説明

マイクロバブル発生装置及び風呂システム

【課題】簡単且つ小型の装置により高濃度のマイクロバブルを安定して発生させ、且つ気液混合タンクから大径気泡が流出する問題を防止する。
【解決手段】ポンプ1で水5を吸引する吸引管4に空気吸引のためのオリフィス固定弁7を取付け、ポンプ1からの水5を導入して攪拌する気液混合タンク10を設け、気液混合タンク10の混合室13内上部の空気相A’の圧力を検出する圧力検出器18を設置し、圧力検出器18の検出圧力18aを入力して、水温が最高使用温度の時にオリフィス固定弁7から吸引される空気Aのすべてが気液混合タンク10の水に溶解される圧力を保持するようポンプ1の吐出圧力を設定制御する制御装置19を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中にマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生装置、及びマイクロバブル発生装置と風呂水を清浄にする風呂水循環装置とを備えた風呂システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水中にマイクロバブル(微細気泡)を生じさせて水を乳白色に変化させる気泡発生装置が種々提案されており、水中にマイクロバブルを発生させると温浴効果、剥離・洗浄効果、殺菌・浄化効果等が期待できることが知られている。
【0003】
従来の気泡発生装置としては、液体を貯溜する液体貯溜槽に吸水管路を介して連結されるポンプと、吸水管路の途中に分岐して連結され、ポンプの駆動に伴い吸水管路内に気体を吸い込む気体吸込口と、ポンプの吐出側と液体貯溜槽とを連結する吐水管路とを備え、ポンプが駆動された際には、液体貯溜槽内から液体が、気体吸込口から気体がそれぞれ吸い込まれ、その気体をポンプ内で液体に加圧溶解して、その溶解気体を含有する液体を液体貯溜槽内に吐出することにより、液体貯溜槽内に微細気泡を発生するようにした構成において、ポンプの吐出圧力を検出する圧力検出手段と、気体吸込口から吸い込まれる気体の吸込み量を変化させる気体吸込量調整手段と、圧力検出手段の検出結果に基づき、気体吸込量調整手段を駆動制御する制御手段とを備え、入浴中に水面(吸込実揚程)が変化しても微細気泡の発生状態を一定に保持するようにしたものがある。そしてこの装置では、水に溶解されなかった空気は、溶解タンクに備えたエア抜き弁で分離して大気に排出するようにしている(特許文献1等参照)。
【0004】
また、上記と同様の構成を有する気泡発生装置において、循環ポンプからの水を気液混合タンク内上部に設けた噴射ノズルにより噴射して浴槽水との衝突により空気を巻込んで攪拌し水に対する空気の溶解量を高めるようにしたものがある。そしてこの装置では、気液混合タンク内の空気が減少したときにそれを補填するために、ベンチュリの空気導入口の電磁弁を設定時間で開いて空気を導入する、或いは気液混合タンク内の液面高さをレベルセンサで検出して電磁弁の開閉を制御する等の方法によって吸引する空気量を調整しており、従ってこの装置では前記特許文献1の溶解タンクに備えられたエア抜き弁を省略している(特許文献2等参照)。
【特許文献1】特開平09−173404号公報
【特許文献2】特開2001−179241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の気泡発生装置は、前記特許文献1及び特許文献2に示されるように、ポンプにより水を吸引すると同時に空気を吸引して加圧することにより空気を水に溶解し、この空気が溶解された加圧水の圧力を減圧開放することによって水に溶解した空気をマイクロバブルの形で発生させるという原理を用いたものであるが、水に対する空気の溶解量は例えば0.5〜0.7mg/L程度と非常に微量であるため、吸引する空気量と水に溶解する空気量とのマッチング(バランス)を図るために従来から種々の方式が考えられてきた。
【0006】
即ち、従来では、特許文献1のように、ニードルを備えた吸気量調整弁により吸引する空気量を調整し、この時、吸気量調整弁では微量な空気の取込み調整が困難なために空気を余分に取り込むようにして水に溶解できなかった余剰の空気は外部に排出する方式と、特許文献2に示すように、ベンチュリの空気導入路を電導弁で開閉することにより取り込む空気量が水に溶解する空気量になるように制御する方式とが主に存在している。
【0007】
しかし、特許文献1ではニードルを備えた吸気量調整弁によって取り込む空気量を調整するとしているが、微量な空気の取り込みを吸気量調整弁で調整することは非常に困難であり、装置が非常に高価になってしまい、気泡発生装置等に適用することは実際上不可能である。
【0008】
従って、特許文献1を実施する場合には、前記吸気量調整弁に調整が比較的ラフで安価に提供できるものを用いることになるが、この場合には、空気が余分に吸引されるようにして水に溶解できなかった余剰の空気は溶解タンクに備えたエア抜き弁から大気に排気する必要があり、よって構成が複雑になるという問題がある。更に、特許文献1では、ポンプで吸引した液体に空気を巻き込んで溶解させ、それを単に溶解タンクを経て液体貯溜槽に導くのみであるため、液体に対する空気の溶解性を高めることができず、そのために液体貯溜槽で発生するマイクロバブルの発生量が低く制限されてしまう問題がある。
【0009】
一方、特許文献2に示す装置の場合には、気液混合タンク内の空気が減少したときに、それを補填するためにベンチュリの空気導入口の電磁弁を開く制御を行って取り込む空気量を調節するようにしているため、前記特許文献1のような高価な吸気量調整弁は不要であり、更に、溶解タンクに設けているエア抜き弁を省略することができ、更に、加圧水を噴射ノズルによって気液混合タンク内に噴射するようにしているので、水と空気の攪拌を高めることができる。
【0010】
しかし、特許文献2では電磁弁でベンチュリを開閉することで空気の取込みを制御しているために、制御が非常に難しくなるという問題がある。即ち、電磁弁を設定時間で開いて空気を導入するようにした場合には、吸引する空気量と水に溶解する空気量とのマッチングを図ることが非常に難しく、吸引する空気量が不足した場合にはマイクロバブルの発生量が減少し、また吸引する空気量が過剰になった場合には大径気泡が気液混合タンクから流出して浴槽に大径気泡がゴボゴボと音を立てて排出されるという問題が生じる。また、気液混合タンク内の液面高さをレベルセンサで検出して電磁弁の開閉を制御するようにした場合には、気液混合タンクの構成が複雑になって装置が高価になる問題がある。即ち、気液混合タンクでは加圧水の噴射により大径気泡を生じながら攪拌されているために、液面レベルの検出が技術的に難しく装置が複雑になってしまう。更に、特許文献2では、電磁弁が開閉して空気の吸引・遮断が行われる度にポンプの吐出圧力が変動し、このために前記気液混合タンク内で攪拌によって生じた大径気泡が空気溶解水に同伴されて流出し浴槽に大径気泡が排出される問題がある。従って、特許文献2において気液混合タンクから大径気泡が流出する問題を低減するためには、前記気液混合タンクの上下の長さ寸法を大きくして大径気泡が分離され易くすることが有効であるが、こうした場合には装置が大型化してしまう問題がある。
【0011】
また、前記特許文献1、2に示された気泡発生装置では、水の温度が変化した場合におけるマイクロバブルの発生については全く考慮されていない。
【0012】
図4は、一定圧力において水の温度を0℃〜40℃まで変化させた際における水に対する空気の溶解量(飽和濃度)を示したものである。図4によれば水温が高くなると、水に対して空気が溶解し難くなることが明らかである。0℃の水に対する空気の溶解量は38mg/Lであるのに対し、40℃の水に対する空気の溶解量は17.8mg/Lであり、0℃の水に対して40℃の水は空気の溶解量が半分に低下する。
【0013】
従って、特許文献1、2の気泡発生装置において水温を考慮した空気の吸引量の制御を行うようにした場合には、前記制御が更に複雑になってしまう可能性がある。
【0014】
本発明は、上記実情に鑑みてなしたもので、簡単且つ小型の装置により高濃度のマイクロバブルを安定して発生させることができ、且つ気液混合タンクから大径気泡が流出する問題を防止できるようにしたマイクロバブル発生装置、及び該マイクロバブル発生装置に風呂水循環装置を組み合わせて、マイクロバブル発生装置によるマイクロバブルの発生と、前記風呂水循環装置により生成した清浄水の浴槽への循環とを行えるようにした風呂システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、吸引管により水と空気を吸引して加圧し吐出管に吐出するポンプと、空気が混入して加圧された水を混合室内に上部から噴射して水と空気を攪拌し空気を水に溶解させる気液混合タンクと、該気液混合タンクの下部から導出した水を減圧してマイクロバブルを発生させる減圧ノズルと、を備えたマイクロバブル発生装置であって、前記吸引管に空気吸引のためのオリフィス固定弁を取付け、且つ前記気液混合タンクの混合室内上部の空気相の圧力を検出する圧力検出器を設置し、該圧力検出器の検出圧力を入力し、水温が最高使用温度の時に前記オリフィス固定弁から吸引される空気のすべてが気液混合タンクの水に溶解される圧力を保持するよう前記ポンプの吐出圧力を設定制御する制御装置を備えたことを特徴とするマイクロバブル発生装置、に係るものである。
【0016】
上記マイクロバブル発生装置において、前記制御装置は、入浴時温度を最高使用温度としてポンプによる吐出圧力を設定することは好ましい。
【0017】
また、上記マイクロバブル発生装置において、前記オリフィス固定弁の吸気口径が0.10〜0.20mmであり、前記ポンプによる吐出圧力が2.5〜3.2kg/cm2であることは好ましい。
【0018】
また、上記マイクロバブル発生装置において、前記気液混合タンクは、前記吐出管の水を混合室内上部から下向きに噴射する噴射ノズルと、該噴射ノズルから噴射した水が鉛直に衝突するように混合室内に配置され且つ前記混合室の内壁面との間に環状の間隔が形成された衝突板とを有することは好ましい。
【0019】
また、本発明は、少なくとも濾過器と循環ポンプを有する風呂水循環装置を、前記吸引管に循環配管を介して接続すると共に、前記吸引管における循環配管の接続部より前記ポンプ側と前記循環配管の夫々に前記接続部側への水の逆流を阻止する逆止弁を設け、前記マイクロバブル発生装置によるマイクロバブルの発生と、前記風呂水循環装置により処理した清浄水を浴槽へ戻す循環とを行うようにしたことを特徴とする風呂システム、に係るものである。
【0020】
上記風呂システムにおいて、前記風呂水循環装置が加熱器を有することは好ましい。
【0021】
また、上記風呂システムにおいて、前記風呂水循環装置が殺菌手段を有することは好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のマイクロバブル発生装置によれば、水を吸引する吸引管に空気吸引のためのオリフィス固定弁を取付け、且つ気液混合タンクの混合室内上部の空気相の圧力を検出する圧力検出器を設置し、該圧力検出器の検出圧力を入力し、水温が最高使用温度の時に前記オリフィス固定弁から吸引される空気のすべてが気液混合タンクの水に溶解される圧力を保持するよう前記ポンプの吐出圧力を設定制御する制御装置を備えたので、簡単な構成のオリフィス固定弁を用いることで、従来のような空気の吸引量を制御するための複雑な構成を省略することができ、よって装置の構成を著しく簡略化して安価な装置を提供できるという優れた効果を奏し得る。
【0023】
また、水に対する空気の溶解量が低い最高使用温度の時にオリフィス固定弁から吸引される空気のすべてが気液混合タンク内で水に溶解されるようにポンプの吐出圧力を設定制御しているので、水温が変化しても、気液混合タンク内に溶解できない余剰の空気が蓄積することがなくなり、よって大径気泡が減圧ノズルに導かれて排出される問題を低減できる効果がある。
【0024】
また、ポンプの吐出圧力が常に略一定に保持されて急激に変動することがないため、気液混合タンクで分離される大径気泡が水に同伴されて減圧ノズルに流出する問題を更に低減できる効果がある。
【0025】
また、気液混合タンクは、吐出管の水を混合室内上部から下向きに噴射する噴射ノズルと、該噴射ノズルから噴射した水が鉛直に衝突するように混合室内に配置され且つ前記混合室の内壁面との間に環状の間隔を形成した衝突板とを有しているので、噴射ノズルから噴射した水は至近距離で衝突板に衝突することにより気泡を生じながら空気と激しく攪拌されるため、水に対する空気の溶解が著しく高められる効果がある。更に、前記衝突板の中心側に衝突した水は外周側へ移動する間に上昇流を形成して循環するようになるため、衝突時に生じた大径の気泡も水と共に循環するようになり、よって大径気泡が衝突板の下方へ導出されることが防止されるので、前記気液混合タンク内に溶解できない余剰の空気が蓄積することがないこと、及び前記ポンプの吐出圧力が急激に変動しないことと相俟って、気液混合タンクを小型化しても空気の溶解の向上と大径気泡の下流への流出防止を同時に達成できる効果がある。
【0026】
更に、本発明の風呂システムでは、少なくとも濾過器と循環ポンプを有する風呂水循環装置を、前記吸引管に循環配管を介して接続すると共に、前記吸引管における循環配管の接続部より前記ポンプ側と前記循環配管の夫々に前記接続部側への水の逆流を阻止する逆止弁を設けたので、1つの吸引管により取り出した風呂水を、前記マイクロバブル発生装置に導いてマイクロバブルを発生させ、また、前記風呂水循環装置に導いて処理して得られた清浄水を浴槽へ循環することができ、よって風呂水循環装置により処理した清浄な風呂水にマイクロバブル発生装置により高濃度のマイクロバブルを発生させて効果的且つ爽快な入浴ができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0028】
図1は本発明を実施するマイクロバブル発生装置の一例を示すもので、浴槽2に備えるようにしたマイクロバブル発生装置41の場合を示している。図1において、1はポンプ(渦流ポンプ)であり、該ポンプ1は浴槽2に備えた取り出し口3から吸引管4を介して浴槽2内の水5(温水)を吸引して加圧し、加圧した水5を吐出管6に吐出するようにしている。
【0029】
前記吸引管4におけるポンプ1の入口には、開度が一定のオリフィス固定弁7を備えて空気Aを吸引するようにした空気取入管8を接続している。なお、前記オリフィス固定弁7は、例えば0.10〜0.20mmの吸気口径を備えたものを用いることができる。更に、該空気取入管8には、前記吸引管4の水5がオリフィス固定弁7を通って外部に噴出するのを防止するための逆止弁9を設けている。
【0030】
前記オリフィス固定弁7によりA空気が混合されポンプ1により加圧された水5は、吐出管6により気液混合タンク10に導かれ、該気液混合タンク10内で攪拌されて水5に対する空気Aの溶解が高められるようになっている。気液混合タンク10で空気Aの溶解が高められた空気溶解水5aは、気液混合タンク10の底部の導出口13aから供給管11に導出された後、浴槽2に備えた減圧ノズル12に導かれ、減圧ノズル12で減圧されて浴槽2内に噴出されることにより浴槽2の水5中にマイクロバブルSを発生するようになっている。
【0031】
図2は前記気液混合タンク10の詳細を示したもので、気液混合タンク10の上部には、前記吐出管6から導かれた水5を混合室13内の上部から下向きに噴射する噴射ノズル14を備えている。更に、前記混合室13内の上下中間位置には、前記噴射ノズル14から噴射した水5を衝突させて水5と空気相A’の空気との攪拌を促進させるようにした水平な例えば円盤状の衝突板15を配置している。該衝突板15は、前記混合室13の内壁面13bとの間に環状の間隔16を形成している。図2では衝突板15は固定部材17によって混合室13の天井面に吊り下げ固定されている。
【0032】
前記衝突板15は、噴射ノズル14からの距離Lと、混合室13の内壁面13bとの間の環状の間隔16の大きさとを選定して設ける。
【0033】
更に、前記気液混合タンク10には、混合室13内上部における空気相A’の圧力を検出する圧力検出器18が設置してあり、該圧力検出器18の検出圧力18aは制御装置19に入力されている。制御装置19は、水温が最高使用温度の時に前記オリフィス固定弁7から吸引される空気Aのすべてが気液混合タンク10内の水5に溶解される圧力を保持するように、前記ポンプ1に制御信号19aを送って該ポンプ1の吐出圧力を設定制御するようにしている。図1では制御装置19に最高使用温度設定手段20を設けており、該最高使用温度設定手段20により使用する湯の最高温度を例えばタッチ盤等により設定できるようにしている。最高使用温度設定手段20は備えなくてもよいが、この最高使用温度設定手段20を備えると、使用する湯の温度を変更する必要がある場合に好適である。最高使用温度としては、入浴時における通常の湯の温度である例えば41〜43℃を設定温度として任意に選定することができる。なお、前記ポンプ1には吐出圧力が2.5〜3.2kg/cm2を保持できるものを用いることができる。
【0034】
また、図1の吸引管4には切替バルブ21aを介して給湯管22が接続してあり、一方、前記供給管11には切替バルブ21bを介して先端に図示しない減圧ノズルを有するシャワーヘッドを備えたシャワー用配管23が接続してあり、前記切替バルブ21aと切替バルブ21bを同時に切り換えることにより、給湯管22からの水(温水)を吸引管4からポンプ1及び気液混合タンク10を経て前記シャワー用配管23に導き、減圧ノズルにより減圧してシャワーヘッドからマイクロバブルSの水を噴出できるようにしている。この時、給湯管22からの温水の温度が前記浴槽2の湯と同等或いはそれより低い温度の場合には、そのまま使用できるが、給湯管22からの温水の温度を前記浴槽2の湯より高い温度で使用する場合には、給湯管22からの温水の温度を最高使用温度として設定することが好ましい。
【0035】
図3は前記制御装置19における制御回路24の一例を示したもので、この制御回路24はノイズフィルター25、電源スイッチ26を介して漏電遮断機27に接続されており、また、前記漏電遮断機27には本発明のマイクロバブル発生装置41に取り付けた傾斜スイッチ28が接続されている。
【0036】
前記制御回路24には、前記圧力検出器18からの検出圧力18a(図1)が入力されていると共に、前記ポンプ1のポンプモータの回転を検出しているエンコーダ29からの回転数信号が入力されており、更に、制御回路24には運転のON・OFFを行う運転操作スイッチ30が設けられている。
【0037】
以下に上記形態の作用を説明する。
【0038】
図1のマイクロバブル発生装置41において、図3に示した制御装置19の運転操作スイッチ30を操作してポンプ1を駆動すると、浴槽2の水5が吸引管4に吸引されると共に開度が固定されたオリフィス固定弁7から所定量の空気Aが吸引されて加圧され、空気Aが混入した水5は吐出管6を介して気液混合タンク10に供給される。
【0039】
気液混合タンク10に導かれた水5は、混合室13内の上部に設けた噴射ノズル14から下向きに噴射されて混合室13内に設けた衝突板15に鉛直に衝突する。衝突板15に至近距離で激しく衝突した水5は、発泡しながら空気Aと良好に攪拌されて空気Aが効果的に溶解される。この時、衝突板15と噴射ノズル14との距離Lと、衝突板15の外周面と混合室13の内壁面13bとの間の環状の間隔16の寸法を選定することにより、衝突板15の中心側に衝突した水5が外周側へ移動する間に上昇流を形成して循環するようになるため、衝突時に生じた大径の気泡も水5と共に循環するようになり、よって大径気泡が衝突板15の下方へ流れ出ることが防止される。従って、気液混合タンク10の底部の導出口13aに接続された供給管11には、大径気泡を含まない空気溶解水5aのみが導出され、この空気溶解水5aが減圧ノズル12に供給されて減圧されることにより、浴槽2内に安定した高い濃度のマイクロバブルSが発生する。
【0040】
この時、気液混合タンク10に設けた圧力検出器18の検出圧力18aが制御装置19に入力されており、制御装置19は、水温が最高使用温度の時に前記オリフィス固定弁7から吸引される空気Aのすべてが気液混合タンク10内の水5に溶解される圧力を保持するように、前記ポンプ1に制御信号19aを送って該ポンプ1の吐出圧力を設定制御しているため、水に対する溶解性が最も低い最高使用温度において前記オリフィス固定弁7から吸引される空気Aの吸引量と、気液混合タンク10内の水5に対する空気の溶解量とがマッチングし、よって高濃度のマイクロバブルSを浴槽2内に発生させて浴槽2の水5を良好な乳白色に変化することができる。更に、余剰の空気が気液混合タンク10内に蓄積されることがないので、大径気泡が供給管11に流出して浴槽2内に噴出することも防止できる。
【0041】
本発明者は上記マイクロバブル発生装置41について下記の試験を実施した。
【0042】
混合室13の内径が66mm、長さが153mmであり、衝突板15の噴射ノズル14との距離Lが58mm、衝突板15の外周面と混合室13の内壁面13bとの間の環状の間隔16の寸法が2mm、衝突板15と混合室13の底面との距離が75mmである気液混合タンク10を用い、41℃の温水を用いた場合において、オリフィス固定弁7の吸気口径とポンプ1の吐出圧力を種々変更して試験を実施したところ、オリフィス固定弁7の吸気口径を0.15mm、ポンプ1の吐出圧力を2.8kg/cm2とした時に、非常に濃厚なマイクロバブルSを安定して発生させることができ、且つ気液混合タンク10から大径気泡が供給管11に流出する問題も確実に防止することができた。なお、上記試験には、透明材料で構成した気液混合タンク10を使用したことにより、ポンプ1の吐出圧力が2.8kg/cm2の時に、前記気液混合タンク10内に安定した空気相A’が形成されて空気が蓄積されることがなく、且つ大径気泡が供給管11に流出することがないことが確認できた。
【0043】
上記において、オリフィス固定弁7の吸気口径、ポンプ1の能力、気液混合タンク10の製作精度等にはバラツキがあるため、これらを考慮してオリフィス固定弁7の吸気口径は0.10〜0.20mmの範囲とし、またポンプ1の吐出圧力は2.5〜3.2kg/cm2の範囲のものを選定して用いることができる。
【0044】
尚、前記浴槽2の湯の温度が前記設定した最高使用温度より低くなった場合には、図4から明らかなように、水に対する空気の溶解性は高まる方向に移行することになるので、何ら問題を生じることはない。
【0045】
上記したように、図1のマイクロバブル発生装置によれば、簡単な構成のオリフィス固定弁7を用いることが可能になるため、従来のような空気の吸引量を制御するための複雑な構成を省略することができ、よって装置の構成を著しく簡略化して安価に提供することができる。
【0046】
また、空気の溶解量が低い最高使用温度の水温の時にオリフィス固定弁7から吸引される空気Aのすべてが気液混合タンク10の水5に溶解されるようにポンプ1の吐出圧力を設定制御しているので、水温が変化しても、気液混合タンク10内に溶解できない余剰の空気が蓄積されることがなくなり、よって大径気泡が減圧ノズル12に導かれて排出されるという問題が防止される。また、ポンプ1の吐出圧力が常に略一定に保持されて急激に変動することがないため、気液混合タンク10で分離される大径気泡が空気溶解水5aに同伴されて減圧ノズル12から浴槽2に流出する問題を更に低減できる。
【0047】
また、気液混合タンク10は、吐出管6の水5を混合室13内上部から下向きに噴射する噴射ノズル14と、該噴射ノズル14から噴射した水5が鉛直に衝突するように混合室13内に配置され且つ前記混合室13の内壁面13bとの間に環状の間隔16を形成した衝突板15とを有しているので、噴射ノズル14から噴射した水5は至近距離で衝突板15に鉛直に衝突することにより気泡を生じながら空気と激しく攪拌されるため、水5に対する空気の溶解性が著しく高められる。更に、前記衝突板15の中心側に衝突した水5は外周側へ移動する間に上昇流を形成して循環するようになるため、衝突時に生じた大径の気泡も水5と共に循環するようになり、よって大径の気泡が衝突板15の下方へ導出されることが防止される。従って、前記したように気液混合タンク10内に溶解できない余剰の空気が蓄積されないことと、前記ポンプ1の吐出圧力が急激に変動しないことと相俟って、気液混合タンク10を小型化しても空気の溶解の向上と大径気泡の下流への流出防止の効果を同時に達成することができる。
【0048】
図5は本発明を実施する風呂システムの一例を示したもので、この風呂システムは、図1に示した如くマイクロバブル発生装置41を備えた構成において、前記吸引管4に、循環配管31を介して風呂水循環装置32を接続している。風呂水循環装置32は、少なくとも濾過器33と循環ポンプ34を有しており、濾過器33で処理した水5を戻し管35により浴槽2に戻すようにしている。
【0049】
そして、前記吸引管4における循環配管31の接続部36より前記ポンプ1側位置と前記循環配管31の夫々には、水5が前記接続部36側へ逆流するのを阻止するようにした逆止弁37,38を設けている。
【0050】
前記風呂水循環装置32には、前記濾過器33の他に加熱器39を備えて浴槽2の水5を所定温度に加熱するようにしたものを用いてもよく、また、更に水5を高温殺菌或いは殺菌剤で殺菌するようにした殺菌手段40を備えたものを用いてもよい。
【0051】
図5の風呂システムでは、濾過器33、加熱器39及び殺菌手段40等と循環ポンプ34を備えた風呂水循環装置32を、循環配管31を介して吸引管4に接続し、且つ、前記吸引管4における循環配管31の接続部36より前記ポンプ1側と前記循環配管31の夫々に前記接続部36側への水の逆流を阻止する逆止弁37,38を設けたので、1つの吸引管4から取り出した風呂水を、前記マイクロバブル発生装置41に導いてマイクロバブルSを発生させることと、前記風呂水循環装置32に導いて処理を行った後の清浄水を浴槽2へ循環する操作を自由に行うことができ、よって風呂水循環装置32によって処理された清浄な風呂水にマイクロバブル発生装置41により高濃度のマイクロバブルSを発生させて効果的且つ爽快な入浴を行うことができる。
【0052】
なお、本発明のマイクロバブル発生装置及び風呂システムは、上記形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を実施するマイクロバブル発生装置の全体概要構成図である。
【図2】図1の気液混合タンクの詳細を示す断面図である。
【図3】図1の制御装置における制御回路の一例を示すブロック図である。
【図4】一定圧力において水の温度が変化した場合の水に対する空気の溶解量を示した線図である。
【図5】本発明を実施する風呂システムの全体概要構成図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ポンプ
4 吸引管
5 水
6 吐出管
7 オリフィス固定弁
10 気液混合タンク
12 減圧ノズル
13 混合室
13a 導出口
13b 内壁面
14 噴射ノズル
15 衝突板
16 間隔
18 圧力検出器
18a 検出圧力
19 制御装置
20 最高使用温度設定手段
31 循環配管
32 風呂水循環装置
33 濾過器
34 循環ポンプ
36 接続部
37,38 逆止弁
39 加熱器
40 殺菌手段
41 マイクロバブル発生装置
A 空気
A’ 空気相
S マイクロバブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引管により水と空気を吸引して加圧し吐出管に吐出するポンプと、空気が混入して加圧された水を混合室内に上部から噴射して水と空気を攪拌し空気を水に溶解させる気液混合タンクと、該気液混合タンクの下部から導出した水を減圧してマイクロバブルを発生させる減圧ノズルと、を備えたマイクロバブル発生装置であって、前記吸引管に空気吸引のためのオリフィス固定弁を取付け、且つ前記気液混合タンクの混合室内上部の空気相の圧力を検出する圧力検出器を設置し、該圧力検出器の検出圧力を入力し、水温が最高使用温度の時に前記オリフィス固定弁から吸引される空気のすべてが気液混合タンクの水に溶解される圧力を保持するよう前記ポンプの吐出圧力を設定制御する制御装置を備えたことを特徴とするマイクロバブル発生装置。
【請求項2】
前記制御装置は、入浴温度を最高使用温度としてポンプによる吐出圧力を設定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロバブル発生装置。
【請求項3】
前記オリフィス固定弁の吸気口径が0.10〜0.20mmであり、前記ポンプによる吐出圧力が2.5〜3.2kg/cm2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロバブル発生装置。
【請求項4】
前記気液混合タンクは、前記吐出管の水を混合室内上部から下向きに噴射する噴射ノズルと、該噴射ノズルから噴射した水が鉛直に衝突するように混合室内に配置され且つ前記混合室の内壁面との間に環状の間隔が形成された衝突板とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のマイクロバブル発生装置。
【請求項5】
少なくとも濾過器と循環ポンプを有する風呂水循環装置を、前記吸引管に循環配管を介して接続すると共に、前記吸引管における循環配管の接続部より前記ポンプ側と前記循環配管の夫々に前記接続部側への水の逆流を阻止する逆止弁を設け、前記請求項1〜3のいずれか1つに記載のマイクロバブル発生装置によるマイクロバブルの発生と、前記風呂水循環装置により処理した清浄水を浴槽へ戻す循環とを行うようにしたことを特徴とする風呂システム。
【請求項6】
前記風呂水循環装置が加熱器を有することを特徴とする請求項5に記載の風呂システム。
【請求項7】
前記風呂水循環装置が殺菌手段を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の風呂システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−289903(P2007−289903A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123501(P2006−123501)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(504462515)
【出願人】(506147157)
【出願人】(500328404)株式会社フィジック・ジャパン (3)
【Fターム(参考)】