説明

ポリイミドフィルムの製造方法及びポリイミドフィルム

【課題】特定のモノマーと特定の溶剤を用いたポリアミド酸から得られるポリイミドフィルムの製造方法であり、化学的にイミド化を行う手法においてイミド化触媒および脱水剤の添加量を規定することで透明性、着色性に優れたポリイミドフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】。三級アミンからなるイミド化剤と、酸無水物からなる脱水剤の添加量がポリアミド酸のカルボン酸に対して合計が3.5〜10倍モル当量用いてイミド化することにより課題を解決することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低着色及び透明性の高いポリイミドフィルムに関する。特に、イミド化触媒および脱水剤の添加量を規定することにより、製造時の着色抑制及び透明性を向上することができ、耐熱性と共に低着色及び透明性に対する要求が高い製品又は部材を形成するための材料(例えば、表示装置のガラス代替フィルムなど)として好適に利用できるポリイミドフィルムの製造方法、さらに、当該製造方法で得られたポリイミドフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶や有機EL、電子ペーパー等のディスプレイや、太陽電池、タッチパネル等のエレクトロニクスの急速な進歩に伴い、デバイスの耐破損性の向上、薄型化や軽量化、更には、フレキシブル化が要求されるようになってきた。これらのデバイスにはガラス板上に様々な電子素子、例えば、薄型トランジスタや透明電極等が形成されているが、しかしながら、ガラス基板を用いたデバイスは、厚い、重い、破損しやすい、といった問題があり、このガラス材料をフィルム材料に変えることにより、パネル自体の薄型化や軽量化、さらには、フレキシブル化が図れる。しかしながらこれらの電子素子の形成には高温プロセスが必要であり、これに耐えられるだけのフィルム材料がこれまで存在しなかった。
【0003】
また無機材料からなるこれらの微細な素子をフィルム上に形成した場合、無機材料とフィルムの線膨張係数の違いにより、無機素子の形成後フィルムが曲がったり、更には、無機素子が破壊されてしまう恐れがあった。このため、透明性と耐熱性を有しながら、無機材料と同じ線膨張係数を有するフィルム材料が望まれていた。
【0004】
ポリイミドは高度の耐熱性・寸法安定性・耐薬品性・電気的特性・機械的物性その他優れた諸特性を有することから、半導体や電子部品への応用がなされてきた。その為、単結晶シリコンや銅などの金属と積層される場合が多く、ポリイミドの線熱膨張係数を単結晶シリコンや金属並に小さくする試みは従来から行われてきた。
【0005】
ポリイミドの線膨張係数に大きく影響を与える因子として、その化学構造が挙げられる。一般に、ポリイミドの高分子鎖が剛直で直線性が高いほど膨張率は下がるといわれており、膨張率を下げる為、ポリイミドの原料である酸二無水物、ジアミン双方で種々の構造が提案されてきた。
【0006】
このうち、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから得られる、耐熱性や線膨張係数に加えて透明性にも優れたポリイミドフィルムに付いての報告例がある(例えば特許文献1参照)。
【0007】
しかし、得られたポリイミドフィルムは耐熱性や線膨張係数は低く、透明性は従来のポリイミドフィルムに比べると良好ではあったが、ポリアミド酸の合成が難しい点、ポリイミドフィルムの透明性、着色性に改良の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−046054
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、前駆体のポリアミド酸の合成が容易であり、透明性、着色性に優れたポリイミドフィルム得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は以下の構成を有するものである。
【0011】
1). 非プロトン極性溶剤及び炭素数15以下の脂肪族カルボン酸の混合物を溶剤とし、ジアミン化合物と酸二無水物を重合して下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸から得られるポリイミドフィルムの製造方法であり、炭素数15以下の脂肪族カルボン酸の割合が0.5以上29重量%未満の溶剤中0〜35℃で重合して得られるポリアミド酸を、三級アミンからなるイミド化剤の添加量と、酸無水物からなる脱水剤の添加量がポリアミド酸のカルボン酸基に対して合計が3.5〜10倍モル当量用いてイミド化することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
【0012】
【化1】

【0013】
(式中Rは4価の有機基を、Rは2価の有機基を示す。)
2). Rは、置換、非置換の芳香族基を含む酸二無水物残基であることを特徴とする1)記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【0014】
3). Rは芳香族基を少なくとも1個有し少なくともその1個が置換基を有するか、あるいは芳香族基を複数個有し分岐あるいは直鎖のアルキル基で結合されていることを特徴とする1)または2)に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【0015】
4). Rの置換基が炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のハロゲン化アルキル基、ハロゲンから選ばれることを特徴とする3)に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【0016】
5). Rは下記一般式(2)から選択される4価の有機基であることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【0017】
【化2】

【0018】
6). Rは下記一般式(3)から選択される2価の有機基であることを特徴とする1)〜5)のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【0019】
【化3】

【0020】
(Rは、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のハロゲン化アルキル基、あるいはハロゲンを示す。)。
【0021】
7). Rが下記一般式(4)で表される4価の有機基であることを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【0022】
【化4】

【0023】
8). Rの構造が下記一般式(5)から選択される2価のビフェニレン基であることを特徴とする1)〜7)のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【0024】
【化5】

【0025】
(Rは、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のハロゲン化アルキル基、あるいはハロゲンを示す。)。
【0026】
9). Rが、ハロゲン、もしくはハロゲン化アルキルであることを特徴とする6)〜8)のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【0027】
10). Rが、炭素数が1〜16のフルオロアルキル基であることを特徴とする9)に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【0028】
11). イミド化剤として、ピリジン、ピコリン、キノリン、もしくはイソキノリンから選ばれ、脱水触媒が無水酢酸等の酸無水物から選ばれることを特徴とする、1)〜10)のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【0029】
12). 線熱膨張係数が−20〜40ppm/℃以下、加熱前後の寸法変化率が±0.1%以内である、1)〜11)のいずれかに記載の方法で製造されたポリイミドフィルム。
【0030】
13). 12)に記載のポリイミドフィルムに、少なくとも1層の無機材料が積層されていることを特徴とする積層物。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係るポリイミドフィルムは、透明性、着色性、耐熱性、さらに様々な無機材料と同じ線膨張係数を有することから、公知の全ての部材用のフィルムに好適であり、例えば、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー、半導体部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料や構造物としての利用が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下において本発明を詳しく説明する。
本発明で製造されるポリアミド酸は、一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸である。このポリアミド酸は酸二無水物とジアミン化合物を用いて合成することが可能である。また、本発明に使用する脂肪族カルボン酸としては、炭素数15以下の脂肪族カルボン酸である。
【0033】
本発明の溶剤に用いることができる炭素数15以下の脂肪族カルボン酸は、その脂肪族は炭素数15以下のアルキル基が好ましく、アルキル基は分岐を有していてもかまわない。炭素数15以下の脂肪族カルボン酸の中でも炭素数10以下、さらには5以下、特には3以下のカルボン酸が好ましい。また、多価カルボン酸も使用可能であるが、1価のカルボン酸が好ましい。用いることができるカルボン酸としては、具体的には例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸をあげることができる。中でもギ酸、酢酸、プロピオン酸が好ましく、さらには酢酸が好ましい。
【0034】
本発明の溶剤に使用する脂肪族カルボン酸の量は、使用する脂肪族カルボン酸を含めた全溶剤量の0.5以上29重量%未満であるが、好ましくは3.0以上28重量%未満、さらに好ましくは5.0以上27重量%未満であることが好ましい。反応速度の面で最も好ましいのは19以上27重量%未満である。脂肪族カルボン酸量が前記範囲より高い場合には、ポリアミド酸の合成速度の向上が見込めにくいことと、生成したポリアミド酸が分解して所望の分子量のものが得られにくい。
【0035】
また、脂肪族カルボン酸量が少ない場合は、十分な重合速度が得られずポリアミド酸の合成時間を短縮し難い。
式(1)中のRは4価の有機基であるが、一般式(2)で示される4価の有機基が好ましい。その具体例としては、後述する各酸二無水物成分に対応する4価の有機基、すなわち、酸二無水物成分からポリイミド鎖の形成に関与する両末端酸無水物基を取り除いた構造が挙げられる。
【0036】
一般式(2)に挙げられている4価の有機基のうち、得られる高分子が示す剛直性及び原料の入手性という観点から、特に一般式(4)の構造を有する酸二無水物が好ましい。更に好ましくはビフェニレン基を有する構造が好ましい。また、ポリイミドの透明性や膨張係数などの特性を確保できる範囲内であれば2種類以上の4価の有機基を用いることができる。
【0037】
上記したように、一般式(1)中のRは酸二無水物成分(化合物)から導入することができ、2種類以上の酸二無水物化合物を用いることができる。また、酸二無水物成分としては一般式(2)に挙げられている4価の有機基を有する酸二無水物化合物を用いることが好ましい。
【0038】
この場合、一般式(2)に挙げられている4価の有機基を有する酸二無水物化合物は目的の物性に応じて、酸二無水物全体の30モル%以上、さらには50モル%以上、実質的に全ての酸二無水物化合物が一般式(2)の構造を有することが特に好ましい。また、2種以上用いる場合、それらは、規則的に配列されていてもよいし、ランダムにポリイミド中に存在していてもよい。
【0039】
一般式(2)に示す有機基を有する酸二無水物としては、具体的には3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物をあげることができる。
【0040】
一般式(2)に示す有機基を有する酸二無水物と併用することができる他の酸二無水物としては、具体的には、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス[(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、1,4−ビス[(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、4,4'−ビス[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、4,4'−ビス[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルプロパン二無水物、2,2−ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0041】
これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。中でも3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物が好ましい。
【0042】
一方、一般式(1)中のRは2価の有機基であり、その具体例としては、一般式(3)で記述しているように、後述する各ジアミン成分に対応する2価の有機基、すなわち、ジアミン成分からポリイミド鎖の形成に関与する両末端アミノ基を取り除いた構造が挙げられる。
得られるポリイミドの線膨張性及び着色性から、剛直で電子吸引基を有するジアミンが好ましく用いられる。それらジアミンのRとしては一般式(3)中フェニレン基もしくは、ビフェニレン基、さらに好ましくはビフェニレン基を有するものが挙げられ、特には一般式(5)の構造を有するジアミンが好ましいる。
【0043】
一般式(3)及び一般式(5)中のRは、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、C1〜C16のアルキル基を示す一価の有機基である。得られるポリイミドの透明性、耐熱性、及び寸法安定性から、ハロゲンやハロゲン化アルキルなどの電子吸引基が好ましく、フッ素原子もしくはフルオロアルキル基がさらに好ましい。フルオロメチル基、さらにはトリフルオロメチル基が最も好ましい。最も好ましいジアミンの具体例としては2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンが挙げられる。
【0044】
ジアミンは、ポリイミドの透明性を確保できる範囲内であれば2種以上を併用することができる。また、目的の物性に応じて、一般式(3)特には一般式(5)の構造を有するジアミンをジアミン全体の30モル%以上、好ましくは50モル%以上用いることが好ましく、実質的に全てのジアミンが一般式(3)の構造を有するジアミンを用いることが特に好ましい。また、2種以上用いた場合それらは、規則的に配列されていてもよいし、ランダムにポリイミド中に存在していてもよい。
【0045】
一般式(3)の構造を有するジアミンと併用可能なジアミンの具体例を示すとすれば、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン、6,6'−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、trans−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
【0046】
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4'−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
【0047】
置換基Rは、ジアミンの状態で導入されたものを用いることが好ましいが、ポリイミドやポリアミド酸の状態で導入しても良い。置換基Rを導入することで吸収する光の波長を調整することができ、得られるフィルムの透明性や着色度を調整することが出来る。
【0048】
本発明の溶剤に使用する非プロトン性極性溶剤とは、極性が高く酸性水素をもたない溶媒のことである。極性が高いとは、例えば誘電率が5以上であることが好ましい。具体的には例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホリルアミド、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフランなどの溶剤を単独または混合物として用いられるが、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)をあげることができる。
【0049】
本発明の溶剤に用いる炭素数15以下の脂肪族カルボン酸以外の溶剤としては全量が非プロトン性極性剤であることが好ましいが、芳香族溶剤あるいはエーテル系溶剤を補助溶剤として使用してもかまわない。
【0050】
補助溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン、ジエチレングリコールエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(モノグリム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、1,2−ビス−(2−メトキシエトキシ)エタン(トリグリム)、ビス−(2−メトキシエチル)エーテル、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルおよびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートが挙げられる。補助溶剤は用いる非プロトン性極性溶剤量の50重量%未満、さらには30重量%未満、特には15重量%未満で使用することができる。
【0051】
本発明により合成するポリアミド酸溶液の固形分濃度としては、5〜50重量%、さらには10〜35重量%が取扱いの面から好ましい。
【0052】
本発明のポリアミド酸溶液の製造に用いるジアミン化合物と酸二無水物は実質的に略同量(モル比)で行うことが好ましいが、ジアミン成分が多い場合には、得られるポリアミド酸溶液の粘度が上昇度合いが大きくなり取扱いが困難となる場合があるので、酸二無水物の量(モル比)がジアミン化合物に比べて多いことが好ましい。ジアミン化合物と酸二無水物のモノマー比としては、例えば、酸無水物成分100モル%に対してジアミン成分92.0〜99.8モル%、さらには96.0〜99.5モル%が好ましい。ジアミン成分が少なすぎる場合には、十分な粘度が得られずポリアミド酸から合成したポリイミドフィルムの機械物性が十分とはなりがたい。
【0053】
ポリアミド酸を得る方法は、アミン成分と酸無水物成分を混合することで得ることができる。混合中には攪拌していることが好ましい。操作上不都合でない範囲でなるべく短いことが好ましい。例えば、10分〜20時間、さらには15分〜10時間、特には15分〜5時間が好ましい。
アミン成分と酸無水物成分の混合方法は、アミン成分に酸無水物成分を加える方法、その反対の方法が採用できるが、アミン成分に酸無水物成分を加える方法が好ましい。それぞれの成分は一度に加えても良いし、複数回に分けて加えることも出来る。
【0054】
ポリアミド酸溶液の製造の際には、用いるジアミン化合物と酸二無水物を一度に追加(片方の全量中にもう片方の全量を加えることを含む)してもかまわないが、例えばどちらか一方の成分を全量用いずにプレポリマー(前駆体)をまず製造し、後から残りの成分を追加する方法でもかまわない。本発明のポリアミド酸の製造に用いるジアミン化合物と酸二無水物の使用割合は前記した割合を用いることが好ましいが、プレポリマーを製造する方法の場合、まずどちらかのモノマーが多い状態でプレポリマーを合成し次いでもう一方のモノマーを逐次添加し、粘度を調整することにより、ポリアミド酸を製造するのが好ましい。
【0055】
中でも後でジアミン化合物を用いる方法の方が得られるポリアミド酸の保存安定性の面で好ましい。後で用いる酸二無水物あるいはジアミン化合物の量としては、酸二無水物あるいはジアミン化合物の全量の3〜15モル%、さらには4〜10モル%が好ましい。
【0056】
本発明により合成するポリアミド酸の反応温度は0〜35℃であるが、3〜30℃が好ましい。反応温度が低い場合には反応時間が長くなる可能性がある。また、反応温度が高い場合には粘度が上昇しない場合がある。
【0057】
すなわち、本発明においては、ポリアミド酸を合成する反応温度は0〜35℃で行う必要がある。また、−0.5×(溶剤中の炭素数15以下の脂肪族カルボン酸の割合(重量%))+45以下の温度(℃)、さらには−0.5×(溶剤中の炭素数15以下の脂肪族カルボン酸の割合(重量%))+40以下の温度(℃)であることが好ましい。
【0058】
また、−1.0×(溶剤中の炭素数15以下の脂肪族カルボン酸の割合(重量%))+15以上の温度(℃)、さらには−1.0×(溶剤中の炭素数15以下の脂肪族カルボン酸の割合(重量%))+20以上の温度(℃)、特には−1.0×(溶剤中の炭素数15以下の脂肪族カルボン酸の割合(重量%))+25以上の温度(℃)であることが重合速度の面で好ましい。
【0059】
本発明のポリイミドフィルムを製造する方法としては、酸二無水物とジアミンから前駆体であるポリアミド酸を合成し、これに脱水剤とイミド化剤を添加して基材に流延あるいは塗布し、ポリイミドフィルムを得る手法が代表的に挙げられる。流延あるいは塗布する方法法としては、エンドレスベルト上に流延あるいは塗布する方法、所定の大きさの基材に流延あるいは塗布する方法が採用できる。脱水剤やイミド化剤を用いずに加熱によりイミド化を行う手法では、得られるフィルムの線膨張や寸法安定性が悪く、目的には適さない。
【0060】
また、脱水剤やイミド化剤中に浸漬する方法では、線膨張係数や寸法安定性をコントロールしてポリイミドフィルムを得ることが難しく、本願発明のような無機材料に匹敵する線膨張係数や寸法安定性を有するフィルムを得るのは難しい。
【0061】
本発明の製造方法により得られるポリアミド酸溶液を用いてポリイミド化してポリイミドフィルムを製造することにより、線膨張係数や寸法安定性が良好なポリイミドフィルムを得ることが可能であり、得られるポリイミドフィルムが線膨張係数や寸法安定性が良好であることからフレキシブルな基板として有用である。
【0062】
用いるイミド化剤としては、3級アミンを用いることができる。3級アミンとしては複素環式の3級アミンがさらに好ましい。複素環式の3級アミンの好ましい具体例としてはピリジン、2,5−ジエチルピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリンなどをあげることができる。
【0063】
本発明では、ポリアミド酸のカルボン酸に対するイミド化剤の添加モル量を多くするほど、得られるフィルムの着色性や線膨張係数が良好になる傾向がある。一方で、多量のイミド化剤によりイミド化があまりに早く進行すると、フィルム化を行う前に不溶化してしまい、キャストできない等の問題が出るので実用的にはイミド化剤の添加量としては、ポリアミド酸のカルボン酸基に対して、0.05〜9.4倍モル当量、さらには0.1〜7.0倍モル当量、特に0.2〜5.0倍モル当量が好ましい。
【0064】
脱水剤としては、酸無水物が好ましく、具体的には無水酢酸、プロピオン酸無水物、n−酪酸無水物、安息香酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物をあげることができ、中でも無水酢酸が最も好ましい。
【0065】
脱水剤の量として、ポリアミド酸のカルボン酸に対しての添加モル量を変えることにより、イミド化剤と同様に得られるポリイミドフィルムの物性が改良され、特にヘイズが改善される。また、添加する量を多くするとキャストフィルムを基板から剥がしやすくなる傾向がある。これらの傾向から、脱水剤の添加量としてはポリアミド酸のカルボン酸基に対して、0.6〜9.95倍モル当量が、さらには0.8〜7.0倍モル当量、さらに好ましくは1.0〜5.0倍モル当量であることが好ましい。
【0066】
ただし、イミド化剤、脱水剤の上記好ましい範囲は適宜組み合わせて用いることができるが、透明性(ヘイズ)と着色性(YI)の両方を良好にするためには、イミド化剤と脱水剤の添加当量は脱水剤が多いほうが好ましい。また、イミド化剤の添加量と脱水剤の添加量の合計がポリアミド酸のカルボン酸基に対して3.5〜10倍モル当量用いることが必要であるが、透明性が良好な傾向があることと、着色性および線膨張係数の特性を考慮すると、さらには4.8〜8倍モル当量、特に4.8〜6.5倍モル当量であることが好ましい。
【0067】
イミド化剤と脱水剤の割合は特に限定はないが、イミド化剤と脱水剤の添加量の合計に対するイミド化剤の割合が12〜80モル%であることが好ましい。
【0068】
さらには4.8〜8倍モル当量、好ましくは4.8〜6.5倍モル当量であって、イミド化剤と脱水剤の添加量の合計に対するイミド化剤の割合が20%〜60モル%、特には27〜58モル%であることが透明性が良好でかつ着色性、線膨張係数の面から好ましい。
【0069】
ポリアミド酸溶液にイミド化剤や脱水剤を加える際、溶剤に溶かさず直接加えても良いし、溶剤に溶かしたものを加えても良い。直接加える方法ではイミド化剤や脱水剤が拡散する前に反応が急激に進行しゲルが生成することがある。好ましくはイミド化剤や脱水剤を溶剤に溶かし、その溶液をポリアミド酸溶液に混合することが好ましい。
【0070】
所定時間撹拌した後、ポリアミド酸溶液が得られる。そのポリアミド酸を3℃以下、さらには0℃付近、特には0℃以下の低温にしてイミド化剤と脱水剤を加えることが好ましい。イミド化剤と脱水剤を加えた後、溶液を激しく攪拌し真空下もしくは遠心沈殿機等を用いて脱泡した後、ガラスやフィルムなどの基板上に塗布乾燥し、塗膜を成形させる。それを例えば300℃以上に加熱することでポリイミドの塗膜が得られる。
【0071】
加熱によりポリアミド酸の溶剤を除去すると共にイミド化する。この時の加熱条件は低温から徐々に加熱して高温にするのが好ましい。また、最高温度は200〜400℃の範囲が好ましい。加熱雰囲気は空気下、減圧下または窒素等の不活性ガス中で行うことができる。またそれらの雰囲気を組み合わせてもよい。
【0072】
低線膨張と加熱前後の寸法安定性を有することを特徴としており、例えば引っ張り加重法によりこれらの値を測定する場合、10mm×3mmのフィルム試料に加重を6.0gとし、10℃/minの昇温速度で測定したときに、線熱膨張係数が−20〜40ppm/℃、好ましくは−10〜20ppm/℃のポリイミドフィルムを得ることができる。またイミド化剤量の調整によりさらには−5〜10ppm/℃、特には−3〜5ppm/℃のポリイミドフィルムを得ることができる。
【0073】
また、40℃から210℃まで加熱し再び40℃に戻した場合の加熱前後の寸法変化率が±0.1%以内(−0.1%〜+0.1%であることを表す。以下同じ)、さらには±0.05%以内のポリイミドフィルムを得ることができる。またイミド化剤量の調整によりさらには±0.01%以内のポリイミドフィルムを得ることができる。
【0074】
本発明で製造されたポリイミドフィルムの厚みについては特に指定はないが、あまりに薄すぎると得られるフィルムが取り扱いにくくなる。また、逆に分厚いと加熱による溶剤除去がしにくくなり、フィルムのアウトガス量が増加する。フィルム厚みについては、好ましくは10μm〜100μm、さらに好ましくは20μm〜80μmである。
【0075】
ポリアミド酸の分子量はある程度高くないと上記したように得られるポリイミドの機械的物性が十分とはなりにくい。ポリアミド酸は不安定な化合物であり、分子量測定での重合状況の把握に代えて簡便な方法として、得られるポリアミド酸溶液の粘度により重合状況を把握する方法が用いられる。そのポリイミド酸溶液の粘度としては、23℃において500〜4500ポイズ、さらには850〜4000ポイズ、特には1000〜3500ポイズになるように重合条件を決めることが好ましい。溶液粘度が高い場合には取扱いが困難となり、溶液粘度が低い場合には、ポリアミド酸から合成したポリイミドフィルムの機械物性が十分となりがたい。
【0076】
プレポリマーの溶液粘度は、23℃における粘度が1〜200ポイズ、好ましくは2〜150ポイズ、特に好ましくは3〜100ポイズに調整することが可能である。
【0077】
本発明のポリイミドフィルムを構成するポリイミドの分子量を強いて表すとすれば、重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい範囲として表すことが出来る。
【0078】
重量平均分子量が低すぎると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、フィルムの着色が少ないという点からは5000以上、さらには10,000以上が好ましい。一方、重量平均分子量が高すぎると粘度が上昇し、溶媒への溶解性も落ちてくるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
【0079】
ここで用いている分子量とは、ゲルパーミレーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、得られるポリイミドが溶媒可溶性である場合は、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
【0080】
本発明のポリイミドフィルムは、特に優れた寸法安定性を有することを特徴とするが、耐熱性、絶縁性等のポリイミド本来の特性も損なわれておらず、良好である。
【0081】
得られるポリイミドフィルムのヘイズは10%以下、好ましくは7%以下、更に好ましくは5%以下のポリイミドフィルムを得ることも可能である。また、ポリイミドフィルムのYI(黄色度)は、23以下、好ましくは20以下、更に好ましくは17以下のポリイミドフィルムを得ることも可能である。
【0082】
本発明におけるポリイミドフィルムは詳述しているように一般式(6)で示す構造を有することが特徴であるが、ポリイミドフィルムの繰り返し単位中その数の85%以上、さらには93%以上、特には97%以上が上式で示す構造であることが好ましい。実質的すべてが上記式で示す構造であることが最も好ましい。
【0083】
【化6】

【0084】
本発明に係るポリイミドフィルムは、そのまま製品や部材を作製するためのコーティングや成形プロセスに供してもよいが、フィルム状に成形された成形物にさらにコーティング等の処理を行い積層物として用いることが出来る。コーティングあるいは成形プロセスに供するために、該ポリイミドフィルムを必要に応じて溶剤に溶解又は分散させ、さらに、光又は熱硬化性成分、本発明に係るポリイミドフィルム成分以外の非重合性バインダー樹脂、その他の成分を配合して、ポリイミド樹脂組成物を調製してもよい。
【0085】
本発明に係るポリアミド酸溶液の製造方法で得られたポリアミド酸をイミド化したポリイミドを用いて樹脂組成物と成すことが出来る。得られた樹脂組成物に加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子、増感剤等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
【0086】
ポリイミド樹脂組成物は、一般式(6)で表されるポリイミドを、樹脂組成物の固形分全体に対し、通常、5〜99.9重量%の範囲内で含有させて得ることが出来る。また、上記したような配合できる成分の配合割合は、ポリイミド樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましい。少ないと添加物を添加した効果が発揮されにくく、多いと樹脂組成物の特性が最終生成物に反映されにくい。なお、ポリイミド樹脂組成物の固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
【0087】
本発明に係るポリイミドフィルムは、当該フィルムにコーティング等の処理を行い積層物として用いることができる。コーティング等の材質としては無機材料が好ましく、例えば金属酸化物や透明電極等の各種無機薄膜を挙げることができる。積層方法としては、ポリイミドフィルム表面に金属酸化物や透明電極等の各種無機薄膜を形成して用いることができる。これら無機薄膜の製膜方法は特に限定されるものではなく、例えばCVD法、スパッタリング法や真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法を用いることができる。
【0088】
本発明に係るポリイミドフィルムは、耐熱性、絶縁性等のポリイミド本来の特性に加えて、高い寸法安定性を有することから、これらの特性が有効とされる分野・製品、例えば、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー、半導体部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料を形成するのに適している。
【実施例】
【0089】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0090】
[線膨張係数/寸法変化率]
セイコーインスツルメント社製TMA120Cにより測定した。縦10mm、横3mm、のフィルム片の長手方向の片端に6gfの引っ張り応力をかけ、昇温速度10℃/min、降温速度10℃/minで測定を行った。100℃―200℃の昇温過程におけるフィルム片の変化量から線膨張係数を求めた。
【0091】
寸法変化率は、上記線膨張係数試験において、室温から210℃まで加熱後、室温まで冷却した時の50℃でのフィルム寸法変化を示し、
(寸法変化率)%=(冷却時50℃の長さ−加熱時50℃の長さ)/(加熱前の長さ)×100
の式により算出した。
【0092】
[ヘイズ測定]
日本電色工業(株)製 NDH−300Aを用いてフィルムのヘイズを測定した。
【0093】
[YI(黄色度)測定]
日本電色工業(株)製 NR−3000を用いてフィルムのYIを測定した。
【0094】
[粘度測定]
東機産業(株)製 E型粘度計RE550型を用いて、23℃での溶液粘度を測定した。
【0095】
[引張特性(弾性率・引張伸び・引張強度)]
ISO527に準じて、試験片(タイプ2)を引張速度20mm/min.で測定した。
【0096】
(実施例1)
1,000mlセパラブルフラスコに、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン81.0g(252.94mmol)を投入し、515.8gのジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解させ室温で撹拌した。そこへ、3,3’,4,4’-BPDA80.0g(271.91mmol)を加えて室温で3時間撹拌して均一溶液とした後、酢酸189.0gを加えて、23℃で1時間撹拌して前駆体溶液1を得た。
【0097】
更にこの前駆体溶液1に2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン4.9g(15.30mmol)を50.0gのDMAcに溶解させた溶液を添加して23℃で30分撹拌した。こうして得られたポリアミド酸溶液1の23℃における溶液粘度は、2125ポイズであり、固形分濃度は18.0重量%であった。
【0098】
この上記ポリアミド酸溶液80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン1.8g(19.33mmol)、無水酢酸17.9g(175.34mmol)及びDMAc8.3gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、さらに150℃にて約4分間、200℃にて約5分間、250℃にて約3分間、300℃にて約3分間、320℃にて約2分間熱風にて乾燥させてポリイミドフィルム1を得た。ポリイミドフィルム1の弾性率8.3GPa、引張伸び51.3%、引張強度346MPaであった。得られたポリイミドフィルム1の評価結果は表1に記載した。
【0099】
(実施例2)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン3.3g(35.54mmol)、無水酢酸17.9g(175.34mmol)及びDMAc6.8gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム2を得た。ポリイミドフィルム2の弾性率8.4GPa、引張伸び53.4%、引張強度337MPaであった。得られたポリイミドフィルム2の評価結果は表1に記載した。
【0100】
(実施例3)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン5.5g(59.06mmol)、無水酢酸17.9g(175.34mmol)及びDMAc4.6gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム3を得た。ポリイミドフィルム3の弾性率8.5GPa、引張伸び58.6%、引張強度353MPaであった。得られたポリイミドフィルム3の評価結果は表1に記載した。
【0101】
(実施例4)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン6.5g(69.79mmol)、無水酢酸17.9g(175.34mmol)及びDMAc3.5gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム4を得た。得られたポリイミドフィルム4の評価結果は表1に記載した。
【0102】
(実施例5)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン6.5g(69.79mmol)、無水酢酸12.0g(117.54mmol)及びDMAc9.4gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム5を得た。得られたポリイミドフィルム5の評価結果は表1に記載した。
【0103】
(実施例6)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン10.9g(117.04mmol)、無水酢酸12.0g(117.54mmol)及びDMAc5.1gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム6を得た。ポリイミドフィルム6の弾性率9.0GPa、引張伸び52.8%、引張強度346MPaであった。得られたポリイミドフィルム6の評価結果は表1に記載した。
【0104】
(実施例7)
実施例1で得られたポリアミド酸溶1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン13.6g(146.03mmol)、無水酢酸12.0g(117.54mmol)及びDMAc2.4gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム7を得た。ポリイミドフィルム7の弾性率8.8GPa、引張伸び65.1%、引張強度386MPaであった。得られたポリイミドフィルム7の評価結果は表1に記載した。
【0105】
(実施例8)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン8.7g(93.42mmol)、無水酢酸9.6g(94.03mmol)及びDMAc9.7gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム8を得た。得られたポリイミドフィルム8の評価結果は表1に記載した。
【0106】
(実施例9)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン17.5g(187.91mmol)、無水酢酸9.6g(94.03mmol)及びDMAc1.0gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム9を得た。得られたポリイミドフィルム9の評価結果は表1に記載した。
【0107】
(実施例10)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン10.9g(117.04mmol)、無水酢酸7.2g(70.33mmol)及びDMAc9.9gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム10を得た。得られたポリイミドフィルム10の評価結果は表1に記載した。
【0108】
(実施例11)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン16.4g(176.10mmol)、無水酢酸7.2g(70.33mmol)及びDMAc4.5gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム11を得た。得られたポリイミドフィルム11の評価結果は表1に記載した。
【0109】
(比較例1)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン1.8g(19.33mmol)、無水酢酸9.6g(94.03mmol)及びDMAc16.7gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム12を得た。得られたポリイミドフィルム12の評価結果は表1に記載した。
【0110】
(比較例2)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン6.5g(69.79mmol)、無水酢酸7.2g(70.33mmol)及びDMAc14.3gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム13を得た。得られたポリイミドフィルム13の評価結果は表1に記載した。
【0111】
(比較例3)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン3.3g(35.54mmol)、無水酢酸10.8g(105.79mmol)及びDMAc14.0gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させて、その後アルミ箔からフィルムを剥がし、実施例1と同様の乾燥条件でポリイミドフィルム14を得た。得られたポリイミドフィルム14の評価結果は表1に記載した。
【0112】
(比較例4)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン1.1g(11.81mmol)、無水酢酸6.0g(58.77mmol)及びDMAc20.9gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させた。その後アルミ箔からフィルムを剥がそうとしたがゲルフィルムに自立性がなく、フィルムは形成できなかった。
【0113】
(比較例5)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液1、80gを0℃付近に冷却した後、β−ピコリン10.9g(117.04mmol)及びDMAc17.1gを添加して混合した。脱泡した後、アルミ箔上に流延し、約80℃にて約6分間熱風にて乾燥させた。その後アルミ箔からフィルムを剥がそうとしたがゲルフィルムに自立性がなく、フィルムは形成できなかった。
【0114】
【表1】

【0115】
表1の結果から、イミド化剤と脱水剤の添加量の合計がポリアミド酸のカルボン酸基に対して3.5倍モル当量未満で製膜を行った場合、ヘイズ、YIの値が共に高く、透明性が高くかつ低着色のフィルムは得られなかった(比較例1〜3)。
【0116】
また、イミド化剤と脱水剤の添加量の合計がポリアミド酸のカルボン酸基に対して3.5倍モル当量以上で製膜を行った場合、ヘイズ、YIの値が共に低く、透明性が高くかつ低着色のフィルムが得られた(実施例1〜11)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非プロトン極性溶剤及び炭素数15以下の脂肪族カルボン酸の混合物を溶剤とし、ジアミン化合物と酸二無水物を重合して下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸から得られるポリイミドフィルムの製造方法であり、炭素数15以下の脂肪族カルボン酸の割合が0.5以上29重量%未満の溶剤中0〜35℃で重合して得られるポリアミド酸を、三級アミンからなるイミド化剤の添加量と、酸無水物からなる脱水剤の添加量がポリアミド酸のカルボン酸基に対して合計が3.5〜10倍モル当量用いてイミド化することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
【化1】

(式中Rは4価の有機基を、Rは2価の有機基を示す。)
【請求項2】
は、置換、非置換の芳香族基を含む酸二無水物残基であることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項3】
は芳香族基を少なくとも1個有し少なくともその1個が置換基を有するか、あるいは芳香族基を複数個有し分岐あるいは直鎖のアルキル基で結合されていることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項4】
の置換基が炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のハロゲン化アルキル基、ハロゲンから選ばれることを特徴とする請求項3に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項5】
は下記一般式(2)から選択される4価の有機基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【化2】

【請求項6】
は下記一般式(3)から選択される2価の有機基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【化3】

(Rは、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のハロゲン化アルキル基、あるいはハロゲンを示す。)。
【請求項7】
が下記一般式(4)で表される4価の有機基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【化4】

【請求項8】
の構造が下記一般式(5)から選択される2価のビフェニレン基であることを特徴とする請求項1
〜7のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【化5】

(Rは、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のハロゲン化アルキル基、あるいはハロゲンを示す。)。
【請求項9】
が、ハロゲン、もしくはハロゲン化アルキルであることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項10】
が、炭素数が1〜16のフルオロアルキル基であることを特徴とする請求項9に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項11】
イミド化剤として、ピリジン、ピコリン、キノリン、もしくはイソキノリンから選ばれ、脱水触媒が無水酢酸等の酸無水物から選ばれることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項12】
線熱膨張係数が−20〜40ppm/℃以下、加熱前後の寸法変化率が±0.1%以内である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法で製造されたポリイミドフィルム。
【請求項13】
請求項12に記載のポリイミドフィルムに、少なくとも1層の無機材料が積層されていることを特徴とする積層物。


【公開番号】特開2012−102216(P2012−102216A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251097(P2010−251097)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】