説明

マイクロチューブ容器及び複数の容器のための運搬器

マイクロチューブ又はバイアルのような細長い目的物のための容器は、底面及び側面を備えるフレームと、少なくとも2つの移動抵抗性のある位置を有し、回転可能で対向する一対の蓋部と、複数の孔又は環を有するラックとを備えている。ラック又は容器の内側底部は、マイクロチューブ又はバイアルの回転を妨げる特徴を有していてもよい。更に、容器はマイクロチューブ又はバイアルを備えているが、マイクロチューブ又はバイアルは空でも、例えば試料、所定の手順において用いるための試料で見たされていてもよい。積み重ね可能な運搬器のシステムは、容器の保持と、片手による複数の容器の除去とを可能にするように構成される。容器は、望ましくは、容器及び容器の中のバイアルの片手の開閉を許容しており、様々な蓋の位置は実験室のベンチの上に起立させるだけでなく氷浴の中に浮かべるのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、試薬チューブのようなマイクロチューブ又はバイアル(小瓶)のための容器、及び複数のそのような容器のための運搬器又はラック(棚)に関し、特に、0.5-5mlのネジ蓋付微小遠心管又は極低温貯蔵バイアル、試料バイアル、ネジ蓋付マイクロチューブ、及び/又は微小貯蔵チューブ、に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、研究室で用いられるか文献で公表される、多くの種類のチューブ容器及びパッケージがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、研究室で用いられるか文献で公表される、多くの種類のチューブ容器及びパッケージがあるが、未だ、技術的に、次のようなチューブ容器の必要がある。該チューブ容器は、ネジ蓋付マイクロチューブ及び極低温貯蔵バイアルを開放又は閉鎖するための片手の操作を許容する。該チューブ容器は、実験室のベンチに直立できるだけでなく氷浴の中に浮かべることができる。該チューブ容器は、試料収集における野外の使用において便利である。該チューブ容器は、チューブの貯蔵及び輸送のために、効率的に組織され、安定しており、且つ積み重ねることができる、配置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの実施形態は、マイクロチューブ又は極低温バイアルのような細長い目的物のための容器を備えている。該容器は、底面及び側面を備える蓋なしのフレームと、回転可能で対向する一対の蓋部とを備えている。各蓋部は、フレームの側面に取り付けられている。蓋部は、少なくとも2つの位置:移動抵抗性のある開位置及び移動抵抗性のある閉位置、を有している。移動抵抗性のある開位置において、蓋部は、容器を起立している配置に安定させるために、前記底面に結合する。移動抵抗性のある閉位置において、蓋部同士は、完全に閉じられた容器を形成するように、容器の最上位置において接触する。容器は、フレームの中に取り付けられているラックを備えている。ラックは、複数の孔又は環を備えている。複数の孔又は環は、細長い目的物の中間部を受け入れるように設計されている。
【0005】
蓋部は、移動抵抗性のある中間位置も有している。移動抵抗性のある中間位置において、蓋の前面及び後面は、前記底面と平行である。容器は、ユーザーの手に収まる大きさである。ユーザーは、片手を用いることによって、開位置、中間位置、及び閉位置の間で、蓋部を移動させることができる。容器の内側底部は、マイクロチューブ又はバイアルの底部を受け入れるために複数の底部受容部を備えている。更に、片手の操作を支援するために、底部受容部及び/又はラックは、マイクロチューブ又はバイアルが容器内に収納されているときにマイクロチューブ又はバイアルの回転を妨げる特徴を、備えていてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、容器は、更に、マイクロチューブ又はバイアルを備えているが、各マイクロチューブ又はバイアルが空であるか、試薬のような物質で満たされている。1つの実施形態では、容器は、所定の手順を実行するためのキットを備えていてもよい。この場合、マイクロチューブ又はバイアルは、所定の手順を実行するために必要な十分な量の試薬を備えている。
【0007】
本発明の別の実施形態は、前述の容器と、1以上の前記容器を蓄えるための運搬器とを備えている。運搬器は、底面、対向する側面、及び複数の容器保持部を備えている。各容器保持部は、1つの容器に適合する大きさを有している。1つの実施形態において、底面は、複数の刻み目又は切欠きを備えており、刻み目又は切欠きは、片手による容器の除去のために各容器の下面にユーザーの指が接近できるような大きさを有している。別の実施形態において、運搬器は、容器を収納し且つ片手による容器の除去を許容する複数の滑動台を備えている。運搬器の側部支持体は、それぞれ、上部の溝及び底部の脚を備えている。上部の溝及び底部の脚は、上側の運搬器が下側の運搬器の上に積み重ねられるときに、上側の運搬器の脚が下側の運搬器の溝に嵌合するような大きさを有している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の典型的なチューブ容器の斜視図であり、説明のため、蓋部が完全に開位置にあり、ラックがフレームから除去されている。
【図2】図1の典型的な容器の別の斜視図であり、完全に開位置にあり、ラックが挿入されている。
【図3】図1の典型的な容器の別の斜視図であり、ラックが挿入されており、2つの蓋部が中間位置にあり、中間位置において蓋の側面はパッケージの底面と平行且つフレームの側面に垂直である。
【図4】容器のためのスリーブ及び図1の容器の斜視図であり、蓋は閉位置にある。
【図5】図1の容器の正面図であり、反対の後面図は正面図の鏡像である。
【図6】図1の容器の上面図である。
【図7】図1の容器の側面図であり、反対の側面図はこの側面図の鏡像である。
【図8】図7のA−A線に沿う、図1の容器の断面図である。
【図9】図1の容器のフレームの側面図である。
【図10】典型的な底板の斜視図であり、該底板はマイクロチューブ又はバイアルが短くなるのに対応して随意に引き上げられる。
【図11A】線状隆起部を有する首部を有する典型的なマイクロチューブの側面図である。
【図11B】線状隆起部を有する首部を固定する選択的な歯又は溝を有する典型的なラックの上面図である。
【図11C】11C−11C線に沿う図11Bの典型的なラックの縦方向断面図であり、このラックは、図11Aのマイクロチューブのような線状隆起部を有する首に結合する、細長い溝及び拡張された環を有している。
【図11D】11D−11D線に沿う図11Bの典型的なラックの断面図である。
【図12A】回転を妨げる溝付底を有する典型的なマイクロチューブの底面図である。
【図12B】図12Aのマイクロチューブの回転を妨げるように設計された、典型的な受容部の上面図である。
【図13A】回転を妨げる、線状隆起部を有する底部を有する典型的なマイクロチューブの底面図である。
【図13B】図13Aのマイクロチューブの回転を妨げるように設計された、典型的な受容部の上面図である。
【図14A】回転を妨げる、星状の脚部を有する、典型的な極低温バイアルの底面図である。
【図14B】図14Aの極低温バイアルの回転を妨げるように設計された、典型的な受容部の上面図である。
【図15】図12A、図13A、及び図14Aに描かれたマイクロチューブ又は極低温バイアルの回転を妨げるように設計された、典型的な複合受容部の上面図である。
【図16】複数の図1の容器を収容するための、典型的な第1の運搬器の実施形態の斜視図である。
【図17A】別の運搬器のための台板の一部の平面図である。
【図17B】17A−17A線に沿う、図17Aの台板の断面図である。
【図18】図19の運搬器の実施形態の中に容器を収容するための、典型的な滑動台の斜視図である。
【図19】組み立てられた第2の運搬器の実施形態の斜視図であり、この運搬器は複数の図1の容器を収容している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願は、発明の名称が「試薬チューブのための保持具およびパッケージ」であって、2007年10月22日に出願された、米国仮特許出願番号60/999,691号の優先権を主張している。米国仮特許出願番号60/999,691号は、引用によって本願に組み込まれている。
【0010】
本発明がここに特定の実施形態を参照して図示され記述されているが、本発明は、示された詳細に限定されることを意図していない。むしろ、請求項の均等物の観点及び範囲内で本発明から逸脱しない限り、詳細における様々な変更を行うことができる。
【0011】
更に、本発明は、実施例としての実施形態に基づいて記述されるが、本発明の実施形態はこれらの実施例に限定されない。
【0012】
さて図面を参照すると、参照符号等は、要素等を示しており、図1−9は、本発明の典型的な実施形態の容器10を描いている。容器10は、底板20を有する箱フレーム18と、箱フレーム18の中にしっかりと嵌るように設計されているラック22と、箱フレームにピン16によって取り付けられた、対向する2つの蓋部12、14と、を備えている。
【0013】
ラック22は、複数のマイクロチューブ又は極低温バイアルを保持するための複数の孔38を有している。ここで使用のために様々な設計のマイクロチューブを用いて本発明が示されているが、本発明は、どのような形状及び寸法のチューブ又はバイアルを用いて使用することもでき、どのような型の長尺物を収容するために用いることもできる。底板20は、図8に示されるように、挿入されたチューブのそれぞれの底を受け入れるための受容部40を備えている。ラック22上の孔38及び底板20上の受容部40は、図11に示される典型的なチューブ80のような支持チューブと一緒に並んでおり、支持チューブは容器10内に挿入されている。図8に円形の受容部40として示されているが、受容部は、どのような特別な形状にも限定されておらず、所望の位置でチューブを保持するための容器の内に蓄えられているチューブの底と結合するためのどのような特徴をも備えることができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、チューブ容器のラック22内の孔38及び/又は底板20上の受容部40は、孔38又は受容部40に挿入されているチューブが回転するのを妨げる(又は少なくとも最小化する)ように、チューブ上で対応する回転防止特徴又は自立特徴と協働する回転防止特徴を備えることができる。このような回転防止特徴は、チューブのネジ蓋84を片手で簡単に開閉することを可能にする。このような回転防止特徴は、例えば図3及び図11Bに示されるように、図11Aに示されるようなチューブ80の外部の線状隆起部82に嵌合する孔38の内周内の溝700(図11B)又は歯70(図3)を含んでいる。このような回転防止特徴は、Sarstedt AG & Co., of Numbrecht, Germany、 Axygen Scientific Inc, of Union City, California, USA、又はBiosigma S. R. L., of Cona (VE), Italyで製造されている。更に又はその代わりに、底板20上の受容部40は、マイクロチューブの底面のツメ92を受け入れるための溝90(図12A及び図12Bを参照せよ)、内部又は外部の線状隆起部94に嵌合する内部溝又は内部歯94又は外部溝又は外部歯96(図13A及び図13Bを参照せよ、内部の線状隆起部のみが示されている)、又は極低温チューブの星状脚部102に嵌合する周辺部100(図14A及び図14Bを参照せよ)のような、1以上の特徴を備えることができる。溝90は、Simport Plastics Ltd, of Beloeil, Quebec, Canadaによって製造されている。内部溝又は内部歯94又は外部溝又は外部歯96は、Nalgene- Thermo Fisher Scientific of Rochester, New York, USAによって製造されている。周辺部100は、Nunc GmbH & Co KG of Langenselbold, Germanyによって製造されており、Thermo Fisher Scientific又はGreiner Bio-One North America, of Monroe, North Carolina, USAによって広められている。これらの全ての特徴は、上記の配置のどれでも受け入れるように設計されたユニバーサル(自在)受容部40を形成するように、組み合わせることができる(図15)。
【0015】
受容部40は、底板20と一体的であり、このため単一成形フレーム18の一部である。あるいは、受容部40は、図10に示されるような底部挿入体400の一部であって、滑らかな内面を有する底板の上に接着剤を用いて固定されるかもしれない。このように、製造を容易にするために、標準フレームは受容部を備えず、様々な受容部板挿入体400が、特定のチューブの底面の設計に特有である受容部を備えてもよい。容器よりも短いチューブに適合させるために図10に脚42を備える挿入体が示されているが、容器の内部底面に受容部を備えるための底板20に付着する脚のようなものを備えない挿入体をも、備えてもよい。同様に、ラック22は、様々な首の設計に適合するように設計された複数の実施形態を有する個別の要素かもしれず、それゆえに接着剤を用いて箱フレーム18の内部に固定されてもよい。ラック22は、実例となる目的のためだけに容器10から除去されることが示されており、典型的には除去されない。しかし、除去可能なラック及び/又は除去可能な受容部板挿入体を伴う設計は、提供されている。例えば、図3に示されるラック22の孔38の標準的な厚さを越える回転防止特徴のための追加の表面領域を提供するために、図11Cに示される別の実施形態のラック220は、チューブ80の線状隆起部82に適合する細長い溝700を有する細長い環222を備えている。図10に示されるような他の設計では、細長い環は、どのような回転防止特徴をも備えていない。
【0016】
ラックの全体構造は、図11Dの断面図に示される、どのような特別の設計にも限定されない。しかし、ラック220は、ラックの湾曲を防止するために、長さ方向に沿って、ラックの厚みT1が厚みT2よりも大きな側端部材230を有している。ラック220は、その上、各脚234上に1又は複数の構造強化特徴232を備えることができる。側端部材230は、容器の内部にラックを接着するための追加の表面領域を備えており、ラックの上面と容器の側面との間のどのような空間をも隠す。図9に示されるように、ラック22がフレーム18内に挿入されると、ラック22の側端23であって、厚みT1又はより大きな厚みが、好ましくは、閉位置にある蓋の過剰回転を防止するための停止部材として役立つように、フレーム18の側面52の上方に延びる。別の実施形態では、例えば図2に示されるように、ラック22は、側面52の上方に延びることなく、フレームの内部に完全に嵌合している。側面50は、その代わりに、ギザギザのある上部51を備えてもよく、上部51は、蓋のための過剰回転停止部材として役立つようにラックの上方に突出する。
【0017】
図10に示されるように、脚42を備える挿入体220は、底板20と所望の底面高さとの間の距離を補うように設けられている。この結果、マイクロチューブ又は極低温バイアルの標準の長さ又は最大長さに大きさが合わせられた単一の容器設計は、複数の大きさの容器のための実質的な製造コストを負担することなく、単に、適当な長さの脚を有する受容部板挿入体を用いることによって、より短いチューブ又はバイアルに適応できる。代わりに、特定の大きさのマイクロチューブ又は極低温バイアルにとって理想的な大きさの様々な容器を備えてもよい。
【0018】
容器10の主要な利点の一つは、単に、ユーザーに片手操作を可能にすることである。標準のマイクロチューブに適合するような大きさの容器10の実施形態は、ユーザーの手のひらに入ることができる。隆起部材60は、親指を用いるユーザーに、容器10の開放において、つかみ部を提供する。対向する蓋部12、14は、3つの移動抵抗性位置のいずれかにおいてピン16の周りで容易に回転できる。最後に、底板20の受容部40及び/又はラック22の孔38における固定特徴の使用を通じて、チューブは、回転無しに位置固定でき、単に、チューブのネジ蓋の片手による除去又は置換を可能にする。固定特徴は、必ずしも完全にはマイクロチューブの回転を防がないが、チューブが容器内で回転することなしに、ユーザーがネジ蓋を開放できるように、マイクロチューブの回転を十分に妨げる。
【0019】
容器10は、容器の用途に適しているいかなる材料を用いて製造されてもよいが、典型的には、望ましいコストと耐久性を提供するために、軽量プラスティック又はポリマーが選択される。例えば、単独使用のために設計される容器は、低価格で許容される耐久性を有する材料を備えている。そのようなものとして、例えば、限定されるものではないが、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又は他のポリアクリレートである。一方、複数の用途のための容器は、比較的ずっと丈夫なポリマーを備えている。そのようなものとして、例えば、限定されるものではないが、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、又はポリエチレン(PE)であり、これらは相対的に高いコストを有している。液体窒素の中に長時間浸されるような、極端な温度に耐える必要がある容器のために、適当な構造材料として、例えば、限定されるものではないが、ポリカーボネート、フッ素化ポリマー、又はエンジニアリングポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が選択される。しかし、本発明は、いかなる特定の構造材料に限定されるものではない。容器は、例えば押出しプロセスのような、熱可塑性の製品製造のための標準的又は公知のどのような方法を通じて製造されてもよい。
【0020】
一つの典型的な実施形態において、容器10は、ラベルを受け入れるためのわずかな凹部50、52を有してもよい。ラベルは、容器の内部のバイアルの内容を一覧表にするか、容器の所有権を示すものである。これらのラベルは、予め印刷されているか、ユーザーによって後の銘のための空白が残されている。
【0021】
更に、図4に示されるように、容器10は、ボール紙で造られたスリーブのような、スリーブ54に嵌合できる。スリーブ54は、試薬チューブ容器をぴったりと保持し、出荷又は輸送の間、容器を閉じた状態に保つであろう。スリーブ54は、出荷又は輸送工程の間、箱に引っ掻きや他のダメージが加わることを防止できる。スリーブ54は、予め印刷された広告や、容器10の製造業者又は再販業者を特定するための印を有してもよく、及び/又は、ユーザーが書き写す情報のためのスペースを提供できる。
【0022】
図2−4は、3つの移動抵抗性位置における試薬チューブ容器10を図示している。これらの3つの位置を実現するために、蓋部12、14は、ピン16の軸の周りで回転でき、且つ、以下で説明する、隆起部24、26、28と、対応する孔30、32とを並べることによって、一時的に位置固定できる。ここで用いられている用語「移動抵抗性」は、蓋が一時的にある位置に固定され、その位置においてピン16周りで更に蓋を回転させるのに要する力が、移動抵抗性位置の1つにないときの移動に必要な力よりも大きいことを意味する。移動抵抗を提供するために隆起部及び孔の結合が示されているが、容器は、構造上のどのような設計にも限定されない。
【0023】
図2は、完全な開位置における蓋部12、14を図示している。縁48が容器10の底板20と同一の平面に沿って延びているので、この完全な開位置において、蓋部12、14は、試薬チューブ容器のためのずっと安定した基盤を与える。この完全な開位置において、孔30は隆起部26に並んでおり、蓋が不用意に位置から外れて移動するのを避けるように十分な支持を提供するため、各隆起部26が孔30を貫いており、更に、各隆起部26は、蓋が移動抵抗性位置にないときに必要とされる力よりも相対的に大きな力を働かせることによって、所望のときに、ユーザーが完全な開位置から蓋を容易に移動させることを許容する。完全な開位置は、上述したように、片手で試薬チューブを開くための能力だけでなく、試薬チューブの除去を可能にする。図9に示されるように、蓋の厚みに適応するための各側面における窪み部56のため、図4に示されるように、フレームの底部でのフレームの横方向長さL1は、フレームの上部でのフレームの横方向長さL2よりもわずかに大きい。このため、蓋部は、フレームの底部と同じ横方向長さL1を有している。完全な開位置において、図2に示されるように、例えば、このために、蓋部12、14の側縁58は、出っ張り68に対して静止している。出っ張り68は、フレームの各側面の底部66と上部の窪み部56との間の移行部を含んでいる。閉位置において、蓋の側面は、一般に、図5によって最も示されるフレームの側面とぴったり重なっている。
【0024】
図3は、中間位置で固定された蓋部12、14を図示している。ここで、蓋部12、14の前面及び後面は、容器の前面及び後面に対して垂直であり、底板20に対して平行である。この中間位置において、容器10は、氷浴の中に都合よく浮かんでおり、且つ蓄えられ、試薬チューブ内の試料を、より低い温度で維持できる。この位置において、孔32は、図7及び図9で特定される隆起部28に並んでいる。この位置は、片手で試料チューブを開く能力だけでなく試料チューブを除去することを可能にする。
【0025】
図4は、直立且つ閉位置にある蓋部12、14を図示している。この閉位置において、試料チューブ容器10は、場所を取らないような収納又は輸送のため、便利なように、積み重ねることができる。この閉位置において、試料チューブ容器は、運搬器の中に収納できる。このような運搬器が、図16−19に図示されている。閉位置において、孔30は、図7及び図9において特定される隆起部24に並んでいる。更に、閉位置にある蓋部12、14を固定するため、ツメ34及び36がそれぞれ溝44及び46に結合している。この連結機構は、試料チューブ容器10をずっと安全に閉鎖できるが、十分な量の力が一時的な固定位置に打ち勝ったとき、再び単なる移動抵抗性だけを発揮する。
【0026】
別の典型的な実施形態において、図9における隆起部23、26、28及び箱フレーム18のピン16、及び蓋内の嵌合孔が示されているが、隆起部23、26、28及びピン16は、蓋部12、14の内部に配置でき、孔30及び32は箱フレーム18の中に配置できる。この実施形態は、蓋部12、14の外面が完全に滑らかになることを可能にする。また、もう一つの実施形態では、孔30及び32は、完全に材料を貫通する孔ではなく、材料における凹部の形態でもよい。
【0027】
図16は、1つの実施形態の上部の斜視図である。図17は、複数の容器10を保持するように設計された第2実施形態の運搬器110のための台板の平面図を示している。運搬器110は、運搬器台板112及び2つの側部支持体114、116を備えている。図16に示される運搬器の実施形態は、8つの容器10を保持できるように適した8つのセクション118を有している。本発明の運搬器は、多量の又は少量のセクションを有することができ、特定の数の容器を保持することに限定されない。運搬器台板112の各セクション118は、容器10を試料容器運搬器110の前面にぴったり重なるように保つ後壁120を備えている。図16に示される典型的な実施形態において、運搬器の台板112の前面は、各セクション118の前で複数の切欠き又は刻み目112を有している。図17A及び図17Bに示される別の実施形態では、台板1120の前面及び後面はそのような切欠き112を有している。これらの切欠き又は刻み目112は、複数の積み重ねられた容器10が運搬器110の中に収納されているときに、試料チューブ容器10の単純な除去を可能にしている。切欠き又は刻み目112は、容器10が運搬器の外に容易に滑り出るように容器10を押し上げるために、容器の下面にユーザーの指が接近することを可能にしている。図17A及び図17Bに最も示されているように、運搬器台板1120は、容器の位置を保つために、複数の仕切板1122及び複数の前角部及び後角部1124を有している。このため、ユーザーは、単に、角部1124の高さを乗り越えるのに十分なだけ遠くに容器を押し上げればよい。この高さは、一般的に、セクション間にある仕切板1122の高さよりは低い。台板112は、後部の刻み目が存在せず、後壁120が存在する点を除いて、台板1120と同一であってもよい。
【0028】
側部支持体114、116は、容器110の移動を支援するためのハンドルとして用いることができる開口124を備えている。更に、これらの開口は、より容易な運搬器の移動のために重量を抑制することによって、構造のために必要な材料の量を減らしている。これらの開口も、安定性と耐久性を犠牲にせずに用いられる材料の量を削減することにより、製造コストの縮小を可能にしている。側部支持体114、116は、側部支持体114、116の底部の傾斜脚128に対応する上部に傾斜溝126を有している。傾斜脚128及び傾斜溝126の間の対応する相互作用は、互いの上面で運搬器を滑らせることによって、運搬器を一緒に接続可能としている(図示せず)。この態様は、複数の運搬器が安全に移動でき、又は運搬器が倒れる虞なしに、複数の運搬器を安全に積み重ねることを可能にしている。運搬器の底面と運搬器がその上で静止しているいずれかの表面との間に適当な間隔が存在するように、側部支持体114、116の大きさが決められており、その結果、運搬器からの除去を支援するように、所望の容器の下側に指を容易に入れることができる。同様に、2以上の運搬器が積み重ねられているとき、側部支持体の大きさが、最上の運搬器内の容器の真下にユーザーの指を挿入できるように、運搬器下側の底面と最下の運搬器における容器の上面との間に適当な量のスペースを提供している。
【0029】
図19は、複数の除去可能な滑動台118を有する別の設計の運搬器1100の斜視図である。各滑動台は、後部支持体130及び前部支持体132との間に1つの容器をぴったりと保持できるように設計されている。滑動台118及び容器10は、そのとき、運搬器1100上に位置している。滑動台118は、対向する側面に溝136を有している。溝136は、所望の経路に沿って内側に及び外側に滑ることを促進するように、運搬器1100上の嵌合凸部(図示せず)に結合する。(図示せぬ)別の実施形態では、対向する凸部は滑動台上に配置されており、嵌合溝は運搬器上に配置されている。引きツメ134は、運搬器の前側に垂れ下がっており、運搬器1100から滑動台118及び容器10を引くために用いられており、又は運搬器1100の中に滑動台118及び容器10を押し込むために用いられている。運搬器110と同様に、運搬器1100は、複数の運搬器1100を積み重ねることを可能にする、傾斜脚128及び傾斜溝126を備えている。運搬器1100が滑動台118及び引きツメ134を利用するので、積み重ねられた運搬器の間に必要なスペースが皆無かそれに近く、それによって鉛直方向の収納スペースを抑制している。
【0030】
容器10はどのようなサイズであってもよく、どのような数の細長い目的物を保持するのに適していてもよい。好ましい実施形態は、複数のマイクロチューブ又はバイアルを保持するためである。容器は、チューブなしで空であってもよく、容器の中に空のチューブが備えられていてもよく、容器は、例えば、試料によって満たされたチューブを備えていてもよい。容器10は、特に、特定の機能を実行するのに必要な資料を保持するための、所定の一群のマイクロチューブを蓄えるのに適していてもよい。このため、例えば、容器10は、特定の手順を実行するためのキットの一部として提供されてもよく、そこで容器10は、手順を実行するのに必要な量で必要な試料の全てのチューブを備えている。このキットは、試料のチューブに加えて、支持説明書、工具などの要素を備えていてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の細長い目的物を保持するように設計されている容器であって、
底面及び側面を有するフレームと、
回転可能で対向する一対の蓋部であって、各蓋部が、前記フレームの側面に取り付けられ、且つ移動抵抗性のある開位置及び移動抵抗性のある閉位置を有しており、前記開位置にある前記蓋部が、起立している配置に前記容器を安定させるために前記底面と協働し、且つ前記閉位置にある前記蓋部が、完全に閉じられた容器を提供する、一対の蓋部と、
前記フレームの内部に取り付けられるラックであって、前記ラックが多数の孔又は環を備えており、各孔又は環が前記細長い目的物の中間部を受け入れるような大きさを有している、ラックと、
を備えている、容器。
【請求項2】
更に、前記容器の内側下部の中に複数の底部受容部を有しており、各底部受容部が、前記細長い目的物の1つの底部を受け入れるためのものである、
請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器内に前記細長い目的物が収納されているときに前記細長い目的物の回転を妨げるように、前記細長い目的物の特徴と協働するための1以上の回転防止特徴を備えている、
請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記1以上の回転防止特徴が、前記ラックの前記孔又は前記環の中に複数の刻み目又は溝を備えており、
前記複数の刻み目又は溝が、前記細長い目的物の外部にある線状隆起部と協働するような大きさを有し、且つ協働するように間隔を空けて配置されている、
請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記容器の内側下部の中に複数の底部受容部を有しており、各底部受容部が、前記細長い目的物の1つの底部を受け入れるためのものであり、
前記1以上の回転防止特徴が、前記複数の底部受容部のそれぞれに1以上の刻み目又は溝を備えており、各底部受容部が、前記細長い目的物の1つの底部にあるツメ又は線状隆起部に結合するように適合されている、
請求項3に記載の容器。
【請求項6】
対向する前記一対の蓋が、更に、移動抵抗性のある中間位置を備えており、該移動抵抗性のある中間位置において、前記蓋の前面及び後面が前記容器の底面に平行である、
請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記容器が、ユーザーの手の中に収まる大きさを有しており、
前記蓋が、ユーザーが片手を用いることによって、移動抵抗性のある閉位置から移動抵抗性のある開位置まで移動できる、
請求項1に記載の容器。
【請求項8】
前記容器が、外側の側面及び正面を有しており、該外側の側面及び正面が、前記容器の片手での使用を支援するための前記各蓋の上面にある親指のつかみ部を別として、滑らかである、
請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記容器が、マイクロチューブ又は極低温バイアルを蓄える大きさを有している、
請求項1に記載の容器。
【請求項10】
複数の細長い目的物を蓄えるシステムであって、
1以上の請求項1に記載の容器と、
1以上の容器を蓄えるための運搬器であって、前記運搬器が、底面、対向する2つの側面、及び複数の容器保持部を備えており、各容器保持部が、前記容器の1つに適合する大きさを有している、運搬器と、
を備えている、システム。
【請求項11】
前記運搬器が、前記運搬器から前記容器の片手による除去を可能にするための1以上の特徴を備えている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記片手による除去特徴が、前記底面に結合する1以上の滑動台を備えており、
各滑動台が、容器を収容するように構成されており、且つ前記滑動台から前記容器の除去を可能とするように前記底面から滑り出るように構成されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記片手による除去特徴が、前記容器の前記底面に複数の刻み目又は切欠きを備えており、
各刻み目又は切欠きが、それぞれの容器の下面にユーザーの指が接近することを可能にしている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記運搬器の各側部支持体は、上部、底部、前記側部支持体の前記上部にある溝、及び前記側部支持体の前記底部にある脚、を備えており、
前記脚及び前記溝が、上側の運搬器が下側の運搬器の上に積み重ねられるときに前記上側の運搬器の前記脚が前記下側の運搬器の前記溝に嵌合するような大きさを有している、
請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
複数の細長い目的物を蓄えるシステムであって、
請求項1に記載の1以上の容器を蓄えるための運搬器を備えており、
前記運搬器が、底面、対向する2つの側面、及び複数の容器保持部を備えており、各容器保持部が、前記容器の1つに適合する大きさを有しており、前記運搬器が、前記運搬器から前記容器の片手による除去を可能にするための1以上の特徴を備えている、
システム。
【請求項16】
前記容器の中に備えられる前記細長い目的物として、1以上のチューブ又はバイアルを備えている、
請求項1に記載の容器。
【請求項17】
前記1以上のマイクロチューブ又はバイアルが空である、
請求項16に記載の容器。
【請求項18】
少なくとも1つのマイクロチューブ又はバイアルが物質を備えている、
請求項16に記載の容器。
【請求項19】
前記物質が試薬である、
請求項18に記載の容器。
【請求項20】
前記容器が、所定の手順を実行するためのキットを備えており、
前記容器が、1以上のマイクロチューブ又はバイアルを備えており、各マイクロチューブ又はバイアルが、前記所定の手順を実行するための十分な量の前記物質を備えている、
請求項19に記載の容器。
【請求項21】
複数のマイクロチューブ又はバイアルを保持し、且つ、ユーザーの手の中に収まる大きさを有するように設計された、容器であって、
底面及び側面を有する、フレームと、
回転可能で対向する一対の蓋部であって、各蓋部が、前記フレームの側面に取り付けられ、且つ、移動抵抗性のある開位置、移動抵抗性のある中間位置、及び移動抵抗性のある閉位置を有しており、前記開位置において前記蓋部が、起立している配置に前記容器を安定させるために前記底面と協働しており、前記中間位置において前記蓋部の前面及び後面が前記底面と平行であり、前記閉位置において前記蓋部が完全に閉じられた容器を提供しており、前記蓋部が、ユーザーによる片手の操作を通じて、前記閉位置、前記中間位置、及び前記開位置の間で移動可能である、一対の蓋部と、
前記フレームの内部に取り付けられるラックであって、前記ラックが多数の孔又は環を備えており、各孔又は環が前記マイクロチューブ又は前記バイアルの中間部を受け入れるような大きさを有している、ラックと、
前記フレームの内側底部の中にある複数の底部受容部であって、該底部受容部がそれぞれ、前記マイクロチューブ又は前記バイアルの底部を受け入れるためのものである、複数の底部受容部と、
前記ラック、及び/又は前記底部受容部の中にある1以上の回転防止特徴であって、前記容器内に前記マイクロチューブ又は前記バイアルが収納されているときに前記マイクロチューブ又は前記バイアルの回転を妨げるように、前記マイクロチューブ又は前記バイアルの特徴と協働するためのものである、1以上の回転防止特徴と、
を備えている、容器。
【請求項22】
マイクロチューブ又はバイアルの貯蔵のための、運搬器及び容器システムであって、
請求項20に記載される1以上の容器と、
1以上の容器を蓄えるための運搬器であって、該運搬器が、底面、対向する2つの側面、及び複数の容器保持部を備えており、各容器保持部が、前記容器の1つに適合する大きさを有しており、前記底面が、前記運搬器から前記容器の片手による除去のために各容器の下面にユーザーの指が接近可能な大きさを有する、複数の刻み目又は切欠きを備えており、各側部支持体は、上部、底部、前記側部支持体の前記上部にある溝、及び前記側部支持体の前記底部にある脚、を備えており、前記脚及び前記溝が、上側の運搬器が下側の運搬器の上に積み重ねられるときに前記上側の運搬器の前記脚が前記下側の運搬器の前記溝に嵌合するような大きさを有している、運搬器と、
を備えている、システム。
【請求項23】
更に、前記容器の中に備えられる1以上のマイクロチューブ又はバイアルを備えている、
請求項21に記載の容器。
【請求項24】
少なくとも1つのバイアルが物質を備えている、
請求項23に記載の容器。
【請求項25】
前記容器が、所定の手順を実行するためのキットを備えており、
前記容器が、1以上のバイアルを備えており、各バイアルが、前記所定の手順を実行するための十分な量の前記物質を備えている、
請求項24に記載の容器。
【請求項26】
前記容器が、底部受容部におけるユニバーサル回転防止特徴を備えており、該底部受容部が、複数のマイクロチューブ又はバイアルの底部の設計に結合できるように設計されている、
請求項21に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−502082(P2011−502082A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531198(P2010−531198)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/080744
【国際公開番号】WO2009/055438
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510112800)オッカム・バイオラブズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Occam Biolabs, Inc.
【Fターム(参考)】