説明

ポンプ装置

【課題】ポンプ室内の異常検知を可能としつつも小型化を実現したポンプ装置を提供すること。
【解決手段】ポンプ装置1に、ポンプ室12と、ダイヤフラム10と、駆動層40-1と負荷圧力検出層40-2とを備える積層圧電素子40と、駆動信号発生部105と、負荷状態検出部101と、異常検出部103と、を具備させる。ダイヤフラム10は、往復変位することでポンプ室12の体積を変化させる。駆動層40-1は、積層圧電素子40のうち振動を励起する為の駆動信号が印加される領域である。負荷圧力検出層40-2は、積層圧電素子40のうち負荷圧力を示す信号が取り出される領域である。駆動信号発生部105は、駆動信号を生成する。負荷状態検出部101は、負荷圧力検出層40-2から出力された信号の振幅に基づいて、負荷圧力を検出する。異常検出部103は、負荷状態検出部101により検出された負荷圧力に基づいて、ポンプ室12内部の圧力に係る異常状態を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層圧電素子を駆動源とするポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、積層圧電素子を駆動源とするダイヤフラムポンプが提案されている。積層圧電素子は小型でありながら大きな発生力が得られるため、小型で高吐出圧のポンプを実現することができる点で優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2772525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、積層圧電素子の変位は、一般的に数μm〜数十μm程度と比較的小さい。従って、積層圧電素子を用いた圧電ポンプのダイヤフラムも変位が小さい。この為、ポンプ室内部に気泡が混入した場合、ポンプ室内部の圧力を上昇させられず、ポンプの能力低下が生じる。この場合には、当該圧電ポンプは液体吐出ができなくなってしまう可能性がある。そして、このような異常状態が発生すると、例えば当該ポンプで冷却水循環を行っている場合であれば、当該ポンプが搭載された装置が過熱により故障したり破損したりする恐れがある。
【0005】
ここで、ダイヤフラムポンプの異常を検知する方法としては、ダイヤフラムの変位をスイッチ等により機械的に検出し、その検出した変位が正常な変位の範囲外であれば異常と判断する方法や、ポンプ室や流路に歪ゲージ等の圧力センサや流量センサを配置して異常を検知する方法等を挙げることができる。しかしながら、これらの方法を採る場合、機械的なスイッチや圧力センサ等を、別途、当該圧電ポンプに設置する必要がある。これにより、ポンプの小型化が阻害される。つまり、ポンプに異常検知機能を付加すると、当該ポンプの小型化が困難になる。
【0006】
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、ポンプ室内の異常検知を可能としつつも小型化を実現したポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の一態様によるポンプ装置は、ポンプと、駆動回路と、を具備するポンプ装置であって、前記ポンプは、液体を吸入する為の吸入口と、液体を吐出する為の吐出口と、を備えるポンプ室と、当該積層圧電素子を伸縮駆動する為の駆動信号が印加される領域である駆動部と、振動時に当該積層圧電素子に掛かる負荷圧力を示す信号を出力する負荷圧力検出部と、を備える積層圧電素子と、前記積層圧電素子の伸縮で往復変位し、前記ポンプ室の体積を変化させるダイヤフラムと、を備え、前記駆動回路は、前記駆動信号を生成する駆動信号発生部と、前記負荷圧力検出部から出力された信号の振幅に基づいて、前記負荷圧力を検出する負荷状態検出部と、前記負荷状態検出部により検出された前記負荷圧力に基づいて、前記ポンプ室内部の圧力に係る異常状態を検出する異常検出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポンプ室内の異常検知を可能としつつも小型化を実現したポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るポンプ装置の構成を示す正面断面図である。
【図2】図2は、図1に示すポンプ装置が具備する逆止弁の構成例を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すポンプ装置が具備する積層圧電素子の構成例を示す斜視図である。
【図4】図4は、積層圧電素子の積層構造例を示す分解斜視図である。
【図5】図5は、ポンプ装置を駆動する為の駆動回路の一構成例を示すブロック図である。
【図6】図6は、負荷圧力と積層圧電素子の変位との関係(発生力−変位特性)を示す図である。
【図7】図7は、負荷圧力と検出信号の振幅との関係(負荷圧力−検出信号振幅特性)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るポンプ装置について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るポンプ装置の構成を示す正面断面図である。図2は、図1に示すポンプ装置が具備する逆止弁の構成例を示す斜視図である。図3は、図1に示すポンプ装置が具備する積層圧電素子の構成例を示す斜視図である。
本一実施形態に係るポンプ装置1−Aは、筐体5と、ダイヤフラム10と、ポンプ室12と、液体吸入管挿入突起14−1と、液体吐出管挿入突起14−2と、吸入側逆止弁16−1と、吐出側逆止弁16−2と、積層圧電素子40と、を具備する。
【0011】
前記筐体5は、略直方体形状を呈する中空の筐体であり、その上面には筐体5の内外を通ずる貫通口である液体吸入口5−1と液体吐出口5−2とが形成されている。
前記ダイヤフラム10は、例えば金属膜やゴム等の弾性を有する材料で構成されており、筐体5内に配設された略直方体形状の積層圧電素子40の上端面に当接して設けられている。このダイヤフラム10は、積層圧電素子40の周期的な伸縮運動に応じて屈曲変形(往復変位)する。これにより、ポンプ室12の体積が増減し、ポンプ室12内への液体の吸入、及びポンプ室12外への液体の吐出が為される。
【0012】
前記ポンプ室12は、ダイヤフラム10によって上下に二分された筐体5の内部空間のうち上側の内部空間である。詳細には、積層圧電素子40の伸張でダイヤフラム10がポンプ室12側へ押し上げられると、ポンプ室12の体積が減少すると共に、吸入側逆止弁16−1が閉じ且つ吐出側逆止弁16−2が開き、ポンプ室12内の液体(及び/又は気体)が液体吐出口5−2から吐出される。
【0013】
一方、積層圧電素子40の収縮でダイヤフラム10が初期位置に復帰すると、ポンプ室12の体積が増加すると共に、吐出側逆止弁16−2が閉じ且つ吸入側逆止弁16−1が開き、液体吸入口5−1からポンプ室12内に液体(及び/又は気体)が流入する。
【0014】
このように、ダイヤフラム10を往復変位させてポンプ室12の体積を増加させる動作と減少させる動作とを交互に実行することで、ポンプ装置1−Aのポンプ動作が実現する。
前記液体吸入管挿入突起14−1は、ポンプ室12に注入する液体を搬送する管状部材(不図示)を装着する為の突起である。前記液体吐出管挿入突起14−2は、ポンプ室12から吐出させる液体を搬送する管状部材(不図示)を装着する為の突起である。
【0015】
前記吸入側逆止弁16−1は、ポンプ室12内の液体が液体吸入口5−1から外部へ流出(逆流)してしまうことを防止する逆止弁である。前記吐出側逆止弁16−2は、液体吐出口5−2からポンプ室12内に液体が流入(逆流)してしまうことを防止する逆止弁である。これら吸入側逆止弁16−1及び吐出側逆止弁16−2は、例えば図2に示すように所謂“片持ち梁構造”の金属板部材によって流路を塞ぐ態様の逆止弁として構成すればよい。
【0016】
前記積層圧電素子40は、その上端面がダイヤフラム10に当接するように設けられた当該ポンプ装置の駆動源である。この積層圧電素子40は、図3に示すように、前記ダイヤフラム10を往復変位させる為の信号を印加する領域である駆動層40−1と、当該積層圧電素子40の積層方向における負荷圧力を示す信号を出力する負荷圧力検出層40−2と、を備える。
【0017】
図4は、積層圧電素子40の積層構造例を示す分解斜視図である。図4に示すように、積層圧電素子40は、3種類の圧電シート(内部電極が形成された第1の圧電シート41及び第2の圧電シート42、絶縁体として機能する第3の圧電シート43:各圧電シートの詳細な構成は後述する)が積層されて成る。
【0018】
詳細には、積層圧電素子40は、第1の圧電シート41と第2の圧電シート42とが、所定の厚みを呈するまで交互に積層されて成る。ここで、積層圧電素子40の上下端面、及び、駆動層40−1と負荷圧力検出層40−2との境界面には、第3の圧電シート43が配設されて絶縁されている。以下、上述の各圧電シートの構成について説明する。
【0019】
上述の第1の圧電シート41、第2の圧電シート42、及び第3の圧電シート43は、矩形のシート状の圧電素子であり、例えばハード系のチタン酸ジルコン酸鉛の圧電セラミックス素子(PZT)から成り、10μmから100μm程度の厚みを有する。
前記第1の圧電シート41の電極形成面上には、縁部位近傍を除く略全面に亘って内部電極41aが設けられている。この内部電極41aは、例えば厚さ4μmの銀パラジウム合金等から成る。また、内部電極41aには当該第1の圧電シート41の一方長辺の縁部位に向かって延出された露出部41aeが設けられている。
【0020】
同様に、前記第2の圧電シート42の電極形成面上には、縁部位近傍を除く略全面に亘って内部電極42aが設けられている。この内部電極42aは、例えば厚さ4μmの銀パラジウム合金等から成る。また、内部電極42aには当該第2の圧電シート42の一方長辺の縁部位に向かって延出された露出部42aeが設けられている。
【0021】
ここで、内部電極41aの露出部41aeが延出されている辺と、内部電極42aの露出部42aeが延出されている辺とは、積層時に重なる辺である。しかしながら、それらの辺のうち内部電極41aの露出部41aeが延出されている位置と、内部電極42aの露出部42aeが延出されている位置とは、積層時に重ならない位置である。
【0022】
前記第3の圧電シート43は、内部電極が設けられていない圧電シートである。すなわち、この第3の圧電シート43は、電気的に絶縁する為の圧電シートである。
図3及び図4に示すように、第1の圧電シート41の内部電極41a及び第2の圧電シート42の内部電極42aは、それぞれ下記のように短絡されている。
《駆動層40−1について》
・内部電極41aの露出部41ae同士は、駆動層外部電極(D+相)101D+によって短絡されている。
・内部電極42aの露出部42ae同士は、駆動層外部電極(D−相)101D−によって短絡されている。
《負荷圧力検出層40−2について》
・内部電極41aの露出部41ae同士は、負荷圧力検出層外部電極(L+相)101L+によって短絡されている。
・内部電極42aの露出部42ae同士は、負荷圧力検出層外部電極(L−相)101L−によって短絡されている。
【0023】
上述したように、本一実施形態に係るポンプ装置1−Aが具備する積層圧電素子40は、駆動層40−1と負荷圧力検出層40−2とが一体的に形成されている。そして、駆動層40−1の駆動層外部電極101D+,101D−に交流信号を印加し、積層圧電素子40を連続的に伸縮させてダイヤフラム10を往復変位させると、ポンプ室12内の液体は液体吸入口5−1側から液体吐出口5−2側へ搬送される。このとき、負荷圧力検出層40−2の負荷圧力検出層外部電極101L+,101L−から、積層方向における負荷圧力を示す信号を取り出すことができる。
【0024】
以下、ポンプ装置1−Aを駆動する為の駆動回路について説明する。図5は、ポンプ装置1−Aを駆動する為の駆動回路の一構成例を示すブロック図である。
駆動回路1−Bは、負荷状態検出部101と異常検出部103と駆動信号発生部105とを備える。
【0025】
前記負荷状態検出部101は、負荷圧力検出層外部電極101L+,101L−に接続されており、負荷圧力検出層40−2(負荷圧力検出層外部電極101L+,101L−)から出力された周期信号が入力される。ここで、負荷圧力検出層40−2には、当該ポンプ装置1−Aの駆動時に積層圧電素子40の発生力(ダイヤフラム10を押し上げる力)に応じた力が掛かり、当該負荷圧力検出層40−2には前記発生力に応じた電気信号が生じる。負荷状態検出部101は、この電気信号(以降、検出信号と称する)の振幅を検出することで、ポンプ室12内の圧力を間接的に検出する。具体的には、負荷状態検出部101は、検出信号の振幅の平均値または最大値を検出する。
【0026】
図6は、上述の発生力(負荷圧力)と積層圧電素子40の変位との関係(発生力−変位特性)を示す図である。同図に示すように、積層圧電素子40の変位量は当該積層圧電素子40(負荷圧力検出層40−2)に掛かる負荷圧力が零のときに最大となり、負荷圧力が増すに従ってその負荷と釣り合うように発生力が増加し、且つ、変位量が減少する。
【0027】
すなわち、駆動層40−1に印加する電圧を一定として駆動した場合、積層圧電素子40は、ポンプ室12内の圧力と積層圧電素子40の発生力とが釣り合った点で駆動されることになる。すなわち、ポンプ室12内の圧力が高いほど積層圧電素子40の変位が小さく且つ発生力は大きくなり、ポンプ室12内の圧力が低いほど積層圧電素子40の変位が大きく且つ発生力は小さくなる。
【0028】
前記異常検出部103は、負荷状態検出部101により検出された負荷状態(検出信号の振幅(例えば平均値または最大値))に基づいて、ポンプ室12内における圧力状態(圧力異常の有無)を検出し、異常状態が検出された場合にはその旨を示す信号を出力する。詳細には、上述した検出信号の振幅(例えば平均値または最大値)が、継続的に所定時間以上の期間、後述する“異常値”であった場合には、異常状態である旨を示す信号を出力する。さらに、異常検出部103は、検出したポンプ室12内における圧力状態を駆動信号発生部105に出力する(フィードバックする)。
【0029】
図7は、負荷圧力と検出信号の振幅との関係(負荷圧力−検出信号振幅特性)を示す図である。同図に示すように、負荷圧力の大きさと検出信号の振幅とは略比例関係にある。異常検出部103は、検出信号の振幅(例えば平均値または最大値))が所定期間以上、後述する“異常値”であると、異常状態である旨を示す信号を出力する。この異常状態である旨を示す信号は、不図示のディスプレイや警報部材等の異常報知部材に入力され、当該異常報知部材によって、異常状態である旨がユーザに報知される。
【0030】
詳細には、前記異常検出部103による異常状態の判定においては、積層圧電素子40の変位が“通常状態(ポンプ室12内に異常が生じていない状態)として予め設定された範囲の下限値(以降、単に通常状態下限値と称する)”未満の場合、換言すれば負荷圧力が“通常状態(ポンプ室12内に異常が生じていない状態)として予め設定された範囲の上限値(以降、単に通常状態上限値と称する)”より大きい場合、及び、積層圧電素子40の変位が“通常状態上限値”より大きい場合、換言すれば負荷圧力が“通常状態下限値”未満の場合の検出信号の振幅を“異常値”とする。
【0031】
異常状態の具体例としては、次のような例を挙げることができる。例えばポンプ室12内に気泡が混入したという異常状態が生じた場合には、ダイヤフラム10の変位によってポンプ室12内の体積を減少させたとしても、気泡が体積変化するのでポンプ室12内の圧力が、ポンプ室12内に液体のみが存在する場合に比べて大きく低下する。他方、液体流路の閉塞が生じるという異常事態が生じた場合には、ポンプ室12内の圧力は通常状態より高くなり、負荷圧力検出層40−2からの出力信号振幅は通常状態より大きくなる。
【0032】
なお、異常検出部103により出力される“異常状態である旨を示す信号”は、単に異常状態である旨のみでなく、具体的な異常の内容(例えば通常状態の圧力よりも高い圧力である旨、通常状態の圧力よりも低い圧力である旨、または具体的な圧力の値)をも示す信号であってもよい。
【0033】
前記駆動信号発生部105は、駆動層40−1の駆動層外部電極101D+,101D−に接続されている。この駆動信号発生部105は、所定の電圧と周波数の駆動信号を生成して駆動層外部電極101D+,101D−に印加し、積層圧電素子40を伸縮駆動させる。この積層圧電素子40の伸縮運動に伴ってダイヤフラム10が往復変位し、ポンプ室12の体積が変化してポンプ動作が実現する。
【0034】
なお、駆動時に異常状態が発生した場合、駆動信号発生部105は、例えば次のような駆動を行ってもよい。
・異常検出部103からのフィードバック信号に基づいて、積層圧電素子40の駆動層40−1に印加する駆動信号の電圧や周波数を低下させること等によって、ポンプ室12から吐出される液体の流量を低下させる。
・駆動信号の出力を停止してポンプ動作自体を停止させる。
・積層圧電素子40の駆動層40−1に印加する駆動信号の電圧を上げることでダイヤフラム10の変位量を大きくし、ポンプ室12の体積変化を大きくしてポンプ室12内に混入した気泡をポンプ室12外に排出しやすくする。
【0035】
以上説明したように、本一実施形態によれば、ポンプ室12内の異常検知を可能としつつも小型化を実現したポンプ装置を提供することができる。具体的には、本一実施形態に係るポンプ装置は例えば下記の効果を奏する。
・本一実施形態に係るポンプ装置を冷却水循環システムに適用することで、異常状態が生じた場合に、速やかにユーザが当該異常状態を認識することができる為、当該冷却水循環システムが搭載された装置の動作を停止するなどして過熱による故障や破壊を防止することができる。
・異常状態の検出の為のセンサ等を別途設ける必要がないので、ポンプ装置の小型化が容易である。
・例えばポンプ室12内への気泡混入や液体流路の閉塞等が生じた場合であっても、ポンプ室12内の圧力異常に起因する故障や破壊を未然に防止することができる。
・所謂ダイヤフラムアクチュエータを構成する積層圧電素子40の一部に負荷を検出する負荷圧力検出層40−2を設けることで、ポンプ室12内の圧力異常を検知する為の部材を別途設けることなく(ポンプ装置を大型化することなく)、ポンプ装置の異常状態の検出が可能となる。
・構成が簡略な為、製造コストを低減することができる。
【0036】
なお、上述の例では積層圧電素子40は、その積層方向について、駆動信号を印加する領域(駆動層40−1)と負荷圧力の検出信号を取り出す領域(負荷圧力検出層40−2)とに分割されている。しかしながら、積層圧電素子40を、積層方向に垂直な方向について、駆動信号を印加する領域と負荷圧力の検出信号を取り出す領域とに分割しても勿論よい。この場合、例えば各圧電シートの内部電極を二分割した態様で設け、二分割された一方を駆動信号の印加用とし且つ他方を負荷圧力検出用とすれば良い。
【0037】
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0038】
1…ポンプ装置、 5…筐体、 5−1…液体吸入口、 5−2…液体吐出口、 10…ダイヤフラム、 12…ポンプ室、 14−1…液体吸入管挿入突起、 14−2…液体吐出管挿入突起、 16−1…吸入側逆止弁、 16−2…吐出側逆止弁、 40…積層圧電素子、 40−1…駆動層、 40−2…負荷圧力検出層、 41…第1の圧電シート、 41a…内部電極、 41ae…露出部、 42…第2の圧電シート、 42a…内部電極、 42ae…露出部、 43…第3の圧電シート、 101D+,101D−…駆動層外部電極、 101L+,101L−…負荷圧力検出層外部電極、 101…負荷状態検出部、 103…異常検出部、 105…駆動信号発生部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、駆動回路と、を具備するポンプ装置であって、
前記ポンプは、
液体を吸入する為の吸入口と、液体を吐出する為の吐出口と、を備えるポンプ室と、
当該積層圧電素子を伸縮駆動する為の駆動信号が印加される領域である駆動部と、振動時に当該積層圧電素子に掛かる負荷圧力を示す信号を出力する負荷圧力検出部と、を備える積層圧電素子と、
前記積層圧電素子の伸縮で往復変位し、前記ポンプ室の体積を変化させるダイヤフラムと、
を備え、
前記駆動回路は、
前記駆動信号を生成する駆動信号発生部と、
前記負荷圧力検出部から出力された信号の振幅に基づいて、前記負荷圧力を検出する負荷状態検出部と、
前記負荷状態検出部により検出された前記負荷圧力に基づいて、前記ポンプ室内部の圧力に係る異常状態を検出する異常検出部と、
を備える
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
前記異常状態は、前記負荷状態検出部により検出された前記負荷圧力の値が第1の閾値よりも小さい値である期間が所定期間以上続いた状態である
ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記異常状態は、前記負荷状態検出部により検出された前記負荷圧力の値が第2の閾値以上の値である期間が所定期間以上続いた状態である
ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記積層圧電素子は、複数の板状圧電素子が積層されて成り、その積層方向について前記駆動部と前記負荷圧力検出部とに分割されている
ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記積層圧電素子は、複数の板状圧電素子が積層されて成り、その積層方向に垂直な方向について、前記駆動領域と前記負荷圧力検出領域とに分割されている
ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記負荷状態検出部は、前記負荷圧力検出部から出力された信号の振幅の平均値を前記負荷圧力の値とする
ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記負荷状態検出部は、前記負荷圧力検出部から出力された信号の振幅の最大値を前記負荷圧力の値とする
ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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