説明

ポリエステル樹脂およびその応用

【課題】アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに高い密着性を有し、塗料、インキまたは接着剤の調製に好適なポリエステル樹脂、該ポリエステル樹脂を用いて得られるポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂の提供。
【解決手段】酸成分の80モル%以上がベンゼン−o−ジカルボン酸残基および/またはベンゼン−m−ジカルボン酸残基であり、アルコール成分の50モル%以上がエーテル結合を介して炭素数8以下のアルキレンが2乃至3個結合したジオール残基であり、分子末端に平均して水酸基を0.4〜4モル/kg有し、100℃における溶融粘度が10Pa・s以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに高い密着性を有し、塗料、インキまたは接着剤の調製に好適なポリエステル樹脂、該ポリエステル樹脂を用いて得られるポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂、およびそれらを含む塗料、インキまたは接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに高い密着性を有する塗料、インキおよび接着剤には、テレフタル酸残基やイソフタル酸残基を含んだ芳香族ポリエステル樹脂或いはこれらの樹脂を原料とするポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂が用いられている。
【0003】
分子末端に平均して水酸基を0.4〜4モル/kg程度を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂は、必要な添加剤が配合されて塗料、インキ、接着剤とされるが、その塗工形態としては無溶媒状態で100℃以下の比較的低温で10Pa・s以下の粘度であれば、広い面積への薄膜状の溶融塗工が可能であり、この方法は溶媒を乾燥するエネルギーを要しない点や、有機溶剤を使用しない点が環境負荷の少ない加工方法として評価されている。
【0004】
比較的低分子量のポリエステル樹脂をポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂に変性してから塗工する場合や、分子末端に平均して水酸基を0.04〜0.4モル/kg程度を有する比較的高分子量のポリエステル樹脂は、100℃を超える比較的高温の溶融状態でフィルム状或いは線状或いは点状に押出されて塗工されるか、或いは有機溶剤に溶解、若しくは水に分散された状態で塗工の後、溶媒成分を揮発させる方式が用いられる。
【0005】
しかしながら、アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに対する密着性は、芳香族成分が多くなるほどを良好になる傾向を示すものの、芳香族成分の含有量が大きくなると、樹脂の溶融粘度が高くなり塗工が困難になる問題があった。
【0006】
樹脂の溶融粘度を下げるために樹脂の加工温度を高めて塗工しようとすると、耐熱性の劣るオレフィン系フィルムなどへの塗工が困難となり、様々な素材に適用しにくくなるという問題に加え、架橋剤を併用する場合には上記樹脂と架橋剤との反応が促進され、特に架橋剤としてのポリイソシアネート化合物と上記樹脂との組成物とした場合には、該組成物についての実用的な可使時間を確保することが困難となる問題があった。
【0007】
そのため、溶融塗工方式は、溶媒を乾燥するためのエネルギーを要しない点や有機溶剤を使用しない点が、環境負荷の少ない加工方法として評価されているが、無溶剤薄膜状の溶融塗工法による広い面積への塗工は、アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシート、特に高い密着性を要求される分野への適用は進んでいなかった。
【0008】
また、樹脂の溶融粘度を下げるために有機溶剤で樹脂を希釈する場合でも、芳香族成分の含有量が大きくなるとその溶解性が悪化し、甚だしい場合には樹脂が結晶として析出し塗工することができなくなる場合があった。
【0009】
特許文献1では、1,4−シクロヘキサンジメタノールを必須成分とする融点40〜140℃の低結晶性ポリエステル樹脂からなるホットメルト接着剤が、特許文献2では、テレフタル酸、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリブチレングリコールを必須成分とする熱可塑性コポリエステルおよびホットメルト接着剤が開示されているが、これらの接着剤は無溶剤で薄膜状の溶融塗工法を適用するには樹脂の溶融粘度が高く、また、有機溶剤への溶解性も乏しく広い面積に薄く塗工することは困難であった。
【特許文献1】特公平02−040712号公報
【特許文献2】特公昭60−043854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに対して高い密着性を有し、樹脂の溶融粘度が低く、低温で無希釈塗工が可能であり、同時に可使時間が長く、熱劣化の少ないポリエステル樹脂、また、有機溶剤で希釈する場合にも優れた溶解性を示すポリエステル樹脂、該樹脂を原料とするポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂、さらにそれらを用いた塗料、インキおよび接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は以下の構成の本発明によって達成される。
1.酸成分の80モル%以上がベンゼン−o−ジカルボン酸残基および/またはベンゼン−m−ジカルボン酸残基であり、アルコール成分の50モル%以上がエーテル結合を介して炭素数8以下のアルキレンが2乃至3個結合したジオール残基であり、分子末端に平均して水酸基を0.4〜4モル/kg有し、100℃における溶融粘度が10Pa・s以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
【0012】
2.前記1に記載のポリエステル樹脂をポリオールセグメントとして有することを特徴とするポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂。
3.前記1に記載のポリエステル樹脂または請求項2に記載のポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂を含有することを特徴とする塗料、インキまたは接着剤。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに高い密着性を有し、100℃以下の比較的低温で無希釈薄膜塗工が可能であるため、ポリオレフィンのような耐熱性に乏しい素材にも塗工可能であり、同時にポリイソシアネート架橋剤を併用した場合にも優れた可使時間を有するポリエステル樹脂、および有機溶剤での希釈性に優れたポリエステル樹脂およびそのポリエステル樹脂を使用したポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂、ならびにそれらを使用した塗料、インキおよび接着剤を提供することができる。
【0014】
また、本発明の上記樹脂は、アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに対して、同時にポリオレフィンなどの耐熱性の乏しい素材に対しても、薄膜状の塗工を行なうことができる塗料、インキ、コーティング剤、接着剤などに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明者らは、前記従来技術の要望に応えるべく鋭意検討を重ねた結果、酸成分とアルコール成分からなるポリエステル樹脂において、酸成分の80モル%以上がベンゼン−o−ジカルボン酸残基および/またはベンゼン−m−ジカルボン酸残基あり、アルコール成分の50モル%以上がエーテル結合を介して炭素数8以下のアルキレンが2乃至3個結合したジオール残基である場合に、アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに対する高い密着性、および低い樹脂溶融粘度、さらに優れた有機溶剤溶解性が両立することを見出した。
【0016】
上記ポリエステル樹脂は、好ましくは1分子当たりの平均末端水酸基数が1.8から2.3であり、分子末端に平均して水酸基を0.4〜4モル/kg有し、好ましくは2モル/kg付近である場合に、ポリエステル樹脂の100℃における溶融粘度を10Pa・s以下とすることが可能となり、100℃以下の比較的低温での溶融塗工に好適であることを見出した。
【0017】
さらに、アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに対する高い密着性、および低い樹脂溶融粘度、さらに優れた有機溶剤溶解性は、このポリエステル樹脂を変性して得られるポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂とした場合にも引き継がれることを見出し、これらの特性は、塗料、インキおよび接着剤として好適であることを見出した。
【0018】
本発明におけるポリエステル樹脂の酸成分としては、80モル%以上がベンゼン−o−ジカルボン酸残基および/またはベンゼン−m−ジカルボン酸残基である必要があり、上記酸成分が80モル%未満では、アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに対する密着性が低下する。
【0019】
アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに対する密着性に関しては、酸成分のベンゼン−o−ジカルボン酸残基および/またはベンゼン−m−ジカルボン酸残基成分は高いほど好ましく、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0020】
さらに、樹脂の溶融粘度を下げる効果と有機溶剤に対する溶解性を高める効果としては、ベンゼン−m−ジカルボン酸残基よりもベンゼン−o−ジカルボン酸残基成分が多いことが好ましく、最も好ましくはベンゼン−o−ジカルボン酸残基成分を100モル%とする。
【0021】
ベンゼン−o−ジカルボン酸残基成分として有効な酸成分としては、フタル酸、無水フタル酸および/またはそのアルキルエステル類が挙げられる。ベンゼン−m−ジカルボン酸残基成分として有効な酸成分としては、イソフタル酸および/またはそのアルキルエステル類が挙げられる。それ以外に共重合可能な酸成分としては、従来既知の酸、好ましくは2塩基酸が使用可能である。
【0022】
本発明におけるポリエステル樹脂のアルコール成分としては、アルコール成分の50モル%以上がエーテル結合を介して炭素数8以下のアルキレンが2乃至3個結合したジオール残基である必要があり、上記ジオール残基が50モル%未満であったり、エーテル結合を介していない場合は、ポリエステル樹脂の溶融粘度が高くなったり、有機溶媒への溶解性が低下する。従って、ポリエステル樹脂の溶融粘度や有機溶媒への溶解性において好ましくは、該ジオール残基の含有量は70モル%以上であり、特に好ましくは100モル%である。
【0023】
また、上記ジオール成分が3個を超えたエーテル結合を有している場合は、樹脂の耐熱性が低下し、溶融塗工の際の樹脂の劣化が顕著になる。従って、耐熱性において好ましくは、上記ジオール成分を構成するエーテル結合数は1である。
【0024】
また、上記ジオール成分が炭素数8を超えたアルキレンからなる場合は、実質的にベンゼン−o−ジカルボン酸残基成分の含有量を低下させるので、アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに対する密着性が低下する。従って、アルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに対する密着性において、好ましくは前記ジオール成分を構成するアルキレン成分の炭素数は3以下である。
【0025】
アルコール成分の50モル%を構成するエーテル結合を介して炭素数8以下のアルキレンが2乃至3個結合したジオール残基成分としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールの他、炭素数8以下のアルキレングリコールにエチレン、プロピレン、テトラヒドロフランなどを1或いは2個開環付加したものが使用可能である。
【0026】
それ以外に共重合可能なアルコール成分としては、従来既知のアルコール成分が使用可能であるが、好ましくは水酸基を2個有するグリコールである。
【0027】
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、従来既知のポリエステル樹脂の製造方法が挙げられる。すなわち、前記の多塩基酸および/またはそのアルキルエステルと多価アルコールとを、必要に応じてエステル化触媒共存の下、さらに必要に応じて酸化防止剤共存の下、140〜250℃で重縮合反応させることによって得られる。エステル化触媒としては従来既知のものが使用できるが、アルコキシチタン系のものが好ましい。酸化防止剤としては従来既知のものが使用できるが、亜燐酸エステル系のものが好ましい。
【0028】
本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂の製造方法は、従来既知のポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂の製造方法が適用できる。すなわち、前記のポリエステル樹脂および必要に応じて従来既知のその他の多価アルコール化合物や多価アミン化合物などの活性水素化合物と従来既知のポリイソシアネート化合物を、必要に応じてウレタン化触媒共存の下、さらに必要に応じて有機溶剤共存の下、常温〜250℃で重付加反応させることによって得られる。ウレタン化触媒としては従来既知のものが使用できるが、第一錫塩系のものが好ましい。有機溶剤としては従来既知のものが使用できるが、ケトン系および/またはエステル系のものが好ましい。
【0029】
本発明の塗料、インキおよび接着剤は、本発明のポリエステル樹脂、本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂に対して、必要に応じて従来既知の顔料染料などの着色剤、分散剤、安定剤、紫外線吸収剤、カップリング剤、溶剤、粘性調整剤、ブロッキング防止剤、充填剤、架橋剤などを配合して得られる。
【実施例】
【0030】
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1](無水フタル酸/DEG)
フラスコに、無水フタル酸538g、ジエチレングリコール462gおよびトリフェニルフォスファイト1gを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら5時間で230℃まで加熱し、水を留出させながらエステル化反応を行う。水の留出が止まった時点でオクチル酸第一錫0.1gを仕込み、250℃に昇温し10トール減圧下重縮合させ、水酸基含有量1.9モル/kgのポリエステル樹脂(A1)得た。該樹脂の100℃における溶融粘度は1Pa・sであった。
【0031】
[実施例2](イソフタル酸/DEG)
実施例1と同様に、イソフタル酸603g、ジエチレングリコール462g、トリフェニルフォスファイト1gおよびオクチル酸第一錫0.1gから、水酸基含有量1.8モル/kgのポリエステル樹脂(A2)を得た。該樹脂の100℃における溶融粘度は4Pa・sであった。
【0032】
[比較例1](テレフタル酸/DEG)
実施例1と同様に、テレフタル酸603g、ジエチレングリコール462g、トリフェニルフォスファイト1gおよびオクチル酸第一錫0.1gから、水酸基含有量2.1モル/kgのポリエステル樹脂(A3)を得た。該樹脂の100℃における溶融粘度は13Pa・sであった。
【0033】
[比較例2](無水フタル酸/NPG)
実施例1と同様に、無水フタル酸538g、ネオペンチルグリコール453g、トリフェニルフォスファイト1gおよびオクチル酸第一錫0.1gから、水酸基含有量2.1モル/kgのポリエステル樹脂(A4)を得た。該樹脂の100℃における溶融粘度は120Pa・sであった。
【0034】
[比較例3](無水フタル酸/アゼライン酸/DEG)
実施例1と同様に、無水フタル酸269g、アゼライン酸342g、ジエチレングリコール462g、トリフェニルフォスファイト1gおよびオクチル酸第一錫0.1gから、水酸基含有量2.0モル/kgのポリエステル樹脂(A5)を得た。該樹脂の100℃における溶融粘度は0.6Pa・sであった。
【0035】
[実施例3](A1+MDI+溶剤)
フラスコに、ポリエステル樹脂(A1)535g、4−4’ジフェニルメタンジイソシアネート65.5gおよびメチルエチルケトン600gを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら75℃で5時間重付加反応させ、ポリウレタン樹脂溶液(C1)を得た。該溶液は透明で均一であった。
【0036】
[実施例4](A2+MDI+溶剤)
実施例3と同様に、ポリエステル樹脂(A2)535g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート65.5gおよびメチルエチルケトン600gから、ポリウレタン樹脂溶液(C2)を得た。該溶液は透明で均一であった。
【0037】
[比較例4](A3+MDI+溶剤)
実施例3と同様に、ポリエステル樹脂(A3)535g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート65.5gおよびメチルエチルケトン600gから、ポリウレタン樹脂溶液(C3)を得た。該溶液は固化し、流動性を失った。
【0038】
[比較例5](A4+MDI+溶剤)
実施例3と同様に、ポリエステル樹脂(A4)535g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート65.5gおよびメチルエチルケトン600gから、ポリウレタン樹脂溶液(C4)を得た。該溶液は分離し、白色結晶を生じた。
【0039】
[比較例6](A5+MDI+溶剤)
実施例3と同様に、ポリエステル樹脂(A5)535g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート65.5gおよびメチルエチルケトン600gから、ポリウレタン樹脂溶液(C5)を得た。該溶液は透明で均一であった。
【0040】
[評価方法]
上記で得られた実施例および比較例の樹脂について以下の評価を行なった。
・水酸基濃度:評価樹脂をJIS K 0070に準拠して測定した。
・溶融粘度:評価樹脂をBM型回転粘度計にて該樹脂の100℃における樹脂溶融粘度を測定した。
・溶剤希釈性:評価樹脂とメチルエチルケトンを1:1(質量比)で配合した時の、25℃における配合液の均一性を評価した。
○:均一
×:不均一(分離、不透明など)
【0041】
・アルミニウム密着性:厚さ25μmのアルミニウムに対して、評価樹脂とタケネートD−165N(三井武田ケミカル)を、ポリエステル樹脂の場合10:4、ポリウレタン樹脂の場合10:1(樹脂質量比)で配合したものを樹脂厚2μmの厚みで薄膜塗工し、塗膜の補強のための厚さ60μmのコロナ表面処理済み直鎖低密度ポリエチレン樹脂と貼合せ、40℃で5日間経過後、25℃において樹脂を直鎖低密度ポリエチレンごとアルミニウムから引き剥がしたときの状態を評価した。
○:基材の破壊
×:アルミニウムと塗膜の界面で剥離
ND:塗工不能のためデータなし
【0042】
・ポリエステル密着性:厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートに対して、評価樹脂とタケネートD−165N(三井武田ケミカル)を、ポリエステル樹脂の場合10:4、ポリウレタン樹脂の場合10:1(樹脂質量比)で配合したものを塗布厚2μmの厚みで薄膜塗工し、塗膜の補強のための厚さ60μmのコロナ表面処理済み直鎖低密度ポリエチレン樹脂と貼合せ、40℃で5日間経過後、25℃において樹脂を直鎖低密度ポリエチレンごとポリエチレンテレフタレートから引き剥がしたときの状態を評価した。
○:基材の破壊
×:ポリエチレンテレフタレートと塗膜の界面で剥離
ND:塗工不能のためデータなし
【0043】

【0044】

【産業上の利用可能性】
【0045】
以上の如き本発明によれば、特にアルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに高い密着性を有し、溶融粘度が低く、薄膜塗工に好適なポリエステル樹脂、および、そのポリエステル樹脂を用いて得られる溶剤希釈性に優れ、薄膜塗工に好適なポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂が提供される。
これらの樹脂は各種用途に有用であるとともに、特にアルミニウムやポリエステルフィルム或いはシートに高い密着性を与える塗料、インキおよび接着剤用の樹脂として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸成分の80モル%以上がベンゼン−o−ジカルボン酸残基および/またはベンゼン−m−ジカルボン酸残基であり、アルコール成分の50モル%以上がエーテル結合を介して炭素数8以下のアルキレンが2乃至3個結合したジオール残基であり、分子末端に平均して水酸基を0.4〜4モル/kg有し、100℃における溶融粘度が10Pa・s以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
【請求項2】
請求項1に記載のポリエステル樹脂をポリオールセグメントとして有することを特徴とするポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂。
【請求項3】
請求項1に記載のポリエステル樹脂または請求項2に記載のポリウレタンまたはポリウレタンウレア樹脂を含有することを特徴とする塗料、インキまたは接着剤。

【公開番号】特開2007−8999(P2007−8999A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189329(P2005−189329)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【出願人】(000238256)浮間合成株式会社 (99)
【Fターム(参考)】