説明

ポリマーの水中ペレット化のためのプロセスおよび装置

【課題】ダイ穴がその長さの少なくとも一部に沿って逆テーパを組入れるダイを使用する、ポリマーのペレット化のための改良されたプロセスおよびこのダイを組入れる水中溶融切断機を提供すること。
【解決手段】ダイプレート(1)は、ポリマー(図示せず)がダイ(穴)を出る出口面(2)と、(溶融)ポリマーがダイ穴(4)に入る入口面(3)とを有する。この特定の場合において、(4)は、その長さの一部、ゾーン5にわたってまっすぐであり、その長さの一部、ゾーン6にわたって逆テーパを有する。テーパ状部分は、「テーパ角度」(8)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中溶融ペレタイザまたは切断機の始動に関する。より詳細には、本発明は、ダイ穴がダイの出口側で逆テーパを有するダイを使用することによるそのようなペレタイザおよび切断機のより簡単かつより速い始動のためのプロセスに関する。本発明は、また、水中溶融切断機のための改良されたダイアセンブリ設計に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂(TP)は商業の非常に重要なアイテムである。典型的には、それらは、溶融形成、すなわち、TPの溶融、それを溶融した間所定の形状に形成し、次に、TPを冷却して固体にして、それをその形状に「固定する」ことによって、さまざまな部分および形状に形成される。ほとんどの溶融形成機において、TPは、ペレットまたは顆粒の形態で、典型的には0.1から約0.7cm(最長寸法)のサイズ範囲内で供給される。ほとんどの溶融形成機が効率的に働くために、ペレットまたは顆粒が、自由流動性であり、かつ適度に均一なサイズを有することが好ましい。
【0003】
TPをペレット化するために多くのタイプの装置が開発されている。そのような装置は、好ましくは、均一で易流動性のペレットを低コストで製造しなければならない。1つのそのようなタイプのペレット化装置は、いわゆる「水中溶融切断機」(UMC)であり、たとえば、米国特許公報(特許文献1)および米国特許公報(特許文献2)を参照されたい。UMCが適切に動作しているとき、それは、大量の均一で自由流動性のTPペレットを製造することができる。しかし、UMCにはいくつかの欠点があり、これらのうち、より高い融点(>200℃)のTPまたはそうでなければ容易に凝固して固体になるTPをペレット化する際の困難さ、ポリマー流れの短い中断などのプロセス混乱に耐えられないこと、および時には困難な始動がある。したがって、UMCのこれらおよび他の困難さを最小にする改良が望ましい。
【0004】
米国特許公報(特許文献3)は、ダイ穴が逆テーパであるように思われるものを有する「水中ペレタイザ」を記載している。始動時のそのようなダイ穴の効果についての言及はない。
【0005】
(特許文献4)は、穴が逆テーパを有するダイを記載している。これらの穴の目的は、UMCでない切断機におけるダイドリップおよびそれらの劣化の最小化であるように思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2,918,701号明細書
【特許文献2】米国特許第3,749,539号明細書
【特許文献3】米国特許第4,728,276号明細書
【特許文献4】特開平5−253997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、UMCの始動と関連するさまざまな困難さを最小にする水中溶融切断機に有用なダイを提供することである。ここに開示され特許請求されるような本発明のこれらおよび他の目的、特徴、および利点は、本発明の次の詳細な説明を参照すると、明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ポリマーのための水中溶融切断機の始動のための方法であって、溶融ポリマーが、出口面と1つまたは複数のダイ穴とを有するダイを通して押し出され、前記ダイ穴を出るとき、前記ポリマーが1つまたは複数の回転ナイフによって切断され、前記ポリマーが、水中にあるか、前記ダイの出口面の近傍において水と接触し、
(a)1つまたは複数のダイ穴を有するダイを提供する工程であって、前記ダイ穴が逆テーパを有し、前記出口面が水と接触する間、前記ダイ穴の前記逆テーパの少なくとも一部の近傍における前記ダイが、前記ポリマーの融点以上の温度に維持されるか、または、前記ポリマーが融点を有さない場合、前記部分が、前記ポリマーのガラス転移点以上の温度に維持される工程と、
(b)前記ナイフを回転させる工程と、
(c)(a)および(b)が行われた後、前記水が前記出口面と接触した後5秒より早くなることなく、好ましくは10秒より早くなることなく、前記溶融ポリマーを前記ダイ穴を通して押し出す工程とを含むことを特徴とする方法を、ここに開示し特許請求する。
【0009】
本発明は、また、溶融ポリマーが流れる1つまたは複数のダイ穴を有し、かつポリマー出口面を有するダイプレートまたはダイ本体を有する水中溶融切断機ダイアセンブリであって、前記ポリマー出口面が、前記ポリマー出口面と接触する面と反対側の第1の遠い面を有する非金属熱絶縁体と接触し、前記第1の遠い面が、前記非金属熱絶縁体と接触する面と反対側の第2の遠い面を有する支持プレートと接触し、前記第2の遠い面が耐研磨性材料と接触することを含むことを特徴とする水中溶融切断機ダイアセンブリに関する。
【0010】
直前に説明された水中溶融切断機ダイアセンブリを使用して水中溶融切断するための方法も開示する。
【0011】
本発明は、ここでの図面を参照すると、より良好に理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ダイの逆テーパダイ穴を示す、水中溶融切断機ダイの一部の断面図である。
【図2】図1と同じであるが、ダイの付加的な任意の部分を示す。
【図3a】図3(a、b、およびc)および図3aの断面X−Xは、実施例1〜6で使用されたものと同様のダイを示す。
【図3b】図3(a、b、およびc)および図3aの断面X−Xは、実施例1〜6で使用されたものと同様のダイを示す。
【図3c】図3(a、b、およびc)および図3aの断面X−Xは、実施例1〜6で使用されたものと同様のダイを示す。
【図4】図2と同じであるが、ダイを水浴の冷却水から熱絶縁するUMCダイの好ましい構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
UMCは、ポリマー、特にTPをペレット化するための有用な設備ピースである。それらの1つの問題は、それらの始動が、困難であり、時間がかかり、しばしば切断されているポリマーの無駄である傾向があることである。ここでの「始動」とは、長いおよび/または予定された運転停止の後UMCを始動すること、または、比較的短いプロセス停止、たとえばダイへのポリマーの流れの短時間の停止後機械を再開することを意味する。そのような短時間の停止からの始動は、ここで「再開」とも呼ぶ。したがって、UMCは、通常、連続動作またはほぼ連続動作で使用され、比較的短い動作期間の間に運転停止があるであろうバッチ動作で使用されない。
【0014】
ダイ穴を通るポリマー流れが止まるとき、典型的には、UMCで切断されているポリマーは、ダイ穴の出口端部で凝固し、というのは、冷却水がこのポリマーと接触するからである。典型的な再開手順は、下記工程を伴うであろう。
1)水循環を止める(しかし、ポリマーは、ダイ穴出口ですでに凝固している(frozen off))。
2)切断機ブレードおよび循環水を保持するカートを引き戻す。
3)水がなくなったこの時点で、ダイ穴のポリマーは、通常再溶融し、しばしば垂れ(drool)始め、そこで、垂れているポリマーが、ダイ面を拭くことによって除去される。
4)ポリマーが熱安定性でない場合、ポリマー供給ラインのパージバルブを通るおよび/またはダイ穴を通るポリマーのいくらかをパージすることが望ましいであろう。
5)ダイ面を再び清掃する。
次に、非常に迅速に、
6)カートを動作位置に戻し、それをダイアセンブリに掛止させる。
7)自動化開始ボタンを押し、これは、急速なシーケンスで(せいぜい数秒)水をダイの出口面まで循環させ、切断ブレードの回転を開始し、ポリマー流れを開始する。精密なシーケンスで短い量の時間で行われない場合、UMCは再びフリーズアップし(freeze up)やすく、および/または大量の切断されていないポリマーがカート内に生じ、および/または切断ブレードは汚されることがある。
【0015】
上で詳述された手順には多くの欠点があり、それらのうち、
−ポリマーがパージおよび垂れる際に失われる。
−プロセスは、時間がかかり、しばしば、運転停止の元の原因よりずっと長く、製造時間の損失を引起す。
−UMCを安全に動作させることは、困難なことがあり、というのは、操作者が、熱い溶融ポリマー、および/または熱い溶融ポリマーからのフューム、および/またはそれ自体熱いことがある(人のやけどを引起す)冷却水に曝されるため、および/または熱いダイからのポリマーまたはフュームが発火することがある(特に、ポリマーの融点が非常に高い場合)からである。
【0016】
特定のダイを使用する本プロセスは、特に再開についてのこれらの問題をすべて大きく回避する。それは、UMCの特定の他の特徴とともに逆テーパダイ穴を使用して、容易な始動をもたらす。「逆テーパダイ穴」とは、ダイプレートの(ポリマー)出口側におけるダイ穴が、ダイ穴の残りに沿ってより直径が広く、ダイプレートの出口面からダイプレートの(ポリマー)入口面の方に進むにつれて、より小さいサイズの穴にテーパすることを意味する。これらのダイ穴は、ダイ穴の長さ全体にわたってテーパする必要はないが、ダイプレート出口側でテーパしなければならない。典型的には、テーパの深さは少なくとも約0.5cmから約5cmである。「テーパの深さ」とは、穴の軸に沿った長さ(たとえば、図1のセクション6の長さ、または図2のセクション26、29、および31の長さ)を意味する。文献に示された多くのUMCダイが、断面が入口面から出口面に進む際に減少するダイ穴を有し、したがって、この場合の「逆テーパ」という用語は、ダイ穴断面が同じ方向に増加するダイを説明することが認められる。
【0017】
逆テーパ状ダイ穴の中心線を通る、ダイプレートの一部の断面が、図1に示されている。ダイプレート1は、ポリマー(図示せず)がダイ(穴)を出る出口面2と、(溶融)ポリマーがダイ穴4に入る入口面3とを有する。この特定の場合において、4は、その長さの一部、ゾーン5にわたってまっすぐであり、その長さの一部、ゾーン6にわたって逆テーパを有する。テーパ状部分は、「テーパ角度」8を有する。重要ではないが、テーパ角度が、少なくとも0.1°、より好ましくは少なくとも約0.2°、特に好ましくは少なくとも約0.5°、非常に好ましくは少なくとも約1.0°であることが好ましい。テーパ角度が、約10°以下、より好ましくは5°以下、特に好ましくは約3.0°以下であることも好ましい。上で与えられたいかなる最小および最大テーパ角度も、好ましいテーパ角度範囲を与えるように組合せてもよいことが理解されるべきである。
【0018】
テーパ角度は変化してもよいが、変化は、好ましくは、大きい不連続変化であってはならず、4を通って3から2まで進む際に、テーパ角度は、同じままであるか増加しなければならない。テーパ角度が一定である場合、それは、ゾーン6でダイ穴の両側によって形成された角度であり、テーパ角度は、またダイ穴の軸を含む平面に含まれる。テーパ角度が変化し、異なったセグメントで異なった値を有する場合、各セグメントは、同様に測定される。テーパ角度は、また、一定に変化してもよく、この場合、任意のポイントにおけるテーパ角度は、そのポイントにおける4のテーパ状表面に垂直な線を用いて同様に測定される。
【0019】
典型的には、4などのダイ穴またはオリフィスは、円形断面を有するが、断面は他の形状であってもよい。これらの非円形断面は、さまざまな形状のいずれをとってもよく、選択された形状を備えたダイ穴をそれに沿って逆テーパで形成することができる限り、それらをダイプレートに機械加工するか他の態様で製造する能力によってのみ制限される。典型的には、そのような逆テーパセクションは、ダイ穴の残りの形状と一致する。逆テーパ状セクションは、典型的には、穴の残りの断面と一致する断面を有するが、それは必要ではない。円形断面が好ましい。円形断面の典型的な直径は約0.05から約0.7cmである。
【0020】
ダイ穴またはオリフィスはモノリシックな構造でなくてもよい、すなわち、それは材料の1ピースから形成されなくてもよい。たとえば、ダイが、ガラスを含有する組成物などの非常に研磨性である組成物で使用されるべきである場合、ダイ穴を、ダイ本体および本体内へのインサートによって部分的に形成してもよく、インサートは、炭化タングステンなどの耐研磨性材料から製造される。インサートは、穴の全長を形成してもよいし、それの一部であってもよい。いずれにしても、インサートによって形成されたセクションを含む、ダイ穴全体のテーパ角度および逆テーパ構成は、ここで説明される必要な制限を満たさければならず、また、好ましくは、ここで説明される好ましい特徴を有する。
【0021】
図2は、ポリマー(図示せず)がダイ(穴)を出る出口面21と、(溶融)ポリマーがダイ穴24に入る入口面23とを備えたダイプレート20を含めて、図1と同様のダイ穴を示す。この特定の場合において、24は、その長さの一部25にわたってまっすぐであり、その長さの一部26にわたって逆テーパを有する。24は、また、23においておよび23の近くで「規則的に」テーパ状のセクション27を有し、これは、いくつかの場合、ポリマー流れを促進してもよい。ダイを水浴の水から絶縁する絶縁層29が、21の表面上にあり21の表面と接触し、かつ24と同一線上の穴を有する。29は、優れた耐研磨性を有する材料層31と接触する外面30と、24と同一線上の穴とを有する。31は、UMCのナイフ(図示せず)によって接触される耐摩耗性表面として作用する。ナイフは、31のこの表面においてまたはその近くでポリマーを切断する。29および/または31が存在する場合、これらの構成要素を通る穴も、好ましくは逆テーパ状でなければならない。29および/または31が非常に薄い場合、逆テーパを有さないことは、ダイの性能に著しく影響を及ぼさない。換言すれば、逆テーパは、20内のどこかから、ポリマーが24から現れ、および/または切断される表面まで延在しなければならない。
【0022】
図2に示されたダイアセンブリの好ましい変更例が、図4に示されており、これは、図2の断面と同様の断面であるが、ダイプレートの中心部分のみを示している。この変更例を、また、UMCを使用してTPをペレット化するためのプロセスで、逆テーパ穴を有するダイ(アセンブリ)で、またはまっすぐなもしくは「規則的に」テーパ状の穴を有するダイ(アセンブリ)で使用してもよい。したがって、図4は、ポリマー(図示せず)がダイ(穴)を出る出口面61と、(溶融)ポリマーがダイ穴64に入る入口面63とを備えたダイプレート60を示す。この特定の場合において、64は、その長さにわたってまっすぐであり、61の近くでその長さの一部でインサート65を有する。65は、その長さのほとんどにわたって逆テーパ状セクションを有する。ダイを水浴の水から絶縁し、かつ64と同一線上の穴とを有する好ましくは非金属の絶縁体の層69が、61の表面上にあり61の表面と接触し、かつ64と同一線上の穴を有する。69は、比較的構造的に強い材料の層72と接触する外面70を有する。72は、優れた耐研磨性を有する71と接触する外面73(硬面と呼ばれることがある)と、64と同一線上の穴とを有する。71は、UMCのナイフ(図示せず)によって接触される耐摩耗性表面として作用する。ナイフは、71のこの表面においてまたはその近くでポリマーを切断する。69、71、および72を通る穴も、好ましくは逆テーパ状でなければならない。69および/または71および/または72が非常に薄い場合、逆テーパを有さないことは、ダイの性能に著しく影響を及ぼさない。換言すれば、逆テーパは、60内のどこかから、ポリマーが64から現れ、および/または切断される表面まで延在しなければならない。
【0023】
図4において、69は脆性および/または低強度の材料であってもよく、というのは、それは、好ましくは、雲母、ガラスまたはセラミック、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂(これらのすべてが、ダイ動作温度で溶融または軟化しないように、比較的高い融点を有さなければならない)などの非金属材料であるからである。これは、たとえば69を通るボルトによって、71(それ自体が脆性であってもよい)をダイ本体に取付けることが、よくても非常に問題なことがあることを意味し、というのは、69および/または71の亀裂または他の構造的破損が起こりやすいからである。この問題を回避するために、71は、たとえば、ろう付け、溶接、またはボルト締めによって、鋼または他の金属などの構造的に強い(および比較的脆性でない)材料(72)に取付けられる。次に、72を、69を通ってボルト締めすること(図示せず)によって、またはダイプレート60にボルト締めされたカラー(図示せず)によって、ダイ本体に取付けてもよい。換言すれば、72は、比較的弱いおよび/または脆性の非金属熱絶縁体69と71との間に装着されるべき、71のためのバッキングプレートとみなしてもよい。このタイプの構成は、たとえば、異なったサイズのペレットを製造するためにダイ穴サイズ(直径)を変化させることが望ましい場合、69および/または71の容易な変化を可能にするという加えられた利点を有する。
【0024】
好ましくは、69の熱伝導(69の厚さを通る)は、約3W/m°K以下、より好ましくは約1.0W/m°K以下である。69は、冷却浴の水によるダイ本体の「過剰の」冷却が起こらないように、十分厚くなければならない。逆テーパダイ穴が使用されている場合、これは、ダイを上述された単純化された手順によって開始してもよいように、ダイアセンブリが十分な熱を与えることができることを意味する。逆テーパダイ穴が存在しない場合、それは、単に、ダイがUMCダイの通常の態様で動作してもよいことを意味する。この厚さは、切断されているポリマー(特に溶融温度である)、ダイの構成、ダイヒータのパワー、および他の要因により、簡単な実験によって容易に定められる。72は、71が破壊する傾向が低いように必要な構造的強度を与えるのに十分厚くなければならず、典型的な機械設計原理によって定めることができる。
【0025】
図4に示されたタイプの水中溶融切断機ダイアセンブリを、典型的には水中溶融切断機のために用いられるような通常の態様で熱可塑性樹脂を切断するために使用してもよい。水が出口面と接触するときのダイ本体の改良された熱絶縁は、よりスムーズな動作(たとえば、ポリマー凝固(freezing off)の可能性がより少ない)、および/またはより高い融点のポリマーの切断などを可能にする。
【0026】
「出口面と接触する水」とは、出口面と直接接触する水、または、それ自体がもしくは1つまたは複数の他のアイテムとの接触によって出口面と接触するアイテムと接触する水を意味する。たとえば、図1において、水は出口面2と接触してもよい。図2において、29および31が存在しない場合、水はダイ出口面と接触してもよく、29が存在するが31が存在しない場合、水は29と接触し、31だけが存在し29が存在しない場合、または両方が存在する場合、水は31と接触する。これらの場合のすべてにおいて、水は出口面と接触するとみなされる。
【0027】
逆テーパがない場合、出口端部における穴はまっすぐであろう。ポリマー流れが止まると、出口端部においてまたは出口端部の近くで穴のポリマーと接触する水が、ポリマーの凝固(固化)を引起す。ダイ本体の内部のポリマーが溶融したままであっても、穴の出口端部における固体ポリマーは、それが溶融していない限り、いかなるより多くのポリマー流れも防止する。十分な(非常に高い)圧力を加えて、固体取出し(plug out)を強制してもよいが、設備は、そのような圧力に耐えるように造らなければならず、法外に高価であろう。したがって、上述された比較的複雑で困難な開始手順の必要がある。
【0028】
しかし、穴が逆テーパを有する場合、ポリマーは、好ましくは、ゾーン6内のどこか(図1を参照する)まで溶融しさえすればよく、テーパ状ストッパをワインフラスコから取外してもよいのと同じように、固体ポリマーを容易に穴から「抜いて(popped out)」もよい。したがって、比較的穏やかな圧力だけ、ほとんどの場合、現在入手可能な設備ですでに得られるものが必要である。これは、始動、特に再開を大きく単純化し、これを以下で示す。
【0029】
連続プロセスにおいて、たぶん、UMCの運転停止の最も一般的な理由の1つは、ペレット化プロセスにおける短時間の(たとえば1時間まで)中断である。たとえば、これは、システムのいずれかの部分の短時間の電気的または機械的故障、ポリマー供給ラインまたは固体ペレット処理ラインの閉塞などによって引起されるであろう。ダイが逆テーパ穴を有する状態で、次に、UMC自体、特に水循環、ダイ加熱、およびナイフの回転をオンのままにしてもよい。ダイの出口表面の近くのポリマーは、凝固するが、ポリマーがダイ穴の逆テーパ状セクション内のどこかで依然として溶融している場合、短い停止の後、ポリマー流れを単に再開してもよく、UMCは通常再開する。いくつかのサイズ外のペレットを製造してもよく、それらをサイズ分類によって分けてもよい。ペレット化されているポリマーが熱安定性すぎず、停止が短時間を超える場合、いかなるおそらくは劣化されたポリマーもシステムから除去されるまで、溶融ポリマーおよび/または固体ペレットを一級品質製品からそらしたいと望んでもよいし、またはヒータを一時的にオフにしてもよい。この手順は、簡単で、時間節約であり、ポリマーの最小損失をもたらす。
【0030】
バッチプロセスにおいて、バッチ間の、運転停止、または少なくともポリマー流れの中断が、しばしば意図的である。これらの場合、本ダイの容易な始動特徴は、また、明らかに有利である。
【0031】
予定されたメンテナンス運転停止などの、より長い運転停止、または長期間後の始動の場合、手順はわずかに異なることができる。運転停止前および後に同じポリマーが切断されている場合、特に、ポリマーが熱安定性である場合、UMCを清掃することは必要でさえないであろう。UMC、特にダイプレートおよびポリマー処理ラインを、単に再加熱してもよく、ポリマーがダイプレート穴から垂れることがある前に、水および回転ナイフをオンにしてもよい。ダイプレートが動作温度に達し(これは、ダイ穴の逆テーパセクションのポリマーの少なくともいくらかが溶融していると推定する)、システムの残りが準備ができているとき、ポリマー流れをオンにしてもよい。この手順を、また、短い運転停止時でもダイを冷却することが必要である場合、されていないポリマーが特に熱安定性でないのでそれが必要な場合、用いることができる。ダイ穴が清掃されており、空である場合、ダイの出口面を水に曝す前に、いくらかの溶融ポリマーを穴に入れなければならない(たとえば、ダイを、固化することができる溶融ポリマーで充填することによって)。(過熱)蒸気をダイ穴を通して強制的に排出することができるので、水が、ダイ穴、特に穴の後ろの溶融ポリマーラインに入らないことが好ましい。ダイ穴にポリマーがあった後、UMCおよびペレット化システムを、上述されたように始動してもよい。
【0032】
他の変更例および始動の方法が、当業者には明らかであり、また用いてもよい。
【0033】
上で示されたように、容易な始動の好ましい条件は、(図1を参照して)ゾーン6、ダイ穴の逆テーパゾーンの少なくとも一部に溶融ポリマーを有することである。ポリマー流れがなくても、これを達成することは、特にゾーン6で、ダイのポリマーおよびダイ自体からの熱損失と、ダイを加熱するための手段からのポリマーの熱獲得とのバランスをとることを意味する。ダイの出口面(2)においてまたはその近くで、ダイ、およびダイ穴のポリマーからの主な熱損失は、2、およびダイ穴の出口端部においてもしくはその近くで露出されたポリマーの表面の近くの、またはそれらと接触する水による。しかし、ポリマーおよびほとんどのポリマー組成物が良好な熱絶縁体であるので、水と接触するポリマー表面からますます遠いダイ穴のセクションのポリマーの熱損失は、比較的ますます小さい。したがって、特にダイ穴の近傍におけるダイプレート(1)自体が、十分熱く保たれる場合、ゾーン6の少なくともいくらかにおいて、十分な熱をポリマーに供給して、それを溶融状態に保つことができる。ポリマーへの熱流を増加させる(換言すれば、ポリマーをより熱く溶融状態に保つ傾向がある)項目は、より高いダイ温度、1の材料の増加した熱伝導性、ダイ加熱流体(以下を参照のこと)の増加した循環速度、より長いゾーン6、1を熱損失から絶縁すること、およびその逆を含む。十分な熱をポリマーに供給する能力を減少させる項目は、ポリマーの融点またはガラス転移温度と水の温度との間のより大きい温度差(事実上、これは、しばしば、ポリマーの融点またはガラス転移温度が高いほど、ゾーン6で溶融ポリマーを維持することがますます困難になることを意味する)、およびその逆を含む。これらの要因のバランスをとることによって、および少しの実験で、容易な始動を有するUMCシステムを容易に構成してもよい。
【0034】
ここで、ダイ穴(オリフィス)の近傍において、始動において、ダイは、特に、ゾーン6、逆テーパ状ゾーンの少なくとも一部において、ポリマーの融点またはより高くなければならない。ポリマーが融点を有さない(アモルファスである)場合、ダイ穴の近傍は、ポリマーのガラス転移温度またはより高くなければならない。ポリマーが1つを超える融点またはガラス転移温度を有する場合、最も高い融点または最も高いガラス転移温度が用いられる。融点およびガラス転移温度は、方法ASTM方法D3418によって測定される。融点は溶融吸熱の最大とみなされ、ガラス転移温度は転移の中間点とみなされる。融点およびガラス転移温度は第2の加熱時に測定される。好ましくは、始動時、ダイ穴の近傍におけるダイは、ポリマーの最も高い融点より、少なくとも約5℃高く、より好ましくは少なくとも約10℃高く、特に好ましくは少なくとも約20℃高い。始動プロセスの速度を速めるために、特に、使用されているポリマーが熱安定性である場合、短い時間期間の間ダイヒータの制御温度を「スパイク」して、ダイ温度を急速に増加させることが有用であろう。アモルファスポリマー(融点がない)が使用されている場合、好ましくは、始動時、ダイ穴の近傍におけるダイは、ポリマーの最も高いガラス転移点より、少なくとも約25℃高く、より好ましくは少なくとも約50℃高く、特に好ましくは少なくとも約100℃高い。
【0035】
ここでの「溶融(melted)」、「溶融(molten)」、または「液体」ポリマーとは、最も高い融点以上の温度を有するポリマーを意味するか、または、ポリマーが融点を有さない(アモルファスである)場合、その最も高いガラス転移温度以上のポリマーを意味する。当該技術において周知の多くの方法、たとえば、ギアポンプもしくはスクリュポンプなどのポンプを使用すること、溶融ポリマーを周囲圧力より高く加圧すること(溶融ポリマーの部分的に充填されたタンクより高い気体圧力のように)、押出機、または重力誘起された流れによって、溶融ポリマーをダイおよびダイ穴を通して「押し出して」もよい。当該技術において知られているいかなる方法によってダイを加熱してもよい。たとえば、飽和蒸気もしくは過熱蒸気、さまざまな種類の熱い油、およびダウサム(Dowtherm)(登録商標)および同様の材料などの、ダイを通って循環する熱い流体(気体および/または液体);および/またはダイ本体内のもしくは外側の電気ヒータ、たとえば外部バンドヒータおよび/または内部カートリッジヒータによって、ダイを加熱してもよい。
【0036】
0℃より高い温度で固体であり溶融してもよいいかなるポリマーも、本方法によって切断することができる。ポリマーの溶融粘度は、好ましくは、溶融ポリマーを適度に容易にダイ穴を通して押し出してもよい範囲内である。
【0037】
有用なタイプのポリマーおよびそれらのクラス内の具体的なポリマーとしては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)などのポリ(アルキレンテレフタレート)、ポリ(アルキレンイソフタレート/テレフタレート)、ポリ(エチレン2,6−ナフタレート(napthtalate))などのポリ(アルキレン2,6−ナフタレート)、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール、およびそれらのコポリエステルのコポリマーなどのポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−6,6などのポリアミド;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレンとα−オレフィン、特に直鎖状α−オレフィンとのコポリマー、エチレンと(メタ)アクリレートエステルおよび/またはメタクリル酸および/またはアクリル酸およびそれらの塩とのコポリマー、および上で挙げられたオレフィンのコポリマーなどのポリオレフィン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー;ポリテトラフルオロエチレンのコポリマー、ペルフルオロ化ポリマー、ポリ(フッ化ビニル)、エチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマー、およびポリ(フッ化ビニリデン)を含むフッ素化ポリマー;ポリ(イミドエーテル);ポリフェニレンスルホンなどのポリスルホン;ポリ(フェニレンスルフィド)などのポリスルフィド;ポリ(エーテル−ケトン);ポリ(エーテル−エーテル−ケトン);ポリエステル、ポリ(エステルアミド)、およびポリ(エステル−イミド)などのサーモトロピック液晶ポリマー;ならびにポリ(塩化ビニル)が挙げられる。これらのおよび/または他の個別のポリマーおよび/またはポリマータイプの2つ以上のブレンドも使用してもよい。
【0038】
本プロセスに使用されるポリマーは、充填剤、強化剤、顔料、酸化防止剤、可塑剤、光沢剤、オゾン劣化防止剤(antiozonants)、染料、および熱安定剤などの、熱可塑性ポリマーに通常加えられるいかなる添加剤も含有してもよい。有用な具体的な材料としては、繊維、微小球、粉砕ガラス、および粉砕繊維の形態のガラス、粘土、雲母、タルク、および他の鉱物、粉末、繊維、およびフィブリルの形態の炭素(黒鉛および非黒鉛)、アラミドおよび液晶ポリマー繊維などの有機繊維、有機フィブリル、および有機フィブリド(fibrids)、二酸化チタン、粉末状金属、短い長さの金属ワイヤおよび金属繊維、ならびに熱硬化性ポリマーなどの粉末状有機材料が挙げられる。これらの材料は、これらの組成物中に従来の量で存在してもよい。
【0039】
図3aは、ダイの正面図を、このダイの断面(XX)とともに示す。ダイは、入口面(表面)42と、出口面(表面)43と、8のキャビティ(電気ヒータ用)44と、ボルト穴(41を装着するため)、すなわち45および46と、2のキャビティ(熱電対を装着するため)47と、8のダイ穴48とを有するダイ本体41を有する。48に嵌合するダイ穴インサートホルダ49が図3bに示されている。49に嵌合するダイインサート50が図3bおよび図3cに示されている。49および50のための別個のピースを有することによって、ダイ穴の有効直径を容易に変化させてもよい。図3aの断面(XX)および図3bおよび図3cを参照すると、溶融ポリマーが、42の近傍において50に入り、50を通って43の近傍まで流れ、43の近くで50を出る。50の出口端部の近傍における43上のもしくは43の近くの熱絶縁体、またはナイフが回転するための耐研磨性表面は、示されていない。41、49、および50のすべての材料は、比較的高い熱伝導性、>50W/m°Kを有さなければならない。いくつかの場合、50が、比較的高い熱伝導性を有するだけでなく、また比較的耐研磨性であることが好ましく、(高熱伝導性)炭化タングステン(60〜170W/m°K)がこの使用に適している。装着ボルト、電気ヒータ、熱電対、電気ヒータを保持するためのクリップなどの、存在してもよい、ダイまたはそれへの取付部の他の部分は、示されていない。これらの図からはっきりわかることができるように、電気ヒータ、このダイのための熱源から、溶融ポリマーと接触する50の内面まで、高度に熱伝導性の経路がある。電気ヒータが通常それらのキャビティの壁とできるだけ多く接触するように設計されるが、いくつかの場所において、ヒータと41との間に小さい空気間隙があってもよいことが認められ、ここでの目的のため、このしばしば避けられない間隙は、依然として、比較的高度に熱伝導性の経路の一部であるとみなされる。
【0040】
図3cが、テーパ角度が2.00°の逆テーパ(以下を参照のこと)を有するダイインサートを示すことにも留意されたい。
【実施例】
【0041】
(手順)
ダイAを実施例のいくつかで使用した。このダイをグリドコップ(GlidCop)(登録商標)グレードAL−15から製造した。このダイは、図に示されたダイと同様であり(重要でない性質のいくつかの小さい物理的変更以外;他の点では、ダイの特徴および性能は図3のものと同じである)、22.86cmの全体直径を有し、厚さが6.35cmであった。ダイを押出機端部にボルト締めした。8の等しく隔置されたダイ穴を、50などのダイインサートを取付けるか、8未満のダイ穴が動作中であるように塞いだ。ダイインサートは炭化タングステンから製造した。ダイに、また、炭素鋼バックプレートとともに、炭化チタンから製造された、ダイ穴の出口端部の上の熱絶縁層を備えた。炭化チタンおよびバックプレートの総厚さは4.75mmであった。インサート50において、テーパ角度8(図1を参照のこと)は2°であり、5と同様のゾーンは、長さが6.13cmであり、テーパ(逆テーパでない)角度が1.724°であり、6と同様のゾーンは、炭化チタン層および鋼バックプレート層の厚さを含めて(これらの層の厚さを通るダイ穴も逆テーパを有した)長さが6.99mmであった。ダイ穴の入口端部において、直径は5.54mmであり、出口端部において(炭化チタンの外面において)、それは直径が3.94mmであった。
【0042】
ダイBを実施例のいくつかで使用した。このダイを炭素鋼から製造した。このダイは、重要でない性質のいくつかの小さい物理的変更以外は、図3に示されたダイと同様であったが、出口面、熱絶縁体、バッカープレート、硬面、およびインサートは、図4に示された通りである。それは、22.86cmの全体直径を有し、厚さが4.20cmであった。ダイを押出機端部にボルト締めした。8の等しく隔置されたダイ穴を、66などのダイインサートを取付けるか、8未満のダイ穴が動作中であるように塞ぐことができた。ダイインサートは360真鍮から製造した。ダイインサートは、長さ1.1cmにわたって3°の逆テーパを有し、硬面の外面において、穴の直径は0.549cmであった。ダイ穴(ダイ本体内)は直径が0.775cmであった。TiC硬面は厚さが0.424cmであり、炭素鋼バッカープレートは全厚さが0.305cmであり、雲母熱絶縁体は、圧縮されたとき厚さが約1.3mmであった。
【0043】
実施例において、特定のポリマーを使用し、これらは表1に記載されている。これらのポリマーはすべて(LCP以外)、本願特許出願人から入手可能である。
【0044】
【表1】

【0045】
(実施例1〜6)
これらの実施例において、ダイAを使用して、8のダイ穴で、さまざまなポリマー配合物を水中ペレット化した。すべての場合において、ダイ穴は2°の逆テーパを有した。ポリマーを、ポリマー組成物を溶融する押出機によってダイに供給した。ポリマー溶融温度を、押出機内で、ポリマー製造業者によって勧められるもので(または融点より高く)維持した。ある時点で、ポリマー流れを中断し、ポリマーをダイ穴の出口端部で凝固させた。次に、切断機カート(ナイフおよび冷却水を収容する)を取付け、ナイフおよび冷却水循環を開始し、ダイ温度をほぼポリマー融点に上昇させることによって、溶融切断機を再開した(それがすでにそれの中にポリマーを有したと想定する)。ポリマー供給押出機を開始し、押出機へのポリマー供給を開始した。溶融ポリマーをペレタイザからそらすように設定された、出口端部ポリマー供給押出機上の切換弁を、ここで、溶融ポリマーをペレタイザ(ダイ)に供給するように設定し、この時点で、ペレット化を開始した。いくつかの場合、ポリマー供給を開始するとき、それを低減速度で開始し、次に、最終の望ましい速度に増加させた。表2に記載された実施例すべてにおいて、始動が、ダイが循環水中にあっても、スムーズであった。この単純化された始動手順を用いてダイを通るポリマーの流れを開始するのに必要な圧力が、表2に示されており、ペレット化の間の定常状態圧力、ダイ温度および冷却水温度、ならびに使用されたポリマーも示されている。
【0046】
【表2】

【0047】
(実施例7)
市販の50穴水中溶融切断機ダイを、逆テーパダイ穴での使用のために適合させた。ダイ本体は炭素鋼から製造され、本体を電気抵抗ヒータによって加熱した。各ダイ穴を、2ピースダイ穴ライナが各ダイ穴に嵌合されるように適合させた。入口セクションと呼ばれる、長さが3.58cm(1.41インチ)であり、かつ直径3.00mm(0.118インチ)の円形穴を有する、まっすぐな穴のライナが、入口面(図3aの42と同様の)にあった。直径4.06mm(0.160インチ)の円形穴を有する長さ2.53(0.995インチ)の出口セクションが、この入口セクションのすぐ下流(ポリマー流れ)にあった。出口セクションの出口端部は、出口面(図3aの43と同様の)と同一平面上にあり、ペレタイザの冷却水に曝された。出口セクションは変化させることができ、穴は、まっすぐであるか逆テーパを有した。穴が逆テーパを有した場合、テーパ角度が出口面から中に深さ6.35mm(0.25インチ)延びるように、まっすぐな穴を所望のテーパ角度に広げることによって、穴を形成した。溶融ポリマーを、ギアポンプを使用してペレタイザダイに供給した。ポリマーは、液晶ポリマー(LCP)であり、約335℃の融点を有する、ヒドロキノン/4,4’−ビフェノール/テレフタル酸/2,6−ナフタレン(napthalene)ジカルボン酸/4−ヒドロキシ安息香酸、50/50/70/30/320モル部から製造されたコポリマーであった。
【0048】
ポリマー流れを開始するために、ポリマーで充填されたダイを、LCPの融点より高く加熱し、ダイの上流のポリマーは(すでに)溶融していた。回転ナイフおよび水浴を収容し、水浴が充満し循環している「切断カート」を、所定位置に置いた。ダイを十分に加熱した後、ギアポンプをオンにした。ダイを開ける(すなわち、ポリマーを開始する)のに必要な圧力を測定したが、圧力スパイクが発生したかもしれないので、報告された圧力は幾分低いであろう。
【0049】
出口セクションがまっすぐな穴を有した場合、ダイが開かないことがあるのでダイが開いたとしても、約13.8MPa(2000psi)を超える圧力が、ダイを開けるために必要であった。さらに、ダイ穴が開くことを可能にするために、冷却水温度を約90℃以上に維持しなければならなかった。これは、そのような熱い水が操作者を容易にやけどさせることがあるので、安全性問題である。システム内で安全に発生させることができる最大圧力は、約16.5MPa(2400psi)であった。このモードで動作しているとき、最終的に、ギアポンプを取替えなければならず、この損傷は、これらの高い始動圧力によると考えられる。しばしば、ダイの50の穴の多くが、この手順によって開けられず、結果として、標準的な1組のペレット化条件下のペレットサイズが変わることが間接的に観察された。
【0050】
逆テーパが存在し、(逆)テーパ角度が2°であった場合、始動が約10.3〜13.8MPa(1500〜2000psi)で生じ、ギアポンプがこれらの始動によって損傷されないように思われることが観察された。ダイ穴のすべてでないとしてもほとんどが始動時に開くように思われることも観察され、ペレットサイズは(まっすぐな穴より)ずっと均一であった。この性能は、約60℃または少し低い冷却水温度で得られた。
【0051】
(逆)テーパ角度が3°であった場合、開いた穴の数が、再び、しばしばダイの穴の多くが開かないように思われることが認められた。始動を開始する(熱いダイで)前、切断カートを取外し、ダイ穴の端部を観察した。いくつかの穴で、逆テーパがある出口セクションの部分で凝固したポリマーが抜けたように思われた。結果として、出口セクションのまっすぐな長さにおけるポリマーと接触するようであった。これは、最適動作のためのテーパ角度およびテーパ状セクション長さを、所与の1組の条件下で切断すべきポリマー組成物ごとに定める必要があることを示す。これは、通常の実験によって、特にダイ穴インサートを使用して、容易に定めてもよい。
【0052】
(実施例8〜10)
これらの実施例において、ダイBを使用して、2のダイ穴で、さまざまなポリマー配合物を水中ペレット化した。すべての場合において、ダイ穴は3°の逆テーパを有し、溶融切断機冷却水温度は53℃であった。ポリマーを、ポリマー組成物を溶融する押出機によってダイに供給した。ある時点で、ポリマー流れを中断し、ポリマーをダイ穴の出口端部で凝固させた。次に、切断機カート(ナイフおよび冷却水を収容する)を取付け、ナイフおよび冷却水循環を開始し、ダイ温度を設定点に上昇させることによって、溶融切断機を再開した(それがすでにそれの中にポリマーを有すると想定する)。ポリマー供給押出機を開始し、押出機へのポリマー供給を開始した。溶融ポリマーをペレタイザからそらすように設定された、出口端部ポリマー供給押出機上の切換弁を、ここで、溶融ポリマーをペレタイザ(ダイ)に供給するように設定し、この時点で、ペレット化を開始した。いくつかの場合、ポリマー供給を開始するとき、それを低減速度で開始し、次に、最終の望ましい速度に増加させた。表3に記載された実施例すべてにおいて、始動が、ダイが循環水中にあっても、スムーズであった。この単純化された始動手順を用いてダイを通るポリマーの流れを開始するのに必要な圧力が、表3に示されており、ペレット化の間の定常状態圧力、ダイ温度および冷却水温度、ならびに使用されたポリマーも示されている。
【0053】
【表3】

【0054】
本発明は以下の実施の態様を含むものである。
1.ポリマーのための水中溶融切断機の始動のための方法であって、溶融ポリマーが、出口面と1つまたは複数のダイ穴とを有するダイを通して押し出され、前記ダイ穴を出るとき、前記ポリマーが1つまたは複数の回転ナイフによって切断され、前記ポリマーが、水中にあるか、前記ダイの出口面の近傍において水と接触し、
(a)1つまたは複数のダイ穴を有するダイを提供する工程であって、前記ダイ穴が逆テーパを有し、前記出口面が水と接触する間、前記ダイ穴の前記逆テーパの少なくとも一部の近傍における前記ダイが、前記ポリマーの融点以上の温度に維持されるか、または、前記ポリマーが融点を有さない場合、前記部分が、前記ポリマーのガラス転移点以上の温度に維持される工程と、
(b)前記ナイフを回転させる工程と、
(c)(a)および(b)が行われた後、前記水が前記出口面と接触した後5秒より早くなることなく、前記溶融ポリマーを前記ダイ穴を通して押し出す工程とを含むことを特徴とする方法。
2.前記逆テーパのテーパ角度が約0.5°から約5°であることを特徴とする前記1に記載の方法。
3.前記テーパ角度が約1.0°から約3.0°であることを特徴とする前記1または2に記載の方法。
4.前記ダイ穴が円形断面を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の方法。
5.テーパの深さが約0.5cmから約5cmであることを特徴とする前記1〜4のいずれか一項に記載の方法。
6.前記ダイ穴が約0.050cmから約0.7cmの直径を有することを特徴とする前記4に記載の方法。
7.前記溶融ポリマーが、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、フッ素化ポリマー、ポリ(イミドエーテル)、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリ(エーテル−ケトン)、ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)、サーモトロピック液晶ポリマー、もしくはポリ(塩化ビニル)、またはこれらの2つ以上のポリマーブレンドであることを特徴とする前記1〜6のいずれか一項に記載の方法。
8.溶融ポリマーが流れる1つまたは複数のダイ穴を有し、かつポリマー出口面を有するダイプレートまたはダイ本体を有する水中溶融切断機ダイアセンブリであって、前記ポリマー出口面が、前記ポリマー出口面と接触する面と反対側の第1の遠い面を有する非金属熱絶縁体と接触し、前記第1の遠い面が、前記非金属熱絶縁体と接触する面と反対側の第2の遠い面を有する支持プレートと接触し、前記第2の遠い面が耐研磨性材料と接触することを特徴とする水中溶融切断機ダイアセンブリ。
9.前記ダイ穴が逆テーパを有することを特徴とする前記8に記載のダイアセンブリ。
10.前記ダイ穴がまっすぐであることを特徴とする前記8に記載のダイアセンブリ。
11.前記非金属熱絶縁体の熱伝導が約3W/m°K以下であることを特徴とする前記8〜10のいずれか一項に記載のダイアセンブリ。
12.前記非金属熱絶縁体の熱伝導が約1W/m°K以下であることを特徴とする前記8〜10のいずれか一項に記載のダイアセンブリ。
13.溶融ポリマーが1つまたは複数のダイ穴を通して押し出され、前記ポリマーが前記ダイ穴から現れると、それが、水と接触し、同時に、前記ダイ穴の出口面で切断されるポリマーの水中溶融切断のための方法であって、溶融ポリマーが流れる1つまたは複数のダイ穴を有し、かつポリマー出口面を有するダイプレートまたはダイ本体を有する水中溶融切断機ダイアセンブリを含み、前記ポリマー出口面が、前記ポリマー出口面と接触する面と反対側の第1の遠い面を有する非金属熱絶縁体と接触し、前記第1の遠い面が、前記非金属熱絶縁体と接触する面と反対側の第2の遠い面を有する支持プレートと接触し、前記第2の遠い面が耐研磨性材料と接触することを特徴とする方法。
14.前記ダイ穴が逆テーパを有することを特徴とする前記13に記載の方法。
15.前記ダイ穴がまっすぐであることを特徴とする前記13に記載の方法。
16.前記非金属熱絶縁体の熱伝導が約3W/m°K以下であることを特徴とする前記13〜15のいずれか一項に記載の方法。
17.前記非金属熱絶縁体の熱伝導が約1W/m°K以下であることを特徴とする前記13〜15のいずれか一項に記載の方法。
18.前記ポリマーが、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、フッ素化ポリマー、ポリ(イミドエーテル)、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリ(エーテル−ケトン)、ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)、サーモトロピック液晶ポリマー、もしくはポリ(塩化ビニル)、またはこれらの2つ以上のポリマーブレンドであることを特徴とする前記13〜17のいずれか一項に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融ポリマーが流れる1つまたは複数のダイ穴を有し、かつポリマー出口面を有するダイプレートまたはダイ本体を有する水中溶融切断機ダイアセンブリであって、前記ダイ穴が逆テーパを有し、前記ポリマー出口面が、前記ポリマー出口面と接触する面と反対側の第1の遠い面を有する非金属熱絶縁体と接触し、前記第1の遠い面が、前記非金属熱絶縁体と接触する面と反対側の第2の遠い面を有する支持プレートと接触し、前記第2の遠い面が耐研磨性材料と接触することを特徴とする水中溶融切断機ダイアセンブリ。
【請求項2】
溶融ポリマーが1つまたは複数のダイ穴を通して押し出され、前記ポリマーが前記ダイ穴から現れると、それが、水と接触し、同時に、前記ダイ穴の出口面で切断されるポリマーの水中溶融切断のための方法であって、前記ダイ穴が逆テーパを有し、溶融ポリマーが流れる1つまたは複数のダイ穴を有し、かつポリマー出口面を有するダイプレートまたはダイ本体を有する水中溶融切断機ダイアセンブリを含み、前記ポリマー出口面が、前記ポリマー出口面と接触する面と反対側の第1の遠い面を有する非金属熱絶縁体と接触し、前記第1の遠い面が、前記非金属熱絶縁体と接触する面と反対側の第2の遠い面を有する支持プレートと接触し、前記第2の遠い面が耐研磨性材料と接触することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−245876(P2011−245876A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201115(P2011−201115)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【分割の表示】特願2006−522059(P2006−522059)の分割
【原出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】