mgのパラホルムアルデヒド、および15ミリリットルの無水塩化メチレンを加えた。メチルトリクロロシラン(2.96ミリリットル)を、シリンジを用いて一度に加えた。反応混合物を室温で16時間、攪拌した。反応は氷浴中で冷却し、15ミリリットルの0.5N塩酸溶液を滴下した。酸の添加によって、ケイ素系のゲルが生成した。塩化メチレン/HCl(水)溶液をゲルを傾けて除き、ゲルをヘキサン中の10%酢酸エチル溶液で(三回)洗浄した。有機層を一緒にして分離し、水層をヘキサン類で(三回)抽出した。有機層の全てをまとめて、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を吸引除去して、粗製生成物を得た。以上の反応により、3.8gの目的生成物を無色の油として得た。
【0112】
[実施例11]
(メチルトリクロロシランによるω−ヒドロキシメチルポリイソブチレンの製造)
磁気攪拌機と窒素取り入れ口とを備えたフラスコに、5.14gのポリイソブチレン(分子量:1000、80%メチルビニリデン)、140mgのパラホルムアルデヒド、および15ミリリットルの無水塩化メチレンを加えた。メチルトリクロロシラン(0.66ミリリットル)を、シリンジを用いて一度に加えた。反応混合物を室温で16時間、攪拌した。反応は氷浴中で冷却し、15ミリリットルの0.5N塩酸溶液を滴下した。酸の添加によって、ケイ素系のゲルが生成した。塩化メチレン/HCl(水)溶液をゲルを傾けて除き、ゲルをヘキサン中の10%酢酸エチル溶液で(三回)洗浄した。有機層を一緒にして分離し、水層をヘキサン類で(三回)抽出した。有機層の全てをまとめて、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を吸引除去して、粗製生成物を得た。以上の反応により、3.28gの目的生成物を無色の油として得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物:
【化1】

式中、nは5乃至90の整数であり、Rは水素原子、ハロアルキル、アルコキシカルボニル、および置換アリールからなる群より選ばれるが、この置換アリールの少なくとも一つの置換基はシアノ、ニトロ、およびアルコキシカルボニルから選ばれる。
【請求項2】
式中、nが6乃至52の整数である請求項1の化合物。
【請求項3】
式中、nが14乃至42の整数である請求項2の化合物。
【請求項4】
Rが水素原子、アルコキシカルボニル、およびモノ置換アリールから選ばれる請求項1の化合物。
【請求項5】
Rが水素原子である請求項1の化合物。
【請求項6】
Rが式−C(O)ORのアルコキシカルボニル基であって、Rが1乃至6の炭素原子を有するアルキルである請求項1の化合物。
【請求項7】
Rが置換アリール基である請求項1の化合物。
【請求項8】
下記式IIの化合物である請求項1の化合物:
【化2】

式中、Rはシアノ、ニトロ、および−C(O)ORからなる群より選ばれ、Rは1乃至6の炭素原子を有するアルキルである。
【請求項9】
がパラ位にある請求項8の化合物。
【請求項10】
がシアノおよびニトロからなる群より選ばれる請求項9の化合物。
【請求項11】
が−C(O)ORであって、Rが1乃至6の炭素原子を有するアルキルである請求項9の化合物。
【請求項12】
ガソリンもしくはディーゼルの領域に沸点を有する主要量の炭化水素;
a.100乃至5000ppmの次の化合物:
【化3】

式中、nは5乃至90の整数であり、Rは水素原子、アルコキシカルボニル、および置換アリールからなる群より選ばれるが、この置換アリールの少なくとも一つの置換基はシアノ、ニトロ、およびアルコキシカルボニルから選ばれる;および
b.50乃至2500ppmの窒素含有清浄剤;
を含む燃料組成物。
【請求項13】
上記窒素含有清浄剤が、脂肪族炭化水素アミン、炭化水素置換ポリ(オキシアルキレン)アミン、炭化水素置換コハク酸イミド、マンニッヒ反応生成物、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロおよびアミノ芳香族エステル、ポリアルキルフェノキシアミノアルカン、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項12の燃料組成物。

【公表番号】特表2013−514374(P2013−514374A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544761(P2012−544761)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/060549
【国際公開番号】WO2011/075532
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(598037547)シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー (135)
【Fターム(参考)】