説明

マイクロ波処理装置

【課題】被加熱物の形状に対応して加熱室内に高周波電界の強い領域を空間的に形成しその高周波電界を利用して被加熱物を加熱する新規なマイクロ波処理装置を提供する。
【解決手段】円筒形状で低次のTEモードを生じさせる加熱室10、その一端に蒸気発生部14を内蔵した開閉部11、加熱室底壁面10aには、ループ面は底壁面中央を向くように配設した位相差180度の給電部12a、12b、加熱室10に内蔵させた誘電体容器13を配する。加熱室10には周波数可変機能を有するマイクロ波発振部101を有するマイクロ波発生部100から給電部12a、12bを介してマイクロ波を供給する。
そして周波数可変の機能により、形状・種類の異なる被加熱物に対してマイクロ波を効率よく供給でき、加熱室10内に所望の分布であって高い電界強度を有する高周波電界を形成でき、被加熱物を所望の状態に加熱処理させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振周波数を制御できるマイクロ波発生部を備えたマイクロ波処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマイクロ波処理装置は、一般には電子レンジに代表されるようにマイクロ波発生部にマグネトロンと称される真空管を用いている。
【0003】
電子レンジに用いられているマグネトロンは、自身の構造によって発振周波数が決定され、その決定された周波数を故意に可変することはできない。マグネトロンに周波数可変機能を搭載する技術は存在するが、高価であり、一般大衆向けの製品に搭載することは難しい。
【0004】
近年の半導体技術の進歩により、マグネトロンの性能に匹敵あるいはその性能を凌駕するマイクロ波発生部の実用化が可能になってきた。
【0005】
半導体素子を用いてマイクロ波発生部を構成する時の主要な課題は、第一はスピード加熱を実践できる大電力化、第二は供給可能な商用電源電力の下で大電力動作をさせるための高効率動作、第三は一般消費者に購入および使用して頂ける価値の提供である。
【0006】
第一の課題に対しては、複数給電方式が提案されている。例えば、加熱室を6面以上の多面体に形成し、各面の一部あるいは全部の面から放射アンテナを加熱室内に突出して配置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
そして、互いの放射アンテナを異なる面に配したことで互いの干渉を防止できるとしている。さらには放射アンテナがそれぞれ異なる方向を向いているので放射された電波は加熱室内のあらゆる方向に伝搬し、壁面にて反射して散乱するため、加熱室内で電波は均一に分布するとしている。
【0008】
また、マイクロ波発生部を複数の出力を有する構成としその出力を加熱室壁面に分散配置し、これらの発生部のうち少なくとも二つの壁面に配した発生部の出力を時分割動作させるものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
そして、動作させるために選択したマイクロ波発生部を時分割動作させることで干渉による発生部の破壊を防止し同時動作させることができるとしている。また、直交関係にある壁面に配置した発生部は加熱室と発生部との結合を適当に選ぶことで互いに干渉しないように励振させることができ同時発振が可能であるとしている。
【0010】
また、第二の課題に対しては、SiやGaAsに対してバンドギャップが大きく高電圧高温動作が可能なSiCやGaNを用いた半導体素子の進化があげられる。
さらには、第三の課題に対して、均一加熱の促進や被加熱物が受けるマイクロ波の受熱効率の向上をベースとした省エネルギ化がある。
【0011】
また受熱効率向上に対しては、被加熱物を収納した加熱室からマイクロ波発生部側に戻ってくる反射電力を検出し、その反射電力信号に基づいて、例えば反射電力が最小になる発振周波数を追尾させるものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0012】
さらに、円筒形状の加熱室を用いこの加熱室内に加熱室と同軸状に配置させた円管内の流体を加熱するものがある(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開昭52−193242号公報
【特許文献2】特開昭53−005445号公報
【特許文献3】特開昭56−096486号公報
【特許文献4】特開2005−322582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1から3に記載される従来の技術は、加熱室内に供給するマイクロ波エネルギを大きくするという視点の技術である。すなわち、マグネトロンと比べて耐熱性が低く、半導体素子ひとつ当りからの出力が小さいことを補うために複数の給電構成を採ったり、バンドギャップの大きい材料を用いて高温領域での動作を可能にした半導体素子によって大電力動作をさせたり、または、反射電力の最小となる周波数を加熱周波数に選定して加熱室内に供給できるマイクロ波エネルギを高効率に利用したりするものであった。
【0015】
また、特許文献4に記載される技術は、円管あるいは円管に接する流体を均一に加熱するという視点の技術である。
【0016】
一方、マイクロ波発生部の出力が供給される加熱室において、マイクロ波の電界強度を空間的に集中させて被加熱物を加熱処理するという技術は、上記先行技術には記載されていない。
【0017】
本発明は、マイクロ波エネルギの新しい利用の提供を第一義とし、被加熱物の形状に対応して加熱室内に高周波電界の強い領域を空間的に形成するとともに、その高周波電界を利用して被加熱物を加熱する新規なマイクロ波処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記従来の課題を解決するために、本発明のマイクロ波処理装置は、被加熱物を収納する開閉部を一端に配する円筒形状の加熱室と、前記円筒形状加熱室の他端に配し円筒管軸方向に生じる磁界と結合する給電部と、前記給電部に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発生部と、前記給電部から前記マイクロ波発生部側に戻るマイクロ波量を検出する電力検知部と、前記マイクロ波発生部の発生周波数を制御して動作させる制御部とから構成したものである。
【0019】
ここで、円筒形状の加熱室の管軸方向に生じる磁界と結合する給電部により加熱室内にTEモードの高周波電界を加熱室内空間に形成させる構造体にするとともに、マイクロ波発生部の発生周波数を制御して得られる電力検知部の信号に基づき、被加熱物に応じた加熱動作周波数を選択し、被加熱物の形状に応じた高周波電界を加熱室内に形成し被加熱物を集中加熱することで、形状・種類の異なる被加熱物を効率よく加熱処理させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のマイクロ波処理装置は、円筒形状の加熱室において、マイクロ波発生部の発生周波数を制御して加熱室内の高周波電界を被加熱物の形状に応じて空間的に形成し、形状・種類の異なる被加熱物を所望の状態に加熱処理するマイクロ波処理装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態にかかるマイクロ波処理装置の全体構成図
【図2】本発明の実施の形態にかかるマイクロ波処理装置の主要構成図
【図3】本発明の実施の形態にかかるマイクロ波処理装置におけるマイクロ波発生部まわりの構成図
【図4】本発明の実施の形態にかかるマイクロ波処理装置における加熱室の電磁界分布の説明図
【図5】本発明の実施の形態にかかるマイクロ波処理装置における加熱室の他の電磁界分布の説明図
【図6】本発明の実施の形態にかかるマイクロ波処理装置におけるペットボトル処理に関する構成図
【図7】図6のマイクロ波処理装置を用いた制御フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1の発明は、被加熱物を収納する開閉部を一端に配する円筒形状の加熱室と、前記円筒形状加熱室の他端に配し円筒管軸方向に生じる磁界と結合する給電部と、前記給電部に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発生部と、前記給電部から前記マイクロ波発生部側に戻るマイクロ波量を検出する電力検知部と、前記マイクロ波発生部から発生されるマイクロ波の周波数を制御する制御部とを備えたものである。
【0023】
ここで、円筒形状の加熱室の管軸方向に生じる磁界と結合する給電部により加熱室内にTEモードの高周波電界を加熱室内空間に形成させる構造体にするとともに、マイクロ波発生部の発生周波数を制御して得られる電力検知部の信号に基づき、被加熱物に応じた加熱動作周波数を選択し、被加熱物の形状に応じた高周波電界を加熱室内に形成し被加熱物を集中加熱することで、形状・種類の異なる被加熱物を効率よく加熱処理させることができる。
【0024】
第2の発明は、特に第1の発明において、前記加熱室が、TE21nまたはTE01p(nおよびpは整数)を生じる構造体であるものである。これにより、加熱室内には低次の電磁界モードを発生させることで、高周波エネルギを凝縮し、高い高周波電界を形成させることができる。
【0025】
第3の発明は、特に第1の発明において、前記給電部が、前記加熱室の底壁面の中心を点対称として2個設けられ、前記2個の給電部間の位相差が略180度であるものである。これにより、加熱室内に低次のモードを確実に発生させることができる。
【0026】
第4の発明は、特に第3の発明において、前記給電部がループ形状を有し、前記ループ形状におけるループ面が対向するものである。これにより、加熱室内には低次の高い高周波電界を形成しうるTEモードをより確実に発生させることができる。
【0027】
第5の発明は、特に第1の発明において、前記加熱室内には、着脱自在な低損失誘電体材料からなり円筒形状の誘電体容器が設けられるものである。これにより、加熱室の半径方向のマイクロ波から見える実質的な大きさを大きくできるので、現実の加熱室の半径方向をコンパクトな形状にすることができる。
【0028】
第6の発明は、特に第5の発明において、前記誘電体容器が、円筒の直径形状が異なる誘電体容器を備え、最大直径の誘電体容器内に全てが収納できるものである。これにより、同一形状の加熱室において、被加熱物の形状に応じた誘電体容器を選択使用して、被加
熱物に高周波電界を集中させることができる。
【0029】
第7の発明は、特に第6の発明において、前記最大直径の誘電体容器が容器底壁面を有し、前記容器底壁面が前記加熱室の底壁面と所定の間隔を保つように前記容器底壁面の略中央に設けられる中空の支持部を有し、前記支持部の先端が前記加熱室の底壁面に設けた開孔に挿入装着されるものである。
【0030】
これにより、加熱室の一端壁面に設けた給電部と被加熱物とを所定の間隔に保つことで給電部から放射されるマイクロ波により加熱室内に所定の高周波電界分布を確実ら形成させることができる。また開孔配置により被加熱物の加熱過程において発生する水分を開孔を介して加熱室外に排出し加熱室内での水分の影響による高周波電界の乱れを解消させることができる。
【0031】
第8の発明は、特に第1の発明において、前記開閉部が蒸気発生部を有し、前記加熱室内に蒸気を供給する供給口が配置されるものである。これにより、被加熱物の加熱において発生する酸化に伴う異臭を抑制できる。
【0032】
第9の発明は、特に第8の発明において、前記蒸気発生部が前記開閉部から着脱できるものである。これにより、蒸気発生部の清掃を容易に実施できる。
【0033】
第10の発明は、特に第8の発明において、前記制御部が、前記被加熱物の加熱開始時に前記蒸気発生部の動作を開始させ、前記蒸気発生部の動作を停止させた後に前記マイクロ波発生部の動作を開始させるものである。これにより、マイクロ波加熱に伴う被加熱物からの異臭の発生を抑制する環境を形成した後、被加熱物を所望の状態に加熱処理させることができる。
【0034】
第11の発明は、特に第1の発明において、前記制御部が、前記マイクロ波発生部から発生される周波数を所定の帯域に亘ってスイープさせて得られる前記電力検知部からの信号に基づいて、前記被加熱物の種類を推定し、加熱を実行するかどうかを判定するものである。
【0035】
これにより、被加熱物が予め規定した以外のものに対してその被加熱物が異常加熱されることを防止でき、装置が本来対象とする被加熱物のみを加熱することで、使用上の安全および安心度合が高い装置を提供することができる。
【0036】
第12の発明は、特に第1の発明において、前記制御部が、前記マイクロ波発生部から発生される周波数を所定の帯域に亘ってスイープさせて得られる前記電力検知部からの信号と、予め記憶させた前記被加熱物の種類に対応する加熱時間データとを照合し、前記被加熱物の種類を推定して加熱時間を決定するものである。これにより、被加熱物の過加熱を防止し被加熱物を所望の状態に加熱処理させることができる。
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0038】
図1は、本発明の実施の形態におけるマイクロ波処理装置の構成図、図2は図1の加熱室まわりの断面構成図、図3は図1のマイクロ波発生部の詳細構成図である。
【0039】
図1から図3において、加熱室10は、円筒形状構成からなり一端には加熱室10内に被加熱物を収納するための開閉部11が設けられ、他端である加熱室底壁面10aが閉じられた形状を有している。
【0040】
加熱室底壁面10aには、加熱室10内にマイクロ波を供給するための給電部12が設けられる。給電部12は、底壁面中央を点対称として半径の略1/2の位置に2個設けられ、加熱室10内の円筒管軸方向に生じる高周波磁界と結合するループ形状を有している。
【0041】
給電部12a、12bのループ面は底壁面中央を向くように設けられ、これにより給電部12a、12bのループ面は対向した構成となっている。また加熱室10内に誘電体容器13が設けられる。誘電体容器13は一端が開口となっており、他端がテーパー形状で閉じられている。
【0042】
この他端のテーパー形状の中央には、加熱室底壁面10aの略中央に設けた開孔10bに挿入される中空筒体13aが設けられ、筒体13aの外周の一部を大きな形状として加熱室底壁面10aに支持される支持部13bが設けられている。
【0043】
開閉部11は、加熱室10の側壁面10bと対向する領域に電波シール機構11aを有する。電波シール機構11aと加熱室10の側壁面10bとが形成される空間により、加熱室10内に供給されたマイクロ波が開閉部11側に漏洩することを抑制している。
【0044】
また、開閉部11は、開閉部11の上部蓋を開けると、蒸気発生部14が着脱自在に組み込めるようになっている。蒸気発生部14は、貯水部と蒸発部とで構成し蒸発部で蒸発した蒸気を加熱室10内に吹出す蒸気供給口14aを有する。蒸気供給口14aは、開閉部11の加熱室10を臨む領域の略中央部に設けた開孔に嵌合させて開閉部11に装着するようになっている。蒸気発生部14への電力供給には、着脱自在な電力接続としてマグネット式コネクタを用いる。
【0045】
加熱室10内に供給するマイクロ波は、マイクロ波発生部100によって発生させる。マイクロ波発生部100は、周波数可変機能を有するマイクロ波発振部101とマイクロ波発振部101の出力をそれぞれ増幅するマイクロ波増幅部102、103とで構成している。マイクロ波増幅部102、103の出力部15a、15bは同軸伝送路16a、16bを介して給電部12a、12bとそれぞれ接続されている。
【0046】
水受けタンク17は、装置本体から着脱できるようになっており、加熱室10内に装着した誘電体容器13の中空筒体13aの下方に配置される。送風ファン18aは、放熱部102aを冷却することで、マイクロ波増幅部102、103の半導体素子の損失熱を放熱させる(マイクロ波増幅部103の放熱部および送風ファンは図示せず)。開閉部11は支持軸19を回転の中心として開閉される。
【0047】
次に、マイクロ波発生部100について説明する。
【0048】
マイクロ波発生部100は、半導体素子を用いて構成されたマイクロ波発振器111と、発振器111の出力信号を電力分配する電力分配器112と、電力分配器112のそれぞれの出力を、後段の半導体素子を用いて構成された初段マイクロ波増幅器113a、113bに導くマイクロ波伝送路114a、114bと、初段マイクロ波増幅器113a、13bのそれぞれの出力をさらに増幅する、半導体素子を用いて構成された主マイクロ波増幅器115a、115bと、主マイクロ波増幅器115a、115bの出力をマイクロ波増幅部102、103のそれぞれの出力部15a、15bに導くマイクロ波伝送路117a、117bと、マイクロ波伝送路114bに挿入配置した位相可変器118と、マイクロ波伝送路117a、117bに挿入配置した少なくとも反射電力を検出する電力検知部119a、119bとで構成される。
【0049】
初段マイクロ波増幅器113a,113bおよび主マイクロ波増幅器115a、115bは、低誘電損失材料から構成した誘電体基板の片面に形成した導電体パターンにて回路が構成され、各マイクロ波増幅器の増幅素子である半導体素子を良好に動作させるべく各半導体素子の入力側と出力側にそれぞれ整合回路が設けられる。主マイクロ波増幅器115a、115bの半導体素子には、GaN材料を利用した電界効果トランジスタが用いられる。
【0050】
マイクロ波伝送路114a、114b、117a、117bは、誘電体基板の片面に設けた導電体パターンによって特性インピーダンスが略50Ωの伝送回路を形成している。
【0051】
電力分配器112は、3dBブランチラインカプラー構成とし、特性インピーダンス50Ωでその電気長λ/4(λは使用周波数帯の中央周波数の実効波長)からなるマイクロストリップ線路112a、112dと、特性インピーダンス35.35Ωで電気長λ/4のマイクロストリップ線路112b、112cで構成している。
【0052】
この構成により、マイクロ波発振器111の出力電力は、電力分配器112により略1/2ずつ分配された出力を生じる。マイクロ波伝送路114aを伝送するマイクロ波信号を基準にするとマイクロ波伝送路114bを伝送するマイクロ波信号は、90度位相が遅れた信号として伝送する。
【0053】
位相可変器118は、略180度の位相遅延を行うもので、これにより初段マイクロ波増幅器113a、113bのそれぞれに入力するマイクロ波の位相差は、最大略270度を形成できる。この位相可変器118は、給電部12a、12bから放射されるマイクロ波の位相差を略逆位相(略180度)に調整するために用いられる。
【0054】
マイクロ波発生部100のマイクロ波発振器111は周波数可変機能を備え、2400MHzから2500MHzの周波数を発生する。マイクロ波発生部100を構成するマイクロ波増幅部102、103のそれぞれの出力15a、15bと給電部12a、12bとは同軸伝送路16a、16bで接続されている。
【0055】
マイクロ波増幅器113a、115aおよび113b、115bは、それぞれ増幅回路が一体的に設けられ、熱伝導が大きい金属材料で構成した放熱部102a(マイクロ波増幅部103の放熱部は図示していない)とともにユニット化され加熱室10の下方に配置される。放熱部102aには、冷却風を送風する送風ファン18が設けられる。
【0056】
駆動電源部120は、主マイクロ波増幅器115a、115bを動作させる駆動電力を供給する。初段マイクロ波増幅器、マイクロ波発振器などの駆動電源部については、図示も説明も省略する。駆動電源部120は、主マイクロ波増幅器115a、115bに用いる電界効果トランジスタに対して、ドレイン電圧Vd1、Vd2およびゲート電圧Vg1、Vg2を供給し、その半導体素子の動作電力を検出する駆動電力検出部121a、121bを備える。ゲート電圧Vg1、Vg2はマイナス電圧である。
【0057】
制御部20は、マイクロ波発生部100の動作を制御する。この制御部20は、マイクロ波発生部100の電力検知部119a、119b、駆動電力検出部121a、121bが検出した信号を受け取り、各種の処理を行った後、マイクロ波発振器111の発振周波数の可変制御と、駆動電源部120により主マイクロ波増幅器115a、115bのそれぞれに供給される駆動電圧制御と、送風ファン18および蒸気発生部14の動作制御とを行う。
【0058】
電力検知部119a、119bは、結合度が約40dBの方向性結合器で構成し、反射電力の約1/10000の電力量を抽出する。この電力信号はそれぞれ、検波ダイオード(図示していない)で整流化しコンデンサ(図示していない)で平滑処理し、その出力信号を制御部20に入力させている。
【0059】
次に、本発明のマイクロ波処理装置の加熱室に発生させる電磁波モードについて、その動作と作用とを図4、5を参照しながら説明する。
【0060】
図4は、加熱室10内にTE212モードを発生させる場合の電磁界分布を示し、図5は加熱室10内にTE012モードを発生させる場合の電磁界分布を示す。
【0061】
それぞれの図において、実線の矢印が高周波電界、波線の矢印が高周波磁界を示す。円筒形状の加熱室10において、加熱室10の管軸に対して垂直方向に高周波電界を生じるモードはTEモードと称されている。TEモードの中で最も低次のモードはTE10s、ここでsは整数、であり、TE21nやTE01p、ここでn、pは整数、はその次に低次のモードである。
【0062】
図4、5は、加熱室10の管軸方向の長さを限定させて、nおよびpの値が2を採るように寸法を決めている。それぞれの図において、給電部12a、12bをループ形状がわかるように図示しているが、実際はそれぞれのループ面は対向するように設けられている。
【0063】
図4においては高周波磁界21a、21bが、図5においては高周波磁界23a、23bが、それぞれ給電部12a、12bのループ内を貫通する。マイクロ波発生部100は、マイクロ波増幅部102、103の出力の位相が逆位相に調整されて給電部に伝送されるので、給電部12a、12bから放射されるマイクロ波と加熱室10内に生じようとする高周波磁界とが効果的に結合し図4においては高周波磁界21a〜21dと高周波電界22a〜22d、図5においては高周波磁界23a〜23dと高周波電界24a〜24dをそれぞれ生じさせることができる。
【0064】
図4、5に示すように、TE21n、TE01pのモードは同じ給電部構成から形成させることができる。これらのどちらかを選択する必要がある場合には、モード抑制フィルタを加熱室壁面に設けたり、給電部の数を増し各給電部間の位相差を限定させたりする方法などがあるが、本発明においては、いずれのモードが生じても装置としての機能を満たすことができるので、これらの対処は不要である。
【0065】
なお、TE21nとTE01pを比べるとTE21nモードの方が低次であり、出現しやすい。
【0066】
本発明が必要とする機能は、加熱室内に収納される被加熱物を高い電界強度に曝して加熱する点であり、電界強度の分散を抑制できる低次モードを発生させることで機能実現ができる。
【0067】
次に、本発明のマイクロ波処理装置の具体的な被加熱物に対する処理構成について、図6を用いて説明する。
【0068】
図6は、本発明のマイクロ波処理装置を用いた実施例として被加熱物をペットボトルとした場合の構成図である。図6が図2と相違する点は、第二の誘電体容器25を誘電体容器13の内部に配置し、その内部に被加熱物であるペットボトル26を収納した点である。
【0069】
本発明のマイクロ波処理装置は、被加熱物のペットボトルをマイクロ波で加熱し熱変形させて圧縮相当の形状変形処理を行うものである。この加熱処理を効果的に行うために、第二の誘電体容器25は中空の円筒部25aと、その円筒の一端には誘電体容器13内に収納可能な形状のフランジ部25bを一体的に成形した形状としている。
【0070】
フランジ部25bによって、第二の誘電体容器25を加熱室10内に加熱室の円筒形状と略同心配置させている。この第二の誘電体容器25の材質は、ペットボトルに使用される樹脂材料に比して耐熱性がある低誘電損失材料、例えば、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などが用いられ、被加熱物であるペットボトル26の最大径より少し大きい内径形状としている。円筒部25aの肉厚さは2mm以上としている。
【0071】
第二の誘電体容器25の円筒部25aと被加熱物であるペットボトル26の容器とは近接した状態で配置される。加熱室10内に発生させた高周波電界は、第二の誘電体容器25とペットボトル26のそれぞれが有する誘電特性により高周波電界を集中化させることで、ペットボトル26の容器を高周波電界の高い領域に曝すことができる。図6内に、加熱室10内の高周波電界27a〜27dと被加熱物との空間的な関係を示す。
【0072】
加熱室10に収納した被加熱物であるペットボトル26は、高い高周波電界によって加熱されて昇温し、軟化して変形を始めるが、ペットボトル自身の重量により、加熱室10の下方側に圧縮した状態に変形していく。
【0073】
なお、この第二の誘電体容器25は、容量が異なるペットボトルの形状に合わせて複数備えさせることができる。この複数の誘電体容器は、円筒部の内径の最小ものを中央においてより大きな内径の誘電体容器を順次組立てた後、最大径の誘電体容器13内に収納できる形状構成としている。複数の誘電体容器の円筒部内径は、一般家庭でよく利用される飲用水のペットボトルから化粧品用のペットボトルが収納できる内径形状として限定することができる。
【0074】
以上のように構成されたマイクロ波処理装置について、以下その動作と作用を、図7を参照しながら説明する。
【0075】
誘電体容器13と第二の誘電体容器25を加熱室10内にセットし被加熱物であるペットボトルを第二の誘電体容器25内に収納して、操作部(図示せず)の「ボトル処理」キー(図示せず)を押す(ステップ(S11))。
【0076】
加熱開始信号を受けた制御部20の制御出力信号により、マイクロ波発生部100を第1の出力電力、例えば100W未満、に設定して動作を開始する(ステップ(S12))。このとき制御部20は、マイクロ波発振器111の初期の発振周波数は、例えば2450MHzに設定する信号を供給し、発振を開始させる。
【0077】
以降、所定の駆動電源電圧を初段マイクロ波増幅器113a、113bに供給し、初段マイクロ波増幅器を動作させ、次に主マイクロ波増幅器115a、115bに所定駆動電圧を供給し主マイクロ波増幅器を動作させる。
【0078】
このときの各主マイクロ波増幅器に供給する駆動電圧は主マイクロ波増幅器のそれぞれは、例えば50W未満のマイクロ波電力を出力する電圧である。また、位相可変器118は、給電部12a、12bから放射されるマイクロ波の位相差が発振周波数2450MHzにおいて逆位相になるように調整されている。
【0079】
次にステップ(S13)では、マイクロ波発振器111の発振周波数を初期の2450MHzから0.1MHzピッチ(例えば、10ミリ秒で1MHz)で低い周波数側に変化させ、周波数可変範囲の下限である2400MHzに到達すると1MHzピッチで周波数を高く変化させ、2450MHzに到達すると再び0.1MHzピッチで周波数可変範囲の上限である2500MHzまで変化させる。この周波数可変の中で電力検知部119a、119bから得られる反射電力を記憶し、ステップ(S14)に進む。
【0080】
ステップ(S14)では、各周波数に対する電力検知部119a、119bから得た反射電力の合計値の特性から反射電力が極小となる周波数群を抽出する。そして、この反射極小周波数群の個数と分布(例えば、2400MHzから2450MHzと2450MHzから2500MHzのそれぞれの周波数帯域に存在する極小周波数の数)を予め記憶させた対照となる反射極小周波数群データと比較する。
【0081】
この比較により、被加熱物の形状(例えば、500mlのペットボトル、250mlのペットボトル、化粧品用ペットボトルなど)を推定し、加熱可能な被加熱物であるかどうかを判定する(ステップ(S15))。加熱可能な被加熱物の場合は、ステップ(S16)に進み、加熱対象外と判定した場合は、ステップ(S17)に進んで加熱できない旨の報知をして加熱動作を終了させる。
【0082】
ステップ(S16)では、ステップ(S13)において取り込んだ二つの電力検知部119a、119bから得た反射電力の合計値が最小となる周波数(f1)を選定する。
【0083】
反射電力最小の周波数における各給電部が受ける反射電力値に基づいて被加熱物を加熱実行する時に生じるマイクロ波増幅部のそれぞれの電力損失量(予め既定した駆動電圧および検出した反射電力量に対応して流れるであろう、駆動電流の推定値に基づいて計算)を演算し第1の規定値と比較する。
【0084】
この第1の規定値は、マイクロ波発生部に組み込まれた放熱構成に基づいて決定したマイクロ波増幅部の半導体素子が許容する最大熱損失量としている。なお、この規定値は、絶対値とする方法と、マイクロ波増幅部の出力に対する相対比率値とする方法のいずれでも構わない。
【0085】
そして、各給電部の反射電力値に基づいて演算した加熱動作時の半導体素子の電力損失値と第1の規定値との比較において、第1の規定値以下の場合はステップ(S19)に進む。第1の規定値を超過している場合は、ステップ(S18)に進む。
【0086】
ステップ(S18)では、第1の規定値以下になる各主マイクロ波増幅器115a、115bに供給する駆動電圧を抽出する。この抽出にあたり、駆動電圧は、マイクロ波発生部100の定格出力に対して、100%、90%、75%、60%、15%(これは第1の出力電力の発生時に使用する)の5段階の駆動電圧群を用意しており、この駆動電圧群の中から第1の規定値を超過することなく最大出力を発生できる駆動電圧が抽出される。
【0087】
なお、主マイクロ波増幅器ごとに駆動電圧は最適選択する。第1の規定値を超過した対象のマイクロ波増幅器の駆動電圧を制御し、半導体素子が被る電力損失量を低減させる駆動電圧に設定し、この駆動電圧の抽出処理を終えるとステップ(S19)に進む。
【0088】
ステップ(S19)では、蒸気発生部14に所定時間電力を供給する。この供給電力により、蒸気発生部14内に注水された水が蒸発し、蒸気吹出口14aから加熱室10内に蒸気が噴出する。
【0089】
所定時間としては、加熱室10内が蒸気で充満する時間を目安としている。この所定時間を経過すると蒸気発生部14への供給電力を停止させてステップ(S20)に進む。これにより、加熱室10内を低酸素濃度状態にして被加熱物であるペットボトルが加熱される過程で発生する酸化に伴う異臭を抑制している。
【0090】
ステップ(S20)では、二つの電力検知部119a、119bから得た反射電力の合計値が最小となる周波数(f1)を発振周波数に設定し、マイクロ波発生部100を定格出力(または低減させた出力)である第二の出力電力を発生するように各マイクロ波増幅器の駆動電圧を設定し、マイクロ波発生部100の動作を開始させる。
【0091】
なお、低減させた出力とは、ステップ(S18)を経由した場合、ステップ(S18)で抽出された駆動電圧を主マイクロ波増幅器115a、115bにそれぞれ供給して、マイクロ波発生部100が動作させた時の出力である。
【0092】
ステップ(S21)では、加熱動作の下で各主マイクロ波増幅器の電力損失値が上述の第1の規定値以下かどうかを判定する。第1の規定値以下の場合はステップ(S22)に進む。第1の規定値を超過している場合は、ステップ(S23)に進み、第1の規定値以下になるように対象の主マイクロ波増幅器の駆動電圧を最適な駆動電圧に変更し、ステップ(S22)に進む。
【0093】
ステップ(S22)では、被加熱物の圧縮化程度を加熱時間に基づいて判定する。この加熱時間は、ペットボトルの種類、供給する第二の出力電力に応じて予め規定している。そして、規定の加熱時間に到達しているかどうかを比較判定する。加熱時間が未達の場合は、ステップ(S21)に戻る。加熱時間に到達した時にはマイクロ波発生部100の動作を停止させて加熱を終了する。
【0094】
なお、2400MHzから2500MHzの全帯域に亘って給電部12a、12bの間の位相差を逆位相(例えば、180度±5度)に設定するように、位相可変器118の位相可変量を発振周波数に応じて制御させてもよい。
【0095】
以上、加熱制御内容について説明したが、この制御における作用について以下に述べる。
【0096】
周波数を変化させることにより、各給電部12a、12bから被加熱物が収納された加熱室10側を見たときの負荷インピーダンスを変化させることができる。そして、最適な周波数を選択することで各給電部からマイクロ波発生部100側を見たときの電源インピーダンスに負荷インピーダンスを近づけることで各給電部への反射電力を低減できる。
【0097】
この周波数可変の機能により、形状・種類の異なる被加熱物に対してマイクロ波を効率よく供給でき、加熱室10内に所望の分布であって高い電界強度を有する高周波電界を形成できる。その結果、被加熱物の形状に応じた高周波電界を加熱室内に形成し被加熱物を集中加熱して被加熱物であるペットボトルを昇温させ熱変形させて形状を縮退させることができる。縮退したペットボトルは、廃棄されるまで保管するが、この保管空間が小さく済ませることができ、ペットボトルの回収に寄与できるものである。
【0098】
また、最適な発振周波数を抽出した後に、さらにマイクロ波増幅器の損失電力を見積もり、半導体素子を熱破壊から保護する中での最大出力電力を加熱室に供給して高速加熱を実現させている。
【0099】
マイクロ波発生部100の出力可変は、主マイクロ波増幅器115a、115bの駆動
電圧を可変制御させる構成からなり、反射電力が第1の規定値を超過の場合は駆動電圧を低減して増幅器出力電力を低減し、増幅動作に伴う熱損失量を減少させるとともに加熱室へ供給される電力が低減されることに付随して反射電力も低減させることで増幅器の半導体素子が被る熱損失を許容最大値以下にして装置の信頼性を確保することができる。
【0100】
加熱室10は、TE21nまたはTE01p(nおよびpは整数)を生じる構造体としたことにより、加熱室内に低次の電磁界モードを確実に発生させることができ、高周波エネルギを被加熱物に凝縮供給させることができる。
【0101】
給電部は、加熱室底壁面の中心を点対称として2個配置構成とし、給電部間の位相差を略180度としたことにより加熱室内に低次のモードを確実に発生させることができる。
【0102】
また給電部は、ループ形状とし、ループ面が対向するように配置したことにより、加熱室内には低次の高い高周波電界を形成しうるTEモードをより確実に発生させることができる。
【0103】
加熱室10内には、着脱自在な低損失誘電体材料からなり円筒形状の誘電体容器を備える構成としたことにより、加熱室の半径方向のマイクロ波から見える実質的な大きさを大きくできるので、現実の加熱室の半径方向をコンパクトな形状にすることができる。
【0104】
誘電体容器は、円筒の直径形状が異なる誘電体容器を備え、最大直径の誘電体容器内に全てが収納できる形状構成としたことにより、同一形状の加熱室において、被加熱物の形状に応じた誘電体容器を選択使用して、被加熱物に高周波電界を集中させることができる。
【0105】
最大直径の誘電体容器は、容器底壁面を有し、この容器底壁面が加熱室底壁面と所定の間隔を保つように中空の支持部を容器底壁面の略中央に設け、前記支持部の先端が加熱室底壁面に設けた開孔に挿入装着される構成からなるものであり、これにより加熱室の一端壁面に設けた給電部と被加熱物とを所定の間隔に保つことで給電部から放射されるマイクロ波により加熱室内に所定の高周波電界分布を確実ら形成させることができる。
【0106】
また、開孔配置により被加熱物の加熱過程において発生する水分を、開孔を介して加熱室外に排出し加熱室内での水分の影響による高周波電界の乱れを解消させることができる。蒸気発生部は、開閉部から着脱できる構成とした構成からなるものである。これにより蒸気発生部の清掃を容易に実施できる。
【0107】
制御部20は、被加熱物の加熱開始時に蒸気発生部を所定動作させ、蒸気発生部の動作を停止後にマイクロ波発生部の動作を開始することとした構成からなるものであり、これによりマイクロ波加熱に伴う被加熱物からの異臭の発生を抑制する環境を形成した後、被加熱物を所望の状態に加熱処理させることができる。
【0108】
また制御部20は、マイクロ波発生部が発生する周波数を既定した帯域全体に亘ってスイープし、個々の周波数に対して得られる電力検知部からの信号に基づいて、被加熱物の種類を推定し、加熱実行有無を判定することとした構成からなるものである。
【0109】
これにより、被加熱物が予め規定した以外のものに対してその被加熱物が異常加熱されることを防止でき、装置が本来対象とする被加熱物のみを加熱することで、使用上の安全および安心度合が高い装置を提供することができる。
【0110】
さらに、制御部20は、マイクロ波発生部が発生する周波数を既定した帯域全体に亘っ
てスイープし、個々の周波数に対して得られる電力検知部からの信号を予め記憶させた被加熱物の種類に対応する加熱時間データに照合し、被加熱物の種類を推定してその加熱時間を決定することとした構成からなるものである。これにより被加熱物の過加熱を防止し被加熱物を所望の状態に加熱処理させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上のように、本発明にかかるマイクロ波処理装置は、円筒形状の加熱室において、マイクロ波発生部の発生周波数を制御して加熱室内の高周波電界を被加熱物の形状に応じて空間的に形成し、形状・種類の異なる被加熱物を所望の状態に加熱処理するマイクロ波処理装置を提供することができるので、電子レンジで代表されるような誘電加熱を利用した加熱装置や生ゴミ処理機、あるいは乾燥装置などの用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0112】
10 加熱室
11 開閉部
12、12a、12b 給電部
13 誘電体容器
13a 誘電体容器の中空筒体
13b 誘電体容器の支持部
14 蒸気発生部
14a 蒸気供給口
20 制御部
21a〜21d TE212モードの高周波磁界
22a〜22d TE212モードの高周波電界
23a〜23d TE012モードの高周波磁界
24a〜24d TE012モードの高周波電界
25 第二の誘電体容器
26 ペットボトル(被加熱物)
100 マイクロ波発生部
101 マイクロ波発振部
102、103 マイクロ波増幅部
119a、119b 電力検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収納する開閉部を一端に配する円筒形状の加熱室と、前記円筒形状加熱室の他端に配し円筒管軸方向に生じる磁界と結合する給電部と、前記給電部に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発生部と、前記給電部から前記マイクロ波発生部側に戻るマイクロ波量を検出する電力検知部と、前記マイクロ波発生部から発生されるマイクロ波の周波数を制御する制御部とを備えたマイクロ波処理装置。
【請求項2】
前記加熱室が、TE21nまたはTE01p(nおよびpは整数)を生じる構造体である請求項1に記載のマイクロ波処理装置。
【請求項3】
前記給電部が、前記加熱室の底壁面の中心を点対称として2個設けられ、前記2個の給電部間の位相差が略180度である請求項1に記載のマイクロ波処理装置。
【請求項4】
前記給電部がループ形状を有し、前記ループ形状におけるループ面が対向する請求項3に記載のマイクロ波処理装置。
【請求項5】
前記加熱室内には、着脱自在な低損失誘電体材料からなり円筒形状の誘電体容器が設けられる請求項1に記載のマイクロ波処理装置。
【請求項6】
前記誘電体容器が、円筒の直径形状が異なる誘電体容器を備え、最大直径の誘電体容器内に全てが収納できる請求項5に記載のマイクロ波処理装置。
【請求項7】
前記最大直径の誘電体容器が容器底壁面を有し、前記容器底壁面が前記加熱室の底壁面と所定の間隔を保つように前記容器底壁面の略中央に設けられる中空の支持部を有し、前記支持部の先端が前記加熱室の底壁面に設けた開孔に挿入装着される請求項6に記載のマイクロ波処理装置。
【請求項8】
前記開閉部が蒸気発生部を有し、前記加熱室内に蒸気を供給する供給口が配置される請求項1に記載のマイクロ波処理装置。
【請求項9】
前記蒸気発生部が前記開閉部から着脱できる請求項8に記載のマイクロ波処理装置。
【請求項10】
前記制御部が、前記被加熱物の加熱開始時に前記蒸気発生部の動作を開始させ、前記蒸気発生部の動作を停止させた後に前記マイクロ波発生部の動作を開始させる請求項8に記載のマイクロ波処理装置。
【請求項11】
前記制御部が、前記マイクロ波発生部から発生される周波数を所定の帯域に亘ってスイープさせて得られる前記電力検知部からの信号に基づいて、前記被加熱物の種類を推定し、加熱を実行するかどうかを判定する請求項1に記載のマイクロ波処理装置。
【請求項12】
前記制御部が、前記マイクロ波発生部から発生される周波数を所定の帯域に亘ってスイープさせて得られる前記電力検知部からの信号と、予め記憶させた前記被加熱物の種類に対応する加熱時間データとを照合し、前記被加熱物の種類を推定して加熱時間を決定する請求項1に記載のマイクロ波処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−267566(P2010−267566A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119535(P2009−119535)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】