説明

ポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法とその分離装置

【課題】ポリオレフィン類を含む複合プラスチックからポリオレフィン類やその他の有用な樹脂又は樹脂原料を化学的に分離するポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックをアルカリを含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱し,ポリエステルを分解してアルカリを含む水溶液に可溶なカルボン酸のアルカリ塩とアルコールを生成する工程と、濾過してアルカリを含む水溶液に不溶なポリオレフィン類を分離する工程とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン類にポリエステル樹脂やポリアミド樹脂を含む複合プラスチックからポリオレフィン類と他のプラスチック(ポリエステル樹脂あるいはポリアミド樹脂)を化学的に分離するポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法とその分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石油を原料として大量生産されているプラスチックは日常生活に密着した不可欠な材料の一つになっている。これらのプラスチックは、単体で使用する以外にも、数種類の異種プラスチックをラミネート等の様々な方法で組み合わせて複合化し高機能化した複合プラスチックが広く使用されている。このようなプラスチック製品の廃棄物において、複合プラスチックでは異種材料が混合しており、また、単体プラスチックでも廃棄の際などに異種材料が混ざっていることがあり、リサイクルを考えた場合、そのまま溶融加熱して成形しても性能や外観等が低下し、マテリアルリサイクルには適しておらず、エネルギーリカバリーである燃料として使用するか、或いは、低品位製品へ利用するしかないのが現状である。そこで、プラスチックの再利用を目的としてこのような複合プラスチックやプラスチックの混合物を分離する様々な手法が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「比重分別装置および比重分別方法、ならびにそれらを用いて得られたプラスチック部材」という名称で、比重差を利用して混合したプラスチック材料をプラスチック組成物の系統に分離することができる比重分別装置および比重分別方法に関する発明が開示されている。
この特許文献1に開示された発明において比重分離方法は、比重の異なる複数種のプラスチック廃材で構成された混合物の破砕片を液槽に投入し、この混合物を比重分離液中に少なくとも1回以上沈降させ、この混合物の沈降のうち少なくとも1回は回転軸が液面に平行な回転体によって行われる工程と、浮上成分を液槽の外部に取り出す工程と、液底に沈む沈降成分を液槽の外部に取り出す工程とを有するものである。
詳細には、液槽に投入される比重の異なる複数種のプラスチック廃材で構成された混合物の破砕物は、比重分離液の比重より軽いものは液面に浮上し、重いものは液中に沈降するので、それぞれ液槽から取り出すことによってプラスチック廃材を比重の相違から系統別に分別することができる。また、投入される破砕物には、比重分離液よりも比重は重いが、気泡が付着していたり、比重の軽い破砕物に乗っていたりして液面に浮上するものもあるが、このような浮上物は、回転軸が液面に平行な回転体に接して摩擦することによって気泡が除去されたり、解きほぐされたりして、液中に沈降させることができる。例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機及びエアコンの家電製品においては、ポリオレフィン系プラスチック組成物とポリスチレン系プラスチック組成物の含有量が多く、また、一般的なポリオレフィン系プラスチック組成物の比重は0.89〜0.91、一方、ポリスチレン系プラスチック組成物の比重は1.04〜1.05であり、さらに、ポリオレフィン系プラスチック組成物やポリスチレン系プラスチック組成物以外のプラスチック組成物の比重は1.10〜2.00であるので、比重差を利用してこれらのプラスチック組成物を系統別に分離し、再利用することを可能としている。
【0004】
また、特許文献2には、「廃棄物の処理方法」という名称で、廃棄物を静電分離にかけてプラスチックを素材別に回収して再利用できる廃棄物の処理方法に関する発明が開示されている。
この特許文献2に開示された発明は、混合プラスチック破砕物を乾燥した後、静電分離にかけて、帯電性の良いプラスチックと帯電性の低いプラスチックに分けるものである。
詳細には、テレビや冷蔵庫などの家電製品の廃棄物を、まず、磁気選別機、渦電流選別機やステンレス選別機などを用いて金属とプラスチックに分別し、続いて、プラスチックについて、静電分離機を用いて、帯電性の良いポリスチレン系プラスチック及び塩化ビニル系プラスチックと、帯電性の低いその他のプラスチックとに分別する。そして、ポリスチレン系プラスチックと塩化ビニル系プラスチックについては、さらに、静電分離機にかけたり、比重選別機にかけたりすることによって、ポリスチレン系プラスチックと塩化ビニル系プラスチックに分別できるので、再利用可能な有用なポリスチレン系プラスチックを回収することができる。
【0005】
そして、特許文献3には、「PET樹脂廃棄物の化学的処理方法」という名称で、化学的な手法を用いてポリエチレンテレフタレート(以下、PETという。)樹脂廃棄物から高純度及び高収率のテレフタル酸を得ることができるPET樹脂廃棄物の化学的処理方法に関する発明が開示されている。
この特許文献3に開示された発明は、PETを主成分とする樹脂廃棄物をアルカリ存在下で140〜200℃の温度範囲に保持して加水分解するものである。
PET樹脂廃棄物としては、PETボトル、オーディオテープやプリペイドカードなどのPET樹脂と異物との複合物が挙げられる。そして、このようなPET樹脂廃棄物を乾式や水冷式などの方式でフレーク状やチップ状に粉砕し、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどを用いた濃度が10〜50重量%のアルカリ水溶液中に投入し、温度を140〜200℃にして、PETの加水分解を行うと、分解生成物であるテレフタル酸を回収することができる。ここで、反応温度を140〜200℃の範囲に設定するのは、140℃以下ではPETの加水分解が進行しにくく、また、200℃以上では、含有する異物が分解しやすくなり、テレフタル酸の純度を低下させる原因となるためである。また、PET樹脂廃棄物に含有する異物として、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリスチレン樹脂が混入してもこれらの樹脂は熱分解や加水分解を受けないために分離が可能であり、さらに、アルカリに可溶なアルミニウムやポリビニルアルコールなどは、テレフタル酸を析出させる際に分離が可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−326506号公報
【特許文献2】特開2002−46127号公報
【特許文献3】特開平11−21374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術では、分離できるプラスチック廃棄物は単純に単体同士が混合されたものであり、ラミネートシートや自動車内装材や人工芝などのように異種樹脂を融着させた複合プラスチックには適合できないという課題があった。また、プラスチックの比重差はわずかであるので、単純な混合物でも分離精度は低く、元の用途に再利用できる量の確保が困難であり、マテリアルリサイクル率が低いという課題もあった。
【0008】
また、特許文献2に記載された従来の技術では、特許文献1に記載された従来の技術と同様に、対象のプラスチック廃棄物は単純な混合物であり、複合プラスチックには適用が困難であるという課題があった。また、静電分離では大まかな系統別の分離となり、再利用可能な材料を得るためには他の分離手法を組み合わせる必要があり、煩雑であるという課題もあった。
【0009】
そして、特許文献3に記載された従来の技術では、PET樹脂を主成分とする廃棄物からPET樹脂を再生するための樹脂原料を製造するものであり、異種樹脂を含む複合プラスチックにおいて再利用可能な樹脂成分を分離することはできないという課題があった。
【0010】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、ポリオレフィン類にポリエステル樹脂やポリアミド樹脂を含む複合プラスチックからポリオレフィン類やその他の有用な樹脂又は樹脂原料を化学的に分離するポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明であるポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法は、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックをアルカリを含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱し,ポリエステルを分解してアルカリを含む水溶液に可溶なカルボン酸のアルカリ塩とアルコールを生成する工程と、濾過してアルカリを含む水溶液に不溶なポリオレフィン類を分離する工程とを有するものである。
上記構成のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法では、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックをアルカリを含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱すると、ポリエステルは加水分解してカルボン酸のアルカリ塩とアルコールを生成しアルカリを含む水溶液に可溶化するように作用する。また、ポリオレフィン類は加熱下のアルカリとは反応せず、濾過により固形の状態で分離されるように作用する。
なお、本願明細書及び特許請求の範囲において、ポリオレフィン類とは、ポリオレフィン、その置換体及びそれらのコポリマーを含む概念である。また、ポリオレフィンの置換体とは、例えばポリスチレン、塩化ビニルのようにC−C結合に水素以外の原子又は原子団が結合したものをいう。さらに、本願明細書及び特許請求の範囲において、ポリエステルとは、ポリエステル樹脂を含む概念である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明であるポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法は、ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックを酸を含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱してポリアミドを分解して酸を含む水溶液に可溶なカプロラクタム又はジカルボン酸とジアミンの酸塩を生成する工程と、濾過して酸を含む水溶液に不溶なポリオレフィン類を分離する工程とを有するものである。
上記構成のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法では、ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックを酸を含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱すると、ポリアミドは分解してカプロラクタム又はジカルボン酸とジアミンの酸塩を生成し、酸を含む水溶液に可溶化するように作用し、また、ポリオレフィン類は酸によって分解せずに固形の状態で残存するので、濾過すると分離されるように作用する。
なお、本願明細書及び特許請求の範囲において、ポリアミドとは、ポリアミド樹脂を含む概念である。
【0013】
そして、請求項3に記載の発明であるポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法は、ポリオレフィン類とポリエステルとポリアミドを含む複合プラスチックをアルカリを含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱し,ポリエステルを分解してアルカリを含む水溶液に可溶なカルボン酸のアルカリ塩とアルコールを生成する工程と、濾過してアルカリを含む水溶液に不溶なポリオレフィン類とポリアミドを分離する工程と、分離したポリオレフィン類とポリアミドを酸を含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱し,ポリアミドを分解して酸を含む水溶液に可溶なカプロラクタム又はジカルボン酸とジアミンの酸塩を生成する工程と、濾過して酸を含む水溶液に不溶なポリオレフィン類を分離する工程とを有するものである。
上記構成のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法では、ポリオレフィン類とポリエステルとポリアミドを含む複合プラスチックをアルカリを含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱すると、ポリエステルは加水分解してカルボン酸のアルカリ塩とアルコールを生成してアルカリを含む水溶液に可溶化し、一方、ポリオレフィン類とポリアミドは反応せずに固形の状態で残存するので、濾過すると、アルカリを含む水溶液に可溶化したポリエステルの分解生成物成分と、ポリオレフィン類とポリアミドのアルカリを含む水溶液に不溶な固形物とが分離されるという作用を有する。そして、分離されたポリオレフィン類とポリアミドの固形分を酸を含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱すると、ポリアミドは分解してカプロラクタム又はジカルボン酸とジアミンの酸塩を生成し、酸を含む水溶液に可溶化するという作用を有する。そして、加熱下の酸を含む水溶液に反応しないポリオレフィン類は固定状態で残存するので濾過すると分離されるという作用を有する。
【0014】
さらに、請求項4に記載の発明であるポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法は、請求項1又は請求項3に記載のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法において、カルボン酸のアルカリ塩とアルコールが溶解したアルカリを含む水溶液を冷却してカルボン酸のアルカリ塩を析出させる工程と、濾過してカルボン酸のアルカリ塩とアルコールが溶解したアルカリを含む水溶液とを分離する工程と、カルボン酸のアルカリ塩を中和してカルボン酸を生成する工程と、アルコールが溶解したアルカリを含む水溶液を蒸留してアルコールを回収する工程とを有するものである。
上記構成のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法では、請求項1又は請求項3に記載の発明の作用に加えて、カルボン酸のアルカリ塩とアルコールが溶解したアルカリを含む水溶液を冷却すると、カルボン酸のアルカリ塩が析出するという作用を有する。また、濾過すると、カルボン酸のアルカリ塩とアルコールが溶解したアルカリを含む水溶液とが分離されるという作用を有する。そして、カルボン酸のアルカリ塩を中和すると、カルボン酸が生成され、アルコールが溶解したアルカリを含む水溶液を蒸留するとアルコールが回収されるという作用を有する。
【0015】
そして、請求項5に記載の発明であるポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置は、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックを投入する投入口とアルカリを含む水溶液を注入する注入口を備える反応槽部と、この反応槽部内を加熱する熱源部と、反応槽部内の反応終了後の物質を固体と液体に分離する分離部と、分離された固体を洗浄する洗浄部と、分離された液体を冷却して結晶を析出させる沈殿槽部を備えてこの結晶を回収して中和し,液体を蒸留してアルコールを回収する液体処理部とを有するものである。
上記構成のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置では、反応槽部では投入口から投入されるポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックと注入口から注入されるアルカリを含む水溶液が反応してアルカリを含む水溶液に可溶化する分解生成物とアルカリを含む水溶液と反応しない固体の未反応物が生成し、熱源部は反応槽部内を均一に加熱して反応を促進させるように作用する。そして、分離部では反応終了後の物質が固体と液体に分離され、洗浄部では分離された固体が洗浄され、液体処理部では分離された液体が沈殿槽部において冷却されて析出する結晶が回収後に中和され、また、蒸留されてアルコールが回収されるという作用を有する。
【0016】
最後に、請求項6に記載の発明であるポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置は、ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックを投入する投入口と酸を含む水溶液を注入する注入口を備える反応槽部と、この反応槽部内を加熱する熱源部と、反応槽部内の反応終了後の物質を固体と液体に分離する分離部と、分離された固体を洗浄する洗浄部と、分離された液体に有機溶剤を添加して有機溶剤に溶解する物質を抽出し,有機溶剤を除去して有機溶剤に溶解する物質を回収する液体処理部とを有するものである。
上記構成のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置では、反応槽部では投入口から投入されるポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックと注入口から注入される酸を含む水溶液が反応して酸を含む水溶液に可溶化する分解生成物と酸を含む水溶液と反応しない固体の未反応物が生成し、熱源部は反応槽部内を均一に加熱して反応を促進させるように作用する。そして、分離部では反応後終了後の物質が固体と液体に分離され、洗浄部では分離された固体が洗浄される。また、液体処理部では、液体に添加される有機溶剤は液体中の特定の物質を溶解して抽出するように作用し、有機溶剤を除去することによって有機溶剤に溶解する物質が回収される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1記載のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法では、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックにおいて、アルカリによるポリエステルの加水分解を利用して、ポリエステルを化学的に分解してアルカリを含む水溶液に可溶化し、一方、アルカリと反応しないポリオレフィン類は原形の状態で残存させて、固液濾過によって再利用可能で有用なポリオレフィン類を回収することを可能にしている。また、120℃から160℃の温度で加熱することによって、ポリオレフィン類の熱分解や融着を抑えつつ、ポリエステルの加水分解を促進して、反応効率を高めることができる。
【0018】
また、本発明の請求項2に記載のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法では、ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックにおいて、酸によるポリアミドの加水分解を利用して、ポリアミドを化学的に分解して酸を含む溶液に可溶化し、酸と反応しないポリオレフィン類を固体として残存させて、固液濾過により、再利用可能なポリオレフィン類を簡単に回収することを可能にしている。また、加熱温度を120℃から160℃の温度範囲に設定することによって、ポリオレフィン類の熱分解及び融着を抑止し、且つ、ポリアミドの加水分解を促進している。
【0019】
そして、本発明の請求項3に記載のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法では、ポリオレフィン類とポリエステルとポリアミドを含む複合プラスチックにおいて、まず、アルカリを用いてポリエステルを加水分解してアルカリを含む水溶液に可溶化してポリエステルを分離し、次に、酸を用いてポリアミドを加水分解して酸を含む溶液に可溶化してポリアミドを分離し、最終的にアルカリや酸と反応しないポリオレフィン類を固体として残存させて回収することを可能にしている。また、反応温度を120℃から160℃の範囲に設定して、高効率の作業を実現している。
【0020】
そして、本発明の請求項4に記載のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法では、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチック又はポリオレフィン類とポリエステルとポリアミドを含む複合プラスチックにおいて、加水分解によって分解したポリエステルの分解生成物から、ポリエステルの原料であるカルボン酸とアルコールを回収することができるので、回収できる樹脂量が増大し、マテリアルリサイクル率を向上させることが可能である。
【0021】
そして、本発明の請求項5に記載のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置では、熱源部を備える反応槽部において、加熱下、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックのポリエステルのアルカリによる加水分解を効果的に進めることができる。また、分離部では、アルカリを含む水溶液に可溶化した分解生成物とアルカリと反応しない固体のポリオレフィン類とを分離し、そして、固体は洗浄部で洗浄して再利用可能なポリオレフィン類として回収することができる。また、分離された液体は、液体処理部においてポリエステルの再生原料として回収することができるが、沈殿槽部を備えて結晶のみを回収して中和するので、中和に必要な酸と廃液を最小限に留めることが可能である。
【0022】
最後に、本発明の請求項6に記載のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置では、反応槽部において、ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックのポリアミドの酸による加水分解を熱源部の加熱で促進させて進めることができる。また、酸を含む水溶液に可溶の分解生成物と酸と反応しない固体のポリオレフィン類は、分離部において分離され、固体は洗浄部で洗浄されて有用なポリオレフィン類として回収することができる。そして、分離された液体は、液体処理部において有機溶剤による抽出が行われて、ポリアミドの再生原料として回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法の工程を示す概念図である。
【図2】本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPETの分解反応の機構を示す概念図である。
【図3】本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPETの分解率と反応時間の関係を示すグラフ図である。
【図4】本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPBTの分解率と反応時間の関係を示すグラフ図である。
【図5】本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPETの分解率と添加量の関係を示すグラフ図である。
【図6】本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPETの分解率とアルカリ濃度の関係を示すグラフ図である。
【図7】本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPETの分解率と反応温度の関係を示すグラフ図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法の工程を示す概念図である。
【図9】本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPA66の分解反応の機構を示す概念図である。
【図10】本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPA6の分解反応の機構を示す概念図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法の工程を示す概念図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置を示す概念図である。
【図13】PET樹脂フェルトが融着したPPとPETの複合プラスチックの実物写真である。
【図14】PET樹脂フェルトを分解処理して分離されたPPの実物写真である。
【図15】PET樹脂フェルトが融着したPPとPETの複合プラスチックのIRチャートである。
【図16】PET樹脂フェルトを分解処理して分離されたPPのIRチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法を図1に基づき説明する。(特に、請求項1及び請求項4に対応)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法の工程を示す概念図である。
図1において、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法は、特に、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックの分離方法である。
まず、ステップS1−1では粗破砕を行う。この工程では、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックを1mmから20mm程度に粗破砕する。この粗破砕を行うことによって、反応容器への投入や反応容器からの排出が容易となり、また、反応容器への充填率も上がる。さらに、分離回収後のポリオレフィン類の再利用時のペレット化においても有利となる。但し、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックが反応容器に投入可能であれば、形状は特に限定されず、必ずしも粗破砕する必要はないのでステップS1−1の粗破砕工程は省略してもよい。
【0025】
次に、ステップS1−2では、アルカリを添加する。この工程では、ステップS1−1で粗破砕して反応容器に投入したポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックに、アルカリを含む水溶液を添加する。使用するアルカリは、特に限定されないが、コスト及びアルカリ強度を考慮すると、水酸化ナトリウムが好適である。また、アルカリの濃度は3Nから5Nの範囲が好ましい。
アルカリを含む水溶液の添加によって、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックのうちポリエステルが加水分解を始め、ポリエステルは徐々に分解してカルボン酸のアルカリ塩とアルコールを生成し、アルカリを含む水溶液に可溶化する。なお、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックのうちポリオレフィン類はアルカリと反応しないので、固形のまま残存する。
【0026】
次に、ステップS1−3では、加熱する。この工程では、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックとアルカリを含む水溶液が投入された反応容器を120℃から160℃の範囲の温度に加熱する。反応容器中では、ポリエステルのアルカリによる加水分解が徐々に進行しているが、加熱によってこの分解反応が促進される。なお、攪拌を行うと、浮遊する試料をアルカリを含む水溶液中に沈降できるので全体的に分解反応を進めることが可能である。また、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類は、融点以下の120℃から160℃の温度範囲の加熱では熱分解や融着をしないので、特性の低下がなく、また、塊にならないので回収も容易となる。
なお、120℃より低い温度で加熱してもポリエステルのアルカリによる加水分解の促進がなされず、160℃より高い温度で加熱するとポリオレフィン類の融点に近づいて溶融してしまい、プラスチックの原形をとどめることが困難となり、後の工程でポリオレフィン類を固体として分離することが困難となるためである。
【0027】
そして、ステップS1−4では、固液分離する。この工程では、アルカリによるポリエステルの加水分解反応が終了した後、固体して残存するポリオレフィン類と、アルカリを含む水溶液に可溶化したカルボン酸のアルカリ塩とアルコールを遠心濾過機などを用いて固液分離する。
【0028】
続いて、固体として分離されるポリオレフィン類をステップS1−5において水洗する。この工程では、ポリオレフィン類に付着するアルカリやポリエステルの分解生成物であるカルボン酸のアルカリ塩とアルコールを水に浸けて洗浄する。
そして、ステップS1−6で、さらに固液分離すると、固体として、ポリオレフィン類を得ることができる。このポリオレフィン類の水分を乾燥すると、再利用可能な樹脂原料となる。一方、液体としては、アルカリやポリエステルの分解生成物であるカルボン酸のアルカリ塩とアルコールが溶解した洗浄水が得られる。
【0029】
ステップS1−7では、ステップS1−4の固液分離で得られる液体とステップS1−6の固液分離で得られる液体を冷却する。この工程では、液体中に存在するポリエステルの分解生成物であるカルボン酸のアルカリ塩が冷却によって結晶として析出する。なお、ステップS1−4の固液分離で得られる液体とステップS1−6の固液分離で得られる液体には、ポリエステルを分解可能なアルカリが残存しているので、ステップS1−7へ進まずポリエステルの分解生成物を回収せずに、ステップS1−2におけるアルカリの添加として連続使用する工程にすることも可能である。
【0030】
そして、ステップS1−8では、固液分離を行い、固体としてカルボン酸のアルカリ塩を、液体として、アルコールが溶解したアルカリを含む水溶液を得る。カルボン酸のアルカリ塩は水洗して、ステップS1−9において中和すると、高純度のカルボン酸となり、ポリエステルの再生原料として使用できる。一方、アルコールが溶解したアルカリを含む水溶液は、ステップS1−10において蒸留すると、アルコールが回収され、同じく、ポリエステルの再生原料として使用できる。なお、ステップS1−8で固液分離した液体には、アルカリが含まれているので、ステップS1−10へ進まず、ステップS1−2におけるアルカリの添加として使用することもできる。この際、含有するアルコールは、アルカリによるポリエステルの加水分解反応を阻害するものではない。
【0031】
このように構成された本実施の形態では、ポリオレフィン類を含む複合プラスチックの、特にポリオレフィン類とポリエステルを含むプラスチックにおいて、アルカリを用いてポリエステルを選択的に分解して取り除き、ポリオレフィン類を分離することを可能にしている。分離されたポリオレフィン類は再利用が可能であり、そのままの状態又はリペレット化してリサイクル製品の原料となる。一方、ポリエステルについてもアルカリによって分解されて最終的にカルボン酸とアルコールが得られるので、ポリエステルの再生原料として利用することができ、高いマテリアルリサイクル率を備える分離方法であるといえる。
【0032】
以下に、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法における複合プラスチックについて検討した結果を実施例1として図2乃至図7及び表1及び表2を用いて説明する。なお、本実施例では、ポリエステルとして、PETとポリブチレンテレフタレート(以下、PBTという。)を用いて実施した。
【実施例1】
【0033】
図2は、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPETの分解反応の機構を示す概念図である。
図2において、PETは、水酸化ナトリウムの存在下では、容易に加水分解し、フタル酸ナトリウムとエチレングリコールを生成する。なお、フタル酸ナトリウムは加水分解によってフタル酸となるが、水酸化ナトリウムにより速やかに中和されて塩を生成する。また、図示していないが、PBTにおいても同様にアルカリ存在下では速やかに加水分解し、酸成分の塩とアルコールを生成する。
【0034】
図3は、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPETの分解率と反応時間の関係を示すグラフ図である。また、図4は、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPBTの分解率と反応時間の関係を示すグラフ図である。
図3において、PET1gに対して15mlの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、150℃に保持すると、PETは加水分解し、時間とともに分解率が増大している。また、水酸化ナトリウム水溶液の濃度1N(Nは規定度を意味している。)と2Nでは、2Nの方がPETの分解率が大きくなっている。
また、図4において、PBT1gに対して15mlの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、150℃に保持すると、図3に示すPETと同様に、PBTは時間とともに分解率が増大している。
【0035】
次に、図5は、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPETの分解率と添加量の関係を示すグラフ図である。
図5において、5Nの水酸化ナトリウム水溶液15ml中にPETを添加し、150℃の温度で5時間保持したときのPETの分解率は、PETの添加量が5gを超えると低下し始めており、5Nの水酸化ナトリウム水溶液では5g程度のPETが分解可能であることがわかる。
【0036】
また、図6は、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPETの分解率とアルカリ濃度の関係を示すグラフ図である。
図6において、PET1gに対して水酸化ナトリウム水溶液の濃度を変化させて、150℃で3時間に保持すると、PETの分解率は水酸化ナトリウム水溶液の濃度の増加とともに増大する傾向があるが、水酸化ナトリウム水溶液の濃度が3Nより大きくなると分解率はほぼ100%に達していることがわかる。
【0037】
そして、図7は、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPETの分解率と反応温度の関係を示すグラフ図である。
図7において、5Nの水酸化ナトリウム水溶液に5時間保持すると、PETは、150℃では完全に分解し、120℃では50%程度の分解率が得られており、より低温においても時間をかけることによってPETは分解可能であることがわかる。
【0038】
また、PET3gを3N、4N及び5Nの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して150℃で3時間保持したときフタル酸回収量を測定した結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1において、水酸化ナトリウム水溶液の濃度が高くなると、PETの分解生成物であるフタル酸ナトリウムが結晶として析出する量が増加していることがわかる。
【0041】
最後に、ポリオレフィン類として、ポリエチレン(以下、PEという。)とポリプロピレン(以下、PPという。)について、水酸化ナトリウム水溶液に対する重量変化を測定した結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
表2において、PE及びPPのいずれについても2Nの水酸化ナトリウム水溶液に150℃で3時間浸漬しても重量変化が認められず、水酸化ナトリウム水溶液とは反応せず、分解はないものと考えられる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法を図8に基づき説明する。(特に、請求項2に対応)
図8は、本発明の第2の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法の工程を示す概念図である。
図8において、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法は、特に、ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックの分離方法である。
まず、ステップS2−1では粗破砕を行う。この工程では、ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックを1mmから20mm程度に粗破砕する。この粗破砕によって、反応容器への投入や反応容器からの排出が容易となり、反応容器への充填率も向上できる。但し、ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックが反応容器に投入可能であれば、形状は特に限定されず、必ずしも粗破砕する必要はないのでステップS2−1の粗破砕工程は省略することができる。
【0045】
次に、ステップS2−2では、酸を添加する。この工程では、ステップS2−1で粗破砕して反応容器に投入したポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックに、酸を含む水溶液を添加する。使用する酸は、強酸が好ましく、特に限定されないが、コスト面を考慮すると硫酸が好適である。但し、硝酸は高濃度や高温時にはニトロ化反応等が起きて危険性が高いので不適である。また、酸の濃度は1Nから5Nの範囲が好ましい。酸を含む水溶液を添加すると、ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックのうちポリアミドが加水分解し、例えばポリアミド6ではカプロラクタムが生成し、ポリアミド66ではアジピン酸とヘキサメチレンジアミン塩酸塩が生成し、これらはポリアミドの再生原料となる。これらの分解生成物は酸を含む水溶液に可溶化し、一方、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックのうちポリオレフィン類は酸と反応しないので、固体の状態で酸を含む水溶液中に残存する。
【0046】
次に、ステップS2−3では、加熱する。この工程では、ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックと酸を含む水溶液が投入された反応容器を120℃から160℃の範囲の温度に加熱する。加熱すると、反応容器中での酸によるポリアミドの分解反応が促進される。なお、攪拌を行うと、浮遊する試料を酸を含む水溶液中に沈降できるので分解反応時間を短縮できる。なお、ポリオレフィン類は、融点以下の120℃から160℃の温度範囲の加熱では熱分解や融着をしないので、特性の低下がなく、また、塊にならないので回収も容易となる。
なお、本実施の形態のステップS2−3の工程における120℃から160℃という温度範囲も、120℃より低い温度で加熱してもポリエステルのアルカリによる加水分解の促進がなされず、160℃より高い温度で加熱するとポリオレフィン類の融点に近づいて溶融してしまい、プラスチックの原形をとどめることが困難となり、後の工程でポリオレフィン類を固体として分離することが困難となるためである。
【0047】
そして、ステップS2−4では、固液分離する。この工程では、酸によるポリアミドの加水分解反応の終了後、固体して残存するポリオレフィン類と、酸を含む水溶液に可溶化したポリアミドの分解生成物を遠心濾過機などを用いて固液分離する。
【0048】
続いて、固体として分離されるポリオレフィン類をステップS2−5において水洗する。この工程では、ポリオレフィン類に付着する酸やポリアミドの分解生成物を水を用いて洗浄する。
そして、ステップS2−6で、さらに固液分離すると、固体として、ポリオレフィン類を得ることができる。このポリオレフィン類の水分を乾燥すると、再利用可能な樹脂原料となる。一方、液体としては、酸とポリアミドの分解生成物が溶解した洗浄水が得られる。
【0049】
ステップS2−7では、ステップS2−4の固液分離で得られる液体とステップS2−6の固液分離で得られる液体に酢酸エチルやトルエンなどの有機溶媒を添加する。この工程では、液体中に存在するポリアミドの分解生成物を添加する有機溶剤に溶解させて抽出することができる。なお、ステップS2−4の固液分離で得られる液体とステップS−6の固液分離で得られる液体には、ポリアミドを分解可能な酸が残存しているので、ステップS2−7へ進まず、ステップS2−2における添加する酸として再使用することもできる。
【0050】
そして、ステップS2−8では抽出作業を行い、有機溶剤層として、添加した有機溶剤に溶解したポリアミドの分解生成物が得られ、水層として、酸を含む水溶液が得られる。有機溶剤層は、さらに、ステップS2−9に進み、蒸留して有機溶剤を除去すると、ポリアミドの分解生成物が得られ、この分解生成物はポリアミドの再生原料として用いることができる。一方、水層は、酸を含む水溶液であるので、ステップS2−2の酸の添加として再使用することができる。
【0051】
このように構成された本実施の形態では、ポリオレフィン類を含む複合プラスチックのうち、特にポリオレフィン類とポリアミドを含むプラスチックにおいて、酸を用いてポリアミドを選択的に分解して取り除き、再利用可能なポリオレフィン類を分離することを可能にしている。さらに、ポリアミドの分解生成物を抽出などの操作によって分離し、ポリアミドの再生原料として回収することも可能であり、プラスチック廃棄物を有効的にマテリアルリサイクルできる分離方法であるといえる。
【0052】
以下に、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法における複合プラスチックについて検討した結果を実施例2として図9及び図10と、表3乃至表5を用いて説明する。なお、以下、ポリアミド66をPA66といい、ポリアミド6をPA6という。
【実施例2】
【0053】
図9は、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPA66の分解反応の機構を示す概念図である。また、図10は、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法におけるPA6の分解反応の機構を示す概念図である。
図9において、PA66は、酸存在下では、加水分解し、アジピン酸とヘキサメチレンジアミン塩酸塩を生成する。
また、図10において、PA6は、PA66と同様に、酸存在下では加水分解によって、カプロラクタムを生成する。
【0054】
また、ペレット状のPA6、0.2gを濃度を変化させた硫酸及び塩酸それぞれ15mlに浸漬し、150℃で3時間保持したときの分解率を測定した結果を表3及び表4に示す。
【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
表3及び表4において、PA6は、1N以上の濃度の硫酸及び塩酸いずれに対しても100%の分解率を示しており、完全に分解することが示唆される。
【0058】
そして、ポリオレフィン類として、PEとPPについて、塩酸及び硫酸に対する耐性を測定した結果を表5に示す。
【0059】
【表5】

【0060】
表5において、PE及びPPのいずれについても1Nの塩酸及び2Nの硫酸に150℃で3時間浸漬しても重量変化が認められず、塩酸及び硫酸とは反応しないことがわかる。
【0061】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法を図11に基づき説明する。(特に、請求項3及び請求項4に対応)
図11は、本発明の第3の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法の工程を示す概念図である。
図11において、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法は、特に、ポリオレフィン類とポリエステルとポリアミドを含む複合プラスチックの分離方法であり、ステップS1のポリエステルの分解工程とステップS2のポリアミドの分解工程で構成されている。ステップS1のポリエステルの分解工程は、前述の第1の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法と同様の操作を行うものであり、詳細な説明は省略するが、ポリオレフィン類とポリエステルとポリアミドを含む複合プラスチックにおいて、アルカリに耐性のないポリエステルをアルカリを添加して選択的に分解して溶解させて、一方、アルカリに耐性のあるポリオレフィン類とポリアミドを固体として残存させて分離する。
続いて、ステップS2のポリアミドの分解工程では、酸に耐性のないポリアミドを酸を添加して選択的に分解して溶解させて、耐性のあるポリオレフィン類を固体として残存させ分離する。本実施の形態においては、最終的には、再利用可能な材料として、ポリオレフィン類と、ポリエステルの再生原料であるカルボン酸及びアルコールと、ポリアミドの再生原料を得ることができる。なお、ステップS1のポリエステルの分解工程とステップS2のポリアミドの分解工程は、入れ替えて行うことも可能である。
【0062】
このように構成された本実施の形態では、ポリオレフィン類、ポリエステル及びポリアミドを含む複合プラスチックを、まず、アルカリで処理してポリエステルを分解して分離し、続いて、酸で処理してポリアミドを分解して分離し、アルカリと酸のいずれにも耐性のあるポリオレフィン類を簡単に分離することができる。そして、分離したポリオレフィン類は再利用が可能となり、さらに、ポリエステル及びポリアミドの分解生成物も再生原料として調整し、再使用することを可能にしている。
【0063】
以下に、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法における複合プラスチックについて検討した結果を実施例3として表6乃至表8を用いて説明する。
【実施例3】
【0064】
PA6とPA66について5Nの水酸化ナトリウム水溶液15mlに浸漬し、150℃で3時間保持したときの重量を測定した結果を表6に示す。
【0065】
【表6】

【0066】
表6において、PA6及びPA66のいずれも5Nの水酸化ナトリウム水溶液に対して重量変化がなく、分解は認められず、アルカリに対する耐性が確認できた。
【0067】
また、PET及びPBTについて1Nと5Nの硫酸15mlに浸漬し、150℃で3時間保持したときの重量を測定した結果を表7に示す。
【0068】
【表7】

【0069】
表7において、PET及びPBTのいずれも1Nと5Nの硫酸に浸漬前後の重量変化がなく、分解は認められず、5Nまでの硫酸に対する耐性が確認できた。
表6及び表7の結果より、ポリオレフィン類とポリエステルとポリアミドを含む複合プラスチックの分離方法において、アルカリとして5Nまでの水酸化ナトリウム水溶液を添加した場合にはポリアミドは分解することなく耐性があり、酸として5Nまでの硫酸を添加した場合にはポリエステルは分解することなく耐性があるので、アルカリと酸の添加工程は順不同に行うことが可能である。
【0070】
また、ポリオレフィン類以外の樹脂についても、水酸化ナトリウム水溶液、硫酸及び塩酸に浸漬して重量変化を測定した。なお、試料は各1g、液量はそれぞれ15mlとし、150℃で3時間保持した。結果を表8に示す。
【0071】
【表8】

【0072】
表8において、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂のいずれも水酸化ナトリウム水溶液、硫酸及び塩酸に浸漬しても重量変化がなく分解しないことがわかる。また、塩化ビニル(PVC)においても若干の変色が認められたものの重量変化はなく、分解しなかった。したがって、複合プラスチックにおいて、ポリオレフィン類に代わってABS、PMMA、PS及びPVC樹脂のいずれかが含まれる場合においてもアルカリや酸を用いた分離が可能であることが示唆される。
【0073】
次に、本発明の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置について図12を参照しながら説明する。(特に、請求項5及び請求項6に対応)
図12は、本発明の実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置を示す概念図である。
図12において、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックの分離装置1は、特に、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックの分離装置であり、反応容器2、遠心濾過機5、水洗槽7、反応液貯槽9及び沈殿槽11を有している。
反応容器2は、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックを投入可能な投入口3と、アルカリ貯槽12に連結されるアルカリ供給経路のバルブ14aからアルカリを含む水溶液を反応液貯槽9、ポンプ13a及びバルブ14bを介して注入可能な注入口15と、攪拌機4を備えており、反応容器2内では、投入されるポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックとアルカリを含む水溶液が攪拌機4で攪拌されてポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックに含まれるポリエステルがアルカリによって加水分解して、アルカリを含む水溶液に可溶なカルボン酸のアルカリ塩とアルコールを生成する。なお、図示していないが、反応容器2には温度調整機能を備えた加熱装置が具備されており、反応容器2内は120℃から160℃に加熱されて反応が進められている。
【0074】
反応が終了すると、加熱装置による加熱を停止して冷却する。反応容器2内の温度が100℃程度で内圧が1気圧になったら、バルブ14cを開いて反応容器2内の内容物を遠心濾過機5に送る。遠心濾過機5では、遠心力を利用して固体と液体を分離する。固体は、アルカリに耐性のあるポリオレフィン類であり、予め遠心濾過機5に装着されるフレキシブルコンテナ(フレコン)6に貯められ、一方、液体は反応液貯槽9へ送られる。
フレコン6に貯められる固体は、遠心濾過機5から引き上げられて、水洗槽7に挿入されて、水道8から供給される水によって洗浄される。洗浄された固体は図示していないが乾燥されて再利用可能な再生樹脂となる。そして、排水はポンプ13bを起動して、バルブ14dを開くことで再び水洗槽7に戻されて洗浄水として再使用され、最終的には、バルブ14dを閉じて、バルブ14eを開いてポンプ13bを用いて反応液貯槽9に送られる。
【0075】
反応液貯槽9に貯められる液体は、ポリエステルの分解生成物であるカルボン酸のアルカリ塩とアルコールとアルカリを含む水溶液であり、アルカリが残存しているので、さらにアルカリ供給源としてポンプ13aによって反応容器2に戻されて再使用される。この際、再使用されるアルカリを含む水溶液は完全に冷却されていないので、反応容器2内での加熱のエネルギーを削減することができる。なお、撹拌機10は、ポリエステルの分解生成物とアルカリの分離を促進している。
そして、反応液貯槽9には沈殿槽11が連結されており、反応液貯槽9から沈殿槽11にバルブ14fを開いて送液されると徐々に冷却されてポリエステルの分解生成物のうちカルボン酸のアルカリ塩が結晶として析出してくる。図示していないが、沈殿するカルボン酸のアルカリ塩は固液濾過装置によって分離され、さらに、酸を用いて中和するとポリエステルの再生原料となるカルボン酸を得ることができる。なお、本実施の形態では、カルボン酸のアルカリ塩を沈殿槽11において結晶として析出させて分離してから中和するので、アルカリを含む水溶液に溶解したカルボン酸のアルカリ塩の状態で中和する場合と比べると、使用する酸の量が少量でよく、また、廃液量も削減することができる。
また、沈殿槽11中の液体は、ポリエステルの分解生成物であるアルコールとアルカリを含む水溶液であり、図示していないが、蒸留装置を設置して、蒸留操作を行うとポリエステルの再生原料となるアルコールを回収することができる。なお、アルカリの再利用を目的としてポンプ13cによって反応液貯槽9へ戻してもよい。
なお、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置では、アルカリ貯槽12から反応容器2へアルカリを直接送出する配管が設けられておらず、常に反応液貯槽9を介してアルカリが送出されるが、アルカリ貯槽12から反応容器2へアルカリを送出する配管を設けてもよい。純度の高いアルカリを注入する必要がある場合などに効率的に反応を促進させることができる。
【0076】
次に、アルカリを含む水溶液に代わって酸を含む水溶液を用いる場合について説明する。
アルカリを含む水溶液に代わって酸を含む水溶液を用いる場合は、ポリオレフィン類を含む複合プラスチックの特にポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックを対象とした分離装置となる。図1のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置1において、アルカリ貯槽12は酸貯槽となり、貯槽や反応容器2や配管には酸に対する耐性のある材料を用いたり、あるいは酸に触れる面を耐蝕性のあるライナーなどで強化する必要がある。また、沈殿槽11に代わって、抽出装置を設置する必要がある。
反応容器2内では、加熱下において、投入されるポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックのポリアミドが酸と反応して加水分解し、酸を含む水溶液に可溶な分解生成物を生成する。そして、反応終了後には、反応容器2内の内容物は遠心濾過機5に送られて、酸と反応せずに固体の状態で残存するポリオレフィン類と、酸を含む水溶液に可溶化したポリアミドの分解生成物とが、遠心力によって固体と液体を分離される。固体のポリオレフィン類は、前述のアルカリを含む水溶液の場合と同様に、水洗、乾燥工程を経て再利用可能な再生樹脂となる。
一方、液体は反応液貯槽9を経由して抽出装置へ送られる。抽出装置では、まず、トルエンや酢酸エチルなどの有機溶剤が添加される。液体に含まれるポリアミドの分解生成物は添加される有機溶剤に溶解するので、抽出作業を行い、続いて、蒸留して有機溶剤を除去すると、ポリアミドの分解生成物を分離することができる。この分解生成物は、ポリアミドの再生原料として使用することができる。なお、酸を含む水溶液は、前述のアルカリを含む水溶液と同様に循環して繰り返し使用できる。
【0077】
このように構成された本実施の形態においては、アルカリを含む水溶液を用いると、ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックをアルカリを用いて効率良く分解して、固体と液体に分離し、固体を速やかに回収して再利用可能なポリオレフィン類をリサイクル材料として提供することができる。また、沈殿槽や蒸留装置を設けることによって液体からはポリエステルの再生原料であるカルボン酸とアルコールを効率良く回収することができる。
また、酸を含む水溶液を用いると、ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックを分解して、分離した固体から再利用可能なポリオレフィン類を回収することができ、さらに、抽出装置を設けることによって液体からはポリアミドの再生原料を回収することができ、廃棄プラスチックから多数の再利用材料を分離可能な装置を構成している。さらに、液体を循環させてアルカリを含む水溶液又は酸を含む水溶液として連続使用する構成であるのでランニングコストを削減することも可能である。
【0078】
以下、本実施の形態に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置を用いてポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離を行った実施例について説明する。
【実施例4】
【0079】
PP板にPET製フェルトが融着している自動車内装材の端材を1Lの高温高圧容器に投入し、3Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加した。高温高圧容器内を攪拌することにより試料が水酸化ナトリウム水溶液に沈降でき、温度を120℃から150℃に上昇させ、150℃から120℃に冷却する約1時間でPETは完全に分解した。
図13は、PET樹脂フェルトが融着したPPとPETの複合プラスチックの実物写真である。また、図14は、PET樹脂フェルトを分解処理して分離されたPPの実物写真である。
図13では、試料には起毛したPET樹脂フェルトが認められるが、図14では、起毛のPET樹脂フェルトは目視では確認できない。
次に、図15は、PET樹脂フェルトが融着したPPとPETの複合プラスチックのIRチャートである。また、図16は、PET樹脂フェルトを分解処理して分離されたPPのIRチャートである。
図15では、PETに特徴的な1700cm−1付近のカルボニル基の伸縮振動による吸収が認められるが、図16では、この吸収が消失しており、本実施に係るポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置で分離処理を行うことによってPETを分解させて除去し、PPを得ることが可能であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明の請求項1乃至請求項6に記載された発明は、ポリオレフィン類を含む複合プラスチックのうちポリオレフィン類以外のプラスチックを選択的に分解して、有用なポリオレフィン類や再生樹脂原料を分離できるポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法とその装置を提供可能であり、プラスチック廃材の処分方法及び装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…ポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置 2…反応容器 3…投入口 4…攪拌機 5…遠心濾過器 6…フレキシブルコンテナ(フレコン) 7…水洗槽 8…水道 9…反応液貯槽 10…攪拌機 11…沈殿槽 12…アルカリ貯槽 13a〜13c…ポンプ 14a〜14f…バルブ 15…注入口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックをアルカリを含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱し,ポリエステルを分解して前記アルカリを含む水溶液に可溶なカルボン酸のアルカリ塩とアルコールを生成する工程と、濾過して前記アルカリを含む水溶液に不溶な前記ポリオレフィン類を分離する工程とを有することを特徴とするポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法。
【請求項2】
ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックを酸を含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱してポリアミドを分解して前記酸を含む水溶液に可溶なカプロラクタム又はジカルボン酸とジアミンの酸塩を生成する工程と、濾過して前記酸を含む水溶液に不溶な前記ポリオレフィン類を分離する工程とを有することを特徴とするポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法。
【請求項3】
ポリオレフィン類とポリエステルとポリアミドを含む複合プラスチックをアルカリを含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱し,ポリエステルを分解して前記アルカリを含む水溶液に可溶なカルボン酸のアルカリ塩とアルコールを生成する工程と、濾過して前記アルカリを含む水溶液に不溶な前記ポリオレフィン類と前記ポリアミドを分離する工程と、分離した前記ポリオレフィン類と前記ポリアミドを酸を含む水溶液に浸漬して120℃から160℃の温度で加熱し,ポリアミドを分解して前記酸を含む水溶液に可溶なカプロラクタム又はジカルボン酸とジアミンの酸塩を生成する工程と、濾過して前記酸を含む水溶液に不溶な前記ポリオレフィン類を分離する工程とを有することを特徴とするポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法。
【請求項4】
前記カルボン酸のアルカリ塩と前記アルコールが溶解したアルカリを含む水溶液を冷却して前記カルボン酸のアルカリ塩を析出させる工程と、濾過して前記カルボン酸のアルカリ塩と前記アルコールが溶解したアルカリを含む水溶液とを分離する工程と、前記カルボン酸のアルカリ塩を中和してカルボン酸を生成する工程と、前記アルコールが溶解したアルカリを含む水溶液を蒸留してアルコールを回収する工程とを有することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離方法。
【請求項5】
ポリオレフィン類とポリエステルを含む複合プラスチックを投入する投入口とアルカリを含む水溶液を注入する注入口を備える反応槽部と、この反応槽部内を加熱する熱源部と、前記反応槽部内の反応終了後の物質を固体と液体に分離する分離部と、分離された固体を洗浄する洗浄部と、分離された液体を冷却して結晶を析出させる沈殿槽部を備えてこの結晶を回収して中和し,前記液体を蒸留してアルコールを回収する液体処理部とを有することを特徴とするポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置。
【請求項6】
ポリオレフィン類とポリアミドを含む複合プラスチックを投入する投入口と酸を含む水溶液を注入する注入口を備える反応槽部と、この反応槽部内を加熱する熱源部と、前記反応槽部内の反応終了後の物質を固体と液体に分離する分離部と、分離された固体を洗浄する洗浄部と、分離された液体に有機溶剤を添加して有機溶剤に溶解する物質を抽出し,前記有機溶剤を除去して前記有機溶剤に溶解する物質を回収する液体処理部とを有することを特徴とするポリオレフィン類を含む複合プラスチックの分離装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−168755(P2011−168755A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36598(P2010−36598)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(509164164)地方独立行政法人山口県産業技術センター (22)
【出願人】(510049230)株式会社ピィラー (1)
【Fターム(参考)】