説明

マイクロ混合器

【課題】分割混合の段数を増やしたとしても、構成する流路を掘り込んだ板の枚数が増えないようにすることにより、安価で製造性、組立性およびシール性に優れたマイクロ混合器を提供する。
【解決手段】マイクロ混合器1は、流路形成部材2と、上下2枚のカバー部材3、4を積み重ねて一体的に結合した3層構造からなる。流路形成部材2は、両面に形成された混合分配流路7を有する。混合分配流路7は、表面5に4段に形成された第1の混合分配用流路8と、裏面6に4段に形成された第2の混合分配用流路9と、これらの流路を連結する複数の連通孔10a〜10mを有し、これらによって混合器13A〜13Gと、混合分配器14A〜14Cを形成している。一方のカバー部材3は、流体Aを供給する第1の流体供給口20と、混合流体Cを排出する排出口21を有し、他方のカバー部材4は、流体Bを供給する第2の流体供給口24を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種類の流体を所定の混合比率で混合するマイクロ混合器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2種類の流体、例えば水とサラダ油のように混合しにくい液体どうしを細分化して均一に拡散させ混合する装置として、マイクロ混合器(例えば、特許文献1〜3参照)が用いられている。
【0003】
特許文献1に記載されているマイクロ混合器は、複数枚の平板状の流路モジュールを積層して複数の層をなす流路を形成している。各流路モジュールは、複数の混合分配ユニットを備え、これらの混合分配ユニットを周期的に配列している。混合分配ユニットは、モジュールの上流面(下面)に設けたチャンネル(溝)と、チャンネル内に設けた縞状の仕切部および2つのインレットと、モジュールの下流面(上面)に設けた2個のアウトレットとを有し、2つのインレットとアウトレットをチャンネルによって接続することにより、流路モジュールの両面間に立体的な流路を形成している。
【0004】
混合分配ユニットの周期的な配列形態としては、上流側から下流側に向けてユニット数を順次1つずつ減らしてピラミッド型に配列した形態と、各流路モジュールにおいて複数の混合分配ユニットを一列に直線状に配列した形態と、複数列にわたって平行に配列した形態とが開示されている。また、混合分配ユニットは、特殊なものとして流体を混合する混合機能のみを有し、分配機能を省略した混合ユニットを含んでいる。この混合ユニットは、混合分配ユニットにおける2つのアウトレットのうちの一方と、このアウトレットに連なるチャンネルを省略した構造となっている。
【0005】
特許文献2に記載されているマイクロ混合器は、複数の混合分配ユニットを所定の閉曲線上に周期的に配列した複数の流路モジュールを積層し、各混合分配ユニットを上記各層の流路モジュール間において、各混合分配ユニットのインレットとアウトレットを所定の配列で順次接続している。
【0006】
特許文献3に記載されているマイクロ混合器は、それぞれ1つの混合分配器を形成してなる複数の流路モジュールを積層している。混合分配器は、流路モジュールの一方の面に開口する2つの流体導入口と、他方の面に開口する2つの流体導出口と、これらの流体導入口および流体導出口に接続されて流体導入口から流入した流体をそれぞれ分岐して流体導出口に導く流路を形成した構成体からなり、前記流体導入口および流体導出口に囲まれた領域中に、それぞれの流路に流路断面積の狭い部分を形成する流路仕切部を設けている。なお、混合分配器は、上記特許文献1、2に示されている混合分配ユニットと実質的に同一構造で、名称のみが異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−346353号公報
【特許文献2】特開2002−346354号公報
【特許文献3】特開2006−26603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来のマイクロ混合器にあっては、液体を混合する流路自体が微細なため高い加工精度が要求され、また、流路を掘り込んだ板からなる流路モジュールを流路の段数と等しい枚数だけ用意し、正確に位置決めして積層する必要があるため、製造コストが高くなるという問題があった。また、樹脂などの柔らかい材料で流路モジュールを製作すると、複数枚の流路モジュールを積層して一体的に結合したときに歪みが拡大されて大きな耐圧を得ることが困難である。さらに、流路モジュールの積層数が多くなればなる程、流体が漏れる箇所(接合面)が増え、また漏れている箇所を特定するにも手間がかかる。加えて、流路モジュールを積層して組み立てるとき、積層順序の間違いなども起こるおそれがあるため組立てに細心の注意を要するなど、多くの問題があった。
【0009】
本発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、分割混合の段数を増やしたとしても、構成する流路を掘り込んだ板の枚数が増えないようにすることである。それにより多段にした場合であっても、安価に製造でき組立ておよびシール性に優れたマイクロ混合器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、背中合わせに対向する第1、第2の流路形成面を有する流路形成部材と、前記流路形成部材の前記第1、第2の流路形成面を覆う第1、第2のカバー部材とを具備し、前記流路形成部材には、前記第1、第2の流路形成面にそれぞれ形成された第1、第2の混合分配用流路と、前記第1、第2の混合分配用流路を接続する複数の連通孔と、前記第1、第2の混合分配用流路の上流側端と下流側端に設けられた入口および出口とを有し、2種類の流体の混合と分配を複数回繰り返し実行させる混合分配流路が設けられているものである。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記第1、第2の混合分配用流路が、それぞれ2つの分岐部を有する複数の流路部分で構成され、第1の混合分配用流路の流路部分と、これと対応する第2の混合分配用流路の流路部分の一方の分岐部どうしの下流側端と他方の分岐部どうしの下流側端がそれぞれ連通孔によって連通して混合部を形成するものである。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記流路形成部材の混合分配流路が、それぞれ前記第1、第2の混合分配用流路の互いに対応する2つの流路部分と、2つの混合部および2つの分配部を有し、流体の流れ方向に少なくとも一列に配設された複数の混合分配器の集合体からなるものである。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記流路形成部材の混合分配流路が、それぞれ前記第1、第2の混合分配用流路の互いに対応する2つの流路部分と、2つの混合部および2つの分配部を有する複数の混合分配器と、それぞれ前記第1、第2の混合分配用流路の互いに対応する他の2つの流路部分と1つの混合部を有する複数の混合器を上流側から下流側に向かって複数列配設した集合体からなり、前記混合分配器と前記混合器は最上流側の列においてその数が最も多く、下流側の列に向かって1つずつ減少するように配設されているものである。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記流路形成部材および前記第1、第2のカバー部材が平板で形成されているものである。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記流路形成部材および前記第1、第2のカバー部材が湾曲した板で形成されているものである。
【0016】
さらに、本発明は、上記発明において、前記流路形成部材が外周面と内周面が第1、第2の流路形成面を形成する中空体からなり、前記第1、第2のカバー部材が前記流路形成部材の第1、第2の流路形成面に嵌合する中空体からなるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、2種類の流体を複数回繰り返し混合し分配または分配し混合する混合分配流路を、流路形成部材の第1、第2の流路形成面にわたって立体的に形成しているので、流路形成部材を最少の場合においては1枚とすることができる。その場合においては2つのカバー部材とで三層構造のマイクロ混合器として安価に製作、提供することができる。また、部品点数が少なく、製造、組立性に優れ、しかも接合面の数が2つであるため流体の漏洩を軽減することができる。さらに、積層数が少なければ、積層による歪みも少ないため、高い耐圧性能が得られ、流路形成部材とカバー部材の材質の自由度を高めることができる。また、流路形成部材を図9(b)に示すように3層に分割した場合は、3層の位置合わせが必要になり、積層部のシールが必要になるという欠点はあるが、流路の加工方法において掘り込みではなく、ワイヤーカッターやエッチングによる穴明けとして片面からの加工で作ることができるなど加工方法の選択肢を増やすことができる。例えば、図9(a)に示す二枚構成の場合は掘り込みが必要ではあるが片面加工である点で加工が容易になる場合がある(プレス加工、成形加工など)。流路形成部材が一枚から三枚の構成のどれを選ぶかは、要求されるシール性や生産量とコストとの比較などで選択すればよい。
【0018】
また、本発明におけるマイクロ混合器は、設置箇所によっては、平板状、円弧状または筒状に形成することができる。
【0019】
本発明は、実施の形態として、2つの流路部分をそれぞれ2つの分岐部を有するY字状の分岐流路を用い、流体を分配した後で混合するようにしているが、ここでは、混合と分配の順序に関係なく、混合と分配を行なう2つの流路部分を備えたものを、1つの流路構成単位として「混合分配器」と称する。また、「混合分配流路」、「第1の混合分配用流路」、「第2の混合分配流路」も同様である。一方、分配を行わず混合のみを行なう2つの流路部分を備えたものについては、1つの流路構成単位として「混合器」と称する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るマイクロ混合器の第1の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】流路形成部材の平面図である。
【図3】流路形成部材の底面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態を示す斜視図である。
【図9】(a)、(b)はそれぞれ本発明の第6の実施の形態を示す要部の断面図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態を示す要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るマイクロ混合器を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4において、異なった2種類の流体(液体)A、Bを所定の混合比で混合するマイクロ混合器1は、平板状に形成された1枚の流路形成部材2と、この流路形成部材2の表裏面を覆う上下2枚のカバー部材(以下、第1、第2のカバー部材ともいう)3、4とを備え、これらをボルト等の適宜な固定手段(図示せず)によって一体的に結合することにより3層構造のマイクロ混合器を構成している。
【0022】
流路形成部材2は、アルミニウム合金、ステンレス等の金属または合成樹脂によって矩形板状に形成され、背中合わせに対向する表裏面が第1、第2の流路形成面5、6を形成し、これらの流路形成面5、6にわたって前記2種類の液体A、Bを複数回繰り返し分配して混合することにより、所定の混合比の混合流体Cを生成する混合分配流路7が立体的に形成されている。
【0023】
混合分配流路7は、流路形成部材2の第1の流路形成面5に4列に形成された第1の混合分配用流路8と、第2の流路形成面6に前記第1の混合分配用流路8に対応して同じく4列に形成された第2の混合分配用流路9と、混合部として機能する13個の連通孔10a〜10mと、8個の入口11a〜11hおよび1個の出口10aを備えている。なお、連通孔10aと出口10aは、同一の孔で、出口兼連通(混合)機能を有するものである。
【0024】
図2において、第1の混合分配用流路8は、右から一列目の連通孔10b、10d、10hによって一連に接続された4つの流路部分8a1 、8a2 、8a3 および8a4 と、右から二列目の連通孔10f、10jによって一連に接続された3つの流路部分8b1 、8b2 および8b3 と、右から三列目の連通孔10lによって接続された2つの流路部分8c1 および8c2 と、四列目の1つの流路部分8dとを有している。流路部分8b2 、8b3 、8c2 は、下流側に2つの分岐部X1 とX1 ’、X2 とX2 ’、X3 とX3 ’をそれぞれ有するY字状の流路部分からなり、その分岐開始部分が流体を分岐部X1 とX1 ’、・・・に分配する分配部Zをそれぞれ形成している。
【0025】
図3において、第2の混合分配用流路9は、右から一列目の連通孔10c、10g、10mによって一連に接続された4つの流路部分9a1 、9a2 、9a3 および9a4 と、右から二列目の連通孔10e、10kによって一連に接続された3つの流路部分9b1 、9b2 および9b3 と、右から三列目の連通孔10iによって接続された2つの流路部分9c1 および9c2 と、四列目の1つの流路部分9dとを有している。流路部分9b2 、9c2 、9b3 は、同じく下流側に2つの分岐部Y1 とY1 ’、Y2 とY2 ’、Y3 とY3 ’を有するY字状の流路部分からなり、その分岐開始部分が流体を分岐部Y1 とY1 、・・・に分配する分配部Wをそれぞれ形成している。
【0026】
連通孔10aは、最下流側の2つの流路部分8a1 と流路部分9a1 の下流側端を連通する連通孔であって、2種類の流体を混合する混合部と混合分配流路7の出口を兼用している。連通孔10bは、流路部分8a1 の上流側端と、流路部分8a2 の下流側端と流路部分9b1 の下流側端を連通している。連通孔10cは、流路部分9a1 の上流側端と流路部分8b1 の下流側端と流路部分9a2 の下流側端を連通している。連通孔10dは、流路部分8a2 の下流側端と流路部分8a3 の上流側端と流路部分9c1 の下流側端を連通している。連通孔10eは、流路部分9b1 の下流側端と流路部分8b2 の一方の分岐部X1 と流路部分9c2 の一方の分岐部Y1 を連通している。連通孔10gは、流路部分9a2 の上流側端と流路部分8c1 の下流側端と流路部分9a3 の下流側端を連通している。連通孔10hは、流路部分8a4 と流路部分9dの下流側端を連通している。連通孔10iは、流路部分9c1 の下流側端と流路部分8b3 の一方の分岐部X2 と流路部分9c2の一方の分岐部Y2 を連通している。連通孔10jは、流路部分8b2の下流側端と流路部分8b3 の他方の分岐部X2 ’と流路部分9c2 の他方の分岐部Y2 ’を連通している。連通孔10kは、流路部分9b2 の下流側端と流路部分8c2 の一方の分岐部X3 と流路部分9b3 の一方の分岐部Y3 を連通している。連通孔10lは、流路部分8c1 の下流側端と流路部分9b3 の他方の分岐部Y3 ’を連通している。連通孔10mは、流路部分9a3 の上流側端と流路部分8dの下流側端と流路部分9a4 の下流側端を連通している。
【0027】
最上流側に位置する8つの流路部分8a4、8b3、8c2、8d、9d、9c2 、9b3 、9a4 の上流側端は、それぞれ入口11a〜11hを形成している。
【0028】
最下流に位置する2つの流路部分8a1 、9a1 は、上流側から供給される流体を連通孔10aにおいて混合する混合器13Aを構成し、2つの連通孔10b、10cが混合器13Aの入口をそれぞれ形成している。
【0029】
最下流側から2列目の2つの流路部分8a2 、9b1 は、上流側から供給される流体を連通孔10bにおいて混合する混合器13Bを構成し、2つの連通孔10d、10eが混合器13Bの入口を形成している。同じく2列目の他の2つの流路部分8b1 、9a2 は、上流側から供給される流体を連通孔10cにおいて混合する混合器13Cを構成し、2つの連通孔10f、10gが混合器13Cの入口を形成している。
【0030】
最下流側から3列目の2つの流路部分8a3 、9c1 は、上流側から供給される流体を連通孔10dにおいて混合する混合器13Dを構成し、2つの連通孔10h、10iが混合器13Dの入口を形成している。同じく2つの流路部分8b2 、9b2 は、上流側から供給される流体をそれぞれ分配部Z、Wで分配して連通孔10e、10fにおいて混合する混合分配器14Aを構成し、2つの連通孔10j、10kが混合分配器14Aの入口を形成している。残り2つの流路部分8c1 、9a3 は、上流側から供給される流体を連通孔10gにおいて混合する混合器13Eを構成し、2つの連通孔10l、10mが混合器13Eの入口を形成している。
【0031】
最上流側の列の2つの流路部分8a4 、9dは、入口11a、11eから供給される液体A、Bを連通孔10hにおいて混合する混合器13Fを形成している。2つの流路部分8b3 、9c2 は、入口11b、11fから供給される液体A、Bを分配部Z、Wでそれぞれ分配して連通孔10i、10jにおいて混合する混合分配器14Bを形成している。同じく2つの流路部分8c2 、9b3 は、入口11c、11gから供給される液体A、Bを分配部Z、Wで分配して連通孔10k、10lにおいて混合する混合分配器14Cを形成している。残り2つの流路部分8d、9a4 は、入口11d、11hから供給される液体A、Bを連通孔10mにおいて混合する混合器13Gを形成している。
【0032】
最下段の流路部分8a4 、8b3 、8c2 、8dの入口11a〜11dは、流路形成部材2の第1の流路形成面5に形成した溝からなる第2の流体供給用連通路15にそれぞれ連通している。同じく流路部分9d、9c2 、9b3 、9a4 の入口11e〜11hは、流路形成部材2の第2の流路形成面6に形成した溝からなる第2の流体供給用連通路16にそれぞれ連通している。なお、第1、第2の混合分配用流路8、9は、それぞれ細い溝からなり、同一形状ではあるが、180°反転した形状に形成されている。第1、第2の流体供給用連通路15、16も、第1、第2の混合分配用流路8、9と同一溝幅の溝で形成されている。
【0033】
すなわち、本実施の形態におけるマイクロ混合器1は、第1、第2の混合分配用流路8、9と、13個の連通孔10a〜10mと、8個の入口11a〜11hおよび1個の出口10aによって、混合機能のみを有する第1〜第7の混合器13A〜13Gと、混合機能と分配機能を有する第1〜第3の混合分配器14A〜14Cを形成し、これらの集合体を混合分配流路7とし、混合器13A〜13Gと混合分配器14A〜14Cをその上流側から下流側に向けて順次1つずつ減らして、流路形成部材2の面方向にピラミッド状に4段にかつ7列に配列し、連通孔10a〜10mによって一連に連結したものである。
【0034】
図1において、前記第1のカバー部材3は、流路形成部材2と同様に、アルミニウム等の金属、合成樹脂等によって流路形成部材2と同一形状からなる矩形板状に形成され、流路形成部材2の混合分配流路7に第1の液体Aを供給する第1の流体供給口20と、混合分配流路7によって混合された所定の混合比の混合流体Cを排出する排出口21を有している。第1の流体供給口20は、内端が第1の流体供給用連通路15に連通し、外端に配管22が接続されている。排出口21は、内端が第1の混合器13Aの出口10aに接続され、外端に配管23が接続されている。
【0035】
前記第2のカバー部材4は、同じくアルミニウム等の金属、合成樹脂等によって流路形成部材2、第1のカバー部材3と同一形状からなる矩形板状に形成され、混合分配流路7に第2の液体Bを供給する第2の流体供給口24を有している。第2の流体供給口24は、内端が第2の流体供給用連通路16に連通し、外端が配管25に接続されている。
【0036】
このようなマイクロ混合器1において、配管22、25により第1、第2の液体A、Bを所定の圧力をもって第1、第2の流体供給口20、24にそれぞれ供給すると、第1の液体Aは第1の流体供給用連通路15を通って最下段に位置づけられている第6、第7の混合器13F、13Gと、第2、第3の混合分配器14B、14Cの一方の入口11a〜11dから一方の流路部分8a4 、8b3 、8c2 、8dにそれぞれ導入される。
【0037】
一方、第2の液体Bは、第2の流体供給用連通路16を通って第6、第7の混合器13F、13Gと、第2、第3の混合分配器14B、14Cの他方の入口11e〜11hから他方の流路部分9d、9c2 、9b3 、9a4 にそれぞれ導入される。そして、これらの液体A、Bは、第6、第7の混合器13F、13Gにおいて混合されると、新たに混合すべき一方の流体として、入口10h、10mを通って第4の混合器13Dの一方の流路部分8a3 と、第5の混合器13Eの他方の流路部分9a3 に導入される。
【0038】
また、第1、第2の液体A、Bは、第2、第3の混合分配器14B、14Cにおいてそれぞれ分配され混合されると、一方の入口10i、10kを通って第4の混合器13Dの他方の流路部分9c1 と、第1の混合分配器14Aの他方の流路部分9b2 に新たに混合すべき他方の流体として導入され、他方の入口10j、10lをそれぞれ通って第1の混合分配器14Aの一方の流路部分8b2 と、第5の混合器13Eの一方の流路部分8c1 に新たに混合すべき一方の流体として導入される。これによって、第4の混合器13Dは、第6の混合器13Fと第2の混合分配器14Bからの混合液体を混合した後、新たに混合すべき一方の流体として、入口10dを介して第2の混合器13Bの一方の流路部分8a2 に導く。また、第5の混合器13Eは、第7の混合器13Gからの混合液体と、第3の混合分配器14Cからの混合液体を混合した後、新たに混合すべき他方の流体として、入口10gを介して第3の混合器13Cの他方の流路部分9a2 に導く。
【0039】
さらに、第1の混合分配器14Aは、第2、第3の混合分配器14B、14Cによって混合された混合液体を分配、混合した後、新たに混合すべき流体として、入口10e、10fを介して第2、第3の混合器13B、13Cの他方の流路部分9b1 と一方の流路部分8b1 にそれぞれ導く。これによって、第2の混合器13Bは、第4の混合器13Dによる混合液体と、第1の混合分配器14Aによる混合液体を混合した後、新たに混合すべき一方の流体として、入口10bを介して1段目に位置づけられている第1の混合器13Aの一方の流路部分8a1 に導く。
【0040】
また、第3の混合器13Cは、第5の混合器13Eによる混合液体と、第1の混合分配器14Aによる混合液体を混合した後、新たに混合すべき他方の流体として、入口10cを介して第1の混合器13Aの他方の流路部分9a1 に導く。そして、第1の混合器13Aは、第2、第3の混合器13B、13Cからの混合液体を混合することにより所定の混合比の混合流体Cとして出口10aを通って排出口21に出力する。
【0041】
このように、本発明によるマイクロ混合器1によれば、第1〜第7の混合器13A〜13Gと、第1〜第3の混合分配器14A〜14Cとからなる混合分配流路7によって2種類の液体A、Bの分配と混合を繰り返し実行することにより、液体A、Bを細分化して均一に拡散、混合させた混合流体Cを生成することができる。また、1枚の流路形成部材2の表裏面5、6に第1〜第7の混合器13A〜13Gと、第1〜第3の混合分配器14A〜14Cを面方向に4段に形成して混合分配流路7としているので、各段毎に異なった流路形成部材を4枚製作して積層する必要がなく、流路形成部材2の製作、組立作業が容易で、安価なマイクロ混合器を提供することができる。また、流路形成部材2の枚数削減により接合面の数も減少するため、液体A、Bの漏洩を軽減防止でき、信頼性を向上させることができる。さらに、流路形成部材2の枚数削減によりカバー部材3、4を積層して一体化したときの歪みも少なく、高い耐圧性能が得られ、合成樹脂等の比較的柔らかい材料によって流路形成部材2およびカバー部材3、4を製作することができる。
【0042】
図5は、本発明の第2の実施の形態を示すマイクロ混合器の分解斜視図である。
なお、上記した実施の形態と同一部品、部分については同一符号をもって示し、その説明を適宜省略する。このマイクロ混合器1Aは、流路形成部材2の表裏面にわたって面方向に3段6列に設けた第1〜第8の混合分配器14A〜14Hと、2つのバイパス流路40a、40bの集合体で混合分配流路7Aを構成したものである。すなわち、最上段に第1〜第3の混合分配器14A〜14Cを設け、中段に第4、第5の混合分配器14D、14Eを設け、最下段に第6〜第8の混合分配器14F〜14Hをそれぞれ設けている。また、各段において隣り合う混合分配器14Aと14B、14Bと14C、14Dと14E、14Fと14G、14Gと14Hは、隣接する連通孔10aと10b、10bと10c、・・・の配列間隔だけずれており、2段目の第4、第5の混合分配器14D、14Eは、1段目と3段目の隣り合う混合分配器14Aと14B、14Bと14C、14Fと14G、14Gと14Hの間に位置するように内側にずらして設けられている。
【0043】
第1の混合分配器14Aは、それぞれ2つの分岐部X1 とX2 、Y1 とY2 を有するY字状に分岐した2つの流路部分8a1 、9a1 と、連通孔からなる2つの入口10g、10hと、2つの出口a、10bを有し、一方の流路部分8a1 の一方の分岐部X1 の下流側端が一方の出口10aを形成し、流路形成部材2の裏面側に形成した第2の出口側連通路41bに連通している。また、この出口10aは連通孔からなり、他方の流路部分9a1 の一方の分岐部Y1 の下流側端が連通している。一方の流路部分8a1 の他方の分岐部X2 の下流側端は、他方の出口10bを形成し、流路形成部材2の表面側に形成した第1の出口側連通路41aに連通している。また、この出口10bは連通孔からなり、他方の流路部分9a1 の他方の分岐部Y2 の下流側端が連通している。
【0044】
同様に、第2の混合分配器14Bは、それぞれ2つの分岐部を有するY字状に分岐した2つの流路部分8a2 、9a2 と、連通孔からなる2つの入口10i、10jおよび連通孔からなる2つの出口10c、10dとを有し、一方の流路部分8a2 の一方の出口10cが第2の出口側連通路41bに連通し、他方の出口10dが第1の出口側連通路41aに連通している。また、他方の流路部分9a2 の一方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8a2 の一方の出口10cに連通し、他方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8a2 の他方の出口10dに連通している。
【0045】
同様に、第3の混合分配器14Cは、それぞれ2つの分岐部を有するY字状に分岐した2つの流路部分8a3 、9a3 と、連通孔からなる2つの入口10k、10lおよび連通孔からなる2つの出口10e、10fとを有し、一方の流路部分8a3 の一方の分岐部の出口10eが第2の出口側連通路41bに連通し、他方の分岐部の出口10fが第1の出口側連通路41aに連通している。他方の流路部分9a3 の一方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8a3 の一方の出口10eに連通し、他方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8a3 の他方の出口10fに連通している。
【0046】
第4の混合分配器14Dは、同じくそれぞれ2つの分岐部を有するY字状に分岐した2つの流路部分8b1 、9b1 と、連通孔からなる2つの入口10n、10oおよび連通孔からなる2つの出口10h、10iとを有し、一方の流路部分8b1 の一方の分岐部の出口10hが第1の混合分配器14Aの他方の入口を兼用し、他方の分岐部の出口10iが第2の混合分配器14Bの一方の流路部分8a2 の一方の入口を兼用している。他方の流路部分9b1 の一方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8b1 の一方の出口10hに連通し、他方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8b1 の他方の出口10iに連通している。すなわち、第4の混合分配器14Dは、第1、第2の混合分配器14A、14Bに連通している。
【0047】
第5の混合分配器14Eは、同じくそれぞれ2つの分岐部を有するY字状に分岐した2つの流路部分8b2 、9b2 と、連通孔からなる2つの入口10p、10qおよび連通孔からなる2つの出口10j、10kとを有し、一方の流路部分8b2 の一方の分岐部の出口10jが第2の混合分配器14Bの他方の入口を兼用し、他方の出口10kが第3の混合分配器14Cの一方の入口を兼用している。他方の流路部分9b2 の一方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8b2 の一方の出口10jに連通し、他方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8b2 の他方の出口10kに連通している。すなわち、第5の混合分配器14Eは、第2、第3の混合分配器14B、14Cに連通している。
【0048】
第6の混合分配器14Fは、同じくそれぞれ2つの分岐部を有するY字状に分岐した2つの流路部分8c1 、9c1 と、2つの入口11a、11bおよび連通孔からなる2つの出口10m、10nとを有し、一方の入口11aが一方の流路部分8c1 の上流側端からなり、流路形成部材2の表面に形成した第1の流体供給用連通路15に連通し、他方の入口11bが他方の流路部分9c1 の上流側端からなり、流路形成部材2の裏面に形成した第2の流体供給用連通路16に連通している。また、一方の流路部分8c1 の一方の出口10mは、第1の混合分配器14Aの一方の入口10gに第1のバイパス流路40aを介して連通し、他方の分岐部の出口10nは第4の混合分配器14Dの一方の入口を兼用している。他方の流路部分9c1 の一方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8c1 の一方の出口10mに連通し、他方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8c1 の他方の出口10nに連通している。すなわち、第6の混合分配器14Fは、第1、第4の混合分配器14A、14Dと連通している。第1のバイパス流路40aは、流路形成部材2の裏面側に形成されている。
【0049】
第7の混合分配器14Gは、同じくそれぞれ2つの分岐部を有するY字状に分岐した2つの流路部分8c2 、9c2 と、2つの入口11c、11dおよび連通孔からなる2つの出口10o、10pとを有し、一方の入口11cが一方の流路部分8c2 の上流側端からなり、第1の流体供給用連通路15に連通し、他方の入口11dが他方の流路部分9c2 の上流側端からなり、第2の流体供給用連通路16に連通している。一方の流路部分8c2 の一方の分岐部の出口10oは第4の混合分配器14Dの一方の入口を兼用し、他方の分岐部の出口10pは第5の混合分配器14Eの一方の入口を兼用している。すなわち、第7の混合分配器14Gは、第4、第5の混合分配器14D、14Fと連通している。
【0050】
第8の混合分配器14Hは、同じくそれぞれ2つの分岐部を有するY字状に分岐した2つの流路部分8c3 、9c3 と、2つの入口11e、11fと、連通孔からなる2つの出口10q、10rとを有し、一方の入口11eが一方の流路部分8c3 の上流側端からなり、第1の流体供給用連通路15に連通し、他方の入口11fが一方の流路部分9c3 の上流側端からなり、第2の流体供給用連通路16に連通している。また、一方の流路部分8c3 の一方の分岐部の出口10qは、第5の混合分配器14Fの他方の入口を兼用し、他方の分岐部の出口10rが第2のバイパス流路40bを介して第3の混合分配器14Cの他方の入口10lに連通している。他方の流路部分9c3 の一方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8c3 の一方の出口10qに連通し、他方の分岐部の下流側端は、一方の流路部分8c3 の他方の出口10rに連通している。すなわち、第8の混合分配器14Hは、第3、第5の混合分配器14C、14Eと連通している。第2のバイパス流路40bは、流路形成部材2の表面側に形成されている。
【0051】
第1の流体供給用連通路15は、第1のカバー部材3の第1の流体供給口20に連通し、第2の流体供給用連通路16は、第2のカバー部材4の第4の流体供給口24に連通している。
【0052】
第1の出口側連通路41aと第2の出口側連通路41bは、連通孔44によって連通し、第1のカバー部材3の排出口21に連通している。
【0053】
このようなマイクロ混合器1Aにおいて、第1、第2の液体A、Bを所定の圧力をもって第1、第2の流体供給口20、24に供給すると、第1の液体Aは第1の流体供給用連通路15を通って最下段に位置づけられている第6、第7、第8の混合分配器14F、14G、14Hの一方の流路部分8c1 〜8c3 にそれぞれ導入される。一方、第2の液体Bは、第2の流体供給用連通路16を通って第6、第7、第8の混合分配器14F、14G、14Hの他方の流路部分9c1 〜9c3 にそれぞれ導入される。
【0054】
第6の混合器14Fは、液体A、Bを分配、混合すると、新たに混合すべき一方の流体として、一方の出口10m−第1のバイパス流路40a−一方の入口10gを経て第1の混合分配器14Aの一方の流路部分8a1 に導入する。また、新たに混合すべき他方の流体として、他方の出口10nより第4の混合分配器14Dの一方の流路部分8b1 に導入する。
【0055】
第7の混合分配器14Gは、液体A、Bを分配、混合すると、新たに混合すべき一方の流体として、一方の出口10oより第4の混合分配器14Dの他方の流路部分9b1 に導く。また、新たに混合すべき他方の流体として、他方の出口10pより第5の混合分配器14Eの一方の流路部分8b2 に導く。
【0056】
第8の混合分配器14Hは、液体A、Bを分配、混合すると、新たに混合すべき一方の流体として、一方の出口10qより第5の混合分配器14Eの他方の流路部分9b2 に導く。また、新たに混合すべき他方の流体として、他方の出口10rより第2のバイパス流路40bを介して第3の混合分配器14Cの他方の流路部分9a3 に導く。
【0057】
第4の混合分配器14Dは、第6、第7の混合分配器14F、14Gによって混合された液体を分配、混合すると、新たに混合すべき一方の流体として、一方の出口10hより第1の混合分配器14Aの他方の流路部分9a1 に導く。また、新たに混合すべき他方の流体として、他方の出口10iより第2の混合分配器14Bの一方の流路部分8a2 に導く。
【0058】
第5の混合分配器14Eは、第7、第8の混合分配器14G、14Hによって混合された液体を分配、混合すると、新たに混合すべき一方の流体として、一方の出口10jより第2の混合分配器14Bの他方の流路部分9a2 に導く。また、新たに混合すべき他方の流体として、他方の出口10kより第3の混合分配器14Cの一方流路部分8a3 に導く。
【0059】
第1の混合分配器14Aは、第4、第6の混合分配器14D、14Fによって混合された液体を分配、混合すると、出口10a、10bに出力する。
【0060】
第2の混合分配器14Bは、第4、第5の混合分配器14D、14Eによって混合された液体を分配、混合すると、出口10c、10dに出力する。
【0061】
第3の混合分配器14Cは、第5、第8の混合分配器14E、14Hによって混合された液体を分配、混合すると、出口10e、10fに出力する。そして出口10a〜10fに出力された混合流体は、第1、第2の出口側連通路41a、41bに導かれて混合された後、排出口21に出力される。
【0062】
このような構造からなるマイクロ混合器1Aにおいても、1枚の流路形成部材2と2枚のカバー部材3、4とで構成しているので、上記した第1の実施の形態で示したマイクロ混合器1と同様な効果が得られるものである。
【0063】
図6は、本発明の第3の実施の形態を示すマイクロ混合器の構成を示す図である。
このマイクロ混合器1Bは、流路形成部材2の表裏面にわたって面方向に4段1列に形成した第1〜第4の混合分配器14A〜14Dの集合体によって混合分配流路7Bを構成したものである。すなわち、第1の混合分配器14Aは、それぞれ2つの分岐部X1 とX2 、Y1 とY2 を有するY字状に分岐した2つの流路部分8a、9aと、連通孔からなる2つの入口10c、10dおよび連通孔からなる2つの出口10a、10bとを有し、両出口10a、10bが出口側連通路50を介して第1のカバー部材3の排出口21に連通している。
【0064】
第2の混合分配器14Bは、同じく2つの分岐部を有するY字状に分岐した2つの流路部分8b、9bと、連通孔からなる2つの入口10e、10fおよび連通孔からなる2つの出口10c、10dとを有し、一方の出口10cが第1の混合分配器14Aの一方の流路部分8aに連通し、他方の出口10dが第1の混合分配部14Aの他方の流路部分9aに連通している。
【0065】
第3の混合分配器14Cは、同じく2つの分岐部を有するY字状に分岐した2つの流路部分8c、9cと、連通孔からなる2つの入口10g、10hおよび連通孔からなる2つの出口10e、10fとを有し、一方の出口10eが第2の混合分配器14Bの一方の流路部分8bに連通し、他方の出口10fが第2の混合分配部14Bの他方の流路部分9bに連通している。
【0066】
第4の混合分配器14Dは、同じく2つの分岐部を有するY字状に分岐した2つの流路部分8d、9dと、2つの入口11a、11bおよび連通孔からなる2つの出口10g、10hとを有し、一方の入口11aが一方の流路部分8dの上流側端からなり、第1のカバー部材3に形成した第1の流体供給口20に連通し、他方の入口11bが他方の流路部分9dの上流側端からなり、第2のカバー部材4に形成した第2の流体供給口24に連通している。一方の出口10gは第3の混合分配器14Cの一方の流路部分8cに連通し、他方の出口10hは第3の混合分配部14Cの他方の流路部分9cに連通している。なお、流路形成部材2の表面側には、流路部分9a、8b、9c、8dが形成され、裏面側には流路部分8a、9b、8c、9dが形成されている。
【0067】
このような構造からなるマイクロ混合器1Bにおいて、第1、第2の流体供給口20、24に液体A、Bを導入すると、最上流に位置づけられる第4の混合分配器14Dが液体A、Bを分配部Z、Wでそれぞれ分配した後、出口10g、10hにおいて混合し、新たに混合すべき流体として下流側に位置する第3の混合分配器14Cの流路部分8c、9cにそれぞれ導く。
【0068】
第3の混合分配器14Cは、同じく流路部分8c、9cに導かれた液体を分配し、出口10e、10fで混合すると、第2の混合分配器14Bの流路部分8b、9bにそれぞれ導く。
【0069】
第2の混合分配器14Bは、流路部分8b、9bに導かれた液体を分配し出口10c、10dで混合すると、第1の混合分配器14Aの流路部分8a、9aにそれぞれ導く。
【0070】
第1の混合分配器14Aは、流路部分8a、9aに導かれた液体を分配し、出口10a、10bで混合する。これにより、液体A、Bは、所定の混合比の混合液体Cとなって出口側連通路50を通り排出口21に出力される。
【0071】
このような構造からなるマイクロ混合器1Bにおいても、1枚の流路形成部材2と2枚のカバー部材3、4とで構成しているので、上記した第1、第2の実施の形態で示したマイクロ混合器1、1Aと同様な効果が得られるものである。
【0072】
図7は、本発明の第4の実施の形態を示す外観斜視図である。
このマイクロ混合器1Dは、図1に示した流路形成部材2と第1、第2のカバー部材3、4を第1の流路形成面5が凸面になるように半円形に湾曲させて形成したものである。流路形成部材2の表裏面にわたって形成される混合分配流路は、図1〜図4、図5、図6に第1〜第3の実施の形態として示した混合分配流路7、7A、7Bのうちのいずれであってもよい。
【0073】
図8は、本発明の第5の実施の形態を示す外観斜視図である。
このマイクロ混合器1Fは、流路形成部材2および第1、第2のカバー部材3、4をそれぞれ円筒状の中空体に形成し、流路形成部材2の外周面を第1の流路形成面5として第1のカバー部材3に嵌合(好ましくはシール性を確保するために圧入)し、内周面を第2の流路形成面6として第2のカバー部材4を嵌合(同じく好ましくは圧入)したものである。流路形成部材2の表裏面にわたって形成される混合分配流路は、図1〜図4、図5、図6に第1〜第3の実施の形態として示した混合分配流路7、7A、7Bのうちのいずれであってもよい。
【0074】
流路形成部材2の製作に当たっては、平板に所定の混合分配流路を形成した後、円筒状に折り曲げて両端を接合すればよい。第1、第2のカバー部材3、4についても、流路形成部材2と同様に平板から製作するか、またはパイプに孔を明けてもよい。なお、マイクロ混合器1Fとしては、円筒状の中空体に限らず、多角形や楕円形の中空体であってもよい。
【0075】
このような湾曲したマイクロ混合器1Dや円筒状のマイクロ混合器1Fにおいては、設置箇所が凸面または柱状の場合にその面に沿って取付けることができる利点を有するものである。
【0076】
図9(a)、(b)は、それぞれ本発明の第6の実施の形態を示す要部の断面図で、図9(a)は、流路形成部材2Aを2枚の平板2a、2bからなる積層板で構成した例を示す。すなわち、上側の平板2aの表面側に第1の混合分配用流路8と、第1の流体供給用連通路15を形成し、裏面側に連通孔10を形成し、下側の平板2bの表面側に連通孔10を形成し、裏面側に第2の混合分配用流路9と、第2の流体供給用連通路16を形成し、平板2aの裏面と平板2bの表面を互いに密接して積層し、2層構造の流路形成部材2Aとしたものである。
【0077】
図9(b)は、流路形成部材2Bを3枚の平板2a、2b、3cからなる積層板で構成した例を示す。すなわち、上側の平板2aに第1の混合分配用流路8と、第1の流体供給用連通路15を形成し、中間の平板2bに連通孔10を形成し、下側の平板2cに第2の混合分配用流路9と、第2の流体供給用連通路16を形成し、これらを互いに密接して積層し、3層構造の流路形成部材2Bとしたものである。
【0078】
流路形成部材2を1枚または2枚の平板で形成した場合には、溝加工と孔明け加工によって第1、第2の混合分配用流路8、9、連通孔10および第1、第2の流体供給用連通路15、16を形成する必要があるが、3枚の積層板からなる流路形成部材2Bにおいては、第1、第2の混合分配用流路8、9、連通孔10、第1、第2の流体供給用連通路15、16を全て貫通孔で形成することができるため、溝加工を必要とせず、平板2a、2b、2cを孔明け加工のみによって製作することができる。
【0079】
ここで、図1においては、混合部を形成する連通孔10a〜10mの穴径を第1、第2の混合分配用流路8、9の溝幅と略等しいものとして示し、図2〜図3(図5、図6も同様)においては、連通孔10a〜10mの穴径を第1、第2の混合分配用流路8、9の溝幅より大きいものとして示したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、図10に示すように、連通孔10の穴径を第1、第2の混合分配用流路8、9の溝幅より小さくしてもよい。
【0080】
このように連通孔10の穴径を第1、第2の混合分配用流路8、9の溝幅より小さくした場合は、流路形成部材2に第1、第2の混合分配用流路8、9を加工形成する際のずれに対する許容誤差を大きくすることができる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、混合すべき流体として液体A、Bに適用した例について説明したが、これに限らず気体にも適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1、1A〜1F…マイクロ混合器、2…流路形成部材、2a〜2c…平板、3…第1のカバー部材、4…第2のカバー部材、5…第1の流路形成面、6…第2の流路形成面、7、7A、7B、7C…混合分配流路、8…第1の混合分配用流路、8a1 〜8a4 、8b1 〜8b3 、8c1 …流路部分、9…第2の混合分配用流路、9a1 〜9a4 、9b1 〜9b3 、9c1 …流路部分、10、10a〜10m…連通孔(混合部)、13A〜13G…混合器、14A〜14H…混合分配器、15…第1の流体供給用連通路、16…第2の流体供給用連通路、20…第1の流体供給口、21…排出口、24…第2の流体供給口、40a…第1のバイパス流路、40b…第2のバイパス流路、41a…第1の出口側連通路、41b…第2の出口側連通路、X1 、X1 ’〜X3 、X3 ’、Y1 、Y1 ’〜Y3 、Y3 ’…分岐部、Z、W…分配部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背中合わせに対向する第1、第2の流路形成面を有する流路形成部材と、
前記流路形成部材の前記第1、第2の流路形成面を覆う第1、第2のカバー部材とを具備し、
前記流路形成部材には、前記第1、第2の流路形成面にそれぞれ形成された第1、第2の混合分配用流路と、前記第1、第2の混合分配用流路を接続する複数の連通孔と、前記第1、第2の混合分配用流路の上流側端と下流側端に設けられた入口および出口とを有し、2種類の流体の混合と分配を複数回繰り返し実行させる混合分配流路が設けられているマイクロ混合器。
【請求項2】
請求項1記載のマイクロ混合器において、
前記第1、第2の混合分配用流路は、それぞれ2つの分岐部を有する複数の流路部分で構成され、第1の混合分配用流路の流路部分と、これと対応する第2の混合分配用流路の流路部分の一方の分岐部どうしの下流側端と他方の分岐部どうしの下流側端がそれぞれ連通孔によって連通して混合部を形成するマイクロ混合器。
【請求項3】
請求項1記載のマイクロ混合器において、
前記流路形成部材の混合分配流路は、それぞれ前記第1、第2の混合分配用流路の互いに対応する2つの流路部分と、2つの混合部および2つの分配部を有し、流体の流れ方向に一列に配設された複数の混合分配器の集合体からなるマイクロ混合器。
【請求項4】
請求項1記載のマイクロ混合器において、
前記流路形成部材の混合分配流路は、それぞれ前記第1、第2の混合分配用流路の互いに対応する2つの流路部分と、2つの混合部および2つの分配部を有する複数の混合分配器と、それぞれ前記第1、第2の混合分配用流路の互いに対応する他の2つの流路部分と1つの混合部を有する複数の混合器を上流側から下流側に向かって複数列配設した集合体からなり、前記混合分配器と前記混合器は最上流側の列においてその数が最も多く、下流側の列に向かって1つずつ減少するように配設されているマイクロ混合器。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項記載のマイクロ混合器において、
前記流路形成部材および前記第1、第2のカバー部材は、平板で形成されているマイクロ混合器。
【請求項6】
請求項1〜4のうちのいずれか一項記載のマイクロ混合器において、
前記流路形成部材および前記第1、第2のカバー部材は、湾曲した板で形成されているマイクロ混合器。
【請求項7】
請求項1〜4のうちのいずれか一項記載のマイクロ混合器において、
前記流路形成部材は、外周面と内周面が第1、第2の流路形成面を形成する中空体からなり、前記第1、第2のカバー部材は、前記流路形成部材の第1、第2の流路形成面に嵌合する中空体からなるマイクロ混合器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−45815(P2011−45815A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195321(P2009−195321)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】