説明

ポンプ及び液体循環装置

【課題】安価で且つ簡素な構成で、保護材の表面に付着した水分を蒸発し易くして、モータ部内の部材を水分から保護したポンプ及びそれを備えた液体循環装置を提供する。
【解決手段】この課題を解決するために、ポンプを、回転により液体を加圧する羽根車4と、羽根車4を内部に収納したポンプ室3と、羽根車4を回転させるモータと、モータのステータ10を内部に収納したモータ部8と、モータ部8内に充填された保護材14と、を備え、モータが制御部18をモータ部8内に有し、制御部18が、基板19と、基板19に実装されてモータ制御を行う電子部品と、を備え、電子部品のうち、少なくとも一部の部品が発熱する発熱部材36であり、発熱部材36を基板19の一方の端辺20側に集めて配置したものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ及び該ポンプを備えた液体循環装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポンプは、液体を流動させる羽根車と、羽根車を回転させるモータと、外殻を形成するケーシングと、を備えている。そして、ケーシングに囲まれた内部空間は、羽根車を収容したポンプ室と、モータの制御部やステータ等の導電部材を収容すると共に内部に樹脂製の保護材を充填されたモータ部と、に区画されている。更に、モータ部は一端側にポンプ室から区画する分離板を備え、他端側に開口を有すると共に、該開口が脱着自在のカバーで封止されている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−304164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のポンプでは、外部から飛散した水がカバーとケーシングの間からモータ部内に浸入したり、保護材の表面に結露水を生じたりして、保護材の表面に水分が付着することがある。そして、付着した水分は自重で下方に流動してモータ部の内部下方に溜り易く、溜まった水分は保護材とケーシングの下方の界面に浸入することがある。界面に水分が浸入すると、該水分によってモータ部に配置した制御部等のモータの構成部材に腐食や電気的な短絡等を生じる恐れがある。また、カバーとケーシングの間からの水分の浸入を抑制するには、Oリング等のシール部材を間に介在させるため、カバーの取付構造が複雑化したり、ポンプの生産費用が増加したりすることがある。
【0005】
そこで、この事情を鑑み、安価で且つ簡素な構成で、保護材の表面に付着した水分を蒸発し易くして、モータ部内の部材を水分から保護したポンプ及びそれを備えた液体循環装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のポンプは、回転により液体を加圧する羽根車と、前記羽根車を内部に収納したポンプ室と、前記羽根車を回転させるモータと、前記モータを構成する部材のうち少なくともステータを内部に収納したモータ部と、前記モータ部内に充填された保護材と、を備え、前記モータがモータ制御を行う制御部を前記モータ部内に有し、前記制御部が、基板と、前記基板に実装されて前記モータ制御を行う電子部品と、を備え、前記電子部品のうち、少なくとも一部の部品が発熱する発熱部材であり、前記発熱部材を前記基板の一方の端辺側に集めて配置したものであることを特徴とする。
【0007】
このポンプとして、前記基板の前記ポンプ室に対して背向した側に前記発熱部材を配置したものであることが好ましい。
【0008】
このポンプとして、前記制御部と外部電源を電気的に接続する接続部を有し、前記接続部を前記基板の他方の端辺側に設置したものであることが好ましい。
【0009】
このポンプとして、前記制御部と前記ステータを電気的に接続すると共に前記制御部から前記ステータに電力を供給する給電部を有し、前記給電部を前記基板の他方の端辺側に設置したものであることが好ましい。
【0010】
このポンプとして、前記モータ部の外殻を形成するモータケースを備えると共に、前記モータケースの内面にテーパー部を設けたものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明の液体循環装置は、前述のポンプを備えたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このような構成としたことで、安価で且つ簡素な構成で、従来のものに比べて保護材の表面に付着した水分を蒸発し易くできて、モータ部内の部材を水分から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の一例のポンプの軸方向に切断した断面図である。
【図2】同上のA−A線で切断した断面図である。
【図3】同上のモータ部を開口側から視た正面図である。
【図4】同上のモータの電気回路を模式的に説明する回路図である。
【図5】同上の制御部の正面図である。
【図6】同上の変形例の断面図である。
【図7】図6のモータ部を開口側から視た正面図である。
【図8】図1にカバーを設けた例の断面図である。
【図9】図5にカバーを設けた例の断面図である。
【図10】実施形態の他の一例の液体循環装置の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を例示して説明する。
【0015】
実施形態の一例のポンプは、図1〜3に示すように、ケーシングによって外殻が形成されると共に、外殻に囲まれた内部空間が、液体が流動するポンプ室3と、液体が流動しないモータ部8と、に区画されている。該ケーシングは、モータ部8の外殻を形成するモータケース2と、ポンプ室3の外殻を形成するポンプケース1と、ポンプ室3とモータ部8を区画する分離板7と、からなる。
【0016】
そして、ポンプケース1は、液体をポンプ室3内に吸入する吸入管5と、液体をポンプ室3外に吐出する吐出管6と、を備え、吸入管5及び吐出管6は夫々内部がポンプ室3内に連通している。更に、モータケース2と分離板7は一体で形成されている。そのため、モータ部8はモータケース2の一端側が分離板7で封止されており、他端側が開口を有している。なお、分離板7は、モータケース2と一体で形成したものに限らず、ポンプケース1と一体で形成したものや、モータケース2及びポンプケース1と別部材で形成したもの等であってもよい。
【0017】
また、ポンプは、駆動源であるモータと、ポンプ室3に配置されモータに駆動される作用部である羽根車4と、で構成されており、羽根車4はポンプ室3内に配置されている。そのため、モータで羽根車4を回転させることで、ポンプは吸入管5から外部の液体をポンプ室3内に吸入すると共に、ポンプ室3内の液体を吐出管6から外部に吐出している。
【0018】
詳しくは、モータが、コイル11を有した環状のステータ10と、モータ制御を行う制御部18と、複数の磁極を有した円筒状のロータ12と、ロータ12を軸回りに回転自在で支持した軸13と、外部装置と電気的に接続する接続部16と、で構成されている。
【0019】
そして、ロータ12及び軸13は略同芯でステータ10の内周に位置すると共に、ポンプ室3に配置されており、ロータ12とステータ10の間には分離板7が配置されている。更に、ロータ12は、軸13の軸方向に沿った一端に、上記羽根車4が設けられており、ロータ12と羽根車4は一体で回転するものとなっている。そのため、羽根車4はロータ12と共に回転してポンプ室3内の液体を加圧することで、ポンプによる液体の吸排が行われるものとなっている。なお、軸13は軸方向の端部で分離板7とポンプケース1の一方或いは両方に固定されている。以下、特に規定しない限り、軸13の軸方向を単に軸方向と記載し、軸13のラジアル方向を単にラジアル方向と記載し、更に上記羽根車4の回転円を単に回転円と記載する。
【0020】
また、ステータ10及び制御部18はモータ部8内に配置されると共に、接続部16がモータ部8の内外を貫通して配置されている。そして、モータ部8内には保護材14が充填されており、該保護材14がステータ10及び制御部18への結露水や液体等の付着を抑制している。
【0021】
接続部16は、例えば、外部装置と制御部18を電気的に接続するコネクタとなっている。そして、外部装置は、例えば、モータに電力を供給する外部電源40や、指令信号を出力する外部スイッチ等の指令装置41等であり、指令信号とは、モータの駆動のオンオフや回転速度或いは回転方向等を制御部18に指令する電気信号である。更に、外部電源40は外部からポンプにモータ駆動用の電力を供給するものであり、例えば、商用電源や、外部のバッテリ或いは発電機等となっている。
【0022】
すなわち、接続部16は、外部電源40と制御部18を電気的に接続する電源接続部と、指令装置41と制御部18を電気的に接続する指令入力部と、を有している。符号17は導電性部材で形成された接続ピンであり、接続ピン17は一端が外部装置と電気的に接続され、他端が制御部18に接続されることで、外部装置と制御部18を電気的に接続する。以下、電気的な接続を単に接続と記載する。
【0023】
制御部18は、図3〜5に示すように、矩形状の基板19と、電子部品からなる各種回路と、電力をステータ10に供給する給電部35と、を有しており、外部電源40からのモータ駆動用の電力は制御部18を介してステータ10へ給電されている。そして、基板19は間に分離板7を介在してロータ12の他端側に位置すると共に、板面が軸方向に略直交してモータ部8内に配置されている。すなわち、基板19は板面を回転円と平行に位置すると共に、該板面に各種回路が実装されている。
【0024】
各種回路は、スイッチング動作を行う駆動回路29と、駆動回路29を制御する制御回路22と、制御回路22に電力を供給するレギュレータ25と、外部電源40からの電流を整流する整流部23と、ロータ12の回転を検出する検出部24と、からなる。
【0025】
そして、外部電源40からの電力は接続部16を介して整流部23に供給されると共に、整流部23で整流された後、レギュレータ25と給電部35に夫々供給されている。そのため、整流部23にはレギュレータ25及びステータ10に流れる電流の略全てが流れており、本例では、例えば、整流部23としてダイオードを用いている。すなわち、整流部23は整流動作に伴って発熱するため、発熱部材36の一つとなっている。そして、該整流動作は、モータが回転駆動するモータ駆動時に加えて、モータが回転駆動していない駆動待機時にも行われている。
【0026】
また、レギュレータ25はモータ駆動用の電力を所定の電圧に降下させて制御回路22用の動作電力を作る制御電源回路となっている。そして、該レギュレータ25は、例えば、トランジスタ26と、抵抗器27と、ツェナーダイオード28と、からなる。
【0027】
トランジスタ26は、コレクタ端子に整流部23のカソード端子と抵抗器27の一端が接続され、エミッタ端子に制御回路22が接続され、ベース端子に抵抗器27の他端とツェナーダイオード28のカソード端子が接続されている。そして、ツェナーダイオード28は抵抗器27から電流が供給されると共に、アノード端子に制御部18の電気経路の負極側が接続されている。
【0028】
すなわち、レギュレータ25は整流部23からの電力を受けて、ツェナーダイオード28のツェナー電圧に応じた値にトランジスタ26のエミッタ電圧に調整した後、電圧を調整した電力を制御回路22用の動作電力として制御回路22に出力している。そして、トランジスタ26はモータ駆動用の電力の電圧を制御回路22用の電圧に降下させる際に発熱するため、発熱する発熱部材36の一つとなっている。更に、該電圧降下動作はモータ駆動時及び駆動待機時に行われている。
【0029】
制御回路22はレギュレータ25から動作電力が供給されると共に、指令入力部を介した指令信号と検出部24からの検出結果が夫々入力されており、制御回路22は指令信号及び検出結果に基づきモータ制御を行っている。そして、制御回路22は、例えば、ICチップや集積回路等であり、モータ制御とは、例えば、モータの回転駆動の開始や停止或いは回転速度や回転方向の変更等を行う制御である。
【0030】
検出部24は、例えば、ホール素子等の磁極位置を検出する磁気センサからなり、基板19のポンプ室3側の板面に実装されると共に、該板面から軸方向に突出しており、ステータ10とロータ12のラジアル方向に沿った間に位置している。もちろん、検出部24は磁気センサに限らず、ステータ10の電流から回転を検出するもの等であってもよく、電流から検出するものでは制御回路22が検出部24を兼ねてもよい。
【0031】
また、給電部35は導電部材で形成された二本の端子ピンからなり、各端子ピンは一端が駆動回路29に接続され、他端が夫々コイル11の異なる端部に接続されている。そのため、駆動回路29は給電部35を介してコイル11に接続されている。
【0032】
そして、駆動回路29は複数のスイッチング素子30を有すると共に、該スイッチング素子30にスイッチング動作を行わせながら、コイル11に電力を供給している。例えば、本例では、駆動回路29が四つのスイッチング素子30で構成された所謂Hブリッジ回路となっており、スイッチング素子30が制御回路22にゲート端子を接続した電界効果トランジスタ(以下、FETと記載する)となっている。
【0033】
詳しくは、図4に示すように、Hブリッジ回路が、Pチャネル型FETを用いたスイッチング素子31,32と、Nチャネル型FETを用いたスイッチング素子33,34と、を夫々二つずつ備えている。そして、スイッチング素子31,32のソース端子が電気経路の正極に接続され、スイッチング素子33,34のソース端子が電気経路の負極に接続されている。
【0034】
更に、スイッチング素子31とスイッチング素子33のドレイン端子が給電部35を介してコイル11の一端に接続されている。一方、スイッチング素子32とスイッチング素子34のドレイン端子が給電部35を介してコイル11の他端に接続されている。そして、各スイッチング素子30とコイル11の通電のオンオフ(スイッチング素子30内のゲートのオンオフ)等はゲート端子を介して制御回路22により制御が行われている。
【0035】
そのため、コイル11には、スイッチング素子31とスイッチング素子34を経由する電流と、スイッチング素子32とスイッチング素子33を経由する電流と、の二種類が制御回路22の制御に応じて選択的に供給されている。そして、この二種類の電流は互いに反対向きの流れでコイル11に供給されるため、該電流の供給によってステータ10に生じる磁界も各電流の流れに応じて夫々逆向きに生じるものとなっている。更に、ステータ10に磁界が発生することで、該磁界に対してロータ12の磁極が吸引或いは反発を起して、ロータ12が軸13の軸回りに回転する。
【0036】
すなわち、駆動回路29は、スイッチング素子31とスイッチング素子34がコイル11を介して対を成すと共に、スイッチング素子32とスイッチング素子33がコイル11を介して対を成した構成となっている。そして、これら対を成すスイッチング素子30を経由してコイル11に電流を流すことで、ステータ10に磁界を発生させて、ロータ12を回転させている。
【0037】
更に、制御回路22のゲート端子を介した通電制御によって、経由する(通電する)スイッチング素子30の対を交互に切り替えることで、コイル11に交番電流を供給してステータ10に交番磁界を発生させ、ロータ12の回転を維持している。そして、スイッチング素子30は、通電制御により通電のオンオフが交互に切り換わるスイッチング動作を行うため、該動作を行うポンプ駆動時(モータ駆動時)に発熱する発熱部材36の一つとなっている。
【0038】
また、発熱部材36である整流部23(ダイオード)とトランジスタ26とスイッチング素子30は、図1,3に示すように、夫々基板19のロータ12に背向した板面に実装されると共に、該板面の一方の端辺20側に寄せ集められて配置されている。そのため、制御部18は、モータ駆動時等の通電時に、板面の一方の端辺20側の温度が板面の他の部位に比べて温度が高くなるものとなっている。
【0039】
そして、一方の端辺20側のポンプ外殻(ケーシングの外面)は構造体の床面等の設置対象に当接される当接面9となっており、当接面9は基板に対して略直交した平面を有しており、ポンプは当接面9を設置対象に当接して設置対象に設置される。更に、板面の上記一方の端辺20と平行な他方の端辺21側には、図1〜3に示すように、接続部16及び給電部35が設置されると共に、軸方向に視た正面図では、他方の端辺21側のポンプケース1外方に吐出管6が突出している。
【0040】
そのため、床面等の設置面を上向きに有した設置対象に、ポンプを設置すると、上記一方の端辺20側のケーシングの外面(当接面9)が設置面に当接されて、軸方向が設置面に沿って位置すると共に、基板19の板面が設置面に対して略直交する。すなわち、ポンプは、基板19の一方の端辺20を下方側に位置させると共に、他方の端辺21を上方側に位置させて、基板19を略垂直に立てた姿勢で、設置面に当接面9を当接して、設置対象に載置されるものとなっている。
【0041】
なお、当接面9はケーシングのうち、少なくともモータケース2の外面に形成されてあればよく、モータケース2とポンプケース1の両方に略面一で形成されたものであってもよい。もちろん、保護材14でモータ部8の外殻を形成したものでは、一方の端辺20側の保護材14の外面が当接面9となる。更に、基板19を羽根車4の回転円に対向した位置に設けたものに限らず、基板19をステータ10の外周側に配置して、保護材14の表面15がステータ10の外周側に位置すると共に、当接面9を上記回転円に対向して有したものであってもよい。
【0042】
また、外部からの飛散水や結露水の発生等で保護材14の表面15に水分が付着すると、該水分が自重により表面15に沿って下方側へ流れる。そして、下方側に流れた水分は、表面15の一方の端辺20側に位置すると、保護材14を介して発熱部材36の熱を受けて蒸発し易くなり、モータ部8の内部に溜まり難い構成となっている。そのため、モータ部8の内部を乾燥した状態に保持し易くできると共に、保護材14に付着した水分から制御部18を容易に保護することができる。
【0043】
すなわち、既存の構成部材でモータ部8の内部に水分を溜まり難くできるため、ヒーター等の加熱手段をモータ部8に追加せずにすみ、ポンプの構成を簡素に抑えられると共に、生産費用の増加を抑えることができる。
【0044】
そして、発熱部材36を下方側に配置したことで、ポンプの非使用時に結露水が生じて、モータ部8の内部に結露水が溜まっても、ポンプ駆動時に結露水を容易に除去することができる。
【0045】
また、モータケース2と保護材14の界面への水分の浸入も抑制できるため、界面上に位置する接続ピン17に界面を介して水分が付着することを抑制できて、接続ピン17の腐食や接続ピン17間のマイグレーションを生じ難くすることができる。そして、接続部16や給電部35(端子ピン)を上方側に配置したことで、ポンプの非使用時に結露水が生じても、自重で下方に流れて、接続部16や接続ピン17や給電部35等に付着し難いものとなっている。
【0046】
更に、基板19のポンプ室3に背向した側の板面に発熱部材36を実装したため、ポンプ室3側の板面に実装したものに比べて、保護材14の表面15に熱を伝達し易くできる。そのため、水分を蒸発可能な状態(温度)に保護材14の表面15を効率良く発熱部材36で加熱することができる。
【0047】
また、図6,7に示すように、モータケース2の内面の他端側にテーパー部37を設けると共に、該テーパー部37の傾斜を開口側に向かう程モータケース2の外面側に近づく形状とすることで、モータ部8内に水分をより溜まり難くすることができる。
【0048】
そして、保護材14の表面15がテーパー部37の軸方向の寸法の略中間に位置しており、下方側に流れた水分はテーパー部37の傾斜に沿って開口側に流れ易く、モータケース2と保護材14の下方側の界面により浸入し難くすることができる。
【0049】
また、図8,9に示すように、モータ部8の他端側に脱着自在でカバー38を設けると共に、該カバー38で開口を封止することで、外部からの飛散水が保護材14の表面15に付着し難くなり、モータ部8内に水分をより溜まり難くすることができる。
【0050】
そして、発熱部材36の熱で内部下方の水分が蒸発し易いため、カバー38とモータケース2の間にシール部材の配設等の水密構造を設けなくても、水分が溜まり難く、ポンプの構成を簡素にできると共に、生産費用を削減することができる。
【0051】
また、前述したポンプは、例えば、ハイブリッド自動車の冷却装置や、燃料電池装置や、給湯装置等のヒートポンプや、情報処理装置等の各種冷却システムや、温水循環型暖房システム等の液体循環装置の循環ポンプに用いることが好ましい。
【0052】
例えば、液体循環装置の一例では、図10に示すように、エンジン50と駆動モータ51とを組み合わせてタイヤを駆動させるハイブリッドシステムを搭載した自動車において、インバータ冷却装置54に前述のポンプを循環ポンプ55として組み込んである。
【0053】
該インバータ冷却装置54は駆動モータ51を駆動制御するインバータ53を冷却する冷却装置となっており、インバータ53には半導体素子が実装されており、インバータ53は駆動制御時に発熱するものとなっている。更に、インバータ53は、エンジン50駆動時に駆動モータ51が発電機として機能してバッテリ52の充電を行う際に、駆動モータ51とバッテリ52との間で整流回路として機能するため、該充電時にも発熱するものとなっている。そのため、自動車は、エンジン50を冷却する冷却水経路と、インバータ53を冷却する冷却水経路と、を夫々備えており、前述のポンプはインバータ53用の冷却水経路における液体循環装置(インバータ冷却装置54)に備えられている。
【0054】
そして、発熱部材36を一端側に集めて備えたポンプを、インバータ冷却装置54に備えたことで、保護材14の表面15に水分が付着しても、容易に蒸発させることができて、モータ部8内を乾燥した状態に保持し易いものとなっている。そのため、自動車の走行に伴う振動等で車内の結露水等の水分がモータ部8に飛散しても、発熱部材36の熱で蒸発してモータ部8内に溜まり難くできて、保護材14に付着した水分からポンプの制御部18を容易に保護することができる。
【0055】
なお、液体循環装置は熱交換を伴うものに限らず、プール等の水循環システムや風呂の追焚き装置等であってもよい。もちろん、ポンプは液体循環装置用に限らず、シャワーやカラン等の加圧ポンプや井戸の汲出しポンプ等の流動手段等に用いてもよい。ましてや、本例における液体とは、水や冷却液、あるいは液状熱交換流体(熱媒)等に限らず、微細気泡を混入させた気液混合流体であってもよく、前述のポンプを微細気泡発生装置の気液撹拌手段として用いてもよい。
【符号の説明】
【0056】
3 ポンプ室
4 羽根車
8 モータ部
9 当接面
10 ステータ
14 保護材
16 接続部
18 制御部
19 基板
20 一方の端辺
35 給電部
36 発熱部材
37 テーパー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転により液体を加圧する羽根車と、前記羽根車を内部に収納したポンプ室と、前記羽根車を回転させるモータと、前記モータを構成する部材のうち少なくともステータを内部に収納したモータ部と、前記モータ部内に充填された保護材と、を備え、前記モータがモータ制御を行う制御部を前記モータ部内に有し、前記制御部が、基板と、前記基板に実装されて前記モータ制御を行う電子部品と、を備え、前記電子部品のうち、少なくとも一部の部品が発熱する発熱部材であり、前記発熱部材を前記基板の一方の端辺側に集めて配置したものであることを特徴とするポンプ。
【請求項2】
前記基板の前記ポンプ室に対して背向した側に前記発熱部材を配置したものであることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記制御部と外部電源を電気的に接続する接続部を有し、前記接続部を前記基板の他方の端辺側に設置したものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記制御部と前記ステータを電気的に接続すると共に前記制御部から前記ステータに電力を供給する給電部を有し、前記給電部を前記基板の他方の端辺側に設置したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポンプ。
【請求項5】
前記モータ部の外殻を形成するモータケースを備えると共に、前記モータケースの内面にテーパー部を設けたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポンプ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のポンプを備えたものであることを特徴とする液体循環装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−92725(P2012−92725A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239885(P2010−239885)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】