説明

ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備、及び、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法

【課題】角張ったエッジ部の矯正に有効な矯正部材を備えたポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備を提供する。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備であって、矯正装置5には、前記ポリスチレン系樹脂発泡シートSの幅方向端部を収容可能な断面U字状の溝55を有する矯正部材50が備えられており、該矯正部材50が、前記溝55の底部に形成されている曲面部5aを前記エッジ部に当接させて前記矯正を実施し得るように前記矯正装置5に備えられていることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備、及び、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法に関し、より詳しくは、押出機と円環状のダイスリットを有するサーキュラーダイとが備えられており、ポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡させて円筒状の発泡体を連続的に形成させるべく前記押出機の先端に前記サーキュラーダイが取り付けられており、前記円筒状の発泡体を展開して帯状の発泡シートを形成させ得るように前記発泡体に押出方向に沿った連続的な切込みを設けるための切断装置をさらに備えているポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備、及び、押出機の先端に取り付けたサーキュラーダイの円環状のダイスリットからポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡させて円筒状の発泡体を形成させるとともに該円筒状の発泡体を展開して帯状のポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させるポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリスチレン系樹脂をベース樹脂とした樹脂発泡シートは、食品用トレーなどの熱成形品の原材料などに広く用いられている。
このポリスチレン系樹脂発泡シートは、通常、ポリスチレン系樹脂組成物の連続的な押出発泡によって製造されており、一旦、長尺帯状のものがロール状に巻き取られた原反ロールなどと呼ばれる状態にされた後で成形加工に利用されている。
【0003】
より具体的には、ポリスチレン系樹脂組成物を押出機内で発泡剤などとともに溶融混練し、該押出機の先端部に装着したサーキュラーダイの円環状のダイスリットから溶融混練物を押出発泡させて円筒状の発泡体を連続的に形成させ、該発泡体を冷却マンドレルで内側から冷却した後に切断装置で押出方向に沿った連続的な切込みを入れて展開し、得られた帯状のポリスチレン系樹脂発泡シートをロール状に巻き取ることによって前記原反ロールが作製されている。
【0004】
このとき、発泡体の周方向における一箇所においてのみ切込みを設けて広幅の原反ロールが作製されたり、対称となる2箇所(周方向に180度離れた2箇所)において切込みを設けて2本の原反ロールを作製することが行われたりしている。
【0005】
ところで、ポリスチレン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂や、ポリエチレン系樹脂などに比べて一般的に硬質である。
そのために、前記切込みを設けた後には、ポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向両端におけるエッジ部が鋭く角張った状態になっており、場合によっては、“バリ”などと呼ばれる凸部がエッジ部に形成されたりしている。
このようなエッジ部をそのままにしておくと、ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形に供するのに際して原反ロールの外側から繰り出したポリスチレン系樹脂発泡シートのエッジ部が、その内側に巻かれているポリスチレン系樹脂発泡シートの表面に接触して傷をつけてしまうおそれを有するとともに場合によっては原反ロールを扱う作業者が指先などに怪我をするおそれを有する。
このようなことから、従来のポリスチレン系樹脂発泡シートは、その取扱いに際して慎重な作業を必要としている。
【0006】
このようなことに対して、例えば、下記特許文献1においては、前記エッジ部を押し潰して丸みを帯びた状態に矯正することが記載されている。
具体的には、特許文献1には、2つの円錐体を対向させて頂部で連結させたような形状を有し、一方の円錐体側の斜面と他方の円錐体側の斜面とで断面が広角なV字状となる溝を形成させた部材をポリスチレン系樹脂発泡シートのエッジ部を押し潰して矯正するための部材(矯正部材)として用いることが記載されている(特許文献1の図1、2等参照)。
【0007】
また、下記特許文献1には、このV字状の溝を有する矯正部材の使用方法として、前記ポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向端部(側縁部)を溝奥に進入させる方向に力を加えて前記矯正部材をポリスチレン系樹脂発泡シートの側縁部に押し当てることによりポリスチレン系樹脂発泡シートの一面側のエッジ部を一方の円錐体側の斜面に当接させるとともに他面側のエッジ部を他方の円錐体側の斜面に当接させてエッジ部を押し潰すような方法が記載されている。
しかし、このような矯正部材を用いたのでは十分な矯正効果を期待することが難しく、部分的に角張ったエッジ部をポリスチレン系樹脂発泡シートに残存させてしまうおそれを有する。
【0008】
すなわち、従来、角張ったエッジ部を無くすことに対して十分な効果を期待することができる矯正部材が提供されておらず、そのために取扱い容易なポリスチレン系樹脂発泡シートを得ることが困難になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−239427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題に鑑み、角張ったエッジ部の矯正に有効な矯正部材を備えたポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備を提供し、ひいては、取扱い容易なポリスチレン系樹脂発泡シートを製造可能なポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討を行ったところ、特許文献1に記載されているような矯正部材は、ポリスチレン系樹脂発泡シートのエッジ部を当接させるための傾斜面の角度が溝の入口部分から溝の奥(溝の底部)に向けて略一定しているために、ポリスチレン系樹脂発泡シートの側縁部が溝の深さ方向に向けて真っ直ぐな状態(図4(a)参照)になっている間は問題がないものの少し角度がついてしまうと(図4(b)参照)ポリスチレン系樹脂発泡シートのいずれか一面側のエッジ部が前記傾斜面に接する角度が浅くなってエッジ部の押し潰し効果を急激に低下させてしまうことを見出した。
【0012】
そして、このような現象の抑制方法について鋭意検討したところ、ポリスチレン系樹脂発泡シートの側縁部を収容させる溝の形状を断面U字状とし、該溝の底部に形成されている曲面部に前記エッジ部を当接させることでポリスチレン系樹脂発泡シートの側縁部が溝の深さ方向に対して傾斜した状態になってもエッジ部と溝内壁面との接触状態に変化が生じ難くエッジ部の押し潰し効果が維持されやすいことを見出して本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備に係る本発明は、押出機と円環状のダイスリットを有するサーキュラーダイとが備えられており、ポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡させて円筒状の発泡体を連続的に形成させるべく前記押出機の先端に前記サーキュラーダイが取り付けられており、前記円筒状の発泡体を展開して帯状のポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させ得るように前記発泡体に押出方向に沿った連続的な切込みを設けるための切断装置と、前記切込みが設けられた後のポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向両端のエッジ部を押し潰して矯正するための矯正装置とがさらに備えられているポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備であって、前記矯正装置には、前記ポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向端部を収容可能な断面U字状の溝を有する矯正部材が備えられており、該矯正部材が、前記溝の底部に形成されている曲面部を前記エッジ部に当接させて前記矯正を実施し得るように前記矯正装置に備えられていることを特徴としている。
【0014】
また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法に係る本発明は、押出機の先端に取り付けたサーキュラーダイの円環状のダイスリットからポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡させて円筒状の発泡体を連続的に形成させる押出工程と、前記円筒状の発泡体を展開して帯状のポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させるべく前記発泡体に押出方向に沿った連続的な切込みを設ける切断工程と、該切断工程後のポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向両端のエッジ部を押し潰して該エッジ部を矯正する矯正工程とを実施するポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法であって、前記矯正工程にはポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向端部を収容可能な溝幅を有する断面U字状の溝を備えた矯正部材を用い、該矯正部材の前記溝底部に形成されている曲面部にポリスチレン系樹脂発泡シートの前記エッジ部を当接させて前記矯正を実施することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば角張ったエッジ部の矯正に有効な矯正部材を備えたポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備が提供され、取扱い容易なポリスチレン系樹脂発泡シートを製造可能なポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備の一態様を示す設備構成図である。
【図2】図2は、矯正装置の設置状況を上方から見た様子を示す平面図である。
【図3】図3(a)は、図2におけるX−X’線矢視断面の様子を示す概略断面図であり(b)は、図3(a)の破線領域Yを拡大した図である。
【図4】図4は、従来の矯正装置の使用状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備の構成を示す図であり、図2は、矯正装置の設置状況を上方から見た様子を示す平面図である。
また、図3(a)は、図2におけるX−X’線矢視断面の様子を示す概略断面図であり、図3(b)は、図3(a)の破線領域Yを拡大した図である。
【0018】
この図にも示されているように、本実施形態に係るポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備には、発泡剤を含んだポリスチレン系樹脂組成物を溶融混練するための押出機としてタンデム押出機1が備えられている。
該タンデム押出機1の先端部には、前記ポリスチレン系樹脂組成物を発泡状態で押出して円筒状の発泡体FBを形成させるためのサーキュラーダイ2が装着されている。
また、前記製造設備には、サーキュラーダイ2の前面において開口している円環状のダイスリットから円筒状に吐出される前記発泡体FBを内面側から冷却するとともに発泡体を拡径して所定の大きさの円筒状に形成させるための冷却マンドレル3が備えられている。
【0019】
本実施形態に係るポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備には、前記冷却マンドレル3によって冷却された円筒状の発泡体FBを展開して帯状のポリスチレン系樹脂発泡シート(以下、単に「発泡シート」ともいう)を形成させ得るように前記発泡体FBに押出方向に沿った連続的な切込みを設けるための切断装置4と、前記切込みが設けられた後の発泡シートSの幅方向両端のエッジ部SEを押し潰して丸みを帯びた状態に矯正するための矯正装置5とがさらに備えられている。
【0020】
前記タンデム押出機1は、上流側押出機1aと下流側押出機1bの2台の押出機が連結されたものであり、上流側押出機1aには、ポリスチレン系樹脂発泡シートの形成材料を投入するためのホッパー11と、ガス供給装置15から炭化水素などの発泡剤をシリンダー内に供給するためのガス導入部12とが設けられている。
そして、下流側押出機1bには、円環状のダイスリット(樹脂吐出口)が形成された前記サーキュラーダイ2が装着されている。
【0021】
前記サーキュラーダイ2は、その前方に設置された冷却マンドレル3に向けて押出機で溶融混練された樹脂組成物を発泡状態で円筒状に押出すべく構成されており、前記冷却マンドレル3は、前記サーキュラーダイ自体よりも大径な円柱形状を有しており、その外周面をサーキュラーダイ2から押出された円筒状の発泡体FBの内面に摺接させて該発泡体FBを内側から冷却しうるように備えられている。
なお、本実施形態においては、前記サーキュラーダイ2と前記冷却マンドレル3とは、該冷却マンドレル3の円柱形状の中心軸を延長した延長線上に前記ダイスリットの略中心が位置するようにして備えられている。
したがって、サーキュラーダイ2から冷却マンドレル3までの間の発泡体FB’はサーキュラーダイ2から冷却マンドレル3に向けて略均等に拡径されることになる。
【0022】
前記切断装置4は、前記冷却マンドレル3の下流側において円筒状の発泡体FBに左右一対の切り込みを入れるための切断刃CTを有し、本実施形態における発泡シートSの製造設備には、切り込みが入れられて上下に二分割された筒状の発泡体FBをそれぞれ平坦なシート状に展開するためのローラ91と、この展開された発泡シートSを上ロールURと下ロールLRとの2本の原反ロールとして巻き取るための巻取りローラ92が備えられている。
該巻取りローラ92は、前記サーキュラーダイ2のダイスリットから連続的に発泡体FBが押し出されている間、一定の引取速度で発泡シートSを巻取り得るように速度調整機構を有している。
そして、円筒状の発泡体FBは、この巻取りローラ92によって発泡シートSが巻き取られることによって下流側に引き寄せられることになり、自動的に切断装置4に供給されて前記切断刃CTによって連続的に切込みが入れられることになる。
【0023】
このことから、本実施形態の製造設備においては、前記切断装置4を通過して平坦な状態に展開された後の発泡シートSの側端面が前記切断刃CTによる切り口となる。
この切り口となる発泡シート側端面が発泡シートの両表面との間になす角度は、通常、略直角になっており、発泡シートの両端における角部(エッジ部SE)は、角張った状態になる。
したがって、このエッジ部SEを、丸みを帯びた状態に矯正すべく前記矯正装置5が備えられている。
本実施形態においては、ローラ91によって平坦なシート状に展開された後、巻取りローラ92によって巻き取られる前においてエッジ部の矯正をし得るように前記矯正装置5が備えられている。
本実施形態においては、図2にも示しているように、発泡シートSの幅方向両端においてエッジ部SEを矯正すべく、一つの発泡シートSに対して矯正装置5が2台一組となって配置されており、間に発泡シートSを挟んで略対称となる状態で発泡シートSの両端部に矯正装置5が配置されている。
しかも、本実施形態においては、上ロールURに巻き取られる発泡シートと、下ロールLRに巻き取られる発泡シートとの両方においてエッジ部SEの矯正をし得るように、2組(計4台)の矯正装置5が備えられている。
【0024】
前記矯正装置5には、前記エッジ部SEを矯正するための矯正部材として、軸心周りに回転可能な溝付きプーリ50が備えられており、該溝付きプーリ50は、その回転軸を垂直方向に延在させた状態で前記矯正装置5に備えられている。
また、前記矯正装置5には、該溝付きプーリ50を支持するための部材として、垂直方向に立設された板状体からなる支持基板51と、該支持基板51に一端部が固定され該支持基板51の一面側において水平方向に延びる4本のピン部材52とを有している。
これらのピン部材52は、等しい長さを有する4本の丸棒で構成されており、支持基板51に横長の長方形を描いた際の各頂点に位置するように支持基板51に取り付けられている。
すなわち、4本のピン部材52は、上下2本ずつに分かれて配置され、且つ、各2本が水平方向に略等しい距離を設けた状態で支持基板51に取り付けられている。
【0025】
前記矯正装置5には、前記溝付きプーリ50を支持するための支持具として前記溝付きプーリ50を直接支持する支持部材53がさらに備えられている。
該支持部材53は、ピン部材52が水平方向に離間している距離よりも長さが長く、且つ、この水平方向に離間している2本のピン部材52をそれぞれ挿通可能な2つの貫通孔を有する角棒状に形成されている。
該2本の支持部材53の内の一方は、前記貫通孔に上側の2本のピン部材52をそれぞれ挿通させて当該2本のピン部材52の間に掛け渡されており、他方も同様にして下側のピン部材52に掛け渡されている。
【0026】
該2本の支持部材53は、前記溝付きプーリ50の回転軸5xをそれぞれ上下で支持するためのものであり、その長さ方向中央部において前記回転軸5xの上端部と下端部とが固定されている。
なお、該支持部材53は、前記貫通孔に挿通されているピン部材52の先端部に装着されたストッパー54によって前記ピン部材52からの抜け落ちが防止されており、前記支持基板51からストッパー54との間を移動可能な状態で矯正装置5に備えられている。
【0027】
なお、本実施形態における前記矯正装置5は、前記支持部材53と前記支持基板51との間において前記ピン部材52に外嵌されたコイルスプリングSPをさらに有しており、このコイルスプリングSPの自然長よりも前記支持部材53と前記支持基板51とを接近させることによって前記コイルスプリングSPの反発力を支持部材53に加え得るように構成されている。
したがって、本実施形態における矯正装置5は、発泡シートSとの相対位置を調整することによってコイルスプリングSPの反発力を調整することができ、エッジ部SEを押し潰す程度の調整を図ることができる。
【0028】
なお、先にも述べたように、本実施形態に係るポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置においては、発泡シートSを挟んで対を成すように2台の矯正装置5が備えられている。
したがって、本実施形態においては、この矯正装置間の距離を調整することによって矯正装置5と発泡シートSとの相対位置が調整されエッジ部SEの矯正の程度が調整されることになる。
【0029】
前記溝付きプーリ50は、前記回転軸5x周りに回転可能な扁平な円板状のプーリ本体50’を有し、該プーリ本体50’は、その外周に沿って周回する溝55を有している。
すなわち、溝付きプーリ50に設けられている前記溝55は、前記回転軸5x周りに環状をなす環状溝となっている。
【0030】
そして、溝付きプーリ50は、この溝55に発泡シートSの幅方向端部を収容させて、溝底部において、その内壁面と前記エッジ部SEとを当接させて前記エッジ部SEに丸みを持たせるための矯正部材として機能するものである。
【0031】
このような矯正部材としての機能を安定して発揮させるためには、前記溝付きプーリ50は、前記環状溝が断面U字状に形成されていることが重要である。
より詳しくは、前記溝55は、プーリ本体50’の外周における開口部から回転軸5xに向けての溝深さ方向において、前記開口部に近い部分では略平行状態で内壁面を対面させて溝幅一定となっている一方で回転軸5xに近い溝底部においては、U字状の前記断面における形状が円弧状となる曲面部5aが形成されている。
【0032】
このように溝55の内壁面が断面円弧状となった曲面部5aをその底部に備えることで、この溝55に収容された発泡シートSは、前記曲面部5aでエッジ部SEが押し潰されて、この曲面部5aに沿った丸みを帯びた形状に矯正されることになる。
また、本実施形態の矯正装置5は、該溝55の内部で発泡シートSが傾いた状態になっても、溝内壁とエッジ部との接点が前記円弧上を移動するだけで、これらの接触状態が大きく変化しないように構成されている。
【0033】
なお、前記溝付きプーリ50は、軸心周りに回転可能な状態で備えられており、且つ、前記溝55が軸心周りに環状をなす環状溝であることから、前記発泡シートSが引き取られる方向に移動するのに伴って前記プーリ本体50’を回転させることができ、該回転中にエッジ部SEの矯正を連続的に実施させ得る。
【0034】
この溝付きプーリ50は、プーリ本体50’の外周における開口部から回転軸5xに向けての一定区間において溝幅略一定であるために発泡シートSを安定した状態で保持することができる。
なお、この溝幅に対して、発泡シートSの厚みが薄い場合には、溝内部において発泡シートが傾いた状態になるおそれを有する。
しかし、溝55が断面形状がU字状となるように形成されており、底部が丸く形成されているために、ある程度発泡シートSが傾いてもエッジ部SEと溝55の底部との接触状態が大きく変化するわけではない。
【0035】
ただし、発泡シートSが溝内部で過度に傾いてしまうと発泡シートSの一面側のエッジ部の矯正状況と、他面側のエッジ部の矯正状況とを異ならせるおそれを有する。
また、発泡シートSは、ある程度のクッション性を有していることから、自然状態における発泡シートSの厚みが、溝幅をある程度超えている場合でも、発泡シートの端部を溝55に収容させることは可能であるが、発泡シートSが溝幅よりも厚くなると、前記エッジ部SEを溝底部の曲面部aに強く当接させることが難しくなり、該エッジ部SEに丸みを持たせることが難しくなる。
このような観点から、溝の幅に対する発泡シートSの厚みは、50%〜95%であることが好ましく、65%〜85%であることがより好ましい。
【0036】
また、溝55の深さ(最底部までの深さ)は、矯正を行う発泡シートの厚みなどにもよるが、一般的な0.5mm〜3.5mm程度の厚みを有する発泡シートにおいては、溝深さは、2mm〜30mmであることが好ましく、5mm〜15mmであることがより好ましい。
【0037】
さらに、曲面部5aは、断面形状が半径0.5mm〜1.0mmの円弧状になっていることが好ましい。
【0038】
なお、溝付きプーリ50の半径(軸心から溝付きプーリ50の外周までの距離)は、通常、30mm〜110mmとされる。
【0039】
なお、本実施形態においては、エッジ部の矯正をスムーズに実施させ得る点において、矯正部材として上記のような溝付きプーリ50を軸心周りに回転可能な状態で備えさせる事例を挙げているが、例えば、前記溝付きプーリ50と同様の形状の矯正部材を回転などしないような固定状態で配置して、その断面U字状の溝中を発泡シートの端部を通過させて角張ったエッジ部を矯正して丸みを付与させるようにしてもよい。
なお、固定配置するような場合であれば、断面U字状の溝を有する矯正部材は、該溝が溝付きプーリのように環状溝になっている必要は無く、例えば、側面に断面U字状の溝を形成させた板状体を矯正部材として用いることも可能である。
【0040】
また、本発明は、この矯正部材以外における矯正装置の構成や矯正装置以外の構成について上記例示に限定されるものではい。
【0041】
次いで、上記のような製造設備を用いてポリスチレン系樹脂発泡シートを製造する方法について説明する。
本実施形態においては、以下の工程を実施することによってポリスチレン系樹脂発泡シートが作製される。
すなわち、本実施形態においては、
(1)本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートの作製に必要な材料を調整すべく、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とし、これに必要な配合剤を加えてポリスチレン系樹脂組発泡シートの原材料を調整する配合工程、
(2)前記調整された原材料を押出機の先端に取り付けたサーキュラーダイの円環状のダイスリットから押出発泡させて円筒状の発泡体を連続的に形成させる押出工程、
(3)前記円筒状の発泡体を展開して帯状の発泡シートを形成させるべく前記発泡体に押出方向に沿った連続的な切込みを設ける切断工程、
(4)前記切り込みが設けられた筒状の発泡体を平坦なシート状に展開させる展開工程、
(5)前記切込みの設けられた発泡シートの幅方向両端のエッジ部を押し潰して該エッジ部を矯正する矯正工程
(6)前記エッジ部が矯正されたポリスチレン系樹脂発泡シートをロール状に巻き取る巻取り工程
が実施されてポリスチレン系樹脂発泡シートが作製される。
以下に、個々の工程についてより詳しく説明する。
【0042】
(1)配合工程
この配合工程は、発泡シートの原材料となるポリスチレン系樹脂組成物の配合を調整する工程であり、一般的なポリスチレン系樹脂発泡シートの作製における場合と同様に、計量器や混練機といった装置を用いて実施可能である。
一例を挙げると、ポリスチレン系樹脂と各種の配合剤を含んだマスターバッチとをドライブレンドする方法が挙げられる。
また、ポリスチレン系樹脂とその他の配合剤とを全て含むペレットを、例えば、ニーダーや二軸混練機などといった一般的な混練装置を用いて作製する方法が挙げられる。
【0043】
前記ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体の単独重合体又はこれらの複数を組み合わせた共重合体等が挙げられる。
【0044】
また、ポリスチレン系樹脂としては、上記スチレン系単量体とこのスチレン系単量体と共重合可能なビニル単量体との共重合体であってもよく、このようなビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性単量体などが挙げられる。
【0045】
なお、ポリスチレン系樹脂組成物には、ポリスチレン系樹脂以外の樹脂成分を含有させても良く、例えば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジクロルフェニレン−1,4−エーテル)等のポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させてもよい。
【0046】
さらには、高分子型帯電防止剤なども含有させることができる。
この高分子型帯電防止剤としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミドなどのアイオノマーやその第四級アンモニウム塩、ポリエーテル−ポリスチレンブロック共重合体(ポリエーテル系ブロックとポリスチレン系ブロックのブロック共重合体)等が挙げられる。
【0047】
このような樹脂成分以外に、ポリスチレン系樹脂組成物に含有させる成分としては、例えば、低分子型帯電防止剤などの機能性成分や、発泡のための気泡核剤などの発泡に関する成分を挙げることができる。
【0048】
なお、この低分子型帯電防止剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤や、その他の界面活性剤又はアルカリ金属塩などの低分子型帯電防止剤が挙げられる。
【0049】
前記発泡に関する成分としては、例えば、前記ガス導入部12から導入される発泡剤とともに気泡を形成させるための気泡核剤や、あるいは、熱分解してガスを発生させる化合物粒子などが挙げられる。
【0050】
前記気泡核剤(気泡調整剤)としては、一般に気泡核剤として用いられているものであれば、特に限定されるものではなく例えば、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズなどの無機化合物、ポリテトラフルオロエチレンなどの有機化合物などの粒子が挙げられる。
なお、気泡核剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0051】
この気泡核剤とともに用いられる発泡剤としては、従来、押出発泡に用いられているものを本実施形態においても採用することができ、例えば、ブタンなどの炭化水素、窒素、二酸化炭素、アルゴン、水等を使用することができる。
【0052】
また、熱分解してガスを発生させる化合物粒子としては、例えば、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物などを用いることができる。
【0053】
さらに、このポリスチレン系樹脂組成物を構成させる成分として、一般的なポリマー発泡成形体の形成に用いられる配合剤を含有させることができ、例えば、耐候剤や老化防止剤といった各種安定剤、滑剤などの加工助剤、スリップ剤、防曇剤、顔料、充填剤などを適宜含有させることができる。
これらの配合剤をポリスチレン系樹脂組成物にどのような配合割合で含有させるかについては、ポリスチレン系樹脂発泡シートの最終的な用途などに応じて適宜調整すればよい。
【0054】
(2)押出工程
前記押出工程は、先の配合工程によって調整されたポリスチレン系樹脂組成物を前記押出機1の内部で溶融混練し、該溶融混練物を押出機1の先端に取り付けたサーキュラーダイ2の円環状のダイスリットから押出発泡させて円筒状の発泡体FBを連続的に形成させることによって実施することができる。
例えば、この溶融混練を実施する方法としては、上流側押出機1aにおいて、前記ガス導入部12から発泡剤を導入させるとともに、該発泡剤の分散に適した温度に前記ポリスチレン系樹脂組成物を加熱して、これらを樹脂成分の融点以上の温度で溶融混練し、続く、下流側押出機1bで押出発泡に適した溶融粘度とすべく上流側押出機1aよりも温度を低下させて混練を行う方法などが挙げられる。
【0055】
また、前記円筒状の発泡体FBを形成させる方法としては、前記下流側押出機1bで適度な溶融粘度となるように温度調整された溶融混練物を前記サーキュラーダイ2の円環状のダイスリットから連続的に吐出させて発泡させる従来の発泡シートの製造方法と同様の方法を採用することができる。
【0056】
その後、必要に応じてこの発泡体FBに空冷を実施した後に、冷却マンドレル3での冷却と拡径とを実施する。
このとき冷却マンドレル3によって拡径された円筒状の発泡体FBを冷却マンドレル3の外周面に摺接させて冷却マンドレル上を通過中に十分冷却させる。
【0057】
(3)切断工程
この切断工程は、冷却マンドレル3によって拡径された円筒状の発泡体FBに対して、後段の展開工程を可能にさせるための切込みを設けるものである。
なお、本実施形態においては、冷却マンドレル3の下流側左右においてそれぞれ切断刃CTを設けて互いに周方向に180度離れた位置となる2条の切込みを円筒状の発泡体FBに連続的に形成させて、該円筒状の発泡体FBを上下二分割させる方法などにより実施が可能である。
【0058】
(4)展開工程
この展開工程は、前記切断工程において切込みが形成された円筒状の発泡体FBを幅方向に押し広げて平坦なシート状とする工程である。
この工程は、前記巻取りローラ92での巻取りによって生じるテンションを利用して冷却マンドレル3の上端と略同じ高さと、下端と略同じ高さとに設けられた2本のローラ91の外周面に沿わせてポリスチレン系樹脂発泡シートを押し広げる方法などによって実施可能である。
【0059】
このことについてさらに説明すると冷却マンドレル3の下流側において切断刃CTによって切込みが設けられた後も上下2枚の発泡シートは、それぞれしばらくの間は押出方向に直交する断面における形状が半円状となっているが、ローラ91側に近づくにつれて幅方向左右に押し広げられ、やがてローラ91の外周面に巻き掛けられる状態となって平坦なシート状に展開されることになる。
なお、この展開工程においては、前記ローラ91の外周面に巻き掛けて平坦なシート状に展開された発泡シートSを、さらにもう一本のローラ91に巻き掛け発泡シートを平坦化させている。
【0060】
(5)矯正工程
前記切断工程においては、確実に切込みが設けられない場合には、展開工程などにおいてトラブルを生じることになるため、通常、刃先の鋭い切断刃が用いられる。
したがって、切り口の角部(エッジ部)は鋭利な状態になってしまうことになる。
本実施形態においては、このエッジ部を潰して発泡シートの取り扱いを容易にすべく矯正工程を実施する。
【0061】
また、矯正工程は、先に説明したような矯正装置5を用いて実施可能である。
すなわち、発泡シートSの幅方向端部を収容可能な溝幅を有する断面U字状の溝55を備えた溝付きプーリ50(矯正部材)を備えた矯正装置5によって実施可能である。
具体的には、左右2台の矯正装置5の溝付きプーリ50の溝55に、それぞれ発泡シートの幅方向端部を収容させ、さらに、矯正装置5のコイルスプリングSPにある程度の反発力が発生するように位置を調整してこれらの矯正装置5をセットする。
その後は、発泡シートSが引き取られて移動するのに伴って溝付きプーリ50が回転し、その溝底部の曲面部5aで発泡シートSの角張ったエッジ部SEが自動的に潰され、長尺帯状の発泡シートSの幅方向両端且つ両面においてエッジ部の潰された領域SAが連続的に形成されることとなる。
【0062】
この時、同じような溝付きプーリであっても、例えば、断面V字状の溝を有する溝付きプーリでは、安定してエッジ部を矯正することが困難である。
このことに関して図を参照して具体的に説明すると、図4(a)に示すように、発泡シートSxがこのV字溝を有する溝付きプーリ50xの回転軸5yに対して略垂直となるようにして溝内壁面に当接されていれば、発泡シートの一面側S1のエッジ部と他面側S2のエッジ部とで溝内壁面との接触状態に大きな相違は生じないものの溝幅が外向きに大きく広がるV字溝に発泡シートを収容させたのでは、該発泡シートSxは、該発泡シートSxが溝内で自由に動くことになる。
【0063】
このようなことから、例えば、図4(b)に示すように、発泡シートSxが傾いた状態で溝内壁面に当接されて矯正装置を通過すると、一面側S1のエッジ部はある程度潰されて矯正がされ得るものの他面側S2においてはほとんどエッジ部が潰されていない状態になるおそれを有する。
【0064】
一方で本実施形態における矯正装置5は、溝付きプーリ50が断面U字状の溝を有し、外周側における溝幅を一定させているため発泡シートSが回転軸5xに対して垂直となるようにガイドされるとともに発泡シートSが当接される底部に断面弧状の曲面部5aが形成されているために、発泡シートSの先端が傾いて当接されたとしてもエッジ部SEとの接触状態を大きく変化させることがない。
したがって、この矯正工程におけるエッジ部の矯正がより確実に、且つ、仕上がり良く実施されることになる。
【0065】
なお、本実施形態においては、2台の矯正装置を対向した配置にして両者の矯正部材に対する発泡シートSの当接力を均等化させ易い点において発泡シートSを平坦な状態に展開する展開工程を実施した後に当該矯正工程を実施しているが、要すれば、前記切断工程後、展開工程前の断面半円状の発泡シートに対して当該矯正工程を実施することも可能である。
【0066】
(6)巻取り工程
このようにしてエッジ部が矯正されたポリスチレン系樹脂発泡シートSは、前記巻取りローラ92によってロール状に巻き取り、食品用トレーなどの熱成形品を作製するための原反ロールとすることができる。
この巻取り工程は、一般に用いられているテンションコントローラ付の巻取り装置などを利用して実施可能である。
この時の引取速度は、製造する発泡シートの厚みや幅、さらには、押出機の能力などにもよるが、通常、1m/min〜70m/minとされる。
【0067】
このようにして作製された原反ロールは、その側面において発泡シートの側端面を露出させることになるが、本実施形態においては、エッジ部が丸く潰されているために、作業者が指先を切ってしまったりするおそれが低く、該原反ロールを容易に取り扱うことができる。
また、原反ロールから発泡シートを繰り出して熱成形を行う場合においても、切粉の発生が抑制されるために、発泡シートに切粉が付着した状態で熱成形がなされて製品が不良となってしまうことを抑制させ得る。
言い換えれば、切粉除去の手間を簡略化させることができ作業効率を向上させ得る。
【0068】
なお、ここでは詳述しないが、本発明の効果が著しく損なわれない範囲においては、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法に関して上記例示の事象以外に従来公知の事柄を採用が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 押出機
2 サーキュラーダイ
3 冷却マンドレル
4 切断装置
5 矯正装置
5a 曲面部
5x 回転軸
50 溝付きプーリ(矯正部材)
55 溝(断面U字状の溝)
CT 切断刃
FB 発泡体
S ポリスチレン系樹脂発泡シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機と円環状のダイスリットを有するサーキュラーダイとが備えられており、ポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡させて円筒状の発泡体を連続的に形成させるべく前記押出機の先端に前記サーキュラーダイが取り付けられており、前記円筒状の発泡体を展開して帯状のポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させ得るように前記発泡体に押出方向に沿った連続的な切込みを設けるための切断装置と、前記切込みが設けられた後のポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向両端のエッジ部を押し潰して矯正するための矯正装置とがさらに備えられているポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備であって、
前記矯正装置には、前記ポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向端部を収容可能な断面U字状の溝を有する矯正部材が備えられており、該矯正部材が、前記溝の底部に形成されている曲面部を前記エッジ部に当接させて前記矯正を実施し得るように前記矯正装置に備えられていることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備。
【請求項2】
前記矯正装置には、前記溝に幅方向端部が収容されているポリスチレン系樹脂発泡シートの移動に伴って前記矯正部材を回転させ得るように、前記矯正部材が軸心周りに回転可能な状態で備えられており、且つ、該矯正部材の回転中に前記矯正を連続的に実施し得るように、前記溝が前記矯正部材の前記軸心周りに環状をなす環状溝である請求項1記載のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備。
【請求項3】
前記曲面部は、U字状の前記断面における形状が半径0.5mm〜1.0mmの円弧状となるように形成されている請求項1又は2記載のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備。
【請求項4】
押出機の先端に取り付けたサーキュラーダイの円環状のダイスリットからポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡させて円筒状の発泡体を連続的に形成させる押出工程と、前記円筒状の発泡体を展開して帯状のポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させるべく前記発泡体に押出方向に沿った連続的な切込みを設ける切断工程と、該切断工程後のポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向両端のエッジ部を押し潰して該エッジ部を矯正する矯正工程とを実施するポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法であって、
前記矯正工程にはポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向端部を収容可能な溝幅を有する断面U字状の溝を備えた矯正部材を用い、該矯正部材の前記溝底部に形成されている曲面部にポリスチレン系樹脂発泡シートの前記エッジ部を当接させて前記矯正を実施することを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−51179(P2012−51179A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194381(P2010−194381)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(510218870)株式会社積水化成品天理 (9)
【Fターム(参考)】