説明

ポリ乳酸樹脂組成物およびそれからなる押出成形品

【課題】
本発明は、成形性に優れ、成形品とした時の製品外観に優れるポリ乳酸樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
【解決手段】
(A)ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、(B)重量平均分子量が4000〜20,000であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種0.01〜5重量部、および(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体0.1〜3重量部を配合してなり、そのポリ乳酸樹脂組成物のメルトフローレートが温度190℃、荷重2160gで0.1〜4(g/10分)であるポリ乳酸樹脂組成物とそのポリ乳酸樹脂組成物からなる押出成形品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものであり、詳しくは成形性に優れ、製品外観に優れるポリ乳酸樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、地球環境保全の見地から、土中、水中に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、様々な生分解性ポリマーが開発されている。これらのうち溶融成形が可能な生分解性ポリマーとして、例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、コハク酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分とエチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなるポリエチレンサクシネートやポリブチレンアジペート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルが知られている。
【0003】
これら脂肪族ポリエステルの中でも、ポリ乳酸は、モノマーである乳酸を、とうもろこしなどのバイオマスを原料として、微生物を利用した発酵法により安価に製造できるようになり、融点もおよそ170℃と高く、溶融成形可能な汎用的なバイオポリマーとして期待されている。
【0004】
しかし、その一方で、広く市場に展開されるには、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、発泡成形、積層成形などに代表される加工法の他に、押出成形加工において安定した加工性が必要である。
【0005】
しかし、重合で得られたポリ乳酸樹脂をそのまま使用しただけでは、溶融時の粘度が低く、押出成形時にドローダウンし、安定した加工性が得られず、広く市場に展開するためには大きな問題であり、押出成形性に優れたポリ乳酸樹脂組成物が望まれていた。
【0006】
これに対し、特許文献1、特許文献2ではポリ乳酸樹脂に反応性を有するポリ乳酸用増粘剤、アクリル系高分子重合体を配合することにより、安定した加工性を発現可能であることが記載されているが、加工法によっては、成形品の表面がひび割れた状態となり、製品としての完成度はまだ不十分であるという課題があった。
【0007】
特許文献3ではポリ乳酸樹脂とポリメチルメタクリレートを配合することにより、優れた外観性、加工性を併せ持つポリ乳酸樹脂組成物を得ることが出来ると記載があるが、異型押出加工においては溶融時の粘度が低くドローダウンしてしまい、安定した加工性が得られないという課題があり、優れた押出成形性と外観性を併せ持つ完成度の高いポリ乳酸樹脂組成物が求められていた。
【特許文献1】特開2006−193541号公報
【特許文献2】特開2006−45487号公報
【特許文献3】特開2006−328368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の課題解決を目的として、鋭意検討をした結果、達成されたものであり、優れた成形性と優れた製品外観を併せ持つ、優れたポリ乳酸樹脂組成物及びそれからなる成形品を提供することを課題する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
すなわち、
(1)(A)ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、(B)重量平均分子量が4000〜20,000であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種0.01〜5重量部、および(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体0.1〜3重量部を配合してなるポリ乳酸樹脂組成物。
(2)ポリ乳酸樹脂組成物のメルトフローレートが温度190℃、荷重2160gで0.1〜4(g/10分)である(1)記載のポリ乳酸樹脂組成物。
(3)(1)〜(2)のいずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物からなる押出成形品。
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は優れた成形性と優れた製品外観を併せ持つポリ乳酸樹脂組成物及びそれからなる成形品を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に使用する(A)ポリ乳酸樹脂としては、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする重合体であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。
【0012】
かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。これらの共重合成分は、単独ないし2種以上を用いることができる。
【0013】
(A)ポリ乳酸樹脂の分子量や分子量分布は、特に限定されるものではないが、重量平均分子量として80000から300000であるのがよい。
【0014】
分子量が80000以下であれば、押出成形加工としての溶融粘度が低すぎて加工に適さず、逆に300000以上であると重合時の効率が低下し、コスト高くなり汎用的でない。
【0015】
ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量である。
【0016】
(A)ポリ乳酸樹脂の融点は、特に限定されるものではなく、90℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。
【0017】
本発明において、(A)ポリ乳酸樹脂は、高い耐熱性を得るために、乳酸成分の光学純度が高い方が好ましく、総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかまたはD体が80%以上含まれることが好ましく、L体が90%以上含まれるかまたはD体が90%以上含まれることがさらに好ましく、L体が95%以上含まれるかまたはD体が95%以上含まれることが特に好ましく、L体が98%以上含まれるかまたはD体が98%以上含まれることが最も好ましい。また、L体またはD体の含有量の上限は通常100%以下である。さらに融点が向上するという点から、L体が80%以上含まれるポリ乳酸およびD体が80%以上含まれるポリ乳酸を併用することが好ましい。
【0018】
(A)ポリ乳酸樹脂の製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。
【0019】
本発明において、(B)重量平均分子量が4000〜20000であるポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールを使用する。
【0020】
重量平均分子量が4000以上のポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールを配合することで、押出加工時に溶融時の粘度を、ドローダウンしない程度に制御することができ、ポリ乳酸樹脂組成物を成形するときに安定した引取りをすることができる。また異型押出を行う場合は、金型を通した後に、安定した製品形状のものを得ることができ、寸法安定性にすぐれた成形品を得ることができる。
【0021】
また、ポリ乳酸樹脂の相溶性の点で、重量分子量が20000以下のポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールを配合することが好ましく、成形品とした時に表面が平滑で優れた製品外観を得ることができる。
【0022】
使用する代表的な市販品としては、プルロニックF68(株式会社ADEKA製)、PEG−6000(LION株式会社製)などがあげられる。
【0023】
(B)重量平均分子量が4000〜20000であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの配合量は(A)ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、0.01重量部〜5重量部である。0.01重量部未満では成形品とした時の製品外観の改良効果が不十分であり、5重量部を超えると安定した加工性を得ることが出来ない。
【0024】
ここでいうポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの重量平均分子量とは、溶媒としてジメチルフォルムアシドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した標準ポリエチレングリコール換算の重量平均分子量である。
【0025】
本発明ではさらに(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体を配合することが重要である。
【0026】
(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体とはスチレン及びアクリル分子内の主鎖または、側鎖にエポキシ基を導入した重合体である。
【0027】
ブリードアウトを抑制出来るという点から、(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体の重量平均分子量は1000〜300000が好ましいく、5000〜250000がより好ましい。
【0028】
本発明において(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体のガラス転位温度は特に限定されるものではないが、30〜70℃であることが好ましく、40〜70℃であることがより好ましい。
【0029】
本発明で使用する、(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体は、未反応の原料モノマーや溶媒などが残存するために通常、揮発成分を含む。その残部となる不揮発成分量は、特に限定されるものではないが、ガスの発生を抑制するという観点から、不揮発成分量が多い方が好ましい。具体的には、95重量%以上であることが好ましく、中でも97重量%以上であることが好ましく、さらに98重量%以上であることがより好ましく、特に98.5重量%以上であることが最も好ましい。なお、ここでいう不揮発成分とは、試料10gを窒素雰囲気下、110℃で1時間加熱した場合の残量割合を表す。
【0030】
本発明において、(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体は、低分子量体を得るために連鎖移動剤(分子量調整剤)として製造時に硫黄化合物を使用することがあるが、その場合には得られた共重合体は通常硫黄を含む。ここで、硫黄含有量は、特に限定されるものではないが、不快な臭いを抑制するという観点から、硫黄含有量が少ない方が好ましい。具体的には、硫黄原子として1000ppm以下が好ましく、中でも100ppm以下が好ましく、さらに10ppm以下が好ましく、特に1ppm以下であることが最も好ましい。
【0031】
本発明において、(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体のグリシジル基含有量は、特に限定されないが、耐衝撃性、耐加水分解性、外観性の点で、エポキシ価として、1〜10meq/gが好ましく、1〜7meq/gであることがより好ましく、3〜5meq/gであることがさらに好ましい。ここでいうエポキシ価は、塩酸−ジオキサン法で測定した値である。
【0032】
(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体の配合量は(A)ポリ乳酸100重量部に対し、0.1重量部〜3重量部である。0.1重量部未満ではポリ乳酸樹脂組成物の溶融粘度が低く、安定した加工が不可能であり、3重量部を超えると溶融混練時に生産効率が低下する、成形品とした時の製品外観がひび割れてしまう。
【0033】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、上記(A)ポリ乳酸樹脂、(B)重量平均分子量が4000〜20000であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体を配合したものであり、ポリ乳酸樹脂組成物のメルトフローレートは温度190℃、荷重2160gで0.1〜4(g/10分)であることが好ましい。
【0034】
ここでいうメルトフローレートはポリ乳酸樹脂組成物を80℃、5時間熱風循環式乾燥機で乾燥させた後に、ASTM D1238に従ってメルトインデクサーを用い、温度190℃、荷重2160gにて測定した値である。
【0035】
メルトフローレートを0.1(g/10分)以上にすることで、溶融時の粘度を押出成形加工時に安定した加工が出来る範囲にすることが可能であるため好ましい。
【0036】
メルトフローレートを4(g/10分)以下にすることで、ドローダウンすることなく安定した製品形状を得られ、安定した引き取りをすることが出来るので好ましい。
【0037】
本発明において、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、環状オレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、アクリロニトリル・ブタンジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂などの芳香族ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂など)および熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)および軟質熱可塑性樹脂(例えばエチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体など)などの少なくとも1種以上をさらに含有することができる。
【0038】
また、本発明の樹脂組成物においては、本発明の目的を損なわない範囲で、安定剤、滑剤、離型剤、難燃剤、染料および顔料を含む着色剤、帯電防止剤などを添加することができる。中でも、機械特性、成形性および耐熱性などに優れた樹脂組成物が得られるという点から、安定剤、離型剤を配合することが好ましい。
【0039】
安定剤としては、通常熱可塑性樹脂の安定剤に用いられるものを用いることができる。具体的には、酸化防止剤、光安定剤などを挙げることができる。これらを配合することで、機械特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0040】
本発明で使用する酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物などを挙げることができる。
【0041】
本発明で使用する光安定剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、蓚酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物及びヒンダードアミン系化合物などを挙げることができる。
【0042】
本発明において上記安定剤は、1種類で用いてもよく、2種類以上を組み合せて用いてもよい。また、安定剤としてはヒンダードフェノール系化合物および/またはベンゾトリアゾール系化合物を用いることが好ましい。
【0043】
安定剤の配合量は、(A)ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.03〜2重量部がさらに好ましい。
【0044】
離型剤としては、通常熱可塑性樹脂の離型剤に用いられるものを用いることができる。具体的には、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーンなどを挙げることができる。離型剤の配合量は、(A)ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.03〜2重量部がさらに好ましい。
【0045】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、(A)ポリ乳酸樹脂、(B)重量平均分子量が4000〜20000であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび(C)エポキシ基含有アクリル/スチレン共重合体に加え、必要に応じて、結晶核剤、可塑剤、充填剤などのその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、一軸または二軸押出機で、均一に溶融混練する方法や溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが好ましく用いられるが、生産性の点で、一軸または二軸押出機で均一に溶融混練する方法が好ましく、均一に溶融混練する観点から二軸押出機がより好ましい。
【0046】
本発明において、得られたポリ乳酸樹脂組成物は、通常公知の押出成形、異型押出成形、ブロー成形、圧縮成形、カレンダー成形などの任意の方法で成形することができ、あらゆる形状の成形品として広く用いることができる。
【0047】
成形品とは、フィルム、シート、繊維・布、不織布、射出成形品、押出成形品、真空圧空成形品、ブロー成形品、または他の材料との複合体などであり、自動車用資材、電気・電子機器用資材、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、日用品、生活雑貨、医療・衛生用品またはその他の各種用途に利用することができる。
【0048】
自動車部品(内装・外装部品など)、電気・電子部品(各種ハウジング、歯車、ギアなど)、建材、土木資材、家具部材、農業資材、遊技機用資材、食器、スポーツ資材、楽器および日用品など各種用途に利用することができる。
【0049】
具体的には、自動車部品としては、エアフローメーター、エアポンプ、サーモスタットハウジング、エンジンマウント、イグニッションホビン、イグニッションケース、クラッチボビン、センサーハウジング、アイドルスピードコントロールバルブ、バキュームスイッチングバルブ、ECUハウジング、バキュームポンプケース、インヒビタースイッチ、回転センサー、加速度センサー、ディストリビューターキャップ、コイルベース、ABS用アクチュエーターケース、ラジエータタンクのトップ及びボトム、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、オイルキャップ、オイルパン、オイルフィルター、フューエルキャップ、フューエルストレーナー、ディストリビューターキャップ、ベーパーキャニスターハウジング、エアクリーナーハウジング、タイミングベルトカバー、ブレーキブースター部品、各種ケース、各種チューブ、各種タンク、各種ホース、各種クリップ、各種バルブ、各種パイプなどの自動車用アンダーフード部品、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、ドアトリム、ドアーポケット、コラムカバー、カウルサイド、フットレストデッキトリム、フロントピラー、センターピラー、フロントスカッフ、リヤースカッフ、ドアースカッフ、フロントアウトサイド、リヤーアウトサイド、シートサイド、ルーフサイド、ストライカー、エアコンケース、カセットデッキケース、各種モーターハウジングなどの自動車用内装部品、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアミラーステー、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ランプリフレクター、ランプベゼル、ドアハンドルなどの自動車用外装部品、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクターなど各種自動車用コネクターが挙げられる。電気・電子部品としては、ノートパソコンハウジングおよび内部部品、CRTディスプレーハウジングおよび内部部品、プリンターハウジングおよび内部部品、携帯電話、モバイルパソコン、ハンドヘルド型モバイルなどの携帯端末ハウジングおよび内部部品、記録媒体(CD、DVD、PD、FDDなど)ドライブのハウジングおよび内部部品、コピー機のハウジングおよび内部部品、ファクシミリのハウジングおよび内部部品、パラボラアンテナなどに代表される電気・電子部品を挙げることができる。更に、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、ビデオカメラ、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品、などに代表される家庭・事務電気製品部品、電子楽器、家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機などのハウジングや内部部品、各種ギヤー、各種ケース、センサー、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、モーターケース、スイッチ、コンデンサー、バリコンケース、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドホン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、トランス部材、コイルボビンなどが挙げられる。建材としては、サッシ戸車、ブラインドカーテンパーツ、配管ジョイント、カーテンライナー、ブラインド部品、ガスメーター部品、水道メーター部品、湯沸かし器部品、ルーフパネル、断熱壁、アジャスター、プラ束、天井吊り具、階段、ドアー、床材、天井材、柱、土台、梁、巾木、窓枠、戸、デッキ材などが挙げられる。土木資材としては、植生ネット、植生マット、防草袋、防草ネット、養生シート、法面保護シート、飛灰押さえシート、ドレーンシート、保水シート、汚泥・ヘドロ脱水袋、コンクリート型枠、足場板、矢板、杭などが挙げられる。家具部材としては、たんす、机、いす、各種棚などが挙げられる。遊技機用資材としては、パチンコ台ゲージ盤および枠材などのパチンコ部品、麻雀台およびビリヤード台などの部品などが挙げられる。その他には、釣り糸、漁網、海藻養殖網、釣り餌袋、疑似餌、うきなどの水産関連資材、歯車、ねじ、バネ、軸受、レバー、キーステム、カム、ラチェット、ローラー、給水部品、玩具部品、ファン、パイプ、洗浄用治具、モーター部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などの機械部品、マルチフィルム、トンネル用フィルム、防鳥シート、植生保護用不織布、育苗用ポット、植生杭、種紐テープ、発芽シート、ハウス内張シート、農業用塩ビフィルムの止め具、緩効性肥料、防根シート、園芸ネット、防虫ネット、幼齢木ネット、プリントラミネート、肥料袋、試料袋、土嚢、獣害防止ネット、誘因紐、防風網などの農業資材、紙おむつ、生理用品包材、綿棒、おしぼり、便座ふきなどの衛生用品、医療用不織布(縫合部補強材、癒着防止膜、人工器官補修材)、創傷被服材、キズテープ包帯、貼符材基布、手術用縫合糸、骨折補強材、医療用フィルムなどの医療用品、トレイ、ナイフ、フォーク、スプーン、チューブ、プラスチック缶、ブリスター、パウチ、パレット、コンテナー、タンク、カゴ、飲料用ボトル、カップ、果物かごなどの容器・食器類、ホットフィル容器類、電子レンジ調理用容器類化粧品容器、食品等の包装用フィルム、ラップ、紙ラミ、シャンプーボトル、キャンディ包装、シュリンクラベル、蓋材料、窓付き封筒、手切れテープ、イージーピール包装、卵パック、HDD用包装、コンポスト袋、記録メディア包装、ショッピングバック、電気・電子部品等のラッピングフィルムなどの包装資材、緩衝剤、カーテン、イス貼り地、カーペット、テーブルクロス、布団地、壁紙などのインテリア用品、各種スポーツ用資材、楽器、衣料、クレジットカード、キャッシュカード、IDカード、ICカード、キャリアーテープ、プリントラミ、感熱孔版印刷用フィルム、離型フィルム、多孔性フィルム、導電性エンボステープ、ICトレー、お茶パック、排水溝フィルター、カバン、ゴルフティー、歯ブラシ、文具、クリアファイル、クーラーボックス、クマデ、ホースリール、プランター、ホースノズル、ペンキャップ、ガスライターなどとして有用である。
【0050】
異型押出し成形により得られる異型押出し成形体の例としては、窓枠、中空板材、雨どい、カレンダークリップ、カレンダーホルダー等がある。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに詳細に説明する。ここで、実施例中の配合比は重量部を示す。また、使用した原料および表中の符号を以下に示す。
(A)ポリ乳酸樹脂
(A−1)ポリ乳酸樹脂(D体1.2%、重量平均分子量(PMMA換算)21万)
(B)重量平均分子量が4000〜20000であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、その他の成分
(B−1)プルロニックF68(株式会社ADEKA社製、重量平均分子量8400)
(B−2)PEG−6000(LION株式会社製、重量平均分子量6000)
(B−3)DAIFATTY−101(大八化学工業株式会社製、アジピン酸エステル)
(C)エポキシ基含有アクリル/スチレン共重合体、その他の成分
(C−1)“JONCRYL”ADR−4368(BASF社製、重量平均分子量6800、不揮発成分量98.7重量%)
(C−2)“ARUFON”UG4040(東亞合成製、重量平均分子量10000、エポキシ価1.8meq/g)
(C−3)カルボジライトHMV−8CA(日清紡績株式会社製 カルボジイミド)
【0052】
本発明で用いた測定方法および判定方法を以下に示す。
【0053】
(1)重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準PMMA換算の重量平均分子量の値である。溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、流速0.5mL/minとし、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入して測定した。
【0054】
ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールについては、標準ポリエチレングリコール換算の重量平均分子量の値であり、溶媒にジメチルフォルムアシドを使用した以外は同様の測定方法で評価した。
【0055】
(2)メルトフーローレート
表1に示す配合割合に従いドライブレンドした後、二軸押出機(φ60mm)を用いて、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量60kg/hで溶融混練し、ペレット状のポリ乳酸樹脂組成物を得た。
【0056】
上記の溶融混練で得られたポリ乳酸樹脂組成物を加水分解抑制のために、80℃で5時間熱風循環式乾燥機で乾燥させた後、ASTM D1238に従ってメルトインデクサーを用い、温度190℃、荷重2160gにて測定した。
【0057】
(3)押出加工性
上記溶融混練により得たペレットを加水分解抑制のために、80℃で5時間熱風循環式乾燥機で乾燥させた後、φ40mm単軸押出機、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、スクリュー回転数30rpm、引き取り速度10m/hで、一辺が20mm、肉厚1mmのくの字状の製品となる金型に通し、安定した加工が出来る場合は○、安定した加工が出来ない場合は×とし、押出加工性を確認した。
【0058】
(4)算術平均表面粗さ
上記押出加工で得た成形品を幅20mm、長さ10mmに切り出し、株式会社ミツトヨ製「SURFTEST500」を用いて成形品の算術平均粗さを評価した。算術平均粗さが1未満であると、平滑な成形品外観となる。
【0059】
(実施例1〜7、比較例1〜6)
表1、表2に示す配合比率で原料をドライブレンドした後、二軸押出機(φ60mm)を用いて、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量60kg/hで溶融混練し、ペレット状のポリ乳酸樹脂組成物を得た。
【0060】
上記溶融混練により得たペレットを加水分解抑制のために、80℃で5時間熱風循環式乾燥機で乾燥させた後、φ40mm単軸押出機、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、スクリュー回転数30rpm、引き取り速度10m/hで、一辺が20mm、肉厚1mmのくの字状の製品となる金型に通しして成形品を得た。
【0061】
得られた樹脂組成物および成形品について各種評価を行った結果を表1、表2に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、(B)重量平均分子量が4000〜20000であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種0.01〜5重量部、および(C)エポキシ基を有するスチレン/アクリル共重合体0.1〜3重量部を配合してなるポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項2】
ポリ乳酸樹脂組成物のメルトフローレートが温度190℃、荷重2160gで0.1〜4(g/10分)である請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物からなる押出成形品。

【公開番号】特開2009−120688(P2009−120688A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295064(P2007−295064)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】