説明

ポリヒドロキシル化置換基を有するキレート化部分を含む磁気共鳴画像法(MRI)用高緩和能造影剤

本発明は、通例用いられるT1一般的血管外剤(NSA)の特性に類似する薬物動態学的特性を示すが、高緩和能によってさらに特徴付けられる、キレート化骨格部分が1つまたはそれ以上のポリヒドロキシル化鎖の存在によって高度に官能基化される式(I):A(LR)v (I)[式中、Aは、直線または環式キレート化骨格部分である;Rは独立して、Hまたは2−30個のヒドロキシル基によって置換された直鎖または分枝鎖アルキル鎖(鎖は必要に応じて、−O−、−NH−、−N<、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−CON<または>NCO−から選ばれる1つまたはそれ以上の基によって中断される)を含むC2−C70アミノポリオール部分であり、必要に応じて、1つまたはそれ以上の C4−C10環式単位によって置換される;Lは独立して、直接結合またはAおよびRの間の最大限20個の炭素原子を含む二価の直線もしくは分枝リンカー部分である;vは、1−7の正の整数である;ただし、R基の少なくとも1つは、H以外で4ある]で示されるリガンドまたはこのようなリガンドの生理学的に許容しうる塩である、新規なクラスの常磁性イオン性造影剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年7月2日に出願され、全体を参考文献として本発明に援用される仮出願U.S.S.N.60/585,181の出願日の利益を請求する。本発明は、画像診断の分野および高緩和能を有する新規な造影剤に関する。さらに詳しくは、本発明は常磁性金属イオンをキレート化して、金属とのキレート錯体にする能力がある化合物および磁気共鳴画像法(MRI)における非特異的造影剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
MRIにおけるコントラストは、基本的に、水のプロトンの緩和時間の差異によるものであり、水のプロトンの緩和過程を触媒しうる化学薬品の使用によって増強することができる。最も重要なクラスのMRI造影剤は、現在臨床試験の約1/3において使用されているGd(III)キレートに代表される。潜在的に有益なMRI造影剤とみなされるためには、Gd(III)錯体は、両方とも生物にとって毒性があることがとわかっている遊離Gd(III)イオンおよびリガンドの放出に対して保証するために、高い熱力学的(およびおそらく動態学的)安定性を示さなければならない。したがって、たとえば、ジエチレントリアミノ五酢酸(DTPA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)およびその誘導体といったようなオクタ配位リガンドなどの公知のキレート化化合物が、Gd(III)イオンのキレート化のために考慮されている。これらのリガンドは、このランタニド(III)イオンを包み込み、1つの水分子の配位に利用できる1つの結合部分を残す。したがって、配位された水のプロトンは、速交換過程(Kex=1/τM)の出現によって「バルク」水分子へ移される非常に短い緩和時間(T1M)を示す。一般的参考文献として、Aime S.;Botta M.;Fasano、M.;Terreno、E.Chem.Soc.Rev.1998、27、19−29を参照のこと。
【0003】
緩和増強特性に関する限りでは、常磁性Gd(III)錯体は、水そのままのプロトンの緩和速度(R1o)と比べて、Gd(III)錯体の水溶液のプロトン緩和速度が増加するその緩和能(r1p)を特徴とする。緩和能は通常、298Kおよび20 MHzで測定される(0.5 T)。
その反対に、Gd錯体、さらに一般的には常磁性キレート錯体または常磁性造影剤について薬物動態学的特性などの異なる特性を考慮する場合、以下のカテゴリーの診断法を特定することができる:投与後に細胞外空間へ大量に素早く分配される非特異剤(NSA);血液系から細胞外空間へゆっくりと拡散する低拡散剤(LDA);および血液系へ主として(完全でない場合)分配される血液貯留剤。
【0004】
それらの生体分配特性のために、したがって、NSAは、一般的使用のために設計される。例として、現在臨床診療において用いられている以下のNSA剤は、約4.7 mM−1s−1(298Kおよび20 MHzで測定)のほとんど同じ緩和能を示す。

より高い緩和能は、磁気共鳴画像において、よりよいコントラスト分化を導くので、市販製品に見出される緩和能よりも、高い緩和能をもつシステムの探索のために過去20年間において多くの注意が向けられている。
【0005】
この点において、水分子を配位するGd(III)錯体が「バルク」水と速い交換にあり、r1p値がその分子量(MW)の増加に対して直線的に増加することが認められた。この挙動は、分子再配向時間(τR)からのT1Mの既知の依存に完全に一致する(前記参考文献参照のこと)。これに基づいて、分子の再配向時間を長くするために2つの経路が考えられている:i)リガンドの表面上の大量の部分を結合することからなる共有経路;および
ii)ゆっくりと移動する基質と超分子付加体を形成しうるシステムからなる非共有経路。この後者のアプローチのために、最も一般的に用いられる基質は、ヒト血清アルブミン(HSA)によって代表され、血清タンパク質に結合する高い親和性に適した置換基を含むいくつかのGd(III)キレートが報告されている。HSAに結合すると、これらのGd(III)錯体は、観測周波数25−30 MHz、すなわち、1 Tに近い磁場強度におけるそれらの最大のr1p値を示す。しかし、高磁場において、それらのr1pは、素早く減少し、したがって、T1MにおけるτRの強い影響が、0.5−1.5 Tの範囲の画像場において主として重要であるということが示される。一般的参考文献を参照のこと:Aime S.、Botta M.、Fasano、M.;Terreno、E.Chem.Soc.Rev.1998、27、19−29;およびCaravan P.、Cloutier N.J.、Matthew T.、Lauffer R.B.らのJACS、2002、124、3152−3162。
【0006】
臨床的適用には、よりよい画像分解脳を得るために、現在の傾向は、3 Tで操作する断層撮影に移動している。したがって、拡張された磁場強度の範囲にわたって高緩和能を達成する新たな方法を特定する必要がある。
さらに、それらの大きさの増加を考慮すると、これらの高分子量造影剤は、身体の血管系においてほとんど独特の局在化を示し、したがって、それらを「血液貯留」造影剤として特徴付けるこの生体分配パターンは、それらの使用に制限を加える。
高緩和能を有するMRI造影剤を考慮する場合、血液貯留剤の分子量よりも低い分子量を有するが、20 MHzおよび37℃で測定したときに25 mM−1.s−1以下の緩和能を依然として示すいくつかのさらなる化合物が存在する(たとえば、WO 00/75141;およびJ.Mag.Reson.Imaging 2000、11:182−191を参照のこと)。5−10 kDaの範囲のそれらの分子量が、細胞外空間へそれらが低拡散のみをするのに十分高いので、これらの化合物は、低拡散剤(LDA)として知られる。それらの薬物動態学的特性のために、これらのLDAの診断適用は、血管床から自由に拡散することから一般的診断適用のために設計されるすでに市販されているNSAの適用とは相異する。
したがって、自由で迅速な生体分配と、その結果としての一般的有用性および高緩和能を併せ持つ新規で改善されたNSAが必要である。
したがって、本発明は、上記要求を満たす、本質的にヒドロキシル化基の存在によって特徴付けられる新規なクラスの造影剤に関する。
【発明の要約】
【0007】
本発明は、通例用いられるT1一般的血管外剤の薬物動態学的特性と類似した特性を示すが、すでに市販されているNSAと比較した場合に、より高い緩和能によってさらに特徴付けられる、新規なクラスの低分子量常磁性イオン性造影剤に関する。さらに、改善された緩和能は、拡張された磁場強度の範囲にわたって、有意に減少することなく持続する。
したがって、本発明の第1の目的は、約0.5−約3 MHzで変化する拡張された磁場強度にわたって実質的に保持される高緩和能によって特徴付けられる、低分子量の常磁性イオン性非特異的造影剤(NSA)である。
好ましくは、低分子量という用語は、約3.5 kDaよりも低い分子量を意味する。
本明細書において、他に特記しない限り、非特異的造影剤(NSA)という用語は、上記付加的特徴にもかかわらず、投与後、特に血管内投与後、細胞外空間へ迅速および自由に分配される造影剤を意味する。
【0008】
用語「常磁性イオン性造影剤」として、二価または酸化の常磁性金属イオン、好ましくは20−31、39、42、43、44、49および57−83の範囲の原子数を有する、たとえば、Fe(2+)、Fe(3+)、Cu(2+)、Cr(3+)、Eu(3+)、Dy(3+)、La(3+)、Yb(3+)、Mn(2+)、Mn(3+)およびGd(3+)などのいずれかのキレート錯体が挙げられ、後者が好ましい。
本発明において、他に特記しない限り、表現「高緩和能」は、8 mM−1 s−1[20 MHz(約0.5 T)、298KおよびpH 7で測定する場合]以上、より好ましくは、それぞれ約1500、2000、2500および3500 Daの分子量の系について10 mM−1 s−1、12 mM−1 s−1、15 mM−1 s−1および20 mM−1 s−1以上の緩和能を意味する。
さらに、高緩和能は、上記範囲の磁場強度、すなわち、約0.5−約3 MHzにおいて有意な減少なしに維持されるべきである。言い換えると、好ましくは、いくらかの有意でない減少、たとえば、40 %を越えない緩和性の可能なバリエーションを含んでもよい。
【0009】
第1の態様において、本発明の造影剤(その生理学的に許容しうる塩も含まれる)は、1つまたはそれ以上の高親水性アミノポリオール部分によって置換されるキレート化骨格部分を含み、ここで、アミノポリオール部分は、キレート化部分の配位ケージの特徴を変更しない仕方で、骨格キレート化構造に直接またはリンカーを介して結合する。
【0010】
したがって、本発明のさらなる目的は、式(I):
A(LR)v (I)
[式中、Aは、直線または環式キレート化骨格部分である;Rは独立して、Hまたは2−30個のヒドロキシル基によって置換された直鎖または分枝鎖アルキル鎖(鎖は必要に応じて、−O−、−NH−、−N<、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−CON<または>NCO−から選ばれる1つまたはそれ以上の基によって中断される)を含むC2−C70アミノポリオール部分であり、必要に応じて、1つまたはそれ以上のC4−C10環式単位によって置換される;Lは独立して、直接結合またはAおよびRの間の最大20個の炭素原子を含む二価の直線もしくは分枝リンカー部分である;vは、1−7の正の整数である;ただし、R基の少なくとも1つは、H以外で4ある]
で示されるリガンドまたはこのようなリガンドの生理学的に許容しうる塩を提供することである。
【0011】
他に特記しない限り、用語「アミノポリオール部分」は、−NHR'または−NR'R”基(ここで、窒素原子は、リンカーLを介して骨格部分Aに結合する)を意味し、R'およびR”は、同一または異なって、単独または一緒になって、上記ポリヒドロキシル化直鎖または分枝鎖アルキルを表す。
アミノポリオール部分は必要に応じて、上記のように、中断または置換されてもよい(例として、実験例のセクションを参照のこと)。
他に特記しない限り、用語「環式ユニット」は、必要に応じて置換された4−10員の、炭素環式または複素環式環を意味し、この後者は、NおよびOから選ばれる1−2個のヘテロ原子を含む。
【0012】
好ましくは、炭素環式環は、ヒドロキシ、ヒドロキシメチルおよびアミノから選ばれる1つまたはそれ以上の基で置換された6員環であり、より好ましくは、以下の式:

で示されるアミノ−イノシトール誘導体である。
好ましくは、複素環式環は、必要に応じて1つまたはそれ以上のヒドロキシ、hドロキシメチルおよびアミノ基で置換された5または6員ピラノシドまたはピペリジノ環であり、より好ましくは、式:





で示されるピラノシドまたはピペリジノ誘導体である。
【0013】
明らかに、式(I)で示される化合物において、他に特記しない限り、1つまたはそれ以上の炭素原子が不斉中心を意味する場合、いずれかの光学活性体、そのラセミ体ならびに大部分の光学活性体を含むいずれかの混合物はすべて、本発明の範囲に含まれることを意図する。
キレート化骨格部分Aの性質に応じて、種々の式(I)で示される化合物がただちに特定される。
【0014】
したがって、本発明の好ましい態様において、式(I)で示される化合物は、

[式中、LおよびRは、同一または異なって、それぞれ独立して、前記と同意義である]
から選ばれる。
上記式において、ただし、少なくとも1つのR基は、H以外であり、−L−R基自体は、その点で、分子の残りの部分との好ましい結合部位の非制限的例として位置付けられる。
他に特記しない限り、カルボキシレートおよびホスホネートアニオンを特定するために上記式のそれぞれにおいて負の電荷が挿入された場合でも、たとえば、化合物が常磁性キレート錯体またはアルカリ金属塩などの塩として存在する場合、カルボン酸(−COOH)およびリン酸(−PO3H2)基を有する対応する化合物もまた、本発明の範囲に含まれることを意図する。
【0015】
本発明の第1の態様において、下記式(II):

[式中、RおよびLは、前記と同意義である]
で示されるキレート化合物が、特に好ましい。
このクラスにおいて、下記式(II):

[式中、RおよびLは、前記と同意義である]
で示される誘導体が、さらにより好ましい。
下記式(II):

[式中、RおよびLは、前記と同意義である]
で示される化合物が、さらになお好ましい。
【0016】
明らかに、上記サブクラスの式(II)で示される化合物において、特定の−LR基は、Hによって意図的に置換されたものである;したがって、このような同じ位置において、Lは単結合であり、RはHである。残りの−LR基に関する限り、代わりに、それらは、上述した意味を有してもく、したがって、Hも含まれるが、ただし、少なくとも1つのR基は、H以外である。
【0017】
本発明のもう1つの態様において、下記式(III)および(IIIa):

[式中、RおよびLは、前記と同意義である]
で示されるキレート化合物も好ましい。
このクラスにおいて、下記式(III)および(IIIa):

[式中、RおよびLは、前記と同意義である]
で示される誘導体がさらに好ましい。
このクラスにおいて、下記式(III):

[式中、RおよびLは、前記と同意義である]
で示される誘導体がさらになお好ましい。
【0018】
式(III)または式(IIIa)で示される化合物のサブクラス内の−LR基およびその可能なHとの置換に関する限り、上記式(II)で示される化合物についての前述の注釈を参照のこと。
【0019】
本発明のもう1つの態様において、下記式(IV)および(V):

[式中、RおよびLは、前記と同意義である]
で示される誘導体も好ましい。
【0020】
上述のすべてから、式(II)、(III)、(IIIa)、(IV)および(V)で示される化合物のどれもが、本発明の特定の具体例を意味し、したがって、上述の式(I)の意味の範囲に含まれるにことは、当業者には明らかである。
【0021】
本発明のもう1つの態様において、(II)−(V)で示される誘導体も含まれる式(I)で示される化合物のR基は、H以外である場合、
−NH−(CH2)0−2−C[(CH2)1−2−O−Q]3
−NH−(CH2)1−2−CON[(CH2)1−3−CONH−C[(CH2)1−2−O−Q]3]2
−N[(CH2)1−4−NHCO−(CHOH)4−CH2OH]2
−NH−(CH2)0−2−C[(CH2)1−4−NHCO−(CHOH)4−CH2OH]3
−N[(CH2)1−4−N[(CH2)1−4−COY]2]2
−NH−C[(CH2)1−4−COY]3
−NH−C[(CH2)1−2−O−(CH2)1−3−COY]3
−NH−CH(COY)[(CH2)1−2−COY];
−NH−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)0−2−C(R1)(CH2OH)2]2
−NH−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)0−2−C(R1)(CH2OH)2]2]2
−NH−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)0−2−C(R1)(CH2OH)2]2]2]2
[ここで、Qは、式:

で示される基である;
R1は、Hまたはメチルである;および
Yは、下記表(a):

に記載の基である]
から選ばれるのが好ましい。
【0022】
より好ましい態様において、本発明は、式(II)−(V)で示されるキレート化合物に関する。ここで、RはHであるか、または下記A−Gの符号によって特定される以下の好ましいアミノポリオールから選ばれる。

A1

A2


B1


B2


B3
【0023】
表(b)

【0024】

【0025】
表(c)

【0026】

【0027】
表(d)

【0028】

【0029】

【0030】
上述のすべてから、A、BおよびGのアミノポリオールは適当な化学式で定義されるが、表(b)および(c)は、それぞれ上記符号系によって正確に定義される種々のR基を生じさせるように、C、D、EおよびF部分がそれらの一番上にある式ではっきりと定義され、次いで、それらの部分がY基によって置換されるように意図的に解釈されることは、当業者には明らかである。
【0031】
本発明のさらなる態様において、Lは、直接結合または最大20個の炭素原子を含むリンカーを意味する。
Lが、直接結合または最大15個の炭素原子を含むリンカーを意味するのが好ましく、Lが、直接結合または式:

[式中、nおよびn'は同一または異なって、それぞれ独立して、0または1−4の整数であり、p、qおよびsはそれぞれ独立して、0または1から選ばれる]
で示されるリンカーを意味するのがさらになお好ましい。
Lが、直接結合または式:

[式中、n、qおよびsは、前記と同意義である]
で示されるリンカーを意味するのがさらになお好ましい。
【0032】
上述のすべてから、特に好ましい式(I)で示される本発明化合物は、下記表1の式(II)で示される化合物;下記表2の式(III)で示される化合物;下記表3の式(IV)で示される化合物である。
表1

【0033】
表2

【0034】

【0035】
表3

【0036】
表4

【0037】
本発明のさらなる目的は、二価または三価の常磁性金属イオンおよびその生理学的に許容しうる塩を含む式(I)で示される化合物のキレート錯体であり、したがって、式(II)−(V)で示される化合物を含む。キレート形成した金属イオンが、たとえば、Fe(2+)、Fe(3+)、Cu(2+)、Cr(3+)、Eu(3+)、Dy(3+)、La(3+)、Yb(3+)、Mn(2+)、Mn(3+)およびGd(3+)などの20から31の間、39、42、43、44、49および57から83の間の範囲の原子番号を有するキレート化合物が好ましい。式(II)−(V)で示される化合物を含む式(I)で示される化合物は、203Pb、67Ga、68Ga、72As、111In、113In、90Y、97Ru、62Cu、64Cu、52Fe、52mMn、140La、175Yb、153Sm、166Ho、149Pm、177Lu、142Pr、159Gd、212Bi、47Sc、149Pm、67Cu、111Ag、199Au、161Tb、51Cr、167Tm、141Ce、168Yb、88Y、165Dy、166Dy、97Ru、103Ru、186Re、188Re、99mTc、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、117mSn、177Snおよび199Auなどの放射性核種およびその酸化物ならびに窒化物と錯体を形成することもできる。放射性核種の選択は、所望の治療または診断適用に基づいて決定する。たとえば、診断目的(たとえば、シンチグラフィー画像を用いる治療進行の診断およびモニター)のためには、64Cu、67Ga、68Gaおよび111Inなどの放射性核種が好ましく、111Inが特に好ましい。治療目的(たとえば、放射線療法の提供)のためには、64Cu、90Y、105Rh、111In、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186/188Reおよび199Auなどの放射性核種が好ましく、177Luおよび90Yが特に好ましい。
【0038】
リガンドおよび常磁性または放射性キレートは、塩、特に、生理的適合性のある塩基または酸との付加塩の形体をとることもできる。本発明の錯体またはリガンドの塩を製造するために用いることができる無機塩基のカチオンは、たとえば、カリウム、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムなどのアルカリまたはアルカリ土類金属のイオンが好ましい。有機塩基のカチオンは、たとえば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、グルカミン、N−メチルグルカミン、N,N−ジメチルグルカミンなどの第一級、第二級および第三級アミンなどのカチオンが好ましい。本発明の錯体またはリガンドの塩を製造するために用いることができる無機酸のアニオンは、たとえば、クロリド、ブロミドまたはヨージドなどのハロ酸のイオンならびに硫酸塩などの他の適当なイオンが好ましい。有機酸のアニオンは、たとえば、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩またはシュウ酸塩などの塩基性物質の塩の製造のために製薬技術において通常用いられる有機酸などのアニオンが好ましい。アミノ酸のカチオンおよびアニオンは、たとえば、タウリン、グリシン、リシン、アルギニン、オルニチンのカチオンまたはアスパラギン酸およびグルタミン酸のアニオンが好ましい。式(II)−(V)で示される化合物を含む式(I)で示される化合物およびそのキレート錯体は、それ自体または生理的に許容しうる塩の形体において、本発明のさらなる目的を意味する。
【0039】
さらに詳しくは、式(I)で示される化合物およびそのキレート錯体は、以下のステップを含む一般的合成工程によって製造することができる:
1)分子の残りの部分(A−L)とのカップリング反応に関与するアミノ基および水酸基が適当にかつ独立して保護または活性化されうる、適当な形体におけるアミノポリオール部分Rの製造;
2)その一部であるいずれかの任意の官能基が独立してかつ適当に保護または活性化されうる、適当な形体におけるリンカーLの製造;
3)金属配位および分子の残りの部分との共有結合に関与するかまたはしないのどちらかである、いずれかの官能基が適当にかつ独立して保護または活性化されうるものであり、必要に応じて、キレート化部分Aが、選ばれた常磁性または放射性金属イオンとすでに錯体を形成することができる、適当な形体における骨格キレート化部分Aの製造;
4)A、LおよびR部分のいずれかにおける、いずれかの選ばれた保護基および/またはいずれかの選ばれた官能基の切断による、いずれかの適当な順序におけるA、LおよびRのカップリング;
5)いずれかの保護基の切断および式(I)で示される化合物の単離;および必要に応じて、
6)式(I)で示される化合物と選ばれた常磁性または放射性金属イオンとの錯体形成、次いで、キレート錯体および/またはその塩の単離。
【0040】
その変法のいずれをも総合して、上記工程は、特に保護/脱保護および公知の官能基の活性化ステップに関して、または上記反応ステップが達成されうる順序においても、当業界で常套の方法にしたがって行われる。
上述のすべてから、リンカーLが共有結合を意味する場合、ステップ(4)は、基Rと分子の残りの部分との直接カップリングによって行われることは、当業者には明らかである。
類推によって、Lが共有結合以外である場合、式(I)で示される化合物およびそのキレート錯体の製造は、最初に部分RおよびLをカップリングさせ、続いて、得られた化合物を部分Aと反応させるか、または別法として、最初に部分AおよびLをカップリングさせ、続いて、得られた化合物を部分Rと反応させることによって達成されうる。
【0041】
本明細書において、他に特記しない限り、特定の分子または部分における用語「官能基」に関し、我々は、合成有機化学の分野において通例意図される意味に言及する。
本発明において、特に、用語「官能基」に関し、我々は、AとL、RとLの間またはAとR直接の間の結合の形成に関与する原子または原子の群のいずれかを意図するものであり、公知の方法で適当に保護されたいずれかの他の基は、先の反応に参加しない。
上述したことから、カップリング反応に参加する官能基は、適当に活性化されるか、またはとにかく反応性形体として存在するか、またはその形体に容易に変換されることが必要である。
【0042】
一方、結合の形成に関与しなくてもよいいずれかの官能基は、その反応への感受性にかかわらず、望ましくない副生成物の形成を回避するように、適当に保護されることが必要である;官能基を保護および脱保護する手段は、当業者で非常によく知られている。
本発明化合物およびその製造方法において、該官能基は、アミノ、カルボキサミド、カルボニル、カルボキシル、ヒドロキシおよびホスホン酸基から本質的に選ばれる。
以降、A、RおよびLによって簡便に特定されうる本発明方法の出発物質ならびにその前駆体および反応物は、公知の化合物であるか、または慣例の方法にしたがって処理することによって製造することができる。
【0043】
非限定的例として、本発明のアミノポリオールのいくつかは、それ自体市販されているが、その他のものは、当業界で公知の方法によって容易に製造することができる:

2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、CAS番号[77−86−1]、市販;

2−(アミノメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、CAS番号[7332−39−0];Hiskey、M.A.ら、Propellants、Esplosives、Pyrotechnics、1991、16、40−42;

Kitagawa、I.ら、Chem.Pharm.Bull.1984、32、4858−486を参照;

グルコサミン塩酸塩、[66−84−2]、市販;

D−グルカミン、[488−43−7]、市販;

N−メチル−D−グルカミン、[6284−40−8]、市販;

1,1'−イミノビス[1−デオキシグルシトール]、[15351−31−2]、van Haveren、J.ら、Carbohydrate Res.1993、243、259−271。
上記に加えて、先にA1(Ashton、P.R.ら、Chem.Eur.J.1996、2、1115−1128)およびB1(Tetrahedron Lett.2000、41、8485−8488;CAS[55264−15−8])として示したアミノポリオールの対応するアミノの製造のための一般的書誌参照をここに提供する。
【0044】
いくつかの本発明アミノポリオールまたはそれらが言及するアミンは、新規であり、したがって、本発明のさらなる目的を構成する。
さらに詳しくは、該新規なアミノポリオールとして、下記化合物ならびに先にA2、B2、B3、C1−C11、D1−D11、E1−E11、F1−F11およびG1−G11として示した化合物が挙げられる:



【0045】
本発明の常磁性錯体および特にキレート化したGd(III)は、適当なGd(III)誘導体、特にGd(III)塩または酸化物の化学量論的添加によって製造することができる。
たとえば、EP230893に報告されているような公知の実験方法にしたがって処理することによってGd(III)塩化物または酸化物を用いるのが好ましい。
本発明の方法において用いられる操作条件ならびに用いられる反応工程式への一般的言及については、後記実験セクションを参照のこと。
それらの高緩和能のために、本発明のNSAは、従来技術に対して、特に臨床実践で用いられているNSAと比較して有意な改善を示す。
驚くべきことに、高緩和能は、分子量(約3.5 kDa以下が好ましい)のみに従属しない。実際に、多くのGd造影剤に対して緩和能と分子量の間の相関関係の評価が行われている。
【0046】
この点において、実験セクションにおいて記載するように、同じ骨格キレート構造を有するが、本発明のL−R基を有さない誘導体と比較して、いくつかの代表的な本発明化合物を試験した。得られた結果から、本発明のGdキレート化合物が、少なくとも3 mM−1 s−1(さらに高い場合もある)の緩和能へのさらなる貢献を提供することおよび得られた緩和能が、これらの同じ化合物に対して分子量に基づいて予期されたよりも高いことが明らかに示される(図1および実施例34参照のこと)。多くの異なる本発明Gdキレート化合物をいくつかの市販のNSA、公知のLDAおよび比較目的で製造されている他の化合物と比較した場合に、同様の結果が得られている。
【0047】
対応する分子量に対して得られた緩和能値をプロットした(図2および実施例34参照のこと)。この場合も、本発明化合物は、その分子量を考慮すると確実には予期されない、緩和能へのさらなる貢献を示した。
本発明化合物によって示される緩和能増加は、20 MHzおよび298Kで測定された緩和能値r1pを同じ化合物の分子再配向値τRに対してプロットする場合にさらに増幅される(図3)。このプロッティングに用いたこの後者のパラメーターτRは、公知の手順にしたがって、1/T1 NMRD(核磁気共鳴分散)特性のフィッティングから適当に得ることができる。
より興味深いことには、本発明化合物が有する改善された緩和能は、予想外にも、約0.01−約130 MHzに磁場強度を変えることによって維持され、実質的に不変である(図4、5および5ビス)。
【0048】
例として、上記磁場範囲における本発明キレート化リガンド2bのガドリニウム錯体(以下、Gd−2bという)の緩和能特性が、市販のNSA、すなわちマグネビスト(登録商標)の特性および血液貯留剤、すなわちGd−DTPA(BOM)3およびBSA(Bovine Serum Albumin)の間の巨大分子付加体の特性を比較した(図6)。
得られた特性の分析から、0.2−3 MHzのマグネビスト(登録商標)の緩和能は、非常に低いが全く安定しているが、同条件下で本発明化合物が示す緩和能は、実質的に安定であり、有意に高いことが示される。上記血液貯留剤についての対応する特性は、全く異なる。実際に、それは25−30 MHzでの緩和能における増加を示すが、非常に狭い範囲の磁場強度となる。これらの結果のすべてが、本発明化合物が拡張された範囲の磁場強度にわたって都合よく用いることができ、したがって、MRI分野における現行の傾向にとって価値ある道具を意味することを強く支持している。
【0049】
いくつかの本発明のキレート化合物においては、それらの薬物動態学的特性についても調べた。これらの化合物は、プロハンス(登録商標)、マグネビスト(登録商標)、ドタレム(登録商標)およびオムニスキャン(登録商標)などの典型的なNSAが示す特性に類似した生体内分布特性を示す(実施例36−37を参照のこと)。
本発明化合物は、管内(たとえば、静脈内、動脈内、冠動脈内、心室内投与など)、くも膜下腔内、腹腔内、リンパ管内および空洞内投与として使用できるので、広範囲に適用できる。さらに、本発明化合物は、経口または非経口投与に適しており、したがって、胃腸管の画像化に特に適している。
【0050】
非経口投与には、pH6.0−8.5の滅菌水溶液または懸濁液として製剤するのが好ましい。
これらの水溶液または懸濁液は、濃度0.002−1.0 Mで投与することができる。これらの製剤は、凍結乾燥し、用時再溶解して用いることができる。
胃腸用または体腔注射には、たとえば、粘度を調節するために、必要に応じて適当な賦形剤を含む溶液または懸濁液としてこれらの作用剤を製剤することができる。
経口投与には、製薬技術において通常用いられる製造方法にしたがって製造するか、または胃の酸性pHに対するさらなる保護を獲得して、特に胃液の典型的なpHにおいて起こるキレート化された金属イオンの放出を防ぐためにコーティング製剤として製剤することができる。
医薬製剤の公知の技術にしたがって、たとえば、甘味料および/または香味料などの他の賦形剤を加えることもできる。
【0051】
本発明化合物の溶液または懸濁液は、エアロゾル気管支造影および点滴において用いるエアロゾル剤として製剤することもできる。
必要に応じて、本発明化合物を、適当な巨大分子に化学的に複合させるか、または適当な担体に組み込むか、もしくは含ませることができる。
たとえば、本発明化合物を、リポソームにカプセル封入するか、またはリポソーム自体にすることもでき、したがって、単層または多層ベシクルとして用いることができる。
したがって、本発明のさらなる目的は、診断用途のための二価または三価の常磁性金属イオン、特にガドリニウムを含む式(I)で示される化合物のキレート錯体またはその医薬的に許容しうる塩である。
本発明のさらなる目的は、MRIの使用によるヒトまたは動物体の臓器もしくは組織の画像診用の医薬製剤の製造における、常磁性金属、特にガドリニウムを含む式(I)で示されるキレート錯体またはその生理的適合性の塩の使用である。
【0052】
さらなる態様において、本発明は、本発明のキレート化合物を含む診断用途用の医薬組成物に関する。好ましくは、本発明は、少なくとも1つの本発明のGdを含むNSAを含む造影用組成物に関する。
さらなる目的として、本発明はまた、MRIの使用による、ヒトまたは動物体の臓器または組織の画像化方法に関し、該方法は、本発明の常磁性金属イオン錯体またはその医薬的に許容しうる塩を含む医薬組成物をヒトまたは動物体に投与することを含む。
本発明のさらなる目的は、放射性核種との式(I)で示される化合物のキレート錯体またはその生理的適合性の塩である。
画像診断剤(たとえば、シンチグラフィーなど)としての使用には、式(I)で示される化合物は、診断用放射性核種と錯形成する。放射線療法は、式(I)で示される化合物は、治療用放射性核種と錯形成する。このようなキレート錯体が、1つまたはそれ以上の適当な標的化部分を含み、したがって、対象組織に局在化することができるのが好ましい。
【実施例】
【0053】
実験セクション
本発明の広い適用可能性をよりよく例示するために、好ましい本発明化合物およびその製造用中間体の非限定的リストを以下のセクションに記載する。
ここに記載するのは、以下の実験セクションで用いられている略語のリストである;慣例的に採用されているものはここに記載していない。

【0054】
実施例1
以下の式で示される化合物1aの製造

製造は、以下のステップを含む。
a)以下の反応工程式AによるアミノポリオールA2の合成;
b)反応工程式Bによる適当に官能基化された骨格キレート化構造の合成;
c)以下の反応工程式Cによるカップリング反応。
【0055】
反応工程式A

【0056】
化合物2
MeOH(40.0 mL)中のN−ベンジル−3,3'−イミノビス(t−ブチルプロピオネート)1(Von Wronski、M.A.ら、WO 01/91805)(8.0 g、0.022 mol)の溶液に、10% Pd/C(2.0 g)を加え、混合物を45 psiにて6時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノールを除去して、化合物2を油状物で得る。収量5.4 g(90%)。MS:274(M+H)。
【0057】
化合物3
塩化メチレン(25 mL)中のアミン2(5.46 g、0.02 mol)、Z−グリシン(4.5 g、0.0215 mol)およびHATU(8.17 g、0.0215 mol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(3.9 g、5.41 mL、0.03 mol)を加え、混合物を6時間撹拌する。塩化メチレンを除去し、残渣を酢酸エチル(150 mL)に溶解し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液(2x100 mL)、水(2x100 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、粗生成物を得、シリカゲルクロマトグラフィーに付して、Z誘導体3を粘稠油状物で得る。収量6.8 g(94%)。MS:487.2(M+H)。
【0058】
化合物4
化合物3(2.32 g、0.005 mol)にTFA(15.0 mL)を加え、溶液を6時間撹拌する。TFAを除去して、粘稠油状物を得る。これを減圧乾燥し、次いで、アセトニトリルでトリチュレートして、化合物4を白色固体で得る。収量1.2 g(68%)。MS:353.4(M+H)。
【0059】
化合物5
DMF(2.0 mL)中のジ酸4(0.1 g、0.284 mmol)の溶液に、HOBT(0.1 g、0.66 mmol)およびDIC(0.1 mL)を加える。混合物を室温にて2時間撹拌する。トリス(2,3,4,6−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル−オキシメチル)メチルアミン(Ashton、P.R.;Boyd、S.E.;Brown C.L.;Jayaraman、N.;Nepogodiev、S.A.;Stoddart、J.F.Chem.Eur.J.1996、2、1115−1128)(0.65 g、0.58 mmol)を次いで反応混合物に加え、50℃にて48時間撹拌する。次いで、DMFを除去し、残渣を2時間減圧乾燥する。残渣に水(5.0 mL)を加え、溶液を傾冩する。この後者の工程を繰り返し(5x5 mL)得られる固体を濾過し、風乾して、純粋な生成物を得、さらに精製することなく次の水素添加ステップに用いる。
【0060】
化合物6(アミノポリオールA2、保護体)
MeOH(5 mL)中の化合物5(45 mg、0.018 mmol)の溶液に、10% Pd/C(25 mg)を加え、混合物を15 psiにて6時間水素添加する。触媒を除去し、メタノールを回転蒸発器にて除去して、泡状固体を得る。収量35 mg(81%)。MS:2407(M+H)。
【0061】
反応工程式B

【0062】
化合物9
4−ニトロ酪酸1,1−ジメチルエチルエステル7(Fuji、M.;Muratake、H.;Natsume、M.Chem.Pharm.Bull.1992、40(9)、2338−2343)(3.00 g;15.0 mmol)を無水EtOH(20 mL)中のN,N−ジベンジルエチレンジアミンアセテート8(5.40 g;15.0 mmol)の撹拌溶液に滴下し、次いで、60℃に加熱する。パラホルムアルデヒド(1.50 g;49.5 mmol)を反応混合物に加え、3時間後、溶液を室温に放冷する。16時間後、反応混合物を減圧蒸発する。油状残渣をEtOAc(200 mL)に溶解し、飽和水性炭酸水素ナトリウム(150 mL)で洗浄する。水性相をEtOAc(200 mL)で抽出する。有機相を合わせ、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、9を明黄色油状物で得る(6.00 g;13.0 mmol)。収量86 %。MS:454.3(M+H);476.3(M+Na)。
【0063】
化合物10
MeOH(110 mL)中の化合物9(3.00 g;6.62 mmol)の溶液に、10% Pd/C(1.00 g)を加える。反応混合物を40℃に加熱し、水素雰囲気下で10時間撹拌する。混合物をミリポア(登録商標)装置(FH 0.5 μm)で濾過し、蒸発して、10を明黄色油状物で得る(1.46 g;6.00 mmol)。収量97%。MS:244.2(M+H)。
【0064】
化合物11
DMF(20 mL)中の化合物10(1.56 g;6.40 mmol)の溶液を、DMF(20 mL)中のK2CO3(4.40 g;32.0 mmol)、硫酸ナトリウム(2.70 g;19.2 mmol)およびベンジル−2−ブロモアセテート(7.33 g;32.0 mmol)の混合物に滴下する。反応混合物を65℃にて15時間撹拌しながら加熱し、次いで、濾過し、蒸発する。残渣をEtOAc(300 mL)に溶解し、水(3x150 mL)で洗浄する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発して得た残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、を黄色油状物で得る11(1.02 g;1.22 mmol)。収量19%。MS:836.8(M+H);858.7(M+Na)。
【0065】
化合物12
TFA(5.0 mL)中の化合物11(0.74 g;0.88 mmol)の溶液を室温にて4時間撹拌する。次いで、混合物を蒸発し、残渣にCH2Cl2(30 mL)を加え、溶液を減圧蒸発する。操作を2回以上繰り返す。粗油状物をカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物含有画分を溜め、蒸発し、50 mLのH2O/CH3CN(80/20)に溶解し、凍結乾燥して、12を白色固体で得る(0.43 g;0.55 mmol)。収量62.5%。MS:780.5(M+H);802.4(M+Na)。
【0066】
反応工程式C

【0067】
化合物13
DMF(3.0 mL)中の化合物6(0.58 g、0.24 mmol)、化合物12(0.175 g、0.225 mmol)およびHATU(0.11 g、0.29 mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.3 mL)を加え、混合物を24時間撹拌する。DMFを除去し、残渣を6時間減圧乾燥する。残渣に水(5.0 mL)を加え、水溶液を傾冩する。水(5.0 mL)を再度加え、混合物をトリチュレートする。形成した固体を水(6x5 mL)で洗浄し、濾過し、乾燥する。粗生成物を塩化メチレン−メタノール(95:5)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物13を泡状固体で得る。収量0。22 g(31%)。MS:1584.3(M+2H)/2。
【0068】
化合物14
メタノール(10.0 mL)中のベンジルエステル13(0.35 g、0.11 mmol)の溶液に、10% Pd/C(150 mg)を加える、混合物を15 psiにて6時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノール性溶液を濃縮して、油状物を得、減圧乾燥して、化合物14を泡状固体で得る。収量0.29 g(94%)。MS:1584.3(M+2H)/2。
【0069】
化合物1a
メタノール(10 mL)をアンモニアで−20℃にて飽和させる。化合物14(0.2 g、0.07 mmol)に飽和メタノール性アンモニア(4.0 mL)を加え、反応混合物を0℃にて1時間、室温にて48時間静置する。白色固体が24時間後に形成する。メタノール性溶液を傾冩し、次いで、得られる固体をメタノール性アンモニア(1.0 mL)で洗浄し、減圧乾燥して、生成物1Aを得る。収量98 mg(76.5%)。MS:1797(M+H);893.3(M+2H)/2。
【0070】
実施例2
以下の式で示される化合物3aの製造

製造は、以下のステップを含む。
a)以下の反応工程式DによるアミノポリオールB2の合成;
b)反応工程式Bによる適当に官能基化された骨格キレート化構造の合成;
c)以下の反応工程式Eによるカップリング反応。
【0071】
反応工程式D

【0072】
化合物3
2,2−ビス(アミノメチル)−1,3−プロパンジアミンテトラヒドロクロリド1(Zompa、L.J.;Bogucki、R.F.J.Am.Chem.Soc.1966、88、5186−5191)(7 g;25 mmol)をDMF(85 mL)およびTEA(12.48 mL;90 mmol)の混合物に懸濁する。DMF(89 mL)中の市販δ−グルコノラクトン2(16 g;90 mmol)の溶液を室温にてゆっくりと(1.5時間)滴下する。混合物を室温にて2日間撹拌する。反応混合物を濾過し、減圧濃縮する。残渣をアセトニトリルで処理して、沈澱を得、濾過し、アセトニトリルで洗浄する。固体を乾燥して、3を白色固体で得る(19 g;28.5 mmol)。定量的収量。MS:667(M+H)。
【0073】
化合物4
化合物3(30.0 g、45.0 mmol)をDMF(450 mL)に溶解し、DMF(100 mL)中の(Boc)2O(17.2 g;65.2 mmol)の溶液をゆっくりと滴下する。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(8.15 g、45.0 mmol)を加え、混合物を室温にて2日間撹拌する。溶液を減圧濃縮する。残渣をCH2Cl2で処理して、沈澱を得、濾過し、H2O(100 mL)およびCH3OH(100 mL)で洗浄する。固体を乾燥して、4を得る(25 g、32.6 mmol)。収量72 %。
【0074】
化合物5
Ac2O(186 mL;1.97 mol)中の化合物4(10.0 g;13.0 mmol)の懸濁液に、ピリジン(25.7 g;326 mmol)を室温にて加える。次いで、混合物を90℃に加熱して、試薬に溶解し、次いで、室温にて冷却する。1日後、室温にて、混合物を減圧濃縮し、残渣をEtOAc(200 mL)に溶解し、水(200 mL)および10%水性炭酸水素ナトリウム(200 mL)で洗浄する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発して、5を得る(15 g;10.7 mmol)。収量82 %。
【0075】
化合物6(アミノポリオールB2の保護体)
CH2Cl2(56 mL)中の化合物5(4.50 g;3.20 mmol)の溶液に、TFA(3.67 g;32.0 mmol)を加える。3日後、室温にて、反応混合物にさらにTFA(1.82 g;16.0 mmol)を加える。さらに4日後、室温にて、溶媒を減圧除去し、残渣をCH2Cl2(7 mL)およびTFA(5.49 g;48.0 mmol)に溶解する。混合物を室温にて1日間撹拌し、次いで、減圧蒸発する。残渣をCH2Cl2(10 mL)に溶解し、蒸発する。この操作を2回繰り返して、6を白色固体で得る(3.00 g;2.31 mmol)。収量72 %。
【0076】
反応工程式E

【0077】
化合物8
DMF(3.0 mL)中の酸7(実施例1を参照のこと)(0.45 g、0.55 mmol)およびHATU(0.23、0.6 mmol)の冷却混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(0.23 g、0.32 mL、1.8 mmol)を加え、混合物を5分間撹拌する。DMF(3.0 mL)中の化合物6(0.65 g、0.5 mmol)の溶液を活性化した酸に加え、溶液を室温にて12時間撹拌する。DMFを除去し、得られる濃厚な油状物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液(2x10 mL)で処理する。得られる黄色油状物を水(3 x10 mL)で洗浄し、濾過し、乾燥する。得られる粗生成物を塩化メチレン−メタノール(95:5)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物8を泡状固体で得る。収量320 mg(30%)。MS:2060.4(M+H)。
【0078】
化合物9
メタノール(30 mL)中の化合物8(0.32 g、0.15 mmol)の溶液に、10% Pd/C(300 mg)を加え、溶液を45 psiにて6時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノール性溶液を濃縮して、テトラ酸9を白色泡状固体で得る。収量0.25 g(94%)。MS:1700.2(M+H)。
【0079】
化合物3a
メタノール(〜25%、5 mL)中のアンモニアの飽和溶液をテトラ酸9(0.25 g、0.14 mmol)に加え、溶液を4℃にて48時間静置する。ヒドロキシ化合物3aが白色固体で沈澱する。上清溶液を注意深く傾冩し、固体をメタノール性アンモニア(2x0.5 mL)で洗浄し、メタノール性アンモニア溶液を傾冩する。得られる白色固体を減圧乾燥して、化合物3Aを得る。収量0.13g(88%)。MS:1068.7(M+H)。
【0080】
実施例3
以下の式で示される化合物2aの製造

製造は、反応工程式Fによる以下のステップを含む。
【0081】
反応工程式F

【0082】
化合物3
DMF(3.5 mL)中の酸2(実施例1を参照のこと)(0.65 g、0.8 mmol)およびHATU(0.342、0.9 mmol)の冷却混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(0.312 g、0.43 mL、0.24 mmol)を加え、混合物を5分間撹拌する。この混合物に、DMF(3.5 mL)中の化合物1(保護アミノポリオールB1)(Takahashi、M.ら、Tetrahedron Lett.2000、41、8485−8488)(0.62 g、0.7 mmol)の溶液を加え、溶液を室温にて12時間撹拌する。DMFを除去し、得られる濃厚な油状物に酢酸エチルを加え、重炭酸ナトリウムの飽和溶液(2x10 mL)、水(2x10 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、粗生成物を得、塩化メチレン−メタノール(95:5)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物3を泡状固体で得る。収量360 mg(31%)。MS:1642.1(M+H)。
【0083】
化合物4
メタノール(40 mL)中のテトラベンジルエステル3(0.36 g、0.22 mmol)の溶液に、10% Pd/C(300 mg)を加え、溶液を45 psiにて6時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノール性溶液を濃縮して、テトラ酸4を白色泡状固体で得る。収量0.26 g(93%)。MS:1281.8(M+H);1303.8(M+Na)。
【0084】
化合物2a
メタノール(〜25%、5 mL)中のアンモニアの飽和溶液をテトラ酸4(0.26 g、0.2 mmol)に加え、溶液を4℃にて48時間静置する。脱アセチル化生成物が白色固体で沈澱する。メタノール性アンモニア溶液を注意深く傾冩し、固体をメタノール性アンモニア(2x0.5 mL)で洗浄し、およびメタノール性アンモニア溶液を傾冩する。得られる白色固体を減圧乾燥して、化合物2Aを得る。収量0.15 g(86%)。MS:861.6(M+H)。
【0085】
実施例4
以下の式で示される化合物1bの製造

製造は、反応工程式G1、G2、G3および時間による以下のステップを含む。
【0086】
反応工程式G1

【0087】
化合物2
MeCN(250 ml)中のジベンジルアミン(25.0 g;127 mmol)の溶液に、パラホルムアルデヒド(4.22 g;140.6 mmol)を加える。懸濁液を80℃にて1時間加熱し、次いで、得られる溶液を室温に冷却する。MeCN中のトリ−t−ブチルホスファイト(Cox、J.R.;Newton、M.G.J.Org.Chem.1969、34、2600−2605)(35.2 g;140.6 mmol)の溶液を反応混合物に25分間にわたって滴下し、溶液を室温にて22時間撹拌する。溶媒を減圧蒸発し、残渣に0.1 N HCl(630 mL)を加える。懸濁液をCH2Cl2(3x300 mL)で抽出し、合わせた有機相を水(3x300 ml)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗物質(53.6 g)をシリカゲルクロマトグラフィー(15:85 EtOAc/石油エーテル)により精製して、所望生成物を白色固体で得る(33.32 g)。収率:65.3 %。MS:404(M+H)。
【0088】
化合物3
化合物2(33.3 g;82.7 mmol)をMeOH(500 mL)に溶解し、10 % Pd/C(3.3 g)を用い、大気圧下で水素添加する。2時間後、混合物をミリポア装置(登録商標)(0.5 μm)で濾過し、溶液を減圧蒸発する。粗物質(18.4 g)をさらに精製することなく用いる。定量的収量。MS:224(M+H)。
【0089】
反応工程式G2

【0090】
化合物5
70 %水性HClO4(13.5 g;0.134 mol)を、tBuOAc(515 mL;3.822 mol)中のL−アスパラギン酸4−(フェニルメチル)エステル4(市販)(25 g;0.112 mol)の懸濁液に室温にて撹拌しながら滴下する。18時間後、室温にて、得られた透明溶液をH2O(470 mL)で稀釈し、相を分離する;水性相をEtOAc(2x235 mL)で抽出する。有機相を集め、5 %水性炭酸水素ナトリウム(2x250 mL)および水(2x200 mL)で洗浄する。新たな水性相を集め、EtOAc(3x100 mL)で抽出する。すべての有機相を集め、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発して、5(24.12 g)を無色油状物で得る。収率77%。MS:280.2(M+H)、302.2(M+Na)。元素分析(C15H21NO4):計算値:C 64.50;H 7.58;N 5.01。実測値:C 64.40;H 7.60;N 5.17。
【0091】
化合物6
化合物5(24.12 g;0.086 mol)、BrCH2CO2tBu(17.68 g;0.091 mol)、MeCN(144 mL)および2 Mリン酸緩衝液,pH 8(72 mL)の混合物を室温にて激しく撹拌する;18時間後、相を分離し、有機相を蒸発する。このようにして得られた残渣をEtOAc(300 mL)に溶解し、H2O(2x150 mL)および飽和水性NaCl(2x150 mL)で洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥した後、有機溶液を蒸発して、粗物質を得、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、6を無色油状物で得る(19.61 g)。収量58%。MS:416.2(M+Na)。元素分析(C21H31NO6):計算値:C 64.10;H 7.94;N 3.56。実測値:C 64.20;H 8.00;N 3.64。
【0092】
化合物7
トリフルオロメタンスルホン酸2−ブロモエチルエステル(Franzini、M.ら、WO 01/46207)(16 g;0.062 mol)を、トルエン(210 mL)中の化合物6(14 g;0.036 mol)および2,6−ルチジン(12 g;0.112 mol)の溶液に、不活性雰囲気下(N2)、−15℃にて撹拌しながらゆっくりと滴下する。反応混合物を室温にて20時間撹拌し、次いで、水(100 mL)で希釈し、EtOAc(100 mL)で抽出する。有機溶液を乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発して、粗物質を得、クロマトグラフィーにより精製して、7を淡黄色油状物で得る(10.35 g)。収量58 %。
MS:522.3(M+Na)。
【0093】
反応工程式G3

【0094】
化合物8
MeCN(20 mL)中のブロモ誘導体7(4.11 g;8.22 mmol)の溶液をMeCN(10 ml)および2 Mリン酸緩衝液(pH 8)(20 ml)中のホスホネート3(916 mg;4.11 mmol)の乳濁液に、激しく撹拌しながら8時間にわたってゆっくりと滴下する。22時間後、相を分離し、水層をEtOAc(2x30 ml)で抽出する。有機相を蒸発する。油状残渣にEtOAc(20 mL)を加え、合わせた有機相を1:1 水/食塩水(2x30 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。化合物8を黄色油状物で得る(1.85 g)。収量42%。MS:1062.8(M+H)、1084.8(M+Na)。
【0095】
化合物9
化合物8(973 mg;1.10 mmol)をMeOH(50 ml)に溶解し、10 % Pd/C(50 mg)を用い、大気圧下で水素添加する。30分後、反応混合物をミリポア装置(登録商標)(0.5 μmフィルター)で濾過し、溶液を減圧蒸発する。さらに精製することなく生成物(725 mg)を次のステップに用いる。収量75%。MS:881 m/z(M+H)。
【0096】
反応工程式H

【0097】
化合物11
ジクロロメタン(10 ml)中の9(636 mg;0.36 mmol)および10(Takahashi、M.ら、Tetrahedron Lett.2000、41、8485−8488)(634 mg;0.72 mmol)の溶液に、HATU(274 mg;0.72 mmol)を加え、混合物を撹拌してほとんど透明な溶液を得る。DIEA(189 μL;1.08 mmol)を加え、溶液を室温にて撹拌する。26時間後、混合物を1:1 水/食塩水(1x20 ml)および食塩水(1x20 ml)で洗浄する。水性層をジクロロメタン(1x20 ml)で抽出し、合わせた有機層を乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH 9:1)により精製する。生成物含有画分を合わせ、蒸発して、生成物11を得る(328 mg)。収量35%。MS:2606.3(M+H);2629.1(M+Na)。
【0098】
化合物12
化合物11(100 mg;0.038 mmol)を氷浴で冷却し、TFA(2 ml)を滴下すると褐色の溶液が得られる。30分後、氷浴を除去し、溶液を撹拌しながら27時間室温に保つ。溶媒を除去し、残渣にジクロロメタン(5 ml)を加え、溶液を蒸発する。この手順を3回繰り返す。最後に、残渣を減圧乾燥する(115 mg)。定量的収量。MS:2270.2(M+H);2309.9(M+K)。
【0099】
化合物1b
MeOH(0.5 ml)中の12(115 mg)の溶液に、6.5% メタノール性アンモニア溶液(2 ml)を加え、混合物を室温にて一夜撹拌する。白色固体を溶液から分離する。固体を濾過し、6.5% メタノール性アンモニア溶液(4 ml)に懸濁し、および室温にて20時間撹拌する。固体を傾冩し、減圧乾燥して、1bを白色固体で得る(38 mg)。収量53%。MS:1428(M.+H)。
【0100】
実施例5
以下の式で示される化合物2bの製造

2bの製造は、以下のステップを含む:
a)実施例2のステップ(a)によるアミノポリオール部分の合成;
b)実施例4のステップ(a)による適当に官能基化された骨格キレート化構造の合成;
c)以下の反応工程式Iにより実施例4と同様に操作して行うカップリング反応。
【0101】
反応工程式I

【0102】
実施例6
以下の式で示されるキレート化合物Gd−1cの製造

製造は、以下のステップを含む:
a)以下の反応工程式LによるアミノポリオールG1の合成;
b)反応工程式Mによるカップリング反応。
【0103】
反応工程式L

【0104】
化合物2
CH2Cl2中のアルコール1(Grayson、S.M.;Frechet、J.M.J.J.Am.Chem.Soc.2000、122、10335−10344)(2.154 g、3.50 mmol)およびEt3N(1.22 mL、8.75 mmol)の撹拌溶液に、メタンスルホニルクロリド(0.60 mL、7.74 mmol)をアルゴン雰囲気下0℃にて滴下する。反応混合物を0℃にて1時間撹拌し、次いで、H2Oを加え(20 mL)、混合物を10分間激しく撹拌する。混合物を分液ロートに移し、次いで、CH2Cl2(100 mL)を加える。次いで、有機層を1 M HCl(100 mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100 mL)およびH2O(100 mL)で洗浄する。有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発乾固して、粗メシレート(2.48 g)を得、素早く用いる。
DMF(20 mL)中の粗メシレートおよびNaN3の懸濁液をアルゴン雰囲気下60℃にて14時間撹拌する。次いで、溶媒を除去し、残渣をH2O(100 mL)およびCH2Cl2(100 mL)に分配する。水性相をさらにCH2Cl2(2x100 mL)で抽出し、有機層を合わせ、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発乾固する。生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2:EtOAc/ヘキサン 15:85)により精製して、アジド2を透明油状物で得る(1.89 g、84%)。ES MS[M](計算値662.3206)実測値:662.3237。
【0105】
化合物3
THF/EtOH中のアジド2(1.89 g)、10% Pd(OH)2/CおよびN2H4.H2Oの懸濁液を90℃にて撹拌し、反応の進行をESによってモニターする。追加の10% Pd(OH)2/CおよびN2H4.H2Oを必要であれば加える。完了後、反応物をセライトパッドで濾過し、濾液を蒸発乾固して、粗アミン3をわずかに黄色油状物で得る(767 mg)。アミン3 をゲル濾過クロマトグラフィーによりさらに精製する。ES MS[M+H](計算値:254.1604)実測値:254.1597。
【0106】
反応工程式M

【0107】
化合物Gd−1c
1:1 H2O/ジオキサン(1.0 mL)中のガドリニウム錯体4(Rousseaux、O.;Simonot、C.WO 00/71526)(20 mg)およびHOBt(41 mg)の溶液に、EDC(60 mg)を加え、反応物を15分間撹拌する。H2O(260 μL)中のアミン3(70 mg)の溶液を反応物に加え、混合物を室温にて4日間撹拌する、この間に、さらにEDC(60 mg)を反応物に加える。次いで、反応物を凍結乾燥し、残渣をH2O(0.5 mL)に懸濁し、5分間遠心分離する(1500 回/分)。液体を注意深く除去し、凍結乾燥して、粗物質を淡褐色油状物で得る(239 mg)。ゲル濾過クロマトグラフィーにより精製して、純粋な化合物Gd−1cを得る(20 mg、48%)。
MALDI−TOF MS[M+H]=1788.7
【0108】
実施例7
以下の式で示される錯体化合物Gd−2cの製造

製造は、以下のステップを含む:
a)以下の反応工程式NによるアミノポリオールG2の合成;
b)以下の反応工程式Oによるカップリング反応。
【0109】
反応工程式N

【0110】
化合物2
化合物1(Grayson、S.M.;Jayaraman、M.;Frechet、J.M.J.Chem.Commun。1999、1329−1330)(6g、11 mmol)に2M HCl/ジオキサン(1:1)(100 mL)を加え、室温にて3時間撹拌する。溶媒を減圧除去し、減圧乾燥して、2を無色固体で得る(3.0 g、93%)。ES MS[M+ Na](315)。
【0111】
化合物3
水素化ナトリウム(0.79、32 mol)に無水THF(20 mL)を加え、THF(20 ml)中のアルケン2(2.4 g、8.2 mmol)を室温にて滴下し、次いで、THF(30 ml)中のベンジルブロミド(5.62 g、32 mol)を滴下する。溶液を室温にて1時間撹拌し還流温度で72時間加熱する。反応物に水(20 mL)を加えて反応を停止し、生成物をジエチルエーテル(3x20 mL)で抽出する。エーテル層を乾燥(K2CO3)し、溶媒を減圧除去して、透明油状物を得る。生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2:酢酸エチル/ヘキサン 20:80)により精製して、所望のアルケン3を透明油状物で得る(5g、92%)。ES MS[M+ Na](675)。
【0112】
化合物4
当業界で公知の手順にしたがって9−BBN(および塩基性ペルオキシド処理)を用いるアンチマルコビニコフ水和反応を行うことにより、アルケン3から出発して所望のアルコール4を製造する;参考文献として、Jayaraman、M.;Freshet、J.M.J. J.Am.Chem.Soc.1998、120、12996−12997およびGrayson、S.M.;Frechet、J.M.J. J.Am.Chem.Soc.2000、122、10335−10344を参照のこと。
ES MS[M+ Na](693)。
【0113】
化合物5
CH2Cl2中の化合物4(1.654 g、2.46 mol)およびEt3N(0.38 ml、2.79 mol)の撹拌溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃にてメタンスルホニルクロリド(0.23 mol、3.0 mol)を滴下する。反応混合物を0℃にて1時間撹拌する。TLCおよびESMSを用いて、メシレートへの変換をモニターする。DMF(8 mL)中のナトリウムアジド、触媒量のテトラプロピルアンモニウムブロミド、次いで、H2Oを加え、65℃にて24時間加熱する。溶媒を除去し、ジクロロメタンを用いて所望の生成物を抽出し、乾燥(MgSO4)し、蒸発して、油状生成物を得る。カラムクロマトグラフィー(SiO2:EtOAc/ヘキサン 30:70)を用いてアジド5を精製して、透明油状物を得る(1.25 g、73%)。ES MS:[M+Na]+(718)。
【0114】
化合物6
エタノール(20 mL)中のアジド5(1.00 g)、10% Pd(OH)2/Cおよび2、3滴の塩酸の溶液を水素下(30 psi)、室温にて撹拌し、反応の進行をESによりモニターする。24時間後、触媒を濾去し、溶媒を除去し、デンドラミン−2を非常に淡い黄色油状物で得る(0.45 g、99%)。ES MS[M+H](310)。
【0115】
反応工程式O

【0116】
化合物Gd−2c
6:4 H2O/ジオキサン(1.0 mL)中のガドリニウム錯体 7(Rousseaux、O.;Simonot、C.WO 00/71526)(30 mg)およびHOBt(2 mg)の溶液に、EDC(54 mg)およびアミン6(87 mg)を加える。水酸化ナトリウムの希溶液を用いて溶液のpHを6.5に調節し、pHをモニターしながら室温にて3日間撹拌する。この期間中、反応混合物に追加のEDC(60 mg)を加える。次いで、溶液を凍結乾燥して、黄色ガラス状物を得る。ガラス状物を水(2 mL)に溶解し、ゲル濾過クロマトグラフィーにより精製して、化合物Gd−2cを無色固体で得る。ESMS[M]=2010。
【0117】
実施例8
以下の式で示される錯体化合物Gd−3cの製造

製造は、以下のステップを含む:。
a)以下の反応工程式PによるアミノポリオールG3の合成;
b)以下の反応工程式Qによるカップリング反応。
【0118】
反応工程式P

【0119】
化合物2
CH2Cl2(80 mL)中のアルコール1(Grayson、S.M.;Frechet、J.M.J. J.Am.Chem.Soc.2000、122、10335−10344)(2.677 g、2.06 mmol)およびNEt3の溶液を0℃に冷却し、メタンスルホニルクロリドを滴下する。反応混合物を0℃にて45分間撹拌し、次いで、H2O(20 mL)を加え、混合物を10分間激しく撹拌する。混合物を分液ロートに移し、次いで、CH2Cl2(100 mL)を加える。次いで、有機層を1 M HCl(50 mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50 mL)およびH2O(50 mL)で洗浄する。有機層を乾燥(MgSO4)し、濾過し、蒸発乾固して、粗メシレート(2.934 g)を得、さらに精製することなくすばやく用いる。
DMF(10 mL)中の粗メシレートおよびNaN3(1.34 g、20.6 mmol)の懸濁液をアルゴン雰囲気下、60℃にて14時間撹拌する。次いで、溶媒を除去し、残渣をH2O(100 mL)およびCH2Cl2(100 mL)に分配する。水性相をCH2Cl2(2x100 mL)でさらに抽出し、有機層を合わせ、乾燥(MgSO4)し、濾過し、蒸発乾固する。生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2:EtOAc/ヘキサン 20:80)により精製して、所望のアジド2を透明油状物で得る(2.14 g、78%)。ES MS[M+H](計算値:1346.9659)実測値:1346.9859。
【0120】
化合物3
THF/EtOH(20 mL)中のアジド2(270 mg)および10% Pd(OH)2/C(224 mg)の懸濁液に、1滴の1 M HClを加える。得られる混合物を水素雰囲気下(45 psi)で4日間振とうし、次いで、セライトパッドで濾過する。濾液を蒸発乾固して、粗アミンを透明油状物で得る(158 mg)。アミン3をゲル濾過クロマトグラフィーによりさらに精製する。ES MS[M+H](計算値:578.3388)実測値:578.3394。
【0121】
反応工程式Q

【0122】
化合物Gd−3c
DMF(0.5 mL)中のガドリニウム錯体4(Rousseaux、O.;Simonot、C.WO 00/71526)(23 mg)の懸濁液に、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(51 mg)を加え、混合物を2時間撹拌する。DMF(0.5 mL)中のアミン3(91 mg)の溶液を反応物に加え、混合物を室温にて5日間撹拌し、この期間中、反応混合物に、追加のO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(47 mg)を加える。次いで、反応物をシリンジフィルターで濾過し、蒸発乾固する。ゲル濾過クロマトグラフィーにより精製して、錯体化合物Gd−3c(25 mg、30%)を得る。MALDI−TOF MS[M+H]=3083.5。
【0123】
実施例9
以下の式で示される化合物Gd−4cの製造

以下の反応工程式Rにより製造を行う:
【0124】
反応工程式R

【0125】
化合物2
実施例7(ステップa)の記載と同様に処理することによって、化合物1(Grayson、S.M.;Jayaraman、M.;Frechet、J.M.J.Chem.Commun.1999、1329−1330)をアミン2に変換する。
【0126】
錯体化合物Gd−4c
水/ジオキサン中のガドリニウム錯体3(Rousseaux、O.;Simonot、C.WO 00/71526)(25 mg)の溶液に、HOBt(5 mg)、アミン2(0.16 mg)およびEDC(34 mg)を加える。溶液を周囲温度で撹拌し、希NaOH溶液を用いてpHを6.5に調節する。
【0127】
実施例10
以下の式で示される化合物9aの製造

製造は、以下のステップを含む:
a)以下の反応工程式Sによる適当に官能基化された骨格キレート化構造の合成;
b)以下の反応工程式Tによるカップリング。
【0128】
反応工程式S

【0129】
化合物2
水(60 mL)中の亜硝酸ナトリウム(5.88 g;85.2 mmol)の溶液を、0℃に冷却した1 N HBr(200 mL)中のL−アスパラギン酸βベンジルエステル(市販品)(10.0 g;44.8 mmol)およびNaBr(17.1 g;165.8 mmol)の混合物に30分間で滴下する。3時間後、0℃にて、濃H2SO4(4.4 mL)を加え、溶液をEt2O(3x200 mL)で抽出する。合わせた有機相を食塩水(2x200 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2を無色油状物で得る(9.3 g)。収量73%。MS:287.1(M+H);309.0(M+Na)。
【0130】
化合物3
t−酢酸ブチル(100 mL)および70% HClO4(0.08 mL)中の化合物2(9.3 g;27.1 mmol)の溶液を室温にて12時間撹拌する。水(300 mL)を加え、溶液を酢酸エチル(3x100 mL)で抽出する。合わせた有機相を5% Na2CO3(200 mL)、水(200 mL)で洗浄し、次いで、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、3を無色油状物で得る(8.4 g)。収量90%。MS:365.0(M+Na)。
【0131】
化合物4
アセトニトリル(50 mL)中の3(5.98 g;17.4 mmol)、6−アミノ−6−メチル−パーヒドロ−1,4−ジアザピン(Giovenzana G.B.ら、WO 03/008390)(0.5 g;3.9 mmol)およびK2CO3(2.4 g;17.4 mmol)の混合物を24時間撹拌する。溶液を減圧蒸発し、次いで、水(100 mL)およびCHCl3(100 mL)を加える。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4を淡黄色油状物で得る(1.3 g)。収量37%。MS:654.4(M+H);676.4(M+Na)。
【0132】
化合物5
t−ブチルブロモアセテート(0.32 mL;2.18 mmol)を、0℃に冷却したアセトニトリル(8 mL)中の4(0.80 g;0.87 mmol)、K2CO3(0.46 g;3.32 mmol)および硫酸ナトリウム(0.22 g)の撹拌溶液に加える。30分後、室温にて溶液を5時間および30分間還流する。14時間後、室温にて、溶液を蒸発し、8:2 石油エーテル/EtOAc(20 mL)で処理する。沈澱を捨て、液体相を蒸発して、粗物質(0.90 g)を得、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5を黄色油状物で得る(0.66 g)。収量86%。MS:882.8(M+H);904.8(M+Na)。
【0133】
化合物6
5% Pd/C(0.18 g)を、無水EtOH(50 mL)中の化合物5(0.60 g;0.68 mmol)の溶液に加える。反応混合物を水素雰囲気下で1時間撹拌する。混合物をミリポア(登録商標)装置(FH 0.5 μm)で濾過し、蒸発して、6を白色固体で得る(0.41 g)。収量89%。MS:702.6(M+H);724.5(M+Na)。
【0134】
反応工程式T

【0135】
化合物9a
ジ酸6をアミン7(実施例3を参照のこと)と反応させることおよび実施例3の記載と同様に処理することによって化合物9aを製造する(化合物2aの製造を参照のこと)。
【0136】
実施例11
以下の式で示される化合物10aの製造

化合物を以下の反応工程式Uにより製造する:
【0137】
反応工程式U

【0138】
化合物10a
ジ酸2(実施例10の化合物6を参照のこと)をアミン1(実施例2を参照のこと)と反応させることおよび実施例10の記載と同様に処理することによって、化合物10を合成する(化合物9aの製造を参照のこと)。
【0139】
実施例12
化合物9bの製造

9bの製造は、以下のステップを含む:
a)反応工程式Vによるアミノポリオール部分G10の合成;
b)反応工程式Zによるカップリング。
【0140】
反応工程式V

【0141】
化合物4
N−ヒドロキシスクシンイミド(1.35 g;11.7 mmol)およびジイソプロピルカルボジイミド(1.48 g;11.7 mmol)を、CH2Cl2(12 mL)中の1(1.11 g;3.90 mmol)(市販)の懸濁液に加える。室温にて18時間撹拌後、懸濁液を濾過し、減圧蒸発する。粗物質2(3.94 g)をDMF(70 mL)に溶解し、アミン3(Takahashi、M.ら、Tetrahedron Lett.2000、41、8485−8488)(6.86 g;7.80 mmol)を加える。透明溶液を65℃にて48時間撹拌する。さらなる3(1.50 g;1.71 mmol)を加え、混合物を65℃にてさらに24時間撹拌する。溶媒を除去し、粗物質にCH2Cl2(200 mL)を加え、飽和水性炭酸水素ナトリウム(2x50 mL)および飽和水性NH4Cl(50 mL)で洗浄する。有機層を乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発する。粗シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物4を得る(3.44 g;1.72 mmol)。収量44 %。MS:2005.7(M+H);2027.7(M+Na)。
【0142】
化合物5
MeOH(50 mL)中の化合物4(3.44 g;1.72 mmol)の溶液に、10% Pd/C(350 mg)および酢酸(206 mg;3.44 mmol)を加える。懸濁液を大気圧下で4.5時間水素添加する。触媒を濾去し、溶液を蒸発する。残渣をCH2Cl2(50 mL)に溶解し、飽和水性炭酸水素ナトリウム(2x15 mL)で洗浄する。有機層を乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、蒸発して、化合物5を得る(3.22 g;1.72 mol)。定量的収量。MS:1870.7(M+H)。
【0143】
反応工程式Z

【0144】
化合物7
CH2Cl2(1.0 mL)中の実施例4(反応工程式G3)の記載のとおり製造したジ酸6(94.4 mg;107 μmol)およびN−メチルピペリジン(26.0 μL;214 μmol)の溶液に、クロロギ酸イソブチル(29.2 mg;214 μmol)を0℃にて加え、溶液をこの温度で20分間撹拌する。反応混合物にアミン5(400 mg;214 μmol)を加える。0℃にて1時間および室温にてさらなる時間後、混合物をCH2Cl2(15 mL)で稀釈し、飽和水性NH4Cl(2x10 mL)で洗浄する。有機相を分離し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、7を白色固体で得る(200 mg;43.6 μmol)。収量41 %。MS:4608.7(M+Na)。
【0145】
化合物8
MeOH(10 mL)中の7(200 mg;43.6 μmol)の溶液に、K2CO3(6.0 mg)を室温にて加え、溶液を10分間撹拌する。乳状沈澱が得られ、さらなるMeOH(10 mL)を加えて、透明溶液を得る。18時間後、混合物を蒸発し、残渣をEt2O(20 mL)で処理する。懸濁液を濾過して、8を白色固体で得る(128 mg)。定量的収量。MS:2929.4(M+Na)。
【0146】
化合物9b
化合物8(120 mg;41.3 μmol)をトリフルオロ酢酸(TFA)(1.5 mL)に0℃にて溶解し、混合物を室温にし、一夜撹拌する。混合物を蒸発し、残渣に新鮮なTFA(1.5 mL)を加え、および溶液をさらに5時間撹拌する。反応混合物を蒸発し、残渣をEt2O(20 mL)で処理する。懸濁液を濾過し、化合物9b(120 mg)のトリス−トリフルオロ酢酸塩を白色固体で得る。定量的収量。MS:2593.0(M+Na)。
【0147】
実施例13
以下の式で示される化合物11bの製造

11bの製造は、以下のステップを含む:
a)反応工程式Z−Aによるアミノポリオールの合成;
b)工程式Z−Bによるカップリング反応。
【0148】
反応工程式Z−A

【0149】
化合物11
実施例12の記載と同様に処理することによって(反応工程式V)、中間体10(実施例2、反応工程式Dを参照のこと)を介して化合物11を製造する。
【0150】
反応工程式Z−B

【0151】
化合物11b
化合物11と化合物6(実施例4、反応工程式G3に記載のとおり製造)とを反応させ、実施例12(反応工程式Z)の記載と同様に処理することによって化合物11bを製造する。
【0152】
実施例14
以下の式で示される化合物12aの製造

式12aで示される化合物の製造は、以下の反応工程式Z−CおよびZ−Dにより行う。
【0153】
反応工程式Z−C

【0154】
化合物2
EtOH(360 mL)中の1(54.0 g、140 mmol)(US特許5514810)の溶液に、2M NaOH(180 mL)を加える。反応混合物を24時間撹拌し、次いで、濃縮する。共沸蒸留によって、水性残渣を蒸発乾固する。残渣にMeOH(330 mL)を加え、次いで、アルコール性溶液にアクリル酸メチル(96.4 g、1.12 mol)を加える。反応混合物を室温にて5日間撹拌する。溶媒を蒸発し、粗物質をカラムクロマトグラフィーに(30:1 CH2Cl2/MeOH)より精製して、2を粘稠油状物で得る(55.7 g、103 mmol)。
収量74 %。MS:560.7(M+Na)。
【0155】
化合物3
DMSO(30 mL)中の2(14.0 g、26.0 mmol)の溶液を、DMSO(70mL)中のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)(22.0 g、182 mmol)および無水K2CO3(25.2 g、182 mmol)の撹拌懸濁液に加える。反応物を窒素雰囲気下、50℃にて3日間撹拌し、次いで、さらにトリス(9.44 g、78.0 mmol)および無水K2CO3(10.8 g;78.0 mmol)を加える。反応混合物を50℃にてさらに4日間撹拌し、次いで、濾過する。濾液を減圧濃縮し、アンバーライトXAD 16.00樹脂を通して溶離することによって、残渣を精製して、3を吸湿性淡黄色固体で得る(15.6 g、17.4 mmol)。収量67 %。MS:895.1(M+H)。
【0156】
化合物4
酢酸無水物(200 mL)中の3(13.0 g;14.0 mmol)の溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(3.10 g;25.0 mmol)およびピリジン(14.0 mL;168 mmol)を加える。反応混合物を60℃にて11時間撹拌する。溶液を蒸発し、残渣にCHCl3(300 mL)を加え、有機相をH2O(3x50 mL)で洗浄する。有機層を分離し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィー(3:2 アセトン/CHCl3)により精製して、4を油状生成物で得る(17.0 g;12.0 mmol)。収量86 %。MS:1421.5(M+H)。
【0157】
化合物5
MeOH(120 mL)およびAcOH(3.43 mL、60 mmol)中の4(17.0 g;12.0 mmol)の溶液に、10 % Pd/C(1.1 g)を加え、懸濁液を水素雰囲気下、室温にて3時間撹拌する。濾過後、溶液を減圧蒸発して、化合物5を油状生成物で得る(16.0 g;12.0 mmol)。定量的収量。MS:1307.4(M+H)。
【0158】
反応工程式Z−D

【0159】
化合物7
DMF(0.50 mL)中の酸6(300 mg、0.38 mmol)(実施例3、反応工程式Fを参照のこと)およびHATU(180 mg、0.46 mmol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(130 μL、0.77 mmol)を加え、混合物を室温にて10分間撹拌する。DMF(0.50 mL)中の化合物5(500 mg、0.38 mmol)の溶液を活性化酸溶液に加え、混合物を室温にて15時間撹拌する。DMFを除去し、得られる濃厚な油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物7を白色固体で得る(50.0 mg;24.1 μmol)。収量6.3 %。MS:2071.2(M+H)。
【0160】
化合物8
MeOH(0.30 mL)およびCHCl3(0.20 mL)中の化合物7(50.0 mg、24.1 μmol)の溶液に、10 % Pd/C(5 mg)を加え、溶液を大気圧下で48時間水素添加する。触媒を濾去し、溶液を蒸発する。残渣をH2O(0.50 mL)およびアセトニトリル(20 μL)に溶解し、凍結乾燥して、テトラ酸8を白色固体で得る(40 mg、23 μmol)。定量的収量。MS:1710(M+H)。
【0161】
化合物12a
メタノール(1 mL)中のアンモニアの飽和溶液を、テトラ酸8(20.0 mg、11.7 μmol)に加え、溶液を室温にて48時間静置する。次いで、反応混合物を蒸発し、残渣をH2O(500 μL)およびアセトニトリル(20 μL)に溶解し、凍結乾燥して、化合物12aを白色固体で得る(10 mg、8.3 μmol)。収量71 %。MS:1206.5(M+H)。
【0162】
実施例15
以下の式で示される化合物5aの製造

式5aで示される化合物を以下の反応工程式Z−Eにより製造する:
【0163】
反応工程式Z−E


【0164】
化合物3
MeCN(10 mL)中の1(実施例10、反応工程式Sを参照のこと)(1.7 g;4.8 mmol)、6−アミノ−6−メチル−パーヒドロ−1,4−ジアザピン2(Aime、S.ら、Inorg.Chem.2004、43、7588)(0.25 g;1.9 mmol)およびK2CO3(0.67 g;4.8 mmol)の混合物を72時間撹拌する。懸濁液を濾過し、減圧蒸発する。残渣をCH2Cl2(30 mL)に溶解し、次いで、水(2x20 mL)および食塩水(2x20 mL)で洗浄する。分離後、有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、3を黄色油状物で得る(1.1 g)。収量85%。
【0165】
化合物4
0℃に冷却したMeCN(20 mL)中の3(0.76 g;1.11 mmol)、K2CO3(0.54 g;3.90 mmol)および硫酸ナトリウム(0.3 g)の撹拌溶液に、t−ブチルブロモアセテート(0.41 mL;2.79 mmol)を加える。添加後、懸濁液を窒素下、15時間還流し、次いで、60℃にてさらに15時間撹拌する。さらにt−ブチルブロモアセテート(0.41 mL;2.79 mmol)を加え、反応混合物を8時間還流撹拌し、次いで、60℃にて15時間撹拌する。懸濁液を室温に冷却し、濾過し、溶媒蒸発する。残渣をCH2Cl2(20 mL)に溶解し、H2O(2x10 mL)および5%水性炭酸水素ナトリウム(2x10 mL)で洗浄する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、蒸発する。粗オレンジ色油状物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4を黄色油状物で得る(0.65 g)。収量64%。
【0166】
化合物5
MeOH(20 mL)中の化合物4(0.5 g;0.55 mmol)の溶液に、10% Pd/C(100 mg)を加える。反応混合物を水素雰囲気下、5時間撹拌し。混合物をミリポア(登録商標)装置(FH 0.5 μm)で濾過し、蒸発して、5を黄色固体で得る(0.4 g)。収量99%。
【0167】
化合物5a
ジ酸5と実施例2(反応工程式D)により製造したアミン6を反応させること、および実施例11(反応工程式U)の記載と同様に処理することによって、化合物5aを合成する。
【0168】
実施例16
以下の式で示される化合物1dの製造

化合物1dを以下の反応工程式Z−Fにより製造する:
【0169】
反応工程式Z−F



【0170】
化合物3
無水アセトニトリル中のシクレン1(218 mg;1.26 mmol)の溶液に、K2CO3(525 mg;3.79 mmol)およびブロモ誘導体2(1.00 g;4.18 mmol)を加える。懸濁液を窒素雰囲気下、60℃にて12時間加熱する。反応混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2(25 mL)で稀釈する。有機相を水(2x25 mL)で洗浄し、分離し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗物質(770 mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物3を黄色油状物で得る(315 mg;487 μmol)。収量39 %。
MS:647.7(M+H)。
【0171】
化合物6
CH2Cl2(50 mL)中の実施例2(反応工程式D)により製造したアミン4(3.00 g;2.30 mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(469 μL;2.76 mmol)を窒素雰囲気下で加える。塩化物5(392 μl;2.76 mmol)を加え、混合物を室温にて4時間撹拌する。反応混合物を水(50 mL)および0.1 N HCl(25 mL)で洗浄する。有機層を分離し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗物質(3.42 g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、6を白色固体で得る(1.39 g;0.95 mmol)。収量41 %。MS:1486.8(M+Na)。
【0172】
化合物7
アセトニトリル(15 mL)中の6(847 mg;584 μmol)の溶液を、アセトニトリル(10 mL)中の化合物3(315 mg;490 μmol)、K2CO3(81.0 mg;584 μmol)および硫酸ナトリウム(50 mg)の懸濁液に、15分間にわたって滴下する。反応混合物を12時間加熱還流し、次いで、濾過し、溶液を減圧蒸発する。残渣をEtOAc(50 mL)に溶解し、溶液を水(2x50 mL)および5 %水性炭酸水素ナトリウム(2x50 mL)で洗浄する。有機層を分離し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発する。粗物質(960 mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、7を白色固体で得る(390 mg;188 μmol)。収量38 %。MS:2075.1(M+H)。
【0173】
化合物8
化合物7(390 mg;188 μmol)をMeOH(20 mL)に溶解し、K2CO3(24.0 mg;0.18 mmol)を加える。懸濁液を室温にて4時間撹拌し、次いで、濾過し、減圧蒸発して、8を白色固体で得る(256 mg;179 μmol)。収量95 %。MS:1452.5(M+Na)。
【0174】
化合物1d
水(5.0 mL)中の化合物8(74.0 mg;52.0 μmol)の溶液に、0.1N NaOH(3.12 mL)を50℃にて3日間にわたって加えて、pH 11.5に到達させ、維持する。次いで、混合物を室温に冷却し、0.1N HCl(3.30 mL)でpH 2.5に酸性化し、減圧蒸発する。粗物質をアンバーライトXAD 16.00樹脂で溶離することにより精製して、所望化合物1dを得る(54.0 mg;40.1 μmol)。収量77 %。MS:1346.3(M+H)、1368.3(M+Na)。
【0175】
実施例17
以下の式で示される化合物5dの製造

式5dで示される化合物を以下の反応工程式Z−Gにより製造する:
【0176】
反応工程式Z−G


【0177】
化合物12
実施例16(反応工程式Z−F)の記載と同様に処理することによって、シクレン10および実施例10(反応工程式6)により製造した化合物11から化合物12を合成する。収量84 %(519 mg;0.52 mmol)。MS:1024.3(M+Na)。
【0178】
化合物13
実施例16(反応工程式Z−E)の記載と同様に処理することによって、化合物12および6から化合物13を合成する。
収量84 %(1.04 g;0.43 mmol)。MS:2437.6(M+Na)。
【0179】
化合物14
化合物13(170 mg;70.0 μmol)をMeOH(10 mL)に溶解し、5 % Pd/C(45 mg)を用い、大気圧下で水素添加する。2時間後、反応混合物をミリポア(登録商標)装置(0.5 μmフィルター)で濾過し、溶液を減圧蒸発して、化合物14を得る(110 mg)。収量73 %。MS:2167.2(M+Na)。
【0180】
化合物15
DMF(5 mL)中の化合物14(110 mg;51.0 μmol)およびDIEA(58.0 μl;0.33 mmol)の溶液に、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(63.0 mg;164 μmol)およびアミン4(実施例2を参照のこと)(212 mg;164 μmol)を0℃にて加える。混合物を窒素雰囲気下、室温にて48時間撹拌し、次いで、減圧蒸発する。残渣をCH2Cl2(20 mL)に溶解し、溶液を5%水性炭酸水素ナトリウム(20 mL)および水(20 mL)で洗浄する。有機層を分離し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物15を得る(128 mg;21.4 μmol)。収量42 %。MS:5982.7(M+H)。
【0181】
化合物16
実施例16(反応工程式Z−F)の記載と同様に処理することによって、化合物16を得る。収量93 %(70.0 mg;20.0 μmol)。MS:3475.5(M+H)。
【0182】
化合物5d
化合物16(70.0 mg;20.0 μmol)をトリフルオロ酢酸(TFA)(1.0 mL)に窒素雰囲気下、0℃にて溶解し、混合物を室温に温め、18時間撹拌する。溶液を蒸発し、残渣に新鮮なTFA(1.0 mL)を加え、溶液を室温にてさらに5時間撹拌する。反応混合物を蒸発し、残渣をEt2O(20 mL)で処理する。懸濁液を濾過し、化合物5dのトリス−トリフルオロの酢酸塩(58.3 mg;16.0 μmol)を白色固体で得る。収量83 %。MS:3307.21(M+H)。
【0183】
実施例18
以下の式で示されるアミノポリオール化合物G11(保護体)の製造

式G11で示される化合物の保護体(たとえば、アシル化)を以下の反応工程式Z−Hにより製造する:
【0184】
反応工程式Z−H

【0185】
化合物2
CH2Cl2(5.0 mL)中の1(0.50 g、0.77 mmol)(WO 2001052899)の溶液に、トリフルオロ酢酸(TFA)(0.71 mL)を室温にて加える。反応混合物を24時間撹拌し、次いで、濃縮する。そのままのTFA(5.0 mL)を加え、溶液を4時間撹拌し、次いで、蒸発する。残渣にCH2Cl2(10 mL)を加え、蒸発する(操作を2回繰り返す)。油状残渣をEt2Oで処理して、2のトリス−トリフルオロ酢酸塩(590 mg、103 mmol)を白色固体で得る。定量的収量。MS:426.4(M+H)。
【0186】
化合物3
DMF(100 mL)中の2(2.13 g;5.00 mmol)(betainic体)の溶液に、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(11.4 g;30.0 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(7.65 mL;45.0 mmol)を加える。10分後、溶液にグルカミン(5.43 g;30.0 mmol)を室温にて加え、混合物を48時間撹拌する。溶媒を減圧蒸発し、油状残渣を水に溶解し、アンバーライトXAD 16.00樹脂で溶離することによって精製して、3を淡黄色固体で得る(2.78 g、2.58 mmol)。収量52 %。MS:1079.2(M+H)。
【0187】
化合物4
酢酸無水物(10 mL)中の3(1.19 g;1.10 mmol)の溶液に、ピリジン(10 mL)を加え、反応混合物を60℃にて17時間撹拌する。溶液を蒸発し、残渣にCHCl3(50 mL)を加え、有機相H2O(3x50 mL)で洗浄する。有機層を分離し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィー(8:2:0.1 CH2Cl2/MeOH/AcOH)により精製して、4のトリス−酢酸塩を得る(1.01 g;0.48 mmol)油状生成物で。収量44 %。MS:1918.3(M+H)。
【0188】
化合物G11(保護)
MeOH(10 mL)およびAcOH(0.25 mL)中の4(1.01 g;0.48 mmol)の溶液に、10 % Pd/C(0.10 g)を加え、懸濁液を水素雰囲気下、室温にて3時間撹拌する。濾過後、溶液を減圧蒸発する、残渣にCHCl3(10 mL)を加え、溶液を飽和水性炭酸水素ナトリウム(3x20 mL)および水(2x20 mL)で洗浄する。有機相を乾燥し、蒸発して、化合物G11をオフホワイト固体で得る(0.88 g)。定量的収量。MS:1829.8(M+H)。
式G11で示される化合物自体をカップリング反応に用いて、本発明化合物を得る。別法として、たとえば、前述の実施例で記載したように、塩基性条件下で処理するなどの脱保護の慣例の方法で処理することにより、アシル基を適当に除去して、遊離ヒドロキシル基を得る。
【0189】
実施例19
以下の式で示されるアミノポリオール化合物G9(保護体)の製造

式G9で示される化合物の保護体を以下の反応工程式Z−Iにより製造する:
【0190】
反応工程式Z−I

【0191】
化合物6
文献(Organic Synthesis 1951、907)に記載の手順により、1−ベンジル−4−ピペリドンから化合物6を合成する。
【0192】
化合物7
実施例18(反応工程式Z−H、化合物4)に記載の手順により、化合物6をアセチル化する。
【0193】
化合物8
実施例18(反応工程式Z−H、化合物5)に記載の手順により、化合物7を水素添加する。
【0194】
化合物9
CH2Cl2(10 mL)中のテトラ酸2(実施例18、反応工程式Z−Hを参照のこと)(1.00 g;2.35 mmol)およびN−メチルピペリジン(1.14 mL;9.40 mmol)の溶液に、クロロギ酸イソブチル(1.28 g;9.40 mmol)を0℃にて加え、溶液をこの温度で20分間撹拌する。反応混合物にアミン8(4.05 g;9.40 mmol)を加える。0℃にて1時間および室温にてさらなる時間後、混合物をCH2Cl2(25 mL)で稀釈し、飽和水性NH4Cl(2x20 mL)で洗浄する。有機相を分離し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物9を白色固体で得る(1.95 g;0.94 mmol)。収量40 %。MS:2100.8(M+Na)。
【0195】
化合物G9
実施例18(反応工程式Z−H、化合物C6の製造)に記載の手順により、化合物9を水素添加する。
式G9で示される化合物自体をカップリング反応に用いて、本発明化合物または適当に脱保護された化合物を得る(実施例18を参照のこと)。
【0196】
実施例20
Aが式(III)で示される保護カルボキシ基を有するキレート化ユニットであり、L'がリンカー:−CH2−NH−である化合物(化合物5)A−L'(H)の製造

[上記工程式中、Methylamine:メチルアミン]
【0197】
化合物1
エタノール(80 mL)中のN,N−ジベンジルエチレンジアミン(12.18 g、50.6 mmol)の溶液に、酢酸(6.0 mL)を加え、溶液を60℃にて10分間撹拌する(80℃に加熱すると溶解する白色固体が形成される)。N−(3−ニトロプロピル)フタルイミド1(11.7 g、50.0 mmol)[(1)Alston、T.A.;Porter、D.J.T.;Bright、H.J.J. Enzyme Inhibition.1987、212−222]を加え、80℃にて撹拌を継続して、透明溶液を得る。この溶液に、30分間にわたって少しずつパラホルムアルデヒド(5.0 g、166 mmol)を加え、80℃にて5時間撹拌を継続する。反応混合物を冷却し、形成した固体を濾過し、冷エタノールで洗浄し、減圧乾燥する。収量22.0 g(88%)。MS:499.5(M+H)。
【0198】
化合物2
CH3NH2/THF(40.0 mL)およびCH3NH2/H2O(80 mL)の混合物に、フタルイミド誘導体1(21.0 g、42.0 mmol)を加え、室温にて48時間撹拌する。窒素気流を通して、過剰のメチルアミンを除去し、溶媒を減圧除去する。得られる固体をテトラヒドロフラン(100 mL)および水(10 mL)の混合物に溶解する。THF−水溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(19.0 g、87.0 mmol)を加え、16時間撹拌する。溶媒を除去し、得られるペースト状の固体を酢酸エチル(400 mL)に溶解し、塩化ナトリウム溶液(2x200 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、黄色油状物を得、ヘキサン−酢酸エチル(7:3)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製してする。UV可視画分を集め、蒸発して、2を油状物で得る。収量18.20 g(92%)。MS:469.2(M+H)。
【0199】
化合物3
メタノール(40 mL)中のニトロ化合物2(2.0 g、4.27 mmol)の溶液に、Pd−C 10%(750 mg)を加え、混合物を45 psiにて24時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノールを回転蒸発器にて除去して、アミン3を濃厚油状物で得る。収量1.0 g(91%)。MS:259.2(M+H)。
【0200】
化合物4
DMF(4 mL)中のアミン3(1.0 g、3.87 mmol)および炭酸カリウム(2.69 g、19.5 mmol)の混合物に、tert−ブチルブロモアセテート(3.8 g、2.88 mL、19.5 mmol)を加え、混合物を40℃にて12時間撹拌する。DMFを除去し、得られる油状物を酢酸エチル(150.0 mL)に溶解し、水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得、ヘキサン−酢酸エチル(7:3)を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物含有画分(Rf 0.7)を集め、蒸発して、濃厚油状物を得る。収量1.10 g(40%)。MS:715.5(M+H)、737.4(M+Na)。
【0201】
化合物5
塩化メチレン(5 mL)、t−酢酸ブチル(15 mL)およびTFA(4 mL)の混合物に、Boc誘導体4(0.82 g 1.15 mmol)を加え、混合物を10分間撹拌する。塩化メチレン(1 mL)中のメタンスルホン酸(300 μL)を10分間にわたって少しずつ加え、12時間撹拌する。溶液を重炭酸ナトリウム溶液によって中和し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル溶液を水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得、減圧乾燥して、泡状固体を得る。
収量0.7 g(99%)。MS:615.4(M+H)。
【0202】
実施例21
Aが式(III)で示される保護カルボキシ基を有するキレート化ユニットであり、L'がリンカー:アミノ部分を保護された−CH2−NH−である化合物(化合物8)A−L'(H)の製造

【0203】
化合物7
アセトニトリル(4 mL)中のアミン3(0.26 g、1.0 mmol)および炭酸カリウム(0.5 g、3.62 mmol)の混合物に、ブロモ−エステル2 6(0.8 g、2.24 mmol)[(2)Eisenwiener、K.−P.;Powell、P.;Macke、H.R.Bioorg.,Med.Chem.Lett.2000、10、2133−2135]を加え、混合物を8時間撹拌する。反応混合物を濾過し、アセトニトリルを減圧蒸発する。得られる濃厚油状物を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得、塩化メチレン−メタノール(95:5)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。画分(Rf 0.5)を集め、蒸発して、エステル7を油状物で得る。収量0.3 g(37%)。MS:811.4(M+H)、849.3(M+K)
【0204】
化合物8
アセトニトリル(3 mL)中のアミン7(0.3 g、0.37 mmol)および炭酸カリウム(0.2 g、1.45 mmol)の混合物に、tert−ブチルブロモアセテート(0.29 g、0.22 mL、1.4 mmol)を加え、混合物を70℃にて24時間撹拌する。アセトニトリル(15 mL)を反応混合物に加え、濾過する。アセトニトリルを除去し、得られる油状物を酢酸エチルに溶解し、水(2x10 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。溶媒を蒸発して、褐色油状物を得、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル、7:3)により精製する。UV可視フラクション(Rf 0.45)を集め、蒸発して、8を油状物で得、静置して固化する。収量 0.27g(70%)。MS:1040.4(M+H)。
【0205】
実施例22
Aが式(IIIa)で示される保護カルボキシ基を有するキレート化ユニットであり、L'がリンカー:アミノ部分を保護された−C6H4−NH−である化合物(化合物13)A−L'(H)の製造

[式中、hは時間]
【0206】
化合物9
p−アミノフェニルエチルブロミドヒドロブロミド3(36.0 g、128 mmol)[(3)Tamai、T.;Tanaka、M.;Mukaiyama、H.;Hirabayashi、A.;Muranaka、H.;Sato、M.;Akahane、M. US 6353025]およびトリエチルアミン(10 mL)の氷冷混合物に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(30.0 g 138 mmol)を加え、混合物を室温にて24時間撹拌する。溶媒を除去し、ペースト状固体を水で処理し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチルを蒸発して、固体を得、ヘキサン−酢酸エチルを用いるカラムクロマトグラフィーにより精製する。UV可視フラクションを集め、蒸発して、白色固体を得る。収量34.2 g(88%)。MS:324.2(M+Na)。
【0207】
化合物10
DMSO(5 mL)中の亜硝酸ナトリウム(1.4 g、20.0 mmol)の混合物に、化合物9(3.0 g、10.0 mmol)を加え、混合物を2時間撹拌する。30分後、半固体が形成する。反応後、混合物に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル溶液を水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、黄色固体を得、ヘキサン−酢酸エチル(7:3)を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製する。UV可視フラクションを集め、蒸発して、黄色固体を得る。収量1.29 g(48.5%)。MS:289.2(M+Na)。
【0208】
化合物11
エタノール(5.0 mL)中のtrans−N、N−ジベンジル−1,2−ジアミノシクロヘキサン4(1.43 g、4.85 mmol)[(4)Tye、H.;Eldred、C.;Wills、M. Tetrahedron Lett.44、155−158(2002)]の溶液に、酢酸(0.6 mL)を加え、60℃にて10分間撹拌する。この溶液に化合物10(1.29 g、4.84 mmol)を加え、60℃にてさらに10分間撹拌を継続する。パラホルムアルデヒド(0.5 g、16.6 mmol)を30分間にわたって少量ずつ加え、反応混合物を80℃にて5時間撹拌する。エタノールを除去し、残渣を酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、乾燥する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル 7:3)により精製する。UV可視フラクションを集め、蒸発して、油状物を得る。収量2.2 g(76%)。MS:585.3(M+H)。
【0209】
化合物12
メタノール(40 mL)中の化合物10(2.1 g、3.6 mmol)の温かいスラリーに、Pd−C 10%(1.0 g)を加え、混合物を45 psiにて24時間室温にて水素添加する。触媒を濾去し、溶媒を減圧除去して、油状物を得、さらに精製することなく次のステップに用いる。
収量1.28 g(95%)。MS:375.3(M+H)、389.4(M+Na)。
【0210】
化合物13
DMF(4 mL)中のアミン12(0.75 g、2.0 mmol)および炭酸カリウム(1.66 g、12.0 mmol)の溶液に、tert−ブチルブロモアセテート(2.34 g、1.78 mL、12 mmol)を加え、混合物を70℃にて24時間撹拌する。反応混合物に塩化メチレン(10.0 mL)を加え濾過する。溶媒を除去し、得られる褐色溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:CH3OH、95:5)により精製する。UV可視フラクション(Rf 0.48)を集め、蒸発して、油状物を得、静置して固化する。収量0.75 g、(45%)。MS:831.5(M+H)。
【0211】
実施例23
Aが式(IIIa)で示される保護カルボキシ基を有するキレート化ユニットであり、L'がリンカー:−CH2−NH−である化合物(化合物18)A−L'(H)の製造

【0212】
化合物14
エタノール(60 mL)中のtrans−N、N−ジベンジル−1,2−ジアミノシクロヘキサン(8.82 g、30.0 mmol)の溶液に、酢酸(3.60 mL)を加え、溶液を60℃にて10分間撹拌する。N−(3−ニトロプロピル)フタルイミド(7.1 g、30.3 mmol)を加え、60℃にてさらに30分間撹拌を継続する。この溶液にパラホルムアルデヒド(3.75 g、126 mmol)を30分間にわたって少量ずつ加え、80℃にて5時間撹拌を継続する。エタノールを除去し、得られる濃厚な油状物を酢酸エチル(200 mL)に溶解し、酢酸エチル溶液を重炭酸ナトリウム溶液、水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチル溶液を濃縮し、得られる油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(7:3)により精製する。フラクション(Rf 0.48)を集め、蒸発して、濃厚な黄色油状物を得、減圧乾燥して、泡状固体を得る。得られる泡状固体をメタノール(50.0 mL)に溶解し、30分間静置する。形成した固体を濾過し、冷エタノールで洗浄し、減圧乾燥する。収量 8.3 g(50.0%)。MS:553.3(M+H)。
【0213】
化合物15
THF(75 mL)中の2 M CH3NH2溶液およびH2O(30 mL)中の40%CH3NH2溶液の混合物に、フタルイミド誘導体14(8.0 g、14.5 mmol)を加え、混合物を室温にて48時間撹拌する。窒素気流を通して、過剰のメチルアミンを除去し、溶媒を減圧除去する。得られる黄色固体をテトラヒドロフラン(100 mL)および水(10 mL)の混合物に溶解する。THF溶液にジ−tert−ブチルジカーボネート(8.72 g、40.0 mmol)を加え、6時間撹拌する。THFを除去し、得られるペースト状固体を酢酸エチル(300 mL)に溶解し、炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、次いで、塩化ナトリウム溶液(2x200 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、黄色油状物を得、ヘキサン−酢酸エチル(9:1、and 8:2)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。UV可視フラクションを集め、蒸発して、14を油状物で得る。得られる油状物をメタノール(50 mL)に溶解し、1時間静置する。形成する白色固体を濾過し、減圧乾燥する。収量5.1 g(67.5%)。MS:523.3(M+H)。
【0214】
化合物16
メタノール(50 mL)中の化合物14(4.80 g、9.2 mmol)を、Pd−C 10%(2.0 g)の存在下、45 psiにて72時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノールを減圧除去して、2.6 g(90%)のアミン16を得る。MS:313.2(M+H)。
【0215】
化合物17
DMF(4 mL)中の炭酸カリウム(2.5 g、18.0 mmol)およびアミン16(0.93 g、3.0 mmol)のスラリーに、tert−ブチルブロモアセテート(3.51 g、2.65 mL、18.0 mmol)を加え、混合物を70℃にて24時間撹拌する。次いで塩化メチレン(10 mL)を反応混合物に加え、濾過する。溶媒を除去し、得られる褐色油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル 7:3)により精製する。画分(Rf 0.48)を集め、蒸発して、油状物を得、静置して固化する。収量1.1 g、(48.0%)。MS:769.5(M+H)。
【0216】
化合物18
塩化メチレン(5 mL)、t−酢酸ブチル(25 mL)およびTFA(5 mL)の混合物に、Boc誘導体4(1.1 g 1.43 mmol)を加え、混合物を10分間撹拌する。塩化メチレン(1 mL)中のメタンスルホン酸(400 μL)を10分間にわたって少しずつ加え、反応物を3時間継続して撹拌する。溶液を重炭酸ナトリウム溶液によって中和し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル溶液を水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得、減圧乾燥して、泡状固体を得る。収量0.82 g(99%)。MS:669(M+H)。
【0217】
実施例24
Aが式(III)で示される保護カルボキシ基を有するキレート化ユニットであり、L'がリンカー:−CH2−CH2CO−およびL”がリンカー:−CH2CO−である化合物(化合物7)A−[L'(OH)]2L”(OH)の製造

【0218】
化合物2
0℃に冷却した1 N HBr(45 mL)中のL−グルタミン酸5−tブチルエステル1(市販品)(2.0 g;9.8 mmol)およびKBr(4.31 g;36.0 mmol)の混合物に、水(15 mL)中のNaNO2(1.35 g;19.6 mmol)の溶液を30分間にわたって滴下する。0℃にて3時間後、溶液をEtOAc(3x100 mL)で抽出する。合わせた有機相を食塩水(80 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、2を無色油状物で得る(0.53 g)。収量20%。
【0219】
化合物3
CH2Cl2(25 mL)中の化合物2(1.38 g;5.2 mmol)、ベンジルアルコール(0.58 mL;5.7 mmol)、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1.18 g;5.7 mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.06 g;0.52 mmol)の溶液を室温にて3時間撹拌する。沈澱したジシクロヘキシルウレアを濾去し、濾液を5%水性AcOH(20 mL)および水(3x20 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、3を無色油状物で得る(1.31 g)。収量71%。
【0220】
化合物5
0℃に冷却したMeCN(13 mL)中の6−アミノ−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアザピン−6−プロパン酸1,1−ジメチルエチルエステル4(実施例1、反応工程式B、化合物10)(0.40 g;1.66 mmol)およびK2CO3(0.57 g;4.15 mmol)の混合物に、MeCN(2 mL)中の3(1.30 g;3.65 mmol)の溶液を5分間にわたって滴下する。反応混合物を室温まで温め、29時間撹拌する。塩を濾去し、濾液を減圧蒸発する。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、5を黄色油状物で得る(0.91 g)。収量69%。
【0221】
化合物6
0℃に冷却したMeCN(5 mL)中の5(0.83 g;1.05 mmol)、K2CO3(0.41 g;2.80 mmol)および硫酸ナトリウム(0.22 g)の混合物に、ベンジルブロモアセテート(0.41 mL;2.60 mmol)を加える。添加後、反応混合物を室温に温め、6時間還流する。追加のベンジルブロモアセテート(0.05 g;0.30 mmol)およびK2CO3(0.04 g;0.28 mmol)を混合物に加え、さらに8時間還流する。混合物を濾過し、蒸発し、残渣に、CH2Cl2(10 mL)を加える。有機相を水(2x10 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製して、6を黄色油状物で得る(0.22 g)。収量19 %。
【0222】
化合物7
CF3COOH(2.5 mL)中の化合物6(0.22 g;0.20 mmol)の溶液を、室温にて60時間撹拌する。次いで、混合物を蒸発し、残渣にCH2Cl2(10 mL)を加え、溶液を減圧蒸発する。操作を2回以上繰り返して、粗物質を得、カラムクロマトグラフィーにより精製して、7を淡黄色油状物で得る(0.12 g)。収量65 %。
【0223】
実施例25
Aが式(III)で示される保護カルボキシ基を有するキレート化ユニットであり、L'がリンカー:−CH2−CH2CO−である化合物(化合物7)A−L'(OH)の製造

【0224】
化合物2
1M HBr(400 mL)中のL−グルタミン酸γ−ベンジルエステル1(市販品)(20 g 、84.3 mmol)の溶液を機械撹拌しながら−7℃に冷却し、次いで、NaBr(32.1g、311.9 mmol)を加える。水(40 mL)中のNaNO2(11.05 g、160.2 mmol)の溶液を反応溶液に35分間で滴下する。1時間後、濃H2SO4(10 mL)を加え、混合物をEt2O(4x200 mL)で抽出し、合わせた有機相を食塩水(2x150 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望生成物2を得る(13.79 g)。収率:54 %。
【0225】
化合物3
化合物1(13.46 g、44.7 mmol)をtert−ブチルアセテート(179 mL)に溶解し、次いで、70 % HClO4(193 μL)を加え、溶液を室温にて撹拌する。24時間後に水(180 mL)を加え、有機相を分離し、水(130 mL)、5 %水性炭酸水素ナトリウム(130 mL)および再度の水(130 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物3を得る(10.75 g)。収率:67 %。
【0226】
化合物5
氷浴で冷却したMeCN(130 mL)中の6−アミノ−6−メチル−パーヒドロ−1,4−ジアザピン4(Aime、S.ら、Inorg.Chem.2004、43、7588)(6.62 g;51.3 mmol)およびK2CO3(2.13 g;15.4 mmol)の懸濁液に、MeCN(30 mL)中のブロモ誘導体3(5.5 g;15.4 mmol)の溶液を35分間で滴下する。この後、冷却浴を除去し、反応混合物を室温にて撹拌する。4時間後、混合物を濾過し、溶媒を減圧蒸発する。粗物質をEtOAc(150 mL)に溶解し、水(3x100 mL)で洗浄する。有機相を希HBrで洗浄し、水性相を25 % NH4OHでpH 9にし、次いで、EtOAc(4x70 mL)で抽出する。合わせた有機相を水(100 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発して、生成物5を得る(4.8 g)。収率:77 %。
【0227】
化合物6
MeCN(80 mL)中の化合物5(4.65 g、11.5 mmol)、K2CO3(6.36 g、46 mmol)および硫酸ナトリウム(1.5 g、10.6 mmol)の懸濁液に、t−ブチルブロモアセテート(7.86 g、40.3 mmol)を加え、混合物を加熱還流する。16時間後、混合物を濾過し、減圧蒸発する。粗物質をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望生成物6を得る(7.24 g)。収率:84 %。
【0228】
化合物7
化合物6(572 mg、0.77 mmol)をEtOH(50 mL)に溶解し、大気圧下で10 % Pd/C(100 mg)を用いて水素添加する。混合物をミリポア(登録商標)装置(FH 0.5 μm)で濾過し、減圧蒸発して、生成物7を得る(430 mg)。収率:85 %。
【0229】
実施例26
Aが式(III)で示される保護カルボキシ基を有するキレート化ユニットであり、L'がリンカー:−(CH2)4−NH−である化合物(化合物7)A−L'(H)の製造

【0230】
化合物2
Nε−カルボベンジルオキシ−L−リシン1(市販品)(15g;0.052 mol)を6M HBr(45 mL)に0℃にて溶解する。NaNO2(3.97 g;0.057 mol)を30分間にわたって少しずつ加える。反応溶液を室温にて2時間撹拌し、次いで、酢酸エチル(3x100 mL)で抽出する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2をオレンジ色油状物で得る(14.06 g)。収量79%。
【0231】
化合物3
tert−ブチルアセテート(160 mL)中の化合物2(13 g;0.0377 mol)の溶液に、70%水性HClO4(1.5mL)を滴下する。反応混合物を室温にて24時間撹拌する。次いで、水(2x200 mL)および5%水性炭酸水素ナトリウム(2x150 mL)で洗浄する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物3(9.66 g)を黄色油状物で得る。収量64%。
【0232】
化合物5
MeCN(25 mL)中の6−アミノ−6−メチル−パーヒドロ−1,4−ジアザピン4(Aime、S.ら、Inorg.Chem.2004、43、7588)(5 g;0.039 mol)およびK2CO3(1.59 g;0.0115 mol)の混合物に、MeCN(25 mL)中の化合物3(4.6 g;0.115 mol)の溶液を0℃にて30分間で滴下する。混合物を室温にて4時間撹拌し、次いで、減圧蒸発する。粗物質をEtOAc(25 mL)に溶解し、水(3x25 mL)で洗浄する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、減圧蒸発する。粗物質をEtOAc(25 mL)に溶解し、水性HBrで洗浄する。水性相を集め、水性NH4OHを添加してpHを9にし、酢酸エチル(3x100 mL)で抽出する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、蒸発して、生成物5を得る(3.3 g)。収量64%。
【0233】
化合物6
MeCN(30 mL)中の化合物5(3.28 g;7.3 mmol)、K2CO3(3.6 g)および硫酸ナトリウム(0.5 g)の撹拌懸濁液に、MeCN(20 mL)中のt−ブチルブロモアセテート(3.8 mL)の溶液を0℃にて滴下する。添加の最後に、混合物を14時間加熱還流する。次いで、濾過し、減圧蒸発する。粗物質をCH2Cl2(50mL)に溶解し、水(50 mL)および5%水性炭酸水素ナトリウム(2x50mL)で洗浄し、有機層を乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物6(3.32 g )を黄色油状物で得る。収量58%。
【0234】
化合物7
MeOH(20 mL)中の化合物7(3.32 g;4.2 mmol))の溶液に、10% Pd/C(400 mg)を加える。反応混合物を水素雰囲気下で2時間撹拌する。混合物をミリポア(登録商標)装置(FH 0.5 μm)で濾過し、蒸発して、化合物7(2.42 g)を黄色油状物で得る。収量90%。
【0235】
実施例27
保護/脱保護およびカップリングの例
先の実施例20−26の化合物A−L'(H)において、遊離基として、または脱保護状態のいずれかの、どのアミノ基でも、末端カルボキシ基を有するポリヒドロキシル化部分であるか、または適当な連結基を介してのいずれかで、本発明化合物が得られるように、ポリヒドロキシル化部分に適当にカップリングさせ、次いで、アミノポリオールにカップリングさせることができる。
さらに、アミノ基を有する該キレート化ユニットは、適当なポリオール−ラクトンに適当にカップリングさせることができる;一般的参照として、たとえば、実施例31で採用する操作条件(たとえば、ポリオール−ラクトンとアミンとの縮合)を参照のこと。
アミノ基の脱保護は、公知の方法によって行うことができる。例として、酸環境(たとえば、ジクロロメタン中のTFA、メタンスルホン酸など)において、tert−ブトキシカルボニル基の除去を容易に行うことができる。
上記に加えて、実施例21の化合物8を適当にかつ選択的に脱保護することができる。例として、本発明化合物が得られるように、順次、適当なアミノポリオールで適当に官能基化されて(たとえば、DMF中のHATUおよびジイソプロピルエチルアミンの存在下)対応するジカルボン酸誘導体が得られるように、接触水素添加(たとえば、H2、Pd/C 10%、メタノール、24時間)を介して、ベンジルオキシ基を除去することができる。
上記カップリング反応に用いる操作条件または脱保護のどのステップも、当業界で公知である。
【0236】
実施例28
Aが式(III)で示されるカルボキシ保護基を有するキレート化ユニットであり、L'がリンカー:−CH2−CO−である化合物(化合物25)A−L'(OH)の製造

【0237】
化合物19
エタノール(40 mL)中のN,N'−ジベンジルエチレンジアミン(6.0 g、25 mmol)の溶液に、酢酸(3 mL)を加え、混合物を60℃にて10分間撹拌する。次いで、4−ニトロ酪酸t−ブチルエステル(4.73 g、25 mmol)を反応混合物に加え、60℃にてさらに10分間撹拌を継続する。反応混合物にパラホルムアルデヒド(2.5 g、83 mmol)を少しずつ加え、懸濁液を80℃にて5時間および室温にて一夜撹拌する。暗色反応混合物を濃縮し、残渣を重炭酸ナトリウムの溶液で処理し、酢酸エチル(400 mL)で抽出する。酢酸エチル溶液を水(2x200 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、暗色濃厚油状物を得る。塩化メチレンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。UV可視フラクションを集め、蒸発して、明黄色油状物を得、静置して固化する。収量8.9 g(86.5%)。MS:454.3(M+H)。
【0238】
化合物20
メタノール(25 mL)中のニトロ化合物19(4.5 g、10 mmol)の溶液に、Pd−C 10%(2.0 g)を加え、混合物を50 psiにて24時間水素添加する。触媒を濾去し、回転蒸発器でメタノールを除去する。得られる油状物を24時間減圧乾燥して、アミン20を得る。収率:2.2 g(92%)。MS:244.2(M+H)。
【0239】
化合物21
塩化メチレン(25.0 mL)中のアミン20(3.5 g、14.4 mmol)の溶液に、ピリジン(15.0 mL)を加え、混合物を−10℃に冷却する。塩化メチレン(25.0 mL)中のトリフルオロ酢酸無水物(22.7 g、15.25 mL 、108 mmol)を30分間にわたって滴下する。反応混合物を0℃にて3時間、室温にて12時間撹拌する。溶媒を除去し、得られるペースト状の塊を酢酸エチル(200 mL)に溶解し、水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、黄色油状物を得、減圧乾燥して、泡状固体を得る。収量6.92 g(90%)。
塩化メチレン(10 mL)中のt−ブチルエステル(5.0 g、9.4 mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(15 mL)を加え、溶液を6時間撹拌する。溶媒を除去し、得られる褐色油状物を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチル溶液を濃縮し、残渣を減圧乾燥して、21を黄色泡状固体で得る。収量4.23 g(95%)。MS:474.1(M−H)
【0240】
化合物22
アセトニトリル(15 mL)中の酸21(4.2 g、8.8 mmol)の溶液に、炭酸銀(3.43 g、12.4 mmol)を加え、混合物を10分間撹拌する。次いで、反応混合物にベンジルブロミド(3.42 g、2.4 mL、12.4 mmol)を加え、撹拌を5時間継続する。塩化メチレン(25 mL)を反応混合物に加え、濾過する。濾過ケーキを塩化メチレン(15.0 mL)で洗浄する。濾液を濃縮し、得られる褐色油状物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル、7:3)により精製する。画分(Rf 0.45)を集め、蒸発して、明黄色油状物を得、減圧乾燥して、明黄色固体を得る。収量4.2 g(84%)。MS:588.1(M+Na)。
【0241】
化合物23
無水エタノール(5 mL)中のトリフルオロアセトアミド22(0.57 g、1.0 mmol)の冷スラリーに、水素化ホウ素ナトリウム(0.23 g、6.0 mmol)を2回に分けて加える。反応混合物を10℃にて30分間、室温にて30分間撹拌する。次いで、反応混合物にエタノール性HClを加え、溶媒を除去して、0.72 gの粗生成物を得る。これをさらに精製することなく次のステップに用いる。MS:278.2(M+H)、300.1(M+Na)。
【0242】
化合物24
DMF(1 mL)中のヒドロクロリド23(0.72 g、1.0 mmol)および炭酸カリウム(0.83 g、6.0 mmol)のスラリーに、tert−ブチルブロモアセテート(1.17 g、0.89 mL、6.0 mmol)を加え、混合物を40℃にて24時間撹拌する。反応混合物に塩化メチレン(5 mL)を加え、濾過する。溶媒を減圧除去し、粗生成物を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル、7:3)により精製する。画分(Rf 0.5)を集め、蒸発して、ベンジルエステル24を明黄色油状物で得る。収量0.12 g(17%)。MS:734.4(M+H)、756.4(M+Na)。
【0243】
化合物25
メタノール(5 mL)中のベンジルエステル24(0.15 g、0.2 mmol)をのPd−C 10%(150 mg)存在下で45 psiにて6時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノール性溶液を濃縮して、油状物を得る。これを減圧乾燥して、泡状固体を得る。収量0.11 g(83%)。MS:644.4(M+H)。
次いで、標記化合物25、A−L'(H)を、先に述べたように、本発明化合物が得られるように、遊離カルボキシ部分を介していずれかの適当なアミノポリオールとカップリングさせる。
【0244】
実施例29
Aが式(IIIa)で示される保護カルボキシ基を有するキレート化ユニットであり、L'がリンカー:−CH2−CO−である化合物(化合物30)A−L'(OH)の製造

【0245】
化合物26
エタノール(50 mL)中のtrans−N,N−ジベンジル−1,2−ジアミノシクロヘキサン(10.87 g、0.037 mmol)の溶液に、酢酸(4.5 mL、75 mmol)を加え、60℃にて10分間撹拌する。次いで、4−ニトロ酪酸−t−ブチルエステル(7.1 g、37.5 mmol)を加え、撹拌をさらに10分間継続する。パラホルムアルデヒド(3.37 g、125 mmol)を30分間にわたって少しずつ加え、80℃にて6時間撹拌する。反応混合物を冷却し、形成した固体を濾過し、エタノールで洗浄し、減圧乾燥する。収量9.2 g(49%)。MS:508(M+H)。
【0246】
化合物27
メタノール(50 mL)中のニトロ化合物26(5.1 g、10 mmol)の温溶液に、Pd−C 10%(2.0 g)を加え、混合物を50 psiにて24時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノールを除去して、2.92 g(98%)のアミン27を得る。MS:298(M+H)。
【0247】
化合物28
ベンジルアルコール(20 mL)中のt−ブチルエステル27(1.0 g、3.37 mmol)の溶液に、メタンスルホン酸(1.0 mL)を加え、混合物を24時間撹拌する。反応混合物にTHF(100 mL)を加え、形成した固体を濾過し、THF(2x50 mL)でトリチュレートし、濾過する。得られる粗ベンジルエステルを次のステップに用いる。収量1.2 g(57%)。MS:332.3(M+H)。
【0248】
化合物29
DMF(4 mL)中の28(0.15 g、0.45 mmol)および炭酸カリウム(0.5 g、3.7 mmol)の混合物に、tert−ブチルブロモアセテート(0.51 g、0.39 mL、2.6 mmol)を加え、混合物を48時間撹拌する。反応混合物に塩化メチレン(10 mL)を加え、溶媒を除去して、油状物を得る。得られる油状物を、塩化メチレン、次いで、塩化メチレン−メタノール(95:5)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付す。生成物含有画分(Rf 0.4)を集め、蒸発して、油状物を得る。収量0.15 g(43%)。MS:788.6(M+H)、826.4(M+K)
【0249】
化合物30
メタノール(10 mL)中のベンジルエステル(0.4 g、0.19 mmol)の溶液に、Pd−C 10%(250 mg)を加え、混合物を45 psiにて6時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノール性溶液を濃縮して、油状物を得、減圧乾燥して、泡状固体を得る。収量0.32 g(92%)。MS:698.4(M+H)。
次いで、標記化合物30、A−L'(H)を、先に述べたように、本発明化合物が得られるように、遊離カルボキシ部分を介していずれかの適当なアミノポリオールとカップリングさせる。
【0250】
実施例30
Aが式(III)で示されるキレート化ユニットであり、L'がリンカー:−(CH2)8−CO−である化合物(ω−カルボキシデシルAAZTA)A−L'(OH)の製造

[式中、Phloroglucinolはフロログルシノール;Carboxydecylはカルボキシデシル]
【0251】
11−ブロモウンデカン酸tert−ブチルエステル
CH2Cl2(60 mL)中の11−ブロモウンデカン酸(10.0 g、37.7 mmol)、2−メチル−2−プロパノール(8.38 g、0.113 mol)およびDMAP(0.50 g、3.77 mmol)の溶液に、DCC(8.90 g、43.4 mmol)を加える。反応混合物を室温にて2日間撹拌し、沈澱したジシクロヘキシルウレアを濾去し、CH2Cl2で洗浄する。濾液および合わせた洗液を合わせ、水(2x50 mL)、HCl 1M(2x50 mL)、炭酸水素ナトリウム 5%(2x50 mL)および食塩水(2x50 ml)で洗浄する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧濃縮する。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PET/エーテル 98/2)により精製して、無色油状物3を得る(6.37 g、60%)。
ESI−MS:323−321(MH);(計算値:C15H29BrO2:320 u.m.a.)。
【0252】
11−ニトロウンデカン酸tert−ブチルエステル
100mlの2首丸底フラスコにて、DMF(10 ml)中のNaNO2(2.60 g、38.0 mmol)およびフロログルシノール(3.10 g、19.0 mmol)の撹拌溶液に、11−ブロモウンデカン酸t−ブチルエステル(6.10 g、19.0 mmol)を滴下する。反応混合物を50℃に温め、24時間撹拌し、次いで、40 mLの氷/水および40 mLのPETの混合物を加える。分離後、水性相をさらなるPET(3x30 mL)で抽出し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧濃縮する。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PET/ジエチルエーテル 95/5)により精製して、明黄色固体を得る(2.29 g、42%)。M.p.39−42℃。ESI−MS:288(MH);(計算値:C15H29NO4:287 u.m.a.)。
【0253】
1,4−ジベンジル−6−(10−tert−ブトキシカルボニルデシル)−6−ニトロ−1,4−ジアゼパン
250 mLの丸底フラスコにて、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンジアセテート(2.76 g、7.65 mmol)および11−ニトロウンデカン酸tert−ブチルエステル(2.20 g、7.65 mmol)を、1:1 トルエン/エタノール(100 mL)に溶解する。溶液にパラホルムアルデヒド(800 mg、26.8 mmol)を少しずつ加え、得られる懸濁液を還流する。混合物は均質になり(パラホルムアルデヒドの溶液)、および3時間還流後、混合物を冷却し、減圧蒸発する。残渣をカラムクロマトグラフィー(PET/ジエチルエーテル 95/5)により精製して、無色油状物を得る(2.90 g、69%)。
ESI−MS:552(MH);(計算値:C33H49N3O4:551 u.m.a.)。
【0254】
6−(10−tert−ブトキシカルボニルデシル)−1,4−ジアゼパン−6−イルアミン
50 mlのフラスコにて、1,4−ジベンジル−6−(10−tert−ブトキシカルボニルデシル)−6−ニトロ−1,4−ジアゼパン(500 mg、0.906 mmol)をメタノール(20 mL)に溶解する。Pd/C 10%(200 mg、0.2 mL 水で湿らせる)、次いで、ギ酸アンモニウム(1.14 g、18.1 mmol)を加える。混合物を撹拌し、出発物質が完全に消滅するまで加熱還流する。次いで、触媒を濾去し、濾液を減圧蒸発する。残渣をジクロロメタンに再溶解し、水(2x10 mL)で洗浄する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、減圧蒸発して、所望のトリアミノエステルを無色油状物で得る(308 mg、99.5%)。
ESI−MS:364(MNa)、342(MH);(計算値:C19H39N3O2:341 u.m.a.)。
【0255】
[6−ビス(tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ)−4−tert−ブトキシカルボニルメチル−6−(10−tert−ブチルデカノエート)−1,4−ジアゼパン−1−イル]酢酸tert−ブチルエステル
100 mLの丸底フラスコにて、トリアミノエステル(1.16 g、3.4 mmol)をアセトニトリル(20mL)に溶解し、K2CO3(3.76 g、27.2 mmol)を加える。温度を<10℃(氷浴)に維持しながら、撹拌不均質混合物に、t−ブチルブロモアセテート(3.31 g、17.0 mmol)をゆっくりと滴下する。添加後、TLCが完全な変換を示すまで、撹拌しながら混合物を60℃に加熱する。沈澱を濾去し、ジクロロメタンで洗浄し、濾液および洗液を合わせ、減圧蒸発して、粗生成物を得る。半固体残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/エーテル 8.5/1.5)により精製して、純粋なペンタエステルを淡黄色油状物で得る(2.71g、37%)。
ESI−MS:820(MNa)、798(MH)、742(MH−tBu);(計算値:C43H79N3O10:797 u.m.a.)。
【0256】
[6−ビス(カルボキシメチルアミノ)−4−カルボキシメチル−6−(10−カルボキシデシル)−1,4−ジアゼパン−1−イル]酢酸
50 mLの丸底フラスコにて、ペンタエステル(1.00 g、1.25 mmol)をトリフルオロ酢酸(15 mL)に溶解し、室温にて一夜撹拌する。次いで、溶液を減圧蒸発し、残渣をメタノール(2 mL)に溶解する。生成物を過剰のジエチルエーテルで沈澱させ、遠心分離によって単離し、ジエチルエーテルで完全に洗浄し、減圧乾燥し、純粋な標記化合物を非晶質白色固体で得る(641 mg、99%)。m.p.187−190℃(分解)。
ESI−MS:540(MNa)、518(MH);(計算値:C23H39N3O10:517 u.m.a)。
【0257】
実施例31
化合物14a(化合物50)の製造
化合物14aを以下の反応工程式Z−LおよびZ−Mにより製造する。
反応工程式Z−L

【0258】
化合物43
DMF(25 mL)中のペンタエリスリチルテトラ−アミン塩酸塩(1.2 g 、4.3 mmol)のスラリーに、トリエチルアミン(1.66 g、2.3 mL、16.0 mmol)を加え、混合物を室温にて30分間撹拌する。反応混合物に、DMF(30 ml)中のラクタノラクトン5(5.0 g、14.7 mmol)[(5)Guedj、C.;Pavia、A.A.;Pucci、B.;Riess、J.G.;Zarif、L.WO 94/03468]を3時間にわたって滴下し、室温にてさらに48時間撹拌する。DMFを減圧除去する。得られる油状残渣をアセトニトリル(3x100 mL)でトリチュレートし、アセトニトリル溶液を傾冩する。得られる固体を減圧乾燥し、さらに精製することなく次のステップに用いる。収量4.5 g(91%)。MS:1153.3(M+H)。
【0259】
化合物44
DMF(50 mL)中のアミノ−トリス−ラクトンアミド43(4.6 g、4.0 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.96 g、2.65 mL、15.0 mmol)の混合物に、N−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(3.75 g、15.0 mmol)を加え、24時間撹拌する。DMFを除去し、ペースト状固体をでアセトニトリル(3x100 mL)トリチュレートし、アセトニトリル溶液を捨てる。得られる白色固体を減圧乾燥して、Z−保護アミノ−トリス−ラクトンアミド44を得る。
収量4.72 g、(92%)。MS:1287.3(M+H)。
【0260】
化合物45
ピリジン−酢酸無水物(1:1、100 mL)の混合物に化合物44(5.0 g、6.3 mmol)を溶解し、混合物を50℃にて36時間撹拌する。ピリジン−酢酸無水物を減圧除去し、暗褐色油状物を水(500 mL)で処理し、一夜放置する、形成したオレンジ色固体を濾過し、酢酸エチルに溶解し、10% HCl(3x100 mL)、飽和重炭酸ナトリウム(2x100 mL)および水(2x100 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、オレンジ色泡状固体を得、酢酸エチル/ヘキサン(6:4)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。かすかにUV可視のフラクションを集め、蒸発して、明黄色固体を得る。収量4.2 g(47%)。
【0261】
化合物46(保護アミノポリオールG7)
メタノール(20 mL)中の45(0.46 g、2.0 mmol)の溶液に、Pd−C 10%(300 mg)を加え、混合物を45 psiにて6時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノール性溶液を濃縮して、46を白色固体で得る。収量0.4 g(92%)。MS:2162.6(M+H)。
【0262】
反応工程式Z−M

【0263】
化合物48
DMF(3.0 mL)中のaazta酸47(0.27 g、0.35 mmol)およびHATU(0.12、0.31mmol)の冷却混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(0.22 g、0.32 mL、1.7 mmol)を加え、混合物を5分間撹拌する。活性化aazta酸に、DMF(3 mL)中の化合物46(0.45 g、0.21 mmol)の溶液を加え、溶液を室温にて12時間撹拌する。DMFを除去し、得られる濃厚な油状物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液(2x10 mL)で処理する。得られる黄色固体を濾過し、乾燥する。得られる粗生成物を、塩化メチレン−メタノール(95:5)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。生成物含有画分(Rf 0.5)を集め、蒸発して、カップル生成物を泡状固体で得る。収量320 mg(52%)。MS:2924.6(M+H)、1473.3(M+2H)/2。
【0264】
化合物49
メタノール(5 mL)中のテトラ−ベンジルエステル48(30 mg 、0.01 mmol)の溶液に、Pd−C 10%(50 mg)を加え、溶液を45 psiにて6時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノール性溶液を濃縮して、テトラ酸を白色泡状固体で得る。
収量0.22 mg(88%)。MS:2563.3(M+H)、1282.3(M+2H)/2
【0265】
化合物50
メタノール(〜25%、0.5 mL)中のアンモニアの飽和溶液をテトラ酸49(20 mg、0.008 mmol)に加え、溶液を冷蔵庫で48時間静置する。形成した白色固体を濾過し、メタノール性アンモニア(2x0.5 mL)で洗浄し、減圧乾燥して、化合物50を得る。
収量7.0 mg(58%)。MS:1552(M−H)、775.7(M−2H)/2
【0266】
実施例32
化合物10b(化合物54)の製造

【0267】
化合物52
CH2Cl2(2 mL)中の酸47(0.2 g、0.24 mmol)およびHATU(0.1g 、0.26 mmol)の冷却混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(35 mg、g、45 μL、0.27 mmol)を加え、混合物を5分間撹拌する。活性化した酸に、CH2Cl2(2 mL)中の化合物46(0.43 g、0.2 mmol)の溶液を加え、溶液を室温にて12時間撹拌する。塩化メチレンを減圧除去し、得られる濃厚な油状物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液(2x10 mL)で処理する。得られる黄色固体を濾過し、乾燥し、塩化メチレン−メタノール(95:5)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物含有画分(Rf 0.5)を集め、蒸発して、カップル生成物を泡状固体で得る。収量350 mg(56%)。MS:2981.9(M+H)、1502.6(M+Na)/2。
【0268】
化合物53
化合物52(30.0 mg 、01 mmol)に、TFA(0.75 mL)を加え、8時間撹拌する。TFAを除去し、得られるペースト状固体をCH3CN/水(1:3、2.0 mL)に溶解し、凍結乾燥して、化合物53を白色固体で得る。収量23 mg(87%)。MS:2645.6(M+H)、1323.2(M+H)/2。
【0269】
化合物54
アセテート53(20 mg、0.0075 mmol)に、メタノール(〜25%、0.5 mL)中のアンモニアの飽和溶液を加え、溶液を冷蔵庫で48時間静置する。形成した白色固体を濾過し、冷メタノール性アンモニア(2x0.5 mL)で洗浄し、減圧乾燥して、化合物54を得る。収量8.0 mg(66%)。MS:1634.4(M−H)、816.8(M−2H)/2。
【0270】
実施例33
Gd錯体の製造
公知の手順によって、本発明化合物の常磁性錯体を製造する(参考として、EP 230893およびEP 71564を参照のこと)。非限定的例として、キレート化リガンド1b(Gd−1b)のガドリニウム錯体の製造を以下に記載する。
化合物1b(実施例4に記載のとおり製造する)の水溶液に、pH6−7に維持しながら化学量論的等量の1N NaOH中のGd−Cl3・6H2Oを加える。反応の進行をHPLCでモニターする。18時間後、溶液をミリポア(登録商標)フィルターで濾過し、ナノ濾過し、濃縮する。Dowex(登録商標)CCR3LBカラム(Na型)を通して脱塩溶液をゆっくりとパーコレートして、所望生成物を得る。
【0271】
実施例34
緩和能決定
緩和能特性および本発明の作用剤の緩和能に影響を及ぼすパラメーターを最良に評価するために、いくつかの比較試験を行った。最初の実験において、式:

で示される[Gd(DTPA−モノホスホネート)]3−基本骨格構造(20 MHzおよび298Kにおけるr1p:6.1mM−1 s−1)からすべて誘導され、すべて1つの配位した水分子を含む(q=1)、多数の異なる分子量を有するGdキレート化合物の緩和能を比較した。
試験化合物には、本発明のキレート化合物1bおよび2bのGd錯体(以下、Gd−1bおよびGd−2bと称する)ならびに約1800ダルトン以下のさまざまな分子量を含むように選ばれた多数の前記骨格部分の異なる誘導体が包含される。298Kおよび20 MHzおよびpH 7において、すべての試験化合物の緩和能を測定した。下記表5に挙げた得られた値について、錯体の分子量に対するプロットも行った(図1を参照のこと)。
【0272】
表5

【0273】

【0274】
Gd−1bおよびGd−2bを除いて、試験した錯体のすべての緩和能は、それらの分子量と直線関係を示す。Gd−1bは、この化合物についてその分子量からはまったく予期し得ない、緩和能に対する>2.5 mM−1 s−1のさらなる寄与を示す。この点で、化合物Gd−2bの錯体が示す改善は、さらに高い。
すべて1つの配位した水分子を含む(q=1)、異なる本発明化合物、市販のNSA、公知のLDAおよびその他の系の緩和能を試験するために第2の実験を行った。298Kおよび20 MHzおよびpH 7において、データを記録し、それらの対応する分子量に対してプロットした。得られた結果を下記表6に記載し、図2でも示す。LDA P760およびP792(LDA造影剤)に関する緩和能データは、後記の文献に基づいている。
【0275】
表6

【0276】

【0277】


(1)Vander Elst L、Port M、Raynal I、Muller RNら、European Journal of Inorganic Chemistry、2003、13、2495−2501
(2)Port M、Corot C、Rousseaux Oら、Magnetic Resonance Materials in Physics Biology and Medicine、2001、12、121−127。
【0278】
20 MHzおよび298Kで測定した本発明化合物が示す緩和能値r1pを、同じ化合物の分子再配向値τRに対してプロットする、さらなる試験を行った。得られた結果を図3に示す。
本発明化合物が示す緩和能特性の安定性を試験した。最初の実験において、0.01〜130 MHzの範囲の種々の磁場強度にわたって、いくつかの本発明化合物についての1/T1 NMRD特性を得た。本発明のGd−1bキレート化合物が示す特性を図4に示し、キレート化合物Gd−1c、Gd−2cおよびGd−3cについての対応する特性を図5および図5bisに示す。化合物Gd−2bとGD−DTPA(マグネビスト(登録商標))、市販のNSAおよびGD−DOTA−BSA(公知の血液貯留剤)が示す対応する特性の比較を行った。
比較の結果から、本発明化合物が高緩和能を有し、該緩和能が種々の磁場強度にわたって保持されることが明らかであった(図6を参照のこと)。
興味深いことに、3テスラ(および298K)で測定したGd−2bの緩和能は、依然として20 mM−1 s−1に近かった。このことは、本発明化合物の代表としてGd−2bの緩和能特性が、0.5テスラ(約20 MHz)〜3テスラまでの、より高い磁場強度においても維持されることを明らかに示す。逆に、血液貯留剤が示す緩和能改善は、同じ範囲の磁場強度において急速に低下する。
上記に加えて、他の代表的な本発明化合物について上述のとおり測定した他の緩和能値を以下の表7に示す。
【0279】
表7

【0280】

【0281】

【0282】
実施例35
薬物動態決定
手順の概略
本発明のGd造影剤の静脈内投与後のガドリニウムの血漿中動態を以下の手順によって試験することができる。
導入
この実験の目的は、ラットにGd造影剤を単回静脈内投与した後のガドリニウムの血漿中動態を評価することである。動物に0.05−0.1 mmol/kgの用量を静脈内処置する。投与後24時間までの異なる時点でラットを屠殺する。血液サンプルを集め、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)によって血漿および組織サンプル中のガドリニウム濃度を測定する。さらに、肝臓、膵臓、大腿骨および腎臓を採取して、臓器におけるガドリニウムの残留含量を評価する。分配データの比較のためのコントロール物質としてGd−DTPAまたはプロハンス(細胞外造影剤)を用いることによって実験を行う。
材料
試験物質:本発明化合物
コントロール物質:Gd−DTPA(マグネビスト)またはプロハンス
製剤:水溶液、0.5 M
試験系:試験物質における先の画像化実験が、動物モデルにおいて行われているので、ラットで実験を行う。
実験動物:ラット、体重:150−200 g
方法
実験手順−実験動物の処置
水は、実験期間中動物に自由に与える。静脈内投与が試験物質の臨床使用について予測される投与経路なので、ラットを静脈内処置する。試験物質は室温にて投与する。処置前、直後および投与日中の何度か動物を検査する。
【0283】
実験計画−処置相
各処置グループに無作為に割り当てた36匹のラットを用いて実験を行う。0.05 または0.1 mmol/kgの用量で試験物質を投与する。0.1 mmol/kgの用量でコントロール物質を投与する。
処置の0(ブランク)、2、5、10、20、30、60、120、240、360、480分後および24時間後において計画屠殺(時限)を行う。各屠殺時点において3匹のラットを処置する。
屠殺1−2分前に、ケタミン(Ketavet)(登録商標)、0.7 mL/kg+キシラジン(Rompun)(登録商標)、0.35 mL/kgを筋肉内注射することによって動物を麻酔し、頸動脈から失血させる。血液に対して約1:50(v/v)の比率のナトリウム−ヘパリン溶液(5000 UI/mL)を入れた試験管に血液を採取する。血液サンプルを遠心分離(15分間、1800gにて)した後に血漿サンプルを得る。失血させた後、肝臓、腎臓、膵臓および両方の大腿骨を切除し、秤量する。分析まで、すべての生体サンプルを+4℃にて保管する。
【0284】
生体サンプルにおけるガドリニウムのアッセイ−装置
以下の機器パラメーターで操作するJobin−Yvon Mod 24分光計でアッセイを行う:サンプル流:1mL/分;血漿フレーム:6000−10000℃;波長:342.247 nm;アルゴン流:ネブライザー0.3 L/分、輸送ガス0.2 L/分、冷却ガス12 L/分。サンプルの消化は、マイクロ波システム(MDS−2000 CEM Corporation)によって行う。
【0285】
サンプルの調製および分析条件
1.5 mLの硝酸(65% v/v)に1mLの血漿を懸濁させることによって血漿溶液を調製する。凍結乾燥工程により肝臓を乾燥し、次いで、乳鉢で磨り潰して均質化する。正確に秤量した200 mgの組織粉末を1.5 mLの硝酸(65% v/v)に懸濁させることによって肝臓溶液を調製する。正確に秤量した各腎臓を1.5 mLの硝酸(65% v/v)に懸濁させることによって腎臓溶液を調製する。正確に秤量した各大腿骨を1.5 mLの硝酸(65% v/v)に懸濁させることによって大腿骨溶液を調製する。正確に秤量した膵臓を1.5 mLの硝酸(65% v/v)に懸濁させることによって膵臓溶液を調製する。このサンプルをマイクロ波オーブンシステムで湿式灰化法に付すことによって器質マトリックスの破壊を行う。
最後に、乾燥した残渣を3.0 mLのHCl 5%(w/v)に溶解し、次いで、ICP−AESにより分析する。
データ処理:HCl 5%(w/v)中の0.00−20 mg(Gd)/Lの範囲で3つの標準に対する直線性を評価する。較正直線手段を用いることによって試験サンプル中のガドリニウムの総含量を計算し、μg(Gd)/mLで表す。
【0286】
データの処理
結果の提示:組織の重量(μgまたはμmol Gd/組織g)、全臓器(μmol/臓器)および注射した用量(ID%/臓器)に関して、ガドリニウムの濃度を表す。
骨については、体重の9%の骨量を想定して、後者の値を計算する。
ID%/臓器について、平均および標準偏差を計算する。
40 mL/体重kgのラットにおける血漿体積を想定して、各時点における血漿中の注射した用量の割合を計算する。
血液/血漿濃度の経時変化の統計的解析:コンピュータープログラムWIN−NONLIN V2.1(SCI Software、Lexington、KE、USA)を用いるノンパラメトリック法によって、B22956/1の注射後の時間の関数としてのガドリニウムの血漿濃度C(t)を分析する。各時点における3匹の動物からの平均血漿濃度を用いて、ノンコンパートメントおよびコンパートメント解析を行う。cmaxおよび対応するtmaxについては、測定値を記載する。視覚的にプロフィールの終末相であると評価されるデータポイントの対数線形回帰によって、終末期消失速度定数(λz)を推定する。t1/2 λz=ln 2/λzとして、終末消失半減期(t1/2 λz)を計算する。対数台形法を用い、測定値データから、最終的に測定しうる血漿濃度への血漿濃度−時間曲線下領域(AUC(0−t))を計算する。AUC(0−∞)=AUC(0−t)+ctz(ここで、ctは、最終量化時点における予測濃度である)によって、ゼロから∞への総血漿濃度−時間曲線下領域(AUC(0−∞))を評価する。用量/AUC(0−∞)によって、総血漿クリアランスClを推定する。MRT・Cl(ここで、MRTは、AUC(0−∞)/AUMC(0−∞)として計算される平均滞留時間であり、AUMC(0−∞)は、血漿濃度−時間曲線の第1モーメントである)によって、定常状態における分配の体積Vdssを評価する。また、コンパートメント解析のマクロパラメーターを用いることによって、分配の見かけ体積Vd、分配および消失半減期を評価する。
【0287】
実施例36
血管透過性の評価
内皮細胞を多孔性フィルター上で成長させるインビトロ透過性モデルが、種々の本発明化合物の血管透過性および血管横断通過を評価するための有益な手段であることがわかっている(M.Coradaら、Blood、Vol.100、n.3、pp 905−911;およびC.Corotら、Journal of Magnetic Resonance Imaging、Vol.11、2000、pp.182−191を参照のこと)。
この評価は、3つのステップからなる:(1)試験化合物の非毒性濃度を決定するためのMTTアッセイ;(2)ステップ1で選ばれた濃度が内皮細胞単層において細胞収縮に及ぼす影響の評価(収縮は、ごくわずかで可逆的な細胞毒性の徴候とみなされる);および(3)ステップ2で選ばれた濃度を用いる、多孔性フィルター上で成長した内皮細胞単層を横断する化合物の通過の評価
【0288】
材料
被検物資:本発明化合物;
対照物質:プロハンス(登録商標)、0.5 M水溶液;オムニスキャン(登録商標)、0.5 M水溶液。
試薬
生物製剤:ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)は、Cambrex Bio Science Walkersvilleによって提供され、マウス内皮腫H5Vは、トリエステ、Centro Studi FegatoのTiribelli博士から提供された。HUVECは、内皮細胞基本培地2(EBM−2)およびサプリメントおよび成長因子(EGM−2 Single Quots)において成長させる。H5Vは、 C.Garlanda ら、Proc.Natl.Acad.Sci.Vol.91、pp 7291−7295 July 1994に記載のとおり、90% DMEM培地および10%ウシ胎児血清において成長させる。
化学薬品::ペニシリン/ストレプトマイシン(10000 μg/mL)、貯蔵:−20℃;L−グルタミン(200mM)、貯蔵:−20℃;ウシ胎児血清(FCS)、貯蔵:−20℃;DMEM培地、貯蔵:+4℃;EBM−2培地、貯蔵:+4℃;EGM−2 Single Quots、貯蔵:−20℃;MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)、貯蔵:+4℃;FITC−デキストラン、P.M.約40.000、貯蔵:+4℃、暗所;ヒト血清アルブミン、貯蔵:+4℃、暗所。
【0289】
試験系
Gd系化合物のインビトロ透過性および血管外遊出を試験するのに最もてきしたインビトロモデルであるという理由から、内皮細胞単層を選んだ。
(方法)
(実験手順)
細胞毒性:細胞を生理食塩水で2回洗浄し、培地に再懸濁し、96ウエルプレートに15000−30000 細胞/200μL/ウエル(細胞タイプに応じて変化する)の密度で、MTT試験の少なくとも24時間前に播種する。
(被検物質希釈標準溶液の調製):被検物質および対照を、ウシ胎児血清を含まない培養培地で稀釈して20mM溶液を得る
(マイクロプレート処理):細胞播種の24時間後から、0.078、0.156、0.3125、0.625、1.25、2.5、5、10および20 mMの濃度で、各濃度について6ウエルずつ、被検物質をウエルに加える。
(MTT):各ウエルにMTTを加え、細胞を37℃にて4時間インキュベートする。インキュベーション培地を除去し、生細胞により組み込まれた色素は、1:1 DMSO/エタノール溶液で可溶化される。マイクロプレートリーダーで570 nmにて各ウエルの光学密度を決定する。
【0290】
収縮アッセイ
トランスウエルフィルターを、ウシ胎児血清を含まない培地で1回すすぎ、600μLの成長培地をトランスウエルの下部コンパートメントに加える。
H5V細胞を15000細胞/フィルターの密度で100μLの量でフィルターに播種し、細胞成長をモニターするために、96ウエルプレートに同じ密度および体積で播種する。1日おきに上部および下部培養培地を取り替え、播種の少なくとも4日後の96ウエルプレートに細胞が密接に集密になるときに実験のために細胞単層を用いる。
アッセイを行う前に、少なくとも2つのトランスウエルをクリスタルバイオレットで着色して、単層の状態をチェックする。
【0291】
ヒト血清アルブミン(3.5% w/v)とともに、あるいは無しで、デキストラン−FITC(100μL、0.1mg/mL溶液)を非毒性用量の被検化合物とともに上部チャンバーに加える。アッセイを行う前に、EGTA、5mMとともに4時間インキュベートして、透過性にされた単層を得る。
デキストラン−FITCの用量のために、インキュベーションの30および60分後、下部および上部コンパートメントから培地を除去し(各回、少なくとも4つのトランスウエル)、サンプルをPBSで1:6に希釈し、それぞれ励起および発光のための492および520nmの波長を用いて蛍光光度計で蛍光を測定する。
【0292】
透過性
ウシ胎児血清を含まない培地でフィルターを1回すすぎ、トランスウエルの下部コンパートメントに600μLの成長培地を加える。
H5V細胞を15000細胞/フィルターの密度で100μLの量でフィルターに播種し、96ウエルプレートに同じ密度および体積で播種する。1日おきに上部および下部培養培地を取り替え、播種の少なくとも4日後の96ウエルプレートに細胞が密接に集密になるときに実験のために細胞単層を用いる。
アッセイを行う前に、少なくとも2つのトランスウエルをクリスタルバイオレットで着色して、単層の状態をチェックする。ヒト血清アルブミン(3.5% w/v)とともに、あるいは無しで、被検化合物を、収縮アッセイから得られる収縮効果のない濃度で上部チャンバーに加える。プロハンス(登録商標)を同じ条件および濃度で加える。アッセイを行う前に、EGTA、5mMとともに4時間インキュベートして、透過性にされた単層を得る。
デキストラン−FITCの用量のために、インキュベーションの15および30分後、下部および上部コンパートメントから培地を除去し(各回、少なくとも4つのトランスウエル)、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)によって、ガドリニウム含量を決定する。
【0293】
データ分析
各グループの光学密度値の平均±標準偏差でデータを表す。パラメトリック検定(ダネット検定)を用いてパラメーターを比較する。上述のとおり操作することによって、透過性を評価するために、本発明の代表的化合物(Gd−2b)を試験した。図7に示すように、集めたデータから、G2−2bが、公知の(NSA)ガドリニウム常磁性造影剤であるプロハンス(登録商標)、と比べて管外遊出特性に恵まれていることが明らかに示される。
【0294】
実施例37
C6細胞誘発性神経膠腫の同所性ラットモデル
脳腫瘍を特徴付けするための新規な本発明造影剤の利益を評価し、その管外遊出を評価するために、磁気共鳴画像法(MRI)を用いた。
この実験の目的は、インビボMRIを用いることによって、中枢神経系疾患において通例用いられる造影剤(マルチハンスおよびプロハンス)を越えた本発明化合物の有効性を評価するために、神経膠腫のラットモデルを開発することであった。この目的のために、ラットの脳に配置した種々の数のC6細胞について腫瘍成長を評価した。
106個のC6細胞を接種した動物のグループにおいて、二週間の時点で腫瘍の大きさおよび構成は、他のグループよりも均質性が大きかった。脳腫瘍のシグナル増強において、造影剤(CA)の間に有意な差異は観察されなかった。
この実験から、ラットに106個のC6細胞を接種した二週間後は、新規造影剤の評価に適した発達の初期段階の脳腫瘍を得るために適切な条件であったことが示唆される。
【0295】
序論
造影剤は、脳血管系の完全性を評価し、脳損傷を特徴付けるために磁気共鳴画像法(MRI)において通常用いられる(Fonchy E.ら、J.of Magnetic Resonance Imaging、2001、14、97−105.1)。MRIは、組織の特徴を現すをその能力のために、脳腫瘍を診断するための最も有用な方法の1つである。
この実験の目的は、ラット脳においてC6細胞の接種によって誘発される神経膠腫のモデルを開発することであった。種々の造影剤(CA)による動的信号増加により、腫瘍成長と透過性の両方について、この実験的脳腫瘍をMRIによってインビボでモニターした。
この目的のために、腫瘍発達の初期段階にあるC6神経膠腫ラットモデルにおいてインビボMRIにより、高緩和能をもつ造影剤を標準的化合物(プロハンスおよびマルチハンス)と比較した(Zhang T.ら、AJNR、2002、23、15−18.2)。
【0296】
材料
被検物質:本発明化合物;0.25M水溶液;
対照物質::マルチハンス(登録商標);プロハンス(登録商標)0.5 M;両方とも室温にて貯蔵。
化学薬品:Chemicals:ペニシリン/ストレプトマイシン(10000 mg/mL)、貯蔵:<−20℃;L−グルタミン(200mM)、貯蔵:<−20℃;ウシ胎児血清(FBS)、貯蔵:−20℃;ウマ血清(HS)、貯蔵:−20℃;ハムのF12K培地、貯蔵:+4℃;ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、貯蔵:室温にて。
【0297】
試験系
この種類の実験に適したモデルなので、ラットが試験系として選ばれている。
実験動物:種および系統:ウィスターラットCrl(WI)BRおよびフィッシャーラットCrlBR;38匹のウィスターおよび12匹のフィッシャー雄性ラット;体重および到着時週齢:106−151g、4−5週齢。供給者:Charles River Laboratories Italia S.p.A.、カルコ(LC)、イタリア。
実験動物管理:食餌:エストロゲン活性が無く、有害物質規制法、連邦公報パートIV、July 26、1979によって要求される限度以下の汚染物質レベルであると認定されたMucedola製(Settimo Milanese(MI)、イタリア)ペレット状4RF21−GLP TOP CERTIFICATE。食餌は、実験前日まで自由に与えた。水:1.0および0.2 μmフィルターで濾過した、ミラノ市上水道からの水道水。水は自由に与えた。寝床材料:毒性濃度の汚染物質を含まないと認定された、Charles Riverが供給するSano−Chip(登録商標)。住居:隔離期間中、動物をMakrolon(登録商標)ケージ(Tecniplast Gazzada、イタリア)で飼育した(ケージ当たり3匹以下)。環境的条件:実験の全期間を通して、動物を条件付きおよびアクセス制限環境下で維持した。パラメーターは、以下のとおり設定した:平均相対湿度(最低および最高値):55.0%(45−65 %);平均温度(最低および最高値):21.0℃(18−24℃);換気:15−20時間ごと。明暗:自動時計によりコントロールして、毎日12時間の明期を得た。
温度および相対湿度データを30秒ごとにモニターし、コンピュータデータベースによって5分ごとに記録した;毎日の平均値を計算した。
動物に関与するすべての手順は、実験動物に関する国内法および国際法にしたがって行った。動物を使用しない実験は、この実験の目的を達成するには無効であることがわかっている。
【0298】
方法
実験設計
脳内注入のための細胞調製:C6細胞をPBSで2回洗浄し、3種類の濃度(1.104;1.105;1.106)で10 μLのPBSに懸濁し、ハミルトンシリンジで3グループの動物に接種した。
皮下注射用細胞調製品:C6細胞を生理食塩水で2回洗浄し、次の濃度で200 μLのPBSに再懸濁する:1.106、1.5x106および1.10x106
脳内腫瘍接種:ラットを麻酔した後、頭部を剃り、消毒し、頭蓋骨を露出するために皮膚を切開した。動物を定位器具に置き、頭部を2つの耳道および上顎で固定した。頭蓋骨にドリルで穴を開け、ハミルトンシリンジで神経膠腫細胞を右線条体に次の座標にしたがって注射した:前側0.8 mm 、ブレグマの側方3.2 mmおよび骨の腹側4 mm。細胞注入後、神経学的臨床徴候の発症について動物をモニターした。
皮下腫瘍接種:12匹フィッシャーのおよび12匹のウィスター雄性ラット(4匹の動物/グループ、4−5週齢)に種々の濃度の細胞懸濁液を皮下注射した。
腫瘍塊の発達について、第3日から3−5日間ごとにすべての動物を審査した。カリパスによって腫瘍塊を測定し、腫瘍体積=(Dxd2)/2[ここで、D=最大直径、d=最小直径]として腫瘍体積を計算した。
【0299】
MRI手順
C6注入後、第7日から第10日に、0.2 mL/kgの用量のチレタミン/ゾラゼパム(Zoletil)(登録商標)および0.25 mL/kgの用量のキシラジン(Rompun)(登録商標)の溶液を筋肉内注射することによってラットを麻酔した。
本発明化合物および参照造影剤(プロハンスおよびマルチハンス)を0.1 mmol/kg(B22956/1については0.05 mmol/kg)の用量で単回投与にて静脈内投与した。
以下の方法でMRI収集を行った:
解剖学的局在化のためのT1強調グラディエントエコー(GE)シーケンスを用いてスカウト画像を得た。
腫瘍、特に壊死部分を局在化させ、特徴付けるために、3方向における高分解能T2強調ファストスピンエコー(FSE)(TR/TE/TEeff=2300/30/60ms、4エコー、4アベレージ、ピクセル=281μm、スライス厚=1.5mm)を用いた。
【0300】
プレコントラストおよびポストコントラストにおいて、高分解能アキシャルT1強調スピンエコー(SE)画像(TR/TE =380/13 ms、4アベレージ、ピクセル=281μm、スライス厚=1.5mm)を得た。
注入後40分まで±3分間ごとに連続的T1 SEポストコントラスト画像を得た。シグナル標準化のための標準参照として、動物の頭部の高さに置いた3.75 mMのNiCl2−6H2Oの溶液のチューブを用いた。
実験の終わりに、チレタミン/ゾラゼパム(Zoletil)(登録商標)0.2 mL/kg+キシラジン(Rompun)(登録商標)0.25 mL/kgの筋肉内注射によって動物を屠殺し、肉眼で見える脳内転移の発生の可能性について、視覚による検証を行った。
SMISスキャナーソフトウェアを用いて、画像を分析した。全脳腫瘍をカバーする対象領域(ROI)および標準脳領域におけるシグナル測定からシグナル増強を計算した。
【0301】
データ分析
シグナル強度の増強(増強%)を「増強%=100*(ポストSI−プレSI)/プレSI」として決定した。ここで、プレSIまたはポストSIは、造影剤投与前または後に測定した病変の平均シグナル強度である。
(結果)
(脳内腫瘍特徴決定)
最初の実験では、10,000〜1,000,000個のC6細を接種した3グループの動物においてインビボMRIによって腫瘍成長を観察した。接種から2週間後、104細胞グループでは、病変は検出できなかったが、105および106グループでは、図1および図2に示すように病変は有意に検出された。104細胞グループについて、病変はゆっくりと増加し、接種から4週間後に有意な体積に達したが、動物間で高いバラツキが見られた。105および106細胞処置動物には、腫瘍体積における重大な増加が観察された。しかし、2週間の時点で、106細胞グループでは、腫瘍サイズおよび組成は、他の2つのグループよりも均質であった。
【0302】
(皮下腫瘍特徴決定)
ウィスター雄性ラットにおけるC6細胞の移植は、第6日から100%の動物に腫瘍の進行をもたらしたが、腫瘍の存在およびその体積は、移植後第17日から完全拒絶(日)まで急速に減少した。腫瘍再発の徴候のない状態で細胞接種後50日まで、すべての動物を追跡した。
フィッシャー雄性ラットにおけるC6細胞の移植は、10x106細胞動物については第3日から、5および1x106細胞動物については第5−8日から、100%の動物に腫瘍の進行をもたらした。しかし、腫瘍の存在およびその体積は、移植後第15日から完全拒絶(第28日)まで急速に減少した。腫瘍再発の徴候のない状態で細胞接種後35日まで、すべての動物を追跡した。
【0303】
(コントラスト増強)
105および106個のC6細胞を接種したラットでは、造影剤により2週間の時点で脳腫瘍のシグナル増強が観察された;脳腫瘍の最大シグナル増強は、腫瘍体積とともに増加するように思われる。さらに、大きい腫瘍については、シグナル増強は均一であるように見える。試験した造影剤の間に差異は見出されなかった。これらの最初の結果から、106個のC6細胞を接種したラットにおいて以下の実験を行い、2週間後、種々の造影剤を用いるインビボMRIによってラットを分析した。
T2強調プレコントラスト画像では、いくつかの動物(8/15)において腫瘍中に暗領域が認められ、それは壊死中心に対応する。これらの動物において、ある種の造影剤では、シグナル増強が他のラットと差異がなかった。
動物全体としては、脳腫瘍のシグナル増強において、造影剤間で有意な差異は認められなかった。正常な脳組織および疑似動物(sham animal)には、増強は観察されなかった。
【0304】
(結論)
1.106個の神経膠腫細胞のラット線条体における同所性注入は細胞接種後2週間から、80 %の動物に脳腫瘍をもたらした。
この実験では、インビボMRI実験に適した脳腫瘍モデル、すなわち、
進行の初期段階における小さい腫瘍サイズ;
インビボMRIにより検出可能;
合理的な期間内(接種から2週間後)に得られる;
動物間で腫瘍サイズおよび組成が均質;
であることを得るために、最適実験条件が見出された:
【0305】
結論として、これは、脳腫瘍のMRI画像法にとって、および造影剤の管外分配を評価するために、有用なモデルである。
さらに、近交系および非近交系ラット系統の両方における皮下C6注射は、しゅようの安定したモデルをもたらさなかった。事実、腫瘍は100%の動物において進行したが、その存在および体積は、開始から完全拒絶まで急速に減少した。したがって、異所性C6移植は、画像研究には適していない。
【0306】
本発明のこれまでの記載を通して、種々の特許、論文およびその他の刊行物が引用または参照されている。各特許、論文およびその他の刊行物は、全体を参考文献として本出願に援用される
【図面の簡単な説明】
【0307】
【図1】q=1であるホスホネートキレート基を有する本発明Gd(III)錯体および比較Gd錯体化合物のそれらの分子量に対してプロットした緩和能値(25℃、中性pH、0.47 T)。
【図2】構造的に異なるq=1である本発明Gd(III)錯体および比較Gd錯体化合物のそれらの分子量に対してプロットした緩和能値(25℃、中性pH、0.47 T)。
【図3】構造的に異なるq=1である本発明Gd(III)錯体のそれらの分子再配向時間に対してプロットした緩和能値(τR)(25℃、中性pH、0.47 T)。
【図4】Gd−1b錯体の1H 1/T1 NMRD特性(25℃、1mM水溶液)。
【図5】Gd−1c、Gd−2cおよびGd−3c錯体の1H 1/T1 NMRD特性(25℃、1mM水溶液)。
【図5bis】Gd−1c、Gd−2cおよびGd−3c錯体の1H 1/T1 NMRD特性(25℃、1mM水溶液)。
【図6】Gd−2b(黒丸)、Gd−DTPA(マグネビスト)(登録商標)(黒四角)およびGd−DOTA(BOM)3とBSAとの非共有結合付加体(白丸)の1H 1/T1 NMRD特性(25℃、1mM水溶液)。
【図7】透過性アッセイ:ICP−AESによってアッセイしたH5V単層におけるプロハンス(登録商標)と比較したGd−2b(1.25 mM)の経内皮通過(実施例36を参照のこと)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
A(LR)v (I)
[式中、Aは、直線または環式キレート化骨格部分である;Rは独立して、Hまたは2−30個のヒドロキシル基によって置換された直鎖または分枝鎖アルキル鎖(鎖は必要に応じて、−O−、−NH−、−N<、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−CON<または>NCO−から選ばれる1つまたはそれ以上の基によって中断される)を含むC2−C70アミノポリオール部分であり、必要に応じて、1つまたはそれ以上のC4−C10環式単位によって置換される;Lは独立して、直接結合またはAおよびRの間の最大20個の炭素原子を含む二価の直線もしくは分枝リンカー部分である;vは、1−7の正の整数である;ただし、R基の少なくとも1つは、H以外で4ある]
で示される化合物またはこのようなリガンドの生理学的に許容しうる塩。
【請求項2】
式(II):

[式中、RおよびLは、請求項1と同意義である]
で示される請求項1に記載の化合物ならびに対応するホスホネート(−PO3H2)およびカルボキシ(−COOH)基のプロトン化体。
【請求項3】
式(II):

[式中、RおよびLは、請求項1と同意義である]
で示される請求項2に記載の化合物ならびに対応するホスホネート(−PO3H2)およびカルボキシ(−COOH)基のプロトン化体。
【請求項4】
式(II):

[式中、RおよびLは、請求項1と同意義である]
で示される請求項3に記載の化合物ならびに対応するホスホネート(−PO3H2)およびカルボキシ(−COOH)基のプロトン化体。
【請求項5】
Lが、直接結合または最大15個の炭素原子を含むリンカーである請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)または(II)で示される化合物。
【請求項6】
Lが、直接結合または式:

[式中、nおよびn'は独立して、0または1−4の整数であり、p、qおよびsは独立して、0または1である]
で示されるリンカーである請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Lが、直接結合または式:

[式中、n、qおよびsは、請求項6と同意義である]
で示されるリンカーである請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Rの意義において、C4−C10環式単位が独立していずれも、ヒドロキシ、ヒドロキシメチルおよびアミノから選ばれる1つまたはそれ以上の基によって必要に応じて置換された炭素環式または複素環式環である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)または(II)で示される化合物。
【請求項9】
炭素環式または複素環式環が、







から選ばれる請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
各Rが独立して、Hまたは
−NH−(CH2)0−2−C[(CH2)1−2−O−Q]3
−NH−(CH2)1−2−CON[(CH2)1−3−CONH−C[(CH2)1−2−O−Q]3]2
−N[(CH2)1−4−NHCO−(CHOH)4−CH2OH]2
−NH−(CH2)0−2−C[(CH2)1−4−NHCO−(CHOH)4−CH2OH]3
−N[(CH2)1−4−N[(CH2)1−4−COY]2]2
−NH−C[(CH2)1−4−COY]3
−NH−C[(CH2)1−2−O−(CH2)1−3−COY]3
−NH−CH(COY)[(CH2)1−2−COY];
−NH−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)0−2−C(R1)(CH2OH)2]2
−NH−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)0−2−C(R1)(CH2OH)2]2]2
−NH−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)1−2−CH[(CH2)1−2−O−(CH2)0−2−C(R1)(CH2OH)2]2]2]2
[ここで、Qは、式:

で示される基である;
R1は、Hまたはメチルである;および
Yは独立して、

から選ばれる]
から選ばれる、請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)または(II)で示される化合物。
【請求項11】
各Rが独立して、Hまたは式A1−A2、B1−B3、G1−G11、C1−C11、D1−D11、E1−E11およびF1−F11:

A1

A2

B1

B2

B3

G1

G2

G3

G4

G5

G6

G7

G8

G9

G10

G11







で示される基から選ばれる請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
式(II):

(II)
[式中、
1b)L1は−CH2CO−、L2は直接結合、R1はB1基およびR2はHである;
2b)L1は−CH2CO−、L2は直接結合、R1はB2基およびR2はHである;
3b)L1は−CH2CO−、L2は−CH2CO−、R1はB1基およびR2はB1基である;
4b)L1は−CH2CO−、L2は−CH2CO−、R1はB2基およびR2はB2基である;
5b)L1は−CH2CO−、L2は直接結合、R1はG9基およびR2はHである;
6b)L1は−CH2CO−、L2は直接結合、R1はG3基およびR2はHである;
7b)L1は−CH2CO−、L2は直接結合、R1はC1基およびR2はHである;
8b)L1は−CH2CO−、L2は直接結合、R1はE1基およびR2はHである;
9b)L1は−CH2CO−、L2は直接結合、R1はG10基およびR2はHである;
10b)L1は直接結合、L2は−CH2CH2CO−、R1はHおよびR2はG7基である;
11b)L1は−CH2CO−、L2は直接結合、R1はG8基およびR2はHである;
ここで、B、C、EおよびGの基はいずれも請求項11と同意義である]
で示される請求項3に記載の化合物およびその生理学的に許容しうる塩。
【請求項13】
Fe(2+)、Fe(3+)、Cu(2+)、Cr(3+)、Eu(3+)、Dy(3+)、La(3+)、Yb(3+)、Mn(2+)、Mn(3+)およびGd(3+)から選ばれる二価または三価の常磁性金属イオンとのキレート錯体としての請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)または(II)で示される化合物およびその生理学的に許容しうる塩。
【請求項14】
常磁性金属イオンがGd(3+)である請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
生理学的に許容しうる塩が、カリウム、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムなどのアルカリまたはアルカリ土類金属;エタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、グルカミン、N−メチルグルカミンおよびN,N−ジメチルグルカミンなどの有機塩基;クロリド、ブロミド、ヨージド、スルフェート、アセテート、スクシネート、シトレート、フマレート、マレエート、オキサレートなどの無機または有機酸のアニオン;およびタウリン、グリシン、リシン、アルギニン、オルニチンまたはアスパラギン酸およびグルタミン酸などのアミノ酸のカチオンおよびアニオン、から選ばれる酸または塩基付加塩である前記請求項のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項16】
1)分子の残りの部分(A−L)とのカップリング反応に関与するアミノ基および水酸基が適当にかつ独立して保護または活性化されうる、適当な形体におけるアミノポリオール部分Rの製造;
2)その一部であるいずれかの任意の官能基が独立してかつ適当に保護または活性化されうる、適当な形体におけるリンカーLの製造;
3)金属配位および分子の残りの部分との共有結合に関与するかまたはしないのどちらかである、いずれかの官能基が適当にかつ独立して保護または活性化されうるものであり、必要に応じて、キレート化部分Aが、選ばれた常磁性または放射性金属イオンとすでに錯体を形成することができる、適当な形体における骨格キレート化部分Aの製造;
4)A、LおよびR部分のいずれかにおける、いずれかの選ばれた保護基および/またはいずれかの選ばれた官能基の切断による、いずれかの適当な順序におけるA、LおよびRのカップリング;
5)いずれかの保護基の切断および式(I)または(II)で示される化合物の単離;および必要に応じて、
6)式(I)または(II)で示される化合物と選ばれた常磁性金属イオンとの錯体形成、次いで、キレート錯体および/またはその塩の単離;
を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)または(II)で示される化合物、請求項15に記載の生理学的に許容しうる塩およびその請求項13に記載のキレート錯体の製造方法。
【請求項17】
式:



で示されるアミノポリオールならびに請求項11に記載の式:A2、B2、B3、G1−G11および式:C1−C11、D1−D11、E1−E11およびF1−F11で示されるアミノポリオールに対応するアミンおよび酸付加塩。
【請求項18】
診断用の請求項13に記載の式(I)または(II)で示される化合物のキレート錯体。
【請求項19】
MRIによるヒトまたは動物体の臓器もしくは組織の画像診断用の医薬組成物の製造における請求項13に記載の式(I)または(II)で示される化合物のキレート錯体の使用。
【請求項20】
有効量の請求項13に記載の式(I)または(II)で示される化合物のキレート錯体ならびに任意の担体、稀釈剤および賦形剤を含む診断用医薬組成物。
【請求項21】
式(I)または(II)で示される化合物のGdキレート錯体を含む請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
MRIの使用によるヒトまたは動物体の臓器もしくは組織の画像化方法であって、ヒトまたは動物体に請求項20に記載の医薬組成物を投与し、MRIの使用によってヒトまたは動物体を画像化することを含む方法。
【請求項23】
約0.5〜約3 MHzで変化する磁場強度にわたって実質的に保持される高緩和能を特徴とする低分子量の常磁性金属イオン性非特異的造影剤(NSA)。
【請求項24】
3.5 kDAより低い分子量を有する請求項23に記載の非特異的造影剤。
【請求項25】
常磁性金属イオンが、Fe(2+)、Fe(3+)、Cu(2+)、Cr(3+)、Eu(3+)、Dy(3+)、La(3+)、Yb(3+)、Mn(2+)、Mn(3+)およびGd(3+)から選ばれる請求項23に記載の非特異的造影剤。
【請求項26】
常磁性金属イオンが、Gd(3+)である請求項25に記載の非特異的造影剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5bis】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−505142(P2008−505142A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519678(P2007−519678)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006958
【国際公開番号】WO2006/002875
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(504448162)ブラッコ・イメージング・ソシエタ・ペル・アチオニ (34)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO IMAGING S.P.A.
【Fターム(参考)】