説明

ポリベンゾキサジン組成物

ベンゾキサジン化合物とペンタフルオロアンチモン酸触媒とを含む硬化性組成物について記載する。硬化性組成物を硬化させて、コーティング、シーラント、接着剤、及び多くの他の用途で有用な硬化組成物を生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ペンタフルオロアンチモン酸触媒を用いてポリベンゾキサジンを調製するプロセスについて記載する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾキサジン及びベンゾキサジンを含有する組成物は公知である(例えば、米国特許第5,543,516号及び同第6,207,786号(Ishidaら)、S.Rimdusit及びH.Ishidaの「Development of New Class of Electronic Packaging Materials Based on Ternary Systems of Benzoxazine,Epoxy,and Phenolic Resins」,Polymer,41,7941〜49(2000)、並びにH.Kimuraらの「New Thermosetting Resin from Bisphenol A−based Benzoxazine and Bisoxazoline」,J.App.Polym.Sci.,72,1551〜58(1999)を参照されたい)。
【0003】
米国特許第7,517,925号(Dershemら)は、ベンゾキサジン化合物及びそれから調製される熱硬化性樹脂組成物について記載している。この組成物は、マイクロエレクトロニクスパッケージ内の界面における接着力を高めたり、硬化時の収縮を低減したり、熱膨張係数(CTE)を低下させたりするために有用であると言われている。
【0004】
米国特許第7,053,138号(Magendieら)は、プリプレグ及びラミネートの製造におけるベンゾキサジン、及び熱可塑性又は熱硬化性樹脂を含む組成物について記載している。この組成物から、高いガラス転移温度を有する防炎積層樹脂が得られると言われている。
【0005】
米国特許第6,376,080号(Gallo)は、ベンゾキサジン及び複素環式ジカルボン酸を含む成形組成物を、前記成形組成物を硬化させてポリベンゾキサジンを形成するのに十分な温度まで加熱することを含む、ポリベンゾキサジンを調製する方法について記載している。この組成物は、硬化後の体積変化がほぼゼロであると言われている。
【0006】
米国特許第6,207,586号(Ishidaら)は、ベンゾキサジンモノマーのポリマーへの重合は、オキサジン環を別の構造、例えば、直鎖ポリマー又はより大きな複素環に変換するイオン性開環重合であると考えられると記載している。連鎖移動工程は、生じるポリマーの分子量を制限し、いくつかの分岐を生じさせると考えられる。FTIR(フーリエ変換赤外)分析は、オキサジン環のポリマーへの変換をモニタして、異なる温度における重合速度を推定するために用いられることが多い。NMR(核磁気共鳴)分光法も、ベンゾキサジンモノマーのポリマーへの変換をモニタするために用いることができる。
【0007】
エポキシ接着剤は、構造用接着剤用途で広く用いられており、要求の厳しい多くの工業用途に適合している。しかし、エポキシは、制限された高温安定性、高吸湿性、収縮性、及び重合時の大きな発熱を含む、その用途を制限する多くの顕著な欠点を有する。
【0008】
エポキシにおける制限の多くを克服するために、ポリベンゾキサジンが提案された。ポリベンゾキサジンは、硬化時の発熱が少なく、収縮が少なく、より高い熱安定性を有し、副生成物が少なく、かつベンゾキサジンから容易に調製することができ、ベンゾキサジンは、高収率でアミン、ホルムアルデヒド、及びフェノールから容易に調製される。しかし、ポリベンゾキサジンを調製する現在の方法は、比較的高い温度を必要とし、典型的には脆性で高度に架橋されたポリマーが生じる。
【0009】
重合温度を低下させようとする試みには、さまざまなフェノール又はルイス酸促進剤の添加、あるいはベンゾキサジンとエポキシド又はフェノール−ホルムアルデヒド等の他のモノマーとの共重合が含まれていた。しかし、得られるポリベンゾキサジン−エポキシハイブリッドは、エポキシの制限の多くを保持し続けており、かつエポキシの強靱性等の多くの望ましい特徴が失われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は、ベンゾキサジン化合物及びペンタフルオロアンチモン酸触媒を含む硬化性組成物を目的とする。硬化性組成物を硬化させて、コーティング、シーラント、接着剤、及び多くの他の用途で有用な硬化組成物を生成することができる。本開示は、更に、ベンゾキサジン化合物及びペンタフルオロアンチモン酸触媒を含む硬化性組成物であって、硬化されたときに、高温構造用接着剤用途において有用である組成物を提供する。本開示は、更に、重合をもたらすのに十分な温度及び時間で、硬化性組成物を加熱することを含む、ポリベンゾキサジンを調製する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、より低い重合温度及び低減された発熱など、ポリベンゾキサジンの重合においてよく知られている欠点の多くを克服する。いくつかの実施形態では、生成物であるポリベンゾキサジンは、優れた熱安定性を有する可撓性固体であり、多くの工業用途に有用である。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「ベンゾキサジン」は、特徴的なベンゾキサジン環を有する化合物及びポリマーを含む。例示するベンゾキサジン基において、Rは、モノ−又はポリアミンの残基である。
【0013】
【化1】

【0014】
本明細書で使用するとき、「アルキル」は、直鎖、分枝鎖、及び環状アルキル基を含み、非置換及び置換アルキル基の両方を含む。特に指示しない限り、アルキル基は、典型的に、1〜20個の炭素原子を含有する。「アルキル」の例としては、本明細書で使用するとき、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチル、t−ブチル、イソプロピル、n−オクチル、n−ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、及びノルボルニル等が挙げられるが、これらに限定されない。特に指定しない限り、アルキル基は一価であっても多価であってもよい。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「ヘテロアルキル」は、独立してS、O、及びNから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する直鎖、分枝鎖、及び環状アルキル基、非置換及び置換アルキル基の両方を含む。特に指示しない限り、ヘテロアルキル基は、典型的に、1〜20個の炭素原子を含有する。「ヘテロアルキル」は、下記「ヘテロ(ヘテロ)ヒドロカルビル」の部分集合である。「ヘテロアルキル」の例としては、本明細書で使用するとき、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、3,6−ジオキサヘプチル、3−(トリメチルシリル)−プロピル、4−ジメチルアミノブタニル等が挙げられるが、これらに限定されない。特に指定しない限り、ヘテロアルキル基は一価であっても多価であってもよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、「アリール」は、6〜18個の環原子を含有する芳香族であり、縮合環を含有してもよく、これは、飽和であっても、不飽和であっても、芳香族であってもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナンスリル、及びアントラシルが挙げられる。ヘテロアリールは、窒素、酸素、又は硫黄等の1〜3個のヘテロ原子を含有するアリールであり、縮合環を含有してもよい。ヘテロアリールのいくつかの例は、ピリジル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、及びベンズチアゾリルである。特に指定しない限り、アリール及びヘテロアリール基は、一価であっても多価であってもよい。
【0017】
本明細書で使用するとき、「(ヘテロ)ヒドロカルビル」は、(ヘテロ)ヒドロカルビルアルキル及びアリール基、並びにヘテロ(ヘテロ)ヒドロカルビルヘテロアルキル及びヘテロアリール基を含み、後者は、エーテル又はアミノ基等の1つ以上のカテナリー酸素ヘテロ原子を含む。ヘテロ(ヘテロ)ヒドロカルビルは、所望により、エステル、アミド、尿素、ウレタン、及びカーボネート官能基を含む1つ以上のカテナリー(鎖内)官能基を含有してもよい。特に指定しない限り、非ポリマー(ヘテロ)ヒドロカルビル基は、典型的に、1〜60個の炭素原子を含有する。このような(ヘテロ)ヒドロカルビルのいくつかの例は、本明細書で使用するとき、上記「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」について記載したものに加えて、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、4−ジフェニルアミノブチル、2−(2’−フェノキシエトキシ)エチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサへキシル−6−フェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「残基」は、記載されている式中の結合している官能基又は結合している基を除去(又は反応)した後に残る基の(ヘテロ)ヒドロカルビル部分を定義するために用いられる。例えば、ブチルアルデヒドC−CHOの「残基」は、一価アルキルC−である。ヘキサメチレンジアミンHN−C12−NHの残基は、二価アルキル−C12−である。フェニレンジアミンHN−C−NHの残基は、二価アリール−C−である。ジアミノポリエチレングリコールHN−(CO)1〜20−C−NHの残基は、二価(ヘテロ)ヒドロカルビルポリエチレングリコール−(CO)1〜20−C−である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例7の動的機械分析(DMA)のプロット。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ポリベンゾキサジンの調製では、任意のベンゾキサジン化合物を用いてよい。ベンゾキサジンは、フェノール化合物と脂肪族アルデヒドと一級アミン化合物とを組み合わせることによって調製することができる。参照することによって本明細書に組み込まれる米国特許第5,543,516号(Ishida)及び米国特許第7,041,772号(Aizawaら)は、ベンゾキサジンを形成する方法について記載している。モノ−、ジ−、及び更に高級な官能性ベンゾキサジンを生成するための他の好適な反応スキームは、N.N.Ghoshら、Polybenzoxazine−new high performance thermosetting resins:synthesis and properties,Prog.Polym.Sci.32(2007),pp.1344〜1391に記載されている。
【0021】
出発ベンゾキサジン化合物を生成する1つの好適な方法は、以下の反応スキームによって示される。
【0022】
【化2】

【0023】
式中、
各Rは、H又はアルキル基であり、かつ脂肪族アルデヒドの残基であり、
は、H、共有結合、又は多価(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくはH、共有結合、又は二価アルキル基であり、
は、一級アミン化合物R(NH(式中、mは1〜4である)の(ヘテロ)ヒドロカルビル残基であり、
xは、少なくとも1である。
【0024】
重合するとき、式IIの化合物は、開環されて、一般式III及び/又はIVのポリマーを生成する。
【0025】
【化3】

【0026】
式中、
各Rは、H又はアルキル基であり、かつ脂肪族アルデヒドの残基であり、
は、H、共有結合、又は多価(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくはH、共有結合、又は二価アルキル基であり、
は、一級アミン化合物R(NH(式中、mは1〜4である)の(ヘテロ)ヒドロカルビル残基であり、
y及びzは、少なくとも2である。
【0027】
単純化するためにモノフェノールを例示する。モノ−又はポリフェノール化合物を用いてよい。制限なく更に置換され得るフェノール化合物が望ましい。例えば、フェノール化合物の3、4、及び5位は、水素であってもよく、あるいはアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、アルコキシアルキレン、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、ハロアルキル、カルボキシル、ハロ、アミノ、アミノアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、スルホン酸、又はアルキルスルホニル等の他の好適な置換基で置換されてもよい。ヒドロキシル基に対してオルト位のうちの少なくとも1つは、ベンゾキサジン環形成を促進するために非置換であることが望ましい。
【0028】
フェノール化合物のアリール環は、示されるフェニル環であってよく、又はナフチル、ビフェニル、フェナンスリル、及びアントラシルから選択してもよい。フェノール化合物のアリール環は、窒素、酸素、又は硫黄等の1〜3個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール環を更に含んでもよく、縮合環を含有してもよい。ヘテロアリールのいくつかの例は、ピリジル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、及びベンズチアゾリルである。
【0029】
一官能性フェノールの例としては、フェノール、クレゾール、2−ブロモ−4−メチルフェノール、2−アリフェノール、4−アミノフェノール等が挙げられる。二官能性フェノール(ポリフェノール化合物)の例としては、フェノールフタレイン、ビフェノール、4−4’−メチレン−ジ−フェノール、4−4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノール−A、1,8−ジヒドロキシアントラキノン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ジヒドロキシアゾベンゼン、レゾルシノール、フルオレンビスフェノール等が挙げられる。三官能性フェノールの例は、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等を含む。
【0030】
ベンゾキサジン出発物質の調製において用いられるアルデヒド反応物質としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン;並びに一般式RCHO(式中、Rは、H又はアルキル基である)を有するアルデヒドが挙げられ、このようなアルデヒドの混合物を含み、望ましくは、1〜12個の炭素原子を有する。R基は、直鎖若しくは分枝鎖、環式若しくは非環式、飽和若しくは不飽和、又はこれらの組み合わせであってよい。他の有用なアルデヒドとしては、クロトンアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びヘプタアルデヒドが挙げられる。
【0031】
出発ベンゾキサジンの調製において有用なアミノ化合物は、置換又は非置換、少なくとも1つの一級アミン基を有する一置換、二置換、又はより多置換の(ヘテロ)ヒドロカルビルアミンであってよい。アミンは、脂肪族又は芳香族アミンであってよい。それは、例えば、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、又はヘテロアラルキル等の基で置換されてもよい。
【0032】
出発ベンゾキサジン化合物の調製において有用なアミンとしては、(ヘテロ)ヒドロカルビルモノアミン及びポリアミンを含む、式R(NHのアミンが挙げられる。Rは、価数mを有する(ヘテロ)ヒドロカルビル基であってよく、かつ少なくとも1つの一級アミン基を有するモノ−、ジ−、又はより高級なアミンの残基である。Rは、アルキル、シクロアルキル、又はアリールであってよく、mは、1〜4である。Rは、好ましくは、一価及び多価(ヘテロ)ヒドロカルビル(即ち、1〜30個の炭素原子を有するアルキル及びアリール化合物、あるいは1〜20個のヘテロ原子の酸素を有するヘテロアルキル及びヘテロアリールを含む(ヘテロ)ヒドロカルビル)から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、ポリ(エチレンオキシ)、ポリ(プロピレンオキシ)、又はポリ(エチレンオキシ−co−プロピレンオキシ)基等のポリ(アルキレンオキシ)基である。
【0033】
1つの実施形態では、Rは、非ポリマー脂肪族、脂環式、芳香族又は1〜30個の炭素原子を有するアルキル置換芳香族部分を含む。別の実施形態では、Rは、ペンダント又は末端反応性−NH基を有するポリマーポリオキシアルキレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、又はポリシロキサンポリマーを含む。有用なポリマーとしては、例えば、アミン末端オリゴ−及びポリ−(ジアリール)シロキサン、並びに(ジアルキル)シロキサンアミノ末端ポリエチレン又はポリプロピレン、並びにアミノ末端ポリ(アルキレンオキシド)が挙げられる。また、有用なポリアミンとしては、ペンダント又は末端アミノ基を有するポリジアルキルシロキサンが挙げられる。
【0034】
任意の一級アミンを用いてよい。有用なモノアミンとしては、例えば、メチル−、エチル−、プロピル−、ヘキシル−、オクチル、ドデシル−、ジメチル−、メチルエチル−、及びアニリンが挙げられる。用語「ジ−又はポリアミン」は、少なくとも2つの一級アミン基を含有する有機化合物を指す。脂肪族、芳香族、脂環式、及びオリゴマー性のジ−及びポリアミンは、全て、本発明の実施において有用であると考えられる。有用なジ−又はポリアミンの代表的な部類は、4,4’−メチレンジアニリン、3,9−ビス−(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、及びポリオキシエチレンジアミンである。有用なジアミンとしては、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−エチル−1,2−エタンジアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、ペンタエチレンヘキサアミン、エチレンジアミン、N−メチルエタノールアミン、及び1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
【0035】
有用なポリアミンの例としては、少なくとも2つのアミン基を有するポリアミンであって、アミノ基のうちの少なくとも1つが一級であり、残りは、一級、二級、又はこれらの組み合わせであってよいポリアミンが挙げられる。例としては、HN(CHCHNH)1〜10H、HN(CHCHCHCHNH)1〜10H、HN(CHCHCHCHCHCHNH)1〜10H、HN(CHNHCHCH=CHCHNH(CHNH.2、HN(CHNH(CHNH、HN(CH2)NH(CHNH(CHNH、HN(CHNH(CH)2NH(CHNH、HN(CHNH(CHNH(CHNH、HN(CHNH(CHNH、CNH(CHNH(CHNH、及びN(CHCHNH、並びに直鎖又は分枝鎖(デンドリマーを含む)ホモポリマー、及びエチレンジアミンのコポリマー(即ち、アジリジン)等の重合性ポリアミンが挙げられる。多くのこのような化合物は、例えば、Aldrich Chemical Company,Milwaukee,WI又はPfaltz and Bauer,Inc.,Waterbury、CN等の一般的な化学物質供給元から入手することができる、又は入手可能である。
【0036】
いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンを含む脂肪族ポリアミンから誘導されるベンゾキサジンが好ましい。本明細書で使用するとき、「から誘導される」という語句は、ポリアミンの残基を含有するベンゾキサジンの構造的制限を指し、プロセスを制限するものではない。脂肪族ポリアミンから誘導されるポリベンゾキサジンは、アニリン等の芳香族アミンから誘導されるポリベンゾキサジンよりも可撓性である(動的機械分析、DMAによって測定したとき)ことが見出されている。このような脂肪族アミンに由来するベンゾキサジンは、芳香族アミンに由来するベンゾキサジンと共重合して、共重合性ポリベンゾキサジンを提供することができる。
【0037】
また、脂肪族ポリアミンは、ポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンによって提供することもできる。得られるポリベンゾキサジンは、ポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンの残基を含有する。後に重合させるためのベンゾキサジンの作製において有用なポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンは、以下の構造から選択することができる。
N−R−O−(RO)−(RO)−(RO)−R−NH、即ち、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン)、又は
[HN−RO−(RO)−]−R(式中、
、R、及びRは、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基であり、同一であっても異なっていてもよい)。好ましくは、Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、又はイソブチル等の2〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。好ましくは、R及びRは、エチル、n−プロピル、又はイソプロピル等の2又は3個の炭素原子を有するアルキル基である。Rは、ポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンを調製するために用いられるポリオールの残基(即ち、ヒドロキシル基が除去された場合に残る有機構造)である。Rは、分枝鎖又は直鎖であってもよく、置換又は非置換であってもよい(しかし、置換基はオキシアルキル化反応に干渉してはならない)。
【0038】
pの値は≧1、より好ましくは約1〜150、最も好ましくは約1〜20である。pが2、3、又は4である構造も有用である。q及びrの値は、両方とも≧0である。sの値は、>2、より好ましくは3又は4(それぞれ、ポリオキシアルキレントリアミン及びテトラアミンを提供するように)である。p、q、r、及びsの値は、取扱及び混合が簡便になるので、得られる錯体が室温で液体であるように選択されることが好ましい。通常、ポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンは、それ自体液体である。ポリオキシアルキレンの場合、約5,000未満の分子量を用いてもよいが、約1,000以下の分子量がより好ましく、約250〜1,000の分子量が最も好ましい。
【0039】
特に好ましいポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンの例としては、ポリエチレンオキシドジアミン、ポリプロピレンオキシドジアミン、ポリプロピレンオキシドトリアミン、ジエチレングリコールプロピレンジアミン、トリエチレングリコールプロピレンジアミン、ポリテトラメチレンオキシドジアミン、ポリエチレンオキシド−co−ポリプロピレンオキシドジアミン、及びポリエチレンオキシド−co−ポリプロピレンオキシドトリアミンが挙げられる。
【0040】
好適な市販のポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンの例としては、D、ED、及びEDRシリーズのジアミン(例えば、D−400、D−2000、D−5000、ED−600、ED−900、ED−2001、及びEDR−148)、及びTシリーズのトリアミン(例えば、T−403)等のHuntsman Chemical Company製のさまざまなJEFFAMINES、並びにUnion Carbide Company製のH221が挙げられる。
【0041】
今挙げられたもののような、多くのジ−及びポリアミン、例えば、Huntsman Chemical,Houston,TXから入手可能なもの等が市販されている。最も好ましいジ−又はポリアミンとしては、脂肪族ジ−及びトリアミン又は脂肪族ジ−若しくはポリアミン、より具体的には、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカンジアミン等のような2又は3つの一級アミノ基を有する化合物が挙げられる。末端又はペンダントアミン基を有する有用な市販のポリジアルキルシロキサンとしては、3M Company製のPDMSジアミン5k、10k若しくは15k、又はTh.Goldschmidt製のTegomer(商標)A−Si 2120若しくは2130、又はGelest製のDMS(商標)−A11、A12、A15、A25若しくはA32、AMS(商標)−132、152、162及び232、ATM(商標)−1112、又はRhone−Poulenc製のRhodosil(商標)21643及び21644、21642及び21637が挙げられる。
【0042】
他の有用なアミンとしては、グリシン、アラニン、及びロイシン等のアミノ酸、並びにこれらのメチルエステル、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、及び4−アミノブタノール等のアミノアルコール、エチレングリコール及びジエチレングリコールを含有するポリアミノエーテル(Jeffamine(商標)ジアミン等)、並びにアリルアミン及びブテニルアミン等のアルケニルアミンが挙げられる。
【0043】
モノアミンは、アルデヒド及びフェノール化合物と環化して、モノ−ベンゾキサジン化合物を生成するが、ジ−又はより高級なアミンは環化して、ジ−及びポリ−ベンゾキサジン化合物を生成することを理解されたい。例えば、ジアミン(以下のスキームVIにおいてm=2)は、ジ−ベンゾキサジンを生成する。
【0044】
【化4】

【0045】
(式中、各Rは、H又はアルキル基であり、かつ脂肪族アルデヒドの残基であり、
は、H、共有結合、又は多価(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくはH、共有結合、又は二価アルキル基であり、
は、一級アミノ化合物の(ヘテロ)ヒドロカルビル残基である。)
【0046】
更に、ポリマーベンゾキサジンは、ビスフェノール−A等のポリフェノール化合物、及びジ−又はポリアミンから調製することができ、これは、本明細書に記載される方法に従って、更に開環重合されてもよい。
【0047】
【化5】

【0048】
(式中、
各Rは、H又はアルキル基であり、かつ脂肪族アルデヒドの残基であり、
は、H、共有結合、又は多価(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくはH、共有結合、又は二価アルキル基であり、
は、一級アミノ化合物の(ヘテロ)ヒドロカルビル残基であり、
は、一級アミノ化合物の(ヘテロ)ヒドロカルビル残基であり、
zは、少なくとも1、好ましくは2以上である。)
【0049】
いくつかの好ましい実施形態では、硬化性組成物は、アリールアミンから誘導されるベンゾキサジンを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、脂肪族アミンから誘導されるベンゾキサジンを含む。いくつかの好ましい実施形態では、硬化性組成物は、脂肪族アミン及びアリールアミンの両方から誘導されるベンゾキサジンの混合物を含む。好ましくは、このような実施形態では、脂肪族ポリアミンは、ポリ(アルキレンオキシ)(alkyleoxy)ジ−又はポリアミンである。
【0050】
硬化性組成物の触媒は、置換ペンタフルオロアンチモン酸の液体塩を含む。置換ペンタフルオロアンチモン酸は、式HSbF(式中、Xは、ハロゲン、ヒドロキシ、又は−ORである)を有する。前述の式中、「−OR」は、約10,000未満の分子量、及び少なくとも1、好ましくは少なくとも2の一級又は二級ヒドロキシ官能基を有する脂肪族又は芳香族アルコールの残基である。最も好ましいアルコールは、ジエチレングリコールであり、これは「OR」基を2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシにする。このような触媒の例は、上記米国特許第4,503,211号(Robins)に開示されている。本発明の組成物において有用な触媒の量は、用いられるベンゾキサジンの約0.1重量%〜15.0重量%、好ましくは約1.0重量%〜5.0重量%で変動する。ポリベンゾキサジンは、ほぼ同じ重量比でポリマーマトリクス内に含有されているこれら触媒の残基、フッ化アンチモン塩を含有し、標準的な分析法によって検出することができる。
【0051】
置換アンチモン酸は、二酸化硫黄又は他の好適な溶媒中の五フッ化アンチモン1モルを、HF、HCl、HBr、若しくはHI等のハロゲン化水素又は水1モルに加えて、それぞれヘキサフルオロアンチモン酸、クロロペンタフルオロアンチモン酸、ブロモペンタフルオロアンチモン酸、ヨードペンタフルオロアンチモン酸、又はヒドロキシペンタフルオロアンチモン酸を形成することによって調製される。
【0052】
多くの好ましい実施形態では、XはORである。それは、1モル当量の五フッ化アンチモンと1モル当量以上の反応温度で液体であるアルコールとを混合することによって調製される。好都合なことに、触媒は、1重量部の五フッ化アンチモンを1〜10重量部のアルコールに加えることによって調製される。この方法では、五フッ化アンチモン1モル当たり1モル超用いられるアルコールが溶媒として作用する。溶媒であるアルコール(即ち、五フッ化アンチモンの当量よりも多いアルコール)の代わりに、ジエチルエーテル、ジグリム、及び二酸化硫黄等の他の電子供与溶媒を用いてもよい。
【0053】
少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有するアルコールは、硬化性ベンゾキサジン樹脂組成物の置換ペンタフルオロアンチモン酸の液体塩の調製において共反応物質及び溶媒として用いることができる。このようなアルコールは、任意の脂肪族若しくは芳香族アルコール、又は1つ以上の固体アルコールと1つ以上の液体アルコールとの液体混合物であってもよい。
【0054】
1つのヒドロキシ官能基を有する好適な脂肪族アルコールの代表的な例としては、アルカノール、ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル、アルキレングリコールのモノアルキルエーテル、及び当該技術分野において既知である他のものが挙げられる。
【0055】
1超のヒドロキシル官能基を有する好適なモノマー脂肪族アルコールの代表的な例としては、アルキレングリコール(例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,18−ジヒドロキシオクタデカン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール)、ポリヒドロキシアルカン(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール)、及びN,N−ビス(ヒドロキシエチル)ベンズアミド、2−ブチン−1,4−ジオール、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルスルホン、ヒマシ油等の他のポリヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0056】
好適なグリコールの代表的な例としては、ジオールの場合53〜5,000、又はトリオールの場合70〜3,300の当量に相当する約106〜約10,000の分子量を有するポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレングリコールジオール及びトリオール;さまざまな分子量のポリテトラメチレングリコール;ヒドロキシプロピル及びヒドロキシエチルアクリレート及びメタクリレートと、アクリレートエステル、ビニルハロゲン化物、又はスチレン等のその他のフリーラジカル重合性モノマーとのコポリマー;酢酸ビニルコポリマーの加水分解又は部分的加水分解により形成されるペンダントヒドロキシ基を含有するコポリマー、ペンダントヒドロキシ基を含有するポリビニルアセタール樹脂;ヒドロキシエチル化及びヒドロキシプロピル化セルロース等の変性セルロースポリマー;ヒドロキシ−末端ポリエステル及びヒドロキシ−末端ポリアクトン;並びにヒドロキシ−末端ポリアルカジエンである。ジ−、トリ−、及びテトラエチレングリコールが特に好ましい。
【0057】
有用な市販の脂肪族アルコールとしては、例えば、Polymeg(商標)650、1000、及び2000等のポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むPolymeg(商標)(Quaker Oats Companyから入手可能)として市販されているグリコール;PCP(商標)0200、0210、0230、0240、0300等のポリカプロラクトンポリオールを含むPep(商標)(Wyandotte Chemicals Corporationから入手可能)として市販されているグリコール;Paraplex(商標)U−148”(Rohm and Haasから入手可能)として入手可能な脂肪族ポリエステルジオール;Multron(商標)R−2、R−12A、R−16、R−18、R−38、R−68及びR−74等のMultron(商標)(Mobay Chemical Co.から入手可能)として入手可能な飽和ポリエステルポリオール;Hercules Inc.からKlucel E(商標)として入手可能な約100の当量を有するヒドロキシプロピル化セルロースが挙げられる。
【0058】
好適な芳香族アルコールの代表的な例としては、フェノール、カルジノール、m−クレゾール、2−メチル−5−イソプロピルフェノール(カルバクロール)、3−メチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、グアイアコール、m−、o−、及びp−クロロフェノール等のフェノール類が挙げられる。
【0059】
本発明の組成物で用いられるアルコールの量は、ヒドロキシル含有物質とベンゾキサジンとの適合性、ヒドロキシル含有物質の当量及び官能基、最終的な硬化組成物において望ましい物理的物性、所望の硬化速度等の要因に依存する。
【0060】
一官能性及び多官能性ヒドロキシ含有物質の両方が本発明の組成物において望ましい結果をもたらすが、多官能性ヒドロキシ含有物質の使用は、大部分の用途にとって非常に好ましく、一方、一官能性ヒドロキシル含有物質は、低粘度、無溶媒のコーティング組成物を提供するのに特に有効である。したがって、一官能性ヒドロキシ物質を用いる場合、その当量は約250以下であることが好ましい。
【0061】
必要に応じて、ヒドロキシル含有物質の混合物を用いてもよい。例えば、2つ以上の多官能性ヒドロキシ物質の混合物、1つ以上の一官能性ヒドロキシ物質と多官能性ヒドロキシ物質との混合物等を使用してもよい。
【0062】
ベンゾキサジンモノマーのポリマーへの重合は、オキサジン環を別の構造、例えば、直鎖ポリマー又はより大きな複素環に変換するイオン性開環重合であると考えられる。連鎖移動工程は、生じるポリマーの分子量を制限し、いくつかの分岐を生じさせると考えられる。NMR(核磁気共鳴)分光法も、ベンゾキサジンモノマーのポリマーへの変換をモニタするために用いることができる。既知であるように、フェノキシ及びフェノール繰り返し単位の混合物を得ることができる。触媒の残基は、ポリマーのマトリクスにおいて検出することができる。
【0063】
【化6】

【0064】
式中、
各Rは、H又はアルキル基であり、かつ脂肪族アルデヒドの残基であり、
は、H、共有結合、又は多価(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくはH、共有結合、又は二価アルキル基であり、
は、一級アミノ化合物R(NH(式中、mは1〜4である)の(ヘテロ)ヒドロカルビル残基であり、
y及びzは、少なくとも2である。
【0065】
組成物を硬化させるための反応条件は、用いられる反応物質及び量に依存し、当業者が決定することができる。硬化性組成物は、任意の順序で、上記ベンゾキサジン化合物と触媒とを混合することによって作製される。一般的に、次いで、組成物を約50〜200℃、好ましくは約130〜180℃の温度に、約1〜120分間加熱する。
【0066】
本発明の組成物を硬化するための好適な熱源としては、誘導加熱コイル、オーブン、ホットプレート、ヒートガン、レーザを含む赤外線源、マイクロ波源が挙げられる。好適な光源及び放射線源としては、紫外線源、可視光線源、及び電子ビーム源が挙げられる。
【0067】
重合性モノマーにおける触媒の溶解を補助するために、また加工助剤として、溶媒を使用することができる。重合性組成物の調製を単純化するために、少量の溶媒中で触媒の濃縮溶液を調製することが有利であり得る。有用な溶媒は、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びε−カプロラクトン等のラクトン;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等のケトン;テトラメチレンスルホン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、ブタジエンスルホン、メチルスルホン、エチルスルホン、プロピルスルホン、ブチルスルホン、メチルビニルスルホン、2−(メチルスルホニル)エタノール、2,2’−スルホニルジエタノール等のスルホン;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;炭酸プロピレン、炭酸エチレン、及び炭酸ビニレン等の環状炭酸塩;酢酸エチル、酢酸メチルセロソルブ、ギ酸メチル等のカルボン酸エステル;並びに塩化メチレン、ニトロメタン、アセトニトリル、亜硫酸グリコール、及び1,2−ジメトキシエタン(グリム)等のその他の溶媒である。
【0068】
着色剤、研磨顆粒、酸化防止安定剤、熱分解安定剤、光安定剤、導電性粒子、粘着付与剤、流動化剤、増粘剤、艶消し剤、不活性充填剤、結合剤、発泡剤、殺真菌剤、殺菌剤、界面活性剤、可塑化剤、ゴム強化剤、及び当業者に既知のその他の添加剤等の補助剤を所望により組成物に添加してもよい。これらは、例えば無機充填剤及び有機充填剤のような実質的に非反応性の物質であってもよい。これらの補助剤は、存在する場合、その意図する目的のために有効な量で添加される。
【0069】
いくつかの実施形態では、強化剤を用いてもよい。本発明で有用な強化剤は、ゴム相及び熱可塑性相の両方を有するポリマー化合物、例えば、重合したジエンゴムコア及びポリアクリレート、ポリメタクリレートシェルを有するグラフトポリマー;ゴムポリアクリレートコア及びポリアクリレート又はポリメタクリレートシェルを有するグラフトポリマー;並びにフリーラジカル重合性モノマー及び共重合性ポリマー安定剤からエポキシド中にてその場で重合されるエラストマー粒子である。
【0070】
第1の種類の有用な強化剤の例としては、参照することによって本明細書に組み込まれる米国特許第3,496,250号(Czerwinski)に開示されているような、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルのシェルがグラフト化される重合したジエンゴム骨格鎖又はコア、モノビニル芳香族炭化水素、又はこれらの混合物を有するグラフトコポリマーが挙げられる。好ましいゴム骨格鎖は、重合したブタジエン又はブタジエンとスチレンとの重合した混合物を含む。重合したメタクリル酸エステルを含む好ましいシェルは、低級アルキル(C〜C)で置換されたメタクリレートである。好ましいモノビニル芳香族炭化水素は、スチレン、αメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、エチルビニルベンゼン、イソプロピルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、及びエチルクロロスチレンである。グラフトコポリマーは、触媒を汚染する官能基を含有しないことが重要である。
【0071】
第2の種類の有用な強化剤の例は、アクリレートコア−シェルグラフトコポリマーであり、コア又は骨格鎖が約0℃未満のガラス転移温度を有するポリアクリレートポリマー、例えば、ポリメチルメタクリレート等の約25℃超のガラス転移温度を有するポリメタクリレートポリマー(シェル)がグラフト化されたポリブチルアクリレート又はポリイソオクチルアクリレートである。
【0072】
本発明において有用な強化剤の第3の部類は、組成物の他の成分と混合する前に約25℃未満のガラス転移温度(T)を有するエラストマー粒子を含む。これらエラストマー粒子は、フリーラジカル重合性モノマー及びベンゾキサジンに可溶性である共重合性ポリマー安定剤から重合される。フリーラジカル重合性モノマーは、ジオール、ジアミン、及びアルカノールアミン等の共反応性二官能性水素化合物と組み合わせられたエチレン性不飽和モノマー又はジイソシアネートである。
【0073】
有用な強化剤としては、コア/シェルポリマー、例えば、コアが架橋スチレン/ブタジエンゴムであり、シェルがポリメチルアクリレートであるメタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)コポリマー(例えば、Rohm and Haas,Philadelphia,PAから入手可能なACRYLOID KM653及びKM680)、ポリブタジエンを含むコア及びポリ(メチルメタクリレート)を含むシェルとを有するもの(例えば、Kaneka Corporation,Houston,TXから入手可能なKANE ACE M511、M521、B11A、B22、B31、及びM901、並びにATOFINA,Philadelphia,PAから入手可能なCLEARSTRENGTH C223)、ポリシロキサンコア及びポリアクリレートシェルを有するもの(例えば、ATOFINAから入手可能なCLEARSTRENGTH S−2001及びWacker−Chemie GmbH,Wacker Silicones,Munich,Germanyから入手可能なGENIOPERL P22)、ポリアクリレートコア及びポリ(メチルメタクリレート)シェルを有するもの(例えば、Rohm and Haasから入手可能なPARALOID EXL2330、並びにTakeda Chemical Company,Osaka,Japanから入手可能なSTAPHYLOID AC3355及びAC3395)、MBSコア及びポリ(メチルメタクリレート)シェルを有するもの(例えば、Rohm and Haasから入手可能なPARALOID EXL2691A、EXL2691、及びEXL2655)等、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましい変性剤としては、上に列記したACRYLOID及びPARALOID変性剤等、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0074】
強化剤は、ベンゾキサジンの約3〜35重量%、好ましくは約5〜25重量%に等しい量で有用である。本発明の強化剤は、ベンゾキサジンと反応したり、硬化に干渉したりすることなく、硬化後組成物に強度を付与する。
【0075】
本発明の組成物は、コーティング、発泡体、成形物品、接着剤(構造用及び半構造用接着剤を含む)、磁気媒体、充填又は補強複合材、コーティングされた研磨材、コーキング及びシーリング化合物、鋳造及び成形化合物、製陶及び封入化合物、含浸及びコーティング化合物、エレクトロニクス用導電性接着剤、エレクトロニクス用保護コーティング、並びに当業者に既知であるその他の用途に対して有用である。未硬化又は部分的に硬化されている場合、ベンゾキサジン組成物は、粘着性を含む感圧性接着特性を示す。いくつかの実施形態では、本開示は、その上にベンゾキサジンの硬化コーティングを有する基材を含むコーティングされた物品を提供する。
【0076】
構造用/半構造用ベンゾキサジン接着剤を調製するために、硬化性組成物は、シリカ充填剤、ガラス球、及び強化剤等の更なる補助剤を含有してもよい。これら補助剤は、硬化組成物に強靱性を付与し、密度を低下させる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本開示は、「B−段階的(stagable)」接着剤を提供する。プリント回路製造等の加工用途は、「段階的」接着剤、即ち、部分的に硬化されて粘着性又は不粘着性コーティングになることができ、被着材に固定され、熱、圧力、又は両方を用いて硬化される接着剤を使用することが多い(米国特許第4,118,377号を参照されたい)。不粘着性段階は、時に「B−段階」と呼ばれる。
【0078】
本開示は、ベンゾキサジン化合物と酸触媒とを含む段階的接着剤組成物を提供する。段階的接着剤組成物は、被着材又は基材にコーティングされ、熱を用いて構造用又は半構造用接着剤に完全に硬化してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、部分的に硬化された段階的接着剤組成物は、2枚の基材(又は被着材)の間に配置し、次いで、加熱して接着剤を完全に硬化し、基材間を構造及び半構造接着させることができる。他の実施形態では、段階的接着剤組成物は、流動可能な粘度に加熱して、基材をコーティングしてもよく、次いで、溶融状態のうちに第2の基材に接合されて完全に硬化されてもよい。
【0080】
したがって、本開示は、段階的、構造用及び半構造用接着剤を提供する。「半構造用接着剤」は、少なくとも約0.5MPa、より好ましくは少なくとも約1.0MPa、最も好ましくは少なくとも約1.5MPaの重なり剪断強度を有する硬化接着剤である。しかし、特に高い重なり剪断強度を有する前記硬化接着剤は、構造用接着剤と呼ばれる。「構造用接着剤」は、少なくとも約3.5MPa、より好ましくは少なくとも約5MPa、最も好ましくは少なくとも約7MPaの重なり剪断強度を有する硬化接着剤である。
【0081】
保護コーティングを調製するために、材料の選択は、特定の用途の要件に依存する。摩耗耐性コーティングは、一般的に、硬質であり、製剤のかなりの部分が硬質樹脂である必要があり、これは一般的に鎖長が短くかつ官能性が高い。いくらかの屈曲を受けるコーティングは、硬化製剤の架橋密度を低下させることによって得ることができる強靱性を必要とする。クリアコーティングは、硬化樹脂が、僅かしか又は全く相分離しないことを必要とする。これは、樹脂の適合性を制御することによって、又は硬化速度により相分離を制御することによって得られる。意図する用途に有効な量の補助剤をこれらコーティング製剤に添加してもよい。
【0082】
組成物は、25〜500マイクロメートル以上の有用な厚さで基材上にコーティングされてよい。コーティングは、ローラー、ディップ、ナイフ、又は押出コーティング等の任意の従来の手段によって行うことができる。硬化性組成物の溶液を用いてコーティングを促進してもよい。安定な厚さは、組成物の架橋前に所望のコーティング厚さを維持して、架橋組成物を形成するために必要である。
【0083】
有用な基材は、いかなる性質及び組成のものであってもよく、無機であっても有機であってもよい。有用な基材の代表的な例としては、セラミックス、ガラス、金属、天然及び人工石を含むシリカ質基材、織布及び不織布物品、熱可塑性及び熱硬化性を含む高分子材料(例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー等のスチレンコポリマー、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート)、シリコーン、塗料(アクリル樹脂ベースのもの等)、粉末コーティング(ポリウレタン又はハイブリッド粉末コーティング等)、及び木材、並びに前述の材料の複合材が挙げられる。
【0084】
本開示は、更に、接着テープの裏材等の好適な基材上に未硬化の又は部分的に硬化されたベンゾキサジン組成物のコーティングを含む感圧性接着剤を提供する。感圧性接着剤物品を調製するのに好ましい方法は、有用なコーティング粘度まで新規組成物を部分的に硬化させ、部分的に架橋された組成物を基材(例えば、テープの裏材)上にコーティングし、更に組成物を硬化させることを含む。有用なコーティング粘度は、一般的に、500〜10,000cpsの範囲である。
【実施例】
【0085】
特に記載のない限り、実施例に記載される部、百分率、比率などは全て、重量による。用いた溶媒及びその他の試薬は、特に異なる指定のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手した。
【0086】
材料
ベンゾキサジンA:XU3560(商標)ベンゾキサジンは、Huntsman Corporation,The Woodlands,TXから入手可能な、ビス(3−フェニル1−3,4−ジヒドロー2H,3−ベンゾキサジニル)イソプロパン、ビスフェノール由来のベンゾキサジンである。
【0087】
JEFFAMINES(商標)D400及びD2000は、それぞれ約400及び2000の分子量を有するポリ(オキシアルキレン)末端ジアミンである。全てのJEFFAMINEは、Huntsman Corporationから入手した。
【0088】
ベンゾキサジンB(下記JEFFAMINE(商標)D400ベースのベンゾキサジン)を使用し、Kaneka Texas Corporation,Pasadena,TXから入手した25重量%のシリコーン系コア−シェル粒子と化合させて、ベンゾキサジンBを調製した。
【0089】
ベンゾキサジンA(60重量%)、MEK(20重量%)、及びKaneka Texas CorpからEPX MX 93Xとして入手したコア−シェル粒子(20重量%)を用いて、ベンゾキサジンAを調製した。
【0090】
試験方法
凝集強度法(ラップ剪断強度試験)
ボーイング航空機株式会社規格BAC−5555に従ってアノード処理された、4”×7”×0.063”(〜25×178×1.6mm)の7075−T6ベアアルミニウムを使用して、ラップ剪断試料を作製した。アノード処理電圧は、22.5ボルトであった。試料は、ASTM規格D−1002−05に記載されているように作製された。
【0091】
約1/2”×10mil(〜1.2×.025mm)のベンゾキサジン付加物のストリップを、スクレーパーを用いて、アノード処理された2枚のアルミニウム被着材のそれぞれの一方の縁部に適用した。ボンドラインの厚さを制御するために直径5mil(0.13mm)のピアノ線3本をスペーサとして使用した。結合を閉じ、縁部をテープで貼り付けた。アルミホイルのシートと厚紙片との間に結合を施した。2枚の14番スチールプレートを使用して圧力を印加し、接着剤を広げた。アセンブリを130℃に加熱したオーブンに1時間入れ、次いで、規定の通り冷却後又は熱い状態のときに、サンプルを室温で試験した。
【0092】
材料が熱い状態でコーティングされなければならない場合(特定の例について規定される通り)、アノード処理された7075 T6アルミニウム基材及び剪断サンプルナイフ(ギャップ10mil(〜.025mm))及び剥離サンプルナイフ(ギャップ10mil(0.0254mm))を全て100℃のオーブンで維持し、上述のT−剥離及び剪断手順を用いて、そこから取り除かれた直後に接着剤を広げるために用いた。更に、被着材を100℃に維持されたホットプレート表面上に置いた状態で、サンプルを接着剤でコーティングした。
【0093】
接着剤を室温に冷却した後、より大きな試料を1”(2.54cm)幅のサンプルに切断し、1/2平方インチ(3.2cm)の接着領域を得た。6つのラップ剪断サンプルは、より大きな各試料から得た。室温においての破壊について、Sintech引張試験機で、0.1”/分(0.25cm/分)のクロスヘッド変位速度を用いて接着を試験した。破壊荷重を記録した。ラップ幅は、ノギスで測定した。ラップ剪断強度は、(2×破壊荷重)/測定された幅、として計算される。平均及び標準偏差は、6回の試験の結果から計算した。ラップ剪断強度は、〜2174lbs/in(15MPa)であった。
【0094】
T−剥離試験方法
上記の通りアノード処理した4”×8”×0.025”(10.16cm×20.32cm×0.063cm)の7075−T6ベアアルミニウムを使用してT−剥離値を測定した。ASTM D−1876;Standard Test Method for Peel Resistance of Adhesives(T−Peel Test、「Annual Book of ASTM Standards」、vol.15.06,pp.115〜117(1995))に記載されている通りに試験を実施した。
【0095】
調製した約2”×5”×10mil(5.08cm×12.7cm×0.254mm)の接着剤のストリップを、アノード処理された2つのアルミニウム被着材の両方に適用した。ボンドラインの厚さを制御するために、ブラスシムから作製された10mil(0.254mm)の厚さのスペーサを、接着領域の縁部に適用した。結合を閉じ、接着テープを適用して、硬化中に被着材を一体に保持した。アルミホイルのシート間及び更に厚紙片の間に接着剤結合を施した。4枚の14ポンド(6.3kg)のスチールプレートを使用して圧力を印加し、接着剤を広げた。アセンブリを130℃に加熱したオーブンに1時間入れ、次いで、規定の通り冷却後又は熱い状態のときに、サンプルを室温で試験した。
【0096】
材料が熱い状態でコーティングされなければならない場合(特定の例について規定される通り)、アノード処理された7075 T6アルミニウム基材及び剪断サンプルナイフ(ギャップ10mil(0.0254mm))及び剥離サンプルナイフ(ギャップ10mil(0.0254mm))を全て100℃のオーブンで維持し、上述のT−剥離及び剪断手順を用いて、そこから取り除かれた直後に接着剤を広げるために用いた。更に、被着材を100℃に維持されたホットプレート表面上に置いた状態で、サンプルを接着剤でコーティングした。
【0097】
接着剤を室温に冷却した後、より大きな試料を1”(2.54cm)幅のサンプルに切断し、2枚の1”(2.54cm)幅の試料を得た。室温における破壊について、Sintech引張試験機で、12”/分(30.48cm/分)のクロスヘッド変位速度を用いて接着を試験した。荷重データの初期部分は無視した。平均荷重は、約1”(2.54cm)剥離した後に測定した。T−剥離強度は、3回の剥離試験の平均である。
【0098】
調製例
ベンゾキサジンB、及びC
還流凝縮器を備えた2Lの丸底フラスコ内でJeffamine D−400(商標)ジアミン(43グラム、0.1モル)、パラホルムアルデヒド(13.2グラム、0.44モル)、及びフェノール(18.8グラム、0.2モル)の混合物を合わせることによって、ポリ(エチレンオキシド)ジアミンから誘導されるベンゾキサジンBを調製した。次に、この混合物を100℃に10時間加熱した。反応混合物を冷却し、減圧下で凝縮水を除去した。得られた生成物(収率約95%、NMRによって構造を確認)を、更に精製することなく用いた。
【0099】
同じ手順を用いて、ジアミンJEFFAMINE(商標)D2000を用いてベンゾキサジンCを調製した。
【0100】
DEG−SbF酸触媒
ヒンダードアミンを用いなかったことを除いて、米国特許第4,503,211号(Robins)に開示されている手順に従って触媒を調製することができる。代表的な調製は、以下の通りである。
【0101】
攪拌棒、添加漏斗、温度計、及び大気水分の除去装置を備える100mLの3つ口フラスコに、21.7g(0.2モル)のジエチレングリコール(DEG)を入れた。フラスコに氷水浴を設置し、内容物を約5℃に冷却した。冷却された内容物に、混合物を攪拌しながら、添加漏斗を介して10分間にわたって21.7g(0.1モル)の五フッ化アンチモンを滴下した。この生成物を触媒「DEGSbF」と命名した。
(実施例1〜13)
【0102】
規定の比率で混合したベンゾキサジンを、金属の容器内で130℃に30分間加熱した。混合物を攪拌し、約100℃に冷却し、5%のDEGSbF触媒をそれに添加した。次いで、得られた溶液をシリコーンの成形型に流し込み、シリコーン剥離ライナでコーティングされた2枚のPETシートではさんだ。前記成形型は、動的機械分析用のサンプルを調製するために、厚さ約1mmの矩形に切断されたシート(幅約5mm×長さ30mm)、及び正方形に切断されたシート(約10mm×10mm)からなっていた。
【0103】
次いで、アセンブリを2枚のガラスシートの間に固定し、177℃で30分間硬化させた。次いで、固定されたアセンブリを室温に冷却し、次いで、サンプルを取り出し、−80℃〜300℃の温度範囲で、引っ張りモードにて、Seiko Instruments動的機械分析機(DMA)を用いて評価した。硬化したサンプルは、透明で深い琥珀色であった。実験が完了した後、サンプルを取り出し、視覚的に調べ、続くDMA実験のために再度配置した。最終的に、サンプルを、2℃/分の加熱速度にて−80℃〜300℃の間で4回循環させた。サンプルは、各実験毎に顕著に暗い色になったが、依然として半透明であった。
【0104】
さまざまな量のベンゾキサジンA及びCを含有するサンプルを表1に示す。全ての場合において、得られたベンゾキサジンコポリマーは、深い琥珀色であり、かつ透明であった。しかし、ベンゾキサジンCの量が増えるにつれて、コポリマーは著しく軟質かつ可撓性になった。ベンゾキサジンCが主な成分である組成物では、コポリマーを折り曲げることができた。80%及び90%がベンゾキサジンCであるサンプルは、軟質かつ粘着性であり、室温で容易に取扱うことができなかった。
【0105】
(実施例14)
4グラムのベンゾキサジンAに、16グラムのベンゾキサジンBを添加した。この混合物を130℃のオーブンに20分間入れた。オーブンから取り出して、激しく攪拌し、溶液が熱いうちに約1グラムのDEGSbF5付加物と混合した。次いで、ホットコーティング用の器具及び他の溶液を準備しながら、混合物を90℃〜100℃のオーブンに入れた。
【0106】
(実施例15)
4グラムのベンゾキサジンAに、8グラムのベンゾキサジンB及び8グラムのベンゾキサジンB(25重量%のシリコーンコア−シェル粒子を含む)を添加した。この混合物を130℃のオーブンに20分間入れた。オーブンから取り出して、激しく攪拌し、溶液が熱いうちに約1グラムのDEGSbF5付加物と混合した。次いで、ホットコーティング用の器具及び他の溶液を準備しながら、混合物を90℃〜100℃のオーブンに入れた。次いで、100℃で維持した反応混合物を、基材が室温であるうちにアノード処理されたアルミニウム基材に塗布した。
【0107】
(実施例16)
4グラムのベンゾキサジンAに、8グラムのベンゾキサジンB及び8グラムのベンゾキサジンB(25重量%のシリコーンコア−シェル粒子を含む)を添加した。この混合物を130℃のオーブンに20分間入れた。オーブンから取り出して、激しく攪拌し、溶液が熱いうちに約1グラムのDEGSbF付加物と混合した。次いで、ホットコーティング用の器具及び他の溶液を準備しながら、混合物を90〜100℃のオーブンに入れた。次いで、100℃で維持した反応混合物を、基材が100℃である状態のうちに、アノード処理されたアルミニウム基材に塗布した。
【0108】
(実施例17)
20グラムのベンゾキサジンAを130℃のオーブンで加熱し、溶液が熱いうちに、それに約1グラムのDEGSbF(0.0023m)付加物と混合した。次いで、ホットコーティング用の器具及び他の溶液を準備しながら、混合物を90℃〜100℃のオーブンに入れた。
【0109】
(実施例18)
20グラムのKanekaサンプルに、ベンゾキサジンA及び0.6グラムのDEGSbF付加物を混合した。室温でナイフコーティングが行われるまで、溶液にふたをした。
【0110】
(比較例19)
4グラムのベンゾキサジンAに、8グラムのベンゾキサジンB及び8グラムのベンゾキサジンB(25重量%のシリコーンコア−シェル粒子を含む)を添加した。この混合物を130℃のオーブンに20分間入れた。オーブンから取り出して、激しく攪拌し、溶液が熱いうちに約0.688グラム(0.0023m)のSbCl[Aldrich]付加物と混合した。次いで、ホットコーティング用の器具及び他の溶液を準備しながら、混合物を90℃〜100℃のオーブンに入れた。
【0111】
(比較例20)
9グラム(0.03m)のSbCl[Aldrich]を、攪拌しながら6.36グラム(0.6m)のDEGに滴下して、DEGSbF付加物の五フッ化物類似体を調製した。次いで、4グラムのベンゾキサジンAに、8グラムのベンゾキサジンB及びシリコーンコア−シェル粒子(25重量%)を含む8グラムのベンゾキサジンBを添加した。この混合物を130℃のオーブンに20分間入れた。オーブンから取り出して、激しく攪拌し、次いで、約1.18グラムのDEGSbCl付加物を添加した。次いで、ホットコーティング用の器具及び他の溶液を準備しながら、混合物を90℃〜100℃のオーブンに入れた。
【0112】
【表1】

【0113】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ベンゾキサジンと、
b)一般式HSbF(式中、Xは、ハロゲン、ヒドロキシ、又はOR基であり、ORは、脂肪族又は芳香族アルコールの残基である)を有する置換ペンタフルオロアンチモン酸触媒と、を含む、重合性組成物。
【請求項2】
前記OR基が、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシである、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項3】
前記OR基が、少なくとも32の分子量及び少なくとも1つの一級又は二級ヒドロキシル官能基を有する脂肪族アルコールの残基である、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項4】
前記アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項5】
Xが、アルキレングリコールの残基である、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項6】
強化剤を更に含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項7】
前記強化剤が、前記ベンゾキサジンの約3重量%〜35重量%で存在する、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項8】
前記強化剤が、ゴム相及び熱可塑性相の両方を有するポリマー化合物である、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項9】
前記強化剤が、重合したジエンゴムコアと、それにアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、モノビニル芳香族炭化水素、又はこれらの混合物がグラフト化されたシェルと、を有するグラフトポリマーである、請求項8に記載の重合性組成物。
【請求項10】
前記ゴムコアが、重合したブタジエン又はブタジエンとスチレンとの重合した混合物を含む、請求項9に記載の重合性組成物。
【請求項11】
前記シェルが、メタクリル酸エステルを含む、請求項10に記載の重合性組成物。
【請求項12】
前記メタクリル酸エステルが、低級アルキル置換メタクリレートを含む、請求項11に記載の重合性組成物。
【請求項13】
前記シェルが、モノビニル芳香族炭化水素を含む、請求項10に記載の重合性組成物。
【請求項14】
前記炭化水素が、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、エチルビニルベンゼン、イソプロピルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、及びエチルクロロスチレンから選択される、請求項13に記載の重合性組成物。
【請求項15】
前記強化剤が、コア−シェルポリマーであって、前記コアが約0℃未満のガラス転移温度を有するゴムポリアクリレートポリマーであり、前記シェルが、前記コアにグラフト化され、かつ約25℃超のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリアクリレートポリマーである、請求項8に記載の重合性組成物。
【請求項16】
前記コアが、ポリブチルアクリレート及びポリイソオクチルアクリレートから選択され、前記シェルがポリメチルメタクリレートである、請求項15に記載の重合性組成物。
【請求項17】
前記強化剤が、フリーラジカル重合性モノマーと硬化性組成物に可溶性であるポリマー安定剤との重合した混合物である、約25℃未満のTを有するエラストマー粒子である、請求項5に記載の重合性組成物。
【請求項18】
脂肪族アミン及びアリールアミンの両方から誘導されるベンゾキサジンの混合物を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項19】
ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンから誘導されるベンゾキサジンを含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項20】
式:
【化1】


(各Rは、H又はアルキル基であり、かつ脂肪族アルデヒドの残基であり、
は、H、共有結合、又は多価(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくはH、共有結合、又は二価アルキル基であり、
は、一級アミノ化合物R(NH(式中、mは1〜4である)の(ヘテロ)ヒドロカルビル残基であり、
y+zは、少なくとも2である)の1つ以上のポリマーと、
触媒の残基と、
を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項21】
が、ポリ(アルキレンオキシ)基である、請求項20に記載の重合性組成物。
【請求項22】
が、アリール基と脂肪族基との混合物を含む、請求項20に記載の重合性組成物。
【請求項23】
前記触媒の残基が、フッ化アンチモン塩を含む、請求項20に記載の重合性組成物。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2013−503243(P2013−503243A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526814(P2012−526814)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/044986
【国際公開番号】WO2011/025652
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】