説明

ポンプ装置

【課題】ポンプシリンダ内の負圧を有効に利用してバックサックション効果を高めたポンプ装置を提案する。
【解決手段】吸込弁V1用の第1弁座10を下部に有するポンプシリンダ2と、第1弁座10から上方へ延びるポペット弁体30と、作動部材40とを有する。作動部材40は、ポペット弁体30に接する環状のシール部48と吐出弁V第2弁座50とシール筒42と、シール筒42の筒壁上部に嵌合され、上方へ起立するステム54と、ステム54及び第2弁座50の間に遊挿された筒状ピストン60と、ステム54の上部に付設したノズルヘッド70とを含み、上記ポペット弁体30の外面に、シール部上流の流路部分P及びシール部下流の流路部分Pを上記吸込過程で連通する連通凹部34を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置、特に容器体の口頸部に適用されるポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種ポンプ装置として、ポンプシリンダ内から上方付勢させた作動部材を起立させ、この作動部材の上下動に連動して、ポンプシリンダの下部から上方へ延びるポペット弁体が一定の範囲で昇降するものが知られている(特許文献1)。
【0003】
この作動部材は、筒壁の上下方向中間部に連通孔を有しかつ筒壁下部でポペット弁体の外面に下部で接するシール筒と、シール筒の上部から上方へ突出するステムと、シール筒及びステムの各下部の間に嵌挿された筒状ピストンと、ステムの上端に付設したノズルヘッドとを有し、液体吐出過程の後でシール筒及びステムが筒状ピストンに対して下降することで、ノズル側から液体を吸い戻し(バックサックション)、ノズルの液切れがよくなるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−154900
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポンプ装置のバックサックション機能は、ノズルの液切れをよくする他に、内容物の固化防止、変色防止、液だれ防止などに効果を発揮する。しかしながら特許文献1のそれは、ノズルの先端部から内容物を吸い戻す程度であり、必ずしも十分ではなかった。
【0006】
本発明の目的は、ポンプシリンダ内の負圧を有効に利用してバックサックション効果を高めたポンプ装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段は、吸込弁V1用の第1弁座10を下部に有するポンプシリンダ2と、
第1弁座10から上方へ延びかつ一定の範囲で昇降可能に設けたポペット弁体30と、
上記ポンプシリンダ2内から起立する作動部材40と、を具備し、
この作動部材40は、
上方付勢され、筒壁下部の内面にポペット弁体30に接する環状のシール部48を、筒壁下部の外面に第2弁座50を設け、筒壁中間部に連通孔46を有するシール筒42と、
シール筒42の筒壁上部に嵌合され、上方へ起立するステム54と、
ステム54及び第2弁座50の間に遊挿されかつポンプシリンダ2内面に嵌合させた筒状ピストン60と、
ステム54の上部54bに付設したノズルヘッド70とを含み、
ノズルヘッド70の押下げによりシール筒42及びポペット弁体30が下降して吐出弁Vが開きかつ吸込弁Vが閉じる第1過程と、シール筒42を上昇させることでポペット弁体30を吸込弁開放状態にかつ筒状ピストン60を吐出弁閉塞状態に復帰させる第2過程と、筒状ピストン60及びシール筒42が上昇する第3過程とを経て液体の吸引及び吐出を行うポンプ装置において、
上記ポペット弁体30の外面に、シール部上流の流路部分P及びシール部下流の流路部分Pを上記第3過程で連通する連通凹部34を設けた。
【0008】
本手段は、ポンプ装置のポペット弁体30の外周面に連通凹部34を設けることを提案している(図1、図2参照)。この種のポンプ装置のポンプサイクルは次の過程からなる。
(1)シール筒42及びポペット弁体30が下降して吸込弁Vが閉じかつ吐出弁Vが開く(図3A)。
(2)シール筒42及びポペット弁体30が上昇して吸込弁Vが開き(図3(B))、ポペット弁体30の停止後もシール筒42が上昇してかつ吐出弁Vが閉じる(図3(C))。
(3)吐出弁Vが閉じた後もシール筒42が上昇する(図3(D))。
第2過程でも吐出弁Vを介してバックサックションを生ずるが、本発明の特徴は、第3過程で連通凹部34を介してバックサックションを生ずることである(図4)。このために連通凹部34は第3過程でシール部上流の流路部分Pとシール部下流の流路部分Pとを連通させるように配置している。
【0009】
本明細書において「上流」及び「下流」とは、吸上げパイプから吸込弁及び吐出弁を経てノズルに至る液体流路Pを順方向に向かう流れの上流・下流をいう。図示例において、シール部上流の流路部分Pは吸上げパイプ20側からシール部48へ至る流路部分であり、シール部下流の流路部分Pはシール部48からノズル76へ至る流路部分である。
【0010】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ上記連通凹部34を縦溝に形成した。
【0011】
本手段では、連通凹部を図2に示すような縦溝に形成することを提案している。これにより縦溝の上下長さの範囲内でシール部48が移動している間中(図4参照)、バックサックション効果を維持できる。
【0012】
第3の手段は、第1の手段及び第2の手段を有し、かつシール部上流の流路部分Pのうち最も流路面積の小さい上流側最狭窄部Sの流路巾Dがシール部下流の流路部分Pのうち最も流路面積の小さい下流側最狭窄部Sの流路巾Dよりも小である。
【0013】
本手段では図5の如く上流側最狭窄部Sの流路巾Dを下流側最狭窄部Sの流路巾Dよりも小としている。これによりノズルからのバックサックションが容易となる。
【0014】
第4の手段は、第3の手段を有し、かつ上記ポンプシリンダ2の吸込弁V側から吸上げパイプ20を垂下するとともに、この下端部内面に内径調整用の筒状アダプター21を嵌合させている。
【0015】
本手段は、図6に示すように吸上げパイプ20の下端部に内嵌させた筒状アダプター21を提案している。筒状アダプター21は、内径や長さの異なるものを用意して適宜できるので流路抵抗の調整が容易である。
【0016】
第5の手段は、第1の手段から第4の手段のいずれかを有し、かつ上記ステム54の上部54bを有頂筒形とし、その上部の一側にノズルヘッド70が有するノズル76の基部と連通する透孔56を開口し、かつこの開口箇所を除くステム54の上部54bの内周面を垂下している。
【0017】
本手段は、図7に示すように、ステム54の上部54bの形状を有頂筒形としている。有頂筒形とすることで内容液に対するノズルヘッド70の接触面積を小さくしている。さらに内容液をノズル76内部からステム54内部へ引き込むようにすると内容液がノズルヘッド70に接することがなくなるので、ノズル開口付近までステム54を膨潤しにくい材質で、ノズルヘッド70を膨潤し易い異材質で生じても液漏れなどの不都合を生じない。これについては後述する。
【発明の効果】
【0018】
第1の手段に係る発明によれば、ポペット弁体30の外面に、シール部上流の流路部分P及びシール部下流の流路部分Pを吸込過程で連通する連通凹部34を設けたから、バックサックション効果が向上する。
第2の手段に係る発明によれば、上記連通凹部34を縦溝にしたから、その縦溝の上下長さに対応して、シール部48が縦溝を通過する間バックサックション作用を継続できる。
第3の手段に係る発明によれば、上流側最狭窄部Sの流路巾Dが下流側最狭窄部Sの流路巾Dよりも小だから、さらにバックサックション効果が高まる。
第4の手段に係る発明によれば、吸上げパイプ20の下端部内面に筒状アダプター21を嵌合させたから、簡単な手順で流路の内径を絞ることができる。
第5の手段に係る発明によれば、ステム54の上部54bを有頂筒形としたから、内容液に対するノズルヘッド70の接触面積が小さくなり、ノズル76の内部からステム54側へ引き込む作用と相まって、ノズルヘッド70をステム54に比べて膨潤し易い材料で成形しても不都合を生じない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係るポンプ装置の一部切欠き側面図である。
【図2】図1のポンプ装置のポペット弁の正面図(同図A)、同図を2B−2B方向に見た横断面図(同図B)である。
【図3】図1のポンプ装置の作用説明図である。
【図4】図1のポンプ装置の作用途中の拡大図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るポンプ装置の一部切欠き側面図である。
【図6】図5のポンプ装置の変形例である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るポンプ装置の要部拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1から図4は、本発明の第1の実施形態に係るポンプ装置を示す。このポンプ装置は、図1に示す如く、ポンプシリンダ2と、装着部材22と、ポペット弁体30と、作動部材40と、抜止め筒80とで形成している。これら各部材は特に断らない限り合成樹脂で成形することができる。
【0021】
ポンプシリンダ2は、ポンプシリンダ本体4と吸上げパイプ20とで形成される。
【0022】
上記ポンプシリンダ本体4は、図示例では下端小径の周壁6の上部に鍔部8を有し、周壁6の下端部内面を第1弁座10に形成し、この下端部の外面から一体的に嵌合筒12を垂下している。この嵌合筒12に上記吸上げパイプ20の上部を嵌合している。また周壁6の下部内面からは、上向き段部16を有する複数の係止リブ14を周方向に間隔を存して内方突出している。上記鍔部8の下面にはパッキン18を付設している。
【0023】
装着部材22は、容器体口頸部への嵌合用の装着筒24の上端から内向きフランジ26を介して保護筒28を起立している。
【0024】
ポペット弁体30は、図2(A)に示す棒状の部材であり、下部の外面から側外方へフィン32を突出し、かつ上部外面に少なくとも一つの連通凹部34を形成している。説明の都合上、この連通凹部34については後述する。図示例のポペット弁体30は下部大径に形成している。
【0025】
このポペット弁体30は、ポンプシリンダ本体4の下部内から上方へ延びており、後述のシール部で昇降可能にかつ垂直に支持されている。この支持状態でポペット弁体30の下端部は第1弁座10と対峙しており、この下端部と第1弁座10とで吸込弁Vが形成されている。上記ポペット弁体30のフィン32は、上記係止リブ14同士の間隙内に挿入している。
【0026】
作動部材40は、シール筒42とステム54と筒状ピストン60とノズルヘッド70とで構成している。
【0027】
上記シール筒42は、筒壁44の上下方向中間部に開口する連通孔46と、筒壁44の下部内面に付設した環状のシール部48と、筒壁44の下部外面から突出した鍔状の第2弁座50とを有する。この第2弁座50と係止リブ14の上向き段部16との間にはコイルスプリング52が介装されている。上記シール部48はポペット弁体30の外周面に対して垂直方向に一定の接触代で接している。
【0028】
上記ステム54は、上記シール筒42の筒壁上部に嵌合させて、ポンプシリンダ2の上方へ起立している。図示例ではステム54の下部54aを大径部としている。
【0029】
筒状ピストン60は、図示例において内筒部62と外筒部64とからなる2重筒状であり、内筒部62及び外筒部64の各上下方向中間部で連続している。外筒部64の上下両部分は先端大径のスカート状部として、ポンプシリンダ本体4の内面に摺動可能に嵌合している。上記内筒部62の下部は上記第2弁座50に着座可能に形成しており、これら内筒部62の下部分と第2弁座50とで吸込弁Vが形成されている。また上記内筒部62の上部分はステム54の下部54a内面に液密にかつ摺動可能に嵌合させている。
【0030】
上記ノズルヘッド70は上記ステム54の上部54bに取り付けている。図示例ではノズルヘッド70の頂壁の外周部から内周壁72及び外周壁74をそれぞれ垂下している。もっともこうした構造は適宜変更することができる。その内周壁72内には、頂壁との間に一定の間隙を存して上記ステム54の上部54bに嵌着している。上記内周壁72の上部からは、外周壁74の上部を貫通してノズル76を前方へ突出している。
【0031】
抜止め筒80は、ポンプシリンダ2の内面上部に嵌合されており、筒状ピストン60に当接して抜け止めをすることが可能に設ける。
【0032】
本発明においては、上記ポペット弁体30の外周面に、上記シール部48の接触代よりも上下に長い連通凹部34を形成している。これにより、吸込過程の少なくとも一段階でシール部上流の流路部分Pとシール部下流の流路部分Pとを連通させている。吸込過程中にもバックサックション効果が作用するようにするためである。
【0033】
上記連通凹部34の形状は、図2(A)のように浅い縦溝に形成することが好適である。バックサックション効果を長く維持することができるからである。図示例では、縦溝の深さを図3(A)に示す吸込弁Vの弁体と第1弁座10との間隙より小さくしているが、その深さは適宜選択できる。縦溝の巾や長さ及び縦溝の数も必要とされるバックサックションの大きさに応じて適宜定めるとよい。
【0034】
バックサックションによる液体吸引量は、ノズル76の内容積と同等又はそれ以上とすることができる。このようにすることで、ノズル76からの液垂れを確実に防止できるなどのメリットが得られる。これについては後述する。
【0035】
また上記連通凹部34を形成する箇所は、シール部48が図3(C)に示す位置(吐出弁Vが閉じたときの位置)から図1に示す位置(作動部材40が定位置で静止したときの位置)へ移動する行程の範囲内とする。連通凹部34はその行程の全範囲に対応するように設ける必要はない。図示例では、連通凹部34の上端から図1でのシール部48までの距離を、連通凹部34の上下長さより大きくしている。
【0036】
上記構成において、本発明のポンプを容器体の口頸部に装着し、ノズルヘッド70を押し下げると、シール部42が筒状ピストン60に対して下降して吐出弁Vが開き、かつシール筒42とともにポペット弁体30が下降して吸込弁Vが閉じる(図3(A)参照)。これにより吸込弁Vと吐出弁Vとの間の空間の流路部分で形成されるポンプ室Aから、第2弁座50及びポンプシリンダ2の間の中間流路部分Pを通り、ステム54を経てノズル76外方へ吐出される。
【0037】
上記ノズルヘッド70の押下げを解放すると、シール筒42はコイルスプリング52により押し上げられ、かつポペット弁体30もシール部48との摩擦により引き上げられる。これにより吸込弁Vが開く。ポペット弁体30は、フィン32がコイルスプリング52の下端に接すると上昇を停止する(図3(B)参照)。図3(A)から図3(B)へ至る段階でステム54はシール筒42とともに上昇し、他方、筒状ピストン60は上昇しないため、筒状ピストン60の内筒部62の上端とステムの下部54aの上端との間の距離がXからXへ変化し、この距離の変化に応じて最初のバックサックション作用が生ずる。
【0038】
シール筒42は、ポペット弁体30が静止した後も上昇し、シール筒42の第2弁座50が上記筒状ピストン60の内筒部62の下端に突き当たる。これにより吐出弁Vが閉じる(図3(C)参照)。このとき上記内筒部62の上端とステムの下部54aの上端との間の距離がXからXに変化し、この距離の変化に応じてバックサックションが起こる。図3(A)から図3(C)までの過程ではシール部48とポペット弁体30とのシール性は担保されている。
【0039】
シール筒42は吐出弁Vの閉鎖後も上昇し、ポンプ室A内が負圧化されて吸上げパイプ20を介して液体がポンプ室A内に吸い込まれる。またシール部48が連通凹部34の上端と下端との間に位置すると、シール部下流の流路部分Pとシール部上流の流路部分Pとが連通凹部34の内部を介して連通するので、バックサックション効果を生じ、ノズル側から液体を吸い戻す(図4参照)。さらにシール筒42が連通凹部34の上端位置(図3(D))よりも上方へ移動すると、バックサックションが停止し、通常の吸込過程となる。
【0040】
以下本発明の他の実施形態について説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付することで解説を省略する。
【0041】
図5及び図6は、本発明の第2実施形態を示している。本実施形態では、シール部上流の流路部分Pの上流側最狭窄部Sの流路巾Dを、シール部下流の流路部分Pの下流側最狭窄部Sの流路巾Dの流路巾よりも狭くしたものである。これによりシール部上流の流路部分Pに比べてシール部下流の流路部分Pの流路抵抗が低下するので、バックサックション効果が大きくなる。
【0042】
図示例では、上流側最狭窄部Sを第1弁座10下方のポンプシリンダ部分とし、かつ下流側最狭窄部Sをノズル76の内部としているが、これらに限定されるものではない。例えば図1実施例のようにステム54内部にノズル76よりも狭い箇所があるときには、当該箇所を下流側最狭窄部Sとし、その流路巾よりも上流側最狭窄部Sの流路巾が大きくなるように設計する。
【0043】
図6は、図5の変形例であり、吸上げパイプの下部内面に流路縮小用の筒状アダプター21を嵌挿し、この筒状アダプター21の内部を下流側最狭窄部Sとしている。このように上流側の流路部分Pに流路抵抗を大きくする治具を設けることでバックサックション効果を大きくすることができる。
【0044】
図7は、本発明の第3実施形態に係るポンプ装置の要部を示している。本実施形態においてはステム54の上部54bを有頂の直筒形とし、ステム54の頂板58をノズルヘッド70の頂壁裏面に突き当てるようにしている。ステム54の上部54bの前側にはノズル76の基部と連通するための透孔56を開口している。
【0045】
また内周壁72とステム54との対応箇所には、上記透孔56がノズル76と連通した状態で相互に係合する位置合わせ手段78を形成する。図示例の位置合わせ手段78は、内周壁に穿設した切欠きとステム54に設けた凸部とで形成しているが、その構造は適宜変更することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、バックサックションによる液体吸引量がノズル76の内容積よりも大きくなるように、連通凹部34の上下長さを設定することが望ましい。
【0047】
また本実施形態では、ノズル76の内部に充填された液体を全てステム54側へ吸引できるようにすることが望ましい。それによりノズルヘッド70及びステム54の材料選択の余地が広がるからである。その一例としてノズルヘッド70をポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの比較的柔らかい材料ですることができる。これにより金型からのノズルヘッド70の取り出しが容易となる。またステム54を、比較的硬くかつオイル成分に対する体積膨潤率が小さい材料で形成することができる。例えばポリオキシメチレン(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などである。
【0048】
通常このような材料の組み合せを用いるとノズル76付近のノズルヘッド70の膨潤量がステムのそれより大きいため嵌合箇所で寸法のずれを生じ、液漏れが起こる可能性がある。しかしながら本実施形態の構成では、ノズル76から内容液を全てステム54側へ吸引してしまうため、そうした問題を生じない。さらに内容物の吸着も防止できる。
【符号の説明】
【0049】
2…ポンプシリンダ 4…ポンプシリンダ本体 6…周壁 8…鍔部
10…第1弁座 12…嵌合筒 14…係止リブ 16…上向き段部 18…パッキン
20…吸上げパイプ 21…アダプタ
22…装着部材 24…装着筒 26…内向きフランジ 28…保護筒
30…ポペット弁体 32…フィン 34…連通凹部
40…作動部材 42…シール筒 44…筒壁 46…連通孔 48…シール部
50…第2弁座 54…ステム 54a…ステム下部 54b…ステム上部
56…透孔 58…頂板
60…筒状ピストン 62…内筒部 64…外筒部
70…ノズルヘッド 72…内周壁 74…外周壁 76…ノズル 80…抜止め筒
A…ポンプ室 P…液体流路 P…シール上方流路部分 P…中間流路部分
…シール下方流路部分 V…吸込弁 V…吐出弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込弁(V1)用の第1弁座(10)を下部に有するポンプシリンダ(2)と、
第1弁座(10)から上方へ延びかつ一定の範囲で昇降可能に設けたポペット弁体(30)と、
上記ポンプシリンダ(2)内から起立する作動部材(40)と、を具備し、
この作動部材(40)は、
上方付勢され、筒壁下部の内面にポペット弁体(30)に接する環状のシール部(48)を、筒壁下部の外面に第2弁座(50)を設け、筒壁中間部に連通孔(46)を有するシール筒(42)と、
シール筒(42)の筒壁上部に嵌合され、上方へ起立するステム(54)と、
ステム(54)及び第2弁座(50)の間に遊挿されかつポンプシリンダ(2)内面に嵌合させた筒状ピストン(60)と、
ステム(54)の上部(54b)に付設したノズルヘッド(70)とを含み、
ノズルヘッド(70)の押下げによりシール筒(42)及びポペット弁体(30)が下降して吐出弁(V)が開きかつ吸込弁(V1)が閉じる第1過程と、シール筒(42)を上昇させることでポペット弁体(30)を吸込弁開放状態にかつ筒状ピストン(60)を吐出弁閉塞状態に復帰させる第2過程と、筒状ピストン(60)及びシール筒(42)が上昇する第3過程とを経て液体の吸引及び吐出を行うポンプ装置において、
上記ポペット弁体(30)の外面に、シール部上流の流路部分(P)及びシール部下流の流路部分(P)を上記第3過程で連通する連通凹部(34)を設けたことを特徴とする、ポンプ装置。
【請求項2】
上記連通凹部(34)を縦溝に形成したことを特徴とする、請求項1記載のポンプ装置。
【請求項3】
シール部上流の流路部分(P)のうち最も流路面積の小さい上流側最狭窄部(S)の流路巾(D)がシール部下流の流路部分(P)のうち最も流路面積の小さい下流側最狭窄部(S)の流路巾(D)よりも小であることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載のポンプ装置。
【請求項4】
上記ポンプシリンダ(2)の吸込弁(V)側から吸上げパイプ(20)を垂下するとともに、この下端部内面に内径調整用の筒状アダプター(21)を嵌合させたことを特徴とする、請求項3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
上記ステム(54)の上部(54b)を有頂筒形とし、その上部の一側にノズルヘッド(70)が有するノズル(76)の基部と連通する透孔(56)を開口し、かつこの開口箇所を除くステム(54)の上部(54b)の内周面を垂下したことを特徴とする、請求項1から請求項4の何れかに記載のポンプ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−251440(P2012−251440A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122810(P2011−122810)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】