説明

ポロゲンを含む生分解性プチド徐放性組成物

組み込まれた予防薬、治療薬及び/又は診断薬の放出を改変する持続的送達組成物、並びにそれらの調製法及び使用法が開示される。特定の実施形態において、組成物には、ポリマーマトリクス、前記ポリマーマトリクス内に分散及び/又は溶解される予防薬、治療薬及び/又は診断薬、及び前記ポリマーマトリクス内に別個に分散される炭水化物成分が含まれる。炭水化物成分は、組み込まれた薬物のポリマーマトリクスからの放出を改変する。組成物は、ポリマー溶液を形成するための溶媒中に生体適合性ポリマーを溶解し、ポリマー溶液内で炭水化物並びに予防薬、治療薬及び/又は診断薬を別個に分散させることによって調製できる。次に、ポリマー溶液を凝固させてポリマーマトリクスを形成し、ここにおいて、炭水化物の有意な量が、組み込まれた薬物とは別個にポリマーマトリクス中に分散される。特定の実施形態において、組成物は、ポリマーマトリクスと、前記ポリマーマトリクス内に分散されるB1ペプチドアンタゴニストとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照により本明細書中に組み込まれる2005年4月25日に出願された米国仮出願第60/674,872号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、広範には、持続的送達製剤の分野に関する。より具体的には、本発明は、タンパク質又はペプチドの持続的送達製剤を記載する。さらに、本発明には、個別に分散された炭水化物ポロゲン(porogen)を含有するポリマー微粒子中に、予防用及び治療用ペプチドを調合及び使用することに関する組成物及び方法が含まれる。ある実施形態において、本発明は、その中に溶解及び/又は分散されたB1ペプチドアンタゴニストと、その中に個別に分散された炭水化物ポロゲンとを有するラクチド−グリコリド共重合体マトリクスを含む徐放性組成物を提供する。
【背景技術】
【0003】
近年、タンパク質ベース及びペプチドベースの、ますます洗練された強力な薬物が、バイオテクノロジー産業によって開発されてきた。しかしながら、タンパク質分解、迅速な血漿クリアランス、特異的な用量−反応曲線、免疫原性、生体不適合性及び/又はペプチド及びタンパク質が凝集、吸着及び/又は変性を経験する傾向に対する感受性のため、タンパク質ベース又はペプチドベースの他の多くの化合物の予防的及び/又は治療的使用は阻害されてきた。しばしば、薬物送達の旧来の方法をタンパク質又はペプチドベースの薬物に適用する場合、これらの特徴は、薬物送達の旧来の方法を非効果的なもの、又は最適でないものとする。従って、生物学的に活性な薬剤のこれらの重要なクラスの治療的効力又は診断的価値を維持するために、徐放性又は持続的薬物送達システムに対して、ますます多大な関心が寄せられている。
【0004】
持続的送達システムの主要な目的の1つは、活性因子のレベルを有効域内に維持すること、理想的には定常レベルに維持することである。活性因子の持続送達のための1つのアプローチは、ポリマーマトリクス内に活性因子を封入する微小封入化によるものである。非経口的薬物送達システムのための担体としての生体適合性及び/又は生分解性ポリマーの重要性は、既に十分に確立されている。投与されるべき活性因子を含有する微粒子又はフィルムなどのラクチドポリマー(PLA)又はラクチド−グリコリド共重合体(PLG)構造などの、生体適合性、生分解性及び比較的不活性な物質が、持続送達装置に一般的に使用されている(総説のため、M.Chasin, Biodegradable polymers for controlled drug delivery. In: J.O.Hollinger Editor, Biomedical Applications of Synthetic Biodegradable Polymers CRC, Boca Raton,FL(1995),pp.1−15、T.Hayashi, Biodegradable polymers for biomedical uses. Prog.Polym.Sci.19 4(1994), pp.663−700、及びHarjit Tamber, Pal Johansen, Hans P.Merkle and Bruno Gander, Formulation aspects of biodegradable polymeric microspheres for antigen delivery Advanced Drug Delivery Reviews, Volume 57, Issue 3, 10 January 2005, Pages 357−376参照)。水性環境におけるこれらのポリマーの分解特性のため、このようなポリマー内に組み込まれた1つ又はそれ以上の活性因子の比較的一定した放出は可能である。微粒子及び/又はフィルムなどの多様な形態にあるポリマーマトリクス中に活性因子を封入することによって、長時間にわたって比較的低速度で活性因子が放出される。このような様式において持続された薬物放出を達成することは、投与をあまり頻繁にしなくてもよく、これにより、患者の服薬順守を促進させ、不快感を低下させ、体内での治療化合物を保護し、予防上又は治療上の反応を最適化する可能性を秘め、効能を長期化し、活性因子のより定常な血中レベルを維持することによってピークと関連した副作用を回避する。さらに、これらの組成物は、しばしば、活性因子の局所的な送達及び高い局所濃度を可能にする注射によって投与できる。
【0005】
不運なことに、タンパク質ベースの及びペプチドベースの治療のためのポリマーベースの徐放性送達システムの設計に対しては、多くの難題がなお存在する。このような送達システムの基本的な必要条件は、使用される材料が非経口的な適用を許容できることである。別の重大な必要条件は、封入された活性因子の放出が十分良好に調節されることである。望ましい効果を達成するために、及び副作用又は厄介な結果に至り得る過剰濃度を回避するために、十分な時間にわたって、有効ウィンドウ内で活性因子の濃度を維持することが一般的には重要である。投与後、初日のうちに放出される活性因子の割合は薬物の負荷レベルにしばしば依存するため、一体化された微粒子を用いて、望ましい放出動態を達成することはしばしば困難である。
【0006】
巨大分子の送達のための効果的な持続型ポリマーベースの持続型送達デバイスを開発するための別の基礎的な必要条件は、活性因子の完全性が製造中に適切に維持されなければならないことである。ほとんどのタンパク質及びペプチドの薬物が、それらの生物活性について、3次元高次構造に依存し、その高次構造は簡単に欠陥を生じ得るため、これは、しばしば、困難な難題である。例えば、徐放性非経口製剤を製造するのに使用されるポリマーのほとんどは、水中で可溶性ではなく、その結果、タンパク質又はペプチドは、封入工程時に、有機溶媒へと曝露される。あらゆる特定のタンパク質又はペプチドの完全性を損ない得る徐放性調製物の製造に付随する、他の望ましくないストレスの例には、連続相にいてポリマー溶液の小滴を形成するのに使用される高い剪断力、重合化反応への曝露、高温、望外に低い又は高いpH値が含まれる。
【0007】
同様に、別の必要条件は、活性因子、特にタンパク質又はペプチドの完全性が、放出中に微粒子内で保持されることである。放出の選択された時間に依存して、この期間は、数日から数ヶ月までのいずれでもあり得る。先行技術は、多様な持続的送達組成物及びそれを製造するための方法を記載する(例えば、Tracy et al.によって両者とも刊行される米国特許第5916597号及び第6748866号、Gombotz et al.によって付与された米国特許第5019400号、Herbert et al.によって付与された米国特許第5922253号及びMathiowitz et al.によって付与された米国特許第6531154号)が、組み込まれた活性因子の生体適合性、生分解性ポリマーからのインビボ放出は、多くの場合、送達デバイスの寿命を通じて不均一であり、数週間から数ヶ月間までの範囲に及ぶ長期の持続的な送達を提供する傾向にある。
【0008】
それゆえ、安全な生体適合性及び/又は生分解性ポリマーとして、突発放出が低レベルでより短期の放出特性を可能にし、タンパク質及びペプチドなどの活性因子によって引き起こされる薬物送達上の多様な他の難題に対処するものとして広く受容されている市販のポリマーの使用に依拠した改善された新規ポリマーベースの持続的送達組成物の開発に対する供給が存在し続けている。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、哺乳動物へ非経口的に投与されるとき、望ましい期間にわたって、規定のパターンで、その中に組み込まれた生物学的に活性な薬物の相対的に均一な放出を提供する徐放性組成物に関する。
【0010】
本発明の典型的な一態様には、組成物が哺乳動物へ非経口的に投与されるとき、約3日ないし約3週間にわたって、規定のパターンで、組み込まれた1つ又はそれ以上のタンパク質又はペプチドが加速的に徐放する持続的送達組成物が含まれる。このような組成物には、生体適合性及び/又は生分解性ポリマーマトリクス、前記ポリマーマトリクス内に溶解及び/又は分散された予防用、治療用及び/又は診断用タンパク質又はペプチド、前記ポリマーマトリクス内に分散された炭水化物成分が含まれ得る。炭水化物成分は、最長約3週間にわたり、比較的加速した様式での、組み込まれた活性因子の、前記ポリマーマトリクスからの放出を調節する。
【0011】
本発明は、比較的短縮された長期放出のための製剤中に、活性因子、特にペプチド(但し、ペプチドに限定されるわけではない。)を含む医薬組成物に関し、そのうちの1つは、約3日と約21日との間の所定の放出期間にわたって、有効量で、活性因子、例えばペプチドを放出できる。
【0012】
本発明の別の典型的な態様は、特定の加速された持続的送達組成物の調製方法であり、ポリマー溶液を形成するために溶媒中に生体適合性及び/又は生分解性ポリマーを溶解させる工程と、少なくとも1つのタンパク質又はペプチドをその中に分散及び/又は溶解させる工程と、ポリマー/タンパク質又はポリマー/ペプチド混合物内に炭水化物を分散させる工程と、溶液にポリマーマトリクスを形成させる工程と(炭水化物成分は、組み込まれた活性因子とは別個に、ポリマーマトリクス中に分散されている。)、及び前記組成物から残留溶媒を抽出する工程を含む、前記方法に関する。炭水化物成分は、組成物が哺乳動物へ非経口的に投与されたときに、3日間ないし約3週間にわたって、規定のパターンで、その中に存在するときに、約3日間〜約3週間にわたって、比較的一貫した様式で、組み込まれた活性因子のポリマーマトリクスからの放出を調節する。
【0013】
本発明のさらに別の態様によると、本明細書の医薬組成物を含むキットが提供される。ある実施形態において、前記キットは、微粒子から活性因子を加速して持続的に送達することによって治療可能な疾患を治療するための活性因子を含有する微粒子を含む医薬組成物の単回用量を含有する容器を含む。単回用量によって提供される微粒子の数は、各微粒子中に存在する活性因子の量と、持続的送達が望まれる期間とに依存する。好ましくは、単回用量は、約3日間ないし約21日間にわたって、活性因子の加速した持続的な送達を達成するように選択され、微粒子の単回用量は、疾患を治療するための望ましい放出特性を達成するように選択される。
【0014】
本発明の別の態様によると、本明細書に開示される全ての持続的送達組成物を含有する注射器が提供される。例えば、該注射器は、持続的送達組成物からの活性因子の持続的送達によって治療可能な疾患を治療するための活性因子を含有する持続的送達組成物、好ましくは微粒子の単回用量を含有し得る。本発明のある種の実施形態において、針が前記注射器へ装着され、針は、14から30までのゲージの孔サイズを有する。
【0015】
本発明の別の態様は、疾病、疾患又は障害の予防又は治療において本発明の新規の組成物を使用する方法に関する。
【0016】
本発明のこれら及び他の態様は、以下で、より詳細に記載される。本開示を通じて、別段の定義がなければ、全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同一の意味を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
別段の定義がなければ、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと同様の方法および材料が本発明の実施又は検査において使用できるが、適切な方法及び材料が以下に記載されている。さらに、材料、方法及び実施例は、例示に過ぎず、限定を意図しているわけではない。
【0018】
本明細書に引用される特許、出願及び文献の各々、並びに(本明細書中に引用される全ての特許及び/又は出願(特許引用文書)の全ての起訴時を含む)本明細書に引用され又は参照される各文書、並びに本明細書に引用されているか又は参考文献の何れかに及び特許引用文書の何れかに挙げられている何れかの製品に関する製造者の使用説明書又はカタログの全ては、参照により、本明細書に組み込まれる。参照により、本文中に組み込まれた文書又はその中のあらゆる教示は、本発明の実施に際して使用され得る。参照により、本明細書中に組み込まれる文書は、先行技術であると認めるものではない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「あり得る」及び「であり得る」という用語は、開放型の非限定的な様式で解釈されるべきである。少なくとも、「あり得る」及び「であり得る」とは、言及されている構造又は作用を明確に包含するものと解釈されるべきである。
【0020】
天然アミノ酸残基は、3つの方法で表記される。すなわち、アミノ酸の完全な名称、標準的な3文字表記又は以下に示される表に従った標準的な単一文字表記である。
【0021】
【表1】

【0022】
別段に明記されていなければ、「アミノ酸」という用語の使用は、天然及び非天然のアミノ酸、並びにアミノ酸のD型及びL型の両異性体を包含するものとする。非天然アミノ酸に関して本明細書で使用される略語は、米国特許第5834431号、PCT国際公開第98/07746号、Neugebauer,W.,et al., Kinin B receptor antagonists with multi−enzymatic resistance properties. Can.J.Physiol.Pharmacol., 80:287−292(2002)、Stewart,et al., Correlation of Secondary Structures of Bradykinin B1 Receptor Antagonists with their Activity. J.of Biolmol.Structure & Dynamics, 4:585−593(2002)、John M.Stewart, Bradykinin antagonists: discovery and development (Review). Peptides, 25:527−532(2004)に記載のものと同一である。例えば、「Orn」及び「DOrn」という略号は、非天然アミノ酸オルニチンのL型及びD型異性体を指すものとする。Hypは、トランス−4−ヒドロキシ−プロリンである。「Tic」及びDTic(又はDtic)は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸のL型及びD型異性体であり、Cpgは、α−シクロペンチルグリシンである。「Dab」及び「D−Dab」という略号は、それぞれ、非天然アミノ酸D−2−アミノ酪酸のL型及びD型異性体を指すものとする。「3’Pal」及び「D−3’Pal」という略号は、それぞれ、非天然アミノ酸3’−ピリジルアラニンのL型及びD型異性体を指すものとする。また、略語「Igl」は、「Igla」と「Iglb」の両者を包含するものとする(それぞれ、α−(1−インダニル)グリシン及びα−(2−インダニル)グリシン)。同様に、「DIgl」という略号は、「D−Igla」と「D−Iglb」の両者を包含するものとする(それぞれ、α−(1−インダニル)グリシン及びα−(2−インダニル)グリシンのD型異性体)。好ましくは、本明細書で使用される場合、IglはIglbであり、D−IglはD−Iglbである。「B1」という用語は、ブラジキニンB1受容体を意味する(Judith M Hall, A review of BK receptors. Pharmac.Ther. 56:131−190(1992)参照)。別段の特記がなければ、B1又はブラジキニンB1受容体は、ヒトブラジキニンB1受容体(hB1)を意味するものとする。好ましくは、hB1は、野生型受容体である。より好ましくは、hB1は、GenBank受託番号AJ238044に記載のブラジキニン受容体である。
【0023】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、活性因子、例えばB1ペプチドアンタゴニストの持続的送達組成物に関して使用される場合、(例えば、本発明の組成物による予防、治療又は診断に関して)望ましい結果を生じるのに十分な量又は用量を指す。B1ペプチドアンタゴニストを含む持続的送達組成物の場合、望ましい結果は、例えば、炎症及び/又は疼痛の望ましい低下であり得るか、又はB1によって仲介される1つ若しくはそれ以上の生物活性のレベルの観察可能な低下を支えることであり得る。特に、活性因子、例えばB1ペプチドアンタゴニストの「治療的有効量」は、問題の疾患と関連した1つ又はそれ以上の臨床的に定義される病理学的プロセス、例えば、B1ペプチドアンタゴニストの場合、炎症及び/又は疼痛を、前記薬物により、インビボで治療される対象において、幾らかの望ましい期間、全く阻害又は停止させるのに十分な特定の薬物の量である。有効量は、選択される特異的活性因子、治療されるべき対象と関連した多用な他の因子及び状態、疾患の重度に依存して変動し得る。例えば、持続的送達組成物が、患者への非経口投与時に放出するように意図されたB1ペプチドアンタゴニストなどの1つ若しくはそれ以上のペプチド又はその類縁体、誘導体、抱合体及び/又は複合体を含む場合、患者の年齢、体重、健康状態などの因子並びに前臨床動物実験において得られる用量反応曲線及び毒性データが、とりわけ考慮される。前記薬物が、インビトロで細胞と接触されるべき場合、取り込み、半減期、用量、毒性等の因子を評価するために、インビトロでの多様な前臨床研究も立案される。
【0024】
本明細書で使用される「患者」という用語は、治療の受容者を指す。特定の実施形態において、患者は、ヒト、イヌ、ネズミ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ又はヤギなどの哺乳動物である。好ましい実施形態において、患者はヒトである。
【0025】
「医薬として有効な」という用語は、そのように記載される物質が、医学的パラメータ又は疾病状態(例えば、疼痛)に影響する活性を有すると決定されていることを意味する。本発明において、本用語は、B1誘発性若しくはB1仲介性疾病又は異常な医学的状態若しくは障害、特に炎症又は疼痛の拮抗作用を指し得る。
【0026】
「アンタゴニスト」、「阻害剤」及び「インバースアゴニスト」という用語(例えば、Rianne A.F.de Ligt,et al,British Journal of Pharmacology, 2000, 130, 131参照)は、対象の関連タンパク質の生物活性を遮断し、妨害し、低下させ、減少させ又は何らかの方法で妨害する分子を指す。本明細書で使用される「アンタゴニスト」又は「阻害剤」には、本明細書に記載されるように調合及び投与されたときに、一般的に受容される少なくとも1つの疼痛のインビボ動物モデルで測定した場合に、炎症及び/又は疼痛を予防、寛解又は消失させるか、及び/又は浮腫、炎症又は疼痛のインビボ動物モデルにおける生化学的困難を阻害する分子が含まれ得る。
【0027】
さらに、生理的に許容される塩及び/又は賦形剤を有する本発明の組成物のさらなる製剤も本明細書に包含される。本明細書で使用される「生理的に許容される塩」及び「薬理学的に許容される塩」という用語は、互換的であり、医薬として許容される(すなわち、温血動物の治療において有用である)ことが公知であるか又は後に発見される全ての塩を含むものとする。幾つかの具体的な例は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、塩化水素及び臭化水素などのハロゲン化水素、硫酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、シュウ酸塩、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、リンゴ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、マレイン酸、サリチル酸、安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸等の無機酸及び有機酸の塩である。組成物が、カルボキシ基などの酸性官能基を含むとき、前記カルボキシ基のための医薬として許容される適切な陽イオン対は、当業者に周知であり、アルカリ陽イオン、アルカリ土類陽イオン、アンモニウム陽イオン、第四級アンモニウム陽イオン等を含む。「薬理学的に許容される塩」のさらなる例に関しては、後述及びBerge et al., J.Pharm.Sci. 66:1(1977)を参照されたい。
【0028】
本発明の持続的送達組成物、特に微粒子は、タンパク質及びペプチドなどの特定の高分子などの短い生物学的半減期を有する活性因子の遅い放出に対して特に有用である。その結果、本明細書に記載されている持続的送達組成物は、前記持続的送達組成物が治療薬を含み、並びに治療を必要とする部位への薬物の遅い放出及び標的誘導送達のために患者に前記持続的送達組成物が投与されたときに、別の投与経路の使用も可能にし得る。このような治療薬の遅い放出は、注射によって投与されなければならない短い半減期を有する治療用タンパク質又はペプチドに対して、特に有用である。活性因子が、患者へ送達されて、長期にわたり微粒子からゆっくり放出される治療薬又は薬学的化合物であるとき、微粒子は、治療又は予防に有用である。薬学的化合物を粒子へと形成することができない場合には、アルブミンなどの担体へ複合体化し、担体−薬学的化合物複合体を微粒子へと形成させる。微粒子は、全身に薬物をゆっくり放出することが可能であり、又は微粒子は、標的組織若しくは腫瘍に特異的な親和性分子を含み、治療を必要とする部位へ直接、抗腫瘍薬、抗ウィルス薬、抗菌剤、抗寄生虫薬若しくは抗関節炎薬などの治療薬、サイトカイン、ホルモン又はインスリンを、標的誘導してゆっくり放出させるために患者中に注射することが可能である。上で論議されているように、親和性分子は切断可能であり得る。
【0029】
既述のように、本明細書に開示される組成物によって、活性因子の特定のクラスの予防上、治療上及び/又は診断上の使用が可能となり、そのうち幾つかは、インビボでは不安定すぎて効果的に使用できないと以前に考えられたものである。例えば、治療上の使用に関する、公知のB1ペプチドアンタゴニストにおける公知の欠点は、インビボで有効半減期を延長しながら、アンタゴニスト活性及び特異性を最大化する本発明の組成物中に、前記アンタゴニストを調合することによって克服できる。特に、ペプチドA(配列番号15)、ペプチドB(配列番号37)及びペプチドC(配列番号36)の半減期は、ラット血漿中で、それぞれ約3時間、40分間及び40分間である。本明細書に記載されているように調合されたB1ペプチドの加速した持続型放出及び/又は拡大した循環半減期は、極めてより望ましい曝露ウィンドウをもたらし、これらの化合物の一般的な製剤と比較して、インビボでより良好な効能を提供し得る。
【0030】
本発明は、炎症及び/又は疼痛(炎症性疼痛並びに関連する痛覚過敏及び異痛を含むが、これらに限定されるわけではない。)を予防又は治療するために、B1アンタゴニストを送達するための加速した徐放性組成物を使用する方法も提供する。従って、本明細書に記載されている本発明の組成物は、例えば、ラクチド−グリコリド共重合体共重合体とB1ペプチドアンタゴニストとを含む組成物を投与することによって、前記組成物を必要とする患者において予防上の及び/又は治療上の効果を誘発するための方法を提供する。本発明のB1ペプチドアンタゴニスト組成物は、B1活性化と関連するか又はB1活性化によって仲介される他の疼痛性状態(視床痛症候群、糖尿病、毒素及び化学療法、敗血症性ショック、関節炎、混合性血管性及び非血管性症候群(mixed−vascular and non−vascular syndomes)、一般的な炎症、関節炎、リウマチ性疾患、狼瘡、変形性関節症、炎症性腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性又は不安定膀胱疾患、乾癬、炎症性成分による皮膚愁訴、日焼け、心炎、炎症性腸疾患、皮膚炎、筋炎、神経炎、コラーゲン血管病(collargen vascular diseases)、慢性炎症性疾患、上皮組織損傷又は機能障害、単純疱疹、糖尿病性ニューロパチー疼痛、帯状疱疹後神経痛、灼熱痛、交感神経性持続痛、求心路遮断症候群、緊張性頭痛、狭心症、片頭痛、外科的疼痛、呼吸器、腎尿路生殖器、胃腸又は脈管領域での内臓の可動性の障害、創傷、熱傷、アレルギー性鼻炎、喘息、アレルギー性皮膚反応、掻痒、白斑、一般的な胃腸性疾患、結腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、血管運動性又はアレルギー性鼻炎を含むがこれらに限定されるわけではない。)の予防又は治療のための治療価値をさらに有し得る。
【0031】
本発明は、急性痛、歯痛、背部痛、腰痛(lower back pain)、外傷由来の疼痛、外科的疼痛、切断又は膿瘍由来の疼痛、灼熱痛、脱髄疾患、三叉神経痛、癌、慢性アルコール中毒、脳卒中、視床痛症候群、糖尿病、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)、毒素及び化学療法、一般的な頭痛、片頭痛、群発頭痛、混合性血管性及び非血管性症候群、緊張性頭痛、一般的な炎症、関節炎、リウマチ性疾患、狼瘡、変形性関節症、炎症性腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性又は不安定膀胱疾患、乾癬、炎症性成分による皮膚愁訴、日焼け、心炎、皮膚炎、筋炎、神経炎、コラーゲン血管病、慢性炎症性疾患、炎症性疼痛並びに関連する痛覚過敏及び異痛、神経因性疼痛並びに関連する痛覚過敏及び異痛、糖尿病性ニューロパチー疼痛、灼熱痛、交感神経性持続痛、求心路遮断症候群、喘息、アレルギー性鼻炎、上皮組織損傷又は機能障害、単純疱疹、帯状疱疹後神経痛、呼吸器、腎尿路生殖器、胃腸又は脈管領域での内臓の可動性の障害、創傷、熱傷、アレルギー性皮膚反応、掻痒、白斑、一般的な胃腸性疾患、結腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、及び気管支疾患の予防又は治療のためのB1ペプチドアンタゴニストを含む本発明の組成物の使用に関しても提供する。
【0032】
従って、本発明は、急性痛、歯痛、背部痛、腰痛、外傷由来の疼痛、外科的疼痛、切断又は膿瘍由来の疼痛、灼熱痛、脱髄疾患、三叉神経痛、癌、慢性アルコール中毒、脳卒中、視床痛症候群、糖尿病、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)、毒素及び化学療法、一般的な頭痛、片頭痛、群発頭痛、混合性血管性及び非血管性症候群、緊張性頭痛、一般的な炎症、関節炎、リウマチ性疾患、狼瘡、変形性関節症、炎症性腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性又は不安定膀胱疾患、乾癬、炎症性成分による皮膚愁訴、日焼け、心炎、皮膚炎、筋炎、神経炎、コラーゲン血管病、慢性炎症性疾患、炎症性疼痛並びに関連する痛覚過敏及び異痛、神経因性疼痛並びに関連する痛覚過敏及び異痛、糖尿病性ニューロパチー疼痛、灼熱痛、交感神経性持続痛、求心路遮断症候群、喘息、アレルギー性鼻炎、上皮組織損傷又は機能障害、単純疱疹、帯状疱疹後神経痛、呼吸器、腎尿路生殖器、胃腸又は脈管領域での内臓の可動性の障害、創傷、熱傷、アレルギー性皮膚反応、掻痒、白斑、一般的な胃腸性疾患、結腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、及び気管支疾患など、上述又は後述のB1仲介性疾患、疾病及び状態の治療のための薬剤の製造において、少なくとも1つの活性因子として、B1ペプチドアンタゴニストを含む組成物のうちの1つ又はそれ以上を使用することにも関する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「治療」又は「治療すること」は、有益な又は望ましい臨床結果を得るためのアプローチである。本発明において、有益な又は望ましい臨床結果には、以下の1つ又はそれ以上が含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、急性痛、慢性痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛又は術後疼痛を含む疼痛及び/又は炎症の全ての態様の改善又は軽減である。本発明において、有益な又は望ましい臨床結果には、以下の1つ又はそれ以上が含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、疼痛及び/又は炎症の全ての態様を含む疼痛及び/又は炎症と関連した1つ又はそれ以上の症状の重度を低下させること、軽減が含まれる(疼痛及び/又は炎症の期間の短縮、及び/又は疼痛の感度又は感覚の低下など)。
【0034】
このような医薬組成物又は薬剤は、注射による投与用であり得るが、これに限定されるわけではない。特定の実施形態において、本発明は、ポリマーマトリクス内に組み込まれた(疼痛又は本明細書で論議されているB1仲介性医学的状態の何れかを予防、寛解又は消失させるのに効果的な速度及び量で放出される)少なくとも1つのB1ペプチドアンタゴニストの有効量を含む医薬組成物を包含する。さらに、このような組成物は、医薬として許容される他の希釈剤、賦形剤、保存料、可溶化剤、乳化剤、アジュバント及び/又は担体とともにさらに製剤され得る。このような組成物には、多様な緩衝液内容(例えば、トリス−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pH及びイオン強度の希釈剤、界面活性剤及び可溶化剤(例えば、トゥイーン80、ポリソルベート80)などの添加物、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存料(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール)及び膨張物質(例えば、乳糖、マンニトール)が含まれる。例えば、参照により本明細書に組み入れられるRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition,, Mack Publishing Co., Easton, PA, pages 1435−1712(1990)を参照されたい。組成物は、液状で、又は(凍結乾燥した形態など)乾燥した粉末として調製され得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「持続型送達」又は「徐放性」という用語は、本明細書において互換的に使用され、活性因子に関して、活性因子の治療上有意な量が活性因子の溶液の直接的な投与後に得られる期間より長い持続的送達組成物からの活性因子の放出を指すものとする。持続的送達組成物由来の活性因子の、得られたインビボ薬物動態学的(PK)特性も、溶液中の活性因子の投与後に観察される特性に比べて、ずっと一貫している(望ましいウィンドウで維持される。)。持続型送達は、連続的又は不連続的であり得、及び/又は直線的又は非直線的であり得る。これは、望ましい効果を生じるために、単独で、組み合わせで又は連続して投与される、ポリマー組成物の1つ又はそれ以上の種類、薬物負荷、賦形剤又は崩壊増強剤の封入、又は他の改変剤を使用して達成できる。ゼロ次又は線形放出とは、一般的には、経時的に放出される生物活性分子の量が、望ましい時間フレーム中で、量/単位時間の関数として比較的一定状態を保つことを意味するものと解釈される。多相とは、一般的には、放出が、2回以上の「突発」で生じることを意味するものと解釈される。薬物の持続型送達は、例えば活性因子の経時的な連続した予防効果、治療効果又は診断効果によって示されることができる。これに加えて(又はこれに加えて)、活性因子の持続型送達は、インビボでの活性因子の存在を経時的に検出することによって示され得る。特定の実施形態において、持続型送達は、約3日間〜約21日間提供される。他の実施形態において、上述及び後述の実施形態とともに、持続型送達は、約3日間と約14日間との間、約3日間と約10日間との間、約3日間と約7日間との間、約3日間と約5日間との間、及び約3日間である。
【0036】
従って、本発明は、望ましい速度及び約3日間〜約21日間の期間で、少なくとも1つの活性因子の予防上、治療上及び/又は診断上効果的な血液レベルを提供する持続的送達組成物の製造、組成及び使用に関する。
【0037】
本発明のある典型的な態様には、持続的送達組成物中に組み込まれる少なくとも1つの活性因子の放出を改変する持続的送達組成物が含まれ得、その調製方法及び使用が開示される。前記組成物は、生分解性及び/又は生体適合性ポリマーマトリクスと、前記ポリマーマトリクス中に溶解及び/又は分散される少なくとも1つの活性因子と、及び前記ポリマーマトリクス内に別個に分散される炭水化物成分とを含む。炭水化物成分は、最大約21日間の薬物の望ましい血液レベルを提供するための期間にわたって、望ましい速度で、組み込まれた全ての活性因子をポリマーマトリクスから放出するのを改変する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、それが、上述のような期間であろうと、別の値に関してであろうと、列挙される値の最大20%の変動を反映するものとする。
【0039】
本明細書で使用される場合、「調節された放出」、「加速された徐放性」及び「加速された持続型送達」は、互換的に使用され、個別に分散された炭水化物成分を含まないポリマーマトリクスに対する、組み込まれた活性因子とは別個の分散された炭水化物成分を含有する生分解性及び/又は生体適合性ポリマーマトリクスからの、組み込まれた活性因子の放出特性の変化を指すものとする。放出特性には、突発、その後の薬物放出レベル、放出される活性因子の量及び/又は放出期間の程度が含まれる。放出特性は、ポリマーマトリクス中に分散される炭水化物成分の種類及び濃度を選択することによって改変され得る。さらに、分散される炭水化物成分の粒子サイズは、放出特性を改変するために選択できる。別の実施形態において、上述及び後述の実施形態とともに、別個に分散される炭水化物の粒子サイズは、約10μmから約1μmまで、8μmないし約2μm、5μmないし約2μm、又は約2μmであり得る。
【0040】
ポリマーの選択
あらゆる生体適合性ポリマーが使用できる。本明細書で使用される場合、ポリマー又はポリマーの全ての分解産物が受容者に対して非毒性であるか、又は受容者の身体に有意な有害な効果を何ら及ぼさない場合、前記ポリマー又はポリマーマトリクスは生体適合性である。生体適合性ポリマーは、生分解性ポリマー若しくは非生分解性ポリマー又はそれらの共重合体及び配合物であり得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「生腐食性(bioerodible)」又は「生分解性」という用語は、本明細書で使用される場合、約6ないし8の間のpHの生理学的溶液へ、約25℃ないし38℃の間の温度で一度曝露されたときに、望ましい用途(通常、インビボ療法)において受容可能な期間内、典型的には約5年未満、より好ましくは約1年未満に溶解又は分解する期間にわたって、より小さな化学種を形成するように分解すること又は腐食することが可能であるポリマーを指す。
【0042】
適切な生体適合性、生分解性ポリマーの例には、ラクチドポリマー、ポリグリコリド、ラクチド−グリコリド共重合体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体、無水物重合体(polyanhydride)、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド並びにそれらの共重合体及び配合物が含まれる。好ましいポリマーには、ポリヒドロキシ酸、特に身体の水性環境への曝露後の加水分解によって分解する乳酸−グリコール酸共重合体(「PLGA」)が含まれる。次に、ポリマーは、加水分解されて、細胞内環境の正常な副産物である乳酸及びグリコール酸の単量体を生じる。ポリマー崩壊の速度は、ポリマーの分子量、ポリマー鎖中のグリコリド単量体に対するラクチド単量体の比、及び単量体サブユニットの立体規則性を含む幾つもの因子に依存して、数週間から1年を超える期間まで変動し得る(L型及びD型の立体異性体の混合物は、ポリマー分解を亢進させるポリマー結晶化度を破壊する。)。dlのラクチド−グリコリド共重合体の種類のポリマー(PLGA、Resomer RG502H、RG502、RG503H、RG503、RG752、R202、R202H)は、Boehringer Ingelheim(B.I.)Chemicals,Inc.(Petersburg,Virginia)によって市販されている。適切な他の多様なポリマーは、同様に市場で容易に入手可能である。
【0043】
ポリ(ラクチド−グリコリド共重合体)(以下、「PLG」)は、例えば約10:90、25:75、50:50、75:25又は90:10のラクチド:グリコリド比を有し得る。本発明の好ましい実施形態において、ポリ(ラクチド−グリコリド共重合体)のラクチド:グリコリド比は、50:50である。特定の実施形態において、ポリ(ラクチド−グリコリド共重合体)の末端基は、メチルエステルの形態にある。他の実施形態において、ポリ(ラクチド−グリコリド共重合体)ポリマーの末端基は、酸の形態にある。さらなる実施形態において、ポリ(ラクチド−グリコリド共重合体)のエステルの形態及び酸の形態は、適切な比で配合できる。例えば、それぞれ、エステル形態又は酸形態のいずれかの約10%から酸形態又はエステル形態の最大約90%までである。好ましくは、徐放性組成物は、ヒトにおいて少なくとも3日間にわたって、前記組成物の封入する活性因子を放出する。
【0044】
適切な非生分解性ポリマーには、ポリアクリル酸塩、エチレン−酢酸ビニルのポリマー及び他のアシル置換型酢酸セルロース、非分解性ポリウレタン、ポリスチレン、塩化ポリビニル、フッ化ポリビニル、ポリビニルイミダゾール、クロロスルホン酸ポリオレフィン、酸化ポリエチレン、それらの配合物及び共重合体が含まれる。
【0045】
ポリマーの末端基は、ブロックされたポリマー、ブロックされていないポリマー又はブロックされたポリマーとブロックされていないポリマーとの配合物であり得る。ブロックされたポリエステルは、特にブロックされたカルボキシル末端基を有する場合、本分野で、古典的に定義されているとおりである。一般的に、ブロック基は、重合開始剤に由来し、典型的にはアルキル基である。適切なブロック基には、アルキル基が含まれる。好ましくは、ポリマーの末端基は、約21日以下の期間、1つ又はそれ以上の組み込まれた薬物の放出を容易にするために、ブロックされていない。ブロックされていないポリエステルは、特に遊離カルボキシル末端基を有する場合、本分野で、古典的に定義されているとおりである。生体適合性及び/又は生分解性ポリマーに関して受容可能な分子量は、望ましいポリマー崩壊速度などの因子、機械的強度などの物理的特性、及び溶媒中でのポリマーの溶解速度を考慮する当業者によって決定できる。典型的には、分子量(Mw)の受容可能な範囲は、例えば、約1,000ダルトン(Da)と約200,000Daとの間、約2,000Daと約50,000Daとの間、約2,000Daと約20,000Daとの間、約2,000Daと約12,000Daとの間又は約5,000Daと約12,000Daとの間である。ポリマーは、例えば、約1:1のラクチド:グリコリド比を有し、約5,000Daと約20,000Daとの間の分子量を有するPLGAなどの共重合体であり得る。
【0046】
別の実施形態において、上述及び後述の実施形態とともに、ポリマーは、低分子量のポリマーを含み得る。好ましい低分子量ポリマーには、米国特許出願公開第2005/0271722号として2005年12月8日に公開された、2005年4月25日に出願され、「Low Molecular Weight Polymers」という名称の米国特許出願第11/114,473号に記載され、それらに従って製造されるものを含む。さらにより好ましい低分子量ポリマーには、2005年4月25日に出願され、「Low Molecular Weight Polymers」という名称の米国特許出願第11/114,473号に記載され、それに従って製造されるポリ乳酸(PLA)ポリマーが含まれる。
【0047】
組み込まれるべき活性因子
本明細書で使用される場合、「活性因子」とは、医学的、農業的又は美容上の効果など、生物中に存在する状態の診断、改変、予防又は処置において望ましい効果を達成するために、生物学的プロセスを改変するための有用性を有する物質を指す。従って、活性因子は、薬物、放射性同位体、農産物及び化粧品の広範なカテゴリーから一般的に選択される。
【0048】
特定の実施形態において、本発明の組成物の活性因子は、タンパク質、ペプチド及び/又は非天然の偽性ペプチド又はペプチド模倣形態を有するペプチド受容体リガンドであり得る。本明細書で使用される場合、「タンパク質」及び「ペプチド」という用語は何れも、アミド結合によって連結される天然及び/又は非天然アミノ酸のポリマーを含むように理解される。典型的には、ペプチドは、2個〜約50個のアミノ酸からなり、より典型的には2個〜約30個のアミノ酸、さらにより典型的には2〜約20個のアミノ酸からなる。これに対して、タンパク質は、典型的に50個超のアミノ酸からなる。「タンパク質」及び「ペプチド」という用語は、さらに、場合によっては、タンパク質又はペプチドの類縁体、誘導体、抱合体及び/又は複合体を包含するものとする。類縁体の例には、1つ又はそれ以上の非天然アミノ酸を含有するペプチド又はタンパク質が含まれる。誘導体の例には、アミノ酸側鎖、ペプチド主鎖、及び/又は誘導体化されたアミノ末端又はカルボキシ末端を含有するペプチド又はアミノ酸が含まれる。アセチル化は、例えば誘導体化の適切な方法である。抱合体の例には、「媒体」へ抱合されたか又は「融合された」ペプチド又はタンパク質が含まれる。本明細書で使用される用語「媒体」とは、治療用タンパク質又はペプチドの崩壊を予防し及び/又は半減期を亢進させ、毒性を低下させ、免疫原性を低下させ、又は生物活性を亢進させる分子を指す。適切な媒体には、ヒトIgG1のFc領域などの別のポリペプチド、ポリエチレングリコール(PEG)などの水溶性ポリマー、脂質、コレステロール基、炭水化物、又はオリゴ糖が含まれ得る。
【0049】
従って、別の実施形態において、上述及び後述の実施形態とともに、本発明の組成物において使用するものとするタンパク質及び/又はペプチドは、2004年10月21日に出願された「PEPTIDES AND RELATED MOLECULES THAT MODULATE NERVE GROWTH FACTOR ACTIVITY」という名称の米国特許出願第10/66,480号(米国特許第6919426号として2005年7月19日に刊行)に記載されるように、IgG1のFcドメインなどのポリペプチド媒体と共役され得、本発明の組成物の哺乳動物への非経口投与に際し、ペプチドの適切な血漿レベルを、さらにより持続した期間で提供し得る。
【0050】
さらに、別の実施形態において、上述及び後述の実施形態とともに、本発明の組成物において使用するものとするタンパク質及び/又はペプチドは、2005年10月21日に出願された「PEPTIDES AND RELATED MOLECULES THAT MODULATE NERVE GROWTH FACTOR ACTIVITY」という名称の米国特許出願第10/66,480号(米国特許第6919426号として2005年7月19日に公開)に記載されるように、IgG1のFcドメインなどのポリペプチド媒体と共役され得、本発明の組成物の哺乳動物への非経口投与に際し、ペプチドの適切な血漿レベルをさらにより持続した期間で提供し得る。
【0051】
別の実施形態において、上述及び後述の実施形態とともに、本発明の組成物において使用するものとするタンパク質及び/又はペプチドは、2005年4月25日に出願された「Sustained Release Formulations」という名称の米国特許出願第11/114,473号(米国特許出願公開第2005/0271722号として2005年12月8日に公開)に記載されるように、没食子酸エステルと複合体を形成し得、本発明の組成物の哺乳動物への非経口投与に際し、タンパク質及び/又はペプチドの適切な血漿レベルをさらにより持続した期間で提供し得る。
【0052】
本発明に記載の製剤に適したペプチドには、(Trimeris及びRocheによってFuzeon(登録商標)として市販される)エンフビルチド、アンジオテンシン、アミリン、ACTH、レニン基質、セクロピンA−メリチンアミド、セクロピンB、マガイニン(Magainin)1、レニン阻害ペプチド、ボンベシン、オステオカルシン、ブラジキニン、カリジン、カルシトニン、コレシストキニン、コルチコトロピン放出因子、ダイノルフィンA、エンドモルフィン、サラフォトキシン、エンケファリン、エキセンディン(Exendin)、エクセナチド、フィブリノペプチド、ガラニン、ガストリン、ガストリン放出ペプチド、グルカゴン様ペプチド、成長ホルモン放出因子、OVAペプチド、黄体ホルモン放出ホルモン、心房性ナトリウム利尿ペプチド、メラニン凝集ホルモン、脳性ナトリウム利尿ペプチド、バソナトリン(Vasonatrin)、ニューロキニン、ニューロメディン、ニューロペプチドY、ニューロテンシン、オレキシン、オキシトシン、バソプレッシン、副甲状腺ホルモンペプチド、プロラクチン放出ペプチド、ソマトスタチン、ソマトスタチン腫瘍阻害類縁体、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、並びにそれらの変異体及び誘導体が含まれるが、これらに限定されるわけではない(Latham(1999)Nat.Biotech., 17:755も参照)。本発明に記載の製剤に適したさらなるペプチドには、米国特許出願公開第2005/0215470号として2005年9月29日に公開された「ANTAGONISTS OF THE BRADYKININ B1 RECEPTOR」という名称の米国特許出願第10/972,236号(2004年10月21日出願)に開示されるか又は参照されるブラジキニンペプチドアンタゴニストを含む(これに限定されるわけではない。)ブラジキニンペプチドアンタゴニストが含まれる。例えば、本発明の実施形態には、以下の表1に示されるB1ペプチドアンタゴニストを含む持続的送達組成物が含まれ得る。これに加えて(又はこれに代えて)、本発明の持続的送達組成物は、生体適合性及び/又は生分解性ポリマーマトリクス、前記ポリマーマトリクス中に溶解及び/又は分散された、後述の表1に示されるB1ペプチドアンタゴニストの少なくとも1つ、及び前記ポリマーマトリクス内に別個に分散された炭水化物成分を含み得る。炭水化物成分は、約3日〜約21日間にわたって、比較的加速された様式で、組み込まれた活性因子が前記ポリマーマトリクスから放出されるように調節する。
【0053】
本発明に従って製剤化できるタンパク質には、Flt3リガンド、CD40リガンド、エリスロポエチン、トロンボポエチン、カルシトニン、Fasリガンド、NFκB活性化受容体リガンド(破骨細胞分化因子)、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、ORK/Tek、胸腺間質由来リンポポエチン(thymic stroma−derived lymphopoietin)、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、肥満細胞成長因子、幹細胞成長因子、上皮細胞成長因子、ランテス、成長ホルモン、インスリン、インスリノトロピン(insulinotropin)、インスリン様成長因子、副甲状腺ホルモン、神経成長因子、グルカゴン、インターロイキン1ないし18、コロニー刺激因子、リンホトキシンβ、腫瘍壊死因子、白血病抑制因子、オンコスタチン−M、及び(eph関連キナーゼのためのリガンド又はLERKSなど)細胞表面分子Elk及びHekのための多様なリガンドが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0054】
本明細書に記載のペプチドは、本分野で公知のいずれかの方法、例えば、組換え又は標準固相ペプチド合成技術(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2dEd, Cold Spring Harbor(1989)参照)、好ましくは、自動又は半自動ペプチド合成装置を使用して調製され得る。
【0055】
本明細書に記載のタンパク質は、本分野で公知のいずれかの方法、例えばHuman Cytokines: Handbook for Basic and Clinical Research, Vol.II(Aggarwal and Gutterman, Eds. Blackwell Sciences, Cambridge MA, 1998)、Growth Factors: A Practical Approach(McKay and Leigh, Eds. Oxford University Press Inc., New York, 1993)及びThe Cytokine Handbook(AW Thompson, ed.; Academic Press, San Diego CA; 1991)に記載される組換えタンパク質発現技術を使用して調製され得る。
【0056】
上述のタンパク質の全てに対する受容体は、本発明に従って製剤化されることもできる。例には、(55頁及び75頁に記載の)腫瘍壊死因子受容体の両形態に関する受容体、インターロイキン1受容体(1型及び2型)、インターロイキン4受容体、インターロイキン15受容体、インターロイキン17受容体、インターロイキン18受容体、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体、オンコスタチンM及び白血病抑制因子に関する受容体、NFκB活性化受容体(RANK)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンドに関する受容体及びFas又はアポトーシス誘発受容体(AIR)など、デスドメインを含む受容体が含まれる。特に好ましい受容体は、2型IL−1受容体の可溶性形態であり、このようなタンパク質は、米国特許第5767064号に記載されている。
【0057】
本発明に従って製剤できる他のタンパク質には、(CDタンパク質と呼ばれる)分化抗原のクラスターの可溶性変異体、例えばLeukocyte Typing VI(Proceedings of the VIth International Workshop and Conference; Kishimoto, Kikutani et al., Eds. Kobe, Japan, 1996)に開示されるもの、又はその後のワークショップで開示されるCD分子が含まれる。このような分子の例には、CD27、CD30、CD39、CD40、及びこれらに対するリガンド(CD27リガンド、CD30リガンド及びCD40リガンド)が含まれる。これらのうちの幾つかは、TNFファミリーのメンバーであり、41BB及びOX40も含まれ、(41BBリガンド及びOX40リガンドなどの)リガンドは、しばしばTNFファミリーのメンバーであり、従って、TNF及びTNFRファミリーのメンバーは、本発明を使用して製造することもできる。
【0058】
酵素活性のあるタンパク質も、本発明に従って製剤できる。例には、メタロプロテアーゼ−ディスインテグリンファミリーのメンバー、多様なキナーゼ、グルコセレブロシダーゼ、αガラクトシダーゼA、スーパーオキシドジスムターゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、第VIII因子、第IX因子、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質A−I、グロビン、IL−2アンタゴニスト、α1アンチトリプシン、TNFα変換酵素及び数多くの他の酵素が含まれる。酵素活性のあるタンパク質に関するリガンドも、本発明を適用することによって製剤できる。本発明の組成物及び方法は、免疫グロブリン分子又はその部分、及びキメラ抗体(すなわち、ネズミ抗原結合領域に対するヒト定常部連結を有する抗体)又はその断片を含む、タンパク質の他の種類の製剤にも有用である。免疫グロブリン分子をコード化するDNAが、一本鎖抗体、親和性の亢進した抗体、又は他の抗体ベースのタンパク質などの組換えタンパク質をコード化できるDNAを生じるよう操作され得る数多くの技術が公知である(例えば、Larrick et al., 1989、Biotechnology 7: 934−938、Reichmann et al., 1988, Nature 332: 323−327、Roberts et al., 1987, Nature 328: 731−734、Verhoeyen et al., 1988, Science 239: 1534−1536、Chaudhary et al., 1989, Nature 339: 394−397参照)。ヒト化抗体という用語は、一本鎖抗体も包含する。例えば、Cabilly et al.,米国特許第4816567号、Cabilly et al.,欧州特許第0,120,694B1号、Neuberger,M.S.et al.,WO86/01533、Neuberger,M.S.et al.,欧州特許第0,194,276B1号、Winter,米国特許第5225539号、Winter,欧州特許第0,239,400B1号、Queen et al.,欧州特許第0,451,216B1号、及びPadlan,E.A.et al.,欧州特許第0,519,596A1号を参照されたい。例えば、本発明は、ヒト抗体、ヒト化抗体又は特異的細胞標的、例えば、若干の例を挙げると、上述のタンパク質全て、ヒトEGF受容体、her−2/neu抗原、CEA抗原、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CD5、CD11a、CD18、NGF、CD20、CD45、Ep−cam、他の癌細胞表面分子、TNFα、TGFβ1、VEGF、他のサイトカイン、α4β7インテグリン、IgE、ウィルスタンパク質(例えば、サイトメガロウィルス)等を免疫特異的に認識するそれらの断片を製剤するのにも使用できる。
【0059】
多様な融合タンパク質も、本発明に従って製剤化できる。融合タンパク質は、異種タンパク質又はペプチドへ融合された、タンパク質又はタンパク質のドメイン(例えば、可溶性細胞外ドメイン)である。このような融合タンパク質の例には、免疫グロブリン分子の部分との融合として発現されたタンパク質、ジッパー部分との融合タンパク質として発現したタンパク質並びにサイトカイン及び成長因子の融合タンパク質(すなわち、GM−CSF及びIL−3、MGF及びIL−3)などの新規の多機能性タンパク質が含まれる。WO93/08207及びWO96/40918は、免疫グロブリン融合タンパク質及びジッパー融合タンパク質をそれぞれ含むCD40Lと呼ばれる分子の多様な可溶性オリゴマー形態の調製を記載する。WO93/08207及びWO96/40918で論議される技術は、他のタンパク質へ適用可能である。別の融合タンパク質は、「エタネルセプト」としても知られる組換えTNFR:Fcである。エタネルセプトは、p75TNFα受容体の細胞外部分の2つの分子の二量体であり、各分子は、ヒトIgG1の232個のアミノ酸のFc部分へ融合した235個のアミノ酸のTNFR由来のタンパク質からなる。実際、上述の分子の全ては、細胞の受容体分子の細胞外ドメイン、酵素、ホルモン、サイトカイン、免疫グロブリン分子の部分、ジッパードメイン及びエピトープを含む(これらに限定されるわけではない。)融合タンパク質として発現できる。
【0060】
本発明の方法及び組成物に関連して使用される活性因子には、非タンパク質又は非ペプチド活性因子も含まれ得る。典型的な非ペプチド及び非タンパク質活性因子には、活性因子の以下の限定していないカテゴリーが含まれる。すなわち、(a)アンチセンス分子、短い干渉性RNA、アプタマー及び/又はそれらを含むベクターを含むがこれらに限定されるわけではない核酸、(b)炭水化物及び多糖類、(c)ウィル子及びウィルス粒子、(d)有機又は無機の天然又は合成化合物、(e)(a)ないし(d)の抱合体又は複合体及び(a)ないし(e)の混合物である。本発明の方法及び組成物に従って使用できるこれら及び他の活性因子のさらなる記述は、米国特許第5482706号、第5514670号及び第4357259号に記載される。
【0061】
さらに、本発明の方法及び組成物に関連して使用できる活性因子には、以下の活性因子が含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗生物質、抗コレステロール薬、抗糖尿病薬、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗寄生虫薬、抗悪性腫瘍薬、抗炎症薬、強心配糖体、除草剤、ホルモン、免疫調節物質、モノクローナル抗体、神経伝達物質、殺虫薬、造影剤、鎮静薬、ステロイド、鎮痛薬、ワクチン、昇圧薬、麻酔薬、抗原、受容体リガンド、アンチセンス分子、短い干渉性RNA、及び/又はそれらを含むベクターなどの核酸、抗生物質、ステロイド、鬱血除去薬、向神経活性薬、麻酔薬及び鎮静薬、造血薬、抗感染薬、抗認知症薬、抗ウィルス薬、抗腫瘍薬、解熱薬、鎮痛薬、抗潰瘍薬、抗アレルギー薬、抗鬱薬、鬱血除去薬、向精神薬、強心薬、抗不整脈薬、血管拡張薬、利尿薬などの降圧薬、抗糖尿病薬及び抗凝固薬である。
【0062】
活性因子には、サイトカイン、成長因子、心臓血管系に作用する因子、中枢神経系及び末梢神経系に作用する因子、体液性電解質及び血液有機物質に作用する因子、骨及び骨格に作用する因子、胃腸系に作用する因子、免疫系に作用する因子、呼吸器系に作用する因子、生殖器に作用する因子及び酵素が含まれ得る。
【0063】
典型的なホルモンには、インスリン、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、黄体ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、アミリン、オキシトシン、黄体ホルモン、(D−Tryp6)−LHRH、酢酸ナファレリン、酢酸リュープロリド、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルカゴン、プロスタグランジン及び生殖器に作用する他の因子、及びそれらの誘導体、類縁体及び同類物が含まれる。LH−RHの類縁体として、このような公知の物質には米国特許第4008209号、第4086219号、第4124577号、第4317815号及び第5110904号に記載のものが含まれる。
【0064】
典型的な抗生物質には、テトラサイクリン、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、スルホンアミド薬、コハク酸クロラムフェニコールナトリウム、エリスロマイシン、バンコマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン、ニスタチン、アンホテリシンB、アマンチジン、イドクスウリジン、p−アミノサリチル酸、イソニアジド、リファンピン、アンチノマイシンD、ミトラマイシン、ダウノマイシン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、イミダゾールカルボキサミドが含まれる。
【0065】
典型的な造血因子又は血小板新生因子には、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージ刺激因子(GM−CSF)及びマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、白血球増殖因子調製物(Leucoprol, Morinaga Milk)、トロンボポエチン、血小板増殖刺激因子、巨核球増殖(刺激)因子及び第VIII因子が含まれる。典型的な抗認知症薬には、セレゲレン(selegelene)が含まれる。典型的な抗ウィルス薬には、アマンチジン及びプロテアーゼ阻害剤が含まれる。典型的な抗腫瘍薬には、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タキソール及びメトトレキサートが含まれる。典型的な解熱薬及び鎮痛薬には、アスピリン、モトリン、イブプロフィン、ナプロシン、インドシン及びアセトアミノフェンが含まれる。典型的な抗炎症薬には、NSAID、アスピリン、ステロイド、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン及びジクロフェナクナトリウムが含まれる。典型的な抗潰瘍薬には、ファモチジン、シメチジン、ニザチジン、ラニチジン及びスクラルファートが含まれる。典型的な抗アレルギー薬には、抗ヒスタミン、ジフェンヒドラミン、ロラタジン及びクロルフェニラミンが含まれる。典型的な抗鬱薬及び向精神薬には、リチウム、アミトリプタリン、オランザピン、三環式抗鬱薬、フルオキセチン、プロザック及びパロキセチンが含まれる。典型的な強心薬には、ジゴキシンが含まれる。典型的な抗不整脈薬には、メトプロロール及びプロカインアミドが含まれる。典型的な血管拡張薬には、ニトログリセリン、二フェジピン及び硝酸イソソルビドが含まれる。典型的な利尿薬には、ヒドロクロロチアジド及びフロセミドが含まれる。典型的な降圧薬には、カプトプリル、二フェジピン及びアテノロールが含まれる。典型的な抗糖尿病薬には、グルコジド、クロロプロパミド、メトホルミン及びインスリンが含まれる。典型的な抗凝固薬には、ワルファリン、ヘパリン及びヒルジンが含まれる。典型的なコレステロール低下薬には、ロバスタチン、コレスチラミン及びクロフィブラートが含まれる。骨粗鬆症並びに骨及び骨格に作用する他の因子を治療するための典型的な治療薬には、カルシウム、アレンドロン酸塩、骨GLAペプチド、副甲状腺ホルモン及びその活性断片(オステオスタチン、Endocrynology 129, 324, 1991)、ヒストンH4関連骨形成及び増殖ペプチド(OGP、The EMBO Journal 11, 1867, 1992)及びそれらの変異タンパク質、誘導体及び類縁体が含まれる。典型的な酵素及び酵素補助因子には、パンクレアーゼ、L型アスパラギナーゼ、ヒアルロニダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、tPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、パンクレアチン、コラゲナーゼ、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、プラスミノーゲン、ストレプトキナーゼ、アデニルシクラーゼ及びスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)が含まれる。典型的なワクチンには、B型肝炎ワクチン、MMR(麻疹、流行性耳下腺炎、風疹)ワクチン及びポリオワクチンが含まれる。典型的な免疫学的アジュバントには、フロイントアジュバント、ムラミルジペプチド、コンカナバリンA、BCG及びレバミソールが含まれる。典型的なサイトカインには、リンホカイン、モノカイン、造血因子等が含まれる。本発明の実施において有用なリンホカイン及びサイトカインには、インターフェロン(例えば、インターフェロンα、β及びγ)、インターロイキン(例えば、インターロイキン2ないし18)等が含まれる。本発明の実施において有用なモノカインには、インターロイキン1、腫瘍壊死因子(例えば、TNFα及びβ)、悪性白血球抑制因子(LIF)が含まれる。典型的な成長因子には、神経成長因子(NGF、NGF−2/NT−3)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、インスリン様成長因子(IGF)、形質転換増殖因子(TGF)、血小板由来細胞増殖因子(PDGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン(Artemin)及びペルセフィン(persephin)が含まれる。心臓血管系に作用する典型的な因子には、エンドセリン、エンドセリン阻害剤、欧州特許第436189号、第457195号、第496452号及び第528312号、特開平3−94692号及び特開平3−130299号に記載のエンドセリンアンタゴニスト、エンドセリン生成酵素阻害剤、バソプレッシン、レニン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII、アンギオテンシンIII、アンギオテンシンI阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、心房性ナトリウム利尿性ペプチド(ANP)、抗不整脈ペプチドなど、血圧、動脈硬化症等を調節する因子が含まれる。中枢神経系及び末梢神経系に作用する典型的な因子には、オピオイドペプチド(例えば、エンケファリン、エンドルフィン)、神経栄養因子(NTF)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)、TRHの塩及び誘導体[日本特開昭50−121273号(米国特許第3959247号、日本特開昭52−116465号(米国特許第4100152号)]、ニューロテンシン等が含まれる。胃腸系に作用する典型的な因子には、セクレチン及びガストリンが含まれる。体液性電解質及び血液有機物質に作用する典型的な因子には、カルシトニン、アポタンパク質E及びヒルジンなど、赤血球凝集、血漿コレステロールレベル又は金属イオン濃度を調節する因子が含まれる。ラミニン及び細胞間接着分子1(ICAM1)は、典型的な細胞接着因子を呈する。腎臓及び尿路に作用する典型的な因子には、脳由来ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、ウロテンシンなど、腎臓の機能を制御する物質が含まれる。感覚器官に作用する典型的な因子には、サブスタンスPなど、多様な器官の感度を調節する因子が含まれる。免疫系に作用する典型的な因子には、炎症及び悪性新生物を調節する因子、及び走化性ペプチド及びブラジキニンなど、感染性微生物を攻撃する因子が含まれる。呼吸器系に作用する典型的な因子には、喘息反応と関連した因子が含まれる。本明細書に記載のタンパク質又は前記タンパク質の受容体の全てに対するアンタゴニストとして作用し得る天然ペプチド、化学的に合成されたペプチド又は組換えペプチドも含まれる。ヒマラヤスギ花粉及びブタクサ花粉など、抗原として作用し得る天然の、化学的に合成された又は組換えのペプチド又はタンパク質も含まれる。これらの因子は、本発明に記載の製剤中で、独立して、ハプテンと連結して、又はアジュバントともに投与される。
【0066】
【表2】



【0067】
本発明に従って使用するための活性因子の特異的な例は、上述及び後述されているが、このことは、他の薬物が活性因子としての使用から除外されることを意味するものではない。活性因子は、天然物質、組換え物質又は化学的に合成された物質であり得る。本明細書で使用される場合、「活性因子」は、不活性因子がその後、上述に定義される活性因子へと変換される限り、不活性因子を包含するものとする。
【0068】
上述に暗示されるように、活性因子は、インビボで放出される活性因子を含む(これに限定されるわけではない。)物質の存在を検出し及び/又は前記物質の位置を同定するのに有用な検出可能な標識(例えば、放射性薬物、放射線不透過性薬物又は磁性薬物)であり得るか又は前記標識を含む。標識及び活性因子を標識する方法の多様な種類が、当業者に周知である。金属などの磁性物質が標識という用語の定義内に含まれることは、当業者によって理解される。他の幾つもの特異的な標識又はレポーター基が、以下に設定される。例えば、標識は、[32]P、[3]H、[14]C、[35]S、[125]I又は[131]Iなどの放射性標識であり得るが、これらに限定されるわけではない。[32]P標識は、結合試薬でタンパク質へ結合され得るか、又はニックトランスレーション、末端標識又は標識したヌクレオチドの組み込みによって核酸分子の配列へと組み込まれ得る。例えば、[3]H、[14]C又は[35]S標識は、標識した前駆体の組み込みによって、又は化学的改変によってヌクレオチド配列へと組み込まれ得るのに対し、[125]I又は[131]I標識は、化学的改変によってヌクレオチド配列へと一般的に組み込まれる。標識は、シンチレーション計数、γ線分光光度法又はオートラジオグラフィーなどの方法によって検出できる。
【0069】
標識は、例えば[13]C、[15]N又は[19]Oなどの質量又は核磁気共鳴(NMR)標識でもあり得る。染色剤、化学発光剤、生物発光剤及び蛍光原(fluorogen)も、活性因子を標識するのに使用できる。核酸を標識するのに有用な染色剤の例には、臭化エチジウム、アクリジン、プロピジウム及び他の挿入剤、及び4’,6’−ジアミジノ−2−フェニリンドール(DAPI)(Sigma Chemical Company, St.Louis, Mo.)又は他の核酸系が含まれる。蛍光原の例には、フルオレセイン及び誘導体、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、フィコシアニン、ローダミン、テキサスレッド又は他のフルオロゲンが含まれる。蛍光原は一般に、化学的改変によって結合する。染色剤標識は、分光光度計によって検出でき、蛍光原は、蛍光検出器によって検出できる。
【0070】
活性因子は、色素原(酵素基質)でもあり得るか又は色素原で標識されることもできる。あるいは、活性因子は、ビオチン−アビジン反応において利用できるようにビオチン化され得、酵素又はフルオロゲンなどの標識へも結合し得る。活性因子は、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、又は基質の添加に際し、色素原反応又は蛍光原反応を付与する他の酵素で標識できる。標識は、いずれかの改変された塩基、アミノ酸又はいずれかの標識を含有する前駆体を組み込むことによって、改変された塩基の組み込み若しくは特異的抗体によって認識可能な化学基を含有するアミノ酸の組み込みによって、又は免疫蛍光若しくは免疫酵素反応を含む多様な手段によっていずれかの結合した抗体複合体を検出することによっても可能である。このような標識は、酵素結合免疫測定法(ELISA)を使用して、又は分光光度計で色の変化を検出することによって、検出できる。活性因子には、疾病、障害又は状態を治療するのに有用な治療薬も含まれる。
【0071】
記載のように、本発明の核酸含有持続的送達組成物も想定される。例えば、本発明の核酸含有微粒子には、(1)生体適合性及び/又は生分解性ポリマー、(2)核酸(例えば、プラスミド、ウィルスベクター、オリゴヌクレオチド、RNA、低分子干渉RNA、アンチセンス及びミスセンス核酸)、(3)ポリカチオンのポリマー(例えば、ポリリジン)、及び(4)別個に分散された炭水化物が含まれ得る。従って、PLGA微粒子を含む核酸含有持続的送達組成物を形成するための方法が提供される。
【0072】
1つ又はそれ以上の活性因子の有意な量は、本発明の組成物のポリマーマトリクスへと組み込まれ、それにより活性因子の有効量が、所定の期間放出される。活性因子の有効量は、体重、年齢、身体状態、望ましい治療目的、予防目的又は診断目的、使用される薬物の種類、使用されるポリマーの種類、望ましい初期突発及びその後の放出レベル、及び望ましい放出速度などの因子を考慮する当業者によって容易に決定できる。典型的には、ポリマーマトリクスは、活性因子の約0.1%(重量/重量、以後「(w/w)」)と約60%(w/w)との間、約0.5%(w/w)と約50%(w/w)との間、約5%(w/w)と約40%(w/w)との間、約5%(w/w)と約20%(w/w)との間、約5%(w/w)と約15%(w/w)との間、約5%(w/w)と約10%(w/w)との間、約5%(w/w)と約10%(w/w)との間及び約10%を含有する。組み込まれた活性因子は、ポリマー中に溶解され得るか、又は粒子、例えば結晶粒子、非結晶粒子、固体粒子、凍結乾燥粒子、スプレー乾燥した粒子及びスプレー乾燥した凍結乾燥粒子の形態にあるポリマー内に分散され得る。ポリマーマトリクス内に分散される活性因子粒子の平均サイズは、約1μmと約20μmとの間、約2μmと約15μmとの間、約3μmと約10μmとの間、約4μmと約8μmとの間、又はより好ましくは約5μm未満、さらにより好ましくは約3μm未満であり得る。粒子には、安定剤及び/又は他の賦形剤も含まれ得る。
【0073】
炭水化物成分
炭水化物成分は、本明細書で定義されるように、炭水化物の少なくとも1種類を含有する成分である。本明細書で使用される「炭水化物」は、単糖、二糖若しくは三糖、又は多糖などのポリオールである。適切な単糖類には、グルコース、果糖、ガラクトース及びマンノースが含まれるが、これらに限定されるわけではない。本明細書で定義される「二糖」は、加水分解が単糖の2分子を生じる化合物である。適切な二糖類には、ショ糖、乳糖、麦芽糖及びトレハロースが含まれるが、これらに限定されるわけではない。適切な三糖類には、ラフィノース及びアカルボースが含まれるが、これらに限定されるわけではない。ある実施形態において、炭水化物は、非還元型二糖であり得る。好ましい炭水化物成分には、例えばトレハロース、麦芽糖、グルコース、セルロース及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0074】
炭水化物成分中に存在する炭水化物の量は、約50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%から約99.5%(w/w)までの範囲であり得る。特定の実施形態において、炭水化物成分中に存在する炭水化物の量は、約90%ないし約99%(w/w)の間である。他の実施形態において、炭水化物成分中に存在する炭水化物の量は、約95%ないし約99%(w/w)の間である。
【0075】
さらに、組成物の炭水化物成分中に存在する炭水化物の量は、組成物の乾燥重量全体の約0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%(w/w)から約20%(w/w)までの範囲であり得る。特定の実施形態において、組成物の炭水化物成分中に存在する炭水化物の量は、組成物の乾燥重量全体の約5%(w/w)から約10%(w/w)までの範囲であり得る。幾つかの実施形態において、組成物の炭水化物成分中に存在する炭水化物の量は、組成物の乾燥重量全体の約10%(w/w)である。又、本発明の幾つかの実施形態において、本明細書で定義される炭水化物成分は、NaCl、NaF、KCl、KF、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩及び乳酸塩など、少なくとも1つの塩又はそれらの組み合わせの全てをさらに含み得る。しかしながら、組成物の炭水化物成分中の塩の合計量は、約80%(w/w)未満、約70%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%又は約10%未満であり得る。幾つかの実施形態において、組成物の炭水化物成分中の塩の合計量は、約50%未満である。適切な濃度は、標的放出速度及び標的期間の持続的送達組成物を提供するために、組み込まれた薬物のポリマーマトリクスからの放出を調節する濃度である。最適濃度は、標的放出速度、標的放出期間、炭水化物成分中のポリマー、炭水化物及び/又は塩及び利用される生物活性因子などの多様な因子に依存する。ある実施形態において、炭水化物成分は、PBS、HEPES、又はシミュレートされた生理学的液体などの水溶液中に実質的に可溶性である。
【0076】
本明細書で使用される用語「界面活性剤」は、非混和性液体間の表面張力を低下できる全ての物質を指す。徐放性組成物へ添加できる適切な界面活性剤には、非イオン性ポリマー界面活性剤などのポリマー界面活性剤、例えばポロキサマー、ポリソルベート、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリビニルピロリドン及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。本発明における使用に適したポロキサマーの例には、商標PLURONIC(登録商標)F127のもとで市販されているポロキサマー407、及び商標PLURONIC(登録商標)F68のもとで市販されているポロキサマー188が含まれ、両者ともBASF Wyandotteから入手可能である。本発明における使用に適したポリソルベートの例には、商標TWEEN(登録商標)20のもとで市販されているポリソルベート20、及び商標TWEEN(登録商標)80のもとで市販されているポリソルベート80が含まれる。陽イオン性界面活性剤、例えば塩化ベンザルコニウムも、本発明における使用に適し得る。さらに、デオキシコール酸塩及びグリココール酸塩などの胆汁酸塩は、界面活性剤としての前記酸の非常に効果的な性質に基づいた界面活性剤として適している。界面活性剤は、組成物のポリマー相、炭水化物成分又は活性因子成分中に存在し得る。界面活性剤は、ポリマーマトリクスからの活性因子の放出を改変するよう作用でき、活性因子又はそれらの組み合わせを安定化するよう作用できる。好ましい界面活性剤には、カプリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、モノオレイン酸ソルビタン(Span80)、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン(トゥイーン80)(Sigma−Aldrich Chemie GmbH, Steinheim, Germany)、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パモ酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム及びこれらの組み合わせが含まれる。特定の実施形態において、炭水化物成分は、カプリン酸ナトリウムの約0.5%(w/w)と約10%との間、約1%と約5%(w/w)との間、及び約1%と約5%(w/w)との間を含む。
【0077】
活性因子放出の初期突発
徐放性送達システムからの薬物放出は、通常、初期放出(「突発」)相、これに続くさらに遅い持続的な放出相に分割することが可能である。「初期放出相」、「突発」、「突発相」、「初期突発」という用語又はこれらの変形語は、本明細書で互換的に使用され得る。製剤の治療上の効能及び毒性の両者において重要な役割をしばしば担う初期放出は、最初の24時間に放出される薬物の量として通常定義される。薬物に依存して、より少量の又はより多量の初期放出が、薬理学的効果を惹起するために必要とされ、望ましくない多量の初期放出は、封入された薬物を、微粒子から迅速に放出し過ぎる場合があり得、さらには毒性問題を生じ得る。従って、初期放出相の適切な調節は、調節された送達システムの設計において重要な問題の1つである。
【0078】
初期放出は共通して、微粒子の表面近くに配置される薬物の放出、又は例えば多孔性微粒子の場合、容易にアクセスできる薬物が原因である(Batycky et al., 1997、Cohen et al., 2002、Hermann and Bodmeier, 1995b、Ravivarapu et al., 2000c)。多孔性は、大きな表面積及び放出媒体の迅速な貫通と相関し、その結果、多量の初期放出と相関する。
【0079】
微粒子の調製のための、好ましく使用される方法は、溶媒蒸発法である(Bodmeier and Chen, 1989)。薬物は、有機ポリマー溶液中に溶解、分散又は乳化する。ポリマー相の外部(多くは水性)相中への乳化後、溶媒は、外部相中へ拡散し、蒸発し、同時に外部相(非溶媒)は、ポリマー滴の表面中に貫通する。ポリマー滴の沈殿動態は、凝固した微粒子の微小構造を決定する。一般的に、迅速なポリマー沈殿は、存在する溶媒のなお有意な量によって滴の硬化が生じるため、多孔性微粒子の形成を生じ、一方で、遅い沈殿はより濃縮したポリマー滴及びより密になった微粒子を生じる(Schlicher et al., 1997、Graham et al., 1999)。同一の最終的な組成を有するが、異なる放出特性を有する粒子の異なる微小構造を取得することが可能である。
【0080】
原位置でのPLGAインプラントシステムにおけるPLGA沈殿動態は、McHughらによって測定された(Graham et al., 1999、Brodbeck et al., 1999a)。より迅速なPLGA沈殿に至るパラメータ(例えば、PLGA溶液へのPVP又は水の添加、又はポリマー濃度の低下)は、より多孔性のインプラント及び多量の初期放出をもたらした。対照的に、遅々たる沈殿は、少量の初期放出で、より密なスポンジ様のインプラントをもたらした。
【0081】
ポリマーマトリクスを調製するための方法
本発明の別の態様は、本明細書に開示される新規の持続的送達組成物の調製のための方法に関する。例えば、本発明のある実施形態には、ポリマー溶液を形成するために溶媒中に生体適合性及び/又は生分解性ポリマーを溶解させること、並びにポリマー溶液内に炭水化物成分及び予防薬、治療薬及び/又は診断薬を別個に分散させることによって調製され得る組成物が含まれる。次に、ポリマー溶液を凝固させ、ポリマーマトリクスを形成する。炭水化物の少なくとも有意な量が、組み込まれた薬物とは別個にポリマーマトリクス中に分散される。炭水化物は、約30日以下の期間にわたって、比較的一定した様式で、組み込まれた活性因子が前記ポリマーマトリクスから放出されるように調節する。
【0082】
本発明の幾つかの実施形態において、ポリマーマトリクスは、ポリマー溶液を形成するために溶媒中に適切なポリマーを溶解させ、組み込まれるべき活性因子の溶液を添加し、及び懸濁液を形成するために、炭水化物成分をポリマー溶液へ添加することによって調製できる。炭水化物成分の添加は、活性因子の添加前に完了できる。例えば、ポリマー溶液及び炭水化物の溶液又は粒子は、超音波処理又は撹拌によって混合でき、一方で、活性因子は、ポリマーマトリクスを形成する工程において、後に組み込まれる。
【0083】
さらに、他の賦形剤をポリマー相へ添加可能であり、徐放性組成物からの活性因子の放出を改変する。このような賦形剤には、塩化ナトリウムなどの塩が含まれる。
【0084】
「抗酸化剤」も、徐放性組成物へ添加できる。適切な抗酸化剤には、メチオニン、ビタミンC、ビタミンE及びマレイン酸が含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。抗酸化剤は、安定化したFSH製剤中に存在し得るか、又はポリマー相中に添加できる。特定の実施形態において、メチオニンは、FSH中のジスルフィド残基及びメチオニン残基の酸化を還元するために添加できる。
【0085】
ポリマーが水溶液中で不溶性であり、水と混和できない有機溶媒中で可溶性である実施形態において、乳剤が形成できる。乳剤は、例えば、これらの溶液を超音波処理、撹拌、混合又はホモジナイズすることによって形成できる。
【0086】
組み込まれた薬物と炭水化物成分の相対的な量の測定
ポリマー溶液へ添加される生物学的に活性な薬物の量は、少なくとも1つの炭水化物成分と少なくとも1つの生物学的に活性な薬物との異なる濃度を含有するポリマーマトリクスのインビボでの比較検査によって、経験的に決定できる。使用される量は、特定の薬物、計画された放出レベルでの前記薬物の望ましい効果、及び前記薬物が放出される時間に依存して変動する。
【0087】
送達デバイスの種類
薄膜、棒状、球粒、円柱形、円盤、インプラント及び微粒子などの送達デバイスの幾つもの種類が、当業者に周知の方法を使用して、ポリマーマトリクスから調製できる。好ましい実施形態において、本方法には、放出の改変されたポリマーマトリクスを薄膜として形成することが含まれる。適切な炭水化物成分は、蒸留水中に溶解され、これも、蒸留水中に溶解された生物学的に活性な薬物とともにポリマー溶液中へと超音波処理される。次に、薄膜をポリマー溶液から鋳造し、一晩乾燥させる。次に、薄膜を高い真空へ4ないし6時間供し、全ての残留溶媒を抽出する。微粒子がより好ましい。注射によって患者へ投与するように企図された微粒子組成物において、微粒子のサイズは、平均直径約150、125、100、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25又は20ミクロンであるべきである。
【0088】
本発明の別の態様によると、本発明の医薬組成物を含有する注射器が提供される。注射器は、活性因子形態である微粒子の持続型送達によって治療可能な状態を治療するための活性因子を含有する微粒子の単回用量、及び注射器へ装着される針を含有し得、前記針は14ゲージから30ゲージの孔サイズを有する。さらに、本発明の微粒子は、針なし注射器(MediJector, Derata Corporation, Minneapolis, MN 55427)を使用して微粒子の送達を可能にする寸法を有するよう調製でき、それによりバイオハザード廃棄物として廃棄されなければならない針に固有の廃棄問題を排除できる。従って、本発明の特に好ましい態様によると、症状を治療するための活性因子を含有する微粒子の1回以上の用量を含む医薬組成物を含有する針なし注射器が提供される。
別の実施形態において、前記方法には、スプレー乾燥工程を介して改変された放出システムを形成することが含まれる。あるいは、前記方法には、溶媒除去工程を介して改変された放出ポリマー微粒子を形成することが含まれる。前記方法は、微粒子を形成するか、又はシステム内に炭水化物成分及び生物学的に活性な薬物を封入する微粒子を形成するかのいずれかである。本明細書で使用される場合、「微粒子」とは、好ましくは1.0mm未満の、より好ましくは10ミクロンと100.0ミクロンとの間の直径を有する粒子を指す。微粒子には、典型的には固体球状微粒子である細粒が含まれる。微粒子には、異なるポリマーの中心、薬物又は組成物を典型的に有する球状微粒子であるマイクロカプセルも含まれる。本明細書で使用される場合、微粒子は、少なくとも1つの組み込まれた薬物を含む直径約1mm未満の粒子である。微粒子は、球状、非球状又は不規則形態を有し得る。好ましくは、微粒子は球状である。
【0089】
微粒子を形成するために、特に、本分野で公知の多様な技術が使用できる。これらには、例えば、単一又は二段階の乳化工程後の溶媒除去が含まれる。溶媒除去は、他の方法のうち、抽出、蒸発又はスプレー乾燥によって達成され得る。溶媒抽出方法において、水などの抽出溶媒中に少なくとも部分的に可溶性の有機溶媒中にポリマーを溶解する。次に、可溶性形態か微粒子として分散される活性因子をポリマー溶液へ添加し、ポリビニルアルコールなどの界面活性剤を含有する水性相中へと混合物を分散する。硬化した微粒子を形成するため、有機溶媒がポリマー/活性因子から除去される水のより多量へ、得られた乳剤を添加する。溶媒蒸発方法において、ポリマーを揮発性有機溶媒中に溶解する。次に、可溶性形態か微粒子として分散される活性因子を、ポリマー溶液へ添加し、混合物が、ポリビニルアルコールなどの界面活性剤を含有する水性相中へと懸濁させる。有機溶媒のほとんどが蒸発するまで、得られた乳剤を撹拌し、固体微粒子を取り残す。スプレー乾燥方法において、塩化メチレン(例えば、0.04g/mL)などの適切な溶媒中に、ポリマーを溶解する。次に、活性因子の公知の量を、ポリマー溶液中で(不溶性の場合)懸濁するか、又は(可溶性の場合)同時溶解する。次に、溶液又は分散液をスプレー乾燥させる。1ミクロンと10ミクロンとの間の範囲に及ぶ直径の微粒子は、ポリマーの選択に依存する形態で得られ得る。
【0090】
ポリマーを溶解するのに使用される溶媒の種類は、ポリマーの種類に依存する。多様な生分解性ポリマーを溶解するための適切な溶媒には、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジクロロエタン及びヘキサフルオロイソプロパノールなどの極性有機溶媒が含まれる。ポリ(ラクチド−グリコリド共重合体)のための適切な溶媒には、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸メチル、塩化メチレン、クロロホルム、ヘキサフルオロイソプロパノール、アセトン及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0091】
用語「微小滴」とは、約1,000ミクロン以下の寸法の全ての形態の滴を指す。
【0092】
同様に、いずれかの特定の活性因子を溶解するのに使用される溶媒の種類は、前記活性因子の種類及び特定の特徴に依存する。タンパク質又はペプチドのための適切な溶媒には、エタノール、メタノール、水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、DMSO及びそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。ある実施形態において、炭水化物成分の粒子は、蒸留水中にあらかじめ溶解された後、ポリマー溶液内に分散される。炭水化物成分溶液の添加とは別個に、少なくとも1つの生物学的に活性な薬物をポリマー溶液へ添加する。生物学的に活性な薬物は、蒸留水中に溶解でき、それによりポリマー及び炭水化物成分乳剤へ添加できる。炭水化物成分及び生物学的に活性な薬物は、ポリマー溶液へ連続的に、逆の順序で、間欠的に又は個別の同時添加を通じて添加できる。生物学的に活性な薬物は、溶媒中にポリマーを溶解する前に、溶媒中の炭水化物成分の溶液中に懸濁できる。
【0093】
別の実施形態において、炭水化物成分は、マトリクスが形成され、活性因子をすでに組み込んだ後、ポリマーマトリクス中へと組み込まれる。それに代わる実施形態において、ポリマー溶液へ添加されるタンパク質又は活性因子は、本分野で公知のように、少なくとも1つの安定剤又は抗酸化剤などの賦形剤と混合できる。
【0094】
溶媒蒸発工程によって形成される細粒は、硬化させるために非常に短い時間放置された以外は、本明細書に開示される微粒子内にあることは想定されない。さもないと、炭水化物成分は、システムの作製中にシステムから外へ浸出される。
【0095】
別の実施形態において、前記方法には、放出の改変されたポリマーマトリクスを桿状、円柱状またはその他の形状として形成することが含まれる。ポリマー溶液及び溶解した形態にある炭水化物成分は、微細乳剤が製造されるまで、例えば超音波処理によって混合される。前記ポリマー溶液はその後、望ましい形状の鋳型へと鋳造される。次に、一定の乾燥重量を有する円柱形又は他の形態が得られるまで、本分野で公知の手段によって溶媒を除去する。
【0096】
B1ペプチドアンタゴニスト徐放性組成物を形成するための方法の幾つかの特定の実施形態において、平均分子量約5kD及び20kDのRG502H(B.I.Chemicals,Inc.,(Petersburg,Virginia))などのラクチド−グリコリド共重合体を、塩化メチレン中に溶解し、ポリマー溶液を形成する。B1ペプチドアンタゴニストの総重量が、最終組成物の乾燥重量の約1%(w/w)と約15%(w/w)との間になるように、メタノール中に溶解した少なくとも1つのB1ペプチドアンタゴニストを含むペプチド成分の溶液へ、前記ポリマー溶液を添加する。次に、ポリマー溶液及びペプチド溶液を混合し、99%トレハロース及び1%カプリン酸ナトリウムを含む炭水化物成分のスプレー乾燥した粒子のある量へ添加する。共重合体/ペプチド成分/炭水化物成分の混合物をスプレー乾燥させるか又は凍結スプレー乾燥させ、B1ペプチドアンタゴニスト微粒子組成物を回収する。共溶媒溶液中のメタノールの百分率が約20%、約15%、約9%、約7%、約5%、約3%又は約2%未満のとき、塩化メチレン及びメタノールをそれぞれ、PLGA及びB1ペプチドアンタゴニスト成分のための共溶媒として使用して作製するPLGA微粒子は、(最大血漿濃度Cmaxによって定義されるように)インビボでの突発を劇的に低下させ、同様に、B1ペプチドアンタゴニストの血漿レベルの持続を亢進させる。
【0097】
別の実施形態において、上述及び後述の実施形態に関連して、望ましい突発特徴を有する徐放性組成物が提供される。幾つかの実施形態において、インビトロ又はインビボで適切な水性環境に配置されるとき、活性因子の平均突発放出は、約40%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%又は11%から約10%までの範囲であり得る。インビボでの適切に関連する水性環境には、血漿又はダルベッコのリン酸緩衝塩類溶液(PBS)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。インビボで適切に関連する環境には、例えば、前記組成物が患者へ非経口的に投与されるとき、身体内が含まれるが、これに限定されるわけではない。
【0098】
本明細書に記載の組成物は、皮下、筋内、腹腔内、皮内、静脈内、動脈内又は髄腔内注射を含む非経口投与によって、ヒト又は他の哺乳動物へ投与できる。
【0099】
持続的送達組成物は、単独で又は医薬組成物の部分としての他の薬物療法と組み合わせで投与され得る。このような医薬組成物には、本分野で公知のいずれかの標準的な生理学的及び/又は医薬として許容される担体と組み合わさった持続的送達組成物が含まれ得る。前記組成物は、滅菌されるべきであり、患者へ投与するのに適した重量又は容積の単位で微粒子の治療的有効量を含有すべきである。本明細書で使用される「医薬として許容される担体」用語とは、ヒト又は他の哺乳動物への投与に適した1つ又はそれ以上の適合性のある固体又は液体充填剤、希釈剤又は封入物質を意味する。「担体」という用語とは、適用を容易にするために活性成分と組み合わされる天然又は合成の有機又は無機成分を示す。医薬組成物の成分も、望ましい薬学的効能を実質的に低下させる相互作用がないような様式で、本発明の分子と混合し、及び互いに混合できる。医薬として許容されるとは、さらに、細胞、細胞培養物、組織又は生物体などの生物系との適合性のある非毒性材料を意味する。担体の特徴は、投与の経路に依存する。生理的に及び医薬として許容される担体には、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、乾燥剤、膨張剤、噴霧剤、酸性化剤、コーティング剤、可溶化剤及び本分野で周知の多くの材料が含まれる。経口、皮下、静脈内、筋内等の投与に適した担体製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PAに見出され得る。
【0100】
多様な投与経路が利用可能である。選択される特定の様式は、もちろん、選択される特定の薬物、治療されるべき状態の重度及び治療効能に必要な用量に依存する。本発明の方法は、概して、医学的に許容される投与のあらゆる様式(臨床的に許容できない副作用を生じることなく、活性化合物の効果的なレベルを生じる全ての様式を意味する。)を使用して実施され得る。このような投与様式には、経口経路、直腸経路、局所経路、経鼻経路、皮間(interdermal)経路又は非経口経路が含まれる。「非経口」という用語には、皮下、静脈内、筋内又は点滴が含まれる。経口投与は、患者及び投薬スケジュールに対する簡便性のため、予防処置に好ましい。
【0101】
医薬組成物は、単位剤形で都合よく存在し得、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。全ての方法は、1つ又はそれ以上の付属成分を構成する担体に微粒子を会合させる工程を含む。一般的に、前記組成物は、液体、微細に分割された固体担体、又はその両者へ、持続的送達組成物を均一かつ完全に会合させることによって調製される。
【0102】
非経口投与のための調製物には、滅菌済みの水性又は非水性の溶液、懸濁液及び乳剤が含まれる。溶媒のさらなる例には、ポリピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。水性担体には、水、塩並びに塩類溶液及び緩衝媒体などの緩衝液、アルコール性/水性溶液及び乳剤又は懸濁液が含まれる。非経口媒体には、塩化ナトリウム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液又は固定油が含まれる。静脈内媒体には、液体及び栄養補充剤、(リンゲルのデキストロースベースのものなどの)電解質補充剤等が含まれる。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤及び不活性ガス等の、保存料及び他の添加物も存在しうる。一般的に、持続的送達組成物は、ヒトにおいて微粒子療法に目下使用される投与の同一の様式を使用して、対象(全ての哺乳動物である受容者)へ投与できる。持続的送達組成物は、以下に詳細に論議される多様な分離、診断目的、治療目的、産業目的、商業目的、美容目的及び研究目的に有用である。例えば、インビボでの診断目的のため、持続的送達組成物には、検出可能な標識で標識された免疫グロブリン又は細胞受容体などの巨大分子が含まれ得る。標識された微粒子の患者への投与によって、癌などの増殖性疾患の診断のための造影剤、又は特定の負の細胞又は生物体の増殖を低下させる上での治療薬の成功の評価のためのツールが作製される。
【0103】
さらに、持続的送達組成物は、ワクチン製造のためのアジュバントとして使用でき、その中で、抗原を含有する持続的送達組成物は、マウス又はウサギなどの研究動物へと注射され、抗原に対する抗体の産生のための免疫反応を亢進させる引き金となる。
【0104】
インビトロでの診断法
インビトロアッセイ
本明細書に記載の持続的送達組成物は、生物試料中の細胞、生体分子又は薬物などの特定の標的の検出のための、酵素結合免疫吸着測定法、ドットブロット又はウェスタンブロットなどのアッセイにおける固相粒子として有用である。この使用のために設計される持続的送達組成物は、標的分子に特異的な親和性分子からなる。例えば、巨大分子は、免疫グロブリン、細胞受容体又はオリゴヌクレオチドプローブであり、検査チューブ又はマイクロタイタープレートへ結合する。対象の標的分子の検出または定量化のため、持続的送達組成物、好ましくは微粒子を含有する溶液と試料を組み合わせ、微粒子によって放出される巨大分子が標的分子と反応し、微粒子が試料の全ての非結合成分と分離され、結合した分子を含有する微粒子を従来の方法によって検出する。蛍光染色した微粒子は、当業者に周知の方法に従ったフローサイトメトリー分析に特に十分適している。
【0105】
本明細書に記載の微粒子は、組織学的試料中の病理の視覚的プローブ又はマーカーとしても有用である。本使用のために設計される微粒子の巨大分子は、特定の病理学的状態の間に発現する生体分子に特異的であり、検出可能な標識で標識される。例えば、巨大分子は、免疫グロブリン、細胞受容体又は、迅速に増殖する細胞などの異常細胞、又は病理学的生物体、例えばウィルスに特異的なオリゴヌクレオチドプローブである。病理学的状態の検出のため、微粒子を含有する溶液と組織学的試料を組み合わせ、微粒子上の標識した巨大分子を対象の標的分子と反応させ、当業者に周知の方法に従って標識を検出することによって、結合した微粒子を検出する。
【0106】
本明細書に記載の微粒子は、組織病理学のための微粒子の使用に関して上述に記載のものと同様の様式で、特定の分子、細胞の種類又は病理学的状態のインビボでの局在化のための造影剤として有用である。本使用のために設計される微粒子上の巨大分子は、特定の細胞又は病理学的生物体によって発現する分子に特異的であり、検出可能な標識で標識される。例えば、巨大分子は、免疫グロブリン、細胞受容体又は、腫瘍細胞若しくはウィルスなどの病理学的生物体に特異的なオリゴヌクレオチドプローブである。
【0107】
微粒子は、病理学的状態を検出するか又は異常な組織腫瘍のサイズが減少したか又は完全に摘出されたことを確認するために、化学療法又は手術などの療法の成功をモニターするために使用される。本使用のため、患者は、微粒子溶液の投与を好ましくは静脈経由で受容し、微粒子上の標識された巨大分子は、身体の影響を受けた器官又は領域へ局在するのに十分な量の時間を付与され、巨大分子は、検査中、細胞又は期間によって発現する標的分子と反応し、結合した微粒子は、X線など、当業者に周知の従来の画像化技術によって標識を検出することによって検出される。
【0108】
免疫反応を誘発できる抗原性タンパク質又は多糖類−タンパク質抱合体を含む持続的送達組成物は、ワクチンとしての使用に特に適している。持続的送達組成物は、遺伝子療法又は、DNA又はRNAなどの核酸を含むとき、患者のDNAへ組み込まれるか又は望ましいタンパク質を生じるために標的細胞へと形質移入されるかのいずれかである「遺伝子ワクチン」の産生のための媒体としても有用である。例えば、インフルエンザ又はヒト免疫不全ウィルスHIVなどのウィルスの中心タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、抗原性タンパク質の発現のための微粒子として送達できる。核酸微粒子は、むき出しのDNAが送達されるのと非常に同一の方法で哺乳動物細胞へ送達される。望ましい核酸配列は、プラスミドDNAなどのベクターへ、SV40プロモーター又はサイトメガロウィルスプロモーターなどのプロモーターとともに挿入され、必要に応じて、β−ガラクトシダーゼなどのリポーター遺伝子を含み得る。核酸は、好ましくは、担体タンパク質及び/又は、ポリリジンなどの陽イオンと組み合わされ、上述の特定の形成を容易にする。次に、微粒子を、患者へ直接投与するか、又は療法若しくは予防を必要とする患者へ後に投与される哺乳動物細胞へと形質移入する。核酸微粒子には、細胞質区画から細胞質中へ核酸を逸脱させ、それにより細胞によってより簡単に転写及び翻訳できるクロロキンなどの物質が含まれ得る。さらに、微粒子は、翻訳の効率性を亢進させる物質でコーティングされ得るか、又は微粒子の細胞特異的標的を提供するための物質でコーティングされ得る。本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。しかしながら、これらの実施例は、本発明の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0109】
以下の略語が、本明細書で使用される。
【0110】
DMSO−ジメチルスルホキシド
DMF−N,N−ジメチルホルムアミド
THF−テトラヒドロフラン
EtO−ジエチルエーテル
EtOAc−酢酸エチル
MeOH−メチルアルコール
EtOH−エチルアルコール
MeCN−アセトニトリル
MeI−インドメタン
NMP−1−メチル−2−ピロリジノン
DCM−ジクロロメタン
DCE−1,2−ジクロロエタン
TFA−トリフルオロ酢酸
sat.−飽和した
hr−時間
min−分
RT−室温
mL及びμm−ミリリットル及びマイクロメーター
実施例
【実施例1】
【0111】
塩含有ポロゲンによるインビボでのMP期間の短縮
存在し得る酸末端基の滴定による多量な平均分子量Mn=4759g/molのPLGAポリマー(RG502H、B.I.Chemicals,Inc.(Petersburg,Virginia))(ロット番号270604−640802)0.7761gを塩化メチレン7.10mL中に溶解した。配列番号15に示される配列を有するB1ペプチドアンタゴニスト(ペプチドA)0.1230gを、MeOH0.817mL中に溶解した(ペプチド溶液)後、この溶液へポリマー溶液を添加した。得られた混合物を渦巻き撹拌し、ポロゲン粒子を含有するスプレー乾燥した塩0.0998gを含有する第二のバイアル中へ添加した。ポロゲンの組成は、16.2%トレハロース、1.78%KCl、1.8%KHPO、70.3%NaCl及び10.1%NaHPOである(塩含有ポロゲン)。Malvern2000を使用して、塩含有ポロゲンの粒子サイズはd(0.5)ないし2.5μmであると測定した。得られた懸濁液を20℃未満で簡単に超音波処理した後、Burke, et al., Pharm.Res.21: 500−506(2004)に本質的に記載のとおりのスプレー凍結工程を使用して、微粒子を作製するために霧状にした。液体窒素プール上で、懸濁液を霧状にした。液体窒素は、蒸発させ、貫通させ、−120℃の温度へ冷却させることができ、なおも凍結した微粒子へ添加した。次に、得られた混合物から塩化メチレンを抽出した。微粒子をろ過し、冷ペンタンですすぎ、凍結乾燥機中、−120℃で乾燥させ、残留溶媒を除去した。得られた粉末を125μm篩にかけ、粉末をロット番号49666−040212Aと同定した。走査型電子顕微鏡によって、球状微粒子であることが明らかとなった。粒子サイズ、ペプチド負荷量及びインビトロでのPBS中の放出に関しても、微粒子を特徴付けた。10重量%ペプチドの名目上の負荷量に基づいたペプチドの封入効率は、93%であった。
【0112】
ロット番号49666−040212Aの微粒子を、注射媒体(25mM NaH2PO4、0.9%NaCl、2.5%カルボキシメチルセルロース、0.1%トゥイーン80、pH7.4)中に懸濁し、10mg/ペプチドkgで雄のスプラーグドーリーラットへ皮下注射し、持続型ペプチド送達製剤としての性能を評価した。ラットにおけるペプチドAの血漿濃度レベルは、PLGA/塩含有ポロゲンの封入された微粒子(ロット番号49666−040212A)に関して、10日間測定可能であった。比較として、ペプチドA及びペプチドAのPLGA封入微粒子(ロット番号49666−040311G)の溶液迅速投与に関して、血漿濃度−時間特性をプロットし、それぞれ8時間及び14日未満の放出特性を示す。
【実施例2】
【0113】
塩を含有しないポロゲンを有するインビボでの短縮
PLGAポリマー(RG502H、BI Chemicals,Inc.ロット番号270604−640802)0.4666gを塩化メチレン4.32mL中に溶解した。ペプチドA0.0734gをMeOH0.147mL中に溶解した(ペプチド溶液)後、この溶液へポリマー溶液を添加した。得られた混合物を渦巻き撹拌し、スプレー乾燥したポロゲン粒子0.06gを含有する第二のバイアル中へ添加した。ポロゲンの組成は、99%トレハロース及び1%カプリン酸ナトリウムである(塩を含有しないポロゲン)。Malvern2000を使用して、塩を含有しないポロゲンの粒子サイズはd(0.5)ないし2.5μmであると測定した。得られた懸濁液を20℃未満で簡単に超音波処理した後、霧状にし、スプレー凍結工程を使用して微粒子を作製した。液体窒素プール上で、懸濁液を霧状にし、滴を効果的に瞬時凍結させた。液体窒素は、蒸発させ、貫通させ、−120℃の温度へ冷却させることができ、なおも凍結した微粒子へ添加した。塩化メチレンを抽出した。微粒子をろ過し、冷ペンタンですすぎ、凍結乾燥機中、−120℃で乾燥させ、残留溶媒を除去した。得られた粉末を125μm篩にかけ、粉末をロット番号49666−040420Bと同定した。
【0114】
ロット番号40323A−Fをロット番号49666−040420Bと同様に調製したが、例外は、ポロゲンが塩含有炭水化物ポロゲンであることであった。
【0115】
ロット番号49666−040420Bの微粒子を、注射媒体(25mM NaH2PO4、0.9%NaCl、2.5%カルボキシメチルセルロース、0.1%トゥイーン80、pH7.4)中に懸濁し、10mg/ペプチドkgで雄のスプラーグドーリーラットへ皮下注射し、持続型ペプチド送達製剤としての性能を評価した。図2は、PLGA/塩を含有しないポロゲンの封入されたペプチドA微粒子に関して、ラットにおける10日間までの活性因子の測定可能な血漿濃度レベルを示す。比較として、血漿濃度−時間特性を、PLGA/塩含有ポロゲンの封入されたペプチドA微粒子(ロット番号040323A−F)に関してプロットし、10ないし14日間の放出特性を示す。従って、塩を含有しないポロゲン賦形剤も、放出速度を加速させ、それゆえ微粒子製剤の持続期間を短縮させるのに有用である。
【実施例3】
【0116】
塩を含有しないポロゲンによるインビボでのMP期間の短縮
存在し得る酸末端基の滴定によるMn=4750g/molの多量の平均分子量のPLGAポリマー(RG502H、B.I.Chemicals、ロット番号270604−640802)0.7746gを、塩化メチレン7.20mL中に溶解した。ペプチドA0.1283gをMeOH0.244mL中に溶解した(ペプチド溶液)後、この溶液へポリマー溶液を添加した。得られた混合物を渦巻き撹拌し、スプレー乾燥したポロゲン粒子0.100gを含有する第二のバイアル中へ添加した。Buchiスプレー乾燥機を使用して、トレハロースw/1%カプロン酸ナトリウム溶液をスプレー乾燥させることによって、ポロゲンを作製した。Malvern2000を使用して、塩を含有しないポロゲンの粒子サイズはd(0.5)ないし2.5μmであると測定した。得られた懸濁液を簡単に超音波処理した後、霧状にし、実施例1に参照されるスプレー凍結工程を使用して微粒子を作製した。液体窒素プール上で懸濁液を霧状にし、滴を効果的に瞬時凍結した。液体窒素は、蒸発させ、貫通させ、−120℃の温度へ冷却させることができ、なおも凍結した微粒子へ添加した。塩化メチレンを抽出した。微粒子をろ過し、冷ペンタンですすぎ、凍結乾燥機中、−120℃で乾燥させ、残留溶媒を除去した。得られた粉末を125μm篩にかけ、粉末をロット番号040819Fと同定した。
【0117】
ロット番号040819Hをロット番号040819Fと同様に調製したが、例外は、ポロゲン工程の除去であった。PLGAポリマー(RG502H、B.I.Chemicals,Inc.、ロット番号270604−640802)0.873gを塩化メチレン8.10mL中に溶解した。ペプチドA0.1267gをMeOH0.276mL中に溶解した(ペプチド溶液)後、この溶液へポリマー溶液を添加した。得られた混合物を渦巻き撹拌し、霧状にして、上述のとおり微粒子を作製した。
【0118】
ロット番号040819F及び040819Hの微粒子をそれぞれ、注射媒体(25mM NaH2PO4、0.9%NaCl、2.5%カルボキシメチルセルロース、0.1%トゥイーン80、pH7.4)中に懸濁し、10mg/ペプチドkgで雄のスプラーグドーリーラットへ皮下注射し(研究番号103902_09202004)、持続型ペプチド送達製剤としての性能を評価した。図3は、PLGAを封入したペプチドA微粒子に関して14日間までと比較したとき、PLGA/塩を含有しないポロゲンを封入したペプチドA微粒子に関して10日間までのラットにおける測定可能なペプチドA血漿濃度レベルを示す。ポロゲン賦形剤は、放出速度を加速させ、それゆえ微粒子製剤の持続期間を短縮させるのに有用である。
【実施例4】
【0119】
塩を含有しないポロゲンによるMP期間の短縮;異別の溶媒及びポリマーロットで作製されたMP
微粒子を実施例3のとおり作製したが、以下の点が異なる。1)ポリマーロットは、存在し得る酸末端基滴定によるMn=4750g/molの多量の平均分子量の5050DL2A、Medisorb(登録商標)(Alkermes,Inc.,Cambridge,Massachusetts)ロット番号B2184−5532であり、2)ポリマー溶媒は、ジクロロエタンである。塩を含有しないポロゲンを有する及び有しないMPを実施例3に記載のとおり作製し、それぞれ040824B及び040824Aと同定した。
【0120】
ロット番号040824B及び040824Aの微粒子をそれぞれ、注射媒体(25mM NaH2PO4、0.9%NaCl、2.5%カルボキシメチルセルロース、0.1%トゥイーン80、pH7.4)中に懸濁し、10mg/ペプチドkgで雄のスプラーグドーリーラットへ皮下注射し、持続型ペプチド送達製剤としての性能を評価した。上述の知見と一致して、図4は、PLGAを封入したペプチドA微粒子に関して14日間まで比較したときの、PLGA/塩を含有しないポロゲンを封入したペプチドA微粒子に関して10日間までのラットにおける測定可能なペプチドA血漿濃度レベルを示す。
【実施例5】
【0121】
ラットにおける加速した放出及び腐食速度(ポリマー崩壊の速度)の呈示
ポロゲンを有する及び有さない微粒子を上述の実施例3に記載のとおり作製した。利用したポロゲンには、塩を含有しない形態と塩を含有する形態の両者が含まれた。各微粒子製剤の幾つものロットを調製し、注射媒体中に再懸濁し、ラットへ10mg/ペプチドkgで皮下注射した。インビボでの幾つもの研究からのPK結果及び剖検所見の要約を、以下の表2に表示する。表2は、微粒子製剤中の炭水化物ポロゲンの組み込みが、第14日目において、測定可能なペプチドA血漿濃度レベルを有するラットの割合を有意に低下させ、それにより加速した放出速度及び期間の短縮を呈示することを示す。さらに、第14日目で、剖検は、注射部位に存在する検査物品の存在の低下を示し、それによりインビボでの腐食速度の亢進を示した。
【0122】
【表3】

【実施例6】
【0123】
塩を含有するポロゲンによるMP期間の短縮;代替薬の負荷されたMP
存在し得る酸末端基の滴定によるMn=4232g/molの多量の平均分子量のPLGAポリマー(RG502H、B.I.Chemicals、ロット番号270604−640802)0.7043gを、塩化メチレン6.5mL中に溶解した。MeOH中に配列番号37に示される配列を有するB1ペプチドアンタゴニスト(ペプチドB)0.15g/mLの0.35mLをポリマー溶液へ添加した。得られた混合物を渦巻き撹拌し、0.0835gの塩含有炭水化物ポロゲンを含有する第二のバイアル中へ添加した。ポロゲン粒子は、Malvern2000を使用して、d(0.5)ないし3μmであると測定した。得られた懸濁液を20℃未満で簡単に処理した後、霧状にし、スプレー凍結工程を使用して微粒子を作製した。液体窒素プール上で、懸濁液7mLを霧状にし、滴を効果的に瞬時凍結させた。液体窒素は、蒸発させ、貫通させ、−120℃の温度へ冷却させることができ、なおも凍結した微粒子へ添加した。塩化メチレンを抽出した。微粒子をろ過し、冷ペンタンですすぎ、凍結乾燥機中、−120℃で乾燥させ、残留溶媒を除去した。得られた粉末を125μm篩にかけ、粉末をロット番号43815−030320Hと同定した。走査型電子顕微鏡によって、球状微粒子であることが明らかとなった(データ非表示)。粒子サイズ、ペプチド負荷量及びインビトロでのPBS中の放出に関して、微粒子を特徴付けた。
【0124】
43815−030320Hの微粒子を、注射媒体(25mM NaH2PO4、0.9%NaCl、2.5%カルボキシメチルセルロース、0.1%トゥイーン80、pH7.4)中に懸濁し、10mg/ペプチドkgで雄のスプラーグドーリーラットへ皮下注射し(研究番号102438_03312003)、持続型ペプチド送達製剤としての性能を評価した。図5は、PLGA/ポロゲンを封入したペプチドB微粒子(ロット番号43815−030320H)に関する10ないし14日間のラットにおける測定可能なペプチドB血漿濃度レベルを示す。比較として、ペプチドB及びPLGAを封入したペプチドB微粒子(ロット番号43815−030506A)の溶液迅速投与に関して、血漿濃度−時間特性をプロットし、それぞれ8時間及び1ヶ月間の放出特性を示す。
【実施例7】
【0125】
塩を含有しない代替的なポロゲン(メチルセルロースw/5%カプリン酸ナトリウム)によるMP期間の短縮
存在し得る酸末端基の滴定によるMn=4750g/molの多量の平均分子量のPLGAポリマー(RG502H、BIロット番号270604−640802)0.3887gを、塩化メチレン3.60mL中に溶解した。ペプチドA0.0612gをMeOH0.123mL中に溶解した(ペプチド溶液)後、この溶液へポリマー溶液を添加した。得られた混合物を渦巻き撹拌し、ポロゲン0.050gを含有する第二のバイアル中へ添加した。Buchiスプレー乾燥機を使用して、メチルセルロースw/5%カプロン酸ナトリウム溶液をスプレー乾燥させることによって、ポロゲンを作製した。Malvern2000を使用して、塩を含有しないポロゲンの粒子サイズはd(0.5)ないし2.5μmであると測定した。得られた懸濁液を簡単に超音波処理した後、霧状にし、スプレー凍結工程を使用して微粒子を作製した。液体窒素プール上で、懸濁液を霧状にし、滴を効果的に瞬時凍結させた。液体窒素は、蒸発させ、貫通させ、−120℃の温度へ冷却させることができ、なおも凍結した微粒子へ添加した。塩化メチレンを抽出した。微粒子をろ過し、冷ペンタンですすぎ、凍結乾燥機中、−120℃で乾燥させ、残留溶媒を除去した。得られた粉末を125μm篩にかけ、粉末をロット番号041014Eと同定した。
【0126】
ロット番号041014Eの微粒子を、注射媒体(25mM NaH2PO4、0.9%NaCl、2.5%カルボキシメチルセルロース、0.1%トゥイーン80、pH7.4)中に懸濁し、10mg/ペプチドkgで雄のスプラーグドーリーラットへ皮下注射し(研究番号103902_11012004)、持続型ペプチド送達製剤としての性能を評価した。図6は、PLGA/トレハロースポロゲンベースのMPですでに観察したように、PLGA/メチルセルロースポロゲンを封入したペプチドA微粒子に関して10日間までのラットにおける測定可能なペプチドA血漿濃度レベルを示す。
【実施例8】
【0127】
異なる工程によって作製された、塩を含有しないポロゲンによるMP期間の短縮
スプレー乾燥後の二酸化炭素抽出(SD)及び実施例3に記載のスプレー凍結乾燥(SF)によって、実施例3における組成による微粒子(5050DL2Aポリマー、ペプチドA及び塩を含有しないポロゲン)を作製した。
【0128】
SD工程及びSF工程からそれぞれ作製された微粒子を注射媒体中に懸濁し、10mg/ペプチドkgで雄のスプラーグドーリーラットへ皮下注射し、持続型ペプチド送達製剤としての性能を評価した。図7は、SD工程とSF工程の両者によって調製されるPLGA/塩を含有しないポロゲン微粒子に関して10日間までのラットにおける測定可能なペプチドA血漿濃度レベルと比較可能な薬物動態学的特性を示す。ポロゲン賦形剤は、放出速度を加速させ、それゆえ異なる作製工程で調製された微粒子製剤の持続期間を短縮させるのに有用である。
【実施例9】
【0129】
調製共溶媒におけるメタノール含有量の操作によるMP突発の低下
塩を含有しないポロゲンを有する微粒子を実施例3のとおり作製したが、以下の点が異なる。調製共溶媒におけるメタノールの割合は、3.3%から10.2%までの範囲であった。微粒子を注射媒体中に懸濁し、10mg/ペプチドkgで雄のスプラーグドーリーラットへ皮下注射し、持続型ペプチド送達製剤としての性能を評価した。図8は、低いメタノール比で調製された微粒子が、ペプチドAの血漿レベルの持続の増大と同様に、(最大血漿濃度Cmaxによって定義される)インビボでの突発の低下を結果として生じることを示す。
【実施例10】
【0130】
薬物及びポロゲンの負荷量の増大による突発量の増大
微粒子を実施例3のとおり作製したが、以下の点が異なる。1)ポリマーロットは、RG502Hロット番号1009848であり、存在し得る酸末端基の滴定により、Mn=4260g/molの多量の平均分子量を有し、2)ペプチドAの負荷量は、10ないし15重量%で変動し、3)ポロゲンの負荷量は、0ないし30重量%で変動する。
【0131】
X%のペプチドA及びY%のポロゲンを有する微粒子を、ダルベッコのリン酸緩衝塩類溶液(PBS)中に再構成し、シンク条件下、37℃でインキュベートした。その後、上清の半分を除去し、各時点で新鮮なPBSを補充した。次に、各時点で放出される薬物の量をRP−HPLCによって定量化した。インビトロでの放出(IVR)の突発量を、24時間で放出される累積的な画分として測定した。図9は、10%薬物負荷及び15%薬物負荷製剤に関してポロゲン負荷の関数としての、t=24時間でのペプチドA累積画分放出(IVR突発量)を示し、ポロゲン及び薬物負荷による突発量の増大を示す。
【実施例11】
【0132】
より高い分子量のポリマーによるMP突発量の低下
ポロゲンを有さない微粒子を実施例3のとおり作製したが、以下の点が異なる。ポリマーの分子量は、Mnが1500Daから7900DaのMnの範囲であった。実施例10にあるように、24時間で放出される累積的な画分として、IVR突発量を測定する。表3は、微粒子のIVR突発量が、ポリマー分子量の増大に伴い減少することを示す。
【0133】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】図1は、(塩とともに製剤された)炭水化物ポロゲンの封入体が、微粒子からのペプチドAのインビボでの放出速度を加速させることを示す。
【図2】図2は、時間の関数としての血漿濃度を図示し、無塩の炭水化物ポロゲンが、塩含有ポロゲンを有する微粒子と比較したとき、微粒子からのペプチドAのインビボでの放出速度も加速させることを示す。
【図3】図3は、PLGAを封入したペプチドA微粒子に関して14日間まで比較したときの、PLGA/塩を含有しないポロゲンを封入したペプチドA微粒子に関して10日間までのラットにおける測定可能なペプチドA血漿濃度レベルを示す。
【図4】図4は、PLGAを封入したペプチドA微粒子に関して14日間までと比較したときの、PLGA/塩を含有しないポロゲンを封入したペプチドA微粒子に関して10日間までのラットにおける測定可能なペプチドA血漿濃度レベルを示す。
【図5】図5は、PLGA/ポロゲンを封入したペプチドB微粒子(ロット番号43815−030320H)に関する10ないし14日間のラットの測定可能なペプチドB血漿濃度レベルを示す。比較として、ペプチドB及びPLGAを封入したペプチドB微粒子(ロット番号43815−030506A)の溶液迅速投与に関して、血漿濃度−時間特性をプロットし、それぞれ8時間及び1ヶ月間の放出特性を示す。
【図6】図6は、PLGA/トレハロースポロゲンベースのMPですでに観察したように、PLGA/メチルセルロースポロゲンを封入したペプチドA微粒子に関して10日間までのラットにおける測定可能なペプチドA血漿濃度レベルを示す。
【図7】図7は、スプレー乾燥処理及びスプレー凍結乾燥処理の両者によって調製されるPLGA/塩を含有しないポロゲン微粒子に関する10日間までのラットにおける測定可能なペプチドA血漿濃度レベルと比較可能な薬物動態学的特性を示す。
【図8】図8は、低いメタノール比で調製された微粒子が、ペプチドAの血漿レベルの持続の増大と同様に、(最大血漿濃度Cmaxによって定義される)インビボでの突発の低下を結果として生じることを示す。
【図9】図9は、10%薬物負荷及び15%薬物負荷製剤に関してポロゲン負荷の関数としての、t=24時間でのペプチドA累積画分放出を示し、ポロゲン及び薬物負荷の増大とともに突発が増大することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)生体適合性、生分解性ポリマーマトリクス、
b)前記ポリマーマトリクス内で分散するか及び/又は溶解するペプチドの約2%ないし約20%(w/w)の間、及び
c)前記マトリクス内で分散される炭水化物成分の約5%ないし約40%(w/w)の間
を含み、及び
哺乳動物へ非経口的に投与されたときに、i)約3日ないし約21日の規定の放出期間にわたって治療的有効量で、及びii)前記ペプチドの40%(w/w)未満の平均初期突発放出を包含する所定の放出パターンで、前記ペプチドがマトリクスから放出される、組成物。
【請求項2】
ペプチドが、B1ペプチドアンタゴニストである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ペプチドが、配列番号1ないし60及びそれらの類縁体、抱合体、誘導体又は医薬として許容される塩の形態から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
B1ペプチドアンタゴニストが、配列番号6ないし15、33、36、37として示されるペプチド及びそれらの類縁体、抱合体、誘導体又は医薬として許容される塩の形態から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ペプチドが、式X−Arg Pro Hyp Gly Cpg Ser Dtic Cpgを有し、及びXが、
i)天然又は非天然の塩基性アミノ酸のD型又はL型異性体、
ii)i)のジ−又はトリ−ペプチド、及び
iii)i)又はii)の類縁体、抱合体又は誘導体
からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
炭水化物成分が、少なくとも50%の炭水化物及び少なくとも1つの界面活性剤の約0.1%ないし約10%を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
炭水化物成分が、少なくとも95%の二糖を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
炭水化物成分が、少なくとも95%のトレハロースを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
炭水化物成分が、少なくとも99%のトレハロースを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
炭水化物成分が、1%のカプリン酸ナトリウムを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
炭水化物成分の粒子が、約0.5μmないし約5μmの間の平均サイズを有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
炭水化物成分の粒子が、約2μmないし約5μmの間の平均サイズを有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ポリマーマトリクスが、ポリラクチド、ポリグリコリド、ラクチド−グリコリド共重合体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体、無水物重合体(polyanhydride)、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド並びにそれらの共重合体及び配合物から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ポリマーが、約5kDから約20kDまでの分子量を有するPLGAを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
棒状、球粒、円柱状、円盤状及び微粒子からなる群から選択される形態にある、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
形態が、微粒子である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
ペプチドの有効量が、約5日間ないし約21日間放出される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
ペプチドの有効量が、約7日間ないし約14日間放出される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
ペプチドの有効量が、約10日間放出される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
ペプチドが、ポリマー内で分散される、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
a)生体適合性、生分解性ポリマーマトリクスと、
b)前記ポリマーマトリクス内で分散されるか及び/又は溶解されるB1ペプチドアンタゴニストの約2%ないし約20%(w/w)の間と、及び
c)前記マトリクス内で分散される炭水化物成分の約5%ないし約40%(w/w)の間と
を含む徐放性組成物の治療的有効量を、これを必要とする患者へ投与することを含む、B1仲介性疾病、疾患及び/又は状態を治療又は予防する方法であり、
前記組成物が哺乳動物へ非経口的に投与されたときに、前記ペプチドが、i)約3日ないし約21日の規定の放出期間にわたって治療的有効量で、及びii)40%未満の平均初期突発放出を包含する所定の放出パターンで前記マトリクスから放出される、前記方法。
【請求項22】
ペプチドが、配列番号1ないし60及びそれらの類縁体、抱合体、誘導体又は医薬として許容される塩の形態から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
B1ペプチドアンタゴニストが、配列番号6ないし15、33、36、37として示されるペプチド及びそれらの類縁体、抱合体、誘導体又は医薬として許容される塩の形態から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ペプチドが、式X−Arg Pro Hyp Gly Cpg Ser Dtic Cpgを有し、及びXが
i)天然又は非天然塩基性アミノ酸のD型又はL型異性体、
ii)i)のジ−又はトリ−ペプチド、及び
iii)i)又はii)の類縁体、抱合体又は誘導体
からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
炭水化物成分が、少なくとも50%の炭水化物と少なくとも1つの界面活性剤の約0.1%ないし約10%とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
炭水化物成分が、少なくとも95%の二糖を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
炭水化物成分が、少なくとも95%のトレハロースを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
炭水化物成分が、少なくとも99%のトレハロースを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
炭水化物成分が、少なくとも99%のトレハロース及び1%のカプリン酸ナトリウムを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
炭水化物成分の粒子が、約0.5μmないし約5μmの間の平均サイズを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
炭水化物成分の粒子が、約2μmないし約5μmとの間の平均サイズを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ポリマーマトリクスが、ラクチドポリマー、ポリグリコリド、ラクチド−グリコリド共重合体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体、無水物重合体、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、並びにそれらの共重合体及び配合物から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ポリマーが、約5kDから約40kDまでの分子量を有するPLGAを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ポリマーが、約5kDから約20kDまでの分子量を有するPLGAを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
棒状、球粒、円柱状、円盤状及び微粒子からなる群から選択される形態にある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
形態が、微粒子である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
微粒子が、注射によって投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ペプチドの有効量が、約5日間ないし約21日間放出される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ペプチドの有効量が、約7日間ないし約14日間放出される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ペプチドの有効量が、約10日間放出される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
ペプチドが、ポリマー内で分散される、請求項21に記載の方法。
【請求項42】
B1ペプチドアンタゴニストが、徐放性組成物の総重量の約2%(w/w)から約15%(w/w)まで存在する、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
B1ペプチドアンタゴニストが、徐放性組成物の総重量の約5%(w/w)から約10%(w/w)まで存在する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
B1ペプチドアンタゴニストが、徐放性組成物の総重量の約10%(w/w)で存在する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
炭水化物成分中の炭水化物の量が、徐放性組成物の総乾燥重量の約5%(w/w)ないし約20%(w/w)である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
炭水化物が、徐放性組成物の総重量の約10%(w/w)で存在する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
a)第一の溶媒中に、約5kDから約20kDまでの分子量を有するラクチド−グリコリド共重合体を溶解する工程と、
b)B1ペプチドアンタゴニストの量が組成物の乾燥重量の約1%(w/w)と約15%(w/w)との間であるように、第二の溶媒中に少なくとも1つのB1ペプチドアンタゴニストを含むペプチド成分の量を溶解する工程、
c)a)由来のポリマー溶液とb)のペプチド溶液とを混合する工程、
d)炭水化物成分の量が、組成物の乾燥重量の約5%ないし約40%(w/w)の間であるように、炭水化物成分のスプレー乾燥した粒子のある量へ、c)の混合物を添加する工程、
e)共重合体/ペプチド成分/炭水化物成分の混合物の微小滴を形成する工程、
f)微小滴を冷凍する工程、
g)冷凍した微小滴から溶媒を抽出する工程、及び
h)微小滴組成物を得るために、冷凍した微小滴をろ過及び乾燥させる工程
を含む、B1ペプチドアンタゴニストの徐放のために記載の組成物を調製するために記載の方法。
【請求項48】
a)第一の溶媒中に、約5kDから約20kDまでの分子量を有するラクチド−グリコリド共重合体を溶解する工程、
b)B1ペプチドアンタゴニストの総重量が、組成物の乾燥重量の約1%(w/w)と約15%(w/w)との間であるよう、第二の溶媒中に少なくとも1つのB1ペプチドアンタゴニストを含むペプチド成分の量を溶解する工程、
c)a)由来のポリマー溶液とb)のペプチド溶液とを混合する工程、
d)炭水化物成分の量が、組成物の乾燥重量の約5%ないし約40%(w/w)の間であるよう、炭水化物成分のスプレー乾燥した粒子のある量へ、c)の混合物を添加する工程、
e)共重合体/ペプチド成分/炭水化物成分の混合物の微小滴を形成する工程、
f)微小滴をスプレー乾燥させる工程、
g)スプレー乾燥した微小滴から溶媒を抽出する工程、及び
h)乾燥した微小滴を回収する工程
を含む、B1ペプチドアンタゴニストの徐放用組成物を調製するために記載の方法。
【請求項49】
第一の溶媒が、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸メチル、塩化メチレン、クロロホルム、ヘキサフルオロイソプロパノール、アセトン及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、第二の溶媒が、エタノール、メタノール、アセトニトリル、DMF、DMSO、DCM及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
第一の溶媒が塩化メチレンであり、第二の溶媒がメタノールである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
c)の混合物中のメタノールの百分率が、約2%ないし約20%である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
メタノール:塩化メチレン溶液中のメタノールの百分率が、約2%ないし約10%の間である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
c)の混合物中のメタノールの百分率が、約2%ないし約8%の間である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
c)の混合物中のメタノールの百分率が、約3%ないし約6%の間である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
メタノール:塩化メチレン溶液中のメタノールの百分率が、約3%から約4%までである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
炭水化物成分が、約90%ないし約99%の間のトレハロースを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
炭水化物成分が、約95%ないし約99%の間のトレハロースを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
炭水化物成分が、約99%のトレハロース及び約1%のカプリン酸ナトリウムを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
請求項1ないし20に記載の組成物と医薬として許容される希釈剤又は担体とを含む、医薬組成物。
【請求項60】
疼痛、急性痛、歯痛、外傷由来の疼痛、外科的疼痛、切断又は膿瘍由来の疼痛、癌、慢性アルコール中毒、脳卒中、視床痛症候群、糖尿病、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)、毒素及び化学療法、一般的な頭痛、片頭痛、群発頭痛、混合性血管性及び非血管性症候群(mixed−vascular and non−vascular syndomes)、緊張性頭痛、一般的な炎症、関節炎、リウマチ性疾患、狼瘡、変形性関節症、炎症性腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性又は不安定膀胱疾患、乾癬、炎症性成分による皮膚愁訴、日焼け、心炎、皮膚炎、筋炎、神経炎、コラーゲン血管病(collargen vascular diseases)、慢性炎症性疾患、炎症性疼痛並びに関連する痛覚過敏及び異痛、神経因性疼痛並びに関連する痛覚過敏及び異痛、糖尿病性ニューロパチー疼痛、灼熱痛、交感神経性持続痛、求心路遮断症候群、喘息、上皮組織損傷又は機能障害、単純疱疹、帯状疱疹後神経痛、呼吸器、腎尿路生殖器、胃腸又は脈管領域での内臓の可動性の障害、創傷、熱傷、アレルギー性皮膚反応、掻痒、白斑、一般的な胃腸性疾患、結腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、血管運動性又はアレルギー性鼻炎、及び気管支疾患からなる群から選択されるB1仲介性疾病、疾患又は状態の治療のための薬剤の製造における請求項59に記載の組成物の使用。
【請求項61】
関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、外科手術、帯状疱疹後神経痛及び糖尿病性ニューロパチーからなる群から選択される疾病、疾患又は状態から生じる疼痛の治療のための薬剤の製造における、請求項57に記載に記載の組成物の使用。
【請求項62】
B1仲介性疾病、疾患及び/又は状態が、疼痛、急性痛、歯痛、外傷由来の疼痛、外科的疼痛、切断又は膿瘍由来の疼痛、癌、慢性アルコール中毒、脳卒中、視床痛症候群、糖尿病、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)、毒素及び化学療法、一般的な頭痛、片頭痛、群発頭痛、混合性血管性及び非血管性症候群、緊張性頭痛、一般的な炎症、関節炎、リウマチ性疾患、狼瘡、変形性関節症、炎症性腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性又は不安定膀胱疾患、乾癬、炎症性成分による皮膚愁訴、日焼け、心炎、皮膚炎、筋炎、神経炎、コラーゲン血管病、慢性炎症性疾患、炎症性疼痛並びに関連する痛覚過敏及び異痛、神経因性疼痛並びに関連する痛覚過敏及び異痛、糖尿病性ニューロパチー疼痛、灼熱痛、交感神経性持続痛、求心路遮断症候群、喘息、上皮組織損傷又は機能障害、単純疱疹、帯状疱疹後神経痛、呼吸器、腎尿路生殖器、胃腸又は脈管領域での内臓の可動性の障害、創傷、熱傷、アレルギー性皮膚反応、掻痒、白斑、一般的な胃腸性疾患、結腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、血管運動性又はアレルギー性鼻炎、及び気管支疾患からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項63】
疼痛が、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、外科、帯状疱疹後神経痛及び糖尿病性ニューロパチーからなる群から選択される疾病、疾患及び/又は状態から生じる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
請求項47に記載の方法に従って製造される組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−539260(P2008−539260A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509104(P2008−509104)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015949
【国際公開番号】WO2006/116565
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】