説明

マイクロニードルシート貼付剤とその製造方法および製造装置

【課題】低コストで生産効率が高く簡便に使用できる医薬品用途並びに化粧品用途のマイクロニードルシート貼付剤と、その製造方法および製造装置を提供する。
【手段】マイクロニードルの原型2を転写したマイクロニードルシートの成形型3と、成形型に水溶性高分子物質の水溶液を充填し乾燥凝固化して成形されるマイクロニードルシート凝固体4と、マイクロニードルシートの裏面に接着した支持体シート5と、前記、成形型3とマイクロニードルシート凝固体4と支持体シート5を一体化構成としたマイクロニードル貼付剤1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードル貼付剤とその製造方法および製造装置に関するものであり、特に皮膚表層において簡便に、安全かつ効率的に医薬品および化粧品などに用いられる機能性物質などを注入することが可能な、マイクロニードル貼付剤とその製造方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、経皮的に薬剤等を投与する方法として、生体内溶解性を有する水溶性高分子物質の基剤に目的とする機能性物質を含有させたマイクロニードルを皮膚に突き刺し、基剤が自己溶解することによって目的とする機能性物質を皮膚内に投与する機能性マイクロニードルの製造方法および製造装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には成形型に高分子樹脂を溶解させた溶液を塗布し、乾燥し、成形型から剥離することにより、高分子樹脂凝固体であるマイクロニードルシートの製造方法及び製造装置が開示されている。
【特許文献1】特開2008−6178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明には、成形型に高分子樹脂を溶解させた溶液を塗布し、乾燥し、その後シート状の基材を接着し、成形型から剥離してマイクロニードルシート凝固体を得るまでの製造方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、マイクロニードル貼付剤の最終製品形態においては、使用するまでの間針先の破損を保護するためのパッケージが必要であり、このパッケージを付加するためのコストが高コストになってしまうという問題点があった。
【0006】
他に、前記製造方法においては、マイクロニードルシートの凝固体全体に機能性物質が含まれてしまうことになっていた。機能性物質はマイクロニードルの先端部の皮膚へ突き刺し挿入する部分にだけに含まれていればよく先端部以外に含まれる機能性物質は全く無駄となっていた。特に高価なインスリンなどの場合には高コストになってしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、先端部が円錐形状または角錐形状のマイクロニードルの原型を転写したキャビティを有する成形型と、キャビティに水溶性高分子物質および目的とする機能性物質を溶解した水溶液を充填し乾燥凝固化して成形されるマイクロニードルシート凝固体と、マイクロニードルシート凝固体に接着された支持体シートからなることを特徴とするマイクロニードル貼付剤である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記マイクロニードル凝固体のマイクロニードル先端部に目的とする機能性物質を偏在させたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロニードルシート貼付剤である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記成形型からマイクロニードルシート凝固体と接着した支持体シートを一体にて剥離し貼付することを特徴とする請求項1および2に記載のマイクロニードルシート貼付剤である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記成形型が、樹脂材料で構成されることを特徴とする請求項1から3に記載のマイクロニードルシート貼付剤である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記成形型の樹脂材料が、厚さ400〜1200μmのシート形状であることを特徴とする請求項1から4に記載マイクロニードルシート貼付剤である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記成形型の樹脂材料が、可塑性を有することを特徴とする請求項1から5に記載のマイクロニードルシート貼付剤である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記成形型の樹脂材料が、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリ乳酸樹脂および熱可塑性樹脂のいずれかであることを特徴とするに請求項1から6に記載のマイクロニードルシート貼付剤である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記マイクロニードルシート凝固体のマイクロニードル基底部から先端までの長さが100〜1000μmで、長さと基底部の根元径または根元対角長とのアスペクト比が1.5〜3.5であることを特徴とする請求項1から7に記載のマイクロニードルシート貼付剤である。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記水溶性高分子物質が、デキストラン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸のいずれかの材料または、これらの材料の組み合わせた材料からなることを特徴とする請求項1から8に記載のマイクロニードルシート貼付剤である。
【0016】
請求項10に記載の発明は、前記機能性物質が、インスリン、ヘパリン、エリスロポエチンなどの蛋白質類、ワクチン類、細胞増殖因子物質をはじめ、ビタミン、コラーゲンなどのいずれかの材料からなることを特徴とする請求項1から9に記載のマイクロニードルシート貼付剤である。
【0017】
請求項11に記載の発明は、前記支持体シートが、紙類、樹脂フィルム、不職布のいずれかであることを特徴とする請求項1から10に記載のマイクロニードルシート貼付剤である。
【0018】
請求項12に記載の発明は、前記支持体シートの基材と水溶性高分子物質との接着面には粘着層が形成されていることを特徴とする請求項1から11に記載のマイクロニードルシート貼付剤である。
【0019】
請求項13に記載の発明は、先端部が円錐形状または角錐形状のマイクロニードルを有するマイクロニードルシート貼付剤の製造方法において、マイクロニードルの原型を転写したキャビティを有する成形型に水溶性高分子物質および目的とする機能性物質を溶解した水溶液を充填する工程と、水溶液の充填面に支持体シートを載置して接着する工程と、前記充填した水溶液を乾燥してマイクロニードル凝固体を作製して、前記成形型とマイクロニードルシート凝固体および凝固体に接着した支持体シートとの一体物を製造することを特徴とするマイクロニードルシート貼付剤の製造方法である。
【0020】
請求項14に記載の発明は、前記水溶液を充填する工程が、第1の充填工程と乾燥工程と第2の充填工程とからなることを特徴とする請求項13に記載のマイクロニードルシート貼付剤の製造方法である。
【0021】
請求項15に記載の発明は、前記充填する工程が、ディスペンサーまたはドクターブレードによる充填またはスキージにより印刷充填することを特徴とする請求項13および14に記載のマイクロニードルシート貼付剤の製造方法である。
【0022】
請求項16に記載の発明は、前記充填する工程が、減圧状態で行なうことを特徴とする請求項1から15に記載のマイクロニードルシート貼付剤の製造方法である。
【0023】
請求項17に記載の発明は、前記減圧状態が380Torr〜76Torrであることを特徴とする請求項16に記載のマイクロニードルシート貼付剤の製造方法である。
【0024】
請求項18に記載の発明は、前記マイクロニードルの原型は、マイクロニードルの形状に対応したシリコン基板、ガラス基板または金属材料であることを特徴とする請求項13および14に記載のマイクロニードルシート貼付剤の製造方法である。
【0025】
請求項19に記載の発明は、先端部が円錐形状または角錐形状のマイクロニードルを有するマイクロニードルシート貼付剤の製造装置において、マイクロニードルの原型を転写したキャビティを有する成形型に水溶性高分子物質および目的とする機能性物質を溶解した水溶液を充填する充填部と、水溶液の充填面に支持体シートを載置する載置部と、前記充填した水溶液を乾燥してマイクロニードル凝固体を作製する乾燥部と、前記成形型とマイクロニードルシート凝固体および凝固体に接着した支持体シートとの一体物を製造することを特徴とするマイクロニードルシート貼付剤の製造装置である。
【0026】
請求項20に記載の発明は、前記水溶液を充填する充填部が、第1の充填部と乾燥部と第2の充填部とからなることを特徴とする請求項19に記載のマイクロニードルシート貼付剤の製造装置である。
【0027】
請求項21に記載の発明は、前記充填部を気密性の容器で囲い、エア吸引部に接続して容器内を減圧することを特徴とする請求項19および20に記載のマイクロニードルシート貼付剤の製造装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によるマイクロニードルシート貼付剤は、成形型と、マイクロニードルシート凝固体および支持体シートを一体化構成としたものを最終製品形態としている。この一体化構成によると成形型をパッケージとしても使用しているのでパッケージを付加する必要がなくパッケージの材料コスト、付加のための製造コストを削減できるという効果がある。
【0029】
マイクロニードル貼付剤を使用する場合には、成形型からマイクロニードルシート凝固体と接着した支持体シートを剥離し貼付するだけの簡便な操作で使用することができる。
【0030】
尚、剥離後の成形型は使い捨てにされるがポリ乳酸樹脂など生分解性樹脂を用いることにより環境負荷の低減を図ることが可能である。
【0031】
前記マイクロニードル凝固体のマイクロニードル先端部に目的とする機能性物質を偏在させることにより、高価な機能性材料の使用の無駄が無くなるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態におけるマイクロニードルシート貼付剤とその製造方法および製造装置について説明する。図1は、本実施の形態のマイクロニードルシート貼付剤の概略図であり、図2は、本実施の形態の製造方法のフローチャートであり、図3は、本実施の形態の製造方法の工程図であり、図4は、本実施の形態の製造装置の一例である。
【0033】
マイクロニードルシート貼付剤1は、先端部が円錐形状または角錐形状のマイクロニードルの原型2を転写したキャビティを有する成形型3と、キャビティに水溶性高分子物質および目的とする機能性物質を溶解した水溶液を充填し乾燥凝固化して成形されるマイクロニードルシート凝固体4と、マイクロニードルシート凝固体4に接着された支持体シート5を一体として構成したマイクロニードル貼付剤1である。
【0034】
マイクロニードル貼付剤1を使用する場合には、マイクロニードルシート凝固体4と接着した支持体シート5を成形型3から剥離して皮膚面に貼付して使用する。貼付剤として使用するまで成形型3はパッケージとして機能するのでパッケージの低コスト化を図ることができる。使用済みの貼付剤の成形型3は使い捨て処理される。
【0035】
前記成形型3は、厚さ400〜1200μmのシート形状の可塑性の樹脂材料で構成される。シートの厚さはマイクロニードルの長さより僅か大きい寸法としている。適用可能な樹脂材料として、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリ乳酸樹脂および熱可塑性樹脂などが挙げられる。特にポリ乳酸樹脂のような環境負荷の少ない樹脂を使用することができる。
【0036】
前記先端部が円錐形状または角錐形状のマイクロニードル凝固体4の基底部から先端までの長さは、100〜1000μmで長さと基底部の根元径または根元対角長とのアスペクト比が1.5〜3.5とすることにより皮膚表面に突き刺し挿入しやすい形状にしている。
【0037】
前記マイクロニードル凝固体4の基剤である水溶性高分子物質は、生体内溶解性のデキストラン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸のいずれかの材料、またはこれらの材料の組み合わせた材料を使用しているので安全性が高い。
【0038】
前記マイクロニードル凝固体4に含まれる機能性物質は、インスリン、ヘパリン、エリスロポエチンなどの蛋白質類、ワクチン類、細胞増殖因子物質をはじめ、ビタミン、コラーゲン、ヒアルロン酸などの材料を使用することができる。
【0039】
前記マイクロニードル凝固体4のマイクロニードル先端部に目的とする機能性物質を偏在させた構成としたものは、目的とする機能性物質の使用量を低減することができ低コスト化を図ることができる。
【0040】
前記支持体シート5は、柔軟性のある紙類、不職布およびフィルムなどのいずれかの材料を使用している。支持体シート5の基材と水溶性高分子物質との接着面には粘着層が形成されているのでマイクロニードルシート凝固体4および皮膚面へ接着することができる。
【0041】
図2に示すステップ101(S101)の原型2の作製工程を行う。具体的には、図3(a)に示すように、マイクロニードルシートを製造するための成形型3を作製するための原型2を作製するものである。原型2は、マイクロニードルの形状に対応したシリコン基板、ガラス基板または金属材料など公知の加工技術を適用することができる。
【0042】
次に、図2に示すステップ102(S102)の成形型3の作製工程を行う。具体的には図3(b)に示すように、マイクロニードルの原型2を転写してマイクロニードルのキャビティを有する成形型3を作製する。ここでは原型2にシリコン樹脂の注型で作製する。他に射出成形、ナノ・インプリント法の適用が可能である。
【0043】
次に、図2に示すステップ103(S103)の水溶性高分子物質と目的とする機能性物質を溶解した水溶液の充填工程を行う。具体的には図3(c)に示すように、ここでは成形型3に水溶性高分子物質と目的とする機能性物質を溶解した水溶液を滴下してドクターブレードを用いて充填する。他にディスペンサーによる充填、スキージによる印刷法を適用することが可能である。
【0044】
前記充填する工程において、380Torr〜76Torrの減圧状態で行なうことにより気泡の除去およびニードルの先端部まで十分充填することができるので欠陥のないマイクロニードルシートを製造することができる。
【0045】
次に、図2に示すステップ104(S104)の支持体シート5の載置と乾燥工程を行う。具体的には図3(d)に示すように、乾燥することにより水溶性高分子物質と目的とする機能性物質を溶解した水溶液は凝固し支持体シート5と接着してマイクロニードル凝固体4となる。成形型3、マイクロニードル凝固体4、支持体シート5は一体に結合構成され、マイクロニードル貼付剤1が完成する。
【0046】
次に、マイクロニードル先端部に目的とする機能性物質を偏在させる工程について説明する。
【0047】
次に、図2に示すステップ103a(S103a)の第1の充填工程を行う。この工程では水溶性高分子物質と目的とする機能性物質を溶解した水溶液をニードルの先端部に充填する。この工程ではディスペンサーによる定量充填が望ましい。充填後ステップ104a(S104a)で乾燥する。
【0048】
次に、図2に示すステップ103b(S103b)の第2の充填工程を行う。この工程では水溶性高分子物質の水溶液をニードルに基部に充填する。この充填工程ではドクターブレード、ディスペンサー、スキージによる印刷法の適用が可能である。
【0049】
次に、図2に示すステップ104(S104)の支持体シート5の載置と乾燥工程を行う。具体的には図3(e)に示すように、乾燥することにより水溶性高分子物質と目的とする機能性物質を溶解した水溶液はマイクロニードル凝固体4となり支持体シート5と接着する。成形型3、マイクロニードル凝固体4、支持体シート5は一体に結合構成され、マイクロニードルの先端部に機能性物質が偏在した2層構造のマイクロニードル貼付剤13が完成する。
【0050】
図4(a)に示すように、先端部が円錐形状または角錐形状のマイクロニードルを有するマイクロニードルシート貼付剤の製造装置図において、マイクロニードルの原型を転写したキャビティを有する成形型3に水溶性高分子物質および目的とする機能性物質を溶解した水溶液の充填が充填部6で行われる。水溶液の充填面に支持体シート5を載置し充填した水溶液の乾燥は、載置部7および乾燥部8で行われる。このようにして、成形型3とマイクロニードルシート凝固体4および凝固体に接着した支持体シート5との一体物であるマイクロニードルシート貼付剤1製造することができる製造装置である。
【0051】
図4(b)に示すように2層構造のマイクロニードルシート貼付剤13の製造装置は、第1の充填部9と乾燥部8と第2の充填部10を設けることにより、先端部に機能性物質が偏在した2層構造のマイクロニードル貼付剤13を製造することができるでものである。
【0052】
前記充填部6を気密性の容器11で囲い、エア吸引部12に接続して容器内を減圧することで欠陥のないマイクロニードルシート貼付剤を製造することができる製造装置である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のマイクロニードルシート貼付剤の断面図
【図2】本発明のマイクロニードル貼付剤の製造方法のフローチャート
【図3】本発明のマイクロニードル貼付剤の製造方法の工程図
【図4】本発明のマイクロニードルシート貼付剤の製造装置
【符号の説明】
【0054】
1 マイクロニードルシート貼付剤
2 原型
3 成形型
4 マイクロニードルシート凝固体
5 支持体シート
6 充填部
7 載置部
8 乾燥部
9 第1の充填部
10 第2の充填部
11 気密性の容器
12 エア吸引部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部が円錐形状または角錐形状のマイクロニードルの原型を転写したキャビティを有する成形型と、キャビティに水溶性高分子物質および目的とする機能性物質を溶解した水溶液を充填し乾燥凝固化して成形されるマイクロニードルシート凝固体と、マイクロニードルシート凝固体に接着された支持体シートからなることを特徴とするマイクロニードルシート貼付剤。
【請求項2】
前記マイクロニードル凝固体のマイクロニードル先端部に目的とする機能性物質を偏在させたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロニードルシート貼付剤。
【請求項3】
前記成形型からマイクロニードルシート凝固体と接着した支持体シートを剥離し貼付することを特徴とする請求項1および2に記載のマイクロニードル貼付剤。
【請求項4】
前記成形型は、樹脂材料で構成されることを特徴とする請求項1から3に記載のマイクロニードルシート貼付剤。
【請求項5】
前記成形型の樹脂材料は、厚さ400〜1200μmのシート形状であることを特徴とする請求項1から4に記載のマイクロニードルシート貼付剤。
【請求項6】
前記成形型の樹脂材料は、可塑性を有することを特徴とする請求項1から5に記載のマイクロニードルシート貼付剤。
【請求項7】
前記成形型の樹脂材料は、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリ乳酸樹脂および熱可塑性樹脂のいずれかであることを特徴とするに請求項1から6に記載のマイクロニードルシート貼付剤。
【請求項8】
前記マイクロニードルシート凝固体のマイクロニードル基底部から先端までの長さは100〜1000μmで、長さと基底部の根元径または根元対角長とのアスペクト比が1.5〜3.5であることを特徴とする請求項1から7に記載のマイクロニードルシート貼付剤。
【請求項9】
前記水溶性高分子物質は、デキストラン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸のいずれかの材料または、これらの材料の組み合わせた材料からなることを特徴とする請求項1から8に記載のマイクロニードルシート貼付剤。
【請求項10】
前記機能性物質は、インスリン、ヘパリン、エリスロポエチンなどの蛋白質類、ワクチン類、細胞増殖因子物質をはじめ、ビタミン、コラーゲンなどのいずれかの材料からなることを特徴とする請求項1から9に記載のマイクロニードル貼付剤。
【請求項11】
前記支持体シートは、紙類、樹脂フィルム、不職布のいずれかであることを特徴とする請求項1から10に記載のマイクロニードルシート貼付剤。
【請求項12】
前記支持体シートの基材と水溶性高分子物質との接着面には粘着層が形成されていることを特徴とする請求項1から11に記載のマイクロニードルシート貼付剤。
【請求項13】
先端部が円錐形状または角錐形状のマイクロニードルを有するマイクロニードルシート貼付剤の製造方法において、マイクロニードルの原型を転写したキャビティを有する成形型に水溶性高分子物質および目的とする機能性物質を溶解した水溶液を充填する工程と、
水溶液の充填面に支持体シートを載置して接着する工程と、前記充填した水溶液を乾燥してマイクロニードル凝固体を作製して、前記成形型とマイクロニードルシート凝固体および凝固体に接着した支持体シートとの一体物を製造することを特徴とするマイクロニードルシート貼付剤の製造方法。
【請求項14】
前記水溶液を充填する工程が、第1の充填工程と乾燥工程と第2の充填工程とからなることを特徴とする請求項13に記載のマイクロニードルシート貼付剤の製造方法。
【請求項15】
前記充填する工程が、ディスペンサーまたはドクターブレードによる充填またはスキージにより印刷充填することを特徴とする請求項13および14に記載のマイクロニードルシート貼付剤の製造方法。
【請求項16】
前記充填する工程が、減圧状態で行なうことを特徴とする請求項1から15に記載のマイクロニードルシートの製造方法。
【請求項17】
前記減圧状態が380Torr〜76Torrであることを特徴とする請求項16に記載のマイクロニードルシートの製造方法。
【請求項18】
前記マイクロニードルの原型は、マイクロニードルの形状に対応したシリコン基板、ガラス基板または金属材料であることを特徴とする請求項13および14に記載のマイクロニードルシート貼付剤。
【請求項19】
先端部が円錐形状または角錐形状のマイクロニードルを有するマイクロニードルシート貼付剤の製造装置において、マイクロニードルの原型を転写したキャビティを有する成形型に水溶性高分子物質および目的とする機能性物質を溶解した水溶液を充填する充填部と、
水溶液の充填面に支持体シートを載置する載置部と、前記充填した水溶液を乾燥してマイクロニードル凝固体を作製する乾燥部と、前記成形型とマイクロニードルシート凝固体および凝固体に接着した支持体シートとの一体物を製造することを特徴とするマイクロニードルシート貼付剤の製造装置。
【請求項20】
前記水溶液を充填する充填部が、第1の充填部と乾燥部と第2の充填部とからなることを特徴とする請求項19に記載のマイクロニードルシート貼付剤の製造装置。
【請求項21】
前記充填部を気密性の容器で囲い、エア吸引部に接続して容器内を減圧することを特徴とする請求項19および20に記載のマイクロニードルシート貼付剤の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−94414(P2010−94414A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269744(P2008−269744)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(591090677)旭光精工株式会社 (5)
【Fターム(参考)】