説明

ポリマー除去のための反応性パージ化合物

本発明は、ポリマー加工装置を洗浄するための反応性パージ化合物に関連し、ここで、反応性パージ化合物は、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、少なくとも約50重量%のポリマー担体成分を含み、ここで、ポリマー担体成分は、1つ以上のポリマー;ポリマー担体成分において分散された分子鎖切断触媒成分;および水を生成させる成分を含み、ここで、該反応性パージ化合物は、複数のペレット、果粒、ロッド、粉末または他の粒子の形をしているフィードストック材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<優先権の主張>
本出願は、(2009年7月14日に出願)米国特許出願第12/502,556号の利益を主張するものであり、すべての目的のために、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、ポリマー加工装置を洗浄するための、ポリマー担体成分、分子鎖切断触媒成分(polymeric carrier component)、および随意に水を生成させる(water generating)成分を含むパージ化合物、およびポリマー加工装置をパージする方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
ポリマー、および特に、溶かされた時、極性であり、及び/又は金属面への親和性を有するポリマーの加工は、結果として、ポリマー加工装置における(例えば、押出機上などの、ねじまたはバレル上、またはダイス、アダプター、または加工装置の他の構成要素における)ポリマーの蓄積につながり得る。ポリマーの蓄積は、ポリマーのいくつかが色または流動特性において変化するように、時間をかけて、結果的に、ポリマーが長時間(例えば、加工装置におけるポリマーの平均滞留時間の5倍以上、またはさらに500倍以上)、熱に曝されることにつながり得る。結果として、加工装置を介してポリマーを加工するプロセス(工程)を含む手順を使用してもたらされる一部分は、変色させられるか、不均一の色(例えばブラックスペック(black specks))を有するか、または流動特性の変化から結果として生じる欠陥を有し得る。1つの例として、長時間熱に曝されたポリマーは、結果的にダイスを介するなどによって物質の流れを遮断する粒子となり得る。
【0004】
加工樹脂(すなわち、1つ以上のポリマーを含むポリマー材料)を流した後、ポリマー加工装置をパージするための様々な方法が当該技術分野に知られているため、装置は分解される必要はなく、手動で洗浄される必要もない。パージは、ニート樹脂、または部品へ加工される別の加工樹脂でなされ得る。パージ化合物は、市販されており、特定の加工樹脂を取り除くために日常的に使用される。パージ化合物はまた、第1加工樹脂から第2加工樹脂への加工の間で遷移するときの有用性を見出す。
【0005】
文献に開示されるパージ化合物は、研磨剤、発泡剤、界面活性剤、可塑剤、極性ポリマーなどの粘着成分を使用するパージ化合物を含み、特定の加工樹脂のポリマー加工装置を洗浄するのを助ける。このようなパージ化合物は、特許文献1(Dixit et. al.、1988年3月15日発行)、特許文献2(Fujii et. al., 1989年6月13日発行)、特許文献3(Leung et. al., 1993年8月17日発行)、特許文献4(Ertle et. al., 1995年6月13日発行)、特許文献5(Scheibelhoffer et. al., 1995年8月22日発行)、特許文献6 Yamamoto et. al., 1999年9月28日発行、特許文献7(Chandraker et. al., 2000年5月9日発行)、特許文献8(Negi et. al.,, 2001年9月25日発行)および特許文献9(Nitzsche, 2002年5月7日発行)に記載され、それらすべては、その全体が明白に本明細書に組み込まれる。
【0006】
エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)などの極性ポリマーを除去するための既知のパージ化合物の例は、一般に高価であり、及び/又は準備するための更なる加工工程を必要とするポリマーを含むパージ化合物を含む。例えば、特許文献10(Armstrong et al. 1999年10月12日に発行され、引用によって明白に本明細書に組み込まれた)および特許文献8は、パージ化合物を開示し、そのなかで、ポリマーの本質的な部分はEVOHであり、特許文献7は、EVOHと反応することができる、無水マレイン酸の機能性ポリオレフィンを含むパージ化合物を教示する。
【0007】
パージ化合物の進歩にもかかわらず、ポリマープロセッサーによって必要とされる異なるパージ化合物の数が減らされるように、広範囲のポリマーを除去し得る新しいパージ化合物が引き続き必要とされている。
【0008】
加工装置上の非生産的な時間の量が減らされるように、またはパージ中に生成した廃棄物の量が最小限にされるように、またはその両方のように、より効率的に除去するパージ化合物も引き続き必要とされている。特に、EVOHおよびポリアミドなどの極性の加工樹脂をより効率的にパージする化合物が引き続き必要とされている。
【0009】
そのため、単独で使用され得る、または(研磨、付着、発泡などの)1つ以上の以前に記載されたメカニズムと組み合わせて、加工装置をパージする新しいメカニズムが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,731,126号
【特許文献2】米国特許第4,838,945号
【特許文献3】米国特許第5,236,514号
【特許文献4】米国特許第5,424,012号
【特許文献5】米国特許第5,443,768号
【特許文献6】米国特許第5,958,313号
【特許文献7】米国特許第6,060,445号
【特許文献8】米国特許第6,294,120号
【特許文献9】米国特許第6,384,002号
【特許文献10】米国特許第5,695,624号
【発明の概要】
【0011】
1つ以上の上述される必要性は、ポリマー加工装置を洗浄するための反応性パージ化合物により満たされ得、ここで、反応性パージ化合物は、i)反応性パージ化合物の全重量に基づいて、少なくとも約50重量%のポリマー担体成分、および、ii)ポリマー担体成分において分散した分子鎖切断触媒成分を含み、該ポリマー担体成分は1つ以上のポリマーを含み、a)該分子鎖切断触媒成分は、少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物、少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物、および任意のそれらの組み合わせから成る群から選択された分子鎖切断触媒を含むか、b) 該反応性パージ化合物は、さらに水を生成させる成分を含むか、または、c)(a)および(b)の両方であり、ここで、該反応性パージ化合物は、複数のペレット、果粒、ロッド(rods)、粉末または他の粒子の形をしているフィードストック材料である。
【0012】
本発明のこの態様は、以下の1つまたは任意の組み合わせによって更に特徴付けられ得る:反応性パージ化合物が、約30分間、ポリマー成分の最大融解温度以上の約25℃の温度にまで加熱されるとき、ASTM D5296-05によって測定されるような、ポリマー担体成分の重量平均分子量が20%未満変化するように、ポリマー担体成分は、分子鎖切断触媒に実質的に不活性であり;反応性パージ化合物は、水を生成させる成分を含み;ポリマー担体成分は、ポリオレフィンポリマーの全重量に基づいて、少なくとも約50重量%の第1α-オレフィンを含む、ポリオレフィンポリマーを含み;ポリマー担体成分は、ASTM D1238-04によって測定されるように、約0.1から約80g/10分までのメルトフローレイトを有している、(例えば、ポリマー担体成分の全重量に基づいて、約50重量%より高い、より好ましくは、約80重量%より高い濃度での)1つ以上のポリマーを含み;水を生成させる成分は、1、2、3、4、またはそれ以上の水和水を含む、水を生成させる化合物を含み;水を生成させる成分は、水酸化マグネシウム、三水和アルミナ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、金属塩化物水化物、金属硫酸塩水化物、金属硝酸塩水化物、金属ケイ酸塩水化物、金属炭酸塩水化物、またはそれらの任意の組み合わせから選択され;分子鎖切断触媒成分は、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ土類金属酢酸塩、アミノカプロン酸のアルカリ土類金属塩、アミノカプロン酸のアルカリ金属塩、線形二量体アミノカプロン酸の金属塩、線形三量体カプロン酸の金属塩、およびそれらの任意の組み合わせから成る群から選択された分子鎖切断触媒を含み;分子鎖切断触媒成分は、一酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、ナトリウムアミノカプロン酸塩、カリウムアミノカプロン酸塩、アミノカプロン酸塩二量体のナトリウム塩、アミノカプロン酸塩三量体のナトリウム塩、アミノカプロン酸塩二量体のカリウム塩、アミノカプロン酸塩三量体のカリウム塩、またはそれらの任意の組み合わせから成る群から選択された分子鎖切断触媒を含み;分子鎖切断触媒成分は、リン酸、ホウ酸、リン酸の塩、ホウ酸の塩、およびそれらの任意の組み合わせを含み;分子鎖切断触媒成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み;分子鎖切断触媒成分は、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、約0.1重量%から約20重量%までの濃度で存在し;水を生成させる成分は(もし使用されれば)、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、約0.1から約40重量%まで存在し;水を生成させる化合物は、ポリマー担体成分の全体にわたって分散され;または、反応性パージ化合物は、ポリマー担体成分の第1部分を含む複数の第1粒子、およびポリマー担体成分の第2部分および水を生成させる成分の少なくとも一部分を含む複数の第2粒子を含み、ここで、該第1粒子および該第2粒子は異なる。
【0013】
別の態様は、本明細書に記載される反応性パージ化合物などの反応性パージ化合物を調製するプロセスに向けられ、該プロセスは、所定の最大混合温度以下の混合温度で、水を生成させる成分をポリマー担体成分と混合する工程を含み、ここで、該水を生成させる化合物は、最大混合温度で一般に安定している。
【0014】
本明細書に記載される反応性パージ化合物などの反応性パージ化合物を調製するための別の手法は、ポリマー担体成分の開始融解温度より下の温度で、ポリマー担体成分および分子鎖切断触媒成分の第1部分を含む複数の第1粒子、およびポリマー担体成分の第2部分を含む複数の粒子を乾式混合する工程を含む。
【0015】
更なる本発明の別の態様は、(本明細書に開示される化合物などの)反応性パージ化合物を使用して、押出機、または成形機などの、ポリマー加工装置(またはねじ、バレル、またはダイスなどのそれらの任意の構成要素)を洗浄またはパージするためのプロセスに向けられている。a)加工温度が約200℃より高い、第1の所定の加工温度で第1加工樹脂を押し出す工程、および、b)加工温度が約200℃より高い、第2の所定の加工温度で反応性パージ化合物を押し出す工程を含むパージ工程を使用し、ここで、該第2の所定の加工温度は、該第1の所定の加工温度と同じであるか、または異なる。
【0016】
本発明のこの態様は、以下の1つまたは任意の組み合わせによって更に特徴付けられ得る:第1加工樹脂は、ポリアミド、ポリエステル、EVOH、またはそれらの任意の組み合わせを含み、第1加工樹脂は、ポリアミドを含み、第1加工樹脂の重量平均分子量は、20〜95%低減され、第2の所定の加工温度は、約290℃未満であり、そのプロセスは、反応性パージ化合物の少なくともいくつかがポリマー加工装置から取り除かれるように、ポリオレフィンホモポリマーまたはポリオレフィンコポリマーを加工する(例えば、押し出す)工程を更に含み、反応性パージ化合物のメルトフローレイトに対する第1加工樹脂のメルトフローレイトの比率は、235℃/1.00kgでASTM D1238-04によって測定されると、約20:1から約1:20であり、または、水を生成させる成分は、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、少なくとも約0.1重量%の水を生成させる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、その様々な態様において、魅力的なパージ化合物、およびより具体的には、ポリマー担体成分、分子鎖切断触媒成分、および随意に水を生成させる成分を含む反応性パージ化合物を引き出すために、独特な組み合わせの物質を利用する。これらの反応性パージ化合物は、ポリマー加工装置を、分子鎖切断触媒成分のない他の場合の同一の化合物よりもより速く及び/又はより有効にパージする、それらの能力に有用性を見出す。そのため、反応性パージ化合物は、好都合にポリマー加工装置をパージするために使用され得、結果的に、(例えば、第1加工樹脂から第2加工樹脂まで遷移するまでの)比較的短いパージ時間、比較的短いクリーンアウト時間(clean-out time)、より高品質な部品、減少したポリマー加工装置の休止時間、減少したスクラップの重量、またはそれらの任意の組み合わせをもたらす。
【0018】
理論に縛られることなしに、加工樹脂の粘度が低減されるように、本明細書に記載される反応性パージ化合物は、ポリマー加工装置において、加工樹脂(例えば、第1加工樹脂)と触媒として反応することによって少なくとも部分的に機能し、それによって、加工樹脂は加工装置から有効に取り除かれ得ると考えられる。
【0019】
分子鎖切断触媒成分
反応性パージ化合物の1つの成分は、分子鎖切断触媒成分である。分子鎖切断触媒成分は、加工樹脂の粘度低下の速度(例えば、分子鎖切断触媒が加工樹脂と接触した後の最初の30秒間の平均速度などの初速度)を増加させるか、加工樹脂の粘度が低減される温度を下げるか、またはその両方を行う分子鎖切断触媒を含むか、分子鎖切断触媒から実質的に成るか、またはすべての分子鎖切断触媒から成る。分子鎖切断触媒成分は、加工樹脂の分子量の減少(例えば、分子鎖長、または回転半径の減少)を促進する触媒などの触媒であり得る。
【0020】
適切な分子鎖切断触媒は、無機化合物および有機金属化合物を含む。分子鎖切断触媒は、以下の化合物の1つまたは任意の組み合わせを含むか、またはそれらから実質的に成り得る:アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ土類金属酢酸塩、アミノカプロン酸のアルカリ土類金属塩、アミノカプロン酸のアルカリ金属塩、線形二量体アミノカプロン酸の金属塩、および線形三量体カプロン酸の金属塩。使用され得る他の分子鎖切断触媒は、リン酸、ホウ酸、リン酸の塩、ホウ酸の塩、またはそれらの任意の組み合わせなどの酸を含む。
【0021】
制限なしで、反応性パージ化合物において使用され得る典型的な分子鎖切断触媒は、一酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、ナトリウムアミノカプロン酸塩、カリウムアミノカプロン酸塩、アミノカプロン酸塩二量体のナトリウム塩、アミノカプロン酸塩三量体のナトリウム塩、アミノカプロン酸塩二量体のカリウム塩、アミノカプロン酸塩三量体のカリウム塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む。特に好ましい分子鎖切断触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0022】
驚いたことに、特定の本発明の教示の分子鎖切断触媒は、加工樹脂の粘度を低減するのに水を生成させる化合物を必要としない。そのため、特定の分子鎖切断触媒は、水を生成させる化合物を更に含む、または水を生成させる化合物のない(例えば、分子鎖切断触媒以外で水を生成させる化合物のない)いずれかの反応性パージ化合物において使用され得る。制限なしで、水を生成させる成分とともに、またはその成分なしのいずれかで使用され得る典型的な分子鎖切断触媒は、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム)およびアルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウム)を含む。
【0023】
分子鎖切断触媒成分は、乾燥し得うるか(例えば、水が実質的にないか、全くない)、または水を含み得る。例えば、分子鎖切断触媒の少なくともいくつかは、1、2、3、またはそれ以上の水和水を有する化合物を含み得る。分子鎖切断触媒は、好ましくは、固体である。
【0024】
分子鎖切断触媒成分は、加工樹脂の粘度低下を触媒するのに十分な濃度で存在し得る。例えば、分子鎖切断触媒成分は、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、約0.1重量%より高い濃度、好ましくは約0.2重量%より高く、より好ましくは約0.4重量%より高い濃度で、および最も好ましくは約0.8重量%より高い濃度で、反応性パージ化合物中に存在し得る。分子鎖切断触媒成分は、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、20重量%未満の濃度で、好ましくは約15重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、および最も好ましくは約5重量%未満(例えば、さらに約2重量%未満)の濃度で存在し得る。例えば、分子鎖切断触媒は、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、約0.4重量%から約5重量%までの濃度で存在し得る。
【0025】
ポリマー担体成分
ポリマー担体成分は、反応性パージ化合物の1以上、または他の成分のすべてさえが分散される、ポリマーマトリックスを提供する。例えば、反応性パージ化合物は、ポリマー担体成分、分子鎖切断触媒成分、およびもし使用されるのであれば、水を生成させる成分の混合物を各々含む、粒子(例えば、ペレット、果粒、ロッド、粉末、または他の粒子)を含み得る。
【0026】
本発明のもう1つの特定の態様において、反応性パージ化合物は、異なる組成物を有する2、3、またはそれ以上の異なる粒子(例えば、ペレット、果粒、ロッド、粉末、または他の粒子)の混合物(例えば乾式混合)を含み得る。例えば、反応性パージ化合物は、ポリマー担体成分の第1部分を各々含み、分子鎖切断触媒成分の少なくとも一部、水を生成させる成分の少なくとも一部、またはその両方を含む、複数の第1粒子、および第1粒子とは異なる成分(例えば、水を生成させる成分の異なる部分、第1粒子中にはない分子鎖切断触媒成分など)を含むポリマー担体成分の第2部分を含む、複数の第2粒子を含み得る。本明細書の教示によると、ポリマー担体成分は、ポリマー担体成分の第1部分、ポリマー担体成分の第2部分、および存在し得るポリマー担体成分の任意の更なる(例えば、第3、または第4の)部分を含む。本発明のこの態様において、ポリマー成分の第1および第2部分は、(第1粒子および第2粒子の違いがポリマー以外の含有物(ingredients)においてあり得るような)同じポリマーであり得るか、または、ポリマー担体成分の第1および第2部分は、異なるポリマー(例えば、異なる融解温度、異なるメルトフローレイト、またはその両方を有するポリマー)を使用し得る。
【0027】
ポリマー担体成分は、1つ以上のポリマーを含み得るか、1つ以上のポリマーから実質的に成り得るか、または1つ以上のすべてのポリマーから成り得る。ポリマー担体成分は、好ましくは、(例えば、ASTM D3418-97によって測定されるように)最大融解温度または約50℃より高いガラス転移温度、好ましくは80℃より高く、より好ましくは約100℃より高い温度を有する熱可塑性物質などの、1つ以上の熱可塑性物質を含む。ポリマーは、約260℃未満、好ましくは約200℃未満、およびより好ましくは約180℃未満である、ガラス転移温度、最大融解温度、またはその両方を有し得る。
【0028】
ポリマー担体成分の1つ以上のポリマーは、好ましくは、典型的な加工温度で(例えば、約250℃の温度で)分子鎖切断触媒の存在下で水と著しく反応せず、それによってポリマー担体成分の粘度は、パージプロセス中に約20%未満(好ましくは約10%未満)変化する。ポリマー担体成分は、好ましくは、通常、1つ以上の無極性のポリマーを含む。制限なしで、ポリマー成分における使用に適したポリマーは、オレフィンを含むポリマーおよびスチレンを含むポリマーを含む。例えば、ポリマー担体成分(例えば、第1ポリマー担体成分)は、1つ以上のポリオレフィンホモポリマー(例えば、ポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、またはその両方)などの1つ以上のポリオレフィンポリマー、ポリオレフィンポリマーの全重量に基づいて、少なくとも50重量%(好ましくは少なくとも60%)の第1α-オレフィン(例えば、エチレンまたはプロピレン)を含む1つ以上のコポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るか、それらから実質的に成るか、またはそれらすべてから成り得る。
【0029】
制限なしで、ポリマー担体成分で使用され得る、典型的なスチレンを含むポリマーおよびα-オレフィンを含むポリマーは、ポリエチレンホモポリマーなどのポリエチレン;プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デケン、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンおよび極低密度ポリエチレン)などの、少なくとも1つの更なるα-オレフィンを含むポリエチレンコポリマー;ポリプロピレンホモポリマー;エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン- 1-オクテン、1-デケン、4-メチル-1-ペンテン、および(アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、耐衝撃性ポリプロピレン、およびランダムポリプロピレンなどの)それらの任意の組み合わせから成る群から選択された少なくとも1つの更なるモノマーを含む、ポリプロピレンコポリマー;ポリ-1-ブテン;ポリ-4-メチル-1-ペンテン;ポリスチレンホモポリマー、耐衝撃性修飾のポリスチレン、ポリスチレンランダムコポリマー、(スチレン‐ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレブロックコポリマー、および上記の任意の部分的にまたは完全に水素化されたアナログなどの)ポリスチレンブロックコポリマーを含む、スチレンを含むポリマー;またはそれらの任意の組み合わせを含む。ポリマー担体成分は、好ましくは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンコポリマー(例えば、エチレンを含む)、および耐衝撃性ポリプロピレン、またはそれらの任意の組み合わせを含むか、それらから実質的に成るか、またはさらにそれらすべてから成り、より好ましくは、低密度ポリエチレンを含むか、それから実質的に成るか、またはさらにそれすべてから成る。
【0030】
ポリマー担体成分(例えば、ポリマー担体成分の第1部分)、反応性パージ化合物、またはその両方は、約0.1g/10分より高い、好ましくは約0.5g/10分より高い、より好ましくは約1g/10分より高い、および最も好ましくは約3g/10分より高い、(190℃/2.16kgでASTM D1238-04によって測定された)メルトフローレイトを有し得る。より低いメルトフローレイトを有する物質は、ポリマー加工装置から取り除くのが難しくなり得、及び/又は加工するのが難しくなり得る。ポリマー担体成分(例えば、ポリマー担体成分の第1部分)、反応性パージ化合物またはその両方は、好ましくは約80g/10分未満、より好ましくは約60g/10分未満、および最も好ましくは約50g/10分未満の、(190℃/2.16kgでASTM D1238-04によって測定された)メルトフローレイトを有し得る。より高いメルトフローレイトを有する物質は、ポリマー加工装置から加工樹脂を取り除くことにおいて非効率的であり得る。
【0031】
ポリマー担体成分、反応性パージ化合物、またはその両方における、1つ以上の熱可塑性物質の総濃度(例えば、ポリオレフィン、ポリエチレン、または低密度ポリエチレンの総濃度)は、好ましくは約20重量%より高く、より好ましくは約40重量%より高く、および最も好ましくは約60重量%より高い(例えば、約90重量%、または約100重量%よりさえも高い)。
【0032】
反応性パージ化合物におけるポリマー担体成分の総濃度は、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、約20重量%より高く、好ましくは約40重量%より高く、より好ましくは約50重量%より高く、および最も好ましくは約60重量%より高く(例えば、約80重量%、または約90重量%よりさえも高く)なり得る。
【0033】
本発明の1つの態様において、ポリマー担体成分は、水を生成させる化合物の第1部分を保有するために使用されるポリマー成分の第1部分、および水を生成させる成分の第2部分を保有するのに使用されるポリマー成分の第2部分を含み得、その結果、水を生成させる成分の第1および第2部分は、反応性パージ化合物において接触していない。一旦、ポリマー加工装置へ導入されると(例えば、装置がパージされると)、装置の熱及び/又は剪断力によって、水を生成させる成分の2つの部分が互いに接触し、水を生成させ得る。本発明のこの態様において、ポリマー成分の第1および第2部分は、同じ最大融解温度を有し得るか、またはそれらは異なる最大融解温度を有し得る。
【0034】
好ましいパージ化合物は、EVOHを実質的含まない。より好ましいパージ化合物は、EVOHが完全にない。好ましいパージ化合物は、ポリアミド、コポリマーを含むポリアミド、またはその両方を実質的に含まない。より好ましいパージ化合物は、ポリアミド、コポリマーを含むポリアミド、またはその両方が完全にない。
【0035】
好都合なことに、本発明のパージ化合物は、極性ポリマーと反応しないポリマー担体成分を有し得る。パージ化合物は、極性ポリマーと反応することができる官能基を有するポリマーを実質的に含まないか、全く含まないことさえある。好ましくは、パージ化合物は、EVOH、ポリアミド、それらのコポリマー、またはそれらの任意の組み合わせと反応することができるポリマーを実質的に含まないか、全く含まないことさえある。一例として、パージ化合物は、無水マレイン酸修飾ポリマーなどの任意の酸修飾ポリマーを実質的に含まないか、全く含まないことさえある。好ましくは、パージ化合物は実質的に含まないか、あるいは無水マレイン酸修飾ポリオレフィンなどの任意の酸性の修飾ポリオレフィンを全く含まないことさえある。
【0036】
水を生成させる成分
本明細書に教示されるように、特定の分子鎖切断触媒は、水の存在下で、単に有効であり得るか、またはより有効であり得(すなわち、分子鎖切断の速度及び/又は範囲が増加される)、そのため、反応性パージ化合物は、水を放出する1つ以上の化合物を含む、水を生成させる成分を好都合に含み得る。水を生成させる成分は、特定の分子鎖切断触媒を使用するときには随意であり、他の分子鎖切断触媒を使用するときのみに必要とされる。反応性パージ化合物は、好ましくは、水を生成させる成分を含む。
【0037】
本明細書に使用されるように、水を生成させる成分は、単一の化合物であり得るか、または複数の化合物を含み得る。例えば、水を生成させる成分は、吸湿性である1つ以上の化合物;(例えば、高温で、及び/又は接触されて)反応し、水を形成する、1つ、2つ、またはそれ以上の化合物;(少なくとも部分的に水で満たされたミクロフィブリルなどの)非結合水をさもなければ保有する、1つ以上の化合物;またはそれらの組み合わせを含み得る。反応性パージ化合物において使用され得る吸湿性化合物は、結合水、および好ましくは少なくとも約5重量%の結合水を含む化合物を含む。典型的な吸湿性化合物は、分子の少なくともいくつかが2分の1、1、2、3、4、またはそれ以上の水和水を含む化合物を含む。
【0038】
制限なしに、使用され得る、水を生成させる化合物は、水酸化マグネシウム、三水和アルミナ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、金属塩化物水化物、金属硫酸塩水化物、金属硝酸塩水化物、金属ケイ酸塩水化物、金属炭酸塩水化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。使用され得る、好ましい水を生成させる化合物は、水酸化マグネシウム、三水和アルミナ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、塩化カルシウム水和物(CaCl2・nH2O、例えば、n=1、2、4、6)、塩化バリウム水化物(BaCl2・H2O)、硫酸ナトリウム十水化物(Na2SO4・nH2O)、硫酸マグネシウム水化物(MgSO4・nH2O、例えば、n=1、6、7、12)、硫酸マンガン水化物(MnSO4・nH2O、例えば、n=1、4、5、7)、硫酸カルシウム水化物(CaSO4・nH2O、例えば、n=0.5、2)、硫酸アルミニウム水化物(Al2(SO43・nH2O、例えば、n=6、10、16、18、27)、硫酸アンモニウムアルミニウム水化物((NH4)Al(SO42・H2O)、硫酸アルミニウムカリウム水化物(KAI(SO42・nH2O、例えば、n=6、8、12)、硝酸マグネシウム水化物(Mg(NO32・nH2O、例えば、n=2、6)、硝酸アルミニウム水化物(Al(NO33・nH2O、例えば、n=6、8、9)、硝酸カルシウム四水和物(Ca(NO32・H2O)、ケイ酸ナトリウム水化物(Na2SiO3・nH2O、例えば、n=5、6、8、9)、炭酸ナトリウム水化物(Na2CO3・nH2O、例えば、n=1、7、10)、炭酸マグネシウム水化物(MgCO3・nH2O、例えばn=1、3、5)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0039】
(例えば、水を生成させる化合物がその結合水を放出する温度まで)加熱された時、水を生成させる成分は、水を生成させる成分の全重量に基づいて、好ましくは少なくとも約5重量%の水、より好ましくは少なくとも約20重量%の水、および最も好ましくは少なくとも約40重量%の水を放出する。
【0040】
水を生成させる化合物は、もし使用されれば、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、約0.1重量%より高い濃度、好ましくは約0.2重量%より高い濃度、より好ましくは約0.4重量%より高い濃度、および最も好ましくは約1.0重量%より高い濃度で、反応性パージ化合物中に存在し得る。水を生成させる化合物は、もし使用されれば、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、約40重量%未満の濃度、好ましくは約20重量%未満の濃度、およびより好ましくは約15重量%未満の濃度、および最も好ましくは約10重量%未満の濃度で、反応性パージ化合物中に存在し得る。
【0041】
水を生成させる化合物は、もし使用されれば、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、少なくとも約0.005重量%の水、好ましくは少なくとも約0.010重量%の水、より好ましくは、少なくとも約0.02重量%の水、および最も好ましくは、少なくとも約0.1重量%の水を生成し得る。水を生成させる化合物は、もし使用されれば、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、典型的には約10重量%未満の水、より典型的には約5重量%未満の水、および最も典型的には約2重量%未満の水を生成させるであろう。
【0042】
水を生成させる成分は、ポリマー担体成分内に分散され得るか、水を生成させる成分は、ポリマー担体成分の第2部分において分散され得るか、または水を生成させる成分の別々の部分は、ポリマー担体成分の2、3またはそれ以上の異なる部分において提供され得る。
【0043】
1つ以上の分子鎖切断触媒、ポリマー担体成分の1つ以上のポリマー、および随意の1つ以上の水を生成させる化合物の総濃度は、反応性パージ化合物の全重量に基づいて、約40重量%、好ましくは約70重量%、より好ましくは約85重量%、さらに好ましくは約90重量%、および最も好ましくは95重量%より高い(例えば、約98重量%より高い)ことがある。
【0044】
随意の更なる含有物
本明細書の教示による反応性パージ化合物は、1つ以上の充填材及び/又は、熱安定剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、カップリング剤、酸化防止剤、滑沢剤、色素、発泡剤、界面活性剤、可塑剤などの、他の当該技術に既知の添加剤を、それぞれが本発明の効果に悪影響を与えない量において含み得る。
【0045】
例えば、本明細書の教示による反応性パージ化合物は、(限定されないが、研磨性無機粉体、またはシリカ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、およびそれらの混合物などの他の研磨性無機材料、発泡剤、界面活性剤、可塑剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む)、ポリマー加工装置のパージを促進すると当該技術分野で知られている、1つ以上の更なる添加剤をさらに含み得る。本発明の1つの態様において、反応性パージ化合物は、研磨性無機材料、発泡剤、界面活性剤、および可塑剤から成る群から選択される、1、2、3またはそれ以上の添加剤を好都合に含む。
【0046】
反応性パージ化合物は、好ましくは、反応性パージ化合物のポリマー担体成分が、典型的な加工条件中に、分子鎖切断触媒成分または反応性パージ化合物の他の成分と実質的に反応しないという点で、安定している。例えば、熱処理前のポリマーの重量平均分子量と比較して、反応性パージ化合物が、約30分間、ポリマー担体成分の最大融解温度を超える約25℃の温度まで加熱されるとき、ポリマー担体成分の(例えば、第1ポリマー担体成分の)ポリマーの重量平均分子量は、(例えば、ASTM D5296-05によって測定されると)、好ましくは約20%未満、より好ましくは約10重量%未満、および最も好ましくは約5重量%未満で変化する(すなわち、増加または減少する)。
【0047】
反応性パージ化合物を調製するためのプロセス
反応性パージ化合物は、ポリマー担体成分、分子鎖切断触媒成分および、もし使用されるのであれば、水を生成させる成分を混合することによって調製され得、混合物(例えば、一般に均質な混合物)を得る。そのため、成分は、ポリマー調剤の分野に公知の、密閉式混合機、一軸スクリュー押出機、一対スクリュー押出機、粉砕機などのように、熱、剪断力、またはその両方を提供するポリマー加工装置を使用して混合され得る。反応性パージ化合物は、均質化の後に、押し出され小球化され、またはさもなければ、粒子(例えば、ペレット、果粒、ロッド、粉末、または他の粒子)に分けられ得る。
【0048】
反応性パージ化合物を調製するためプロセスはまた、含有物の2つ以上を乾式混合する工程、1つの含有物に第2含有物を噴霧する工程、含有物の1つ以上を乾燥させる工程、あるいは分子鎖切断触媒成分および水を生成させる成分がない希釈性ポリマー材料を乾式混合する工程の1つまたは任意の組み合わせを含み得る。
【0049】
もし水を生成させる成分が使用されると、反応性パージ化合物は、好ましくは、所定の最大混合温度で(例えば、最大融解温度を超えて、好ましくはポリマー担体成分の最大融解温度を超える少なくとも20℃で)ポリマー担体成分、分子鎖切断触媒成分および水を生成させる成分を混合することによって調製され、ここで、水を生成させる化合物は、所定の最大混合温度で通常安定している(例えば、水を放出しない)。
【0050】
反応性パージ化合物はまた、結果的に、2つ以上のタイプの粒子の混合(例えば、乾式混合)につながるプロセスを使用して調製され得る。例えば、反応性パージ化合物を調製するためのプロセスは、ポリマー担体成分の開始融解温度より下の温度で、ポリマー担体成分および分子鎖切断触媒成分の第1部分を含む複数の第1粒子、およびポリマー担体成分の第2部分を含む複数の粒子を混合(例えば、乾式混合)する工程を含み得る。
【0051】
反応性パージ化合物の使用
本明細書の教示による反応性パージ化合物は、第1加工樹脂を溶融加工する工程、および反応性パージ化合物を溶融加工する工程、および随意に、第1加工樹脂と同じであり得るまたはそれとは異なり得る第2加工樹脂を溶融加工する工程を含む、パージプロセス(例えば、洗浄プロセス)において使用され得、ここで、ポリマー加工装置(例えば、ポリマー加工装置の少なくとも1つの同じ部分)が、少なくとも部分的に洗浄されるように、溶融加工の工程は、ポリマー加工装置の少なくとも1つの同じ部分を介しての加工を含む。
【0052】
パージプロセスまたは洗浄プロセスはまた、第1の遷移性ポリマー材料を溶融加工する、(例えば、反応性パージ化合物を溶融加工する工程前の)、随意の前洗浄(prepurge flushing)工程、第2の遷移性ポリマー材料を溶融加工する、(例えば、反応性パージ化合物を溶融加工するプロセスの後の)、随意の後洗浄(postpurge flushing)工程、またはその両方を含み得る。例えば、パージプロセスは、(ポリオレフィン、水を生成させる成分、またはその両方などの)パージ材料の成分の1つ以上を含むが、(分子鎖切断触媒成分などの)他の成分を含まないポリマー材料を導入する工程を含み得る。
【0053】
反応性パージ化合物は、ポリマー材料を調合する装置(例えば、ミキサー、一軸スクリュー押出機、一対スクリュー押出機、こねまぜ機、または粉砕機)、ポリマー材料を形作るか、さもなければ形成する装置(例えば、押出機、粉砕機、射出成形機、ブロー成形機、共射出成形機など)のポリマー加工装置をパージするパージプロセスにおいて使用され得る。制限なしで、パージプロセスは、プリフォームを形作る、完成部品を形作る、ペレットを形作る、パリソンを形作るか押し出す、中間体構造を形作る、特性を形作る、ファイバーを形作る、多重成分オブジェクト(multi-component object)へ少なくとも1つの供給流(feedstream)を提供する、またはそれらの任意の組み合わせを行うポリマー加工装置を洗浄するために使用され得る。例えば、パージプロセスは、多層フィルムなどの共押出または共射出成形の部分を形成するのに使用された押出機の1つ、2つまたはそれ以上(例えば、すべて)を洗浄するために使用され得る。反応性パージ化合物は、連続工程またはバッチ工程をパージするために、パージプロセスにおいて使用され得る。
【0054】
反応性パージ化合物は、異なる物質の間(例えば、異なる加工樹脂の間)で遷移するため、加工装置を洗浄するため、加工装置における物質の蓄積を防ぐため、またはそれらの任意の組み合わせのために使用され得る。例えば、反応性パージ化合物は、化学的に異なる2つの加工樹脂の間で、または化学的に同じである樹脂を加工する2つの異なるグレードの間で遷移するために使用され得る。パージプロセスは、汚染物質(contamination)を取り除くため、分解した物質を取り除くため、加工装置に接着された物質を取り除くため、ゲル化された物質を取り除くため、またはそれらの任意の組み合わせのために、加工装置(例えば、ダイス、ねじ、バレル、ノズル、ロール、混合羽根、アダプターまたは他の遷移管(transition tube)などの管、またはそれらの任意の組み合わせ)の少なくとも一部を洗浄するために使用され得る。パージプロセスは、加工装置中の物質の蓄積を防ぎ、それによって物質が分解するか、ゲル化するか、またはさもなければ混合物(contaminant)を形成するのを防ぐために使用され得る。(第1加工樹脂より低い粘度を有する第2加工樹脂が、例えば、より短い遷移時間で加工され得るために)反応性パージ化合物はまた、加工装置からより容易に取り除かれるように、加工されている加工樹脂の粘度を低減するために使用され得る。
【0055】
1つの特に魅力的な工程において、反応性パージ化合物は、第1加工樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12などの第1ポリアミド)を押し出した後に、および第2ポリマー(例えば、第1ポリマーと同じであり得るかまたは異なり得る、第2ポリアミド)を押し出す前に、ポリマー押出機に加えられる。
【0056】
反応性パージ化合物は、1つ以上のポリアミド、1つ以上のポリエステル、1つ以上のエチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、またはそれらの任意の組み合わせを含むか、それらから実質的に成るか、またはそれらすべてから成る、ポリマーを含む樹脂(例えば第1加工樹脂)をパージするために使用され得る。そのため、反応性パージ化合物は、第1加工樹脂がポリアミド、ポリエステル、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、またはそれらの任意の組み合わせを含むプロセスにおいて使用され得る。最も好ましくは、第1加工樹脂はポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、またはそれらの任意の組み合わせ)を含む。そのため、パージプロセスは、いかなる前述の樹脂剤(例えば、ポリアミド、ポリエステル、エチレンビニルアルコールコポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む樹脂)をパージするために、反応性パージ化合物を使用する工程を含み得る。
【0057】
反応性パージ化合物は、第1加工樹脂が取り除かれ得るように、粘度を低減する、重量平均分子量を低減する、及び/又は、ポリマー加工装置にある第1加工樹脂のメルトフローレイトを増加させるために使用され得る。
【0058】
第1加工樹脂(例えば、ポリアミド)の(例えば、本明細書に後に記載されるような、Brabender Plasticorderを使用して測定された)相対的な融解粘度変化は、少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約35%、および最も好ましくは少なくとも約50%であり得る。相対的な融解粘度変化は、好ましくは、約95%未満である。しかしながら、より高い値も予想される。
【0059】
本明細書の教示によるパージ工程は、1つ以上の追加のポリマー材料でポリマー加工装置をパージする工程を含み得る。そのため、その工程は、1つ以上の追加のポリマー材料で反応性パージ化合物を薄める工程を含み得る。
【0060】
反応性パージ化合物は、ねじおよびバレルの組み合わせを有するポリマー加工装置をパージするために使用され得る。このようなパージプロセスは、単一のパージ温度を含み得るか、または該プロセスは、パージ温度を変更する(例えば、押出機上の設定温度を変更する)1つ、2つまたはそれ以上の工程を含み得る。該プロセスは、一軸スクリュー速度を含み得るか、または該プロセスは、ねじを空回りさせるまたは止めるためにスクリュー速度を切り替える1つ以上の随意の工程を含む、スクリュー速度を変更する(増加させる、減少させる、またはその両方を行う)1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の工程を含み得る。例えば、パージプロセスは、(スクリュー速度を30秒から10分ごとに約1回変更する、3つ以上、5つ以上、またはさらに7つ以上の工程を使用し、その結果、スクリュー速度が、該プロセスの間に少なくとも約2の因数、好ましくは少なくとも約4の因数で変化するような工程などの)、2005年9月10日にアクセスされたような、www.dupont.com/packaging/products/nucrel/pdsprint/purge.htmlで、「The Disco Purging Procedure for Extrusion Coaters」, DuPont Chemical Companyに記載されるプロセスに類似するプロセスを含み得、それは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0061】
パージプロセスは、好ましくは、遷移性ポリマー材料を加工することによって第1加工樹脂の少なくともいくつかを取り除く工程、装置において遷移性ポリマー材料を加工することによって反応性パージ化合物の少なくともいくつかを取り除く工程、またはその両方を含む。適切な遷移性ポリマー材料は、好ましくは、反応性パージ化合物に反応的でない1つ以上のポリマーを含むか、それらから実質的に成る。遷移性ポリマー材料は、反応性パージ化合物と反応するポリマーが実質的に含まないこともある。上述されるように、制限なしで、遷移性ポリマー材料は、担体樹脂に適しているポリマーの1つまたは任意の組み合わせを含み得るか、それらから実質的に成り得る。最も好ましくは、遷移性ポリマー材料は、反応性パージ化合物を加工する工程および(例えば、約15分より長い時間、またはさらに約60分より長い時間またはそれ以上の時間の間)装置をシャットダウンする工程、第2加工樹脂を加工する工程、または第1加工樹脂を加工する第2工程の間で使用される。例えば、遷移性ポリマー材料が反応性パージ化合物のいくらか(例えば、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、および最も好ましくは少なくとも約99%)を取り除いた後、第2加工樹脂は最初に加工され得る。
【0062】
試験方法
別段の定めがない限り、最大融解温度、終了融解温度、開始融解温度、最大結晶化温度、開始結晶化温度、終了結晶化温度、ガラス遷移温度、ガラス遷移開始温度、およびガラス遷移終了温度は、ASTM D3418-97によって測定され、℃の単位で表現される。
【0063】
別段の定めがない限り、メルトフローレイトは、ASTM D1238-04によって測定される。別段の定めがない限り、以下の温度および負荷は、以下のポリマーのメルトフローレイトを測定するために使用される:
ポリマー 試験温度,℃ 負荷(kg)
ポリエチレン 190 2.16
ポリプロピレン 230 2.16
ポリアミド 66 275 0.325
ポリアミド 6 235 1.0
ポリマーの混合物を試験する際、または異なるポリマーを比較する際に、より高い試験温度が、(対応する負荷とともに)使用され、試験温度が同じであるとき、より高い負荷が使用される。
【0064】
添加剤または添加剤パッケージに対するポリマー材料(例えば、第1加工樹脂)の相対的な融解粘度変化は、30cm3の正味容量を備える二分の一縮尺の(half-size)ミキサーヘッドを有するBrabender Plasticorderを使用して測定される。Brabenderは240℃の温度まで加熱され、混合速度は40rpmまでに設定される。Brabenderは、ポリマー材料で約70%の充填率まで充填され、初期トルクが測定される。次に、添加剤パッケージ(例えば、分子鎖切断触媒)は、全重量に基づいて、1重量%の濃度で加えられ、その混合は30分間継続される。相対的な融解粘度変化は、
100% x [トルク(f)-トルク(i)]/トルク(i) (方程式1)
よって定義され、ここで、トルク(i)は、分子鎖切断触媒を加える前の第1加工樹脂の(Nmの単位における)初期のBrabenderトルクであり、トルク(f)は、分子鎖切断触媒の付加の30分後のBrabenderトルクである。その試験は、窒素パージを使用して行なわれる。
【0065】
反応性パージ化合物が、Brabender Plasticorderに加えられることだけを除いて、反応性パージ化合物の相対的安定性は、ポリマー材料の相対的な融解粘度変化を測定するために使用されるのと同じ方法を使用して測定され得る。
【0066】
実施例
【0067】
実施例1
被覆ペレットを乾燥させたときに、水酸化ナトリウムに対する低密度ポリエチレンの比率が約99:1となるように、低密度ポリエチレン(Equistar Chemicalsから市販されている、190℃/2.16kgでASTM D 1238-04によって測定されるように約0.8g/10分のメルトフローレイトを有するPetrothene(登録商標) NA960000)のペレット上に水における水酸化ナトリウムの溶液を最初に噴霧することによって、パージ化合物を調製する。低密度ポリエチレン(LDPE)を、押出加工の前に水を取り除くために約100℃で約16時間乾燥させる。LDPEおよび水酸化ナトリウムを含んでいる被覆ペレットを、約31.75mmのスクリュー直径を有し、長さ対直径(L/D)の率が約24:1であるKillionの一軸スクリュー押出機上で溶融混合する。押出機に、(米国特許第6,062,717号に開示され、参照によって本明細書に組み込まれたような)ねじのチョッパー部を収容し、混合および分散を強める、バレルエクステンション(304.8mmの長さ)を取り付ける。バレルエクステンションを含めて、L/D比率は約33.5:1である。押出機のための加工条件は、約193℃の供給部温度、約204℃の圧縮部温度、約213℃の計量部温度、約221℃のチョッパー部温度、および約221℃のダイス温度を含む。パージ化合物を、ストランド(strand)として押し出し、ペレット化し、乾燥させる。
【0068】
パージ化合物の性能を、約24:1のL/Dを有し、手で分解され物理的に洗浄されるアダプターおよびフラットフィルムダイス(ダイス幅=75mm)を有する、Killionの一軸スクリュー押出機上で評価する。洗浄後、押出機およびダイスを、再組立てし、以下の温度設定まで加熱する:供給部=210℃、圧縮部=249℃、計量部=249℃、ダイス=249℃。黒色マスターバッチ(RTP CompanyからのS-801538)の5%を含む、ナイロン6, HoneywellからのH135QPを、約100rpmのスクリュー速度を約10分間使用して、約25〜28mmの幅を有する、単分子層フィルムへ押し出す。その後、パージ化合物の固定量(約2.0kg)を、押出機を介して溶解加工する。パージ時間は、約30分であるが、変わり得る。押出機からパージ材料を取り除くために、次の約200グラムのニートLDPEポリマーを、同じ条件を使用して、押出機を介して溶解加工する。ナイロンおよびパージ化合物を押し出すプロセスの全体にわたって、フィルムから黒色を取り除く時間を評価し、パージ効率を比較するために、フィルムのサンプルを集める。ニートLDPEを押し出した後に、ダイスとアダプターを分解し、ねじに残された黒い残留物を調べるためのバレルからねじを取り除く。
【0069】
パージ評価
以下の基準を、パージ化合物のパージ有効性を評価するために使用する:
5 - 目に見える黒い残留物がねじに残されておらず、目に見えるフィルムにおける黒色を取り除く時間が20分未満である。パージ化合物は許容可能であると考えられる。
4 - ねじに残された目に見える黒い残留物が非常に少量であり、目に見えるフィルムにおける黒色を取り除く時間が20分未満である。パージ化合物は、一般に許容可能であるとまだ考えられる。
3 - ねじに残された目に見える黒い残留物の量がかなりあり、目に見えるフィルムにおける黒色を取り除く時間が20分未満である。
2 - ねじに残された目に見える黒い残留物の量がかなりあり、目に見えるフィルムにおける黒色を取り除く時間が20分以上である。
1 - ねじに残された目に見える黒い残留物が相当量あり、30分間のパージ後に、目に見える黒色がフィルムから取り除かれていない。
【0070】
実施例2
実施例2は、約1重量% KOHが、分子鎖切断触媒として、1重量% NaOHの代わりに使用されることを除いて、実施例1のために記載されるような同じ物質およびプロセスを使用して調製され、評価される。
【0071】
実施例3
実施例3は、Fisher Scientificからの1重量%の無水炭酸カリウム(K2CO3)を除いて、実施例1のために記載されるような同じ物質およびプロセスを使用して調製され、評価されたパージ化合物の第1部分を含む。実施例3は、約97重量%から約3重量%の比率で、パージ化合物の第1部分を、Polyfil SBC-4000(熱可塑性物質を含む、ポリオレフィン担体樹脂中の炭酸水素ナトリウムの濃縮物)とその後乾式混合することによって調製される。実施例3における炭酸水素ナトリウムの濃度は、パージ化合物の全重量に基づいて、約1.2重量%である。
【0072】
実施例4
実施例4は、炭酸水素ナトリウムの濃度が、パージ化合物の全重量に基づいて、約0.6重量%に減らされることを除いて、実施例3のために記載されるような同じ物質およびプロセスを使用して調製される。
【0073】
実施例5
実施例5は、パージ化合物が約96重量%のLDPE、約3重量%のAl(OH)3、および約1重量%のK2CO3を含むことを除いて、実施例1に記載されるような同じ物質およびプロセスを使用して調製される。実施例5において使用される三水和アルミナは、Akrochem Corporationから市販で入手可能な、SB-432である。SB-432は、約9μmの中間の粒径、約2.0m2/gの表面積、および約98%より高い純度を有する。
【0074】
比較例1
比較例1は、1重量%のCaCO3(炭酸カルシウム)のみが、KOHなしで使用されることを除いて、実施例2に記載されるような同じ物質およびプロセスを使用して調製される。比較例1において使用される炭酸カルシウムは、Specialty Minerals Incから市販で入手可能な、Vicron(登録商標)15-15 重質炭酸カルシウムである。VICRONO(登録商標) 15-15は、約3.5ミクロンの平均粒径を有し、325メッシュより大きい粒子の0.1重量%未満(例えば、約0.004重量%)を含む。Vicron(登録商標)15-15の純度は、約97重量%である。
【0075】
比較例2
比較例2は、実施例2のパージ化合物において使用される、ニートLDPE樹脂のみを含む(すなわち、比較例2は、KOHまたは他の分子鎖切断触媒を含まない)。
【0076】
比較例3
比較例3は、ニートポリプロピレン(PP)樹脂が使用されることを除いて(すなわち、分子鎖切断触媒なしで)、比較例2と同様である。比較例3において使用されるPPは、(230℃/2.16kgでASTM D1238によって測定されると)約2.0g/10分のメルトフローレイト、(ASTM D-1505によって測定されると)約0.905の密度、および(示差走査熱量測定を使用して測定されると)約163℃の最大融解温度を有する、ホモポリマーポリプロピレンであり、ポリプロピレン3276というグレード名で、Total Petrochemicals USA, Inc.から市販で入手可能である。
【0077】
実施例1〜5および比較例1〜3は、パージ効率を測定するために、実施例1に記載されるプロトコルを使用して、すべて試験される。これらの実施例のための組成物およびパージ評価は、表1に与えられ、比較例の組成物およびパージ評価は、表2に与えられる。
【0078】
これらの実施例および比較例からのパージ評価は、(例えば、低密度ポリエチレンなどの少なくとも80重量%のポリエチレンを含む)ポリオレフィン担体における、(水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの)分子鎖切断触媒、または(例えば、約1重量%の炭酸カリウムより高い濃度での炭酸カリウムなどの)分子鎖切断触媒の混合物、および(炭酸水素ナトリウムまたは三水和アルミナなどの)水を生成させる化合物を含む反応性パージ化合物が、(ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、またはそれらの任意の組み合わせなどの)ポリアミドをパージするために使用され得ることを示す。
【0079】
パージ化合物において使用される他のポリオレフィンおよび加工樹脂において使用される他のポリアミドに対して、同様の結果が期待される。ポリマーが他の含有物を含んでいる状況においても、同様の結果が期待される。分子鎖切断触媒、(もし使用されれば)水を生成させる化合物、またはその両方の濃度を変える(例えば、規定値の約0.1から約20倍)ときも、同様の結果が期待される。
【0080】
比較例4
ナイロン6のサンプルを、Brabender Plasticorderに置く。ミキサーの温度は240℃であり、混合速度は40rpmである。ミキサーローターの初期トルクは、約4.45Nmである。約15分後、トルクは、約4.55Nmまでわずかにだけ増加する。約30分後、トルクは、4.35Nmまでわずかにだけ減少する。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
実施例6
実施例6は、1重量%のK2CO3がナイロン6に加えられることを除いて、比較例4と同じ手順を使用して実行される。ミキサーローターの初期トルクは、約4.2Nmである。約15分後、トルクは、約2.35Nmまで減少する(約44%の減少)。約30分後、トルクは、約1.7Nmまでさらに減少する(合計約60%の減少)。
【0084】
本明細書に使用されるように、別段の定めがない限り、本教示は、属(リスト)のあらゆるメンバーが属から除外され得ること;及び/又はMarkush分類のあらゆるメンバーが分類から除外され得ることを考慮する。
【0085】
別段の定めがない限り、本明細書に列挙される任意の数値は、任意のより低い値から任意のより高い値の間に少なくとも2つの単位の分離があれば、1単位を単位として(in increments of one unit)、より低い値から任意のより高い値までのすべてを含む。例として、もし、例えば、温度、圧力、時間などのプロセス変量の成分の量、特性、または値が、例えば、1〜90、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜70であると明記されたとき、(例えば、15〜85、22〜68、43〜51、30〜32などの)中間領域の値は、本教示内にあることが意図される。同様に、個々の中間値もまた、本明細書の教示内にある。1未満である値について、1つの単位は、必要に応じて、0.0001、0.001、0.01または0.1であると考えられる。これらは、明確に意図されるものの例にすぎず、列挙される、最低値と最高値の間の数値のすべての可能な組み合わせが、同様の方法で、本出願に明白に明記されると考えられるであろう。参照されるように、本明細書に「重量部(parts by weight)」として表現された量の教示もまた、重量パーセントの用語で表現された同じ範囲を熟考する。したがって、「結果として生じるポリマーの混合組成の'x'重量部」での用語における範囲の、発明を実施するための形態における表現もまた、結果として生じるポリマーの混合組成の重量パーセントにおいて同様に列挙された「x」の量の範囲の教示を熟慮する。
【0086】
別段の定めがない限り、全ての範囲は、終点および終点の間のすべての数の両方を含む。範囲に関係する「約(about)」または「およそ(approximately)」の使用は、その範囲の終点に当てはまる。したがって、「約20〜30」は、「約20〜約30」を対象とするように意図され、少なくとも特定された終了点を含む。
【0087】
特許出願および公報を含む、すべての論説と引用の開示は、すべての目的のための参照によって組み込まれる。組み合わせを記載する用語「〜から実質的に成る(consisting essentially of)」は、確認される要素、含有物、成分または工程、および組み合わせの基本的および新しい特性に実質的に影響を与えないような他の要素、含有物、成分または工程、を含むものとする。本明細書に、要素、含有物、成分または工程の組み合わせを記載するための用語「含む(comprising)」または「含む(including)」の使用もまた、要素、含有物、成分または工程から実質的に成る実施形態を熟慮する。
【0088】
複数の要素、含有物、成分または工程は、単一の総合的な要素、含有物、成分または工程によって提供され得る。代わりに、単一の総合的な要素、含有物、成分または工程は、別々の複数の要素、含有物、成分または工程に分けられ得る。要素、含有物、成分または工程を記載する「a」又は「one」の開示は、更なる要素、含有物、成分または工程を排除するようには意図されない。特定の群(Group)に属する要素又は金属に対する、本明細書のすべての参照は、CRC Press, 1989によって出版され、版権を得たPeriodic Table of the Elementsを参照する。群(Group)または複数の群(Groups)への任意の引用は、群に番号を付けるためのIUPACシステムを使用して、このPeriodic Table of the Elementsにおいて反映されるように、群または複数の群に対するものとする。
【0089】
本明細書に使用されるように、用語「ポリマー(polymer)」および「重合(polymerization)」は、総称であり、それぞれ、「ホモ-」と「コポリマー」、および「ホモ-」と「共重合」のより具体的な場合のどちらかまたは両方を含み得る。
【0090】
上記の記載が、例示的であって、限定的でないように意図されることが理解される。提供される実施例に加えて、多くの適用と同様に多くの実施形態も、上記の記載を読むと、当業者に明らかとなるであろう。それ故、本発明の範囲は、上記の記載に関連して決定されるべきでないが、その代わり、添付された請求項に関連して決定されるべきであり、それは、そのような請求項が与えられる同等の発明の全範囲とともに決定されるべきである。特許出願と公報を含む、すべての論説と引用の開示は、すべての目的のための参照によって組み込まれる。本明細書に開示される主題の任意の態様の以下の請求項における省略は、そのような主題を放棄するものではなく、発明者がそのような主題を開示された発明にかかる主題の一部であると考えないと見なされるべきでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー加工装置を洗浄するための反応性パージ化合物であって、該反応性パージ化合物は、
i)前記反応性パージ化合物の全重量に基づいて、少なくとも約50重量%のポリマー担体成分、
ii)前記ポリマー担体成分中に分散した分子鎖切断触媒成分、および、
iii)水を生成させる成分を含み、
前記ポリマー担体成分は、1つ以上のポリマーを含み、
前記反応性パージ化合物は、複数のペレット、果粒、ロッド、粉末または他の粒子の形をしているフィードストック材料であることを特徴とする、反応性パージ化合物。
【請求項2】
前記反応性パージ化合物が、約30分間、第1ポリマー成分の最大融解温度以上の約25℃の温度まで加熱されるとき、(ASTM D5296-05によって測定されると)前記ポリマー担体成分の重量平均分子量が約20%未満で変化するように、前記ポリマー担体成分は、前記分子鎖切断触媒に実質的に不活性であることを特徴とする、請求項1に記載の反応性パージ化合物。
【請求項3】
前記分子鎖切断触媒成分は、少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物、少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物、およびそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される分子鎖切断触媒を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の反応性パージ化合物。
【請求項4】
前記ポリマー担体成分は、ポリオレフィンポリマーの全重量に基づいて、少なくとも約50重量%の第1α-オレフィンを含む、ポリオレフィンポリマーを含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の反応性パージ化合物。
【請求項5】
前記ポリマー担体成分は、ASTM D1238-04によって測定されると、約0.1から約80g/10分までのメルトフローレイトを有するポリマーを含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の反応性パージ化合物。
【請求項6】
前記水を生成させる成分は、1、2、3、4、またはそれ以上の水和水を含む、水を生成させる化合物を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の反応性パージ化合物。
【請求項7】
前記水を生成させる成分は、水酸化マグネシウム、三水和アルミナ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、金属塩化物水化物、金属硫酸塩水化物、金属硝酸塩水化物、金属ケイ酸塩水化物、金属炭酸塩水化物、またはそれらの任意の組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の反応性パージ化合物。
【請求項8】
分子鎖切断触媒成分は、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ土類金属酢酸塩、アミノカプロン酸のアルカリ土類金属塩、アミノカプロン酸のアルカリ金属塩、線形二量体アミノカプロン酸の金属塩、線形三量体カプロン酸の金属塩、およびそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、分子鎖切断触媒を含むことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の反応性パージ化合物。
【請求項9】
前記分子鎖切断触媒成分は、一酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、ナトリウムアミノカプロン酸塩、カリウムアミノカプロン酸塩、アミノカプロン酸塩二量体のナトリウム塩、アミノカプロン酸塩三量体のナトリウム塩、アミノカプロン酸塩二量体のカリウム塩、アミノカプロン酸塩三量体のカリウム塩、およびそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、分子鎖切断触媒を含むことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の反応性パージ化合物。
【請求項10】
前記分子鎖切断触媒成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、またはそれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の反応性パージ化合物。
【請求項11】
前記分子鎖切断触媒成分は、前記パージ化合物の全重量に基づいて、約0.1重量%から約20重量%までの濃度で存在することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の反応性パージ化合物。
【請求項12】
前記水を生成させる成分は、前記反応性パージ化合物の全重量に基づいて、約0.1から約40重量%で存在することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の反応性パージ化合物。
【請求項13】
前記水を生成させる化合物は、前記ポリマー担体成分の全体にわたって分散されることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれかに記載の反応性パージ化合物。
【請求項14】
前記反応性パージ化合物は、前記ポリマー担体成分の第1部分を含む複数の第1粒子、および前記ポリマー担体成分の第2部分および水を生成させる成分の少なくとも一部分を含む複数の第2粒子を含み、ここで、前記第1粒子および前記第2粒子は異なることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれかに記載の反応性パージ化合物。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の反応性パージ化合物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、所定の最大混合温度以下の混合温度で、水を生成させる成分をポリマー担体成分と混合する工程を含み、ここで、前記水を生成させる化合物は、最大混合温度で通常安定であることを特徴とするプロセス。
【請求項16】
前記プロセスは、前記ポリマー担体成分の開始融解温度より下の温度で、前記ポリマー担体成分および前記分子鎖切断触媒成分の第1部分を含む複数の第1粒子、および前記ポリマー担体成分の第2部分を含む複数の粒子を乾式混合する工程を含むことを特徴とする、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
ポリマー押出機をパージするためのプロセスであって、該プロセスは、
i) 第1の所定の加工温度で第1加工樹脂を押し出す工程、および、
ii) 第2の所定の加工温度で請求項1乃至16のいずれかに記載の前記反応性パージ化合物を押し出す工程を含み、
前記第1の所定の加工温度は、約200℃より高く、前記第2の所定の加工温度は、約200℃より高く、
ここで、前記第2の所定の加工温度は、前記第1の所定の加工温度と同じであるか、または異なることを特徴とするプロセス。
【請求項18】
前記第1加工樹脂は、ポリアミド、ポリエステル、EVOH、またはそれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記第1加工樹脂は、ポリアミドを含むことを特徴とする、請求項17または18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記第1加工樹脂の重量平均分子量は、20〜95%低減されることを特徴とする、請求項17乃至19のいずれかに記載のプロセス。
【請求項21】
前記第2の所定の加工温度は、約290℃未満であることを特徴とする、請求項17乃至20のいずれかに記載のプロセス。
【請求項22】
前記反応性パージ化合物の少なくともいくつかが、前記ポリマー加工装置から取り除かれるように、ポリオレフィンホモポリマーまたはポリオレフィンコポリマーを押し出す工程を更に含むことを特徴とする、請求項17乃至21のいずれかに記載のプロセス。
【請求項23】
前記反応性パージ化合物のメルトフローレイトに対する前記第1加工樹脂のメルトフローレイトの比率は、235℃/1.00kgでASTM D1239-04によって測定されると、約20:1から約1:20であることを特徴とする、請求項17乃至22のいずれかに記載のプロセス。
【請求項24】
前記水を生成させる成分は、前記反応性パージ化合物の全重量に基づいて、少なくとも約0.1重量%の水を生成させることを特徴とする、請求項17乃至23のいずれかに記載のプロセス。

【公表番号】特表2012−533647(P2012−533647A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520661(P2012−520661)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/040646
【国際公開番号】WO2011/008575
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512000846)エムエスアイ テクノロジー エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】