説明

ポリウレタンゲルフォーム

本発明はポリウレタンゲルフォームならびに最新の創傷治療における該ポリウレタンゲルフォームの使用に関する。特に本発明は、該ポリウレタンゲルフォームを含む、中〜強度滲出性創傷治療用創傷被覆材に関する。ここで、前記ポリウレタンゲルフォームは、a)f≦3の官能価fを有するイソシアネート成分A、b)f≦6の官能価fを有する高分子ポリオール成分Bおよびc)少なくとも1つのウロン酸またはその塩を含む多糖類C、から製造され、ここで、前記イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、前記高分子ポリオール成分B中ならびに前記多糖類C中のヒドロキシル基、カルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比が1:2〜1:30である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリウレタンゲルフォームならびに最新の創傷治療における該ポリウレタンゲルフォームの使用に関する。特に本発明は該ポリウレタンゲルフォームを含む、中〜強度滲出性創傷治療用創傷被覆材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンゲルフォームはしばらく前から知られてきている。たとえば、国際出願公開第88/01878号によれば、粘着性のポリウレタンフォームまたはポリウレタンゲルフォームが開示されている。これらのポリウレタンゲルフォームは創傷被覆材の創傷接触層として使用される。
【0003】
さらに、国際公開第92/17518号および同第94/07935号により、親水性ポリウレタンゲルフォームが開示されている。これらのフォームは、少なくとも1つのポリエーテルポリオール、少なくとも1つのジイソシアネート、水、促進剤および、1または複数の高吸収剤から製造され、そこで、これらの成分は混合されて、必要によりガスの供給下で起泡される。
【0004】
さらに、国際公開第97/43328号により、脂肪族ジイソシアネート、ポリオール成分、安定剤および反応促進剤から製造される粘着性のポリウレタンゲルまたはポリウレタンフォームゲルが開示されている。これらのポリウレタンフォームゲルは多糖類成分をまったく含んでいない。
【0005】
米国特許第5,833,665号により、カテーテルを固定するための創傷被覆材が知られている。この創傷被覆材は、イソシアネート・プレポリマーとバイオポリマーから製造される薬剤放出式創傷パッドを含む。バイオポリマーは特に、ペクチン、ゼラチンまたはアルギンであってよい。
【0006】
加えてさらに、国際公開第00/47241号により、創傷接触層として使用するための、イソシアネート成分またはイソシアネート・プレポリマー、水、およびアルギン酸またはその塩から製造されるポリウレタンフォームが開示されている。必要により、この反応混合物には1価のC−Cアルコールが添加されてよい。このポリウレタンフォームは、アルギン酸が組み込まれることにより、向上した吸収力を有する。
【0007】
国際公開第01/62818号によれば、ポリウレタン粘着剤を製造するために、2種のポリオール、またはNCO基と反応するその他の材料をイソシアネートと反応させることが提案されており、ここでは、イソシアネートと反応する成分は互いに相違しており、第1のポリオール成分は2000より大きいモル質量を有し、第2のポリオール成分は2000を下回るモル質量を有している。
【0008】
さらに、欧州特許公開第1923077号により、親水性粘着性ポリウレタンエラストマーを含む創傷接触層を有する多層式創傷被覆材が開示されている。この場合、該エラストマーは、ジイソシアネート・プレポリマーと高分子ポリヒドロキシ成分から製造される。
【0009】
ここで、総じて、上記提案されたポリウレタンゲルフォームの少なくとも一部は創傷滲出液に対する透過性が少な過ぎる旨確認することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、上記従来の技術から出発して、本発明の目的は、別の改善されたポリウレタンゲルフォームと、それによって製造される分泌性創傷治療のための創傷被覆材を提供することである。該ポリウレタンゲルフォームは、最新の創傷保護において、創傷接触層としての使用に特に適していなければならない。このポリウレタンゲルフォームによって製造される創傷被覆材は、さらに、創傷付着性を有していてはならないと同時に、創傷周囲の皮膚の浸軟を防止するものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、上記課題は、請求項1記載のポリウレタンゲルフォームによって達成される。その際、創傷接触層として使用するための本発明のポリウレタンゲルフォームは、反応に供される少なくとも以下の成分:
a)f≦3の官能価fを有するイソシアネート成分A、
b)f≦6の官能価fを有する高分子ポリオール成分Bおよび
c)少なくとも1つのウロン酸またはその塩を含む多糖類C
から得られ、その際、イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、高分子ポリオール成分B中ならびに多糖類C中のヒドロキシル基、カルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比は1:2〜1:30である。
【0012】
上記とは独立に、特に創傷接触層としてのポリウレタンゲルフォームを含む創傷被覆材も本発明の対象である。このポリウレタンゲルフォームは、反応に供される少なくとも以下の成分:
a)f≦3の官能価fを有するイソシアネート成分A、
b)f≦6の官能価fを有する高分子ポリオール成分Bおよび
c)少なくとも1つのウロン酸またはその塩を含む多糖類C
から得られ、その際、イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、高分子ポリオール成分B中ならびに多糖類C中のヒドロキシル基、カルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比は1:2〜1:30である。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態において、イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、高分子ポリオール成分B中ならびに多糖類C中のヒドロキシル基、カルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比は1:3〜1:30であり、特に1:4〜1:30、とりわけ1:4〜1:20、とりわけ好ましくは1:5〜1:20であってもよい。
【0014】
この場合、高分子ポリオール成分Bならびに多糖類Cのいずれもが、反応相手としてイソシアネート成分Aと反応することが強調される。この場合、多糖類Cは一方でイソシアネート成分Aと、ヒドロキシル基の存在によりウレタン結合を形成する様反応し、他方でウロン酸のカルボキシル基の存在によりアミド結合を形成する様反応する。このアミド結合の形成は同時にガス状二酸化炭素を放出しながら行われ、これによって、さらなるガスの導入を必要とせずにポリウレタンゲルフォームが得られる。
【0015】
こうして得られたポリウレタンゲルフォームは特に皮膚に優しく、とりわけ、身体と直接接触しても、創傷または創傷周囲の皮膚に刺激を生じさせることがない。少なくも1つのウロン酸と共に多糖類を使用することにより、創傷滲出液の透過キネティクスの向上をもたらす新しいポリマー構造を有するポリウレタンゲルフォームを提供することが可能である。このポリウレタンゲルフォームを含んでなる創傷被覆材の利点は、特にこのポリウレタンゲルフォームを創傷接触層として使用することにより、一方で、吸収層と創傷との間にスペーサー層が作り出され、これによって、他の創傷に付着しやすい材料も吸収層として使用することができると共に、他方で、このポリウレタンゲルフォームにより、そのフォーム特性によって創傷から吸収層への創傷液の輸送の向上を可能にする、創傷付着性のない創傷接触層が作り出されることである。加えてさらに、この創傷被覆材は浸軟、すなわち創傷周囲の皮膚の軟化とそれに伴う損傷を防止するかまたは少なくともそうした症状を制限することができる。それゆえ、創傷周囲の皮膚を保護すると共に創傷治癒を大きく促進する創傷被覆材を提供することが可能である。
【0016】
この場合、特に、本発明によるポリウレタンゲルフォームを得るために、上記成分以外に、該成分中に含まれている残留量を別とすれば、水が反応に供されることはない。したがって、反応に供される以下の成分:
a)f≦3の官能価fを有するイソシアネート成分A、
b)f≦6の官能価fを有する高分子ポリオール成分Bおよび
c)少なくとも1ウロン酸またはその塩を含む多糖類C
によって得られるポリウレタンゲルフォームまたはこのポリウレタンゲルフォームを含む創傷被覆材も本発明の対象であり、その際、反応は水の添加なしに行われると共に、イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、高分子ポリオール成分B中ならびに多糖類C中のヒドロキシル基、カルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比は、1:2〜1:30である。
【0017】
したがって、無水ポリウレタンゲルフォームも本発明の対象である。この場合、本発明に関連して、無水ポリウレタンゲルフォーム、または任意の無水化合物もしくは無水成分とは、ポリウレタンゲルフォームの重量、またはそれぞれの化合物もしくは成分の重量を基準にして、4重量%未満の水分を含んだポリウレタンゲルフォーム、化合物、または成分として理解される。なかでも、このようなポリウレタンゲルフォームまたはこのような化合物あるいは成分は2重量%未満、特に1重量%未満、とりわけ0.5重量%未満の水分を含む。
【0018】
さらに加えてまたはその代わりとして、本発明のさらに別の実施形態において、イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、多糖類C中のカルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比は1:0.5〜1:10であってよい。特に、この場合、イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、多糖類C中のカルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比は1:1〜1:10、特に好ましくは1:2〜1:10、とりわけ好ましくは1:3〜1:10に調整されてよい。これによって、特に均質なフォーム構造を有するポリウレタンフォームを提供することが可能である。
【0019】
本発明によれば、f≦3の官能価fを有するイソシアネート成分Aが使用される場合に、本発明によるポリウレタンゲルフォームが得られる。第1の実施態様によれば、そうした成分として理解されるのは、概念上の化学式の形において最大3つのイソシアネート基を有するイソシアネート成分である。本発明によれば、この反応基数は、使用されるべき成分比を決定するために用いられる。使用されたイソシアネート成分Aの実際に存在する平均官能価
【数1】

はこの官能価fとは異なっていてよい。
【0020】
またさらに、本発明のさらに別の実施態様によれば、イソシアネート成分Aとして理解されるのは、脂肪族、脂環式、ヘテロ環式、芳香族、ヘテロ環式芳香族由来の、f≦3の官能価fを有する、つまり、理想的には最大3つのイソシアネート基を有するイソシアネートである。さらに別の実施態様によれば、イソシアネート・プレポリマーと称される−脂肪族、脂環式、ヘテロ環式、芳香族またはヘテロ環式芳香族、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートとポリオールから製造され、かつf≦3の官能価fを有するイソシアネートもそうした成分として理解される。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、イソシアネート成分Aとして、とりわけ、1≦f≦3の官能価fを有するイソシアネート、とくに脂肪族または脂環式イソシアネートを使用することが可能である。特に好ましいのは、2≦f≦3の官能価fを有するイソシアネートである。
【0022】
十分な安定性を有するポリウレタンゲルフォームを製造すべく、本発明により、脂肪族もしくは脂環式の、ジイソシアネートもしくはポリイソシアネート、または非芳香族が結合したイソシアネート基を有するジイソシアネートまたはポリイソシアネートを使用することができる。驚くべきことに、脂肪族または脂環式のジイソシアネートまたはポリイソシアネートは、本発明の目的に合致したポリウレタンゲルフォームのその他の望ましい特徴を作り出すのにも適していることが見い出された。特に強調すべき点は、脂肪族または脂環式のジイソシアネートまたはポリイソシアネートを使用することによって、表面特有の選択的粘着性を非常に良好に調整することができるということである。
【0023】
本発明による適切なジイソシアネートまたはポリイソシアネートの例を挙げれば、芳香族ジイソシアネートとしてのMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、TDI(トルイレンジイソシアネート)、XDI(キシレンジイソシアネート)、NDI(ナフタレンジイソシアネート)またはフェニレンジイソシアネートである。ただし、特に、脂肪族または脂環式ジイソシアネートまたはポリイソシアネートとして、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、テトラメトキシブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロブタン、1−イソシアナトメチル−3−イソシアナト−1,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロン−ジイソシアネート、IPDI)、1−メチル−2,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,4,4−トリメチルヘキサン、5−イソシアナト−1−(2−イソシアナトエト−1−イル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、5−イソシアナト−1−(3−イソシアナトプロプ−1−イル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、5−イソシアナト−1−(4−イソシアナトブト−1−イル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロプ−1−イル)−シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(2−イソシアナトエト−1−イル)−シクロヘキサン、2−ヘプチル−3,4−ビス(9−イソシアナトノニル)−1−ペンチルシクロヘキサンまたはノルボルナンジイソシアナトメチルが使用可能である。ただしまた、塩素化、臭素化、イオウまたはリン含有脂肪族または脂環式ジイソシアネートまたはポリイソシアネート、ならびに上記ジイソシアネートの誘導体とくに二量体化または三量体化されたタイプも使用可能である。特に、本発明によれば、この場合、脂肪族または脂環式ジイソシアネートまたはポリイソシアネートのウレトジオンまたはイソシアヌレートを使用することが可能である。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態によれば、脂肪族または脂環式ジイソシアネートまたはポリイソシアネートまたはそれらの混合物から製造されるポリウレタンゲルフォームが好ましい。特に、この場合、線状脂肪族または脂環式ジイソシアネートが好ましく、さらに、5員または6員の脂環式ジイソシアネートが好ましい。特に好ましい実施形態において、創傷滲出液の非常に良好な透過運動を可能にする6員の脂環式ジイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネートが使用される。
【0025】
さらに、イソシアネート成分として、脂肪族または脂環式ジイソシアネートまたはポリイソシアネートおよびジオールまたはポリオール由来のプレポリマーが好ましく、さらに、脂環式ジイソシアネート由来のプレポリマーが好ましく、この場合、特にポリオールとしてポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールが使用される。このようなイソシアネート・プレポリマーは、分子量が相対的に高いポリヒドロキシ化合物(ポリオール)、たとえばポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールと余剰量のジイソシアネートまたはポリイソシアネートとの反応によって製造される。この場合、イソシアネート基が異なった反応性を有していることが有利である。こうした特性により、望ましくないモノマー含有量が抑制される。これらの生成物はさらに、低い粘性および、優れた加工性を有している。たとえば、イソホロンジイソシアネート(3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、IPDI)は、このように異なった(選択的)反応性を有する2つのイソシアネート基を有している。
【0026】
したがって、さらに別の好ましい実施形態によれば、イソシアネート成分Aとしてイソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート・プレポリマーまたはそれらの混合物が使用される場合に得られる、ポリウレタンゲルフォームが特に好ましく、ここでは、イソホロンジイソシアネート・プレポリマーはイソホロンジイソシアネートとf≦3の官能価fを有するポリエーテルポリオールDから得られる。
【0027】
とりわけ好ましいのは、イソホロンジイソシアネートとポリエーテルポリオールDから得られるイソホロンジイソシアネート・プレポリマーがイソシアネート成分Aとして使用される場合に得られるポリウレタンゲルフォームであり、ここでは、ポリエーテルポリオールDは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・ポリプロピレングリコールまたはそれらの混合物からなる群から選択されると共に、ポリエーテルポリオールDは、特に、M(D)=2000g/mol以上、M(D)=10,000g/mol以下の数平均の平均モル質量Mを有する。
【0028】
したがって、本発明によれば、イソシアネート成分Aとして、特に、式(I)のイソホロンジイソシアネート・プレポリマーが反応に供され得る。
【化1】

【0029】
本発明によれば、特に、n=0およびm=1〜120が当てはまる式(I)のイソシアネート・プレポリマーが好ましい。とりわけ好ましくは、n=0およびm=30〜120、特に好ましくはn=0およびm=30〜90、特に好ましくはn=0およびm=40〜80が当てはまるプレポリマーが使用される。
【0030】
ただし、本発明のさらに別の実施形態によれば、n=1〜120およびm=0が当てはまる式(I)のプレポリマーを使用することも可能である。この場合、特に好ましくは、n=30〜120およびm=0、特に好ましくはn=30〜90およびm=0、とりわけ好ましくはn=40〜80およびm=0が当てはまるプレポリマーが使用される。
【0031】
一般に、本発明の範囲で使用可能なイソシアネート・プレポリマー、とりわけジイソシアネート・プレポリマーは、約500g/mol〜約15,000g/mol、好ましくは約500g/mol〜約10,000g/mol、さらに好ましくは約1,000g/mol〜約10,000g/mol、特に好ましくは約2,000g/mol〜約10,000g/mol、とりわけ好ましくは約3,000g/mol〜約10,000g/molの数平均の平均モル質量を有する。
【0032】
本発明によれば、高分子ポリオール成分Bとしてf≦6の官能価fを有するポリオール成分が使用される場合に、本発明によるポリウレタンゲルフォームが得られる。そうした成分として理解されるのは、第1の実施態様におけるイソシアネート成分Aと同様に、概念上の化学式の形において最大6つのヒドロキシ基を有するポリオール成分である。本発明によれば、この反応基数は、使用されるべき成分比を決定するために使用することができる。使用されたポリオール成分の実際に存在する平均官能価
【数2】

はこの官能価fとは異なっていてよい。
【0033】
本発明の好ましい実施形態によれば、ポリオール成分Bとして、とりわけ、3≦f≦6の官能価fを有するポリオール、とくにポリエーテルポリオールを使用することが可能である。特に好ましいのは、3≦f≦5の官能価fを有するポリエーテルポリオールである。とりわけ好ましいのは、4≦f≦5の官能価fを有するポリエーテルポリオールである。
【0034】
本発明による適切なジオールまたはポリオールの例を挙げれば、オキシアルキル・ポリマー、好ましくは2、3、4、5または6つのヒドロキシル基を有し、OH価が20〜112かつエチレンオキシド含有量が、≧10重量%、好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは10〜20重量%のポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリチオール・ポリオール、ポリアミン化合物である。この場合、ガラス転移温度はできるだけ低くすべきであり、したがって約20℃未満、好ましくは約0℃未満、特に好ましくは約−10℃未満である。
【0035】
数平均の平均モル質量M(B)が600〜12,000g/molのポリエーテルポリオールが好ましく、かつ、これらは公知の方法、たとえば反応性H原子を有する出発化合物とアルキレンオキシド(たとえばエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフランまたはエピクロロヒドリン、またはこれらの2つもしくはそれ以上からなる混合物)との反応によって得ることができる。同じくテトラメチレンエーテルグリコールも使用することが可能である。同じく、たとえばモノエチレングリコール(MEG)、ジプロピレングリコール(DPG)、トリメチロールプロパン(TMP)によるさらにその他の改良も可能である。現在では、好ましくは医療使用向けに、脂肪族ポリエーテルポリオールが使用されている。
【0036】
適切な出発化合物はたとえば、水、エチレングリコール、1,2または1,3−プロピレングリコール、1,4または1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、およびそれらの高級同族体、ネオプレングリコール、1,4−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、2,2−(ビス−4,4’−ヒドロキシフェニル)−プロパン、トリメチロールプロパン、グリセリンまたはペンタエリトリット、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、糖、フェノール、イソノニルフェノール、レゾルシン、ヒドロキノン、1,2,2−または1,1,2−トリス−(ヒドロキシフェニル)−エタン、アンモニア、メチルアミン、エチレンジアミン、テトラ−またはヘキサメチレンアミン、トリエタノールアミン、アニリン、フェニレンジアミン、2,4−および2,6−ジアミノトルエンおよび、アニリン−ホルムアルデヒド縮合によって得られるようなポリフェニルポリメチレンポリアミン、またはこれらの上記出発化合物の混合物である。
【0037】
特に、本発明によるポリウレタンゲルフォームを製造するためのポリオール成分Bとして、ポリエーテルポリオールを使用することができる。この場合、特に好ましくは、数平均の平均モル質量M(B)が600〜12,000g/molのポリエーテルポリオールを使用することができる。ただし、特に、数平均の平均モル質量M(B)が600〜10,000g/mol、特に1,000〜10,000g/mol、とりわけ好ましくは2,000〜10,000g/molのポリエーテルポリオールも使用することが可能である。また、数平均の平均モル質量M(B)が3,000〜10,000g/molのポリエーテルポリオールが使用されれば、さらに好ましいことが判明した。
【0038】
同じく、ジオールまたはポリオール成分として適しているのは、OH基を有するポリアクリレートである。これらは、たとえば、OH基を有するエチレン不飽和モノマーの重合によって得られる。このようなモノマーは、たとえば、エチレン不飽和カルボン酸と二官能価アルコールのエステル化によって得られ、その際、アルコールは通例やや過剰に存在している。このような不飽和カルボン酸は、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸である。OH基を有するエステルに相当するものは、たとえば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−プロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレートまたは3−ヒドロキシプロピル−メタクリレート、またはそれらの2つもしくはそれ以上からなる混合物である。
【0039】
同じく、ジオールまたはポリオール成分として適しているのは、数平均の平均モル質量が特に約200〜約10,000g/molのポリエステルポリオールである。したがって、たとえば、低分子量アルコールとくにエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセリンまたはトリメチロールプロパンとカプロラクトンとの反応によって生ずるポリエステルポリオールを使用することができる。同じく、ポリエステルポリオールを製造するための多官能アルコールとして適しているのは、1,4−ヒドロキシ−メチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,4−ブタントリオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレン−グリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコールである。その他の適切なポリエステルポリオールは重縮合によって製造可能である。したがって、二官能および/または三官能アルコールは、ジカルボン酸および/またはトリカルボン酸、またはそれらの反応性誘導体の化学量論的不足している基でポリエステルポリオールに縮合させることができる。適切なジカルボン酸は、たとえば、アジピン酸またはコハク酸および16個までのC原子を有するそれらの高級同族体、さらに、不飽和ジカルボン酸、たとえばマレイン酸またはフマル酸ならびに芳香族ジカルボン酸、とくに異性フタル酸、たとえばフタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸である。トリカルボン酸としては、たとえば、クエン酸またはトリメリット酸が適切である。上記の酸は個々にまたはそれらのうちの2つもしくはそれ以上からなる混合物として使用することが可能である。特に適切なのは、少なくとも上記ジカルボン酸のいずれか1つとグリセリンからなる、残留量のOH基を有するポリエステルポリオールである。特に適切なアルコールは、ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはネオペンチルグリコールまたはそれらの2つもしくはそれ以上からなる混合物である。特に適切な酸は、イソフタル酸またはアジピン酸またはそれらの混合物である。特に5000g/molを超える範囲の、数平均の高い平均モル質量Mを有するポリエステルポリオールは、たとえば、多官能の、好ましくは二官能アルコール(場合により、僅かな量の三官能アルコールと共存)と多官能の、好ましくは二官能カルボン酸との反応生成物を含む。遊離ポリカルボン酸に代えて、(可能であれば)相当する無水ポリカルボン酸または、好ましくは1〜3個のC原子を有するアルコールとのポリカルボン酸エステルも使用することが可能である。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族またはヘテロ環式ポリカルボン酸であってよい。これらは、場合により、たとえばアルキル基、アルケニル基、エーテル基またはハロゲンによって置換されていてよい。ポリカルボン酸としては、たとえば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、二量体脂肪酸または三量体脂肪酸、またはそれらの2つもしくはそれ以上からなる混合物が適切である。場合により、反応混合物中に少量の一官能脂肪酸が存在していてよい。ポリエステルは、場合により、僅かな割合のカルボキシ末端基を有していてよい。ラクトン、たとえばε−カプロラクトン、またはヒドロキシカルボン酸たとえばω−ヒドロキシカルボン酸から得られるポリエステルも同じく使用することが可能である。
【0040】
上記のジオールまたはポリオールは混合することも可能である。その場合、適合性が考慮されなければならない。好ましくは、本発明に関連して、脂肪族ポリエステルポリオールが使用される。
【0041】
本発明によれば、少なくとも1つのウロン酸を含んだ少なくとも1つの多糖類Cがイソシアネート成分Aおよびポリオール成分Bと共に反応に供されることによって、本発明のポリウレタンゲルフォームが得られる。この場合、本発明に関連して、少なくとも10個の互いにグリコシド結合された単糖類分子からなる高分子化合物が多糖類として理解されることとする。これに関連して、少なくとも9個の単糖類分子と1個のウロン酸分子からなり、これらの成分がグリコシド結合されている多糖類が、少なくとも1つのウロン酸またはその塩を含んだ多糖類として理解されることとする。さらに、ウロン酸は、その第一アルコール官能基(−CHOH)が酸化されてカルボキシル基(−COOH)をなす単糖類である。したがって、ウロン酸(アルデヒド酸)は以下の一般式(II)を有する。
【化2】

【0042】
特に、本発明によれば、n=5または6が当てはまるようなのウロン酸が使用される。したがって、本発明の、さらなる発展した態様によれば、特に、一般式(III)の少なくとも1つのペンツオロン酸または一般式(IV)の1つのへキスロン酸を含んだその種の多糖類を使用することができる。
【化3】

【0043】
本発明の発想のさらなる発展した態様によれば、特に、ウロン酸として、グルロン酸もしくはその塩、マンヌロン酸もしくはその塩、ガラクツロン酸もしくはその塩、グルクロン酸もしくはその塩、イズロン酸もしくはその塩、またはこれらの酸もしくはそれらの塩の混合物を含んだその種の多糖類Cも反応に供されることができる。
【0044】
ただし、特に、多糖類Cは、アルギン酸もしくはその塩、ヒアルロン酸もしくはその塩、グルコサミノグルカンもしくはその塩、キサンタンもしくはその塩、またはこれらの多糖類もしくはそれらの塩の混合物からなる群から選ばれるようにしてもよい。これらの多糖類は異なった量のウロン酸を有している。したがって、たとえば、グルコサミノグルカンは天然に分布する多糖類として、ウロン酸としてのグルクロン酸またはイズロン酸を含む二糖類の1−4結合された単位を有する。
【0045】
とりわけ好ましくは、多糖類Cとして、アルギン酸またはその塩を使用することができる。アルギン酸は一般式(V)で表される構造を有している。したがって、アルギン酸は基本的にマンヌロン酸とグルロン酸からなっている。
【化4】

【0046】
特に、本発明によれば、互いに独立してn,m=200〜1,000が当てはまる、式(V)に示したようなアルギン酸が好ましい。とりわけ好ましくは、互いに独立してn,m=200〜1,000、特に好ましくはn,m=400〜1,000、とりわけ好ましくはn,m=600〜1,000が当てはまる、そのようなアルギン酸が使用される。
【0047】
さらに、好ましくは、多糖類Cとして、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム・カルシウムまたはそれらの混合物を使用することが可能である。これらの多糖類の骨格鎖は、ほぼ100%、グルロン酸とマンヌロン酸からなっている。したがって、ウロン酸の割合が高いことにより、創傷接触層として使用するのに特に適したポリウレタンゲルフォームを供することができる。このポリウレタンゲルフォームは、創傷滲出液の透過を特に促進する気泡構造を有している。
【0048】
一般に、本発明の範囲で使用可能な多糖類Cに、とりわけ使用されるアルギン酸またはその塩は、約2,000g/mol〜約300,000g/mol、好ましくは約5,000g/mol〜約300,000g/mol、更に好ましくは約10,000g/mol〜約300,000g/mol、特に好ましくは約10,000g/mol〜約250,000g/mol、とりわけ好ましくは100,000g/mol〜約250,000g/molの数平均の平均モル質量を有する。
【0049】
必要に応じ、本発明によるポリウレタンゲルフォームはさらに助剤および添加剤を用いて製造可能である。本発明によれば、助剤および添加剤として、特に、触媒、軟化剤、安定剤、たとえば酸化防止剤もしくは光安定剤、粘着付与剤、染料、充填剤、増粘剤またはレオロジー添加剤を使用することができる。
【0050】
この場合、本発明によるポリウレタンゲルフォームを製造するための触媒として、特に、2〜18個、好ましくは6〜18個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状、飽和または不飽和カルボン酸系のカルボン酸ビスマス(III)を使用することができる。さらに、第三カルボキシル基を有する分岐飽和カルボン酸、たとえば2,2−ジメチル−オクタン酸(たとえばバーサチック酸、Shell Deutschland)のビスマス(III)塩、が好ましい。特に適しているのは、これらのカルボン酸の割合が過剰な、これらのビスマス(III)塩の調合品である。優れていることが実証されているのは、ビスマス含有量が約17%の、過剰のバーサチック10酸(2,2−ジメチルオクタン酸)3モル中のビスマス(III)塩1モルの溶液である。これらの触媒は、特に、高分子ポリオール成分B中にあらかじめ加えておくことが可能である。この場合、これらの触媒は、高分子ポリオール成分Bを基準にして、好ましくは0.03〜0.5重量%の量で使用される。
【0051】
軟化剤としては、たとえばフタル酸誘導体、たとえば6〜12個の炭素原子を有すると共に直鎖アルカノールとエステル化されたフタル酸エステル、たとえばジオクチルフタレートが使用される。ポリエチレングリコールおよびそれらの誘導体、植物油および動物油たとえば脂肪酸のグリセリンエステルおよびそれらの重合生成物、並びにベンゾエート化合物(ベンゾエート軟化剤たとえば蔗糖安息香酸エステル、ジエチレングリコールジベンゾエートおよび/またはヒドロキシル基全体の約50〜約95%がエステル化されたジエチレングリコールベンゾエート)、ホスフェート軟化剤たとえばt−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ポリエチレングリコールおよびそれらの誘導体たとえばポリ(エチレングリコール)のジフェニルエーテル、液状ネーバルストア、たとえば水素化樹脂のメチルエステルも、同じく軟化剤として適切である。特に好ましいのは脂肪族ジエステル、たとえばアジピンまたはセバシンジノニルエステルである。
【0052】
本発明の範囲で使用される安定剤(酸化防止剤)としては、ヒンダードフェノール、たとえばBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)、Irganox(登録商標)1010,1076,1330,1520(Ciba Speciality Chemicals)ならびにトコフェロールである。特に好ましくは、ビタミンE(α−トコフェロール)が使用される。同じく、多官能価フェノールならびにイオウおよびリン含有化合物および/または1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;ペンタエリトリットテトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;n−オクタデシル−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール);2,6−ジ−t−ブチルフェノール;6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン;ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ホスホネート;2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼン;およびソルビットヘキサ[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]も使用可能である。光安定剤としては、たとえばTinuvin(登録商標)生成物(Ciba Speciality Chemicals)、ベンゾトリアゾール化合物、サリチレート、置換トリルおよび金属キレート化合物が適切であり、ここでは、ベンゾトリアゾール誘導体が好ましい。上記化合物の組合わせも可能である。通例の使用量は0.1〜10重量%である。酸化防止剤は、高分子ポリオール成分Bを基準にして、好ましくは0.15〜0.5重量%の量で使用される。
【0053】
ポリウレタンゲルフォームの所定の特性を調整するために、専門的な市販の、その他の添加剤を使用することが可能である。これらに該当するのは、たとえば、染料たとえば二酸化チタン、充填剤たとえばタルク、白墨、粘土等である。同じく、一定の親水性ポリマー、たとえばPVOH(ポリビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルメチルエーテルおよびセルロースエステル、とくにそれらの低置換度酢酸塩も組み入れることが可能である。これらはポリウレタンゲルフォームの湿潤性を高めることができる。充填剤としては、ポリウレタン化学において通例使用される充填剤がそうしたものとして理解される。これには、酸化亜鉛、酸化チタンおよびケイ酸誘導体(たとえばAerosile(登録商標)(Degussa))も挙げられる。その他の添加剤として、たとえば有機系または無機系の短繊維(たとえば、紡織繊維)を挙げておくこととする。
【0054】
下地の湿潤性を高めるために、ポリウレタンゲルフォームには、通例の湿潤剤たとえばポロキサマー(ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体)、ソルビタンエステル、脂肪酸たとえばSpan(登録商標)(Sigma−Aldrich)、ポリオキシエチレンソルビタンと脂肪酸とのエステルたとえばポリソルベートまたはポリソルベート(登録商標)(Spectrum Chemical)、ポリオキシエチル化された水素化ひまし油たとえばCremophor(登録商標)(BASF)、ポリオキシエチレンステアレートたとえばMyrj(登録商標)(Uniqema)、またはこれらの湿潤剤の任意の組合わせを添加することができる。好ましくは、湿潤剤としてポリソルベートが使用される。
【0055】
さらに、ポリウレタンゲルフォームは粘着付与樹脂を含んでいてよい。一般に、1500g/molまでの数平均の平均モル質量を有する天然樹脂、改質天然樹脂および合成樹脂を使用することができる。樹脂とその他の成分との適合性はその都度、専門的な通例のルーチンテストで調べられなければならない。たとえば炭化水素樹脂とくにC5〜C9樹脂、好ましくはC5樹脂で改質されたC9樹脂等が適切である。すべての炭化水素樹脂は部分水素化または完全水素化されていてよい。同じく、天然樹脂たとえばバルサム樹脂またはタル樹脂も使用される。上記の樹脂は、相当する多官能価アルコールたとえばペンタエリトリットエステル、グリセリンエステル、ジエチレングリコールエステル、トリエチレングリコールエステルまたはメチルエステルとエステル化されて使用されることも可能である。公知の商用品は、たとえば、「Staybelite」ster 10、「Foral」85−105、「Hercolyn」D、「Alresen」214R、「Alresen」191R、「Alresen」500R80および「Cellolyn」21sである。ポリテルペン樹脂ならびにテルペンフェノール樹脂も同じく粘着付与樹脂として組み込むことが可能であり、同じく、合成樹脂:ケトン樹脂、クマロン樹脂およびインデン樹脂ならびに炭化水素樹脂たとえば商品名「ケトン樹脂」N、「Lutonal」J30、「Lutonal」J60、「Vinnapas」B17、「Vinnapas」50V1、炭化水素樹脂95KW10、KW20およびKW30も組み入れることが可能である。ポリビニルエーテルも効果的な粘着付与剤である。アクリル樹脂も同じく単独でまたは上記の粘着付与剤と混合して使用可能である。
【0056】
特に好ましい実施形態において、特に、ポリウレタンゲルフォームと、特に創傷接触層としてポリウレタンゲルフォームを含む創傷被覆材も本発明の対象である。この場合、ポリウレタンゲルフォームは以下の成分:
a)f≦3の官能価fを有するイソシアネート成分A、
b)f≦6の官能価fを有する高分子ポリオール成分B、
c)少なくとも1つのウロン酸またはその塩を含む多糖類Cおよび
d)助剤および添加剤
から得られ、その際、イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、高分子ポリオール成分B中ならびに多糖類C中のヒドロキシル基、カルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比は1:2〜1:30であり、上記助剤および添加剤は、触媒、安定剤および酸化防止剤からなる群から選ばれる。特に、この場合、助剤および添加剤として、カルボン酸ビスマス(III)触媒およびビタミンEが使用される。
【0057】
このようにして得られたポリウレタンゲルフォームは、加えてさらに、粘着特性を有していてよい。したがって、本発明のさらに別の実施形態において、特に、粘着性ポリウレタンゲルフォームと、特に創傷接触層としての粘着性ポリウレタンゲルフォームを含む創傷被覆材も本発明の対象である。
【0058】
この場合、粘着性ポリウレタンゲルフォームとは、ヒトの皮膚または組織に対して弱〜中強度の粘着性を有するゲルフォームである。特に、本発明による創傷被覆材は、0.05〜5N/25mm、特に0.05〜3N/25mm、とりわけ好ましくは0.05〜2N/25mmの粘着力を有する。この場合、テスト1(テスト方法、参照)による剥離角90°でのスチールに対する粘着力が測定される。
【0059】
本発明による創傷接触層として、第1の面と第2の面とを有した層が理解される。ここで、創傷被覆材の適正な使用状態において、第1の面は創傷と直接に接触するように、創傷被覆材を形成する。この場合、創傷接触層の形態および寸法に関してはなんらの制限もない。この創傷接触層は、吸収層に対して全面に及ぶかまたは不連続的に延び、および/または均等なまたは不均等な層厚を有し、および/または規則的もしくは不規則的なパターンを有していてよい。
【0060】
本発明によれば、創傷接触層は吸収層と結合せられる。したがってこれにより、創傷接触層は、上記第2の面の少なくとも1つの領域において、適正な使用状態において、吸収層の創傷側の第1の面と直接に接触していることが理解されることとする。特に好ましくは、創傷被覆材は、上記第2の面が、吸収層の第1の面と全面的に結合された創傷接触層を含んでなる。あるいは、創傷接触層は吸収層と一体に結合されていてもよい。これにより、互いに結合されて隣接する2つの層はそれらの境界面において分離不能なつなぎ層を形成していることが理解される。加えてさらに、これらの一体結合層により、互いに化学的および/または物理的に結合されて分離不能な層からなる積層体が供される。
【0061】
したがって、キャリア層と、第1および第2の面を有した吸収層と、第1および第2の面を有した創傷接触層とからなり、創傷接触層の第2の面は、吸収層の第1の面と全面的に結合されていると共にポリウレタンゲルフォームを含む多層式創傷被覆材も同じく本発明の対象である。特に好ましくは、この創傷被覆材は、吸水層の第1の面と全面にわたって接する創傷接触層を有している。とりわけ好ましくは、この創傷被覆材は、吸収層と一体結合されて、特に、吸収層の第1の面と全面にわたって接する創傷接触層を有する。
【0062】
最後に、創傷被覆材は、吸収層の第1の面に全面にわたって接している創傷接触層ではなく、吸収層に空所とした個別の領域を設け、同所にたとえば患者の皮膚に創傷被覆材を固定するための粘着剤を付着させるようにした創傷接触層を有するようにすることも可能である。あるいは、創傷被覆材は、規則的または不規則的に配置された空所を有する不連続的な創傷接触層が選択されることにより、吸収層に対して必ずしも全面にわたって接していないように形成されていてもよい。これらの空所は創傷から吸収層への創傷液の透過の改善を実現する。
【0063】
さらに、層厚が1000μm未満の創傷接触層を含んでなる創傷被覆材は、特に好ましい実施形態であることが明らかになった。したがって、本発明による創傷被覆材は、特に、層厚10〜1000μm、特に10〜500μm、とりわけ好ましくは10〜250μmの創傷接触層を有している。こうした層厚を有する創傷被覆材は一方で、創傷付着性を示すことなく、他方で、創傷から分泌される創傷滲出液を吸収して吸収層に送る能力を示す。これらの層厚は創傷接触層のいかなる箇所でも同一であるかまたは創傷接触層の異なった領域で異なった値をとっていてもよい。吸収層としては、今日、現代の通常の創傷治療において吸収層としての用途が見出されている全ての材料を使用することが可能である。この場合、特に、湿式創傷治療に適用可能な類の材料を挙げることができる。ただしとりわけ、創傷分泌液を吸収する吸収作用を果たすと共に創傷に湿分を付与するような吸収層が好ましい。さらに、透明または半透明のような吸収層が好ましい。本発明の特に好ましい実施態様において、創傷被覆材は吸収層として親水ポリマーフォーム、吸収性フリースまたは不織布、少なくとも1つのヒドロコロイドを含んだポリマーマトリックス、凍結乾燥フォームまたはそれらの組合わせを含んでいる。
【0064】
吸収層として親水性ポリマーフォームが使用される場合には、創傷被覆材は治療されるべき創傷に特に良好に適合することが判明した。この場合、ポリマーフォームとしては特に親水性ポリウレタンフォームが適切である。したがって、特に好ましい創傷被覆材は、親水性ポリウレタンフォームからなる吸収層を含んでなる。これらのポリウレタンフォームは、少なくとも10g/g、特に少なくとも12g/g、とりわけ好ましくは、少なくとも15g/gの自由吸収能を有しており、この自由吸収能はDIN−EN 13726−1(2002)に準拠して測定される。さらに、好ましくは、これらのフォームは、平均して1000μm未満、特に200〜1000μm、とりわけ好ましくは200〜700μmの細孔径を有している。この場合、吸収層の第1の表面の細孔径の値は吸収層の第2の表面の細孔径の値と相違していてよい。さらに、好ましい親水性ポリウレタンフォームは、150kg/m未満、特に140kg/m未満、とりわけ好ましくは70〜120kg/mの密度を有する。
【0065】
本発明による別途の実施形態において、吸収層は、特に、セルロースからなる非水溶性繊維を含んでおり、特に、高度脱リグニン工業用セルロース繊維、特に、木材セルロース繊維、とりわけ繊維長が5mm未満のこれらの繊維を含んでいる。また、繊維材料は、再生セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースからなる親水性繊維材料も含んでもよい。また、セルロース繊維、再生セルロース繊維、カルボキシメチルセルロース繊維、カルボキシエチルセルロース繊維、ヒドロキシメチルセルロース繊維またはヒドロキシエチルセルロース繊維と、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルからなる繊維との繊維混合物を使用することも可能である。とりわけ好ましい実施形態において、吸収層は、セルロース繊維、ポリプロピレン繊維および、好ましくは架橋されたポリアクリル酸ナトリウムからなる粒子状の高吸水性ポリマーからなる混合物を含んでいる。
【0066】
キャリア層としては、さまざまな材料を使用することが可能である。通例、創傷被覆材には、繊維キャリア材料、不織布、ポリマー膜またはポリマーフォームが使用される。本発明による創傷被覆材のキャリア層としては、特に、ポリマー膜またはポリマーフォームが使用可能である。とりわけ好ましいのは、高い水蒸気透過率を有するポリマー膜である。これには、特に、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン、ポリエーテル−ポリアミド−共重合体、ポリアクリレートまたはポリメタクリレートから製造される膜が適している。特に、ポリマー膜としては、ポリウレタン膜、ポリエステルウレタン膜またはポリエーテルウレタン膜が好ましい。ただし、15〜50μm、特に20〜40μm、とりわけ好ましくは25〜30μmの厚さを有するようなポリマー膜もとりわけ特に好ましい。
【0067】
創傷被覆材のポリマー膜の水蒸気透過率は、好ましくは、少なくとも750g/m/24h、特に少なくとも1000g/m/24h、とりわけ好ましくは少なくとも2000g/m/24hである(DIN EN 13726に準拠して測定)。特に好ましい実施形態において、これらの膜は防湿粘着性端縁部を有している。この端縁部により、創傷被覆材が指定どおりの箇所に貼付されて固定され得ることが保証される。加えてさらに、この膜と治療されるべき面の周囲の皮膚との間から液体が流れ出ないようにすることが保証される。20〜35g/mで薄く塗設されて、上記の膜と連携して、少なくとも800g/m/24h、好ましくは少なくとも1000g/m/24h(DIN EN 13726に準拠して測定)の水蒸気透過率を示す粘着剤が特に好ましいと考えられる。
【0068】
本発明による創傷被覆材の別の特に好ましい実施形態において、キャリア層はポリマーフォームから製造されていてもよい。特に、この実施態様において、ポリマーフォームはポリウレタンフォームである。このポリウレタンフォームは基本的に閉鎖気孔ポリウレタンフォームから製造されており、特に0.01〜2mmの厚さを有している。この場合、基本的に閉鎖気孔ポリウレタンフォームは、これらのフォームが水蒸気透過性を有すると共に汚染ならびに細菌に対するバリアを示している点からして、特に有利なことが明らかである。このキャリア材料は、特に好ましくは、少なくとも750g/m/24h、特に少なくとも1000g/m/24h、とりわけ好ましくは少なくとも1200g/m/24h(DIN EN 13726に準拠して測定)の水蒸気透過率を有する。
【0069】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明による創傷被覆材は、キャリア層および吸収層として2種の異なったポリウレタンフォームからなる積層体を有する。特にこの創傷被覆材は、2種の異なったポリウレタンフォームからなり、かつ創傷被覆材の適正な使用状態において創傷に対向する面が粘着性ポリウレタンゲルフォームで被覆された積層体からなっている。したがって、特に、疎水性の、ただし水蒸気透過性を有する第1のポリウレタンフォームからなるキャリア層と、親水性吸収性ポリウレタンフォームからなる吸収層と、吸収層と結合された、特に吸収層と一体に結合された、親水フォームとは異なる粘着性ポリウレタンゲルフォームからなる創傷接触層とを含んでなる創傷被覆材が本発明の対象である。特に、この創傷被覆材は、創傷接触層よりも高い自由吸収能を有する吸収層も含んでいる。この創傷被覆材は、創傷接触層によって創傷付着が生ずることもなく、また創傷周囲の皮膚の浸軟も引き起こさず、創傷から滲出した創傷液の速やかな吸収が行われると共に、創傷周囲の皮膚に創傷被覆材を固定することができるため、最新の創傷治療の支援手段として特に有利に使用することが可能である。
【0070】
本発明による創傷被覆材の別の実施形態において、創傷接触層はさらに、創傷治癒を積極的に支援する少なくとも1つの薬剤、特に、抗微生物剤、ビタミンまたはプロビタミン、脂肪酸または脂肪酸エステルまたは組織合成を積極的に促進する薬剤を含んでいる。
【0071】
特に好ましい別の実施形態によれば、創傷接触層はさらに、少なくとも1つの抗微生物剤を含んでいる。この場合、特に、抗菌金属またはそれらの塩類、特に銀またはその塩類が適切である。特に好ましい実施形態において、創傷接触層は抗微生物剤と当該抗微生物剤のためのキャリア材料を含んでいる。この場合、好ましくは、キャリア材料として、抗微生物作用を有する金属−好ましくは銀または銀塩−で被覆された不織布または繊維材料、たとえば編布、織布または編織布を使用することができる。その際、ポリウレタンゲルフォームは無水であれば特に有利である。
【0072】
本発明の発想のさらなる発展させた態様によれば、キャリア層と、吸収層と、創傷接触層と、分配層とを含んでなり、かつ、創傷接触層はポリウレタンゲルフォームを含んでいる多層式創傷被覆材も同じく本発明の対象である。特に、吸収層は創傷接触層と結合されている。このような創傷被覆材は特に有利なことには、キャリア層と特に親水性ポリウレタンフォームからなる吸収層との間に分配層を有している。この分配層により、吸収された創傷液を特に吸収層上方において創傷被覆材の全面にわたって分配することが可能とされる。すなわち、創傷液の吸収は、z方向(創傷からキャリア層への方向)に行われるだけでなく、(創傷被覆材の面全体にわたって)x−y方向にも行なわれることになる。
【0073】
さらに別の態様によれば、ポリウレタンゲルフォームの製造方法、とりわけ、特に創傷被覆材の創傷接触層として使用するための上述したポリウレタンゲルフォームの製造方法も本発明の対象である。したがって、創傷接触層として使用するためのポリウレタンゲルフォームの製造方法であって、該ポリウレタンゲルフォームは、反応に供される少なくとも以下の成分:
a)f≦3の官能価fを有するイソシアネート成分A、
b)f≦6の官能価fを有する高分子ポリオール成分Bおよび
c)少なくとも1つのウロン酸またはその塩を含んだ多糖類C
から得られ、その際、イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、高分子ポリオール成分B中ならびに多糖類C中のヒドロキシル基、カルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比は1:2〜1:30であることを特徴とする方法も本発明の対象である。
【0074】
この場合、本発明のさらに別の実施形態によれば、イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、高分子ポリオール成分B中ならびに多糖類C中のヒドロキシル基、カルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比は1:3〜1:30であり、更に1:4〜1:30、特に1:4〜1:20、とりわけ好ましくは1:5〜1:20であってもよい。
【0075】
この場合、高分子ポリオール成分Bならびに多糖類Cのいずれもが、反応相手としてイソシアネート成分Aと反応することが強調される。この場合、多糖類Cは一方でイソシアネート成分Aとヒドロキシル基の存在によりポリウレタン結合を形成する様に反応し、他方でウロン酸のカルボキシル基の存在によりアミド結合を形成する様に反応する。このアミド結合の形成は同時にガス状二酸化炭素を放出しながら行われ、これによって、さらなるガスの導入を必要とせずにポリウレタンゲルフォームが得られる。
【0076】
したがって、特に、粘着性ポリウレタンゲルフォームの製造方法も本発明の対象である。
【0077】
この場合、上記とは独立に、第1の方法ステップにおいて、ポリオール成分Bと多糖類Cとは混合されて、ポリオール・多糖類分散液となる。さらに別の好ましい方法の実施形態において、第1の方法ステップにて、ポリオール成分Bと多糖類Cとは混合されて、ポリオール・多糖類分散液とし、こうして作られたポリオール・多糖類分散液は、第2の方法ステップにて、イソシアネート成分Aとの反応に供される。この場合、ポリオール・多糖類分散液には、その他の助剤および添加剤が混入されていてよい。
【0078】
特に好ましいのは、イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、多糖類C中のカルボキシル基とカルボキシル基の総数との比を1:0.5〜1:10としたポリウレタンゲルフォームの製造方法である。
【0079】
加えてさらに、イソシアネート成分Aが、脂肪族ジイソシアネートまたはポリイソシアネート、脂環式ジイソシアネートまたはポリイソシアネート、またはそれらの混合物からなる群から選ばれる、ポリウレタンゲルフォームの製造方法が好ましい。この場合、特に好ましくは、イソシアネート成分Aとして、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート・プレポリマーまたはそれらの混合物が使用され、その際、イソホロンジイソシアネート・プレポリマーは特にイソホロンジイソシアネートとf≦3の官能価fを有するポリエーテルポリオールDから得られる。この場合、とりわけ好ましくは、ポリエーテルポリオールDは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−ポリプロピレングリコールまたはそれらの混合物からなる群から選ばれ、その際、ポリエーテルポリオールDはM(D)=2000g/mol以上、M(D)=10,000g/mol以下の数平均の平均モル質量Mを有する。
【0080】
上記とは独立に、上記方法では、特に好ましくは、ポリオール成分Bとして、3≦f≦6の官能価fを有するポリオールを使用することが可能である。特に、ポリオール成分Bとして、さらに好ましくは、3≦f≦6の官能価fを有するポリエーテルポリオールを使用することが可能である。さらに、好ましくは、ポリオール成分Bとして、数平均の平均モル質量Mが3,000〜10,000g/molのポリエーテルポリオールを使用することが可能である。
【0081】
本発明の発展させた実施形態によれば、ポリウレタンゲルフォームの製造方法に、ウロン酸としてグルロン酸もしくはその塩、マンヌロン酸もしくはその塩、ガラクツロン酸もしくはその塩、グルクロン酸もしくはその塩、イズロン酸もしくはその塩、またはこれらのウロン酸もしくはそれらの塩の混合物を含んだ多糖類Cを使用することができる。特に、上記方法に、多糖類Cとして、アルギン酸もしくはその塩、ヒアルロン酸もしくはその塩、グルコサミノグルカンもしくはその塩、キサンタンもしくはその塩、またはこれらの多糖類もしくはそれらの塩の混合物からなる群から選ばれる多糖類も使用することが可能である。とりわけ好ましいのは、多糖類Cとしてアルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム・カルシウムまたはそれらの混合物が使用される方法である。
【0082】
本発明の発展形態において、創傷被覆材の製造方法も本発明の対象である。該製造方法において、ポリウレタンゲルフォームは、第1の方法ステップにて、少なくとも以下の成分:
a)f≦3の官能価fを有するイソシアネート成分A、
b)f≦6の官能価fを有する高分子ポリオール成分Bおよび
c)少なくとも1つのウロン酸またはその塩を含んだ多糖類C
が反応に供されることによって製造され、その際、イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、高分子ポリオール成分B中ならびに多糖類C中のヒドロキシル基、カルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比は1:2〜1:30である。
【0083】
特に、創傷被覆材は、上記によって製造されたポリウレタンゲルフォームを創傷接触層として含んでいる。
【0084】
第2の方法ステップにおいて、製造されたポリウレタンゲルフォームは、キャリア層または吸収層に接着、積層または移植される。この場合、製造されたポリウレタンゲルフォームは特に吸収層に接着、積層または移植され、その際、吸収層として吸収性親水性ポリマーフォームまたは吸収性繊維材料が使用される。
【0085】
ただし、創傷被覆材を製造するための第1の方法ステップにおいて、ポリウレタンゲルフォームは、キャリア層上または吸収層上に直接に形成されるようにしてもよく、この場合、キャリア層または吸収層は創傷被覆材の要素をなしている。これにより、ポリウレタンゲルフォームと直接に接触している吸収層を有する創傷被覆材を提供することが可能である。
【0086】
以下、図面を参照して本発明を説明するが、ただしこれらの図面は本発明を制限するものと見なされてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明による創傷被覆材のある実施形態の断面を示す図である。
【図2】本発明による創傷被覆材の別の実施形態の断面を示す図である。
【図3】本発明による創傷被覆材の別の実施形態の断面を示す図である。
【図4】a、bは引張り粘着性を測定するための測定配置を示す図である。
【図5】本発明によるポリウレタンゲルフォームの光学顕微鏡写真である。
【図6】本発明によるポリウレタンゲルフォームの光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
図1には、本発明による創傷被覆材(10)の最も単純な構造が表されている。この創傷被覆材は、吸収性フリース布に接着された本発明のポリウレタンゲルフォームの創傷接触層(12)からなっている。このポリウレタンゲルフォームが接着されることによって、一方で、創傷との付着が防止されると共に、他方で、この接着にもかかわらず良好にしてかつ速やかな液体の吸収を示す創傷被覆材が提供される。
【0089】
図2には、いわゆる島状被覆材(Inselverband)としての本発明による創傷被覆材(20)が示されている。この創傷被覆材は、適正な使用状態において創傷に対向する面に本発明による粘着性ポリウレタンゲルフォームからなる創傷接触層(22)が全面的に接着された吸収層(24)としての吸収性親水性ポリウレタンフォームからなる。ここで、ポリウレタンゲルフォームは吸収性ポリウレタンフォームと直接に接触している。この吸収層の、適正な使用状態において創傷とは反対側の面には、全面にわたって接着されたアクリレート接着剤(25)による独立気泡ポリウレタンフォームからなるキャリア層(26)が接着されている。創傷接触層(22)ならびに創傷接触層を四方から包囲する粘着性端部はいずれも、創傷被覆材の使用前は、シリコーン処理剥離紙(27)で被覆されている。この創傷被覆材は粘着力の相違する2つの粘着ゾーンを有している。
【0090】
図3にも、同様に島状被覆材としての本発明による創傷被覆材(30)が示されている。この創傷被覆材は、親水性吸収性ポリウレタンフォーム(34)上に全面的に接着されてこのフォームと一体に結合された、本発明によるポリウレタンゲルフォームからなる創傷接触層(32)からなる。吸収層は5mmの層厚を有し、この場合、ポリウレタンフォームは300〜900μmの細孔径を有している、創傷接触層に対向する吸収層の表面には、キャリア層(36)と吸収層(34)との間に、もう1つの吸収層(33)が接着されている。この吸収層(33)はすでに創傷接触層(32)と吸収層(34)とによって吸収された液体量の分配層として機能する。この吸収性配分層は、吸収された液体のx−y方向への均等な分布を可能にし、他方、吸収層(34)ならびに創傷接触層(32)はz方向つまり創傷面に対して垂直な方向への創傷液の吸収を保証する。キャリア層(36)は非常に優れた水蒸気透過性を有する、層厚70μmのポリウレタン薄膜からなっている。分配層は、すじ状に接着されたアクリレート接着剤(35)によってキャリア層(36)に固定されたセルロース繊維からなる分配フリースからなっている。したがって、アクリレート接着剤が接着されていない箇所(38)を通じ、全面接着された薄膜に比較して、改善された周囲との間の水蒸気交換が実現される。創傷接触層(32)ならびに創傷接触層を四方から包囲する、アクリレート接着剤からなる粘着性端部(39a,39b)は、創傷被覆材の使用前に、シリコーン処理剥離紙(37)で被覆されている。
【0091】
ここで、本発明の別途または好ましい実施態様の特徴は個々の実施態様に制限されるものではない旨強調しておくこととする。むしろ本発明に関連して、複数の実施態様の組合わせ、ないし代替的実施形態のそれぞれの特徴と別の代替的実施態様の特徴との組合わせも同じく本発明による保護対象とみなされなければならない。
【実施例】
【0092】
A)テスト方法:
1)AFERA5001に準拠したスチールに対する粘着力(90°剥離角)−テスト1
被検試料はテスト前に24時間にわたって標準大気(23℃、50%相対湿度)にて貯蔵保管され、その後に、それぞれ幅25mm、長さ100mmの3試料が取出される。この被検体試料は手で、慎重に、引っぱらないようにして、スチール板(DIN EN 1939に準拠)上に貼り付けられるが、その際、気泡が生じないように注意が払われる。試料の上側非粘着面には、フォームの伸びが生じないように、市販の不伸強化接着テープ(たとえばTesa4104)が接着される。被検体試料は、英国、Surreyの、Sondes Place Research Institute社のテープアプリケータD427/1を用いて、特定の20N/cmに転動加圧される。こうして用意されたスチール板はドイツ、Ulm、Zwick−Roell社の延伸機Z−005の90°剥離装置に装入され、試料上方に突き出した強化接着テープの自由端が上側クランプに装着される。300mm/minの定剥離速度にて試料をスチール板から剥がすのに要される力の推移が測定される。粘着力の算定はDIN53 539(方式C)に準拠した適切なPCプログラムによって行われる。
【0093】
2)初期粘着性−テスト2
完全に形成されるまでに接触時間を必要とする接着力とは異なり、表面同士の接触直後に形成される初期粘着性が粘着力と称される。図4は、初期粘着性を測定するための測定配置を概略的に示したものである。初期粘着性の測定には、ポリエステルフィルムからなるループを、定速度(300mm/min)で、それがあらかじめ接触させられていた接着面から分離するのに必要な最大の力が測定される。試料は測定前に、24時間にわたって、標準大気(23℃、50%相対湿度)にて貯蔵保管された。50×50mmの大きさの試料が両面接着テープ[3Mの410B]によって試験皿に固定された。厚さ50μmのポリエステルフィルム(Closure‐Tape,Gerlinger Industries,Noerdlingen,ドイツ)であって、長さ175mm、幅25mmのものが、測定開始前に、接着試料の上に下降させられた(図4a、参照)。このポリエステルループは、試料に対する該ループの接触面が少なくとも25×25mmになるまで引き下げられた(図4b、参照)。測定は引き下げの直後に行なわれる。この測定に際には、ループを粘着性創傷被覆材から完全に分離するのに要される最大の力が測定される。分析には引張り試験機Zwick Z005[Zwick GmbH & Co.KG,Ulm、ドイツ]が使用された。
【0094】
3)透過速度−テスト3
このテストを実施するために、脱塩水(56.4重量%)、グリセリン(42.5重量%、Sigma−Aldrich,Seelze−Deutschland)、塩化ナトリウム、純(0.9重量%、Sigma−Aldrich)および0.2重量%の染料Allura red(Sigma−Aldrich)の混合物からなる血液代用液が使用される。この血液代用液が、吸収媒としてのポリウレタンフォーム上の層厚180μmのポリウレタンゲルフォームを透過するために必要とする時間が測定される。このテストは市販のビデオカメラによって観察され、その際、使用される全ての手段は室内気候(23℃、相対湿度50%)に調整されなければならない。このテストのために直径約5cmの試料が切り取られた。上向きで平らに置かれたポリウレタンゲルフォーム面に、ピペットを用いて、0.5mlの上記の血液代用液が滴下される。その後、この血液代用液がポリウレタンゲルフォーム層を完全に浸透してポリウレタンフォームに侵入するのに必要とする時間が測定される。
【0095】
B)本発明によるポリウレタンゲルフォーム
1)ポリウレタンゲルフォームを製造するために使用される成分
【0096】
i)イソシアネート成分A:
本発明によるポリウレタンゲルフォームを製造するために、イソシアネート成分Aとして、式(I)(式中、n=0かつm=60±5を意味する)のイソホロンジイソシアネート・プレポリマーが使用された。このプレポリマーは高分子スペーサ基としてポリプロピレングリコールを有する。このプレポリマーは、イソホロンジイソシアネートと、数平均の平均モル質量M(D)=3500g/molを有するポリプロピレングリコール(ポリエーテルポリオールD)から製造された。このプレポリマーは0.5重量%未満という低いイソホロンジイソシアネート単量体成分を有する。
【0097】
このプレポリマーは以下の固有値を有する:
a)数平均の平均モル質量M: M(A)=4000g/mol
b)官能価f: f=2
c)平均等価質量M(eq): M(eq)=2000g/mol
d)kg当たりのイソシアネート基の数(Z): Z=500mmol
【0098】
ii)高分子ポリオール成分B
高分子ポリオール成分Bとして、以下の固有値を有するポリエチレン−ポリプロピレングリコール(ポリエーテルポリオール)が使用された。
a)数平均の平均モル質量M: M(B)=6400g/mol
b)官能価f: f=4
c)平均等価質量M(eq): M(eq)=1600g/mol
d)kg当たりのイソシアネート基の数(Z): Z=625mmol
【0099】
iii)多糖類C
多糖類Cとして、アルギン酸カルシウム(Fluka BioChemika No.21054−Sigma−Aldrich Chemie GmbH Buchs,スイス)が使用された。この多糖類は、糖酸(ウロン酸)マンヌロン酸およびグルロン酸から構成されており、モル当たり約510単位の二糖類のカルシウム塩(グルロン酸−マンヌロン酸−C121612Ca)を有している。
このアルギン酸塩は以下の固有値を有する:
a)数平均の平均モル質量M: M(C)=200.000g/mol
b)平均等価質量M(eq)(ヒドロキシル基およびカルボキシル基/カルボキシレート基を基準として): M(eq)C1=19.43g/mol
b)平均等価質量M(eq)(カルボキシル基/カルボキシレート基を基準として): M(eq)C2=196.08g/mol
【0100】
iv)その他の助剤および添加剤
その他の助剤および添加剤として、ネオデカン酸塩ビスマス(III)(Coscat83[登録商標]−Vertellus Performance Materials Inc.,Greesboro,NC,USA)とビタミンE(トロフェロール−Merck KGaA,Darmstadt、ドイツ)が使用された。
【0101】
成分AとBは、Nolax AG(Sempach Station−スイス)から、M41,3032の名称で購入可能であり、この場合、高分子ポリオール成分Bはその他の助剤および添加剤、安定剤および触媒を含んでいる。
【0102】
2)ポリウレタンフォームの組成、製造およびそれから製造される創傷被覆材
【0103】
ポリウレタンゲルフォームは表1によって示した組成を有する。
【表1】

【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【0106】
その際、反応に供された個々の成分は表2に表した当量を有する。したがって、たとえば、組成PUALGS1の使用されたポリオールは7.83mmolのヒドロキシル基(12.533g1000mmol/1600g=7.83mmol)を有する(参照、表2−使用当量)。これは(使用されたポリオール質量を基準とした)使用されたポリオール中のヒドロキシル基の数に相当する。この量のヒドロキシル基は、イソホロンジイソシアネート・プレポリマー由来の5.29mmolのイソシアネート基と、アルギン酸塩由来の19.43mmolのヒドロキシル基およびカルボキシまたはカルボキシレート基との反応に供された。この場合、使用当量も同様に求められる。その際、表3に表した比に設定される。したがって、たとえば、組成PUALGS1において、使用されたイソシアネート基(NCO基)の数と、ポリオールB由来(OH基)およびアルギン酸塩由来(OH基および
【数3】

)の使用された反応基の数との比は1:5.15(5.29:(19.43+7.83))である。それゆえ、本発明によるポリウレタンゲルフォームは、低架橋ポリウレタンゲルフォームであると考えることができる。
【0107】
ポリウレタンゲルフォームを製造するために、第1のステップにおいて、ポリオール・多糖類分散液−この場合、ポリオール・アルギン酸塩分散液−が製造された。そのため、ポリオール成分Bは助剤および添加剤と共に所望量があらかじめプラスチック容器に入れられて、それに所定量のアルギン酸塩が加えられた。双方の物質は開放式攪拌装置で450回転/分にて15分間にわたって混合された。第2のステップにおいて、このポリオール・アルギン酸塩分散液がイソシアネート成分に加えられた。そのため、イソシアネート成分(成分A)は上皿天秤により、プラスチック容器に入れて、0.01gに精密秤量された。次いで、同じ容器にて、ポリオール・アルギン酸塩分散液が秤量された。この混合物はラボ攪拌機によって45秒間にわたって混合された。混合プロセス後、この調合物はシリコンペーパー[Separacon9120−64ホワイト、Soell Maria GmbH,Nidda−Eichesldorf−ドイツ]上に注がれ、ドクターブレードとErichsen335薄膜流延機[Erichsen GmbH u.Co.KG,Hemer−ドイツ]によって180μmの層厚に延ばされた。すぐこれに続いて、親水性吸収性ポリウレタンフォーム[Rynel L00562
E,Rynel Inc.,Wiscasset,ME,USA,とScapa 4005 Dry PU‐Foam,Scapa Medical,Luton,UK,とのラミネート]が親水性面側に接着されて、ハンドローラで転動加圧された。この試料は次いで、2分間にわたって、乾燥機[FDL115,Binder,Tuttlingen,ドイツ]中で105℃にて活性化された。この活性化ステップの後、製造された積層品は72時間にわたって室温にて貯蔵保管される。こうして製造された積層品から創傷被覆材が型抜きされる。この創傷被覆材は、島状被覆材として製造されておらず、かつ補助的な粘着端縁も有していないことで異なっている以外は、図2に表した構造を有している。下記の表4は、この創傷被覆材のいくつかの特性を示している。
【0108】
ここで、使用されたすべてのポリウレタンゲルフォームは創傷接触層として卓越した特性を有している旨強調することができる。したがって、一方で、良好な〜非常に優れた粘着性を有する創傷接触層を提供することができると共に、他方で、創傷滲出液に対して特に早い透過速度が達成される創傷接触層を提供することが可能である。
【0109】
【表4】

【0110】
フォーム構造を検査するために、上記のポリウレタンゲルフォームを透明なポリウレタン膜(PU膜VP940−2,Collano Xiro,Buxtehude,ドイツ)に付着した。製造は上記の方法に従って行われ、その際、同じく180μmの膜厚が設定された。
【0111】
図5は、ポリウレタン膜(PU膜VP940−2,Collano Xiro,Buxtehude,ドイツ)上に付着された9.5重量%のアルギン酸塩成分を有するポリウレタンゲルフォームPUALGS4を30倍に拡大した光学顕微鏡写真を示している。独立気泡によるフォーム構造が顕著に認められる。このポリウレタンゲルフォームは透明均質なポリマーマトリックスとして存在している。このポリマーマトリックスにはアルギン酸塩粒子は認められない。
【0112】
図6は、ポリウレタン膜(PU膜VP940−2,Collano Xiro,Buxtehude,ドイツ)上に付着された13.2重量%のアルギン酸塩成分を有するポリウレタンゲルフォームPUALGS6を30倍に拡大した光学顕微鏡写真を示している。このポリウレタンゲルフォームは、図5に示したポリウレタンフォームと比較して、約4重量%高いアルギン酸塩成分を有している。アルギン酸塩成分が高くなればなるほど、光学顕微鏡によるフォーム構造は、ますます不規則であるように見える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷接触層として使用するためのポリウレタンゲルフォームであって、
前記ポリウレタンゲルフォームは、反応に供される少なくとも以下の成分:
a)f≦3の官能価fを有するイソシアネート成分A、
b)f≦6の官能価fを有する高分子ポリオール成分Bおよび
c)少なくとも1つのウロン酸またはその塩を含む多糖類C
から得られ、
ここで、前記イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、前記高分子ポリオール成分B中ならびに前記多糖類C中のヒドロキシル基、カルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比は1:2〜1:30であることを特徴とする、ポリウレタンゲルフォーム。
【請求項2】
前記ポリウレタンゲルフォームは粘着性ポリウレタンゲルフォームであることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタンゲルフォーム。
【請求項3】
前記イソシアネート成分Aのイソシアネート基の数と、前記多糖類C中のカルボキシル基およびカルボキシレート基の総数との比が1:05〜1:10であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタンゲルフォーム。
【請求項4】
前記イソシアネート成分Aは、脂肪族ジイソシアネートもしくはポリイソシアネート、脂環式ジイソシアネートもしくはポリイソシアネート、またはそれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする、先行する請求項の少なくともいずれか一項に記載のポリウレタンゲルフォーム。
【請求項5】
前記イソシアネート成分Aは、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート・プレポリマーまたはそれらの混合物であり、前記イソホロンジイソシアネート・プレポリマーは、イソホロンジイソシアネートとf≦3の官能価fを有するポリエーテルポリオールDとから得られることを特徴とする、先行する請求項の少なくともいずれか一項に記載のポリウレタンゲルフォーム。
【請求項6】
前記ポリエーテルポリオールDは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−ポリプロピレングリコールまたはそれらの混合物からなる群から選択され、前記ポリエーテルポリオールDは、M(D)=2000g/mol以上、M(D)=10,000g/mol以下の数平均の平均モル質量Mを有することを特徴とする、先行する請求項の少なくともいずれか一項に記載のポリウレタンゲルフォーム。
【請求項7】
前記ポリオール成分Bは、3≦f≦6の官能価fを有するポリエーテルポリオールであることを特徴とする、先行する請求項の少なくともいずれか一項に記載のポリウレタンゲルフォーム。
【請求項8】
前記ポリオール成分Bは、3,000〜10,000g/molの数平均の平均モル質量Mを有するポリエーテルポリオールであることを特徴とする、先行する請求項の少なくともいずれか一項に記載のポリウレタンゲルフォーム。
【請求項9】
前記多糖類Cはウロン酸として、グルロン酸もしくはその塩、マンヌロン酸もしくはその塩、ガラクツロン酸もしくはその塩、グルクロン酸もしくはその塩、イズロン酸もしくはその塩、あるいはこれらの酸もしくはそれらの塩の混合物を含むことを特徴とする、先行する請求項の少なくともいずれか一項に記載のポリウレタンゲルフォーム。
【請求項10】
前記多糖類Cは、アルギン酸もしくはその塩、ヒアルロン酸もしくはその塩、グルコサミノグリカンもしくはその塩、キサンタンもしくはその塩、またはこれらの多糖類もしくはその塩の混合物からなる群から選択されることを特徴とする、先行する請求項の少なくともいずれか一項に記載のポリウレタンゲルフォーム。
【請求項11】
前記多糖類Cは、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウムナトリウムまたはそれらの混合物であることを特徴とする、先行する請求項の少なくともいずれか一項に記載のポリウレタンゲルフォーム。
【請求項12】
創傷接触層(12,22,32)として請求項1〜11の少なくともいずれか一項に記載のポリウレタンゲルフォームを含む、創傷被覆材(10,20,30)。
【請求項13】
前記創傷被覆材は、吸収層(24,34)として吸収性親水性ポリマーフォームまたは吸収性繊維材料を含むことを特徴とする、請求項12に記載の創傷被覆材(20,30)。
【請求項14】
前記創傷被覆材は、前記ポリウレタンゲルフォームと直接に接触した吸収層(24,34)を含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の創傷被覆材(20,30)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−506460(P2012−506460A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532531(P2011−532531)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007525
【国際公開番号】WO2010/046095
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(500038020)パウル ハルトマン アクチェンゲゼルシャフト (64)
【Fターム(参考)】