説明

ポリエピトープワクチン

【課題】組み換えポリペプチド細胞毒性Tリンパ球ワクチンの提供。
【解決手段】本発明は、組み換えポリペプチド細胞毒性Tリンパ球ワクチンに関する。このワクチンは、1つ又はそれ以上の病原からの複数の細胞毒性Tリンパ球エピトープを含む少なくとも1つの組み換えタンパク質を含有し、少なくとも1つの組み換えタンパク質が、前記細胞毒性Tリンパ球エピトープに隣接して天然に見出される配列を実質的に含まない。さらに本発明は、1つ又はそれ以上の病原からの複数の細胞毒性Tリンパ球エピトープをエンコードする少なくとも1つの配列を含むポリヌクレオチドも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の細胞毒性Tリンパ球エピトープを含むワクチン、及び複数の細胞毒性Tリンパ球エピトープをエンコードする配列を含むポリヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
CD8+αβ細胞毒性Tリンパ球(CTL)は、クラスI主要組織適合性複合体1(MHC)の特異的対立遺伝子を持つ短いペプチド(エピトープ、通常8−10アミノ酸長)を認識する。ペプチドエピトープは、主に細胞質ゾルタンパク質からタンパク質分解によって生成され、その過程は多重触媒プロテオソーム(p roteosome)複合体を含むと考えられている2−7。適当な長さのペプチドは、特異的なエピトープがMHCと結合する小胞体に運ばれる。次いで、MHC/エピトープ複合体は、CTLに認識されるために細胞表面に運ばれる。CTLエピトープのフランキング(隣接する)配列の、これらのエピトープのタンパク質分解過程への影響は議論を残している8−12。しかし、配列中に9個のCD8CTLエピトープを含む人工的ポリペプチドタンパク質をコードする組み換えワクシニアを構成することにより、本発明者等は、CTLエピトープの天然フランキング配列はクラスI過程には必要でないこと、即ち、ポリエピトープタンパク質内の各エピトープは常に効率的に加工され、オートロガスなポリエピトープワクシニアに感染した標的細胞によって適当なCTLクローンに提示されることを決定した。
【特許文献1】オーストラリア特許第558258号
【特許文献2】欧州特許019942号
【特許文献3】米国特許4578269号
【特許文献4】米国特許4744983号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
従って、第1の態様において、本発明は、1つ又はそれ以上の病原からの複数の細胞毒性Tリンパ球エピトープを含む少なくとも1つの組み換えタンパク質を含有する、組み換えポリペプチド細胞毒性Tリンパ球ワクチンであり、少なくとも1つの組み換えタンパク質が、前記細胞毒性Tリンパ球エピトープに隣接して (flank)天然に見出される配列を実質的に含まないことを特徴とするワクチンである。
【0004】
好ましくは、少なくとも1つの組み換えタンパク質が、細胞毒性Tリンパ球エピトープに隣接して天然に見出される配列を含まない。しかし、細胞毒性Tリンパ球エピトープに隣接して天然に見出される長さの短い配列(例えば、1−5アミノ酸)は含まれていてもよい。「細胞毒性Tリンパ球エピトープに隣接して天然に見出される配列を実質的に含まない」という表現は、そのような長さの短いフランキング配列は含むものと解される。
【0005】
第2の態様では、本発明は、1つ又はそれ以上の病原からの複数の細胞毒性Tリンパ球エピトープをエンコードする少なくとも1つの配列を含むポリヌクレオチドであって、少なくとも1つの配列が、前記細胞毒性Tリンパ球エピトープに隣接して天然に見出されるペプチド配列をエンコードする配列を実質的に含まないことを特徴とするポリヌクレオチドである。
【0006】
ここでも、「細胞毒性Tリンパ球エピトープに隣接して天然に見出される配列を実質的に含まない」という表現は、細胞毒性Tリンパ球エピトープに隣接して天然に見出される長さの短い配列(例えば、1−5アミノ酸)を含む可能性があると解される。
【0007】
第3の態様では、本発明は核酸ワクチンであり、このワクチンは、本発明の第2の態様のポリヌクレオチドと、許容されうるキャリアとからなる。 第4の態様では、本発明はワクチン製剤であり、このワクチンは、本発明の第1の態様の組み換えタンパク質と、許容されうるキャリア及び/またはアジュバントを含む。
【0008】
本発明の好ましい実施態様では、少なくとも1つの組み換えタンパク質が、少なくとも3つの細胞毒性Tリンパ球エピトープを含み、少なくとも1つの配列が少なくとも3つの細胞毒性Tリンパ球エピトープをエンコードする。
【0009】
さらに好ましい実施態様では、エピトープが、多重病原(multiple pathogen) からのものである。
【0010】
また、本発明のワクチンは、(シトキンなどの)イムノドゥレートリ(immunod ulatory)化合物、他のタンパク質/化合物(メリチンまたは調節タンパク質)及び/またはアジュバントを含んでも良いとされる。このワクチンは、ヘルパーエピトープ/CD4エピトープ及びタンパク質、B細胞エピトープまたは例えば破傷風毒素などのそのようなエピトープを含むタンパク質を含んでも良い。本発明のワクチンの他の例は、組み換えワクチン構造体からなり、CTLエピトープを含むポリペプチドは、細胞外糖タンパク質、または、B細胞及び/またはCD4エピトープ含有糖タンパク質に結合している。
【0011】
本発明のワクチンは、例えば、ワクシニアベクター、アビポックス(avipox)ウイルスベクター、細菌ベクター、ウイルス様粒子(VLP)、及びラブドウイルスといった種々のベクターによって、または、核酸ワクチン化技術によって誘導してよい。ポリとーぷタンパク質は、製造及び/または漿液注入中にタンパク質分解を受けやすいので、我々は、そのようなワクチンを誘導する最善の方法は、核酸ワクチン化技術12、ベクター系またはポリトープタンパク質をタンパク質分解から保護するアジュバント系を用いることであると考える。ベクターに関するさらなる情報は、Chatfield,等,Vaccine,7,495-498,1989; Taylor,等,Va ccine,13,539-549,1995; Hodson 農業におけるワクチン(Vaccines in Aglicu lture)の中の、「細菌ワクチンベクター(Bacterial Vaccine Vectors)」に見られる。
【0012】
本発明のポリトープワクチンは、標的集団のHLA多様性をカバーするように、一つの病原からの多数のエピトープ(例えば10以上)を含んでもよい。例えば、HLA A1、A2、A3、A11、及びA24に制限されたエピトープを含むワクチンは、コーカサス集団の約90%をカバーする。
【0013】
本発明のポリトープワクチンは、多数のエピトープが単一のHLA対立遺伝子によって制限されるように構成されてもよい。
【0014】
本発明の第四の態様の好ましい実施態様では、ワクチン製剤はISCOMを含んでいる。ISCOMに関する情報は、オーストラリア特許第558258号、欧州特許尾019942号、米国特許4578269号、及び米国特許4744983号に見られ、これらの開示を参考として取り入れる。
【0015】
本発明の性質をさらに明瞭に理解するために、ここで、図面を添付して、以下の実施例を参照しながら好ましい形態を説明する。
【実施例】
【0016】
実施例1
9個の、クラスI制限された、数種のエプスタイン・バールウイルス各抗原(EBNA)からのCTLエピトープを、CTLクローンを用いて予め決定した10、18−20。クローンは、通常の健常エプスタイン・バールウイルス(EBV)セロポジティブなドナーから単離し、異なるHLA対立遺伝子で制限した(表1)。これらのCTLエピトープの9個全てを含む単一の人工タンパク質をコードする組み換えポリペプチドワクシニア(ポリトープワクシニア)を構成した(図1)。このタンパク質をコードするDNA配列は、オーバーラップ延長によるスプライシング(SOEing)、及び、6個のオーバーラップしたオリゴヌクレオチドを結合するポリメラゼ連鎖反応(PCR)を用いて製造した。挿入断片は、pBluescript IIにクローンされ、配列をチェックされ、pSTPT1を生成するワクシニアプロモーターの後ろで、pBCBO715に移入された。このプラスミドは、次いで、マーカー救援組み換え16によって、ポリトープワクシニアウイルスを生成させるために用いた。このワクシニアに表現された人工ポリトープタンパク質は、従って、その起源のタンパク質のCTLエピトープに隣接して天然に見いだされる配列を含んでいない(図1)。
【0017】
【表1】

【0018】
ポリトープのアミノ酸配列をコードするDNA配列は、ほ乳類で最もしばしば用いられるコドンで設計され、コザック(Kozac)配列13及び開始コドンの上流側のBamHI部位を組み込んだ。6個の70merの20塩基対がオーバーラップしたオリゴヌクレオチドは、ともにオーバーラップ延長によるスプライシング(SOEing)14を用いてスプライシングした。これは、標準PCRバッファー、2mMのMgCl、0.2mMdNTPs、1.5UのTaq ポリメラーゼ(94℃で加熱開始)を含む20μl反応で、以下の温度プログラムに従って行なわれた。94℃で10秒、45℃で20秒、及び72℃で20秒(40サイクル)。各ゲル精製ダイマーサンプルの半分を、さらに0.5μlのα32p dCTPを添加した第2のPCR反応(12サイクル)に結び付けた。反応は、6%アクリルアミドゲル上で行い、ヘキサマー生成物に相当する位置のスライスを単離した。2つの20merオリゴヌクレオチドは、温度56℃での25サイクルのアニーリングを用いたヘキサマーのPCR増幅に用いられる。ゲル精製されたフラグメントはpBlluescript II KS−のEcoRV部位にクローンされ、配列をチェックされ、pSTPT1を生成するためにワクシニアプラスミドベクターpBCB0715のBamHi/SaII部位を用いて、ワクシニアp7.5早期/晩期プロモーターの後ろにクローンされた。TK−組み換えウイルスの構成は、pSTPT1とVV−WR−L929との間の前記マーカー救済結合を用いて行われた16。プラーク精製ウイルスは、TK表現型及び適当なゲノム配列に対して、細菌DNAのサザンブロットによって試験した16
【0019】
各エピトープがポリトープタンパク質から効率的に加工されるか否かを確認するために、ポリトープワクシニアを、各エピトープを制限するHLA対立遺伝子を表現した標的細胞のパネルの感染に使用した。対で、各エピトープに特異的なオートロガスCTLクローンを、標準クロム放出アッセイにおけるエフェクター細胞として使用した。試験した全てのケースで、CTLクローンは、ポリトープワクシニア及び適当な(表1)EBNAワクシニア(正の対照)で感染したHLA適合標的細胞を認識して殺傷したが、TK−ワクシニア(負の対照)はしなかった(図2)。
【0020】
図2は、ポリトープワクシニア構造体に表現された各エピトープのCTL認識を示す。エフェクターCTLは、表1に挙げた(E:T比5:1)。標的細胞(下記)は、(i)CTLクローンで認識されるEPV核光源(EBNA)(表1参照)(正の対照)、または(ii)ポリトープ構造体(例えば、ポリトープワクシニア)を発現する組み換えワクシニアで感染させた。標的細胞のワクシニア感染は、5:1の多重感染においておこない、次いで37℃で14−16時間インキュベーションし、その後、5時間、標準51Cr放出アッセイを用いた。クローンLX1は、アッセイの時点で得られなかった。標的細胞;2タイプのEBV、A及びB−タイプがあり、これらのEBNAタンパク質配列はかなり個となっている。CTLクローンLC13、LC15、CM4、NB26、JSA2、及びCM9は、A−タイプEBVで形質転換した細胞は認識するが、B−タイプEBVでは認識せず、CTLクローンCS31及びYW22は、A−タイプEBV及びEBVで形質転換された細胞を認識する10、18-20。A−タイプ特異的CTLに対して用いる標的細胞は、従って、B−タイプウイルスで形質転換したオートロガスなリンパ芽球細胞系(B−タイプLCL)である。CS31及びYW22に対する標的細胞は、抗−CD40抗体及びrIL−4で確立されたEBVネガティブなB細胞芽球である21
【0021】
さらなる一連の実験は、ポリトープワクシニアを、インビトロでの、健常EBVセロポジティブドナーから得た抹消血液単核細胞(PBMC)からの二次的CTL反応の刺激に用いた。その結果得られたバルクCTL培地は、次いで、標準的なクロム放出アッセイにおける、オートロガスPHA芽球に過敏化されたペプチドエピトープに対するエフェクターとして用いられる。このポリトープワクシニアは、各ドナーによって発現されたHLA対立遺伝子に制限されたエピトープに特異的なCTL反応をリコールすることができる。
【0022】
図3は、エピトープ特異的反応をリコールできるポリトープワクシニアを示す。ドナー(A)CM−A24、A11、B7、B44;(B)YW−A2、B8、B38、及び、(C)NB−A2、A24、B7、B35からのバルクエフェクターは、ポリトープワクシニアを持つ末梢血液単核細胞(PBMC)で、0.01のMOIで2時間感染させ、次いで2回洗浄することによって生成された。10%FCS/1640RPMIでの10日培養の後、バルクエフェクターは、標準的な5時間クロム放出アッセイ19において、示したペプチド(10μM)で過敏化したオートロガスなフィトヘマグルチニンT細胞芽球標的細胞(E:T 20:1)に対して使用された。照射したオートロガスAタイプLCL19(LCLのPBMCに対する比 1:50)の添加によって生成したバルクエフェクターは、上記と同様の結果を与えた。
【0023】
モノクローナル抗体(8G10/4822及び8E7/5523)に認識された2つの線形B細胞エピトープ(STNS及びNNLVSGPEH)は、ポリトープタンパク質の発現に従うために、各ポリトープ構造体の各末端に組み込まれた。これらの抗体を用いたウェスタンブロット及びリンパ芽球細胞系(LCLs)で感染したポリトープワクシニアの間接的免疫蛍光抗体染色、及び検出できるT2細胞列の加工6、7は、ポリトープタンパク質精製物を検出しなかった(データは示さず)。同じp7.5プロモーターを用いたワクシニアによって発現された組み換えタンパク質は、通常は容易に検出でき24、このポリトープタンパク質がほ乳類細胞の細胞質中で容易に分解されることを意味している。T2細胞系はこれらのプロテオース様(proteosome)をともなうエンドペプチダーゼを発現しないので6、7、この分解は、LMP2及び7には依存しない。この現象は、ほ乳類細胞における端を切り取ったタンパク質またはペプチドを説明する他の研究25と一致し、個のようなタンパク質が二次または三次構造に保持される可能性が無いことを反映していると思われる。
【0024】
ヒトのポリトープを含むグルタチオンS−トランスフェラーゼ・フュージョンベクターを構成した。ヒトポリトープをコードするDNAフラグメントは、pBSポリトープから、BamHII/HincIIを用いて励起され、pFuspolyを製造するためにpGex−3x(GST遺伝子フュージョンシステムファーマシア(Pharmacia))のBamHI/AmaI制限部位にクローンされた。このプラスミドは、標準的な誘発プロトコールを用いて、細菌のポリトープフュージョンの発現に用いられた。細菌のアリコートは、ローディング・バッファー中に溶解し、寸法標識を備えた20%SDS PAGE下る上を走らせた。このゲルは、発現された約38kD(ヒトポリトープ プラス GSTドメイン(26kD))のタンパク質が、プラスミドを含む細菌内で発現されたことを示した。2つのモノクローナル抗体8G10/48及びE7/55のウェスタンブロットは、検出されたフュージョンが、ポリトープ構造体の各末端に組み込まれた2つの線形B細胞エピトープ(各々、STNS及びNNLVSGPEH)を有するヒトポリトープを含んでいることを示した。このタンパク質は、リポソームまたはISCOMsに組み込まれてもよい。
【0025】
グルタチオン寒天ビーズを使用したGST精製を用いたフュージョンタンパク質の精製の試みは、細菌抽出物の上澄み中にフュージョンタンパク質が無いので失敗した。全てのフュージョンタンパク質は、細胞の破片とともに沈澱した。異なる細菌においてそれ自体発現されたGSTは、細胞抽出物の上澄み中にあり、容易に精製できるので、プロトコールは誤っていなかった。これらのデータは、フュージョンタンパク質が、細菌封入体に隔離することなく細菌中で即座に分解されること、従って、GST系を用いた精製が困難なことを示している。
【0026】
実施例2
材料及び方法
マウスのポリトープタンパク質を発現する組み換えワクシニアの構成。種々の疾患からのクラスIマウスCTLエピトープは、マウスの3つの株で表現されるH−2Db、H−2Kb、H−2Kd、H−2Kk及びH−2Ldの各々に対して2つのエピトープが存在するように選択された(表2参照)。これらのアミノ酸配列は、各々の最初の5エピトープが異なるHLA対立遺伝子に制限され、続いて第2のグループ6−10に制限されるように配列した。エピトープの2つのグループは、母集団コドン利用データを用いてDNA配列に変換された。これら2つのDNA配列は、SpeIによって分離され、5’末端のXbal制限部位及び3’末端のAvrII部位によってフランクされた。また、5’末端に組み込まれたのは、BamHI制限部位、Kozac配列13、及びメチオニン開始コドンである。3’末端に形質胞体ファルシファルム(falciparum)からのB細胞エピトープはあるが、停止コドン及びSaII制限部位は図4及び5に見られる。5個の75merのオリゴヌクレオチド及び20塩基対がオーバーラップした76merのオリゴヌクレオチドで、この341塩基対配列を表現するものは、オーバーラップ延長によるスプライシング(SOEing)14及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてともにスプライシングした。プライマーダイマーは、プライマー1及び2、3及び4、5及び6(各0.4μg)から、標準1xPfu PCRバッファー、0.2mM dNTPs及び1UのクローンしたPfu DNAポリメラーゼを含む40μlの反応中(94℃で加熱開始)で、下記の温度プログラムでプログラムされたパーキン・エルマー9600PCR装置を用いて製造した。94℃で10秒間、42℃で20秒間、及び、72℃で20秒間を5サイクル。PCRプログラムの5サイクルの最後に、72℃で休止し、反応2及び3のアリコートを混合し(反応1はPCR装置に残す)、さらに5サイクルを行った。サイクル10において、プログラムを再度停止し、20μlの反応1を、混合した反応2及び3に添加し、さらに5サイクルを完了した。混合した40μlサンプルを、4%のNusieve寒天ゲル(FMC)上でゲル精製し、集めた寸法のフラグメントに対応するゲルスライスを取り出し、Whatmann3MMペーパーを通してスピンした。2つの20merのオリゴヌクレオチドを、全長生成物の、上記標準反応混合物及び50℃のアニール温度及び25サイクルを使用したPCR増幅に用いた。全長PCRフラグメントは、4%Nusieve寒天ゲル上でゲル精製し、pBSMPを製造するためにpBluescript IIKS-のEcoRV部位にクローンし、配列によって突然変異をチェックした。正しい配列を含むDNA挿入片は、BamHI/SaII制限酵素を用いて励起し、pSTMOUSEPOLYを生成するために、同じ酵素を用いて、プラスミドシャトルベクターpBCB0715内のワクシニアp7.5早期/晩期プロモーターの後ろにクローンした。TK−組み換えウイルスの構成は、pSTMOUSEPOLY及びVV−WR−L929の間の上述した16マーカー救済組み換えを用いて行った。プラーク精製ウイルスは、TK表現型、及び細菌DNA17のサザンブロットによる適当なゲノム配列に対して試験した。
【0027】
マウスの組み換えマウスポリトープワクシニアでのワクチン化。組み換えワクシニアは、各々がマウスの3つの株、Balb/cv、C57BL/6、及びCBAの、3匹のマウスのワクチン化に用いた。ワクチン化は、5x10のワクシニアpfuを含む50μlI.V.であり、マウスは3週間回復させた。この実験では、TK−ワクシニアは、マウスの各株に対する負の対照として用いた。
【0028】
細胞毒性T細胞アッセイ。脾臓細胞は、ワクチン化3週間後のワクチン化マウスから取り出し、適当なペプチド(1μg/ml)で、印日吐露で再刺激した16 。再刺激について、負の対照として用いたペプチドは無い。7日の培養の後、再刺激したバルクエフェクターを取り出し、5時間、51Cr−放出アッセイに用いた。これらのアッセイで用いた標的は、その株によって表現されたペプチドの1つで被覆された各株からのConA芽球である。3種の標的対エフェクター比、50:1、10:1、及び2:1を用い、結果を図6に示した。
【0029】
結果
マウス組み換えポリトープワクシニアの構成、マウスのポリトープに含まれるエピトープのリストを表2に挙げた。ポリトープDNA挿入片の構成を、図4にまとめた。ポリトープ配列は図5に示した。
【0030】
【表2】

【0031】
CTLアッセイ
ポリトープ内の各エピトープは、適当なMHC対立遺伝子で、マウスに主要なCTL反応を誘発した。同じ対立遺伝子に制限された2つのエピトープ間の競合は観察されなかった。(TK−対照を与えたCBAマウスにおける高いflu NP反応は、天然に獲得したインフルエンザによると思われる)。
【0032】
種々のMHC対立遺伝子に制限された種々の疾患からの多重CTLエピトープを含むポリトープ構造体は、ポリトープワクチン内の各エピトープに対して主要なCTL反応を生じうる。これは、予防のためにCTL反応が必要なすべてのワクチンにおいて明かな応用を有する。例えば、多重HIV CTLエピトープは治療ワクチンと組み合わせることができ、突然変異を避けることによって表現される予示エピトープとすることができ、それによって疾患の進行を防止する。マウスのポリペプチドマウスは、SIINFEKL特異的CTLを有し、インビトロ及びインビボでオボアルブミン移入細胞系EG7を殺傷することができる。インビトロで示されたEG7腫瘍細胞を殺傷するSIINFEKL特異的CTL マウスワクシニアで免疫化したマウスからの脾臓細胞を、ワクチン化4週間後に収集し、インビトロで、10μg/mlのSIINFEKLで7日間再刺激した。エフェクターは、移入していない親系列EL4は溶解できないが、EG7腫瘍細胞及びSIINFEKLで過敏化したEL4細胞は溶解した。
【0033】
マウスのポリトーアで補助されたインビボでのEG7腫瘍細胞に対する保護
マウス(C57B6)が、ヒトポリトープワクシニア(Thomsom,ら,1995)またはマウスポリトープワクシニア(10pfu/マウス/ip)のいずれかに与えられ、4週間後に10EL4またはEG7腫瘍細胞(Moore,ら,1988,Ce ll,54,777)を連続的(グループ当り10−11マウス)に受けた。
【0034】
9日目における、目に見える腫瘍(いずれも>直径1cm)を持つマウスの数を与える。
【0035】
【表3】

【0036】
MCMVに対する保護
BALB/cマウスを、ポリトープワクシニアでのワクチン化の5週間後に、MCMV(K181株、8x10PFU、100μl 腹腔内)でチャレンジした。チャレンジの4日後、脾臓グラム当りの細菌タイターを決定し、結果を図7に示した(Scalzo,らの方法)。
【0037】
DNAプラスミドに誘導されたポリトープワクチンの評価
上記のポリトープタンパク質は、モノクローナル抗体に認識される線形抗体エピトープを含む。しかし上述のように、ポリトープタンパク質は、保持構造を持たない配列のようにきわめて不安定なポリトープワクシニアで感染された細胞内では検出されない。従って、ポリトープワクチンの輸送は、拡散ワクチン化技術またはタンパク質分解から保護するアジュバントシステム(例えば、リポソームまたはISCOM)を用いるのが最善である。
【0038】
pCIS2.CXXNHからのCMVプロモーターカセット(Easonら,(1986 )Bioochemistry,25(26),p8343)は、プラスミドpDNAVaccを製造するために、pUC8のEcoRI部位に、Lacz遺伝子と同じ方向でクローンされる(DNAワクチン化実験における対照プラスミドとして用いられる)。次いで、このプラスミドは(pBSMPからの)マウスのポリトープを持ち、多重クローニング部位のXhol部位に挿入されてpSTMPDVを形成する。このプラスミドpRSVGM/CMVMPは、多くの異なるプラスミドを起源とするフラグメントをもつ。RSVプロモーターは、pRSVHygro(Long,ら,(1 991)Hum.Immunol.,31,229-235)、pMPZenからのマウスGM−CSF遺伝子(GM−CSF)(Johnson,ら,(1989)EMBO,8,441-448)及びpCSからのCMVプロモーターカセット(Kienzie,ら,(1992)Arch.Virol.,124,p123- 132)から励起される。CMVカセットの中に、マウスポリトープは多重クローニング部位のSmaI部位にクローンされる。両方の遺伝子、マウスGM−CSF及びマウスポリトープは、SV40からの2方向polyAを用いる。
【0039】
9個の6週齢雌Balb/cマウスは、50μlのPBS中のpDNAVacc(プラスミド対照)、pSTMPDV(マウスプラスミドのみ)、またはpRSVGM/CMVMP(マウスGM−CSF及びマウスポリトープ)のいずれか50μgをI.M.注入された(次図参照)。これらは、3週間において、他の同じプラスミドにブースターを与えた。ワクチン化から8週目に、これらのマウスを殺傷し、脾臓を取り出した。脾臓細胞は分離され、ワクシニアでのワクチン化ほ乳類について既に述べたペプチドとともに培養した。これらのバルクエフェクターは、Balb/cに発現されたマウスポリトープのエピトープに対応するペプチドで被覆されたp815細胞に対する51Crアッセイに用いられた。このアッセイは、E:T比2:1、10:1、及び50:1で6時間行った。
【0040】
これらの実験の結果は図8に示す。
【0041】
マウスポリトープワクシニアに誘発されたペプチド被覆または感染した標的に対する特異的CTL活性
方法
1.ワクチン化及びエフェクター細胞の調製。マウス(グループ当り3)は、5x10PFUのワクシニアで、腹腔内(IP)ワクチン化された。マウスは、同じ量のワクシニア3週で、同じ経路でブースト(boost)された。最初のワクチン化後6週に脾臓を取り出し、脾臓細胞はACKバッファー(0.15M NHCl、1mMK HCO、0.1mM NaEDTA)での白血球溶解の後に単離した(「免疫学に於ける現在のプロトコール(Current Protocols in Immuno logy)」, Ed JE Coligan,AM Kruisbeek,DH Margulies,EM Shevach,W Strob er,1994, John Wiley and Sons Inc.USA.)。ウェル当り5x10の脾臓細胞は、バルクT細胞媒質(RPMI/10% ウシ胎児血清(FCS)、2mMグルタミン、5x10−5M 2−メルカプトエタノール)中で7日間ペプチド再刺激(1μg/ml)された後、51クロム(51Cr)ラベルされた標的細胞上で細胞毒性Tリンパ球(CTL)アッセイされた17。再刺激に用いたペプチドは、上記AからJに与えた。エフェクターは、ペプチド被覆標的A−J、細菌感染標的(A’−J ’)、または標的を発現する移入抗源(I’)のいずれかに対して用いた。
【0042】
2.標的細胞の調製。これらのアッセイで用いた細胞系は、Balb/c(H−2)、C57BL/6に対するEL−4及びEG7(H−2)、CBAに対するL929(H−2)、または、各々Balb/c、C57BL/6またはCBAマウスから調製したconA芽球であった。CTL殺傷に必要なエピトープを発現するために、標的細胞は、(i)ペプチド(A−J)、(ii)ワクシニア(B’−D’、F’−J’)、または(iii)インフルエンザ(A’、E ’)で前インキュベートするか、(iv)SIINFEKLエピトープシステム(I’)の場合は、E1−4(EG7)のプラスミド移入物を発現するオボアルブミンとして維持した。
【0043】
(i)ペプチド被覆標的(A−J):標的細胞は、1000rpm/5分で遠心分離した。上澄みを約200μg/mlまで廃棄し、10−20PRMI(ペプチド無し)またはRPMI(ペプチド被覆)中200μmg/mlストック溶液(最終濃度10μg/ml)のいずれかを細胞ペレットに添加した。100マイクロリットルの51Crを細胞ペレットに添加し、細胞を37℃で1時間インキュベートした。次いで、FCS下層を通してRPMI/10%FCSで細胞を2回洗浄し、CTLアッセイの標的細胞用に10/mlで再懸濁した。
【0044】
(ii)ワクシニア(Vacc)感染標的(B’−D’、F’−J’):ワクシウイルス感染標的に用いたワクシニアはマウスポリトープ(Vacc Mu PT)、及び、負の対照としてのヒトポリトープ(Vacc Hu PT)である。ワクシニア感染された細胞系は、p815(B’−D’)、L929(F’)、及びEL−4(G’−L’)である。標的細胞は、1000rpm/5分で遠心分離した。上澄みを約200μlまで廃棄し、細胞(約10細胞)を、20μ lワクシニア(10pfu/ml)を添加し、続いて37℃で1時間インキュベーションすることによる10:1の感染多重性(multiplicity of infection) (MOI)においてワクシニアで感染させた。次いで、5ミリリットルのRPMI/10%FCSを添加し、細胞を混合して37℃で一昼夜インキュベートした。これらの細胞を、引き続いて遠心分離し、上澄みをカムディン(camdyne)に廃棄した。100マイクロリットルの51Crを細胞ペレットに加え、細胞を37℃ で1時間インキュベートした。次いで、FCS下層を通してRPMI/10%FCSで細胞を2回洗浄し、CTLアッセイの標的細胞用に10/mlで再懸濁した。
【0045】
(iii)インフルエンザ感染標的(A’、E’):インフルエンザウイルスのA/PR/8/34株を、Balb/c標的(A’)に、再組合せ(reassortant )A/タイワン(Taiwan)/1/86(IVR−40)をCBA標的(E’)にもちいた。負の対照として尿膜液を用いた。インフルエンザで感染させた細胞系は、p815(A’)及びL929(E’)である。標的細胞は、1000rpm/5分で遠心分離し、上澄みを廃棄した。500ミリリットル:インフルエンザウイルス(10ml EID)または尿膜液、50μlの51Cr、400μlのRPMI/10%FCSを細胞ペレットに加え、37℃で1時間インキュベートした。10ミリリットルのRPMI/10%FCSを添加し、混合して、37 ℃でさらに2時間インキュベートした。次いで、FCS下層を通してRPMI/10%FCSで細胞を2回洗浄し、CTLアッセイの標的細胞用に10/mlで再懸濁した。
【0046】
(iv)標的を発現するオボアルブミン(I’):EG7細胞は、チキンのオボアルブミンcDNAで形質転換したEL−4細胞である(Moore MW,Carbone FR 及び Bevan BJ(1988)「抗原加工及び表現のクラス1経路への可溶性タンパク質の導入(Intruduction of soluble protein into Class 1 pathway of antigen processing and presentation)」,Cell,54: 777-785)。これらの細胞は、RPMI/10%FCS、20mM ヘペス、2mM グルタチオン、1mM ピルビン酸ナトリウム、1001U/ml ペニシリン、及び100μg/ml ストレプトマイシン中に維持した。プラスミドを選択し、1ヶ月に1回500μ g/mlで、ケネチシン(Geneticin)(G−418)中で維持した。ペプチド無しのEL−4細胞(EL4 no pep)は、負の対照として用いた。細胞は、1000rpm/5分で遠心分離し、上澄みは約200μlまで廃棄した。100マイクロリットルの51Crを細胞ペレットに加え、細胞を37℃で1時間インキュベートした。次いで、FCS下層を通してRPMI/10%FCSで細胞を2回洗浄し、CTLアッセイの標的細胞用に10/mlで再懸濁した。
【0047】
3.CTLアッセイ。 再刺激した脾臓細胞(5x10/ml)を、CTLアッセイ用に、3種のエフェクター:標的比(50、10、2x10エフェクター細胞:1x10標的細胞)で、3つ(100μl)に分けた。標的細胞(10/ml)の100マイクロリットルを、全てのエフェクター及び対照ウェル(自発放出=100、1μl媒質;最大放出=100μl 0.5%SDS/RPMI/10%FCS)に添加した。マイクロタイタープレートを、500rpmで5分間遠心分離し、37℃で6時間インキュベートした。プレートは500rpm/5分で再度遠心分離し、25μlの上澄みの51Cr放出を計数した。特異的溶解の比率(%)は、3回の計数の平均を表す:100x(試験cpm−自発cpm)/(最大cpm−自発cpm)。
【0048】
結果を図9に示す。
【0049】
DNAワクチン化実験
最初のDNAワクチン化実験は、ポリペプチドがDNAワクチン化を用いて誘導されることを示す。さらに、ワクチン化はシトキン遺伝子(GM−CFS)とともに誘導することによって促進されるが、この実験においては、この促進は満足できるほど有意ではない。
【0050】
現在のシステムは、明らかに最適に次ぐものである。同様の促進は、潜在的によりよいプラスミドベクター、例えばVical、サンディエゴからのプラスミドの使用(Sedegah M,R Hendestrom,P Hobart,SL Hoffman,1994,「サーカムスポロゾイテタンパク質をエンコードするプラスミドDNAでの免疫化によるマラリアに対する保護(Protection against malaria by immunisation with pla smid DNA encoding circumsporozoite protein)」,PNAS,91,9866-9870)、及び、遺伝子銃を用いた(IM注入に対して)よりよい誘導システム(SUn WH.,B urkholder JK.,Sun J.,Culp J.,Lu XG.,Pugh TO.,Ershler WB,Yang NS.,「遺伝子銃によるインビボのシトキン遺伝子輸送がマウスにおける腫瘍成長を低減させる(IN VIVO CYTOKINE GENE TRANSFER BY GENE GUN REDUCES TURMOUR GROW TH IN MICE)」,Proceedings of the National Academy of Sciences of United States of America),92: 2889-2893,1995)。さらに、CTLエピトープに対するプライミングはCD4T細胞の助けを必要とし17、よって、構造体にヘルパーエピトープまたはタンパク質を含むことは、マウスDNAワクチンポリトープによるCTLプライミングのレベル及び信頼性を向上させる。
【0051】
「最初の抗原シン(sin)」の欠如、即ち、個体が既にエピトープの中の1つに反応を得ていたときの、ポリトープがポリトープ中の全てのエピトープの免疫反応を向上させる可能性。
導入
最初の抗原シンとは、抗原に基づく現象に与えられた用語であり、その現象によって、エピトープに対して存在する抗体反応が、第2のエピトープに対する免疫反応の発生を、そのエピトープがダイ1のエピトープと雄ねじタンパク質上に存在する場合に防止する(Benjamini E.,Andria M.L.,Estin C.D.,Notron,F .L.& Leung C.Y.(1988)「タンパク質抗原にエピトープに対する反応のクローン性に関する研究。エピトープ認識クローン活性のランダム性及びクローナル優勢の開発(Stdies on the clonality of the response to an epitope of a pr otein antigen.Randomness of activation of epitope-recognizing clones an d the development of clonal dominance.)」,J.Immunol.,141,55)。この現象の原因は、第1のエピトープに特異的なプライムしたB細胞の大集団が、第2の抗体に特異的な無垢のB細胞が、抗原と結合し、それを加工し、そしてそれをTヘルパー細胞に提示する機会を持つ以前に、全ての抗原に結合して拭き取ってしまうことである。同様の状況は、個体が、彼/彼女がポリトープ中のエピトープの1つに対する反応を既に有している場合に、ポリトープでワクチン化されるときにも起こりうる。存在するCTLは、他のエピトープが向くのT細胞に提示される前に、ポリトープ発現細胞の全てを殺傷するだろう。
【0052】
方法
この可能性を試験するために、マウス(Balb/c)を10pfuのマウスのシトメガロウイルス(MCMV)(K181株 − Scalzo.等,1995)で感染させ、5週間放置し、その時点で、MCMVエピトープ、YPHFMPTNLに特異的な強いCTL反応を起こした(Scalzo,等,1995 − 図2A)。これらのマウスは、次いで、マウスポリトープワクシニアを与えられ、脾臓細胞は、10日後に、マウスのこの株のポリトープによって発現される他の3つのエピトープ(RPQASGVYM、リンパ球脈絡髄膜炎ウイルス核タンパク質、H−2L;TYQRTRALV、インフルエンザ核タンパク質、H−2K、及び、SYIPSAEKI、P.ベルグハイ(P.Berghei)サーカムスポロゾイテ、H−2K)に特異的なCTLに対して試験された。
【0053】
結果
3つの新しいエピトープの各々に対する反応は、以下のポリトープワクチン化に見られ、YPHFMPTNL特異的CTLは、RPQASGVYM、TYQRTRALV及びSYIPSAEIに特異的なCTLのプライミングを、これら4つのエピトープがポリトープ中にともに存在する場合は阻害しないことが示された。(マウスポリトープワクシニアではなくヒトポリトープワクシニアを受けた対照動物は、YPHFMPTNL特異的CTLのみを示した。)
【0054】
この一連の実験は、例えば、ポリトープが種々の異なる疾患をカバーするように設計されれば、そのようなポリトープワクチンを受けた個体は、標的とする疾患の1つに既に罹患していなければ、ポリトープ中の残ったCTLエピトープに対して免疫化されることを示している。
【0055】
当業者には明らかなように、本発明者等は、クラスI加工にはCTLエピトープのフランキング配列は必要ないこと、即ち、ポリトープタンパク質内の各エピトープは常に効率的に加工され、オートロガスなポリエピトープワクシニア感染した標的細胞によって適当なCTLクローンに提示されることを示した。ポリトープが、エピトープに隣接して天然には見いだせない配列を含んでも良いことは当業者にとって明白である。
【0056】
上で議論したように、本発明はエピトープの範囲で使用できる。エピトープの範囲は、Brusic,等,Nucleic Acids Research,1994,22; 3663-5 に記載されたインターネットのアドレスから知ることができる。
【0057】
特別な実施態様として示した本発明を、広く記載した精神または範囲から離れることなく種々の変形及び/または修飾を施すことは当業者には容易である。これらの実施態様は、全ての点において例示的であり、何ら制限するものではない。
【0058】
(参考文献)


【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】配列中に9個のCTLエピトープを含有するポリトープタンパク質をコードする合成DNA挿入断片を発現する組み換えワクシニアの構造。ボックスで囲った配列は、線形B細胞エピトープを発現する。
【図2】組み換えポリトープワクシニア構造体で発現された各エピトープのCTL認識。
【図3】ポリトープワクシニアは、エピトープ特異的反応をリコール(recall)する。ドナー(A)CM−A24、A11、B7、B44;(B)YW−A2、B8、B38、及び、(C)NB−A2、A24、B7、B35からのバルクエフェクターは、ポリトープワクシニアを持つ末梢血液単核細胞(PBMC)で、0.01のMOIで2時間感染させ、次いで2回洗浄することによって生成された。10%FCS/1640RPMIでの10日培養の後、バルクエフェクターは、標準的な5時間クロム放出アッセイ14において、示したペプチド(10μM)で過敏化したオートロガスなフィトヘマグルチニンT細胞芽球標的細胞(E:T 20:1)に対して使用された。照射したオートロガスAタイプLCL14の添加によって生成したバルクエフェクターは、上記と同様の結果を与えた。
【図4】10個のマウスCTLエピトープを含むポリトープDNA挿入断片(i nsert)の構造を示す。
【図5】図1のポリトープDNA挿入断片の配列を示す。
【図6−1】図3のDNA挿入断片を含む組み換えワクシニアでワクチン化されたマウスから取り出した脾臓細胞に行ったCTLアッセイの結果を与える。
【図6−2】図3のDNA挿入断片を含む組み換えワクシニアでワクチン化されたマウスから取り出した脾臓細胞に行ったCTLアッセイの結果を与える。
【図6−3】図3のDNA挿入断片を含む組み換えワクシニアでワクチン化されたマウスから取り出した脾臓細胞に行ったCTLアッセイの結果を与える。
【図7】ポリトープワクシニアワクチン化の5週間後、及び、MCMVチャレンジの4日後の脾臓MCMVタイター(±標準誤差)の比較を示す。P値−非対スチューデントt−テスト。
【図8】Balb/cマウス中の異なるプラスミドでのDNAワクチン化。
【図9−1】これらの株(Balb/c、CBA、C56BL/6)からのマウスのポリトープワクシニア免疫化(IP)マウスは、移植された脾臓を持ち、脾臓細胞は、ペプチド(例えば、A’に対してA)で再刺激された。エフェクターは、インフルエンザNPペプチド”TYQRTRALV”での刺激によって生成された。エフェクターは、次いで、ペプチド被覆標的(A−J)、ウイルス感染標的(A’−J’)、及び、腫瘍標的(I’)に用いられた。ウイルス感染標的は、負の対照としての尿膜液(allantoic fluid)(A’、F’)、または、マウスポリトープワクシニア(Vacc Mu PT)(B’−D’、F’−J’)のいずれかで、負の対照としてヒトポリトープワクシニア(Vacc Hu PT)で感染した。
【図9−2】これらの株(Balb/c、CBA、C56BL/6)からのマウスのポリトープワクシニア免疫化(IP)マウスは、移植された脾臓を持ち、脾臓細胞は、ペプチド(例えば、A’に対してA)で再刺激された。エフェクターは、インフルエンザNPペプチド”TYQRTRALV”での刺激によって生成された。エフェクターは、次いで、ペプチド被覆標的(A−J)、ウイルス感染標的(A’−J’)、及び、腫瘍標的(I’)に用いられた。ウイルス感染標的は、負の対照としての尿膜液(allantoic fluid)(A’、F’)、または、マウスポリトープワクシニア(Vacc Mu PT)(B’−D’、F’−J’)のいずれかで、負の対照としてヒトポリトープワクシニア(Vacc Hu PT)で感染した。
【図9−3】これらの株(Balb/c、CBA、C56BL/6)からのマウスのポリトープワクシニア免疫化(IP)マウスは、移植された脾臓を持ち、脾臓細胞は、ペプチド(例えば、A’に対してA)で再刺激された。エフェクターは、インフルエンザNPペプチド”TYQRTRALV”での刺激によって生成された。エフェクターは、次いで、ペプチド被覆標的(A−J)、ウイルス感染標的(A’−J’)、及び、腫瘍標的(I’)に用いられた。ウイルス感染標的は、負の対照としての尿膜液(allantoic fluid)(A’、F’)、または、マウスポリトープワクシニア(Vacc Mu PT)(B’−D’、F’−J’)のいずれかで、負の対照としてヒトポリトープワクシニア(Vacc Hu PT)で感染した。
【図9−4】これらの株(Balb/c、CBA、C56BL/6)からのマウスのポリトープワクシニア免疫化(IP)マウスは、移植された脾臓を持ち、脾臓細胞は、ペプチド(例えば、A’に対してA)で再刺激された。エフェクターは、インフルエンザNPペプチド”TYQRTRALV”での刺激によって生成された。エフェクターは、次いで、ペプチド被覆標的(A−J)、ウイルス感染標的(A’−J’)、及び、腫瘍標的(I’)に用いられた。ウイルス感染標的は、負の対照としての尿膜液(allantoic fluid)(A’、F’)、または、マウスポリトープワクシニア(Vacc Mu PT)(B’−D’、F’−J’)のいずれかで、負の対照としてヒトポリトープワクシニア(Vacc Hu PT)で感染した。
【図9−5】これらの株(Balb/c、CBA、C56BL/6)からのマウスのポリトープワクシニア免疫化(IP)マウスは、移植された脾臓を持ち、脾臓細胞は、ペプチド(例えば、A’に対してA)で再刺激された。エフェクターは、インフルエンザNPペプチド”TYQRTRALV”での刺激によって生成された。エフェクターは、次いで、ペプチド被覆標的(A−J)、ウイルス感染標的(A’−J’)、及び、腫瘍標的(I’)に用いられた。ウイルス感染標的は、負の対照としての尿膜液(allantoic fluid)(A’、F’)、または、マウスポリトープワクシニア(Vacc Mu PT)(B’−D’、F’−J’)のいずれかで、負の対照としてヒトポリトープワクシニア(Vacc Hu PT)で感染した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の病原のそれぞれの複数のCTLエピトープをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドであって、前記CTLエピトープをコードする各配列が連続しているか、または前記エピトープの天然に見出される隣接配列をコードしない配列を介在させることによって離れており、各病原の一つ以上のエピトープが同じHLA対立遺伝子によって制限されている、ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記CTLエピトープが連続している、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
複数のCTLエピトープをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドであって、前記CTLエピトープが連続している、ポリヌクレオチド。
【請求項4】
少なくとも3つのCTLエピトープをコードする、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
さらにTヘルパー細胞エピトープまたはB細胞エピトープをコードする核酸配列を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項7】
ワクシニアベクター、アビポックス(avipox)ベクター、ラブドウイルスベクター、細菌ベクター、及びウイルス様粒子(VLP)から選択される、請求項6に記載のベクター。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む核酸ワクチン。
【請求項9】
請求項6または7に記載のベクターを含む核酸ワクチン。
【請求項10】
複数の病原のそれぞれの複数のCTLエピトープを含む組み換えポリペプチドであって、前記CTLエピトープが連続しているか、または前記エピトープの天然に見出される隣接配列を含まない配列を介在させることによって離れており、各病原の一つ以上のエピトープが同じHLA対立遺伝子によって制限されている、組み換えポリペプチド。
【請求項11】
前記CTLエピトープが連続している、請求項10に記載の組み換えポリペプチド。
【請求項12】
少なくとも3つのCTLエピトープを含む、請求項10または11に記載のポリペプチド。
【請求項13】
さらにTヘルパー細胞エピトープまたはB細胞エピトープを含む、請求項10から12のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項14】
ポリエピトープワクチンの製造における、請求項10から13のいずれか一項に記載の組換えポリペプチドの使用。
【請求項15】
複数の病原のそれぞれの複数のCTLエピトープを含む組み換えポリペプチドを含むポリエピトープワクチンであって、前記CTLエピトープが連続しているか、または前記エピトープの天然に見出される隣接配列を含まない配列を介在させることによって離れており、各病原の一つ以上のエピトープが同じHLA対立遺伝子によって制限されている、ポリエピトープワクチン。
【請求項16】
前記CTLエピトープが連続している、請求項15に記載のワクチン。
【請求項17】
前記ポリペプチドが少なくとも3つのCTLエピトープを含む、請求項15または16に記載のワクチン。
【請求項18】
さらにTヘルパー細胞エピトープまたはB細胞エピトープを含む、請求項15から17のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項19】
さらにISCOMを含む、請求項15から18のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項20】
さらにアジュバントを含む、請求項15から19のいずれか一項に記載のワクチン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図9−4】
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【図9−5】
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【公開番号】特開2007−135598(P2007−135598A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6075(P2007−6075)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【分割の表示】特願平8−505321の分割
【原出願日】平成7年7月27日(1995.7.27)
【出願人】(505013561)ザ・カウンシル・オブ・ザ・クィーンズランド・インスティテュート・オブ・メディカル・リサーチ (4)
【出願人】(591269435)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼーション (23)
【氏名又は名称原語表記】COMMONWEALTH SCIENTIFIC AND INDUSTRIAL RESEARCH ORGANIZATION
【出願人】(500074981)ザ ユニバーシティー オブ メルボルン (5)
【出願人】(500058017)ザ ウォルター アンド エリザ ホール インスティテュートオブ メディカル リサーチ (2)
【出願人】(507013833)バイオテック・オーストラリア・ピーティワイ・リミテッド (2)
【出願人】(500021413)シーエスエル、リミテッド (28)
【Fターム(参考)】