説明

マイクロカラムの製造方法

【課題】柱状体の直径が頂部から底部にかけて均一であり、かつ柱状体の間隔が狭い場合でも高アスペクトな柱状体を有するマイクロカラムを提供する。
【解決手段】基板上に下地金属層と被陽極酸化層を配置する工程と、前記被陽極酸化層を陽極酸化して前記基板に対して垂直方向に形成された孔を有する多孔質皮膜とする工程と、前記下地金属層の元素を含む酸化物を前記多孔質皮膜の孔の底部から孔の上方向に成長させて前記多孔質皮膜の上面を覆い柱状体と被覆層を形成する工程と、前記多孔質皮膜を除去して、前記基板上に前記下地金属層の元素を含む酸化物からなる柱状体と被覆層を有する中空構造体を得る工程とを有するマイクロカラムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロカラムの製造方法に関し、特に陽極酸化プロセスにより作製した酸化物中空構造体を流路として用いるマイクロカラムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、μTAS(Micro Total Analysis System)と呼ばれるマイクロ流体デバイスが注目されている。μTASは微量試料の分析を微細な流路内で混合、分離、抽出を行うデバイスであり、核酸やタンパク質等の微量な生体材料の分析に対して有効である。一般にμTASはシリコン基板上にフォトリソグラフィーやエッチングなどの半導体加工技術を用いて微細な流路やマイクロカラムを形成している。
【0003】
特にマイクロカラムについて、特に核酸やタンパク質等の大きさが100nm以下の微小な試料を高精度で分析するには、マイクロカラムの分離材の周期間隔は100nm以下であることが必要となる。このようなマイクロカラムを作製する手法としては、例えば、特許文献1においては凹凸パターンを有するレジスト膜をマスクとし、エッチングにより柱状体からなるマイクロカラムを作製する手法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−045357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるようなエッチングを用いた手法では、一般に加工表面から深部になるほどエッチングされ難くなる。その結果、エッチングを用いた手法では、柱状体の断面形状が頂部よりも底部において幅広くなり、柱状体の直径は頂部と底部で差が生じる問題があった。この差は柱状体の直径を小さくするほど相対的に顕著になり、分離能を低下させる原因となる。また、エッチングを用いた手法では、柱状体の間隔が狭くなるほど深部までエッチングすることが難しくなるため、高アスペクトの柱状体を作製することが困難であった。
【0005】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、柱状体の直径が頂部から底部にかけて均一であり、かつ柱状体の間隔が狭い場合でも高アスペクトな柱状体を有するマイクロカラムの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は本発明の以下の構成により解決できる。
上記課題を解決するマイクロカラムの製造方法は、基板上に下地金属層と被陽極酸化層を配置する工程と、前記被陽極酸化層を陽極酸化して前記基板に対して垂直方向に形成された孔を有する多孔質皮膜とする工程と、前記下地金属層の元素を含む酸化物を前記多孔質皮膜の孔の底部から孔の上方向に成長させて前記多孔質皮膜の上面を覆い柱状体と被覆層を形成する工程と、前記多孔質皮膜を除去して、前記基板上に前記下地金属層の元素を含む酸化物からなる柱状体と被覆層を有する中空構造体を得る工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、柱状体の直径が頂部から底部にかけて均一であり、かつ柱状体の間隔が狭い場合でも高アスペクトな柱状体を有するマイクロカラムの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の実施形態に関わるマイクロカラムの製造方法について詳細に説明する。
本発明に係るマイクロカラムの製造方法は、以下の(a)から(d)の工程を有することを特徴とする。(a)基板上に下地金属層と被陽極酸化層を配置する工程。(b)前記被陽極酸化層を陽極酸化して前記基板に対して垂直方向に形成された孔を有する多孔質皮膜とする工程。(c)前記下地金属層の元素を含む酸化物を前記多孔質皮膜の孔の底部から孔の上方向に成長させて前記多孔質皮膜の上面を覆い柱状体と被覆層を形成する工程。(d)前記多孔質皮膜を除去して、前記基板上に前記下地金属層の元素を含む酸化物からなる柱状体と被覆層を有する中空構造体を得る工程。
【0009】
前記下地金属層が、Ti、Zr、Nb、Hf、Ta、Mo、Wから選ばれる少なくとも一つの元素を含む層であることが好ましい。
前記多孔質皮膜を除去して柱状体と被覆層を有する中空構造体を形成する工程を、第二の陽極酸化により行うことが好ましい。
【0010】
前記第二の陽極酸化に使用する電解液が、ホウ酸アンモニウム水溶液、酒石酸アンモニウムまたはクエン酸アンモニウム水溶液であることが好ましい。
前記多孔質皮膜を除去して柱状体と被覆層を有する中空構造体を形成する工程を、ウェットエッチングにより行うことが好ましい。
【0011】
前記被陽極酸化層に陽極酸化の開始点となる窪みを形成した後、前記被陽極酸化層を陽極酸化することが好ましい。
前記柱状体が、均一な直径及び間隔で配列されることが好ましい。
【0012】
さらに、前記柱状体と被覆層を有する中空構造体を酸化雰囲気下にて熱処理する工程を有することが好ましい。
次に、図3に基づいて、本発明に係るマイクロカラムの製造方法の各工程について順次説明する。
【0013】
図3は本発明に係るマイクロカラムの製造方法の一実施態様を示す工程図である。
まず、図3(a)に示す様に、基板上に下地金属層、さらにその上に被陽極酸化層をスパッタリングなどの薄膜形成方法を用いて配置した試料を用意する。図3(a)に示す下地金属層13としては、Ti、Zr、Nb、Hf、Ta、Mo、Wから選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料を配置する。また、被陽極酸化層としては、Al或いはAlを主成分とした合金を配置する。
【0014】
次に試料を燐酸やシュウ酸、硫酸などの酸性水溶液を用いて陽極酸化すると、図3(b)に示すように、試料表面から多数の孔18が基板14に対して垂直方向に成長した多孔質皮膜17が得られる。この多孔質皮膜17の構造は、微小な孔18と、それを取り囲む被陽極酸化層の酸化物19から成る。
【0015】
孔18の成長は試料表面のランダムな位置から発生する。しかし、図3(a)に示すように試料の被陽極酸化層の表面に陽極酸化の開始点となる微小な窪み16を電子線描画やナノインプリントやFIB(Focused ion beam)法などで用意しておくと、孔は開始点の位置からのみ発生する。すなわち窪みの配列パターンにあわせて規則配列した孔を有する多孔質皮膜を得ることができる。この際、陽極酸化電圧V(Volt)は規則配列の周期(nm)=2.5×V、となる陽極酸化電圧Vとすると、高度に規則化した孔を有する多孔質皮膜を得るのに好ましい。
【0016】
上記のような多孔質皮膜を得るには、被陽極酸化膜としてAlを用いるのが一般的に行われている。その理由はSiやTiなど、Al以外の材料でも陽極酸化により多孔質皮膜を形成する材料はあるが、孔の垂直性がそれほど良くない、酸性水溶液としてフッ酸を使用する等のAlの陽極酸化に比べて問題点や難点があるためである。ここで、Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,Wから選ばれる少なくとも一つの元素を含むAl合金であれば、Alと同様に垂直性の良い孔を有する多孔質皮膜が形成可能である。この場合Alを合金化することにより、膜表面に形成される突起物や粒界に起因する膜表面の粗さを低減することが可能となるため、試料表面に陽極酸化の開始点となる微小な窪みを用意する際には特に有効な手段となる。Alに対する元素の添加量は、添加する元素の種類にもよるが、Alと同様に垂直性の良い孔を有する多孔質皮膜を形成するには概ね5atomic%以上50atomic%以下の範囲にすることが好ましい。
【0017】
引き続き陽極酸化を続けることで多孔質皮膜17は試料表面から基板方向へと成長し、下地金属層13に到達するまで孔18は成長する。作製された孔18の直径は燐酸溶液などに浸漬させることにより孔18の直径を拡大する(ポアワイド)ことが可能である。この処理により孔の水平断面の直径を任意に制御することが可能である。
【0018】
次に、前記下地金属層の元素を含む酸化物を前記多孔質皮膜の孔の底部から孔の上方向に成長させて前記多孔質皮膜の上面を覆い柱状体と被覆層を形成する。具体的には、図3(b)の状態から、更にホウ酸アンモニウム水溶液、酒石酸アンモニウムまたはクエン酸アンモニウム水溶液など、バリア型の陽極酸化皮膜が得られる電解液に変えて陽極酸化を行う。この陽極酸化により、図3(c)のように下地金属層の酸化物11を多孔質皮膜の孔18の中に充填しながら成長させることができる。したがって、下地金属層の酸化物11の形状は孔18の形状を反映したものとなる。孔18の直径は頂部から底部にかけて均一性が高く、柱状体21は孔を鋳型として形成される。その結果、柱状体21の直径が頂部から底部にかけて均一な構造体を作製できる。なお、下地金属層の酸化物11のうち、孔18に充填されている部分を柱状体21とし、孔18から溢れた部分を被膜層22とする。
【0019】
孔内で成長する柱状体の高さは陽極酸化電圧に依存し、各柱状体はほぼ一定の高さで成長する。一方、多孔質皮膜17上面に達する電圧以上で陽極酸化をした場合は、基板に対して垂直方向だけでなく水平方向の成長も始まる。よって、十分高い電圧で陽極酸化を行うと、孔18から溢れた下地金属層の酸化物11が隣の孔のものと接触し、最終的に多孔質皮膜17上面を下地金属層の酸化物11が覆った被膜層22を形成できる。ここで酸化雰囲気にて加熱処理を行うと、酸化物中の結合水等の不純物が除去され、更に、高い酸化数の酸化物となり、エッチング耐性が高まる。
【0020】
次に、前記多孔質皮膜を除去して、基板上に下地金属層の元素を含む酸化物からなる柱状体と被覆層を有する中空構造体を得る。具体的には、下地金属層の酸化物11が成長した試料を、酸やアルカリ溶液に浸漬することでウェットエッチングを行う。この際、Alを主成分とする多孔質皮膜17と下地金属層の酸化物11との間のエッチング耐性の違いを利用して、多孔質皮膜17のみを選択的に溶解除去して、下地金属層の酸化物11を残すようにエッチングを行う。エッチングは多孔質皮膜17の上面が下地金属層の酸化物11で覆われていない領域から、多孔質皮膜17の側面にエッチング液が進入して流路12を形成するように内部まで進行する。そして、最終的に図3(d)に示すように下地金属層酸化物11からなる柱状体21と被覆層22を有する中空構造体20を作製することができる。
【0021】
図1は、本発明の方法により製造されたマイクロカラムの一例の断面を示す模式図である。図1に示すように、隣接する柱状体の周期間隔をP、柱状体の直径をD、柱状体の高さをhとそれぞれ表記する。上述したように周期間隔PはナノインプリントやFIB(Focused ion beam)法によって形成される微小な窪みの間隔によって決定される。柱状体の直径Dはポアワイド処理によって決定される。柱状体の高さhは被陽極酸化層の厚さによって決定される。以上より、本発明ではP、D、hをそれぞれ独立に決定することができる。
【0022】
本発明のマイクロカラムは、周期間隔Pを30nm以下にすることができ、さらには16nmまで狭くすることができる。柱状体の直径Dは5nm程度まで小さくすることができ、柱状体の高さhは1μmまで高くすることができる。以上のP、D、hをそれぞれ独立に変化させることで、分析試料に対して適当なマイクロカラムを作製することができる。
【0023】
また本発明によるマイクロカラムを構成する柱状体は孔を鋳型として形成されるため、柱状体の直径が頂部から底部にかけて均一である。また、柱状体の間隔が特に50nm以下のような狭い場合であっても高アスペクトな柱状体を有するマイクロカラムを提供することができる。特に核酸やタンパク質等の微小な試料を高精度で分析するには、周期間隔Pが100nm以下で、柱状体の直径Dが頂部から底部にかけて均一であるような分離カラムが必要である。本発明によれば、かかる分離カラムを分析試料のサイズに応じて作製することができる。
【0024】
さらに、下地金属層酸化物11は下地金属層13をTi,Nb,Zr,Hf,Ta,Mo,Wの少なくとも一つ以上の含む元素から選択することで、様々な酸化物とすることができる。特に下地金属層13としてTiもしくはZrを選択した場合、下地金属層酸化物11はそれぞれ酸化チタン、酸化ジルコニウムとなり、熱処理を施すことでそれぞれの結晶になる。酸化チタンや酸化ジルコニウムは核酸やタンパク質といったリン酸基を含む試料の分離に優れた特性を示すため、生体材料の分析には最適である。
【0025】
図2は図1の柱状体の部位における平面図を示す。試料は下地金属層の酸化物13の柱状体の間の流路12を通って流れ、試料サイズに応じて分離される。ここで、下地金属層の酸化物13の柱状体は、窪み16の配列パターンを任意に設定することで様々な配列にすることができ、三角格子配列や正方格子配列、同心円状などの配列パターンを持つ柱状体を作製することができる。また窪み16の加工領域を任意に設定することで、流路中の任意の位置にカラムを形成することも可能であり、サイズの異なる多段のカラムを一つのμTASチップ上に設けることも出来る。
【実施例】
【0026】
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、以下に限定されるものではない。
実施例1
本実施例は、本発明のマイクロカラムの製造方法について示す。以下に本実施例におけるマイクロカラムの製造方法について図3を用いて詳細に説明する。工程は図3(a)から(d)の工程からなる。
【0027】
図3(a)に示すように、Si基板上に下地金属層13としてNbを40nm成膜し、その上に被陽極酸化層15としてHfを7atomic%含んだAlHf層をスパッタリングにより100nm成膜した。ここで陽極酸化の開始点としてFIBを用いて前記AlHf層表面に2nm程度の小さな窪み16を25nm間隔の正方配列で形成した。
【0028】
次に、図3(b)に示すように、前記AlHf層を浴温3℃の1.0mol/L硫酸水溶液中にて10Vの印加電圧で陽極酸化を行うことで、窪み16を開始点として試料表面から多数の孔18が基板14に対して垂直方向に成長した多孔質皮膜17が得られた。得られた多孔質皮膜17を浴温20℃の5wt%リン酸水溶液に浸すことで、ウェットエッチングによる孔径拡大処理を行った。試料表面をFE−SEMで観察したところ、孔18の直径は12nmであった。
【0029】
次に、図3(c)に示すように、試料を浴温22℃の0.15mol/Lホウ酸アンモニウム水溶液中にて印加電圧50Vにて陽極酸化した。これにより、下地金属層Nbの酸化物の成長が進行して体積膨張することで、孔の底部から前記基板に対して垂直方向に孔内部に下地金属層の酸化物11であるNb酸化物が充填され、最終的に孔の頂部から溢れて多孔質皮膜17を完全に覆うまで陽極酸化を続けた。その後大気雰囲気下において300℃の加熱処理を行った。
【0030】
次に、図3(d)に示すように、25℃の5wt%リン酸水溶液中にて多孔質皮膜を除去することで、Nb酸化物からなる中空構造体20が得られた。
以上により、隣接する柱状体の周期間隔をPが25nm、柱状体の直径をDが12nm、柱状体の高さをhが300nmであるマイクロカラムを作製できた。
【0031】
実施例2
Si基板上に下地金属層としてNbを40nm成膜し、その上に被陽極酸化層としてHfを7atomic%含んだAlHf層をスパッタリングにより100nm成膜した。次に試料表面にスピンコート法にてアルミニウムアルコキシドを20nmの厚みで塗布し、90℃で20分間ベークした後にアルコキシド表面にナノインプリントで陽極酸化の開始点となる窪みを転写した。本実施例では、高さ15nmの突起が、50nmの間隔で三角格子配列をしたモールドをアルコキシド表面に押し付けることで、モールドの突起を陽極酸化の開始点となる窪みとしてアルコキシド表面に転写した。
【0032】
さらに試料を180℃にて紫外線とオゾンを用いたアッシングで10分間処理することで、アルコキシド内のポリマー部を除去すると同時にアルミニウム部の酸化を進行させて、アルコキシド層を酸化した。その後、浴温16℃の0.3mol/L硫酸水溶液中にて20Vの印加電圧で陽極酸化を行った。酸化したアルコキシド層とアルミニウム層は一括に陽極酸化された。陽極酸化後の試料をFE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)で観察することにより、モールドの突起のパターンと同様に三角格子配列をした多孔質皮膜の形成が確認された。得られた多孔質皮膜を浴温20℃の5wt%リン酸水溶液に浸すことで、ウェットエッチングによる孔径拡大処理を行った。試料表面をFE−SEMで観察したところ、孔の直径は27nmであった。
【0033】
次に試料を浴温22℃の0.15mol/Lホウ酸アンモニウム水溶液中にて印加電圧80Vにて陽極酸化した。これにより、下地金属層Nbの酸化物の成長が進行して体積膨張することで、孔の底部から前記基板に対して垂直方向に孔内部に下地金属層の酸化物であるNb酸化物が充填され、最終的に孔の頂部から溢れて多孔質皮膜を覆うまで陽極酸化を続けた。その後大気雰囲気下において300℃の加熱処理を行った。25℃の5wt%リン酸水溶液中にて多孔質皮膜を除去することで、Nb酸化物からなる中空構造体が得られた。
【0034】
以上により、隣接する柱状体の周期間隔をPが50nm、柱状体の直径をDが27nm、柱状体の高さhが100nmであるマイクロカラムを作製できた。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、柱状体の直径が頂部から底部にかけて均一であり、かつ柱状体の間隔が狭い場合でも高アスペクトな柱状体を有するμTAS用のマイクロカラムの製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の方法により製造されたマイクロカラムの一例の断面を示す模式図である。
【図2】本発明のマイクロカラムの平面図を示す模式図である。
【図3】本発明に係るマイクロカラムの製造方法の一実施態様を示す工程図である。
【符号の説明】
【0037】
11 下地金属層の酸化物
12 流路
13 下地金属層
14 基板
15 被陽極酸化層
16 窪み
17 多孔質皮膜
18 孔
19 被陽極酸化層の酸化物
20 中空構造体
21 柱状体
22 被覆層
P 隣接する柱状体の周期間隔
D 柱状体の直径
h 柱状体の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロカラムの製造方法であって、基板上に下地金属層と被陽極酸化層を配置する工程と、前記被陽極酸化層を陽極酸化して前記基板に対して垂直方向に形成された孔を有する多孔質皮膜とする工程と、前記下地金属層の元素を含む酸化物を前記多孔質皮膜の孔の底部から孔の上方向に成長させて前記多孔質皮膜の上面を覆い柱状体と被覆層を形成する工程と、前記多孔質皮膜を除去して、前記基板上に前記下地金属層の元素を含む酸化物からなる柱状体と被覆層を有する中空構造体を得る工程とを有することを特徴とするマイクロカラムの製造方法。
【請求項2】
前記下地金属層が、Ti、Zr、Nb、Hf、Ta、Mo、Wから選ばれる少なくとも一つの元素を含む層であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロカラムの製造方法。
【請求項3】
前記多孔質皮膜を除去して柱状体と被覆層を有する中空構造体を形成する工程を、第二の陽極酸化により行うことを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロカラムの製造方法。
【請求項4】
前記第二の陽極酸化に使用する電解液が、ホウ酸アンモニウム水溶液、酒石酸アンモニウムまたはクエン酸アンモニウム水溶液であることを特徴とする請求項3に記載のマイクロカラムの製造方法。
【請求項5】
前記多孔質皮膜を除去して柱状体と被覆層を有する中空構造体を形成する工程を、ウェットエッチングにより行うことを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロカラムの製造方法。
【請求項6】
前記被陽極酸化層に陽極酸化の開始点となる窪みを形成した後、前記被陽極酸化層を陽極酸化することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載のマイクロカラムの製造方法。
【請求項7】
前記柱状体が、均一な直径及び間隔で配列されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載のマイクロカラムの製造方法。
【請求項8】
さらに、前記柱状体と被覆層を有する中空構造体を酸化雰囲気下にて熱処理する工程を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載のマイクロカラムの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−85889(P2009−85889A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259179(P2007−259179)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】