説明

マイクロ流体チップ

【課題】マイクロ流体チップのラテックス保持室内において、ラテックス粒子の内壁面への吸着を抑制し、ラテックス凝集比濁法の測定精度を高める。
【解決手段】本発明のマイクロ流体チップは、ラテックス試薬により液状検体の微量分析を行なうラテックス凝集比濁法において使用するマイクロ流体チップであって、ラテックス試薬の保持室を備え、保持室の少なくとも1つの内壁面における表面ゼータ電位の絶対値が20mV以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNA、タンパク質、細胞または血液などの生体試料を検査するバイオチップ、および化学合成または分析用などに使用するμTAS(Micro Total Analysis system)などとして有用なマイクロ流体チップに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体チップは、実験室で行なっている一連の実験操作を、2cm角程度の1枚のチップの中で行なうことができるため、試料および試薬が微量で済み、コストが安く、反応速度が速く、ハイスループットな検査ができ、試料を採取した現場で直ちに結果が得られるなど、多くの利点がある。
【0003】
マイクロ流体チップの平面図を図1に例示する。このチップは、肝機能検査用のチップであり、図1に示すように、10μL程度の血液を試料注入口1からチップ内に注入し、遠心分離により血球部と血漿部に分離した後、血漿のみを血漿保持室2に移し、秤量室3において血漿の量を測定し、配合室7へ移す。つぎに、試薬保持室4にある試薬を配合し、混合室5において血漿と試薬を混合した後、計測室6で肝機能を検査する。計測は、短波長レーザを照射し、吸光量をフォトダイオードにより測定して行なう。このようにして、採取した血液の前処理から計測までの一連の操作を、2cm角のチップ内で行ない、γ−GTP、AST(GOT)、ALT(GPT)および乳酸脱水素酵素(LDH)などの検査を行なうことができる(非特許文献1参照)。試薬保持室の構造を図2に例示する。図2(a)は斜視図であり、図2(b)は平面図である。図2に示す試薬保持室は、深さ1.5mm、半径(r)2.9mm、流路幅(L)0.3mm、保持室の容積40μLであり、このような保持室に、試薬注入口28からラテックス試薬などが注入される。
【0004】
マイクロ流体チップの製造方法を図4に例示する。この方法では、マイクロ流体チップにおける微細な流路および試薬保持室などを、フォトリソグラフィ、エッチングおよびモールドを組合わせた微細加工技術により形成する。まず、シリコン基板を酸素雰囲気下で加熱し、シリコン基板41上にSiO2膜42を形成した後(図4(a))、SiO2膜42上にレジスト43を形成する(図4(b))。レジストには、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのポリメタクリル酸エステルを主成分とする樹脂、または紫外線(UV)に感受性を有する化学増幅型樹脂などを用いる。
【0005】
その後、レジスト43上にマスク44を配置し、マスク44を介してUV45を照射する(図4(c))。マスク44は、製造するマイクロ流路チップにおける流路および保持室の配置と形状に応じて形成したUV吸収層44bと、透光性基材44aとからなる。透光性基材44aには石英ガラスなどを用い、吸収層44bにはクロムなどを用いる。ポジレジストを使用する場合、UV45を照射すると、吸収層44bによりレジスト43bのみが露光して変質するため、現像によりレジスト43bが除去され、レジスト43aが残る(図4(d))。一方、ネガ型レジストを使用する場合は、逆に露光部が残り、非露光部が除去されるので、ポジ型レジストの場合とは逆のマスクパターンを使用する。
【0006】
つぎに、レジスト43aをマスクとして、プラズマエッチングまたはウェットエッチングを行なった後(図4(e))、レジスト43aを除去する(図4(f))。得られたSiO2膜42a上から蒸着などにより金属膜を形成し(図4(g))、シリコン基板41およびSiO2膜42aを、ウェットエッチングまたは機械的な剥離により除去し、金型46を得る(図4(h))。つづいて、得られた金型46を使用して、溶融した樹脂液により射出成形などを行ない(図4(i))、樹脂製成形体47aを製造する(図4(j))。樹脂材料には、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、PMMAなどの熱可塑性樹脂を使用する。最後に、対向する樹脂板47bを接合すると、微細な流路および試薬保持室を有するマイクロ流体チップ47が得ることができる(図4(k))(非特許文献1参照)。
【0007】
液状検体中の微量成分の分析方法としてラテックス凝集比濁法があり、血液検査などに利用されている。ラテックス凝集比濁法では、図3に示すように、表面に抗体を固定したラテックス粒子からなるラテックス試薬を使用する。ラテックス粒子を検体に混合すると、検体中の特定の抗原と反応し、抗原抗体反応によりラテックス凝集塊を形成するため、反応液の濁度の変化に基づいて抗原量を測定することができる。図3には、表面に抗体を固定したラテックス粒子により、検体中の抗原量を測定する態様を例示しているが、同様にして、抗原を固定したラテックス粒子により、検体中の抗体量を測定することができる。抗原−抗体としては、たとえば、ゾニサミド−抗ゾニサミドマウスモノクローナル抗体、エトスクシミド−抗エトスクシミドマウスモノクローナル抗体などがある。
【非特許文献1】「電機・機械企業が総出でバイオチップ市場争奪戦」、日経バイオビジネス、2003.12、pp.42−43
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ラテックス凝集比濁法をマイクロ流体チップを使用して実施する場合、ラテックス試薬をチップの保持室内で10日程度保存すると、ラテックス粒子が内壁一面に吸着するため、ラテックス試薬中のラテックス濃度が低下し、測定誤差の原因となる。
【0009】
本発明の課題は、マイクロ流体チップのラテックス試薬保持室内におけるラテックス粒子の内壁面への吸着を抑制し、ラテックス凝集比濁法の測定精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のマイクロ流体チップは、ラテックス試薬により液状検体の微量分析を行なうラテックス凝集比濁法において使用するマイクロ流体チップであって、ラテックス試薬保持室を備え、保持室の少なくとも1つの内壁面における表面ゼータ電位の絶対値が20mV以上であることを特徴とし、表面ゼータ電位の絶対値は、30mV以上が好ましい。ラテックス試薬保持室の内壁面は、算術平均表面粗さRaが1.0μm以下である態様が好適であり、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる被覆層を有する態様が望ましい。
【発明の効果】
【0011】
マイクロ流体チップを使用して、ラテックス凝集比濁法を実施するときに、ラテックス試薬保持室内でのラテックス粒子の内壁面への吸着を抑制し、測定精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、ラテックス試薬により液状検体の微量分析を行なうラテックス凝集比濁法において使用するマイクロ流体チップであって、ラテックス試薬保持室を備え、保持室の少なくとも1つの内壁面における表面ゼータ電位の絶対値が20mV以上であることを特徴とする。ラテックス試薬保持室における内壁面の表面ゼータ電位の絶対値を20mV以上とすることにより、ラテックス粒子の内壁面への吸着を抑制することができるので、長期間ラテックス試薬を保持しても、ラテックス試薬中のラテックス濃度の低下を抑えることができる。したがって、ラテックス凝集比濁法による濁度測定の誤差を低減し、高精度の測定が可能となる。このような観点から、ラテックス試薬保持室における内壁面の表面ゼータ電位の絶対値は、30mV以上が好ましく、35mV以上がより好ましい。
【0013】
表面ゼータ電位とは、図5に示すように、ラテックス試薬保持室の内壁面に拡散電気二重層が形成されているときに、内壁面から十分に離れて電位がゼロである点と滑り面との電位差をいう。ここに、滑り面とは、固体(ラテックス微粒子、試薬保持室内壁)の移動に伴って移動する拡散電気二重層の最外郭面をいう。図5に示すように、表面ゼータ電位は、内壁面直上の表面電位とは異なる。また、表面ゼータ電位は、たとえば、大塚電子株式会社製レーザーゼータ電位計ELS−8000により電気泳動光散乱測定を行ない、得られた電気移動度によりSmoluchowskiの式を用いて算出することができる。
【0014】
Smoluchowskiの式:U=εζ/4πη
(U:電気移動度、ε:溶媒の誘電率、ζ:ゼータ電位、η:溶媒の粘度)
ラテックス試薬保持室の内壁面は、表面ゼータ電位の絶対値が20mV以上である点で、算術平均表面粗さRaは1.0μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。算術平均表面粗さRaの測定は、JIS−B0601およびJIS−B0651により行ない、たとえば、レーザーテック株式会社製のVL2000Dにより測定することができる。また、このような内壁面の平滑性は、たとえば、算術平均表面粗さRaが0.5μm以下に鏡面加工した金型、または電解研磨加工をした金型を用いた射出成形などのモールドにより得ることができる。
【0015】
また、ラテックス試薬保持室の内壁面は、表面ゼータ電位の絶対値が20mV以上である点で、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる被覆層を有する態様が好ましい。フッ素樹脂またはシリコーン樹脂を被覆層として用いることで、表面ゼータ電位の絶対値を効果的に制御することができる。フッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン),PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体),FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体),ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体),PVDF(ポリビニリデンフルオライド),PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)などを好ましく使用することができる。また、パーフルオロアルキル基含有ポリマーからなる被覆膜も有効である。たとえば、ダイキン工業株式会社製ユニダインは、パーフルオロアルキルエチルアクリレートと、アルキルアクリレートと、塩化ビニルと、架橋性モノマーとの共重合体であり、この共重合体をラテックス試薬保持室の内壁面にコーティングすると、パーフルオロアルキル基が被覆膜の表面を覆い、アルキルアクリレートは造膜性を示し、塩化ビニルと架橋性モノマーは、被覆膜の耐久性と内壁面との密着性を付与する。
【0016】
一方、シリコーン樹脂は、分子中に3官能性単位(オルガノシルセスキオキサン;RSiO1.5)および4官能性単位(シリケート;SiO2)を取り入れているため、3次元網目構造が密であり、堅い皮膜および成形品が得られる。シリコーン樹脂には、純シリコーン樹脂と、変性シリコーン樹脂がある。純シリコーン樹脂は、2官能性単位(ジオルガノシロキサン;R2SiO)と3官能性単位の組み合わせ、または3官能性単位のみからなり、基本的にはジクロロシランとトリクロロシランを組み合わせて加水分解し、高分子量化したものであり、塗膜形成後、架橋して不溶化する。一方、変性シリコーン樹脂には、シリコーン変性アルキッド樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性ポリエステル樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂およびシリコーン変性アクリル樹脂などがある。たとえば、シリコーン変性ポリエステル樹脂は、アルコキシシリルおよびシラノール基を有するシリコーン樹脂中間体と水酸基含有ポリエステル樹脂との縮合反応により合成される。また、シリコーン変性アルキッド樹脂は、シリコーン中間体と酸化重合型のアルキッド樹脂とから合成する。
【0017】
(実施例1)
マイクロ流体チップを、前述の図4に示す方法により製造した。すなわち、シリコン基板41上にSiO2膜42を形成した後(図4(a))、SiO2膜42上にレジスト43を形成した(図4(b))。レジストには、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を使用した。その後、レジスト43上にマスク44を配置し、マスク44を介してUV45を照射し(図4(c))、現像した(図4(d))。つぎに、プラズマエッチングを行なった後(図4(e))、レジスト43aを除去し(図4(f))、蒸着により金属膜を形成した(図4(g))。つづいて、シリコン基板41およびSiO2膜42aをウェットエッチングにより除去し、金型46を得た(図4(h))。
【0018】
その後、金型46の成形面を鏡面仕上げし、成形面の算術平均表面粗さRaを0.5μmとし、この金型46を使用し、溶融したポリスチレン液により射出成形を行ない(図4(i))、樹脂製成形体47aを得た(図4(j))。この樹脂製成形体には、図2に示すようなラテックス試薬保持室があり、ラテックス試薬保持室における内壁面の算術平均表面粗さRaは、0.5μmであった。
【0019】
つぎに、ラテックス試薬保持室の内壁面における表面ゼータ電位を測定した。まず、平板試料用セルに密着させ、電気泳動させるモニター粒子をセル内に注入した。モニター粒子は、粒径234nmのポリスチレン製ラテックス粒子の1.0mg/mL水系分散液を用いた。つづいて、大塚電子株式会社製レーザーゼータ電位計ELS−8000により、モニター粒子の電気泳動光散乱測定を行ない、得られた電気移動度によりゼータ電位を算出した。平板試料用セルは、セル表面の電荷の影響を抑えるために、ポリアクリルアミドでコーティングした平板を使用した。測定の結果、ラテックス試薬保持室における内壁面の表面ゼータ電位の絶対値は、39mVであった。
【0020】
最後に、内壁面の算術平均表面粗さRaが0.5μmのポリスチレン製対向板47bを接合すると、微細な流路および試薬保持室を有するマイクロ流体チップ47が得られた(図4(k))。得られたマイクロ流体チップに、エトスクシミドを含む液状検体を注入し、2つの試薬保持室にそれぞれバッファーとラテックス試薬を注入した後、ラテックス凝集比濁法を実施して、検体の分析を行なった。すなわち、検体(1.0μL)とバッファー(17μL)を混合し、37℃で5分間保持した後、ラテックス試薬(17μL)を混合し、37℃で1分間保持した直後の吸光度を測定し、吸光度Iとした。つづいて、37℃で5分間保持した直後の吸光度を測定し、吸光度IIとした。吸光度は、日立製作所製7170を用いて測定した。ラテックス試薬は、表面に抗エトスクシミドマウスモノクローナル抗体を固定したラテックス粒子からなるものを用いた。
【0021】
初回の測定から31日間経過した後、同様の操作を再度行ない、吸光度Iと吸光度IIを測定した。その後、マイクロ流体チップのラテックス試薬保持室を分解し、内壁面を目視により観察した結果、ラテックス粒子の吸着は認められなかった。内壁面の態様と測定結果を表1に示す。表1において、ゼータ電位は絶対値で示した。また、ΔAabsは吸光度II−吸光度Iを意味する。
【0022】
【表1】

【0023】
(実施例2と3)
金型の成形面を鏡面仕上げし、成形面の算術平均表面粗さRaが1.0μmである金型(実施例2)と、Raが1.5μmである金型(実施例3)を使用して樹脂成形体を製造し、同様に内壁面を鏡面仕上げした対向樹脂板を接合した以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流体チップを製造し、同様の測定を行なった。内壁面の態様と測定結果を表1に示す。
【0024】
(比較例1と2)
成形面の算術平均表面粗さRaが5.0μmである金型(比較例1)と、Raが10.0μmである金型(比較例2)を使用して樹脂成形体を製造し、対向樹脂板を接合した以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流体チップを製造し、同様の測定を行なった。内壁面の態様と測定結果を表1に示す。
【0025】
表1の結果から明らかなとおり、ラテックス試薬保持室における内壁面は、コーティング層がない場合でも、Raが1.5μm以下であるときは、表面ゼータ電位の絶対値は20mV以上であった。また、31日経過後でも、保持室の内壁面にはラテックス粒子の吸着が認められず、吸光度の変化(ΔAabs)は、初回の測定値と同様であった。
【0026】
(実施例4)
成形面を鏡面仕上げしていない金型を使用して射出成形を行ない、ポリスチレン製成形体を得た。つぎに、成形体と対向樹脂板をフッ素樹脂溶液に浸漬した。フッ素樹脂としてはPTFEを用いた。浸漬は、成形体と対向樹脂板の内壁面が、樹脂溶液の液面に垂直になるようにして、全体を溶液中に浸漬した後、そのまま引き上げた。その後、内壁面を水平にして、室温で3時間乾燥した。PTFEのコーティング層は、厚さ0.4μmであった。コーティング層を形成した後、内壁面の算術平均表面粗さRaを測定した。他の点では、実施例1と同様にしてマイクロ流体チップを製造し、同様の測定を行なった。内壁面の態様と測定結果を表1に示す。
【0027】
(実施例5)
高濃度に調製したフッ素樹脂溶液を使用した以外は実施例4と同様にしてマイクロ流体チップを製造し、同様の測定を行なった。PTFEのコーティング層は、厚さ0.7μmであった。内壁面の態様と測定結果を表1に示す。
【0028】
表1の結果から明らかなとおり、ラテックス試薬保持室における内壁面は、PTFEのコーティング層を形成することにより、算術平均表面粗さRaが1.0μm以上でも、表面ゼータ電位の絶対値は20mV以上となり、31日経過後でも、保持室の内壁面にはラテックス粒子の吸着が認められず、吸光度の変化(ΔAabs)は、初回の測定値と同様であった。
【0029】
(実施例6)
成形面を鏡面仕上げした金型を使用して射出成形を行ない、樹脂成形体を製造し、内壁面を鏡面仕上げした対向樹脂板を用いた以外は、実施例4と同様にしてマイクロ流体チップを製造し、同様の測定を行なった。内壁面の態様と測定結果を表1に示す。
【0030】
表1の結果から明らかなとおり、ラテックス試薬保持室における内壁面に、フッ素樹脂のコーティング層を形成し、表面粗さRaを1.0μm以下とすると、31日経過後でも、保持室の内壁面にはラテックス粒子の吸着が認められず、吸光度の変化(ΔAabs)は、初回の測定値と同様であった。
【0031】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0032】
ラテックス凝集比濁法の測定精度が高まるため、バイオチップまたはμTASとしてのマイクロ流体チップの有用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】マイクロ流体チップの平面図である。
【図2】試薬保持室の構造を示す模式図である。
【図3】ラテックス凝集比濁法における抗原抗体反応を示す図である。
【図4】マイクロ流体チップの製造方法を示す工程図である。
【図5】ラテックス試薬保持室の内壁面における表面ゼータ電位を説明するための図である。
【符号の説明】
【0034】
1 試料注入口、2 血漿保持室、3 秤量室、4 試薬保持室、5 混合室、6 計測室、7 配合室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラテックス試薬により液状検体の微量分析を行なうラテックス凝集比濁法において使用するマイクロ流体チップであって、前記ラテックス試薬の保持室を備え、該保持室の少なくとも1つの内壁面における表面ゼータ電位の絶対値が20mV以上であるマイクロ流体チップ。
【請求項2】
前記表面ゼータ電位の絶対値が、30mV以上である請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項3】
前記内壁面は、算術平均表面粗さRaが1.0μm以下である請求項1または2に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項4】
前記内壁面は、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる被覆層を有する請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロ流体チップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−285968(P2007−285968A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115637(P2006−115637)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】