説明

ポリエステル系樹脂、粘着剤および粘着シート

【課題】ポリエステル系樹脂の樹脂構成を改善することにより、これまでに得られなかった高い初期粘着性を獲得し、さらに機械的強度、粘着性能、耐熱性にすぐれた幅広い用途に展開可能なポリエステル系樹脂を提供する。
【解決手段】(A)ポリオール成分と(B)カルボン酸成分を重縮合してなるポリエステル系樹脂であって、(A)ポリオール成分と(B)カルボン酸成分の少なくとも一方が側鎖にアルコキシ基を有する成分を含むことを特徴とするポリエステル系樹脂である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すぐれた粘着性と高い凝集力、耐熱性を有するポリエステル系樹脂、該ポリエステル系樹脂を含有してなる粘着剤、該粘着剤を含む光学部材、および該粘着剤からなる層を設けてなる粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエステル系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐久性、機械的強度に優れており、フィルム、ペットボトル、繊維、トナー、電機部品など、幅広い用途で用いられている。ポリエステル系樹脂は、接着性にも優れておりホットメルトの接着剤や、硬化剤などを用いて熱で反応させる熱硬化タイプの接着剤としても利用されている。
【0003】
これらの接着剤においては、優れた接着性や耐久性等の接着特性を発揮させるため、室温よりもかなり高いガラス転移温度や融点を有せしめ、またはかなり高密度に架橋させており、室温付近では非常に硬い状態となっている。このため、上記接着剤では、接着させるために加熱するための装置が必要であり、コストが高く付くといった問題があった。このような観点から最近では、上記欠点を補うべく粘着剤としての適応も提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。即ち、特許文献1では、ガラス転移温度が−40℃以下の特定構造の脂肪族ポリエステルからなる粘着剤が、特許文献2では、特定構造の脂肪族ジオールと、3価以上の多価アルコールおよび/または3価以上の多価カルボン酸とを必須の原料成分とした数平均分子量5000以上、分散度2.2以上のポリエステルを含む粘着剤が、特許文献3では、炭化水素基を含有する側鎖を有し、主鎖中にシクロヘキサン構造部を有し、数平均分子量5000以上のポリエステルを含有する粘着剤が、それぞれ提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−21340号公報
【特許文献2】特開2002−194314号公報
【特許文献3】特開2004−99792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリエステル系樹脂を粘着剤に用いる場合、ポリエステル系樹脂自体に柔軟性、特に初期粘着性の向上が求められる。初期粘着性を向上させるためには、上記特許文献1のように、ポリエステル系樹脂の構造に脂肪族を用いガラス転移温度を下げる手法が用いられるが、ガラス転移温度を下げるとポリエステル系樹脂の特徴である耐熱性、耐久性、機械的強度が低下することとなる。また、樹脂自体が結晶化をおこしやすく室温以上で結晶化がおこるとタックフリーとなり、初期粘着性が消失する。上記特許文献3のように、ポリエステル系樹脂の構造にシクロヘキサン構造部を用いる手法を用いると、脂肪族を用いたポリエステル系樹脂よりも耐熱性、耐久性、機械的強度は向上するが、芳香族を用いたポリエステル系樹脂よりも耐熱性、耐久性、機械的強度が劣ったものとなる。上記特許文献2のように、ポリカーボネートジオール等を用いる手法では、柔軟性が低下する傾向が見られ初期粘着性が低下し、粘着剤の特徴である指圧程度の圧力では充分な接着力を発揮できないといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、指圧程度の圧力で充分な接着力を発揮し、優れた粘着性、耐熱性、機械的強度を有する幅広い用途に展開可能なポリエステル系樹脂、および該ポリエステル系樹脂を含有してなる粘着剤、さらには粘着シートを得るべく種々検討した結果、ポリオール成分とカルボン酸成分の少なくとも一方の側鎖にアルコキシ基を有する原料成分を用いて重縮合して、ポリエステル系樹脂の側鎖にアルコキシ基を導入することにより、本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、(A)ポリオール成分と(B)カルボン酸成分を重縮合してなるポリエステル系樹脂であって、(A)ポリオール成分と(B)カルボン酸成分の少なくとも一方が側鎖にアルコキシ基を有する原料成分を含むことを特徴とするポリエステル系樹脂に関する。
【0008】
(A)ポリオール成分が、一般式(1):
【0009】
【化1】

【0010】
(Rは炭素数が1以上の炭化水素基、aは0〜10の整数、bは1〜10の整数、cは1以上の整数、dは0〜10の整数である。)
で示されるアルコキシ基含有ジオール(a)を含むことが好ましい。
【0011】
アルコキシ基含有ジオール(a)が、一般式(2):
【0012】
【化2】

【0013】
(Rは炭素数が1以上の炭化水素基、nは1以上の整数である。)
で示されるアルコキシ基含有ジオールである新規なポリエステル系樹脂ことが好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記ポリエステル系樹脂を含有してなることを特徴とする粘着剤に関する。
【0015】
ポリエステル系樹脂の数平均分子量が5000以上であることが機械的強度、耐熱性の点から好ましい。
【0016】
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度が−10℃以下であることが初期粘着性の点から好ましい。
【0017】
ポリエステル系樹脂中に含まれる水酸基および/またはカルボキシル基1当量あたり、架橋剤に含まれる反応性基が0.2〜10当量となる割合で架橋剤を含むことが好ましい。
【0018】
さらに、本発明は前記粘着剤を含む光学部材、および支持体の片面または両面に、前記粘着剤からなる層を設けてなることを特徴とする粘着シートに関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明のポリエステル系樹脂は、粘着剤の原料として有用であり、かかるポリエステル系樹脂を含有してなる粘着剤は、粘着物性に優れ、耐熱性、機械的強度にも優れた効果を有するものである。
【0020】
本発明においては、ポリエステル系樹脂構造中の側鎖にアルコキシ基を導入することにより、これまでのポリエステル系樹脂では得られなかった高い初期粘着性が得られ、指圧程度の圧力で充分な接着力を発揮し、ポリエステル系樹脂の特徴である耐熱性、耐久性、機械的強度を損なうことがない粘着剤とそのシートが得られ、ポリエステル系樹脂の新たな用途を開拓することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、(A)ポリオール成分と(B)カルボン酸成分を重縮合してなるポリエステル系樹脂であって、(A)ポリオール成分と(B)カルボン酸成分の少なくとも一方が側鎖にアルコキシ基を有する原料成分を含むポリエステル系樹脂である。
【0022】
次に、ポリオール成分(A)について説明する。
【0023】
ポリオール成分(A)としては、特に限定されないが、得られるポリエステル系樹脂の側鎖にアルコキシ基を導入することができる点から、アルコキシ基含有ジオール(a)を含むことが好ましく、一般式(1):
【0024】
【化3】

【0025】
で示されるアルコキシ基含有ジオール(a)を含むことがより好ましい。
【0026】
一般式(1)中、Rは炭素数が1以上の炭化水素基であり、aは0〜10の整数であり、2〜5の整数であることが好ましく、bは1〜10の整数であり、1〜5の整数であることが好ましく、cは1以上の整数であり、5〜40の整数であることが好ましく、dは0〜10の整数であり、1〜5の整数であることが好ましい。
【0027】
一般式(1)中のRは、炭素数が1以上の炭化水素基であればよく、かかる炭素数1以上の炭化水素基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基などの炭素数1〜9の炭化水素基があげられ、これらの中でも、炭素数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。
【0028】
本発明では上記一般式(1)の中でも、特には一般式(2):
【0029】
【化4】

【0030】
で示されるアルコキシ基含有ジオールであることが優れた初期粘着力と耐久性が発揮できる点から好ましい。
【0031】
一般式(2)中のRは炭素数が1以上の炭化水素基であり、前記したものがあげられる。
【0032】
一般式(2)中のnは、1以上の整数であり、5〜40の整数であることが好ましい。nが0であると、ポリエステル系樹脂構造中の側鎖にアルコキシ基を導入することができないため、本発明の効果を得ることができないものである。
【0033】
また、本発明においては、一般式(1)で示されるアルコキシ基含有ジオール(a)の水酸基価は、35〜200KOHmg/gであることが好ましく、55〜110KOHmg/gであることがより好ましい。かかる水酸基価が、下限値未満であると機械的強度、耐熱性が低下する傾向があり、上限値をこえると初期粘着力が低下する傾向がある。
【0034】
一般式(2)で示される側鎖にアルコキシ基を有するジオール(a)の市販品には、協和発酵ケミカル(株)製の「TOE−2000H」などがある。
【0035】
本発明のポリエステル系樹脂は、ポリオール成分(A)とカルボン酸成分(B)からなる原料成分に、ポリオール成分(A)として一般式(1)で示されるジオール(a)を使用し、これらを重縮合して得られるものであることが好ましい。このようにして得られるポリエステル系樹脂は、一般式(1)で示されるジオール(a)由来の構造部を有するポリエステル系樹脂であり、該構造部の含有割合は特に制限されず、粘着性と凝集性、機械的強度に応じて最適な含有割合を選択することができるが、ポリエステル系樹脂中、一般式(1)で示されるジオール(a)由来の構造部は、1.5〜10モル%であることが好ましく、2〜7モル%であることがより好ましい。一般式(1)で示されるジオール(a)由来の構造部が、下限値未満であると初期粘着力が低下する傾向があり、上限値をこえると機械的強度、耐熱性が低下する傾向がある。
【0036】
本発明で使用するポリオール成分(A)としては、一般式(1)で示される側鎖にアルコキシ基を有するジオール(a)のみからなっていてもよいし、ジオール(a)以外のポリオールを含んでいてもよい。
【0037】
ジオール(a)以外のポリオールとしては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖脂肪族ジオール;ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオールなどの炭化水素基側鎖を持つ脂肪族ジオールなどがあげられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、初期粘着性と機械的強度、耐熱性をバランスよく両立できる点から、炭素数2〜6の直鎖脂肪族ジオール、特には1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコールや、炭素数1〜4の炭化水素基側鎖を持つ脂肪族ジオール、特にはネオペンチルグリコールが好ましい。
【0038】
また、必要に応じてポリエーテルジオール、3価以上の多価アルコールを少量含んでも良い。
【0039】
ポリエーテルジオールとしては、エチレンオキサイド、プロピオンオキサイド、テトラヒドロフランなどを開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどがあげられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。
【0040】
3価以上の多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどがあげられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、耐熱性が向上する点から、トリメチロールプロパンが好ましい。3価以上の多価アルコールの含有量は特に限定されないが、0.1〜5.0モル%であることが好ましく、0.5〜3.0モル%であることがより好ましい。
【0041】
一般式(1)で示されるジオール(a)の配合量は、ポリオール仕込み成分(A)中、2〜14モル%であることが好ましく、3〜9モル%であることがより好ましい。かかるジオール(a)の配合量が、下限値未満であると初期粘着力が低下する傾向があり、上限値をこえると機械的強度、耐熱性が低下する傾向がある。なお、上記の配合量は、仕込み成分中の値で、できた樹脂組成のグリコール中の比率ではない。
【0042】
次に、カルボン酸成分(B)について説明する。
【0043】
カルボン酸成分(B)としては、特に限定されないが、ポリオール成分(A)として側鎖にアルコキシ基を含有するジオールを用いない場合には、得られるポリエステル系樹脂の側鎖にアルコキシ基を導入することができる点から、側鎖にアルコキシ基を有するカルボン酸(b)を含むことが好ましい。もちろん、ポリオール成分(A)とカルボン酸成分(B)のいずれにも側鎖にアルコキシ基を含有する原料成分を用いてもよい。
【0044】
側鎖にアルコキシ基を有するカルボン酸(b)としては、特開2004−307462号公報に記載されているポリビニルエーテルなどをあげることができる。これらの中でも、初期粘着性と機械的強度、耐熱性をバランスよく両立できる点から、数平均分子量500〜3000であることが好ましい。
【0045】
また、側鎖にアルコキシ基を有するカルボン酸(b)以外のカルボン酸としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、p−オキシ安息香酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸などの飽和ジカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラクロルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸類などの不飽和ジカルボン酸などがあげられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。必要に応じて、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸などの3価以上のカルボン酸を少量含んでも良い。これらの中でも、初期粘着性と機械的強度、耐熱性をバランスよく両立できる点から、芳香族ジカルボン酸、特にはテレフタル酸、イソフタル酸や、炭素数6〜12(カルボキシル基の炭素を含む)の脂肪族ジカルボン酸、特にはセバシン酸が好ましい。
【0046】
本発明においては、前記アルコキシ基を有するジオール(a)またはアルコキシ基を有するカルボン酸(b)のいずれか一方を用いるか、または両方を用いることにより、ポリエステル系樹脂構造中の側鎖にアルコキシ基を導入すればよいが、酸価が低いポリエステル系樹脂が得られる点から、アルコキシ基を有するジオール(a)を用いることが好ましい。
【0047】
本発明のポリエステル系樹脂中のアルコキシ基の含有量は、特に限定されないが、ポリエステル系樹脂1分子あたり、アルコキシ基が5〜300個程度導入することが好ましく、60〜150個程度導入することが特に好ましい。かかるアルコキシ基が下限値未満では初期粘着力が低下する傾向となり、上限値を超えると機械的強度、耐熱性が低下する傾向にある。
【0048】
ポリオール成分(A)の配合割合としては、カルボン酸成分(B)1当量あたり、ポリオール成分(A)1当量以上であることが好ましく、1.2当量以上であることがより好ましく、2.0当量以下であることが好ましい。ポリオール成分(A)の配合割合が下限値未満では酸価が高くなり高分子量化するのが難しくなり、上限値をこえると収率がわるくなり好ましくない。
【0049】
本発明のポリエステル系樹脂は、一般式(1)で示されるジオール成分(a)を含むポリオール成分(A)とカルボン酸成分(B)、または、ポリオール成分(A)とアルコキシ基を有するカルボン酸(b)を含むカルボン酸成分(B)を触媒存在下、公知の方法により重縮合反応させることにより得られる。
【0050】
重縮合反応に際しては、まず重合(エステル化)反応が行われた後、縮合反応が行われる。
【0051】
かかる重合(エステル化)反応においては、触媒が用いられ、具体的には、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系、三酸化アンチモン等のアンチモン系、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム系などの触媒や酢酸亜鉛、酢酸マンガン、ジブチル錫オキサイドなどを挙げることができ、これらの1種あるいは2種以上が用いられる。
【0052】
該触媒の配合量は、全共重合成分に対して1〜10000ppmであることが好ましく、10〜5000ppmであることがより好ましく、10〜3000ppmであることがさらに好ましい。かかる配合量が下限値未満では重合反応が充分に進行しないことがあり、逆に上限値をこえると反応時間短縮等の利点はなく副反応が起こりやすくなり好ましくない。
【0053】
重合(エステル化)反応時の温度については通常160〜260℃、さらには180〜250℃、特には200〜250℃で行うことが好ましく、かかる温度が下限値未満では反応が充分に進まないことがあり、逆に上限値を超えると分解等の副反応が起こることがあり好ましくない。また、圧力は常圧下で実施される。
【0054】
かかる重合(エステル化)反応が行われた後、縮合反応が行われるが、このときの条件としては、上記のエステル化のときと同様の触媒を更に同程度の量添加して、好ましくは220〜260℃、より好ましくは230〜250℃にして、反応系を徐々に減圧して最終的には5hPa以下で反応させることが好ましく、かかる反応温度が下限値未満では反応が進まないことがあり、逆に上限値をこえると分解等の副反応が起こることがあり好ましくない。
【0055】
次に、上記ポリエステル系樹脂を用いた粘着剤について説明する。
【0056】
本発明のポリエステル系樹脂を粘着剤として使用する場合は、数平均分子量が5000以上であることが好ましく、10000〜100000であることがより好ましく、15000〜80000であることがさらに好ましい。数平均分子量が下限値未満であると粘着剤とした場合に充分な凝集力が得られず、耐熱性や機械的強度が低下する傾向がある。また、分子量を上げすぎると、柔軟性が失われ、初期粘着性が低下し、指圧程度の圧力で充分な接着力を発揮できない傾向がある。
【0057】
本発明のポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、−10℃以下であることが好ましく、−25℃以下であることがより好ましい。ガラス転移温度が上限値を超えると柔軟性が失われ、初期粘着性が低下し、指圧程度の圧力で充分な接着力を発揮できない傾向がある。また、ガラス転移温度の下限としては−100℃以上であることが好ましく、−80℃以上であることがより好ましく、−70℃以上であることがさらに好ましい。かかる下限値未満では耐熱性が低下し好ましくない。
【0058】
本発明の粘着剤は、本発明のポリエステル系樹脂を主成分としたものであり、通常はこれを架橋処理して凝集力にすぐれたものにする。
【0059】
架橋処理には、ポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物など、ポリエステル系樹脂に含まれる水酸基および/またはカルボキシル基と反応する官能基を有する化合物であればいかなるものでも用いることができるが、これらの中でもポリイソシアネート化合物が初期粘着性と機械的強度、耐熱性を両立する点でより好ましい。
【0060】
ポリイソシアネート化合物としては、たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネートがあげられ、また、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物、ヘキサメチレンジイソシアネート付加物やイソホロンジイソシアネート付加物などのイソシアネート付加物などがあげられる。なお、上記ポリイソシアネート化合物は、フェノール、ラクタムなどでイソシアネート部分がブロックされたものでも使用することができる。これらの架橋剤は、その1種を単独で使用しても良いし、2種以上混合して使用しても良い。
【0061】
架橋剤の使用量は、ポリエステル系樹脂の分子量と用途目的により適宜選択できるが、通常は、ポリエステル系樹脂に含まれる水酸基および/またはカルボキシル基の1当量に対して、架橋剤に含まれる反応性基が0.2〜10当量となる割合で架橋剤を含有することが好ましく、特には0.5〜6当量、さらには1〜4当量が好ましい。架橋剤に含まれる反応性基の量が下限値未満であると凝集力が不足し、充分な耐熱性が得られない傾向があり、上限値を超えると柔軟性が低下し、初期粘着性が悪くなり、指圧程度の圧力で充分な接着力を発揮できなくなる傾向がある。
【0062】
また、架橋剤を添加する方法に変えて、ポリエステル系樹脂の末端にラジカル反応性不飽和基を導入してラジカル反応させる方法により架橋反応を行ってもよい。ラジカル反応性不飽和基としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール化合物のモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン、グリセリン、トリメチロールエタン等のトリオール化合物のモノ(メタ)アクリレートまたはジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の4価以上のポリオールのモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートまたはトリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有アクリル系化合物があげられる。
【0063】
これらのヒドロキシル基含有アクリル系化合物を用いて、末端にラジカル反応性不飽和結合が導入されたポリエステル系樹脂は、熱ラジカル開始剤の存在下で加熱することや、光ラジカル開始剤存在下で紫外線を照射することや、さらには電子線などの放射線を照射することにより架橋反応させることができる。
【0064】
本発明の粘着剤において、必要に応じて従来公知の粘着付与剤、軟化剤、紫外線吸収剤、安定剤、耐電防止剤などの添加剤やその他、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状などの添加剤を配合することができる。
【0065】
さらに、本発明は、支持体の片面または両面に前記粘着剤からなる層を設けてなることを特徴とする粘着シートに関する。
【0066】
支持体としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリピロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブチレンテレフタレート等のフィルムや金属箔、紙や不織布等の多孔性材料等が挙げられるが、中でも特にポリエチレンフタレートフィルムがよく用いられる。
【0067】
支持体の厚みは特に限定されず、例えば1〜100μm、好ましくは10〜50μm程度の範囲から適宜選択することができる。
【0068】
本発明の粘着シートは、支持体の片面または両面に前記粘着剤を塗布し、乾燥することによりシート状やテープ状などの形態としたものである。
【0069】
塗布量としては、乾燥後厚さが10〜150μmとなるように塗布することが好ましく、20〜50μmとなるように塗布することがより好ましい。
【0070】
また、乾燥条件としては、60〜140℃、特には80〜120℃で、1〜30分間、特には2〜5分間乾燥することが好ましい。
【0071】
さらに、本発明の粘着シートには、必要に応じて、粘着剤層の外側に剥離シートを設け保護されていてもよい。また、粘着剤層が支持体の片面に形成されている粘着シートでは、支持体の粘着剤層とは反対側の面に剥離処理を施すことにより、該剥離処理面を利用して粘着剤層を保護することも可能である。
【0072】
本発明の粘着剤は、電子部品用の粘着剤、偏光板用の粘着剤などの光学部材用の粘着剤、軟質塩化ビニル用の粘着剤などとして用いることができ、特には光学部材用の粘着剤として非常に有用である。
【実施例】
【0073】
以下に、本発明の実施例について述べる。本発明の範囲は、実施例によりなんら制限を受けるものではない。実施例中に部とあるものは重量部を示す。
【0074】
<ガラス転移温度>
DSC法にて測定した。即ち、試験片を室温から10℃/分の割合で昇温および冷却を行い、示差走査熱量計にて発熱量を測定し、吸熱曲線または発熱曲線に2本の延長線を引き、延長線間の1/2直線と吸熱曲線または発熱曲線の交点の温度をガラス転移温度とした。
【0075】
<初期粘着力>
室温(23℃)にて、粘着シートを幅25mm、長さ200mmに切断し、接着面を#280の耐水研磨紙で研磨したステンレス板(SUS304)に貼り付け、上から2kgのゴムローラーで20mm/秒の速度で2往復させ、粘着シートをステンレス板に圧着させた。10秒後に、剥離速度300mm/分の条件で180°剥離粘着力を測定し、初期粘着力とした。
【0076】
<粘着力>
室温(23℃)にて、粘着シートを幅25mm、長さ200mmに切断し、接着面を#280の耐水研磨紙で研磨したステンレス板(SUS304)に貼り付け、上から2kgのゴムローラーで20mm/秒の速度で2往復させ、粘着シートをステンレス板に圧着させた。23℃にて30分放置後、初期粘着力と同じ条件で180°剥離粘着力を測定し粘着力とした。
【0077】
<保持力>
室温(23℃)にて、粘着シートを幅25mm、長さ100mmに切断し、接着面のうち幅25mm、長さ25mmを#280の耐水研磨紙で研磨したステンレス板(SUS304)に貼り付け、上から2kgのゴムローラーで20mm/秒の速度で2往復させ、粘着シートをステンレス板に圧着させた。23℃にて30分放置後60℃、60RH%の条件で荷重を1kgかけ、粘着シートがステンレス板より落下するまでの時間(分)、または24時間後のずれた距離(mm)を測定した。
【0078】
<耐熱性>
上記保持力の測定において、23℃にて30分放置後60℃、60%RHの条件で測定するところを、23℃にて30分放置後80℃(ドライ)の条件で測定を行った以外は同様に評価した。
【0079】
実施例1
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、側鎖にアルコキシ基を有するポリオール(一般式(2)において、R=−CH2CH3、n=20)(協和発酵ケミカル(株)製の「TOE−2000H」、水酸基価:74.3KOHmg/g)100g、ネオペンチルグリコール62g、1,4−ブタンジオール26g、エチレングリコール29g、イソフタル酸31g、セバシン酸152gおよびテトラ−n−ブチルチタネート0.15gを仕込み、150〜250℃で150分間加熱してエステル化反応を行い、ついで反応系の圧力を徐々に減じて30分後に133Paとし、さらに減圧を続けながら150分間反応を行った。得られたポリエステル樹脂の数平均分子量は18000、水酸基価は5.9KOHmg/g、酸価は0.3KOHmg/g、ガラス転移温度は−48℃であった。
【0080】
得られたポリエステル樹脂の1H−NMR(基準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl3)のチャートを図1に示す。
【0081】
1H−NMRの帰属)
0.96ppm ネオペンチルグリコール由来のピーク
1.08ppm ネオペンチルグリコール由来のピーク
1.14ppm TOE−2000H由来のピーク
1.18ppm TOE−2000H由来のピーク
1.21ppm TOE−2000H由来のピーク
1.22ppm TOE−2000H由来のピーク
1.26ppm セバシン酸由来のピーク
1.30ppm セバシン酸由来のピーク
1.58ppm セバシン酸及びTOE−2000H由来のピーク
1.61ppm セバシン酸及びTOE−2000H由来のピーク
1.69ppm セバシン酸及びTOE−2000H由来のピーク
1.70ppm セバシン酸及びTOE−2000H由来のピーク
1.71ppm セバシン酸及びTOE−2000H由来のピーク
1.73ppm セバシン酸及びTOE−2000H由来のピーク
1.80ppm TOE−2000H由来のピーク
1.83ppm TOE−2000H由来のピーク
2.05ppm 1,4−ブタンジオール由来のピーク
2.25ppm セバシン酸由来のピーク
2.27ppm セバシン酸由来のピーク
2.29ppm セバシン酸由来のピーク
2.30ppm セバシン酸由来のピーク
2.31ppm セバシン酸由来のピーク
2.32ppm セバシン酸由来のピーク
2.35ppm セバシン酸由来のピーク
3.47ppm TOE−2000H由来のピーク
3.50ppm TOE−2000H由来のピーク
3.53ppm TOE−2000H由来のピーク
3.88ppm ネオペンチルグリコール由来のピーク
3.99ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.07ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.09ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.10ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.14ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.17ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.27ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.32ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.36ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.43ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.44ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.46ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.53ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.55ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
4.56ppm エチレングリコール及び1,4−ブタンジオール由来のピーク
7.51ppm イソフタル酸由来のピーク
7.55ppm イソフタル酸由来のピーク
7.59ppm イソフタル酸由来のピーク
8.21ppm イソフタル酸由来のピーク
8.25ppm イソフタル酸由来のピーク
8.68ppm イソフタル酸由来のピーク
【0082】
なお、NMRはVARIAN社製「UNITY 300」を用いて測定した。
【0083】
得られたポリエステル樹脂を酢酸エチルで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル樹脂100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(製品名 コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製))5.0部(固形分)(架橋剤に含まれる反応性基が2.0当量/ポリエステル樹脂の水酸基1当量)を配合して攪拌した後、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケータを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥し、粘着剤層の厚さが25μmの粘着シートを作製した。
【0084】
実施例2
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、側鎖にアルコキシ基を有するポリオール(一般式(2)において、R=−CH2CH3、n=20)(協和発酵ケミカル(株)製の「TOE−2000H」、水酸基価:74.3KOHmg/g)200g、ネオペンチルグリコール55g、エチレングリコール21g、イソフタル酸44g、セバシン酸80gおよびテトラ−n−ブチルチタネート0.15gを仕込み、150〜250℃で180分間加熱してエステル化反応を行い、ついで反応系の圧力を徐々に減じて30分後に133Paとし、さらに減圧を続けながら270分間反応を行った。得られたポリエステル樹脂の数平均分子量は15000、水酸基価は7.1KOHmg/g、酸価は0.4KOHmg/g、ガラス転移温度は−43℃であった。
【0085】
このポリエステル樹脂を酢酸エチルで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル樹脂を温度計、攪拌機、還流式冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに仕込み、イソホロンジイソシアネートをポリエステル樹脂100部(固形分)に対し1.7部仕込み、さらにジブチル錫ジラウレート0.3部仕込み75℃で8時間反応させ、ポリエステル樹脂ベースのポリウレタン溶液を得た。このポリエステル樹脂ベースのポリウレタン樹脂100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(製品名 コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)6.6部(固形分)(架橋剤に含まれる反応性基が7.3当量/ポリエステル樹脂の水酸基1当量)を配合して攪拌した後、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケータを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥し、粘着剤層の厚さが25μmの粘着シートを作製した。
【0086】
実施例3
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、側鎖にアルコキシ基を有するポリオール(一般式(2)において、R=−CH2CH3、n=20)(協和発酵ケミカル(株)製の「TOE−2000H」、水酸基価:74.3KOHmg/g)100g、トリメチロールプロパン2g、ネオペンチルグリコール60g、1,4−ブタンジオール26g、エチレングリコール29g、イソフタル酸31g、セバシン酸152gおよびテトラ−n−ブチルチタネート0.15gを仕込み、150〜250℃で150分間加熱してエステル化反応を行い、ついで反応系の圧力を徐々に減じて30分後に133Paとし、さらに減圧を続けながら90分間反応を行った。得られたポリエステル樹脂の数平均分子量は22000、水酸基価は4.6KOHmg/g、酸価は0.5KOHmg/g、ガラス転移温度は−48℃であった。
【0087】
このポリエステル樹脂を酢酸エチルで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル樹脂100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(製品名 コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)3.3部(固形分)(架橋剤に含まれる反応性基が1.7当量/ポリエステル樹脂の水酸基1当量)を配合して攪拌した後、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケータを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥し、粘着剤層の厚さが25μmの粘着シートを作製した。
【0088】
比較例1
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、ネオペンチルグリコール65g、1,6−ヘキサンジオール73g、エチレングリコール39g、テレフタル酸72、イソフタル酸52g、セバシン酸100gおよび三酸化アンチモン0.18gを仕込み、150〜260℃で150分間加熱してエステル化反応を行い、ついで反応系の圧力を徐々に減じて30分後に133Paとし、さらに減圧を続けながら330分間反応を行った。得られたポリエステル樹脂の数平均分子量は17000、水酸基価は6.2KOHmg/g、酸価は0.4KOHmg/g、ガラス転移温度は−20℃であった。
【0089】
このポリエステル樹脂を酢酸エチルで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル樹脂100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(製品名 コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)5.5部(固形分)(架橋剤に含まれる反応性基が2.1当量/ポリエステル樹脂の水酸基1当量)を配合して攪拌した後、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケータを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥し、粘着剤層の厚さが25μmの粘着シートを作製した。
【0090】
比較例2
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、ネオペンチルグリコール61g、1,6−ヘキサンジオール67g、エチレングリコール36g、セバシン酸235gおよび三酸化アンチモン0.18gを仕込み、150〜260℃で150分間加熱してエステル化反応を行い、ついで反応系の圧力を徐々に減じて30分後に133Paとし、さらに減圧を続けながら360分間反応を行った。得られたポリエステル樹脂の数平均分子量は25000、水酸基価は4.3KOHmg/g、酸価は0.2KOHmg/g、ガラス転移温度は−55℃、結晶化温度は2℃、融点は26℃であった。
【0091】
このポリエステル樹脂を酢酸エチルで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル樹脂100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(製品名 コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)4.4部(固形分)(架橋剤に含まれる反応性基が2.5当量/ポリエステル樹脂の水酸基1当量)を配合して攪拌した後、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケータを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥し、粘着剤層の厚さが25μmの粘着シートを作製した。
【0092】
上記実施例1〜3および比較例1〜2の粘着シートについて上記方法で性能評価を行って、初期粘着力、粘着力、保持力、耐熱性を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0093】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施例1で得られたポリエステル樹脂の1H−NMRチャートである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の新規なポリエステル系樹脂は、粘着剤として有用であり、かかる粘着剤は、特に電子部品用の粘着剤として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオール成分と(B)カルボン酸成分を重縮合してなるポリエステル系樹脂であって、(A)ポリオール成分と(B)カルボン酸成分の少なくとも一方が側鎖にアルコキシ基を有する原料成分を含むことを特徴とするポリエステル系樹脂。
【請求項2】
(A)ポリオール成分が、一般式(1):
【化1】

(Rは炭素数が1以上の炭化水素基、aは0〜10の整数、bは1〜10の整数、cは1以上の整数、dは0〜10の整数である。)
で示されるアルコキシ基含有ジオール(a)を含むことを特徴とする請求項1記載のポリエステル系樹脂。
【請求項3】
アルコキシ基含有ジオール(a)が、一般式(2):
【化2】

(Rは炭素数が1以上の炭化水素基、nは1以上の整数である。)
で示されるアルコキシ基含有ジオールであることを特徴とする請求項2記載のポリエステル系樹脂。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載のポリエステル系樹脂を含有してなることを特徴とする粘着剤。
【請求項5】
ポリエステル系樹脂の数平均分子量が5000以上であることを特徴とする請求項4記載の粘着剤。
【請求項6】
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度が−10℃以下であることを特徴とする請求項4または5記載の粘着剤。
【請求項7】
ポリエステル系樹脂中に含まれる水酸基および/またはカルボキシル基1当量あたり、架橋剤に含まれる反応性基が0.2〜10当量となる割合で架橋剤を含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の粘着剤。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれかに記載の粘着剤を含む光学部材。
【請求項9】
支持体の片面または両面に、請求項4〜7のいずれかに記載の粘着剤からなる層を設けてなることを特徴とする粘着シート。

【図1】
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【公開番号】特開2007−45913(P2007−45913A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231042(P2005−231042)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】