マイクロレンズアレイの製造方法、マイクロレンズアレイ、それを用いた有機ELラインヘッド及び画像形成装置
【課題】光学的性能が良く、両面のレンズ面の光軸ずれが小さい有機ELラインヘッド等に用いるマイクロレンズアレイの製造方法。
【解決手段】 マイクロレンズアレイのそれぞれのレンズ面に対応する型面92、94を持つ金型82、84に光硬化性樹脂76を注入し、その上にそれぞれの透明基板71、73を載せ、その金型に設けられた位置決め手段を用いて透明基板を位置決めし、透明基板71、73側から光照射して光硬化性樹脂76、76’を硬化させることにより2つのレンズアレイ61 、62 を成形し、2つのレンズアレイ61 、62 をそれぞれの成形の際の位置決めに用いた位置決め部を用いて相互に位置合わせして一体化することでマイクロレンズアレイを作製する。
【解決手段】 マイクロレンズアレイのそれぞれのレンズ面に対応する型面92、94を持つ金型82、84に光硬化性樹脂76を注入し、その上にそれぞれの透明基板71、73を載せ、その金型に設けられた位置決め手段を用いて透明基板を位置決めし、透明基板71、73側から光照射して光硬化性樹脂76、76’を硬化させることにより2つのレンズアレイ61 、62 を成形し、2つのレンズアレイ61 、62 をそれぞれの成形の際の位置決めに用いた位置決め部を用いて相互に位置合わせして一体化することでマイクロレンズアレイを作製する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズアレイの製造方法とその方法で製造されたマイクロレンズアレイ、それを用いた有機ELラインヘッド及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のLEDアレイチップをLEDアレイ方向に配置し、各LEDアレイチップのLEDアレイを対応して配置した正レンズで感光体上に拡大投影し、感光体上で隣接するLEDアレイチップの端部の発光ドットの像同士が同一LEDアレイチップの発光ドットの像間ピッチと同一ピッチで隣接して結像するようにする光書き込みラインヘッド、及び、その光路を逆にして光読み取りラインヘッドとするものが特許文献1で提案されている。
【0003】
一方、LEDアレイチップの各発光ドットからの発散光を集光するマイクロレンズアレイの製造方法として、フォトリソグラフィーと電鋳によりそのマイクロレンズアレイの型を作り、光硬化性樹脂を用いてガラス基板上に複製するか、熱可塑性樹脂に複製することでマイクロレンズアレイを製造する方法が特許文献2に開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、液晶パネル照明用等のマイクロレンズアレイの製造方法として、ガラス基板の両面にフォトレジストを画素に対応してパターニングして、そのフォトレジストを加熱溶融させて表面張力によりレンズ屈折面に加工することでレンズアレイを形成する方法が開示されている。
【特許文献1】特開平2−4546号公報
【特許文献2】特開2005−276849号公報
【特許文献3】特開平6−208006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、特許文献2に記載されているように、レンズ全体の線膨張を防止するためにガラス基板上に光硬化性樹脂を用いてレンズを成形して、ハイブリッドマイクロレンズアレイを製造する方法が提案されている。この製造方法では、光学的性能の向上のために基板の両面にレンズ屈折面(レンズ面)を成形する必要がある。
【0006】
しかしながら、ガラス基板の両面に光硬化性樹脂を用いて成形する場合、型が金属等の不透明な材質で作られると、光硬化のための光が型で遮られて透過しないため、ガラス基板の両面のレンズ面を同時に成形することができない。
【0007】
このような場合、両面のレンズ面を成形するために、ガラス基板の一方の面にレンズ面を成形した後、ガラス基板を型から一旦取り外さなければならないため、両面のレンズ面の光軸がずれてしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、別々に成形した片側平面のマイクロレンズを相互に位置合わせて一体化してなり、光学的性能が良く、両面のレンズ面の光軸ずれが小さい有機ELラインヘッド等に用いるマイクロレンズアレイの製造方法とそのようにして製造したマイクロレンズアレイ、それを用いた有機ELラインヘッド及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のマイクロレンズアレイの製造方法は、金型を用いて光硬化性樹脂のマイクロレンズアレイを形成する方法であって、
マイクロレンズアレイの一方のレンズ面に対応する型面を持つ第1の金型に光硬化性樹脂を注入し、その上に第1の透明基板を載せ、その際に第1の金型に設けられた第1の位置決め手段を用いて第1の透明基板を位置決めし、
前記第1の透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第1の透明基板の一方の面上に第1のレンズアレイを成形し、
マイクロレンズアレイの他方のレンズ面に対応する型面を持つ第2の金型に光硬化性樹脂を注入し、その上に第2の透明基板を載せ、その際に第2の金型に設けられた第2の位置決め手段を用いて第2の透明基板を位置決めし、
前記第2の透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第2の透明基板の一方の面上に第2のレンズアレイを成形し、
前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとをそれぞれの成形の際の位置決めに用いた前記第1の透明基板の位置決め部、前記第2の透明基板の位置決め部を用いて相互に位置合わせして一体化することでマイクロレンズアレイを作製することを特徴とする方法である。
【0010】
このように構成することで、光学的性能が良く、両面のレンズ面が高精度で軸合わせがなされた有機ELラインヘッド等に用いるマイクロレンズアレイを容易に作製することができる。
【0011】
この場合、前記位置決め部を前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれの直交する2つの側辺とすることができる。
【0012】
このように構成することで、第1、第2の透明基板に格別のマークを設けないでも両レンズアレイのレンズ面を相互に高精度で軸合わせすることができる。
【0013】
また、前記位置決め部を前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれの周囲に設けられた機械的なマークとすることができる。
【0014】
このように構成することで、両レンズアレイのレンズ面を相互に高精度で軸合わせすることができる。そして、この機械的なマークを有機ELラインヘッド等を組み立てるときの位置決め手段としても用いることができ、有機ELラインヘッド等の光学系を高精度で組み立てることができるようになる。
【0015】
また、前記位置決め部を前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれに設けられた光学的マークとすることができる。
【0016】
このように構成することで、両レンズアレイのレンズ面を相互に高精度で軸合わせすることができる。そして、この光学的マークを有機ELラインヘッド等を組み立てるときの位置決め手段としても用いることができ、有機ELラインヘッド等の光学系を高精度で組み立てることができるようになる。
【0017】
また、前記第1の金型、前記第2の金型に中途まで光硬化性樹脂を注入して前記光硬化性樹脂を半硬化状態にし、次いで、その上にさらに光硬化性樹脂を注入し、その上にそれぞれ前記第1の透明基板、前記第2の透明基板を載せ、前記第1の透明基板、前記第2の透明基板を位置決めし、透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第1の透明基板、前記第2の透明基板の一方の面上にそれぞれ前記第1のレンズアレイ、前記第2のレンズアレイを成形するようにすることが望ましい。
【0018】
このように構成することで、気泡が入り難くなり、また、硬化の際の収縮による面精度の低下を抑えることができる。
【0019】
また、前記第1の金型、前記第2の金型上での前記光硬化性樹脂の硬化のためのエネルギーが2回目の方がより強い方が望ましい。
【0020】
このように構成することで、気泡が入り難くなり、また、硬化の際の収縮による面精度の低下を抑えることができる。
【0021】
また、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの間に、マイクロレンズアレイを構成する各レンズの光軸と同心の開口が設けられた遮光膜を配置して一体化することができる。
【0022】
このように構成することで、マイクロレンズ間のクロストークを防いだりその他の迷光を遮断することができる。
【0023】
また、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの間に、マイクロレンズアレイを構成する各レンズの光軸と同心の開口が設けられた遮光板を配置して一体化することができる。
【0024】
このように構成することで、マイクロレンズ間のクロストークを防いだりその他の迷光を遮断することができる。また、その遮光板を第1のレンズアレイと第2のレンズアレイの間のスペーサとすることができ、何れかのレンズ面をマイクロレンズアレイの内部に配置することができるようになる。
【0025】
その場合に、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイと少なくとも一方の透明基板側が外に向くような配置で両者を一体化することができる。
【0026】
このように構成することで、マイクロレンズアレイの例えば像側の面を平面とすることができ、例えば画像形成装置のラインヘッドのマイクロレンズアレイとして用いるとき、現像剤のトナーが飛散してマイクロレンズアレイのその平面に付着しても簡単に清掃できクリーニング性が向上することになる。
【0027】
その場合、前記第1のレンズアレイ又は前記第2のレンズアレイの透明基板側が外に向くように配置され、その外側の透明基板面に有機ELからなる複数の発光素子が列状に配置されてなる発光素子列を1列以上含む発光体ブロックがマイクロレンズアレイを構成する各レンズに対応して各々配置されているものとすることができる。
【0028】
このように構成することで、マイクロレンズアレイの一方のガラス基板を有機EL装置のガラス基板と兼用させることができ、部品点数の削減、温度変化によるレンズと発光体ブロックのずれがなくなる。
【0029】
本発明のもう1つのマイクロレンズアレイの製造方法は、金型を用いて樹脂性のマイクロレンズアレイを形成する方法であって、
マイクロレンズアレイの一方のレンズ面に対応する型面を持つ第1の金型を用いて反対の面が平面の樹脂性の第1のマイクロレンズアレイを成形し、
マイクロレンズアレイの他方のレンズ面に対応する型面を持つ第2の金型を用いて反対の面が平面の樹脂性の第2のマイクロレンズアレイを成形し、
前記第1のマイクロレンズアレイと前記の第2のマイクロレンズアレイをその平面側で透明基板の両面に貼り付けて一体化し、 その貼り付けの際に、前記第1のマイクロレンズアレイと前記第2のマイクロレンズとをそれぞれの成形の際の位置決めに用いた位置決め部を用いて相互に位置合わせして一体化することでマイクロレンズアレイを作製することを特徴とする方法である。
【0030】
このように構成することで、光学的性能が良く、両面のレンズ面が高精度で軸合わせがなされた有機ELラインヘッド等に用いるマイクロレンズアレイを容易に作製することができる。
【0031】
本発明のマイクロレンズアレイは、第1の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第1の片面平面マイクロレンズアレイと、第2の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第2の片面平面マイクロレンズアレイとがレンズ屈折面部相互が軸合わせされるように一体化されてなり、同一のマイクロレンズが所定方向に一定ピッチで一列に配置され、それと直交する方向にはN個の同様のマイクロレンズ列が配置され、N個のマイクロレンズ列は、先頭のマイクロレンズの位置がN分の1ピッチずつずらして配列されていることを特徴とするものである。
【0032】
このように構成することで、有機ELラインヘッドに特に適した構成のマイクロレンズアレイとなる。
【0033】
この場合に、前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板の周囲に機械的なマークが設けられるか、前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板に光学的マークが設けられていることが望ましい。
【0034】
このように構成することで、機械的なマークあるいは光学的マークを有機ELラインヘッド等を組み立てるときの位置決め手段としても用いることができ、有機ELラインヘッド等の光学系を高精度で組み立てられることができるようになる。
【0035】
本発明の有機ELラインヘッドは、主走査方向に複数の発光素子が列状に配置されてなる発光素子列を1列以上含む発光体ブロックが少なくとも主走査方向に間隔をおいて複数配置された有機EL発光体アレイの射出側に、各発光体ブロックに対応して各々1個の正レンズが整列するように配置されたマイクロレンズアレイが前記有機EL発光体アレイに平行に配置されており、前記マイクロレンズアレイとして、第1の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第1の片面平面マイクロレンズアレイと、第2の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第2の片面平面マイクロレンズアレイとがレンズ屈折面部相互が軸合わせされるように一体化されてなるマイクロレンズアレイであって、前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板に位置決めのための機械的又は光学的なマークが設けられているものを用いることを特徴とするものである。
【0036】
このように構成することで、光学系が高精度で組み立てられた有機ELラインヘッドが得られる。
【0037】
また、像担持体の周囲に帯電手段と、以上のような有機ELラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行う画像形成装置を構成することができる。
【0038】
このように構成することで、小型で解像力が高く画像の劣化の少ないプリンター等の画像形成装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法とマイクロレンズアレイ、それを用いた有機ELラインヘッドを詳細に説明する前に、マイクロレンズアレイを用いた有機ELラインヘッドについて簡単に説明しておく。
【0040】
図4は、本発明の1実施形態に係る発光体アレイ1と光学倍率がマイナスのマイクロレンズ5との対応関係を示す説明図である。この実施形態のラインヘッドにおいては、1つのマイクロレンズ5に2列の発光素子が対応している。ただし、マイクロレンズ5が光学倍率がマイナス(倒立結像)の結像素子であるので、発光素子の位置が主走査方向及び副走査方向で反転している。すなわち、図1の構成では、像担持体の移動方向の上流側(1列目)に偶数番号の発光素子(8、6、4、2)を配列し、同下流側(2列目)には奇数番号の発光素子(7、5、3、1)を配列している。また、主走査方向の先頭側に番号が大きな発光素子を配列している。なお、この実施形態の発光体アレイ1としては、後で説明する有機EL装置が用いられる。
【0041】
図1〜図3は、この実施形態のラインヘッドの1つのマイクロレンズに対応する部分の斜視図である。図2に示してあるように、像担持体41の下流側に配列された奇数番号の発光素子2に対応した像担持体41の結像スポット8aは、主走査方向で反転した位置に形成される。Rは、像担持体41の移動方向である。また、図3に示されるように、像担持体41の上流側(1列目)に配列された偶数番号の発光素子2に対応した像担持体41の結像スポット8bは、副走査方向で反転した下流側の位置に形成される。しかしながら、主走査方向では、先頭側からの結像スポットの位置は、発光素子1〜8の番号で順番に対応している。したがって、この例では像担持体の副走査方向における結像スポット形成のタイミングを調整することにより、主走査方向に同列に結像スポットを形成することが可能であることが分かる。
【0042】
図5は、画像データが格納されているラインバッファのメモリテーブル10の例を示す説明図である。図5のメモリテーブル10は、図4の発光素子の番号に対して、主走査方向で反転して格納されている。図5において、ラインバッファのメモリテーブル10に格納された画像データの中、先に像担持体41の上流側(1列目)の発光素子に対応する第1の画像データ(1、3、5、7)を読み出し、発光素子を発光させる。次に、T時間後に、メモリアドレスに格納されている像担持体41の下流側(2列目)の発光素子に対応する第2の画像データ(2、4、6、8)を読み出し、発光させる。このようにして、図6に8の位置で示されるように、像担持体上の1列目の結像スポットが2列目の結像スポットと主走査方向で同列に形成される。
【0043】
図1は、図5のタイミングで画像データを読み出して結像スポットを形成する例を、概念的に示す斜視図である。図5を参照にして説明したように、先に像担持体41の上流側(1列目)の発光素子を発光させ、像担持体41に結像スポットを形成する。次に、所定のタイミングT経過後に像担持体41の下流側(2列目)の奇数番号の発光素子を発光させ、像担持体に結像スポットを形成する。この際に、奇数番号の発光素子による結像スポットは、図2で説明した8aの位置ではなく、図6に示されているように、主走査方向に同列に8の位置に形成されることになる。
【0044】
図7は、ラインヘッドとして使用される発光体アレイの例を示す概略の説明図である。図7において、発光体アレイ1には、発光素子2を主走査方向に複数配列した発光素子列3を副走査方向に複数列設けて発光体ブロック4(図4参照)を形成している。図7の例では、発光体ブロック4は、主走査方向に4個の発光素子2を配列した発光素子列3を、副走査方向に2列形成している(図4参照)。この発光体ブロック4は、発光体アレイ1に多数配置されており、各発光体ブロック4はマイクロレンズ5に対応して配置されている。
【0045】
マイクロレンズ5は、発光体アレイ1の主走査方向及び副走査方向に複数設けられてマイクロレンズアレイ(MLA)6を形成している。このMLA6は、副走査方向では主走査方向の先頭位置をずらして配列されている。このようなMLA6の配列は、発光体アレイ1に発光素子を千鳥状に設ける場合に対応している。図7の例では、MLA6が副走査方向に3列配置されているが、MLA6の副走査方向の3列のそれぞれの位置に対応する各単位ブロック4を、説明の便宜上、グループA、グループB、グループCに区分する。
【0046】
上記のように、光学倍率がマイナスのマイクロレンズ5内に複数個の発光素子2が配置され、かつ、当該レンズが副走査方向に複数列配置されている場合には、像担持体41の主走査方向に一列に並んだ結像スポットを形成するためには、以下のような画像データ制御が必要となる。(1)副走査方向の反転、(2)主走査方向の反転、(3)レンズ内の複数列発光素子の発光タイミング調整、(4)グループ間の発光素子の発光タイミング調整。
【0047】
図8は、図7の構成で、各発光素子2の出力光によりマイクロレンズ5を通して像担持体の露光面を照射した場合の結像位置を示す説明図である。図8において、図7で説明したように、発光体アレイ1には、グループA、グループB、グループCに区分された単位ブロック4が配置されている。グループA、グループB、グループCの各単位ブロック4の発光素子列を、像担持体41の上流側(1列目)と下流側(2列目)に分け、1列目に偶数番号の発光素子を割り当て、2列目に奇数番号の発光素子を割り当てる。
【0048】
グループAについては、図1〜図3で説明したように各発光素子2を動作させることにより、像担持体41には主走査方向及び副走査方向で反転した位置に結像スポットが形成される。このようにして、像担持体41上には主走査方向の同じ列に1〜8の順序で結像スポットが形成される。以下、像担持体41を副走査方向に所定時間移動させてグループBの処理を同様に実行する。さらに、像担持体41を副走査方向に所定時間移動させてグループCの処理を実行させることにより、主走査方向の同じ列に1〜24・・・の順序で、入力された画像データに基づく結像スポットが形成される。
【0049】
図9は、図8において、副走査方向の結像スポット形成の状態を示す説明図である。Sは、像担持体41の移動速度、d1は、グループAの1列目と2列目の発光素子の間隔、d2はグループAの2列目の発光素子とグループBの2列目の発光素子の間隔、d3はグループBの2列目の発光素子とグループCの2列目の発光素子の間隔、T1はグループAの2列目の発光素子の発光後に1列目の発光素子が発光するまでの時間、T2はグループAの2列目の発光素子による結像位置がグループBの2列目の発光素子の結像位置に移動する時間、T3はグループAの2列目の発光素子による結像位置がグループCの2列目の発光素子の結像位置に移動する時間である。
【0050】
T1は以下のようにして求めることができる。T2、T3についても、d1をd2、d3に置き換えることにより同様に求めることができる。
【0051】
T1=|(d1×β)/S|
ここで、各パラメータは、以下の通りである。
d1:発光素子の副走査方向の距離
S:結像面(像担持体)の移動速度
β:レンズの倍率
図9においては、グループAの2列目の発光素子が発光した時間のT2時間後にグループBの2列目の発光素子を発光させる。さらに、T2からT3時間後にグループCの2列目の発光素子を発光させる。各グループの1列目の発光素子は、2列目の発光素子が発光してからT1時間後に発光する。このような処理をすることにより、図8に示されているように、発光体アレイ1に2次元的に配置された発光体による結像スポットを、像担持体上で一列に形成することが可能となる。図10は、マイクロレンズ5を複数配列した場合に、像担持体の主走査方向に結像スポットが反転して形成される例を示す説明図である。
【0052】
以上のようなラインヘッドを用いて画像形成装置を構成することができる。その1実施形態においては、4つの感光体に4つのラインヘッドで露光し、4色の画像を同時に形成し、1つの無端状中間転写ベルト(中間転写媒体)に転写する、タンデム式カラープリンター(画像形成装置)に以上のようなラインヘッドを用いることができる。図11は、発光体アレイ1として有機EL装置を用いたタンデム式画像形成装置の1例を示す縦断側面図である。この画像形成装置は、同様な構成の4個のラインヘッド101K、101C、101M、101Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものであり、タンデム方式の画像形成装置として構成されている。
【0053】
図11に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ51と従動ローラ52とテンションローラ53が設けられており、テンションローラ53によりテンションを加えて張架されて、図示矢印方向(反時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト(中間転写媒体)50を備えている。この中間転写ベルト50に対して所定間隔で配置された4個の像担持体としての外周面に感光層を有する感光体41K、41C、41M、41Yが配置される。
【0054】
上記符号の後に付加されたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示す。他の部材についても同様である。感光体41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。各感光体41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)により一様に帯電させられた外周面を、感光体41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査する本発明の上記のようなラインヘッド101(K、C、M、Y)が設けられている。
【0055】
また、このラインヘッド101(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト50に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とを有している。
【0056】
ここで、各ラインヘッド101(K、C、M、Y)は、ラインヘッド101(K、C、M、Y)のアレイ方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように設置される。そして、各ラインヘッド101(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と、感光体41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とは略一致するように設定されている。
【0057】
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体41(K、C、M、Y)に接触あるいは押厚させることにより、感光体41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させることによりトナー像として現像するものである。
【0058】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、排紙ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上へ排出される。
【0059】
なお、図11中、63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
【0060】
次に、上記のような有機ELラインヘッドに用いる発光装置としての有機EL装置の1実施例を説明する。
【0061】
図12は有機EL装置1(図1〜図10の発光体アレイ1に対応する)の平面図である。有機EL装置1は、透光性を有する矩形のガラス基板20を基体として構成されており、ガラス基板20には、複数の円形の発光領域2(図1〜図10の発光素子2に対応する)が設けられている。発光領域2は、ガラス基板20の長手方向に沿って列をなすように等間隔に形成されている。そして、この発光領域2の列は、ガラス基板20上に2列に配列されている。また、各発光領域2は、隣接する他方の列の発光領域2に対してガラス基板20の長手方向について半ピッチだけずれるようにして配置されている。つまり、発光領域2は、千鳥状に配列されている。有機EL装置1は、発光領域2において発光を行う。図12は、有機EL装置1を、光が射出される側から見た図である。基板としては、ガラス基板20の他にも、石英基板を始めとする種々の部材を用いることができる。
【0062】
図13は、図12中の発光領域2の周辺部分の拡大図であり、図14は、図13中のE−E線における有機EL装置1の断面図である。以下では、図14の断面図を用いて、図13の平面図を参照しながら有機EL装置1の構造について説明する。
【0063】
有機EL装置1は、ガラス基板20を基体とし、その上に各構成要素が積み上げられた構成となっている。ガラス基板20上にはシリコン酸化膜(SiO2 )等からなる下地保護膜31が形成されている。下地保護膜31上には、TFT(Thin Film Transistor)素子27が形成されている。
【0064】
より詳しくは、下地保護膜31上に、ポリシリコン膜からなる半導体膜21が島状に形成されている。半導体膜21には不純物の導入によってソース領域、ドレイン領域が形成され、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域となっている。下地保護膜31及び半導体膜21の上には、シリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜32が形成され、ゲート絶縁膜32上には、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)等からなるゲート電極23が形成されている。ゲート電極23及びゲート絶縁膜32の上には、第1層間絶縁膜33と第2層間絶縁膜34とがこの順に積層されている。ここで、第1層間絶縁膜33及び第2層間絶縁膜34は、シリコン酸化膜(SiO2 )、チタン酸化膜(TiO2 )等のの無機絶縁膜から構成されている。
【0065】
第1層間絶縁膜33の上層には、共通給電線25が形成されている。共通給電線25は、第1層間絶縁膜33及びゲート絶縁膜32を貫通して設けられたコンタクトホールを介して半導体膜21のソース領域に接続されている。
【0066】
第2層間絶縁膜34上には、ITO(Indium Tin Oxide)からなる光透過性の画素電極11が発光領域2毎に形成されている。画素電極11は、図12の平面図において、発光領域2として示された円より一回り大きな領域に形成されている。また、発光領域2は、ガラス基板20の長手方向に沿って列をなすように等間隔に形成されている。この画素電極11は、第2層間絶縁膜34、第1層間絶縁膜33、ゲート絶縁膜32を貫通して設けられたコンタクトホールを介して半導体膜21のドレイン領域に電気的に接続されている。こうした構成において、TFT素子27は、ゲート電極23への電圧の供給によってオン/オフが切り替わり、オン状態となった場合には、共通給電線25から画素電極11へ駆動電流を流す働きをする。
【0067】
また、第2層間絶縁膜34上には、無機材料からなる第1バンク12が形成されている。第1バンク12は、画素電極11の周りを囲うようにして第2層間絶縁膜34上に配置されており、ガラス基板20の法線方向から見て、一部が画素電極11の外縁部に重なった状態に形成されている。換言すれば、第1バンク12は、画素電極11より小さな開口部12aを有して、画素電極11に重ねて配置されている。そして、この開口部12aは、発光領域2に対応する領域に設けられている。つまり、図12に示された発光領域2の形状が、そのまま開口部12aの形状となる。言い換えれば、第1バンク12は、発光領域2を除いた領域に形成されていることとなる。第1バンク12は、シリコン酸化膜等の無機絶縁膜からなり、その厚さは約50〜100nmである。
【0068】
第1バンク12の上には、第1バンク12と同一の形成領域に、第2バンク22が積層されている。第2バンク22は、第1撥液領域22a、親液領域22b、第2撥液領域22cを有している。第1撥液領域22aは、図12及び図13に示された、発光領域2を囲む環状の領域Aに形成されている。親液領域22bは、領域Aを囲む環状の領域Bに形成されている。第2撥液領域22cは、領域Bの外側に対応する領域Cに形成されている。本実施例では、領域A及び領域Bは、共に同心の円環状の領域となっている。また、領域Aの内円が発光領域2に一致し、領域Aの外円と領域Bの内円とが一致している。したがって、発光領域2、第1撥液領域22aが形成された領域A、親液領域22bが形成された領域B、第2撥液領域22cが形成された領域Cは、隣り合う領域同士が接した状態で配置されており、ガラス基板20の法線方向から見ると、有機EL装置1上の領域は、発光領域2、領域A、領域B、領域Cの何れかに含まれる。本実施例では、発光領域2の円の直径は約50μm、第1撥液領域22aが形成された領域Aの幅は約5μm、親液領域22bが形成された領域Bの幅は約20μmである。
【0069】
ここで、第2バンク22における親液領域22bは、第1撥液領域22a及び第2撥液領域22cより相対的に濡れ性が高くなっている。濡れ性が高いとは、液体との接触角が相対的に小さいことを指す。ある領域に吐出された液体は、これと隣接する、相対的に濡れ性が低い(すなわち接触角が大きい)領域には浸入し難いと言える。したがって、本実施例では、発光領域2に吐出された液体は第1撥液領域22aには侵入し難く、親液領域22bに吐出された液体は、第2撥液領域22cには浸入し難くなっている。
【0070】
画素電極11上の中、第1撥液領域22aに囲まれた領域、すなわち発光領域2に対応する領域には、正孔注入層14が形成されている。より詳しくは、正孔注入層14は、画素電極11を底部とし、第1バンク12及び第2バンク22を側壁とする凹部に形成されている。正孔注入層14が形成される発光領域2は、周囲を第2バンク22の第1撥液領域22aに囲まれているため、正孔注入層14を形成する際に吐出される機能液は発光領域2の外に浸入し難い。このため、正孔注入層14を容易に発光領域2内に形成することができる。
【0071】
正孔注入層14は、導電性高分子材料中にドーパントを含有する導電性高分子層からなる。このような正孔注入層14は、例えば、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を含有する3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)等から構成することができる。
【0072】
正孔注入層14上及び第2バンク22上の中、第2撥液領域22cに囲まれた領域(すなわち、発光領域2、第1撥液領域22a、親液領域22bからなる領域)には、発光層15が形成されている。第2撥液領域22cの存在により、発光層15を形成する際に吐出される機能液は、親液領域22b及びその内側の領域にのみ濡れ広がり、第2撥液領域22cには侵入し難い。このため、発光層15を容易に第2撥液領域22cに囲まれた領域に形成することができる。こうして形成された発光層15は、正孔注入層14の面積(すなわち、発光領域2の面積)より大きな面積を有しているため、発光領域2において、発光層15の厚さを均一にすることができる。すなわち、発光層15の中比較的平坦な領域を発光に用いることができる。
【0073】
本明細書では、正孔注入層14、発光層15を含む層を有機EL素子13とも呼ぶ。正孔注入層14の厚さは約50nmであり、発光層15の厚さは約100nmである。
【0074】
発光層15上及び第2バンク22の第2撥液領域22c上には、厚さ約5nmのカルシウム(Ca)及び厚さ約300nmのアルミニウム(Al)の積層体である陰極16が形成されている。換言すれば、陰極16は、発光層15を挟んで画素電極11の反対側に形成されている。陰極16の上には、水や酸素の侵入を防ぎ、陰極16あるいは有機EL素子13の酸化を防止するための、樹脂等からなる封止部材17が積層されている。
【0075】
上述した発光層15は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。画素電極11と陰極16との間に電圧を印加することによって、発光層15には、正孔注入層14から正孔が、また、陰極16から電子が注入される。発光層15は、これらが結合したときに光を発する。発光層15からの発光スペクトルは、材料の発光特性や膜厚に依存する。本実施例では、発光層15は赤色光を発光し、その主発光波長、すなわち発光スペクトルにおいて発光強度が最大となる波長は約630nmである。
【0076】
有機EL装置1は、発光領域2においてのみ発光し、第1バンク12が形成された領域においては発光は行われない。これは、図14に示すように、当該領域では、画素電極11(陽極)と陰極16との間に絶縁物質である第1バンク12が配置されていることにより、両電極間の電流経路が遮断されるためである。
【0077】
発光層15から図14の下方に射出された光はそのままガラス基板20を透過し、また図14の上方に射出された光は陰極16によって反射された後に下方へ進み、同じくガラス基板20を透過する。このような構成の有機EL装置1は、ボトムエミッション型と呼ばれる。
【0078】
なお、有機EL装置1が、ガラス基板20とは反対側に向けて表示光を射出するトップエミッション型である場合、陰極16は、例えば、薄いカルシウム層と、ITO層等から構成して光透過性を持たせ、画素電極11の下層側には、画素電極11の略全体と重なるようにアルミニウム膜等からなる光反射層を形成する。
【0079】
以上のような構成の有機EL装置1によれば、発光領域2において、発光層15の厚さを均一にすることができる。このため、発光層15の中比較的平坦な部分を発光に用いることができ、均一な発光特性を有する有機EL装置1が得られる。
【0080】
さて、本発明は上記のような有機ELラインヘッド及びその有機ELラインヘッドを用いた画像形成装置等に用いるマイクロレンズアレイの製造方法に関するものであり、その製造方法の実施例を以下に説明する。
【0081】
図15は、本発明の製造方法に従って作製された1実施例のマイクロレンズアレイ6の断面図であり、それを構成する同一のマイクロレンズ5が所定方向、図7の場合は、主走査方向に一定ピッチで列状に配置され、副走査方向に3個の同様のマイクロレンズ5の列が3列配置され、主走査方向の列の先頭位置が3分の1ピッチずつずらして配列されて構成される。なお、先頭位置のずれはマイクロレンズ5の列がN個の場合、N分の1ピッチとなる。
【0082】
このマイクロレンズアレイ6は、ガラス板等からなり所定厚さで細長い長方形の透明基板71の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部72が一体に成形されてなる片面平面マイクロレンズアレイ61 と、同様に、別の同様の透明基板73の表面に同様の透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部74が一体に成形されてなる片面平面マイクロレンズアレイ62 とを、各レンズ屈折面部72、74の光軸が対応する各マイクロレンズ5の光軸O−O’に正確に軸合わせされるように、相互に正確に位置合わせして平面側で相互に接着一体化してなるものである。レンズ屈折面部72とレンズ屈折面部74の同一形状であっても異なる形状であってもよい。また、透明基板71と透明基板73は同一材料で同一厚さであっても異なる材料で異なる厚さであってもよい。
【0083】
このような片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 の製造方法を図16の製造工程を説明する図を参照にして説明する。以下、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 は別々に製造するが、同一の方法で製造するので、同時に説明する。
【0084】
まず、工程(a)で、マイクロレンズアレイ6の表側レンズ面に対応する表側レンズ面金型82と裏側レンズ面に対応する裏側レンズ面金型84とを別々に用意する。両金型82、84における各マイクロレンズ面の凹型に対応する曲面型部92、94は機械加工により形成される。曲面型部92、94の深さは通常100〜200μm、直径は0.1〜1mm程度である。曲面型部92、94を機械加工により形成する代わりに、エッチングで形成することもできる。あるいは、各マイクロレンズ5の第1面、第2面に対応する面形状を有するビーズを多数整列配置し、その表面形状を金型基板に転写する方法でも形成することができる。このようにして形成された表側レンズ面金型82、裏側レンズ面金型84の各曲面型部92、94中に液量を計量して注入できるディスペンサー75により曲面型部92、94中を中途まで満たす量の紫外線(UV)硬化樹脂76を順に注入する。その注入の際、ディスペンサー75を矢印のように上へ上げながら注入すると、UV硬化樹脂76に乱れを起こさないようにできる。
【0085】
次いで、工程(b)において、全ての曲面型部92、94にUV硬化樹脂76が注入された状態で、上方からUVランプ77からの紫外線78を照射し、UV硬化樹脂76を半硬化状態にする。ここで、UV硬化樹脂76を完全に硬化させないのは、次の工程(c)で追加注入するUV硬化樹脂76’との界面が発生するのを防止するためである。
【0086】
次いで、工程(c)において、工程(a)と同様にして半硬化状態のUV硬化樹脂76で中途まで満たされた曲面型部92、94中に追加のUV硬化樹脂76’を注入して各曲面型部92をUV硬化樹脂76+76’で多少余分に満たす。
【0087】
次に、工程(d)において、片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 における透明基板71、73となる相互に同じ形状で細長い長方形のガラス基板71、73を各曲面型部92、94がUV硬化樹脂76+76’で多少余分に満たされたレンズ面金型82、84上に一定圧力で押し付ける。この際、曲面型部92、94全体の周りに所定の小さな距離を保つギャップ材80を配置する。このギャップ材80を配置することで、余分なUV硬化樹脂76’と気泡が抜けやすくなる。その状態で、ガラス基板71、73を通して上方からUVランプ77からの紫外線78を照射し、UV硬化樹脂76+76’を完全に硬化させる。
【0088】
UV硬化樹脂76+76’が完全に硬化して表側のレンズ屈折面部72、裏側のレンズ屈折面部74となった後に、工程(e)において、ガラス基板71、73をレンズ屈折面部72、74と共に金型82、84から取り外すことで、それぞれ表側片面平面マイクロレンズアレイ61 、裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 が得られる。
【0089】
ここで、曲面型部92、94に2回に分けてUV硬化樹脂76、76’を注入するのは、各回の注入液量が少ないので気泡が出来難く、また、出来たとしても直ぐに抜けやすいためと、硬化の際の収縮による面精度の低下を抑えるためである。なお、1回目の注入で各曲面型部92、94をUV硬化樹脂76で十分に満たし、ガラス基板71、73を通して1回の紫外線78の照射でUV硬化樹脂76を完全に硬化させて、レンズ屈折面部72、74とするようにしてももちろんよい。
【0090】
ところで、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 とを一体化する際に、対応するレンズ屈折面部72とレンズ屈折面部74の間で光軸を正確に軸合わせすることが重要である。以下、そのための位置合わせ方法を説明する。
【0091】
図17はそのための位置決め合わせ方法の1つを説明するための図であり、図17(a)は図16(d)において表側レンズ面金型82上に載置されたガラス基板71を上から見た図であり、図17(b)は図16(d)において裏側レンズ面金型84上に載置されたガラス基板73を上から見た図である。両金型82、84には、相互に鏡像関係にある曲面型部92の全体のパターンと曲面型部94の全体のパターンに対して、相互に鏡像関係の同じ位置(曲面型部92の全体のパターンと曲面型部94の全体のパターンとの対応する同じ位置)に位置決めピン513〜515、513’〜515’が配置されている。位置決めピン515と515’は主走査方向端部に対応するガラス基板71、73のそれぞれ1つの短辺712、732が突き当てるためのものであり、位置決めピン513と513’は主走査方向に伸びるガラス基板71の1つの長辺711とガラス基板73の1つの長辺731のそれぞれ短辺712、732側の同じ位置が突き当てるためのものであり、位置決めピン514と514’は主走査方向に伸びるガラス基板71の1つの長辺711とガラス基板73の1つの長辺731のそれぞれ短辺712、732と反対側の同じ位置が突き当てるためのものである。なお、ガラス基板71、73としては何れも長辺711、731と短辺712、732が直交するものを用いる。
【0092】
このような配置であるので、それぞれ、ガラス基板71、73の表面にレンズ屈折面部72、74を一体成形する際(図16(d))には、ガラス基板71、73の表面をそれそれ表側レンズ面金型82、裏側レンズ面金型84に面するようにガラス基板71、73を金型82、84上に載せ、図17(a)、(b)のようにガラス基板71、73を位置決めピン513〜515、513’〜515’に3点支持状態で突き当てた状態で紫外線78を照射することで、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 が得られる。
【0093】
そして、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 のガラス基板71の平面側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 のガラス基板73の平面側とを向かい合わせ、ガラス基板71の長辺711と短辺712をガラス基板73のそれぞれ長辺731と短辺732に正確に位置合わせすることで、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の表側レンズ屈折面部72と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせがなされることになる。その状態で、ガラス基板71とガラス基板73の間を接着剤等で一体化することにより、各マイクロレンズ5の表側レンズ屈折面部72と裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせされた本発明のマイクロレンズアレイ6(図15)が得られることになる。
【0094】
図17の例は、ガラス基板71、73の長辺711、731と短辺712、732を位置決め基準に用いるものであったが、ガラス基板71、73に位置決め基準となる機械的な手段を設けてもよい。その例を図18に示す。ガラス基板71の長辺711の短辺712側、及び、ガラス基板73の長辺731の短辺732側の同一位置にV字状の切り込みからなる第1位置決め部713、733と、それぞれ長辺711、731の短辺712、732と反対側に同一位置に台形状の切り込みからなる第2位置決め部714、734とを設けておく。このような第1位置決め部713、733と第2位置決め部714、734を設けたガラス基板71、73を用いて表側レンズ屈折面部72と裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせされたマイクロレンズアレイ6を得るには、図18のような配置でそれぞれのマイクロレンズアレイ61 、62 を成形すればよい。
【0095】
すなわち、図18は図17と同様の図であり、この場合も、両金型82、84には、相互に鏡像関係にある曲面型部92の全体のパターンと曲面型部94の全体のパターンに対して、相互に鏡像関係の同じ位置(曲面型部92の全体のパターンと曲面型部94の全体のパターンとの対応する同じ位置)に位置決めピン516〜517、516’〜517’が配置されている。位置決めピン516と516’は主走査方向に伸びるガラス基板71、73の長辺711、731に設けられたV字状の切り込みからなる第1位置決め部713、733が突き当てるためのものであり、位置決めピン517と517’はガラス基板71、73の長辺711、731に設けられた台形状の切り込みからなる第2位置決め部714、734が突き当てるためのものである。
【0096】
このような配置であるので、それぞれ、ガラス基板71、73の表面にレンズ屈折面部72、74を一体成形する際(図16(d))には、ガラス基板71、73の表面をそれそれ表側レンズ面金型82、裏側レンズ面金型84に面するようにガラス基板71、73を金型82、84上に載せ、図18(a)、(b)のように、位置決めピン516、517がガラス基板71のそれぞれ第1位置決め部713、第2位置決め部714に、また、位置決めピン516’、517’がガラス基板73のそれぞれ第1位置決め部733、第2位置決め部734に入り込んで、位置決めピン516、516’と第1位置決め部713、733の相互作用でガラス基板71、73の短辺712、712’側の点での位置が決まり、位置決めピン517、517’と第2位置決め部714、734の相互作用でその点を中心とした旋回位置が決まり、結果的にガラス基板71、73の位置決めがなされる。その位置決め状態で紫外線78を照射することで、所定位置にレンズ屈折面部72、74が一体成形された表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 が得られる。
【0097】
そして、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 のガラス基板71の平面側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 のガラス基板73の平面側とを向かい合わせ、ガラス基板71の第1位置決め部713と第2位置決め部714をガラス基板73のそれぞれ第1位置決め部733と第2位置決め部734に例えば位置決めピン516、517と同様の位置決めピンを用いて正確に位置合わせすることで、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の表側レンズ屈折面部72と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせがなされることになる。その状態で、ガラス基板71とガラス基板73の間を接着剤等で一体化することにより、各マイクロレンズ5の表側レンズ屈折面部72と裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせされたこの実施例のマイクロレンズアレイ6(図19)が得られることになる。
【0098】
図18、図19の例は、ガラス基板71、73の長辺711、731に第1位置決め部713、733と第2位置決め部714、734を設けておき、両金型82、84にその位置決め部713、714、733、734に対応して位置決めピン516〜517、516’〜517’を設けて機械的な手段で位置決めする例であったが、ガラス基板71、73と両金型82、84に光学的な位置決めマークを設けておいて光学的に位置決めする方法でもよい。その例を図20を参照にして説明する。図20は図17、図18と同様の図であり、図20(a)に示すように、ガラス基板71の長手方向両端裏面に○で囲まれたX字状の位置決めマーク518、519が設けられており、一方、表側レンズ面金型82の位置決めマーク518、519に正確に対応する位置に+字状の位置決めマーク821、822が設けられており、また、図20(b)に示すように、ガラス基板73の長手方向両端裏面の位置決めマーク518、519と鏡像関係で正確に対応する位置に○で囲まれた+字状の位置決めマーク518’、519’が設けられており、一方、裏側レンズ面金型84の位置決めマーク518’、519’に正確に対応する位置にX字状の位置決めマーク821’、822’が設けられている。
【0099】
そのため、ガラス基板71の表面にレンズ屈折面部72を一体成形する際には、図20(a)に示すように、ガラス基板71の表面を表側レンズ面金型82に面するようにガラス基板71を表側レンズ面金型82上に載せ、ガラス基板71の位置決めマーク518、519と表側レンズ面金型82の位置決めマーク821、822がそれぞれ正確に整列するように、例えば顕微鏡を用いてガラス基板71の位置を決め、その状態で紫外線78を照射することで、所定位置にレンズ屈折面部72が一体成形され、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 が得られる。
【0100】
同様に、ガラス基板73の表面にレンズ屈折面部74を一体成形する際には、図20(b)に示すように、ガラス基板73の表面を裏側レンズ面金型84に面するようにガラス基板73を裏側レンズ面金型84上に載せ、ガラス基板73の位置決めマーク518’、519’と裏側レンズ面金型84の位置決めマーク821’、822’がそれぞれ正確に整列するように、例えば顕微鏡を用いてガラス基板73の位置を決め、その状態で紫外線78を照射することで、所定位置にレンズ屈折面部74が一体成形され、裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 が得られる。
【0101】
そして、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 のガラス基板71の平面側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 のガラス基板73の平面側とを向かい合わせ、ガラス基板71の位置決めマーク518、519をガラス基板73のそれぞれ位置決めマーク518’、519’に例えば顕微鏡を用いて正確に位置合わせすることで、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の表側レンズ屈折面部72と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせがなされることになる。その状態で、ガラス基板71とガラス基板73の間を接着剤等で一体化することにより、各マイクロレンズ5の表側レンズ屈折面部72と裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせされたこの実施例のマイクロレンズアレイ6(図21)が得られることになる。
【0102】
なお、図20の変形例としては、ガラス基板71、73に予め位置決めマーク518、519、518’、519’は設けておかず、その代わりに、レンズ屈折面部72、74をガラス基板71、73に一体成形するときに、ガラス基板71、73の表面の位置決めマーク518、519、518’、519’に対応する位置にUV硬化樹脂で位置決めマーク518、519、518’、519’が同時に一体成形されるようにしてもよい。その場合には、金型82、84の位置決めマーク821、822、821’、822’の位置にそのようなUV硬化樹脂製の位置決めマーク518、519、518’、519’を成形させるための型を形成しておくことになる。
【0103】
さて、このようにして製造されたマイクロレンズアレイ6を用いた光書き込みラインヘッドの1例を説明する。図22はこの例の光書き込みラインヘッド101の構成を示す一部を破断した斜視図であり、図23はその光書き込みラインヘッド101へのマイクロレンズアレイ6の取り付け機構を示す平面図である。この例の場合、図19のマイクロレンズアレイ6を用いている。この例では、発光体ブロック4が副走査方向に3分の1ピッチずつずらして主走査方向に伸びるように3列配置されており、それに対応してマイクロレンズアレイ6のマイクロレンズ5も主走査方向に伸びるように一定ピッチで配置されており、かつ、副走査方向では主走査方向の列の先頭位置を3分の1ピッチずつずらして配列されている。
【0104】
発光体アレイ1を構成する有機EL装置1は長尺のハウジング35の底に設けられた受け穴中に嵌め込み固定される。長尺のハウジング35の両端に設けた位置決めピン36を対向する画像形成装置本体の位置決め穴に嵌入させると共に、長尺のケース35の両端に設けたねじ挿入孔37を通して固定ねじを画像形成装置本体のねじ穴にねじ込んで固定することにより、光書き込みラインヘッド101が所定位置に固定されている。
【0105】
そして、長尺のハウジング35の有機EL装置1の表面側には、発光体アレイ1の各発光体ブロック4と整列するように透孔29が穿たれたを所定の厚さの遮光部材28を介して、マイクロレンズアレイ6が固定されている。その際、マイクロレンズアレイ6の各マイクロレンズ5の光軸が発光体ブロック4の中心に整列するようにマイクロレンズアレイ6が固定されている。
【0106】
マイクロレンズアレイ6を長尺のハウジング35に高精度で固定可能にするため、図23に示すように、ハウジング35にマイクロレンズアレイ6の外形より若干大きい取り付け用の長方形開口38が設けられ、その長辺に沿った一方の壁面に金型82、84の位置決めピン516(516’)、517(517’)に対応する突起526、527が設けられ、対向する壁面には一方の壁面側にバイアス力を加える付勢部材523が設けられている。
【0107】
したがって、付勢部材523を開いて図19のマイクロレンズアレイ6を長方形開口38に嵌め込み、付勢部材523の付勢力を加えるようにしてマイクロレンズアレイ6を長尺のハウジング35に固定する。その際、長方形開口38の壁面の突起526、527がそれぞれマイクロレンズアレイ6を構成するガラス基板71及び73の第1位置決め部713及び733、第2位置決め部714及び734に入り込んで当接することで、マイクロレンズアレイ6はハウジング35に正確に位置決めされて固定される。
【0108】
このように、この実施例では、マイクロレンズアレイ6製造の際のレンズ面の位置決め基準に用いた位置決め手段(第1位置決め部713及び733、第2位置決め部714及び734)を光書き込みラインヘッド101の組み立ての際のマイクロレンズアレイ6の位置決め手段としても用いるので、光書き込みラインヘッド101の光学系は高精度で組み立てられることになる。
【0109】
次に、本発明によるマイクロレンズアレイ6の変形例をいくつか説明する。
【0110】
図24に断面を示したマイクロレンズアレイ6は、図16のようにして製造された表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 をそれぞれの平面側で向かい合わせて一体化する際に、片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 間にマイクロレンズ5間のクロストークを防いだりその他の迷光を遮断する遮光膜63 を配置する構成のものである。遮光膜63 は、各マイクロレンズ5に対応して各光軸O−O’と同心の開口が設けられた遮光膜であり、例えば何れかのガラス基板71、73のレンズ屈折面部72、74と反対側の平面上に印刷したりフォトリソグラフィックな手法で形成することができ、その後に図17〜図21で説明したような方法で片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 相互を位置合わせして一体化することで作製することができる。
【0111】
図25に断面を示したマイクロレンズアレイ6は、図16のようにして製造された表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 をそれぞれの平面側で向かい合わせて一体化する際に、片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 間にマイクロレンズ5間のクロストークを防いだりそのたの迷光を遮断するために、図24の遮光膜63 の代わりに、厚さがより厚く、各マイクロレンズ5に対応して各光軸O−O’と同心の開口が設けられた遮光板64 を配置した例である。この場合は、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の間に遮光板64 を挟み、その後に図17〜図21で説明したような方法で片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 相互を位置合わせして一体化することで作製することができる。
【0112】
図26に、この実施例のマイクロレンズアレイ6を用いた光書き込みラインヘッドの図22と同様の図を示す。その詳細は、図25の説明と図22の説明から明らかであるので省く。
【0113】
図27に断面を示したマイクロレンズアレイ6は、図25のマイクロレンズアレイ6の変形例であり、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の平面側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の平面側を向かい合わせるのではなく、何れか一方の平面側を物体側あるいは像側に向けて両者を遮光板64 をスペーサとして一体化するものであり、図27の場合は、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の平面側を像側に向け、裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の平面側と表側片面平面マイクロレンズアレイ61 のレンズ屈折面部72側とを向かい合わせている例である。片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 相互の位置合わせは、図17〜図21で説明したような方法で行う。この構成は、後記するように、図11のような画像形成装置のラインヘッド101のマイクロレンズアレイ6として用いると、現像剤のトナーが飛散してマイクロレンズアレイ61 のガラス基板71の露出した平面に付着することになるが、その面が平面であるため、簡単に清掃できクリーニング性が向上することになる。
【0114】
以上の本発明のマイクロレンズアレイ6は、ガラス基板71、73の一面にそれぞれ例えばUV硬化樹脂76+76’で成形されたレンズ屈折面部72、74を設けて構成される片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 を位置合わせして一体化することで構成していたが、片面平面マイクロレンズアレイとして単一組成の樹脂等で成形したものを用いてもよい。その場合の構成例を図28の断面図に示す。この場合、片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 は、それぞれ射出成形等の成形方法で透明樹脂等でレンズ屈折面部72、74を含めて一体成形してなるものであり、一面にマイクロレンズアレイのレンズ面に成形され、他の面は平面に成形されている。このような片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 をガラス基板70の両側の平面に対してそれぞれの平面側を向かい合わせ、図17〜図21で説明したような方法で片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 相互を位置合わせし、ガラス基板70の両面に接着剤等で一体化することにより作製される。なお、マイクロレンズアレイ6の厚さが薄い場合には、ガラス基板70を省いて片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 相互を直接に一体化するようにしてもよい。
【0115】
ここで、このような単一組成の片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 の成形方法の1例を図29の製造工程を説明する図を参照にして説明する。図29(a)に示すように、それぞれ片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 の各マイクロレンズ面の凹型に対応する曲面型部92、94を金型82、84と同様にして形成されている上金型95、97を用意し、他方、片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 のマイクロレンズ面と反対側の平面に対応する平面型部100を持った下金型96を用意する。下金型96は両上金型95、97に対応した1個のものを用いてもよく、あるいは、金型95、97それぞれに対応して別々に用意してもよい。
【0116】
そして、図29(b)に示すように、上金型95、97の位置決めピン98、98を下金型96の位置決めピン98、98に対応した位置に設けられた位置決め穴99、99に挿入して成形型を組み立てる。下金型96には樹脂注入用の注入孔110、110が設けられている。
【0117】
次いで、図29(c)に示すように、上金型95、97と下金型96からなる成形型内に注入孔110、110から加熱溶融したPMMA等の熱可塑性樹脂111を注入し、冷却する。
【0118】
次に、図29(d)に示すよう成形型を分解することにより、成形された片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 が取り出される。
【0119】
なお、図29は単一組成の片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 の成形方法の1つの成形方法を示すもので、他の成形方法で作製することもできる。
【0120】
さて、本発明によるマイクロレンズアレイ6の変形例をさらにいくつか説明する。以下の図30〜図32は、本発明による片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 の何れか一方のガラス基板、以下では片面平面マイクロレンズアレイ62 のガラス基板73を発光体アレイ(有機EL装置)1を形成するガラス基板20(図12、図14)と兼用させるマイクロレンズアレイ6の実施例を示す断面図である。これらの場合には、片面平面マイクロレンズアレイ62 のガラス基板73のレンズ屈折面部74とは反対側の平面上に、各マイクロレンズ5に対応させて有機ELの発光領域2からなる発光体ブロック4を配置して(図4)、ボトムエミッション型の有機EL装置1とする。
【0121】
図30の構成では、マイクロレンズアレイ6は、図27の場合と同様で、裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の平面側を物体側(発光体ブロック4)に向け、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の平面側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 のレンズ屈折面部74側とを各マイクロレンズ5に対応して各光軸O−O’と同心の開口が設けられた遮光板64 を介して向かい合わせ、図17〜図21で説明したような方法で相互の位置合わせを行って一体化することで作製される。
【0122】
図31の構成では、マイクロレンズアレイ6は、裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の平面側を物体側(発光体ブロック4)に向け、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 のレンズ屈折面部72側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 のレンズ屈折面部74側とを遮光板64 を介して向かい合わせ、図17〜図21で説明したような方法で相互の位置合わせを行って一体化することで作製される。この構成の場合は、図27の場合と同様に、図11のような画像形成装置のラインヘッド101のマイクロレンズアレイ6として用いる場合に、飛散したトナーはマイクロレンズアレイ61 のガラス基板71の露出した平面に付着するので、簡単に清掃できクリーニング性がよい。
【0123】
図32の構成では、有機ELラインヘッド用のマイクロレンズアレイ6’として、ガラス基板73を発光体アレイ(有機EL装置)1を形成するガラス基板20と兼用させた片面平面マイクロレンズアレイ62 と、図15又は図28のような構成の複合型の両面にレンズ面が形成されてなるマイクロレンズアレイ6とを組み合わせたものを用いた例であり、マイクロレンズアレイ6の一方のレンズ屈折面部側と片面平面マイクロレンズアレイ62 のレンズ屈折面部74側とを遮光板64 を介して向かい合わせ、図17〜図21で説明したような方法で相互の位置合わせを行って一体化することで作製される。この構成の場合は、各マイクロレンズ5が3面の曲面からなるレンズ系からなるので、より明るく結像特性の良いものが可能になる。
【0124】
次に、図21のような、2枚の片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 が位置合わせされて各マイクロレンズ5の表側レンズ屈折面部72と裏側レンズ屈折面部74とが高精度で軸合わせされたマイクロレンズアレイ6を用いて、光書き込みラインヘッドを構成する場合の例を説明する。図33はこの例におけるマイクロレンズアレイ6(図21)を構成する表側片面平面マイクロレンズアレイ61 (図33(a))と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 (図33(b))を分解して示すと共に、それらマイクロレンズアレイ61 、62 に対応する発光体アレイ(有機EL装置)1(図33(c))を示す平面図であり、このようなマイクロレンズアレイ6と発光体アレイ1を用いて図22のような光書き込みラインヘッド101に組み立てる際には、マイクロレンズアレイ6を構成する各マイクロレンズ5の光軸と発光体アレイ1の各発光体ブロック4の中心を精密に位置決めしなければならない。そこで、発光体アレイ1を構成する有機EL装置1の発光面のマイクロレンズアレイ6の位置決めマーク518+518’、519+519’(図21)に対応した位置に位置決めマーク528、529を設けておく。
【0125】
このようなマイクロレンズアレイ6と発光体アレイ1を用いて図22のような光書き込みラインヘッド101を組み立てるために、図34に示すように、マイクロレンズアレイ6の位置決めマークを形成している一方のガラス基板71の位置決めマーク518、519及び他方のガラス基板73の位置決めマーク518’、519’の重畳したマーク(図21)と、発光体アレイ1の位置決めマーク528、529がそれぞれ正確に整列するように、例えば顕微鏡を用いてガラス基板71と発光体アレイ1を位置合わせする。この際、間に介在する遮光部材28が邪魔になるので、遮光部材28の位置決めマーク518+518’、519+519’に対応する位置に若干大きめの開口30を設けておくことで、マイクロレンズアレイ6と発光体アレイ1の間に遮光部材28が介在していても問題にならない。なお、図34の斜視図では、マイクロレンズアレイ6を構成する表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 を分解して示してあるが、マイクロレンズアレイ6と発光体アレイ1を位置合わせする際はマイクロレンズアレイ61 とマイクロレンズアレイ62 は一体になっている(図21)。
【0126】
図35は、発光体アレイ1の発光面に設ける位置決めマーク528(529)と、マイクロレンズアレイ6の位置決めマーク518+518’(519+519’)の例示と位置合わせの際の相互の位置関係を示す図である。マイクロレンズアレイ6を構成する一方のマイクロレンズアレイ61 のガラス基板71に設けられている位置決めマーク518(519)が○で囲まれたX字状で、他方のマイクロレンズアレイ62 のガラス基板73に設けられている位置決めマーク518(519)が○で囲まれた+字状の場合に、発光体アレイ1の発光面に設ける位置決めマーク528(529)としては、図35に示すように、+字の交点を4つの象限方向から当間隔で囲むL字状マークとすると、マイクロレンズアレイ6の位置決めマーク518+518’(519+519’)と発光体アレイ1の位置決めマーク528(529)を正確に整列させることができるようになる。
【0127】
なお、この例の場合も、マイクロレンズアレイ6製造の際のレンズ面の位置決め基準に用いた位置決め手段(位置決めマーク518、519、518’、519’)を光書き込みラインヘッド101の組み立ての際のマイクロレンズアレイ6の位置決め手段としても用いるので、光書き込みラインヘッド101の光学系は高精度で組み立てられることになる。
【0128】
以下に、図16に示した方法でマイクロレンズアレイ6を構成する片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 を製造する際の1つの具体例を示す。
【0129】
UV硬化樹脂76、76’としては、エポキシ系紫外線硬化樹脂(株式会社ADEKA 製 アデカオプトマーKR400)で屈折率1.52〜1.54を用いた。この樹脂は一般的には保護コート用として使われるものである。
【0130】
UVランプ77としたは、中心波長365nmで、光照射量80mJ/cm2 を用い、1回目のUV照射(図16(b))には1〜2秒の照射、2回目のUV照射(図16(d))には5〜10秒の照射を行った。
【0131】
また、用いた片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 の透明基板71、73としては、無アルカリガラス(日本電気硝子株式会社製OA−10)を用いた。他にBK7等を用いることができる。片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 の透明基板71、73と有機EL装置1のガラス基板20は同じものを用いるのが望ましい。その理由は、温度変化があっても両者の膨張係数が等しいため、マイクロレンズ5と発光体ブロック4の軸ずれが起き難くなるないためである。
【0132】
そして、このガラス基板71、73の表面処理については、
(1)洗浄:オゾン洗浄、硫酸洗浄、プラズマ処理等を行った。これは濡れ性の向上が目的である。
(2)次いで、シアンカップリング剤をスピンコートした。これは樹脂との密着性の向上が目的である。シアンカップリング剤(信越化学(株)KBE−903を水とエタノールの混合液(1:1)に1%添加した液を使用した。シアンカップリング剤入りの樹脂を用いることも可能である。
【0133】
以上、本発明のマイクロレンズアレイの製造方法、マイクロレンズアレイ、それを用いた有機ELラインヘッド及び画像形成装置をその原理と実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の1実施形態に係るラインヘッドの1つのマイクロレンズに対応する部分の斜視図である。
【図2】本発明の1実施形態に係るラインヘッドの1つのマイクロレンズに対応する部分の斜視図である。
【図3】本発明の1実施形態に係るラインヘッドの1つのマイクロレンズに対応する部分の斜視図である。
【図4】本発明の1実施形態に係る発光体アレイと光学倍率がマイナスのマイクロレンズとの対応関係を示す説明図である。
【図5】画像データが格納されているラインバッファのメモリテーブルの例を示す説明図である。
【図6】主走査方向に奇数番号と偶数番号の発光素子による結像スポットが同列に形成される様子を示す説明図である。
【図7】ラインヘッドとして使用される発光体アレイの例を示す概略の説明図である。
【図8】図7の構成で各発光素子の出力光によりマイクロレンズを通して像担持体の露光面を照射した場合の結像位置を示す説明図である。
【図9】図8において副走査方向の結像スポット形成の状態を示す説明図である。
【図10】マイクロレンズを複数配列した場合に像担持体の主走査方向に結像スポットが反転して形成される例を示す説明図である。
【図11】本発明による電子写真プロセスを用いた画像形成装置の1実施例の全体構成を示す模式的断面図である。
【図12】本発明の有機ELラインヘッドに用いる有機EL装置の1実施例の平面図である。
【図13】図12中の発光領域の周辺部分の拡大図である。
【図14】図13中のE−E線における有機EL装置の断面図である。
【図15】本発明の製造方法に従って作製されたマイクロレンズアレイの断面図である。
【図16】本発明のマイクロレンズアレイを構成する片面平面マイクロレンズアレイの製造方法の1例の工程図である。
【図17】一方の片面平面マイクロレンズアレイと他方の片面平面マイクロレンズアレイとの位置合わせ方法の1つの例を説明するための図である。
【図18】一方の片面平面マイクロレンズアレイと他方の片面平面マイクロレンズアレイとの位置合わせ方法の他の例を説明するための図である。
【図19】図18の方法で位置合わせして得られるマイクロレンズアレイの平面図である。
【図20】一方の片面平面マイクロレンズアレイと他方の片面平面マイクロレンズアレイとの位置合わせ方法の別の例を説明するための図である。
【図21】図20の方法で位置合わせして得られるマイクロレンズアレイの平面図である。
【図22】光書き込みラインヘッドの1例の構成を示す一部を破断した斜視図である。
【図23】図22の光書き込みラインヘッドへのマイクロレンズアレイの取り付け機構を示す平面図である。
【図24】本発明によるマイクロレンズアレイの1つの変形例の断面図である。
【図25】本発明によるマイクロレンズアレイの別の変形例の断面図である。
【図26】図25の実施例のマイクロレンズアレイを用いた光書き込みラインヘッドの図22と同様の図である。
【図27】本発明によるマイクロレンズアレイのさらに別の変形例の断面図である。
【図28】本発明によるマイクロレンズアレイのさらに別の変形例の断面図である。
【図29】単一組成の片面平面マイクロレンズアレイの成形方法の1例の工程図である。
【図30】本発明によるマイクロレンズアレイのさらに別の変形例の断面図である。
【図31】本発明によるマイクロレンズアレイのさらに別の変形例の断面図である。
【図32】本発明によるマイクロレンズアレイのさらに別の変形例の断面図である。
【図33】図21の方法で位置決めされたマイクロレンズアレイを用いて光書き込みラインヘッドを構成する例における表側片面平面マイクロレンズアレイ(a)と裏側片面平面マイクロレンズアレイ(b)を分解して示すと共に、それらに対応する発光体アレイ(c)の平面図である。
【図34】図21のマイクロレンズアレイと発光体アレイを用いて光書き込みラインヘッドを組み立てる際の位置決めマーク間の整列のさせ方を説明するための図である。
【図35】図34において発光体アレイの発光面に設ける位置決めマークとマイクロレンズアレイの位置決めマークの例示と位置合わせの際の相互の位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1…発光体アレイ(有機EL装置)、2…発光素子(発光領域)、3…発光素子列、4…発光体ブロック、5…マイクロレンズ、6、6’…マイクロレンズアレイ、61 、62 …片面平面マイクロレンズアレイ、63 …遮光膜、64 …遮光板、65 、66 …片面平面マイクロレンズアレイ、8、8a、8b…結像スポット、10…メモリテーブル、11…画素電極(陽極)、12…第1バンク、12a…開口部、13…有機EL素子、14…正孔注入層、15…発光層、16…陰極、17…封止部材、20…ガラス基板、21…半導体膜、22…第2バンク、22a…第1撥液領域、22b…親液領域、22c…第2撥液領域、23…ゲート電極、25…共通給電線、27…TFT素子、28…遮光部材、29…透孔、30…開口、31…下地保護膜、32…ゲート絶縁膜、33…第1層間絶縁膜、34…第2層間絶縁膜、35…長尺のハウジング、36…位置決めピン、37…ねじ挿入孔、38…取り付け用の長方形開口、41…感光体(像担持体)又は読み取り面、41(K、C、M、Y)…感光体ドラム(像担持体)、42(K、C、M、Y)…帯電手段(コロナ帯電器)、44(K、C、M、Y)…現像装置、45(K、C、M、Y)…一次転写ローラ、50…中間転写ベルト、66…二次転写ローラ、70…ガラス基板、71、73…透明基板(ガラス基板)、72、74…レンズ屈折面部、75…ディスペンサー、76、76’…紫外線(UV)硬化樹脂、77…UVランプ、78…紫外線、80…ギャップ材、82、84…レンズ面金型、92、94…曲面型部、95、97…上金型、96…下金型、98…位置決めピン、99…位置決め穴、100…平面型部、101、101K、101C、101M、101Y…ラインヘッド(光書き込みラインヘッド)、110…注入孔、111…熱可塑性樹脂、528、529…位置決めマーク、513、514、515、513’、514’、515’…位置決めピン、516、517、516’、517’…位置決めピン、518、519、518’、519’…位置決めマーク、523…付勢部材、526、527…突起、711、731…1つの長辺、712、732…1つの短辺、713、733…第1位置決め部、714、734…第2位置決め部、821、822、821’、822’…位置決めマーク、O−O’…光軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズアレイの製造方法とその方法で製造されたマイクロレンズアレイ、それを用いた有機ELラインヘッド及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のLEDアレイチップをLEDアレイ方向に配置し、各LEDアレイチップのLEDアレイを対応して配置した正レンズで感光体上に拡大投影し、感光体上で隣接するLEDアレイチップの端部の発光ドットの像同士が同一LEDアレイチップの発光ドットの像間ピッチと同一ピッチで隣接して結像するようにする光書き込みラインヘッド、及び、その光路を逆にして光読み取りラインヘッドとするものが特許文献1で提案されている。
【0003】
一方、LEDアレイチップの各発光ドットからの発散光を集光するマイクロレンズアレイの製造方法として、フォトリソグラフィーと電鋳によりそのマイクロレンズアレイの型を作り、光硬化性樹脂を用いてガラス基板上に複製するか、熱可塑性樹脂に複製することでマイクロレンズアレイを製造する方法が特許文献2に開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、液晶パネル照明用等のマイクロレンズアレイの製造方法として、ガラス基板の両面にフォトレジストを画素に対応してパターニングして、そのフォトレジストを加熱溶融させて表面張力によりレンズ屈折面に加工することでレンズアレイを形成する方法が開示されている。
【特許文献1】特開平2−4546号公報
【特許文献2】特開2005−276849号公報
【特許文献3】特開平6−208006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、特許文献2に記載されているように、レンズ全体の線膨張を防止するためにガラス基板上に光硬化性樹脂を用いてレンズを成形して、ハイブリッドマイクロレンズアレイを製造する方法が提案されている。この製造方法では、光学的性能の向上のために基板の両面にレンズ屈折面(レンズ面)を成形する必要がある。
【0006】
しかしながら、ガラス基板の両面に光硬化性樹脂を用いて成形する場合、型が金属等の不透明な材質で作られると、光硬化のための光が型で遮られて透過しないため、ガラス基板の両面のレンズ面を同時に成形することができない。
【0007】
このような場合、両面のレンズ面を成形するために、ガラス基板の一方の面にレンズ面を成形した後、ガラス基板を型から一旦取り外さなければならないため、両面のレンズ面の光軸がずれてしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、別々に成形した片側平面のマイクロレンズを相互に位置合わせて一体化してなり、光学的性能が良く、両面のレンズ面の光軸ずれが小さい有機ELラインヘッド等に用いるマイクロレンズアレイの製造方法とそのようにして製造したマイクロレンズアレイ、それを用いた有機ELラインヘッド及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のマイクロレンズアレイの製造方法は、金型を用いて光硬化性樹脂のマイクロレンズアレイを形成する方法であって、
マイクロレンズアレイの一方のレンズ面に対応する型面を持つ第1の金型に光硬化性樹脂を注入し、その上に第1の透明基板を載せ、その際に第1の金型に設けられた第1の位置決め手段を用いて第1の透明基板を位置決めし、
前記第1の透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第1の透明基板の一方の面上に第1のレンズアレイを成形し、
マイクロレンズアレイの他方のレンズ面に対応する型面を持つ第2の金型に光硬化性樹脂を注入し、その上に第2の透明基板を載せ、その際に第2の金型に設けられた第2の位置決め手段を用いて第2の透明基板を位置決めし、
前記第2の透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第2の透明基板の一方の面上に第2のレンズアレイを成形し、
前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとをそれぞれの成形の際の位置決めに用いた前記第1の透明基板の位置決め部、前記第2の透明基板の位置決め部を用いて相互に位置合わせして一体化することでマイクロレンズアレイを作製することを特徴とする方法である。
【0010】
このように構成することで、光学的性能が良く、両面のレンズ面が高精度で軸合わせがなされた有機ELラインヘッド等に用いるマイクロレンズアレイを容易に作製することができる。
【0011】
この場合、前記位置決め部を前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれの直交する2つの側辺とすることができる。
【0012】
このように構成することで、第1、第2の透明基板に格別のマークを設けないでも両レンズアレイのレンズ面を相互に高精度で軸合わせすることができる。
【0013】
また、前記位置決め部を前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれの周囲に設けられた機械的なマークとすることができる。
【0014】
このように構成することで、両レンズアレイのレンズ面を相互に高精度で軸合わせすることができる。そして、この機械的なマークを有機ELラインヘッド等を組み立てるときの位置決め手段としても用いることができ、有機ELラインヘッド等の光学系を高精度で組み立てることができるようになる。
【0015】
また、前記位置決め部を前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれに設けられた光学的マークとすることができる。
【0016】
このように構成することで、両レンズアレイのレンズ面を相互に高精度で軸合わせすることができる。そして、この光学的マークを有機ELラインヘッド等を組み立てるときの位置決め手段としても用いることができ、有機ELラインヘッド等の光学系を高精度で組み立てることができるようになる。
【0017】
また、前記第1の金型、前記第2の金型に中途まで光硬化性樹脂を注入して前記光硬化性樹脂を半硬化状態にし、次いで、その上にさらに光硬化性樹脂を注入し、その上にそれぞれ前記第1の透明基板、前記第2の透明基板を載せ、前記第1の透明基板、前記第2の透明基板を位置決めし、透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第1の透明基板、前記第2の透明基板の一方の面上にそれぞれ前記第1のレンズアレイ、前記第2のレンズアレイを成形するようにすることが望ましい。
【0018】
このように構成することで、気泡が入り難くなり、また、硬化の際の収縮による面精度の低下を抑えることができる。
【0019】
また、前記第1の金型、前記第2の金型上での前記光硬化性樹脂の硬化のためのエネルギーが2回目の方がより強い方が望ましい。
【0020】
このように構成することで、気泡が入り難くなり、また、硬化の際の収縮による面精度の低下を抑えることができる。
【0021】
また、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの間に、マイクロレンズアレイを構成する各レンズの光軸と同心の開口が設けられた遮光膜を配置して一体化することができる。
【0022】
このように構成することで、マイクロレンズ間のクロストークを防いだりその他の迷光を遮断することができる。
【0023】
また、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの間に、マイクロレンズアレイを構成する各レンズの光軸と同心の開口が設けられた遮光板を配置して一体化することができる。
【0024】
このように構成することで、マイクロレンズ間のクロストークを防いだりその他の迷光を遮断することができる。また、その遮光板を第1のレンズアレイと第2のレンズアレイの間のスペーサとすることができ、何れかのレンズ面をマイクロレンズアレイの内部に配置することができるようになる。
【0025】
その場合に、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイと少なくとも一方の透明基板側が外に向くような配置で両者を一体化することができる。
【0026】
このように構成することで、マイクロレンズアレイの例えば像側の面を平面とすることができ、例えば画像形成装置のラインヘッドのマイクロレンズアレイとして用いるとき、現像剤のトナーが飛散してマイクロレンズアレイのその平面に付着しても簡単に清掃できクリーニング性が向上することになる。
【0027】
その場合、前記第1のレンズアレイ又は前記第2のレンズアレイの透明基板側が外に向くように配置され、その外側の透明基板面に有機ELからなる複数の発光素子が列状に配置されてなる発光素子列を1列以上含む発光体ブロックがマイクロレンズアレイを構成する各レンズに対応して各々配置されているものとすることができる。
【0028】
このように構成することで、マイクロレンズアレイの一方のガラス基板を有機EL装置のガラス基板と兼用させることができ、部品点数の削減、温度変化によるレンズと発光体ブロックのずれがなくなる。
【0029】
本発明のもう1つのマイクロレンズアレイの製造方法は、金型を用いて樹脂性のマイクロレンズアレイを形成する方法であって、
マイクロレンズアレイの一方のレンズ面に対応する型面を持つ第1の金型を用いて反対の面が平面の樹脂性の第1のマイクロレンズアレイを成形し、
マイクロレンズアレイの他方のレンズ面に対応する型面を持つ第2の金型を用いて反対の面が平面の樹脂性の第2のマイクロレンズアレイを成形し、
前記第1のマイクロレンズアレイと前記の第2のマイクロレンズアレイをその平面側で透明基板の両面に貼り付けて一体化し、 その貼り付けの際に、前記第1のマイクロレンズアレイと前記第2のマイクロレンズとをそれぞれの成形の際の位置決めに用いた位置決め部を用いて相互に位置合わせして一体化することでマイクロレンズアレイを作製することを特徴とする方法である。
【0030】
このように構成することで、光学的性能が良く、両面のレンズ面が高精度で軸合わせがなされた有機ELラインヘッド等に用いるマイクロレンズアレイを容易に作製することができる。
【0031】
本発明のマイクロレンズアレイは、第1の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第1の片面平面マイクロレンズアレイと、第2の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第2の片面平面マイクロレンズアレイとがレンズ屈折面部相互が軸合わせされるように一体化されてなり、同一のマイクロレンズが所定方向に一定ピッチで一列に配置され、それと直交する方向にはN個の同様のマイクロレンズ列が配置され、N個のマイクロレンズ列は、先頭のマイクロレンズの位置がN分の1ピッチずつずらして配列されていることを特徴とするものである。
【0032】
このように構成することで、有機ELラインヘッドに特に適した構成のマイクロレンズアレイとなる。
【0033】
この場合に、前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板の周囲に機械的なマークが設けられるか、前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板に光学的マークが設けられていることが望ましい。
【0034】
このように構成することで、機械的なマークあるいは光学的マークを有機ELラインヘッド等を組み立てるときの位置決め手段としても用いることができ、有機ELラインヘッド等の光学系を高精度で組み立てられることができるようになる。
【0035】
本発明の有機ELラインヘッドは、主走査方向に複数の発光素子が列状に配置されてなる発光素子列を1列以上含む発光体ブロックが少なくとも主走査方向に間隔をおいて複数配置された有機EL発光体アレイの射出側に、各発光体ブロックに対応して各々1個の正レンズが整列するように配置されたマイクロレンズアレイが前記有機EL発光体アレイに平行に配置されており、前記マイクロレンズアレイとして、第1の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第1の片面平面マイクロレンズアレイと、第2の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第2の片面平面マイクロレンズアレイとがレンズ屈折面部相互が軸合わせされるように一体化されてなるマイクロレンズアレイであって、前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板に位置決めのための機械的又は光学的なマークが設けられているものを用いることを特徴とするものである。
【0036】
このように構成することで、光学系が高精度で組み立てられた有機ELラインヘッドが得られる。
【0037】
また、像担持体の周囲に帯電手段と、以上のような有機ELラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行う画像形成装置を構成することができる。
【0038】
このように構成することで、小型で解像力が高く画像の劣化の少ないプリンター等の画像形成装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法とマイクロレンズアレイ、それを用いた有機ELラインヘッドを詳細に説明する前に、マイクロレンズアレイを用いた有機ELラインヘッドについて簡単に説明しておく。
【0040】
図4は、本発明の1実施形態に係る発光体アレイ1と光学倍率がマイナスのマイクロレンズ5との対応関係を示す説明図である。この実施形態のラインヘッドにおいては、1つのマイクロレンズ5に2列の発光素子が対応している。ただし、マイクロレンズ5が光学倍率がマイナス(倒立結像)の結像素子であるので、発光素子の位置が主走査方向及び副走査方向で反転している。すなわち、図1の構成では、像担持体の移動方向の上流側(1列目)に偶数番号の発光素子(8、6、4、2)を配列し、同下流側(2列目)には奇数番号の発光素子(7、5、3、1)を配列している。また、主走査方向の先頭側に番号が大きな発光素子を配列している。なお、この実施形態の発光体アレイ1としては、後で説明する有機EL装置が用いられる。
【0041】
図1〜図3は、この実施形態のラインヘッドの1つのマイクロレンズに対応する部分の斜視図である。図2に示してあるように、像担持体41の下流側に配列された奇数番号の発光素子2に対応した像担持体41の結像スポット8aは、主走査方向で反転した位置に形成される。Rは、像担持体41の移動方向である。また、図3に示されるように、像担持体41の上流側(1列目)に配列された偶数番号の発光素子2に対応した像担持体41の結像スポット8bは、副走査方向で反転した下流側の位置に形成される。しかしながら、主走査方向では、先頭側からの結像スポットの位置は、発光素子1〜8の番号で順番に対応している。したがって、この例では像担持体の副走査方向における結像スポット形成のタイミングを調整することにより、主走査方向に同列に結像スポットを形成することが可能であることが分かる。
【0042】
図5は、画像データが格納されているラインバッファのメモリテーブル10の例を示す説明図である。図5のメモリテーブル10は、図4の発光素子の番号に対して、主走査方向で反転して格納されている。図5において、ラインバッファのメモリテーブル10に格納された画像データの中、先に像担持体41の上流側(1列目)の発光素子に対応する第1の画像データ(1、3、5、7)を読み出し、発光素子を発光させる。次に、T時間後に、メモリアドレスに格納されている像担持体41の下流側(2列目)の発光素子に対応する第2の画像データ(2、4、6、8)を読み出し、発光させる。このようにして、図6に8の位置で示されるように、像担持体上の1列目の結像スポットが2列目の結像スポットと主走査方向で同列に形成される。
【0043】
図1は、図5のタイミングで画像データを読み出して結像スポットを形成する例を、概念的に示す斜視図である。図5を参照にして説明したように、先に像担持体41の上流側(1列目)の発光素子を発光させ、像担持体41に結像スポットを形成する。次に、所定のタイミングT経過後に像担持体41の下流側(2列目)の奇数番号の発光素子を発光させ、像担持体に結像スポットを形成する。この際に、奇数番号の発光素子による結像スポットは、図2で説明した8aの位置ではなく、図6に示されているように、主走査方向に同列に8の位置に形成されることになる。
【0044】
図7は、ラインヘッドとして使用される発光体アレイの例を示す概略の説明図である。図7において、発光体アレイ1には、発光素子2を主走査方向に複数配列した発光素子列3を副走査方向に複数列設けて発光体ブロック4(図4参照)を形成している。図7の例では、発光体ブロック4は、主走査方向に4個の発光素子2を配列した発光素子列3を、副走査方向に2列形成している(図4参照)。この発光体ブロック4は、発光体アレイ1に多数配置されており、各発光体ブロック4はマイクロレンズ5に対応して配置されている。
【0045】
マイクロレンズ5は、発光体アレイ1の主走査方向及び副走査方向に複数設けられてマイクロレンズアレイ(MLA)6を形成している。このMLA6は、副走査方向では主走査方向の先頭位置をずらして配列されている。このようなMLA6の配列は、発光体アレイ1に発光素子を千鳥状に設ける場合に対応している。図7の例では、MLA6が副走査方向に3列配置されているが、MLA6の副走査方向の3列のそれぞれの位置に対応する各単位ブロック4を、説明の便宜上、グループA、グループB、グループCに区分する。
【0046】
上記のように、光学倍率がマイナスのマイクロレンズ5内に複数個の発光素子2が配置され、かつ、当該レンズが副走査方向に複数列配置されている場合には、像担持体41の主走査方向に一列に並んだ結像スポットを形成するためには、以下のような画像データ制御が必要となる。(1)副走査方向の反転、(2)主走査方向の反転、(3)レンズ内の複数列発光素子の発光タイミング調整、(4)グループ間の発光素子の発光タイミング調整。
【0047】
図8は、図7の構成で、各発光素子2の出力光によりマイクロレンズ5を通して像担持体の露光面を照射した場合の結像位置を示す説明図である。図8において、図7で説明したように、発光体アレイ1には、グループA、グループB、グループCに区分された単位ブロック4が配置されている。グループA、グループB、グループCの各単位ブロック4の発光素子列を、像担持体41の上流側(1列目)と下流側(2列目)に分け、1列目に偶数番号の発光素子を割り当て、2列目に奇数番号の発光素子を割り当てる。
【0048】
グループAについては、図1〜図3で説明したように各発光素子2を動作させることにより、像担持体41には主走査方向及び副走査方向で反転した位置に結像スポットが形成される。このようにして、像担持体41上には主走査方向の同じ列に1〜8の順序で結像スポットが形成される。以下、像担持体41を副走査方向に所定時間移動させてグループBの処理を同様に実行する。さらに、像担持体41を副走査方向に所定時間移動させてグループCの処理を実行させることにより、主走査方向の同じ列に1〜24・・・の順序で、入力された画像データに基づく結像スポットが形成される。
【0049】
図9は、図8において、副走査方向の結像スポット形成の状態を示す説明図である。Sは、像担持体41の移動速度、d1は、グループAの1列目と2列目の発光素子の間隔、d2はグループAの2列目の発光素子とグループBの2列目の発光素子の間隔、d3はグループBの2列目の発光素子とグループCの2列目の発光素子の間隔、T1はグループAの2列目の発光素子の発光後に1列目の発光素子が発光するまでの時間、T2はグループAの2列目の発光素子による結像位置がグループBの2列目の発光素子の結像位置に移動する時間、T3はグループAの2列目の発光素子による結像位置がグループCの2列目の発光素子の結像位置に移動する時間である。
【0050】
T1は以下のようにして求めることができる。T2、T3についても、d1をd2、d3に置き換えることにより同様に求めることができる。
【0051】
T1=|(d1×β)/S|
ここで、各パラメータは、以下の通りである。
d1:発光素子の副走査方向の距離
S:結像面(像担持体)の移動速度
β:レンズの倍率
図9においては、グループAの2列目の発光素子が発光した時間のT2時間後にグループBの2列目の発光素子を発光させる。さらに、T2からT3時間後にグループCの2列目の発光素子を発光させる。各グループの1列目の発光素子は、2列目の発光素子が発光してからT1時間後に発光する。このような処理をすることにより、図8に示されているように、発光体アレイ1に2次元的に配置された発光体による結像スポットを、像担持体上で一列に形成することが可能となる。図10は、マイクロレンズ5を複数配列した場合に、像担持体の主走査方向に結像スポットが反転して形成される例を示す説明図である。
【0052】
以上のようなラインヘッドを用いて画像形成装置を構成することができる。その1実施形態においては、4つの感光体に4つのラインヘッドで露光し、4色の画像を同時に形成し、1つの無端状中間転写ベルト(中間転写媒体)に転写する、タンデム式カラープリンター(画像形成装置)に以上のようなラインヘッドを用いることができる。図11は、発光体アレイ1として有機EL装置を用いたタンデム式画像形成装置の1例を示す縦断側面図である。この画像形成装置は、同様な構成の4個のラインヘッド101K、101C、101M、101Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものであり、タンデム方式の画像形成装置として構成されている。
【0053】
図11に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ51と従動ローラ52とテンションローラ53が設けられており、テンションローラ53によりテンションを加えて張架されて、図示矢印方向(反時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト(中間転写媒体)50を備えている。この中間転写ベルト50に対して所定間隔で配置された4個の像担持体としての外周面に感光層を有する感光体41K、41C、41M、41Yが配置される。
【0054】
上記符号の後に付加されたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示す。他の部材についても同様である。感光体41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。各感光体41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)により一様に帯電させられた外周面を、感光体41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査する本発明の上記のようなラインヘッド101(K、C、M、Y)が設けられている。
【0055】
また、このラインヘッド101(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト50に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とを有している。
【0056】
ここで、各ラインヘッド101(K、C、M、Y)は、ラインヘッド101(K、C、M、Y)のアレイ方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように設置される。そして、各ラインヘッド101(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と、感光体41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とは略一致するように設定されている。
【0057】
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体41(K、C、M、Y)に接触あるいは押厚させることにより、感光体41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させることによりトナー像として現像するものである。
【0058】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、排紙ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上へ排出される。
【0059】
なお、図11中、63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
【0060】
次に、上記のような有機ELラインヘッドに用いる発光装置としての有機EL装置の1実施例を説明する。
【0061】
図12は有機EL装置1(図1〜図10の発光体アレイ1に対応する)の平面図である。有機EL装置1は、透光性を有する矩形のガラス基板20を基体として構成されており、ガラス基板20には、複数の円形の発光領域2(図1〜図10の発光素子2に対応する)が設けられている。発光領域2は、ガラス基板20の長手方向に沿って列をなすように等間隔に形成されている。そして、この発光領域2の列は、ガラス基板20上に2列に配列されている。また、各発光領域2は、隣接する他方の列の発光領域2に対してガラス基板20の長手方向について半ピッチだけずれるようにして配置されている。つまり、発光領域2は、千鳥状に配列されている。有機EL装置1は、発光領域2において発光を行う。図12は、有機EL装置1を、光が射出される側から見た図である。基板としては、ガラス基板20の他にも、石英基板を始めとする種々の部材を用いることができる。
【0062】
図13は、図12中の発光領域2の周辺部分の拡大図であり、図14は、図13中のE−E線における有機EL装置1の断面図である。以下では、図14の断面図を用いて、図13の平面図を参照しながら有機EL装置1の構造について説明する。
【0063】
有機EL装置1は、ガラス基板20を基体とし、その上に各構成要素が積み上げられた構成となっている。ガラス基板20上にはシリコン酸化膜(SiO2 )等からなる下地保護膜31が形成されている。下地保護膜31上には、TFT(Thin Film Transistor)素子27が形成されている。
【0064】
より詳しくは、下地保護膜31上に、ポリシリコン膜からなる半導体膜21が島状に形成されている。半導体膜21には不純物の導入によってソース領域、ドレイン領域が形成され、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域となっている。下地保護膜31及び半導体膜21の上には、シリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜32が形成され、ゲート絶縁膜32上には、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)等からなるゲート電極23が形成されている。ゲート電極23及びゲート絶縁膜32の上には、第1層間絶縁膜33と第2層間絶縁膜34とがこの順に積層されている。ここで、第1層間絶縁膜33及び第2層間絶縁膜34は、シリコン酸化膜(SiO2 )、チタン酸化膜(TiO2 )等のの無機絶縁膜から構成されている。
【0065】
第1層間絶縁膜33の上層には、共通給電線25が形成されている。共通給電線25は、第1層間絶縁膜33及びゲート絶縁膜32を貫通して設けられたコンタクトホールを介して半導体膜21のソース領域に接続されている。
【0066】
第2層間絶縁膜34上には、ITO(Indium Tin Oxide)からなる光透過性の画素電極11が発光領域2毎に形成されている。画素電極11は、図12の平面図において、発光領域2として示された円より一回り大きな領域に形成されている。また、発光領域2は、ガラス基板20の長手方向に沿って列をなすように等間隔に形成されている。この画素電極11は、第2層間絶縁膜34、第1層間絶縁膜33、ゲート絶縁膜32を貫通して設けられたコンタクトホールを介して半導体膜21のドレイン領域に電気的に接続されている。こうした構成において、TFT素子27は、ゲート電極23への電圧の供給によってオン/オフが切り替わり、オン状態となった場合には、共通給電線25から画素電極11へ駆動電流を流す働きをする。
【0067】
また、第2層間絶縁膜34上には、無機材料からなる第1バンク12が形成されている。第1バンク12は、画素電極11の周りを囲うようにして第2層間絶縁膜34上に配置されており、ガラス基板20の法線方向から見て、一部が画素電極11の外縁部に重なった状態に形成されている。換言すれば、第1バンク12は、画素電極11より小さな開口部12aを有して、画素電極11に重ねて配置されている。そして、この開口部12aは、発光領域2に対応する領域に設けられている。つまり、図12に示された発光領域2の形状が、そのまま開口部12aの形状となる。言い換えれば、第1バンク12は、発光領域2を除いた領域に形成されていることとなる。第1バンク12は、シリコン酸化膜等の無機絶縁膜からなり、その厚さは約50〜100nmである。
【0068】
第1バンク12の上には、第1バンク12と同一の形成領域に、第2バンク22が積層されている。第2バンク22は、第1撥液領域22a、親液領域22b、第2撥液領域22cを有している。第1撥液領域22aは、図12及び図13に示された、発光領域2を囲む環状の領域Aに形成されている。親液領域22bは、領域Aを囲む環状の領域Bに形成されている。第2撥液領域22cは、領域Bの外側に対応する領域Cに形成されている。本実施例では、領域A及び領域Bは、共に同心の円環状の領域となっている。また、領域Aの内円が発光領域2に一致し、領域Aの外円と領域Bの内円とが一致している。したがって、発光領域2、第1撥液領域22aが形成された領域A、親液領域22bが形成された領域B、第2撥液領域22cが形成された領域Cは、隣り合う領域同士が接した状態で配置されており、ガラス基板20の法線方向から見ると、有機EL装置1上の領域は、発光領域2、領域A、領域B、領域Cの何れかに含まれる。本実施例では、発光領域2の円の直径は約50μm、第1撥液領域22aが形成された領域Aの幅は約5μm、親液領域22bが形成された領域Bの幅は約20μmである。
【0069】
ここで、第2バンク22における親液領域22bは、第1撥液領域22a及び第2撥液領域22cより相対的に濡れ性が高くなっている。濡れ性が高いとは、液体との接触角が相対的に小さいことを指す。ある領域に吐出された液体は、これと隣接する、相対的に濡れ性が低い(すなわち接触角が大きい)領域には浸入し難いと言える。したがって、本実施例では、発光領域2に吐出された液体は第1撥液領域22aには侵入し難く、親液領域22bに吐出された液体は、第2撥液領域22cには浸入し難くなっている。
【0070】
画素電極11上の中、第1撥液領域22aに囲まれた領域、すなわち発光領域2に対応する領域には、正孔注入層14が形成されている。より詳しくは、正孔注入層14は、画素電極11を底部とし、第1バンク12及び第2バンク22を側壁とする凹部に形成されている。正孔注入層14が形成される発光領域2は、周囲を第2バンク22の第1撥液領域22aに囲まれているため、正孔注入層14を形成する際に吐出される機能液は発光領域2の外に浸入し難い。このため、正孔注入層14を容易に発光領域2内に形成することができる。
【0071】
正孔注入層14は、導電性高分子材料中にドーパントを含有する導電性高分子層からなる。このような正孔注入層14は、例えば、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を含有する3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)等から構成することができる。
【0072】
正孔注入層14上及び第2バンク22上の中、第2撥液領域22cに囲まれた領域(すなわち、発光領域2、第1撥液領域22a、親液領域22bからなる領域)には、発光層15が形成されている。第2撥液領域22cの存在により、発光層15を形成する際に吐出される機能液は、親液領域22b及びその内側の領域にのみ濡れ広がり、第2撥液領域22cには侵入し難い。このため、発光層15を容易に第2撥液領域22cに囲まれた領域に形成することができる。こうして形成された発光層15は、正孔注入層14の面積(すなわち、発光領域2の面積)より大きな面積を有しているため、発光領域2において、発光層15の厚さを均一にすることができる。すなわち、発光層15の中比較的平坦な領域を発光に用いることができる。
【0073】
本明細書では、正孔注入層14、発光層15を含む層を有機EL素子13とも呼ぶ。正孔注入層14の厚さは約50nmであり、発光層15の厚さは約100nmである。
【0074】
発光層15上及び第2バンク22の第2撥液領域22c上には、厚さ約5nmのカルシウム(Ca)及び厚さ約300nmのアルミニウム(Al)の積層体である陰極16が形成されている。換言すれば、陰極16は、発光層15を挟んで画素電極11の反対側に形成されている。陰極16の上には、水や酸素の侵入を防ぎ、陰極16あるいは有機EL素子13の酸化を防止するための、樹脂等からなる封止部材17が積層されている。
【0075】
上述した発光層15は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。画素電極11と陰極16との間に電圧を印加することによって、発光層15には、正孔注入層14から正孔が、また、陰極16から電子が注入される。発光層15は、これらが結合したときに光を発する。発光層15からの発光スペクトルは、材料の発光特性や膜厚に依存する。本実施例では、発光層15は赤色光を発光し、その主発光波長、すなわち発光スペクトルにおいて発光強度が最大となる波長は約630nmである。
【0076】
有機EL装置1は、発光領域2においてのみ発光し、第1バンク12が形成された領域においては発光は行われない。これは、図14に示すように、当該領域では、画素電極11(陽極)と陰極16との間に絶縁物質である第1バンク12が配置されていることにより、両電極間の電流経路が遮断されるためである。
【0077】
発光層15から図14の下方に射出された光はそのままガラス基板20を透過し、また図14の上方に射出された光は陰極16によって反射された後に下方へ進み、同じくガラス基板20を透過する。このような構成の有機EL装置1は、ボトムエミッション型と呼ばれる。
【0078】
なお、有機EL装置1が、ガラス基板20とは反対側に向けて表示光を射出するトップエミッション型である場合、陰極16は、例えば、薄いカルシウム層と、ITO層等から構成して光透過性を持たせ、画素電極11の下層側には、画素電極11の略全体と重なるようにアルミニウム膜等からなる光反射層を形成する。
【0079】
以上のような構成の有機EL装置1によれば、発光領域2において、発光層15の厚さを均一にすることができる。このため、発光層15の中比較的平坦な部分を発光に用いることができ、均一な発光特性を有する有機EL装置1が得られる。
【0080】
さて、本発明は上記のような有機ELラインヘッド及びその有機ELラインヘッドを用いた画像形成装置等に用いるマイクロレンズアレイの製造方法に関するものであり、その製造方法の実施例を以下に説明する。
【0081】
図15は、本発明の製造方法に従って作製された1実施例のマイクロレンズアレイ6の断面図であり、それを構成する同一のマイクロレンズ5が所定方向、図7の場合は、主走査方向に一定ピッチで列状に配置され、副走査方向に3個の同様のマイクロレンズ5の列が3列配置され、主走査方向の列の先頭位置が3分の1ピッチずつずらして配列されて構成される。なお、先頭位置のずれはマイクロレンズ5の列がN個の場合、N分の1ピッチとなる。
【0082】
このマイクロレンズアレイ6は、ガラス板等からなり所定厚さで細長い長方形の透明基板71の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部72が一体に成形されてなる片面平面マイクロレンズアレイ61 と、同様に、別の同様の透明基板73の表面に同様の透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部74が一体に成形されてなる片面平面マイクロレンズアレイ62 とを、各レンズ屈折面部72、74の光軸が対応する各マイクロレンズ5の光軸O−O’に正確に軸合わせされるように、相互に正確に位置合わせして平面側で相互に接着一体化してなるものである。レンズ屈折面部72とレンズ屈折面部74の同一形状であっても異なる形状であってもよい。また、透明基板71と透明基板73は同一材料で同一厚さであっても異なる材料で異なる厚さであってもよい。
【0083】
このような片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 の製造方法を図16の製造工程を説明する図を参照にして説明する。以下、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 は別々に製造するが、同一の方法で製造するので、同時に説明する。
【0084】
まず、工程(a)で、マイクロレンズアレイ6の表側レンズ面に対応する表側レンズ面金型82と裏側レンズ面に対応する裏側レンズ面金型84とを別々に用意する。両金型82、84における各マイクロレンズ面の凹型に対応する曲面型部92、94は機械加工により形成される。曲面型部92、94の深さは通常100〜200μm、直径は0.1〜1mm程度である。曲面型部92、94を機械加工により形成する代わりに、エッチングで形成することもできる。あるいは、各マイクロレンズ5の第1面、第2面に対応する面形状を有するビーズを多数整列配置し、その表面形状を金型基板に転写する方法でも形成することができる。このようにして形成された表側レンズ面金型82、裏側レンズ面金型84の各曲面型部92、94中に液量を計量して注入できるディスペンサー75により曲面型部92、94中を中途まで満たす量の紫外線(UV)硬化樹脂76を順に注入する。その注入の際、ディスペンサー75を矢印のように上へ上げながら注入すると、UV硬化樹脂76に乱れを起こさないようにできる。
【0085】
次いで、工程(b)において、全ての曲面型部92、94にUV硬化樹脂76が注入された状態で、上方からUVランプ77からの紫外線78を照射し、UV硬化樹脂76を半硬化状態にする。ここで、UV硬化樹脂76を完全に硬化させないのは、次の工程(c)で追加注入するUV硬化樹脂76’との界面が発生するのを防止するためである。
【0086】
次いで、工程(c)において、工程(a)と同様にして半硬化状態のUV硬化樹脂76で中途まで満たされた曲面型部92、94中に追加のUV硬化樹脂76’を注入して各曲面型部92をUV硬化樹脂76+76’で多少余分に満たす。
【0087】
次に、工程(d)において、片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 における透明基板71、73となる相互に同じ形状で細長い長方形のガラス基板71、73を各曲面型部92、94がUV硬化樹脂76+76’で多少余分に満たされたレンズ面金型82、84上に一定圧力で押し付ける。この際、曲面型部92、94全体の周りに所定の小さな距離を保つギャップ材80を配置する。このギャップ材80を配置することで、余分なUV硬化樹脂76’と気泡が抜けやすくなる。その状態で、ガラス基板71、73を通して上方からUVランプ77からの紫外線78を照射し、UV硬化樹脂76+76’を完全に硬化させる。
【0088】
UV硬化樹脂76+76’が完全に硬化して表側のレンズ屈折面部72、裏側のレンズ屈折面部74となった後に、工程(e)において、ガラス基板71、73をレンズ屈折面部72、74と共に金型82、84から取り外すことで、それぞれ表側片面平面マイクロレンズアレイ61 、裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 が得られる。
【0089】
ここで、曲面型部92、94に2回に分けてUV硬化樹脂76、76’を注入するのは、各回の注入液量が少ないので気泡が出来難く、また、出来たとしても直ぐに抜けやすいためと、硬化の際の収縮による面精度の低下を抑えるためである。なお、1回目の注入で各曲面型部92、94をUV硬化樹脂76で十分に満たし、ガラス基板71、73を通して1回の紫外線78の照射でUV硬化樹脂76を完全に硬化させて、レンズ屈折面部72、74とするようにしてももちろんよい。
【0090】
ところで、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 とを一体化する際に、対応するレンズ屈折面部72とレンズ屈折面部74の間で光軸を正確に軸合わせすることが重要である。以下、そのための位置合わせ方法を説明する。
【0091】
図17はそのための位置決め合わせ方法の1つを説明するための図であり、図17(a)は図16(d)において表側レンズ面金型82上に載置されたガラス基板71を上から見た図であり、図17(b)は図16(d)において裏側レンズ面金型84上に載置されたガラス基板73を上から見た図である。両金型82、84には、相互に鏡像関係にある曲面型部92の全体のパターンと曲面型部94の全体のパターンに対して、相互に鏡像関係の同じ位置(曲面型部92の全体のパターンと曲面型部94の全体のパターンとの対応する同じ位置)に位置決めピン513〜515、513’〜515’が配置されている。位置決めピン515と515’は主走査方向端部に対応するガラス基板71、73のそれぞれ1つの短辺712、732が突き当てるためのものであり、位置決めピン513と513’は主走査方向に伸びるガラス基板71の1つの長辺711とガラス基板73の1つの長辺731のそれぞれ短辺712、732側の同じ位置が突き当てるためのものであり、位置決めピン514と514’は主走査方向に伸びるガラス基板71の1つの長辺711とガラス基板73の1つの長辺731のそれぞれ短辺712、732と反対側の同じ位置が突き当てるためのものである。なお、ガラス基板71、73としては何れも長辺711、731と短辺712、732が直交するものを用いる。
【0092】
このような配置であるので、それぞれ、ガラス基板71、73の表面にレンズ屈折面部72、74を一体成形する際(図16(d))には、ガラス基板71、73の表面をそれそれ表側レンズ面金型82、裏側レンズ面金型84に面するようにガラス基板71、73を金型82、84上に載せ、図17(a)、(b)のようにガラス基板71、73を位置決めピン513〜515、513’〜515’に3点支持状態で突き当てた状態で紫外線78を照射することで、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 が得られる。
【0093】
そして、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 のガラス基板71の平面側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 のガラス基板73の平面側とを向かい合わせ、ガラス基板71の長辺711と短辺712をガラス基板73のそれぞれ長辺731と短辺732に正確に位置合わせすることで、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の表側レンズ屈折面部72と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせがなされることになる。その状態で、ガラス基板71とガラス基板73の間を接着剤等で一体化することにより、各マイクロレンズ5の表側レンズ屈折面部72と裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせされた本発明のマイクロレンズアレイ6(図15)が得られることになる。
【0094】
図17の例は、ガラス基板71、73の長辺711、731と短辺712、732を位置決め基準に用いるものであったが、ガラス基板71、73に位置決め基準となる機械的な手段を設けてもよい。その例を図18に示す。ガラス基板71の長辺711の短辺712側、及び、ガラス基板73の長辺731の短辺732側の同一位置にV字状の切り込みからなる第1位置決め部713、733と、それぞれ長辺711、731の短辺712、732と反対側に同一位置に台形状の切り込みからなる第2位置決め部714、734とを設けておく。このような第1位置決め部713、733と第2位置決め部714、734を設けたガラス基板71、73を用いて表側レンズ屈折面部72と裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせされたマイクロレンズアレイ6を得るには、図18のような配置でそれぞれのマイクロレンズアレイ61 、62 を成形すればよい。
【0095】
すなわち、図18は図17と同様の図であり、この場合も、両金型82、84には、相互に鏡像関係にある曲面型部92の全体のパターンと曲面型部94の全体のパターンに対して、相互に鏡像関係の同じ位置(曲面型部92の全体のパターンと曲面型部94の全体のパターンとの対応する同じ位置)に位置決めピン516〜517、516’〜517’が配置されている。位置決めピン516と516’は主走査方向に伸びるガラス基板71、73の長辺711、731に設けられたV字状の切り込みからなる第1位置決め部713、733が突き当てるためのものであり、位置決めピン517と517’はガラス基板71、73の長辺711、731に設けられた台形状の切り込みからなる第2位置決め部714、734が突き当てるためのものである。
【0096】
このような配置であるので、それぞれ、ガラス基板71、73の表面にレンズ屈折面部72、74を一体成形する際(図16(d))には、ガラス基板71、73の表面をそれそれ表側レンズ面金型82、裏側レンズ面金型84に面するようにガラス基板71、73を金型82、84上に載せ、図18(a)、(b)のように、位置決めピン516、517がガラス基板71のそれぞれ第1位置決め部713、第2位置決め部714に、また、位置決めピン516’、517’がガラス基板73のそれぞれ第1位置決め部733、第2位置決め部734に入り込んで、位置決めピン516、516’と第1位置決め部713、733の相互作用でガラス基板71、73の短辺712、712’側の点での位置が決まり、位置決めピン517、517’と第2位置決め部714、734の相互作用でその点を中心とした旋回位置が決まり、結果的にガラス基板71、73の位置決めがなされる。その位置決め状態で紫外線78を照射することで、所定位置にレンズ屈折面部72、74が一体成形された表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 が得られる。
【0097】
そして、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 のガラス基板71の平面側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 のガラス基板73の平面側とを向かい合わせ、ガラス基板71の第1位置決め部713と第2位置決め部714をガラス基板73のそれぞれ第1位置決め部733と第2位置決め部734に例えば位置決めピン516、517と同様の位置決めピンを用いて正確に位置合わせすることで、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の表側レンズ屈折面部72と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせがなされることになる。その状態で、ガラス基板71とガラス基板73の間を接着剤等で一体化することにより、各マイクロレンズ5の表側レンズ屈折面部72と裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせされたこの実施例のマイクロレンズアレイ6(図19)が得られることになる。
【0098】
図18、図19の例は、ガラス基板71、73の長辺711、731に第1位置決め部713、733と第2位置決め部714、734を設けておき、両金型82、84にその位置決め部713、714、733、734に対応して位置決めピン516〜517、516’〜517’を設けて機械的な手段で位置決めする例であったが、ガラス基板71、73と両金型82、84に光学的な位置決めマークを設けておいて光学的に位置決めする方法でもよい。その例を図20を参照にして説明する。図20は図17、図18と同様の図であり、図20(a)に示すように、ガラス基板71の長手方向両端裏面に○で囲まれたX字状の位置決めマーク518、519が設けられており、一方、表側レンズ面金型82の位置決めマーク518、519に正確に対応する位置に+字状の位置決めマーク821、822が設けられており、また、図20(b)に示すように、ガラス基板73の長手方向両端裏面の位置決めマーク518、519と鏡像関係で正確に対応する位置に○で囲まれた+字状の位置決めマーク518’、519’が設けられており、一方、裏側レンズ面金型84の位置決めマーク518’、519’に正確に対応する位置にX字状の位置決めマーク821’、822’が設けられている。
【0099】
そのため、ガラス基板71の表面にレンズ屈折面部72を一体成形する際には、図20(a)に示すように、ガラス基板71の表面を表側レンズ面金型82に面するようにガラス基板71を表側レンズ面金型82上に載せ、ガラス基板71の位置決めマーク518、519と表側レンズ面金型82の位置決めマーク821、822がそれぞれ正確に整列するように、例えば顕微鏡を用いてガラス基板71の位置を決め、その状態で紫外線78を照射することで、所定位置にレンズ屈折面部72が一体成形され、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 が得られる。
【0100】
同様に、ガラス基板73の表面にレンズ屈折面部74を一体成形する際には、図20(b)に示すように、ガラス基板73の表面を裏側レンズ面金型84に面するようにガラス基板73を裏側レンズ面金型84上に載せ、ガラス基板73の位置決めマーク518’、519’と裏側レンズ面金型84の位置決めマーク821’、822’がそれぞれ正確に整列するように、例えば顕微鏡を用いてガラス基板73の位置を決め、その状態で紫外線78を照射することで、所定位置にレンズ屈折面部74が一体成形され、裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 が得られる。
【0101】
そして、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 のガラス基板71の平面側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 のガラス基板73の平面側とを向かい合わせ、ガラス基板71の位置決めマーク518、519をガラス基板73のそれぞれ位置決めマーク518’、519’に例えば顕微鏡を用いて正確に位置合わせすることで、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の表側レンズ屈折面部72と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせがなされることになる。その状態で、ガラス基板71とガラス基板73の間を接着剤等で一体化することにより、各マイクロレンズ5の表側レンズ屈折面部72と裏側レンズ屈折面部74とが軸ずれなく高精度で軸合わせされたこの実施例のマイクロレンズアレイ6(図21)が得られることになる。
【0102】
なお、図20の変形例としては、ガラス基板71、73に予め位置決めマーク518、519、518’、519’は設けておかず、その代わりに、レンズ屈折面部72、74をガラス基板71、73に一体成形するときに、ガラス基板71、73の表面の位置決めマーク518、519、518’、519’に対応する位置にUV硬化樹脂で位置決めマーク518、519、518’、519’が同時に一体成形されるようにしてもよい。その場合には、金型82、84の位置決めマーク821、822、821’、822’の位置にそのようなUV硬化樹脂製の位置決めマーク518、519、518’、519’を成形させるための型を形成しておくことになる。
【0103】
さて、このようにして製造されたマイクロレンズアレイ6を用いた光書き込みラインヘッドの1例を説明する。図22はこの例の光書き込みラインヘッド101の構成を示す一部を破断した斜視図であり、図23はその光書き込みラインヘッド101へのマイクロレンズアレイ6の取り付け機構を示す平面図である。この例の場合、図19のマイクロレンズアレイ6を用いている。この例では、発光体ブロック4が副走査方向に3分の1ピッチずつずらして主走査方向に伸びるように3列配置されており、それに対応してマイクロレンズアレイ6のマイクロレンズ5も主走査方向に伸びるように一定ピッチで配置されており、かつ、副走査方向では主走査方向の列の先頭位置を3分の1ピッチずつずらして配列されている。
【0104】
発光体アレイ1を構成する有機EL装置1は長尺のハウジング35の底に設けられた受け穴中に嵌め込み固定される。長尺のハウジング35の両端に設けた位置決めピン36を対向する画像形成装置本体の位置決め穴に嵌入させると共に、長尺のケース35の両端に設けたねじ挿入孔37を通して固定ねじを画像形成装置本体のねじ穴にねじ込んで固定することにより、光書き込みラインヘッド101が所定位置に固定されている。
【0105】
そして、長尺のハウジング35の有機EL装置1の表面側には、発光体アレイ1の各発光体ブロック4と整列するように透孔29が穿たれたを所定の厚さの遮光部材28を介して、マイクロレンズアレイ6が固定されている。その際、マイクロレンズアレイ6の各マイクロレンズ5の光軸が発光体ブロック4の中心に整列するようにマイクロレンズアレイ6が固定されている。
【0106】
マイクロレンズアレイ6を長尺のハウジング35に高精度で固定可能にするため、図23に示すように、ハウジング35にマイクロレンズアレイ6の外形より若干大きい取り付け用の長方形開口38が設けられ、その長辺に沿った一方の壁面に金型82、84の位置決めピン516(516’)、517(517’)に対応する突起526、527が設けられ、対向する壁面には一方の壁面側にバイアス力を加える付勢部材523が設けられている。
【0107】
したがって、付勢部材523を開いて図19のマイクロレンズアレイ6を長方形開口38に嵌め込み、付勢部材523の付勢力を加えるようにしてマイクロレンズアレイ6を長尺のハウジング35に固定する。その際、長方形開口38の壁面の突起526、527がそれぞれマイクロレンズアレイ6を構成するガラス基板71及び73の第1位置決め部713及び733、第2位置決め部714及び734に入り込んで当接することで、マイクロレンズアレイ6はハウジング35に正確に位置決めされて固定される。
【0108】
このように、この実施例では、マイクロレンズアレイ6製造の際のレンズ面の位置決め基準に用いた位置決め手段(第1位置決め部713及び733、第2位置決め部714及び734)を光書き込みラインヘッド101の組み立ての際のマイクロレンズアレイ6の位置決め手段としても用いるので、光書き込みラインヘッド101の光学系は高精度で組み立てられることになる。
【0109】
次に、本発明によるマイクロレンズアレイ6の変形例をいくつか説明する。
【0110】
図24に断面を示したマイクロレンズアレイ6は、図16のようにして製造された表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 をそれぞれの平面側で向かい合わせて一体化する際に、片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 間にマイクロレンズ5間のクロストークを防いだりその他の迷光を遮断する遮光膜63 を配置する構成のものである。遮光膜63 は、各マイクロレンズ5に対応して各光軸O−O’と同心の開口が設けられた遮光膜であり、例えば何れかのガラス基板71、73のレンズ屈折面部72、74と反対側の平面上に印刷したりフォトリソグラフィックな手法で形成することができ、その後に図17〜図21で説明したような方法で片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 相互を位置合わせして一体化することで作製することができる。
【0111】
図25に断面を示したマイクロレンズアレイ6は、図16のようにして製造された表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 をそれぞれの平面側で向かい合わせて一体化する際に、片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 間にマイクロレンズ5間のクロストークを防いだりそのたの迷光を遮断するために、図24の遮光膜63 の代わりに、厚さがより厚く、各マイクロレンズ5に対応して各光軸O−O’と同心の開口が設けられた遮光板64 を配置した例である。この場合は、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の間に遮光板64 を挟み、その後に図17〜図21で説明したような方法で片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 相互を位置合わせして一体化することで作製することができる。
【0112】
図26に、この実施例のマイクロレンズアレイ6を用いた光書き込みラインヘッドの図22と同様の図を示す。その詳細は、図25の説明と図22の説明から明らかであるので省く。
【0113】
図27に断面を示したマイクロレンズアレイ6は、図25のマイクロレンズアレイ6の変形例であり、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の平面側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の平面側を向かい合わせるのではなく、何れか一方の平面側を物体側あるいは像側に向けて両者を遮光板64 をスペーサとして一体化するものであり、図27の場合は、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の平面側を像側に向け、裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の平面側と表側片面平面マイクロレンズアレイ61 のレンズ屈折面部72側とを向かい合わせている例である。片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 相互の位置合わせは、図17〜図21で説明したような方法で行う。この構成は、後記するように、図11のような画像形成装置のラインヘッド101のマイクロレンズアレイ6として用いると、現像剤のトナーが飛散してマイクロレンズアレイ61 のガラス基板71の露出した平面に付着することになるが、その面が平面であるため、簡単に清掃できクリーニング性が向上することになる。
【0114】
以上の本発明のマイクロレンズアレイ6は、ガラス基板71、73の一面にそれぞれ例えばUV硬化樹脂76+76’で成形されたレンズ屈折面部72、74を設けて構成される片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 を位置合わせして一体化することで構成していたが、片面平面マイクロレンズアレイとして単一組成の樹脂等で成形したものを用いてもよい。その場合の構成例を図28の断面図に示す。この場合、片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 は、それぞれ射出成形等の成形方法で透明樹脂等でレンズ屈折面部72、74を含めて一体成形してなるものであり、一面にマイクロレンズアレイのレンズ面に成形され、他の面は平面に成形されている。このような片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 をガラス基板70の両側の平面に対してそれぞれの平面側を向かい合わせ、図17〜図21で説明したような方法で片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 相互を位置合わせし、ガラス基板70の両面に接着剤等で一体化することにより作製される。なお、マイクロレンズアレイ6の厚さが薄い場合には、ガラス基板70を省いて片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 相互を直接に一体化するようにしてもよい。
【0115】
ここで、このような単一組成の片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 の成形方法の1例を図29の製造工程を説明する図を参照にして説明する。図29(a)に示すように、それぞれ片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 の各マイクロレンズ面の凹型に対応する曲面型部92、94を金型82、84と同様にして形成されている上金型95、97を用意し、他方、片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 のマイクロレンズ面と反対側の平面に対応する平面型部100を持った下金型96を用意する。下金型96は両上金型95、97に対応した1個のものを用いてもよく、あるいは、金型95、97それぞれに対応して別々に用意してもよい。
【0116】
そして、図29(b)に示すように、上金型95、97の位置決めピン98、98を下金型96の位置決めピン98、98に対応した位置に設けられた位置決め穴99、99に挿入して成形型を組み立てる。下金型96には樹脂注入用の注入孔110、110が設けられている。
【0117】
次いで、図29(c)に示すように、上金型95、97と下金型96からなる成形型内に注入孔110、110から加熱溶融したPMMA等の熱可塑性樹脂111を注入し、冷却する。
【0118】
次に、図29(d)に示すよう成形型を分解することにより、成形された片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 が取り出される。
【0119】
なお、図29は単一組成の片面平面マイクロレンズアレイ65 、66 の成形方法の1つの成形方法を示すもので、他の成形方法で作製することもできる。
【0120】
さて、本発明によるマイクロレンズアレイ6の変形例をさらにいくつか説明する。以下の図30〜図32は、本発明による片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 の何れか一方のガラス基板、以下では片面平面マイクロレンズアレイ62 のガラス基板73を発光体アレイ(有機EL装置)1を形成するガラス基板20(図12、図14)と兼用させるマイクロレンズアレイ6の実施例を示す断面図である。これらの場合には、片面平面マイクロレンズアレイ62 のガラス基板73のレンズ屈折面部74とは反対側の平面上に、各マイクロレンズ5に対応させて有機ELの発光領域2からなる発光体ブロック4を配置して(図4)、ボトムエミッション型の有機EL装置1とする。
【0121】
図30の構成では、マイクロレンズアレイ6は、図27の場合と同様で、裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の平面側を物体側(発光体ブロック4)に向け、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 の平面側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 のレンズ屈折面部74側とを各マイクロレンズ5に対応して各光軸O−O’と同心の開口が設けられた遮光板64 を介して向かい合わせ、図17〜図21で説明したような方法で相互の位置合わせを行って一体化することで作製される。
【0122】
図31の構成では、マイクロレンズアレイ6は、裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 の平面側を物体側(発光体ブロック4)に向け、表側片面平面マイクロレンズアレイ61 のレンズ屈折面部72側と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 のレンズ屈折面部74側とを遮光板64 を介して向かい合わせ、図17〜図21で説明したような方法で相互の位置合わせを行って一体化することで作製される。この構成の場合は、図27の場合と同様に、図11のような画像形成装置のラインヘッド101のマイクロレンズアレイ6として用いる場合に、飛散したトナーはマイクロレンズアレイ61 のガラス基板71の露出した平面に付着するので、簡単に清掃できクリーニング性がよい。
【0123】
図32の構成では、有機ELラインヘッド用のマイクロレンズアレイ6’として、ガラス基板73を発光体アレイ(有機EL装置)1を形成するガラス基板20と兼用させた片面平面マイクロレンズアレイ62 と、図15又は図28のような構成の複合型の両面にレンズ面が形成されてなるマイクロレンズアレイ6とを組み合わせたものを用いた例であり、マイクロレンズアレイ6の一方のレンズ屈折面部側と片面平面マイクロレンズアレイ62 のレンズ屈折面部74側とを遮光板64 を介して向かい合わせ、図17〜図21で説明したような方法で相互の位置合わせを行って一体化することで作製される。この構成の場合は、各マイクロレンズ5が3面の曲面からなるレンズ系からなるので、より明るく結像特性の良いものが可能になる。
【0124】
次に、図21のような、2枚の片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 が位置合わせされて各マイクロレンズ5の表側レンズ屈折面部72と裏側レンズ屈折面部74とが高精度で軸合わせされたマイクロレンズアレイ6を用いて、光書き込みラインヘッドを構成する場合の例を説明する。図33はこの例におけるマイクロレンズアレイ6(図21)を構成する表側片面平面マイクロレンズアレイ61 (図33(a))と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 (図33(b))を分解して示すと共に、それらマイクロレンズアレイ61 、62 に対応する発光体アレイ(有機EL装置)1(図33(c))を示す平面図であり、このようなマイクロレンズアレイ6と発光体アレイ1を用いて図22のような光書き込みラインヘッド101に組み立てる際には、マイクロレンズアレイ6を構成する各マイクロレンズ5の光軸と発光体アレイ1の各発光体ブロック4の中心を精密に位置決めしなければならない。そこで、発光体アレイ1を構成する有機EL装置1の発光面のマイクロレンズアレイ6の位置決めマーク518+518’、519+519’(図21)に対応した位置に位置決めマーク528、529を設けておく。
【0125】
このようなマイクロレンズアレイ6と発光体アレイ1を用いて図22のような光書き込みラインヘッド101を組み立てるために、図34に示すように、マイクロレンズアレイ6の位置決めマークを形成している一方のガラス基板71の位置決めマーク518、519及び他方のガラス基板73の位置決めマーク518’、519’の重畳したマーク(図21)と、発光体アレイ1の位置決めマーク528、529がそれぞれ正確に整列するように、例えば顕微鏡を用いてガラス基板71と発光体アレイ1を位置合わせする。この際、間に介在する遮光部材28が邪魔になるので、遮光部材28の位置決めマーク518+518’、519+519’に対応する位置に若干大きめの開口30を設けておくことで、マイクロレンズアレイ6と発光体アレイ1の間に遮光部材28が介在していても問題にならない。なお、図34の斜視図では、マイクロレンズアレイ6を構成する表側片面平面マイクロレンズアレイ61 と裏側片面平面マイクロレンズアレイ62 を分解して示してあるが、マイクロレンズアレイ6と発光体アレイ1を位置合わせする際はマイクロレンズアレイ61 とマイクロレンズアレイ62 は一体になっている(図21)。
【0126】
図35は、発光体アレイ1の発光面に設ける位置決めマーク528(529)と、マイクロレンズアレイ6の位置決めマーク518+518’(519+519’)の例示と位置合わせの際の相互の位置関係を示す図である。マイクロレンズアレイ6を構成する一方のマイクロレンズアレイ61 のガラス基板71に設けられている位置決めマーク518(519)が○で囲まれたX字状で、他方のマイクロレンズアレイ62 のガラス基板73に設けられている位置決めマーク518(519)が○で囲まれた+字状の場合に、発光体アレイ1の発光面に設ける位置決めマーク528(529)としては、図35に示すように、+字の交点を4つの象限方向から当間隔で囲むL字状マークとすると、マイクロレンズアレイ6の位置決めマーク518+518’(519+519’)と発光体アレイ1の位置決めマーク528(529)を正確に整列させることができるようになる。
【0127】
なお、この例の場合も、マイクロレンズアレイ6製造の際のレンズ面の位置決め基準に用いた位置決め手段(位置決めマーク518、519、518’、519’)を光書き込みラインヘッド101の組み立ての際のマイクロレンズアレイ6の位置決め手段としても用いるので、光書き込みラインヘッド101の光学系は高精度で組み立てられることになる。
【0128】
以下に、図16に示した方法でマイクロレンズアレイ6を構成する片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 を製造する際の1つの具体例を示す。
【0129】
UV硬化樹脂76、76’としては、エポキシ系紫外線硬化樹脂(株式会社ADEKA 製 アデカオプトマーKR400)で屈折率1.52〜1.54を用いた。この樹脂は一般的には保護コート用として使われるものである。
【0130】
UVランプ77としたは、中心波長365nmで、光照射量80mJ/cm2 を用い、1回目のUV照射(図16(b))には1〜2秒の照射、2回目のUV照射(図16(d))には5〜10秒の照射を行った。
【0131】
また、用いた片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 の透明基板71、73としては、無アルカリガラス(日本電気硝子株式会社製OA−10)を用いた。他にBK7等を用いることができる。片面平面マイクロレンズアレイ61 、62 の透明基板71、73と有機EL装置1のガラス基板20は同じものを用いるのが望ましい。その理由は、温度変化があっても両者の膨張係数が等しいため、マイクロレンズ5と発光体ブロック4の軸ずれが起き難くなるないためである。
【0132】
そして、このガラス基板71、73の表面処理については、
(1)洗浄:オゾン洗浄、硫酸洗浄、プラズマ処理等を行った。これは濡れ性の向上が目的である。
(2)次いで、シアンカップリング剤をスピンコートした。これは樹脂との密着性の向上が目的である。シアンカップリング剤(信越化学(株)KBE−903を水とエタノールの混合液(1:1)に1%添加した液を使用した。シアンカップリング剤入りの樹脂を用いることも可能である。
【0133】
以上、本発明のマイクロレンズアレイの製造方法、マイクロレンズアレイ、それを用いた有機ELラインヘッド及び画像形成装置をその原理と実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の1実施形態に係るラインヘッドの1つのマイクロレンズに対応する部分の斜視図である。
【図2】本発明の1実施形態に係るラインヘッドの1つのマイクロレンズに対応する部分の斜視図である。
【図3】本発明の1実施形態に係るラインヘッドの1つのマイクロレンズに対応する部分の斜視図である。
【図4】本発明の1実施形態に係る発光体アレイと光学倍率がマイナスのマイクロレンズとの対応関係を示す説明図である。
【図5】画像データが格納されているラインバッファのメモリテーブルの例を示す説明図である。
【図6】主走査方向に奇数番号と偶数番号の発光素子による結像スポットが同列に形成される様子を示す説明図である。
【図7】ラインヘッドとして使用される発光体アレイの例を示す概略の説明図である。
【図8】図7の構成で各発光素子の出力光によりマイクロレンズを通して像担持体の露光面を照射した場合の結像位置を示す説明図である。
【図9】図8において副走査方向の結像スポット形成の状態を示す説明図である。
【図10】マイクロレンズを複数配列した場合に像担持体の主走査方向に結像スポットが反転して形成される例を示す説明図である。
【図11】本発明による電子写真プロセスを用いた画像形成装置の1実施例の全体構成を示す模式的断面図である。
【図12】本発明の有機ELラインヘッドに用いる有機EL装置の1実施例の平面図である。
【図13】図12中の発光領域の周辺部分の拡大図である。
【図14】図13中のE−E線における有機EL装置の断面図である。
【図15】本発明の製造方法に従って作製されたマイクロレンズアレイの断面図である。
【図16】本発明のマイクロレンズアレイを構成する片面平面マイクロレンズアレイの製造方法の1例の工程図である。
【図17】一方の片面平面マイクロレンズアレイと他方の片面平面マイクロレンズアレイとの位置合わせ方法の1つの例を説明するための図である。
【図18】一方の片面平面マイクロレンズアレイと他方の片面平面マイクロレンズアレイとの位置合わせ方法の他の例を説明するための図である。
【図19】図18の方法で位置合わせして得られるマイクロレンズアレイの平面図である。
【図20】一方の片面平面マイクロレンズアレイと他方の片面平面マイクロレンズアレイとの位置合わせ方法の別の例を説明するための図である。
【図21】図20の方法で位置合わせして得られるマイクロレンズアレイの平面図である。
【図22】光書き込みラインヘッドの1例の構成を示す一部を破断した斜視図である。
【図23】図22の光書き込みラインヘッドへのマイクロレンズアレイの取り付け機構を示す平面図である。
【図24】本発明によるマイクロレンズアレイの1つの変形例の断面図である。
【図25】本発明によるマイクロレンズアレイの別の変形例の断面図である。
【図26】図25の実施例のマイクロレンズアレイを用いた光書き込みラインヘッドの図22と同様の図である。
【図27】本発明によるマイクロレンズアレイのさらに別の変形例の断面図である。
【図28】本発明によるマイクロレンズアレイのさらに別の変形例の断面図である。
【図29】単一組成の片面平面マイクロレンズアレイの成形方法の1例の工程図である。
【図30】本発明によるマイクロレンズアレイのさらに別の変形例の断面図である。
【図31】本発明によるマイクロレンズアレイのさらに別の変形例の断面図である。
【図32】本発明によるマイクロレンズアレイのさらに別の変形例の断面図である。
【図33】図21の方法で位置決めされたマイクロレンズアレイを用いて光書き込みラインヘッドを構成する例における表側片面平面マイクロレンズアレイ(a)と裏側片面平面マイクロレンズアレイ(b)を分解して示すと共に、それらに対応する発光体アレイ(c)の平面図である。
【図34】図21のマイクロレンズアレイと発光体アレイを用いて光書き込みラインヘッドを組み立てる際の位置決めマーク間の整列のさせ方を説明するための図である。
【図35】図34において発光体アレイの発光面に設ける位置決めマークとマイクロレンズアレイの位置決めマークの例示と位置合わせの際の相互の位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1…発光体アレイ(有機EL装置)、2…発光素子(発光領域)、3…発光素子列、4…発光体ブロック、5…マイクロレンズ、6、6’…マイクロレンズアレイ、61 、62 …片面平面マイクロレンズアレイ、63 …遮光膜、64 …遮光板、65 、66 …片面平面マイクロレンズアレイ、8、8a、8b…結像スポット、10…メモリテーブル、11…画素電極(陽極)、12…第1バンク、12a…開口部、13…有機EL素子、14…正孔注入層、15…発光層、16…陰極、17…封止部材、20…ガラス基板、21…半導体膜、22…第2バンク、22a…第1撥液領域、22b…親液領域、22c…第2撥液領域、23…ゲート電極、25…共通給電線、27…TFT素子、28…遮光部材、29…透孔、30…開口、31…下地保護膜、32…ゲート絶縁膜、33…第1層間絶縁膜、34…第2層間絶縁膜、35…長尺のハウジング、36…位置決めピン、37…ねじ挿入孔、38…取り付け用の長方形開口、41…感光体(像担持体)又は読み取り面、41(K、C、M、Y)…感光体ドラム(像担持体)、42(K、C、M、Y)…帯電手段(コロナ帯電器)、44(K、C、M、Y)…現像装置、45(K、C、M、Y)…一次転写ローラ、50…中間転写ベルト、66…二次転写ローラ、70…ガラス基板、71、73…透明基板(ガラス基板)、72、74…レンズ屈折面部、75…ディスペンサー、76、76’…紫外線(UV)硬化樹脂、77…UVランプ、78…紫外線、80…ギャップ材、82、84…レンズ面金型、92、94…曲面型部、95、97…上金型、96…下金型、98…位置決めピン、99…位置決め穴、100…平面型部、101、101K、101C、101M、101Y…ラインヘッド(光書き込みラインヘッド)、110…注入孔、111…熱可塑性樹脂、528、529…位置決めマーク、513、514、515、513’、514’、515’…位置決めピン、516、517、516’、517’…位置決めピン、518、519、518’、519’…位置決めマーク、523…付勢部材、526、527…突起、711、731…1つの長辺、712、732…1つの短辺、713、733…第1位置決め部、714、734…第2位置決め部、821、822、821’、822’…位置決めマーク、O−O’…光軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を用いて光硬化性樹脂のマイクロレンズアレイを形成する方法であって、
マイクロレンズアレイの一方のレンズ面に対応する型面を持つ第1の金型に光硬化性樹脂を注入し、その上に第1の透明基板を載せ、その際に第1の金型に設けられた第1の位置決め手段を用いて第1の透明基板を位置決めし、
前記第1の透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第1の透明基板の一方の面上に第1のレンズアレイを成形し、
マイクロレンズアレイの他方のレンズ面に対応する型面を持つ第2の金型に光硬化性樹脂を注入し、その上に第2の透明基板を載せ、その際に第2の金型に設けられた第2の位置決め手段を用いて第2の透明基板を位置決めし、
前記第2の透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第2の透明基板の一方の面上に第2のレンズアレイを成形し、
前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとをそれぞれの成形の際の位置決めに用いた前記第1の透明基板の位置決め部、前記第2の透明基板の位置決め部を用いて相互に位置合わせして一体化することでマイクロレンズアレイを作製することを特徴とするマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項2】
前記位置決め部が前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれの直交する2つの側辺であることを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項3】
前記位置決め部が前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれの周囲に設けられた機械的なマークであることを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項4】
前記位置決め部が前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれに設けられた光学的マークであることを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項5】
前記第1の金型、前記第2の金型に中途まで光硬化性樹脂を注入して前記光硬化性樹脂を半硬化状態にし、次いで、その上にさらに光硬化性樹脂を注入し、その上にそれぞれ前記第1の透明基板、前記第2の透明基板を載せ、前記第1の透明基板、前記第2の透明基板を位置決めし、透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第1の透明基板、前記第2の透明基板の一方の面上にそれぞれ前記第1のレンズアレイ、前記第2のレンズアレイを成形することを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項6】
前記第1の金型、前記第2の金型上での前記光硬化性樹脂の硬化のためのエネルギーが2回目の方がより強いことを特徴とする請求項5記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項7】
前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの間に、マイクロレンズアレイを構成する各レンズの光軸と同心の開口が設けられた遮光膜を配置して一体化することを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項8】
前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの間に、マイクロレンズアレイを構成する各レンズの光軸と同心の開口が設けられた遮光板を配置して一体化することを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項9】
前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイと少なくとも一方の透明基板側が外に向くような配置で両者を一体化することを特徴とする請求項8記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項10】
前記第1のレンズアレイ又は前記第2のレンズアレイの透明基板側が外に向くように配置され、その外側の透明基板面に有機ELからなる複数の発光素子が列状に配置されてなる発光素子列を1列以上含む発光体ブロックがマイクロレンズアレイを構成する各レンズに対応して各々配置されていることを特徴とする請求項9記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項11】
金型を用いて樹脂性のマイクロレンズアレイを形成する方法であって、
マイクロレンズアレイの一方のレンズ面に対応する型面を持つ第1の金型を用いて反対の面が平面の樹脂性の第1のマイクロレンズアレイを成形し、
マイクロレンズアレイの他方のレンズ面に対応する型面を持つ第2の金型を用いて反対の面が平面の樹脂性の第2のマイクロレンズアレイを成形し、
前記第1のマイクロレンズアレイと前記の第2のマイクロレンズアレイをその平面側で透明基板の両面に貼り付けて一体化し、 その貼り付けの際に、前記第1のマイクロレンズアレイと前記第2のマイクロレンズとをそれぞれの成形の際の位置決めに用いた位置決め部を用いて相互に位置合わせして一体化することでマイクロレンズアレイを作製することを特徴とするマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項12】
第1の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第1の片面平面マイクロレンズアレイと、第2の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第2の片面平面マイクロレンズアレイとがレンズ屈折面部相互が軸合わせされるように一体化されてなり、同一のマイクロレンズが所定方向に一定ピッチで一列に配置され、それと直交する方向にはN個の同様のマイクロレンズ列が配置され、N個のマイクロレンズ列は、先頭のマイクロレンズの位置がN分の1ピッチずつずらして配列されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ。
【請求項13】
前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板の周囲に機械的なマークが設けられていることを特徴とする請求項12記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項14】
前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板に光学的マークが設けられていることを特徴とする請求項12記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項15】
主走査方向に複数の発光素子が列状に配置されてなる発光素子列を1列以上含む発光体ブロックが少なくとも主走査方向に間隔をおいて複数配置された有機EL発光体アレイの射出側に、各発光体ブロックに対応して各々1個の正レンズが整列するように配置されたマイクロレンズアレイが前記有機EL発光体アレイに平行に配置されており、前記マイクロレンズアレイとして、第1の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第1の片面平面マイクロレンズアレイと、第2の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第2の片面平面マイクロレンズアレイとがレンズ屈折面部相互が軸合わせされるように一体化されてなるマイクロレンズアレイであって、前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板に位置決めのための機械的又は光学的なマークが設けられているものを用いることを特徴とする有機ELラインヘッド。
【請求項16】
前記有機EL発光体アレイが前記第1の透明基板又は前記第2の透明基板のレンズ屈折面部が一体に成形されていない平面上に配置されていることを特徴とする請求項15記載の有機ELラインヘッド。
【請求項17】
像担持体の周囲に帯電手段と、請求項15又は16記載の有機ELラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
金型を用いて光硬化性樹脂のマイクロレンズアレイを形成する方法であって、
マイクロレンズアレイの一方のレンズ面に対応する型面を持つ第1の金型に光硬化性樹脂を注入し、その上に第1の透明基板を載せ、その際に第1の金型に設けられた第1の位置決め手段を用いて第1の透明基板を位置決めし、
前記第1の透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第1の透明基板の一方の面上に第1のレンズアレイを成形し、
マイクロレンズアレイの他方のレンズ面に対応する型面を持つ第2の金型に光硬化性樹脂を注入し、その上に第2の透明基板を載せ、その際に第2の金型に設けられた第2の位置決め手段を用いて第2の透明基板を位置決めし、
前記第2の透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第2の透明基板の一方の面上に第2のレンズアレイを成形し、
前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとをそれぞれの成形の際の位置決めに用いた前記第1の透明基板の位置決め部、前記第2の透明基板の位置決め部を用いて相互に位置合わせして一体化することでマイクロレンズアレイを作製することを特徴とするマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項2】
前記位置決め部が前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれの直交する2つの側辺であることを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項3】
前記位置決め部が前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれの周囲に設けられた機械的なマークであることを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項4】
前記位置決め部が前記第1の透明基板、前記第2の透明基板それぞれに設けられた光学的マークであることを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項5】
前記第1の金型、前記第2の金型に中途まで光硬化性樹脂を注入して前記光硬化性樹脂を半硬化状態にし、次いで、その上にさらに光硬化性樹脂を注入し、その上にそれぞれ前記第1の透明基板、前記第2の透明基板を載せ、前記第1の透明基板、前記第2の透明基板を位置決めし、透明基板側から光照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることにより前記第1の透明基板、前記第2の透明基板の一方の面上にそれぞれ前記第1のレンズアレイ、前記第2のレンズアレイを成形することを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項6】
前記第1の金型、前記第2の金型上での前記光硬化性樹脂の硬化のためのエネルギーが2回目の方がより強いことを特徴とする請求項5記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項7】
前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの間に、マイクロレンズアレイを構成する各レンズの光軸と同心の開口が設けられた遮光膜を配置して一体化することを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項8】
前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの間に、マイクロレンズアレイを構成する各レンズの光軸と同心の開口が設けられた遮光板を配置して一体化することを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項9】
前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイと少なくとも一方の透明基板側が外に向くような配置で両者を一体化することを特徴とする請求項8記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項10】
前記第1のレンズアレイ又は前記第2のレンズアレイの透明基板側が外に向くように配置され、その外側の透明基板面に有機ELからなる複数の発光素子が列状に配置されてなる発光素子列を1列以上含む発光体ブロックがマイクロレンズアレイを構成する各レンズに対応して各々配置されていることを特徴とする請求項9記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項11】
金型を用いて樹脂性のマイクロレンズアレイを形成する方法であって、
マイクロレンズアレイの一方のレンズ面に対応する型面を持つ第1の金型を用いて反対の面が平面の樹脂性の第1のマイクロレンズアレイを成形し、
マイクロレンズアレイの他方のレンズ面に対応する型面を持つ第2の金型を用いて反対の面が平面の樹脂性の第2のマイクロレンズアレイを成形し、
前記第1のマイクロレンズアレイと前記の第2のマイクロレンズアレイをその平面側で透明基板の両面に貼り付けて一体化し、 その貼り付けの際に、前記第1のマイクロレンズアレイと前記第2のマイクロレンズとをそれぞれの成形の際の位置決めに用いた位置決め部を用いて相互に位置合わせして一体化することでマイクロレンズアレイを作製することを特徴とするマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項12】
第1の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第1の片面平面マイクロレンズアレイと、第2の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第2の片面平面マイクロレンズアレイとがレンズ屈折面部相互が軸合わせされるように一体化されてなり、同一のマイクロレンズが所定方向に一定ピッチで一列に配置され、それと直交する方向にはN個の同様のマイクロレンズ列が配置され、N個のマイクロレンズ列は、先頭のマイクロレンズの位置がN分の1ピッチずつずらして配列されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ。
【請求項13】
前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板の周囲に機械的なマークが設けられていることを特徴とする請求項12記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項14】
前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板に光学的マークが設けられていることを特徴とする請求項12記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項15】
主走査方向に複数の発光素子が列状に配置されてなる発光素子列を1列以上含む発光体ブロックが少なくとも主走査方向に間隔をおいて複数配置された有機EL発光体アレイの射出側に、各発光体ブロックに対応して各々1個の正レンズが整列するように配置されたマイクロレンズアレイが前記有機EL発光体アレイに平行に配置されており、前記マイクロレンズアレイとして、第1の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第1の片面平面マイクロレンズアレイと、第2の透明基板の一方の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部が一体に成形されてなる第2の片面平面マイクロレンズアレイとがレンズ屈折面部相互が軸合わせされるように一体化されてなるマイクロレンズアレイであって、前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板に位置決めのための機械的又は光学的なマークが設けられているものを用いることを特徴とする有機ELラインヘッド。
【請求項16】
前記有機EL発光体アレイが前記第1の透明基板又は前記第2の透明基板のレンズ屈折面部が一体に成形されていない平面上に配置されていることを特徴とする請求項15記載の有機ELラインヘッド。
【請求項17】
像担持体の周囲に帯電手段と、請求項15又は16記載の有機ELラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
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【図34】
【図35】
【公開番号】特開2008−152040(P2008−152040A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340192(P2006−340192)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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