説明

ポリトリメチレンエーテルグリコールによるポリウレタン発泡体

ポリトリメチレンエーテルグリコールから誘導されるポリトリメチレンエーテルセグメントを含有するポリウレタン発泡体が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリトリメチレンエーテルグリコールから誘導されるポリトリメチレンエーテルセグメントを含有するポリウレタン発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
独立気泡ポリイソシアネート系の発泡体は、例えば、建築構造や、エネルギー効率のよい電気器具の製造において、絶縁目的で広く用いられている。建築業界においては、ポリウレタン(ポリイソシアヌレート)ボードストックを、絶縁および貨物運搬機能のために、屋根ふき材やサイディングに用いている。現場打ちおよび溶射ポリウレタン発泡体は、屋根の絶縁、貯蔵タンク等の大きな構造の絶縁、冷蔵庫や冷凍庫等の器具の絶縁、冷蔵トラックや車両の絶縁等をはじめと様々な用途に広く用いられている。
【0003】
ポリウレタン発泡体は、通常、イソシアネート成分、ポリオール成分および発泡剤を混合することにより製造されている。
【0004】
これらの様々な種類のポリウレタン発泡体は全て、その製造に発泡(膨張)剤を必要とする。絶縁発泡体は、ポリマーの発泡ばかりでなく、主に、絶縁値の非常に重要な特徴である低蒸気熱伝導性についても、ハロカーボン発泡剤の使用に依存している。これまで、ポリウレタン発泡体は、CFC(クロロフルオロカーボン、例えば、CFC−11、トリクロロフルオロメタン)およびHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン、例えば、HCFC−141b、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン)を主な発泡剤として用いていた。
【0005】
現在市販されているポリウレタン発泡体は、概して、ポリエーテルジオール、酸化エチレンと酸化プロピレンの重合から誘導されるポリオール、ポリエステルポリオール、植物油系のポリオール、これらの2つ以上のブレンドを用いて、製造されている。これらの原材料を用いて生成されたポリウレタン発泡体は、有用な特性を示すが、出発材料が石油系で、再生可能な源から使用できないという事実に悩まされている。
【0006】
種/植物油から誘導されるポリオールおよびそれから製造されるポリウレタン発泡体は、文献に記載されてきた(例えば、特許文献1および2参照)。しかしながら、環境に優しいポリウレタン発泡体組成物、および再生可能な源のポリオールを含む発泡体が尚必要とされている。
【0007】
特許文献3および4には、ポリトリメチレンエーテルグリコールを用いて製造されたポリウレタンが開示されている。ポリトリメチレンエーテルグリコールは、特許文献5、6および7に以前から開示されているとおり、再生可能な生物源を用いた発酵プロセスにより製造される1,3−プロパンジオール(および任意で、エチレングリコール等のその他のグリコール)の重縮合により容易に製造される。
【0008】
一定の品質の再生可能な生物出発ポリオール成分に少なくとも部分的に基づく良好な品質の経済的なポリウレタン発泡体が必要とされている。本発明は、これらおよびその他重要な目的に係る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO第2004096882号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4543369号明細書
【特許文献3】米国特許第6946539号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0129524A1号明細書
【特許文献5】米国特許第5633362号明細書
【特許文献6】米国特許第5686276号明細書
【特許文献7】米国特許第5821092号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、
(a)ポリトリメチレンエーテルグリコールを含むイソシアネート反応性化合物と、
(b)平均官能価が少なくとも2のイソシアネートを含むポリイソシアネート成分と、
(c)発泡剤と
を含む成分の反応生成物を含むポリウレタン発泡体である。
【0011】
一実施形態において、ポリウレタン発泡体は、石油を含まない源から誘導されるポリオールから作製される。
【0012】
本発明は、絶縁等の用途に好適な発泡体、特に、独立気泡ポリウレタン発泡体を提供する。本発明者らは、意外にも、良好な気泡構造、寸法安定性および従来の絶縁発泡体に匹敵する絶縁R値等、絶縁に望ましい特性を有する剛性発泡体を、可撓性分子であり、官能価が2の第1級ヒドロキシルを有するポリトリメチレンエーテルグリコールを用いて作製できることを見出した。この種類のポリオールは、その官能価と分子量のために、かかる発泡体には典型的に考えられてなかった。特に、従来から作製されている剛性発泡体に匹敵する特性を有する独立気泡発泡体が、本発明により得られることを知見した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
「独立気泡発泡体」とは、少なくとも約90%が破壊されていないか、そうでなければ開放されていない気泡を有する発泡体を意味する。
【0014】
別記しない限り、本明細書で用いた技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。不一致がある場合には、本明細書が、定義を含め優先される。
【0015】
特筆しない限り、商標は大文字で示してある。
【0016】
別記しない限り、パーセンテージ、部、比等は全て質量による。
【0017】
量、濃度またはその他値やパラメータが、範囲、好ましい範囲または好ましい上限値と好ましい下限値のリストのいずれかで与えられているときは、範囲が個別に開示されているかどうかに係らず、範囲の上限または好ましい値と、範囲の下限または好ましい値の任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示するものと考えられる。本明細書において数値の範囲を挙げた場合は、別記しない限り、範囲には、その終点、その範囲内の全ての整数および分数が含まれるものとする。本発明の範囲は、範囲を定義する際に本明細書に挙げられる特定の値に限定されないものとする。
【0018】
値または範囲の終点を説明するのに「約」を用いるとき、開示内容には、参照される特定の値または終点が含まれるものとする。
【0019】
本明細書で用いる「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「持つ」、「持っている」またはこれらのその他変形の用語は、非排他的な包括を規定するものである。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明示的にリストされていない、またはかかるプロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素も含まれる。さらに、明らかに相反する記載がない限り、「または」は、包括的またはであり、排他的またはでない。例えば、条件AまたはBを満足するのは次のうちのいずれかである。Aが真(または存在する)でBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)でBが真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)。
【0020】
「1つの」は、本明細書の要素および成分を説明するのに用いられる。これは、単に便宜上であり、本発明の範囲の一般的な意味を与えるためである。この説明には、1つまたは少なくとも1つを含むものと解釈すべきであり、単数には、そうでないことを意味するのが明らかでない限りは、複数も含まれる。
【0021】
本明細書に記載した材料、方法および例は説明のためのみであり、特筆しない限り、限定しようとするものではない。本明細書に記載したものと同様または等価の方法および材料を、本発明の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料は本明細書に記載されている。
【0022】
本発明において、以下の用語は以下の意味を有する。
【0023】
(1)イソシアネート指数は、発泡体成分中に存在するイソシアネート反応性水素原子に対するNCO基の比で、パーセンテージで表わされる。すなわち、
イソシアネート指数=([NCO]×100)/[活性水素]。
このように、イソシアネート指数は、処方で用いるイソシアネート反応性水素の量と反応するのに理論的に必要なイソシアネートの量に対する、処方に実際に用いられるイソシアネートのパーセンテージを表わす。本明細書で用いるイソシアネート指数は、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を含む発泡プロセスの観点から考える。
【0024】
(2)イソシアネート指数を計算するために本明細書で用いる「イソシアネート反応性水素原子」という表現は、反応性組成物中に存在するヒドロキシルおよびその他官能基(アミン基等)中の活性水素原子の合計のことを指す。実際の発泡プロセスで、イソシアネート指数を計算するのに、1つのヒドロキシル基は、1つの反応性水素を含むものと考え、1つの第1級アミン基は、1つの反応性水素を含むものと考え、1つの水分子は、2つの活性水素を含むものと考える。
【0025】
(3)本明細書で用いる「ポリウレタン発泡体」という表現は、ジ−またはポリイソシアネートを、イソシアネート反応性水素含有化合物、例えば、ポリオール、アミノアルコールおよび/またはポリアミンと、フルオロカーボン、フルオロオレフィン、ハイドロカーボン、クロロカーボン、アセトン、ギ酸メチルおよびCO等の発泡剤を用いて、反応することにより得られ、処方に添加された水とポリイソシアネートの反応によりその場で生成される、多孔質生成物のことを指す。過剰のイソシアネートを組み込んで、それ自体で反応するときに得られるポリイソシアヌレート発泡体もまた、「ポリウレタン発泡体」に含まれる。
【0026】
(4)「平均公称ヒドロキシル官能価」という用語は、調製で用いる開始剤の数平均官能価(1分子当たりの活性水素原子の数)であることを前提として(ただし、実際には、末端不飽和または、他の官能価のために、やや少ないことが多い)、ポリオール成分またはポリオール組成物の数平均官能価(1分子当たりのヒドロキシル基の数)を示すのに本明細書では用いられる。
【0027】
(5)「平均」という単語は、別記しない限り、数平均を指す。
【0028】
(6)「クリームタイム」という用語は、活性水素含有化合物とポリイソシアネートの混合から始まり、発泡が生じて、混合物の色が変わり始めるときに終わる時間のことを指す。
【0029】
(7)「立ち上がり時間」という用語は、活性水素含有化合物とポリイソシアネートの混合から始まり、発泡が停止するときに終わる時間のことを指す。
【0030】
(8)「不粘着時間」という用語は、活性水素含有化合物とポリイソシアネートの混合から始まり、発泡体の表面がもう粘着性でないときに終わる時間のことを指す。
【0031】
(9)「初期R値」という用語は、75°Fの平均温度で、発泡体が形成され、不粘着性となった後24時間以内に測定したポリマー発泡体の絶縁値(耐熱性)のことを指す。
【0032】
本発明は、ポリウレタン発泡体に係る。発泡体は、(a)ポリトリメチレンエーテルグリコールを含むイソシアネート反応性化合物、(b)ジまたはポリイソシアネートを含むポリイソシアネート成分および(c)発泡剤を含む成分の反応生成物を含む。
【0033】
ポリウレタン発泡体は、上記の成分を反応することにより作製される。
【0034】
好ましい実施形態において、ポリオール等のイソシアネート反応性化合物は、石油を含まない源から誘導される。
【0035】
好ましくは、ポリトリメチレンエーテルグリコール(PO3G)は、再生可能な生物源を用いた発酵プロセスにより生成される1,3−プロパンジオールの重縮合により作製される。
【0036】
好ましくは、成分のイソシアネート指数は、約100〜約400、より好ましくは約105〜約350である。ただし、ある実施形態においては、イソシアネート指数は、約500以上とすることができる。好ましくは、ポリトリメチレンエーテルグリコールを含むイソシアネート反応性化合物の平均イソシアネート反応性官能価および/またはジまたはポリソシアネートを含むポリイソシアネート成分の平均イソシアネート官能価は2を超える。2を超える平均イソシアネート反応性官能価は、得られる発泡体を架橋することができる。
【0037】
イソシアネート反応性化合物
イソシアネート反応性化合物は、発泡体の物理特性に影響する1つの因子であるイソシアネート指数により特性が示される。イソシアネート指数は、イソシアネート反応性成分中の活性水素成分と反応するのに必要な化学量論量のイソシアネートである。100の指数は、処方が、イソシアネート反応性成分中に化学量論等量のイソシアネートおよび活性水素成分を含有することを示している。100未満の指数は、処方が過剰量のポリオールを含有することを示し、100を超える指数は、処方が、過剰量のイソシアネートを含有することを示す。このように、102のイソシアネート指数は、処方が、ポリオール中の全活性水素成分と反応するのに化学量論的に必要なイソシアネートの量を102パーセント含有することを意味する。イソシアネート反応性化合物は、主に、ポリオール、例えば、少なくとも約50%のポリオールを含む。
【0038】
イソシアネート反応性化合物は、ポリトリメチレンエーテルグリコール(「PO3G」)を含む。PO3Gの量は、イソシアネート反応性化合物の総量を基準として、コスト、対象とする最終用途および発泡体にとって望ましい特性等の因子に応じて、1〜100質量パーセントまで変えることができる。より典型的には、PO3Gの量は、約20〜約80質量パーセント、ある好ましい実施形態においては、約40〜60質量パーセントである。ある用途については、イソシアネート反応性化合物は、イソシアネート反応性化合物の総量を基準として、少なくとも約50質量%のPO3G、少なくとも約75質量%のPO3Gまたはさらに少なくとも約90質量%のPO3Gを叩くことができる。PO3Gの官能価は2であり、平均官能価を増やすのが望ましい場合には、イソシアネート反応性化合物は、PO3Gと2を超える官能価を有するポリオールのブレンドを含むことができる。この目的に好ましいポリオールは、例えば、種油または植物油系のポリオール等、再生可能な資源から誘導されるものである。好適な植物油系のポリオールとしては、ヒマワリ油、キャノーラ油、菜種油、コーン油、オリーブ油、大豆油、ヒマシ油およびこれらの混合物から誘導されたものが挙げられる。
【0039】
一実施形態において、PO3Gは、例えば、ポリエーテルポリオール(PO3G以外)、ポリエステルポリオール、ポリアミン、ポリチオール、ポリチオールアミン、ポリヒドロキシチオールおよびポリヒドロキシアミン等の他のオリゴマーおよび/またはポリマー多官能基イソシアネート反応性化合物とブレンドされる。ブレンドするとき、主に、三以上の官能基成分、より好ましくは、例えば、ポリエーテルポリオールポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリアクリレートジオール、ポリオレフィンジオールおよびシリコーンジオールをはじめとする1つ以上のポリオールを用いるのが好ましい。ある好ましいブレンド成分は、種/植物油から誘導されるポリオールである。
【0040】
一実施形態において、後述するとおり、三以上の官能基イソシアネート反応性化合物を含めて、発泡体内に何らかの架橋/ゲル構造を付与するのも好ましい。好ましくは、PO3Gは、約50質量%以下、より好ましくは約25質量%以下、さらにより好ましくは約10質量%以下の他のイソシアネート反応性化合物とブレンドする。
【0041】
ポリトリメチレンエーテルグリコール(PO3G)
繰り返し単位の少なくとも50%がトリメチレンエーテル単位であるポリトリメチレンエーテルグリコールポリマー。より好ましくは、繰り返し単位の約75%〜100%、さらにより好ましくは約90%〜100%、さらにより好ましくは約99%〜100%がトリメチレンエーテル単位である。
【0042】
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、1,3−プロパンジオールを含むモノマーの重縮合により好ましくは調製され、−(CHCHCHO)−結合(例えば、トリメチレンエーテル繰り返し単位)を含むポリマーまたはコポリマーが得られる。上述したとおり、繰り返し単位の少なくとも50%がトリメチレンエーテル単位である。
【0043】
トリメチレンエーテル単位に加えて、これより少ない量の他の単位、例えば、他のポリアルキレンエーテル繰り返し単位が存在していてもよい。本開示内容の文脈において、「ポリトリメチレンエーテルグリコール」という用語には、実質的に純粋な1,3−プロパンジオールから生成されたポリトリメチレンエーテルグリコール、ならびに、約50質量%までのコモノマーを含有するオリゴマーおよびポリマー(後述するものを含む)が含まれる。
【0044】
ポリトリメチレンエーテルグリコールを調製するのに用いる1,3−プロパンジオールは、様々な周知の化学経路のいずれかにより、または生化学的変換経路により得られる。好ましくは、1,3−プロパンジオールは、再生可能な源から生化学的に得られる(「生物学的に誘導された」1,3−プロパンジオール)。
【0045】
1,3−プロパンジオールの特に好ましい源は、再生可能生物学的源を用いた発酵プロセスを介するものである。再生可能源からの出発材料の一例をあげると、1,3−プロパンジオール(PDO)への生化学的経路は、コーン供給源等の生物的および再生可能資源から生成された供給源を利用するものと説明されてきた。例えば、グリセロールを1,3−プロパンジオールへ変換することのできる菌種は、種クレブシエラ(Klebsiella)、シトロバクター(Citrobacter)、クロストリジウム(Clostridium)およびラクトバチルス(Lactobacillus)にある。この技術は、米国特許第5633362号明細書、米国特許第5686276号明細書および米国特許第5821092号明細書をはじめとするいくつかの特許に開示されている。例えば米国特許第5821092号明細書には、特に、組換え体を用いた、グリセロールからの1,3−プロパンジオールの生物学的生成のプロセスが開示されている。このプロセスには、1,2−プロパンジオールに対して特異性のある、異種pduジオールデヒドラターゼ遺伝子により形質転換された大腸菌(E.coil)が組み込まれている。形質転換された大腸菌(E.coil)は、炭素源としてのグリセロールの存在下で増殖し、1,3−プロパンジオールは増殖培地から単離される。バクテリアと酵母の両方が、グルコース(例えば、コーン糖)またはその他炭水化物をグリセロールに変換できるため、これらの文献に開示されたプロセスにより、1,3−プロパンジオールモノマーの迅速で安価かつ環境的に責任のある源が提供される。
【0046】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオール、例えば、上述および上で参照したプロセスにより生成されたものは、植物により組み込まれた大気二酸化炭素からの炭素を含有しており、これが、1,3−プロパンジオールの生成用の供給源を構成する。このようにして、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、再生可能な炭素のみを含有し、化石燃料系または石油系の炭素は含有しない。従って、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを利用するポリトリメチレンエーテルグリコールおよびパーソナルケア組成物は、組成物に用いる1,3−プロパンジオールが、減少していく化石燃料を枯渇させず、分解時に、炭素を大気に放出して戻し、プラントで再び用いられるようにするので、環境に与える影響が少ない。このように、本明細書に開示された組成物は、石油系のポリオールを含む同様の組成物よりも天然で、環境に与える影響が少ないと特徴付けることができる。
【0047】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールおよび生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを含む組成物は、従って、14C(f)および二重炭素同位体指紋に基づいて、石油化学誘導の対応物からは区別され、物質の新たな組成が示される。これらの生成物を区別する能力は、商業目的で、これらの材料を追跡するのに有利である。例えば、「新」と「古」両方の炭素同位体分析結果を含む生成物は、「古」材料のみでできた生成物から区別される。従って、本材料は、その独特な分析結果に基づいた商業目的に、そして競争を定義し、寿命を判断するため、特に、環境影響を評価するのに利用される。
【0048】
好ましくは、反応物として、または反応物の成分として用いられる1,3−プロパンジオールは、ガスクロマトグラフィー分析により求めると、約99質量%を超える、より好ましくは約99.9質量%を超える純度を有する。特に好ましいのは、米国特許出願公開第20040260125A1号明細書、米国特許出願公開第20040225161A1号明細書、米国特許出願公開第20050069997A1号明細書および米国特許出願公開第20050020805A1号明細書に開示されたとおり、それから生成されたポリトリメチレンエーテルグリコールである。
【0049】
1,3−プロパンジオールは以下の特性を有するのが好ましい。
(1)紫外線吸収が220nmで約0.200未満、250nmで約0.075未満、275nmで約0.075未満、かつ/または、
(2)組成物が、約0.15未満のCIELAB“b”色相を有する(ASTM D6290)、および270nmで約0.075未満の吸光度を有する、かつ/または、
(3)約10ppm未満の過酸化物組成、かつ/または、
(4)ガスクロマトグラフィーにより測定した合計有機不純物(1,3−プロパンジオール以外の有機化合物)の濃度が、約400ppm未満、より好ましくは約300ppm未満、さらにより好ましくは約150ppm未満である。
【0050】
ポリトリメチレンエーテルグリコールを製造するための出発材料は、所望のポリトリメチレンエーテルグリコール、出発材料、触媒、装置等の利用可能性に応じて異なり、「1,3−プロパンジオールの反応物」を含む。「1,3−プロパンジオール反応物」とは、1,3−プロパンジオール、好ましくは重合度が2〜9の1,3−プロパンジオールのオリゴマーおよびプレポリマー、これらの混合物を意味する。利用可能であれば、10%まで、またはそれ以上の低分子量オリゴマーを用いるのが望ましい。このように、好ましくは、出発材料は、1,3−プロパンジオールとその二量体および三量体とを含む。特に好ましい出発材料は、1,3−プロパンジオール反応物の質量を基準にして、約90質量%以上の1,3−プロパンジオール、より好ましくは99質量%以上の1,3−プロパンジオールを含む。
【0051】
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、例えば、米国特許第6977291号明細書および米国特許第6720459号明細書に開示されているような当該技術分野において公知の数多くのプロセスにより作製することができる。
【0052】
上述したとおり、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、トリメチレンエーテル単位に加えて、少ない量のその他のポリアルキレンエーテル繰り返し単位を含有していてよい。ポリトリメチレンエーテルグリコールを調製するのに用いるモノマーは、従って、50質量%まで、好ましくは約20質量%以下、より好ましくは約10質量%以下、さらにより好ましくは約2質量%以下のコモノマージオールを、1,3−プロパンジオール反応物に加えて、含有することができる。プロセスに用いるのに好適なコモノマージオールとしては、脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロ−1,12−ドデカンジオール、脂環式ジオール、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルビド、ならびにポリヒドロキシ化合物、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールが挙げられる。コモノマージオールの好ましい群は、エチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、C〜C10ジオール(1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールおよび1,10−デカンジオール)およびイソソルビドならびにこれらの混合物からなる群から選択される。1,3−プロパンジオール以外の特に好ましいジオールは、エチレングリコールであり、C〜C10ジオールも特に有用である。
【0053】
コモノマーを含有するある好ましいポリトリメチレンエーテルグリコールは、米国特許出願公開第2004/0030095A1号明細書に記載されているようなポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールである。好ましいポリ(トリメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、50〜約99モル%(好ましくは約60〜約98モル%、より好ましくは約70〜約98モル%)の1,3−プロパンジオールおよび50まで〜約1モル%(好ましくは約40〜約2モル%、より好ましくは約30〜約2モル%)のエチレングリコールの酸触媒重縮合により調製される。
【0054】
好適なポリトリメチレンエーテルグリコールは、例えば、米国特許第6608168号明細書に記載されているとおり、脂肪族または芳香族二酸またはジエステルからの少量のその他の繰り返し単位を含有することができる。この種類のポリトリメチレンエーテルグリコールはまた、「ランダムポリトリメチレンエーテルエステル」とも呼ぶことができ、1,3−プロパンジオール反応物質および約10〜約0.1モル%の脂肪族または芳香族二酸またはそのエステル、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ビ安息香酸、ナフタレン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−スルホニルジ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸およびこれらの組み合わせと、ジメチルテレフタレート、ビベンゾエート、イソフタレート、ナフタレートおよびフタレートならびにこれらの組み合わせの重縮合により調製することができる。これらのうち、テレフタル酸、ジメチルテレフタレートおよびジメチルイソフタレートが好ましい。
【0055】
本明細書で用いるのに好ましいポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は、約200〜約10000、より好ましくは約250〜約5000、さらにより好ましくは約250〜4000、さらにより好ましくは約300〜約3000である。しかしながら、ある実施形態においては、ポリトリメチレンエーテルグリコールの分子量は約500〜約5000とすることができる。
【0056】
本明細書で用いるのに好ましいポリトリメチレンエーテルグリコールは、好ましくは約1.0〜約2.2、より好ましくは約1.2〜約2.0、さらにより好ましくは約1.2〜約1.8の多分散性を有する典型的に多分散性ポリマーである。
【0057】
ポリトリメチレンエーテルグリコールのブレンドもまた用いることができる。例えば、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、高および低分子量ポリトリメチレンエーテルグリコールのブレンドを含むことができ、好ましくは、高分子量ポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は約2000〜約4000であり、低分子量ポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は約150〜約500である。
【0058】
本発明に用いるポリトリメチレンエーテルグリコールの明度は、好ましくは約100APHA未満、より好ましくは約50APHA未満である。
【0059】
上述したとおり、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、急性経口毒性が比較的低く、皮膚または目刺激薬でなく、皮膚感作物質でない。
【0060】
その他イソシアネート反応性化合物
上述したとおり、PO3Gは、他の多官能基イソシアネート反応性化合物、中でもオリゴマーおよび/またはポリマーポリオールとブレンドしてもよい。
【0061】
好適なポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含有し、好ましくは約60〜約6000の分子量を有している。中でも、ポリマーポリオールは、数平均分子量により最も良く定義され、約200〜約6000、好ましくは約300〜約3000、より好ましくは約500〜約2500である。分子量は、ヒドロキシル基分析(OH数)により求めることができる。
【0062】
ポリマーポリオールとしては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルアミド、ポリチオエーテル、およびエステルとカーボネート結合が同じポリマー内にあるポリエステル−ポリカーボネート等の混合ポリマーが例示される。種/植物系のポリオールも含まれる。これらのポリマーの組み合わせも用いることができる。例えば、ポリエステルポリオールおよびポリ(メタ)アクリレートポリオールを、同じポリウレタン合成に用いてよい。
【0063】
好適なポリエステルポリオールとしては、多価、好ましくは、三価アルコールを任意で添加してよい二価アルコールおよび多塩基性(好ましくは二塩基性)カルボン酸の反応生成物が挙げられる。これらのポリカルボン酸の代わりに、対応のカルボン酸無水物または低級アルコールまたはその混合物のポリカルボン酸エステルを、ポリエステルの調製に用いてもよい。
【0064】
ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式またはこれらの混合物であってよく、例えば、ハロゲン原子により置換されていてもかつ/または不飽和であってもよい。以下に例を挙げる。コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデシル二酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリト酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマルサン、モノマー脂肪酸と混合してもよいオレイン酸等の二量体および三量体脂肪酸、ジメチルテレフタレートおよびビス−グリコールテレフタレート。
【0065】
好適な多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール−(1,2)および−(1,3)、ブチレングリコール−(1,4)および−(1,3)、ヘキサンジオール−(1,6)、オクタンジオール−(1,8)、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール(1,4−ビス−ヒドロキシメチル−シクロヘキサン)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレンポリオール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、そのエーテルグリコールおよびこれらの混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールはまた、カルボキシル末端基の部分を含有していてもよい。ラクトンのポリエステル、例えば、イプシロン−カプロラクトンまたはヒドロキシカルボン酸、例えば、オメガ−ヒドロキシカプロン酸を用いてもよい。
【0066】
PO3Gとブレンドするのに好ましいポリエステルジオールは、ヒドロキシル末端ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,2−プロピレンアジペート)、ポリ(トリメチレンアジペート)、ポリ(トリメチレンサクシネート)、ポリ乳酸エステルジオールおよびポリカプロラクトンジオールである。その他のヒドロキシル末端ポリエステルジオールは、ジオールとスルホン化ジカルボン酸から誘導される繰り返し単位を含むコポリエーテルであり、米国特許第6316586号明細書に記載されたとおりにして調製される。好ましいスルホン酸ジカルボン酸は、5−スルホ−イソフタル酸であり、好ましいジオールは、1,3−プロパンジオールである。
【0067】
好適なポリエーテルポリオールは、反応性水素原子を含有する出発化合物の、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、エピクロロヒドリンまたはこれらの混合物等のアルキレンオキシドとの反応により公知のやり方で得られる。反応性水素原子を含有する好適な出発化合物としては、上記した多価アルコール、さらに、水、メタノール、エタノール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、スクロース、フェノール、イソノニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,1,1−および1,1,2−トリス−(ヒドロキシフェニル)−エタン、ジメチロール−プロピオン酸またはジメチロールブタン酸が挙げられる。
【0068】
アミン化合物を含有する出発化合物の反応により得られたポリエーテルも用いることができる。これらのポリエーテルおよび好適なポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリアミドおよびポリヒドロキシポリチオエーテルの例は、米国特許第4701480号明細書に開示されている。
【0069】
ヒドロキシル基を含有するポリカーボネートとしては、それ自体公知のもの、例えば、プロパンジオール−(1,3)、ブタンジオール−(1,4)および/またはヘキサンジオール−(1,6)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコールおよびポリエーテルジオール等のジオールと、ホスゲン、ジフェニレンカーボネート等のジアリールカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートとの、またはエチレンまたはプロピレンカーボネート等の環状カーボネートとの反応から得られる生成物が挙げられる。同じく好適なのは、上述のポリエステルまたはポリラクトンと、ホスゲン、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートまたは環状カーボネートから得られるポリエステルカーボネートである。
【0070】
ブレンドのためのポリカーボネートジオールは、好ましくは、ポリエチレンカーボネートジオール、ポリトリメチレンカーボネートジオール、ポリブチレンカーボネートジオールおよびポリヘキシレンカーボネートジオールからなる群から選択される。
【0071】
ヒドロキシル基を含有するポリ(メタ)アクリレートとしては、カチオン、アニオンおよびラジカル重合等の付加重合の当該技術分野において一般的なものが挙げられる。アルファ−オメガジオールが例示される。ジオールのこれらの種類の一例としては、1つのヒドロキシル基を、ポリマーの末端またはその近傍に配置可能とする「リビング」または「制御」または連鎖移動重合プロセスにより調製されるものがある。米国特許第6248839号明細書および米国特許第5990245号明細書には、末端ジオールを製造するための手順の例がある。その他のジ−NCO反応性ポリ(メタ)アクリレート末端ポリマーを用いることができる。一例を挙げると、アミノまたはチオール等のヒドロキシル以外の末端基があり、ヒドロキシルとの混合末端基も含まれる。
【0072】
ポリオレフィンジオールは、KRATON LIQUID LとしてShellより、POLYTAIL HとしてMitsubishi Chemicalより入手可能である。
【0073】
シリコーンポリオールは周知であり、代表例は、米国特許第4647643号明細書に記載されている。
【0074】
ある用途において、種/植物油からのポリオールは、その生物学的起源および生分解性のために、好ましいブレンド成分である。かかるポリオールを製造するのに用いる種/植物油としては、これらに限られるものではないが、ヒマワリ油、キャノーラ油、菜種油、コーン油、オリーブ油、大豆油、ヒマシ油およびこれらの混合物が挙げられる。これらの油は、部分または完全水素化されている。かかる油からのポリオールは、例えば、WO第2004096882号パンフレットおよび米国特許第4543369号明細書に開示されている。かかる植物油系のポリオールの市販の例としては、Soyol R2−052−G(Urethane Soy Systems)、Pripol 2033(Uniqema)、Cargill Polyol−01およびCargill Polyol−02が挙げられる。
同様のNCO反応性材料は、他のNCO反応性基を含有しているが、ヒドロキシ含有化合物およびポリマーについて記載されたように用いることができる。ジチオール、ジアミン、チオアミン、さらに、ヒドロキシチオールおよびヒドロキシアミンが例示される。これらは、ポリオールについて記載した分子量または数平均分子量の化合物かポリマーとすることができる。ただし、これらの選択肢はあまり好ましくない傾向がある。
【0075】
好適な発泡体を形成するには、ポリウレタンは架橋またはゲル化構造を有するのが好ましい。本発明において、この構造は、2を超える平均公称イソシアネート反応性(ヒドロキシル)官能価を有するイソシアネート反応性化合物を用いることにより達成される。これは、好ましくは、イソシアネート反応性成分中に、三以上の官能基ポリオールまたはポリオールの混合物を含めることにより達成される。
【0076】
高官能基ポリオールとしては、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールの調製で前述したものが挙げられ、これらに限られるものではないが、グリセリン、ペンタエリスリトールおよびトリメチロールプロパンが挙げられる。一実施形態において、2を超える平均ヒドロキシル官能価を有する種/植物油からの上述のポリオールが好ましい。
【0077】
ポリイソシアネート成分
好適なポリイソシアネートは、イソシアネート基に結合した芳香族、脂環式および/または脂肪族基を含有するものである。これらの化合物の混合物も用いてよい。好ましいのは、脂環式または脂肪族部分に結合したイソシアネートを有する化合物である。芳香族イソシアネートを用いる場合には、脂環式または脂肪族イソシアネートも存在しているのが好ましい。
【0078】
ジイソシアネートが好ましく、ポリエーテルポリオール、ジオールおよび/またはアミンからポリウレタンおよび/またはポリウレタンウレアを調製するのに有用な任意のジイソシアネートを本発明において用いることができる。
【0079】
好適なジイソシアネートとしては、これらに限られるものではないが、2,4−トルエンジイソシアネート(TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート、80パーセントのTDIの2,4イソマーと20パーセントのTDIの2,6イソマーを含むブレンドである80/20TDI、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI),4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(TODI)、ドデカンジイソシアネート(C12DI),m−テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,4−ベンゼンジイソシアネート、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,6−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)およびこれらの組み合わせが例示される。IPDIおよびTMXDIが好ましい。
【0080】
少量、ジイソシアネートの質量を基準として好ましくは約10質量%未満のモノイソシアネートまたはポリイソシアネートを、ジイソシアネートとの混合に用いることができる。有用なモノイソシアネートとしては、アルキルイソシアネート、例えば、オクタデシルイソシアネートおよびアリールイソシアネート、例えば、フェニルイソシアネートが例示される。ポリイソシアネートの一例は、トリイソシアネートトルエンHDIトリマー(Desmodur 3300)およびポリマーMDI(Mondur MRおよびMRS)である。
【0081】
イソシアネートは、イソシアネート反応性化合物と反応すると発泡体内にウレタン鎖を形成し、水と反応すると発泡体内にガスを形成する。
【0082】
組成物のイソシアネート指数は、好ましくは約100〜約500、より好ましくは約105〜約350、さらにより好ましくは約110〜約300である。
【0083】
発泡剤
典型的に、有機発泡剤を用いることができる。好適な有機発泡剤としては、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロカーボン、クロロカーボン、アセトン、ギ酸メチルおよび二酸化炭素が挙げられる。しかしながら、CFCおよび塩化メチレンの発泡体における使用は、一般に、推奨されない。これらの材料は環境に悪影響があるためである。最近になって、環境的な特性が改善されたため、ハイドロフルオロカーボン(HFC)およびハイドロフルオロオレフィン(HFO)は、ポリウレタン発泡体の発泡剤として次第に用いられてきている。独立気泡絶縁発泡体を製造するのに用いるHFCとしては、HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)が例示され、独立気泡絶縁発泡体を製造するのに用いるHFOとしては、シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンが例示される。
【0084】
水も発泡剤として含めることができる。水は、イソシアネートの一部と反応して、二酸化炭素ガスを生成することにより、発泡剤として機能する。
【0085】
その他成分
発泡体の成分処方は触媒を含むことができる。触媒は、概して、発泡触媒か、ゲル化触媒のいずれかに分類されるが、触媒の中には、発泡触媒とゲル化触媒の両方として作用するものがある。発泡触媒は、概して、第3級アミンであり、発泡反応を主に触媒して、発泡体に孔を形成する。好適な発泡触媒としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルピペラジン、ピペラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−エチルモルホリン、2−メチルピペラジン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルプロパンジアミン、メチルトリエチレンジアミン、2,4,6−トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアミノエタノール、N,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)−sym−ヘキサヒドロトリアジン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、テトラメチルプロパンジアミン、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N−メチルイミダゾール、ジメチルエチルエタノールアミン、メチルトリエチレンジアミン、N−メチルモルホリンおよびこれらの混合物が例示される。
【0086】
ゲル化触媒は、概して、有機錫触媒であり、ゲル化反応を主に触媒して、発泡体内にウレタン鎖を形成する。好ましいゲル化触媒としては、第1錫または第2錫化合物、カルボン酸の第2錫塩、第2錫アクリレート、トリアルキル錫酸化物、ジアルキル錫ジハロゲン化物、ジアルキル錫酸化物、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫二酢酸塩、ジエチル錫二酢酸塩、ジヘキシル錫二酢酸塩、ジ−2−エチルヘキシル錫酸化物、ジオクチル錫二酸化物、第1錫オクチル酸塩、第1錫オレイン酸塩およびこれらの混合物が例示される。
【0087】
その他の部類の好ましい触媒は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属カルボン酸塩である。塩は、周期表のIA族およびIIA族の任意の金属の塩であってよいが、一般に、ナトリウムやカリウム等、特にカリウムのアルカリ金属塩が好ましい。
【0088】
用いるとき、処方における合計触媒レベルは、好ましくは、成分の総量の約0.01pph(100当たりの質量部)〜約10pphの範囲である。より好ましくは、レベルは、約0.05pph〜約1pph、最も好ましくは約0.1pph〜約0.5pphである。
【0089】
発泡体処方に用いるその他の任意の成分としては、酸化防止剤、界面活性剤、難燃剤、抑煙剤、UV安定剤、着色剤、細菌抑制剤、フィラーおよび離型剤が挙げられる。
【0090】
発泡体の製造
ポリウレタン発泡体の製造プロセスにおいて、ポリオール、ポリイソシアネートおよびその他成分を接触させ、完全に混合し、膨張させて、多孔質ポリマーへ切断する。特別な混合装置は重要でなく、様々な種類の混合ヘッドおよびスプレー装置を都合によって用いる。必要でないが、特定の原材料を、ポリイソシアネートおよび活性水素含有成分と反応させる前に予めブレンドするのが都合よいことが多い。例えば、ポリイソシアネート以外のポリオール、発泡剤、界面活性剤、触媒およびその他成分をブレンドしてから、この混合物をポリイソシアネートと接触させるのが有用であることが多い。あるいは、全成分を、ポリイソシアネートとポリオールを接触させる混合ゾーンに別個に導入してもよい。ポリオールの全てまたは一部を、ポリイソシアネートと予め反応させて、プレポリマーを形成することも可能である。
【0091】
一態様は、剛性の独立気泡ポリウレタン発泡体についてである。有機ポリイソシアネートを、活性水素含有化合物と、発泡剤組成物を存在させて、接触させることにより調製する。このようにして調製された発泡体は、気泡内に、ガス状発泡剤を含有するという点で特徴がある。
【0092】
組成物およびプロセスは、例えば、インテグラルスキン、RIMおよび可撓性発泡体、特に、溶射絶縁において、現場注入器具発泡体または剛性絶縁ボードストックおよびラミネートとして有用な剛性独立気泡ポリマー発泡体をはじめとする様々な発泡ポリウレタンおよびポリイソシアヌレート発泡体の製造に適用可能である。
【0093】
発泡体の密度は、好ましくは約15〜約150kg/m、より好ましくは約15〜約55kg/m、最も好ましくは約25〜約50kg/mである。
【0094】
実施例
本発明を以下の実施例によりさらに例示する。これらの実施例は、好ましい実施形態を示しているが、当然のことながら、例示の目的で与えられている。上述およびこれらの実施例から、当業者であれば、好ましい特徴を確認でき、精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行って、それを様々な使用および条件に適用することができる。
【0095】
ポリオールAは、22W Frontage Road,Northfield,ILにあるSTEPAN Inc.より購入した芳香族ポリエステルポリオール(Stepanpol PS2502−A)である。ポリオールAの粘度は、25℃で3,000センチポイズである。ポリオールA中のヒドロキシル基の含量は、ポリオールAの1グラム当たり249mgKOHに相当する。
【0096】
ポリオールBは、Wilmington,DEにあるDuPont製ポリトリメチレンエーテルグリコール(Cerenol(商標)H650)である。ポリオールBの粘度は、40℃で143センチポイズである。ポリオールB中のヒドロキシル基の含量は、ポリオールBの1グラム当たり160mgKOHに相当する。
【0097】
ポリオールCは、Vertellus Specialty Chemicalsより得られる三官能基dbヒマシ油である。ポリオールCの粘度は、25℃で720センチポイズである。ポリオールC中のヒドロキシル基の含量は、ポリオールCの1グラム当たり164mgKOHに相当する。
【0098】
シリコーンタイプの界面活性剤は、7201 Hamilton Blvd,Allentown PA 18195にあるAir Products Inc.より購入したポリシロキサン(Dabco DC193)である。
【0099】
カリウム触媒(カリウムHEX−CEM977)は、25質量%のジエチレングリコールと75質量%のカリウム2−エチルヘキサノエートを含有しており、127 Public Square,1500 Key Tower,Cleveland,OH44114にあるOMG Americas Inc.より購入したものである。
【0100】
アミン系の触媒(Dabco TMR−30)は、7201 Hamilton Blvd,Allentown PA 18195にあるAir Products Inc.より購入したトリス−2,4,6−(ジメチルアミノメチル)フェノールである。
【0101】
ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PAPI 580N)は、Midland,MI,49641−1206にあるDow Chemicals,Inc.より購入したものである。
【0102】
ハイドロフルオロカーボン(HFC)発泡剤は、Wilmington,DEにあるDuPont製の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンである。
【0103】
ハイドロフルオロオレフィン(HFO)発泡剤は、Wilmington,DEにあるDuPont製のシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンである。
【0104】
初期R値は、LaserComp FOX 304熱伝導率計により、平均温度75°Fで測定する。R値の単位は、ft−hr−°F/BTU−inである。
【0105】
実施例は、従来の発泡体(比較例に示される)に匹敵する特性を有する発泡体を本発明により得られることを例示するものである。
【0106】
比較例1
ハイドロフルオロカーボン(HFC)発泡剤1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを用いて、100%ポリオールAを含有する発泡組成物から作製した剛性ポリウレタン発泡体
ポリオールA、界面活性剤、触媒および1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを、手で予め混合してから、ポリイソシアネートと混合した。得られる混合物を、8インチ×8インチ×2.5インチの紙箱に注いで、ポリウレタン発泡体を形成した。発泡体の処方および特性を以下の表1Aおよび1Bに示す。
【0107】
【表1】

【0108】
【表2】

【0109】
実施例2
80%ポリオールAおよび20%ポリオールBを含有する発泡組成物から作製した剛性ポリウレタン発泡体
剛性ポリイソシアヌレート発泡体を、比較例1に記載したのと同じやり方で、20質量%ポリオールBを用いて作製した。発泡体処方および特性を、以下の表2Aおよび2Bに示す。20%ポリオールBを含む発泡組成物を用いると、発泡体は、R値の改善により、等しく良好な気泡構造および寸法安定性を示した。
【0110】
【表3】

【0111】
【表4】

【0112】
実施例3
60%ポリオールAおよび40%ポリオールBを含有する発泡組成物から作製した剛性ポリウレタン発泡体
剛性ポリイソシアヌレート発泡体を、比較例1に記載したのと同じやり方で、40質量%ポリオールBを用いて作製した。発泡体処方および特性を、以下の表3Aおよび3Bに示す。40%ポリオールBを含む発泡組成物を用いると、発泡体は、R値の改善により、等しく良好な気泡構造および寸法安定性を示した。
【0113】
【表5】

【0114】
【表6】

【0115】
実施例4
40%ポリオールAおよび60%ポリオールBを含有する発泡組成物から作製した剛性ポリウレタン発泡体
剛性ポリイソシアヌレート発泡体を、比較例1に記載したのと同じやり方で、60質量%ポリオールBを用いて作製した。発泡体処方および特性を、以下の表4Aおよび4Bに示す。60%ポリオールBを含む発泡組成物を用いると、発泡体は、匹敵するR値により、等しく良好な気泡構造および寸法安定性を示した。
【0116】
【表7】

【0117】
【表8】

【0118】
実施例5
20%ポリオールAおよび80%ポリオールBを含有する発泡組成物から作製した剛性ポリウレタン発泡体
剛性ポリイソシアヌレート発泡体を、比較例1に記載したのと同じやり方で、80質量%ポリオールBを用いて作製した。発泡体処方および特性を、以下の表5Aおよび5Bに示す。80%ポリオールBを含む発泡組成物を用いると、発泡体は、匹敵するR値により、等しく良好な気泡構造および寸法安定性を示した。
【0119】
【表9】

【0120】
【表10】

【0121】
実施例6
100%ポリオールBを含有する発泡組成物から作製した剛性ポリウレタン発泡体
剛性ポリイソシアヌレート発泡体を、比較例1に記載したのと同じやり方で、100質量%ポリオールBを用いて作製した。発泡体処方および特性を、以下の表6Aおよび6Bに示す。100%ポリオールBを含む発泡組成物を用いると、発泡体は、匹敵するR値により、等しく良好な気泡構造および寸法安定性を示した。
【0122】
【表11】

【0123】
【表12】

【0124】
実施例7
60%ポリオールAおよび20%ポリオールBおよび20%ポリオールCを含有する発泡組成物から作製した剛性ポリウレタン発泡体
剛性ポリイソシアヌレート発泡体を、比較例1に記載したのと同じやり方で、60質量%ポリオールA、20質量%ポリオールBおよび20質量%ポリオールCを用いて作製した。発泡体処方および特性を、以下の表7Aおよび7Bに示す。50/50ブレンドのポリオールBおよびポリオールCを含む発泡組成物を用いると、発泡体は、匹敵するR値により、等しく良好な気泡構造および寸法安定性を示した。
【0125】
【表13】

【0126】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリトリメチレンエーテルグリコールを含むイソシアネート反応性化合物と、
(b)イソシアネートを含むポリイソシアネート成分と、
(c)発泡剤と
を含む成分の反応生成物を含む独立気泡ポリウレタン発泡体。
【請求項2】
成分のイソシアネート指数が、約100〜約500である請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項3】
成分のイソシアネート指数が、約100〜約400である請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項4】
発泡剤が、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロカーボン、クロロカーボン、アセトン、ギ酸メチルおよび二酸化炭素からなる群から選択される、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項5】
発泡剤が水を含む請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項6】
発泡剤が二酸化炭素ガスを含む請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項7】
イソシアネート反応性化合物が、ポリトリメチレンエーテルグリコールと少なくとも1つの第2のポリオールとのブレンドを含む請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項8】
イソシアネート反応性化合物の組み合わせ総質量の約1〜99質量%が、ポリトリメチレンエーテルグリコールである請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項9】
イソシアネート反応性化合物の平均ヒドロキシル官能価が9未満である請求項7に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項10】
第2のポリオールが、植物油系ポリオールを含む請求項7に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項11】
イソシアネート反応性化合物の5〜90質量%が、植物油ポリオールである請求項10に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項12】
ポリトリメチレンエーテルグリコールが、再生可能な生物源を用いて、発酵プロセスにより生成された1,3−プロパンジオールの重縮合により製作される請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項13】
ポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が、約250〜約4,000である請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項14】
ポリトリメチレンエーテルグリコールが、ポリオールの総質量に基づいて、最大95質量%の他のポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールから選択される1つ以上とブレンドされる請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項15】
他のポリエーテルポリオールが、ポリエチレンポリオール、ポリ(1,2−プロピレンポリオール)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項12に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項16】
約15〜約150kg/mの密度を有する請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項17】
約25〜約50kg/mの密度を有する請求項1に記載のポリウレタン発泡体。

【公表番号】特表2011−503297(P2011−503297A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533260(P2010−533260)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/082741
【国際公開番号】WO2009/061992
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】