説明

マイクロ波加熱性モノビニル芳香族ポリマー

モノビニル芳香族化合物、例えばスチレンのポリマーの溶融加工方法が開示されている。この方法には、モノビニル芳香族化合物のポリマーを、マイクロ波エネルギーによって容積的に加熱することが含まれてよく、ここで、このモノビニル芳香族化合物のポリマーには、不連続ゴム相並びに49重量%以下の、アクリレートコモノマー及びシアン化ビニルコモノマーの少なくとも1種を含む連続ポリ(モノビニル芳香族)相が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示された態様は、一般的に、モノビニル芳香族化合物のポリマー及びモノビニル芳香族化合物のゴム改質ポリマーの溶融加工に関する。更に特定の面に於いて、本明細書中に開示された態様はマイクロ波加熱性耐衝撃性(high impact)ポリスチレン組成物の溶融加工に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレンは、現在、商業的生産に於ける最大容量熱可塑性樹脂の1種である。非改質ポリスチレンは、その脆性が許容できる用途によく適合している。耐衝撃性が必要である用途に於いては、エンジニアリングプラスチックスが使用されてきたが、このようなポリマーは、しばしば高価であるか又はそれらを最適な選択よりも低くする、耐衝撃性以外の特性を有する。従って、スチレン系コポリマー、特にゴム粒子によって改質されたポリスチレン樹脂が、より低い脆性を必要とする用途に於いて使用するために研究されてきた。脆性を減少させるためのポリスチレンの改質は、しばしば、その耐衝撃性特性を増加させることに関連しており、従って、改質ポリスチレンは、より高い耐衝撃性を有すると言われる。
【0003】
一般的に頭字語HIPSによって参照される、これらの耐衝撃性ポリスチレン樹脂は、物品のための用途が、非改質ポリスチレンよりも低い脆性を必要とするポリマーで物品を製造する技術分野に於いて有用であることが知られている。例えば特許文献1には、15〜50部の耐衝撃性改質剤を、85〜50部の透明な結晶ポリスチレンとブレンドすることによって、高い耐衝撃性樹脂を製造することができることが開示されている。このような材料は、包装用途のために有用であると開示されている。
【0004】
HIPSを製造する別の方法は、最初に、ゴムをスチレンモノマー中に溶解し、次いでこのモノマーを重合させることである。このようなポリマーは、特許文献2に開示されている。特許文献2には、溶解されたポリブタジエンゴムを含有するスチレンモノマーを、3個の反応ゾーンを含む細長い上昇流撹拌型反応器の中に流し、そこでスチレンモノマーを重合させてHIPSを形成することが開示されている。
【0005】
HIPSに於いて、望ましくは、ポリスチレンはゴム粒子の非連続相を含有する連続相である。連続ポリスチレン相中のゴム粒子のサイズ及び分布はHIPSの特性に影響を与え得る。ポリスチレンと他の材料とのブレンドに於いて、連続ポリスチレン相中の非連続相の分布は、しばしば同様に重要である。
【0006】
HIPS組成物に導入された過度の熱履歴は、ゴム相の追加の架橋になり得る。熱履歴は、例えば、高温での、HIPSの製造、配合、押出又は他の加工の間の、HIPSの脱蔵により導入され得る。不連続ゴム相の得られる架橋は、ゴムの脆化及びポリマーの衝撃強度に於ける対応する減少になり得る。
【0007】
特許文献3には、ゴム状エラストマーの存在下で、スチレン系モノマー及びメタクリル酸エステルモノマーをベースにするモノマー混合物を重合させることによって得られるゴム改質スチレン系ポリマーが開示されている。この組成物は、良好な透明性及び耐衝撃性を有する熱収縮性多層プラスチックフィルムを製造するために使用することができる。参照して本明細書中に含められる特許文献4には、ポリスチレンの溶融流れ特性を改良するために、アクリル酸のエステル、例えばアクリル酸n−ブチルを使用することが開示されている。
【0008】
特許文献5、特許文献6、特許文献7及び特許文献8(これらのそれぞれを、参照して本明細書中に含める)に開示されているように、ポリマーのマイクロ波加熱によって、サイクル時間を短縮することができ、マイクロ波による容積加熱(volumetric heating)によって、「表面」又は「接触」加熱の必要性を排除することができ、従って、高いポリマー表面温度の潜在的に有害な影響、とりわけ、例えば退色、表面欠陥及び光沢勾配を排除することができる。容積加熱は、また、熱成形プロセスの間のポリスチレンシートの放射加熱から典型的に得られるような、シート厚を通過する、望ましくない温度勾配を排除することができる。
【0009】
残念ながら、ポリスチレン及び耐衝撃性ポリスチレンは、これらが、マイクロ波エネルギーを吸収する如何なる官能基も有しないので(即ち、ポリスチレンはマイクロ波に対して透明性(又は透過性)(transparent)である)、マイクロ波加熱に対して受容性ではない。ポリスチレンマトリックスを、マイクロ波を受け入れることができるようにするために、マイクロ波受容性添加剤、例えばゼオライト又は水を使用することができるが、これは、追加の配合工程を必要とし、ゴム相に望ましくない熱履歴を追加し、これらの配合物は、HIPSの透明性及び機械的特性に影響を与える。これらの配合添加剤は高価であり、同じものの配合は、得られるポリスチレンのコストを追加的に増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】Smithへの、米国防衛特許公開(Defensive Publication)第T59,011号明細書
【特許文献2】Sosa等への、米国特許第6,569,941号明細書
【特許文献3】特開2001−191461号公報
【特許文献4】米国特許第4,782,127号明細書
【特許文献5】国際特許出願公開第PCT/US2007/012821号公報
【特許文献6】国際特許出願公開第PCT/US2007/012822号公報
【特許文献7】国際特許出願公開第PCT/US2007/012817号公報
【特許文献8】米国仮特許出願第60/932,790号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、マイクロ波加熱装置を使用して加工することができる耐衝撃性ポリスチレンについてのニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一つの面に於いて、本明細書中に開示された態様は、モノビニル芳香族化合物のポリマーの溶融加工方法に関する。この方法には、モノビニル芳香族化合物のポリマーを、マイクロ波エネルギーによって容積的に加熱することが含まれてよく、ここで、このモノビニル芳香族化合物のポリマーには、不連続ゴム相並びに49重量%以下の、アクリレートコモノマー及びシアン化ビニルコモノマーの少なくとも1種を含む連続ポリ(モノビニル芳香族)相が含まれる。
【0013】
別の面に於いて、本明細書中に開示された態様は、耐衝撃性ポリスチレンの溶融加工方法に関する。この方法には、耐衝撃性ポリスチレンを、マイクロ波エネルギーによって容積的に加熱することが含まれてよく、ここで、この耐衝撃性ポリスチレンには、非連続ゴム相並びに49重量%以下の、アクリレートコモノマー及びシアン化ビニルコモノマーの少なくとも1種を含む連続スチレン相が含まれる。
【0014】
別の面に於いて、本明細書中に開示された態様は物品の製造方法に関する。この方法には、A)耐衝撃性ポリスチレンを、マイクロ波エネルギーによって容積的に加熱する工程(ここで、この耐衝撃性ポリスチレンは、不連続ゴム相並びに49重量%以下の、アクリレートコモノマー及びシアン化ビニルコモノマーの少なくとも1種を含む連続スチレン相を含む)並びにB)加熱された耐衝撃性ポリスチレンを加工して、物品を形成する工程が含まれてよい。
【0015】
別の面に於いて、本明細書中に開示された態様は、物品の製造方法に関し、この方法には、耐衝撃性ポリスチレンを、マイクロ波エネルギーに対して非受容性である1個又はそれ以上の層を有する多層コンポジット内に層として配置する工程(ここで、この耐衝撃性ポリスチレンは、不連続ゴム相並びに49重量%以下の、アクリレートコモノマー及びシアン化ビニルコモノマーの少なくとも1種を含む連続スチレン相を含む)、この耐衝撃性ポリスチレンを、マイクロ波エネルギーによって容積的に加熱する工程並びにこのコンポジットを加工して、物品を形成する工程が含まれる。
【0016】
他の面及び利点は、下記の説明及び付属する特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、熱成形された部品を形成するために金型と一緒に使用されるマイクロ波加熱装置の態様を例示する。
【0018】
【図2A】図2Aは、本明細書中に開示されたマイクロ波加熱性モノビニル芳香族化合物の少なくとも1個の層と共に形成された多層シートを例示する。
【図2B】図2Bは、本明細書中に開示されたマイクロ波加熱性モノビニル芳香族化合物の少なくとも1個の層と共に形成された多層シートを例示する。
【0019】
【図3】図3は、典型的なポリスチレンに対して比較したときの、本明細書中に開示された態様に従ったモノビニル芳香族化合物の態様のマイクロ波加熱のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一つの面に於いて、本明細書中に開示された態様は、モノビニル芳香族化合物のポリマー及びモノビニル芳香族化合物のゴム改質ポリマーの溶融加工に関する。更に特定の面に於いて、本明細書中に開示された態様は、耐衝撃性ポリスチレン組成物の溶融加工に関する。更に詳しくは本明細書中に開示された態様は、ポリマーがマイクロ波エネルギーによって加熱される、耐衝撃性ポリスチレンの溶融加工に関する。
【0021】
本明細書中に開示された他の態様は、マイクロ波エネルギーに対して受容性である、ポリスチレン及び耐衝撃性ポリスチレン組成物の形成に関する。本明細書中に開示された態様に従ったマイクロ波加熱性ポリスチレンは、スチレンをマイクロ波受容性コモノマーと共重合させることによって形成することができる。例えば、スチレンを、アクリレート及び/又はシアン化ビニルと共重合させて、マイクロ加熱性ポリスチレン組成物を形成することができる。他の態様に於いて、スチレンを、アクリレート又はシアン化ビニルコモノマーと、エラストマーの存在下で共重合させて、マイクロ加熱性耐衝撃性ポリスチレン組成物を形成することができる。
【0022】
加熱の代替方法、例えば放射(又は輻射)、対流又は接触加熱と比較して、マイクロ波エネルギーの使用は、非常に急速な容積加熱になり得る。マイクロ波エネルギーの使用は、従来の一般的な加熱システムの二つの基本的な制限、即ち部品の表面から熱エネルギーを移動させるためのポリマーの熱伝導度への依存性及び次いで最大利用可能温度駆動力を決定するポリマー表面の最高許容温度を克服することができる。更に、ゴム改質ポリスチレンに関して、マイクロ波によって得られる容積加熱は、不連続ゴム相の熱履歴及び架橋を減少させることができる。従って、容積加熱は、シート加熱時間及びシートたるみに於ける減少を可能にし、これは、生産性に於ける増加及び不良率に於ける減少になり得る。
【0023】
本明細書中に開示された態様に於いて有用であるマイクロ波加熱装置は、複数の共振空洞を有するマイクロ波装置を含めて、特許文献5、特許文献6、特許文献7及び特許文献8(これらのそれぞれを、参照して本明細書中に含める)に開示されている。更に、そこには、溶融加工装置、例えば熱成形機に操作的に連結されているマイクロ波加熱装置が開示されている。
【0024】
一つの、このようなマイクロ波加熱及び熱成形装置を、図2に示す。熱成形装置30には、供給ステージ31、加熱ステージ32及び成形ステージ33が含まれていてよく、これらのそれぞれは、PLC又はDCS接続を含んでよい、電気室34からの配線によって制御又は電力供給することができる。ポリマーシート又はブランク35を、ポリマーシート又はブランク35を移送するための駆動ベルト36を使用して、加熱ステージ32に間欠的に供給することができる。加熱ステージ32の中に載せられると、マイクロ波加熱装置37を使用して、ポリマーシート又はブランク35をマイクロ波エネルギーに曝露することができ、ここで、マイクロ波加熱装置37には、前記のような装置(マイクロ波発生器、チューナー、ホーン、導波管等)が含まれてよい。加熱されると、ポリマーシート又はブランク35を、熱成形ステージ33の方に移送させることができる。熱成形ステージ33への移送の間に、赤外線カメラ38又は他の装置を、ポリマーシート35の温度をモニターして、ポリマーシート35が所望の温度又は温度プロフィールにあることを確実にするために使用することができ、またマイクロ波加熱装置37を制御するために使用することもできる。熱成形ステージ33の中に載せられると、ポリマーシート35を、所望の形状又は部品が成形されるような金型39を使用して成形することができる。
【0025】
シート押出の一例として、マイクロ波感受性層を多層シートの中に含有させることができる。例えば、図2Aは、マイクロ波感受性層を含有する多層シートの一態様を例示する。マイクロ波感受性層Bは、マイクロ波加熱に対して感受性ではない外側層Aによって結合されたシートコアを形成することができる。マイクロ波感受性コア層の含有によって、例えば、シート熱成形の間の、シートの次の加工を容易に実施することができる。幾つかの態様に於いて、シート熱成形は、厚いシート熱成形、選択的引取性及びシートの迅速で均一な加熱を可能にすることにより、マイクロ波選択的ポリマーの使用によって容易に実施することができる。
【0026】
3層シートとして図2Aに例示したが、他の態様に於いて、マイクロ波感受性ポリマーは、ポリマー構造体中の領域又は複数個の領域を形成することができる。例えばマイクロ波感受性ポリマーは、2個又はそれ以上の層を有するシート中の別個の層を形成することができる。他の態様に於いて、マイクロ波感受性ポリマーは、より大きい構造体の特定の層を形成して、更なる加工のためにこれらの領域の選択的加熱を可能にすることができる。更に他の態様に於いて、マイクロ波感受性ポリマーは、並列繊維構造体(side-by-side fiber structures)の片側を形成することができる。更に他の態様に於いて、マイクロ波感受性ポリマーは、コア/シース繊維構造体のコア又はシースを形成することができる。図2Bに例示するように、同様の又は異なったマイクロ波感受性特性を有してよいマイクロ波加熱性組成物の種々の層は、所望の加熱特性を与えるように多層シートを形成することができる。例示するように、層A及びCは、マイクロ波に対して非感受性であってよく、一方、B層は、マイクロ波に対して感受性である。他の態様に於いて、所望の加熱特性を達成するために、層A及びCは、マイクロ波に対して感受性であってよく、一方、B層は、マイクロ波に対して非感受性である。
【0027】
マイクロ波加熱は、例えばシート、多層シート、プレカットシート、ブランク、成形したブランク又はパックを加熱するために使用することができ、例えば熱成形、射出成形及び圧縮成形プロセスに於いて適切に使用することができる。幾つかの態様に於いて、マイクロ波加熱性ポリマーによって形成されたシート、多層シート、ブランク、成形したブランク又はパックは、幾つかの態様に於いて、30cm、50cm又はより以上まで、他の態様に於いて0.01mm〜10cm、他の態様に於いて0.1mm〜7.5cm、更に他の態様に於いて0.25cm〜5cmの範囲内の厚さを有することができる。幾つかの態様に於いて、本明細書中に開示されたマイクロ波加熱性ポリスチレン組成物は、30cm、50cm又はより以上までの範囲の厚さを有する、膨張された(expaneded)ポリスチレン用途に於いて使用することができる。「厚いシート」用途のためのような他の態様に於いて、シートは、15cm以下、他の態様に於いて10cm以下、他の態様に於いて5cm以下、更に他の態様に於いて2.5cm以下の厚さを有していてよい。本明細書中に開示された態様に於いて加工されたシートは、10フィート又はそれ以上、他の態様に於いて8フィート又はそれ以上、他の態様に於いて6フィート又はそれ以上、他の態様に於いて4フィート又はそれ以上、更に他の態様に於いて2フィート又はそれ以上の幅を有していてよい。加工することができるシートのアスペクト比は、幾つかの態様に於いて、1〜5000の範囲であってよく、ここでアスペクト比は、平均厚さによって割った平均幅として定義される。他の態様に於いて、このアスペクト比は、10〜2500、他の態様に於いて50〜1000、更に他の態様に於いて100〜500の範囲であってよい。
【0028】
上記の厚さ、幅及びアスペクト比について、加熱された材料の長さは、如何なる所望の長さであってもよい。長さは、例えば下流の加工が、ロールからのような連続シートを加工するように設計されているか又は限定された(finite)長さの材料、例えばプレカットシート、ブランク、成型されたブランク若しくはパック(puck)を加工するように設計されているかに依存するであろう。従って、長さは、数センチメートルから無限の長さまで変化し得る。
【0029】
前記のように、ポリスチレンは、一般的に、マイクロ波エネルギーに対して透明である。本明細書中に開示されているように、ポリスチレン及び耐衝撃性ポリスチレンは、連続ポリスチレン相をマイクロ波エネルギーによって加熱できるように、改質することができる。次いで、得られるマイクロ波受容性ポリスチレンを、放射、対流又は接触加熱の代わりに又はこれらと組合せて、マイクロ波エネルギーを使用して加熱することができる。次いで、加熱されたポリスチレンを、加工する、例えば、混合する、トランスファー成形する、造形する(shaped)、打ち抜き加工する(stamped)、射出成形する(injected)、形成する(formed)、成型する(molded)、押出す又は一次加工プロセス若しくは物品を形成するための二次加工プロセスに於いて他の方法で使用することができる。
【0030】
本明細書中に開示されているマイクロ波加熱性組成物には、エラストマー又はゴムによって改質されたモノビニル芳香族化合物のポリマーを含有する熱可塑性組成物が含まれてよい。これらの熱可塑性組成物は、アクリレート又はシアン化ビニルコモノマー、1種又はそれ以上の重合開始剤及びエラストマーの存在下で、モノビニル芳香族化合物を重合させることによって得ることができる。
【0031】
耐衝撃性ポリマーは、上記の構成成分が使用される限り、任意の一般的なプロセスに従って製造することができる。通常の製造プロセスには、塊状重合及び溶液重合、例えば米国特許第2,694,692号明細書に開示されているもの又は塊状懸濁重合、例えば米国特許第2,862,906号明細書に開示されているものが含まれる。プロセスが前記の構成成分を使用できる限り、懸濁重合、乳化重合、バルク重合及び溶液重合のような一般的な方法を含む他の製造プロセスを使用することもできる。また、反応の形式に関して、ラジカル重合、アニオン重合及びカチオン重合の何れも使用することができる。
【0032】
本明細書中に開示された態様に従って製造されたマイクロ波加熱性耐衝撃性ポリスチレン(MW−HIPS)は、ゴムの存在下で、モノビニル芳香族化合物及びアクリレート又はシアン化ビニルコモノマーを重合させることによって形成することができる。
【0033】
モノビニル芳香族ホモポリマー及びコポリマー(個々にそして集合的に、「ポリマー」又は「コポリマー」として参照される)は、米国特許第4,666,987号明細書、米国特許第4,572,819号明細書及び米国特許第4,585,825号明細書に記載されているもののようなモノビニル芳香族モノマーを重合させることによって製造される。本発明の実施に於いて使用されるポリマー及びコポリマーを製造するために適しているモノビニル芳香族モノマーは、好ましくは、下記の式:
【化1】

(式中、R’は水素又はメチルであり、Arはアルキル、ハロ又はハロアルキル置換基を有する又は有しない、1〜3個の芳香族環を有する芳香族環構造であり、ここで、任意のアルキル基は炭素数1〜6であり、ハロアルキルはハロ置換されたアルキル基を指す)
のものである。好ましくは、Arはフェニル又はアルキルフェニル(ここで、フェニル環のアルキル基は炭素数1〜10、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜4である)であり、フェニルが最も好ましい。使用することができる典型的なモノビニル芳香族モノマーには、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、特にパラ−ビニルトルエン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等の全ての異性体並びにこれらの混合物が含まれ、スチレンが最も好ましい。モノビニル芳香族化合物は、単独で又は混合物として使用することができる。一つの特定の態様に於いて、モノビニル芳香族化合物はスチレンである。
【0034】
本発明に於いて使用される特定のゴムは、幾つかの種類、例えば、Firestoneによって販売され、Diene55として指定され、約55のムーニー粘度、ゲル浸透技術によって測定したとき、約150,000の数平均分子量、約300,000の重量平均分子量及び約500,000のZ分子量を有する種類の1種であってよい。有利なゴム材料の他の種類には、高シスゴムが含まれる。使用することができる他のゴム化合物には、スチレン−ブタジエンコポリマーが含まれる。幾つかの態様に於いて使用されるゴムの量は、ポリマーの全重量基準で、約2〜約25重量%、他の態様に於いて約3〜約20重量%、更に他の態様に於いて約4〜約15重量%の範囲であってよい。
【0035】
アクリレートコモノマーには、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、同じもののグリシジルアナローグ及び当該技術分野で公知のその他のアクリレートが含まれてよい。シアン化ビニルコモノマーには、当該技術分野で公知の中でも、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが含まれてよい。このようなコモノマーは、幾つかの態様に於いて約49重量%以下、他の態様に於いて25重量%以下、他の態様に於いて15重量%以下、他の態様に於いて約10重量%以下、更に他の態様に於いて約5重量%以下の量で使用することができる。
【0036】
この重合は、塊状重合、溶液重合又は水性分散液中の重合により、一般的な方法で行うことができ、最初にゴムを、重合性モノマー並びにアクリレート及び/又はシアン化ビニルコモノマー中に溶解させ、次いで、この溶液を、適切な開始剤又は開始剤組合せの存在下で重合に付す。熱(熱開始)重合条件が好ましいが、過エステル(perester)、例えばペルオキシ安息香酸第三級ブチル、ペルオキシ酢酸第三級ブチル、過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジラウロイル、過ケタール、例えば1,1−ビス第三級ブチルペルオキシシクロヘキサン、1,1−ビス第三級ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及び過酸化ジクミル並びにペルカーボネートを含む過酸化物開始剤を含む公知の開始剤から選択された重合開始剤の低レベル並びに光化学開始技術を使用することも可能である。これらの開始剤は、使用される特定の開始剤、ポリマーグラフト化の所望のレベル及び塊状重合が行われる条件を含む種々の要因に依存する濃度の範囲内で使用することができる。使用する場合、約50〜約300、好ましくは約100〜約200重量部の開始剤を、モノマー、モノビニル芳香族の100万重量部当たりで使用する。
【0037】
重合プロセスの間に使用することができる不活性希釈剤には、芳香族炭化水素又は芳香族炭化水素の混合物、例えばトルエン、エチルベンゼン、キシレン又はこれらの混合物が含まれてよい。また、適切な連鎖移動剤、例えばメルカプタン又はα−メチルスチレン二量体を、ポリマー分子量及びゴム粒子サイズを制御するために添加することもできる。更に、滑剤、例えば鉱油、オレフィン性合成油及びポリイソブチレンを添加することもできる。
【0038】
モノビニル芳香族化合物のアクリレート又はシアン化ビニル改質ポリマーはマイクロ波エネルギーによって加熱することができる。次いで、電磁エネルギーを使用する熱可塑性材料の効率的な加工を、熱可塑性材料の体積の少なくとも一部分(その部分は、この材料を、次の成形技術に於いて加工可能であるようにするために十分である)を加熱することによって実施することができる。本明細書中で使用するとき、「加工可能である」は、製品を形成するために、プラスチック全体を、混合する、トランスファー成形する、造形する、打ち抜き加工する、射出成形する、押出する等のために、熱可塑性樹脂の少なくとも一部の十分な溶融状態又は軟化の条件を意味する。熱可塑性基体の加熱は、熱可塑性樹脂を電磁エネルギー、例えば基体の全体積を貫通し、マイクロ波感受性領域に優先的に吸収される能力を有するマイクロ波への曝露によって達成することができる。
【0039】
マイクロ波放射線を適用することによって、熱を、ポリマー試験片の体積、バルク(bulk)又は部分の予定の領域で局部的に発生させることができる。従って、他の領域は、使用される放射線に対して透明である非吸収材料からなっているので、適用されるエネルギーの量を、注意深く制御し、濃縮させることができる。例えばアクリレート改質ポリスチレンマトリックスをマイクロ波エネルギーによって加熱することができ、ゴム相はマイクロ波エネルギーに対して透明であってよい。マイクロ波に対して受容性である材料に焦点を合わせることによって、加工性熱可塑性樹脂を生じさせるために使用されるエネルギーを減少させ、サイクル時間を短縮し、最終材料の機械的特性及び他の特性を、種々の必要条件及び用途のために適合させ、最適化させることができる。
【0040】
この方法に於いて、電磁エネルギーは、基体又は基体の一定領域(これらは電磁エネルギーが存在するとき温度が上昇する)と相互作用する。材料が体積的に加熱されるとき、この材料を、従来の加熱技術に比較して、一層急速に加工できる状態に転換させることができる。更に、この材料は、通常存在するよりも少ない熱エネルギーを含有してよく、表面伝導(赤外加熱)により加熱された全バルク材料を有するので、エネルギーに於いて顕著な節約が存在するであろう。例えば、赤外加熱は、大気への顕著なエネルギー損失になり、部品表面から部品コアへの熱移動の許容できる速度を達成し、加工のために必要であるものまでコア温度を上昇させるために、部品の表面温度が、所望のバルク温度よりも著しく高いことを必要とする。反対に、マイクロ波感受性ポリマーの温度を、急速に且つ容積的に加工温度まで加熱するマイクロ波加熱は、著しく低いポリマー表面温度になり得る。マイクロ波加熱は、また、エネルギーがシステムから失われる傾向をあまり有さず、エネルギーを主として、それが必要である場所、即ち、マイクロ波感受性ポリマーに移送する。マイクロ波加熱は、また、加工プロセスのためのサイクル時間の顕著な節約になり得る。マイクロ波加熱機構は、(熱伝導とは反対に)バルク全体に急速に生じるためのみならず、部品の全エネルギー含有量も小さいので、加熱時間を短縮することができる。材料の非加熱領域は、近くの加熱された領域から熱を引き出すためのヒートシンクとして効率的に作用し、バルク材料の全体冷却速度を著しく増強するので、冷却サイクルもまた、短縮される。マイクロ波加熱によって達成可能なポリマーシートの急速な加熱は、例えばシートたるみを減少し、熱成形プロセス及び成形された部品の厚さ分布を改良することができる。
【0041】
本明細書中に開示されたマイクロ波加熱性ポリマーは一次加工又は二次加工プロセスの間に使用することができる。例えば、幾つかの態様に於いて、マイクロ波加熱性ポリマーは、フィルム、フォーム、異形材、配合されたペレット、繊維、織布及び不織布、成形部品、コンポジット、ラミネート又は1種又はそれ以上のポリマー材料から作られたその他の物品を含む、ポリマー物品の成形加工の間に使用することができる。他の態様に於いて、マイクロ波加熱性ポリマーは、加工プロセス、例えば、とりわけ、シート押出、共押出、フォーム押出、射出成形、フォーム成形、ブロー成形、射出延伸ブロー成形及び熱成形に於いて使用することができる。
【0042】
前記のように、マイクロ波エネルギーによってバルク/連続ポリスチレン相を加熱することは、不連続ゴム相の伝導加熱になり得る。この不連続ゴム相は、ヒートシンクとして作用し、全体サイクル時間(特に冷却時間)を短縮する助けになり得る。
【0043】
更に、マイクロ波加熱が、従来の加熱技術に比較したとき、低下した表面温度になるので、より小さい熱履歴がゴム相に与えられる。ゴム供給パーセントは、典型的には、製造サイクルを通して与えられる熱履歴を考慮して、形成された部品に於ける所望の特性になるように調節される。マイクロ波加熱はより小さい熱履歴になり、潜在的にゴム相のより小さい脆化になり得るので、より少ないゴム含有量を有するHIPS配合物を使用して、従来通り加熱したHIPS組成物から形成された製品に対して比較したとき、等価の物理的特性を有する最終製品になることが可能であろう。
【0044】
用途
前記のように、本明細書中に開示されたマイクロ波加熱装置を使用して、次の加工をする、例えば、混合する、トランスファー成形する、造形する、打ち抜き加工する、射出成形する、成形する、成型する、押出する又は他の方法で更に加工するためにポリマーを加熱することができる。幾つかの態様に於いて、本明細書中に開示されたマイクロ波加熱装置は、例えば冷蔵庫ライナーを形成するためのような厚手シート熱成形プロセスに於いて有用であろう。他の態様に於いて、本明細書中に開示されたマイクロ波加熱装置は、例えば気流法バインダー繊維を加熱、結合又は加工するために有用であろう。他の態様に於いて、本明細書中に開示されたマイクロ波加熱装置は、例えばブローボトルの成形のためのような、ブロー成形プロセスのために有用であろう。
【0045】
他の態様に於いて、本明細書中に開示されたマイクロ波加熱装置は、加工されるポリマーが完全には溶融しない用途に於いて有用であろう。例えば、マイクロ波加熱装置を使用して、装置を通過するポリマーの選択部分を選択的に加熱し、それによって熱エネルギーを、例えば形成、成形又は打ち抜き加工プロセスにより更に加工されるこの部分のみに濃縮することができる。これによって、加工の間に取り扱われる材料の構造的一体性を増強することができ、サイクル時間を短縮することができ、所望の形状に材料を加工するために必要なエネルギーを減少させることができる。
【0046】
他の態様に於いて、本明細書中に開示されたマイクロ波加熱装置は、エンボスシート熱成形を含むエンボスシートを加工する際に有用であろう。従来の赤外熱成形に於いては、熱入力はシートの表面を通過しなくてはならず、しばしばエンボス構造又は表面細部の保持を減少する。前記のように、短縮された加熱サイクルに加えて、マイクロ波加熱装置は、シートに与えられた減少したエネルギーフートポイント(footpoint)のために、加工の間のエンボス構造の増加した保持を可能にすることができる。
【0047】
他の態様に於いて、選択的加熱によって、非感受性層によって点在させられたポリマーのマイクロ波感受性層の使用が可能になる。このような積層材料を形成するために有用なマイクロ波受容性添加剤及び非受容性ポリマーは、特許文献5、特許文献6、特許文献7及び特許文献8(これらのそれぞれを、参照して本明細書中に含める)に記載されている。積層ポリマーは、最適温度プロファイル化、ポリマー加工の間のパルス化マイクロ波エネルギーの使用、部品の特定領域の加熱を与えるマイクロ波エミッターの選択的置換及び1個又はそれ以上の熱可塑性部品又は層のマイクロ波感受性に基づいて優先的又は選択的加熱を与えることができる他の徴候を与えることができる。
【実施例】
【0048】
直列で稼働する3個の撹拌式反応器を使用して、連続プロセスで、サンプル組成物を製造する。ゴム供給溶液、エチルベンゼン(EB)、スチレン及び添加物の残りを、第一反応器に供給する。供給物組成を、表1に報告する(スチレンは、供給物の残部を構成する)。最終ポリマーの組成は、供給物組成及び重合の間の転化をベースにして計算される。
【0049】
【表1】

【0050】
80%固体が到達されるまで、重合を続ける。残留するスチレン及びエチルベンゼン希釈剤をフラッシュさせ、ゴムを脱蔵押出機内で架橋させる。サンプルを、ダイ及びロールに通して押し出し、所望の厚さシート(1mm)に堆積させる。
【0051】
マイクロ波加熱
サンプル及び比較サンプルから形成したシートを、図1のものと同様のマイクロ波加熱装置を使用して加熱する。加熱速度を確認する二つの方法を使用して、サンプル及び比較サンプルのマイクロ波加熱特徴、即ち、静的加熱及び動的加熱を決定する。静的加熱について、シートをマイクロ波装置の内側に置き、シートの温度上昇を、IR温度センサーによって観察する。それぞれの電力設定で、加熱速度を決定し、適用した電力の関数として表示する。明らかに、アクリル酸n−ブチル改質HIPSの加熱速度は、図3に示されるように、未改質HIPSよりも4倍高い。
【0052】
動的加熱について、シートを10mm/秒の速度でマイクロ波加熱装置に供給し、マイクロ波発生器へのエネルギー入力は1200ワットである。動的マイクロ波加熱の結果を表2に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
アクリル酸n−ブチルコモノマーを含有する耐衝撃性ポリスチレンの加熱は、比較サンプルに対して比較したときの、サンプルによって到達された温度に於ける差によって示されるように、マイクロ波エネルギーの吸収に於ける顕著な増加になった。従って、少量のアクリレートコモノマーの含有は、耐衝撃性ポリスチレンにマイクロ波感受性を与えるための有効な手段であり得る。
【0055】
本明細書中に開示された態様は、熱可塑性材料の迅速な体積加熱を提供することができる。態様は、また、熱可塑性構造物の別個の部品、例えばラミネート構造体又は共押出された多層構造体中の個々の層の選択的加熱を提供することができる。ポリマー加工に関して、この技術は、設計者及び加工業者のために、選択的で迅速な加熱、短縮された加熱/冷却サイクル時間(高速度)、高いエネルギー効率及びその他の環境的利益、例えば、減少した排気(これは、乾式で無煙のプロセスであるので)並びに増加したリサイクル可能性(自己強化単一材料成分の一層広範囲な使用を可能にすることによる)、自己強化部品に於ける特性の保存(戻りのリスクを減少する)、増加した生産性、改良された部品品質及び強度並びに熱加工中の減少した滞留時間に起因するHIPS中のゴム相の熱劣化又は架橋の最小化(従って、ポリマー配合物中の熱安定化添加剤を減少させることができる)を含む、多くの利点を提供することができる。
【0056】
有利には、本明細書中に開示された態様は、短縮された加熱時間、短縮された総二次加工サイクル時間並びに改良された部品厚さ分布(従って、より薄いシートの使用が可能になり、従って、減少した一個部品コストが可能になる)を提供することができる。本明細書中に開示された態様は、また、選択的加熱の使用の結果として短縮された冷却時間を提供することができ、加工される材料内に「ヒートシンク」を導入する。更に、容積加熱は、「表面」又は「接触」加熱の必要性を除き、従って、高いポリマー表面温度の潜在的に有害な影響を除く。容積加熱は、また、シート厚を通る望ましくない温度勾配を除く。本明細書中に開示された態様は、また、有利には、短縮された総サイクル時間及び減少したシステムエネルギー必要量により、改良された生産性を提供することができる。
【0057】
この開示には、限定された数の態様が含まれるけれども、この開示の利益を有する当業者は、本開示の範囲から逸脱しない他の態様を案出できることを認識しているであろう。従って、この範囲は、付属する特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノビニル芳香族化合物のポリマーを、マイクロ波エネルギーによって容積的に加熱することを含んでなるモノビニル芳香族化合物のポリマーの溶融加工方法であって、前記モノビニル芳香族化合物のポリマーが
不連続ゴム相並びに
49重量%以下の、アクリレートコモノマー及びシアン化ビニルコモノマーの少なくとも1種を含んでなる連続ポリ(モノビニル芳香族)相
を含む方法。
【請求項2】
前記モノビニル芳香族化合物がスチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルベンゼン及びビニルトルエンの少なくとも1種を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不連続ゴム相がブタジエンゴム及びスチレン−ブタジエンコポリマーの少なくとも1種を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アクリレートコモノマーがアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル及びメタクリル酸メチルの少なくとも1種を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シアン化ビニルコモノマーがアクリロニトリル及びメタクリロニトリルの少なくとも1種を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モノビニル芳香族化合物がスチレンを含み、前記アクリレートコモノマーがアクリル酸ブチルを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーが鉱油及びポリイソブチレンの少なくとも1種を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記モノビニル芳香族化合物のポリマーを、マイクロ波エネルギーに対して受容的でない1個又はそれ以上の層を有する多層コンポジット中に、層として配置することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
耐衝撃性ポリスチレンを、マイクロ波エネルギーによって容積的に加熱することを含んでなる、耐衝撃性ポリスチレンの溶融加工方法であって、前記耐衝撃性ポリスチレンが、
不連続ゴム相並びに
49重量%以下の、アクリレートコモノマー及びシアン化ビニルコモノマーの少なくとも1種を含んでなる連続スチレン相
を含む方法。
【請求項10】
前記不連続ゴム相がポリブタジエン及びスチレン−ブタジエンコポリマーの少なくとも1種を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記耐衝撃性ポリスチレンがポリブテン、オレフィン性合成油及び鉱油の少なくとも1種を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱が、前記耐衝撃性ポリスチレンをマイクロ波エネルギー界に貫通させることを含んでなる請求項9に記載の方法。
【請求項13】
加熱される前記耐衝撃性ポリスチレンが、最初に、シート、プレカットシート、ブランク、成形したブランク及びパックの少なくとも1種の形態にある請求項9に記載の方法。
【請求項14】
加熱される前記ポリスチレンが約0.01mm〜約50cmの範囲内の厚さを有する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シートが少なくとも51cm(2フィート)の幅を有する請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記耐衝撃性ポリスチレンを、マイクロ波エネルギーに対して受容的でない1個又はそれ以上の層を有する多層コンポジット中に、層として配置することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
耐衝撃性ポリスチレンを、マイクロ波エネルギーによって容積的に加熱すること、並びに、
前記加熱された耐衝撃性ポリスチレンを加工して、物品を形成すること
を含んでなる物品の製造方法であって、
前記耐衝撃性ポリスチレンが
不連続ゴム相並びに
49重量%以下のアクリレートコモノマー及びシアン化ビニルコモノマーの少なくとも1種を含む連続スチレン相
を含んでなる方法。
【請求項18】
前記加工が、混合する、トランスファー成形する、造形する、打ち抜き加工する、射出成形する、成形する、成型する及び押出するの少なくとも1種を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記加工が熱成形することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
耐衝撃性ポリスチレンを、マイクロ波エネルギーに対して受容的でない1個又はそれ以上の層を有する多層コンポジット中に、層として配置することを更に含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】
耐衝撃性ポリスチレンを、マイクロ波エネルギーに対して受容的でない1個又はそれ以上の層を有する多層コンポジット中に、層として配置すること、
耐衝撃性ポリスチレンを、マイクロ波エネルギーによって容積的に加熱すること、並びに
前記コンポジットを加工して、物品を形成すること
を含んでなる物品の製造方法であって、
前記耐衝撃性ポリスチレンが
不連続ゴム相並びに
49重量%以下の、アクリレートコモノマー及びシアン化ビニルコモノマーの少なくとも1種を含む連続スチレン相
を含む方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−505275(P2011−505275A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536055(P2010−536055)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/083578
【国際公開番号】WO2009/070458
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】