説明

ポリマー、それを用いた光学素子および光電装置

【課題】高屈折ポリマー、それを用いた光学素子および光電装置を提供する。
【解決手段】高屈折ポリマー、それを用いた光学素子および光電装置が提供される。ポリマーは、式:


(式中、R1は、それぞれ独立して、H、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはハロゲン化物;R2は、それぞれ独立して、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはC1-8アルカノール基;nは0または1;Yはマレイン酸又はコハク酸由来のアシル基;Zは、独立して、ポリエステルジオールのヒドロキシル基末端から水素原子を除いた残基またはポリエーテルジオールのヒドロキシル基末端から水素原子を除いた残基により示される繰り返し単位を含む。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー、それを用いた光学素子および光電装置であって、特に、高屈折のポリマー、それを用いた光学素子および光電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、高輝度、小容量、軽重量、破損しにくい、低消費電力、長寿命等の長所があり、例えば、各種ディスプレイ製品に幅広く用いられている。
【0003】
LEDの総光取出し効率は、ダイオードチップ、パッケージング様式および封止材料により決定される。技術の発展に伴い、LEDチップ内部の光取出し効率は90%以上に達するが、パッケージングや封止材料の影響により、LEDの総光取出し効率はたった30%であり、パッケージングや封止材料が、LED輝度にとって非常に重要であることが分かる。スネルの法則(Snell's law)に基づくと、屈折率の大きい領域から屈折率の小さい領域に、ある臨界角(表面に垂直な方向に対する)以内で入る光は、低屈折率領域を横切るであろう。この臨界角を超えて表面に達する光は横切らず、内部全反射(TIR)するであろう。LEDの場合、TIR光は、それが吸収されるまで、LED内で反射され続ける。反射現象のため、従来のLEDで発生する光の多くは放出されず、その効率を低下させる。
【0004】
例えば、白色発光ダイオード(LED)チップは、屈折度が約2から4であり、例えば、GaN膜の屈折度は2.5、GaP膜の屈折度は3.45である。発光ダイオードチップの屈折度は、従来の封止材料(例えば、屈折度が1・40から1.53のエポキシ樹脂またはシリコン樹脂)よりかなり高いので、発光ダイオードチップと封止材料間の屈折度の大きな差異が、それらの界面での、内部全反射を生じ、放出光の一部は、吸収されるまで、発光ダイオードチップ内に閉じ込められる。青色発光ダイオード(屈折度は2.5)と黄色蛍光体(YAG)とを用いる白色発光ダイオードチップにおいて、封止材料の屈折度が1.5から1.7に増加した場合、白色発光ダイオードチップの光取出し効率は30%増加する。すなわち、発光ダイオードチップと封止材料との間の屈折度の差異を減少させるために、封止材料の屈折度を増加させることによって、出光効率を向上させることが必要とされる。
【0005】
特許文献1には、上述の問題を解決するため、高屈折度の封止材料が開示されている。封止材料は、フルオレン炭酸塩ポリマーとポリスルホンとを混合することにより製造される。
【0006】
特許文献2にも、高屈折度の封止材料が開示されている。封止材料は、式:
【化1】

(式中、Xは−(CH2CH2O)n−、−(CH2CH2O)−CH2CH(OH)CH2O−;nは1から5;Rはアクリル基またはメタクリル基)
で示される構造を有する、アクリル官能基を有するフルオレンモノマーから製造される。しかしながら、上述のモノマーは高粘度であり、得られる封止材料は、膜形成特性が低い。よって、スピンコート(spin coating)、スクリーン印刷(screen printing)または射出成型(mold injection)プロセスによって封止材料の膜を形成することは困難である。
【0007】
特許文献3は、高屈折度の封止材料について開示する。封止材料は、アクリル官能基を有するフルオレンと式:
【化2】

(式中、n≧1)
で示される構造を有する化合物を混合することにより製造される。しかし、得られる封止材料は、硬度が約Shore A 90であって、柔軟性と熱応力緩和に乏しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5633331号明細書
【特許文献2】米国特許第7446159号明細書
【特許文献3】米国特許公開2008/0114100号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高屈折のポリマー、それを用いた光学素子および光電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の高屈折ポリマーの好ましい例は、式(I):
【化3】

(式中、R1は、それぞれ独立して、H、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはハロゲン化物;R2は、それぞれ独立して、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはC1-8アルカノール基;nは0または1;Yは
【化4】

3およびR4は、それぞれ独立して、H、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基であり隣接する二個のR3基は、任意には、それらが結合している炭素原子とともに、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基を形成するように結合してもよい;Zは、独立して、ポリエステルジオールのヒドロキシル基末端から水素原子を除いた残基またはポリエーテルジオールのヒドロキシル基末端から水素原子を除いた残基
で示される繰り返し単位を含む。
【0011】
本発明の別の好ましい例によると、本発明の高屈折ポリマーは、以下の工程:
無水物(a)を、ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールを含むポリジオール(b)と反応させて、化合物を製造する工程;および
化合物を、式(II)で表される構造を有するビスフェノールフルオレン誘導体(c)と反応させる工程
を含む工程により製造される製品を含む。
【0012】
式(II):
【化5】

(式中、R1は、それぞれ独立して、水素、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはハロゲン;Xは
【化6】

2は、それぞれ独立して、水素、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはC1-8アルカノール基)。
【0013】
さらに、本発明は、上述の高屈折ポリマーを含む光学素子を提供する。本発明の光学素子は、封止材料、透明基板、レンズまたは機能性皮膜として機能し得る。さらに本発明は、上述の光学素子を含む光電装置も提供する。光電装置は、発光ダイオード、太陽電池、半導体装置およびディスプレイ装置を含む。
【0014】
本発明は、高屈折ポリマーの製造方法であって、
無水物(a)を、ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールを含むポリジオール(b)と反応させて、化合物を製造する工程;および
化合物を、式(II)で表される構造を有するビスフェノールフルオレン誘導体(c)と反応させる工程を含む製造方法を提供する。
【0015】
式(II):
【化7】

(式中、R1は、それぞれ独立して、水素、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはハロゲン;Xは
【化8】

2は、それぞれ独立して、水素、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはC1-8アルカノール基)。
【発明の効果】
【0016】
本発明の高屈折ポリマーは、高屈折度に加えて、高い透明性、高い耐候性および優れた膜形成能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい実施態様において、本発明の高屈折ポリマーは、式(I):
【化9】

(式中、R1は、それぞれ独立して、H、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはハロゲン化物;R2は、それぞれ独立して、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはC1-8アルカノール基;nは0または1;Yは
【化10】

3およびR4は、それぞれ独立して、H、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基であり、隣接する二個のR3基は、任意には、それらが結合している炭素原子とともに、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基を形成するように結合してもよい;Zは、独立して、ポリエステルジオールのヒドロキシル基末端から水素原子を除いた残基またはポリエーテルジオールのヒドロキシル基末端から水素原子を除いた残基
で示される繰り返し単位を有する。
【0018】
式(I)の基において、ポリエステルジオールは好ましくはポリ(カプロラクトン)ジオールを含み、特に好ましい実施態様では、Zは、式:
【化11】

(式中、R5は、アルキル基またはアルコキシ基;iおよびjは、独立して、1または1より大きい整数)
である。さらに、ポリエーテルジオールは、好ましくはポリエチレングリコールを含み、特に好ましい実施態様では、Zは式:
【化12】

(式中、kは、1または1より大きい整数)
である。
【0019】
本発明の別の実施態様によると、本発明の高屈折ポリマーは、以下の工程:
無水物(a)をポリジオール(b)と反応させて、化合物を製造する工程;および
化合物をビスフェノールフルオレン誘導体(c)と反応させる工程
を含む工程により製造される製品を含む。
【0020】
本発明の好ましい実施態様によると、無水物(a)とポリジオール(b)との間のモル比は、2またはそれ以上である。
【0021】
無水物(a)は、好ましくは、
【化13】

式中、
3およびR4は、それぞれ独立してH、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基であり、隣接する二個のR3基は、任意には、それらが結合している炭素原子とともに、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基を形成するように結合してもよい。特に好ましくは、無水物(a)は、無水コハク酸(succinic anhydride)、2,3−ジメチルコハク酸無水物(dimethylsuccinic anhydride)、2,3−ジエチルコハク酸無水物(diethylsuccinic anhydride)、無水マレイン酸(maleic anhydride)、2,3−ジメチルマレイン酸無水物(dimethylmaleic anhydride)、2,3−ジエチルマレイン酸無水物(diethylmaleic anhydride)、無水フタル酸(phthalic anhydride)、メチルフタル酸無水物(tetrahydromethylphthalic anhydride)、テトラヒドロメチル無水フタル酸(tetrahydromethylphthalic anhydride)、ヘキサヒドロフタル酸無水物(hexahydrophthalic anhydride)、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(methylhexahydrophthalic anhydride)、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(methyl-5-norbornene-2,3-dicarboxylic anhydride)またはそれらの組み合わせを含む。
【0022】
本発明の好ましい実施態様によると、ポリジオール(b)は、ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールであり、ポリエステルジオールとして特に好ましくは例えば、ポリ(カプロラクトン)ジオールが、また、ポリエーテルジオールとして例えば、ポリ(ポリエチレングリコール)があげられる。
【0023】
本発明の好ましい実施態様によると、ビスフェノールフルオレン誘導体(c)は、式(II):
【化14】

(式中、R1は、それぞれ独立して、水素、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはハロゲン;Xは
【化15】

2は、それぞれ独立して、水素、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはC1-8アルカノール基)
で示される構造を有する。特に好ましくは、ビスフェノールフルオレン誘導体(c)は、式:
【化16】

である。
【0024】
本発明は、以下の工程:
初めに、無水物(a)が提供され、ポリジオール(b)と反応されて、化合物を得る工程;および
次に、ビスフェノールフルオレン誘導体(c)が提供され、化合物と反応されて、高屈折ポリマーを得る工程
を含む、上述の高屈折ポリマーの製造方法も提供する。
【0025】
ここで、無水物(a)とポリジオール(b)との間の反応中および/または化合物とビスフェノールフルオレン誘導体(c)との間の反応中に、酸化防止剤、触媒または希釈剤が任意で追加されてもよいことに留意すべきである。特に、酸化防止剤としては、好ましくはヒンダードフェノール酸化防止剤、特に好ましくは、例えばCHINOX(R) TP−10H、CHINOX(R) TP−80H,CHINOX(R) 1076であり、希釈剤としては、o−フェニルフェノキシエチルアクリレート(o-phenylphenoxyethyl acrylate、OPPEOA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)ジオール、触媒としては塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)が好ましい。さらに、本発明の別の実施態様によると、本発明の高屈折ポリマーは、無水物(a)の非存在下で、ビスフェノールフルオレン誘導体(c)とポリジオール(b)とを反応させることにより製造される。上述の反応の反応機序は、熱処理により、開環反応を受けたビスフェノールフルオレン誘導体(c)のエポキシ基が、ポリジオール(b)と反応するというものである。
【実施例】
【0026】
実施例1
0.2モルのポリ(カプロラクトン)ジオール(Cas no:36890-68-3;分子量:530;H−PCL−Hで示される構造を有しており、ここでPCLは、
【化17】

(n≧1)で示される構造を有する)を500mLの反応ボトルに加えた。続いて、0.1モルの無水コハク酸を反応ボトルに加え、酸化防止剤(TP−80H、0.5wt%未満)の存在下で、窒素雰囲気下、4時間、ポリ(カプロラクトン)ジオールと反応させた。
【0027】
次に、0.1モルの9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエチル)フェニル]フルオレン(9,9-bis[4-(2-Glycidyloxyethyl)phenyl]fluorine、F9PG)およびo−フェニルフェノキシエチルアクリレート(o-phenylphenoxyethyl acrylate(OPPEOA)、cas no:72009-86-0)を反応ボトルに加え、4時間攪拌後、高屈折ポリマー(1)を得た。高屈折ポリマー(1)の屈折度、透明性および耐候性が測定された。結果を表1に示す。
【0028】
高屈折ポリマー(1)の合成経路は以下に示される:
【化18】

【0029】
実施例2
0.2モルのポリ(カプロラクトン)ジオール(cas no:36890-68-3;分子量:530;H−PCL−Hで示される構造を有しており、ここでPCLは、
【化19】

(n≧1)で示される構造を有する)を500mLの反応ボトルに加えた。続いて、0.1モルの無水フタル酸を反応ボトルに加え、酸化防止剤(TP−80H、0.5wt%未満)の存在下で、窒素雰囲気下、4時間、ポリ(カプロラクトン)ジオールと反応させた。
【0030】
次に、0.1モルのF9PGおよびo−フェニルフェノキシエチルアクリレート(OPPEOA、cas no:72009-86-0)を反応ボトルに加え、4時間攪拌後、高屈折ポリマー(2)を得た。高屈折ポリマー(2)の屈折度、透明性および耐候性が測定された結果を表1に示す。
【0031】
高屈折ポリマー(2)の合成経路は以下に示される:
【化20】

【0032】
実施例3
0.2モルのポリ(カプロラクトン)ジオール(cas no:36890-68-3;分子量:530;H−PCL−Hで示される構造を有しており、ここでPCLは、
【化21】

(n≧1)で示される構造を有する)を500mLの反応ボトルに加えた。続いて、0.1モルのメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を反応ボトルに加え、酸化防止剤(TP−80H、0.5wt%未満)の存在下で、窒素雰囲気下、4時間、ポリ(カプロラクトン)ジオールと反応させた。
【0033】
次に、0.1モルのF9PGおよびo−フェニルフェノキシエチルアクリレート(OPPEOA、cas no:72009-86-0)を反応ボトルに加え、4時間攪拌後、高屈折ポリマー(3)を得た。高屈折ポリマー(3)の屈折度、透明性および耐候性が測定された。結果を表1に示す。
【0034】
高屈折ポリマー(3)の合成経路は以下に示される:
【化22】

【0035】
【表1】

* 高屈折ポリマーの試験サンプルは厚さが1mmであり、透明性は、波長450nmの光を照射することにより測定された。
【0036】
本発明の実施態様による高屈折ポリマーは、1.54以上の屈折度および95%以上の透明性を有していた。さらに、120℃、1000時間の焼成後またはUV光(19mW/cm2,365nm)への4時間の暴露後の本発明の高屈折ポリマーの透明性は、それぞれ、89.5%および89.5から95.5%であった。このように本発明の高屈折ポリマーは高い耐候性も示すため、封止シリコーン、例えばLED用シリコーンなどとしての使用に適切である。また、高屈折ポリマー(2)の25℃での粘度は8533cpsであり、50℃での粘度は914cpsであった。温度が50℃まで上昇することにより、粘度が914cpsまで低下したことは、本発明の高屈折ポリマーが高い膜形成特性を有していることを示す。すなわち、本発明の高屈折ポリマーは、アルコール基(高屈折度と高い熱安定性)を有するビスフェノールフルオレン誘導体を長鎖ポリジオールと無水物を介して反応させることにより製造されるため、本発明の高屈折ポリマーは、高屈折度、高い透明性、高い耐候性および優れた膜形成能を示す。
【0037】
上述の長所に加え、本発明の高屈折ポリマーは高い耐黄変性を有しているので、例えば、封止材料、透明基板、レンズ(例えば、フレネルレンズ)または機能性皮膜として使用するのに適している。さらに、本発明の高屈折ポリマーは、発光ダイオード、太陽電池(例えば、集光式太陽電池)、半導体装置またはディスプレイ装置に適用できる。
【0038】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは例証としておよび好ましい実施態様という観点から開示されたものであり、決して開示された実施例に本発明に限定するものではない。したがって本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲で示されるものであり、当業者にとっては、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、記載された実施態様に各種の変更や改変を行うことができることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高屈折ポリマーであって、式(I):
【化1】

(式中、R1は、それぞれ独立して、H、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはハロゲン化物;R2は、それぞれ独立して、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはC1-8アルカノール基;nは0または1;Yは
【化2】

3およびR4は、それぞれ独立して、H、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、または、ヘテロシクロアルキル基であり、隣接する二個のR3基は、任意には、それらが結合している炭素原子とともに、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基を形成するように結合してもよい;ならびにZは、独立して、ポリエステルジオールのヒドロキシル基末端から水素原子を除いた残基またはポリエーテルジオールのヒドロキシル基末端から水素原子を除いた残基)
であることを特徴とする高屈折ポリマー。
【請求項2】
前記ポリエステルジオールがポリ(カプロラクトン)ジオールを含み、Zは、式:
【化3】

(式中、R5は、アルキル基またはアルコキシ基;ならびにiおよびjは、それぞれ独立して、1または1より大きい整数)
であることを特徴とする請求項1記載の高屈折ポリマー。
【請求項3】
前記ポリエーテルジオールがポリエチレングリコールを含み、zは、式:
【化4】

(式中、kは、1または1より大きい整数)
であることを特徴とする請求項1記載の高屈折ポリマー。
【請求項4】
高屈折ポリマーであって、以下の工程:
無水物(a)とポリジオール(b)とを反応させて化合物を製造する工程であって、ポリジオール(b)が、ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールを含む工程;および
前記化合物と、式(II):
【化5】

(式中、R1は、それぞれ独立して、水素、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはハロゲン;Xは
【化6】

2は、それぞれ独立して、水素、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基またはC1-8アルカノール基)
で示される構造を有するビスフェノールフルオレン誘導体(c)とを反応させる工程
とを含む工程により製造される製品を含むことを特徴とする高屈折ポリマー。
【請求項5】
前記無水物(a)が、式:
【化7】

であり、
式中、R3およびR4は、それぞれ独立してH、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基であり、隣接する二個のR3基は、任意には、それらが結合している炭素原子とともに、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基を形成するように結合することを特徴とする請求項4記載の高屈折ポリマー。
【請求項6】
前記ポリジオール(b)は、ポリ(カプロラクトン)ジオールまたはポリエチレングリコールを含むことを特徴とする請求項4または5記載の高屈折ポリマー。
【請求項7】
前記無水物(a)が、無水コハク酸、2,3−ジメチルコハク酸無水物、2,3−ジエチルコハク酸無水物、無水マレイン酸、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、2,3−ジエチルマレイン酸無水物、無水フタル酸、メチルフタル酸無水物、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の高屈折ポリマー。
【請求項8】
前記ビスフェノールフルオレン誘導体(c)は、式:
【化8】

で示されることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の高屈折ポリマー。
【請求項9】
光学素子であって、前記請求項1に記載の高屈折ポリマーを含むことを特徴とする光学素子。
【請求項10】
前記光学素子が封止材料、透明基板、レンズまたは機能性皮膜であることを特徴とする請求項9記載の光学素子。
【請求項11】
光電装置であって、前記請求項9に記載の光学素子を含むことを特徴とする光電装置。

【公開番号】特開2012−158757(P2012−158757A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19863(P2012−19863)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】