説明

ポリペプチド

【課題】癌の処置、予防または診断用の医薬組成物の提供。
【解決手段】癌に対して免疫反応を惹起することの可能なポリペプチドおよびこれらのポリペプチドをコード化する核酸DNA、腫瘍細胞を認識および破壊することの可能なTリンパ球を発生するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌に対して免疫反応を惹起することの可能なポリペプチドおよびこれらのポリペプチドをコード化する核酸DNA、腫瘍細胞を認識および破壊することの可能なTリンパ球を発生するための方法、ならびに癌の処置、予防または診断用の医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、幾つかの突然変異の現象を伴う多段階の過程を通じて進展する。これらの突然変異は、2つの範疇、即ち癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子に属する遺伝子の変えられた発現/機能をもたらす。癌遺伝子は、癌原遺伝子から点突然変異または転座を通じて自然に生じ、これによって、該突然変異を宿している細胞の形質転換状態をもたらす。癌遺伝子はタンパク質をコードし、タンパク質を通じて機能する。癌原遺伝子は、癌遺伝子になる潜在能力を持つ、該細胞の正常な遺伝子である。大多数の場合では、癌原遺伝子は、シグナル伝達経路の成分であることが示されている。癌遺伝子は、優性に作用する。一方で腫瘍抑制遺伝子は、機能的なタンパク質をコード化する両方の対立遺伝子が非機能的な遺伝子産物を生成するように変えられてしまう場合、劣性に、即ち機能の消失を通じて作用し、発癌に寄与する。
【0003】
ヒトの癌免疫学の分野では、この20年間に、真性癌特異的抗原を特徴付ける徹底的な努力が見られた。特にヒトの腫瘍抗原に対する抗体の分析に努力が捧げられた。先行技術は、このような抗体が、例えば抗癌剤と関連して、診断および治療目的に使用され得ることを示唆している。しかしながら抗体は、腫瘍細胞の表面に曝された腫瘍抗原に結合することだけが可能である。この理由により、体の免疫系に基づいた癌の処置を生成する努力は、期待されるより成功してはいない。
【0004】
免疫系の基礎的な特色は、それが非自己の分子から自己の分子を区別できること、およびそれが自己の分子に対しては正常では反応しないことである。他の個体から移植された組織または器官の拒絶は、該移植細胞の表面上の外来抗原に対する免疫応答であることが示されている。該免疫応答は、抗体により仲介される液性応答と細胞応答とを含む。抗体はBリンパ球により生成および分泌され、元来の立体構造をした遊離の抗原を典型的に認識する。それらはそれ故に、該抗原表面上に曝された殆ど全ての部位を潜在的には認識することができる。抗体とは対照的に、免疫応答の細胞の戦闘力を仲介するT細胞は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子の関係においてのみ、および適切な抗原プロセシングの後にのみ抗原を認識する。この抗原プロセシングは、タンパク質のタンパク質分解的な断片化から通常なり、該MHC分子の溝へ適合するポリペプチドをもたらす。これは、T細胞が細胞内のタンパク質断片/抗原由来のポリペプチドをも認識することを可能にする。
【0005】
T細胞は、腫瘍細胞の表面上のMHC分子の関係において、腫瘍細胞中のあらゆる場所に由来した異常なポリペプチドをも認識し得る。このT細胞は次いで、この異常ポリペプチドを宿している腫瘍細胞を除去するように活性化され得る。マウスの腫瘍を含む実験モデルにおいて、正常なポリペプチドとは1つのアミノ酸において異なるポリペプチドからなる細胞内の「自己」タンパク質中の点突然変異は、腫瘍拒絶抗原を引き起こすかもしれないことが示されている。腫瘍細胞の表面上のMHC分子の関係においてこれらのポリペプチドを認識するT細胞は、該腫瘍細胞を殺傷することが可能で、このように腫瘍を宿主から拒絶することが可能である(Boon et al., 1989, Cell 58: 293-303)。
【0006】
ヒトにおけるMHC分子は、HLA(ヒト白血球抗原)分子として正常には言及される。HLA分子の2つの主要なクラス、即ちクラスIおよびクラスIIがある。HLAクラスI分子は、HLA A、BおよびC副遺伝子座によりコード化され、CD8+細胞傷害性T細胞を主に活性化する。他方でHLAクラスII分子は、CD4+(細胞傷害性またはヘルパー)T細胞を主に活性化し、HLA DR、DPおよびDQ副遺伝子座によりコード化される。幾つかの場合には、異なるHLAクラスI分子の数は、2回同じHLA対立遺伝子が発生することによって減るが、全ての個体は6つの異なるHLAクラスI分子(通常は3つの亜群A、BおよびCのそれぞれから2つの対立遺伝子)を正常には持つ。一般的な総説としては、Roitt, I. M. et al. (1998) 免疫学、第5版、Mosby, London を参照のこと。
【0007】
HLA遺伝子産物は、非常に多型である。異なる個体は、他の個体において見出されるものとは異なる区別可能なHLA分子を発現する。これは、移植においてHLAが適合した臓器提供者を見出すことの難しさを説明している。免疫生物学におけるHLA分子の遺伝子の多様性の意義は、免疫応答遺伝子としてのそれらの役割にある。それらのポリペプチドとの結合能力を通じて、ある種のHLA分子の有無は、特異的なポリペプチド抗原決定基に対する個体の応答能力を司る。結果として、HLA分子は、疾病に対する耐性または感受性に影響を及ぼす。
【0008】
T細胞は、種々の機序により癌の進展および成長を阻害し得る。細胞傷害性T細胞(HLAクラスI拘束CD8+およびHLAクラスII拘束CD4+の両方)は、適切な腫瘍抗原を提示する腫瘍細胞を直接殺傷することがある。正常には、CD4+ヘルパーT細胞は細胞傷害性CD8+T細胞応答に必要とされるが、もしポリペプチド抗原が適切なAPCにより提示されるならば、細胞傷害性CD8+T細胞は直接に活性化でき、これはより速く、より強くてより有効な応答をもたらす。
【0009】
国際出願 PCT/NO92/00032(WO92/14756 として公開)では、その癌原遺伝子または腫瘍抑制遺伝子タンパク質に比較して突然変異または転座の点を持つ癌遺伝子タンパク質産物の合成ペプチドおよび断片が記載されている。これらのペプチドは、癌細胞または他の抗原提示細胞により提示されるようなプロセシングされた癌遺伝子タンパク質断片または腫瘍抑制遺伝子断片の断片に対応し、該断片を完全に網羅するか該断片そのものであり、また各個体において少なくとも1つの対立遺伝子によるHLA−ポリペプチド複合体として提示される。該ポリペプチドは、プロセシングによって細胞より生成されてHLA分子中に提示された実際の癌遺伝子タンパク質断片に対する特異的なT細胞応答を誘導することが示された。特に WO92/14756 において、ポリペプチドが、特定のアミノ酸の位置、すなわち12、13および61位に点突然変異を持つp21−rasタンパク質に由来したことが記載されている。これらのポリペプチドは、in vitro において癌細胞の成長を調節することにおいて有効であることが示されている。更に該ポリペプチドは、ワクチン接種または癌治療スキームにおけるこのようなポリペプチドの投与を通じて、突然変異したp21−ras癌遺伝子タンパク質を宿している癌細胞に対してCD4+T細胞免疫を惹起することが示された。引き続いてこれらのポリペプチドは、前記投与を通じて、突然変異したp21−ras癌遺伝子タンパク質を宿している癌細胞に対してCD8+T細胞免疫も惹起することが示された(Gjertsen, M. K. et al., 1997, Int. J Cancer 72: 784-790)。
【0010】
国際出願 PCT/NO99/00143(WO99/58552 として公開)は、癌細胞中の遺伝子において起こるフレームシフト突然変異から生じる突然変異タンパク質産物の合成ペプチドおよび断片を記載している。これらのペプチドは、癌細胞または他の抗原提示細胞により提示されるようなプロセシングされたフレームシフト突然変異タンパク質断片の断片に対応し、該断片を完全に網羅するか該断片そのものであり、各個体において少なくとも1つの対立遺伝子によるHLA−ポリペプチド複合体として提示される。特に、BAXおよびhTGFβ−RII遺伝子におけるフレームシフト突然変異からもたらされるポリペプチドが開示されている。これらのポリペプチドは、特異的な様式でCD4+およびCD8+T細胞を刺激することにおいて有効であることが示された。
【0011】
しかしながら、前記ポリペプチドは、癌原遺伝子または腫瘍抑制遺伝子における点突然変異、フレームシフト突然変異または転座を伴った癌遺伝子を含む幾つかの数の癌においてのみ有用であろう。包括的な範囲の癌に対して有効であろう抗癌治療またはワクチンに対する強い必要性がある。
【0012】
他の癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子の組み合わせの協調した作用は、細胞の形質転換および悪性の表現型の進展をもたらす。このような細胞は、しかしながら、老化への傾向があり、限られた寿命を持つ。最も多くの癌において、腫瘍細胞の不死化は、テロメラーゼと呼ばれる酵素複合体を作動させることを要求する。体細胞においては、テロメラーゼホロ酵素の触媒的サブユニットhTERT(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素)は、正常では発現していない。腫瘍ウィルスによりコード化されるタンパク質の作用または沈黙化された(メチル化された)プロモーター部位の脱メチル化のような追加的な現象が、機能的なテロメラーゼ複合体の成分をコード化している遺伝子の腫瘍細胞における発現をもたらし得る。
【0013】
最も多くの型の癌細胞におけるテロメラーゼの存在により、該酵素は、一般的な癌ワクチンの候補として開示されている(WO00/02581 として公開された国際特許出願第 PCT/NO99/00220 号)。WO00/02581 は、癌を患っている(または癌を患っているらしい)哺乳類において、テロメラーゼ発現細胞に対するT細胞応答を発生することにより、癌を妨げまたは処置するための方法を記載している。WO00/02581 においては、CD4+およびCD8+両方のT細胞が、このようなテロメラーゼタンパク質由来の配列を持つポリペプチドの投与により刺激され得ることが論証されている。
【0014】
テロメラーゼプレmRNAの選択的スプライシング変異体が、文献において報告されている(Kilian, A. et al., 1997, Hum. Mol. Genet. 6: 2011-2019)。Kilian ら(1997年、同上)は、幾つかのスプライシング変異体がhTERTの不可欠なRT(逆転写酵素)ドメインと共に位置されるのは注目に値することであると指し示した。しかしながら、hTERTのスプライシング変異体の意義の充分な理解は得られておらず、更なる機能的な特徴付けが要求されると彼らは述べた。
【0015】
hTERT遺伝子の完全なゲノム配列の分析は、異なるmRNAのスプライシング変異体が、hTERTプレmRNA中の他のスプライシング部位の使用から生じることを証明した(Wick, M. et al., 1999, Gene 232: 97-106)。全長のhTERTのmRNAと比較して、少なくとも5つの追加的なスプライシング変異体が探知された。これらの変異体のスキーム的な図面は図1中に与えられ、図2はコード化されたタンパク質の配列を示す。α-del(またはDEL1)およびβ-del(またはDEL2)と名付けられた2つのスプライシング変異体は、特異的なコード配列の欠損を表す。該α-del 変異体は、エクソン6の最初の36個のヌクレオチドを欠損し、ひとつづきの12個の内部アミノ酸を欠くタンパク質をコード化している。該β-del 変異体では、エクソン7および8全体を表す182個のヌクレオチドがなくなっており、オープン・リーディング・フレーム中のシフト、および全長のhTERTタンパク質中には存在しない44個のアミノ酸長のカルボキシル末端を有する、短縮タンパク質をもたらす。残りのスプライシング変異体は、イントロン領域の内部に位置される他のスプライシング部位の使用により得られ、オープン・リーディング・フレーム内でのイントロン配列の挿入および翻訳の早まった終結をもたらす。σ−挿入(またはINS1)変異体は、イントロン4の最初の38個のヌクレオチドの挿入により得られる。σ−挿入は停止コドンを含有しないが、代わりにオープン・リーディング・フレームは、他のリーディング・フレームを使用した正常な配列中に22個のヌクレオチドを延伸する。γ−挿入(またはINS3)変異体は、イントロン14からの最後の159個のヌクレオチドの挿入により引き起こされる。Ins−4は、エクソン15およびエクソン16の大部分を同時に欠損している一方で、イントロン14からの最初の600個のヌクレオチドを含有する。これらのスプライシング変異体の翻訳から得られた短縮タンパク質が、図2に示される。
【0016】
最近の幾つかの研究は、テロメラーゼ活性の調節を説いており、hTERTのmRNAの転写とテロメラーゼ活性との間のある種の相関が、幾つかの細胞株および組織に関して報告されている(Nakamura, T. M. et al., 1997, Science 277: 955-959; Meyerson, M. et al., 1997, Int. J. Cancer 85: 330-335; Nakayama, J. et al., 1998, Nature Genet. 18: 65-68; Liu, K. et al., 1999, Proc. Natl Acad. Sci. USA 96: 5147-5152)。他の研究は、テロメラーゼ活性がタンパク質キナーゼCαによるhTERTタンパク質のリン酸化を通じてアップレギュレーションされ、逆に、タンパク質キナーゼC阻害剤およびホスファターゼ2Aの存在によりダウンレギュレーションされることを示している(Li, H. et al., 1997, J. Biol. Chem. 272: 16729-16732; Li, H. et al., 1998, J. Biol. Chem. 273: 33436-33442; Bodnar, A. G. et al., 1996, Exp. Cell Res. 228: 58-64; Ku, W. C. et al., 1997, Biochem. Biophys. Res. Comm. 241: 730-736)。hTERTプレmRNAの選択的スプライシングは、テロメラーゼ活性を調節するための追加的な機序を表し、胎児の腎臓の発達の間および成人の卵巣および子宮組織におけるダウンレギュレーションを仲介することが示されている(Ulaner, G. A. et al., 1998, Cancer Res. 58: 4168-4172; Ulaner, G. A. et al., 2000, Int. J. Cancer 85: 330-335)。前記研究の焦点はαおよびβスプライシング変異体にあり、おそらくそれらが重要な逆転写酵素のモチーフをコード化すると信じられている配列を欠損しているからである(Lingner, J. et al., 1997, Science 276: 561-567)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、TERTγおよびσスプライシング変異体に基づいたペプチドおよび前記ペプチドをコード化する核酸、ならびに医療(medicine)におけるこれらのペプチドおよび核酸の新規使用を提供する。
【0018】
従って本発明によれば、医療における使用のためのポリペプチドが提供され、ここで該ポリペプチドは、
a)SEQ ID NO1、2、3、4、5、6または11中で与えられる配列を含み、
b)SEQ ID NO1、2、3、4、5、6または11からの8個の連続したアミノ酸を含み、但し前記8個の連続したアミノ酸の少なくとも1個が SEQ ID NO1、3、5または11からであり、または、
c)前のb)において記載の8個の連続したアミノ酸に関連した1個、2個または3個だけのアミノ酸の変更(例えば置換)を持つ8個の連続したアミノ酸を含み、但し存在する8個の連続したアミノ酸の少なくとも1個がSEQ ID NO1、3、5または11からであり、
ここで該ポリペプチドは、T細胞応答を誘導可能である。
【0019】
明細書中で使用される文言「含む(comprise)」は「からなる(consist)」を包含する。本発明のポリペプチド(または核酸)は、もし特定されなければ、1個以上のアミノ酸(または核酸)残基に隣接されていてもよい。例えば、該ポリペプチドは、融合タンパク質の精製を可能にするために、N−またはC−末端で1個以上の隣接ドメインを持つ融合タンパク質の一部であってもよい。
【0020】
ポリペプチド中のアミノ酸変更または修飾(例えば置換)は特に、T細胞への提示のためにHLAまたはMHC分子へ適合するアンカー残基に対してなされてもよい。HLAまたはMHC分子に対する該ポリペプチドの増強された結合および免疫原性は、このように達成されてもよい(Bristol, J. A. et al., 1998, J. Immunol. 160(5): 2433-2441; Clay, T. M. et al., 1999, J. Immunol. 162(3): 1749-1755 参照)。
【0021】
前記ポリペプチドは任意に、
a)デフォルトのパラメータを有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合、SEQ ID NO1の配列を含む分子と少なくとも55%の配列同一性を持ち、
b)デフォルトのパラメータを有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合、SEQ ID NO2の配列を含む分子と少なくとも55%の配列同一性を持ち、
c)1000の期待値(Expect value)および他のパラメータをデフォルトとして有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合、SEQ ID NO3の配列を含む分子と少なくとも40%の配列同一性を持ち、
d)1000の期待値および他のパラメータをデフォルトとして有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合、SEQ ID NO4の配列を含む分子と少なくとも40%の配列同一性を持ち、
e)100000の期待値および他のパラメータをデフォルトとして有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合、SEQ ID NO5の配列を含む分子と少なくとも70%の配列同一性を持ち、
f)100000の期待値および他のパラメータをデフォルトとして有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合、SEQ ID NO6の配列を含む分子と少なくとも50%の配列同一性を持ち、または、
g)1000の期待値および他のパラメータをデフォルトとして有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合、SEQ ID NO11の配列を含む分子と少なくとも40%、好ましくは60%の配列同一性を持っていてもよい。
【0022】
NCBI BLASTP プログラムは、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/ に見出され、デフォルトのパラメータは、Advanced Search を使用して変換できる。表示されるべき照合を小さなクェリー(query)配列を用いて探索する場合、デフォルトの「期待」値よりも高いことが要求されることがある。明細書中で使用される文言「配列同一性」は、対応する関連した位置において正確に一致する最適に直線状に並べられた配列中のアミノ酸残基のことをいう。例えば NCBI BLASTP プログラムは、クェリーと対象(「ヒットした」)配列との間の同一性の百分率の値を提供する。
【0023】
前記ポリペプチドは、SEQ ID NO1、2、3、4、5、6または11において与えられるような配列を含んでもよく、SEQ ID NO1、3、5、6または11において示されるような配列の断片であってもよい。
【0024】
HLAクラスII分子により提示されるポリペプチドは、変化する長さ(12〜25個のアミノ酸)のものであるが、HLAクラスI分子により提示されるポリペプチドは、クラスI HLAの結合溝へ適合するためには、正常には9個のアミノ酸残基長でなくてはならない。クラスI拘束HLA溝中で提示する前に、もしAPCまたは癌細胞のような標的細胞により内部的にプロセシングされることが可能でないならば、より長いペプチドは結合しないであろう。9個のアミノ酸のこの要求からの逸脱は、限られた数しか報告されておらず、それらの場合においては、提示されたポリペプチドの長さは8個または10個のアミノ酸残基長である。MHC分子へ結合するポリペプチドに関する総説に関しては、Rammensee, H.-G. et al. (1995) Immunogenetics 41: 178-228 および Barinaga (1992), Science 257: 880-881 を参照のこと。Male, D. K. et al.(1996, Advanced Immunology, Mosby, London)は、免疫学の分野に関する背景情報を提供している。
【0025】
前記ポリペプチドにより発生されるT細胞応答は、MHCまたはHLA結合溝へ適合する断片を提供するポリペプチドの細胞内開裂後に発生されてもよい。あるいは、前記ポリペプチドは、MHCまたはHLAクラスI結合溝へ適合するための細胞内開裂を必要としないことがある。この場合、該ポリペプチドは8〜10個のアミノ酸長であってもよい。MHCまたはHLAクラスII結合溝へ適合するための細胞内開裂を必要としない前記ポリペプチドも提供される。この場合、該ポリペプチドは12〜25個のアミノ酸長であってもよい。
【0026】
本発明によるT細胞応答は、ヘルパーTおよび/または細胞傷害性T細胞の数および/または活性を上昇させ得る。
【0027】
骨髄幹細胞、結腸の陰窩中の上皮細胞またはリンパ球の内の1つ以上に対する患者における実質的な細胞傷害性T細胞応答を刺激しないポリペプチドも提供される。
【0028】
本発明により、医療における使用のための核酸分子が更に提供され、ここで該核酸分子は、
a)前記のように、前記ポリペプチドをコード化する鎖を持ち、
b)前のa)中に記載の鎖と相補的である鎖を持ち、または、
c)前のa)またはb)中に記載の分子とハイブリダイズする鎖を持つ(例えばストリンジェント条件下で)。
【0029】
ストリンジェント・ハイブリダイゼーション条件は、Sambrook, J. et al.(1989, Molecular Cloning, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor)のpp1.101−1.110および11.45−11.61に詳しく論じられている。使用できるハイブリダイゼーション条件の1つの例は、5×SSC、0.5%SDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)の予備洗浄溶液を使用すること、および5×SSCを使用して55℃にて終夜ハイブリダイゼーションを試みることを含む。本発明の範囲内においてハイブリダイゼーション核酸配列には、プローブ、プライマーまたはDNA断片を包含する。文言プライマーには、適切な条件(例えば、4つの異なるヌクレオシド三リン酸、およびDNAもしくはRNAポリメラーゼまたは逆転写酵素のようなポリメリゼーション試薬の存在下において)下で、適切な緩衝液中および適温にて、鋳型に従ったDNA合成の開始点として作用する一本鎖オリゴヌクレオチドを包含する。
【0030】
医療における使用のための、本発明による核酸分子を含むベクターまたは細胞も提供される。
【0031】
医療における使用のための結合剤も更に提供され、ここで該結合剤は、前記の前記ポリペプチドと結合する。前記結合剤は、前記のポリペプチドに特異的であってもよい。前記結合剤は、抗体またはその断片であってもよい。前記結合剤は、レクチンであってもよい。
【0032】
その様々な文法の形態での文言抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、つまり抗体結合部位またはパラトープを含有する分子のことをいうために明細書中で使用される。このような分子はまた、免疫グロブリン分子の「抗原結合断片」としても言及される。例示的な抗体分子は、無傷の免疫グロブリン分子、実質的に無傷の免疫グロブリン分子、ならびにパラトープを含有する免疫グロブリン分子のそれらの部分であり、この部分には当業界でFab、Fab'、F(ab')2およびF(v)として知られるそれらの部分が包含される。本発明の抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであってもよい。文言抗体は、一本鎖抗体、キメラ、ヒト化または霊長類化された(CDR−移植)抗体など、ならびにキメラまたはCDR−移植単鎖抗体を包含するように意図され、これには2つの異なる種からの部分が含まれる。抗体の調製には、Harlow, E. および Lane, D.(1988, 抗体:実験室マニュアル、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor)、および Harlow, E. および Lane, D.(1999, 抗体の使用:実験室マニュアル、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor)を参照のこと。ワクチン用のレシチンを含む免疫学的補助剤は、抗体産生を刺激するために使用されてもよい(例えば US4,803,070 参照)。
【0033】
本発明により、医療における使用のためのTリンパ球が更に提供され、ここで該Tリンパ球は、本発明による前記ポリペプチドを発現している細胞を殺傷することができ、またはこのような細胞の殺傷において補助することができる。前記Tリンパ球は、細胞傷害性T細胞またはヘルパーT細胞であってもよい。
【0034】
医療における使用のために、前記の複数のTリンパ球を含むクローン細胞株も提供される。ヘルパーT細胞またはこのような細胞のクローン細胞株、および細胞傷害性T細胞またはこのような細胞のクローン細胞株を含む、医療における使用のためのTリンパ球の混合物も提供される。
【0035】
哺乳類において腫瘍細胞を認識して破壊することができるTリンパ球を発生する方法も提供され、これは哺乳類からTリンパ球の試料を取ること、ならびにこのTリンパ球を、hTERTγ−挿入タンパク質特異的Tリンパ球および/またはhTERTσ−挿入タンパク質特異的Tリンパ球を発生するのに充分な量の少なくとも1つの前記ポリペプチドの存在下で培養することを含む。
【0036】
本発明による抗体を発生するのに有用であり得るBリンパ球も提供される。本発明による抗体を発生することが可能なハイブリドーマも包含される(例えば Koehler et al., 1975, Nature 256: 495-497; Kosbor et al., 1983, Immunol. Today 4: 72; Cote et al., 1983, PNAS USA 80: 2026-2030; Cole et al., 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss Inc., New York, pp. 77-96 参照)。
【0037】
癌の処置用の医薬(medicament)の調製または癌を診断するための診断薬の調製における、前記ポリペプチド、前記核酸、前記ベクターまたは細胞、前記結合剤、前記Tリンパ球、前記細胞株、または前記Tリンパ球の混合物の使用も、本発明により更に提供される。該癌は哺乳類の癌であってもよい。特に、該癌はヒトの癌であってもよい。例えば該癌は、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸−直腸癌、肺癌、悪性黒色種、白血病、リンパ腫、卵巣癌、頚部癌または胆管癌であってもよい。
前記医薬はワクチンであってもよい。
【0038】
明細書で記載されるポリペプチドは、CD4+かCD8+かのT細胞免疫を間違いなく惹起することの可能なワクチンにおける使用に特に適している。該ポリペプチドは合成的に生成されてもよいので、該ポリペプチドを包含する医薬は、有害な効果を生成するかも知れない形質転換癌遺伝子または他の部位または物質を包含しない。該ポリペプチドは、他の望まれない応答の副作用なしに、特定の型のT細胞応答を標的とするかもしれない。
【0039】
前記医薬はアンチセンス分子であってもよく、または in vivo においてアンチセンス分子を発生することが可能である。
【0040】
前記診断薬は、キット中で提供されてもよい。該キットは、探知可能なシグナル(例えば蛍光ラベル、放射性ラベル)または探知可能な変化(例えば酵素触媒される変化)を発生するための手段を含んでもよい。該キットは、癌を診断することにおける使用のための使用説明書を包含してもよい。
【0041】
前記ポリペプチド、前記核酸、前記ベクターまたは細胞、前記結合剤、前記Tリンパ球、前記細胞株、または前記Tリンパ球の混合物を含む医薬組成物も更に提供される。
【0042】
前記医薬組成物は、癌遺伝子により生成されたポリペプチドに対して、または突然変異腫瘍抑制タンパク質に対して向けられたT細胞応答を誘導することが可能なポリペプチド、あるいはこのようなポリペプチドをコード化している核酸、あるいはこのようなポリペプチドに結合する結合剤、あるいはこのようなポリペプチドを発現している細胞を殺傷することが可能な、またはこのような細胞を殺傷することを補助することの可能なT細胞を含んでもよい。このような癌遺伝子または突然変異腫瘍抑制タンパク質の例は、p21−ras、Rb、p53、abl、gip、gsp、retまたはtrkを包含する。該癌遺伝子標的は、国際出願第 PCT/NO92/00032 号(公開番号第 WO92/14756 号)において記載されているp21−rasポリペプチドであってもよい。
【0043】
抗癌治療における同時の、別々のまたは連続の使用のための前記医薬組成物からの成分を含む組み合わされた調製物も提供される。
【0044】
医薬的に許容可能な担体、希釈剤、添加物、安定化剤および/または補助剤を更に含む、前記医薬組成物または組み合わされた調製物も提供され、前記組成物または組み合わされた調製物は、サイトカインまたは成長因子(例えばIL−2、IL−12および/またはGM−CSF)ならびにフレームシフト突然変異(例えばBAXまたはhTGFβ−RII遺伝子におけるフレームシフト突然変異)から生じる他のポリペプチドの1つ以上を任意に更に包含する。
【0045】
BAXおよびhTGFβ−RII遺伝子におけるフレームシフト突然変異から得られるポリペプチドによる特異的な様式でのCD4+およびCD8+T細胞への刺激の効果は、WO99/58552(前を参照)において開示された。
【0046】
前記医薬組成物または組み合わされた調製物は、ワクチンであってもよい。
前記医薬組成物または組み合わされた調製物は、アンチセンス分子を含むかまたは生成可能であってもよい。
前記医薬組成物の調製のための方法も提供され、これは医薬的に許容可能な担体、希釈剤、添加物、安定化剤および/または補助剤に、前記成分を組み合わせる工程を含む。
【0047】
本発明による医薬組成物は、以下の混合物のいずれを含んでもよい。
a)異なる配列を持つ他のポリペプチドと共に、前記の少なくとも1つのポリペプチドの混合物、
b)ポリペプチドが異なるMHCまたはHLA対立遺伝子に適合するのに適切であるように重なる配列を持つ他のポリペプチドと共に、前記の少なくとも1つのポリペプチドの混合物、
c)混合物a)およびb)両方の混合物、
d)混合物または幾つかの混合物a)、
e)幾つかの混合物b)の混合物、または、
f)幾つかの混合物a)および幾つかの混合物b)の混合物。
【0048】
該混合物中のポリペプチドはお互いに共有結合して、より大きなポリペプチドまたは環状ポリペプチドさえ形成してもよい。ポリペプチド自体は、直鎖または環状形態であってもよい。
【0049】
前記ポリペプチド、前記核酸、前記ベクターまたは細胞、前記結合剤、前記Tリンパ球、前記細胞株、または前記Tリンパ球の混合物を含む診断用組成物も、本発明により提供される。
前記診断用キットも、本発明により提供される。
【0050】
患者または同じものを必要とする動物に、治療的に有効な量の前記医薬組成物を投与することを含む、ヒトまたは動物の体の癌の処置または予防の方法も、本発明により提供される。本発明は、癌で苦しんでいる患者または動物の処置または予防の方法を包含し、該方法は、前記癌に対してのT細胞応答を惹起するのに充分な量の前記医薬組成物を、前記患者または動物に投与することを含む。処置の該方法は、in vivo または ex vivo において、前記医薬組成物での刺激も包含してもよい。Ex vivo 治療は、患者または動物から樹状細胞または他の適切な抗原提示細胞を単離すること、前記細胞を前記の少なくとも1つのポリペプチドまたは核酸で装填すること、およびこれらの装填された細胞を前記患者または動物中へ注入して戻すことを包含してもよい。前記該ポリペプチドまたは核酸は、癌に対しての抵抗力を得るために、患者のワクチン接種の方法中で使用されてもよい。癌遺伝子は、時々ウィルスに関連している。本発明は、ある種のウィルス性疾患の処置にも適切である。
【0051】
本発明によるポリペプチドは、ワクチン接種されるべき平均的なヒトの患者または個体に対して、1μg〜1gの範囲の量で投与されてもよい。各投与につき1μg〜1mgの範囲の小さい投薬量を使用することが好ましい。
【0052】
正確な投薬量、つまり医薬的に許容可能な投薬量、および本発明の医薬組成物および医薬の投与レジメは、例えば投薬量−応答アッセイを例えば使用して、当業者により容易に決定されてよい。
【0053】
該投与は、所望のT細胞免疫を確立および/または維持するのに適切なように、1回または数回行ってもよい。本発明によるポリペプチドは、サイトカインおよび/または成長因子、つまりインターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−12(IL−12)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、または免疫応答を強くするための、当業界において既知の同様のもののような化合物と共に、同時か別々に投与されてもよい。該ポリペプチドは、単独または他の物質と組み合わせて、ワクチンまたは治療用組成物中で使用され得る。例えば、該ポリペプチド(単数または複数)は、高親和性細胞傷害性T細胞応答を誘導することで知られるリポペプチド接合体の形態で供されてもよい(Deres, K. et al., 1989, Nature 342: 561-564)。
【0054】
本発明によるポリペプチドは、DNAワクチンの形態で個体または動物に投与されてもよい。単数または複数の該ペプチドをコード化しているDNAは、クローニングされたプラスミドDNAまたは合成オリゴヌクレオチドの形態であってもよい。該DNAは、IL−2のようなサイトカイン、および/または他の同時刺激分子と共に送達されてもよい。該サイトカインおよび/または他の同時刺激分子は、それ自体がプラスミドまたはオリゴヌクレオチドDNAの形態で送達されてもよい。
【0055】
DNAワクチンに対する応答は、免疫刺激性DNA配列(ISS)の存在により上昇することが示されている。これらは、式(5’−プリン−プリン−CG−ピリミジン−ピリミジン−3’)による、メチル化CpGを含有する6量体のモチーフの形態を取り得る。本発明によるDNAワクチンはこれ故に、これらのまたは他のISSを、hTERTγ−挿入タンパク質および/またはhTERTσ−挿入タンパク質をコード化しているDNAの中に、サイトカインまたは他の同時刺激分子をコード化しているDNAの中に、または両方の中に取り込んでもよい。DNAワクチン接種の利点の総説は、Tighe et al.(1998, Immunology Today, 19(2): 89-97)により提供される。
【0056】
場合によって単離形態で、前記ポリペプチドも本発明により提供され、ここで該ポリペプチドは、図4中に示される配列からなるポリペプチドではない。
【0057】
図4に示されるポリペプチド配列は、SEQ ID NO1の44個のアミノ酸を包含する、約1100個のアミノ酸残基のhTERTγ−挿入スプライシング変異体のC末端の46個のアミノ酸残基についての Kilian et al.(1997年、同上)の図5Cにおける開示を表している。Kilian et al.(1997年、同上)において提供される配列は、hTERTγ−挿入スプライシング変異体タンパク質の「他のC−末端」を示している(Kilian et al.(1997年、同上)は、対応するDNA配列が GenBank Accession number AF015950 により提供されることを指し示している)。Kilian et al.(1997年、同上)は、hTERTγ−挿入スプライシング変異体タンパク質のC末端における SEQ ID NO1、2または5によるポリペプチドを別々の実体としては開示しておらず、彼らは SEQ ID NO1、2または5によるポリペプチドの薬用の使用を開示または示唆していない。
【0058】
明細書中に記載されるポリペプチドは、従来の方法により、例えば当業界で既知の様々なポリペプチド合成法により生成されてもよい。あるいはそれらは、例えば臭化シアンを使用する開裂および引き続いての精製により生成されるhTERTγ−挿入タンパク質の断片および/またはhTERTσ−挿入タンパク質であってもよい。酵素的な開裂が使用されてもよい。該hTERTγ−挿入タンパク質およびhTERTσ−挿入タンパク質またはペプチドは、組み換え発現タンパク質またはポリペプチドの形態であってもよい。
【0059】
明細書中に記載されているような核酸も、場合によっては単離された形態で提供され、ここで該核酸は、前で除外されたポリペプチドをコード化している核酸ではなく、図4または図5において示されるような核酸でもない。
【0060】
約3100塩基対のhTERTγ−挿入スプライシング変異体の3’−末端にある核酸配列は、その一部が SEQ ID NO1を包含する対応するタンパク質のC−末端をコード化しており、Kilian et al.(1997年、同上)の図4において提供される。Wick et al.(1999年、同上)の図2B中で開示されているようなhTERTスプライシング変異体INS1(σ−挿入スプライシング変異体と等価)およびINS3(γ−挿入スプライシング変異体と等価)のエクソン−イントロン境界にある該核酸配列が、図5中に示される。図5中に示される Wick et al.(1999年、同上)の図2B中で開示されているような該核酸は、SEQ ID NO1〜6および11中に存在するアミノ酸残基をコード化するヌクレオチドを包含する。Wick et al.(1999年、同上)は、明確な実体として示される該核酸の存在およびそれらの医学的な使用に関して特定の言及をしていない。Wick et al.(1999年、同上)は、GenBank Accession numbers AF128893 および AF128894 中のそれらのhTERT遺伝子の、完全なヌクレオチド配列に関する言及を提供している。
【0061】
本発明のポリペプチドをコード化する核酸は、オリゴヌクレオチド合成により作られてもよい。これは、当業界で利用可能な様々な方法のいずれによってなされてもよい。テロメラーゼタンパク質をコード化する核酸は、従来のライブラリー・スクリーニングを使用してゲノムまたはcDNAライブラリーからクローニングされてもよい。そのプローブは、既知のhTERTγ−挿入および/またはhTERTσ−挿入遺伝子のいずれの配列の一部分に対応してもよい。あるいは該核酸は、ポリメラーゼ直鎖反応(PCR)を使用することにより得られることができる。該核酸は、好ましくはDNAであり、ベクター中に適切にクローニングされてもよい。サブクローンが、適切な制限酵素を使用することにより発生されてもよい。クローニングまたはサブクローニングされたDNAは、適切な宿主(例えばバクテリアの宿主)中で繁殖されてもよい。あるいは該宿主は、酵母またはバキュロウィルスのような真核細胞生物であることが可能である。hTERTγ−挿入およびhTERTσ−挿入タンパク質またはポリペプチドは、適切な宿主における発現により生成されてもよい。この場合該DNAは、発現ベクター中へクローニングされる。様々な商業的な発現キットが入手可能である。Sambrook, J. et al.(1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor)において記載されている方法が、これらの目的に使用されてもよい。
【0062】
明細書中に記載されるようなベクターまたは細胞も、任意に単離された形態で提供される。
明細書中に記載されるような結合剤が、任意に単離された形態で更に提供される。
明細書中に記載されるようなTリンパ球が、任意に単離された形態でなお更に提供される。
明細書中に記載されるようなクローン細胞株も、任意に単離された形態で提供される。
明細書中に記載されるようなTリンパ球の混合物が、更に提供される。
【0063】
明細書中に記載されるようなポリペプチドの、または核酸の配列を含む、機械で読み取り可能なデータ担体(例えばディスク)も提供される。
【0064】
配列の同一性の研究、配列の相同性の研究、またはハイブリダイゼーションの研究を実行するために、明細書中に記載されるようなポリペプチドまたは核酸分子の配列を使用することを含む方法が、なお更に提供される。前記方法は、構造および/または機能を予測するために(例えば抗癌活性を予測するために)前記配列を使用することを包含してもよい。薬物の開発またはスクリーニングの手順においても、この方法の使用が提供される。
【0065】
明細書中に記載されるようなポリペプチドまたは核酸分子の配列を表示または貯えておき、あるいは前記方法を実行するために設置されるコンピュータまたはデータベースも提供される。
【0066】
添付の図および実施例への言及と共に、明細書中において前に実質的に記載の発明も提供される。
語句「アミノ酸残基」および「アミノ酸」は、WIPO Standard ST.25 において定義されて明細書中で援用されるような修飾または異常アミノ酸を包含するように、幅広く定義される。
明細書中で使用される文言、処置または治療は、適用可能な場合、予防的な処置または治療を包含する。
明細書中で論じられる文献のそれぞれの内容は、その中で引用される文献を含んで、それらの全体を明細書中に援用される。
【0067】
本発明は、例だけのつもりであるが、本発明による様々なポリペプチドおよびそれらの使用を示す幾つかの添付の図に関する言及と共に、以下の記載から更に明白になるであろう。
【実施例】
【0068】
図1において、hTERTプレmRNA中に存在するイントロンの位置は、文字「i」とそれに続く適切な数字により指し示される。挿入および欠損変異体は4角ボックスとして示され、中にシェード付きのものは、全長のhTERTタンパク質中には存在しないタンパク質配列をコード化する配列を表す。異なるスプライシング変異体を分析するのに使用されるオリゴヌクレオチドプライマーの位置および方向は、矢印により指し示される。
【0069】
図2において、アミノ酸の付番は、配列の上に示される。アミノ酸は、当業界で既知の、それらの標準的な1文字略号により表される。
【0070】
図3において、SEQ ID NO1は、hTERTγ−挿入タンパク質の短縮された尾を反映し、SEQ ID NO2は、天然由来のhTERTγ−挿入発現産物(下線部)中のこれらの位置において正常には見出される9個のアミノ酸を伴ったアミノ末端での延長を伴った同じポリペプチドを反映する。SEQ ID NO3は、hTERTσ−挿入タンパク質の短縮された尾を反映する。SEQ ID NO4は、天然のhTERTσ−挿入発現産物(下線部)中のこれらの位置において正常には見出される9個のアミノ酸を伴ったアミノ末端での延長を伴った SEQ ID NO3を反映する。
【0071】
図4において、Kilian et al.(1997年、同上)の図5C中に提供されているような挿入スプライシング変異体3(hTERTγ−挿入スプライシング変異体と等価)のエクソン/イントロン接合部が示される。以下の情報が、Kilian et al.(1997年、同上)により提供される:核酸配列は、太字で与えられた推定のスプライシングされていないイントロンと共にタンパク質翻訳配列上に示され、推定のエクソン/イントロン接合部が|でマークされ、核酸配列の付番は以下に対応する:ヌクレオチド1は、GenBank Accession number AF015950 中の配列のヌクレオチド139に対応し、推定のc−Abl/SH3結合部位に対応するアミノ酸は、下線を施されている。Kilian et al.(1997年、同上)により示されるアミノ酸配列は、約1100個のアミノ酸残基のhTERTγ−挿入スプライシング変異体タンパク質のC−末端を表す。
【0072】
図5において、Wick et al.(1999年、同上)の図2Bにおいて開示されているような、hTERTスプライシング変異体INS1(σ−挿入スプライシング変異体と等価)およびINS3(γ−挿入スプライシング変異体と等価)のエクソン−イントロン境界のヌクレオチドが表される。イントロンおよびエクソンの配列が、それぞれ小文字および大文字で示されている。Wick et al.(1999年、同上)は、それらのhTERT遺伝子のヌクレオチド配列が、GenBank Accession number AF128893 および AF128894 として寄託されていることを指し示している。
【0073】
hTERTγ−挿入およびσ−挿入スプライシング変異体は、癌細胞株および腫瘍においては発現されるが、正常細胞においては探知不可能または非常に低いレベルで存在することが立証された。本願はそれ故に、テロメラーゼ(hTERT)タンパク質の機能的変異体に基づいたワクチンと比較して特異性が改善された一般的な癌ワクチンの候補を開示する。γおよびσ挿入両方は、停止コドンの早い形成およびカルボキシル末端において短縮されたタンパク質の発現をもたらす。短縮hTERTのγ−およびσ−挿入タンパク質は、それら自身テロメラーゼ活性を持たない。γ−挿入の場合、該タンパク質の短縮された尾は、44個のアミノ酸の配列(SEQ ID NO1)である。σ−挿入は、その中で短縮された尾が20個のアミノ酸の配列(SEQ ID NO3)であるタンパク質をもたらす。それらは、癌細胞株において優性に発現されるが、正常細胞においては探知不可能、または非常に低いレベルで存在し、これ故に特異的な免疫治療のための標的となる。本発明によれば、hTERTγ−挿入および/またはσ−挿入スプライシング変異体により発現されるタンパク質のカルボキシル末端(短縮された尾)に対応するポリペプチドは、ヒトにおける癌細胞に対しての免疫系(T−細胞)の細胞の戦闘力の引き金を引く機能を有する抗癌剤またはワクチンとして有用である。本発明の好ましい実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO5による配列を含む。本発明の他の好ましい実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO6による配列を含む。なお他の好ましい実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO11による配列を含む。
【0074】
(実験の部)
明細書中で概説される実験は、正常細胞と比較して、様々な癌細胞株におけるhTERTスプライシング変異体の特徴付けを記載する。本発明によるポリペプチドの合成、および癌治療における使用のためのポリペプチドの効果を試すための実験が詳述される。SEQ ID NO11によるアミノ酸配列を持つペプチドによるヒトT細胞の誘導および増殖を示す実験が記載される。
【0075】
(hTERTのγ−挿入およびσ−挿入スプライシング変異体のRT−PCR分析)
(RNA分析)
完全に溶解された細胞からのポリ(A)+mRNAが、磁気的オリゴ(dT)ビーズを使用して、粗溶解物から直接単離された(Dynal, A. S.; Jakobsen, K. S. et al., 1990, Nucleic Acids Res. 18: 3669)。細胞質ゾルのmRNA分画が、1分間0℃にて1%IGEPAL(シグマ)中で細胞をインキュベートし、その後、核を除くために遠心分離(10000g、1分、4℃)されることにより調製された。ポリ(A)+mRNAがその後、前記オリゴ(dT)ビーズを使用して上清から単離された。
【0076】
(cDNA合成およびPCR)
第1の鎖のcDNAの合成が、M−MLV RNaseH÷逆転写酵素(プロメガ社)を使用して標準的な手順により実施され、PCR反応は、HotStar Taq DNAポリメラーゼ(キアゲン)を使用することにより実行され、PCT−200サーマル・サイクラー(MJ Research)上で35サイクル回された。PBMおよびCD34+細胞からの探知可能な産物を得るために、反応物の10%が2回目のPCR反応における鋳型として使用され、更なる15サイクルにより増幅された。
【0077】
γ−挿入スプライシング変異体、すなわち+鎖プライマー変異体の分析のために、+鎖プライマーhTERT−p3195(5-GCC TCC CTC TGC TAC TCC ATC CT-SEQ ID NO7)および−鎖プライマーhTERT−m3652(5-CGT CTA GAG CCG GAC ACT CAG CCT TCA-SEQ ID NO8)が使用された。これらのプライマーは、全長のhTERTのcDNAおよびγ−挿入変異体に適用されると、それぞれ465個および624個のヌクレオチドの断片を生成する。σ−挿入変異体の分析は、プライマーhTERT−P6(5-GCC AAG TTC CTG CAC TGG CTG A-SEQ ID NO9)およびhTERT−m2044(5-GCT CTA GAA CAG TGC CTT CAC CCT CG-SEQ ID NO10)を使用することにより実行された。全長のhTERTのcDNAおよびσ−挿入変異体と共にこれらのプライマーを使用することから得られる増幅産物は、それぞれ369個および407個のヌクレオチドを含む。これらのPCR産物が真性のスプライシング変異体を表すことを証明するために、断片がゲルから単離され、ABIプリズム310自動化シーケンサー(PE社)を使用する直接の配列決定により分析された。
【0078】
(結果)
テロメラーゼ活性は、転写後のレベルでの複雑な調節に付され、テロメラーゼタンパク質の有無を探知するのに使用される方法は、該タンパク質それ自身、あるいはmRNA変異体の直接の測定を含むべきである。更に、細胞中に見出される異なるhTERTスプライシング変異体の多さは、同じ細胞の細胞質ゾル分画中に見出されるレベルとは必ずしも相関されている必要はない(図6参照)。このような逸脱は、mRNA変異体が核から細胞質ゾルの区画へ運ばれる効率における違いにより、および/または該細胞質ゾル中での特異的なスプライシング変異体の格差安定性により説明されることがある。このような機序が遺伝子制御の概念の一部であることが、当業界ではよく知られている。それにもかかわらず、前に引用されたものを包含するhTERT調節を説明するために遂行される研究は、それらの分析のために完全に溶解された細胞から単離された全てのRNAまたはmRNAを使用してきた。この種のRNA単離を実行するために要求されるキットおよび試薬が、商業的な市場において広く入手可能である。遺伝子発現の正しい状況を得るために、mRNAの多さに関する研究は、細胞質ゾル区画に特異的なmRNAの分析を包含するべきである。
【0079】
図6は、hTERTのγ−(A)およびσ−挿入変異体(B)を含む領域のRT−PCR分析からの結果を示す。HL60、K562および Jurkat が、分析された癌細胞株を表している。HL60は前骨髄細胞白血病細胞株(Sokoloski, J. A. et al., 1993, Blood 82: 625-632)であり、K562は赤血球の白血病細胞株である(Lozzio, C. B. et al., 1975, Blood 45: 321-324)、一方 Jurkat は急性T−リンパ球白血病細胞に由来する(Gillis, S. et al., 1980, J. Exp. Med. 152: 1709-1719)。HL60、K562および Jurkat 癌細胞株は、商業的に入手可能である(例えばATCC、オスロから)。PBM1、PBM2、PBM3およびPBM4は、4人の異なる健康な提供者から単離された末梢血単核(PBM)細胞集団を表す。CD34は、健康な提供者から単離されたCD34−陽性幹細胞を表し、CC1/CC2は、Norwegian Radium Hospital(オスロ)の2人の癌患者から得られた結腸癌生検を表し、CC2aおよびCC2bとは同じ腫瘍から解剖された2つの組織の試料である。細胞の完全な溶解により単離されたmRNA、および細胞質ゾル分画から単離されたmRNAを用いて実行されるRT−PCR反応は、それぞれ文字「T」および「C」でマークされる。「M」は、分子量マーカーを有するレーンを指し示している。γ−およびσ−挿入スプライシング変異体およびそれぞれの全長のhTERT産物(+)を表すPCR断片の位置は、パネルの右側に指し示される。
【0080】
RT−PCR分析は、γ−およびσ−挿入スプライシング変異体の双方が全ての癌細胞株において、および分析された腫瘍試料の1つ(CC2b)において、容易に探知可能であり、σ−挿入変異体が細胞質ゾル分画中で最も多いものとして出現したことを示した。対照的に我々は、これらの試料を用いて実行された広範囲のPCR増幅にもかかわらず、PBM細胞から単離された細胞質ゾルのmRNA集団において、これらの変異体を探知することができなかった。PBMおよびCD34−陽性細胞におけるσ−挿入プライマーを用いて生成される弱い395−塩基対断片の同一性は、今のところ知られていない。
【0081】
(癌に関連する適用のためのペプチド合成および分析)
(ポリペプチド合成)
ポリペプチドは、連続フロー固相ペプチド合成を使用することにより合成された。適切な側鎖の保護を有するN−a−Fmoc−アミノ酸が使用された。該Fmoc−アミノ酸は、カップリングのためにペンタフルオロフェニルエステルとして、あるいはカップリング前にTBTUまたはジイソプロピルカルボジイミドによる活性化を使用することにより活性化された。DMF中の20%のピペリジンが、各カップリングの後のFmocの選択的な除去のために使用された。樹脂からの開裂および側鎖保護の最終的な除去は、適切なスキャベンジャーを含有する95%TFAにより実行された。ポリペプチドは逆相HPLCにより精製および分析された。該ポリペプチドの同一性は、電子−噴射質量分光を使用することにより確かめられた。
【0082】
(ポリペプチド試験および癌治療)
本発明による癌ワクチンおよびT細胞免疫に基づいた特異的な癌治療のための方法が有効であるために、2つの条件が適えられなければならない。即ち、
(a)ポリペプチドが少なくとも8個のアミノ酸長であり、hTERTγ−挿入タンパク質またはhTERTσ−挿入タンパク質の断片であり、また、
(b)該ポリペプチドが、その全長か抗原提示細胞によるプロセシングの後で、T細胞応答を誘導することが可能である。
【0083】
これらの条件が特定のポリペプチドに対して適えられるかどうか決定するために、以下の実験の方法が使用されてもよい。第1に、特定の該ポリペプチドが in vitro においてT細胞免疫応答を引き起こすかどうか決定されるべきである。合成ポリペプチドが、hTERTγ−挿入タンパク質および/またはhTERTσ−挿入タンパク質を宿す癌細胞において、あるいは天然のhTERTγ−挿入タンパク質および/またはhTERTσ−挿入タンパク質をプロセシングした抗原提示細胞において、生じるポリペプチド断片に対応するポリペプチド断片に対応するか、あるいはプロセシング後に得ることが可能か立証されることも必要であろう。hTERTγ−挿入および/またはhTERTσ−挿入ポリペプチドのワクチン接種により in vivo において誘導されるT細胞の特異性も、決定されるかも知れない。
【0084】
(In vitro におけるT細胞応答分析)
hTERTγ−挿入および/またはhTERTσ−挿入を発現している腫瘍細胞株が、hTERTγ−挿入および/またはhTERTσ−挿入ポリペプチドのワクチン接種後に、ガン患者からの末梢血から得られたT細胞クローンにより殺傷され得るかどうか決定することが必要である。T細胞クローンは、hTERTγ−挿入および/またはhTERTσ−挿入ポリペプチドのワクチン接種後に、ガン患者からの末梢血単核細胞(PBMC)中に存在するT−細胞芽細胞のクローニングの後に得られる。ポリペプチドのワクチン接種のプロトコルは、GM−CSFまたは他の普通に使用される補助剤と共に皮膚内で、ポリペプチドの in vivo における幾つかの注射を包含する。T細胞のクローニングは、応答するT細胞芽細胞を寺崎プレート(Terasaki plates)上に、穴につき5個の芽細胞にて蒔くことにより実行される。各穴は、フィーダー細胞として2×104個の放射線照射(30Gy)自家のPBMCを含有する。該細胞は20mlの全体積中で、25mMでのhTERTγ−挿入および/またはhTERTσ−挿入ポリペプチドならびに5U/mlの組み換えインターロイキン−2(rIL−2)(Amersham, Aylesbury, UK)を用いて増殖される。9日後、T細胞クローンは、1mg/mlの植物性血球凝集素(PHA、Wellcome, Dartford, UK)、5U/mlのrIL−2、およびフィーダー細胞として放射線照射(30Gy)同種のPBMC(穴につき2×105個)と共に、平底96−穴プレート上に移動された。成長しているクローンは、PHA/rIL−2およびフィーダー細胞として1×106個の同種の放射線照射PBMCと共に、更に24−穴プレートにおいて増やされ、4〜7日後に、ポリペプチドの特異性を求めてスクリーニングされた。
【0085】
T細胞クローンは、更なる特徴付けのために選ばれた。該T細胞クローンの細胞表面表現型は、該T細胞クローンがCD4+またはCD8+であるかどうか確かめるために決定される。T細胞クローンは、腫瘍細胞の溶解が起きるかどうか決定するために、異なる(エフェクター:標的)比率で、自家の腫瘍細胞標的と共にインキュベートされる。溶解は、該T細胞が、例えばhTERTγ−挿入および/またはhTERTσ−挿入タンパク質である抗原由来の腫瘍に対して向けられた反応性を持つことを指し示す。
【0086】
(ポリペプチドと in vivo hTERT挿入断片との間の相関)
認識される抗原がhTERTγ−挿入タンパク質またはhTERTσ−挿入タンパク質と相互作用することを証明するために、およびT細胞クローンに対し推定のhTERTγ−挿入またはhTERTσ−挿入ポリペプチドを提示するHLAクラスIまたはクラスII分子を同定するために、患者のそれらと共通の1つ以上のHLAクラスIまたはII分子を担持する、異なるhTERTγ−挿入および/またはhTERTσ−挿入発現腫瘍細胞株が、細胞傷害性アッセイにおいて標的細胞として使用される。標的細胞は、終夜51Crまたは3H−チミジン(9.25×104Bq/mL)でラベルされ、1回洗浄され、96穴プレートにおいて、穴につき5000個の細胞にて蒔かれる。T細胞は異なる(エフェクター:標的)比率で加えられ、該プレートは37℃にて4時間インキュベートされ、その後液体シンチレーション・カウンター(Packard Topcount)中でカウントする前に採取される。例えば、膀胱ガン細胞株T24(12Val+、HLA−A1+、B35+)、黒色腫細胞株FMEX(12Val+、HLA−A2+、B35+)および結腸ガン細胞株SW480(12Val+、HLA−A2+、B8+)、または他のいかなるテロメラーゼ陽性腫瘍細胞株も、標的細胞として使用されてもよい。hTERTγ−挿入および/またはhTERTσ−挿入タンパク質を発現しない適切な細胞株がコントロールとして使用されてもよく、溶解されるべきではない。特定の細胞株の溶解は、試験されるT細胞クローンが、その細胞株により発現されるHLAクラスIまたはクラスIIサブタイプの関係において、内側からプロセシングされるhTERTγ−挿入および/またはhTERTσ−挿入抗原決定基(エピトープ)を認識することを指し示す。
【0087】
(T細胞クローンの特徴付け)
T細胞クローンのHLAクラスIまたはクラスII拘束は、遮断実験により決定されてもよい。HLAクラスI抗原に対してのモノクローナル抗体、例えば全てに反応性のHLAクラスIモノクローナル抗体W6/32、またはHLAクラスII抗原に対しての、例えばHLAクラスIIDR、DQおよびDP抗原に対して向けられたモノクローナル(B8/11、SPV−L3およびB7/21)が使用されてもよい。自家の腫瘍細胞株に対してのT細胞クローン活性は、10μg/mlの最終濃度にてHLAクラスIおよびII分子に対して向けられたモノクローナル抗体を使用して評価される。アッセイが、96穴プレートにおいて3通りに、前記のように組み立てられ、標的細胞が、T細胞の添加の前に37℃にて30分間前インキュベーション処理される。
【0088】
T細胞クローンの細かな特異性は、ポリペプチド刺激(パルス)実験を使用して決定されてもよい。T細胞クローンにより実際に認識されるhTERTγ−挿入および/またはhTERTσ−挿入ポリペプチドを同定するために、9量体のポリペプチドのパネルが試験される。51Crまたは3H−チミジンラベルされ、穏やかな酸で溶出された自家の線維芽細胞が、96穴プレートにおいて穴につき2500個の細胞にて蒔かれ、T細胞の添加前に37℃にて5%CO2のインキュベーター中で、b2−ミクログロブリン(2.5μg/mL)と共に、1μMの濃度のポリペプチドで刺激される。アッセイが、96穴プレートにおいて3通りに組み立てられ、5:1の(エフェクター:標的)比率で4時間インキュベートされる。コントロールは、単独で、ポリペプチドの非存在下でAPCと共に、または無関連な黒色種関連ポリペプチドMART−1/Melan−Aポリペプチドと共に培養されたT細胞クローンを包含することが可能である。
【0089】
T細胞クローンの細かな特異性を決定する他のプロトコルも使用されてもよい。この他のプロトコルでは、TAP不全T2細胞株が抗原提示細胞として使用される。この細胞株は小さな量のHLA−A2抗原しか発現しないが、該細胞表面での上昇したレベルのHLAクラスI抗原が、b2−ミクログロブリンの添加により誘導され得る。3H−ラベルされた標的細胞が、37℃にて1時間b2−ミクログロブリン(2.5μg/mL)と共に、異なる試験ポリペプチドおよび1μMの濃度でのコントロールのポリペプチドと共にインキュベートされる。ポリペプチドで刺激された後、該標的細胞はよく洗浄され、数えられ、T細胞の添加前に96穴プレートにおいて穴につき2500個の細胞にて蒔かれる。該プレートは、採取前に5%CO2中37℃にて4時間インキュベートされる。コントロールは、単独で、またはポリペプチドの非存在下で標的細胞と共に培養されたT細胞クローンを包含する。アッセイが、20:1の(エフェクター:標的)比率で、96穴プレートにおいて3通りに組み立てられた。
【0090】
前に同定された特定のポリペプチドに対するT細胞クローンの感受性も、投薬量−応答実験を使用して決定されてもよい。ポリペプチド感受性にされた線維芽細胞が、標的細胞として使用され得る。該標的細胞は、ペプチドがT細胞の添加前に異なる濃度にて加えられることを除き、細かな特異性の決定のために前記の特定のペプチドで刺激される。コントロールは、標的細胞単独、および無関連な黒色種関連ペプチドMelan−A/MART−1と共に刺激された標的細胞を包含する。
【0091】
(hTERTσ−挿入ペプチドに対するヒトT細胞応答の誘導および増殖)
この実験では、4人の健康なヒト(提供者「14328」「14313」「23244」および「23255」)からの末梢血単核細胞(PBMC)が単離され、hTERTσ−挿入ポリペプチド由来の SEQ ID NO11のペプチドで刺激された樹状細胞を用いて7日間予め用意された後、ペプチドで刺激された自家のPBMCを用いての7日の再刺激からなる2サイクルが行われた。該樹状細胞は、末梢血からの単球由来であった。結果として得られたひとまとまりの培養物からのT細胞は、3日後の採取前に、ペプチドで刺激された抗原提示細胞(APC)を用いて、または用いずに3通りに試験された。該培養物の増殖能力を測定するために、採取前に3H−チミジン(3.7×104Bq/穴)が、終夜該培養物に加えられた。非刺激APCを用いて、またはAPCを用いずに、培養物がコントロールとして働いた。該培養物の増殖能力を示す結果が、図7において示される。使用された該プロトコルの更なる詳細が、以下に詳しく述べられる。
【0092】
T細胞クローンは、ワクチン接種されていない提供者14313および23255からもたらされたひとまとまりの培養物から得られた。該クローンは、前のセクション「In vitro におけるT細胞応答分析」において記載のPRMC中に存在するT細胞芽細胞から得られた。ペプチドで刺激された、および非ペプチドで刺激された抗原提示細胞を用いた該T細胞クローンの増殖の結果は、図8(提供者14313)および図9(提供者23255)において示される。
【0093】
図7、8および9中の結果は、3通りの測定の分当たりの平均カウント(cpm)として与えられる。該データは、ヒトからの血がhTERTσ−挿入ポリペプチド由来のペプチド由来のペプチド(SEQ ID NO11)について特異的な循環T細胞を含有し、更に、このようなT細胞が関連のペプチドでの刺激を伴って in vitro において拡張されることが可能であることを論証している。
【0094】
従って、図7、8および9の実験は、該hTERTσ−挿入ポリペプチドがヒトにおいて免疫原性であることを示す。In vitro(または in vivo)における刺激はこれ故に、癌患者における腫瘍の成長により過剰発現された場合、同じ抗原を認識する潜在能力を伴ってhTERTσ−挿入タンパク質特異的T細胞応答を引き起こし得る。この特別な実験は、一般原則として SEQ ID NO11のペプチドは、ヒトにおいて癌ワクチンとして開発され得ることを論証している。
【0095】
(MHCクラスII拘束T細胞応答の誘導のためのプロトコル)
(0日目)
PBMCは、50mlの血(バッフィーコートから)から分離された。該細胞は数えられ、RPMI−1640/15%の完全なプール血清中に再懸濁された。
ひとまとまりの培養物は、1〜1.5ml中2×106個の細胞/mlにてPBMCの24穴プレートの1〜2個の穴を用いて組み立てられた。hTERTσ−挿入ポリペプチド由来の、25μMの SEQ ID NO11のペプチドが加えられた。
【0096】
(9〜10日目)
ひとまとまりの培養物は採取され、放射線照射PBMCおよびペプチドで刺激された。もし高い率の細胞死があったならば、培養物は Lymphoprep で分けられ、さもなければそれらは数えられて、RPMI/15%プール血清中に再懸濁された(ひとまとまりの培養物の Lymphoprep 遠心分離は、1;8mlの細胞懸濁物を加え、および2;2mlの Lymphoprep を敷くことにより、15mlのファルコン・チューブ中で行われる。30分間に1500rpmでの回転、および食塩水での2回の洗浄)。自家のPBMCの1つのバイアルが解凍され、洗浄され、数えられて、RPMI/15%FCS中に再懸濁された。該PBMCは放射線照射された(25GY、5分58秒)。細胞は24穴プレートから外に出された。ひとまとまりの培養物からの0.5〜2.0×106個のT細胞が、1×106個の放射線照射フィーダー細胞(PBMC)および25μMの SEQ ID NO11のペプチドで刺激された。最終体積は1mlであった。
【0097】
(12日目)
IL−2(10U/ml)が加えられた。もし必要ならば培地も、体積の半分を置き換えることにより加えられた。もし必要ならば、培養物は分けられた。
(17日目)
ひとまとまりの培養物中のT細胞は、10日目のように、自家の放射線照射PBMCおよび SEQ ID NO11のペプチドで再刺激された。
(19日目)
IL−2(10U/ml)が、17日目の再刺激されたひとまとまりの培養物に加えられた。
【0098】
ペプチド特異性に関してT細胞を試験するための増殖アッセイが、96穴プレートにおいて、各条件を3通りに組み立てられた。
【0099】
【表1】

【0100】
増殖アッセイの2〜3日目に、3H−チミジン(20μl)が加えられ、採取前に終夜37℃にてインキュベートされた。
(前の実施例において使用されたような)プロトコルの変異体において、PBMCは0日目に、SEQ ID NO11で刺激された樹状細胞を用いて予め用意された。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、癌細胞株中に見出される全長のhTERTのmRNAおよびスプライシング変異体のスキームの図面である。
【図2】図2は、hTERTタンパク質の一部分とスプライシング変異体の翻訳から得られるタンパク質との間のタンパク質を直線に並べたものを示す。
【図3】図3は、hTERTγ−挿入およびσ−挿入のスプライシング変異体タンパク質のカルボキシル末端を示す。
【図4】図4は、Kilian et al.(1997年、同上)の図5Cにおいて開示されているようなhTERTγ−挿入スプライシング変異体に関連する先行技術の配列を示す。
【図5】図5は、Wick et al.(1999年、同上)の図2Bにおいて開示されているようなhTERTγ−挿入またはσ−挿入スプライシング変異体に関連する先行技術の配列を示す。
【図6】図6は、hTERTのγ−挿入(A)およびσ−挿入(B)スプライシング変異体を含む領域のRT−PCR分析からの結果を示す。
【図7】図7は、SEQ ID NO11のアミノ酸配列を持つポリペプチドにより、ヒトの血液試料中に誘導される増殖するT細胞応答を示す。
【図8】図8は、SEQ ID NO11のアミノ酸配列を持つポリペプチドにより誘導されるT細胞クローンの増殖を示す。
【図9】図9は、SEQ ID NO11のアミノ酸配列を持つポリペプチドにより誘導される他のT細胞クローンの増殖を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療における使用のためのポリペプチドであって、ここで該ポリペプチドが、
a)SEQ ID NO1、2、3、4、5、6または11中で与えられる配列を含み、
b)SEQ ID NO1、2、3、4、5、6または11からの8個の連続したアミノ酸を含み、但し前記8個の連続したアミノ酸の少なくとも1個が SEQ ID NO1、3、5または11からであり、または、
c)前記b)に記載の8個の連続したアミノ酸に関連した1個、2個または3個だけのアミノ酸の変更(例えば置換)を持つ8個の連続したアミノ酸を含み、但し前記8個の連続したアミノ酸の少なくとも1個が SEQ ID NO1、3、5または11からであり、
ここで該ポリペプチドがT細胞応答を誘導可能である当該ポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載の医療における使用のためのポリペプチドであって、ここで該ポリペプチドが、
a)デフォルトのパラメータを有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合に、SEQ ID NO1の配列を含む分子と少なくとも55%の配列同一性を持ち、
b)デフォルトのパラメータを有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合に、SEQ ID NO2の配列を含む分子と少なくとも55%の配列同一性を持ち、
c)1000の期待値(Expect value)および他のパラメータをデフォルトとして有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合に、SEQ ID NO3の配列を含む分子と少なくとも40%の配列同一性を持ち、
d)1000の期待値および他のパラメータをデフォルトとして有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合に、SEQ ID NO4の配列を含む分子と少なくとも40%の配列同一性を持ち、
e)100000の期待値および他のパラメータをデフォルトとして有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合に、SEQ ID NO5の配列を含む分子と少なくとも70%の配列同一性を持ち、
f)100000の期待値および他のパラメータをデフォルトとして有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合に、SEQ ID NO6の配列を含む分子と少なくとも50%の配列同一性を持ち、または、
g)1000の期待値および他のパラメータをデフォルトとして有する NCBI BLASTP 2.1.2 版探索により決定される場合に、SEQ ID NO11の配列を含む分子と少なくとも40%の配列同一性を持つ
当該ポリペプチド。
【請求項3】
請求項1に記載の医療における使用のためのポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、SEQ ID NO1、2、3、4、5、6または11中で与えられるような配列を含むか、またはSEQ ID NO1、3、5、6または11中に示されるような配列の断片である当該ポリペプチド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の医療における使用のためのポリペプチドであって、前記T細胞応答が、MHCまたはHLA結合溝へ適合する断片を提供するための該ポリペプチドの細胞内開裂後に生じる当該ポリペプチド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の医療における使用のためのポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、MHCまたはHLAクラスI結合溝へ適合するための細胞内開裂を必要としない当該ポリペプチド。
【請求項6】
請求項5に記載の医療における使用のためのポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、8〜10個のアミノ酸長である当該ポリペプチド。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の医療における使用のためのポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、MHCまたはHLAクラスII結合溝へ適合するための細胞内開裂を必要としない当該ポリペプチド。
【請求項8】
請求項7に記載の医療における使用のためのポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、12〜25個のアミノ酸長である当該ポリペプチド。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の医療における使用のためのポリペプチドであって、前記T細胞応答が、Tヘルパーおよび/またはT細胞傷害性細胞の数および/または活性を上昇させる当該ポリペプチド。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の医療における使用のためのポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、骨髄幹細胞、結腸の陰窩中の上皮細胞またはリンパ球の内の1つ以上に対する患者における実質的な細胞傷害性T細胞応答を刺激しない当該ポリペプチド。
【請求項11】
医療における使用のための核酸分子であって、ここで該核酸分子が、
a)請求項1〜10のいずれかに記載のポリペプチドをコード化する鎖を持ち、
b)前記a)に記載の鎖と相補的である鎖を持ち、または、
c)前記a)もしくは前記b)に記載の分子とハイブリダイズする鎖を持つ(例えばストリンジェント条件下で)
核酸分子。
【請求項12】
請求項11に記載の医療における使用のための核酸分子を含むベクターまたは細胞。
【請求項13】
医療における使用のための結合剤であって、該結合剤が、請求項1〜10のいずれかに記載のポリペプチドと結合する当該結合剤。
【請求項14】
請求項14に記載の医療における使用のための結合剤であって、該結合剤が、請求項1〜10のいずれかに記載のポリペプチドに対して特異的である結合剤。
【請求項15】
抗体またはこの断片である、請求項14に記載の医療における使用のための結合剤。
【請求項16】
医療における使用のためのTリンパ球であって、該Tリンパ球が、請求項1〜10のいずれかに記載のポリペプチドを発現している細胞を殺傷することが可能な、またはこのような細胞の殺傷において補助することが可能なTリンパ球。
【請求項17】
請求項16に記載の医療における使用のためのTリンパ球であって、該Tリンパ球が、T細胞傷害性細胞またはTヘルパー細胞であるTリンパ球。
【請求項18】
請求項16または請求項17に記載の医療における使用のための複数のTリンパ球を含むクローン細胞株。
【請求項19】
請求項17に記載のTヘルパー細胞または請求項18に記載のこのような細胞のクローン細胞株、および請求項17に記載のT細胞傷害性細胞または請求項18に記載のこのような細胞のクローン細胞株を含む、医療における使用のためのTリンパ球の混合物。
【請求項20】
癌を処置するための医薬の調製または癌を診断するための診断薬の調製における、請求項1〜10のいずれかに記載のポリペプチド、請求項11に記載の核酸、請求項12に記載のベクターもしくは細胞、請求項13〜15のいずれかに記載の結合剤、請求項16もしくは17に記載のTリンパ球、請求項18に記載の細胞株、または請求項19に記載のTリンパ球の混合物の使用。
【請求項21】
前記癌が哺乳類の癌である請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記癌がヒトの癌である請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記癌が、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸−直腸癌、肺癌、悪性黒色種、白血病、リンパ腫、卵巣癌、頚部癌または胆管癌である請求項20〜22のいずれかに記載の使用。
【請求項24】
前記医薬がワクチンである請求項20〜23のいずれかに記載の使用。
【請求項25】
前記医薬がアンチセンス分子であるか、または in vivo においてアンチセンス分子を生じることが可能である請求項20〜23のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
前記診断薬がキット中で提供される請求項20〜23のいずれかに記載の使用。
【請求項27】
前記キットが、探知可能なシグナル(例えば蛍光ラベル、放射性ラベル)または探知可能な変化(例えば酵素触媒される変化)を生じるための手段を含む請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記キットが、癌を診断することにおける使用のための使用説明書を包含する請求項26または請求項27に記載の使用。
【請求項29】
請求項1〜10のいずれかに記載のポリペプチド、請求項11に記載の核酸、請求項12に記載のベクターもしくは細胞、請求項13〜15のいずれかに記載の結合剤、請求項16もしくは17に記載のTリンパ球、請求項18に記載の細胞株、または請求項19に記載のTリンパ球の混合物を含む医薬組成物。
【請求項30】
癌遺伝子により生成されたポリペプチドに対して、または突然変異腫瘍抑制タンパク質に対して向けられたT細胞応答を誘導することが可能なポリペプチド、あるいはこのようなポリペプチドをコード化している核酸、あるいはこのようなポリペプチドに結合する結合剤、あるいはこのようなポリペプチドを発現している細胞を殺傷することの可能な、またはこのような細胞を殺傷することを補助することの可能なT細胞を更に含む、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記前記癌遺伝子または突然変異腫瘍抑制タンパク質が、p21−ras、Rb、p53、abl、gip、gsp、retまたはtrkである請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
抗癌治療における同時の、別々のまたは連続の使用のための、請求項29に記載の成分および請求項30または請求項31に記載の成分を含む組み合わされた調製物。
【請求項33】
請求項29〜31のいずれかに記載の医薬組成物、または請求項32に記載の組み合わされた調製物であって、医薬的に許容可能な担体、希釈剤、添加物、安定化剤および/または補助剤を更に含み、前記組成物または組み合わされた調製物が、サイトカインまたは成長因子(例えばIL−2、IL−12および/またはGM−CSF)ならびにフレームシフト突然変異(例えばBAXまたはhTGFβ−RII遺伝子におけるフレームシフト突然変異)から生じる他のポリペプチドの1つ以上を任意に更に包含する医薬組成物、または組み合わされた調製物。
【請求項34】
ワクチンである請求項29〜31または33のいずれかに記載の医薬組成物、あるいは請求項32または33に記載の組み合わされた調製物。
【請求項35】
アンチセンス分子を含むか、または生成可能である、請求項29〜31もしくは33のいずれかに記載の医薬組成物、または請求項32もしくは33に記載の組み合わされた調製物。
【請求項36】
請求項1〜10のいずれかに記載のポリペプチド、請求項11に記載の核酸、請求項12に記載のベクターまたは細胞、請求項13〜15のいずれかに記載の結合剤、請求項16または17に記載のTリンパ球、請求項18に記載の細胞株、または請求項19に記載のTリンパ球の混合物を含む診断用組成物。
【請求項37】
請求項26〜28のいずれかに記載の診断用キット。
【請求項38】
任意に単離された形態の請求項1〜10のいずれかに記載のポリペプチドであって、該ポリペプチドが、図4中に示される配列からなるポリペプチドではないポリペプチド。
【請求項39】
任意に単離された形態の請求項11に記載の核酸であって、ここで該核酸が、請求項38から除外されたポリペプチドをコード化している核酸ではなく、図4または図5において示されるような核酸でもない核酸。
【請求項40】
任意に単離された形態の請求項12に記載のベクターまたは細胞。
【請求項41】
任意に単離された形態の請求項13〜15のいずれかに記載の結合剤。
【請求項42】
任意に単離された形態の請求項16または17に記載のTリンパ球。
【請求項43】
任意に単離された形態の請求項18に記載のクローン細胞株。
【請求項44】
請求項19に記載のTリンパ球の混合物。
【請求項45】
請求項38に記載のポリペプチドの配列、または請求項39に記載の核酸の配列を含む、機械で読み取り可能なデータ担体(例えばディスク)。
【請求項46】
配列の同一性の研究、配列の相同性の研究、またはハイブリダイゼーションの研究を実行するための、請求項38に記載のポリペプチドの配列または請求項39に記載の核酸分子の配列を使用することを含む方法。
【請求項47】
構造および/または機能を予測するための(例えば抗癌活性を予測するための)、請求項38に記載のポリペプチドの配列または請求項39に記載の核酸分子の配列を使用することを含む方法。
【請求項48】
薬物の開発またはスクリーニング方法における、請求項46または請求項47に記載の方法の使用。
【請求項49】
請求項48に記載の方法により同定または選ばれた薬物。
【請求項50】
請求項38に記載のポリペプチドまたは請求項39に記載の核酸分子の配列を表示または貯えておき、あるいは請求項46または47に記載の方法を実行するために設置されるコンピュータまたはデータベース。
【請求項51】
添付の図および実施例への言及を伴った、明細書中に実質的に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−80883(P2012−80883A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225178(P2011−225178)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【分割の表示】特願2002−553475(P2002−553475)の分割
【原出願日】平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願人】(502120642)
【氏名又は名称原語表記】GEMVAX AS
【住所又は居所原語表記】Drammensveien 100, 0273 Oslo, Norway
【Fターム(参考)】