説明

ポンプ

【課題】メンテナンスを容易に行うことができるポンプを提供する。
【解決手段】所定の流体搬送手段3によって搬送流体を搬送する流体搬送部2と、流体搬
送部2と一体に構成されるとともに、流体搬送手段3を駆動する駆動部4とを有するポン
プ1において、流体搬送手段3は、流体搬送部2側に設けられる第1搬送部材11と、駆
動部4側に設けられる第2搬送部材12とを有し、駆動部4から流体搬送部2を着脱自在
にすべく、第1搬送部材11と第2搬送部材12とが着脱自在に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、医療分野に用いられる薬液搬送用のポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
流体を搬送するポンプは、多種多様な技術分野、及び用途に用いられている。例えば、医療分野に用いられる薬液搬送用のダイヤフラムポンプは、薬液を搬送するものであることから、衛生上、流体を搬送するためのダイヤフラム等の消耗部品を頻繁に交換する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、ダイヤフラムポンプのダイヤフラムを交換するには、分解工程が多く、しかもポンプ内に滞留する搬送流体をも取り除く必要があり、作業が煩雑である。これに加えて、医療分野等に用いられるポンプには、高い衛生管理が必要とされることから、近年は、ダイヤフラムのみを交換するのではなく、ダイヤフラムの周辺部分をユニット化して、そのユニットごと交換してメンテナンスを容易にしたいという要求が高まっている。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、メンテナンスを容易に行うことができるポンプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためのものであって、所定の搬送手段によって搬送流体を搬送する流体搬送部と、流体搬送部と一体に構成されるとともに、搬送手段を駆動する駆動部とを有するポンプにおいて、前記搬送手段は、流体搬送部側に設けられる第1搬送部材と、駆動部側に設けられる第2搬送部材とを有し、駆動部から流体搬送部を着脱自在にすべく、第1搬送部材と、第2搬送部材とが着脱自在に構成されてなることを特徴とする。
【0006】
かかる構成によれば、第1搬送部材と第2搬送部材とが着脱自在にされることから、第1搬送部材と流体搬送部を一体にしてユニット化することができる。これによって、流体搬送部側の第1搬送部材を交換したい場合には、流体搬送部ごと交換することができるため、メンテナンスを容易に行うことができるようになる。
【0007】
また、本発明に係るポンプは、前記第1搬送部材は、流体搬送部側で搬送流体を搬送する搬送路の一部を閉塞するとともに弾性変形によって搬送流体を搬送するダイヤフラムと、ダイヤフラムを押圧するための第1軸部とを有し、前記第2搬送部材は、所定の往復動ができるように駆動部に取り付けられる第2軸部を有し、駆動部から流体搬送部を着脱自在にすべく、前記第1軸部と第2軸部とが着脱自在とされる構成を採用できる。
【0008】
かかる構成によれば、流体搬送部側に設けられたダイヤフラムの第1軸部と、駆動部側に設けられた第2軸部とが着脱自在にされることから、流体搬送部とダイヤフラムとを一体にしてユニット化することができる。これによって、ダイヤフラムを交換したい場合に、流体搬送部ごと交換することができるため、メンテナンスを容易に行うことができるようになる。
【0009】
また、本発明に係るポンプは、前記第1搬送部材は、流体搬送部側で搬送流体を搬送する搬送路の一部を閉塞する第1ダイヤフラムを有し、前記第2搬送部材は、駆動部側の作動流体によって作動される第2ダイヤフラムを有し、第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムは一体となって弾性変形により搬送流体を搬送可能に構成され、駆動部から流体搬送部を着脱自在にすべく、第1ダイヤフラムと、第2ダイヤフラムとが着脱自在とされる構成を採用できる。
【0010】
かかる構成によれば、流体搬送部と第1ダイヤフラムとをユニット化するとともに、第2ダイヤフラムと駆動部とをユニット化することができる。これによって、各ダイヤフラムを交換したい場合には、各ユニットごとに交換できるため、メンテナンスを容易に行うことができるようになる。
【0011】
また、本発明に係るポンプは、前記流体搬送部を構成する流体搬送部本体と、前記駆動部を構成する駆動部本体との間に、流体搬送部を駆動部に着脱自在に固定する固定手段が設けられる構成を採用できる。
【0012】
かかる構成によれば、流体搬送部を駆動部に固定して一体にすることで、1つのポンプとして機能させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メンテナンスを容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係るポンプの正面図である。
【図2】同じくポンプの側面図である。
【図3】流体搬送部が駆動部から分離された状態を示す断面図である。
【図4】第2連結部及び第2固定部の正面図である。
【図5】流体搬送部を駆動部に取り付ける動作を示す側面図である。
【図6】流体搬送部を駆動部から取り外す動作を示す側面図である。
【図7】第2実施形態に係るポンプの部分断面図である。
【図8】同じくポンプの第2連結部及び第2固定部を示す正面図である。
【図9】第3実施形態に係るポンプの断面図であり、(a)は全体断面図、(b)は要部拡大図である。
【図10】同じくポンプの斜視図である。
【図11】同じくポンプの斜視図である。
【図12】同じくポンプの斜視図である。
【図13】同じくポンプの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
図1〜図6は、本発明に係るポンプの第1実施形態を示している。本実施形態に係るポンプ1は、搬送流体を搬送する流体搬送部(ポンプヘッド)2と、この流体搬送部の搬送流体を搬送するための流体搬送手段3と、流体搬送手段3を駆動する駆動部4とを有する。
【0017】
流体搬送部2は、ポンプ運転時において、駆動部4と一体となって機能する。流体搬送部2は、図3に示すように、搬送流体が流入する流入部5と、搬送流体を吐出する吐出部6と、流入部5と吐出部6との間に形成された搬送流体の流体搬送路7とを有する。流入部5と吐出部6のそれぞれには搬送流体の逆流を防止する逆止弁(チャッキボール)8,9が設けられている。
【0018】
流体搬送手段3は、流体搬送部2側に設けられる第1搬送部材11と、駆動部4側に設けられる第2搬送部材12とを有する。第1搬送部材11は、流体搬送部2側で搬送流体を搬送する流体搬送路7の一部を閉塞するとともに弾性変形によって搬送流体を搬送するダイヤフラム13と、ダイヤフラム13を押圧するための軸部(以下「第1軸部」という)14とを有する。
【0019】
ダイヤフラム13は、例えば合成樹脂によって円形に構成される。このダイヤフラム13は、図3に示すように、流体搬送部2の一部に一体に固定されている。また、ダイヤフラム13は、固定部材16を介して流体搬送部2の本体(以下「流体搬送部本体」という)2aに固定されている。具体的には、ダイヤフラム13は、その縁部が流体搬送部本体2aと固定部材16とによって挟まれることにより、流体搬送部本体2aに固定されている。この固定部材16には、流体搬送部2を駆動部4に固定するための複数(図例では4つ)の固定部(以下「第1固定部」という)17が形成されている。この第1固定部17の詳細な構成については後述する。
【0020】
このダイヤフラム13は、流体搬送部2の流体搬送路7の一部を閉塞することにより、この流体搬送部2の一部を構成する。ダイヤフラム13は、所定の往復動によって流入部5から搬送流体を流体搬送路7に流入させ、そして吐出部6から吐出させる。ダイヤフラム13が流体搬送部2に固定されることにより、このダイヤフラム13と流体搬送部2による1つのユニットが構成される。
【0021】
第1軸部14は、ダイヤフラム13の一方の面から突出している。この第1軸部14は駆動部4側に設けられる第2搬送部材12に着脱自在に連結される。この第1軸部14の突端部には、第2搬送部材12に連結される連結部(以下「第1連結部」という)19が設けられている。この第1連結部19は、第1軸部14よりも直径の大きな円板状(フランジ状)に構成されている。
【0022】
第2搬送部材12は、所定の方向に往復動するように、駆動部4に取り付けられている。この第2搬送部材12は、所定の方向に往復動するように、駆動部4に支持される軸部(以下「第2軸部」という)21を有する。この第2軸部21の一方の端部には、第1軸部14の第1連結部19に着脱自在に連結される連結部(以下「第2連結部」という)22が設けられている。また、第2軸部21の他方の端部には、駆動部4からの駆動力を受けるフランジ部23が形成されている。なお、第1連結部19と第2連結部22は第1搬送部材11と第2搬送部材12とを連結する連結手段として機能する。
【0023】
第2連結部22は、図3、図4に示すように、第1連結部19を入る凹部26と、第1軸部14の中途部が係合する係合溝27とを有する。凹部26は、底面が正面視円弧状に形成されている。この凹部26の幅は、第2連結部22が入るように、この第2連結部22の直径よりも若干大きくされている。第2連結部22の係合溝27は、第2連結部22の上端部から下方に向かって直線状に形成されている。
【0024】
第1連結部19と第2連結部22との連結は以下のように行われる。すなわち、第2連結部22の上方から第1連結部19を凹部26に入れるとともに、第1軸部14の中途部を係合溝27に係合させて下方に下ろすことで、両者の連結がなされる。
【0025】
駆動部4は、第2軸部21を駆動するためのモータ30と、第2軸部21を支持する駆動部本体4aとを有する。駆動部本体4aは、図3に示すように、第1分割体31と第2分割体32を有する。第1分割体31は、第2搬送部材12の第2軸部21を支持する筒部33と、駆動部4を流体搬送部2に固定される固定部(以下「第2固定部」という)34が形成されている。
【0026】
筒部33の内側には第2軸部21が挿通されている。これにより、筒部33は、第2軸部21が筒心方向(軸心方向)に往復動できるように、この第2軸部21を支持している。
【0027】
第1分割体31の端部には、筒部33よりも大径のフランジ部35が形成されている。第2固定部34は、このフランジ部35に形成されている。フランジ部35には、複数(図例では4つ)の第2固定部34が形成されている。第2固定部34の詳細な構成については後述する。
【0028】
フランジ部35の中央部には、筒部33の筒心方向に凹んだ凹部36が形成されている。凹部36の底面35aには、筒部33の孔が貫通して形成されている。また、凹部35の底面35aから第2軸部21の端部が突出している。
【0029】
凹部35の底面35aには、軸部を封止するための封止部材37が設けられている。この封止部材37は環状に構成されるとともに、その中央部周縁にシール部材(オイルシール)7aを有する。この封止部材37は、ボルト等の手段によって駆動部本体4a(第1分割体31)に固定されている。
【0030】
駆動部本体4a内には、第2軸部21を所定の方向に付勢する付勢部材38が設けられている。第1分割体31と第2分割体32との間には、付勢部材38を収容する空間39が形成されており、付勢部材38は、この空間39内で、第2軸部21のフランジ部23を付勢する。本実施形態では、例えば、付勢部材38として圧縮コイルバネが採用される。ポンプ1は、モータ30の軸部の回転力をカムによって第2軸部21を所定の周期で流体搬送部2側に押圧する押圧力に変換するように構成されており、付勢部材38は、この押圧力が作用しないときに、第2軸部21を押圧前の位置に戻す(第2軸部21を流体搬送部2から離す)ように、第2軸部21のフランジ部23を付勢している。
【0031】
第1分割体31と、第2分割体32には互いを連結するためのフランジ部41,42が設けられている。各フランジ部41,42は、ボルト等の締結手段によって連結され、これによって第1分割体31と第2分割体32が一体となって駆動部本体4aが構成される。以上により、駆動部4は、駆動部本体4a、第2搬送部材12、モータ30によって1つのユニットとして構成される。
【0032】
流体搬送部2を構成する流体搬送部本体2aと、前記駆動部4を構成する駆動部本体4aとの間に、流体搬送部2を駆動部4に着脱自在に固定する固定手段45が設けられる。この固定手段45は、流体搬送部2の第1固定部17及び駆動部4の第2固定部34により構成される。
【0033】
第1固定部17は、図3に示すように、固定部材16から突出する円柱状の軸部46と、この軸部46の突端部に設けられるとともに、この軸部46よりも直径の大きな円板部47とを有する。
【0034】
第2固定部34は、図3に示すように、第1固定部17の円板部47を掛止する掛止凹部48と、第1固定部17の軸部46を案内する案内溝49とを有する。
【0035】
掛止凹部48は、上下方向に長く形成されており、その底面48aが、第1固定部17の円板部47の形状に合うように、正面視円弧状の凹状湾曲面となっている。掛止凹部48の側面48bは、正面視において上下方向に直線状の平坦面となっている。
【0036】
図4に示すように、案内溝49は、上下方向に長く直線状に形成されている。案内溝49の下端部は、掛止凹部48の最底部まで達しておらず、上下方向における掛止凹部48の中途部までの範囲に形成されている。
【0037】
掛止凹部48の上部には、第1固定部17の円板部47を挿脱可能な円板部47の挿入口50が形成されている。この挿入口50は、円弧状の縁部50aを有する。挿入口50の円弧状の縁部50aの曲率半径は、第1固定部17の円板部47を掛止凹部48に入れることができるように、この第1固定部17の直径よりも若干大きく形成されている。この挿入口50は、案内溝49の上部と繋がって形成されている。
【0038】
本実施形態に係るポンプ1のメンテナンス方法(駆動部4に対する流体搬送部2の取り付け、取り外し方法)について以下に説明する。
【0039】
流体搬送部2を駆動部4に取り付けるには、第1搬送部材11の第1軸部14の第1連結部19が、駆動部4の第2軸部21の第2連結部22よりも高くなるように、流体搬送部2を持ち上げる。そして、そのままの高さを維持しながら、流体搬送部2を駆動部4に近づけ、第1連結部19が第2連結部22の上方に位置し、第1固定部17の円板部47が、第2固定部34の掛止凹部48の上方に位置付ける。そして、流体搬送部2を下方に下げ、第1連結部19を第2連結部22の凹部26に入れ、第1固定部17の円板部47を第2固定部34の掛止凹部48に入れる。このとき、第1軸部14が第2連結部22の係合溝27に入るとともに、第1固定部17の軸部46が第2固定部34の案内溝49に入る。
【0040】
さらに、流体搬送部2を下方に下げ、第1連結部19が第2連結部22の凹部26の底部に達し、第1固定部17の円板部47が掛止凹部48の底部に達したとき、流体搬送部2の駆動部4への取り付けが完了し、搬送流体部、流体搬送手段3、及び駆動部4は一体となって1つのポンプ1として機能することができる。
【0041】
ユニット化された流体搬送部2を駆動部4から取り外すには、第1連結部19と第2連結部22との連結、及び第1固定部17と第2固定部34との固定を解除する必要がある。これを解除するためには、流体搬送部2を駆動部4に対して上方に持ち上げる。そうすると、第2連結部22の凹部26に嵌っていた第1連結部19が凹部26の長手方向に沿って上方に移動し、第2固定部34の掛止凹部48に嵌っていた第1固定部17の円板部47が掛止凹部48の長手方向に沿って上方に移動する。流体搬送部2が凹部26及び掛止凹部48の深さよりも大きく上方に持ち上げられたとき、第1連結部19と第2連結部22との連結状態、及び第1固定部17と第2固定部34との固定状態が解除される。その後、流体搬送部2を駆動部4から離すべく、水平方向に移動させる。以上によって、流体搬送部2の駆動部4からの取り外しが完了する。
【0042】
以上説明した本実施形態に係るポンプ1によれば、流体搬送部2と流体搬送手段3の一部であるダイヤフラム13とを一体としてユニット化することによって、ダイヤフラム13を交換する場合に、このユニットごと交換することができるので、ポンプ1のメンテナンスを容易にすることができる。
【0043】
また、流体搬送部2を駆動部4に対して上下動させるだけで、流体搬送部2側の第1搬送部材11の第1連結部19と、第2搬送部材12の第2連結部22との連結及び連結の解除が可能であるので、流体搬送部2の交換作業を容易に行うことができる。
【0044】
同様に、流体搬送部2を駆動部4に対して上下動させるだけで、流体搬送部本体2aの第1固定部17と、駆動部本体4aの第2固定部34との固定及び固定解除が可能であるので、この作業も容易に行うことができる。しかも、流体搬送部2を駆動部4に確実に固定することで、1つのポンプ1として所望の機能を発揮させることができるようになる。
【0045】
また、例えば、従来のポンプを医療分野に用いる場合には、複数の薬液を混合することなく別々に搬送したい場合に、1つの薬液を搬送した後に、他の薬液を搬送しようとすると、ポンプ内で、2つの薬液が混合されてしまい、好ましくないという問題があった。これに対し、本発明に係るポンプを用いれば、使用する薬液ごとに、流体搬送部2を容易に交換できるので、複数の薬液を混合することなく、別々に搬送したい場合に特に有用になる。
【0046】
図7、図8は、本発明に係るポンプ1の第2実施形態を示す。本実施形態では、第1搬送部材11の第1連結部19、第2搬送部材12の第2連結部22の構成が第1実施形態と異なる。第1連結部19は、図7(b)に示すように、正面視長尺状に形成されている。この第1連結部19は、正面視において直線状の一対の平坦面(以下「第1側面」という)51,51と、側面視円弧状の一対の湾曲面(以下「第2側面」という)52,52とを有する。
【0047】
第1連結部19は、一対の第1側面51,51間の幅よりも、各第1側面51,51の長手方向の長さが長くなっている。第2側面52,52は、所定の曲率半径で凸状に形成されている。この第1連結部19は、その長手方向の中心位置で、ダイヤフラム13を流体搬送部2に固定するダイヤフラム13の中央部から突出した第1軸部14に固定されている。
【0048】
第2連結部22は、図8に示すように、流体搬送部2側の固定部材16の第1連結部19が嵌る凹部26を有する。この凹部26は、駆動部本体4aの環状のフランジ部35の中央部に設けられている。この凹部26には、第1連結部19を挿入するための挿入口(以下「第1挿入口」という)56が形成されている。第1挿入口55は、第1連結部19の正面の形状と相似形になっている。また、第1挿入口55は、第1連結部19を挿入できるように、この第1連結部19よりも若干大きく形成されている。なお、本実施形態に係る凹部26には、第1実施形態で例示した凹部26に形成されていた係合溝27が形成されていない。
【0049】
図8に示すように、凹部26の第1挿入口55は、正面視によって上下方向に長い直線状の一対の縁部(以下「第1縁部」という)56,56と、この第1縁部56,56間を繋ぐように形成された正面視円弧状の一対の縁部(以下「第2縁部」という)57,57とを有する。
【0050】
一対の第1縁部56,56は、互いに所定の間隔で離間されている。各第1縁部56,56は、その上下方向の長さが、第1縁部56,56間の離間間隔よりも長くなっている。
【0051】
また、凹部26は、その内部に、第1挿入口55の第2縁部の曲率半径と同じ半径に設定された正面視円形の側面部59と、この側面部に囲まれる正面視円形の底面部60とを有する。
【0052】
また、本実施形態に係るポンプ1は、第1実施形態と同様に、流体搬送部本体2aと駆動部本体4aとの間に、これらを互いに固定する固定手段45を有する。固定手段45は、流体搬送部本体2aに設けられた第1固定部17と、駆動部本体4aに設けられた第2固定部34とを有する。
【0053】
第1固定部17は、第1実施形態と同様に、ダイヤフラム13を流体搬送部本体2aに固定する固定部材16に設けられた軸部46と円板部47とを有する。軸部46と円板部47の構成は、第1実施形態と同様であるので、図示を省略する。
【0054】
第2固定部34は、駆動部本体4a(第1分割体31)に形成されたフランジ部35の端面に形成されている。この第2固定部34は、第1固定部17の円板部47を掛止する掛止凹部48と、第1固定部17の軸部46を案内する案内溝49を有する。掛止凹部48は、図8に示すように、フランジ部35の周方向(円周方向)に沿うように、正面視円弧状に形成されている。
【0055】
掛止凹部48は、第1固定部17の円板部47を挿入するための挿入口(以下「第2挿入口」という)と、第1固定部17の軸部46を案内する案内溝49を有する。掛止凹部48の第2挿入口は、掛止凹部48の一端部側で、円形に形成されている。この第2挿入口の直径は、第1固定部17の円板部47を挿入できるように、この円板部47の直径よりも若干大きくなっている。
【0056】
掛止凹部48の案内溝49は、掛止凹部48の円弧形状に合うように、フランジ部35の円周方向に沿って円弧状に形成されている。この案内溝49は、その一端部が第2挿入口に繋がって形成されている。案内溝49の他端部は、掛止凹部48の中途部に位置しており、この掛止凹部48の端部に達していない。
【0057】
本実施形態に係るポンプ1のメンテナンス方法(駆動部4に対する流体搬送部2の取り付け、取り外し方法)について以下に説明する。
【0058】
流体搬送部2を駆動部4に取り付けるには、流体搬送部本体2aを駆動部本体4aに近づけ、流体搬送部2に一体にされた第1搬送部材11の第1軸部14の第1連結部19を、駆動部4に一体に設けられた第2搬送部材12の第2連結部22の凹部26に設けられた第1挿入口55に挿入する。さらに、この挿入とともに、流体搬送部2の第1固定部17の円板部47を駆動部本体4aの第2固定部34の掛止凹部48に設けられた第2挿入口に挿入する。
【0059】
次に、第1連結部19を第2連結部22に連結され、第1固定部17を第2固定部34に固定させるべく、流体搬送部2を所定の方向に回転させる。具体的には、第1連結部19を、第2連結部22の凹部26の奥に移動させ、第1固定部17の円板部47を第2固定部34の掛止凹部48の奥に移動させるように、流体搬送部2を、駆動部本体4aのフランジ部35に対して、第1軸部14の軸心まわりで、かつ、時計回りに回動させる。
【0060】
そうすると、第2連結部22の凹部26の第1挿入口55に挿入された第1連結部19は、第1軸部14まわりに回動し、その端部が、第1挿入口55の直線状の縁部と、凹部26の円形の側面との間の領域に位置して、この凹部26に掛止される。
【0061】
さらに、第2固定部34の掛止凹部48の第2挿入口に挿入された第1固定部17の円板部47は、掛止凹部48の長手方向(円弧方向)の一端部に形成された第2挿入口から、掛止凹部48の他端部側へと移動する。このとき、第1固定部17の軸部46は、掛止凹部48の案内溝49に入り、掛止凹部48の他端部側へと案内される。
【0062】
第1連結部19が第2連結部22の凹部26内で時計回りに所定角度回動し、第1固定部17の円板部47が掛止凹部48の一端部の第2挿入口から他端部側に移動したとき、流体搬送部2と駆動部4とが一体となり、ポンプ1として機能できるようになる。
【0063】
流体搬送部2を駆動部4から取り外すには、第1連結部19と第2連結部22との連結、及び第2固定部34に対する第1固定部17の固定を解除するために、流体搬送部2を、駆動部本体4aのフランジ部35に対して、第1軸部14まわりで、かつ反時計回りに回動させる。
【0064】
そうすると、第2固定部34の掛止凹部48の奥に位置していた第1固定部17の円板部47は、掛止凹部48の第2挿入口へと移動する。このとき、第1固定部17の軸部46が案内溝49を介して第2挿入口へと案内される。
【0065】
第1固定部17の円板部47が第2挿入口の位置まで移動したとき、第1連結部19は反時計まわりに所定角度回動し、この第1連結部19を第1挿入口55から抜き出すことができるようになる。
【0066】
この状態から、第1搬送部材11の第1軸部14の軸心方向に沿って、流体搬送部2を駆動部4から離れるように水平に移動させる。そうすると、第1連結部19が第2連結部22の第1挿入口55から抜け、第1固定部17の円板部47が第2固定部34の第2挿入口から抜ける。これによって、流体搬送部2の駆動部4からの取り外しが完了する。
【0067】
以上説明した本実施形態に係るポンプ1によれば、第1連結部19を第2連結部22の凹部26の第1挿入口55に挿入し、第1固定部17の円板部47を第2固定部34の掛止凹部48に設けられた掛止凹部48の第2挿入口に挿入して、流体搬送部2を所定角度回動させるだけで、この流体搬送部2を駆動部4に取り付けることができ、そして、流体搬送部2を反対方向に同じ角度で回動させるだけで、この流体搬送部2を駆動部4から取り外すことができる。これにより、ポンプ1のメンテナンスを容易に行うことができるようになる。
【0068】
本実施形態のその他の点は、第1実施形態と同様の構成である。本実施形態が第1実施形態と共通する要素については説明を割愛する。なお、図7、図8において第1実施形態の要素と共通する要素には、共通符号を付している。本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0069】
図9〜図13は、本発明に係るポンプ1の第3実施形態を示す。上述した第1、第2実施形態に係るポンプ1は、第1軸部14及び第2軸部21を軸心方向に往復動させることで、ダイヤフラム13を往復動させて搬送流体を搬送するものであったが、この第2実施形態では、作動流体(作動油)によってダイヤフラム13を往復動させて搬送流体を搬送する、いわゆる直動タイプのポンプ1を例示する。
【0070】
本実施形態に係るポンプ1は、流体搬送部2と、流体搬送手段3と、駆動部4と、駆動部4内に混入するガスを排出するガス排出機構65とを有する。
【0071】
流体搬送部2は、第1実施形態と同様に、流体搬送部本体2aに、流入部5、吐出部6、流体搬送路7、逆流防止手段等を備える。流体搬送部2には、複数(図例では2つ)の第1搬送部材11が設けられている。より具体的に説明すると、流体搬送部2は、流体搬送路7の中途部に、所定体積の複数(図例では2つ)の流体搬送室67,67を有している。各流体搬送室67,67は、流体搬送部2の一方の側面と他方の側面とに形成されている。各第1搬送部材11は、各流体搬送室67,67を閉塞することで、この流体搬送室の一部として一体に構成される。
【0072】
上述した第1実施形態では、流体搬送手段3が、ダイヤフラム13及び第1軸部14からなる第1搬送部材11と、第2軸部21を有する第2搬送部材12とを備えていたが、本実施形態では、その構成が異なる。流体搬送手段3は、第1搬送部材11が、流体搬送部2側で搬送流体を搬送する流体搬送路7の一部を閉塞するダイヤフラム(以下「第1ダイヤフラム」という)13aを有し、第2搬送部材12が、駆動部4側の作動流体によって作動されるダイヤフラム(以下「第2ダイヤフラム」という)13bを有するように構成される。第1ダイヤフラム13aと第2ダイヤフラム13bは一体となって弾性変形により搬送流体を搬送可能に構成される。
【0073】
各ダイヤフラム13は、円形に形成されるとともに、作動油の圧力によって弾性変形する膜部71と、この膜部71の周縁に形成される、膜部71よりも厚さの厚い厚肉部72とを有する。図9に示すように、この厚肉部72には、円形の各ダイヤフラム13の半径方向に沿って貫通する貫通孔73が形成されている。
【0074】
駆動部4は、流体搬送部2に連結され、作動油を介して流体搬送手段3を駆動する2つの駆動部(以下それぞれを「第1駆動部」、「第2駆動部」という)81,82と、第1駆動部81、第2駆動部82に、作動油を圧送する部分(以下「第3駆動部」という)83とを有する。
【0075】
第1駆動部81と、第2駆動部82は、流体搬送部2の一方側と他方側に設けられる点が異なり、それぞれの構造は、流体搬送部2を中心にして左右対称となっている。すなわち、第1駆動部81と第2駆動部82の構造は同じである。以下、第1駆動部81、第2駆動部82を説明するために、第1駆動部81を例にとって説明し、第2駆動部82の各要素には、第1駆動部81と同じ符号を付して説明を割愛する。
【0076】
第1駆動部81(第2駆動部82)は、図9に示すように、第2搬送部材12である第2ダイヤフラム13bによって閉塞されるダイヤフラム駆動室85、及び作動油制限室86が設けられている。第1駆動部81は、作動油供給配管87を介して第3駆動部83と連結されている。第1駆動部81は、第3駆動部83から圧送される作動油を、作動油制限室86を介してダイヤフラム駆動室85に導入して、第2ダイヤフラム13bを所定の周期で押圧する。
【0077】
作動油制限室86内には、弁体88及びこれに対応した弁座89が設けられている。弁体88は、弁体支持部90にコイルスプリング等の付勢手段91を介して取り付けられている。また、この弁体88は、作動油制限室86とダイヤフラム駆動室85との間を連絡するシャフト92に固着されている。シャフト92の一方の端部は、付勢手段91及び弁体88を介して第2ダイヤフラム13b側に付勢されており、通常運転時において、第2ダイヤフラム13bに当接している。
【0078】
作動油制限室86とダイヤフラム駆動室85との間には、シャフト支持部93が設けられている。このシャフト支持部93には、作動油を作動油制限室86とダイヤフラム駆動室85との間を流通させるための貫通孔が形成されている。また、弁体支持部90についても作動油を流通させるための貫通孔が形成されている。
【0079】
作動油供給配管87から第1駆動部81、第2駆動部82に送られる作動油によって、シャフト92は、第2ダイヤフラム13bとともに往復動するようになっている。このことから、第2ダイヤフラム13bに過剰な作動油の圧力が作用したとき、この圧力によって、シャフト92は第2ダイヤフラム13bとともに移動する。このとき、弁体88が弁座89に当接することによって、作動油のダイヤフラム駆動室85への流入が遮断される。これによって、作動油制限室86は、第2ダイヤフラム13bが過剰に変形しないように、作動油を制限することができる。
【0080】
第1駆動部81(第2駆動部82)には、流体搬送手段3の第1搬送部材11(第1ダイヤフラム13a)と第2搬送部材12(第2ダイヤフラム13b)を一体に連結する連結手段が設けられている。連結手段は、第1搬送部材11と第2搬送部材12との間の空気を吸引するための空気吸引部97と、この空気吸引部97を閉塞する閉塞部材(図示略)とを有する。空気吸引部97は、第1駆動部81の下部、及び第2駆動部82の下部に設けられている。
【0081】
図9に示すように、空気吸引部97は、第2ダイヤフラム13bに連結される連結孔97aと、雌ねじが形成されたねじ穴97bとを有する。閉塞部材には、空気吸引部97のねじ穴97bに螺合する雄ねじ部を有する。
【0082】
第3駆動部83は、作動油を収容する作動油タンクと、作動油タンクの作動油を第1駆動部81、及び第2駆動部82に圧送する圧送手段とを有する(図示略)。圧送手段は、所定のケーシング内に収容されるともに、作動油を所定の圧力で第1駆動部81、第2駆動部82に送るためのピストンを有し、ピストンの往復動によって、所定の周期で、作動油を圧送することができる。第3駆動部83は、ピストンの往復動により、第1駆動部81と第2駆動部82には、位相が180°ずれるように、作動油を送ることができる。
【0083】
各駆動部4と流体搬送部2との間には、流体搬送部2を各駆動部4に固定する固定手段45が設けられている。固定手段45は、流体搬送部2を第3駆動部83に固定する固定手段(以下「第1固定手段」という)45aと、流体搬送部2を第1駆動部81、及び第2駆動部82に固定する固定手段(以下「第2固定手段」という)45bとを有する。
【0084】
第1固定手段45aは、流体搬送部2を第3駆動部83に固定するためのボルト101と、流体搬送部2に形成されるとともに、ボルト101が挿通される挿通孔102と、第3駆動部83に設けられるとともに、このボルト101の軸部に連結されて、この軸部を掛止する掛止部103とを有する。掛止部103は、第3駆動部83から流体搬送部2に向かって突出する筒形状に構成され、その内側にボルト101の軸部(雄ねじ部)が螺合する雌ねじ部を有する。
【0085】
第1固定手段45aは、流体搬送部2の挿通孔102と、第3駆動部83の掛止部103とを一致させるように、流体搬送部2を第3駆動部83に当接させ、ボルト101を、挿通孔102に挿通して、その軸部をさらに掛止部103の雌ねじ部に螺合させて締め付けることによって、流体搬送部2と第3駆動部83に固定することができる。
【0086】
本実施形態では、流体搬送部2と第1駆動部81及び第2駆動部82との間に、複数(図例では4つ)の第2固定手段45bが設けられている。
【0087】
各第2固定手段45bは、図11〜図13に示すように、流体搬送部2の側面に形成されたねじ穴105と、このねじ穴105に嵌るボルト106と、第1駆動部81、及び第2駆動部82に形成された、ボルト106を挿通する挿通孔107とを有する。
【0088】
本実施形態に係るポンプ1は、流体搬送部2に設けられる第1搬送部材11(第1ダイヤフラム13a)と、第1駆動部81及び第2駆動部82に設けられる第2搬送部材12(第2ダイヤフラム13b)とが重なるように、流体搬送部2と第1駆動部81、第2駆動部82とを合わせたとき、第2固定手段45bのねじ穴105と挿通孔107とが一致するように構成される。
【0089】
固定手段45は、ねじ穴105と挿通孔107とが一致した状態で、ボルト106を挿通孔107に挿通するとともに、このボルト106の端部をねじ穴105に螺合させて締結することによって、流体搬送部2を、第1駆動部81及び第2駆動部82に固定できるようになっている。
【0090】
ガス排出機構65は、第1駆動部81、第2駆動部82のそれぞれに設けられている。このガス排出機構65を説明するために、第1駆動部81に設けられたガス排出機構65について説明し、第2駆動部82に設けられたガス排出機構65には、同じ符号を付して説明を割愛する。
【0091】
ガス排出機構65は、作動油制限室86に溜まるガスを排出する第1ガス排出経路110と、ダイヤフラム駆動室85に溜まるガスを排出するための第2ガス排出経路111と、第1ガス排出経路110の上部に設けられる逆流防止のための第1ボール体112と、第2ガス排出経路111の上部に設けられる逆流防止用の第2ボール体113と、第1ガス排出経路110と、第2ガス排出経路111とが合流する第3ガス排出経路114と、第3ガス排出経路114の上部に設けられる第3ボール体115と、この第3ボール体115のリフト量を調整する調整バルブ116と、ガスを排出するためのガス排出配管部117等を有する。このようなガス排出機構65は、調整バルブ116を介してガスの排出量を調整しながら、作動油制限室86及びダイヤフラム駆動室85に溜まるガスをガス排出配管部117から適切に排出できるようになっている。
【0092】
以下、本実施形態に係るポンプ1のメンテナンス方法(駆動部4に対する流体搬送部2の取り付け、取り外し方法)について説明する。
【0093】
流体搬送部2を駆動部4に取り付けるには、まず、この第1固定手段45aによって、流体搬送部2を第3駆動部83に固定する。そして、第2固定手段45bによって、流体搬送部2を第1駆動部81及び第2駆動部82に固定する。
【0094】
流体搬送部2が各駆動部4に固定されると、流体搬送部2に取り付けられている第1搬送部材11としての第1ダイヤフラム13aと、第1駆動部81及び第2駆動部82に取り付けられている第2搬送部材12としての第2ダイヤフラム13bとが互いに近接して重なるように位置づけられる。
【0095】
このとき、他のポンプ等の吸引手段のホースの端部に形成される雄ねじを空気吸引部97の雌ねじに螺合させて連結し、この吸引手段によって、第1ダイヤフラム13aと第2ダイヤフラム13bとの間の空気を吸引する。これによって、第1ダイヤフラム13aと第2ダイヤフラム13bとの間に介在する空気が外部に排出され、第1ダイヤフラム13aと第2ダイヤフラム13bは密着した状態となる。
【0096】
この吸引手段による空気の吸引が完了すると、その状態を維持すべく、閉塞部材によって、空気吸引部97を閉塞する。これにより、第1ダイヤフラム13aと第2ダイヤフラム13bが密着して連結された状態が維持される。
【0097】
以上によって、流体搬送部2の駆動部4に対する取り付けが完了し、両者は一体となってポンプ1としての機能を発揮することができる。
【0098】
流体搬送部2を駆動部4から取り外すには、空気吸引部97を閉塞する閉塞部材を取り外す。そうすると、空気吸引部97、連結孔97a、第2ダイヤフラム13bの貫通孔73を介して外部の空気が、第1ダイヤフラム13aと第2ダイヤフラム13bの間に流入し、これによって、第1ダイヤフラム13aと第2ダイヤフラム13bとの連結(密着)が解除される。
【0099】
次に、第2固定手段45bによる流体搬送部2の第1駆動部81及び第2駆動部82への固定を解除し、流体搬送部2から第1駆動部81、第2駆動部82を離すようにする。
【0100】
そして、第1固定手段45aによる流体搬送部2の第3駆動部83への固定を解除して、この流体搬送部2を第3駆動部83から離す。以上によって、流体搬送部2の駆動部4からの取り外しが完了する。
【0101】
以上説明した本実施形態に係るポンプ1によれば、第1搬送部材11(第1ダイヤフラム13a)と第2搬送部材12(第2ダイヤフラム13b)とを連結手段によって一体に連結することによって、両者は一体となって1つのダイヤフラム13として機能する。これによって、所望の搬送流体の搬送を確実に行うことができる。
【0102】
連結手段は、空気吸引部97から空気を吸引するだけで容易に第1搬送部材11と第2搬送部材12を連結することができ、しかも、蓋体を空気吸引部97から取り外すだけで容易に第1搬送部材11と第2搬送部材12との連結を解除することができ、このような第1搬送部材11と第2搬送部材12との簡単な着脱構造により、ポンプ1のメンテナンスを容易に行うことができるようになる。
【0103】
さらに、第1駆動部81、第2駆動部82から流体搬送部2を取り外す際には、第1搬送部材11(第1ダイヤフラム13a)によって、流体搬送室が閉塞されていることから、流体搬送部2内の搬送流体が漏れ出すことがなく、これによってもポンプ1のメンテナンス(流体搬送部2の交換作業)を容易に行うことができる。
【0104】
同様に、第1駆動部81、第2駆動部82から流体搬送部2を取り外したとき、第1駆動部81、第2駆動部82は、第2搬送部材12(第2ダイヤフラム13b)によって、ダイヤフラム駆動室85、及び作動油制限室86が閉塞されていることから、これらに充填されている作動油が外部に漏れ出すことがなく、これによってもポンプ1のメンテナンス(流体搬送部2の交換作業)を容易に行うことができる。
【0105】
本実施形態におけるその他の点は第1実施形態と同様の構成であり、本実施形態が第1実施形態と共通する要素には共通符号を付して説明を割愛する。本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0106】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更・変形が可能である。
【0107】
例えば、第1固定部17に円板部47が設けられていた例を示したが、この形状は円板状に限らず、三角形状、四角形状等の多角形状その他の異形形状に構成されていてもよく、要は、第2固定部34の掛止凹部48に掛止されるような係止部として機能するものであればどのような形状であってもよい。
【0108】
また、上記の連結手段の閉塞部材に、第1搬送部材11と第2搬送部材12との間の圧力を測定する圧力計を設けるようにしてもよい。これにより、例えば、第1搬送部材11又は第2搬送部材12が破断した際の圧力を検知でき、異常の有無の確認や、故障の早期発見を効果的に実現できる。
【符号の説明】
【0109】
1…ポンプ、2…流体搬送部、2a…流体搬送部本体、3…流体搬送手段、4…駆動部、4a…駆動部本体、5…流入部、6…吐出部、7…流体搬送路、8…逆止弁、9…逆止弁、11…第1搬送部材、12…第2搬送部材、13…ダイヤフラム、13a…第1ダイヤフラム、13b…第2ダイヤフラム、14…第1軸部、16…固定部材、17…第1固定部、19…第1連結部、21…第2軸部、22…第2連結部、23…フランジ部、26…凹部、27…係合溝、30…モータ、31…第1分割体、33…筒部、34…第2固定部、35…フランジ部、36…凹部、36a…凹部の底面、37…封止部材、37a…シール部材、38…付勢部材、39…空間、41…フランジ部、42…フランジ部、45…固定手段、45a…第1固定手段、45b…第2固定手段、46…軸部、47…円板部、48…掛止凹部、49…案内溝、50…挿入口、50a…挿入口の縁部、51…第1側面、52…第2側面、55…第1挿入口、56…第1縁部、57…第2縁部、59…側面部、60…底面部、61…第2挿入口、65…ガス排出機構、67…流体搬送室、71…膜部、72…厚肉部、73…貫通孔、81…第1駆動部、82…第2駆動部、83…第3駆動部、85…ダイヤフラム駆動室、86…作動油制限室、87…作動油供給配管、88…弁体、89…弁座、90…弁体支持部、91…付勢手段、92…シャフト、93…シャフト支持部、97…空気吸引部、97a…連結孔、97b…ねじ穴、101…ボルト、102…挿通孔、105…ねじ穴、106…ボルト、107…挿通孔、110…第1ガス排出経路、111…第2ガス排出経路、112…第1ボール体、113…第2ボール体、114…第3ガス排出経路、115…第3ボール体、116…調整バルブ、117…ガス排出配管部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送手段によって搬送流体を搬送する流体搬送部と、流体搬送部と一体に構成されるとともに、搬送手段を駆動する駆動部とを有するポンプにおいて、
前記搬送手段は、流体搬送部側に設けられる第1搬送部材と、駆動部側に設けられる第2搬送部材とを有し、
駆動部から流体搬送部を着脱自在にすべく、第1搬送部材と第2搬送部材とが着脱自在に構成され、
前記第1搬送部材は、流体搬送部側で搬送流体を搬送する搬送路の一部を閉塞する第1ダイヤフラムを有し、
前記第2搬送部材は、駆動部側の作動流体によって作動される第2ダイヤフラムを有し、
第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムは一体となって弾性変形により搬送流体を搬送可能に構成され、
駆動部から流体搬送部を着脱自在にすべく、第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムとが着脱自在に構成されてなることを特徴とするポンプ。
【請求項2】
前記流体搬送部を構成する流体搬送部本体と、前記駆動部を構成する駆動部本体との間に、流体搬送部を駆動部に着脱自在に固定する固定手段が設けられる請求項1に記載のポンプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−92850(P2012−92850A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29627(P2012−29627)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【分割の表示】特願2009−94856(P2009−94856)の分割
【原出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000229760)株式会社タクミナ (25)
【Fターム(参考)】