説明

ポリ(トリメチレンテレフタレート)ヤーンの紡糸

ポリ(トリメチレンテレフタレート)から紡糸延伸ヤーンを製造する新規なプロセスが提供される。チーズ形スピンドルの形態でパッケージすると、ヤーンは破損することなく、大きなサイズで製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)を紡糸して、テキスタイルおよびその他用途に好適なファイバーを作成する方法、その製品に関し、ファイバーは紡糸および更なる処理中およびその後に許容される量の熱収縮を有している。
【背景技術】
【0002】
通常、「ポリアルキレンテレフタレート」と呼ばれているポリ(エチレンテレフタレート)(「2GT」)およびポリ(ブチレンテレフタレート)(「4GT」)は、一般的に市販されているポリエステルである。ポリアルキレンテレフタレートは、優れた物理および化学特性、特に、化学特性、熱および光安定性、高融点および高強度を有している。その結果、樹脂、フィルムおよびファイバーに広く用いられている。
【0003】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)(「3GT」)は、ポリマー骨格モノマー成分の1つである1,3−プロパンジオール(PDO)への低コスト経路での最近の開発により、ファイバーとして商業的な関心を集めている。3GTは、大気圧での分散染色性、低曲げモジュラス、弾性回復および弾性のために、ファイバー形態であることが長く望まれてきた。
【0004】
3GTフィラメントを紡糸および延伸するのは、単一の組み合わせた操作において連続的に実施してもよい。かかるプロセスにより製造されたヤーンは、紡糸延伸ヤーン(SDY)と呼ばれる。しかしながら、このようにして製造されたヤーンは、巻き付ける管で収縮する傾向があり、ヤーンパッケージに厚いバルジを生じさせたり、管を破損させてしまう。この問題は、紡糸速度が約3500m/分を超えるときに、約4kgを超えるヤーンを含有するパッケージのような大きめのパッケージのヤーンを作成するときより厳しい。管が破損すると、ヤーンパッケージはワインダのスピンドルに固着して、容易に取り外せなくなってしまう。ある実施形態において、すなわち、あるマルチフィラメントヤーンにおいて、ヤーンのIVは約0.7〜約1.1である。
【0005】
いくつかの解決策が提案されている。例えば、小さなパッケージを巻き付けるとき、管に巻き付くヤーンの層が少ないため、収縮力を減じることができる。しかしながら、小さなパッケージのパッケージングは不経済となる。厚く強い管を用いると、パッケージサイズが小さくても許容されない重いパッケージが作成され、パッケージサイズが大きいと強度が不適切である。
【0006】
紡糸延伸プロセスにおいて遅い紡糸速度を用いるとこの問題が減じ、バルジや巻き上げ管の破損が改善されることもよく知られている。低紡糸速度を適用すると、低速度によって、2ゴデット(godet)プロセスにおいては延伸ロールと巻き上げとの間が高オーバーフィードとなったり、3ゴデットプロセスにおいては第2と第3のゴデットの間が高オーバーフィードとなる。大オーバーフィードに加えて、低速によって、紡糸中にフィラメントを弛緩するのに時間がかかる。しかしながら、低紡糸速度では、生産性が低くなり、プロセスが不経済となる。
【0007】
特開平9−339502号公報には、押し出されたファイバーを300〜3500m/分および30〜60℃で第1のローラに巻き付け、第2のローラにより100〜160℃で1.3〜4倍その長さを伸張してから、第3のローラに巻き付け冷却する、3GTの紡糸延伸プロセスが開示されている。しかしながら、この技術では、後述の特開平11−302919号公報で指摘されているように、2kgを超える重量のパッケージを作成することはできない。
【0008】
米国特許第6,284,370号明細書には、チーズ形パッケージを得るための3GTの紡糸延伸プロセスが開示されている(後述する通り)。溶融マルチフィラメントは、30〜200℃で保持ゾーンへ入り、フィラメントを固化する。30〜80℃に加熱した第1のゴデットを300〜3500m/分の速度で通過して、遅い巻き付き速度でパッケージへと巻き付ける前に、第2のゴデットへと100〜160℃で1.3〜4の延伸比で延伸される。巻き付け張力は、0.05〜0.4グラム/デニールであるのが好ましい。2つの例(実施例11および12)において、フィラメントを第3のゴデットで冷却する。いずれの実施例にも、好適な第3のゴデットオーバーフィードと組み合わせた高紡糸速度は示されていない。パッケージサイズは1〜5kgであった。
【0009】
米国特許第6,284,370号明細書と同出願人による特開平11−302919号公報には同様のプロセスが開示されている。前述した通り、溶融3GTマルチフィラメントを押し出し固化した後、40〜70℃に加熱した第1のゴデットを300〜3500m/分の速度で通過して、遅い巻き付き速度でパッケージへと巻き付ける前に、第2のゴデットへと120〜160℃で1.5〜3の延伸比で延伸される。この最終冷却は、第3のゴデットでの冷却(実施例1)により、または冷水を適用する(実施例3)ことにより行われた。第2および第3のゴデットは、同じ速度で運転された。すなわち、第3のゴデットはオーバーフィードされなかった。巻き付け張力は、重要であるのに、開示されていなかった。パッケージサイズは6kgまでであった。
【0010】
上記のプロセスではパッケージサイズおよび巻き付け速度が制限されている。4000m/分以上の速度で第2のゴデットでファイバー6kg超を含有するチーズ形パッケージへと3GTファイバーを紡糸可能な紡糸延伸プロセスが必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様によれば、プロセスは、ヤーンを紡糸延伸する工程を含み、
(a)溶融ポリ(トリメチレンテレフタレート)を固体フィラメントへと連続紡糸し、
(b)固定フィラメントを第1のゴデットに巻き付け、
(c)固体フィラメントを第2のゴデットに巻き付け、
(d)固体フィラメントを第3のゴデットに巻き付け、
(e)固体フィラメントをワインダのスピンドルに巻き付けてパッケージを形成し、
フィラメントは、第3のゴデットにオーバーフィードされ、第3のゴデットとスピンドルとの間の巻き付け張力は1デニール当たり0.04〜0.12グラムである。好ましくは、フィラメントは、第2のゴデットの速度より0.8〜2.0%オーバーフィードされる。
【0012】
他の態様によれば、第2のゴデットの周速は第1のゴデットより早い。好ましくは、第2のゴデットの周速は1分当たり4000メートル以上である。ある好ましい実施形態において、第2のゴデットの周速は1分当たり4800メートル以上、例えば、約5200以上である。
【0013】
他の態様によれば、第1のゴデットと第2のゴデットとの間の延伸比は1.1〜2.0である。
【0014】
他の態様によれば、第3のゴデットの周速は第2のゴデットの周速より遅い。
【0015】
更に他の態様によれば、フィラメントはスピンドルにオーバーフィードされる。好ましくは、第3のゴデット速度が、ワインダの本来のヤーン速度より1.5〜2.5%オーバーフィードするように、フィラメントはワインダのスピンドルに巻き付いている。
【0016】
更なる態様によれば、プロセスは、
(a)1グラム当たり0.7デシリットル以上のIVを有するポリ(トリメチレンテレフタレート)を提供する工程と、
(b)約245℃〜約285℃の温度で紡糸口金からポリ(トリメチレンテレフタレート)を押し出す工程と、
(c)ポリ(トリメチレンテレフタレート)を冷却ゾーンにおいて固体状態まで冷却してフィラメントを形成する工程と、
(d)フィラメントを交錯する工程と、
(e)約2600〜約4000m/分の周速で、約85〜約160℃の温度を有する第1のゴデットにフィラメントを巻き付ける工程と、
(f)第1のゴデットより早い周速で、約125〜約195℃まで加熱した第2のゴデットにフィラメントを巻き付けて、延伸比約1.1〜約2.0でフィラメントを第1と第2のゴデットとの間で、延伸する工程と、
(g)第2のゴデットより遅い周速で第3のゴデットにフィラメントを巻き付けて、フィラメントが第2のゴデットより約0.8〜約2.0%オーバーフィードされるようにする工程と、
(h)第3のゴデットより遅い周速で、ワインダのスピンドルにフィラメントを巻き付けて、第3のゴデットの速度がワインダの本来のヤーン速度より1.5〜2.5%オーバーフィードするように、フィラメントがワインダのスピンドルに巻き付けられている工程と
を含み、第3のゴデットとワインダとの間の巻き付け張力が1デニール当たり約0.04〜約0.12グラムの間である。
【0017】
好ましくは、第3のゴデットは加熱されない。一般に、第3のゴデットは、周囲温度、すなわち、約15〜30℃である。
【0018】
更なる態様によれば、ポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンは以下の特性を有している。(a)63.2℃より高い収縮開始温度(shrinkage onset temperature)、(b)1.2%より少ない70℃収縮、(c)0.2g/dより低いピーク熱張力、および(d)5.20×10-4[g/(d℃)]より高い110℃熱張力傾斜。
【0019】
好ましくは、マルチフィラメントヤーンの伸びは約25〜約60%、より好ましくは約30〜約60%である。また、好ましくは、マルチフィラメントヤーンの靭性は少なくとも約3.0g/dである。また、好ましくは、ヤーンのBOSは6〜14%および/またはウースター(Uster)は1.5%以下である。
【0020】
マルチフィラメントヤーンはまた、約40〜約300デニールである。1本のフィラメント当たりのデニールはまた、約0.5〜約10である。
【0021】
他の態様によれば、マルチフィラメントヤーンはチーズ形パッケージを含む。「チーズ形」という用語は、当業者には、図2に示す通り、ややバルジのある側部を備えた、円錐に対して実質的に円柱である3次元形状のことを指していると考えられている。好ましくは、チーズ形パッケージは、ヤーンをパッケージに巻き付けた後4日間、すなわち、約96時間にわたって自立させた際潰れない。
【0022】
更に他の態様によれば、チーズ形パッケージは、少なくとも6キログラム(kg)のポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンを含有し、約10%未満のバルジ率を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
特に断りのない限り、パーセンテージ、部、比率等は全て重量基準である。本明細書で引用した全ての特許、特許出願および文献は、その全体がここに参考文献として組み込まれる。
【0024】
量、濃度またはその他値またはパラメータが、好ましい範囲か、好ましい上限値および好ましい下限値のリストいずれかの範囲として与えられているときは、範囲が別々に開示されているかどうかに係らず、任意の対の任意の上限または好ましい範囲および任意の下限または好ましい値から形成された全ての範囲を開示するものと考えられる。数値範囲が挙げられている場合には、特に断りのない限り、範囲は端点および範囲内の整数および端数も含まれるものとする。本発明の範囲は、範囲を画定するときに挙げた特定の値に限定されるものとは考えられない。
【0025】
第1の態様によれば、
(a)溶融ポリ(トリメチレンテレフタレート)を固体フィラメントへと連続紡糸し、
(b)固体フィラメントを第1のゴデットに巻き付け、
(c)フィラメントを第2のゴデットに巻き付け、
(d)フィラメントを第3のゴデットに巻き付け、
(e)フィラメントをワインダのスピンドルに巻き付けてパッケージを形成し、
フィラメントは第3のゴデットにオーバーフィードされ、第3のゴデットとスピンドルとの間の巻き付け張力が1デニール当たり0.04〜0.12グラムである。
【0026】
本発明の例証の実施形態を図1に示す。しかしながら、これは例証に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとは解釈されない。変形例は、当業者であれば容易に分かるであろう。ポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマーをホッパー1に供給し、ポリマーを押出し機2へ紡糸ブロック3へと供給する。紡糸ブロック3は、紡糸ポンプ4および紡糸パック5を含有する。ポリマースレッドライン(threadline)6は、紡糸ブロック3を出て、空気で冷却7する。仕上げアプリケータ8でスレッドライン6に仕上げを行って、交錯ジェット11を介して通過させる。スレッドライン6は、分離ロール10により、第1の加熱ゴデット9に通過させる。スレッドライン6は、分離ロール13により第2の加熱ゴデット12、次に、交錯ジェット14および第3のゴデット15および分離ロール16に通過させる。スレッドライン6は、交錯ジェット17へ、ファンニングガイド18を通って、ワインダ19からパッケージ20へ通過させる。
【0027】
本発明に有用なポリ(トリメチレンテレフタレート)は、ここに参考文献として組み込まれる米国特許第5,015,789号明細書、同第5,276,201号明細書、同第5,284,979号明細書、同第5,334,778号明細書、同第5,364,984号明細書、同第5,364,987号明細書、同第5,391,263号明細書、同第5,434,239号明細書、同第5,510454号明細書、同第5,504,122号明細書、同第5,532,333号明細書、同第5,532,404号明細書、同第5,540,868号明細書、同第5,633,018号明細書、同第5,633,362号明細書、同第5,677,415号明細書、同第5,686,276号明細書、同第5,710,315号明細書、同第5,714,262号明細書、同第5,730,913号明細書、同第5,763,104号明細書、同第5,774,074号明細書、同第5,786,443号明細書、同第5,811,496号明細書、同第5,821,092号明細書、同第5,830,982号明細書、同第5,840,957号明細書、同第5,856,423号明細書、同第5,962,745号明細書、同第5,990265号明細書、同第6,140,543号明細書、同第6,245,844号明細書、同第6,066,714号明細書、同第6,255,442号明細書、同第6,281,325号明細書および同第6,277,289号明細書、EP第998 440号明細書、国際公開第98/57913号パンフレット、同第00/58393号パンフレット、同第01/09073号パンフレット、同第01/09069号パンフレット、同第01/34693号パンフレット、同第00/14041号パンフレットおよび同第01/14450号パンフレット、H.L.トラウプ(Traub)、「ポリトリメチレンテレフタレートの合成およびテキスタイルの化学的特徴(Synthese und textilchemische Eigenschaften des Poly−Trimethyleneterephthalats)」、論文、シュツットガルト大学(Dissertation Universitat Stuttgart)(1994年)、S.シャウホッフ(Schauhoff)、「ポリ(トリメチレンテレフタレートの製造における新たな開発(New Developments in the Production of Poly(trimethylene terephthalate)(PTT)」、人工ファイバーイヤーブック(Man−Made Fiber Year Book)(1996年9月)および米国特許出願第09/501,700号明細書、同第09/502,322号明細書、同第09/502,642号明細書および同第09/503,599号明細書に記載されているような公知の製造技術(バッチ、連続等)により製造される。本発明のポリエステルとして有用なポリ(トリメチレンテレフタレート)は、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company, Wilmington, Delaware)のより「ソロナ(Sorona)」という商品名で市販されている。
【0028】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)(3GT)ポリマーの固有粘度(IV)は、好ましくは0.7デシリットル/グラム(dl/g)以上、好ましくは0.9dl/g以上、より好ましくは1.0dl/g以上である。高IVを有するのが望ましいが、ある用途については、ポリマーIVは約1.4以下、約1.2dl/g以下、ある実施形態については1.1dl/g以下である。本発明を実施するのに特に有用なポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーの融点は約225〜約231℃である。
【0029】
一般的に、3GTはフレーク材料として利用可能である。フレークは、ポリエステル用の代表的なフレーク乾燥システムにおいて乾燥させるのが好ましい。乾燥後の水分含量は、約40ppm(百万分率)以下であるのが好ましい。
【0030】
紡糸は、従来の技術およびポリエステルファイバーに対して業界で知られた設備を用いて実施することができるのが好ましく、好ましいやり方は本明細書に記載されている。紡糸口金穴サイズ、構成および数は、所望のファイバーおよび紡糸設備に応じて異なる。紡糸温度は、好ましくは、約245〜約285℃である。より好ましくは、紡糸温度は約255〜約285℃である。最も好ましくは、紡糸は約260〜約270℃で実施される。
【0031】
溶融フィラメントを冷却すると、冷却ゾーンにおいて固体状態フィラメントとなる。冷却は、従来のやり方で、好ましくはクロスフロー冷却ゾーンを用いて、空気または業界に知られたその他流体(例えば、窒素)を用いて実施することができる。好ましくは、用いる装置は、紡糸口金から冷却ゾーンの始まりまで、長さ50〜150mm、より好ましくは長さ約60〜90mmの冷却遅延ゾーンを有している。冷却遅延によって、フィラメントが、制御された減衰領域を備え、徐々にクールダウンされる。冷却遅延ゾーンの温度は、約50〜約250℃の範囲にあるのが好ましい。冷却遅延ゾーンは加熱しても非加熱であってもよい。冷却プロセスを良好に制御するには、このゾーンをよく封止して、外部からの空気がフィラメントの束へ漏れないようにし、気流の乱れや不規則なエアフローを防ぐように設計されているのが好ましい。あるいは、放射、非対称またはその他公知の冷却技術を最終冷却に用いることができる。
【0032】
紡糸仕上げは、従来の技術を用いて冷却した後に適切な時間適用されるのが好ましい。紡糸仕上げは、第1のゴデットの前に単一の適用により、一回で適用してもよく、第2の仕上げを第2と第3のゴデットとの間、または第3のゴデットとワインダとの間に適用してもよい。ゴデットの構成の詳細については後述してある。
【0033】
フィラメントを、1分当たり2600〜4000メートル(m/分)の好ましい周速および約85〜約160℃の好ましい温度を有する第1のゴデットに巻き付ける。より好ましくは、第1のゴデットの速度は約3000〜3500m/分である。第1のゴデットの速度が2600m/分より遅いと、必要な後の延伸比から制限があるため、ある用途については生産性が低く望ましくない。ある実施形態において、第1のゴデットの周速は約4700、4800以上と高くすることができる。
【0034】
フィラメントは第1のゴデット/分離ロールの組み合わせ周囲を4〜6回回転しているのが好ましい。本明細書で用いる「第1のゴデット周囲を回転する」または「第2のゴデット周囲を回転する」または「第3のゴデット周囲を回転する」という表現は、特に断りのない限り、夫々のゴデット/分離ロールの組み合わせの周囲を回転していることを意味する。4回より少ない回転だと、フィラメントが滑り、フィラメントを適切に延伸できなくなる恐れがある。
【0035】
フィラメントを第2のゴデットに巻き付ける。第2のゴデットは、第1のゴデットより周速が早いため、フィラメントは第1のゴデットと第2のゴデットとの間で1.1〜2.0の延伸比で延伸される。好ましくは、第2のゴデットの周速は4000m/分以上である。ある好ましい実施形態において、第2のゴデットの周速は4800m/分以上とすることができる。
【0036】
延伸比の選択は、得られるヤーンの所望の伸びにより決められる。ある伸びでの延伸比の選択に影響する2つの主たる因子、ポリマーIVと紡糸速度がある。ある伸びで、ポリマーIVが高くなればなるほど、必要な延伸比は低くなる。紡糸速度が速くなればなるほど、ある伸びおよびポリマーIVで、必要な延伸比は低くなる。
【0037】
第2のゴデット温度は、好ましくは約125〜約195℃、より好ましくは約145〜約195℃である。
【0038】
次に、フィラメントを、第2のゴデットより遅い周速を有する第3のゴデットに巻き付け、フィラメントは第2のゴデットの速度より0.8〜2.0%オーバーフィードされる。0.8%未満のオーバーフィードは、管破損巻き付けまたはバルジを排除するために、十分な配向を弛緩させるのに十分なものではない。少なくとも0.8%のオーバーフィードによって、第2と第3のゴデット間のスレッドラインが、巻き付け管と接触する安定なフィラメント与えるのに十分弛緩されて、少量以上のフィラメントを巻き付けると、巻き付けによってワインダのスピンドルの管が破損する。好ましくは、フィラメントは、第2のゴデットの速度より1.0〜2.0%オーバーフィードされる。オーバーフィードの量は、第2のゴデットのスレットラインの滑りを防ぐために2.0%未満に制御し、紡糸プロセスをより安定にし、紡糸破断を防ぐ。不安定性によって、ファイバーに添ったヤーンの特性が不均一となり、紡糸破断が生じ得る。
【0039】
第3のゴデットは、一部、フィラメントを冷却する機能を果たし、これによって、第2のゴデットとワインダとの間により多くのオーバーフィードが可能となり、フィラメントが第2のゴデットとワインダとの間で弛緩するのにより長い時間が与えられる。第3のゴデットは、このように、加熱または冷却しないのが好ましい。「加熱しない」とは、例えば、熱エネルギーをゴデットに供給することにより、周囲温度より高い温度に上げようとしないことを意味する。低温とするために第3のゴデットでは強化された冷却機構が望ましいが、外部冷却がないと、巻き付ける前にスレッドラインが適切に冷却される。任意で、交錯ジェットおよび/または仕上げアプリケータを、第2のゴデットと第3のゴデットとの間、または第3のゴデットとワインダとの間に据え付ける、または第3のゴデットに換えることができる。
【0040】
最後に、フィラメントを、周速を有するワインダのスピンドルに巻き付けて、第3のゴデット速度が、ワインダの本来のヤーン速度より1.5〜2.5%オーバーフィードされるようにする。従来のワインダを用い、一定のヤーン表面直線速度を維持するために、ヤーンパッケージ直径が増えるにつれて回転速度を変える。ヤーンは、巻き付きながら螺旋でワインダーを移動するため、本来のヤーン速度はワインダ自身よりも速い。かかる低パーセンテージのオーバーフィードで処理するとき、速度のこの僅かな差異は非常に重要である。
【0041】
本来のヤーン速度は、次式により与えられる。
【0042】
【数1】

【0043】
式中、SP(WU)は巻き上げ速度であり、cosはコサインであり、HAは巻き上げ螺旋角度である。螺旋角度は、パッケージ端面を含む面と、面を離れるスレッドラインとの間の角度である。
【0044】
第2のゴデットと第3のゴデットとの間のオーバーフィードの制御に加えて、低巻き付け張力を用いて、巻き上げ管の破損を防ぐ。過剰に高い、または低い巻き付け張力だと、適切なパッケージ巻き付きを妨げるが、適切な巻き上げ張力によって、適切に選択した第3のゴデットのオーバーフィードと第2のゴデットの温度を、紡糸中最良の弛緩に有効なものとすることができる。好ましくは、巻き付け張力は1デニール当たり0.04〜0.12グラム(g/d)である。より好ましくは、巻き付け張力は0.05〜0.10g/dである。更に好ましくは、巻き付け張力は0.06〜0.09g/dである。巻き付け張力は、ワインダオーバーフィードのみでなく、この段階でのフィラメント特性の関数でもある。しかしながら、プロセスのこの段階でフィラメント特性は、既に殆んど決まっているため、巻き付け張力は、前に開示した範囲内で巻き付けオーバーフィードを変えることにより制御される。ワインダの第3のゴデットの最後のガイド接触点と、第1の接触点(接触ロール)との間のスレッドラインファンニング(fanning)ゾーンで巻き付け張力を測定する。
【0045】
巻き付け張力は、次式に従って、巻き上げオーバーフィードにより制御される。




【0046】
【数2】

【0047】
式中、OvFd(WU)は、巻き上げオーバーフィード、SP(G3)は第3のゴデットの紡糸速度、TYSは上で定義した本来のヤーン速度である。
【0048】
当業者に知られている通り、管破損巻き付けとは、パッケージに巻き付けたヤーンのことを指し、ヤーンを保持する管コアが破損する。この結果、例えば、バルジまたはその他変形によりパッケージが変形する。管破損巻き付けは、3GT SDY紡糸においてのみ高い巻き付け張力により生じるが、管破損巻き付けは、3GTの特性に固有の因子のために、通常の巻き付け張力で生じることが多い。3GTについては、管破損巻き付けは、一般的に、パッケージでのヤーンの収縮により生じる。
【0049】
フィラメントを適正な巻き付け張力でパッケージに適正に巻き付けた後、ヤーンが安定な構造を有している場合には、パッケージの形成はそのままである。パッケージのヤーンの分子が周囲温度で配向されないと、ヤーンは収縮し始める。収縮ヤーンにより、高い収縮張力が生じ、管を破損し、かつ、またはパッケージ巻き付けの時間枠中に重い張り出しを生じる。巻き付け張力を効率的に減じるために、第3のゴデットでのスレッドライン滑りを防ぐために、第3のゴデットで何回か回転させなければならない。
【0050】
一杯になったら、巻き付けたファイバーパッケージをワインダから取り外す。パッケージ重量は6kgを超えるのが好ましい。
【0051】
有効なヤーンの特性の測定には、好ましくは、ヤーン特性を平均化した後に、標準化測定手順が必要である。管の実際の収縮に対応する遅延時間でこれらの特性を測定するのが望ましいが、この期間は非常に短いため、数多くの実際上の困難さをもたらす。通常、周囲温度での保管後4日(96時間)の遅延時間が好適である。遅延時間とは、管をドッフィングした後、試験前の時間のことを指す。
【0052】
他の態様によれば、ポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンは以下の特性を有している。
(a)少なくとも約60℃の収縮開始温度、
(b)1.2%未満の70℃での収縮、
(c)0.2g/d未満のピーク熱張力、および
(d)5.20×10-04[g/(d℃)]より高い110℃熱張力傾斜。
【0053】
特性は、4日間、好ましくは96時間の20〜25℃での保管後、「試験方法」で挙げた方法により測定される。
【0054】
収縮開始温度は63℃を超えるのが好ましい。収縮開始温度(Ton)は、ヤーン収縮の開始点を示すものである。通常、収縮開始温度はできる限り高いのが望ましく、実際の上限は、ファイバーの結晶化度の量により制限され、例えば、約70℃である。
【0055】
70℃での収縮は、周囲温度での収縮に密接に関係しており、管破損巻き付けの主な原因である。収縮は、パッケージ性能のために好ましくは約1.2%未満であり、ある実施形態においては、ゼロ近く、例えば、約0.1%またそれよりも低くすることもできる。収縮は、収縮−温度曲線から得ることができる。
【0056】
ピーク熱張力は、ファイバーの破損強度の尺度であり、十分なパッケージング性能のためには0.2g/d未満であるのが好ましい。
【0057】
110℃での熱張力傾斜は、張力−温度曲線から得ることができる。このパラメータは、100〜115℃のデータ点からの線型回帰式の傾斜である。ただし、110℃での傾斜と言われている。パラメータは、TS(110)と略記され、張力−温度曲線での110℃での張力傾斜を表す。5.20×10-04[g/(d℃)]より高い110℃熱張力傾斜は、十分な中程度の温度でパッケージされたヤーンを示す。熱張力傾斜が低いと、ヤーンが高温でパッケージされており、過剰の収縮を生じる可能性があることを示す。
【0058】
好ましくは、マルチフィラメントヤーンの伸びは約25〜約60%である。好ましくは、ヤーンの靭性は少なくとも約3.0g/dである。また好ましくは、ヤーンのBOSは約6〜約14%である。更に、好ましくは、ヤーンのウースター(Uster)値(均一性測定)は約1.5%以下である。また好ましくは、ヤーンの熱張力ピーク温度約140〜約200℃である。
【0059】
通常、プロセスを用いて、合計デニールが約40〜約300およびフィラメント1本当たりのデニール(dpf)が約0.5〜約10のヤーンを製造することができる。
【0060】
他の態様によれば、チーズ形パッケージは、本発明によるマルチフィラメントヤーンを含む。好ましくは、パッケージは、少なくとも7kgのマルチフィラメントヤーンを含有し、ヤーン層の厚さが約49〜約107ミリメートルであるときのバルジ率が10%未満である。より好ましくは、ヤーン層の厚さが約25〜約49ミリメートルであるときのヤーンのバルジ率は6%未満である。好ましくは、パッケージの凹み(dish)率は2%未満である。好ましくは、パッケージは、ヤーンをパッケージに巻き付けた後、96時間にわたって自立させた際潰れない。
【0061】
更なる態様によれば、チーズ形パッケージは、少なくとも6kgのポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンを含有し、10%未満のバルジ率を有する。好ましくは、パッケージ重量は6kgを超える。より好ましくは、パッケージ重量は少なくとも9kgである。ある好ましい実施形態において、マルチフィラメントヤーンを含有するチーズ形パッケージは、6kg〜約8kg含有し、高さは100〜260mm、バルジ率は約10%未満である。
【0062】
更なる態様によれば、チーズ形パッケージは、7〜約25kgのポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンを含有する。好ましくは、パッケージは7〜20kgのポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンを含有する。
【0063】
本プロセスにより製造されたマルチフィラメントヤーンは、例えば、編および織布、メリヤスおよび室内装飾材料に用いることができる。
【0064】
3GTファイバーは、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマーを含有する。最も好ましいポリマーは、実質的に全てのポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマーおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)ファイバーで用いる添加剤を含有する。(添加剤としては、酸化防止剤、安定剤(例えば、UV安定剤)、艶消し剤(例えば、TiO2、硫化亜鉛または酸化亜鉛等)、顔料(例えば、TiO2等)、難燃剤、帯電防止剤、染料、フィラー(炭酸カルシウム等)、抗微生物剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、増量剤、処理助剤、およびポリ(トリメチレンテレフタレート)の製造処理性および/または性能を向上させるその他化合物が挙げられる。
【0065】
ファイバーは単成分ファイバーである。(このように、異なる2種類のポリマーまたは各領域において異なる特徴を有する同じポリマー2つでできたシースコアや並列ファイバーのような二成分および多成分ファイバーは特に排除されるが、ファイバーおよび存在する添加剤中に分散されたその他のポリマーは排除されない。)固体、中空または多中空であってもよい。丸い、またはその他ファイバー(例えば、8葉、サンバースト(ゾルとしても知られている)、スカロップオーバル、3葉、テトラチャネル(クアトラチャネルとしても知られている)、スカロップリボン、リボン、スターバースト等)を作成することができる。
【0066】
試験方法
靭性および伸び
以下の実施例で記録したヤーンの物理特性を、インストロンコープ(Instron Corp.)引っ張り試験機、型番1122を用いて測定した。具体的には、破断時伸び(EB)および靭性をASTM D−2256に従って測定した。
【0067】
ウースター(Uster)
ウースターテスター(Uster Tester)3、ゼルウィーガーウースター(ZELLWEGER USTER)製タイプUT3−EC3を用いた。ASTM D−1425に従ってウースター(Uster)を測定した。不均一性、U%、規定値の標準偏差を、ストランド速度=200m/分、試験時間=2.5分で得た。
【0068】
ボイルオフ(boil off)収縮
ボイルオフ収縮(「BOS」)を、ASTM D2259に従って次のようにして求めた。ある長さのヤーンから重量を吊るし、ヤーンの負荷を0.2g/d(0.18dN/tex)とし、長さL1を測定した。ウエイトを外して、ヤーンを沸騰水に30分間浸した。ヤーンを沸騰水から外し、約1分間遠心分離して、約5分間冷やした。冷却したヤーンに前述した通り同じ重量をかけた。ヤーンの新たな長さ、L2、を測定した。パーセント収縮は、次のように計算した。
【0069】
【数3】

【0070】
ドライウォーム(dry warm)収縮
ドライウォーム収縮(「DWS」)を、ASTM D2259に従ってBOSについて実質的に前述した通りにして求めた。記載した通りにL1を測定した。しかしながら、沸騰類に浸漬する代わりに、ヤーンを約45℃のオーブンに入れた。120分後、ヤーンをオーブンから取り出して、L2を測定する前に約15分間冷やした。パーセント収縮は、上記の式(III)に従って計算した。
【0071】
DWSを展開して、パッケージ巻き付き問題を生じる可能性のある、周囲温度でのヤーン収縮を評価した。SDYの収縮は極めて時間依存性であり、パッケージ除去後に固定期間でDWSを測定するのが好ましい。
【0072】
DWSの測定によって、ある長さのヤーンを、ヤーンがその平衡収縮の少なくとも85%、好ましくは95%に達する条件に曝し、ヤーンの収縮を測定することにより、3GTスパンヤーンの耐エージング性を求めることができる。DWS測定については、更に、ここにその全体が参考文献として組み込まれる2003年9月16日出願の米国特許出願第10/663,295号明細書に記載されている。加熱温度は、約30〜約90℃、好ましくは約38〜約52℃、より好ましくは約42〜48℃である。DWS測定におけるある加熱温度の加熱時間は、従って、次の通りである。
Heating_Time≧1.561×1010×e-0.4482[Heating_temperature]
好ましい加熱時間は次の通りである。
Heating_Time≧1.993×1012×e-0.5330[Heating_temperature]
加熱時間は分であり、加熱温度は摂氏度である。例えば、41℃の加熱温度で、試料加熱時間は163分(2.72時間)、好ましくは644分(10.73時間)を超える、またはこれに等しくする。45℃の試料加熱温度の場合には、試料加熱時間は27.2分(0.45時間)、好ましくは76.4分(1.27時間)を超える、またはこれに等しくする。本発明によれば、測定は、ヤーンを41℃に少なくとも24時間曝した後に行って、平衡収縮を求めなければならない。
【0073】
DWS測定に用いたヤーンはかせまたはノンループヤーンであってもよい。かせはシングルループまたは多ループであってもよく、ループは単一または多フィラメントであってもよい。ノンループヤーン試料は、多ヤーンまたは単一ヤーンを含有していてもよく、ヤーンは単一または多フィラメントであってもよい。
【0074】
試料長さ(加熱前L1および加熱後L2)は、かせの単一ループを作成するヤーン長さの半分であるかせ長さと定義される。試料長さは、加熱前後に実際測定可能な長さである。測定のための試料の長さL1は、一般的に、約10〜1000mm、好ましくは約50〜700mmの範囲である。約100mmの長さL1は、単一ループかせの形態の試料に、約500mmのL1は多ループかせの形態の試料に用いるのが便利である。
【0075】
この方法において、テンションウエイトをヤーン試料から吊るして、試料を真っ直ぐに保ち、長さL1を測定する。ヤーンは、一般的に、端部に結び目をつくることによりループにされる。テンションウエイトをループに吊るして、長さL1を周囲温度で測定する。テンションウエイトは、試料を真っ直ぐに保つのに少なくとも十分なものであるが、試料を伸張はさせないものであるのが好ましい。試料ヤーンの好ましいテンションウエイトは、以下に従って計算することができる。
テンションウエイト=0.1×2×(かせ中のループ)×(ヤーンデニール)。
【0076】
一般的に、試料はダブルループへと巻いてラックに吊るされる。ラックに吊るす場合、任意で、適用した重りをループから吊るしてもよい。重りは試料を安定させるのに有用である。適用された重りは、試料の収縮を制限したり、加熱中伸張させてはならない。重りを適用しないときは、試料は表面に単純に置いて、加熱中自由に収縮させる。
【0077】
加熱は、例えば、ガスまたは液体流体を用いて行うことができる。液体を用いる場合には、ヤーンを容器に入れる。流体がガスの場合には、オーブンを用いるのが便利であり、好ましいガスは空気である。試料が自由に収縮できるようなやり方で、試料は加熱流体に配置されなければならない。
【0078】
試料を熱から外し、少なくとも約15分間冷却する。加熱した試料の長さを、試料からテンションウエイトを吊るして測定し、この値をL2として記録する。DWSを次のようにして、L1およびL2から計算する。
【0079】
【数4】

【0080】
DWSは、例えば、凹み形成により現れるヤーンの耐エージングに対応する。DWSは、凹み率が増大するにつれて増大し、このように、凹み形成と関連している。フィラメント紡糸の商業的な基準で、2.5kg、直径160mmのヤーンパッケージで、2mmのED−MD直径差が可能である。従って、エージングしたヤーンの直径差が約2mm以下の場合には、商業的な基準でヤーンは許容される耐エージング性を有している。
【0081】
ある実施形態において、以下の4つの条件の全てに適合すれば、管破損巻き付けを排除することができる。すなわち、満足いく特徴を備えたパッケージヤーンは、以下の特性を有しているのが好ましい。
(1)63.2℃を超える収縮開始温度、
(2)1.2%未満の70℃収縮または1.0%未満のDWS測定、
(3)0.2g/d未満のピーク熱張力、
(4)5.20×10−04[g/(d*℃)]より高い110℃熱張力傾斜。
【0082】
上記特性は、通常、20〜25℃で4日間保管した後に測定される。
【0083】
熱張力対温度の測定
デュポン(DuPont)製収縮−張力−温度測定装置を用いて30℃/分の加熱速度で測定を実施した。ヤーン試料は、200mmのヤーンから、100mmの長さのループとして作成する。張力−温度測定で適用した予備張力は0.005グラム/デニール、すなわち、予備張力(グラム)=ヤーンデニール×2×0.005(グラム/デニール)である。
【0084】
SDY張力−温度曲線は、ある温度でのピーク張力を示す。収縮ピーク張力、ピーク温度および収縮開始温度の3つのパラメータを求める。収縮ピーク張力は、張力−温度曲線のピークの高さである。ピーク温度は、張力ピークの位置である。収縮開始温度は、収縮の開始点を示すものである。収縮開始温度は、収縮張力を即時に増加することにより直線を引き、温度軸に平衡な直線を引き、張力を即時に増加する前に最低張力を通過させることにより得られる。2本の直線の交点の温度を、収縮開始温度と定義する。この収縮開始温度、およびピーク張力温度および収縮ピーク張力は全て、試験で適用された加熱速度に影響される。これらのパラメータを異なる試料について比較すると、加熱速度は同じでなければならない。
【0085】
熱収縮対温度の測定
熱収縮対温度の測定は、熱張力対温度測定について作成された同じ試料を用いて実施された。試料を張力−温度測定と同じ試料チャンバに入れた。張力−温度および収縮−温度は別個に進めなければならない。張力−温度測定とは異なり、収縮−温度測定中、一定張力、0.018g/dを維持した。収縮−温度測定で測定した変数は、温度に対する収縮である。30℃/分の加熱速度を収縮−温度測定で適用した。
【0086】
凹み形成
図2に示した凹み形成は、2つのパッケージ端面間のヤーンがこれらの略端面よりも収縮して、パッケージ中間直径が端部直径より小さくなる、パッケージ半径に添った方向におけるパッケージ変形を指す。凹み変形は、次の通り、凹み率として定量的に記載される。
【0087】
【数5】

【0088】
式中、EDは、パッケージ端部の直径「パッケージ端部直径」であり、MDはパッケージ中間のパッケージの直径「パッケージ中間直径」であり、Aは管コア表面に沿ったパッケージの長さである。
【0089】
バルジ形成
図2に概略を示すバルジは、ヤーンがパッケージの元の端面より上に垂直方向に膨張した、パッケージ長さに沿った方向における変形である。バルジ形成は、以下の式によりバルジ率として定量的に記載される。
【0090】
【数6】

【0091】
式中、hはバルジ高さであり、Lはパッケージのヤーンの厚さであり、Bはヤーンパッケージの最大長さであり、Aは管コア表面に沿ったパッケージの長さであり、EDはパッケージの端部の直径「パッケージ端部直径」であり、TODは管外径である。バルジ高さ、h、は下式の関係を有している。A+2h=B。パッケージのヤーン層の厚さ「L」は下式の関係を有している。TOD+2L=ED。バルジ率の計算には、ヤーン層の厚さを通したパッケージ直径の影響が含まれる。従って、小さな直径のパッケージにより、主なバルジは小さくなる。バルジ形成は、パッケージ巻き付け中またはヤーン保管中に現れる。
【実施例】
【0092】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって、これに限定されるものではない。
【0093】
実施例1
実施例1において、I.V.が1.02の1,3GTフレークを、ポリエステル用フレーク乾燥システムで乾燥した。含水量が40ppm以下の乾燥したフレークを、再計量のために押出し機に供給してから、紡糸ブロックに移し、紡糸口金から押し出した。紡糸口金は、それぞれ直径が0.254mmの34個の穴を有していた。紡糸口金から出た溶融ポリマーストリームを、固体フィラメントへの冷却空気により冷却した。まず、長さが70mmの非加熱冷却遅延ゾーン、その後、クロスフロー冷却空気ゾーンに入った。仕上げを行った後、フィラメントは、3つのゴデットの延伸システムに入った。3つのゴデットは全て同じ190mmの直径を有していた。フィラメントを、3334m/分の速度で90℃の温度で第1のゴデットにより加熱した。フィラメントを、第1のゴデット/分離ロールの組み合わせに5回回転させた。第2のゴデットの速度は、紡糸速度と考えられ、4001m/分であった。特に断りのない限り、紡糸速度は、以下の実施例において全てこの値であった。第1と第2のゴデットとの間で1.3の延伸比で延伸した後、フィラメントを155℃の温度の第2のゴデットで熱硬化した。フィラメントを、第2のゴデット/分離ロールの組み合わせに7回回転させた。第3のゴデットオーバーフィードOvFd(G3)=1.3%で、第2と第3のゴデットの間でフィラメントを弛緩させた。第3のゴデットのオーバーフィードは、100%×[SP(G2)−SP(G3)]/SP(G2)と定義され、SP(G2)は第2のゴデット速度であり、SP(G3)は第3のゴデット速度であった。フィラメントを、第3のゴデット/分離ロールの組み合わせに4回回転させた。第3のゴデットは加熱しなかった。巻き付け張力は、巻き上げオーバーフィード2.32%により0.07g/dで制御した。用いた管コアは以下の仕様を有していた。管コア長さ:300mm、巻き付きストローク:257mm、管コア外径:110mm、管壁厚さ:7mm。
【0094】
実施例1のプロセス条件は、表1Aの他の実施例(Ex)または比較例(C.Ex)に匹敵する。実施例1で得られたヤーン特性を表1Bに示す。
【0095】
実施例2〜5および比較例1〜4
実施例2、3、4および5および比較例1、2、3および4を、表1Aに挙げた変更以外は実施例1と同じ条件で行った。
【0096】
表1Aおよびそれに続く表において、以下の略称が適用される。例えば、Turn(G1)について4S5Gとは、分離ロールに4回半回転させ、第1のゴデットに5回半回転させることを意味する。
【0097】
表1A 第1のゴデットの影響についての紡糸条件

【0098】
温度
表1Bおよびそれに続く表において、以下の略称が適用される。DWS=ドライウォーム収縮、BOS=ボイルオフ収縮、Den=デニール、Mod=弾性率、Ten=張力、Elo=伸び、%U=ウースター(通常)、T(p)=収縮張力ピーク温度、Tens(p)=収縮ピーク張力、Ton=収縮開始温度。







【0099】
表1B−表1Aの紡糸条件からのヤーン特性

【0100】
比較例1、実施例1、実施例2および実施例3において、第1のゴデット温度は75℃〜115℃まで変わった。実施例のヤーン特性を表1Bに示す。比較例1において第1のゴデット温度が75℃のときは、試験中多くの紡糸破断があった。第1のゴデット温度が90℃、102℃または115℃のときは、紡糸は実施例1〜実施例3で良好になされ、BOS、靭性、伸びまたはU%(表1B)において大きな変化はなかった。時間依存性作業を行う前に、張力ピーク、ピーク温度および収縮開始温度を測定し、約1日の遅延時間で管から採った。このため、互いに比較できるだけであり、異なる試料の遅延時間で得られた結果ではない。表1Bによれば、第1のゴデット温度における変化のために、ピーク張力または収縮開始温度において大きな差がないことが分かる。
【0101】
比較例2〜比較例4において、第1のゴデット温度は150℃まで増加し、第2のゴデット温度は145℃、延伸比は1.3であった。0.57の第3のゴデットオーバーフィードを用いた実施例1〜実施例3、比較例2〜比較例4と比べて、これらの比較例については管破損巻き付けとなった。表1Bに示す通り、比較例2〜比較例4において靭性または伸びに差はない。しかしながら、温度が125℃〜150℃まで増えるにつれて、U%はやや増える。比較例2〜比較例4においてBOSに大きな差はなかったが、実施例1〜実施例3のよりもかなり高かった。
【0102】
実施例4および5の第1のゴデット温度は90℃および115℃であった。実施例1、2および3に比べて、延伸比は実施例1および2においては低かったが、その他の条件は同じであった。表1Bから、第1のゴデット温度が90℃〜115℃まで増えると、BOSは増加する傾向があり、伸びは減少する傾向があり、ピーク温度は減少する傾向があり、収縮開始温度または張力ピークは増加する傾向があることが分かる。実施例1、2および3についてのものと同様の実施例4および5の試料遅延時間は約1日であった。従って、ピーク温度、張力ピークおよび収縮開始温度は、2組の実施例間で匹敵するものである。実施例4および5のピーク温度、張力ピークおよび収縮開始温度は、実施例1、2および3よりも高い。これらの違いは、第2のゴデット温度および延伸比における差に起因する。
【0103】
実施例6〜11および比較例5〜7
これらの実施例は、表2Aに挙げた変更以外は、実施例1と同じ条件で実施した。表2Aの紡糸条件に対応するヤーン特性を表2Bに示す。

【0104】
表2A−延伸比の影響についての紡糸条件

【0105】
ヤーン特性を以下の表2Bに示す。
【0106】
表2B−表2Aに挙げた紡糸条件からのヤーン特性

【0107】
DWS、BOS、ピーク張力およびピーク温度のような収縮特性における大きな変化は、延伸比が管破損巻き付けに重大な影響を与えることを示している。1.2、1.3および1.4の延伸比は、90℃の第1のゴデット温度および表2Aに示すその他条件で、実施例4、実施例1および実施例6において適用された。実施例4、1および6において延伸比が増加すると、伸びは減少し、DWSおよびBOSは表2Bに示す通り増加する。表2Bの試料の遅延時間は、遅延時間が約1日であった表1Bのものと同様である。実施例4、1および6のうち低延伸比で、ピーク温度は高く、張力ピークは低く、収縮開始温度は高延伸比でのものより高かった。実施例5、3および7において、実施例4、1および6と同じだが、90℃に対して115℃と高い第1のゴデット温度で、延伸比を適用した。実施例5、3および7の結果は、実施例4、1および6と同様であった。しかしながら、比較例5において延伸比が1.7まで増加すると、ヤーンを張るのが難しくなった。比較例6および7では、1.5の延伸比を、第1のゴデット温度125℃で適用した。比較例6と比較例7との間の差は、比較例7では、巻き付け張力を減少するために、高い巻き上げオーバーフィードを用いたことである。表2Bに示した通り、比較例6および比較例7においては多くの紡糸破断があり、巻き付け張力は高すぎた。
【0108】
比較例8〜13
これらの実施例は、ゴデット−1に回転させた回数の、スレッドライン安定性に対する影響、およびU%で表される最良ヤーン均一性を試験するものである。
【0109】
表3A−スレッドラインを第1のゴデットに回転させた回数の影響についての紡糸条件

【0110】
表3B−表3Aに挙げた紡糸条件からのヤーン特性

【0111】
比較例8、9および10において、回転させた回数は、4S5G(分離ロールに4回半回転、ゴデットに5回半回転)から6S7Gまで変えた。6S7Gは、4S5Gや5S6Gよりもあまり安定しないスレッドラインを第1のゴデットに与え、U%は高くなる傾向があることが分かった。比較例11、12および13を比べると同様の結果が見られた。紡糸性能が良好であることが明らかであり、4S5Gまたは5S6Gでは、第1のゴデットにスレッドラインが好ましい回数回転した。
【0112】
巻き付け張力を良好に制御し、第3のゴデットのスレッドラインの滑りを減少するために、第3のゴデットへ回転させた回数を実施例3および8で調べた。表4Aに紡糸を、表4Bに2つの実施例についてのヤーン特性条件を示す。
【0113】
表4A−スレッドラインを第3のゴデットに回転させた影響についての紡糸条件




【0114】
表4B−表4Aに挙げた紡糸条件からのヤーン特性

【0115】
表4Bから明らかな通り、第3のゴデットへの巻き付けは、3S4Gから0S1Gまで減少し、巻き付け張力は6.3グラムから14.1グラムへ増加した。他の特性に変化はなかった。第3のゴデットへ回転させた回数の差のために、この巻き付け張力差によれば、第3のゴデットへ回転させた回数が少ないと、第3のゴデットでのスレッドラインのすべりがより生じるということが分かる。従って、ワインダと第3のゴデットとの間の実際のオーバーフィードは減少する。ただし、実施例3および実施例8との間に速度設定変化はなかった。
【0116】
以下の実施例において、管破損巻き付けの発生を、管コアを除いた重量約2.4kgおよびパッケージ直径約158mmのパッケージサイズに基づいて求めた。管破損巻き付けは、以下のいずれかが観察されるときに生じるものとしてリストしてある。(1)少なくともそのサイズのパッケージが、スピンドルに固着して、除去できない、または、(2)少なくともそのサイズのパッケージが、スピンドルから除去できるが、破損線が管コアの内壁にはない。
【0117】
実施例9および比較例17〜18
これらの実施例の紡糸条件を表5Aに示す。これらの実施例で作成したヤーンの特性は表5Bに示す。これらの各実施例について適切な巻き付け張力を得るために、巻き上げオーバーフィードを調整した。表5Aに示してある。表5Aおよび5Bに示す通り、管破損巻き付けは、これら3つの実施例の中で第3のゴデットが0および0.7%でオーバーフィードされるときに生じる。表5Bに示す通り、第3のゴデットオーバーフィードの増加により、DWSまたは70℃での収縮が減じ、収縮ピーク張力が減じ、収縮開始温度が増加する。
【0118】
表5A 紡糸条件










【0119】
表5B 表5Aに示した実施例についてのヤーン特性

【0120】
実施例9〜12および比較例16
実施例9〜12および比較例16は、第2のゴデット温度の管破損巻き付けに与える影響を示すものである。これらの実施例によれば、大きなサイズのパッケージを紡糸条件で巻き付けると、管破損巻き付けとならないことが示されている。第2のゴデット温度が変化したとき、第3のゴデットオーバーフィードは1.70%に設定した。パッケージ巻き付けの4つの例を表6Aに挙げてある。他の条件は実施例1と同様である。比較として、比較例16の紡糸条件も表6Aに示す。パッケージ巻き付けの実施例のヤーン特性を表6Bに示す。
【0121】
表6A パッケージ巻き付けの実施例についての紡糸条件

【0122】
表6B 表6Aに挙げた紡糸条件からのヤーン特性

【0123】
表6Aおよび6Bにおいて、120℃を超えるゴデット温度での管破損巻き付けは排除した。約145℃〜195℃の温度が、約1.7%の第3のゴデットオーバーフィード、約1.56%の巻き上げオーバーフィード、および前述の実施例および表に指定したその他特性と組み合わせるのに十分であった。
【0124】
第2のゴデットでこれより高い温度を用いると、伸びおよび靭性が基本的に維持されるが、ピーク張力は減少し、ピーク張力温度および収縮開始温度は増加する。ある伸びおよび靭性で、最良の第2のゴデット温度は、適切な第3のゴデットオーバーフィードの選択に密接につながっている。
【0125】
表6C パッケージ巻き付けの実施例についてのパッケージ形成の内容

【0126】
実施例9〜実施例11の条件を用いて、低バルジで、管破損巻き付けなしで、従来のサイズのパッケージより大きなパッケージを作成した。
【0127】
比較例21〜26
管破損巻き付けは、他のヤーンの特性を満足していても、高すぎるパッケージング温度の結果生じる。以下の比較例は、第3のゴデット温度の影響を示している。比較例21〜25は、第2のゴデットを飛び越して作成した。比較例21〜26の紡糸条件を表7Aに示す。表7Aに示されていないその他条件は実施例1で適用されたものと同じである。これらの実施例で得られたヤーンの特性を表7Bに示す。実施例11の紡糸条件およびヤーン特性も比較として表7Aおよび7Bに示す。
【0128】
表7A 管破損巻き付けの実施例

【0129】
表7B 表に挙げた紡糸条件についてのヤーン特性

【0130】
管に回転させた後、ヤーンは巻き付けパッケージに留めた。巻き付けパッケージの温度は、パッケージ温度が室温に戻る前、ヤーンを更にアニールするのに十分な時間にわたって高温のままとした。このため、巻き付けパッケージの高温は、ピーク温度まで増加し、ピーク張力およびDWSまたはBOSは劇的に減少した。管破損巻き付けは、この高温のために生じた。必要な本発明の特性範囲内にある実施例11では管破損巻き付けはなかった。
【0131】
本発明の実施形態の前述の開示内容は、例証および説明のために示されてきた。本発明は、開示された正確な形態で網羅または限定されるものではない。本明細書に記載した実施形態の様々な変化および修正は、開示内容を鑑みれば当業者には明白である。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】ヤーンを製造する例証のプロセスおよび装置を示す。
【図2】バルジおよび凹み変形を示すヤーンパッケージの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)溶融ポリ(トリメチレンテレフタレート)を固体フィラメントへと連続紡糸する工程と、
(b)前記固体フィラメントを第1のゴデットに巻き付ける工程と、
(c)前記フィラメントを第2のゴデットに巻き付ける工程と、
(d)前記フィラメントを第3のゴデットに巻き付ける工程と、
(e)前記フィラメントをワインダのスピンドルに巻き付けてパッケージを形成する工程と
を含み、前記フィラメントが、前記第3のゴデットにオーバーフィードされ、前記第3のゴデットと前記スピンドルとの間の巻き付け張力が1デニール当たり0.04〜0.12グラムである、方法。
【請求項2】
前記フィラメントが、前記第2のゴデットの速度より0.8〜2.0%オーバーフィードされる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィラメントが、前記第2のゴデットの速度より1.0〜2.0%オーバーフィードされる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記巻き付け張力が1デニール当たり0.05〜0.10グラムである請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記巻き付け張力が1デニール当たり0.06〜0.09グラムである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のゴデットの周速が1分当たり少なくとも2600メートルである請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のゴデットの周速が1分当たり少なくとも3000メートルである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のゴデットの周速が1分当たり約4000メートルまでである請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のゴデットの周速が1分当たり約4700メートルまでである請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のゴデットの周速が前記第1のゴデットより早い請求項1または6に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のゴデットの周速が1分当たり4000メートル以上である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のゴデットの周速が1分当たり5200メートル以上である請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のゴデットと前記第2のゴデットとの間の延伸比が1.2〜2.0である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記フィラメントが前記第1のゴデット周囲を4〜6回回転している請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のゴデットの温度が約85℃〜約160℃である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のゴデットの温度が約125℃〜約195℃である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のゴデットの温度が約145℃〜約195℃である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第3のゴデットの周速が前記第2のゴデットの前記周速より遅い請求項1または10に記載の方法。
【請求項19】
前記フィラメントが前記ワインダの前記スピンドルにオーバーフィードされている請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第3のゴデット速度が前記ワインダの本来のヤーン速度より1.5〜2.5%オーバーフィードするように、前記フィラメントが前記ワインダの前記スピンドルに巻き付いている請求項1に記載の方法。
【請求項21】
(a)1グラム当たり0.7デシリットル以上のIVを有するポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマーを提供する工程と、
(b)約245℃〜約285℃の温度で紡糸口金から前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマーを押し出す工程と、
(c)前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)を冷却ゾーンにおいて固体状態まで冷却してフィラメントを形成する工程と、
(d)約2600〜約4000m/分の周速で、約85〜約160℃の温度を有する第1のゴデットに前記フィラメントを巻き付ける工程と、
(e)前記第1のゴデットより早い周速で、約125〜約195℃まで加熱した第2のゴデットに前記フィラメントを巻き付けて、延伸比約1.1〜約2.0で前記フィラメントを前記第1と第2のゴデットとの間で、延伸する工程と、
(f)前記フィラメントを交錯する工程と、
(g)前記第2のゴデットより遅い周速で第3のゴデットに前記フィラメントを巻き付けて、前記フィラメントが前記第2のゴデットの速度より約0.8〜約2.0%オーバーフィードされるようにする工程と、
(h)前記第3のゴデットより遅い周速で、ワインダのスピンドルに前記フィラメントを巻き付けて、前記第3のゴデットの速度が前記ワインダの本来のヤーン速度より1.5〜2.5%オーバーフィードするように、前記フィラメントが前記ワインダの前記スピンドルに巻き付いている工程と
を含み、前記第3のゴデットと前記ワインダとの間の巻き付け張力が1デニール当たり約0.04〜約0.12グラムの間である、ポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンを製造する、方法。
【請求項22】
前記第3のゴデットが加熱されていない請求項1または21に記載の方法。
【請求項23】
(a)60℃より高い収縮開始温度、
(b)1.2%より少ない70℃収縮、
(c)0.2g/dより低いピーク熱張力、
(d)5.20×10-04[g/(d℃)]より高い110℃熱張力傾斜という特性を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーン。
【請求項24】
伸びが約30〜約60%である請求項23に記載のポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーン。
【請求項25】
靭性が少なくとも約3.0g/dである請求項23に記載のポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーン。
【請求項26】
BOSが6〜14%の請求項23、24または25に記載のヤーン。
【請求項27】
ウースターが1.5%以下の請求項23、24または25に記載のヤーン。
【請求項28】
請求項23に記載のヤーンを含む布帛。
【請求項29】
請求項23に記載のヤーンを含むカーペット。
【請求項30】
請求項23に記載のヤーンを含む室内装飾材料。
【請求項31】
熱張力ピーク温度(Tp)が約140〜約200℃である請求項23に記載のヤーン。
【請求項32】
フィラメントのIVが約0.7〜約1.1である請求項23に記載のポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーン。
【請求項33】
請求項23に記載のマルチフィラメントヤーンを含有するパッケージ。
【請求項34】
チーズ形であり、ヤーンをパッケージに巻き付けた後96x時間にわたって自立させた際潰れない請求項37に記載のパッケージ。
【請求項35】
少なくとも6kgのポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンを含有し、約10%未満のバルジ率を有するチーズ形パッケージ。
【請求項36】
少なくとも7kgのポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンを含有し、ヤーン層の厚さが49ミリメートル超〜約107ミリメートルであるときのバルジ率が10%未満の請求項37、38または39に記載のパッケージ。
【請求項37】
パッケージの凹み率が2%未満の請求項37に記載のパッケージ。
【請求項38】
少なくとも7kgのポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンを含有し、ヤーン層の厚さが約25ミリメートル〜約49ミリメートルであるときのバルジ率が6%未満の請求項37に記載のパッケージ。
【請求項39】
7〜約25kgのポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンを含有する請求項37に記載のパッケージ。
【請求項40】
7〜約20kgのポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーンを含有する請求項37に記載のパッケージ。
【請求項41】
バルジ率が約10%未満の請求項37に記載のパッケージ。
【請求項42】
請求項1の方法に従って製造した、管破損巻き付けを示さないフィラメントのチーズ形パッケージ。
【請求項43】
請求項1の方法により製造した請求項27に記載のポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメントヤーン。
【請求項44】
BOSが6〜14%の請求項47に記載のヤーンであって、
(a)伸びが30〜60%の請求項47に記載のヤーン、
(b)靭性が少なくとも3.0g/dの請求項47に記載のヤーン、
(c)ウースターが1.5%以下である請求項47に記載のヤーン、
(d)請求項47に記載のヤーンを含む布帛、
(e)請求項47に記載のヤーンを含むカーペット、
(f)請求項47に記載のヤーンを含む室内装飾材料。
【請求項45】
約40〜約300デニールの請求項23または47に記載のヤーン。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−535625(P2007−535625A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510992(P2007−510992)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/014685
【国際公開番号】WO2005/108659
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】