説明

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその成形品

【課題】靭性、耐熱性に優れ、成形時の発生ガスが少ないPPS樹脂組成物およびそれを用いた成形品を提供することを課題とする。
【解決手段】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとからなるエチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体1〜100重量部を配合してなることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温での靭性に優れ、加熱使用時または成形時に発生するガスが少ないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂と略す)は、剛性、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性および成形加工性をバランスよく備えているため、電気・電子部品、水廻り部品および自動車部品などに広く用いられている。
【0003】
ただし、PPS樹脂は他のエンジニアリングプラスチックに比べて、引張破断伸びや衝撃強度で示される靭性に劣るという問題点を有する。
【0004】
かかる問題点を解決するため、PPS樹脂に各種エラストマーを配合する方法がこれまでにも提案されており、例えば、特開2000−198923には靭性に優れるエチレン・α−オレフィン系共重合体を配合する方法が示されているが、PPS樹脂のプロセス温度が300℃以上であるため、成形品を得るまでのプロセスで耐熱性に劣るエチレン・α−オレフィン系共重合体が熱分解してしまい、成形時に発生ガスが増えて、金型のベント詰まりや汚れにより成形品外観が悪化し、さらには、金型腐食が起き易くなるという問題点があった。また、特開平11−49952に発生ガスによる金型汚れを低減するために、エラストマーとしてエチレンと炭素数5以上のα−オレフィンとのオレフィン系共重合体を用いたPPS樹脂組成物が提案されている。しかしながら、一般的なエチレン・α−オレフィン系共重合体はランダム共重合であり、エチレン成分を増やして耐熱性を向上させるとガラス転移点も高くなり、得られるPPS樹脂組成物の低温における靭性が不十分であり、耐寒性、耐冷熱性、耐凍結性などが要求される自動車用途や水廻り用途には不向きであった。
【0005】
以上のことから、低温靭性と低ガス性を両立したPPS樹脂が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−198923号公報
【特許文献2】特開平11−49952号公報([0016]段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れた低温靭性、耐熱性、低ガス性を示すPPS樹脂組成物およびその成形品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)(A)PPS樹脂100重量部に対し、(B)エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとからなるエチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体1〜100重量部を配合してなることを特徴とするPPS樹脂組成物、
(2)(B)の融点が100℃以上かつガラス転移点が−50℃以下であることを特徴とする(1)のPPS樹脂組成物、
(3)(A)PPS樹脂100重量部に対し、(C)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩、カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する官能基含有オレフィン系共重合体1〜100重量部を配合してなる(1)または(2)のPPS樹脂組成物、
(4)(A)PPS樹脂100重量部に対し、(D)無機充填材1〜400重量部を配合してなる(1)〜(3)いずれか記載のPPS樹脂組成物、
(5)(D)の無機充填材がガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である(1)〜(4)いずれか記載のPPS樹脂組成物、
(6)(1)〜(5)いずれかに記載のPPS樹脂組成物からなる成形品、
(7)成形品が水廻り部品である(6)記載の成形品である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のPPS樹脂組成物は、低温靭性および低ガス性に優れるため、電気・電子関連機器、精密機械関連機器、水廻り部品、事務用機器、自動車・車両関連部品、建材、包装材、家具、日用雑貨、とりわけ自動車および水廻り用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例で成形したガス評価用金型成形品の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0013】
本発明の(A)PPS樹とは、下記構造式で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
【0014】
【化1】

【0015】
上記構造式で示される繰り返し単位を70モル%以上、特に90モル%以上含む重合体であることが耐熱性の点で好ましい。またPPS樹脂は、その繰り返し単位の30モル%未満を、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されることが可能である。
【0016】
【化2】

【0017】
また、高い溶融粘度を有するPPSが所望の場合に、ジハロベンゼンを主モノマーとし、トリハロベンゼンを3モル%未満共重合した分岐状PPSを適用することも可能である。
【0018】
(PPS樹脂の重合)
かかるPPS樹脂は通常公知の方法即ち特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造することができる。本発明において上記のように得られたPPS樹脂を空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など種々の処理を施した上で使用することももちろん可能である。
【0019】
PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常、170℃〜80℃が選択され、好ましくは200〜270℃であり、時間は通常0.5〜100時間が選択され、好ましくは2〜50時間であるが、この加熱処理温度と時間の両者をコントロールすることにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0020】
PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくより均一に処理するためには回転式あるいは攪拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0021】
本発明において、脱イオン処理などにより、PPS中の灰分率が0.2重量%以下に低減されたPPS樹脂を用いることは、より優れた靭性および成形加工性を得る意味で好ましい。かかる脱イオン処理の具体的方法としては酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理および有機溶剤洗浄処理などが例示でき、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いてもよい。なお、ここで灰分量の測定は以下の方法に従った。乾燥状態のPPS原末約5gを坩堝に測り取り、電気コンロ上で黒色塊状物となるまで焼成する。次にこれを550℃に設定した電気炉中で炭化物が焼成しきるまで焼成を続ける。その後デシケータ中で冷却後、重量を測定し、初期重量との比較から灰分率を計算する。
【0022】
PPS樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、洗浄に用いる有機溶媒としては、PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限は無いが、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のなかでN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
【0023】
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜攪拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。また、有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は、残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
【0024】
PPS樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で過熱、攪拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
【0025】
PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜攪拌または加熱することも可能である。用いられる酸はPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが挙げられる。中でも酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹脂は残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また、洗浄に用いる水は、酸処理によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
【0026】
次に発明の必須成分である(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20を有する少なくとも1種以上のα−オレフィンを共重合してなるものであるが、共重合の様式がブロック共重合であることが特長である。
【0027】
本発明に用いる(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体は、化学的または物理的な特性が異なる2つまたはそれ以上の重合したモノマー単位の複数のブロック、いわゆるセグメントによって特徴付けられ、次式:
(AB)n
によって表すことができ、式中、nは少なくとも1好ましくは1より大きい整数、Aは、例えばエチレンのみが共重合したハードセグメントを表し、Bはα−オレフィンのみが共重合したソフトセグメントを表す。このハードセグメントとソフトセグメントが共存する分子骨格のため、他の結晶性樹脂のようにラメラ構造をとる。
【0028】
本発明に用いる(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体の製造方法は、特表2008−545016号報に開示されており、エチレンを高選択的に重合する触媒、α−オレフィンを高選択的に重合する触媒および可逆的連鎖移動剤を組み合わせることにより、従来のエチレン・α−オレフィン系共重合体の共重合様式であるランダム共重合とは異なるブロック共重合体を得ることができる。なお、従来のエチレン・α−オレフィン系共重合体はチタン、ジルコニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒で構成されたメタロセン系触媒のみによって得られたものであり、同方法で得られる共重合の様式はランダム共重合である。また、メタロセン系触媒による製法が確立される以前に、チーグラー系触媒による製法が用いられてきたが、得られる共重合様式は同様にランダム共重合である。
【0029】
また、本発明に用いる(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体の炭素原子数3〜20のα−オレフィンとして、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられ、1−ブテンおよび1−オクテンが特に好ましい。
【0030】
また、本発明に用いる(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体の融点とガラス転移点は、融点が100℃以上かつガラス転移点が−50℃以下であり、好ましくは融点が110℃以上かつガラス転移点が−55℃以下であり、より好ましくは融点が115℃以上かつガラス転移点が−60℃以下である。融点が100℃以上であると、金型汚れを低減でき、ガラス転移点が−50℃以下であると、PPS樹脂の低温靭性を向上させることができる。
【0031】
かかる(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体の融点は、示差走査型熱流量計(島津製作所製DSC−60)を用い、示差熱量測定によりポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度の観測後、180℃の温度でまで昇温し、同温度で3分間保持した後、20℃/分の降温条件で−30℃まで一旦冷却した後、10℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を求め、融点とした。
【0032】
また、かかる(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体のガラス転移点は、上記の示差走査型熱流量計により、20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度の観測後、130℃まで昇温し、同温度で3分間保持した後、10℃/分で−100℃まで冷却し、得られたDSC曲線から、JIS K7191に準拠して求めた。
【0033】
また、本発明に用いる(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体の密度は1.00g/cm以下であり、好ましくは0.95g/cm以下であり、より好ましくは0.90g/cm以下である。同密度が1.00g/cm以下であると、得られるPPS樹脂組成物の靭性を向上させることができる。
【0034】
また、本発明に用いる(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体の配合量は、PPS樹脂100重量部に対し、1〜100重量部の範囲が選択され、好ましくは2〜70重量部、より好ましくは3〜50重量部である。(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体の配合量が少なすぎると、引張破断伸びや衝撃強度などの靭性改良効果が軽微であり、多すぎるとPPS樹脂が本来有する耐熱性、耐薬品性、耐熱水性が顕著に阻害される。
【0035】
次に、本発明に用いられる(C)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する官能基含有オレフィン系共重合体を(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体とともに配合することはPPS樹脂との相溶性を向上させる上で重要である。
【0036】
(C)官能基含有オレフィン系共重合体の態様としては、エポキシ基を有するモノマーが共重合されたオレフィン系共重合体が挙げられ、特にα−オレフィンおよびα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを共重合してなる(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体が好ましい。
【0037】
(C)官能基含有オレフィン系共重合体のα−オレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1ペンテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−オクテンなどが挙げられ、中でもエチレンが好ましく用いられる。またこれらは2種以上を同時に使用することもできる。
【0038】
また、(C)官能基含有オレフィン系共重合体のα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとは、一般式
【0039】
【化3】

【0040】
(ここでRは水素原子または低級アルキル基を示す)で示される化合物であり、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどが挙げられ、中でもメタクリル酸グリシジルが好ましく用いられる。
【0041】
本発明に用いる(C)官能基含有オレフィン系共重合体のα−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルの共重合様式はランダム、交互、ブロック、グラフト共重合のいずれでもよい。
【0042】
また、本発明に用いる(C)官能基含有オレフィン系共重合体として、α−オレフィン(1)とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル(2)に加え、さらに下記一般式で示される単量体(3)を必須成分とするエポキシ基含有オレフィン系共重合体もまた好適に用いられる。
【0043】
【化4】

【0044】
(ここで、Rは水素または低級アルキル基を示し、Xは−COOR基、−CN基あるいは芳香族基から選ばれた基。またRは炭素数1〜10のアルキル基を示す)
【0045】
かかるオレフィン系共重合体に用いられるα−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルの詳細は上述と同様である。
【0046】
一方、単量体(3)の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、芳香環がアルキル基で置換されたスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体などが挙げられ、これらは2種以上を同時に使用することもできる。
【0047】
かかるオレフィン系共重合体は、α−オレフィン(1)とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル(2)と単量体(3)のランダム、交互、ブロック、グラフトいずれの共重合様式であってもよく、例えばα−オレフィン(1)とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル(2)のランダム共重合体に対し、単量体(3)がグラフト共重合したような2種以上の共重合様式が組み合わされた共重合体であってもよい。
【0048】
オレフィン系共重合体の共重合割合は、目的とする効果への影響、重合性、ゲル化、耐熱性、流動性、強度への影響などの観点から、α−オレフィン(1)/α,β−不飽和酸のグリシジルエステル(2)=60〜99重量%/40〜1重量%の範囲が好ましく選択される。また、単量体(3)の共重合割合は、α−オレフィン(1)とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル(2)の合計量95〜40重量%に対し,単量体(3)5〜60重量%の範囲(ただし、(1)、(2)および(3)の合計を100重量%とする)が好ましく選択される。
【0049】
また本発明におけるエポキシ含有オレフィン系状重合体のもう1つの好ましい態様として、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体が挙げられる。
【0050】
かかるエポキシ化ジエン系ブロック共重合体とは、ブロック共重合体、部分水添ブロック共重合体の共役ジエン化合物に由来する二重結合をエポキシ化したものであり、その基体となるブロック共重合体とは、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とするBとからなるブロック共重合体であり、例えばA−B、A−B−A、(A−B)4−Si、A−B−A−B−Aなどの構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体である。また部分水添ブロック共重合体とは、該ブロック共重合体を水素添加して得られるものである。以下に該ブロック共重合体、部分水添ブロック共重合体に関してさらに詳細に述べる。
【0051】
このブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を5重量%以上95重量%未満、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%含み、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAが、芳香族ビニル化合物のホモ重合体ブロック、または芳香族ビニル化合物を50重量%好ましくは70重量%以上含有する芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックの構造を有しており、さらに共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが、共役ジエン化合物のホモ重合体ブロック、または共役ジエン化合物を50重量%好ましくは70重量%以上含有する共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックの構造を有するものである。また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中の共役ジエン化合物または芳香族ビニル化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖中に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組み合わせでなっていてもよく、該芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックおよび該共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックがそれぞれ2個以上ある場合は、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であってもよく、異なる構造であってもよい。
【0052】
ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン等のうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種または2種以上が選択でき、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。そして、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックは、そのブロックにおけるミクロ構造を任意に選ぶことができ、例えばポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ビニル結合構造が5〜65%の範囲が好ましく、特に好ましくは10〜50%の範囲である。
【0053】
上述エポキシ化ジエン系ブロック共重合体の上記構造を有するブロック共重合体の数平均分子量は、通常、5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜800,000、さらに好ましくは30,000〜500,000の範囲であり、分子量分布[重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)]は10以下である。さらにブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。
【0054】
これらのブロック共重合体の製造方法としては、上記の構造を有するものであれば、どのような製造方法で得られるものであってもかまわない。
【0055】
また、部分水添ブロック共重合体とは、上記のかかる芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を水素添加することによって得られるものであり、この水添ブロック共重合体の製造方法としては、本発明のPPS樹脂組成物の特性を損なわなければ特に限定されるものではない。
【0056】
次に本発明の(C)官能基含有オレフィン系共重合体の1つとして用い得るエポキシ化ジエン系ブロック共重合体は、上記した構造を有するブロック共重合体、部分水添ブロック共重合体にエポキシ化剤を反応させ、共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合をエポキシ化したものである。本発明に用いるエポキシ化ジエン系ブロック共重合体の製造方法は、本発明のPPS樹脂組成物の特性を損なわなければ限定しない。
【0057】
また、本発明において(C)官能基含有オレフィン系共重合体の1つとして用いるカルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基、酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体の例としては、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体などのエチレンとα−オレフィンの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレン、ブテン−イソプレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)および上記(B)記載のエチレン・α−オレフィン系共重合体などのポリオレフィン系共重合体にマレイン酸無水物、琥珀酸無水物、フマル酸無水物などの酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニルなどの酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニルなどのカルボン酸及びそのNa、Zn、K、Ca、Mgなどの塩、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどのカルボン酸エステルが共重合されたオレフィン系共重合体などが挙げられ、より具体的にはエチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリルn−プロピル共重合体、エチレン−アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸t−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリルn−プロピル共重合体、エチレン−メタクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン−メタクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸t−ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸イソブチル共重合体などのオレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸プロピル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸プロピル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体などの、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびそのNa、Zn、K、Ca、Mgなどの金属塩、エチレン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン−ブテン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン−プロピレン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン−ヘキセン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン−オクテン−マレイン酸無水物共重合体、プロピレン−マレイン酸無水物共重合体あるいは無水マレイン酸変性のSBS、SIS、SEBS、SEPS、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などが例示できる。
【0058】
かかる(C)官能基含有オレフィン系共重合体の共重合様式には特に制限は無く、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などいずれの共重合体様式であってもよい。
【0059】
また、上記(C)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する官能基含有オレフィン系共重合体として、2種以上の(C)官能基含有オレフィン系共重合体を併用してもよい。
【0060】
また、本発明に用いる(C)官能基含有オレフィン系共重合体の配合量は、PPS樹脂100重量部に対し、1〜100重量部の範囲が選択され、好ましくは2〜70重量部、より好ましくは3〜50重量部である。(C)官能基含有オレフィン系共重合体の配合量が少なすぎると、(A)PPS樹脂と(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体の相溶性を向上させる効果が得られず、多すぎるとPPS樹脂が本来有する耐熱性、耐薬品性、耐熱水性、さらには増粘により流動性が顕著に低下し、さらには(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体の効果である低温での靭性改良効果が損なわれる。
【0061】
本発明において、より優れた靭性等を得る観点から、更に追加成分として、アルコキシシラン化合物を、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部添加することは有用である。
【0062】
かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、およびγ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられ、2量体以上のオリゴマー化した化合物を使用してもよい。中でも、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物が望ましい。
【0063】
次に、本発明で用いる(D)無機充填材の具体例としては、繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など非繊維状の充填剤が挙げられ、具体的には例えば、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフラットファイバー、異形断面ガラスファイバー、ガラスカットファイバー、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維やケブラーフィブリルなどの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、Eガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、Hガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、Aガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、Cガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、天然石英ガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、合成石英ガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、ロックウール、アルミナ水和物(ウィスカー・板状)、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、タルク、カオリン、シリカ(破砕状・球状)、石英、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、マイカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、破砕状・不定形状ガラス、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化アルミニウム(破砕状)、透光性アルミナ(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、酸化チタン(破砕状)、酸化亜鉛(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)などの金属酸化物、水酸化アルミニウム(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)などの金属水酸化物、窒化アルミニウム、透光性窒化アルミニウム(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物などが挙げられる。金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。また、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブ、PAN系やピッチ系の炭素繊維などの炭素系フィラーが挙げられ、これら充填材を2種類以上併用することも可能である。中でも、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、タルク、炭素繊維がより好ましい。
【0064】
なお、本発明に使用する上記のガラス繊維やそれ以外のフィラーはその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
【0065】
本発明で用いられる(D)無機充填材の配合量は、耐熱性、機械的特性等のバランスから、(A)PPS樹脂100重量部に対して、1〜400重量部であり、好ましくは5〜200重量部、より好ましくは10〜150重量部である。(D)無機充填材の配合量が少なすぎると、それを配合することによる耐熱性および機械的特性等の改良効果が顕著でなく、多すぎると靭性および流動性が低下する傾向にある。
【0066】
本発明におけるPPS樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、燐酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体(例えばポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル等の非晶性樹脂、エラストマー等)、を添加することができる。
【0067】
各成分の配合
本発明のPPS樹脂組成物の製造方法は、通常公知の方法で製造される。例えば、(A)PPS樹脂、その他任意の配合成分である(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体、(C)官能基含有オレフィン系共重合体、(D)無機充填材およびその他添加剤等を予備混合して、またはせずに押出機などに供給して十分溶融混練することにより調製される。また、(D)無機充填材のうち、ガラス繊維、ガラス繊維以外のフィラーで繊維状フィラーを添加する際、その折損を抑制するために好ましくは、(A)PPS樹脂、(B)エチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体、(C)官能基含有オレフィン系共重合体、(D)無機充填材のうち、ガラス繊維以外のフィラー(繊維状フィラーを除く)およびその他添加剤を押出機の元から投入し、(D)無機充填材のうち、ガラス繊維、ガラス繊維以外の繊維状フィラーをサイドフィーダーを用いて、押出機へ供給することにより調製される。
【0068】
本発明のPPS樹脂組成物を製造するに際し、例えば“ユニメルト”(R)タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用いて180〜380℃で溶融混練して組成物とすることができる。
【0069】
PPS樹脂組成物の成形・用途
本発明のPPS樹脂組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形、吹込成形、射出圧縮成形、トランスファー成形、真空成形など一般的に熱可塑性樹脂の公知の成形方法により成形されるが、なかでも射出成形、押出成形が好ましい。
【実施例】
【0070】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
【0071】
参考例 PPS樹脂の重合
なお、以下の方法により得られたPPS−1〜4のMFR値はJIS K7210に準拠して測定した。
【0072】
[参考例1]PPSの重合(PPS−1)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
【0073】
次に、p−ジクロロベンゼン10235.46g(69.63モル)、NMP9009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
【0074】
内容物を取り出し、26300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70000gで洗浄、濾別した。70000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPS−1は直鎖状であり、MFR値は300g/10分であった。
【0075】
[参考例2]PPSの重合(PPS−2)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム1722.00g(21.00モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
【0076】
次に、p−ジクロロベンゼン10235.46g(69.63モル)、NMP9009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
【0077】
内容物を取り出し、26300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70000gで洗浄、濾別した。70000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPS−2は直鎖状であり、MFR値は600g/10分であった。
【0078】
[参考例3]PPSの重合(PPS−3)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム861.00g(10.5モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
【0079】
次に、p−ジクロロベンゼン10235.46g(69.63モル)、NMP9009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
【0080】
内容物を取り出し、26300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70000gで洗浄、濾別した。70000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPS−3は直鎖状であり、MFR値は1000g/分であった。
【0081】
[参考例4]PPSの重合(PPS−4)
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.91kg(69.80モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、及びイオン交換水10.5kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
【0082】
その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン10.48kg(71.27モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から270℃まで昇温した。270℃で100分反応した後、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。
【0083】
得られた固形物およびイオン交換水76リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
【0084】
得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、pHが7になるよう酢酸を添加した。オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。
【0085】
内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPSを得た。
これをMFR値が300g/10分となるまで酸素気流下200℃で熱処理し、PPS−4を得た。
【0086】
[実施例および比較例で用いた配合材とPPS樹脂組成物の製造法]
シリンダ設定温度を310℃、スクリュウ回転数を200rpmに設定した、44mm直径の中間添加口を有する2軸押出機(日本製鋼所製TEX−44)を用いて、参考例1〜4で得たPPS樹脂(A)100重量部および(B)エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとからなるエチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体、(C)官能基含有オレフィン系共重合体およびその他添加剤を原料供給口から添加して溶融状態とし、(D)無機充填材を表1に示す割合で中間添加口から供給し、吐出量40kg/時間で溶融混練してペレットを得た。このペレットを用いて下記の各特性を評価した。なお、実施例中の物性の測定および試験は次の方法で行った。その結果を表1に示す。
【0087】
なお、(B)エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとからなるエチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体、(C)官能基含有オレフィン系共重合体、(D)無機充填材およびその他添加剤としては、それぞれ下記のものを使用した。
B1 エチレン・1−オクテンブロック共重合体(ダウケミカル社製 インフューズ9107、密度866kg/m3、融点121℃、ガラス転移点−62℃)
B2 エチレン・1−オクテンブロック共重合体(ダウケミカル社製 インフューズ9100、密度877kg/m3、融点120℃、ガラス転移点−62℃)
B3 エチレン・1−オクテンブロック共重合体(ダウケミカル社製 インフューズ9807、密度866kg/m3、融点118℃、ガラス転移点−62℃)
b1(比較例) エチレン・1−ブテンランダム共重合体(三井化学(株)社製 タフマーTX650、密度864kg/m3、融点無し、ガラス転移点−64℃)
b2(比較例) エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(三井化学(株)社製 エクセレンFX CX2001、密度898kg/m3、融点94℃、ガラス転移点不明)
b3(比較例) エチレン・1−オクテンランダム共重合体(ダウケミカル社製 エンゲージ8100、密度870kg/m3、融点無し、ガラス転移点−55℃)
C1 エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学(株)社製 ボンドファーストE、密度940kg/m3、融点103℃、ガラス転移点−26℃)
D1 チョップドストランド(日本電気硝子(株)社製 T−747 3mm長、平均繊維径13μm)
その他添加剤E1 脂肪酸エステルワックス(クラリアントジャパン社製 リコワックスE)。
【0088】
[測定方法]
(1)引張特性:ISO 527−1および2に準拠した。
(2)衝撃特性:ISO 179−1に準拠した。
(3)低ガス性:本発明のPPS樹脂組成物を用い、成形品のサイズとして最大長さ55mm、幅20mm、厚み2mm、ゲートサイズとして幅2mm、厚み1mm(サイドゲート)、ガスベント部最大長さ20mm、幅10mm、深さ5μmのガス評価用金型で、住友重機械工業(株)社製SE−30Dを用いて、シリンダ温度305℃、金型温度130℃、射出速度100mm/sとして、樹脂組成物ごとの充填時間が0.4秒となるよう射出圧力を50〜80MPa内で設定し、さらに保圧25MPa、保圧速度30mm/s、保圧時間3秒として連続成形を行い、200ショット完了時にガスベント部およびキャビティ部に汚れが見られなかった場合に「優れる」(二重丸)、汚れが見られた場合に「劣る」(バツ)とした。また、上記成形完了時にガスベント部およびキャビティ部に付着した汚れを、光学顕微鏡で確認しながらマイクロサンプリング用のナイフで採取し、予め重量測定しておいた元素分析用のルディスイス社製スズボートに採取した汚れを入れ、メトラートレド社製マイクロ天秤XP2Uで質量を測定した。
【0089】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体は、PPS樹脂が元来示す耐熱性、耐薬品性、耐熱水性、機械的特性を維持して低温靭性に優れるため、例えば、電気・電子用途、自動車用途、水廻り用途、一般雑貨用途、建築部材等に有用であり、具体的には、センサー、LEDランプ、コネクタ、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モータ、磁器ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピュータ関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスク等の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピュータ関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モータ部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、バルブ、チーズ、継手、ソケット、水量調節弁、減圧弁、逃がし弁、電磁弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクタ、ICレギュレータ、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、湯温センサー、ブレーキパッドウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプ、ウォーターポンプインペラ、ウォーターインレット、ウォーターアウトレット、タービンベイン、ワイパーモータ関連部品、ディストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ECUケース、コンデンサーケース、パワーモジュール部品、ステップモータローター、ランプソケット、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナー、ガソリンタンク、等の自動車・車両関連部品、その他各種用途が例示できる。特に水廻り部品は、成形時の発生ガスが多いと外観不良となるばかりでなく、水のシール性を低下して部品として成り立たなくなってしまうが、本発明のPPS樹脂組成物を用いると、成形時の発生ガスが少ないことから、好適に使用できる。
【符号の説明】
【0091】
G ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとからなるエチレン・α−オレフィン系ブロック共重合体1〜100重量部を配合してなることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項2】
(B)の融点が100℃以上かつガラス転移点が−50℃以下であることを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項3】
(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(C)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩、カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する官能基含有オレフィン系共重合体1〜100重量部を配合してなる請求項1または2記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項4】
(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(D)無機充填材1〜400重量部を配合してなる請求項1〜3いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項5】
(D)の無機充填材がガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種を配合してなる請求項1〜4いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品。
【請求項7】
成形品が水廻り部品である請求項6記載の成形品。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−195824(P2011−195824A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36630(P2011−36630)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】