説明

マイクロ波調理スポンジ状食品の製造方法

【課題】化学的膨張剤および起泡剤を全く用いなくても、ボリュームが大きく、マイクロ波調理後の縮みが少なく、食味が良好で口溶けなどの食感も良好なマイクロ波調理スポンジ状食品の製造方法を提供すること。
【解決手段】小麦粉または小麦粉と澱粉の混合物を密閉容器中で撹拌しながら間接加熱処理して得られる加熱処理小麦粉を5〜100質量%含む小麦粉組成物100質量部と、起泡させた卵白または全卵100〜10,000質量部とを混合し、化学的膨張剤および起泡剤を配合することなく、生地比重が0.35〜1.1の範囲の生地を調製した後、該生地をマイクロ波調理することを特徴とする、マイクロ波調理スポンジ状食品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波調理によるスポンジケーキ、パンケーキ、カップケーキ、アメリカンマフィン、蒸しパン、蒸しケーキなどのスポンジ状食品の製造方法に関する。詳細には、化学的膨張剤および起泡剤を全く用いなくても、ボリュームが大きく、マイクロ波調理後の縮みが少なく、食味が良好で口溶けなどの食感も良好なスポンジ状食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマイクロ波調理スポンジ状食品、例えばスポンジケーキ、カップケーキ、アメリカンマフィン、蒸しパン、蒸しケーキなどは、気泡を含有させた生地をマイクロ波調理により膨化させて製造されるが、その気泡の発生助剤および加熱調理後の沈み防止のために膨張剤や乳化性油脂などの起泡剤の使用が必須であることが多く、またその使用量も多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、「穀粉を主体とする原料を混合し、加熱すると膨化する、水分を含む生地を得、この生地をマイクロ波加熱に適する耐熱性容器に充填し、次いで凍結して凍結物を得、喫食時にこの凍結物を解凍することなくマイクロ波加熱して膨化させる」技術が開示されている。この技術において、膨張剤は必須ではないが、膨張剤を添加するとより均一なキメの細かい加熱膨化食品が得られる旨の記載(特許文献1の段落〔0024〕)があり、その実施例において生地全量中に膨張剤(B.P.)が2.00%使用されている。しかしながら、この技術は、一旦生地を凍結する必要があり、その生地の比重を0.5〜0.8と極めて狭い範囲に調整することが好ましく、また、マイクロ波調理による調理時間が短いため、膨張剤の反応残渣が残りやすく、喫食時のエグ味がするなど、呈味性が問題となる場合が多い。
【0004】
また、特許文献2には、「小麦粉100重量部に対して、卵170〜230重量部、糖類110〜140重量部、糖類110〜140重量部、油脂80〜120重量部、製菓用起泡剤10〜20重量部を含む生地を、比重0.50〜0.70g/mlの範囲に含気調整後、焼成してなるバターケーキ類」に関する技術が開示されている。この技術においては、製菓用起泡剤が必須であり、この製菓用起泡剤は特許文献2の段落〔0016〕に記載されているように「植物油、乳化剤、液糖、水を含み、その他、香料、エタノール製剤、増粘多糖類等を適宜含む水中油型に乳化した起泡剤」である。しかも、実施例にはすべてベーキングパウダーが用いられており、乳化剤特有のエグ味とベーキングパウダーのエグ味が合わさって食味的に問題があるものであった。
【0005】
また、特許文献3には、「原料を混合するとともに発泡させる一次発泡工程と、この工程で得られた一次発泡生地を撹拌し、さらに発泡させる二次発泡工程とを有し、前記一次発泡工程が、前記一次発泡生地の比重S1 を、0.35〜0.5g/cm3 とするものであり、前記二次発泡工程が、この工程で得られる二次発泡生地の比重Sと、前記一次発泡生地の比重Sとの差(S−S)を、0.2g/cm3 以下とする菓子用生地の製造法」に関する技術が開示されている。この技術においては、二次発泡工程を必須とし、二次発泡機という特殊な機械が必要であった。
【0006】
また、従来より、種々のマイクロ波調理用スポンジケーキミックスが提案されている。例えば、特許文献4にはベーキングパウダーおよび乳化剤を使用するプレミックスが提案され、特許文献5には75〜100℃の温度下で熱処理した小麦粉と膨剤などを含有するケーキプレミックスが開示され、さらに食感が優れているとともに焼き縮みの少ないケーキが得られるケーキミックスとして、特許文献6には、熱凝固性蛋白と、穀粉類としてα化澱粉を使用したスポンジケーキ用プレミックス組成物が提案され、特許文献7には、穀粉類湿熱処理物を含有する電子レンジ調理用ケーキ組成物が提案されている。しかし、これらの特許文献に記載の実施例から明らかなように、これらの組成物も、膨張剤の使用が必要なものであった。
【0007】
特許文献8には、膨張剤を使用しないスポンジケーキなどの菓子類用小麦粉組成物が記載され、また特許文献9の実施例2には、膨潤抑制澱粉を含有し、膨張剤を含有しないスポンジケーキ用原料が記載されている。しかし、これらの菓子類用小麦粉組成物およびスポンジケーキ用原料は、オーブンで調理するのに適したものであり、マイクロ波で調理することを想定しているものではなく、マイクロ波で調理した場合には、その効果が十分に発揮されないものであった。
【0008】
【特許文献1】特開平9−172942号公報
【特許文献2】特開2006−271338号公報
【特許文献3】特許第3693010号公報
【特許文献4】特開昭62−96032号公報
【特許文献5】特公平7−97950号公報
【特許文献6】特開2002−27904号公報
【特許文献7】特許第3397891号公報
【特許文献8】特許第3590185号公報
【特許文献9】特許第3312225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、化学的膨張剤および起泡剤を全く用いなくても、ボリュームが良好で、マイクロ波調理後の縮みが少なく、食味が良好で口溶けなどの食感も良好なマイクロ波調理スポンジ状食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく種々検討した結果、卵白または全卵を泡立てたものに、間接加熱処理小麦粉を添加して調製した生地が、化学的膨張剤および起泡剤を用いなくても、マイクロ波調理により生地が膨化し、且つ調理後の縮みも非常に少ないことを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、小麦粉を密閉容器中で撹拌しながら間接加熱処理して得られる加熱処理小麦粉を5〜100質量%含む小麦粉組成物100質量部と、起泡させた卵白または全卵100〜10,000質量部とを混合し、化学的膨張剤および起泡剤を配合することなく、生地比重が0.35〜1.1の範囲の生地を調製した後、該生地をマイクロ波調理することを特徴とする、マイクロ波調理スポンジ状食品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、化学的膨張剤および起泡剤を全く用いなくても、ボリュームが良好で、マイクロ波調理後の縮みが少なく、食味が良好で口溶けなどの食感も良好なマイクロ波調理スポンジ状食品を製造することができる。本発明のスポンジ状食品は、膨張剤および起泡剤の使用を要しないため、膨張剤の反応残渣などに起因するエグ味や起泡剤に起因する乳化剤由来のエグ味が無く、食味に優れるものである。また、本発明において用いる間接加熱処理小麦粉は、起泡させた卵白または全卵と容易になじむため、起泡させた卵白または全卵の泡をつぶすことなく、極めて滑らかな生地を得ることができ、これが得られるスポンジ状食品の非常に良好な品質につながっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましいマイクロ波調理スポンジ状食品の製造方法について説明する。 本発明の対象とするスポンジ状食品は、小麦粉を使用し、且つスポンジ状の内相を呈するものであれば特に制限されるものではなく、例えばスポンジケーキ、パンケーキ、カップケーキ、アメリカンマフィン、蒸しパン、蒸しケーキなどが挙げられる。本発明のスポンジ状食品は、膨張剤および起泡剤を全く用いる必要がない。前述のように、膨張剤および起泡剤を全く用いなくても、ボリュームが良好で、マイクロ波調理後の縮みが少なく、食味が良好で口溶けなどの食感も良好なスポンジ状食品を得ることができる。
【0013】
本発明で使用される小麦粉組成物は、主原料の小麦粉として、小麦粉を密閉容器中で撹拌しながら間接加熱処理して得られる加熱処理小麦粉(以下、間接加熱処理小麦粉という)を含むものである。
上記間接加熱処理小麦粉において、間接加熱処理に供する小麦粉としては、上記スポンジ状食品に通常用いられる小麦粉、例えば強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉などを、上記スポンジ状食品の種類に応じて適宜選択することができる。
【0014】
これら小麦粉の間接加熱処理は、加熱手段を有する回転シャフトからなる撹拌装置を有する密閉容器中において該小麦粉を撹拌しながら行うことが好ましい。より好ましくは、中空構造の回転シャフトからなる攪拌装置を有する密閉系円筒状容器を用い、加熱蒸気を中空構造の回転シャフト内に供給することにより行う。このような間接加熱処理に使用しうる容器の例として特開2004−9022号公報に記載された熱処理攪拌装置が挙げられる。
【0015】
上記間接加熱処理は、品温80〜150℃、好ましくは100〜130℃で、5〜120分間、好ましくは30〜80分間行うとよい。撹拌の条件は、容器の大きさ、処理すべき小麦粉の量によって異なるが、通常は10〜60rpm、好ましくは20〜50rpm程度である。上記間接加熱処理小麦粉は、未処理の小麦粉に対し、アミロース溶出量が10〜80%に抑制され、かつ蛋白質溶出量が30〜80%に抑制されている特徴を有する。
【0016】
小麦粉を間接加熱処理する際に、乳化剤を添加して処理することが好ましい。斯かる乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチンなどが挙げられ、これらの中でもグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、特にステアリン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリドが好ましい。これらの乳化剤は単独使用しても2種以上併用してもよい。
これら乳化剤を添加する場合、その添加量は、間接加熱処理に供する小麦粉100質量部に対して、0.1〜2.0質量部が好ましく、0.3〜1.0質量部がより好ましい。
【0017】
本発明で使用される小麦粉組成物は、上記の間接加熱処理小麦粉を5〜100質量%含むことが好ましく、25〜100質量%含むことがより好ましく、60〜100質量%含むことが特に好ましい。間接加熱処理小麦粉の配合量が5質量%未満では十分な効果が得難い。
【0018】
また本発明においては、間接加熱処理に供する小麦粉の一部を澱粉で代替えしてもよい。斯かる澱粉としては、タピオカ、馬鈴薯、小麦、コーン、ワキシーコーンなどの澱粉、これらの澱粉をアセチル化、エーテル化、架橋、酸化、α化などの化学・加工処理を施した澱粉、それらの混合物を用いることができるが、好ましくはタピオカ澱粉、小麦澱粉、コーン澱粉である。これら澱粉を使用する場合、その使用量は、間接加熱処理に供する小麦粉の質量の5〜50質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
また、本発明においては、間接加熱処理小麦粉に別途間接加熱処理した澱粉を代替使用してもよい。この場合の使用量は、間接加熱処理小麦粉の質量の5〜50質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
【0019】
本発明で使用される小麦粉組成物には、上記の間接加熱処理小麦粉の他に、スポンジ状食品の製造に通常用いられる穀粉類、例えば、未処理の小麦粉、コーンフラワー、ホワイトソルガムなどの穀粉類、タピオカ、馬鈴薯、小麦、コーン、ワキシーコーンなどの澱粉、これらの澱粉をアセチル化、エーテル化、架橋、酸化、α化などの化学・加工処理を施した澱粉を適宜配合することができる。
本発明において、上記小麦粉組成物に加えて、さらに、スポンジ状食品の製造に通常用いられる原材料、例えば、砂糖などの糖類、油脂類、粉乳、色素、香料、食塩、乳化剤、乾燥卵、大豆蛋白、小麦グルテン粉末、増粘多糖類、卵殻カルシウム、酵素、呈味剤、香辛料などを、スポンジ状食品の種類に応じて適宜用いることができる。
砂糖の配合は、マイクロ波調理後のスポンジ状食品の形状が安定するため好ましい。斯かる砂糖の配合量は、スポンジ状食品の種類によっても異なるが、小麦粉組成物100質量部に対して、通常0〜240質量部、好ましくは25〜140質量部である。
【0020】
また、本発明で使用される卵白または全卵は通常の市販品を用いればよい。
本発明を実施するには、まず、卵白または全卵を撹拌などにより起泡させる。起泡の程度は、目的とする生地の比重などにより適宜調整することができ、通常は、起泡後の卵白または全卵の比重が0.12〜1.1程度の範囲であるのが好ましく、0.2〜0.6の範囲がより好ましい。
【0021】
次いで、この起泡させた卵白または全卵と、上記の間接加熱処理小麦粉等を含む小麦粉組成物とをよくなじむように軽く木ベラなどで混合して、生地比重が0.35〜1.1、好ましくは0.4〜1.0、より好ましくは0.5〜0.8の範囲の生地を調製する。この際、この生地を再度起泡させる必要はない。
生地比重が0.35未満であると、マイクロ波調理時に膨らむが、生地の繋がりが弱くなるため穴が開いたり、形状が保持されず萎縮する。また生地比重が1.1超であると、マイクロ波調理時に生地が均一に膨らまず、形状を保たない。なお、膨張剤や起泡剤を含まず且つ比重の重い生地は、一般的にはマイクロ波調理では膨張しないが、本発明においては、生地比重が0.8〜1.1と比重が重い生地でもマイクロ波調理で容易に膨張し、また調理後の縮みも非常に少ないという特徴を有する。
また、生地比重は、卵白または全卵の起泡の程度、卵白または全卵と小麦粉組成物との混合割合などにより調整することができる。
【0022】
卵白または全卵と小麦粉組成物との混合割合は、通常、小麦粉組成物100質量部に対して、卵白または全卵100〜10,000質量部が好ましく、100〜7,000質量部がより好ましく、100〜2,000質量部が特に好ましい。
【0023】
次いで、上記生地をマイクロ波調理することにより、本発明のマイクロ波調理スポンジ状食品が得られる。マイクロ波調理は、家庭用電子レンジ、業務用電子レンジのいずれを用いても行うことができる。また、その調理条件は、スポンジ状食品の種類や形状、大きさなどに応じて適宜選択すればよい。
【実施例】
【0024】
次に本発明をさらに具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
調製例1(間接加熱処理小麦粉1の調製)
薄力粉(日清製粉(株)製の商品名「バイオレット」)を、特開2004−9022号公報に記載された熱処理攪拌装置に投入し、蒸気を該装置の中空構造の回転シャフト内に導入して、品温110℃で60分間の間接加熱処理を行い、間接加熱処理小麦粉1を得た。
【0026】
調製例2(間接加熱処理小麦粉2の調製)
薄力粉100質量部当たり1質量部の乳化剤(理研ビタミン(株)製の商品名「エマルジーMM−100」)を添加した以外は、調製例1と同様にして間接加熱処理を行い、間接加熱処理小麦粉2を得た。
【0027】
調製例3(間接加熱処理小麦粉3の調製)
薄力粉の代わりに強力粉(日清製粉(株)製の商品名「カメリヤ」)を用いた以外は、調製例1と同様にして間接加熱処理を行い、間接加熱処理小麦粉3を得た。
【0028】
調製例4(間接加熱処理小麦粉4の調製)
薄力粉の代わりに、調製例3と同じ強力粉を用いた以外は、調製例2と同様にして間接加熱処理を行い、間接加熱処理小麦粉4を得た。
【0029】
参考例1(膨潤抑制澱粉の調製)
特許文献6(特開2002−27904号公報)の段落〔0022〕に記載される方法を参考にして、コーンスターチを水分24%に調整後、120℃で4時間加熱処理して膨潤抑制澱粉を得た。
【0030】
参考例2(湿熱処理小麦粉の調製)
150℃に加熱された回転ドラムの接触部に小麦粉縣濁液を落下させ、ロール表面で薄膜状に脱水乾燥し、これを粉砕して湿熱処理小麦粉を得た。
【0031】
〔実施例1〜4〕
卵白1個分(約35g)を電動ミキサーで1分間攪拌して起泡させて比重を約0.20に調整し、これに、調製例1で得られた間接加熱処理小麦粉1を5g(間接加熱処理小麦粉100質量部に対し、起泡卵白700質量部)混合し、次いで20秒間なじむように木ベラで攪拌して生地(比重は表2に示す)を得た。このときの起泡卵白と間接加熱処理小麦粉のなじみ具合を表2に記載した。
調製例2〜4で得られた間接加熱処理小麦粉2〜4についても上記と同様に行い、生地を得た。得られた生地全量をカップ(直径6cm、高さ8cm)に入れ、出力600Wの電子レンジで40秒間加熱調理して、カップケーキ様食品を得た。
得られたカップケーキ様食品について、電子レンジ調理の5分後に、ボリューム感および復元性を下記表1の評価基準表によりパネラー数10人で評価した。その評価結果の平均を表2に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
〔比較例1〜8〕
実施例1〜4において使用した間接加熱処理小麦粉の代わりに、表2に示す穀粉原料を使用した以外は、実施例1〜4と同様にして生地(比重は表2に示す)を得た。得られた生地全量をカップ(直径6cm、高さ8cm)に入れ、出力600Wの電子レンジで40秒間加熱調理して、カップケーキ様食品を得た。
得られたカップケーキ様食品について、ポリューム感および復元性を実施例1〜4と同様に評価した。その評価結果を表2に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
〔実施例5〜11および比較例9〕
表3に示す原料を使用して、下記の製造工程によりカップケーキ様食品をそれぞれ得た。
まず、全卵1個分(約60g)を電動ミキサーで1分間攪拌して起泡させて比重約0.25に調製し、これに、表3に示す原料35gを混合した。次いで、5秒間ほど木ベラで攪拌して生地(生地比重は表3に記載)を得た。得られた生地全量をカップ(直径6cm、高さ8cm)に入れ、出力600Wの電子レンジで70秒間加熱調理して、カップケーキ様食品を得た。
得られたカップケーキ様食品について、ボリューム感および復元性を実施例1〜4と同様に評価した。その評価結果を表3に示す。
【0036】
【表3】

【0037】
〔実施例12〜18および比較例10〜12〕
表4に示す原料を使用して、下記の製造工程によりカップケーキ様食品をそれぞれ得た。
まず、全卵100gをホバートミキサー(中速)で攪拌して起泡させた(比重は表4に記載)。これに表4に示す原料16.7gを混合し、5秒間なじませるように木ベラで攪拌して生地を得た。得られた生地の比重を測定した後、生地50gをカップ(直径6cm、高さ8cm)に入れ、出力600Wの電子レンジで40秒間加熱調理して、カップケーキ様食品を得た。
得られたカップケーキ様食品について、ボリューム感および復元性を実施例1〜4と同様に評価した。その評価結果を表4に示す。
【0038】
【表4】

【0039】
〔実施例19〜25および比較例13〕
表5に示す原料を使用して、下記の製造工程によりカップケーキ様食品をそれぞれ得た。
まず、全卵1個分(約60g)を電動ミキサーで1分間攪拌して起泡させて比重約0.25に調製し、これに、表5に示す量の原料(実施例6と同じ原料配合)を混合した。次いで、5秒間ほど木ベラで攪拌して生地(生地比重は表5に記載)を得た。得られた生地全量をカップ(直径6cm、高さ8cm)に入れ、出力600Wの電子レンジで70秒間加熱調理して、カップケーキ様食品を得た。
得られたカップケーキ様食品について、ボリューム感および復元性を実施例1〜4と同様に評価した。その評価結果を表5に示す。
【0040】
【表5】

【0041】
〔実験例1〜4〕
実施例15において、間接加熱処理小麦粉2の一部を、表6に示すように間接加熱処理澱粉に置き換えた以外は、実施例15と同様にしてカップケーキ様食品を得た。
得られたカップケーキ様食品について、ボリューム感および復元性を実施例1〜4と同様に評価した。その評価結果を表6に示す。
なお、間接加熱処理澱粉は、調製例2において薄力粉の代わりにタピオカ澱粉を用いた以外は同様に処理して得た。
【0042】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉を密閉容器中で撹拌しながら間接加熱処理して得られる加熱処理小麦粉を5〜100質量%含む小麦粉組成物100質量部と、起泡させた卵白または全卵100〜10,000質量部とを混合し、化学的膨張剤および起泡剤を配合することなく、生地比重が0.35〜1.1の範囲の生地を調製した後、該生地をマイクロ波調理することを特徴とする、マイクロ波調理スポンジ状食品の製造方法。
【請求項2】
間接加熱処理が、加熱手段を有する回転シャフトからなる撹拌装置を有する密閉容器中において、品温80〜150℃で5〜120分間の条件で行うことを特徴とする請求項1記載のマイクロ波調理スポンジ状食品の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法で製造されるマイクロ波調理スポンジ状食品。

【公開番号】特開2008−295389(P2008−295389A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146065(P2007−146065)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(301049777)日清製粉株式会社 (128)
【Fターム(参考)】