説明

ポリマーによりカプセル化された金属酸化物の不透明化顔料を含む被覆用組成物及びその製造プロセス関連出願に対する相互参照

本発明は、被覆用組成物、被覆用組成物を作製する方法、被覆品、及び、そのような物品を作製する方法に関する。本発明による被覆用組成物は、(a)1つ又はそれ以上のベースポリマー;前記1つ又はそれ以上のベースポリマーによって部分的にカプセル化される少なくとも1つの第1の顔料(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO、Al、それらの組合せからなる群より選択される金属酸化物である);任意に、1つ又はそれ以上の安定化剤;及び液体媒体を含む分散物と、(b)任意に、バインダー組成物とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第61/122,921号(2008年12月16日出願、発明の名称「COATING COMPOSITION, A PROCESS OF PRODUCING A COATING COMPOSITION, A COATED ARTICLE, AND A METHOD OF MAKING SUCH ARTICLES」;その教示は、全体が本明細書中下記に再現されるかのように参照により本明細書に組み込まれる)の優先権を主張する非仮出願である。
【0002】
本発明は、被覆用組成物、被覆用組成物を作製するプロセス、被覆品、及び、そのような物品を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
顔料を含む被覆組成物が、建築用途、自動車用途及び産業用途で広範囲に使用されている。水系の着色された被覆用組成物は、バインダー樹脂及び顔料分散物、並びに、他の添加物を含む複雑な配合物である。顔料分散物は一般には、顔料を濡らし、顔料凝集塊をより小さい粒子に分散するプロセスにより、すなわち、顔料磨砕により、顔料粉末を分散剤と一緒に水に混合することによって調製される。しかしながら、顔料レベルが、被覆用組成物において、例えば、塗料配合物において増大するにつれ、顔料粒子が再集塊化する場合がある。この再集塊化は光散乱効率を低下させることがある。この再集塊化はまた、そうでない場合に要求されるよりも大きい顔料負荷量を生じさせることがある。
【0004】
二酸化チタンは塗料配合物における主要成分の1つであるので、塗装業界は、顔料集塊化を減少させること、及び、顔料効率を改善することに絶え間ない関心がある。様々な異なる取り組みがこれまで、顔料磨砕において使用される顔料分散剤タイプを最適化すること、及び、密集化を立体的に妨げる保護被覆を形成するためのTiO粒子の処理を含めて、集塊化を減少させるために利用されている。しかしながら、改善された光散乱特性(例えば、改善された不透明度など)をもたらす被覆用組成物が依然として求められている。さらに、改善された光散乱特性(例えば、不透明度など)をもたらす被覆用組成物を製造するためのプロセスが依然として求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被覆用組成物、被覆用組成物を作製するプロセス、被覆品、及び、そのような物品を作製する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態において、本発明は、(a)1つ又はそれ以上のベースポリマー;前記1つ又はそれ以上のベースポリマーによって部分的にカプセル化される少なくとも1つの第1の顔料(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO、Al及びそれらの組合せからなる群より選択される金属酸化物である);任意に、1つ又はそれ以上の安定化剤;及び液体媒体を含む分散物と、(b)任意に、バインダー組成物とを含む被覆用組成物を提供する。
【0007】
代わりの実施形態において、本発明は、下記の工程を含む、被覆用組成物を製造するための方法を提供する:(1)少なくとも1つの第1の顔料を選択する工程(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である);(2)1つ又はそれ以上のベースポリマーを選択する工程;(3)任意に、1つ又はそれ以上の安定化剤を選択する工程;(4)液体媒体を選択する工程;(5)前記第1の顔料と、前記1つ又はそれ以上のベースポリマーとを、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の外部安定化剤の存在下で、溶融混合する工程;(6)それにより、前記第1の顔料を前記1つ又はそれ以上のベースポリマーにより少なくとも部分的にカプセル化する工程;(7)前記少なくとも部分的にカプセル化された第1の顔料を、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の外部安定化剤の存在下で、前記液体媒体と溶融混練する工程;(8)それにより、分散物を形成する工程;(9)任意に、前記分散物を任意のバインダー組成物と混合する工程;及び、(10)それにより、前記被覆用組成物を形成する工程。
【0008】
別の代わりの実施形態において、本発明は、基体と、前記基体に関連する被覆用組成物とを含み、前記被覆用組成物が、(a)1つ又はそれ以上のベースポリマー;前記1つ又はそれ以上のベースポリマーによって部分的にカプセル化される少なくとも1つの第1の顔料(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である);任意に、1つ又はそれ以上の安定化剤;及び液体媒体を含む分散物と、(b)任意に、バインダー組成物とを含む、被覆された基体を提供する。
【0009】
別の代替において、本発明は、下記の工程を含む、被覆品を作製する方法を提供する:(1)基体を選択する工程;(2)下記の(a)及び(b)を含む被覆用組成物を選択する工程:(a)1つ又はそれ以上のベースポリマー;前記1つ又はそれ以上のベースポリマーによって部分的にカプセル化される少なくとも1つの第1の顔料(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である);任意に、1つ又はそれ以上の安定化剤;及び液体媒体を含む分散物;及び(b)任意に、バインダー組成物;(3)前記被覆用組成物を前記基体に適用する工程;(4)任意に、前記液体媒体の少なくとも一部を除く工程;(5)それにより、前記被覆品を形成する工程。
【0010】
別の代わりの実施形態において、本発明はさらに、下記の工程を含む、被覆用組成物の不透明度を改善するための方法を提供する:(1)第1の顔料を選択する工程(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である);(2)1つ又はそれ以上のベースポリマーを選択する工程;(3)任意に、1つ又はそれ以上の外部安定化剤を選択する工程;(4)液体媒体を選択する工程;(5)前記第1の顔料と、前記1つ又はそれ以上のベースポリマーとを、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の安定化剤の存在下で、溶融混合する工程;(6)それにより、前記第1の顔料を前記1つ又はそれ以上のベースポリマーにより少なくとも部分的にカプセル化する工程;(7)前記少なくとも部分的にカプセル化された第1の顔料を、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の外部安定化剤の存在下で、前記液体媒体と接触させる工程;(8)それにより、分散物を形成する工程;(9)任意に、前記分散物を任意のバインダー組成物と混合する工程;及び、(10)それにより、改善された不透明度を有する被覆された組成物を形成する工程。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明を例示するという目的のために、例示である形態が図面に示される。しかしながら、本発明は、図示されるその配置及び手段に限定されないことが理解される。
【図1】1つの例示的な本発明の分散物のTEM写真である。
【図2】不透明度特性と、顔料体積濃度(PVC)との関係を例示するプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、被覆用組成物、被覆用組成物を作製する方法、被覆品、及び、そのような物品を作製する方法を提供する。
【0013】
本発明による被覆用組成物は、(a)分散物と、(b)任意に、バインダー組成物とを含む。分散物は、1つ又はそれ以上のベースポリマー、前記1つ又はそれ以上のベースポリマーによって部分的にカプセル化される少なくとも1つの第1の顔料(但し、第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO、Al及びそれらの組合せからなる群より選択される金属酸化物である)、任意に、1つ又はそれ以上の外部安定化剤、例えば、1つ又はそれ以上の外部安定化剤、及び、液体媒体を含む。本発明の分散物は、平均粒子サイズが0.01ミクロン〜5ミクロンである粒子を含有することができ、例えば、平均粒子サイズが0.1ミクロン〜5ミクロンである粒子を含有することができる。
【0014】
ベースポリマー
本発明の分散物は、分散物の固体内容物の総重量に基づいて5重量パーセント〜70重量パーセントの1つ又はそれ以上のベースポリマーを含む。5重量パーセント〜70重量パーセントまでのすべての個々の値及び部分範囲が本明細書中に含まれ、且つ、本明細書中に開示される;例えば、重量パーセントは、5重量パーセント、8重量パーセント、10重量パーセント、15重量パーセント、20重量パーセント、25重量パーセントの下限から、40重量パーセント、50重量パーセント、60重量パーセント又は70重量パーセントの上限までが可能である。例えば、分散物は、分散物の固体内容物の総重量に基づいて15重量パーセント〜60重量パーセントの1つ又はそれ以上のベースポリマーを含むことができ、又は、代替では15重量パーセント〜50重量パーセントの1つ又はそれ以上のベースポリマーを含むことができ、又は、代替では15重量パーセント〜40重量パーセントの1つ又はそれ以上のベースポリマーを含むことができる。分散物は少なくとも1つ又はそれ以上のベースポリマーを含む。ベースポリマーは、例えば、熱可塑性物質及び熱硬化性物質からなる群より選択することができる。1つ又はそれ以上のベースポリマーは、1つ又はそれ以上のオレフィン系ポリマー、1つ又はそれ以上のアクリル系ポリマー、1つ又はそれ以上のポリエステル系ポリマー、1つ又はそれ以上の固体エポキシポリマー、1つ又はそれ以上の熱可塑性ポリウレタンポリマー、1つ又はそれ以上のスチレン系ポリマー、及び、それらの組合せを含む。
【0015】
熱可塑性物質の例としては、下記のものが挙げられるが、それらに限定されない:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー及びプロピレン−1−ブテンコポリマーによって典型的には表されるような、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンなど)のホモポリマー及びコポリマー(エラストマーを含む);エチレン−ブタジエンコポリマー及びエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって典型的には表されるような、α−オレフィンと、共役ジエン又は非共役ジエンとのコポリマー(エラストマーを含む);並びに、ポリオレフィン(エラストマーを含む)、例えば、エチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマー及びエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって典型的には表されるような、2つ以上のα−オレフィンと、共役ジエン又は非共役ジエンとのコポリマーなど;エチレン−ビニル化合物コポリマー、例えば、エチレン−ビニルアセタートコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−ビニルクロリドコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー又はエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、及び、エチレン−(メタ)アクリラートコポリマーなど;スチレン系コポリマー(エラストマーを含む)、例えば、ポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、α−メチルスチレン−スチレンコポリマー、スチレンビニルアルコール、スチレンアクリラート(例えば、スチレンメチルアクリラート、スチレンブチルアクリラート、スチレンブチルメタクリラートなど)、そして、スチレンブタジエン系及び架橋されたスチレンポリマーなど;並びに、スチレンブロックコポリマー(エラストマーを含む)、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー及びその水和物、そして、スチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマーなど;ポリビニル化合物、例えば、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、ビニルクロリド−ビニリデンクロリドコポリマー、ポリメチルアクリラート及びポリメチルメタクリラートなど;ポリアミド、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6及びナイロン12など;熱可塑性ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタラート及びポリブチレンテレフタラートなど;ポリカーボナート及びポリフェニレンオキシドなど;並びに、ガラス状炭化水素系樹脂(ポリ−ジシクロペンタジエンポリマー及び関連ポリマー(コポリマー、ターポリマー)を含む);飽和したモノオレフィン、例えば、ビニルアセタート、ビニルプロピオナート、ビニルベルサタート(versatate)及びビニルブチラートなど;ビニルエステル、例えば、メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、ドデシルアクリラート、n−オクチルアクリラート、フェニルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート及びブチルメタクリラートなどを含めて、モノカルボン酸のエステルなど;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、それらの混合物;開環メタセシス重合及びクロスメタセシス重合などによって製造される樹脂。これらの樹脂は、単独で、又は、2つ以上の組合せでのどちらであっても使用することができる。
【0016】
ベースポリマーとしてであるが、好適な(メタ)アクリラートの例としては、メチルアクリラート、エチルアクリラート、ブチルアクリラート、ヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、オクチルアクリラート及びイソオクチルアクリラート、n−デシルアクリラート、イソデシルアクリラート、tert−ブチルアクリラート、メチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、ヘキシルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、イソプロピルメタクリラート、同様にまた、2−ヒドロキシエチルアクリラート及びアクリルアミドが挙げられる。好ましい(メタ)アクリラートが、メチルアクリラート、エチルアクリラート、ブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、オクチルアクリラート、イソオクチルアクリラート、メチルメタクリラート及びブチルメタクリラートである。モノマーから重合することができる他の好適な(メタ)アクリラートには、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーを含めて、低級アルキルアクリラート及び低級アルキルメタクリラートが含まれ、例えば、メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、t−ブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、デシルアクリラート、イソボルニルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、n−プロピルメタクリラート、イソプロピルメタクリラート、n−ブチルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、sec−ブチルメタクリラート、シクロヘキシルメタクリラート、イソデシルメタクリラート、イソボルニルメタクリラート、t−ブチルアミノエチルメタクリラート、ステアリルメタクリラート、グリシジルメタクリラート、ジシクロペンテニルメタクリラート、フェニルメタクリラートが含まれる。
【0017】
選択された実施形態において、ベースポリマーは、エチレン−α−オレフィンコポリマー及びプロピレン−α−オレフィンコポリマーからなる群より選択されるポリオレフィンを含む。具体的には、選択された実施形態において、ベースポリマーは1つ又はそれ以上の非極性ポリオレフィンを含む。
【0018】
具体的な実施形態において、ポリオレフィンを使用することができ、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、それらのコポリマー及びそれらのブレンド混合物、同様にまた、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなどを使用することができる。いくつかの実施形態において、好ましいオレフィン系ポリマーには、均一ポリマー、例えば、Elstonに発行された米国特許第3,645,992号に記載されるような均一ポリマー;高密度ポリエチレン(HDPE)、例えば、Andersonに発行された米国特許第4,076,698号に記載されるような高密度ポリエチレン(HDPE);不均一に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均一に分岐した超低線状密度(ultra low linear density)ポリエチレン(ULDPE);均一に分岐した線状エチレン/α−オレフィンコポリマー;均一に分岐した実質的線状エチレン/α−オレフィンポリマー、例えば、米国特許第5,272,236号及び同第5,278,272号(それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるプロセスによって調製することができる均一に分岐した実質的線状エチレン/α−オレフィンポリマー;並びに、高圧フリーラジカル重合されたエチレンポリマー及びエチレンコポリマー、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)又はエチレンビニルアセタートポリマー(EVA)などが含まれる。
【0019】
1つの実施形態において、ベースポリマーはプロピレン系のコポリマー又はインターポリマーである。いくつかの特定の実施形態において、プロピレン/エチレンコポリマー又はプロピレン/エチレンインターポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有するとして特徴づけられる。用語「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」及び類似する用語は、配列が、約0.85よりも大きい、好ましくは約0.90よりも大きい、より好ましくは約0.92よりも大きい、最も好ましくは約0.93よりも大きい、13C−NMRによって測定されるアイソタクチックなトリアッド(triad)(mm)を有することを意味する。アイソタクチックなトリアッドは当分野では周知であり、例えば、アイソタクチックな配列を13C−NMRスペクトルによって求められるコポリマー分子鎖内のトリアッドユニットに関して示す米国特許第5,504,172号及び国際公開第00/01745号に記載される。そのようなプロピレン系コポリマーがさらに、米国特許第6,960,635号及び同第6,525,157号において詳しく記載される(これらは参照により本明細書に組み込まれる)。そのようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーが、The Dow Chemical CompanyからVERSIFY(商標)の商品名で、又は、ExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXX(商標)の商品名で市販されている。
【0020】
他の特定の実施形態において、ベースポリマーがエチレンビニルアセタート(EVA)系ポリマーであり得る。他の実施形態において、ベースポリマーがエチレン−メチルアクリラート(EMA)系ポリマーであり得る。他の特定の実施形態において、エチレン−α−オレフィンコポリマーが、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン又はエチレン−オクテンのコポリマー又はインターポリマーであり得る。他の特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーがプロピレン−エチレン又はプロピレン−エチレン−ブテンのコポリマー又はインターポリマーであり得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、ベースポリマーが、5重量パーセント〜20重量パーセントの間のエチレン含有量及び0.5g/10分〜300g/10分のメルトフローレイト(230℃、2.16kgの重り)を有するプロピレン−エチレンコポリマー又はプロピレン−エチレンインターポリマーであり得る。他の実施形態において、プロピレン−エチレンコポリマー又はプロピレン−エチレンインターポリマーは、9重量パーセント〜12重量パーセントの間のエチレン含有量及び1g/10分〜100g/10分のメルトフローレイト(230℃、2.16kgの重り)を有することができる。
【0022】
他の実施形態において、ベースポリマーは50パーセント未満の結晶化度を有することができる。好ましい実施形態実施において、ベースポリマーの結晶化度が5パーセント〜35パーセントであり得る。より好ましい実施形態において、結晶化度が7パーセント〜20パーセントにまで及び得る。
【0023】
いくつかの他の実施形態において、ベースポリマーは半結晶性ポリマーであり、110℃未満の融点を有することができる。好ましい実施形態において、融点が25℃〜100℃にまで及び得る。より好ましい実施形態において、融点が40℃〜85℃の間であり得る。
【0024】
他の選択された実施形態において、オレフィンブロックコポリマー、例えば、エチレンマルチブロックコポリマー、例えば、米国特許出願第11/376,835号に記載されるエチレンマルチブロックコポリマーなどをベースポリマーとして使用することができる。そのようなオレフィンブロックコポリマーは下記のようなエチレン/α−オレフィンインターポリマーであり得る:
(a)1.7〜3.5のM/M、少なくとも1つの融点(T、摂氏度)及び所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)を有し、但し、T及びdの数値が下記の関係に対応するエチレン/α−オレフィンインターポリマー:
> −2002.9+4538.5(d)−2422.2(d);又は
(b)1.7〜3.5のM/Mを有し、且つ、所定の融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)によって特徴づけられ、但し、ΔT及びΔHの数値が下記の関係を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマー:
ΔT > −0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される所定の弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)によって特徴づけられ、且つ、所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)を有し、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値が下記の関係を満たすエチレン/α−オレフィンインターポリマー:
Re > 1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマー(但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、且つ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する);又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有し、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が1:1〜9:1の範囲にあるエチレン/α−オレフィンインターポリマー。
【0025】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーはまた、
(a)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、少なくとも0.5で、且つ、約1に至るまでのブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(M/M)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有し得るか、又は、
(b)ゼロよりも大きく、且つ、約1.0に至るまでの平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(M/M)とを有し得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、ベースポリマーは、極性基をコモノマー又はグラフト化モノマーのどちらかとして有する極性ポリマーを含む。例示的な実施形態において、ベースポリマーは、極性基をコモノマー又はグラフト化モノマーのどちらかとして有する1つ又はそれ以上の極性ポリオレフィンを含む。例示的な極性ポリオレフィンには、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー及びエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば、The Dow Chemical Companyから市販されているPRIMACOR(商標)の商品名で入手可能なもの、E.I.DuPont de Nemoursから市販されているNUCREL(商標)の商品名で入手可能なもの、及び、ExxonMobil Chemical Companyから市販されているESCOR(商標)の商品名で入手可能なもの、並びに、米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号及び同第5,938,437号(これらのそれぞれがその全体において参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどが含まれるが、これらに限定されない。他の例示的なベースポリマーには、エチレンエチルアクリラート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリラート(EMMA)及びエチレンブチルアクリラート(EBA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
1つの実施形態において、ベースポリマーは、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー及びそれらの組合せからなる群より選択される極性ポリオレフィンを含み、且つ、安定化剤が、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー及びそれらの組合せからなる群より選択される極性ポリオレフィンを含む;しかしながら、ベースポリマーは、D−974に従って測定される場合、安定化剤よりも低い酸価を有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、ベースポリマーは、例えば、エポキシ樹脂を含む熱硬化性物質を含むことができる。エポキシ樹脂は、分子あたり1個又はそれ以上のビシナルエポキシ基を有する組成物、すなわち、分子あたり少なくとも1個の1,2−エポキシ基を有する組成物を示す。一般に、そのような化合物は、少なくとも1個の1,2−エポキシ基を有する飽和又は不飽和の脂肪族、脂環族、芳香族又は複素環式の化合物である。そのような化合物は、所望される場合、1個又はそれ以上の妨害しない置換基(例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基及び低級アルキルなど)により置換され得る。
【0029】
例示的なエポキシが、Handbook of Epoxy Resins(H.E.Lee及びK.Neville、1967年にMcGraw−Hillによって発行、New York)及び米国特許第4,066,628号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0030】
本発明の実施において使用することができる特に有用な化合物が、下記の式を有するエポキシ樹脂である:
【化1】

式中、nは0以上の平均値を有する。
【0031】
本発明において有用なエポキシ樹脂には、例えば、多価フェノール及び多価アルコールのグリシジルポリエーテルが含まれ得る。本発明の1つの例示として、本発明において使用され得る公知のエポキシ樹脂の例としては、例えば、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラブロモビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン−置換フェノール樹脂、テトラメチルビフェノール、テトラメチルテトラブロモビフェノール、テトラメチルトリブロモビフェノール、テトラクロロビスフェノールA及びそれらの任意の組合せのジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0032】
本発明において特に有用なジエポキシドの例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(これは一般にはビスフェノールAと呼ばれる)のジグリシジルエーテル、及び、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(これは一般にはテトラブロモビスフェノールAと呼ばれる)のジグリシジルエーテルが挙げられる。いずれか2つ以上のポリエポキシドの混合物もまた、本発明の実施において使用することができる。
【0033】
本発明の実施において用いることができる他のジエポキシドには、二価フェノールのジグリシジルエーテル、例えば、米国特許第5,246,751号、同第5,115,075号、同第5,089,588号、同第4,480,082号及び同第4,438,254号(これらのすべてが参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるジグリシジルエーテルなど、又は、ジカルボン酸のジグリシジルエステル、例えば、米国特許第5,171,820号に記載されるジグリシジルエステルなどが含まれる。他の好適なジエポキシドには、例えば、αω−ジグリシジルオキシイソプロピリデン−ビスフェノール系エポキシ樹脂(これは、The Dow Chemical Company(Midland、Michigan)の製造物であるD.E.R.(登録商標)300シリーズ及びD.E.R.(登録商標)600シリーズのエポキシ樹脂として商業的に公知である)が含まれる。
【0034】
本発明の実施において用いることができるエポキシ樹脂にはまた、二価フェノールのジグリシジルエーテルと、二価フェノールとの反応によるか、又は、二価フェノールと、エピクロロヒドリンとの反応によるかのどちらかで調製されるエポキシ樹脂が含まれる(後者による樹脂はまた、「タフィー(taffy)樹脂」として公知である)。
【0035】
例示的なエポキシ樹脂には、例えば、ビスフェノールA、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4−オキシジフェノール、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、レゾルシノール、ヒドロキノン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベンのジグリシジルエーテル、及び、ジカルボン酸のジグリシジルエステルが含まれる。
【0036】
本発明の実施において使用することができる他の有用なエポキシド化合物が脂環式エポキシドである。脂環式エポキシドは、例えば、下記の一般式によって例示されるように、エポキシ酸素が炭素環における2個のビシナル原子に結合する飽和した炭素環からなる:
【化2】

式中、Rは、1個又はそれ以上のヘテロ原子(例えば、Cl、Br及びSなど、これらに限定されない)を場合により含む炭化水素基、或いは、炭素との安定な結合を形成する原子又は原子団基(例えば、Si、P及びBなど、これらに限定されない)であり、nは1以上である。
【0037】
脂環式エポキシドは、モノエポキシド、ジエポキシド、ポリエポキシド又はそれらの混合物であってもよい。例えば、米国特許第3,686,359号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載される脂環式エポキシドのどれも本発明において使用することができる。例示として、本発明において使用され得る脂環式エポキシドには、例えば、(3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル)−3,4−エポキシ−シクロヘキサンカルボキシラート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジパート、ビニルシクロヘキセンモノオキシド及びそれらの混合物が含まれる。
【0038】
いくつかの実施形態において、ベースポリマーは熱可塑性ポリウレタンポリマーを含む。そのような熱可塑性ポリウレタンポリマーは一般に公知であり、例えば、国際公開番号2008/057878においてさらに記載される(これは、熱可塑性ポリウレタンポリマーを記載する範囲で参照により本明細書に組み込まれる)。
【0039】
当業者は、上記の列挙が例示的なベースポリマーを包括的に列挙していないことを認識する。本発明の範囲は請求項のみによって限定されることが理解される。
【0040】
第1の顔料
本発明の分散物は1つ又はそれ以上の第1の顔料を含む。1つ又はそれ以上の第1の顔料は、例えば、金属酸化物であり得る。例えば、1つ又はそれ以上の第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO、Al及びそれらの組合せからなる群より選択される金属酸化物であり得る。代替において、1つ又はそれ以上の第1の顔料は、ルチル形態又はアナターゼ形態のどちらかでのTiOであり得る。本発明の分散物は、分散物の固体内容物の総重量に基づいて15重量パーセント〜95重量パーセントの1つ又はそれ以上の第1の顔料を含む。15重量パーセント〜95重量パーセントまでのすべての個々の値及び部分範囲が本明細書中に含まれ、且つ、本明細書中に開示される;例えば、重量パーセントは、15重量パーセント、20重量パーセント、25重量パーセント、30重量パーセント、40重量パーセント又50重量パーセントの下限から、65重量パーセント、75重量パーセント、80重量パーセント、85重量パーセント、90重量パーセント又は95重量パーセントの上限までが可能である。例えば、分散物は、分散物の固体内容物の総重量に基づいて20重量パーセント〜95重量パーセントの1つ又はそれ以上の第1の顔料を含むことができ、或いは、代替において、分散物は、分散物の固体内容物の総重量に基づいて20重量パーセント〜85重量パーセントの1つ又はそれ以上の第1の顔料を含むことができ、又は、代替では30重量パーセント〜85重量パーセントの1つ又はそれ以上の第1の顔料を含むことができ、又は、代替では40重量パーセント〜85重量パーセントの1つ又はそれ以上の第1の顔料を含むことができ、又は、代替では50重量パーセント〜85重量パーセントの1つ又はそれ以上の第1の顔料を含むことができる。1つ又はそれ以上の第1の顔料は平均粒子サイズ直径を0.1μm〜1μmの範囲に有することができる。0.1μm〜1μmまでのすべての個々の値及び部分範囲が本明細書中に含まれ、且つ、本明細書中に開示される;例えば、平均粒子サイズ直径は、0.1μm、0.15μm又は0.2μmの下限から、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm又は1μmの上限までが可能である。例えば、1つ又はそれ以上の第1の顔料は平均粒子サイズ直径を0.1μm〜0.7μmの範囲に有することができ、又は、代替では0.1μm〜0.5μmの範囲に有することができ、又は、代替では0.1μm〜0.4μmの範囲に有することができ、又は、代替では0.2μm〜0.5μmの範囲に有することができ、又は、代替では0.2μm〜0.4μmの範囲に有することができ、又は、代替では0.2μm〜0.6μmの範囲に有することができ、又は、代替では0.3μm〜0.5μmの範囲に有することができる。1つ又はそれ以上の第1の顔料は屈折率を3未満の範囲に有することができる;例えば、屈折率は1〜2.8の範囲である。1つ又はそれ以上の第1の顔料は、無機物質(例えば、シリカ、アルミナ)又は有機物質(例えば、ポリオール系処理剤、脂肪酸)、或いは、組み合わされた有機官能性及び無機官能性を有する基(例えば、オルガノシラン、オルガノホスファート、オルガノチタナート、オルガノジルコナート)により表面処理することができ、その結果、1つ又はそれ以上の第1の顔料が最適な特性を示すようにされる。
【0041】
安定化剤
本発明による分散物はさらに、安定な分散物の形成を促進させるために、少なくとも1つ又はそれ以上の安定化剤(これはまた、本明細書中では分散剤として示される)を含むことができる。安定化剤は好ましくは、外部安定化剤であり得る。本発明の分散物は、分散物の固体内容物の総重量に基づいて1重量パーセント〜50重量パーセントの1つ又はそれ以上の安定化剤を含む。1重量パーセント〜45重量パーセントまでのすべての個々の値及び部分範囲が本明細書中に含まれ、且つ、本明細書中に開示される;例えば、重量パーセントは、1重量パーセント、3重量パーセント、5重量パーセント、10重量パーセントの下限から、15重量パーセント、25重量パーセント、35重量パーセント又は45重量パーセントの上限までが可能である。例えば、分散物は、分散物の固体内容物の総重量に基づいて1重量パーセント〜25重量パーセントの1つ又はそれ以上の安定化剤を含むことができ、又は、代替では1重量パーセント〜35重量パーセントの1つ又はそれ以上の安定化剤を含むことができ、又は、代替では1重量パーセント〜40重量パーセントの1つ又はそれ以上の安定化剤を含むことができ、又は、代替では1重量パーセント〜45重量パーセントの1つ又はそれ以上の安定化剤を含むことができる。選択された実施形態において、安定化剤は、界面活性剤、ポリマー又はそれらの混合物であり得る。いくつかの実施形態において、安定化剤は、極性基をコモノマー又はグラフト化モノマーのどちらかとして有する極性ポリマーが可能である。例示的な実施形態において、安定化剤は、極性基をコモノマー又はグラフト化モノマーのどちらかとして有する1つ又はそれ以上の極性ポリオレフィンを含む。例示的なポリマー系安定化剤には、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー及びエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば、The Dow Chemical Companyから市販されているPRIMACOR(商標)の商品名で入手可能なもの、E.I.DuPont de Nemoursから市販されているNUCREL(商標)の商品名で入手可能なもの、及び、ExxonMobil Chemical Companyから市販されているESCOR(商標)の商品名で入手可能なもの、並びに、米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号及び同第5,938,437号(これらのそれぞれがその全体において参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどが含まれるが、これらに限定されない。他の例示的なポリマー系安定化剤には、エチレンエチルアクリラート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリラート(EMMA)及びエチレンブチルアクリラート(EBA)が含まれるが、これらに限定されない。他のエチレン−カルボン酸コポリマーもまた使用することができる。当業者は、数多くの他の有用なポリマーもまた使用され得ることを認識する。
【0042】
使用することができる他の安定化剤には、12個〜60個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸塩又は長鎖脂肪酸アルキルエステルが含まれるが、これらに限定されない。他の実施形態において、長鎖脂肪酸又は長鎖脂肪酸塩は12個〜40個の炭素原子を有することができる。
【0043】
安定化剤は中和剤により部分的又は完全に中和され得る。いくつかの実施形態において、安定化剤(長鎖脂肪酸又はEAAなど)の中和はモル基準で25パーセント〜200パーセントであり得る;又は、代替において、安定化剤(長鎖脂肪酸又はEAAなど)の中和はモル基準で50パーセント〜110パーセントであり得る。例えば、EAAについては、中和剤は塩基(例えば、水酸化アンモニウム又は水酸化カリウムなど)であり得る。他の中和剤には、例えば、水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムが含まれ得る。別の代替において、中和剤は、例えば、炭酸塩であり得る。別の代替において、中和剤は、例えば、どのようなアミンであってもよく、例えば、モノエタノールアミン又は2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)などであり得る。本明細書中に開示される実施形態において有用なアミンには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びTRIS AMINO(それぞれがAngusから入手可能である)、NEUTROL TE(これはBASFから入手可能である)、同様にまた、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン及びN,N−ジメチルエタノールアミン(それぞれがThe Dow Chemical Company(Midland、MI)から入手可能である)が含まれ得る。他の有用なアミンには、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、ジメチル−n−プロピルアミン、N−メタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシルプロピル)エチレンジアミンが含まれ得る。いくつかの実施形態において、アミンの混合物、又は、アミン及び界面活性剤の混合物を使用することができる。当業者は、適切な中和剤の選択が、配合された具体的な組成物に依存すること、及び、そのような選定が当業者の知識の範囲内であることを理解する。
【0044】
本発明の実施形態において有用であり得るさらなる安定化剤には、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤の例としては、スルホナート、カルボキシラート及びホスファートが挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤の例としては、第四級アミンが挙げられるが、これに限定されない。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含有するブロックコポリマー、及び、シリコーン界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施において有用な安定化剤は外部界面活性剤又は内部界面活性剤のどちらも可能である。外部界面活性剤は、分散物調製の期間中に化学反応してベースポリマーにならない界面活性剤である。本発明において有用な外部界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩及びラウリルスルホン酸の塩が挙げられるが、これらに限定されない。内部界面活性剤は、分散物調製の期間中に化学反応してベースポリマーになる界面活性剤である。本発明において有用な内部界面活性剤の一例としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸及びその塩が挙げられる。本発明の実施において有用であり得るさらなる界面活性剤には、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又はそれらの組合せが含まれる。様々な市販されている界面活性剤を、本明細書中に開示される実施形態において使用することができ、それらには、OP−100(ステアリン酸ナトリウム)、OPK−100(ステアリン酸カリウム)及びOPK−181(オレイン酸カリウム)(これらはそれぞれが、RTD Hallstarから入手可能である);UNICID350(これは、Baker Petroliteから入手可能である);DISPONIL FES77−IS及びDISPONIL TA−430(これらはそれぞれがCognisから入手可能である);RHODAPEX CO−436、SOPROPHOR 4D384、同3D−33及び同796/P、RHODACAL BX−78及び同LDS−22、RHODAFAC RE−610及び同RM−710、並びに、SUPRAGIL MNS/90(これらはそれぞれがRhodiaから入手可能である);TRITON QS−15、TRITON W−30、DOWFAX 2A1、DOWFAX 3B2、DOWFAX8390、DOWFAX C6L、TRITON X−200、TRITON XN−45S、TRITON H−55、TRITON GR−5M、TRITON BG−10及びTRITON CG−110(これらはそれぞれが、The Dow Chemical Company(Midland、Michigan)から入手可能である)が含まれる。
【0045】
流体媒体
分散物はさらに流体媒体を含む。流体媒体はどのような媒体であってもよい;例えば、流体媒体は水であり得る。本発明の分散物は、分散物の総体積に基づいて35体積パーセント〜75体積パーセントの流体媒体を含む。特定の実施形態において、水含有量が、分散物の総体積に基づいて35体積パーセント〜70体積パーセントの範囲であり得るか、又は、代替では35体積パーセント〜65体積パーセントの範囲であり得るか、又は、代替では45体積パーセント〜55体積パーセントの範囲であり得る。分散物の水含有量は好ましくは、固形物含有量(ベースポリマー+安定化剤)が1体積パーセント〜74体積パーセントの間であるように制御され得る。特定の実施形態において、固形物の範囲が10体積パーセント〜70体積パーセントの間であり得る。他の特定の実施形態において、固形物の範囲が20体積パーセント〜60体積パーセントの間である。いくつかの他の実施形態において、固形物の範囲が30体積パーセント〜55体積パーセントの間である。
【0046】
被覆用組成物のためのさらなる成分
被覆用組成物はさらに、バインダー組成物を含むことができる。被覆用組成物のための様々なバインダー組成物が一般に公知であり、例えば、例示的なバインダー組成物は、アクリルラテックス、ビニルアクリルラテックス、スチレンアクリルラテックス、ビニルアセタートエチレンラテックス及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0047】
被覆用組成物はさらに、任意に1つ又はそれ以上のフィラー、任意に1つ又はそれ以上の添加物、任意に1つ又はそれ以上の第2の顔料(例えば、二酸化チタン、雲母、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、ミルドガラス、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュ及び粘土)、任意に1つ又はそれ以上の共溶媒(例えば、グリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、アルコール、ミネラルスピリッツ及びベンゾアートエステル)、任意に1つ又はそれ以上の分散剤(例えば、アミノアルコール及びポリカルボキシラート)、任意に1つ又はそれ以上の界面活性剤、任意に1つ又はそれ以上の消泡剤、任意に1つ又はそれ以上の保存剤(例えば、殺生物剤、殺カビ剤、殺真菌剤、殺藻剤及びそれらの組合せ)、任意に1つ又はそれ以上の増粘剤(例えば、セルロース系増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾されたアルカリ可溶性エマルジョン(HASE増粘剤、例えば、UCAR POLYPHOBE TR−116など)、及び、疎水性修飾されたエトキシル化ウレタン増粘剤(HEUR)など)、或いは、任意に1つ又はそれ以上の第2の中和剤(例えば、水酸化物、アミン、アンモニア及び炭酸塩)を含むことができる。
【0048】
分散物の形成
分散物は、当業者によって認識される多くの方法によって形成することができる。1つの実施形態において、1つ又はそれ以上のベースポリマーと、1つ又はそれ以上の第1の顔料と、任意に、1つ又はそれ以上の安定化剤とが、分散物コンパウンドを形成するために、水及び中和剤(例えば、アンモニア、水酸化カリウム又はそれら2つの組合せ)と一緒に押出し機において溶融混練される。別の実施形態において、1つ又はそれ以上のベースポリマーと、1つ又はそれ以上の第1の顔料とが配合され、その後、コンパウンドが、任意に使用される安定化剤、水及び1つ又はそれ以上の第1の中和剤の存在下で押出し機において溶融混練される。いくつかの実施形態において、分散物は、1重量パーセント〜3重量パーセントの水を含有するために最初に希釈され、その後、続いて、約25重量パーセントを超える水を含むためにさらに希釈される。
【0049】
当分野で公知である溶融混練手段はどれも使用することができる。いくつかの実施形態において、混練機、BANBURY(登録商標)ミキサー、一軸スクリュー押出し機又は多軸スクリュー押出し機(例えば、二軸スクリュー押出し機)が使用される。本発明による分散物を製造するためのプロセスは特に限定されない。例えば、押出し機、いくつかの実施形態では二軸スクリュー押出し機が、背圧調整器、溶融ポンプ又は歯車ポンプにつながれる。例示的な実施形態はまた、それぞれがポンプを含む塩基リザーバー及び初期水リザーバーを提供する。所望量の塩基及び初期水が塩基リザーバー及び初期水リザーバーからそれぞれ提供される。好適なポンプはどれも使用することができ、しかし、いくつかの実施形態では、約150cc/分の流れを240barの圧力で提供するポンプが、塩基及び初期水を押出し機に提供するために使用される。他の実施形態において、液体注入ポンプにより、200barでの300cc/分の流れ、又は、133barでの600cc/分の流れが提供される。いくつかの実施形態において、塩基及び初期水がプレヒーターで予備加熱される。
【0050】
1つ又はそれ以上のベースポリマーが、ペレット、粉末又はフレークの形態で、フィーダーから、樹脂が溶融又は配合される押出し機の投入口に供給される。1つ又はそれ以上の第1の顔料を、フィーダーを介して押出し機に1つ又はそれ以上のベースポリマーと同時に供給することができ、或いは、代替において、1つ又はそれ以上の第1の顔料を1つ又はそれ以上のベースポリマーに配合し、その後、フィーダーを介して押出し機に供給することができる。代替において、さらなる1つ又はそれ以上の第1の顔料をさらに、乳化帯域に先立って投入口を介して計量し、1つ又はそれ以上のベースポリマー及び任意に1つ又はそれ以上の第1の顔料を含む溶融コンパウンドに入れることができる。いくつかの実施形態において、分散化剤が、樹脂を介して、また、樹脂と一緒に1つ又はそれ以上のベースポリマーに加えられ、また、他の実施形態では、分散化剤が二軸スクリュー押出し機に別個に提供される。その後、樹脂溶融物は、水リザーバー及び塩基リザーバーからの最初の量の水及び塩基が投入口から加えられる押出し機の混合・搬送帯域から乳化帯域に運ばれる。いくつかの実施形態において、分散化剤を、さらには水の流れに、又は、もっぱら水の流れに加えることができる。いくつかの実施形態において、さらなる希釈水を、押出し機の希釈・冷却帯域に水リザーバーから水投入口を介して加えることができる。典型的には、分散物は冷却帯域において少なくとも30重量パーセントに希釈される。加えて、希釈された混合物は、所望の希釈レベルが達成されるまで何回も希釈することができる。いくつかの実施形態において、水が二軸スクリュー押出し機に加えられず、それどころか、溶融物が押出し機から出た後の樹脂溶融物を含有する流れに加えられる。この様式では、押出し機における蒸気圧増大が除かれる。
【0051】
1つの実施形態において、本発明は、下記の工程を含む、被覆用組成物を製造するための方法を提供する:(1)少なくとも1つの第1の顔料を選択する工程(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である);(2)1つ又はそれ以上のベースポリマーを選択する工程;(3)任意に、1つ又はそれ以上の外部安定化剤を選択する工程;(4)液体媒体を選択する工程;(5)前記第1の顔料と、前記1つ又はそれ以上のベースポリマーとを、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の外部安定化剤の存在下で、溶融混合する工程;(6)それにより、前記第1の顔料を前記1つ又はそれ以上のベースポリマーにより少なくとも部分的にカプセル化する工程;(7)前記少なくとも部分的にカプセル化された第1の顔料を、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の外部安定化剤の存在下で、前記液体媒体と接触させる工程;(8)それにより、分散物を形成する工程;(9)任意に、前記分散物を任意のバインダー組成物と混合する工程;及び、(10)それにより、前記被覆用組成物を形成する工程。
【0052】
1つの実施形態において、本発明はさらに、下記の工程を含む、被覆用組成物の不透明度を改善するための方法を提供する:(1)第1の顔料を選択する工程(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である);(2)1つ又はそれ以上のベースポリマーを選択する工程;(3)任意に、1つ又はそれ以上の外部安定化剤を選択する工程;(4)液体媒体を選択する工程;(5)前記第1の顔料と、前記1つ又はそれ以上のベースポリマーとを、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の外部安定化剤の存在下で、溶融混合する工程;(6)それにより、前記第1の顔料を前記1つ又はそれ以上のベースポリマーにより少なくとも部分的にカプセル化する工程;(7)前記少なくとも部分的にカプセル化された第1の顔料を、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の外部安定化剤の存在下で、前記液体媒体と接触させる工程;(8)それにより、分散物を形成する工程;(9)任意に、前記分散物を任意のバインダー組成物と混合する工程;及び、(10)それにより、改善された不透明度を有する被覆された組成物を形成する工程。
【0053】
最終使用用途
本発明の被覆用組成物は、例えば、建築用被覆用途、自動車用被覆用途及び産業用被覆用途において使用することができる。
【0054】
1つの実施形態において、本発明は、基体と、前記基体に関連する被覆用組成物とを含む被覆された基体を提供し、但し、前記被覆用組成物は、(a)1つ又はそれ以上のベースポリマーと、前記1つ又はそれ以上のベースポリマーによって部分的にカプセル化される少なくとも1つの第1の顔料(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である)と、任意に、1つ又はそれ以上の外部安定化剤と、液体媒体とを含む分散物、及び、(b)任意に、バインダー組成物を含む。
【0055】
別の代替において、本発明は、下記の工程を含む、被覆品を作製する方法を提供する:(1)基体を選択する工程;(2)下記の(a)及び(b)を含む被覆用組成物を選択する工程:(a)1つ又はそれ以上のベースポリマーと、前記1つ又はそれ以上のベースポリマーによって部分的にカプセル化される少なくとも1つの第1の顔料(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である)と、任意に、1つ又はそれ以上の外部安定化剤と、液体媒体とを含む分散物、及び、(b)任意に、バインダー組成物;(3)前記被覆用組成物を前記基体に適用する工程;(4)任意に、前記液体媒体の少なくとも一部を除く工程;(5)それにより、前記被覆品を形成する工程。
【実施例】
【0056】
下記の実施例は本発明を例示するが、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0057】
本発明の分散物サンプル1〜3
本発明の分散物サンプル1〜3を下記のプロセスに従って調製した。
【0058】
本発明の分散物サンプル1
AFFINITY GA1900(The Dow Chemical Companyから入手可能な、密度がおよそ0.87g/cmであるエチレン/オクテンコポリマー)によってカプセル化されるTiOの水性分散物を、50g/分のAFFINITY GA1900樹脂、116g/分のTiO(TI−PURE R−902plus、DuPont Corporationから入手可能)及び6g/分の界面活性剤Pluronic F−108(BASFから入手可能)が、樹脂及び界面活性剤を融解し、TiOを配合するために二軸スクリュー押出し機に供給される押出し機により調製した。樹脂/TiO/界面活性剤の溶融ブレンドを進め、8.8ml/分の水及び6.4g/分の界面活性剤DOWFAX 2A1(The Dow Chemical Companyから入手可能)と一緒にした。生じた水性分散物を押出し機内において希釈帯域に進め、希釈帯域において、さらなる水を加えて、固形物レベルを56.1重量パーセントに調節した。生成物を冷却し、押出し機から回収槽の中に排出した。生じた生成物は体積平均粒子サイズが0.46ミクロンであった。分散物成分のまとめが表1に報告される。本発明の分散物の試験された特性が表IIに報告される。
【0059】
本発明の分散物サンプル2
PRIMACORエチレンアクリル酸コポリマーによりカプセル化されるTiOの水性分散物を、50g/分のPRIMACOR5980i(The Dow Chemical Companyから入手可能)及び118g/分のTiO(TI−PURE R−902plus、DuPont Corporationから入手可能)が、樹脂を融解し、TiOを配合するために二軸スクリュー押出し機に供給される押出し機により調製した。樹脂/TiOの溶融ブレンドを進め、7g/分の水酸化カリウムを含有する16ml/分の水と一緒にした。生じた水性分散物を押出し機内において希釈帯域に進め、希釈帯域において、さらなる水を加えて、固形物レベルを48.9重量パーセントに調節した。生成物を冷却し、押出し機から回収槽の中に排出した。生じた生成物は体積平均粒子サイズが0.48ミクロンであった。分散物成分のまとめが表1に報告される。本発明の分散物の試験された特性が表IIに報告される。
【0060】
本発明の分散物サンプル3
ポリエステル樹脂によりカプセル化されるTiOの水性分散物を、29g/分のFINETONE T−382−ES(Reichhold Chemical Companyから入手可能)及び24g/分のTiO(TI−PURE R−902plus、DuPont Corporationから入手可能)が、樹脂を融解し、TiOを配合するために二軸スクリュー押出し機に供給される押出し機により調製した。樹脂/TiOの溶融ブレンドを進め、1g/分のトリエタノールアミンを含有する13.5ml/分の水と一緒にした。生じた水性分散物を押出し機内において希釈帯域に進め、希釈帯域において、さらなる水を加えて、固形物レベルを38.7重量パーセントに調節した。生成物を冷却し、押出し機から回収槽の中に排出した。生じた生成物は体積平均粒子サイズが0.58ミクロンであった。分散物成分のまとめが表1に報告される。本発明の分散物の試験された特性が表IIに報告される。
【表1】

【表2】

【0061】
本発明の被覆用組成物1〜8
本発明の被覆用組成物1〜8を、下記のプロセスに従って、本明細書中上記で記載されるような本発明の分散物サンプル1を利用して調製した。最初のマスターバッチ溶液が、本発明の分散物サンプル1、UCAR POLYPHOBE TR−116増粘剤、水及び塩基が加えられ、Cowlesブレードにより1500RPMで10分間混合された最初の磨砕工程からなった。その後、さらなるラテックス及び水を、プロペラ型ブレードを400RPMで用いた混合の期間中に加えた。マスターバッチ溶液を混合して、表IIIに示される最終配合物をもたらす所望の範囲の顔料濃度を得た。本発明の被覆用組成物1〜8の配合成分が表IIIに報告される。本発明の被覆用組成物1〜8の不透明度特性もまた試験され、さらに表III及び図2に報告された。
【表3】

【0062】
本発明の被覆用組成物9〜16
本発明の被覆用組成物9〜16を、下記のプロセスに従って、安定化剤を何ら用いることなく、本発明の分散物サンプル2を使用して調製した。最初のマスターバッチ溶液が、本発明の分散物サンプル1、CELLOSIZE QP4400H HEC増粘剤、水及び塩基(AMP−95)が加えられ、Cowlesブレードにより1500RPMで10分間混合された最初の磨砕工程からなった。その後、さらなるラテックス及び水を、プロペラ型ブレードを400RPMで用いた混合の期間中に加えた。マスターバッチ溶液を混合して、表IVに示される最終配合物をもたらす所望の範囲の顔料濃度を得た。本発明の被覆用組成物9〜16の配合成分が表IVに報告される。本発明の被覆用組成物9〜16の不透明度特性もまた試験され、さらに表IV及び図2に報告された。
【表4】

【0063】
比較用の被覆用組成物1〜7
比較用の被覆用組成物1〜7を下記のプロセスに従って調製した。比較用の被覆用組成物1〜7を、1組のマスターバッチを最初に配合することによって調製した。最初のマスターバッチ溶液が、TI−PURE R−942のTiO分散物(これは、DuPont Corporationから市販されている)、CELLOSIZE QP4400H HEC増粘剤、水及び塩基(AMP−95)が加えられ、Cowlesブレードにより1500RPMで10分間混合された最初の磨砕工程からなった。その後、さらなるラテックス及び水を、プロペラ型ブレードを400RPMで用いた混合の期間中に加えた。マスターバッチ溶液を混合して、表Vに示される最終配合物をもたらす所望の範囲の顔料濃度を得た。比較用の被覆用組成物1〜7の配合成分が表Vに報告される。比較用の被覆用組成物1〜7の不透明度特性もまた試験され、さらに表V及び図2に報告された。
【表5】

【0064】
試験方法
試験方法には、下記が含まれる:
【0065】
粒子サイズが、Beckman−Coulter LS230レーザー回折粒子サイズ分析計で測定される。
【0066】
不透明度を、隙間が4ミルに設定される2”幅の調節可能な隙間ドローダウンバーを使用して白黒パネルの上に調製される被覆に対して測定した。サンプルを少なくも3日間乾燥した。
【0067】
被覆の、黒色部分及び白色部分におけるそれぞれの三刺激Y値(Y)。三刺激Y値の測定を、0.4”のサンプリング開口部が、光ファイバーケーブルを介して、Ocean Optics USB4000分光計につながれる、Ocean Optics ISP−REF積分球からなる比色計を使用して行った。すべての測定をD65/10°の照明により行った。
【0068】
不透明度は、白色基体における被覆の三刺激Y値に対する黒色基体における被覆の三刺激Y値の百分率である。
不透明度=(Y黒色/Y白色100%
【0069】
本発明は、本発明の精神及び本質的属性から逸脱することなく、他の形態で具体化することができ、従って、本発明の範囲を示すものとして、前記明細書ではなく、むしろ、添付された特許請求の範囲を参照しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記の成分:
1つ又はそれ以上のベースポリマー;
前記1つ又はそれ以上のベースポリマーによって部分的にカプセル化される少なくとも1つの第1の顔料(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO、Al、及びそれらの組合せからなる群より選択される金属酸化物である);
任意に、1つ又はそれ以上の安定化剤;及び
液体媒体
を含む分散物;及び
(b)任意に、バインダー組成物
を含む被覆用組成物。
【請求項2】
被覆用組成物を製造するための方法であって、下記の工程:
少なくとも1つの第1の顔料を選択する工程(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である);
1つ又はそれ以上のベースポリマーを選択する工程;
任意に、1つ又はそれ以上の安定化剤を選択する工程;
液体媒体を選択する工程;
前記第1の顔料と、前記1つ又はそれ以上のベースポリマーとを、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の外部安定化剤の存在下で、溶融混合する工程;
それにより、前記第1の顔料を前記1つ又はそれ以上のベースポリマーにより少なくとも部分的にカプセル化する工程;
前記少なくとも部分的にカプセル化された第1の顔料を、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の外部安定化剤の存在下で、前記液体媒体と接触させる工程;
それにより、分散物を形成する工程;
任意に、前記分散物を任意のバインダー組成物と混合する工程;及び、
それにより、前記被覆用組成物を形成する工程
を含む方法。
【請求項3】
基体;及び
前記基体に関連する被覆用組成物
を含み、前記被覆用組成物が、
(a)下記の成分:
1つ又はそれ以上のベースポリマー;
前記1つ又はそれ以上のベースポリマーによって部分的にカプセル化される少なくとも1つの第1の顔料(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である);
任意に、1つ又はそれ以上の安定化剤;及び
液体媒体
を含む分散物;及び
(b)任意に、バインダー組成物
を含む、被覆された基体。
【請求項4】
被覆品を作製する方法であって、下記の工程:
基体を選択する工程;
下記の(a)及び(b)を含む被覆用組成物を選択する工程:
(a)下記の成分:
1つ又はそれ以上のベースポリマー;
前記1つ又はそれ以上のベースポリマーによって部分的にカプセル化される少なくとも1つの第1の顔料(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である);
任意に、1つ又はそれ以上の安定化剤;及び
液体媒体
を含む分散物;及び
(b)任意に、バインダー組成物;
前記被覆用組成物を前記基体に適用する工程;
任意に、前記液体媒体の少なくとも一部を除く工程;
それにより、前記被覆品を形成する工程
を含む方法。
【請求項5】
被覆用組成物の不透明度を改善する方法であって、下記の工程:
第1の顔料を選択する工程(但し、前記第1の顔料は、TiO、SiO、ZnO及びAlからなる群より選択される金属酸化物である);
1つ又はそれ以上のベースポリマーを選択する工程;
任意に、1つ又はそれ以上の外部安定化剤を選択する工程;
液体媒体を選択する工程;
前記第1の顔料と、前記1つ又はそれ以上のベースポリマーとを、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の外部安定化剤の存在下で、溶融混合する工程;
それにより、前記第1の顔料を前記1つ又はそれ以上のベースポリマーにより少なくとも部分的にカプセル化する工程;
前記少なくとも部分的にカプセル化された第1の顔料を、任意に、前記1つ又はそれ以上の任意の外部安定化剤の存在下で、前記液体媒体と接触させる工程;
それにより、分散物を形成する工程;
任意に、前記分散物を任意のバインダー組成物と混合する工程;及び、
それにより、改善された不透明度を有する被覆組成物を形成する工程
を含む方法。
【請求項6】
前記1つ又はそれ以上のベースポリマーが、1つ又はそれ以上のオレフィン系ポリマー、1つ又はそれ以上のアクリル系ポリマー、1つ又はそれ以上のポリエステル系ポリマー、1つ又はそれ以上の固体エポキシポリマー、熱可塑性ポリウレタンポリマー、スチレン系ポリマー及びそれらの組合せを含む、請求項1から5のいずれかに記載の被覆用組成物。
【請求項7】
1つ又はそれ以上の安定化剤が1つ又はそれ以上の内部安定化剤を含む、請求項1から5のいずれかに記載の被覆用組成物。
【請求項8】
前記1つ又はそれ以上の安定化剤が、1つ又はそれ以上のポリマー型外部安定化剤、1つ又はそれ以上の非ポリマー型外部安定化剤、或いは、それらの組合せを含む、請求項1から5のいずれかに記載の被覆用組成物。
【請求項9】
前記液体媒体が水である、請求項1から5のいずれかに記載の被覆用組成物。
【請求項10】
前記分散物がさらに、第1の中和剤を含む、請求項1から5のいずれかに記載の被覆用組成物。
【請求項11】
前記第1の中和剤が、水酸化物、アミン、炭酸塩及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項10に記載の被覆用組成物。
【請求項12】
任意に1つ又はそれ以上のフィラー、任意に1つ又はそれ以上の添加物、任意に1つ又はそれ以上の第2の顔料、任意に1つ又はそれ以上の溶媒、任意に1つ又はそれ以上の界面活性剤、任意に1つ又はそれ以上の消泡剤、任意に1つ又はそれ以上の保存剤、任意に1つ又はそれ以上の増粘剤、或いは、任意に1つ又はそれ以上の第2の中和剤をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の被覆用組成物。
【請求項13】
前記1つ又はそれ以上の第2の顔料が、雲母、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、粘土及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項12に記載の被覆用組成物。
【請求項14】
前記1つ又はそれ以上の溶媒が、グリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、アルコール、ミネラルスピリット、ベンゾエートエステル及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項12に記載の被覆用組成物。
【請求項15】
前記1つ又はそれ以上の保存剤が、殺生物剤、殺カビ剤、殺真菌剤、殺藻剤及びそれらの組合せからなる群より選択され、且つ、前記1つ又はそれ以上の増粘剤が、セルロース系増粘剤、疎水性修飾されたアルカリ可溶性エマルジョン、疎水性修飾されたエトキシ化ウレタン増粘剤、及び、それらの組合せからなる群より選択され、且つ、前記1つ又はそれ以上の第2の中和剤が、水酸化物、アミン、炭酸塩及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項12に記載の被覆用組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−512306(P2012−512306A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542191(P2011−542191)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/065446
【国際公開番号】WO2010/074865
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】