説明

ポリウレタンに基づく増粘剤

本発明は、水分散性または水溶性の非イオン性ポリウレタンの水性調製物に基づく増粘剤に関する。該ポリウレタンは、
(a)1分子あたり少なくとも2個のOH基と、官能基−O−(エーテル基)および−COO−(エステル基)から選択される少なくとも2個の官能基を含有する少なくとも一つ親水性ポリオール(a)(ここで、該親水性化合物の分子量は少なくとも300である)、
(b)1分子あたり少なくとも1個のzerewitinoff活性水素原子と、ヘテロ原子と結合していない少なくとも5個の連続する炭素原子を有する少なくとも一つの直鎖状または分枝状の飽和または不飽和アルキル鎖とを含有する少なくとも一つの疎水性化合物(ここで、該疎水性化合物の分子量は100〜500の範囲内である)、
(c)少なくとも一の、少なくとも二官能性のイソシアネート、
の反応によって製造することができ、該ポリウレタンは、該化合物a)、b)およびc)を、OHa):ZHb):NCOc)が1:(1+x):2(1+y)
〔但し、
xは0.05〜1.2の数であり、および
yは(0.2〜1.05)xの数である〕
の原子比率で、互いに反応させることを特徴とする。本発明の増粘剤は、特に水性分散体のための、優れた増粘作用を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非イオン性で水分散性または水溶性の特殊な構造を有するポリウレタンの水性調製物に基づく増粘剤に関する。
【背景技術】
【0002】
水希釈性で水性あるいは大部分が水性の相の形態でのポリウレタン溶液または分散体は、HEUR増粘剤(頭字語HEURは"nonionic hydrophobically modified ethylene oxide urethane block copolymer"に由来する)として専門家に知られ、様々な用途分野で水系エマルジョンペイントの増粘用にかなり以前から用いられてきた。
【0003】
70年代終わりにUS-A 4,079,028号に記載されたHEUR増粘剤は、直鎖及び/又は分枝状ポリエチレングリコールブロックと、一般にはウレタン基(またはアミンをアルコーに代えて用いる場合は尿素基)によって互いに結合した疎水性セグメントから構成されている。
【0004】
HEUR増粘剤の増粘効果は、ポリエチレングリコールセグメントによって水との親和性は確保されるが、疎水性セグメントは相互におよびエマルジョンペイントの分散結合剤粒子と関連し合って、粘度を生じさせる三次元分子構造を増粘すべきエマルジョンペイント中に作り出す、という事実に起因するものと考えられている。
【0005】
市販のHEUR増粘剤において好適な疎水性セグメントは、例えばn-オクタノール、n-ドデカノール、イソトリデシルアルコール、イソノニルフェノールまたはリシノール酸メチルエステルなどの、比較的長鎖の一般的には1価のアルコールである。これらのアルコールは、大部分はそのまま用いられるが、数当量のエチレンオキシドによるその付加生成物の形態でも用いられる。
【0006】
市販のHEUR増粘剤において主に用いられる多官能性イソシアネート単位は、通常は二官能性であって、例えば、メチレン-ビス-(4-シクロヘキシル)-ジイソシアネート、m/p-テトラメチレンキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートまたは4/2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。市販のHEUR増粘剤において用いられるポリエチレングリコールセグメントも、通常は二官能性であって、数千ダルトン、例えば4,500または10,000ダルトンの分子量を有する。
【0007】
HEUR増粘剤の個々の成分、即ち分枝または非分枝のポリエチレングリコール、単官能性または多官能性の疎水性アルコール、予めエトキシル化された単官能性または多官能性の疎水性アルコール、鎖延長二官能性または多官能性の短鎖アルコールの間の比率は、通常、ヒドロキシル基によって今なお反応性である各エチレングリコールセグメント末端で一つの疎水性アルコールが利用可能となるように、選択される。
【0008】
HEUR増粘剤のヒドロキシル末端化された合成単位(Synthesebausteine)は、二官能性または多官能性のイソシアネートとの反応によって一緒に結び付けられ、付加反応において互いに反応すべきイソシアネート基と「H酸性(H-aciden)」基(通常はOH基であるが、それらはNH基であってもよい)の当量比は、各「H酸性」基当量、即ち通常は各OH基について、少なくとも1より僅かに小さなイソシアネート基当量があるようにして、選択される。換言すれば、一方で毒性の理由から望ましくなく、他方で、増粘剤を増粘すべき調製物中でその後に使用する際、配合物成分と不要な二次反応を始め得るので、最終生成物(HEUR増粘剤)がいかなる遊離NCO基も含有しないことを確実とするため、OH:NCO当量比は、通常、少なくとも1:1の値に調節され、1:1の比率が理想的であって、またはOH基はNCO基を5〜10%(OH:NCO当量比1.05:1〜1.1:1に相当)上回る。この基本原理、即ち、HEUR増粘剤の製造において、ポリエチレングリコールと疎水性アルコールセグメントのOH基がイソシアネートセグメントのNCO基を僅かに約5〜10%上回ることは、上記したUS-A- 4,079,028号(第3欄第17行以下を参照)の教示の一部でもある。
【0009】
HEUR増粘剤は、最近では分散化粧品製剤用の増粘剤として、関心が高まってきている(例えばEP-A 787,486号を参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が取り組むべき課題は、既知のポリウレタン増粘剤と比較して、同量で増粘生成物においてより高い粘度を生じさせるのに、その最終完成形態ではより低い固有粘度である、ポリウレタン系増粘剤を提供することであった。また、該増粘剤は、所望すれば、これを揮発性の有機溶媒を使用することなく製造し得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、HEUR増粘剤の増粘効果は、
1.疎水性化合物1分子あたり少なくとも1個のzerewitinoff活性水素原子(ZH基)を含有する(NCO基に対して)反応性の官能基(アルコールによって、OH基となる)と、親水性ポリオールの反応性OH基との比率を上げて通例値の1を遥かに高くし、
2.1当量より明らかに多い多官能性イソシアネートを、OH基およびZH基の合計にとって利用可能とする、
場合に、これを直接的に向上させ得ることが判明した。
【0012】
本発明は、非イオン性で水分散性または水溶性のポリウレタンの水性調製物に基づく増粘剤であって、該ポリウレタンは、
(a)1分子あたり少なくとも2個のOH基と、官能基−O−(エーテル基)および−COO−(エステル基)から選択される少なくとも2個の官能基を含有する一以上の親水性ポリオール(a)(ここで、該親水性化合物の分子量は少なくとも300である)、
(b)1分子あたり少なくとも1個のzerewitinoff活性水素原子を含有する一以上の疎水性化合物(ここで、該疎水性化合物の分子量は100〜500の範囲内であり、およびヘテロ原子と結合していない、少なくとも5個の連続する炭素原子を有する少なくとも一つの直鎖状または分枝状の飽和または不飽和アルキル鎖が、該疎水性化合物1分子につき存在する)、
(c)一以上の少なくとも二官能性のイソシアネート、
の反応によって得ることができ、化合物a)、b)およびc)を、OHa):ZHb):NCOc)が1:(1+x):2(1+y)
〔但し、
xは0.05〜1.2の数であり、および
yは(0.2〜1.05)xの数である〕
の当量比で、互いに反応させることを特徴とする、前記増粘剤に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
用語OHa)は、化合物a)の第1級(末端)OH基を示す。用語ZHb)は、zerewitinoff活性水素原子b)を含有するNCO反応性官能基を示す。用語NCOc)は、化合物c)のイソシアネート基を示す。
【0014】
本発明において、化合物a)の当量はOH当量であり、化合物b)の当量はzerewitinoff活性水素当量であり、化合物c)の当量はNCO当量である。
【0015】
当量の概念はポリウレタン化学の専門家によく知られているが、明確を期するため、その意味を以下に説明する。
【0016】
用語「当量」は、通常の意味に解釈され、分子の利用可能な反応性基に焦点を当てるように意図される。例えば、1モルのモノアルコールは1モルのOH基を含み;1モルのジオールは2モルのOH基を含み、1モルのトリオールは3モルのOH基を含む、等々である。同様に、1モルのジイソシアネート(NCO官能価=2)は2モルのNCO基を含み、(平均)官能価が2.3のポリイソシアネート混合物1モルは平均して2.3モルのNCO基を含む、等々である。例えば、アルコールとイソシアネートを、使用した化合物がOH基またはNCO基に基づく特定の比率となるように互いに反応させる場合、重量比またはモル比に代えて反応性基の比率を保つのが賢明である。このOH:NCO比率を当量比と指称する。
【0017】
一般論としては、当量比は、用いた反応物質において定義された反応性基間の数比である。
【0018】
明確を期するため、当量比をいかにして容易に決定するかの実例を、以下に示す。
【0019】
例えば、
1分子あたり2個のOH基を含有するポリエチレングリコール(PEG、OH官能価=2)1モル
を、本発明の教示に従って、
1分子あたり1個のOH基を含有する疎水性アルコール(OH官能価=1)4モル、および
ジイソシアネート(NCO官能価=2)4モル、
と反応させてポリウレタンを形成する場合には、
用いたPEGは2モルのOH基を含有し、
用いた疎水性アルコールは4モルのOH基を含有し、
用いたジイソシアネートは8モルのOH基を含有することとなる。
【0020】
ポリエチレングリコールのOH基と疎水性アルコールのOH基とジイソシアネートのNCO基の数比は、こうして2:4:8または1:2:4となる。若しくは、逆に、もし、例えば、上記した成分(PEGと疎水性アルコールとジイソシアネート)を1:3:3の当量比で反応させる場合には、ポリエチレングリコールと疎水性アルコールとジイソシアネートは、0.5:3:1.5または1:6:3のモル比で用いなければならない。
【0021】
明確と明瞭を期するため、yは乗算によって得られることを明確に指摘しておく。従って、yについて表された用語、即ち「(0.2〜1.05)x」は、x(xについて示された範囲からの名数を用いることになる)を0.2〜1.05の範囲からの数に乗じなければならないことを意味する。
【0022】
ある態様では、化合物a)、b)およびc)を、OHa):ZHb):NCOc)が1:(1+x):2(1+y)〔ここで、xは0.05〜1.2の数であり、yは(0.2〜1.05)xの数である〕である当量比で互いに反応させる。
【0023】
別の態様では、化合物a)、b)およびc)を、OHa):ZHb):NCOc)が1:(1+x):2(1+y)〔ここで、xは0.15〜1.1の数であり、yは(0.5〜1.03)xの数である〕である当量比で互いに反応させる。
【0024】
好適な態様では、化合物a)、b)およびc)を、OHa):ZHb):NCOc)が1:(1+x):2(1+y)〔ここで、xは0.3〜1.05の数であり、yは(0.5〜1.02)xの数である〕である当量比で互いに反応させる。
【0025】
特に好適な態様では、化合物a)、b)およびc)を、OHa):ZHb):NCOc)が1:(1+x):2(1+y)〔ここで、xは0.5〜1.02の数であり、yは(0.7〜1.01)xの数である〕である当量比で互いに反応させる。
【0026】
〔成分(a)〕
定義により、親水性ポリオール(a)は、1分子あたり少なくとも2個のOH基と、官能基−O−(エーテル基)および−COO−(エステル基)から選択される少なくとも2個の官能基を含有し、これらの親水性化合物の分子量は少なくとも300、好ましくは少なくとも1,000である。このように、成分(a)は、本発明によるHEUR型のポリウレタンの親水性の分子成分である。化合物(a)は親水性ではなくて疎水性である化合物(b)とは基本的に異なることを、明確に指摘しておく。
【0027】
適当な化合物(a)は、例えば、エチレンオキシドの重合生成物、その共重合またはグラフト重合生成物、および多価アルコールまたはその混合物の縮合によって、および多価アルコール、アミド、ポリアミドおよびアミノアルコールのエトキシル化によって得られたポリエーテルである。適当な化合物(a)の例は、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンへのエチレンオキシド付加生成物、EO−POブロックコポリマー、OH−末端化ポリエステル、例えば多官能性ポリカプロラクトン型のものなどである。
【0028】
好適な化合物(a)は、ポリエーテルポリオールである。これらは、1分子あたり少なくとも2個のOH基と少なくとも2個の−O−官能基(エーテル基)を含有する親水性ポリオール(a)である。これらのポリエーテルポリオールは、通常、親水性が高いため、室温(20℃)で水溶性である。
【0029】
少なくとも主にポリエチレングリコールを含有するポリエーテルポリオールは、本発明によるポリウレタンの製造に特に適する。これらのポリエチレングリコールがアルコキシ単位の平均含有量20〜400を有する場合、特に良好な結果が得られる。
【0030】
好適な化合物(a)は、一般式:
HO−(CH−CH−O)−H
〔式中、nは20〜400の値と見なし得る〕のジオールである。該化合物は、ポリエチレングリコールであって、エチレンオキシドのエチレングリコールまたは水との縮合生成物に相当する。これらのポリエチレングリコールの分子量は、好ましくは1,000〜15,000の値に調節される。
【0031】
〔成分(b)〕
成分(b)は、1分子あたり少なくとも1個のzerewitinoff活性水素原子を含有する疎水性化合物であって、この疎水性化合物の分子量は100〜500の範囲内であり、ヘテロ原子と結合していない、少なくとも5個の連続する炭素原子を有する少なくとも一つの直鎖状または分枝状の飽和または不飽和アルキル鎖が、疎水性化合物1分子あたりに存在する。用語「ヘテロ原子」は専門家に既知である。炭素と水素は、言うまでもなくヘテロ原子ではない。
【0032】
N、OまたはSに結合する水素は、それがZerewitinoffにより発明された方法によりヨウ化マグネシウムメチルとの反応によってメタンを生じる場合には、zerewitinoff活性水素(単に「活性水素」と称することもある)と称されることが知られている。zerewitinoff活性水素を含有する化合物の典型例は、官能基としてカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基またはチオール基を含有する化合物である。
【0033】
化合物(b)の分子の基本骨格の大半が疎水性の性質であること、即ち、脂肪族または芳香族−脂肪族であってよい本質的に1個の炭化水素基を有することが、化合物(b)にとって極めて重要である。化合物(b)の分子の基本骨格は、好ましくは脂肪族であって、その場合、飽和または不飽和、直鎖状または分枝状であってよい。
【0034】
化合物(b)は、zerewitinoff活性水素を含有するNCO−反応性官能基のほかに、1分子あたり一以上の他の極性基をさらに含有してよい。これらの極性基は、同様に、zerewitinoff活性水素を有する官能基、並びに−Cl、−FまたはBrのような基も含有してよい。
【0035】
ある態様では、疎水性アルコール(b)は、そのイソシアネート反応性OH基のほかに、イソシアネートに対して不活性な別の一以上の極性基を含有する。本発明によれば、追加の極性基は、好ましくはエーテル基、エステル基、アミド基及び/又はオキサゾリン基であって、上記した、1分子あたり一以上の前記基があることを条件とする。例としては、リシノールオキサゾリンおよびヒマシ油脂肪酸メチルエステルが挙げられる。
【0036】
化合物(b)は、好ましくは1分子あたり6〜24個の炭素原子を含有する。これらの化合物は、好ましくは、zerewitinoff活性水素を含有するただ1個のNCO−反応性官能基を官能基として含有する。例としては、1分子あたり6〜24個の炭素原子を含有するアルコール、カルボン酸およびアミンが挙げられる。
【0037】
1分子あたり1個のNCO−反応性OH基を含有すべき疎水性アルコールを、化合物(b)として好適に使用する。疎水性アルコールは、好ましくは1分子あたり合計6〜24個の炭素原子を含有する。疎水性アルコールは、1分子あたりに必須のNCO−反応性OH基に加えて、1個以上のOH基も含有してよい。例としては、α,β-ジオールが挙げられ、これは、例えば、α-オレフィンと過酸との反応、およびその後の水によって得られるオキシランの開環により得ることができる。
【0038】
特に好適な態様では、1分子あたり6〜24個の炭素原子、とりわけ1分子あたり8〜20個の炭素原子を含有するアルコールを、疎水性アルコール(b)として使用する。これらのアルコールは、飽和または不飽和、直鎖状または分枝状であってよい。上記範囲の鎖長を有する脂肪アルコールおよびオキソアルコールは、特に好適である。1分子あたり8〜20個の炭素原子を含有する直鎖状飽和アルコールは、とりわけ好適であって、単独でまたは組み合わせて用いてよい。
【0039】
適当なアルコール(b)の例は下記の通りである。
自然源からの、またはアルミニウムアルキル触媒の存在下でのエチレンのチーグラー合成反応からの完全に直鎖状のアルコール。特に好適なこのタイプのアルコール(b)は、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノールである。
【0040】
オレフィン(例えばプロピレン及び/又はブチレン)を必要に応じてエチレンと共にオリゴマー化およびコオリゴマー化し、次いで貴金属触媒ヒドロホルミル化(他の異性体化が場合により生じる)することによる、多かれ少なかれ高度にメチル分枝、エチル分枝、プロピル分枝、ブチル分枝またはより高級アルキル分枝されたアルコール。特に好適なこのタイプのアルコール(b)は、Exxal 8、Exxal 9、Exxal 10、Exxal 11、Exxal 13(Exxon社製)、i−ノナノール(Degussa社製)およびi−デシルおよびi−トリデシルアルコール(BASF社製)である。
【0041】
2位で分枝したアルコール。これらは、所謂ゲルベ反応による第1級アルコールの二量化によって得ることのできる、専門家に既知のゲルベアルコールである。特に好適なこのタイプのアルコール(b)は、Isofol 12(Sasol社製)およびRilanit G16(Cognis社製)である。
【0042】
オリゴマー化オレフィンでFriedel-Craftsアルキル化することによって得られ、そのため飽和炭化水素基のほかに芳香環を含有するアルコール。特に好適なこのタイプのアルコール(b)は、i−オクチルフェノールおよびi−ノニルフェノールである。
【0043】
他の適当な疎水性アルコール(b)は、必須のOH基のほかに一以上の他の極性基を含有するが、アルコールが全体として疎水性化合物に分類され得る程度までのみ含有するものである。そのようなアルコールの代表例は、Cognis社から「Edenor MeRi」の名称で市販されているリシノール酸メチルエステルである。
【0044】
ある態様では、上記アルコール(b)は、そのエチレン及び/又はプロピレンオキシドによるアルコキシル化生成物の形態で使用することもできる。
【0045】
〔成分(c)〕
官能価が少なくとも2である適当なイソシアネート(c)は、任意の多官能性芳香族、脂環式および脂肪族イソシアネートである。適当な多官能性イソシアネートは、好ましくは平均して2個ないし最大4個のNCO基を含有する。ジイソシアネートは好適な化合物(c)である。
【0046】
適当なイソシアネートの例は、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化MDI(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジアルキルおよびテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート(TDI)の異性体(所望によるこれらの混合物)、1−メチル−2,4−ジイソシアナト−シクロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,4,4−トリメチルヘキサン、1−イソシアナトメチル−3−イソシアナト−1,5,5−トリメチル−シクロヘキサン、塩素化および臭素化ジイソシアネート、含リンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトフェニルペルフルオロエタン、テトラメトキシブタン−1,4−ジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、エチレン−ジイソシアネート、フタル酸−ビス−イソシアナトエチルエステル、反応性ハロゲン原子含有ポリイソシアネート、例えば、1−クロロメチルフェニル−2,4−ジイソシアネート、1−ブロモメチルフェニル−2,6−ジイソシアネート、3,3−ビス−クロロメチルエーテル−4,4’−ジフェニルジイソシアネートである。
【0047】
硫黄含有ポリイソシアネートは、例えば、2モルのヘキサメチレンジイソシアネートと1モルのチオジグリコールまたはジヒドロキシジヘキシルスルフィドを反応させることによって得られる。その他の重要なジイソシアネートは、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン、1,2−ジイソシアナトドデカンおよびダイマー脂肪酸−ジイソシアネートである。自己架橋性ポリウレタンの生成を可能にする部分マスク化ポリイソシアネート、例えば、二量化トルイレンジイソシアネートまたは、例えば、フェノール、t−ブタノール、フタルイミドもしくはカプロラクタムと部分的に反応させたポリイソシアネートも有用である。
【0048】
本発明の好適な態様では、ポリウレタンの製造に使用されるイソシアネート(c)は少なくとも主としてイソホロンジイソシアネート(IPDI)および/またはテトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)を含有する。成分(c)はもっぱらイソホロンジイソシアネート(IPDI)およびテトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)から成る群から選択するのが好ましい。
【0049】
別の好適な態様では、官能価が2のイソシアネート(二官能性イソシアネート)が用いられる。
【0050】
別の態様では、分枝状ポリウレタンを製造することが所望される場合には、官能価が2より高いイソシアネートを全体的にまたは部分的に用いる。
【0051】
〔本発明に従って用いるべきポリウレタンの製造〕
原則として、本発明に従って使用されるべきポリウレタンは、該当する専門家に既知の任意の方法によって製造してよい。最終生成物は、遊離NCO基を有さないか、若しくは実質的にNCO基を含まないことが好ましい。製造工程は、例えば水の共沸除去、加熱および窒素流の通過、または水を含有しない反応物質の使用など、水を含有しない条件下で行うことが好ましい。所望により、ポリウレタンの製造を溶媒または希釈剤中で行ってよい。これは、反応の間に粘度が上昇した場合に必要となり得る。用いる溶媒または希釈剤は、NCO基に対して不活性でなければならない。適当な溶媒/希釈剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびエチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジアルキルエーテルなどである。溶媒/希釈剤は、最初から系内に存在してよく、またはポリウレタンの製造中および/または製造後に添加してよい。
【0052】
基本的に、反応温度は決定的に重要ではなく、好ましくは40〜130℃の範囲内、とりわけ60〜115℃の範囲内である。反応温度は、好ましくは、反応が十分速く起こり、副産物を最少とするように選択する。
【0053】
ある態様では、触媒の存在下で反応を行う。通常、触媒は下記から選択される。
a)金属含有化合物、例えば、ジブチル錫二酢酸、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ−(2−エチルヘキサノエート)、錫オクトエート、塩化錫、オレイン酸カリウム、テトラ−(2−エチルヘキシル)−チタネート、コバルト−2−エチルヘキサノエート、鉄−2−エチルヘキサノエート、ナフテン酸亜鉛、塩化鉄など、及び/又は
b)アミノ基含有化合物、例えば、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ−オクタン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセンなど。
【0054】
原則として、成分(a)、(b)および(c)を含有すべき本発明に従って使用するポリウレタンのOH:ZH:NCO比率は、広範囲にわたって変えることができるが、上記説明した条件に従うものとする。
【0055】
一般に、化合物(a)、(b)および(c)を互いに反応させる順序は、専門家に一般に既知の方法により決定される。ある態様では、ポリエーテルポリオール(a)およびイソシアネート(c)を、まず互いに反応させる。生成する中間生成物は、上記のようにして維持すべき当量比の結果として、アロファネートを含有する。次いで、アルコール(c)を添加する。別の態様では、化合物(a)、(b)および(c)を同時に用いる。この場合、上記好適な範囲内の比較的高い反応温度に調節し、及び/又は、中間体アロファネート構造の形成を促進させる触媒を使用することが好適であり得る。いかなる場合でも、生成物が最少の残存NCO含有量しか有さなくなるまで、反応を継続するのが好適である。この残存NCO含有量は、ゼロ値まで調節するのが好ましく、即ち、反応の経過はサンプリングとNCO含有量の測定に従い、残存するNCO含有量がもはや測定できなくなったときに反応を終了する。
【0056】
〔増粘剤濃縮物〕
本発明はまた、増粘剤濃縮物であって、
(A)水、
(B)(a)1分子あたり少なくとも2個のOH基と、官能基−O−(エーテル基)および−COO−(エステル基)から選択される少なくとも2個の官能基を含有する一以上の親水性ポリオール(a)(ここで、該親水性化合物の分子量は少なくとも300である)、
(b)1分子あたり少なくとも1個のzerewitinoff活性水素原子を含有する一以上の疎水性化合物(ここで、該疎水性化合物の分子量は100〜500の範囲内であり、およびヘテロ原子と結合していない、少なくとも5個の連続する炭素原子を有する少なくとも一つの直鎖状または分枝状の飽和または不飽和アルキル鎖が、該疎水性化合物1分子につき存在する)、
(c)一以上の少なくとも二官能性のイソシアネート、
の反応であって、化合物a)、b)およびc)を、OHa):ZHb):NCOc)が1:(1+x):2(1+y)
〔但し、
xは0.05〜1.2の数であり、および
yは(0.2〜1.05)xの数である〕
の当量比で互いに反応させて、得ることができる非イオン性で水分散性または水溶性のポリウレタン、および
(C)必要に応じ、エチレン及び/又はプロピレンオキシドのC8−18アルコールへの付加化合物の形態での一以上の有機溶媒及び/又は非イオン性界面活性剤、
を含有する、前記濃縮物にも関する。
【0057】
前述の所見は、化合物(B)に関する好適な態様に当てはまる。
溶媒(C)は揮発性有機溶媒である。この種の溶媒としては、低分子量アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、エタンジオール、ブタンジオール、グリセロールおよびトリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0058】
8〜18アルコールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加化合物型の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコール1モルあたり2〜4モルのエチレンオキシドを含有するものである。アルコールの炭素鎖は、飽和または不飽和、直鎖状または分枝状であってよい。適当なこの種の化合物(C)の一例は、Dehydol O4(Cognis Deutschland GmbH & Co. KGの製品)であって、これはオクタノール1モルあたりエチレンオキシド4モルの付加生成物である。
【0059】
本発明は、水性増粘系、好ましくは水性分散液であって、水系の自動車用および産業用ペイント、印刷用および繊維製品用インク、顔料印刷用ペースト、水系医薬用調製物、化粧用調製物または医薬/化粧用調製物、植物保護用調製物、充填剤および顔料分散体、洗浄用および被覆用組成物、洗剤、接着剤、ワックスおよびポリッシュの、並びに石油生産用の製剤からなる群から選択されるもののための、本発明による増粘剤または増粘剤濃縮物の使用に関する。
【実施例】
【0060】
〔使用した略語〕
PEG:ポリグリコールE8000(Dow Chemical社製ポリエチレングリコール;ヒドロキシル価=13)
IPDI:イソホロンジイソシアネート(IPDI、Degussa/Huels製)
TMXDI:m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI、Cytec社製)
i−C10−OH:イソデシルアルコール(オキソメチル化プロペン三量体;「Exxal 10」、Exxon Mobil Chemical社の製品)
BuOc−OH:2−ブチル−1−オクタノール
Dehydol O4:n−オクタノール1モルへのエチレンオキシド4モルの付加生成物(Cognis社製)
【0061】
〔ポリウレタン製造〕
〔実施例1〕(比較用)
1リットルの4つ口フラスコ内へ「ポリグリコールE8000」(Dow Chemical社製のポリエチレングリコール;OH価13)[207.1g(24mmol)]を導入した。次いでフラスコを排気し、窒素で2回パージした。その後、減圧を施し、混合物を100℃に加熱した。次に、少なくとも10mbarの減圧下、その温度で2時間にわたって水を除去した。次いで、フラスコを窒素パージした後、弱い窒素流によって不活性ガス雰囲気を維持した。残りの反応の間、フラスコの内容物を120rpmで撹拌した。次に、イソデシルアルコール7.6g(48mmol)とイソホロンジイソシアネート(IPDI、Degussa/Huels)10.7g(48mmol)をこの順序で添加した。添加の間および残りの反応の間、反応温度を110℃に保った。反応1時間後、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(ニトロイル社製)0.05gを触媒として添加した。
【0062】
残存イソシアネートが検出されなくなったら(この場合には、約2時間の全反応時間後)、さらに加熱もしくは冷却を行うことなく、Dehydol 04 deo(4モルのエチレンオキシドと1モルのn−オクタノールとの付加生成物;コグニス社製の市販品)143.6gを添加し、均一になるまで全体を撹拌した。温度は100℃よりも低下した。次に、撹拌下で脱イオン水359.0gを添加し、均一になるまで撹拌した。粘性のある透明淡黄色のポリマー溶液(約700g)を反応槽から単離した。(上記のように調製したポリマー溶液約1〜2gを10cmアルミニウム皿に入れ、105℃で1.5時間、循環空気乾燥棚内で乾燥することによって決めた)乾燥残渣は48.6重量%であり、ブルックフィールド粘度は2.75Pas(ブルックフィールドRVT粘度計、スピンドル6、20rpm、22℃)であった。
【0063】
〔実施例1a〕(本発明)
イソデシルアルコール11.4g(72mmol)を実施例1で用いた7.6g(48mmol)に代えて使用し、イソホロンジイソシアネート15.1g(68mmol)を実施例1で用いた10.7g(48mmol)に代えて使用する以外は実施例1と同様の手順で行った。また、146.9gのDehydol 04 deoを143.6gに代えて用い、367.3gの脱イオン水を359.0gに代えて用いた。粘性のある透明淡黄色のポリマー溶液約730gを反応槽から単離した。乾燥残渣は48.4重量%であった。得られたポリマー溶液の粘度は4.75Pasであった。
【0064】
〔実施例1b〕(本発明)
イソデシルアルコール13.3g(84mmol)を実施例1で用いた7.6g(48mmol)に代えて使用し、イソホロンジイソシアネート16.5g(74mmol)を実施例1で用いた10.7g(48mmol)に代えて使用する以外は実施例1と同様の手順で行った。また、149.5gのDehydol 04 deoを143.6gに代えて用い、373.8gの脱イオン水を359.0gに代えて用いた。3時間の反応時間後、残存イソシアネートはもはや検出できなかった。粘性のある透明淡黄色のポリマー溶液約740gを反応槽から単離した。乾燥残渣は49.1重量%であった。得られたポリマー溶液の粘度は4.0Pasであった。
【0065】
〔実施例1c〕(本発明)
イソデシルアルコール15.2g(96mmol)を実施例1で用いた7.6g(48mmol)に代えて使用し、イソホロンジイソシアネート18.1g(82mmol)を実施例1で用いた10.7g(48mmol)に代えて使用する以外は実施例1と同様の手順で行った。また、150.8gのDehydol 04 deoを143.6gに代えて用い、377.0gの脱イオン水を359.0gに代えて用いた。粘性のある透明淡黄色のポリマー溶液約750gを反応槽から単離した。乾燥残渣は49.2重量%であった。得られたポリマー溶液の粘度は5Pasであった。
【0066】
〔実施例2〕(比較用)
1リットルの4つ口フラスコ内へ「ポリグリコールE8000」(Dow Chemical社製のポリエチレングリコール;OH価13)[207.1g(24mmol)]を導入した。次いでフラスコを排気し、窒素で2回パージした。その後、減圧を施し、混合物を100℃に加熱した。次に、少なくとも10mbarの減圧下、その温度で2時間にわたって水を除去した。次いで、フラスコを窒素パージした後、弱い窒素流によって不活性ガス雰囲気を維持した。残りの反応の間、フラスコの内容物を120rpmで撹拌した。2−ブチル−1−オクタノール8.9g(48mmol)、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI、Cytec社製)11.7g(48mmol)および(触媒として)1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(ニトロイル社製)0.05gをこの順序で添加した。添加の間および残りの反応の間、反応温度を110℃に保った。
【0067】
残存イソシアネートが検出されなくなったら(この場合には、約6時間の全反応時間後)、さらに加熱もしくは冷却を行うことなく、Dehydol 04 deo(4モルのエチレンオキシドと1モルのn−オクタノールとの付加生成物;コグニス社製の市販品)139.1gを添加し、均一になるまで全体を撹拌した。温度は100℃よりも低下した。次に、撹拌下で脱イオン水347.8gを添加し、均一になるまで撹拌した。粘性のある透明淡黄色のポリマー溶液(約700g)を反応槽から単離した。(上記のように調製したポリマー溶液約1〜2gを10cmアルミニウム皿に入れ、105℃で1.5時間、循環空気乾燥棚内で乾燥することによって決めた)乾燥残渣は48.0重量%であり、ブルックフィールド粘度は3.25Pas(ブルックフィールドRVT粘度計、スピンドル6、20rpm、22℃)であった。
【0068】
〔実施例2a〕(本発明)
以下の量で、実施例2と同様に加工を行った。
186.3g(22mmol)の「ポリグリコールE8000」(Dow Chemical社製のポリエチレングリコール;OH価13)
9.9g(53mmol)の2−ブチル−1−オクタノール
12.9g(53mmol)のm−テトラメチルキシレンジイソシアネート
0.05gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(ニトロイル社製)
127.1gのDehydol 04 deo
317.7gの脱イオン水
【0069】
粘性のある透明淡黄色のポリマー溶液約640gを反応槽から単離した。乾燥残渣は48.6重量%であった。得られたポリマー溶液の粘度は3.25Pasであった。
【0070】
〔実施例2b〕(本発明)
以下の量で、実施例2と同様に加工を行った。
165.7g(19mmol)の「ポリグリコールE8000」(Dow Chemical社製のポリエチレングリコール;OH価13)
10.8g(58mmol)の2−ブチル−1−オクタノール
12.9g(53mmol)のm−テトラメチルキシレンジイソシアネート
0.05gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(ニトロイル社製)
114.1gのDehydol 04 deo
285.2gの脱イオン水
【0071】
粘性のある透明淡黄色のポリマー溶液約570gを反応槽から単離した。乾燥残渣は48.9重量%であった。得られたポリマー溶液の粘度は3.0Pasであった。
【0072】
〔実施例2c〕(本発明)
以下の量で、実施例2と同様に加工を行った。
207.1g(24mmol)の「ポリグリコールE8000」(Dow Chemical社製のポリエチレングリコール;OH価13)
13.6g(73mmol)の2−ブチル−1−オクタノール
17.2g(71mmol)のm−テトラメチルキシレンジイソシアネート
0.05gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(ニトロイル社製)
143.7gのDehydol 04 deo
359.2gの脱イオン水
【0073】
粘性のある透明淡黄色のポリマー溶液約720gを反応槽から単離した。乾燥残渣は48.3重量%であった。得られたポリマー溶液の粘度は3.75Pasであった。
【0074】
〔実施例2d〕(本発明)
以下の量で、実施例2と同様に加工を行った。
434.9g(50mol)の「ポリグリコールE8000」(Dow Chemical社製のポリエチレングリコール;OH価13)
37.6g(202mol)の2−ブチル−1−オクタノール
39.5g(162mmol)のm−テトラメチルキシレンジイソシアネート
0.11gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(ニトロイル社製)
330.3gのDehydol 04 deo
825.8gの脱イオン水
【0075】
この場合には、2時間の反応時間後、残存イソシアネートは検出できなかった。
粘性のある透明淡黄色のポリマー溶液約1650gを反応槽から単離した。乾燥残渣は48.2重量%であった。得られたポリマー溶液の粘度は2.25Pasであった。
【0076】
分散体の増粘効果の測定
上記実施例によるポリマー活性成分(Dehydol 04を含有しない活性物質に基づき、またこれを表す)0.2%の量を、プロパンジオール31.4重量%および水68.6重量%の混合物と均一に混合した。次いで、水性ポリアクリレート分散体「ネオクリル(Neocryl)XK90」(固形分濃度45%;ネオ・レジンズ社製)20gを添加し、この混合物を、木製ヘラを用いて均一になるまで約2分間撹拌した。
混合物を20時間放置した後、木製ヘラを用いて再び注意深く撹拌した。
【0077】
次に、粘度は、コーン(cone)C50−1を備えたブルックフィールド・コーン/プレート粘度計「Haake RC20-CPS-P」を用い、300s−1および4800s−1の剪断速度で測定した。
次いで、同一試料のICI粘度を、エップレヒト(Epprecht)−コーン/プレート粘度計(測定コーンC)で測定した。
【0078】
次に、同様にして、水性ビニルアセテート/エチレン−コポリマー分散体(「モヴィリス(Mowilith)LDM1871」、固形分濃度53%、クラリアント社製)におけるポリウレタンの増粘作用を、コーンC50−1を備えた「Haake RC20-CPS-P」ブルックフィールド・コーン/プレート型粘度計によって、300s−1の剪断速度、並びに4800s−1の剪断速度で測定した。
【0079】
得られた粘度値を下記表1および2に示す。表の第1欄は、どのポリマー活性成分をHEUR増粘剤として使用したかを示すが、表の第2〜5欄は、明確を期するため、増粘剤に関連する構造パラメータ(上記実施例中に示した)を示す。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
〔結果〕
本発明によるポリウレタンを用いると、全体として、明らかにより良好な増粘効果が得られることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン性で水分散性または水溶性のポリウレタンの水性調製物に基づく増粘剤であって、該ポリウレタンは、
(a)1分子あたり少なくとも2個のOH基と、官能基−O−(エーテル基)および−COO−(エステル基)から選択される少なくとも2個の官能基を含有する一以上の親水性ポリオール(a)(ここで、該親水性化合物の分子量は少なくとも300である)、
(b)1分子あたり少なくとも1個のzerewitinoff活性水素原子を含有する一以上の疎水性化合物(ここで、該疎水性化合物の分子量は100〜500の範囲内であり、およびヘテロ原子と結合していない、少なくとも5個の連続する炭素原子を有する少なくとも一つの直鎖状または分枝状の飽和または不飽和アルキル鎖が、該疎水性化合物1分子につき存在する)、
(c)一以上の少なくとも二官能性のイソシアネート、
の反応によって得ることができ、化合物a)、b)およびc)を、OHa):ZHb):NCOc)が1:(1+x):2(1+y)
〔但し、
xは0.05〜1.2の数であり、および
yは(0.2〜1.05)xの数である〕
の当量比で、互いに反応させることを特徴とする、前記増粘剤。
【請求項2】
成分(a)は、1,000〜15,000の範囲内の分子量を有するポリエチレングリコールの群から選択される、請求項1に記載の増粘剤。
【請求項3】
成分(b)は、C6−24脂肪アルコールの群から選択される、請求項1または2に記載の増粘剤。
【請求項4】
成分(c)は、イソホロンジイソシアネートおよびテトラメチルキシレンジイソシアネートからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の増粘剤。
【請求項5】
増粘剤濃縮物であって、
(A)水、
(B)請求項1〜4のいずれかに記載の非イオン性で水分散性または水溶性のポリウレタン、および
(C)必要に応じ、エチレン及び/又はプロピレンオキシドのC8−18アルコールへの付加化合物の形態での一以上の有機溶媒及び/又は非イオン性界面活性剤、
を含有する、前記濃縮物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の増粘剤の、増粘エマルジョンペイントのための使用。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の増粘剤の、増粘水性分散液のための使用。
【請求項8】
水性分散液は化粧品製剤である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
水性分散液は洗浄用および被覆用組成物である、請求項7に記載の使用。

【公表番号】特表2008−505232(P2008−505232A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519661(P2007−519661)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006743
【国際公開番号】WO2006/002813
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】