説明

ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品

【課題】 ソフトでしなやか感が良くナイロンに近い風合を有し、発色性が高く、染色バッチごとの色のバラツキが少なく、色の再現性が高い染色物が得られ、かつ染色堅牢度性能に優れたポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品を提供する。
【解決手段】 ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品であって、ポリエステル繊維が、ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜6重量%共重合したポリエステルで、90重量%以上がエチレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートからなり、単糸デシテックスが1.4以下で、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)が最大を示す温度(Tmax)が85℃以上105℃以下であることを特徴とするポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品に関するものである。さらに詳しくは、易染性ポリエステルを混用することでポリウレタン繊維を痛めずにポリウレタン繊維本来の伸縮弾性、物性を最大限に発揮し、従来にない格段にソフトでナイロンに近いしなやかな風合を有し、特に染色における色の再現性が良好なポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用布帛の染色製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン繊維は優れた伸縮弾性を有することから、ポリアミド繊維等と混用されて、水着、スポーツニット、ソックス、等に幅広く使用されている。
この場合に使用されるポリアミド繊維は低ヤング率に起因するソフトな風合を有し、常圧染色にて良好な染色性が得られることからポリウレタン繊維と好ましく混用されている。
しかしながら、ポリアミド繊維は湿潤時に繊維膨潤があり、寸法安定性や形態安定性に劣り、貯蔵中に黄変しやすいことや染色性の変化が大きい、耐光堅牢度や湿潤堅牢度が低い、染色後のタンニン酸処理にてポリウレタン繊維の劣化が生じる等の問題がある。
このためポリアミド繊維にかえてポリエステル繊維を使用した場合には、ポリアミド繊維でのかかる問題点は解決されるが、ポリエステル繊維を用いた場合、ポリエステル繊維の通常の染色温度である130〜135℃の高温染色するとポリウレタン繊維の伸縮弾性、強度、伸度が大きく低下するという問題がある。また、染色温度を下げて常圧下でキャリヤー剤を用いて染色した場合には、ポリウレタン繊維がキャリヤー剤により脆化すること、繊維中の脱キャリヤーが困難なこと、キャリヤー臭による作業環境の低下等の問題がある。
【0003】
そこで、ポリウレタン繊維の脆化を起こさせない温度領域で染色可能な常圧可染型ポリエステル繊維として、ナトリウムスルホイソフタル酸を5モル%以上共重合したカチオン染料可染型ポリエステル繊維の製造法が特許文献1、2に開示されている。しかしながら、染色性は高められるものの原糸強度が低く、伸縮回復性が乏しく、ソフトでしなやかな風合は得られず、耐薬品性が低く、カチオン染料の耐光堅牢度が乏しく、カチオン染料の染色機への汚染が大きい等の問題がある。
また、ポリエチレングリコールの共重合による易染性ポリエステル繊維の製造法が特許文献3に開示されている。しかしながら染色性は良好なものの原糸での沸水収縮率が高く、原糸使いにおいてはソフトでしなやかな風合が得られない、原糸が黄変しやすく淡色系における鮮明性が得られない等の問題がある。
【0004】
さらに、5000〜8000m/分の高速紡糸により繊維内部構造をかえた易染性ポリエステル繊維の製造法が特許文献4、5に開示されている。これらの高速紡糸によるポリエステル繊維は従来のポリエステル繊維に比べ易染性になっているものの完全な常圧可染とはいいがたく、濃色に染色するには、110〜120℃の染色温度が必要であり、ポリウレタン繊維の脆化は免れなく、しかもソフトでしなやかな風合は得られない等の問題がある。
また、ナイロン並のソフトな風合を得るためマルチ糸のポリエステル繊維が用いられるが、ポリウレタン繊維との混用布帛においては、染色加工工程中での寸法安定性、染色加工製品での縮率問題、生地耳部のカーリング防止による縫製時の可縫製向上等の対策として、染色前に乾熱にて190〜200℃の高温にてセットされるのが一般的であり、このような処理をされた場合には、マルチ糸の発色性は低下が大きくしかもソフトでしなやかな風合は得られない等の問題がある。
【0005】
従って、現状ではポリエステルの発色性と混用するポリウレタン繊維の伸縮弾性、物性との兼ね合いから妥協点を見出した染色条件が採用され、分散染料での染色が行われているが、しかるに分散染料で染色した場合、ポリウレタン繊維に分散染料が過度に染着し、その染着性のコントロールが困難であることから染色時の色ブレが大きく、ポリエステル繊維の発色性が低くなる問題がある。しかも、染色された混用布帛の染色堅牢度が著しく低下することから染色した布帛を還元洗浄によりポリウレタン繊維に汚染している分散染料を除去する必要があり、除去性を高めるため還元剤やアルカリ濃度を高くしたり、処理温度を高くする必要がある。
ところが、還元洗浄条件が強化されてもポリウレタン繊維中の分散染料を満足いく程度に除去することができず染色堅牢度性能は低く、洗浄条件の強化によりポリエステル繊維の発色性が大きく低下し、染色バッチごとの色のバラツキが大きく色の再現性が低い、品質の悪い染色製品しか得られていないのが実状である。さらにマルチタイプのポリエステル繊維を用いた場合、ハイマルチになるにつれ還元洗浄後の発色性低下がより大きく、染色バッチごとの色のバラツキもより大きくなり、より品質の悪い染色製品しか得られていないのが実情である。
【0006】
【特許文献1】特公昭61−017939号公報
【特許文献2】特開昭61−034022号公報
【特許文献3】特開平03−174076号公報
【特許文献4】特公平01−015610号公報
【特許文献5】特開昭59−059911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、改質されたポリエステル繊維とポリウレタン繊維を混用することにより、ポリエステル繊維の発色性が高く、染色における色の再現性が高く、従来にない格段にソフトでナイロンに近いソフトでしなやかな風合を有する混用染色製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、ポリウレタン繊維に混用するポリエステル繊維について鋭意研究を行った結果、ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜6重量%共重合したポリエステルを5000m/分以上の巻き取り速度で紡糸したポリエステル繊維をポリウレタン繊維と混用した布帛が上記課題を解決することを見出し、更に検討した結果、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品であって、ポリエステル繊維が、ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜6重量%共重合したポリエステルで、90重量%以上がエチレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートからなり、単糸デシテックスが1.4以下で、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)が最大を示す温度(Tmax)が85℃以上105℃以下であることを特徴とするポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品。
(2)ポリエステル繊維が、繊度変動値U%が1.0%以下で且つ、繊度変動周波数解析による10〜80mの周期における変動係数CV値の最大値が0.3%以下(但し、繊度変動値U%の測定は、糸長500mに渡り測定する)であることを特徴とする上記(1)記載のポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品。
(3)ポリウレタン繊維の着色度が60以下であって、JIS−L−0848法における汗アルカリ堅牢度が3級以上であって、JIS−L−0860法におけるドライクリーニング液汚染が3級以上であることを特徴とする上記(1)または(2)記載のポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品。
【発明の効果】
【0009】
ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜6重量%共重合した単糸デシテックスが1.4以下のポリエステルを5000m/分以上の巻き取り速度で紡糸した易染性ポリエステル繊維とポリウレタン繊維を混用することでポリエステル繊維の発色性が高く、染色における色の再現性が高く、従来にない格段にソフトでナイロン並にしなやかな風合を有する混用染色製品が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明について、以下に更に詳細に説明する。
本発明は、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品において、ポリエステル繊維が、ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜6重量%共重合したポリエステルで、90重量%以上がエチレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする。
本発明で用いられるポリエステル繊維における共重合成分であるポリエチレングリコールは、ポリエステル繊維の非晶構造に適当な乱れを起こし、染色性の向上に寄与するものである。
【0011】
ポリエチレングリコールの分子量が300未満のものは、易染効果が不十分で常圧可染性を達成するためには6重量%以上の共重合量が必要となり、ポリマー色調が悪化するため好ましくない。また、ポリエチレンテレフタレートは真空下での重合のため分子量が300未満のポリエチレングリコールの場合、一部がプロダクト系外に飛散する恐れがり、ポリマー組成が不安定となる。一方、ポリエチレングリコールの分子量が2000を越えた場合、ブロック共重合にともない超高分子成分が増大し、染色堅牢度、耐光性の低下が顕在化するため好ましくない。
また、ポリエチレングリコールの共重合量が3重量%未満の場合には、常圧での染色性が不十分であり、常圧可染性は得られない。一方、6重量%を越える場合には、常圧での染色性は十分であるが、ポリマー色調が悪化し、5000m/分以上の巻き取り速度においては、糸切れや毛羽の発生が多くなり、紡糸安定生産が困難となる。特に、繊度が細い領域では、この問題が顕著である。さらに、製糸されたフィラメントは耐光堅牢度、染色堅牢度が悪化し好ましくない。
【0012】
本発明におけるポリエステル繊維は、超高速紡糸法を用いるため、従来法によるポリエステル繊維に比べソフトな風合を有しており、更にポリエチレングリコールを共重合することで結晶化が抑制され、更にソフトな風合であり、繊度を細くすることで、更に一段とソフト感を増すことができる。本発明が求める従来にない格段にソフトでナイロンに近いしなやかな風合を有した混用品を得るには、ポリエステル繊維の単糸デシテックスが1.4以下とする必要がある。単糸デシテックスが1.4を越えると、他素材が有する独特の風合いを損ないポリエステル繊維の硬質な風合いが強調されることとなる。好ましくは1.2以下である。
【0013】
本発明におけるポリエステル繊維は、動的粘弾性測定から求められる損失正接のピーク温度(以下、Tmaxと称す)が85〜105℃以下であることが必要である。これは、この範囲で本発明が求める従来にない格段にソフトでナイロンに近いしなやかな風合が確保できるばかりか、染色性が高まり、単糸デシテックスが小さくなっても発色性が高いため、ポリウレタン繊維への染着量が少なくなり、ポリウレタン繊維の着色度が60以下にコントロールできることから染色バッチごとの色の再現性、染色堅牢度が良好となる。Tmaxは、非晶部の分子の移動性に対応するので、この値が小さくなるほど染料が非晶部に入りやすくなり、すなわち染色性が高くなるといえる。
【0014】
本発明におけるポリエステル繊維は、Tmaxが105℃を越えると染色性改善効果が少なく、より高い温度での染色が必要となりポリウレタン繊維の脆化の問題が発生しやすくなるので好ましくない。しかし、Tmaxが低すぎると力学物性、耐熱性の低下等の問題が出てくる。Tmaxの特に好ましい範囲は90〜100℃以下である。
また、Tmaxほど重要な条件ではないが、Tmaxにおける損失正接の値(以下、tanδmaxと称す)は0.13〜0.22程度が好ましい。損失正接の値は非晶量に対応しており、この範囲から外れると本発明で得られる風合の悪化や染色性、染色堅牢度が悪化するばかりか色の再現性が悪くなる惧れがある。
一般に、繊維の繊度を細くして布帛化した場合、布帛の染色性が淡色化する傾向にあるが、本発明では、高速紡糸化及びポリエチレングリコールの共重合化により、染色性を改善したポリエステル繊維を用いるため、繊度を細くしても、十分な染色性が得られるという特徴を有している。
【0015】
次に本発明におけるポリエステル繊維の製造法について述べる。
本発明でいうポリエステル繊維とは、構成単位の少なくとも90%以上がエチレンテレフタレートであり、前記のポリエチレングリコール成分以外にも5モル%以下の他の成分を共重合していてもよい。例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、ホウ酸等の鎖分岐剤を小割合重合したものであってもよい。
また、前記共重合成分の他に通常のエステル交換触媒、重合触媒、リン化合物、二酸化チタン等の艶消し剤、着色防止剤、酸化分解防止剤、消泡剤、ケイ光増白剤、顔料などを必要に応じて含有させてもよい。
【0016】
本発明におけるポリエステル繊維を構成するポリマーの重合方法は、公知の方法を採用することができる。すなわち、ポリエチレングリコールはテレフタル酸、エチレングリコール等と反応させてもよく、あるいはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応を行った後に反応させてもよく、ポリエステルの重合反応が完了する任意の段階で添加してもよい。また、現在工業生産が行われているバッチ重合法、連続重合法のいずれも適用できる。
本発明におけるポリエステル繊維は、5000m/分以上の巻き取り速度である高速紡糸法によって得ることができる。一方、当該共重合ポリエステルを通常法や直延法を用いて繊維化しても、ポリウレタン繊維と混用した時の風合として従来にない格段にソフトでナイロンに近いしなやかさは得ることは困難である。また、染色バッチごとの色の再現性も不良となる。これは高速紡糸で得た繊維の非晶部分の配向が通常法や直延法で得た繊維のそれよりもはるかに小さいことに起因する。特に、本発明で用いるポリマーは非晶部分に適度に分子鎖の長いポリエチレングリコールを有するので、非晶部の配向が一層低下し、染色性が向上するばかりかソフトでしなやかな風合がいっそう助長され、しかも力学物性に優れた画期的な繊維となる。
【0017】
本発明において従来にない格段にソフトでしなやかな風合を付与するため単糸デシテックスを1.4以下とし、高速紡糸法において製糸した場合、繊度斑による染め斑が顕在化することが明らかとなった。この事態を回避するため本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、単糸デシテックスが1.4以下で、5000m/分以上の高速紡糸法において、図1、2に示す、紡孔芯間距離が8mm以上である紡口を使用することで紡糸が安定化し、繊度変動が減少し、染め斑が回避されることを見出した。
紡孔芯間距離が8mm未満の場合、繊維長手方向の繊度変動値U%が1.0%以上となり繊度の変動が大きくなる。更に、その変動を周波数解析すると、繊度変動周波数解析による10〜50m周期変動係数が大きくなり、その最大値であるCV値が0.3を越え、一口編地による均染性の評価を行なうと、筋状の染め斑が顕在化し、高品質の易染性ポリエステルが得られない。さらに芯間距離が8mm未満の場合、超高速紡糸に特有に生ずるネッキング延伸に伴う随伴気流の影響が大きく、糸揺れにより繊度斑となる。
【0018】
本発明におけるポリエステル繊維のU%及びその周波数解析チャートを図4に示す。これより、繊維繊度の長手方向の変動が極めて少なく、繊維の長手方向に伴なう特異な周波数変動は無く、CV値は0.3%以下と極めて小さい値であり、繊度が長手方向に非常に安定して均一であるといえる。
繊度斑をより小さくし、より安定化するためには、紡口芯間距離10mm以上が好ましい。また、5000m以上の高速紡糸で円周冷却からなる冷却筒を付帯する紡糸設備を使用する場合の紡孔配列は1重円配列が好ましいが、芯間距離が8mm以下となる場合は多周円に紡孔を配列する必要があり、この際の内層部に位置する紡口芯間距離は外層紡孔の随伴気流が付加されるため10mm以上、好ましくは12mm以上の芯間距離にすることが好ましい。一方、芯間距離が30mmを越える場合は、U%及び品位への改善効果が見られず、紡口サイズが巨大となり工業生産上実用的でない。
【0019】
一方、単糸デシテックスが1.4以下で、5000m/分以上の高速紡糸において、糸切れ、毛羽が多発する原因は定かではないが、本発明において、易染性を付与するためにポリエチレングリコールを共重合しており、耐熱性が通常のポリエチレンテレフタレートに対比して劣るため、重合工程および紡糸工程における粘度斑や触媒、添加剤の凝集物等が生じやすく、単糸デシテックスが1.4以下で、5000m/分以上の高速紡糸の場合、粘度変動や触媒、添加剤の凝集物等の影響を受けやすく、糸切れ、毛羽多発が顕在化したものと考えられる。
糸切れ、毛羽を防止するため、ポリマー重合段階および紡糸工程において異常滞留を極力防止するなど細心の注意を払う必要があるが、異常滞留部を完全に解消することは困難である。そこで、粘度変動や触媒、添加剤の凝集物の影響を回避するため鋭意検討の結果、ポリマーの紡口からの吐出線速度を20cm/秒以上、100cm/秒以下とすることで糸切れ、毛羽が解消されることを見出した。
【0020】
紡孔吐出線速度が20cm/秒未満では糸切れ、毛羽が多発し易く、好ましくは40cm/秒以上が好ましい。紡孔吐出線速度が100cm/秒を越えると、メルトフラクチャーとなり易く、紡糸の不安定化、紡糸不能の原因となる。また、紡孔吐出線速度が20cm/秒未満の場合、繊度変動周波数解析による30〜80mの長周期の変動CV値が0.3%を越える大きな値となり、一口編地による均染性評価を行なうとバンド状の染め斑が顕在化し、高品位、高品質の易染性ポリエステル繊維が得られない。
本発明におけるポリエステル繊維は、例えば、図3に示す紡糸装置を用いて製造することができる。本発明に用いられる給糸用ノズルからなる収束ガイド、巻取装置、およびその他の溶融紡糸に必要な装置は、公知のものを使用してよい。また、本発明に用いる仕上油剤は、エマルジョンタイプ、ストレートタイプの何れでもよく、その成分は既知のものでよい。
【0021】
本発明の易染性ポリエステル繊維は、特に限定はしないが、総繊度が10〜170デシテックスでの繊維が好ましく適用される。また繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。そして、繊維が加工される糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸、エアジェット精紡糸等の紡績糸、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等がある。
本発明でいう混用品は、本発明の目的を損なわない範囲内でウール、綿、絹に代表される天然繊維やキュプラ、ビスコースレーヨン繊維、ポリアミド繊維等他の繊維を混紡(サイロスパンやサイロフィル等)、交絡混繊(高収縮糸との異収縮混繊糸等)、交撚、複合仮撚(伸度差仮撚等)、2フィード空気噴射加工等の混用の手段によるものであることができる。
【0022】
本発明において、混用されるポリウレタン繊維は、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオールをジオール成分とし、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートをジイソシアネート成分とし、エチレンジアミン等をジアミン成分として得られるポリエーテル系ポリウレタン繊維やポリカプロラクトンやアジピン酸/1,6−ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコールからなるポリエステル等からなるポリエステルジオールとブタンジオール等の脂肪族ジオール等をジオール成分とし、4,4′ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートをジイソシアネート成分として得られるポリエステル系ポリウレタン繊維などから適宜に選択されるポリウレタン繊維である。ポリウレタン繊維には、必要に応じて、金属酸化物、金属水酸化物等の塩素水劣化防止剤、例えば、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト類化合物等を単独又は二種以上の混合物が添加量としては好ましくは0.1〜6.0重量%含まれていてよく、その他公知の安定剤、紫外線吸収剤等が含有されていてもよい。
ポリウレタン繊維は、鮮明性の高いブライト糸、あるいは光沢を抑えたセミダル糸等から用途によって適宜選ばれる。
【0023】
本発明の混用品におけるポリエステル繊維とポリウレタン繊維の割合は、ポリウレタン繊維が概ね40重量%以下であることが好ましい。混用の割合は混用品の形態あるいは用途に応じて選択される。その他にウール、綿、絹、麻、キュプラ、ビスコースレーヨン、アセテート繊維等が混用されることもありうる。
本発明のポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品の形態は、糸条の形態であることも、布帛の形態であることもできる。糸条の形態の例としては、ポリウレタン繊維の裸糸すなわちベア糸(10〜500dtex)を易染性ポリエステル繊維で被覆した糸条、例えばいわゆるカバリングヤーン(シングル並びにダブルカバリング)、合撚糸、コアヤーン、交絡糸等の被覆糸などの形態が挙げられる。一方、布帛の形態の例としては、編物、織物、不織布並びにこれらの複合布帛(例えば積層布帛)が挙げられる。具体例として、いわゆる機上混用品があり、製編織時にポリウレタン繊維の裸糸(裸糸の場合は編成や製織時、2〜4倍程度に伸長させながら)又は被覆糸を機上にて易染性ポリエステル繊維と引き揃えて、又は合糸して混用して得られる編織物がある。
【0024】
本発明のポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品は、編成、製織後、リラックス精練してから染色することが好ましい。精練は40℃〜98℃の温度で、徐々に温度を上げながらできるだけ布帛をリラックスさせた状態で行うことが布帛の伸縮回復性を高めるなどの理由から好ましい。なお、染色前に形態固定を行いたい場合は170〜200℃の温度で乾熱でプレセットを行えばよい。
本発明のポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品を染色する際には、通常ポリエステル繊維が分散染料にて染色されている染色条件であればいずれでも適用でき、染色助剤の種類とその使用濃度、染色pH、染色浴比、染色時間等は被染色品の種類、用いられる処理装置、染色法を勘案して適宜設定すればよい。分散染料としては、ベンゼンアゾ系(モノアゾ、ジスアゾ、ナフタレンアゾ系)や複素環アゾ系(チアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ、キノリンアゾ、ピリドンアゾ、イミダゾールアゾ、チオフェンアゾ等)に代表されるアゾ系分散染料の使用が色の再現性、染色堅牢度を高める上で好ましい。
【0025】
染色する際の染色温度は135℃以下が好ましく、特に120℃以下で染色するのが色の再現性を高める上で好ましい。染色操作は、ウインス、ジッガー、ビーム染色機、液流染色機等の装置を用い、バッチ方式、連続方式のいずれによっても実施することができる。なお、浸染以外にパディング染色法、プリント法であっても実施することができる。染色後の後処理としては還元剤を用いた還元洗浄を実施する。
得られた混用染色品は、易染性ポリエステル繊維への分散染料の染着率を高め、単糸デシテックスが小さくても発色性が高く、見栄えのよい混用品の染色物が得られ、染色バッチごとの色のバラツキを抑え染色機の操業率を向上させる。また、ポリウレタン繊維への分散染料の染着量が少なくなっていることから、還元洗浄における還元剤の濃度、アルカリ剤の濃度は、各々1〜2g/リットルの条件で充分であり、処理温度を高める必要がなく、還元洗浄条件の強化も必要とせずに、還元洗浄バッチごとの色のバラツキの発生もなくせる。
【0026】
次に還元洗浄後は、常法に従って仕上げればよいが、ファイナルセット温度はプレセット温度より10℃以上低くしてセットすると好ましい結果が得られる。また、必要に応じて染色前にアルカリ減量処理を実施しても構わない。アルカリ減量処理を施す場合は、連続方式(パッド方式)が減量率のコントロールが得やすいなどの理由より好ましい。
本発明のポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品は、ソフトでしなやか感がよくナイロンに近い風合を有し、発色性が高く、染色バッチごとの色のバラツキが少なく、色の再現性が高い染色物が得られ、かつ堅牢度性能も良好である。具体的には、後述する条件におけるポリウレタンの着色度が60以下であって、JIS−L−0848法における汗アルカリ堅牢度が3級以上であって、JIS−L−0860法におけるドライクリーニング液汚染が3級以上である、商品価値の高い混用品を得ることができる。
【実施例】
【0027】
以下に本発明を実施例などにより更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。尚、本発明で用いられる特性値の測定法を以下に示す。
(1)固有粘度[η](dl/g)
固有粘度[η](dl/g)は次式の定義に基づいて求められた値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義中、ηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリマーの希釈溶液35℃での粘度を同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されるものである。Cはg/100mlで表わされるポリマー濃度である。
(2)強度・伸度
オリエンテック社製、引張試験機を用い、糸長20cm、引張速20cm/分の条件で測定した。
【0028】
(3)繊度変動値U%、U%波形高低差
以下の方法で繊度変動値チャート(グラフ;Daiagram Mass)を求めると同時にU%を測定した。
・測定器:イブネスター(ツエルベガーウースター社製、ウースターテスターUT−4)
・測定条件
測定法 : ノーマル
糸速度 : 100m/分
ディスクテンション強さ(Tension force):10%
撚り(Twist) : S撚り 10000回/min
測定糸長 : 500m
スケール : ±10%
・繊度変動値U%
変動チャート及び表示される変動値を直読した。
・繊度変動周波数解析
イブネステスターに付属の繊度変動周波数解析ソフトを用い上記条件で500m測定し、周波数とCV値を読んだ。
【0029】
(4)損失正接
オリエンテック社製レオバイブロンを用い、試料重量約0.1mg、測定周波数110Hz、昇温速度5℃/分、乾燥空気中にて測定を行い、各温度における力学的損失正接(tanδ)、および動的粘弾性(E’)を測定する。その結果から、tanδ−温度曲線が得られ、この曲線上でtanδが最大値を示す温度(Tmax)(℃)とそのときのtanδの極大値tanδmaxを求めた。
(5)吸尽率、発色性(K/S)測定:染色性の評価
試料は、糸を一口編地としスコアロール400を2g/リットル含む温水を用いて、70℃、20分間精練処理し、タンブラー乾燥機で乾燥させ、次いで、ピンテンターを用いて、180℃、30秒間の熱セットを行ったものを用いた。
染料は、SumikaronBlue/S−3RF(住化ケムテックス(株)製、商品名)を布帛に対して5重量%使用し、さらに分散剤として、ニッカサンソルト7000(日華化学(株)製、商品名)0.5g/リットル、酢酸0.25ml/リットル、酢酸ナトリウム1.0g/リットルを添加してpHを5に調整して染液とした。浴比25倍の染浴中で95℃にて60分の染色後、吸尽率を求めた。吸尽率は、染料原液の吸光度をA、染色後の染液の吸光度aを分光光度計から求め、以下の式に代入して求めた。吸光度は、当該染料の最大吸収波長である580nmでの値を採用した。
吸尽率=[(A−a)/A]×100(%)
発色性は、K/Sを用いて評価した。この値は、染色後のサンプル布帛の分光反射率Rを測定し、以下に示すKubelka−Munkの式から求めた。この値が大きいほど発色性が高い(表面濃度が高い)こと、すなはち、良く発色されていることを示す。当該染料の最大吸収波長である580nmでの値を採用した。
K/S=(1−R)2 /2R
【0030】
(6)均染性評価
試料は、糸を一口編地としスコアロール400を2g/リットル含む温水を用いて、70℃、15分間精練処理し、染料は、Foron Navy S−GL(クラリアントジャパン(株)製、商品名)を布帛に対して3重量%使用し、さらに分散剤として、ニッカサンソルト7000(日華化学(株)製、商品名)0.5g/リットル、酢酸0.25ml/リットル、酢酸ナトリウム1.0g/リットルを添加してpHを5に調整して染液とした。浴比25倍の染浴中でボイルにて30分染色後、均染性を以下の方法にて判定した。
ベテランの判定者3名で10段階評価し、次のように判定した。
○:8以上で均染性良好
△:6〜7で若干不良
×:6以下で不良
【0031】
(7)紡糸性の評価
1錘で24時間紡糸した場合の糸切れ回数で以下のように評価した。
糸切れ回数が1回以下を○、1〜3回までを△、3回を越える場合を×とした。
(8)風合い評価
検査者(30人)の触感によって布帛を次の基準で相対評価した。
◎:格段にソフトで、しなやか感が非常によく、ナイロンに近い
○:ソフト、しなやか感はよい
△:ソフト、しなやか感はやや劣る
×:ソフト、しなやか感がない
(9)染色バッチ間色差:色ブレ評価
混用品10反を1バッチとし、10バッチ染色を繰り返し、各バッチの10反目を代表としてそれぞれについて、10バッチ間の色差を分光測色計(Kollmorgen社製、形式マクベスMS−2020)にて測定し、その平均値を用いた。
【0032】
(10)汗アルカリ堅牢度
混用染色品について、JIS−L−0844に準じてアルカリ性人工汗液を用いて評価した。試験片の変褪色と添付白布片の汚染の程度をそれぞれ変褪色用グレースケール、汚染用グレースケールと比較して判定した。
(11)ドライクリーニング液の汚染
混用染色品について、JIS−L−0860に準じてドライクリーニング試験を実施し、ドライクリーニング液とドライクリーニング試験後の汚れ液を磁性容器に(20m/m×40m/m×10m/m)に8cc採り、液汚染程度を汚染用グレースケールと比較してその色落ち度を判定した。色落ちの少ない良好なものを5級とし、順次1級(色落ちの大きいもの)に判定した。
(12)染色物中のポリウレタン繊維の着色度
布帛からポリウレタン繊維を抜き取り、その着色度をJIS−Z−8730に準拠し、分光測色計(Kollmorgen社製、形式マクベスMS−2020)使用し評価した。着色度Dは、染色前と染色仕上後のポリウレタン繊維の着色度差を示すものであり、Lab表色系において、下記の式により求めた。
D=(ΔL2 +Δa2 +Δb2 1/2
【0033】
[実施例1、比較例1]
テレフタル酸ジメチル(以下、DMTと称す)100部、エチレングリコール76部、エステル交換触媒として、酢酸マンガン4水和物塩0.04部を仕込み、150℃から240℃に加熱して3時間を要してメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。
次いで、安定剤としてトリメチルフォスフェート0.04部、重合触媒として三酸化アンチモン0.05部、艶消し剤として二酸化チタン0.4部を添加した後、表1記載の分子量及び添加量にてポリエチレングリコールと、熱安定剤としてイルガノックス245(チバガイギー社製)をポリエチレングリコールに対して3%となるように加え混合添加する。その後、30分かけて常圧にて重縮合反応を行い、重合槽に移送した。移送完了後、徐々に減圧して、真空度0.5Torr、275℃で重縮合反応を行い、[η]=0.73の改質ポリエステルを得た。これらポリマーを用いて、紡孔径0.17φに穿孔された、紡糸孔36個(外層に24個、芯間距離10.5mm、内層に12個、芯間距離18.3mm)有する2周円配列紡口を使用して、紡糸温度280℃、吐出線速度43.2cm/秒、巻取速度5800m/分で高速紡糸を行い、44デシテックス/36フィラメントの繊維を得た。得られた易染性ポリエステル繊維のTmax、強度、伸度、染色性、紡糸性評価結果を表1に記載した。
【0034】
本発明の易染性ポリエステル繊維の分散染料に対する染色性は、通常法で紡糸されたポリエステル繊維(Tmax136℃)の130℃、60分の染色性を比較することで評価できる。通常法で紡糸されたポリエステル繊維の分散染料に対する染料吸尽率は94%でK/S値は24であった。
この糸条と311dtexのポリエーテル系ポリウレタン繊維(旭化成せんい〔株〕製、商品名;ロイカSC)を用いて、通常の編成条件で6コースサテンネット編地(コース密度175ループ数/インチ、ウエル密度43ループ数/インチ)を調整した。このポリウレタン繊維混用編地のポリウレタン繊維の混用率は21%であった。
この混用編地を拡布上で40℃、60℃、90℃と温度を変えながら精練リラックスしたのち195℃で1分間プレセットを行い、下記の染色条件で10反を1バッチとし、10バッチ各々染色した。
【0035】
染色条件
染料:C.I.ディスパースブルー 79.1 4%omf
(ベンゼンモノアゾ系分散染料)
分散均染剤:ニッカサンソルト RM−340(日華化学工業社製)
0.5g/リットル
酢酸: 0.5cc/リットル
酢酸ナトリウム: 1g/リットル
SR−1801Mコンク 4%omf
浴 比 : 1:15
染色温度、時間: 98℃、30分
【0036】
染色完了後、染色機から染色残液を排出し、染色機に水を入れ温度を70℃まで昇温し、これに下記薬剤を添加して下記の濃度の還元洗浄浴を調整し、染色物に70℃、10分間の還元洗浄を施した。
二酸化チオ尿素: 2g/リットル
苛性ソーダー : 1g/リットル
ビスノールUP−10(一方社油脂社製):0.5g/リットル
浴 比 : 1:20
この還元洗浄後、残液を排出し、温湯および水により染色物を十分にすすぎ洗いした後、150℃で30秒間の乾熱セットで仕上げた。仕上げた染色物の風合、混用染色品の発色性、染色バッチ間色差、汗アルカリ堅牢度、ドライクリーニング液汚染、ポリウレタン繊維の着色度の評価結果を表1に示す。
表1の結果より、本発明の実施例1で得られた混用品は、いずれも比較例1比べ、格段にソフトでしなやか感がよくナイロンに近い風合を有し、発色性が高く、染色バッチごとの色のバラツキが少なく、色の再現性が高い染色物が得られ、かつ堅牢度性能も良好で商品価値の高い混用品が得られることがわかる。
【0037】
[実施例2、比較例2]
実施例1で製造された44dtex/36fの各々のポリエステル原糸、各2本をインターレース混繊し、S方向に300T/Mの追撚を行った。この混繊糸と33dtexのポリエーテル系ポリウレタン繊維(旭化成せんい〔株〕製、商品名:ロイカSC)を用い、24GGで天竺編物を作製した。ポリウレタン繊維の混用率は3.9%であった。
得られた各々の編地を実施例1と同様のリラックス精練後、190℃で50秒間プレセットを行い、8反を1バッチとし、実施例1と同様の条件にて10バッチ染色を実施した。
染色後は、実施例1と同様の条件にて還元洗浄、仕上げを行った。
仕上げた染色物の風合、混用染色品の発色性、染色バッチ間色差、汗アルカリ堅牢度、ドライクリーニング液汚染、ポリウレタン繊維の着色度の評価結果を表2に示す。
表2の結果より、本発明の実施例2で得られた混用品は、いずれも比較例2比べ、格段にソフトでしなやか感がよくナイロンに近い風合を有し、発色性が高く、染色バッチごとの色のバラツキが少なく、色の再現性が高い染色物が得られ、かつ堅牢度性能も良好で商品価値の高い混用品が得られることがわかる。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の混用品は特にインナー分野、スポーツ分野で好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明で使用されるポリエステル繊維の紡糸における紡口の断面概要図の例を示す。
【図2】本発明で使用されるポリエステル繊維の紡糸における紡口の平面概念図の例を示す。
【図3】本発明で使用されるポリエステル繊維の紡糸生産工程例を示す。
【図4】本発明で使用されるポリエステル繊維のU%及びイブネステスターによる周波数解析チャートの例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品であって、ポリエステル繊維が、ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜6重量%共重合したポリエステルで、90重量%以上がエチレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートからなり、単糸デシテックスが1.4以下で、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)が最大を示す温度(Tmax)が85〜105℃であることを特徴とするポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品。
【請求項2】
ポリエステル繊維が、繊度変動値U%が1.0%以下で、且つ、繊度変動周波数解析による10〜80mの周期における変動係数CV値の最大値が0.3%以下(但し、繊度変動値U%の測定は、糸長500mに渡り測定する)であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品。
【請求項3】
ポリウレタン繊維の着色度が60以下であって、JIS−L−0848法における汗アルカリ堅牢度が3級以上であって、JIS−L−0860法におけるドライクリーニング液汚染が3級以上であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−316368(P2006−316368A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138309(P2005−138309)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】