説明

マイクロスフェア充填高分子複合材料

ブロックコポリマーは、マイクロスフェアを含有する高分子複合材料についての好適な添加剤である。ブロックコポリマーは、マイクロスフェアと相互作用し得る少なくとも1つのセグメントを有し、それによって組成物の物性を増強する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ポリマーマトリクス、マイクロスフェア、およびブロックコポリマーを含有するポリマー組成物、ならびに該ポリマー組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、高価なポリマー成分を置換するために、全体的な複合材料の特定の機械的特性を増強するために、あるいは両方のために、マイクロスフェア、または他の従来の充填剤が、しばしば高分子複合材料へ添加される。マイクロスフェアを含めることによって与えられる増強は、反りおよび収縮を減少するかあるいは複合材料の強度対重量特性に取り組むようにしばしば意図される。中空マイクロスフェアを含めることにより、しばしば、複合材料の重量も減少される。しかし、マイクロスフェアを含めることは、一般的に、最終的な複合材料の特性のトレードオフを生じさせる。マイクロスフェアは、他のものに悪影響を与えつつ、複合材料の少なくとも1つの物性または機械的特性を増強し得る。
【0003】
高分子複合材料へのマイクロスフェアの添加により、マイクロスフェアを含まない高分子複合材料と比較して引張強度および耐衝撃性等の機械的特性が低下することは、当業者によって従来通り認識される。機械的特性の低下は、複合材料のポリマー成分とマイクロスフェアとの比較的乏しい接着性に一般的に起因すると考えられる。
【0004】
ガラスおよび他のマイクロスフェアにおけるシランベースの表面処理は、マイクロスフェア表面とポリマーマトリクスとの乏しい接着性に起因すると考えられる機械的特性の低下のいくらかを首尾良く無効にすることが判っている。しかし、シランは低分子量を有し、したがって、ポリマーとのエンタングルメントを提供しない。シランは、選ばれた機械的特性を回復するために使用され得るが、結果はポリマーの種類に依存して変化する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、マイクロスフェアを含有する高分子複合材料のための添加剤としてのブロックコポリマーの使用に関する。マイクロスフェアと共にブロックコポリマーを使用することは、マイクロスフェアが単独で使用される場合の高分子複合材料の機械的特性の一般的に認識される低下を防止する。高分子複合材料におけるブロックコポリマーとマイクロスフェアとの組み合わせは、引張強度、耐衝撃性、引張弾性率、および曲げ弾性率等の、複合材料の特定の機械的特性を増強し得る。
【0006】
本発明の組成物は、ポリマーマトリクス、複数のマイクロスフェア、および1つ以上のブロックコポリマーを含む。ブロックコポリマーは、マイクロスフェアと相互作用し得る少なくとも1つのセグメントを有する。本発明の目的のために、ブロックコポリマーとマイクロスフェアとの相互作用は、共有結合、水素結合、双極子結合、またはイオン結合、あるいはそれらの組み合わせを介しての結合の形成とし一般的に理解される。ブロックコポリマーの少なくとも1つのセグメントとマイクロスフェアとが関与する相互作用は、ブロックコポリマーを含まないポリマーマトリクスと比較して望ましいレベルまでポリマーマトリクスの機械的特性を増強または回復し得る。
【0007】
本発明はまた、マイクロスフェアおよび1つ以上のブロックコポリマーを含有するポリマーマトリクスを形成する方法に関する。1つ以上のブロックコポリマーは、マイクロスフェアと相互作用し得る。
【0008】
ブロックコポリマーとマイクロスフェアとの組み合わせは、熱可塑性または熱硬化性組成物のいずれにおいても利用可能性を有する。本発明の組成物に有用なマイクロスフェアは、ポリマーマトリクスにおける使用に好適な全ての従来のマイクロスフェアを含む。好ましいマイクロスフェアは、ガラスまたはセラミックであり、最も好ましい実施形態は、中空ガラスマイクロスフェアに関する。
【0009】
ブロックコポリマーは、広範囲の柔軟性を加えながら、各々のポリマーマトリクス、マイクロスフェア、または両方について調整され得る。さらに、ブロックデザインによって、多数の物性が高められ得る。ブロックコポリマーは、表面処理の代わりに使用され得る。あるいは、ブロックコポリマーは、表面処理と共に使用され得る。
【0010】
定義
本発明の目的のために、本明細書中で使用する以下の用語を、次のように定義する:
「ブロック」は、隣接するブロックに存在しない少なくとも1つの特徴を有する、多くのモノマー単位を含む、ブロックコポリマーの部分を指し;
「相溶性混合物」は、第2の材料の連続マトリクス中において分散体を形成し得るか、または両方の材料の共連続ポリマー分散体を形成し得る材料を指し;
「ブロックコポリマーとマイクロスフェアとの相互作用」は、共有結合、水素結合、双極子結合、またはイオン結合、あるいはそれらの組み合わせを介しての結合の形成を指し;
「ブロックコポリマー」は、少なくとも2つの組成的に別個のセグメントを有するポリマー、例えば、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、ランダムブロックコポリマー、グラフトブロックコポリマー、星型分岐ブロックコポリマー、または超分岐ブロックコポリマーを意味し;
「ランダムブロックコポリマー」は、少なくとも2つの別個のブロックを有するコポリマーを意味し、ここで、少なくとも1つのブロックは、少なくとも2タイプのモノマー単位のランダムな配置を含み;
「ジブロックコポリマーまたはトリブロックコポリマー」は、全ての隣接するモノマー単位(移行点におけるものを除く)が同一のアイデンティティーのものであるポリマーを意味し、例えば、ABは、組成的に異なるAブロックとBブロックとから構成されるジブロックコポリマーであり、そしてABCは、各々組成的に異なる、A、BおよびCブロックから構成されるトリブロックコポリマーであり;
「グラフトブロックコポリマー」は、主鎖へグラフトされた側鎖ポリマーからなるポリマーを意味する。側鎖ポリマーは、主鎖コポリマーとは組成が異なるいかなるポリマーでもあり得;
「星型分岐ブロックコポリマー」または「超分岐ブロックコポリマー」は、放射状ブロックコポリマーとしても公知である、1個の分岐点または連結点によって各鎖の一方の末端で一緒に結合されたいくつかの線形ブロック鎖からなるポリマーを意味し;
「末端官能基化」は、少なくとも1つの鎖末端が官能基で終端するポリマー鎖を意味し;そして
「ポリマーマトリクス」は、複合材料の添加剤が埋め込まれている、強化プラスチック材料のいかなる樹脂相をも意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ポリマーマトリクスは、相溶性混合物の状態で、複数のマイクロスフェア、および1つ以上のブロックコポリマーを含む。ブロックコポリマーは、相溶性混合物の状態でマイクロスフェアと相互作用し得る少なくとも1つのセグメントを有する。ブロックコポリマーの少なくとも1つのセグメントとマイクロスフェアとが関与する相互作用は、ブロックコポリマーを含まないポリマーマトリクスと比較して望ましいレベルまでポリマーマトリクスの機械的特性を増強または回復し得る。
【0012】
ポリマーマトリクス
ポリマーマトリクスは、一般的に、ブロックコポリマーおよびマイクロスフェアが使用され得るいかなる熱可塑性または熱硬化性ポリマーまたはコポリマーでもある。ポリマーマトリクスとしては、炭化水素ポリマーおよび非炭化水素ポリマーの両方が挙げられる。有用なポリマーマトリクスの例としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリウレア、ポリビニル樹脂、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、およびフッ素化ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
1つの好ましい適用は、溶融加工可能なポリマーを含み、ここで、成分は、押し出しまたは成形ポリマー物品の形成前の溶融混合段階において分散される。
【0014】
本発明の目的のために、溶融加工可能な組成物は、組成物の少なくとも一部が溶融状態にある間、加工され得るものである。
【0015】
従来通り認識される溶融加工方法および装置が、本発明の組成物を加工する際に使用され得る。溶融加工プラクティスの非限定的な例としては、押し出し成形、射出成形、バッチ混合、回転成形、および引き抜き成形が挙げられる。
【0016】
好ましいポリマーマトリクスとしては、ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP))、ポリオレフィンコポリマー(例えば、エチレン−ブテン、エチレン−オクテン、エチレンビニルアルコール)、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー(例えば、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、フルオロポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、エポキシ、アルキド、メラミン、フェノール類、尿素、ビニルエステル、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0017】
ポリマーマトリクスは、典型的に約30重量%を超える量で、溶融加工可能な組成物中に含まれる。当業者は、ポリマーマトリクスの量は、例えば、ポリマーの種類、ブロックコポリマーの種類、加工装置、加工条件、および所望の最終製品に依存して変化することを認識する。
【0018】
有用なポリマー結合剤は、種々のポリマーのブレンド、ならびに酸化防止剤、光安定剤、充填剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、難燃剤、および顔料等の従来の添加剤を含有するそれらのブレンドを含む。ポリマーマトリクスは、粉末、ペレット、顆粒の形態、または任意の他の形態で溶融加工可能な組成物中へ混合され得る。
【0019】
別の好ましいポリマーマトリクスは、感圧接着剤(PSA)を含む。これらのタイプの材料は、マイクロスフェアをブロックコポリマーと共に含む適用によく適している。PSAにおける使用に適切なポリマーマトリクスは、一般的に当業者によって認識されており、そして米国特許第5,412,031号明細書、同第5,502,103号明細書、同第5,693,425号明細書、同第5,714,548号明細書に十分に記載されているものを含み、それらの全体が参照により本明細書に援用される。さらに、PSA共に従来の添加剤、例えば、粘着付与剤、充填剤、可塑剤、顔料 繊維、強化剤(toughening agents)、難燃剤、および酸化防止剤もまた、混合物に含まれ得る。
【0020】
エラストマーは、ポリマーマトリクスとしての使用に好適な別のサブセットのポリマーである。有用なエラストマーポリマー樹脂(即ち、エラストマー)としては、熱可塑性および熱硬化性エラストマーポリマー樹脂、例えば、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、スルホン化エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、ポリクロロプレン、ポリ(2,3−ジメチルブタジエン)、ポリ(ブタジエン−コ−ペンタジエン)、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリスルフィドエラストマー、シリコーンエラストマー、ポリ(ブタジエン−コ−ニトリル)、水素化ニトリル−ブタジエンコポリマー、アクリル系エラストマー、エチレン−アクリレートコポリマーが挙げられる。
【0021】
有用な熱可塑性エラストマーポリマー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(t−ブチルスチレン)、およびポリエステル等のガラス状または結晶性ブロックと、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブチレンコポリマー、ポリエーテルエステル等のエラストマー性ブロックとのブロックから作製された、ブロックコポリマー(例えば、商品名「クレイトン(KRATON)」で、シェルケミカル社(Shell Chemical Company)、テキサス州ヒューストン(Housten,Texas)によって市販される、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)ブロックコポリマー)が挙げられる。これらの上述のエラストマーポリマー樹脂のコポリマーおよび/または混合物もまた、使用され得る。
【0022】
有用なポリマーマトリクスとしてはまた、フルオロポリマー、即ち、少なくとも部分的にフッ素化されたポリマーが挙げられる。有用なフルオロポリマーとしては、例えば、以下を含むモノマーから(例えば、フリーラジカル重合によって)作製可能であるものが挙げられる:例えばエチレンまたはプロピレン等の追加の非フッ素化モノマーと必要に応じて組み合わせての、25クロロトリフルオロエチレン、2−クロロペンタフルオロプロペン、3−クロロペンタフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロペン、2−ヒドロペンタフルオロプロペン、1,1−ジクロロフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、ペルフルオロ化ビニルエーテル(例えば、ペルフルオロ(アルコキシビニルエーテル)、例えば、CF3OCF2CF2CF2OCF=CF2、またはペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、例えば、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)もしくはペルフルオロ(プロピルビニルエーテル))、キュアサイトモノマー(cure site monomers)、例えば、ニトリル含有モノマー(例えば、CF2=CFO(CF2)LCN、CF2=CFO[CF2CF(CF3)O]q(CF2O)yCF(CF3)CN、CF2=CF[OCF2CF(CF3)]rO(CF2tCN、またはCF2=CFO(CF2uOCF(CF3)CN、式中、L=2〜12;q=0〜4;r=1〜2;y=0〜6;t=1〜4;およびu=2〜6)、臭素含有モノマー(例えば、Z−Rf−Ox−CF=CF2、式中、ZはBrまたはIであり、Rfは、ペルフルオロ化され得そして1もしくはそれ以上のエーテル酸素原子を含有し得る、置換または非置換のC1−C12フルオロアルキレンであり、そしてxは0または1である);あるいはそれらの組み合わせ。このようなフルオロポリマーの具体例としては、ポリフッ化ビニリデン;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデンのコポリマー;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、およびフッ化ビニリデンのコポリマー;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー;テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(例えば、テトラフルオロエチレンペルフルオロ(プロピルビニルエーテル));ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
有用な市販の熱可塑性フルオロポリマーとしては、例えば、商品名「THV」(例えば、「THV 220」、「THV 400G」、「THV 500G」、「THV 815」、および「THV 610X」)、「PVDF」、「PFA」、「HTE」、「ETFE」、および「FEP」で、ダイネオン エルエルシー(Dyneon,LLC)、ミネソタ州オークデール(Oakdale,Minnesota)によって市販されるもの;商品名「KYNAR」(例えば、「KYNAR740」)で、アトフィナ ケミカルズ(Atofina Chemicals)、ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia,Pennsylvania)によって市販されるもの;商品名「HYLAR」(例えば、「HYLAR 700」)および「HALAR ECTFE」で、ソルべイ ソレクシス(Solvay Solexis)、ニュージャージー州トロフェア(Thorofare,New Jersey)によって市販されるものが挙げられる。
【0024】
マイクロスフェア
従来のマイクロスフェアは、本発明の複合材料と共に使用される。マイクロスフェアは、ポリマーマトリクスにおける使用に好適であると当業者によって一般的に認識されるいかなるマイクロスフェアでもあり得る。マイクロスフェアの使用は、強度と密度の比または収縮および反りの改善等の特定の機械的修飾を提供する。マイクロスフェアは、好ましくは、ガラスまたはセラミック材料を含み、そして最も好ましくは、中空ガラスマイクロスフェアである。市販のマイクロスフェアの非限定的な例としては、スリーエム社(3MCompany)、ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)製のスリーエム(3M)(登録商標)スコッチライト(Scotchlite)(登録商標)ガラスバブル(Glass Bubbles)、スリーエム(3M)(登録商標)Zライト(Z−Light)(登録商標)スフェアマイクロスフェア(Spheres Microspheres)、およびスリーエム(3M)(登録商標)ゼオスフェア(Zeeospheres)(登録商標)セラミックマイクロスフェア(Ceramic Microspheres)が挙げられる。
【0025】
ブロックコポリマー
ブロックコポリマーは、好ましくは、ポリマーマトリクスと相溶性である。相溶性混合物は、第2の材料の連続マトリクス中において分散体を形成し得るか、または両方の材料の共連続ポリマー分散体を形成し得る材料を指す。ブロックコポリマーは、マイクロスフェアと相互作用し得る。1つの意味において、そして本発明の範囲を限定する意図なしに、出願人は、ブロックコポリマーは、相溶性混合物の状態でマイクロスフェアへのカップリング剤として、相溶性混合物に渡ってマイクロスフェアを一貫して分散させるための分散剤として、あるは両方として機能し得ると考える。
【0026】
ブロックコポリマーの好ましい例としては、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、ランダムブロックコポリマー、グラフトブロックコポリマー、星型分岐コポリマーまたは超分岐コポリマーが挙げられる。さらに、ブロックコポリマーは、末端官能基を有し得る。
【0027】
ブロックコポリマーは、異なるモノマーを連続的に重合することによって一般的に形成される。ブロックコポリマーを形成するための有用な方法としては、例えば、アニオン、カチオン、配位、およびフリーラジカル重合法が挙げられる。
【0028】
ブロックコポリマーは、官能性部分を介してマイクロスフェアと相互作用する。官能性ブロックは、典型的に、例えば、酸(例えば、−CO2H、−SO3H、−PO3H);−OH;−SH;第1級、第2級、または第3級アミン;アンモニウムN置換または非置換のアミドおよびラクタム;N置換または非置換のチオアミドおよびチオラクタム;無水物;線形または環式エーテルおよびポリエーテル;イソシアネート;シアネート;ニトリル;カルバメート;尿素;チオ尿素;ヘテロ環式アミン(例えば、ピリジンまたはイミダゾール))等の1つ以上の極性部分を有する。このような基を導入するために使用され得る有用なモノマーとしては、例えば、以下が挙げられる:酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、および米国特許出願公開第2004/0024130号明細書(ネルソン(Nelson)ら)に記載されるようなt−ブチルメタクリレートモノマー単位の酸触媒脱保護を介して形成されるメタクリル酸官能基を含む);アクリレートおよびメタクリレート(例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)、アクリルアミドおよびメタクリルアミド、N−置換およびN,N−二置換アクリルアミド(例えば、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド)、N−エチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、およびN−エチル−N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド)、脂肪族アミン(例えば、3−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン);およびヘテロ環式モノマー(例えば、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−(2−アミノエチル)ピリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、3−アミノキヌクリジン、N−ビニルピロリドン、およびN−ビニルカプロラクタム)。
【0029】
他の好適なブロックは、例えば以下のような1つ以上の疎水性部分を典型的に有する:脂肪族および芳香族炭水化物部分、例えば、少なくとも約4、8、12、または18個の炭素原子を有するもの;フッ素化脂肪族および/またはフッ素化芳香族炭水化物部分、例えば、少なくとも約4、8、12、または18個の炭素原子を有するもの;ならびにシリコーン部分。
【0030】
このようなブロックを導入するために有用なモノマーの非限定的な例としては、以下が挙げられる:炭化水素オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、スチレン、およびブタジエン;環状シロキサン、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、およびデカメチルテトラシロキサン;フッ素化オレフィン、例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、およびクロロフルオロエチレン;非フッ素化アルキルアクリレートおよびメタクリレート、例えば、アクリル酸ブチル、イソオクチルメタクリレートラウリルアクリレート、アクリル酸ステアリル;フッ素化アクリレート、例えば、式H2C=C(R2)C(O)O−X−N(R)SO2f’[式中、Rf’は、−C613、−C49、または−C37であり;Rは、水素、C1〜C10アルキル、またはC6〜C10アリールであり;そしてXは、二価の連結基である]を有するペルフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアクリレートおよびメタクリレート。好ましい例としては、C49SO2N(CH3)C24OC(O)NH(C64)CH264NHC(O)OC24OC(O)CH=CH2、またはC49SO2N(CH3)C24OC(O)NH(C64)CH264NHC(O)OC24OC(O)C(CH3)=CH2が挙げられる。
【0031】
このようなモノマーは、容易に市販の供給源から得られるか、または例えば米国特許出願公開第2004/0023016号明細書(セルノホス(Cernohous)ら)(この開示は、参照により本明細書中に援用される)における手順に従って調製され得る。
【0032】
官能性部分を有する有用なブロックコポリマーの他の非限定的な例としては、以下が挙げられる:ポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(イソプレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(イソプレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(イソプレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(イソプレン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸));ポリ(スチレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−2−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−アクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−メタクリルアミド);ポリ(スチレン−ブロック−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド);ポリ(スチレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(スチレン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−N−ビニルピロリドンコポリマー);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸));ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸));および以下の水素化形態:ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)、ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸))、ポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(イソプレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)、ポリ(イソプレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(イソプレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(イソプレン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸)、スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸)、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−メタクリル酸)(ここで、「MeFBSEMA」は、例えば、スリーエム社、ミネソタ州セントポールから市販される、2−(N−メチルペルフルオロブタンスルホンアミド)エチルメタクリレートを指す)、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−無水メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−イソプレン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−(メタクリル酸−コ−無水メタクリル酸))、ポリ(スチレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−コ−メタクリル酸−コ−MeFBSEMA))、およびポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))。
【0033】
一般的に、ブロックコポリマーは、少なくとも1つのブロックがマイクロスフェアと相互作用し得るように、選択されるべきである。ブロックコポリマーの残りのブロックの選択は、ブロックコポリマーが組み合わされるポリマー樹脂の性質によって、典型的に方向付けられる。
【0034】
ブロックコポリマーは、当該分野において従来通り認識されるように、官能性開始剤を使用することによってまたはリビングポリマー鎖をエンドキャップすることによって合成され得る、末端官能化ポリマー材料であり得る。本発明の末端官能化ポリマー材料は、少なくとも1つの鎖末端が官能基で終端するポリマーを含み得る。ポリマー種は、ホモポリマー、コポリマー、またはブロックコポリマーであり得る。複数の鎖末端を有するポリマーについて、官能基は、同一であっても異なっていてもよい。官能基の非限定的な例としては、アミン、無水物、アルコール、カルボン酸、チオール、マレート、シラン、およびハロゲン化物が挙げられる。当該分野において公知であるリビング重合法を使用する末端官能化戦略が、これらの材料を得るために使用され得る。
【0035】
いかなる量のブロックコポリマーも使用され得るが、典型的には、ブロックコポリマーは、5重量%までの範囲の量で含まれる。
【0036】
カップリング剤
好ましい実施形態において、マイクロスフェアとブロックポリマーとの相互作用を高めるために、マイクロスフェアは、カップリング剤で処理されてもよい。ブロックコポリマーの対応の官能基と適合するかまたはこれとの好適な反応性を提供するカップリング剤を選択することが望ましい。カップリング剤の非限定的な例としては、ジルコネート、シラン、またはチタネートが挙げられる。典型的なチタネートおよびジルコネートカップリング剤は、当業者に公知であり、そしてこれらの材料についての使用および選択基準の詳細な概説は、モンテ エス.ジェイ.、ケンリッチ ペトロケミカル インコーポレーテッド(Monte,S.J.Kenrich Petrochemicals,Inc.)、「ケン−リアクト(Ken−React)(登録商標)リファレンスマニュアル − チタネート、ジルコネートおよびアルミネートカップリング剤(Reference Manual−Titanate,Zirconate and Alminate Coupling Agents)」、第3改訂版、1995年3月において見られ得る。カップリング剤は、約1〜3重量%の量で含まれる。
【0037】
好適なシランは、シリカ充填剤とシロキサン結合を形成する縮合反応を介してガラス表面へカップリングされる。この処理は、充填剤をより湿潤性にするか、またはガラス表面への材料の接着を促進する。これは、無機充填剤と有機マトリクスとの共有、イオンまたは双極子結合をもたらす機構を提供する。シランカップリング剤は、所望の特定の官能基に基づいて選択される。例えば、アミノシランガラス処理は、無水物、エポキシまたはイソシアネート基を含むブロックコポリマーとの混合のために望ましいかもしれない。あるいは、酸性官能基でのシラン処理は、ブロックコポリマー選択に、酸−塩基相互作用、イオンまたは水素結合シナリオ可能なブロックを有するように要求し得る。親密なガラスマイクロスフェア−ブロックコポリマー相互作用を達成することへの別のアプローチは、重合性部分を含む好適なカップリング剤でガラスマイクロスフェアを官能化し、それによって該材料をポリマー骨格へ直接組み込むことである。重合性部分の例は、スチレン系、アクリル系およびメタクリル系部分等のオレフィン系官能基を含む材料である。好適なシランカップリング戦略は、「シランカップリング剤:境界を越えての結合(Silane Coupling Agents:Connecting Across Boundaries)」、バリー・アークルズ(Barry Arkles)著、165〜189頁、ゲレストカタログ 3000−A シランおよびシリコーン(Gelest Catalog 3000−A Silanes and Silicones):ゲレスト インコーポレーテッド(Gelest Inc.) ペンシルベニア州モリスビル(Morrisville,PA)において概説されている。当業者は、ブロックコポリマー相互作用部位に合う適切な種類のカップリング剤を選択することができる。
【0038】
高分子複合材料におけるブロックコポリマーとマイクロスフェアとの組み合わせは、引張強度、耐衝撃性、引張弾性率、および曲げ弾性率等の、複合材料の特定の機械的特性を増強し得る。好ましい実施形態において、組成物は、純粋なポリマーマトリクスの最大引張強度値の25%以内の最大引張強度値を示す。より好ましくは、最大引張強度値は、純粋なポリマーマトリクスの最大引張強度値の10%以内であり、そしてなおより好ましくは、5%以内である。
【0039】
改善された物性は、本発明の複合材料を、多くの様々な適用における使用に好適にする。非限定的な例としては、自動車部品(例えば、Oリング、ガスケット、ホース、ブレーキパッド、計器盤、側面衝突パネル(side impact panels)、バンパー、およびダッシュボード)、成形家庭用部品、複合材シート、熱成形部品が挙げられる。
【実施例】
【0040】
【表1】

【0041】
バッチ複合材料形成
ローラーブレード混合パドルを使用する6型ミキサーヘッドを備えたブラベンダー(Brabender)トルクレオメータモデルPL2100を、マイクロスフェア複合材料を配合するために使用した。全てのサンプルについて、ブラベンダーを180℃へ加熱し、そして50rpmのパドル速度で混合した。ポリマーマトリクスを、初めに、ブラベンダーにおいて溶融し、そして温度を平衡にした。いったん一定の溶融温度に達したら、マイクロスフェアおよびブロックコポリマー添加剤(使用する場合)を同時に添加した。温度を再度平衡にし、そして複合材料をさらに5分間混合した。
【0042】
結果として得られた複合材料を、2枚のアルミニウムプレート(各々、1/8インチ厚)間に配置された2ミル厚の未処理ポリエステルライナー間に配置し、スタックを形成した。2つのシム(shims)(1mm厚)を、前記ライナー間の混合物のいずれかの面へ配置し、構築されたスタックをプレスする際に、混合物がいずれかのシムと接触しないようにした。材料のこのスタックを、油圧プレス(Wabash MPIモデルG30H−15−LP)中に配置した。上部および下部プレスプレートの両方を、193℃に加熱した。スタックを1500psiで1分間プレスした。次いで、熱いスタックを、30秒間、低圧水冷プレスへ移し、スタックを冷却した。スタックを分解し、そして混合物をプレスすることから得られたフィルムディスクの両面からライナーを除去した。
【0043】
物性試験
ASTM D1708に従って作製した複合材料フィルムから引張バーをスタンプアウトした(stamped out)。サンプルを、インストロン5500R引張試験機(インストロン コーポレーション(Instron Corporation)、マサチューセッツ州カントン(Canton,MA)より市販)で試験した。それらを、21.1℃および55%相対湿度で、温度および湿度制御された部屋において、50.8mm/分の速度で引っ張った。各サンプルについて、5個の試料を試験し、そして最大引張強度の平均値を算出した。
【0044】
PP/マイクロスフェア複合材料を、バッチ複合材料形成についての一般手順に従って作製した。P(EP−MAn)をカップリング剤として使用し、そしてマイクロスフェアのみで作製したサンプルと比較した。組成および得られた引張応力測定値を表2に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
表2に示されるように、マイクロスフェアの添加は、PPの引張強度に対して悪影響を与える。ちょうど2.5%のブロックコポリマーを添加することにより、マイクロスフェア充填複合材料の引張強度が増加する。
【0047】
実施例2
連続複合材料形成
ポリプロピレン複合材料を、19mm,15:1 L:D,ハーケレオコード二軸押し出し機(Haake Rheocord Twin Screw Extruder)(ハーケ インコーポレーテッド(Haake Inc.)、ニューハンプシャー州ニューイントン(Newington,NH)より市販)を使用して配合した。押し出し機に、円錐カウンター回転スクリュー(conical counter−rotating screw)を備え、そして原材料を、アキュレートオープンヘリックス乾燥材料供給機(Accurate open helix dry material feeder)(アキュレート カンパニー(Accurate Co.)、ウィスコンシン州ホワイトウォーター(Whitewater,WI)より市販)で乾燥ブレンドおよび供給した。押し出しパラメータを制御し、そして実験データを、ハーケRC9000コントロールデータコンピュータ化ソフトウエア(ハーケ インコーポレーテッド、ニューハンプシャー州ニューイントンより市販)を使用して記録した。標準0.05 cm 径、4−ストランドダイ(4−strand die)(ハーケ インコーポレーテッド、ニューハンプシャー州ニューイントンより市販)により材料を押し出した。サンプル組成を表3に示す。
【0048】
【表3】

【0049】
得られたペレットを、シリーズ16−Iコントロールパネルを備えたシンシナティー−ミラクロン−ファナックロボショット110R(Cincinnati−Milacron−Fanuc Roboshot 110R)射出成形装置(ミラクロン インコーポレーテッド(Milacron Inc.)、オハイオ州バタビア(Batavia,Ohio)より市販)を使用して、引張バーへ射出成形した。サンプルを、http://www.3m.com/から入手可能な、「スリーエムガラスバブル配合および射出成形ガイドライン(3M Glass Bubbles Compounding and Injection Molding Guidelines)」に従って射出成形した。
【0050】
物性試験のための引っ張りバーを、ASTM D1708に従って作製した。サンプルを、インストロン5500R引張試験機(インストロンコーポレーション、マサチューセッツ州カントンより市販)において試験した。それらを、21.1℃および55%相対湿度で、温度および湿度制御された部屋において、50.8mm/分の速度で引っ張った。各サンプルについて、5個の試料を試験し、そして引張弾性率および引張応力を算出した。実施例2についての物性結果を表4に示す。
【0051】
【表4】

【0052】
ブロックコポリマー添加剤の両方、P(I−MAA)およびP(S−I−MAn)で、最大引張応力および引張弾性率は、添加剤を含まないコントロールよりも一貫して高い。添加剤は、両サイズの中空ガラスミクロスフェアおよびそれら2つの組み合わせについて有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリマーマトリクスと、
(b)複数のマイクロスフェアと、
(c)1つ以上のブロックコポリマーとを含む組成物であって、該1つ以上のブロックコポリマーの少なくとも1つのセグメントが、該マイクロスフェアと相互作用する、組成物。
【請求項2】
前記1つ以上のブロックコポリマーが5重量%までの量で含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
酸化防止剤、光安定剤、充填剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、難燃剤、および顔料の1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記マイクロスフェアの表面がカップリング剤で処理される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記カップリング剤が、ジルコネート、シラン、またはチタネートを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、純粋なポリマーマトリクスの最大引張強度値の25%以内の最大引張強度値を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ブロックコポリマーが、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、ランダムブロックコポリマー、グラフトブロックコポリマー、星型分岐ブロックコポリマー、末端官能基化コポリマー、または超分岐ブロックコポリマーの1つ以上から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリマーマトリクスが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリウレア、ポリビニル樹脂、ポリアクリレート、フッ素化ポリマー、およびポリメチルアクリレートの1つ以上から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記1つ以上のブロックコポリマーの少なくとも1つのセグメントが、前記ポリマーマトリクスと相溶性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
マイクロスフェアが中空ガラスマイクロスフェアを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
(a)表面を有する複数のマイクロスフェアと、
(b)1つ以上のブロックコポリマーとを含む組成物であって、該1つ以上のブロックコポリマーの少なくとも1つのセグメントが、ポリマーマトリクスにおける適用の際に、該マイクロスフェアと相互作用し得る、組成物。
【請求項12】
マイクロスフェアおよび1つ以上のブロックコポリマーを含有するポリマーマトリクスを形成することを含む方法であって、該1つ以上のブロックコポリマーが該マイクロスフェアと相互作用する、方法。

【公表番号】特表2008−520768(P2008−520768A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541458(P2007−541458)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/041489
【国際公開番号】WO2006/055612
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】