説明

ポリ(アリーレンエーテル)組成物および柔軟な保護被覆と大型導体を有する被覆導体

通常サイズ〜大型の導体断面積を有する被覆導体(AWG5〜AWG24)がここに開示される。該コーティングの厚さは、例えば0.25〜8.0mmである。また、固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越えるポリ(アリーレンエーテル)と、スチレン樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、選択的に、難燃剤、相溶化剤あるいは難燃剤と相溶化剤の組み合わせと、を含む熱可塑性組成物も開示される。該コーティングは、上記の熱可塑性組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は熱可塑性組成物に関し、特に、ポリ(アリーレンエーテル)組成物に関する。被覆導体も開示される。該被覆導体は、柔軟な保護被覆と、通常のまたは大きな断面積を有する導体を備える。該被覆はポリ(アリーレンエーテル)組成物を含む。該被覆導体を備える自動車ワイヤーハーネス組立体と、この自動車ワイヤーハーネス組立体を備える最終備品も開示される。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニール樹脂は、被覆導体およびケーブル産業においてコーティング樹脂として長期間使用されてきた。しかしながら、ハロゲン化材料が環境に与える影響に関して益々懸念が高まっており、非ハロゲン化代替材料が模索されている。こうした模索は、ポリエチレン組成物においてある程度満たされてきたが、有用なポリエチレン組成物には通常、高濃度の無機難燃剤が含まれており、このために、一部の機械的特性と加工性が低下する場合がある。
【0003】
また、電子デバイス類がデザイン上益々コンパクトになるにつれて、これらのデバイス類やその付属品の一部として採用されるケーブルやワイヤーは、より柔軟で耐久性があることが益々求められている。同様に、自動車エンジンの電子部品の数が増えるにつれて、電子部品を接続するワイヤーは、ある温度範囲に亘って、また自動車環境で見られる種々の化学物質への暴露後も、柔軟で耐久性を有することが益々求められている。パッセンジャーコンパートメント内部(屋根の下、カーペットの下、計器板の後ろ、ドア枠内部など)やトランク内部で使用される被覆導体(およびワイヤーハーネス組立体)も同様な傾向にある。一部の応用では、塗装導体を用いて電力を転送し移動装置を操作している。これらの応用では、通常サイズ〜大型の導体が必要となる。これらの通常サイズ〜大型の導体では、結束ワイヤーおよびまたは最終のワイヤーハーネスの柔軟性を可能とするために、絶縁性コーティング材料はより柔軟でなければならない。そのために、通常径および大直径(または断面積)を有する導体上に、より柔軟な被覆層を用いることが益々求められている。被覆導体ワイヤーはさらに、いくつかの本質的な性能要件を満たさなければならない。ISO6722(2002年12月15日改訂版など)などの工業標準をガイダンスとしてさらに使用してもよい。
【0004】
架橋化ポリエチレンを使用する場合、より柔軟な絶縁被覆材料は困難さをもたらす。架橋化ポリエチレンを150℃〜180℃のオーブン温度でエージングすると、絶縁層の厚みが薄いほど熱寿命が短くなる。これによってその熱定格が制限される。こうした極端に薄い被覆要件で生じる悪影響が銅触媒化による劣化の原因とされてきており、当産業における問題として広く認識されている。
【0005】
銅と架橋化ポリエチレンとの接触を防止するために、銅芯を例えばスズなどで塗装することはできるが、こうした材料とコーティングプロセスによる追加となる費用は高い。また、一部の自動車仕様では、銅導体は未塗装であることが要求されている。また、金属不活性化剤としても既知の安定剤を絶縁材料に添加することもできるが、安定剤は、被覆厚みが薄い電線に対しては部分的な保護しかできないと認識されている。
【0006】
従って、優れた機械的特性および加工性を有する熱可塑性組成物が求められており、それは、該熱可塑性組成物を用いて製造された被覆導体とケーブルの耐久性とコスト有効性にとって重要である。
【発明の概要】
【0007】
通常サイズ〜大型の導体断面積を有する被覆導体(AWG5〜AWG24)が本明細書で開示される。コーティング厚さは、例えば0.25〜8.0mmである。該コーティングは、下記のポリ(アリーレンエーテル)組成物を含む。さらに、該被覆導体を備える自動車ワイヤーハーネス組立体と、この自動車ワイヤーハーネス組立体を備える最終製品も開示される。また、該導体材料は、単一伝送用光ファイバー分野におけるガラスあるいはプラスチックでもあり得る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記の要求は、固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越えるポリ(アリーレンエーテル)と、スチレン樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、選択的に、難燃剤、相溶化剤あるいは難燃剤と相溶化剤の組み合わせと、を含む熱可塑性組成物によって満たされる。
【0009】
さらに、導体と、導体上に設けられた被覆と、を備える被覆導体も開示される。前記被覆は熱可塑性組成物を含む。前記熱可塑性組成物は、固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越えるポリ(アリーレンエーテル)と、スチレン樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、選択的に、難燃剤、相溶化剤あるいは難燃剤および相溶化剤と、を含む。前記被覆導体は、本質的にISO6722の性能要件を満たしており、前記被覆は前記導体上に設けられており、また前記導体の断面は、(i)米国電線規格(AWG)のAWG24〜AWG5、(ii)断面積0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、(iii)公称径0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、の内の少なくとも1つを満たす。前記被覆導体の被覆厚さは0.25〜8mmである。
【0010】
本明細書で用いられる用語「被覆導体」は、被覆ワイヤー、電線、塗装導体などを含むものとする。
【0011】
該被覆導体は自動車ワイヤーハーネス組立体に用いられてもよい。自動車ワイヤーハーネス組立体は前パラグラフに記載の被覆導体を備える。
【0012】
前パラグラフに記載の自動車ワイヤーハーネスは、最終備品として使用されてもよい。
【0013】
一部の実施形態では、上記のように被覆導体、自動車ワイヤーハーネスおよび最終備品において有用な前記熱可塑性組成物は、5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)と、1〜70質量%のポリオレフィン樹脂と、1〜60質量%のスチレン樹脂と、選択的に0〜35質量%の難燃剤と、選択的に1〜30質量%の相溶化剤と、を含む。質量%は、該熱可塑性組成物の全質量に対するものである。
【0014】
一部の実施形態では、上記のように被覆導体と自動車ワイヤーハーネスおよび最終備品において有用な前記熱可塑性組成物は、固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越える、5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)と、10〜80質量%のポリオレフィン樹脂と、0〜30質量%の相溶化剤と、1〜55質量%のスチレンブロック共重合体と、1〜35質量%の難燃剤と、を含む。
【0015】
一部の実施形態では、上記のように被覆導体と自動車ワイヤーハーネスおよび最終備品において有用な前記熱可塑性組成物は、固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越える、5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)と、10〜80質量%のポリエチレン樹脂と、0〜30質量%の相溶化剤と、1〜55質量%のスチレンブロック共重合体と、1〜35質量%の難燃剤と、を含む。
【0016】
一部の実施形態では、上記のように被覆導体と自動車ワイヤーハーネスおよび最終備品において有用な前記熱可塑性組成物は、固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越える、5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)と、10〜80質量%の低密度およびまたは中密度ポリエチレン樹脂と、0〜30質量%の相溶化剤と、1〜55質量%のスチレンブロック共重合体と、1〜35質量%の難燃剤と、を含む。
【0017】
一部の実施形態では、前記熱可塑性組成物の曲げ弾性率は、ASTM D790−03に準拠し、厚さが3.2mmの試験片を用い速度1.27mm/minで測定して400〜1000MPaである。この範囲内で、曲げ弾性率は500MPa以上であってもよく、より具体的には600MPa以上であってもよい。またこの範囲内で、曲げ弾性率は900MPa以下であってもよく、より具体的には800MPa以下であってもよい。曲げ弾性率値は3試験片の平均である。
【0018】
前記導体は、単一の糸(より糸)を含んでいても、あるいは数本の糸(より糸)の束を含んでいてもよい。一部の実施形態では、複数のより糸を束ね、ねじりあるいは編んで導体を形成する。また該導体の形状は円形や楕円形など種々の形状であってもよい。該導体は、信号伝送に用いられる任意の種類の導体であってもよい。典型的な信号としては、光信号、電気信号および電磁信号が挙げられる。ガラスファイバーは、光導体の1例である。好適な導電体としては、これに限定されないが、銅、アルミニウム、鋼鉛、銅合金、アルミニウム合金、銅被覆アルミニウム、ニッケル被覆銅、スズ被覆銅およびニッケルとスズ被覆銅などが挙げられる。
【0019】
一部の実施形態では、前記導体の断面は、米国電線規格(AWG)番号でAWG24〜AWG5のものであってもよい。この範囲内で、該導体の断面は、AWG10以上のものであってもよく、より具体的にはAWG12以上のものであってもよい。またこの範囲内で、該導体の断面は、AWG20以下のものであってもよく、より具体的にはAWG15以下のものであってもよい。
【0020】
一部の実施形態では、該導体の断面積は0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)であってもよい。この範囲内で、該導体の断面積は0.52mm(ASTM B258−02に準拠してAWG20)以上であってもよく、より具体的には1.65mm(ASTM B258−02に準拠してAWG15)以上であってもよい。さらにこの範囲内で、該導体の断面積は、5.26mm(ASTM B258−02に準拠してAWG10)以下であってもよく、より具体的には3.31mm(ASTM B258−02に準拠してAWG12)以下であってもよい。
【0021】
一部の実施形態では、該導体断面の公称径は0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)であってもよい。この範囲内で、該導体断面の公称径は0.81mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG20)以上であってもよく、より具体的には1.45mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG15)以上であってもよい。またこの範囲内で、該導体断面の公称径は2.54mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG10)以下であってもよく、より具体的には2.05mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG12)以下であってもよい。UL1581、第4版、表20.1に準拠した公称径の最大および最小範囲を本明細書で適用してもよい。
【0022】
該導体の断面積と被覆厚さは変化してもよく、典型的には被覆導体の最終用途によって決定される。該被覆導体は被覆導体であり、制限なく電線として、例えば自動車用のハーネスワイヤー、家庭の電気器具用ワイヤー、電力用ワイヤー、設備用ワイヤー、情報通信用ワイヤーおよび電気自動車、船舶、航空機などのワイヤーなどの電線として使用できる。一部の実施形態では、該被覆導体は光ケーブルであり、内装用途(建物内部)、外装用途(建物外部)あるいは内外装用途に用いられる。典型的な用途としては、電話回線網やローカルエリアネットワーク(LAN)などのデータ伝送ネットワークや音声伝送ネットワークなどが挙げられる。
【0023】
一部の実施形態では、該導体は複数のより糸を含む。この場合の断面積は、すべてのより糸の断面積の合計に等しいものとして定義される。
【0024】
任意の実施形態における該被覆導体の被覆厚さは0.25〜8mmであってもよい。この範囲内で、該被覆導体の被覆厚さは0.5mm以上であってもよく、より具体的には1.5mm以上であってもよい。またこの範囲内で、該被覆導体のコーティング厚さは5mm以下であってもよく、より具体的には3mm以下であってもよい。
【0025】
典型的な被覆導体としては全種類の電線が挙げられる。一部の実施形態では、該被覆導体は、「自動車ワイヤーハーネス」と呼ばれる(ワイヤーハーネス、ケーブルハーネス、ケーブルワイヤーハーネス、ワイヤーハーネス組立体、ハーネス組立体、配線クリップ、組立板、自動車ハーネス、車両ワイヤーハーネス、車両ハーネス、ハーネス配線システム、自動車電子機器保護用組立体とも呼ばれる)組立体に作り込まれる。より柔軟なコーティングを備えた自動車ワイヤーハーネス組立体は、例えば電気、電子および機械部品や構成要素(コネクターやラッピングテープなど)などの他の関連する構成要素に変化を与え得ると予測される。典型的な電気、電子あるいは機械部品または構成要素としては、アンチロックブレーキシステム、電子制御送信、電子制御装置、電子燃料噴射、電子進角装置、フュージブルリンク、HA集積型点火装置、ロードセンシングタイマ、中央ドアロック、ディストリビュータ、デジタル時計、カーオーディオ、自動車盗難警報器、ヒューズシート、モータ、クラクション、スイッチ、ブザー、コンビネーションメータ、ランプ、イグニションコイル、継電器、バックセンサー、オルタネータ、方向指示器、省エネルギー装置、端子、パワーシート装置、モータ部品、自動車CD、自動車LCD、レギュレータ、整流器、点火モジュール、バックモニタ、クルーズコントローラ、ヘッドライト用バラスト一式、照明制御装置、点火コイルモジュール、シガーライタ、炭素ブラシ、電磁弁、自動車用ハンズフリー携帯電話、カーセキュリティシステム、カーナビゲーションシステム、カーコンピュータ、無線タイヤモニタ、タイヤ圧インジケータ、水温センサ、油圧センサ、充電器、温度記録計、バッテリ残量インジケータ、ディマースイッチ、電子燃料噴射マニホールド、オーバーヒート防止システム、オーバーヒート警告システム、点火・噴射時期制御システム、点火時期制御システム、減速進角コントローラ、遅延噴射時期制御システム、速度に応じた遅延噴射時期、荷重に応じた遅延噴射時期、燃料制御システム、フィードバックコントローラ、空燃比フィードバック制御システム、電子制御キャブレタ、電子燃料噴射システム、エンジン集中電子制御システム、温度センサ、圧力センサ、ポジションセンサ、スピードセンサ、ノックセンサ、吸気流量センサ、温度スイッチ、光電バリア、送信機、受信機、センサ、オシレータ、ディジタルクロノメータ、電磁ビームバリア、アナログ/デジタル変換器(A/D変換器)、乗員補助拘束装置(SIR)、補助拘束システム(SRS)、エアクッション拘束システム(ACRS)、エアバッグ、衝突センサ、電子式衝突センサ、一次センサ、安全センサ、二次センサ、診断モジュール、車両準備状況インジケータ、警告インジケータ、膨張装置組立体、爆管、切換コード、直交電磁界(TEM)モード、アンプ、双方向カプラ、方向性カプラ、噴射プローブ、準ピーク検出器、電磁調整弁、コンバータバイパス弁、エレクトロアンチロック装置、DC電圧計、電流プローブ、発電機、直流発電機、ステータ組立体(フィールドフレーム組立体)、フィールドコイル(励磁巻線)、電機子組立体、電機子巻線、直流発電機調整器、電圧調整器、電流制限器、遮断リレー、オルタネータ調整器、フィールドリレー、充電指示器リレー、電磁調整器(振動タイプ調整器)、一段式電圧調整器、二段式電圧調整器、IC調整器(ソリッドステート調整器)、内蔵式電圧調整器、バッテリ(アキュムレータ)、スタータ、機械的係合式ドライブスタータ、事前係合式ドライブスタータ、スライディングアーマチュアスタータ、スライディングギヤ式スタータ、同軸ドライブスタータ、慣性ドライブスタータ、ピックアップコイル、ディストリビュータレス点火システム、点火電圧保存、分圧器、点火ガバナ、点火ディストリビュータ、タイマロータ、二極コネクタ、内部ケーブル、外部ケーブル、非遮蔽高張力点火ケーブル、オス端子、ソケット、ダンピング抵抗、除去フィルタ、フラット迅速接続端子、ポジティブロッキングメスコネクタ、肩なし端子、肩付端子、圧着端子、変圧器、整流器、過電流保護装置、小型遮断器、ヒューズ取付具、扁平端子、クラクション、ホーンリレー、バックブザー、マルチトーン信号装置、ワイパーモータ、ヒーターモータ、冷却ファンモータ、燃料ポンプモータ、ウィンドウリフトモータ、アンテナモータ(空気モータ)、シート調節モータ、ウォッシャーポンプ、潤滑モータ、点火スイッチ、マスター照明スイッチ、方向指示器コントローラ、ハザード警告信号コントローラ、室内灯スイッチ、音声警告(クラクション)コントローラ、シート調節コントローラ、動力取出しコントローラ、傾斜コントローラ、フロントフード(ボンネット)コントローラ、リアフード(ブーツ)コントローラ、ラジエータシャッタコントローラ、外部バックミラー調節コントローラ、照明スイッチ、停止ランプスイッチ、ハンドブレーキ指示計スイッチ、ディマースイッチ、ターンシグナルスイッチ、バックランプスイッチ、パーキングランプスイッチ、計器灯スイッチ、ドアランプスイッチ、リーディングランプスイッチ、ワイパースイッチ、ウォッシャースイッチ、ヒータースイッチ、フォグランプスイッチ、ブラックアウトランプスイッチ、スタータスイッチ、エンジン予熱開始スイッチ、バッテリメインスイッチ、バッテリ切換スイッチ、ロッカースイッチ、スライディングルーフコントローラ、自動アンテナコントローラ、ラジオ受信コントローラ、ディーゼルエンジンカットオフコントローラ、ヘッドライトビームコントローラ、ヘッドライトワイパーコントローラ、ヘッドライトクリーナコントローラ、バッテリ遮断スイッチコントローラ、光警告コントローラ、ハンドル調節コントローラ、付加的なホイールドライブコントローラ、ディファレンシャルロックコントローラ、ラジエータグリルコントローラ、レンジシフトコントローラ、集中型潤滑油圧力計、自動トランスミッション計、電子スピードメータ、バイメタル式油圧センサ、電磁式油圧計、可動磁石式油圧計、可変抵抗式油圧センサ、油量警告センサ、圧力警告センサ、エアフィルタ目詰まり警告センサ、温度警告センサ、電磁式燃料計、シールドビーム装置、セミシールドビーム装置、信号システム、複合灯、リフレックス反射装置、レトロ反射装置、放電ランプ、フォグランプ、グループ化ランプ、ハザード警告灯、ロービーム(ディップビーム)ヘッドライト、アッパービーム(メインビーム)ヘッドライト、ヘッドライトレベリング装置、外形標識灯、ナンバープレートランプ、リアナンバプレートランプ、サーチランプ、サイドマーカランプ、特別警告灯、停止ランプ、混合灯、パーキングランプ、ターンシグナルランプ、セミシールドビームヘッドライト、信号灯(表示器)、テールランプ、ドアロック警告灯、天井灯、リーディングランプ、ステップランプ(車内灯)、計器板ランプ、エンジンルームランプ、電球アダプタおよび差込みソケットが挙げられる。さらに、該ワイヤーハーネスを備える「最終用途備品」は、自動車車両(乗用車あるいは非乗用車を含む)であり得る。
【0026】
また、該被覆導体は、例えば住宅または事務所備品、電気器具、電気通信、鉄道輸送、航空機輸送、電動工具および工業設備などの非自動車用途に応用されてもよい。これらの非自動車用途では、該被覆電線は、UL1581、UL62あるいはこれらの両方の性能標準を満たすことが要求される。
【0027】
被覆導体に加えて、前記熱可塑性組成物は、航空機ワイヤーガイド、航空機フロア、フレキシブル管などにおいて、特に医療分野において有用である。
【0028】
一部の実施形態では、該被覆導体は本質的にISO6722の性能要件を満たす。ISO6722の現行版(2002年12月15日改訂版、2004年12月30日改訂版)では、導体大きさが少なくとも0.13mm、コーティング厚さが少なくとも0.85mmと規定されている。従って、「本質的にISO6722の性能要件を満たす」との表現は、たとえ導体断面が下記のうちの少なくとも1つを満たし、およびまたは被覆導体の被覆厚さが0.25〜8mmであったとしても、ISO6722試験(試験項目も含めて)の原則を満たし、サイズ違いに対して必要な修正を行うことを意味する。下記のものとは、(i)米国電線規格(AWG)のAWG24〜AWG5、(ii)断面積0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、(iii)公称径0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)の3つである。
【0029】
上記で示唆されるように、該熱可塑性組成物は、被覆導体用途において、特に、ガソリン、ディーゼル燃料、不凍液などの、分解を生じ得る化学物質に曝露される環境で使用される電線などの被覆導体において有用である。別の実施形態では、該組成物はワイヤーに対して好適な接着性を有する。接着性は、正常な使用下ではワイヤーの一体性を保つために十分なものでありながら、被覆が剥離できないほど強すぎないものでなければならない。導体芯のサイズと熱可塑性コーティングの厚さによるが、ワイヤーから熱可塑性コーティングを剥離させるための典型的な力は約2〜100ニュートンである。そのために、被覆導体の導体芯と熱可塑性組成物間の接着強度は、導体芯と熱可塑性コーティングの厚さに対して典型的に用いられる被覆剥離力以下であることが望ましい。種々の導体サイズに対する典型的な被覆剥離力は、現行版ISO6722(2002年12月15日改訂版、2004年12月30日改訂版)とは異なっていてもよい。
【0030】
一部の実施形態では、該被覆導体の導体断面は、(i)米国電線規格(AWG)のAWG24〜AWG5、(ii)断面積0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、(iii)公称径0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、の内の少なくとも1つを満たすものであってもよく、およびまたは、該被覆導体の被覆厚さは0.25〜8mmであってもよい。該被覆導体は、ISO6722(2002年12月15日改訂版、2004年12月30日改訂版)で規定されている難燃性、熱老化および擦摩耗などに関する現行標準を満たすかもしくはそれを超えており、道路走行車両での使用に好適である。特に該被覆導体は、ISO6722(2002年12月15日改訂版、2004年12月30日改訂版)で規定されたクラスA、BまたはCに対する熱老化標準を満たすかもしくはそれを超え得る。
【0031】
一部の実施形態では、該被覆導体の耐擦摩耗性は、荷重7N、直径0.45mmの針および以下の少なくとも1つを満たす断面を有する被覆導体を用い、ISO6722(2002年12月15日改訂版、2004年12月30日改訂版)の擦摩耗規定に準拠して求めて10回を超え、およびまたは、該被覆導体の被覆厚さは0.25〜8mmである。上記の「以下」とは次の3つである。(i)米国電線規格(AWG)のAWG24〜AWG5、(ii)断面積0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、(iii)公称径0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)。
【0032】
一部の実施形態では、被覆導体は、導体と、前記導体上に設けられた被覆と、を備え、前記被覆は熱可塑性組成物を含み、前記熱可塑性組成物は、固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越えるポリ(アリーレンエーテル)と、スチレン樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、選択的に、難燃剤、相溶化剤あるいは難燃剤および相溶化剤と、を含み、前記導体の断面は、(i)米国電線規格(AWG)のAWG24〜AWG5、(ii)断面積0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、(iii)公称径0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、の内の少なくとも1つを満たし、およびまたは前記被覆導体の被覆厚さは0.25〜8mmであり、前記熱可塑性組成物の引張破断伸び率は、ASTM D638−03に準拠して、タイプIの試験片を用い速度50mm/minで測定して30%を超え、曲げ弾性率は、ASTM D790−03ポリに準拠し速度1.27mm/minで測定して1000MPa未満である。この性能と試験方法の詳細は、米国特許第7,084,347号に記載されており、該特許はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0033】
一部の実施形態では、被覆導体は、導体と被覆とを備え、前記被覆は前記導体上に設けられている。前記被覆は熱可塑性組成物を含み、前記熱可塑性組成物は、固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越える、5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)と、10〜80質量%のポリオレフィン樹脂と、0〜30質量%の相溶化剤と、1〜60質量%のスチレンブロック共重合体と、1〜35質量%の難燃剤と、を含む。前記被覆導体はISO6722の性能要件を満たしており、前記導体の断面は、(i)米国電線規格(AWG)のAWG24〜AWG5、(ii)断面積0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、(iii)公称径0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、の内の少なくとも1つを満たし、およびまたは前記被覆導体の被覆厚さは0.25〜8mmであり、また、全長13,500〜15,500mの被覆導体に対して、それぞれの長さを有する6個以下の被覆導体が存在し、各ワイヤーの長さは150m以上である。
【0034】
一部の実施形態では、被覆導体は、導体と被覆とを備え、前記被覆は前記導体上に設けられている。前記被覆は熱可塑性組成物を含み、前記熱可塑性組成物は、固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越える、5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)と、10〜80質量%のポリエチレン樹脂と、0〜30質量%の相溶化剤と、1〜60質量%のスチレンブロック共重合体と、1〜35質量%の難燃剤と、を含む。前記被覆導体はISO6722の性能要件を満たしており、前記導体の断面は、(i)米国電線規格(AWG)のAWG24〜AWG5、(ii)断面積0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、(iii)公称径0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、の内の少なくとも1つを満たし、およびまたは前記被覆導体の被覆厚さは0.25〜8mmである。
【0035】
一部の実施形態では、被覆導体は、導体と被覆とを備え、前記被覆は前記導体上に設けられている。前記被覆は熱可塑性組成物を含み、前記熱可塑性組成物は、固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越える、5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)と、10〜80質量%のポリオレフィン樹脂と、0〜30質量%の相溶化剤と、1〜55質量%のスチレンブロック共重合体と、1〜35質量%の難燃剤と、を含み、前記被覆導体はISO6722の性能要件を満たしており、前記導体の断面は、(i)米国電線規格(AWG)のAWG24〜AWG5、(ii)断面積0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、(iii)公称径0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、の内の少なくとも1つを満たし、およびまたは前記被覆導体の被覆厚さは0.25〜8mmである。前記被覆導体のガソリンに対する長期耐薬品性は100日以上であってもよい。ガソリンに対する長期耐薬品性は、a)ISOl817の液体を用いISO6722に準拠して、コーティング導体の耐薬品性を試験するステップと、b)外部から応力を加えずに、前記コーティング導体を温度23℃、相対湿度50%中でエージングするステップと、c)前記コーティング導体の割れ発生を毎日検査するステップと、を備え、a)〜c)までのステップをこの順序で行うことを特徴とする方法で試験する。長期耐薬品性試験の詳細な手順は米国特許公報第2006−0278427号に記載されており、その全体は参照により本明細書に援用される。
【0036】
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、ポリオレフィン相とポリ(アリーレンエーテル)相の少なくとも2相を含む。前記ポリオレフィン相は連続しており、前記ポリ(アリーレンエーテル)相はポリオレフィン相中で分散している。該相間の良好な相溶化によって、高引張伸び率と共に、とりわけ、低温および室温での高衝撃強度を含む向上した物性と、良好な熱老化と、良好な難燃性と、良好な耐薬品性と、がもたらされる。該組成物の形態によって、相溶化の程度や品質がわかることは一般に受け入れられている。組成物のある範囲内で均一に分布した、小さくて比較的均一なサイズのポリ(アリーレンエーテル)粒子は、良好な相溶性を示す。
【0037】
一部の実施形態では、該組成物は、連続するポリオレフィン相中に分散したポリ(アリーレンエーテル)粒子を有する。該組成物を射出成形するかあるいは押出すと、特に押出して被覆導体を形成すると、ポリ(アリーレンエーテル)粒子の平均粒径は5μm未満であり、より具体的には3μm以下であり、さらにより具体的には2μm以下である。当業者であれば容易に理解されるように、該ポリ(アリーレンエーテル)粒子は、球状かあるいは非球状である。粒子の形状は、成形条件あるいは押出条件、特に物品製造中に存在するせん断量に依存する。粒子形状が非球状の場合、粒子直径は最長の直線寸法として定義される。あるいは、長軸として定義することもできる。
【0038】
一部の実施形態では、該組成物は、連続するポリオレフィン相中に分散したポリ(アリーレンエーテル)粒子を有する。該組成物を射出成形するかあるいは押出すと、ポリ(アリーレンエーテル)粒子の平均粒子面積は、下記の方法で測定して4μm以下であり、より具体的には2μm以下であり、さらにより具体的には1μm以下である。
【0039】
射出成形品におけるポリ(アリーレンエーテル)粒子の平均粒径およびまたは粒子面積を、透過電子顕微鏡法を用いて決定してもよい。該組成物を、ASTM D 3763−02試験で用いられるように3.2mm厚のディスクに射出成形する。該ディスクの中心(直径における)部分を取り除き、次にこの部分の中心(直径上の)部から、厚さが100nmの断面を取り除く。新規に調製した四酸化ルテニウム染色液中に該断面を30秒間浸漬して染色する。Technai G2などの電子顕微鏡上で顕微鏡調査を行ってもよい。デジタル画像を、Gatanモデル791サイド搭載カメラなどのカメラを用いて得てもよい。画像をClemax vision PEなどの画像解析ソフトウェアを用いて解析し、平均直径あるいは平均粒子面積を求めてもよい。表示画面内に完全に境界を有する粒子だけについて解析を行う。解析と平均値は少なくとも100個の粒子に対して行う。
【0040】
被覆導体などの押出物品内のポリ(アリーレンエーテル)粒子の平均直径およびまたは粒子面積を、押出された熱可塑性プラスチックの一部分を取り除き、表面から50〜60nmの深さの該部分から100nm厚さの断面を取り除いて求めてもよい。新規に調製した四酸化ルテニウム染色液中に該断面を30秒間浸漬して染色する。Technai G2などの電子顕微鏡上で顕微鏡調査を行ってもよい。デジタル画像を、Gatanモデル791サイド搭載カメラなどのカメラを用いて得てもよい。画像をClemax vision PEなどの画像解析ソフトウェアを用いて解析し、平均直径あるいは粒子面積を求めてもよい。表示画面内に完全に境界を有する粒子だけについて解析を行う。解析と平均値は少なくとも100個の粒子に対して行う。
【0041】
ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度とポリオレフィンのメルトフローインデックスは、該組成物の形態に影響を与え得る。一部の実施形態では、該ポリ(アリーレンエーテル)またはポリ(アリーレンエーテル)類の組み合わせの固有粘度は25℃のクロロホルム中で測定して0.3dL/gより大きく、該ポリオレフィンのメルトフローレートは、ASTM D1238に準拠して測定して0.8〜15g/10minである。該ポリ(アリーレンエーテル)またはポリ(アリーレンエーテル)類の組み合わせの固有粘度が0.25dL/gより小さいと、該組成物の熱老化が低下し得る。
【0042】
本明細書で用いるように、「ポリ(アリーレンエーテル)」は、下記式(I)の構造単位を複数含む。
【化1】

式中、各構造単位について、QおよびQはそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、一級または二級低アルコール(例えば、1〜約7個の炭素原子を含むアルキルなど)、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、アルケニルアルキル、アルキニルアルキル、ヒドロカルボンオキシ、アリールおよび少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離しているハロヒドロカルボンオキシである。一部の実施形態では、Qはそれぞれ独立してアルキルまたはフェニル、例えばC1−4アルキルであり、Qはそれぞれ独立して水素またはメチルである。該ポリ(アリーレンエーテル)は、典型的にはヒドロキシ基に対してオルトの位置にあるアミノアルキル含有末端基(類)を有する分子を含んでいてもよい。また、テトラメチルジフェニルキノン副産物が存在する反応混合物から典型的に得られるテトラメチルジフェニルキノン(TMDQ)末端基類も存在することが多い。
【0043】
該ポリ(アリーレンエーテル)は、ホモポリマー、共重合体、グラフト共重合体、イオノマー、ブロック共重合体あるいはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせの形態であってもよい。ポリ(アリーレンエーテル)は、選択的に2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位と結合した2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単位を含むポリフェニレンエーテルを含む。
【0044】
該ポリ(アリーレンエーテル)は、2,6−キシレノールおよびまたは2,3,6−トリメチルフェノールなどのモノヒドロキシ芳香族化合物(類)の酸化カップリングによって調製されてもよい。そうしたカップリングに対して触媒系が一般に用いられ、その中には、通常は二級アミン、三級アミン、ハロゲン化物あるいはこれらの複数の組み合わせなどの種々の他材料と結合した、銅、マンガンあるいはコバルト化合物などの重金属化合物が含まれる。
【0045】
一部の実施形態では、該ポリ(アリーレンエーテル)はキャップ化ポリ(アリーレンエーテル)を含む。末端ヒドロキシ基は、例えばアシル化反応などにより、キャッピング剤でキャップ化されていてもよい。選択されたキャッピング剤は、反応性の小さいポリ(アリーレンエーテル)を生成するものが好ましく、これによって、ポリマー鎖の架橋と、高温下での処理中のゲルあるいは黒粒の形成を低減あるいは防止できる。好適なキャッピング剤としては、例えば、サリチル酸、アントラニル酸あるいはこれらの置換誘導体などのエステルが挙げられる。この中で、サリチル酸のエステル、および特にサリチル酸カーボネートと直鎖ポリサリチラートが好適である。本明細書で用いられるように、用語「サリチル酸のエステル」には、カルボキシ基、ヒドロキシ基あるいはこれらの両方がエステル化された化合物が含まれる。好適なサリチラート類としては例えば、直鎖ポリサリチラートと、ジサリチリドやトリサリチリドなどの環状化合物の両方を含む、フェニルサリチラート、アセチルサリチル酸、サリチルカーボネートおよびポリサリチラートなどのアリールサリチラートが挙げられる。好適なキャッピング剤はサリチルカーボネートとポリサリチラートであり、特に直鎖ポリサリチラートは好適である。キャップ化される場合、該ポリ(アリーレンエーテル)は前記ヒドロキシ基の80%までの任意の望ましい程度までキャップ化されてもよく、より具体的には約90パーセントまでがキャップ化されてもよく、さらにより具体的には100%までがキャップ化されてもよい。好適なキャップ化ポリ(アリーレンエーテル)とその調製は、Whiteらの米国特許第4,760,118号およびBraatらの同第6,306,978号に記載されている。
【0046】
ポリサリチラートによるポリ(アリーレンエーテル)のキャップ化はまた、ポリ(アリーレンエーテル)鎖に存在するアミノアルキル末端基の量も低減すると考えられている。アミノアルキル基は、ポリ(アリーレンエーテル)の製造工程中でアミン類を用いる酸化カップリング反応の結果生じたものである。ポリ(アリーレンエーテル)の末端ヒドロキシ基に対してオルトの位置にあるアミノアルキル基は高温下で分解され易くなる。該分解によって、一級アミンあるいは二級アミンの再生とキノンメチド末端基の形成が行われ、これによって次に2,6−ジアルキル−1−ヒドロキシフェニル末端基が生成すると考えられている。ポリサリチラートによるアミノアルキル基を含むポリ(アリーレンエーテル)のキャッピングはこうしたアミノ基を取り除き、ポリマー鎖のキャップ化末端ヒドロキシ基と、2−ヒドロキシ−N,N−アルキルベンズアミン(サリチルアミド)を形成すると考えられている。アミノ基の除去とキャッピング化により、高温に対してより安定なポリ(アリーレンエーテル)が提供され、これによって、ポリ(アリーレンエーテル)処理中のゲルや黒粒などの分解性生成物を少なくすることができる。
【0047】
該ポリ(アリーレンエーテル)の数平均分子量を、単分散ポリスチレン標準と、40℃のスチレンジビニルベンゼンゲルと、濃度が1mg/mLのクロロホルムを有する試料と、を用いたゲル透過クロマトグラフで測定して約3,000〜約40,000g/molに、質量平均分子量を約5,000〜約80,000g/molにすることができる。該ポリ(アリーレンエーテル)あるいはポリ(アリーレンエーテル)類の組み合わせの固有粘度は、25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gとすることができる。前記熱可塑性組成物の製造に用いるポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度(初期固有粘度)は、熱可塑性組成物中のポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度(最終固有粘度)とは異なり得る。初期固有粘度は、該組成物の他の成分と溶融混合する前のポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度として定義され、最終固有粘度は、該組成物の他の成分との溶融混合後のポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度として定義される。当業者であれば理解されるように、ポリ(アリーレンエーテル)の粘度は、溶解混合後は最大30%高くなり得る。増加率は、(最終固有粘度−初期固有粘度)/初期固有粘度で求められる。2つの固有粘度を用いる場合の正確な比率は、使用するポリ(アリーレンエーテル)の正確な固有粘度と、望ましい最終の物性とにある程度応じて決定されるであろう。
【0048】
該ポリ(アリーレンエーテル)のヒドロキシ末端基含有量は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)で測定して、ポリ(アリーレンエーテル)の全質量に対して6300ppm以下であってもよい。一部の実施形態では、該ポリ(アリーレンエーテル)のヒドロキシ末端基含有量は3000ppm以下であってもよく、より具体的には1500ppm以下であってもよく、さらにより具体的には500ppm以下であってもよい。
【0049】
該ポリ(アリーレンエーテル)は、可視の微粒子不純物は本質的に含まない。一部の実施形態では、該ポリ(アリーレンエーテル)は、約15μmより大きな微粒子不純物は本質的に含まない。ここで用いられたように、ポリ(アリーレンエーテル)に適用される場合の「可視の微粒子不純物は本質的に含まない」との表現は、50mLのクロロホルム(CHCl)に溶解させたポリマー物質10g試料をライトボックス中で見た場合、可視粒が5個未満であることを意味する。肉眼で見える粒子の直径は典型的には40μmを超える。ここで用いられるように、「約15μmより大きな微粒子不純物を本質的に含まない」との表現は、CHCl400mLに溶解させたポリマー物質40g試料の内、粒径が約15μmの粒子の数が1g当たり50個未満であることを意味する。上記の粒子数は、流量1mL/min(±5%)で分析計(Pacific Instruments ABS2)を通過する20mL量の溶解ポリマー物質試料5個の平均として求めたものである。
【0050】
該組成物は、全組成物の質量に対して5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)を含んでいてもよい。この範囲内で、ポリ(アリーレンエーテル)の量は約15質量%以上であってもよく、より具体的には約35質量%以上であってもよい。また、この範囲内で、ポリ(アリーレンエーテル)の量は約45質量%以下であってもよく、より具体的には約40質量%以下であってもよい。
【0051】
ポリオレフィンの一般構造はC2nであり、この中にはポリエチレン(HDPE、LDPE、MDPE、LLDPE)、ポリプロピレンおよびポリイソブチレンが含まれ、典型的なホモポリマーはアタクチックポリプロピレンおよびアイソタクチックポリプロピレンである。この一般構造を有するポリオレフィン樹脂とその調製方法は当分野では周知であり、例えば米国特許第2,933,480号、同第3,093,621号、同第3,211,709号、同第3,646,168号、同第3,790,519号、同第3,884,993号、同第3,894,999号、同第4,059,654号、同第4,166,055号および同第4,584,334号に記載されている。一部の実施形態では、該ポリオレフィンは本質的にポリオレフィンホモポリマーから構成され、より具体的には結晶性ポリオレフィンホモポリマーから構成される。ポリエチレン(HDPE、LDPE、MDPE、LLDPE)の密度は0.90g/cm〜0.98g/cmであり得る。
【0052】
ポリプロピレンとゴムおよびポリエチレンとゴムなどのポリオレフィンの共重合体を使用してもよい。共重合体にはさらに、エチレンオクタンゴムなどの共重合体も含まれる。これらは衝撃性改良ポリプロピレンと呼ばれることもある。こうした共重合体は典型的にはヘテロ相であり、各成分は十分に長い部分を有していて非晶質相と結晶相の両方を有する。一部の実施形態では、該ポリオレフィンは、C〜CオレフィンのポリオレフィンホモポリマーとC−C12オレフィンの共重合体を含むミドルブロックとから本質的に構成される、末端基を有するポリオレフィンブロック共重合体を含む。該ポリオレフィンはさらに、ホモポリマーと共重合体の組み合わせ、溶融温度が異なるホモポリマー類の組み合わせ、およびまたはメルトフローレートが異なるホモポリマー類の組み合わせを含んでいてもよい。
【0053】
一部の実施形態では、該ポリオレフィンは高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。該高密度ポリエチレンの密度は0.941〜0.965g/mLであり得る。
【0054】
一部の実施形態では該ポリオレフィンは中密度ポリエチレン(MDPE)を含む。該中密度ポリエチレンの密度は0.921〜0.94g/mLであり得る。
【0055】
一部の実施形態では、該ポリオレフィンは、中密度ポリエチレン(MDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)の混合物を含む。
【0056】
一部の実施形態では、該ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)は約0.3〜約10g/10minである。具体的には、メルトフローレートは約0.3〜約5g/10minであり得る。メルトフローレートは、粉末状またはペレット化ポリオレフィン、荷重2.16kgおよび該樹脂に好適な温度(エチレン系樹脂では190℃、プロピレン系樹脂では230℃)を用い、ASTM D1238に準拠して測定される。
【0057】
一部の実施形態では、該ポリオレフィンは、ポリエチレンホモポリエチレンあるいはポリエチレン共重合体を含む。該ポリエチレンはさらに、ホモポリマーと共重合体の組み合わせ、溶融温度が異なるホモポリマー類の組み合わせおよびまたはメルトフローレートが異なるホモポリマー類の組み合わせを含んでいてもよい。該ポリエチレンの密度は0.911g/cm〜0.98g/cmであり得る。
【0058】
一部の実施形態では、種類の異なるポリオレフィンの混合物が用いられる。
【0059】
一部の実施形態では、密度が異なるポリエチレン類の混合物が用いられる。
【0060】
該組成物は、熱可塑性組成物の全質量に対して1〜80質量%の前記ポリオレフィンを含んでいてもよい。この範囲内で、ポリオレフィンの量は5質量%以上であってもよく、より具体的には約10質量%以上であってもよく、さらにより具体的には約20質量%以上であってもよい。またこの範囲内で、ポリオレフィンの量は約70質量%以下であってもよく、より具体的には約60質量%以下であってもよく、さらにより具体的には約45質量%以下であってもよい。
【0061】
一部の実施形態では、該組成物がその全質量に対して15質量%以上のポリエチレンを含む場合、該組成物はポリプロピレンを本質的に含まないものとすることができる。「本質的に含まない」とは、組成物の全質量に対して、10質量%未満しか含まないと定義され、より具体的には7質量%未満、さらにより具体的には5質量%未満、さらにより具体的には3質量%未満しか含まないと定義される。
【0062】
該熱可塑性組成物は、スチレン樹脂を含む。スチレン樹脂は、アルケニル芳香族モノマーのホモポリマーおよび共重合体を含む。ここで用いられるように、用語「アルケニル芳香族モノマーの共重合体」は、複数の異なるアルケニル芳香族モノマー類から構成されるモノマーの共重合体を指す。アルケニル芳香族モノマーのホモポリマーとしては、アタクチックおよびシンジオタクチックポリスチレンを含むポリスチレンが挙げられる。アルケニル芳香族モノマーの共重合体には、スチレン、メチルスチレン類およびt−ブチルスチレン類から構成される群から選択される複数のモノマーのランダム共重合体が含まれる。該アルケニル芳香族モノマーの共重合体にはさらに、ゴム変性ポリスチレン樹脂(高衝撃ポリスチレンあるいはHIPSとしても既知)が含まれる。該アルケニル芳香族モノマーの共重合体にはさらに、ブロック共重合体(以後、「スチレンブロック共重合体」として定義する)が含まれる。該アルケニル芳香族モノマーのホモポリマーおよび共重合体が存在する場合、その量は前記熱可塑性組成物の全質量に対して1〜60質量%とすることができ、具体的には10〜40質量%とすることができる。
【0063】
一部の実施形態では、該組成物がその全質量に対して30質量%以上のポリオレフィンを含む場合、該組成物は、ポリスチレンあるいはゴム変性ポリスチレン(高衝撃ポリスチレンあるいはHIPSとしても既知)などのポリ(アルケニル芳香族)樹脂を本質的に含まないものにできる。「本質的に含まない」とは、組成物の全質量に対して10質量%未満しか含まないと定義され、より具体的には7質量%未満、さらにより具体的には5質量%未満、さらにより具体的には3質量%未満しか含まないと定義される。
【0064】
スチレンブロック共重合体は、(A)アリールアルキレン繰り返し単位を含む少なくとも1つのブロックと、(B)アルキレン繰り返し単位を含む少なくとも1つのブロックと、を含む共重合体である。ブロック(A)と(B)の配列は、直鎖構造であっても、あるいは分枝鎖を有する所謂ラジアルテレブロック構造であってもよい。A−Bジブロック共重合体およびA−B−Aトリブロック共重合体は、アリールアルキレン繰り返し単位を含むブロックAを複数含む。ペンダントアリール部分は多環式であっても、該環状部分の任意の利用可能な位置に置換基を有していてもよい。好適な置換基としては、炭素原子数が1〜4のアルキル基が挙げられる。典型的なアリールアルキレン単位は、下記の構造で示されるフェニルエチレンである。
【化2】

ブロックAは、アリールアルキレン単位の量がアルキレン単位の量を上回る限り、炭素数が2〜15のアルキレン単位をさらに含んでいてもよい。ブロックBは、エチレン、プロピレン、ブチレンあるいはこれらの複数のものの組み合わせなどの、炭素原子数が2〜15のアルキレン繰り返し単位を含む。ブロックBは、アルキレン単位の量がアリールアルキレン単位の量を上回る限り、アリールアルキレン単位をさらに含んでいてもよい。各ブロックAの分子量は、他のブロックAのそれと同じであっても違っていてもよく、同様に、各ブロックBの分子量は、他のブロックBのそれと同じであっても違っていてもよい。
【0065】
前記アリールアルキレン繰り返し単位は、スチレンなどのアリールアルキレンモノマーの重合に由来する。前記アルキレン繰り返し単位は、ブタジエンなどの不飽和繰り返し単位の水素化に由来する。該ブタジエンは、1,4−ブタジエンおよびまたは1,2−ブタジエンを含んでいてもよい。該Bブロックはさらに、いくつかの不飽和炭素−炭素結合を含んでいてもよい。
【0066】
一部の実施形態では、該組成物は、前記ポリ(アリーレンエーテル)および前記ポリオレフィンに加えて、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化スチレンブロック共重合体を含む。この水素化スチレンブロック共重合体のポリ(アルケニル芳香族)含有量は、その全質量に対して約10〜45質量%である。具体的には、ポリ(アルケニル芳香族)含有量は約10〜約40質量%とすることができ、あるいは約10〜約35質量%とすることができる。該水素化ブロック共重合体の質量平均分子量は200,000原子質量単位以上であってもよい。上記のように、この分子量はゲル透過クロマトグラフによって求められ、ポリスチレン標準との比較に基づいている。一部の実施形態では、該水素化ブロック共重合体の質量平均分子量は200,000〜約400,000原子質量単位であり、具体的には220,000〜約350,000原子質量単位である。高分子量の水素化ブロック共重合体の製造方法は当分野では既知であり、例えばJonesの米国特許第3,431,323号などに記載されている。高分子量の水素化ブロック共重合体は、例えば、Kraton Polymers社からKraton G1651として販売されている、スチレン含量が31質量%、質量平均分子量が約240,000〜約301,000原子質量単位(AMU)のポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体として市販されている。
【0067】
一部の実施形態では、該組成物は第1のスチレンブロック共重合体と第2のスチレンブロック共重合体を含んでいてもよい。前記第1のスチレンブロック共重合体のアリールアルキレン含有量はその全質量に対して50質量%以上である。前記第2のスチレンブロック共重合体のアリールアルキレン含有量はその全質量に対して50質量%未満である。該第1のスチレンブロック共重合体、第2のスチレンブロック共重合体あるいは第1および第2のスチレンブロック共重合体は、ジブロック共重合体とトリブロック共重合体をブレンドしたものであってもよい。ブロック共重合体類の典型的な組み合わせは、その全質量に対してスチレン含有量が15質量%〜40質量%のポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレンブロック共重合体であり、その全質量に対してスチレン含有量が55質量%〜70質量%のポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレンを使用してもよい。アリールアルキレン含有量が50質量%を超える典型的なスチレンブロック共重合体は、旭化成ケミカルズ社から商標名TUFTEC、等級名H1043などで、またクラレ社からSEPTONの商標名で販売されている。アリールアルキレン含有量が50質量%未満の典型的なスチレンブロック共重合体は、Kraton Polymers社から商標KRATON、等級名G−1701、G−1702、G−1730、G−1641、G−1650、G−1651、G−1652、G−1657、A−RP6936およびA−RP6935などとして販売されている。一部の実施形態では、前記第1および第2のスチレンブロック共重合体は共にトリブロック共重合体である。
【0068】
一部の実施形態では、該スチレンブロック共重合体の数平均分子量は、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定して5,000〜1,000,000g/molである。この範囲内で、数平均分子量は少なくとも10,000g/molであってもよく、より具体的には少なくとも30,000g/molであってもよく、さらにより具体的には少なくとも45,000g/molであってもよい。またこの範囲内で、数平均分子量は好適には最大800,000g/molであり、より具体的には最大700,000g/molであり、さらにより具体的には最大650,000g/molである。
【0069】
該水素化ブロック共重合体の調製に用いられる共役ジエンはC−C20共役ジエンとすることができる。好適な共役ジエンとしては例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなど、およびこれらの組み合わせなどが挙げられる。一部の実施形態では、該共役ジエンは、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンあるいはこれらの組み合わせである。一部の実施形態では、該共役ジエンは1,3−ブタジエンから構成される。
【0070】
前記水素化スチレンブロック共重合体は、(A)アルケニル芳香族化合物から誘導される少なくとも1つのブロックと、(B)共役ジエンから誘導される少なくとも1つのブロックと、を含む共重合体であり、前記ブロック(B)中の脂肪族不飽和基含有量は水素化によって低減する。ブロック(A)と(B)の配列には、直鎖構造、グラフト構造および分枝鎖構造があってもなくてもよいラジアルテレブロック構造が含まれる。直鎖スチレンブロック共重合体には、勾配型直鎖構造と非勾配型直鎖構造が含まれる。一部の実施形態では、該水素化スチレンブロック共重合体は勾配型直鎖構造を有する。分布制御型ブロック共重合体とも呼ばれる勾配型ブロック共重合体の調製方法は、例えばHandlinらの米国特許出願第2003/181584A1号などに記載されている。好適な勾配型ブロック共重合体も、例えば、Kraton POlymers社からKRATON A RP6936およびKRATON A RP6935として販売されている。一部の実施形態では、該水素化スチレンブロック共重合体は非勾配型直鎖構造である。一部の実施形態では、該水素化スチレンブロック共重合体は、アルケニル芳香族モノマーがランダムに組み込まれたBブロックを含む。直鎖スチレンブロック共重合体構造には、ジブロック(A−Bブロック)、トリブロック(A−B−AブロックまたはB−A−Bブロック)、テトラブロック(A−B−A−Bブロック)およびペンタブロック(A−B−A−B−AブロックまたはB−A−B−A−Bブロック)構造、およびAとBの合計で6個以上のブロックを含む直鎖構造が含まれ、ここで、各Aブロックの分子量は他のAブロックの分子量と同じであっても違っていてもよく、また各Bブロックの分子量は他のBブロックの分子量と同じであっても違っていてもよい。一部の実施形態では、該水素化スチレンブロック共重合体は、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体あるいはこれらの組み合わせである。
【0071】
一部の実施形態では、該水素化スチレンブロック共重合体は酸またはアミン部分で官能化されてもよい。
【0072】
市販の水素化スチレンブロック共重合体の具体的なものとしては、Kraton Polymers社からKraton G1701およびG1702として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロック;Kraton Polymers社からKraton G1641、G1650、G1651、G1654、G1657、G1726、G4609、G4610、GRP−6598、RP−6924、MD−6932M、MD−6933およびMD−6939として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンブロック共重合体;Kraton Polymers社からKraton RP−6935およびRP−6936として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレン(S−EB/S−S)トリブロック共重合体、Kraton Polymers社からKraton G1730として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体;Kraton Polymers社からKraton G1901、G1924およびMD−6684として販売されているマレイン酸無水物−グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体;Kraton Polymers社からKraton MD−6670として販売されているマレイン酸無水物−グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体;旭化成ケミカルズ社からTUFTEC H1043として販売されている、67質量%のポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体;旭化成ケミカルズ社からTUFTEC H1051として販売されている42質量%のポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体;旭化成ケミカルズ社からTUFTEC P1000およびP2000として販売されているポリスチレン−ポリ(ブタジエン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体;旭化成ケミカルズ社からS.O.E.−SS L601として販売されているポリスチレン−ポリブタジエン−ポリ(スチレン−ブタジエン)−ポリブタジエンブロック共重合体;Chevron Phillips Chemical社からK Resin KK38、KR01、KR03およびKR05として販売されている水素化ラジアルブロック共重合体;クラレ社からSEPTON S8104として販売されている、約60質量%のポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体;クラレ社からSEPTON S4044、S4055、S4077およびS4099として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体;およびクラレ社からSEPTON S2104として販売されている、約65質量%のポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体などが挙げられる。複数のブロック共重合体の混合物を用いてもよい。市販の未水素化ブロック共重合体の具体的なものとしては、Kraton Polymers社のKRATON(登録商標)D1101およびD1102を含むKRATON(登録商標)Dシリーズポリマー、およびChevron Phillips Chemical社から、例えばK−RESIN KR01、KR03、KR05、およびKR10として販売されているスチレンブタジエンラジアルテレブロック共重合体などが挙げられる。
【0073】
一部の実施形態では、1つまたは複数の種類のスチレンブロック共重合体を一緒に使用できる。該スチレンブロック共重合体またはスチレンブロック共重合体類の組み合わせの組成物中の存在量は、該組成物の全質量に対して1〜60質量%であってもよい。この範囲内で、該スチレンブロック共重合体またはスチレンブロック共重合体の組み合わせの量は、組成物の全質量に対して5質量%以上であり、より具体的には15質量%以上であってもよい。またこの範囲内で、該スチレンブロック共重合体またはスチレンブロック共重合体の組み合わせの量は、該組成物の全質量に対して55質量%以下であり、より具体的には40質量%以下であり、さらにより具体的には30質量%以下であってもよい。
【0074】
相溶化剤の種類に関しては何の制限もない。一部の実施形態では、該相溶化剤は、(i)ジブロックおよびトリブロックスチレンブロック共重合体の組み合わせ(ii)中心のブロックが分布制御共重合体であるスチレンブロック共重合体、(iii)ポリプロピレン−ポリスチレングラフト共重合体、(iv)アリールアルキレン含有量が前記第1のブロック共重合体の全質量に対して50質量%以上のスチレンブロック共重合体、およびこれらの混合物から構成される群から選択させるポリマー相溶化剤を含む。該ポリマー相溶化剤は、該スチレン樹脂、特に該スチレンブロック共重合体とは異なるか、あるいはこれらを含んでいてもよい。
【0075】
前記ポリ(アリーレンエーテル)が連続相あるいは共連続相でない組成物では、該ポリマー相溶化剤の存在量を十分なものとして、平均直径が5μm未満およびまたは平均粒子面積が4μm以下の分散ポリ(アリーレンエーテル)粒子を形成させる。一部の実施形態では、該ポリマー相溶化剤の量は、全組成物を含めた質量に対して0〜30質量%であってもよい。この範囲内で、ブロク共重合体の組み合わせの量は、組成物の全質量に対して5質量%以上であってもよく、より具体的には10質量%以上であってもよい。
【0076】
該ポリマー相溶化剤は、米国特許公報第20060135661号および同第20060135695号に詳細に記載されており、これらの特許はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0077】
使用可能な難燃剤の種類については、該難燃剤が処理中の高温下で安定であることが望ましいことと、塩素と臭素を含まない点を除いては特に制限はない。典型的な難燃剤としては、メラミン(CAS No.108−78−1)、メラミンシアヌレート(CAS No.37640−57−6)、リン酸メラミン(CAS No.20208−95−1)、ピロリン酸メラミン(CAS No.15541−60−3)、ポリリン酸メラミン(CAS No.218768−84−4)、メラム、メレム、メロン、ホウ酸亜鉛(CAS No.1332−07−6)、リン酸ホウ素、赤リン(CAS No.7723−14−0)、有機リン酸エステル、リン酸一アンモニウム(CAS No.7722−76−1)、リン酸二アンモニウム(CAS No.7783−28−0)、アルキルホスホネート(CAS No.78−38−6および78−40−0)、金属ジアルキルホスフィネート、ポリリン酸アンモニウム(CAS No.68333−79−9)、低溶融ガラス、およびこれらの難燃剤の複数の組み合わせなどが挙げられる。
【0078】
一部の実施形態では、該組成物は、有機リン酸エステル、金属ジアルキルホスフィネート、窒素含有難燃剤、金属水酸化物およびこれらの混合物から構成される群から選択される難燃剤を含む。該熱可塑性組成物中に存在する場合、難燃剤の量は、ISO6722の炎伝播方法に準拠して試験して、前記被覆導体の消炎時間を70秒以下とするために十分な量である。一部の実施形態では、該難燃剤の量は、該組成物の全質量に対して1〜35質量%であってもよい。この範囲内で、難燃剤の量は5質量%以上とすることができ、より具体的には10質量%以上とすることができる。またこの範囲内で、難燃剤の量は30質量%以下とすることができ、より具体的には25質量%以下とすることができる。
【0079】
典型的な有機リン酸エステル難燃剤としては、これに限定されないが、フェニル基、置換フェニル基あるいはこれらの組み合わせを含むリン酸エステル、例えばレゾルシノールビス−ホスホン酸ジフェニルなどのレゾルシノール系のビス−アリールリン酸エステル、および例えば、ビス−フェノールAビス−ホスホン酸ジフェニルなどのビス−フェノール系のビス−アリールリン酸エステルなどが挙げられる。一部の実施形態では、該有機リン酸エステルは、トリス(アルキルフェニル)ホスフェート(例えばCAS No.89492−23−9あるいはCAS No.78−33−1)、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート(例えばCAS No.57583−54−7)、ビス−フェノールAビス−ジフェニルホスフェート(例えばCAS No.181028−79−5)、リン酸トリフェニル(例えばCAS No.115−86−6)、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート(例えばCAS No.68937−41−7)およびこれらの有機リン酸エステルの複数のものの混合物から選択される。
【0080】
一部の実施形態では、該有機リン酸エステルは、下式のビス−アリールホスフェートを含む。
【化3】

式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素数が1〜5のアルキル基であり、R〜Rは独立に、炭素数が1〜10のアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、nは1〜25の整数であり、s1とs2は独立に0〜2の整数である。一部の実施形態では、OR、OR、ORおよびORは独立に、フェノール、モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノールまたはトリアルキルフェノールから誘導される。
【0081】
当業者には容易に理解されるように、該ビス−アリールホスフェートはビスフェノールから誘導される。典型的なビスフェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(所謂ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられる。一部の実施形態では、該ビスフェノールはビスフェノールAを含む。
【0082】
有機リン酸エステルは、該熱可塑性組成物中の異なる有機リン酸エステルの量の決定を困難にする(わずかな違いの)分子量を有することができる。一部の実施形態では、該有機リン酸エステルの結果としてのリンの量は、該組成物の全質量に対して0.8質量%〜1.2質量%である。
【0083】
該熱可塑性組成物に存在する場合、前記難燃剤の量は、前記被覆導体が、被覆導体の種類に対する関連の難燃性標準をパスするのに十分な量である。例えば、該被覆導体が被覆導体の場合、難燃剤の量は、ISO6722の炎伝播方法に準拠して試験して、前記被覆導体の消炎時間を70秒以下とするために十分な量である。
【0084】
一部の実施形態では、該難燃剤は、該組成物の全質量に対して5〜30質量%の量の有機リン酸エステルを含む。この範囲内で、有機リン酸エステルの量は7質量%以上であり、より具体的には10質量%以上である。またこの範囲内で、有機リン酸エステルの量は25質量%以下であり、より具体的には20質量%以下である。
【0085】
一部の実施形態では、該難燃剤は金属ジアルキルホスフィネートを含む。ここで用いられているように、用語「金属ジアルキルホスフィネート」は、少なくとも1つの金属カチオンと少なくとも1つのジアルキルホスフィネートアニオンを含む塩を指す。一部の実施形態では、該金属ジアルキルホスフィネートは下記式で表される構造を有する。
【化4】

式中、RとRは各々独立にC−Cアルキルであり、Mはカルシウム、マグネシウム、アルミニウムまたは亜鉛であり、dは2または3である。RおよびRとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよびフェニルが挙げられる。一部の実施形態では、RおよびRはエチルであり、Mはアルミニウムであり、dは3(すなわち、該金属ジアルキルホスフィネートはアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート))である。
【0086】
一部の実施形態では、該金属ジアルキルホスフィネートは微粒子状である。該金属ジアルキルホスフィネート粒子の中央粒径(D50)は40μm以下であってもよく、より具体的には30μm以下であってもよく、さらにより具体的には25μm以下であってもよい。また、該金属ジアルキルホスフィネートを、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリオレフィン、ポリアミド、ブロック共重合体あるいはこれらの組み合わせなどのポリマーと混合してマスターバッチを形成してもよい。該金属ジアルキルホスフィネートマスターバッチは、前記熱可塑性組成物中での存在量より多くの量の金属ジアルキルホスフィネートを含む。該金属ジアルキルホスフィネートを該熱可塑性組成物の他の成分に添加するためにマスターバッチを用いると、添加が容易になり金属ジアルキルホスフィネートの分散を向上させられる。
【0087】
一部の実施形態では、該難燃剤は、該組成物の全質量に対して0〜20質量%の量の金属ジアルキルホスフィネートを含む。この範囲内で、該金属ジアルキルホスフィネートの量は2質量%以上とすることができ、より具体的には5質量%以上とすることができる。またこの範囲内で、有機リン酸エステルの量は15質量%以下にすることができ、より具体的には10質量%以下にすることができる。
【0088】
一部の実施形態では、該難燃剤は、窒素含有複素環の塩基と、リン酸塩、ピロリン酸塩あるいはポリリン酸塩の酸と、を含む。一部の実施形態では、前記窒素含有難燃剤は下記式で表される構造を有する。
【化5】

式中、gは1〜約10,000であり、f:gの比率は約0.5:1〜約1.7:1であり、具体的には0.7:1〜1.3:1であり、より具体的には0.9:1〜1.1:1である。この式の構造が、1つまたは複数のプロトンがポリリン酸基からメラミン基に移動した種を含むことは理解されるであろう。gが1の場合、該窒素含有難燃剤はリン酸メラミン(CAS登録No.20208−95−1)である。gが2の場合、該窒素含有難燃剤はピロリン酸メラミン(CAS登録No.1554160−3)である。gが平均で2を越える場合、該窒素含有難燃剤はポリリン酸メラミン(CAS登録No.56386−64−2)である。一部の実施形態では、該窒素含有難燃剤はピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミンあるいはこれらの混合物である。該窒素含有難燃剤がポリリン酸メラミンである一部の実施形態では、gの平均値は2〜約10,000であり、具体的には約5〜約1,000であり、より具体的には約10〜約500である。該窒素含有難燃剤がポリリン酸メラミンである一部の実施形態では、gの平均値は2〜約500である。リン酸メラミン、ピロリン酸メラミンおよびポリリン酸メラミンの調製方法は当分野で既知であり、それらすべてが市販されている。例えば、ポリリン酸メラミンは、例えばKasowskiらの米国特許第6,025,419号に記載されているように、ポリリン酸とメラミンとを反応させて調製してもよく、あるいはJacobsonらの国際特許出願第WO98/08898号に記載されているように、窒素雰囲気下290℃でピロリン酸メラミンを恒量になるまで加熱して調製してもよい。
【0089】
該窒素含有難燃剤は温度に対する揮発度が低くなり得る。例えば、一部の実施形態では、該窒素含有難燃剤は、25℃から280℃まで20℃/minの割合で加熱したときの質量損失が熱質量分析で1%未満であり、具体的には25℃から300℃まで加熱時の質量損失が1%未満であり、より具体的には25℃から320℃まで加熱時の質量損失が1%未満である。
【0090】
一部の実施形態では、該難燃剤は、前記組成物の全質量に対して0〜20質量%の量の窒素含有難燃剤を含む。この範囲内で、窒素含有難燃剤の量は2質量%以上であり、より具体的には5質量%以上である。またこの範囲内で、有機リン酸エステルの量は15質量%以下であり、より具体的には10質量%以下である。
【0091】
一部の実施形態では、該難燃剤は、金属水酸化物を含んでいてもよい。好適な金属水酸化物としては、難燃性を付与できるすべてのもの、およびそれらの組み合わせが挙げられる。金属水酸化物は、難燃性添加組成物(fire additive composition)およびまたは難燃性熱可塑性組成物の処理中に実質的に分解しないように選択される。「実質的に分解しない」とは、ここでは、該難燃性添加組成物による所望のレベルの難燃性付与を阻まない量の分解であると定義される。典型的な金属水酸化物としては、これに限定されないが、水酸化マグネシウム(例えばCAS No.1309−42−8)、水酸化アルミニウム(例えばCAS No.21645−51−2)コバルト水酸化物(例えばCAS No.21041−93−0)およびこれらのものの複数の組み合わせなどが挙げられる。一部の実施形態では、該金属水酸化物は水酸化マグネシウムを含む。一部の実施形態では、該金属水酸化物の平均粒径は10μm以下であり、およびまたはその純度は90質量%以上である。一部の実施形態では、該金属水酸化物が実質的に水を含まない、すなわち、120℃×1時間乾燥時の質量損失が1質量%未満であることが望ましい。一部の実施形態では、例えばステアリン酸あるいは他の脂肪酸で該金属水酸化物をコーティングすることができる。
【0092】
該難燃剤は、前記組成物の全質量に対して、0〜35質量%の金属水酸化物を含むことができる。この範囲内で、該金属水酸化物の存在量は、該組成物の全質量に対して10質量%以上にすることができ、より具体的には15質量%以上、さらにより具体的には20質量%以上にすることができる。またこの範囲内で、該金属水酸化物の存在量は、該組成物の全質量に対して30質量%以下にすることができ、より具体的には25質量%以下にすることができる。
【0093】
一部の実施形態では、該組成物は0.1質量%未満のポリシロキサンを含んでおり、より具体的には0.05質量%未満のポリシロキサンを含む。
【0094】
さらに、該組成物は、酸化防止剤;例えばケイ酸塩、TiO、繊維、ガラス繊維、ガラス球、炭酸カルシウム、タルクおよび雲母などの、平均粒径が10μm以下の充填材や補強剤;離型剤;UV吸収剤;光安定剤などの安定剤;潤滑剤;可塑剤;顔料;染料;着色剤;静電防止剤;起泡剤;発泡剤;金属活性低下剤、およびこれらの添加剤の1つまたは複数を含む組み合わせなどを選択的に含んでもよい。これらの添加剤の量は、該組成物の全質量に対して0.01〜5質量%の範囲で変えられる。
【0095】
該熱可塑性組成物の製造方法には、典型的には混合押出機すなわちバンバリーミキサー(Banbury mixer)などの溶融混合装置内で該組成物を溶融混合するステップが含まれる。一部の実施形態では、該ポリ(アリーレンエーテル)、スチレンブロック共重合体およびポリオレフィンを同時に溶融混合する。別の実施形態では、該ポリ(アリーレンエーテル)、スチレンブロック共重合体および選択的にポリオレフィンの一部を溶融混合して第1の溶融混合物を形成する。続いて、該ポリオレフィンあるいはポリオレフィンの残りをさらに前記第1の溶融混合物と溶融混合して第2の溶融混合物を形成する。あるいは、該ポリ(アリーレンエーテル)とスチレンブロック共重合体の一部を溶融混合して第1の溶融混合物を形成し、次にポリオレフィンとスチレンブロック共重合体の残りを第1の溶融混合物とさらに溶融混合して第2の溶融混合物を形成してもよい。
【0096】
前述の溶解混合プロセスは前記第1の溶融混合物を分離することなく実現でき、あるいは第1の溶融混合物を分離して実現できる。1つまたは複数の種類の溶解混合装置を備える1つまたは複数の溶解混合装置をこれらのプロセスで使用できる。一部の実施形態では、該被覆を形成する該熱可塑性組成物の一部の成分を、導体のコーティングに使用する押出機内に導入して溶融混合してもよい。
【0097】
ポリマー合金およびその製造に関する一般的な分野でよく理解されるように、該難燃剤の添加方法および添加位置は、例えば難燃剤が固体か液体かなどの難燃剤の特性や物性によって典型的に決定される。一部の実施形態では、該難燃剤を該熱可塑性組成物の成分の1つ、例えばポリオレフィンの一部と配合して、その後に残りの成分と溶融混合される濃縮物を形成する。
【0098】
該ポリ(アリーレンエーテル)、スチレンブロック共重合体、ポリオレフィンおよび難燃剤を、ポリ(アリーレンエーテル)のガラス転移温度を超えポリオレフィンの分解温度未満の温度で溶融混合する。例えば、該ポリ(アリーレンエーテル)、スチレンブロック共重合体、ポリオレフィンおよび難燃剤を、240℃〜320℃の押出機温度で溶融混合してもよい。また、溶融混合中、短い時間であればこの範囲を超えてもよい。この範囲内で、温度は250℃以上であってもよく、より具体的には260℃以上であってもよい。またこの範囲内で、温度は310℃以下であってもよく、より具体的には300℃以下であってもよい。
【0099】
一部のあるいはすべての成分を溶融混合後、該溶融混合物を1つまたは複数のフィルタを通して溶融ろ過できる。一部の実施形態では、該1つまたは複数のフィルタの開口部直径は20μm〜150μmである。この範囲内で、開口部径は130μm以下であってもよく、より具体的には110μm以下であってもよい。またこの範囲内で、該開口部の径は30μm以上とすることができ、より具体的には40μm以上とすることができる。
【0100】
一部の実施形態では、該フィルタ開口部の最大径は、該導体に適用される被覆の厚さの半分以下である。例えば、該被覆導体が厚さ200μmの被覆を有する場合、該フィルタ開口部の最大径は100μm以下である。
【0101】
該溶融混合物から微粒子不純物を取り除ける任意の好適な溶融ろ過システムあるいは装置を用いてもよい。一部の実施形態では、該融液は単一の溶融ろ過システムでろ過される。多段溶融ろ過システムも考慮される。
【0102】
好適な溶融ろ過システムは、これに限定されないが、焼結金属、金属網またはスクリーン、繊維金属フェルト、セラミックあるいはこれらの材料の組み合わせなどの種々の材料から成るフィルタを備える。特に有用なフィルタは、Pall社およびMartin Kurz社で調製される焼結ワイヤー網フィルタなどの、高ねじれ性を示す焼結金属フィルタである。
【0103】
一部の実施形態では、該溶融ろ過混合物はダイヘッドを通過し、ストランドペレット化または水中ペレット化でペレット化される。ペレット化された材料は包装され、保管されそして輸送される。一部の実施形態では、該ペレットを、金属箔で裏打ちしたプラスチックバッグ、典型的にはポリプロピレンバッグ、または金属箔で裏打ちした紙袋で包装する。ペレット充てんバックから、実質的にすべての空気を抜くことができる。
【0104】
一部の実施形態では、該熱可塑性組成物は、目に見える粒子状不純物を実質的に含まない。目に見える微粒子すなわち「黒粒」は、拡大せずに人間に一般に可視であり平均粒径が40μm以上の暗いまたは着色粒子である。平均粒径が30μm未満の粒子を拡大せずに視覚的に検出できる人もいれば、平均粒径が40μmより大きい粒子だけを検出できる人もいるが、特定の平均粒径に言及せずにここで用いられる場合、用語「可視粒子」、「可視微粒子」および「黒粒」は、平均粒径が40μm以上の粒子を意味する。ここで用いられるように、熱可塑性組成物に対して用いられる「目に見える微粒子不純物を実質的に含まない」との表現は、該組成物を射出成形して大きさが75mm×50mm、厚さが3mmの板を5枚形成し、該板の黒粒を肉眼で目視検査した場合、5枚の板すべての黒粒の総数が100個以下であり、より具体的には70個以下であり、さらにより具体的には50個以下である、ことを意味する。
【0105】
一部の実施形態では、該ペレットを溶融して組成物を押出コーティングなどの好適な方法で導体に塗布して被覆導体を形成する。例えば、ねじ、クロスヘッド、ブレーカープレート、分配器、ニップルおよびダイを備えたコーティング押出機が使用できる。該溶融熱可塑性組成物は、導体の周囲上に設けられた被覆を形成する。押出コーティングでは、シングルテーパーダイ、ダブルテーパーダイ、他の適当なダイあるいは複数のダイの組み合わせを用いて導体を中心に位置決めし、ダイリップへの堆積を避けるようにしてもよい。
【0106】
一部の実施形態では、該組成物を導体に塗布して導体上に設けられた被覆を形成する。さらなる層を該被覆上に塗布してもよい。
【0107】
一部の実施形態では、導体と被覆間に1つまたは複数の介在層を有する導体に該組成物を塗布して導体上に設けられた被覆を形成する。例えば、導体と被覆間に選択的な接着促進層を設けてもよい。別の例では、被覆塗布前に、該導体を金属不活性化剤でコーティングしてもよい。別の例では、前記介在層は、ある場合には、発泡性の熱可塑性または熱硬化性組成物を含む。
【0108】
一部の実施形態では、該導体の断面は、(i)米国電線規格(AWG)のAWG24〜AWG5、(ii)断面積0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、(iii)公称径0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、の内の少なくとも1つを満たす。
【0109】
一部の実施形態では、被覆導体は、導体と、熱可塑性組成物を含む被覆と、を備え、前記被覆導体は本質的にISO6722の性能要件を満たし、前記被覆は前記導体上に設けられ、前記被覆の厚さは約0.25〜約8mmである。
【0110】
一部の実施形態では、押出コーティングの前に該熱可塑性組成物を乾燥させることが有用である。典型的な乾燥条件は60〜90℃×2〜20時間である。また一部の実施形態では、押出コーティング中、コーティング形成前に該熱可塑性組成物を開口部径が20μm〜150μmの1つまたは複数のフィルタに通して溶融ろ過する。この範囲内で、開口部直径は30μm以上であってもよく、より具体的には40μm以上であってもよい。またこの範囲内で、開口部直径は130μm以下であってもよく、より具体的には110μm以下であってもよい。該コーティング押出機は、上記のように、1つまたは複数のフィルタを備えていてもよい。
【0111】
一部の実施形態では、押出コーティング中、コーティング形成前に、開口部の最大径が導体に塗布されるコーティングの厚さの半分以下である1つまたは複数のフィルタに通して、該熱可塑性組成物を溶融ろ過する。
【0112】
別の実施形態では、溶解混合で製造された溶融ろ過混合物はペレット化しない。そうせずに、溶融混合装置、典型的には混合押出機と並行するコーティング押出機を用いて、該溶融ろ過混合物から直接、導体のコーティングを形成する。該コーティング押出機は、上記のように、1つまたは複数のフィルタを備えていてもよい。
【0113】
一部の実施形態では、該熱可塑性組成物のシートを別途作ることが考慮される。複数の導体を2枚の熱可塑性組成物シート間に平行に並べ、これをプレスして所謂「リボンワイヤー」を作る。
【0114】
一部の実施形態では、被覆を提供するチューブに該熱可塑性組成物を押出す、あるいは成形することが考慮される。該導体と選択的な介在層を前記チューブに挿入して被覆導体を形成してもよい。
【0115】
押出コーティング前またはコーティング中に、着色濃縮物またはマスターバッチを組成物に添加してもよい。着色濃縮物を用いる場合、その典型的な量は、該組成物の全質量に対して3質量%以下である。一部の実施形態では、該着色濃縮物中の染料およびまたは顔料は、塩素、臭素およびフッ素を含まない。当業者であれば理解されるように、着色濃縮物添加前の組成物の色は、得られる最終色に影響を与え、ある場合には、漂白剤およびまたは色安定剤の使用が好都合である。漂白剤および色安定剤は当分野で既知であり、市販されている。
【0116】
押出コーティング中の押出温度は一般に320℃以下であり、より具体的には310℃以下であり、さらにより具体的には290℃以下である。また、加工温度は、導体の被覆を提供する十分に流動性を有する溶融組成物を提供できるように調整され、例えば、該熱可塑性組成物の融点より高い温度に調製され、より具体的には該熱可塑性組成物の融点より少なくとも10℃高い温度に調整される。
【0117】
押出コーティング後、通常は、水浴、水スプレー、エアジェットあるいはこれらの冷却方法の1つまたは複数を含む組み合わせを用いて該被覆導体を冷却する。典型的な水浴温度は20〜85℃である。
【0118】
あるいは、シートやトレーなどの物品が耐薬品性、熱老化性、耐摩耗性および衝撃強度のうちの複数を有することが望ましい場合は、該組成物を成形または押出してそうした物品を形成してもよい。
【0119】
該組成物と被覆導体について、以下の限定しない実施例によってさらに説明する。
【実施例】
【0120】
以下の実施例は表1に記載の材料を用いて調製した。
【表1】

比較実施例1*〜14*
【0121】
二軸スクリュ押出機内で成分を混合して実施例を製造した。PPEとブロック共重合体は供給口で添加し、ポリオレフィンは下流で添加した。BPADPは押出機の後半部分で液体注入により添加した。押出された材料を射出成形して物性試験用の試験片を作った。物性試験とその試験方法を表2に示す。ASTM D638−03に準拠した試験では、曲げ弾性率サンプルと同様の条件で射出成形したタイプIサンプルを用いた。引張伸び率を速度50mm/minで測定した。メガパスカルはMPaと、ジュールはJと、ニュートンはNと、メートルはmと略記する。熱変形温度と曲げ弾性率は3つのサンプルの平均である。残りの値は5つのサンプルの平均である。表3は比較実施例1*〜14*の処方を示す。表4は比較実施例1*〜14*の試験結果を示す。
【表2】

【表3】

【表4】


比較実施例15*〜16*および発明実施例1〜4
【0122】
二軸スクリュ押出機内で成分を混合して実施例を製造した。PPEとブロック共重合体は供給口で添加し、ポリオレフィンは下流で添加した。BPADPは押出機の後半部分で液体注入により添加した。押出された材料を射出成形して物性試験用の試験片を作った。物性試験およびその試験方法を表2に示す。ASTM D638−03に準拠した試験では、曲げ弾性率サンプルと同様の条件で射出成形したタイプIサンプルを用いた。引張伸び率を速度50mm/minで測定した。メガパスカルはMPaと、ジュールはJと、ニュートンはNと、メートルはmと略記する。熱変形温度と曲げ弾性率は3つのサンプルの平均である。熱変形温度データは応力1.82MPaで測定した。残りの値は5つのサンプルの平均である。表5は比較実施例15*と16*、および発明実施例1〜4の試験結果を示す。
【0123】
比較実施例15*と16*、および実施例1〜4の組成物を用いて被覆導体を製造した。該導体のサイズは2.0mmであった。熱可塑性組成物を325メッシュを通してろ過し、82℃×3〜4時間で乾燥後に被覆導体芯と共に押出して被覆導体を形成した。被覆の厚さは0.4μmであった。
【0124】
該被覆導体について、引張伸び率、引張強度、耐摩耗性、(荷重7ニュートン)、難燃性、耐ガソリン性、耐温水性、短期熱老化性(クラスC)、長期熱老化性(クラスAおよびB)、熱過負荷性(クラスB)、高温耐圧性の試験を行った。また、該被覆導体の難燃性と耐温水性も試験した。試験はISO 6722に準拠して行った。さらに、該被覆導体の束柔軟性についても試験した。
【表5】

【表6】

【0125】
実施例1〜4の曲げ弾性率は驚くほど低く、他の特性においても大きな損失はなく、また、ISO6722の性能要件を満たしている。例えば、実施例1〜4は、比較実施例14*および15*と比べて曲げ弾性率は低下しているが、依然として優れた耐摩耗性を有している。
【0126】
本明細書と特許請求の範囲には、多くの用語について言及されているが、それらは次の意味を持つと定義される。ここで使用される「第1の」「第2の」など、「一級の」「二級の」など、「(a)」「(b)」などの用語は、いかなる順序や量あるいは重要度を表すものではなく、ある成分と他の成分とを区別するために用いられる。同じ成分あるいは特性に関する範囲の終了点はすべて終点を含むものであり、該終点は互いに独立に組み合わせ可能である。本明細書と特許請求の範囲全体を通した「1つの実施形態」、「別の実施形態」、「ある実施形態」、「一部の実施形態」などの言及は、該実施形態に関連して説明される特定の要素(例えば、特長、構造、特性およびまたは特徴)が、ここで説明された少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味し、他の実施形態には含まれても含まれていなくてもよい。また、説明された要素は種々の実施形態中で任意の好適な方法で組み合わせられてもよいことは理解されるべきである。単数表現は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数の対象を含む。「選択的な」あるいは「選択的に」は、続いて説明する出来事あるいは状況が生じても生じなくてもよく、その説明にはその事象が生じる事例と生じない事例とを含んでいる。
【0127】
本発明を典型的な実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能でありその要素を等価なもので置換できることは理解するであろう。また、本発明の本質的な範囲から逸脱することなくその教示に対して、特定の状況あるいは材料に適応するために多くの修正が可能である。従って、本発明は、本発明実施のために考慮される最良の形態として記載した特定の実施形態に限定させず、添付の特許請求の範囲に入るすべての実施形態を含むものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越えるポリ(アリーレンエーテル)と、
スチレン樹脂と、
ポリオレフィン樹脂と、
を含む熱可塑性組成物であって、
前記熱可塑性組成物の曲げ弾性率は、ASTM D790−03に準拠して測定して400〜1000MPaであることを特徴とする熱可塑性組成物。
【請求項2】
難燃剤、相溶化剤あるいは難燃剤と相溶化剤の組み合わせをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性組成物。
【請求項3】
前記ポリオレフィンは中密度ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性組成物。
【請求項4】
前記ポリオレフィンは中密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンの混合物を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性組成物。
【請求項5】
前記スチレン樹脂は、ポリ(アルケニル芳香族)含有量が10〜45質量%の水素化スチレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱可塑性組成物。
【請求項6】
固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越える、5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)と、
1〜70質量%のポリオレフィン樹脂と、
1〜60質量%のスチレン樹脂と、
0〜35質量%の難燃剤と、
0〜30質量%の相溶化剤と、
を含む熱可塑性組成物であって、
前記熱可塑性組成物の曲げ弾性率は、ASTM D790−03に準拠して測定して400〜1000MPaであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱可塑性組成物。
【請求項7】
固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越える、5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)と、
10〜80質量%のポリオレフィン樹脂と、
0〜30質量%の相溶化剤と、
1〜55質量%のスチレンブロック共重合体と、
1〜35質量%の難燃剤と、
を含む熱可塑性組成物であって、
前記熱可塑性組成物の曲げ弾性率は、ASTM D790−03に準拠して測定して400〜1000MPaであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性組成物。
【請求項8】
固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越える、5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)と、
10〜80質量%のポリエチレン樹脂と、
0〜30質量%の相溶化剤と、
1〜55質量%のスチレンブロック共重合体と、
1〜35質量%の難燃剤と、
を含む熱可塑性組成物であって、
前記熱可塑性組成物の曲げ弾性率は、ASTM D790−03に準拠して測定して400〜1000MPaであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱可塑性組成物。
【請求項9】
導体と、
前記導体上に設けられた被覆と、
を備え、
前記被覆は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の熱可塑性組成物を含み、
前記被覆導体は、本質的にISO6722の性能要件を満たしており、前記導体の断面は、(i)米国電線規格(AWG)のAWG24〜AWG5、(ii)断面積0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、(iii)公称径0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、の内の少なくとも1つを満たすことを特徴とする被覆導体。
【請求項10】
前記被覆の厚さは0.25〜8mmであることを特徴とする請求項9に記載の被覆導体。
【請求項11】
請求項9または10に記載の被覆導体を含むことを特徴とする自動車ワイヤーハーネス組立体。
【請求項12】
請求項11に記載の自動車ワイヤーハーネス組立体を備えることを特徴とする最終備品。
【請求項13】
固有粘度が25℃のクロロホルム中で測定して0.25dL/gを越える、5〜50質量%のポリ(アリーレンエーテル)と、
10〜80質量%のポリエチレン樹脂と、
0〜30質量%の相溶化剤と、
1〜55質量%のスチレンブロック共重合体と、
1〜35質量%の難燃剤と、
を含む熱可塑性組成物であって、
前記熱可塑性組成物の曲げ弾性率は、ASTM D790−03に準拠して測定して400〜1000MPaであることを特徴とする熱可塑性組成物。
【請求項14】
導体と、
前記導体上に設けられた被覆と、を備え、
前記被覆は、請求項13に記載の熱可塑性組成物を含み、
前記被覆導体は、本質的にISO6722の性能要件を満たしており、前記導体の断面は、(i)米国電線規格(AWG)のAWG24〜AWG5、(ii)断面積0.20〜16.8mm(ASTM B258−02に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、(iii)公称径0.51〜4.62mm(UL1581、第4版、表20.1に準拠してAWG24〜AWG5に対応)、の内の少なくとも1つを満たすことを特徴とする被覆導体。

【公表番号】特表2012−503089(P2012−503089A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528028(P2011−528028)
【出願日】平成21年9月21日(2009.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/057623
【国際公開番号】WO2010/033889
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(508171804)サビック・イノベーティブ・プラスチックス・アイピー・ベスローテン・フェンノートシャップ (86)
【Fターム(参考)】