マイクロチップおよびマイクロチップ中における流体制御方法
【課題】 電界、磁界、超音波の他の外力や複雑な流体制御機構を用いることなく容易な構成を用いることにより3次元的な流れを作りだしてサンプル流を確実に収束させることができるマイクロチップおよびマイクロチップ中における流体制御方法を提供すること。
【解決手段】 流入側の流路83と、流出側の流路84と、流入側の流路83の上流側に合流するよう設けたサンプル液導入路87aおよびシース液導入路83a,83bとを備え、サンプル液の流れSをシース液の流れF1 ,F2 によって挟み込むようにしてあるマイクロチップにおいて、シース液の流れF1 ,F2 で挟み込まれたサンプル液の流れSを収束させる段差部2を流入側の流路83に設けてある。
【解決手段】 流入側の流路83と、流出側の流路84と、流入側の流路83の上流側に合流するよう設けたサンプル液導入路87aおよびシース液導入路83a,83bとを備え、サンプル液の流れSをシース液の流れF1 ,F2 によって挟み込むようにしてあるマイクロチップにおいて、シース液の流れF1 ,F2 で挟み込まれたサンプル液の流れSを収束させる段差部2を流入側の流路83に設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロチップおよびマイクロチップ中における流体制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば粒度分布を測定したり、粒子量を計測したり、あるいは、血液中の赤血球、白血球、血小板などの血球を計数する手法の一つとして電気抵抗法(コールター法)が知られている。この電気抵抗法は、例えば血球を計数する場合、血液細胞を等張性希釈液に懸濁させ、粒子が絞り部を通過するときに、血球が占める容積に比例した電気抵抗(インピーダンス)の変化が生じ、このインピーダンス変化に対応して生ずるパルス数を計数することにより、血球の個数を検出することができ、また、前記パルスの高さを検出することにより、血球の容積(白血球、赤血球、血小板であるかの種類)を検出することができる。
【0003】
ところで、近年においては、電気抵抗法のマイクロ化が進められており、前記電気抵抗法に則ったチップ状のマイクロコールターカウンタが開発されるに至っている。そのマイクロコールターカウンタの測定部では、例えばシリコン基板に測定対象である微粒子が混入したサンプル液が流れる流入側の流路および流出側の流路と、これら流路の途中に形成される絞り部と、前記流入側の流路および流出側の流路にそれぞれ設けられる電極とが備えられている。
【0004】
図12は従来のこの種マイクロコールターカウンタにおける測定部のマイクロチップ構成を示す上面図である。図12において、80はシリコン基板で、例えば厚さが500μm、長さが10mm、幅が5mm程度の大きさに形成されている。81はシリコン基板80の上面に形成される流路で、例えば、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システムズ)プロセスや、マイクロマシニングや、エッチング、あるいは光造型などによる加工技術を用いて形成される適宜の深さa〔図13(B)および図13(C)参照〕の溝よりなる。前記光造型とは、光線を照射すると硬化する樹脂に紫外線レーザを当てて成形する方法である。なお、図13(A)は、図12から後述する電極85,86、電極リード部90,91、信号端子92,93を除いたものを示し、図13(B)、図13(C)および図13(D)は流路測定部のチップ断面図を示し、それぞれ、図13(A)におけるX−X´線断面図、Y−Y´線断面図およびZ−Z´線断面図を示す。
【0005】
この流路81は、絞り部82とこの絞り部82の上流側に形成される流入側の流路83と、絞り部82の下流側に形成される流出側の流路84とから主としてなる。絞り部82は、流路81のほぼ中間において流路幅が一定長さの例えば10〜60μmと狭くなるよう形成され、流路83,84は、例えば100〜1000μmと比較的幅広の一定長さの流路幅を有する。流路83,84の断面は図13(B)、図13(C)および図13(D)に示すように例えば逆台形形状をなしており、深さ(高さ)aが例えば40μm、下底の幅bが例えば500μm、上底の幅cが例えば510μmである。また、絞り部82の断面も例えば逆台形形状をなしており、深さ(高さ)が例えば40μm、下底の幅が例えば50μm、上底の幅が例えば60μmである。そして、前記流路81などを覆うようにしてシリコン基板80上に例えば陽極接合などの手法で例えば透明なガラス板(閉塞部)Gが接合されている。このガラス板Gはシリコン基板80と同じ寸法を有し、ガラス板Gがシリコン基板80に接合されることにより、流路81の各部である流入側の流路83と絞り部82と流出側の流路84は、外部と遮断された状態で閉塞される。85は流入側の流路83におけるガラス板底面に形成される電極であり、86は流出側の流路84におけるガラス板底面に形成される電極である。これらの電極85,86はサンプル液87が絞り部82を通過するときに生ずるインピーダンス変化を検出するためのものである。88,89は、例えば血球を計数する場合、例えば生理食塩水などの液体(以下、シース液という)で、サンプル液87を挟む形で流路83に導入される。83a,83bは流路83の上流側に設けたシース液導入路で流路83に連通するようシリコン基板80の上面に形成される。87aは、流路83の上流側に設けたサンプル液導入路で流路83に連通するようシリコン基板80の上面に形成される。なお、シリコン基板80以外に、アクリル樹脂、PET樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ガラスなどが基板の材料として適用可能である。
【0006】
すなわち、流路81の上流の導入側においては、流路81の上流側からみてサンプル液導入路87aの左右にシース液導入路83a,83bが位置しており、サンプル液導入路87aを右側のシース液導入路83aと左側のシース液導入路83bで挟むように合流させ、この合流流路を流入側の流路83としている。94は前記導入路83a,83b,87aの合流位置を示す。
【0007】
90および91は電極85および86にそれぞれ連なる電極リード部である。92および93は、サンプル液87の測定時に、マイクロコールターカウンタの計器本体(図示せず)に接続するための信号端子であり、これらの信号端子92,93は電極リード部90,91にそれぞれ接続される。
【0008】
なお、Sはサンプル液87の流れ(サンプル流)を示し、F1 ,F2 はシース液の流れ(シース流)を示す。
【0009】
上記構成のマイクロコールターカウンタにおける測定部のマイクロチップにおいて、サンプル液87の測定を行う場合、流入側の流路83の最上流側である合流位置94においてサンプル液87をシース液88,89で挟み込むように合流させ、この状態で、サンプル液87が流入側の流路83に導入される。流路83を流れるサンプル液87は、幅eがμmオーダーのため層流状態であり、乱流ではない。そして、サンプル液87が流入側の流路83から絞り部82を流れ、流出側の流路84に導かれ、サンプル流出口95から排出される。ここで、サンプル液87が絞り部82を流れるとき、電極85と電極86間のインピーダンスが変化し、このインピーダンスの変化を示す検出信号が電極リード部90,91を介して信号端子92,93から取り出され、計器本体(図示せず)に入力され、計器本体において所定の演算が行われることによって、例えば粒度分布を測定したり、粒子量を計測したり、あるいは、血液中の赤血球、白血球、血小板などの血球が計数される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、前記検出信号のS/N比を向上させるには、サンプル液87が絞り部82に来るまでにシース液88,89によって挟まれるサンプル液87の領域を、少なくとも深さ方向〔図13(B)および図13(C)における両矢印Dで示す方向〕においてできるだけ収束させるのが好ましいけれども、上記構成のマイクロコールターカウンタにおける測定部のマイクロチップにおいては難しかった。
【0011】
例えば、レーザ光の散乱を利用したパーティクルカウンタに用いられ、サンプル流を一点に集中させて検出信号のS/N比を向上させるための構造として、従来から図14に示すようなシースフロー構造が一般的である。図14において、前記シースフロー構造は、パイプ96,97を2重にし、外側のパイプ96よりシース液、内側のパイプ97のノズル部分よりサンプル液を流すことによりサンプル液の流れがシース液に囲まれてなる層流が発生するとともに、この流れを絞り部98で絞り込むことによって流れの中にサンプル液を収束でき、この状態でレーザ光が照射されるものである。
【0012】
しかし、上記構成のマイクロコールターカウンタではマイクロチップの特性上マイクロチップ中において前記シースフロー構造のような3次元構造を作成することが難しく、図12に示したような2次元的な構造を採用せざるを得なかった。
【0013】
そのため、上記構成のマイクロコールターカウンタにおける測定部のマイクロチップにおいて、サンプル液87は、サンプル流Sの少なくともD方向における流路断面形状が図13(B)で示す合流位置94での略矩形100のまま高さaが絞られることなく図13(C)で示すような状態で流入側の流路83を流れることになり、この流路83を流れるサンプル液87の流れS1 を、流路81の幅方向〔図13における両矢印Wで示す方向;D方向に直交する方向〕における流路断面形状が幅eよりも小さな例えば1〜10μmの幅b’〔図13(D)参照〕になるよう絞り部82において絞れても、D方向には絞り込むことはできなかった。結果として、流入側の流路83の流れS1 を絞りきれず、検出信号のS/N比を向上させるのが難しかった。
【0014】
これを解消するために、図15〜図17に示すごとくマイクロチップ中において流れを制御できる方法が考えられるが、複雑な流体制御機構を用いたり、電界、磁界、超音波の他の外力を用いることによって流れを変えるようにしなければならないといった欠点があった。
【0015】
図15に示すマイクロチップは、導入路83a,83b,87aの合流位置94の下流に設けた流入側の流路83における底部に導入孔101を介して三つ目のシース液導入路83cを連通させ、導入孔101から導入するシース流F3 によってサンプル流Sを上部に押し上げるように構成されている。しかし、マイクロチップに導入孔101を形成する加工上の問題とシース流F1 ,F2 ,F3 やサンプル流Sを制御する上での複雑な流体制御上の問題がある。
【0016】
図16に示すマイクロチップは、流入側の流路83に電極102あるいは磁界発生手段を形成し、電界あるいは磁界を印加することにより、微粒子を中央部に引き寄せるように制御する構成を有しているが、電界あるいは磁界の影響を受けない流体中の微粒子で構成されるサンプル液には用いることはできない。
【0017】
図17に示すマイクロチップは、超音波振動子103を設け、その周波数をコントロールすることにより共振させて発生する波のノードに流体中の微粒子を集めるように構成されているが、超音波振動子103を用いなければならないという問題点がある。
【0018】
また、外部から供給した複数種類の微量な液体を混合して取り出すマイクロミキサ(マイクロチップ)において、混合流路に沿ってその底面側には流路を横切る方向に延在する複数条の凸条絞り部を形成すること、すなわち、混合流路に沿って局部的に流路断面を狭める複数の絞り部を直列に並べて形成するようにしたものが下記特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開2002−346355
【0019】
しかし、上記文献には、混合流路が狭められる部分を有することが記載されているだけで、試料液の流れが試薬液に囲まれてなる層流が発生するとともに、この流れを絞り部で絞り込むことによって流れの中に試料液を収束させるという技術思想はない。
【0020】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、電界、磁界、超音波の他の外力や複雑な流体制御機構を用いることなく容易な構成を用いることにより3次元的な流れを作りだしてサンプル流を確実に収束させることができるマイクロチップおよびマイクロチップ中における流体制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、この発明のマイクロチップは、流入側の流路と、流出側の流路と、流入側の流路の上流側に合流するよう設けたサンプル液導入路およびシース液導入路とを備え、サンプル液の流れをシース液の流れによって挟み込むようにしてあるマイクロチップにおいて、シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを収束させる段差部を流入側の流路に設けてあることを特徴とする(請求項1)。
【0022】
また、この発明は別の観点から、サンプル液導入路およびシース液導入路をこれらの下流に設けた流入側の流路に合流させてサンプル液の流れをシース液の流れによって挟み込み、さらに、シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを、流入側の流路に設けた段差部によって収束させるようにしたことを特徴とするマイクロチップ中における流体制御方法を提供する(請求項8)。
【発明の効果】
【0023】
この発明のマイクロチップ(請求項1,8)では、段差部を例えば図3,4に示すようにサンプル液導入路およびシース液導入路が合流する流入側の流路における下面側に設ける場合、段差部により、サンプル液の流れは上部に押し上げられる(図3)とともに、両サイドのシース液は段差部の上流側側面によって段差部の中央に流れを変更されるため(図4)、さらにサンプル液の流れを押し上げる作用が生じ、段差部を通過したサンプル液は、流路断面形状が図2(B)で示す合流位置での幅および高さのままではなく、図2(C)で示すように少なくとも高さが絞られて小さくなった、いわゆる、収束状態で流入側の流路を流れることになる。
【0024】
そして、この状態で流入側の流路を通過したサンプル液は、流入側の流路と流出側の流路との間に設けた絞り部を流れるときに高さがさらに絞られて小さくなる。すなわち、絞り部において、サンプル液は流路の中央上部へ収束される。そのため、サンプル液が絞り部を流れるとき、得られる検出信号、例えば電極と電極間のインピーダンスの変化を示す検出信号や、例えばレーザ光散乱によって得られる検出信号のS/N比を向上させることができる。
【0025】
要するに、例えば平面視V型形状の段差部を、流入側の流路の溝の底面から凸状に突出してなる上向き突起によって形成した場合、中央のサンプル液の流れは段差部により持ち上げられる。一方、外側のシース液の流れも段差部により持ち上げられるが、このシース液の流れの方向は段差部と直交する方向に変化する。つまり、平面視V型形状の段差部の場合は流路外側にシース液の流れがシフトする。その結果、流路外側のシース液の流速が速くなり、中央のサンプル液の流れは上方に持ち上げられた後、流路外側のシース液の流速が速いためサンプル液の流れは相対的に収束する。
【0026】
また、例えば平面視V型形状の段差部を、流入側の流路の溝の底面を凹ませてなる下向き凹所によって形成した場合、流路外側のシース液の流れは段差部に入ると段差部壁面に当たることにより、中央方向に流れがシフトする。段差部中央では外側から入ってくるシース液の流れの影響によりサンプル液の流れは狭められ持ち上げられる。これにより、中央上部にサンプル液の流れが収束される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下にこの発明の実施の形態について説明する。なお、それによって、この発明は限定されるものではない。
図1〜図4は、この発明の第1の実施の形態を示す。図1〜図4において、図12〜図17に示した符号と同一のものは、同一または相当物である。
【0028】
この発明が従来例と異なる点は、シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを収束させる段差部を流入側の流路に設けた点である。
【0029】
図1〜図4において、サンプル液導入路87aは、平面視において一対のシース液導入路83a,83b間に設けられている。そして、流入側の流路83と流出側の流路84との間にはインピーダンス変化検出用の絞り部82が設けられており、絞り部82を挟む状態で、流入側の流路83には電極85が、流出側の流路84には電極86が設けられている。この実施の形態では、電極85は絞り部82の直上流側に設けられ、電極86は絞り部82の直下流側に設けられている。また、流入側の流路83、絞り部82、流出側の流路84、サンプル液導入路87aおよび二つのシース液導入路83a,83bは、シリコン基板80上に形成された微小な幅b(例えば100μm),c(例えば110μm)と微小な深さa(例えば40μm)を有する溝1によって形成されている。そして、流入側の流路83、絞り部82、流出側の流路84、サンプル液導入路87aおよび二つのシース液導入路83a,83bは、シリコン基板80上に接合されたガラス板Gによって外部と遮断された状態で閉塞されている。サンプル液導入路87aおよび二つのシース液導入路83a,83bの溝1a,1b,1bの幅は、流入側の流路83および流出側の流路84の溝1c,1dの幅よりも小さく設定されている。
【0030】
以下この発明の特徴的構成について説明する。
2は段差部で、この実施の形態では、サンプル液導入路87aおよびシース液導入路83a,83bが合流する流入側の流路83における下面側に設けられている。すなわち、この実施の形態では、段差部2は流入側の流路83の入口部分に設けられている。具体的には、前記段差部2は、この実施の形態では平面視V型形状をなしており、この平面視V型形状の段差部2は、流入側の流路83の溝1cの底面3から凸状に突出してなる上向き突起によって形成されている。この突出長さIは溝1の深さaの10〜90%、好ましくは溝1の深さaの50%の長さに設定するのがよく、この実施の形態では溝1の深さaの半分の長さ(20μm)に設定されている。そして、平面視V型形状の段差部2は、この両端4,5が流入側の流路83の合流位置94の溝側壁6に連設されており、両端4,5から流入側の流路83における下流側の流れ中央に向かって突出する先端7を有している。
なお、この実施の形態では前記段差部2の縦断面形状を図4に示すように矩形形状に形成しているがこの形状に限られるものではなく、台形形状、なだらかに湾曲した頂上部分を有する山形形状、鋭角的に尖った頂上部分を有する山形形状、対向する脚部分が互いに内側になだらかに湾曲している台形形状などの縦断面形状の段差部も適用できる。
【0031】
而して、段差部2により、サンプル液の流れSは上部に押し上げられる(図3)とともに、両サイドのシース液88,89は段差部2の上流側壁面8によって段差部2の中央の先端7の方向に流れF1 ,F2 が変更される。さらにサンプル液の流れSを押し上げる作用が生じ、段差部2を通過したサンプル液87は、流路断面形状が図2(B)で示す合流位置94での高さ(深さ)のままではなく、シース液の流れF1 ,F2 がサンプル液の流れSの下部にもぐり込み、サンプル液の流れSの下方でシース液の流れF1 ,F2 が合体し、図2(C)で示すように高さ(深さ)がD方向に大きく絞られてa’と小さくなった状態となるとともに、シース液の流れF1 ,F2 は段差部2を超えることで、サンプル液の流れSよりも流速が速まり、この流速の差によりシース液の流れF1 ,F2 によってサンプル液の流れSはW方向に絞られてe’と小さくなった状態となる。このように段差部2を通過したサンプル液の流れSの高さ(深さ)が大きく収束するとともにサンプル液の流れSの幅も収束し、この状態でサンプル液87は流入側の流路84を流れることになる。流入側の流路84を通過したサンプル液87は絞り部82を流れるときに前記幅e’が絞り部82の幅に見合った幅e’’に絞られて小さくなる。すなわち、段差部2が底面3から凸状に突出してなる上向き突起に形成されたこの実施形態では、絞り部82において、サンプル液の流れSは流路81の中央上部に収束される。そのため、サンプル液87が絞り部82を流れるとき、得られる検出信号、例えば電極と電極間のインピーダンスの変化を示す検出信号や、例えばレーザ光散乱によって得られる検出信号のS/N比を向上させることができる。
【0032】
図5は、平面視V型形状の段差部2を、流入側の流路83の溝1cの底面3を凹ませてなる下向き凹所によって形成したこの発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態でも、段差部2は流入側の流路83の入口部分に設けられている。図5において、図1〜図4に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0033】
この実施の形態では、段差部2の壁面によってシース液の流れF1 ,F2 が段差部2の中央の先端7の方向に変更され、これによってサンプル液の流れSの幅方向が収束される。また、段差部2によってシース液の流れF1 ,F2 がサンプル液の流れSの下にもぐることになり、サンプル液の流れSがシース液の流れF1 ,F2 によって押し上げられる。これによってサンプル液の流れSの高さ方向が収束される。そして、絞り部82において、サンプル液の流れSは流路81の中央上部に収束される。なお、段差部2の凹み長さTは例えば溝1の深さaの10〜90%、好ましくは溝1の深さaの50%の長さに設定するのがよく、この実施の形態では溝1の深さaの半分の長さ(20μm)に設定されている。なお、この実施の形態では前記段差部2の縦断面形状を図5に示すように矩形形状に形成しているがこの形状に限られるものではなく、逆台形形状など適宜の縦断面形状に形成された段差部も適用できる。
【0034】
図6は、平面視V型形状の段差部2を、ガラス板Gの底面10から下方側に凸状に突出してなる下向き突起によって形成したこの発明の第3の実施の形態を示す。この実施の形態でも、段差部2は流入側の流路83の入口部分に設けられている。図6において、図1〜図5に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0035】
この実施の形態では、作用は上記第1の実施の形態の場合と同じであり、上記第1の実施の形態の場合と異なる点は、絞り部82において、サンプル液の流れSは流路81の中央下部に収束される点である。
【0036】
なお、平面視V型形状の段差部2を、ガラス板Gの底面10を上方側に凹ませてなる上向き凹所によって形成してもよい。この場合の作用は上記第2の実施の形態の場合と同じであり、上記第2の実施の形態の場合と異なる点は、絞り部82において、サンプル液の流れSは流路81の中央下部に収束される点である。
【0037】
また、上記各実施の形態では、平面視V型形状の段差部2を、流入側の流路83の溝1cの底面3やガラス板Gの底面10に一つずつ設けたものを示したが、平面視V型形状の段差部2を底面3,10の両方に設けた場合にもこの発明は適用できる。
【0038】
ここまでの各実施の形態では、平面視V型形状の段差部2をサンプル液導入路87aおよびシース液導入路83a,83bが合流する流入側の流路83における上面側および/または下面側に設けたものを示したが、平面視V型形状に限らず、段差部2を、図7,8に示すような平面視山型形状に形成してもよく、また、段差部2を、図9および10に示すようなそれぞれ平面視U型形状および平面視W型形状に形成してもよい。
【0039】
図7に示す平面視山型形状の段差部2は、両端12,13から流入側の流路83における下流側の流れ中央に向かって両辺m,nが流れ中央側に湾曲しながら突出してなるものである。この実施の形態でも、段差部2は流入側の流路83の入口部分に設けられている。
【0040】
また、図8に示す平面視山型形状の段差部2は、両端12,13から流入側の流路83における下流側の流れ中央に向かって両辺m,nが流れ中央側から外側に湾曲しながら突出してなるものである。この実施の形態でも、段差部2は流入側の流路83の入口部分に設けられている。
【0041】
上記各実施の形態では、段差部2を流入側の流路83の入口部分に設けたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、図11は、平面視V型形状の段差部2を流入側の流路83の途中に設けたこの発明の実施の形態を示す。図11において、図1〜図10に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0042】
図11において、平面視V型形状の段差部2は、この両端4,5が流入側の流路83の溝側壁6における中間部に連設されており、両端4,5から流入側の流路83における下流側の流れ中央に向かって突出する先端7を有している。すなわち、この実施の形態では、段差部2の両端4,5が合流位置94から流入側の流路83における下流側に所定距離Kだけ離れて位置している。
【0043】
また、この発明では、図11に仮想線で示すように、流入側の流路83の途中に流路幅が部分的に絞られた絞り部分200を設けてもよい。
【0044】
なお、上記各実施の形態では、サンプル液の流れをシース液の流れによって挟み込むように二つのシース液導入路間にサンプル液導入路を設けるタイプのマイクロチップを示したが、一つのシース液導入路とサンプル液導入路を設けるタイプのマイクロチップにもこの発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す平面図である。
【図2】(A)は、上記実施の形態における流路を示す平面図である。(B)は、図2(A)におけるX−X´線断面図を示す。(C)は、図2(A)におけるY−Y´線断面図を示す。(D)は、図2(A)におけるZ−Z´線断面図を示す。
【図3】上記実施の形態における流路を示す斜視図である。
【図4】上記実施の形態における流路を示す縦断面図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態における流路を示す縦断面図である。
【図6】この発明の第3の実施の形態における流路を示す縦断面図である。
【図7】この発明で用いる段差部の第1の変形例を含む流路を示す平面図である。
【図8】この発明で用いる段差部の第2の変形例を含む流路を示す平面図である。
【図9】この発明で用いる段差部の第3の変形例を含む流路を示す平面図である。
【図10】この発明で用いる段差部の第4の変形例を含む流路を示す平面図である。
【図11】この発明の更に他の変形例を示す平面図である。
【図12】従来例を示す平面図である。
【図13】(A)は、従来例における流路を示す平面図である。(B)は、図13(A)におけるX−X´線断面図を示す。(C)は、図13(A)におけるY−Y´線断面図を示す。(D)は、図13(A)におけるZ−Z´線断面図を示す。
【図14】比較例を示す正面図である。
【図15】(A)は、別の比較例における流路を示す平面図である。(B)は、図15(A)におけるH−H´線断面図を示す。
【図16】更に別の比較例における流路を示す平面図である。
【図17】別の比較例における流路を示す平面図である。
【符号の説明】
【0046】
2 段差部
82 絞り部
83 流入側の流路 83a,83b シース液導入路
84 流出側の流路
87a サンプル液導入路
87 サンプル液
88,89 シース液
S サンプル液の流れ
F1 ,F2 シース液の流れ
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロチップおよびマイクロチップ中における流体制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば粒度分布を測定したり、粒子量を計測したり、あるいは、血液中の赤血球、白血球、血小板などの血球を計数する手法の一つとして電気抵抗法(コールター法)が知られている。この電気抵抗法は、例えば血球を計数する場合、血液細胞を等張性希釈液に懸濁させ、粒子が絞り部を通過するときに、血球が占める容積に比例した電気抵抗(インピーダンス)の変化が生じ、このインピーダンス変化に対応して生ずるパルス数を計数することにより、血球の個数を検出することができ、また、前記パルスの高さを検出することにより、血球の容積(白血球、赤血球、血小板であるかの種類)を検出することができる。
【0003】
ところで、近年においては、電気抵抗法のマイクロ化が進められており、前記電気抵抗法に則ったチップ状のマイクロコールターカウンタが開発されるに至っている。そのマイクロコールターカウンタの測定部では、例えばシリコン基板に測定対象である微粒子が混入したサンプル液が流れる流入側の流路および流出側の流路と、これら流路の途中に形成される絞り部と、前記流入側の流路および流出側の流路にそれぞれ設けられる電極とが備えられている。
【0004】
図12は従来のこの種マイクロコールターカウンタにおける測定部のマイクロチップ構成を示す上面図である。図12において、80はシリコン基板で、例えば厚さが500μm、長さが10mm、幅が5mm程度の大きさに形成されている。81はシリコン基板80の上面に形成される流路で、例えば、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システムズ)プロセスや、マイクロマシニングや、エッチング、あるいは光造型などによる加工技術を用いて形成される適宜の深さa〔図13(B)および図13(C)参照〕の溝よりなる。前記光造型とは、光線を照射すると硬化する樹脂に紫外線レーザを当てて成形する方法である。なお、図13(A)は、図12から後述する電極85,86、電極リード部90,91、信号端子92,93を除いたものを示し、図13(B)、図13(C)および図13(D)は流路測定部のチップ断面図を示し、それぞれ、図13(A)におけるX−X´線断面図、Y−Y´線断面図およびZ−Z´線断面図を示す。
【0005】
この流路81は、絞り部82とこの絞り部82の上流側に形成される流入側の流路83と、絞り部82の下流側に形成される流出側の流路84とから主としてなる。絞り部82は、流路81のほぼ中間において流路幅が一定長さの例えば10〜60μmと狭くなるよう形成され、流路83,84は、例えば100〜1000μmと比較的幅広の一定長さの流路幅を有する。流路83,84の断面は図13(B)、図13(C)および図13(D)に示すように例えば逆台形形状をなしており、深さ(高さ)aが例えば40μm、下底の幅bが例えば500μm、上底の幅cが例えば510μmである。また、絞り部82の断面も例えば逆台形形状をなしており、深さ(高さ)が例えば40μm、下底の幅が例えば50μm、上底の幅が例えば60μmである。そして、前記流路81などを覆うようにしてシリコン基板80上に例えば陽極接合などの手法で例えば透明なガラス板(閉塞部)Gが接合されている。このガラス板Gはシリコン基板80と同じ寸法を有し、ガラス板Gがシリコン基板80に接合されることにより、流路81の各部である流入側の流路83と絞り部82と流出側の流路84は、外部と遮断された状態で閉塞される。85は流入側の流路83におけるガラス板底面に形成される電極であり、86は流出側の流路84におけるガラス板底面に形成される電極である。これらの電極85,86はサンプル液87が絞り部82を通過するときに生ずるインピーダンス変化を検出するためのものである。88,89は、例えば血球を計数する場合、例えば生理食塩水などの液体(以下、シース液という)で、サンプル液87を挟む形で流路83に導入される。83a,83bは流路83の上流側に設けたシース液導入路で流路83に連通するようシリコン基板80の上面に形成される。87aは、流路83の上流側に設けたサンプル液導入路で流路83に連通するようシリコン基板80の上面に形成される。なお、シリコン基板80以外に、アクリル樹脂、PET樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ガラスなどが基板の材料として適用可能である。
【0006】
すなわち、流路81の上流の導入側においては、流路81の上流側からみてサンプル液導入路87aの左右にシース液導入路83a,83bが位置しており、サンプル液導入路87aを右側のシース液導入路83aと左側のシース液導入路83bで挟むように合流させ、この合流流路を流入側の流路83としている。94は前記導入路83a,83b,87aの合流位置を示す。
【0007】
90および91は電極85および86にそれぞれ連なる電極リード部である。92および93は、サンプル液87の測定時に、マイクロコールターカウンタの計器本体(図示せず)に接続するための信号端子であり、これらの信号端子92,93は電極リード部90,91にそれぞれ接続される。
【0008】
なお、Sはサンプル液87の流れ(サンプル流)を示し、F1 ,F2 はシース液の流れ(シース流)を示す。
【0009】
上記構成のマイクロコールターカウンタにおける測定部のマイクロチップにおいて、サンプル液87の測定を行う場合、流入側の流路83の最上流側である合流位置94においてサンプル液87をシース液88,89で挟み込むように合流させ、この状態で、サンプル液87が流入側の流路83に導入される。流路83を流れるサンプル液87は、幅eがμmオーダーのため層流状態であり、乱流ではない。そして、サンプル液87が流入側の流路83から絞り部82を流れ、流出側の流路84に導かれ、サンプル流出口95から排出される。ここで、サンプル液87が絞り部82を流れるとき、電極85と電極86間のインピーダンスが変化し、このインピーダンスの変化を示す検出信号が電極リード部90,91を介して信号端子92,93から取り出され、計器本体(図示せず)に入力され、計器本体において所定の演算が行われることによって、例えば粒度分布を測定したり、粒子量を計測したり、あるいは、血液中の赤血球、白血球、血小板などの血球が計数される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、前記検出信号のS/N比を向上させるには、サンプル液87が絞り部82に来るまでにシース液88,89によって挟まれるサンプル液87の領域を、少なくとも深さ方向〔図13(B)および図13(C)における両矢印Dで示す方向〕においてできるだけ収束させるのが好ましいけれども、上記構成のマイクロコールターカウンタにおける測定部のマイクロチップにおいては難しかった。
【0011】
例えば、レーザ光の散乱を利用したパーティクルカウンタに用いられ、サンプル流を一点に集中させて検出信号のS/N比を向上させるための構造として、従来から図14に示すようなシースフロー構造が一般的である。図14において、前記シースフロー構造は、パイプ96,97を2重にし、外側のパイプ96よりシース液、内側のパイプ97のノズル部分よりサンプル液を流すことによりサンプル液の流れがシース液に囲まれてなる層流が発生するとともに、この流れを絞り部98で絞り込むことによって流れの中にサンプル液を収束でき、この状態でレーザ光が照射されるものである。
【0012】
しかし、上記構成のマイクロコールターカウンタではマイクロチップの特性上マイクロチップ中において前記シースフロー構造のような3次元構造を作成することが難しく、図12に示したような2次元的な構造を採用せざるを得なかった。
【0013】
そのため、上記構成のマイクロコールターカウンタにおける測定部のマイクロチップにおいて、サンプル液87は、サンプル流Sの少なくともD方向における流路断面形状が図13(B)で示す合流位置94での略矩形100のまま高さaが絞られることなく図13(C)で示すような状態で流入側の流路83を流れることになり、この流路83を流れるサンプル液87の流れS1 を、流路81の幅方向〔図13における両矢印Wで示す方向;D方向に直交する方向〕における流路断面形状が幅eよりも小さな例えば1〜10μmの幅b’〔図13(D)参照〕になるよう絞り部82において絞れても、D方向には絞り込むことはできなかった。結果として、流入側の流路83の流れS1 を絞りきれず、検出信号のS/N比を向上させるのが難しかった。
【0014】
これを解消するために、図15〜図17に示すごとくマイクロチップ中において流れを制御できる方法が考えられるが、複雑な流体制御機構を用いたり、電界、磁界、超音波の他の外力を用いることによって流れを変えるようにしなければならないといった欠点があった。
【0015】
図15に示すマイクロチップは、導入路83a,83b,87aの合流位置94の下流に設けた流入側の流路83における底部に導入孔101を介して三つ目のシース液導入路83cを連通させ、導入孔101から導入するシース流F3 によってサンプル流Sを上部に押し上げるように構成されている。しかし、マイクロチップに導入孔101を形成する加工上の問題とシース流F1 ,F2 ,F3 やサンプル流Sを制御する上での複雑な流体制御上の問題がある。
【0016】
図16に示すマイクロチップは、流入側の流路83に電極102あるいは磁界発生手段を形成し、電界あるいは磁界を印加することにより、微粒子を中央部に引き寄せるように制御する構成を有しているが、電界あるいは磁界の影響を受けない流体中の微粒子で構成されるサンプル液には用いることはできない。
【0017】
図17に示すマイクロチップは、超音波振動子103を設け、その周波数をコントロールすることにより共振させて発生する波のノードに流体中の微粒子を集めるように構成されているが、超音波振動子103を用いなければならないという問題点がある。
【0018】
また、外部から供給した複数種類の微量な液体を混合して取り出すマイクロミキサ(マイクロチップ)において、混合流路に沿ってその底面側には流路を横切る方向に延在する複数条の凸条絞り部を形成すること、すなわち、混合流路に沿って局部的に流路断面を狭める複数の絞り部を直列に並べて形成するようにしたものが下記特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開2002−346355
【0019】
しかし、上記文献には、混合流路が狭められる部分を有することが記載されているだけで、試料液の流れが試薬液に囲まれてなる層流が発生するとともに、この流れを絞り部で絞り込むことによって流れの中に試料液を収束させるという技術思想はない。
【0020】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、電界、磁界、超音波の他の外力や複雑な流体制御機構を用いることなく容易な構成を用いることにより3次元的な流れを作りだしてサンプル流を確実に収束させることができるマイクロチップおよびマイクロチップ中における流体制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、この発明のマイクロチップは、流入側の流路と、流出側の流路と、流入側の流路の上流側に合流するよう設けたサンプル液導入路およびシース液導入路とを備え、サンプル液の流れをシース液の流れによって挟み込むようにしてあるマイクロチップにおいて、シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを収束させる段差部を流入側の流路に設けてあることを特徴とする(請求項1)。
【0022】
また、この発明は別の観点から、サンプル液導入路およびシース液導入路をこれらの下流に設けた流入側の流路に合流させてサンプル液の流れをシース液の流れによって挟み込み、さらに、シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを、流入側の流路に設けた段差部によって収束させるようにしたことを特徴とするマイクロチップ中における流体制御方法を提供する(請求項8)。
【発明の効果】
【0023】
この発明のマイクロチップ(請求項1,8)では、段差部を例えば図3,4に示すようにサンプル液導入路およびシース液導入路が合流する流入側の流路における下面側に設ける場合、段差部により、サンプル液の流れは上部に押し上げられる(図3)とともに、両サイドのシース液は段差部の上流側側面によって段差部の中央に流れを変更されるため(図4)、さらにサンプル液の流れを押し上げる作用が生じ、段差部を通過したサンプル液は、流路断面形状が図2(B)で示す合流位置での幅および高さのままではなく、図2(C)で示すように少なくとも高さが絞られて小さくなった、いわゆる、収束状態で流入側の流路を流れることになる。
【0024】
そして、この状態で流入側の流路を通過したサンプル液は、流入側の流路と流出側の流路との間に設けた絞り部を流れるときに高さがさらに絞られて小さくなる。すなわち、絞り部において、サンプル液は流路の中央上部へ収束される。そのため、サンプル液が絞り部を流れるとき、得られる検出信号、例えば電極と電極間のインピーダンスの変化を示す検出信号や、例えばレーザ光散乱によって得られる検出信号のS/N比を向上させることができる。
【0025】
要するに、例えば平面視V型形状の段差部を、流入側の流路の溝の底面から凸状に突出してなる上向き突起によって形成した場合、中央のサンプル液の流れは段差部により持ち上げられる。一方、外側のシース液の流れも段差部により持ち上げられるが、このシース液の流れの方向は段差部と直交する方向に変化する。つまり、平面視V型形状の段差部の場合は流路外側にシース液の流れがシフトする。その結果、流路外側のシース液の流速が速くなり、中央のサンプル液の流れは上方に持ち上げられた後、流路外側のシース液の流速が速いためサンプル液の流れは相対的に収束する。
【0026】
また、例えば平面視V型形状の段差部を、流入側の流路の溝の底面を凹ませてなる下向き凹所によって形成した場合、流路外側のシース液の流れは段差部に入ると段差部壁面に当たることにより、中央方向に流れがシフトする。段差部中央では外側から入ってくるシース液の流れの影響によりサンプル液の流れは狭められ持ち上げられる。これにより、中央上部にサンプル液の流れが収束される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下にこの発明の実施の形態について説明する。なお、それによって、この発明は限定されるものではない。
図1〜図4は、この発明の第1の実施の形態を示す。図1〜図4において、図12〜図17に示した符号と同一のものは、同一または相当物である。
【0028】
この発明が従来例と異なる点は、シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを収束させる段差部を流入側の流路に設けた点である。
【0029】
図1〜図4において、サンプル液導入路87aは、平面視において一対のシース液導入路83a,83b間に設けられている。そして、流入側の流路83と流出側の流路84との間にはインピーダンス変化検出用の絞り部82が設けられており、絞り部82を挟む状態で、流入側の流路83には電極85が、流出側の流路84には電極86が設けられている。この実施の形態では、電極85は絞り部82の直上流側に設けられ、電極86は絞り部82の直下流側に設けられている。また、流入側の流路83、絞り部82、流出側の流路84、サンプル液導入路87aおよび二つのシース液導入路83a,83bは、シリコン基板80上に形成された微小な幅b(例えば100μm),c(例えば110μm)と微小な深さa(例えば40μm)を有する溝1によって形成されている。そして、流入側の流路83、絞り部82、流出側の流路84、サンプル液導入路87aおよび二つのシース液導入路83a,83bは、シリコン基板80上に接合されたガラス板Gによって外部と遮断された状態で閉塞されている。サンプル液導入路87aおよび二つのシース液導入路83a,83bの溝1a,1b,1bの幅は、流入側の流路83および流出側の流路84の溝1c,1dの幅よりも小さく設定されている。
【0030】
以下この発明の特徴的構成について説明する。
2は段差部で、この実施の形態では、サンプル液導入路87aおよびシース液導入路83a,83bが合流する流入側の流路83における下面側に設けられている。すなわち、この実施の形態では、段差部2は流入側の流路83の入口部分に設けられている。具体的には、前記段差部2は、この実施の形態では平面視V型形状をなしており、この平面視V型形状の段差部2は、流入側の流路83の溝1cの底面3から凸状に突出してなる上向き突起によって形成されている。この突出長さIは溝1の深さaの10〜90%、好ましくは溝1の深さaの50%の長さに設定するのがよく、この実施の形態では溝1の深さaの半分の長さ(20μm)に設定されている。そして、平面視V型形状の段差部2は、この両端4,5が流入側の流路83の合流位置94の溝側壁6に連設されており、両端4,5から流入側の流路83における下流側の流れ中央に向かって突出する先端7を有している。
なお、この実施の形態では前記段差部2の縦断面形状を図4に示すように矩形形状に形成しているがこの形状に限られるものではなく、台形形状、なだらかに湾曲した頂上部分を有する山形形状、鋭角的に尖った頂上部分を有する山形形状、対向する脚部分が互いに内側になだらかに湾曲している台形形状などの縦断面形状の段差部も適用できる。
【0031】
而して、段差部2により、サンプル液の流れSは上部に押し上げられる(図3)とともに、両サイドのシース液88,89は段差部2の上流側壁面8によって段差部2の中央の先端7の方向に流れF1 ,F2 が変更される。さらにサンプル液の流れSを押し上げる作用が生じ、段差部2を通過したサンプル液87は、流路断面形状が図2(B)で示す合流位置94での高さ(深さ)のままではなく、シース液の流れF1 ,F2 がサンプル液の流れSの下部にもぐり込み、サンプル液の流れSの下方でシース液の流れF1 ,F2 が合体し、図2(C)で示すように高さ(深さ)がD方向に大きく絞られてa’と小さくなった状態となるとともに、シース液の流れF1 ,F2 は段差部2を超えることで、サンプル液の流れSよりも流速が速まり、この流速の差によりシース液の流れF1 ,F2 によってサンプル液の流れSはW方向に絞られてe’と小さくなった状態となる。このように段差部2を通過したサンプル液の流れSの高さ(深さ)が大きく収束するとともにサンプル液の流れSの幅も収束し、この状態でサンプル液87は流入側の流路84を流れることになる。流入側の流路84を通過したサンプル液87は絞り部82を流れるときに前記幅e’が絞り部82の幅に見合った幅e’’に絞られて小さくなる。すなわち、段差部2が底面3から凸状に突出してなる上向き突起に形成されたこの実施形態では、絞り部82において、サンプル液の流れSは流路81の中央上部に収束される。そのため、サンプル液87が絞り部82を流れるとき、得られる検出信号、例えば電極と電極間のインピーダンスの変化を示す検出信号や、例えばレーザ光散乱によって得られる検出信号のS/N比を向上させることができる。
【0032】
図5は、平面視V型形状の段差部2を、流入側の流路83の溝1cの底面3を凹ませてなる下向き凹所によって形成したこの発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態でも、段差部2は流入側の流路83の入口部分に設けられている。図5において、図1〜図4に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0033】
この実施の形態では、段差部2の壁面によってシース液の流れF1 ,F2 が段差部2の中央の先端7の方向に変更され、これによってサンプル液の流れSの幅方向が収束される。また、段差部2によってシース液の流れF1 ,F2 がサンプル液の流れSの下にもぐることになり、サンプル液の流れSがシース液の流れF1 ,F2 によって押し上げられる。これによってサンプル液の流れSの高さ方向が収束される。そして、絞り部82において、サンプル液の流れSは流路81の中央上部に収束される。なお、段差部2の凹み長さTは例えば溝1の深さaの10〜90%、好ましくは溝1の深さaの50%の長さに設定するのがよく、この実施の形態では溝1の深さaの半分の長さ(20μm)に設定されている。なお、この実施の形態では前記段差部2の縦断面形状を図5に示すように矩形形状に形成しているがこの形状に限られるものではなく、逆台形形状など適宜の縦断面形状に形成された段差部も適用できる。
【0034】
図6は、平面視V型形状の段差部2を、ガラス板Gの底面10から下方側に凸状に突出してなる下向き突起によって形成したこの発明の第3の実施の形態を示す。この実施の形態でも、段差部2は流入側の流路83の入口部分に設けられている。図6において、図1〜図5に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0035】
この実施の形態では、作用は上記第1の実施の形態の場合と同じであり、上記第1の実施の形態の場合と異なる点は、絞り部82において、サンプル液の流れSは流路81の中央下部に収束される点である。
【0036】
なお、平面視V型形状の段差部2を、ガラス板Gの底面10を上方側に凹ませてなる上向き凹所によって形成してもよい。この場合の作用は上記第2の実施の形態の場合と同じであり、上記第2の実施の形態の場合と異なる点は、絞り部82において、サンプル液の流れSは流路81の中央下部に収束される点である。
【0037】
また、上記各実施の形態では、平面視V型形状の段差部2を、流入側の流路83の溝1cの底面3やガラス板Gの底面10に一つずつ設けたものを示したが、平面視V型形状の段差部2を底面3,10の両方に設けた場合にもこの発明は適用できる。
【0038】
ここまでの各実施の形態では、平面視V型形状の段差部2をサンプル液導入路87aおよびシース液導入路83a,83bが合流する流入側の流路83における上面側および/または下面側に設けたものを示したが、平面視V型形状に限らず、段差部2を、図7,8に示すような平面視山型形状に形成してもよく、また、段差部2を、図9および10に示すようなそれぞれ平面視U型形状および平面視W型形状に形成してもよい。
【0039】
図7に示す平面視山型形状の段差部2は、両端12,13から流入側の流路83における下流側の流れ中央に向かって両辺m,nが流れ中央側に湾曲しながら突出してなるものである。この実施の形態でも、段差部2は流入側の流路83の入口部分に設けられている。
【0040】
また、図8に示す平面視山型形状の段差部2は、両端12,13から流入側の流路83における下流側の流れ中央に向かって両辺m,nが流れ中央側から外側に湾曲しながら突出してなるものである。この実施の形態でも、段差部2は流入側の流路83の入口部分に設けられている。
【0041】
上記各実施の形態では、段差部2を流入側の流路83の入口部分に設けたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、図11は、平面視V型形状の段差部2を流入側の流路83の途中に設けたこの発明の実施の形態を示す。図11において、図1〜図10に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0042】
図11において、平面視V型形状の段差部2は、この両端4,5が流入側の流路83の溝側壁6における中間部に連設されており、両端4,5から流入側の流路83における下流側の流れ中央に向かって突出する先端7を有している。すなわち、この実施の形態では、段差部2の両端4,5が合流位置94から流入側の流路83における下流側に所定距離Kだけ離れて位置している。
【0043】
また、この発明では、図11に仮想線で示すように、流入側の流路83の途中に流路幅が部分的に絞られた絞り部分200を設けてもよい。
【0044】
なお、上記各実施の形態では、サンプル液の流れをシース液の流れによって挟み込むように二つのシース液導入路間にサンプル液導入路を設けるタイプのマイクロチップを示したが、一つのシース液導入路とサンプル液導入路を設けるタイプのマイクロチップにもこの発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す平面図である。
【図2】(A)は、上記実施の形態における流路を示す平面図である。(B)は、図2(A)におけるX−X´線断面図を示す。(C)は、図2(A)におけるY−Y´線断面図を示す。(D)は、図2(A)におけるZ−Z´線断面図を示す。
【図3】上記実施の形態における流路を示す斜視図である。
【図4】上記実施の形態における流路を示す縦断面図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態における流路を示す縦断面図である。
【図6】この発明の第3の実施の形態における流路を示す縦断面図である。
【図7】この発明で用いる段差部の第1の変形例を含む流路を示す平面図である。
【図8】この発明で用いる段差部の第2の変形例を含む流路を示す平面図である。
【図9】この発明で用いる段差部の第3の変形例を含む流路を示す平面図である。
【図10】この発明で用いる段差部の第4の変形例を含む流路を示す平面図である。
【図11】この発明の更に他の変形例を示す平面図である。
【図12】従来例を示す平面図である。
【図13】(A)は、従来例における流路を示す平面図である。(B)は、図13(A)におけるX−X´線断面図を示す。(C)は、図13(A)におけるY−Y´線断面図を示す。(D)は、図13(A)におけるZ−Z´線断面図を示す。
【図14】比較例を示す正面図である。
【図15】(A)は、別の比較例における流路を示す平面図である。(B)は、図15(A)におけるH−H´線断面図を示す。
【図16】更に別の比較例における流路を示す平面図である。
【図17】別の比較例における流路を示す平面図である。
【符号の説明】
【0046】
2 段差部
82 絞り部
83 流入側の流路 83a,83b シース液導入路
84 流出側の流路
87a サンプル液導入路
87 サンプル液
88,89 シース液
S サンプル液の流れ
F1 ,F2 シース液の流れ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入側の流路と、流出側の流路と、流入側の流路の上流側に合流するよう設けたサンプル液導入路およびシース液導入路とを備え、サンプル液の流れをシース液の流れによって挟み込むようにしてあるマイクロチップにおいて、シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを収束させる段差部を流入側の流路に設けてあることを特徴とするマイクロチップ。
【請求項2】
段差部を、前記流入側の流路の上面側および/または下面側に設けてある請求項1に記載のマイクロチップ。
【請求項3】
サンプル液導入路は、平面視において一対のシース液導入路間に設けられており、また、流入側の流路、流出側の流路、サンプル液導入路およびシース液導入路は、基板上に形成された微小な幅を有する溝によって形成されるとともに、これらは閉塞部によって外部と遮断された状態で閉塞されており、サンプル液導入路およびシース液導入路の溝の幅は、流入側の流路および流出側の流路の溝の幅よりも小さく設定される一方、段差部は、平面視V型形状で、両端が流入側の流路の溝側壁に連設され、下流側の流れ中央に向かって突出する先端を有する請求項1または請求項2に記載のマイクロチップ。
【請求項4】
平面視V型形状の段差部は、流入側の流路の溝の底面から凸状に突出してなる上向き突起によって形成されるか、または、流入側の流路の溝の底面を凹ませてなる下向き凹所によって形成されるか、または、閉塞部の底面から下方側に凸状に突出してなる下向き突起によって形成されるか、または、閉塞部の底面を上方側に凹ませてなる上向き凹所によって形成されるかのいずれか、またはこれらの組み合わせによって形成される請求項3に記載のマイクロチップ。
【請求項5】
段差部は、平面視U型形状、平面視W型形状、両端から流入側の流路における下流側の流れ中央に向かって両辺が流れ中央側に湾曲しながら突出してなる平面視山型形状、両端から流入側の流路における下流側の流れ中央に向かって両辺が流れ中央側から外側に湾曲しながら突出してなる平面視山型形状を有する請求項1または請求項2に記載のマイクロチップ。
【請求項6】
前記平面視U型形状、前記平面視W型形状および前記二種類の平面視山型形状の段差部は、それぞれ、流入側の流路の溝の底面から凸状に突出してなる上向き突起によって形成されるか、または、流入側の流路の溝の底面を凹ませてなる下向き凹所によって形成されるか、または、閉塞部の底面から下方側に凸状に突出してなる下向き突起によって形成されるか、または、閉塞部の底面を上方側に凹ませてなる上向き凹所によって形成されるかのいずれか、またはこれらの組み合わせによって形成される請求項5に記載のマイクロチップ。
【請求項7】
流入側の流路と流出側の流路との間に絞り部を設けてある請求項1〜請求項6のいずれかに記載のマイクロチップ。
【請求項8】
サンプル液導入路およびシース液導入路をこれらの下流に設けた流入側の流路に合流させてサンプル液の流れをシース液の流れによって挟み込み、さらに、シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを、流入側の流路に設けた段差部によって収束させるようにしたことを特徴とするマイクロチップ中における流体制御方法。
【請求項9】
シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを段差部によって収束させた後、これが通過する絞り部を流入側の流路と流出側の流路との間に設けている請求項8に記載のマイクロチップ中における流体制御方法。
【請求項1】
流入側の流路と、流出側の流路と、流入側の流路の上流側に合流するよう設けたサンプル液導入路およびシース液導入路とを備え、サンプル液の流れをシース液の流れによって挟み込むようにしてあるマイクロチップにおいて、シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを収束させる段差部を流入側の流路に設けてあることを特徴とするマイクロチップ。
【請求項2】
段差部を、前記流入側の流路の上面側および/または下面側に設けてある請求項1に記載のマイクロチップ。
【請求項3】
サンプル液導入路は、平面視において一対のシース液導入路間に設けられており、また、流入側の流路、流出側の流路、サンプル液導入路およびシース液導入路は、基板上に形成された微小な幅を有する溝によって形成されるとともに、これらは閉塞部によって外部と遮断された状態で閉塞されており、サンプル液導入路およびシース液導入路の溝の幅は、流入側の流路および流出側の流路の溝の幅よりも小さく設定される一方、段差部は、平面視V型形状で、両端が流入側の流路の溝側壁に連設され、下流側の流れ中央に向かって突出する先端を有する請求項1または請求項2に記載のマイクロチップ。
【請求項4】
平面視V型形状の段差部は、流入側の流路の溝の底面から凸状に突出してなる上向き突起によって形成されるか、または、流入側の流路の溝の底面を凹ませてなる下向き凹所によって形成されるか、または、閉塞部の底面から下方側に凸状に突出してなる下向き突起によって形成されるか、または、閉塞部の底面を上方側に凹ませてなる上向き凹所によって形成されるかのいずれか、またはこれらの組み合わせによって形成される請求項3に記載のマイクロチップ。
【請求項5】
段差部は、平面視U型形状、平面視W型形状、両端から流入側の流路における下流側の流れ中央に向かって両辺が流れ中央側に湾曲しながら突出してなる平面視山型形状、両端から流入側の流路における下流側の流れ中央に向かって両辺が流れ中央側から外側に湾曲しながら突出してなる平面視山型形状を有する請求項1または請求項2に記載のマイクロチップ。
【請求項6】
前記平面視U型形状、前記平面視W型形状および前記二種類の平面視山型形状の段差部は、それぞれ、流入側の流路の溝の底面から凸状に突出してなる上向き突起によって形成されるか、または、流入側の流路の溝の底面を凹ませてなる下向き凹所によって形成されるか、または、閉塞部の底面から下方側に凸状に突出してなる下向き突起によって形成されるか、または、閉塞部の底面を上方側に凹ませてなる上向き凹所によって形成されるかのいずれか、またはこれらの組み合わせによって形成される請求項5に記載のマイクロチップ。
【請求項7】
流入側の流路と流出側の流路との間に絞り部を設けてある請求項1〜請求項6のいずれかに記載のマイクロチップ。
【請求項8】
サンプル液導入路およびシース液導入路をこれらの下流に設けた流入側の流路に合流させてサンプル液の流れをシース液の流れによって挟み込み、さらに、シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを、流入側の流路に設けた段差部によって収束させるようにしたことを特徴とするマイクロチップ中における流体制御方法。
【請求項9】
シース液の流れで挟み込まれたサンプル液の流れを段差部によって収束させた後、これが通過する絞り部を流入側の流路と流出側の流路との間に設けている請求項8に記載のマイクロチップ中における流体制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−71388(P2006−71388A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−253671(P2004−253671)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【Fターム(参考)】
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