マイボーム腺機能不全を治療するための熱治療のための方法、システム、および装置
マイボーム腺機能不全を治療するための装置、システム、および方法。患者のマイボーム腺に熱を印加するように、患者の眼瞼または周囲組織に熱を印加する。熱の印加は、マイボーム腺における妨害物または閉塞の圧搾を補助し、脂質層への十分な皮脂の流れを回復し、ドライアイを治療する。また、伝導性熱伝達を改善し、対流熱損失を引き起こす組織における血流を低下させるために、患者の眼瞼または周囲組織に力を印加することもできる。したがって、力の印加は、温度レベルをさらに上昇、および/または妨害物を除去するための所望の温度レベルまで到達する時間を短縮することができる。より高い温度レベルへの到達は、所望の温度レベルに到達する時間を短縮しながら、マイボーム腺における妨害物または閉塞の溶解、弛緩、または軟化を改善することができ、および/または治療の間の患者の不快感を軽減する助けとなり得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2007年1月17日出願の米国暫定特許出願第60/880,850号の表題「Method and Apparatus for Treating Meibomian Gland Obstructive Disease」に対する優先権を主張し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願はまた、2006年5月15日出願の米国出願第11/434,033号の表題「Method and Apparatus for Treating Gland Dysfunction Employing Heated Medium」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本出願はまた、2006年5月15日出願の米国出願第11/434,446号の表題「Method and Apparatus for Treating Gland Dysfunction」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
本出願はまた、2006年5月15日出願の米国出願第11/434,054号の表題「Method and Apparatus for Treating Meibomian Gland Dysfunction」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0005】
本出願はまた、2006年9月29日出願の米国出願第11/541,291号の表題「Method and Apparatus for Treating Meibomian Gland Dysfunction Employing Fluid Jet」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0006】
本出願はまた、2006年9月29日出願の米国出願第11/541,418号の表題「Treatment of Meibomian Glands」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0007】
本出願はまた、2006年9月29日出願の米国出願第11/541,308号の表題「Melting Meibomian Gland Obstructions」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0008】
本出願はまた、2007年8月17日出願の米国出願第11/893,669号の表題「Meibomian Gland Illuminating and Imaging」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0009】
本発明の分野は、概して、哺乳類の眼の治療に関する。より具体的には、本発明は、「ドライアイ」状態に関与するか、または「ドライアイ」状態に罹患している患者に対する要因かのいずれかであり得る、マイボーム腺機能不全(MGD)の治療に関する。房水を保持するために眼の涙液膜上で生成され、保持される十分な保護脂質層の促進を支援するために、患者のマイボーム腺を治療する。
【背景技術】
【0010】
ヒトの眼において、眼表面を覆っている涙液膜は、3層から成る。眼表面と接触する最も内側の層は、粘液層である。粘液層は、多くのムチンから成る。涙液膜の大部分を成す中間層は、水層である。水層は、眼の乾燥を防ぐために、保護層および潤滑を提供するという点において重要である。眼の乾燥は、かゆみ、ひりひりした痛み(burning)、および炎症等の症状を引き起こし、不快感をもたらし得る。最も外側の層は、「マイバム(meibum)」、または「皮脂」として知られる多くの脂質から成る。この最も外側の脂質層は、非常に薄く、典型的には、250nm未満の厚さである。該脂質層は、水層および粘液層が蒸発する速度を抑えるために、これらの層上に保護被膜を形成する。高速の水層の蒸発は、眼の乾燥を引き起こし得る。したがって、脂質層が水層の蒸発速度を抑えるほど十分ではない場合、眼の乾燥が起こり得る。脂質層はまた、瞬きの間、眼瞼を潤滑化し、ドライアイを防ぐ。眼の乾燥は、広く認識されている眼疾患であり、概して「ドライアイ」として知られている。脂質層を改善することができれば、蒸発速度が、減速し、潤滑が改善され、ドライアイ状態の部分的または完全な緩和が達成される。
【0011】
最も外側の脂質層を形成する皮脂は、本出願の図1〜3に例証されるように、眼のマイボーム腺10によって分泌される。マイボーム腺は、上眼瞼12および下眼瞼14の両方に位置する、拡大した特殊な皮脂腺の種類(sebaceous−type)の腺(したがって、分泌物を説明するために「皮脂(sebum)」を使用)である。マイボーム腺は、脂質分泌物を眼瞼縁へ放出するように作られ、したがって、哺乳類が瞬きし、脂質分泌物が広がるにつれて、涙液膜の脂質層を形成する、開口部16を含む。典型的なヒトの上眼瞼12は、約25本のマイボーム腺を有し、下眼瞼14は、上眼瞼に位置するマイボーム腺より若干大きい約20本のマイボーム腺を有する。それぞれのマイボーム腺10は、真っ直ぐな長い中央管18を有し、管18の内表面は4つの上皮層で覆われている。中央管18の長さに沿って、腺房と称される、複数の、袋状に横方向に突出した構造20があり、ここで該腺の分泌物が生成さている。それぞれの腺房20の内層は、これらの特殊な細胞がマイボーム腺の分泌物を供給するという点において、主要な中央管18とは異なる。分泌物は、それぞれの腺房20から管18に流れる。
【0012】
はっきりとは確立されていないが、それぞれの腺房20と中央管18との間には、必要とされる時まで分泌物を保持し、その時に分泌物を中央管18に放出する、弁機構があると思われる。マイボーム分泌物は、その後、中央管18に保存され、それぞれの腺の開口部を通って眼瞼縁に放出される。マイボーム腺10を取り囲むRiolan筋の瞬きおよび圧迫作用が、マイボーム腺10からの分泌物の放出のために、開口部を開口する、主要な機構であると考えられる。瞬きは、上眼瞼12に、涙液膜の他の2層上にマイボーム腺10によって分泌される脂質の層を敷かせ、ひいては、下の層が蒸発する速度を抑える一種の保護被膜を形成する。したがって、不完全な脂質層または不十分な量のこのような脂質は、水層の加速的蒸発をもたらし得、次いで、集合的に「ドライアイ」と称される、かゆみ、ひりひりした痛み(burning)、炎症、および乾燥等の症状を引き起こす。
【0013】
ドライアイの症状を治療するために、様々な治療様式が開発されている。これらの様式は、天然の含水涙液膜を複製およびそれに取って代わることを目的とする目薬、および涙産生細胞を刺激することを目的とする医薬品を含む。例えば、Refresh Endura(登録商標)、Soothe(登録商標)、およびSystane(登録商標)の目薬等の目薬は、自然発生的な健康な涙液膜を厳密に複製するように設計されている。しかしながら、それらの使用および投与は、単に、症状の治療に過ぎず、根本原因の治療にはならない。さらに、水性目薬の使用は、概して無期限となり、それ故に、使用の延長が煩わしく、費用が高くなり得る。
【0014】
また、マイボーム腺機能不全を治療するために、テトラサイクリンの使用等の医薬的様式も示唆されている。当該の治療の1つが、米国特許出願公開第2003/0114426号の表題「Method for Treating Meibomian Gland Disease」、Pflugfelderらの米国特許第6,455,583号の表題「Method for Treating Meibomian Gland Disease」、およびPCT国際公開第WO 99/58131号の表題「Use of Tetracyclines for Treating Meibomian Gland Disease」に開示されている。しかしながら、この治療は、全世界的に、臨床的に有効であるとは証明されておらず、MGDが感染を伴わない腺の妨害物の結果である場合、不必要であり得る。
【0015】
また、MGDを治療するためのコルチコステロイド剤の使用が、Pflugfelderらの米国特許第6,153,607号の表題「Non−preserved Topical Corticosteroid for Treatment of Dry Eye,filamentary Keratitis,and Delayed Tear Clearance(or Turnover)」に開示されているように、に提案されている。やはり、この提案された治療は、根本原因の治療とは対照的に、ドライアイの症状を治療するように思われる。
【0016】
加えて、局所的に適用されたアンドロゲンまたはアンドロゲン類似体もまた、乾性結膜炎における急性ドライアイの兆候および症状を治療するために使用されている。これは、共にSullivanの米国特許第5,958,912号および第6,107,289号、共に表題「Ocular Therapy in Keratoconjunctivitis Sicca Using Topically Applied Androgens or TGF−beta」に開示されている。
【0017】
涙液膜脂質層とドライアイ疾患との間には、相関関係がある。眼への様々な異なる病状および損傷、ならびにそれらの状態に対する脂質層の関係が、Surv Opthalmol 52:369−374, 2007で再検討されている。脂質層の状態が、水層または他の原因と比較すると、ドライアイ疾患に最も大きな影響をもたらすことは明らかである。したがって、ドライアイ状態は、多くの病因を有するが、マイボーム腺10が脂質層を十分に生成できないことが、一般的なドライアイ状態の一般的原因である。この状態は、「マイボーム腺機能不全」(MGD)として知られる症状である。MGDは、マイボーム腺10が妨害または閉塞される疾患である。図3は、このような妨害物22、24、または閉塞22、24の一実施例を例証する。栓妨害物22が、中央管18の開口部16に生じ得る。代替として、特定の腺房20を遮断する、妨害物および閉塞22、24が生じ得る。妨害物または閉塞22、24は、マイボーム腺10が部分的に遮断もしくは塞がれる、完全に遮断もしくは塞がれる、またはそれらのいずれかの変形を意味し得る。妨害物および閉塞22、24は、固体、半固体、または粘質の凝固した分泌物、および/または栓の形態であり得、不全(compromise)、またはより具体的には、分泌の減少もしくは停止をもたらす。また、分泌が減少または制限されると、マイボーム腺10は、しばしば、感染症状の可能性を示す黄色味を帯びた色により証明される、閉塞または妨害状態により、損なわれ得る。あるいは、マイボーム腺10は、そうでなければ、結果として生じる保護脂質膜が、眼の上の下層の蒸発を防ぐには十分ではないため、損なわれ得る。
【0018】
MGDは、しばしば、角化した妨害物の結果生じ、それは、腺10のマイボーム腺開口部16および/または中央管(導管)18、または場合により、腺房または腺房弁(それらが実際に存在すると仮定して)、または中央管18との腺房の接合部20を部分的または完全に遮断する。このような妨害物22、24は、個々のマイボーム腺10の分泌機能を損なう。より具体的には、これらの角化した妨害物は、バクテリア、皮脂腺基質、死んだ、および/または剥離した上皮細胞の様々な組み合わせと関連し得、またはそれらの組み合わせをもたらし得る(Meibomian Gland Dysfunction and Contact Lens Intolerance,Journal of the Optometric Association,Vol.51,No.3,Korb et al.,(1980),pp.243−51を参照されたい)。
【0019】
閉経の際に生じる、ホルモンの変化、特に、エストロゲンレベルの変化は、マイボーム腺10によって分泌される油の粘化をもたらし得る。これは、腺開口部の詰まりをもたらし得る。さらに、エストロゲンレベルの低下もまた、ブドウ球菌が増殖し得る条件を促進し得る。これは、マイボーム腺10の腺機能を損ない、さらに閉塞の一因になり、ひいては、分泌速度の低下をもたらす、腺10へのバクテリアの移動を引き起こし得る。
【0020】
マイボーム腺10からの分泌物の流れが、閉塞22、24の存在により制限される場合、眼瞼縁上の細胞は、腺開口部16を覆って増殖することが観察されている。これは、皮脂の流れをさらに制限し、ドライアイの症状を悪化し得る。年齢、瞬きの障害、通常の瞬きを損なうコンピュータ使用等の活動、コンタクトレンズ使用、コンタクトレンズの衛生、化粧品の使用、または他の疾病、特に、糖尿病を含む、追加要因もまた、マイボーム腺機能不全を引き起こす、または悪化させ得る。腺10の腺房20が、腺10の主要なチャネルとの接合部に弁を有し得るという説が立てられている。発明者らは、これらの弁が存在するならば、それらも場合によっては妨害され、腺房20からの流れの低下または遮断をもたらすという仮説を立てる。これらの妨害物または閉塞22、24は、様々な構成を有し得る。
【0021】
個々のマイボーム腺10の状態は、透明なマイボーム液が産生される、最適な状態から、乳状の液体または濃厚なもしくはクリーム状の分泌物が産生される軽度または中程度のマイボーム腺機能不全、そしていかなる種類の分泌物も得られない完全な遮断へと、異なり得る(“Increase in Tear Film Lipid Layer Thickness Following Treatment of Meibomian Gland Dysfunction,” Lacrimal Gland, Tear Film, and Dry Eye Syndromes,” Korb, et al., pp. 293−98, Edited by D. A. Sullivan, Plenum Press, New Yorkを参照されたい)。マイボーム腺10の分泌の著しい化学変化が、マイボーム腺機能不全により生じ、その結果、自然発生的な涙液膜の構成が変化し、次いで、ドライアイの一因になる。
【0022】
MGDは、可視的な指標が必ずしも存在しないため、診断が難しい場合がある。例えば、マイボーム腺10の炎症である、マイボーム腺炎が、MGDに至り得る。マイボーム腺炎はまた、眼瞼炎(瞼の炎症)を伴い得る。マイボーム腺炎は、瞼外部の検査により明らかであるが、MGDは、細隙灯生体顕微鏡を拡大して検査した場合でさえ、明らかになるとは限らない。これは、外部兆候があるとは限らず、または外部兆候が、最小であるため見落とされる場合があるためである。明らかな瞼の炎症のないMGDの外部兆候は、マイボーム腺の開口部16の微妙な変化、開口部16上の上皮組織の異常増殖、および妨害物として作用する凝固物質による腺10の開口部16の突出に限定され得る。明らかな瞼の炎症のない重度のMGDの場合、鋸歯状または波状の眼瞼縁、開口部のくぼみおよび開口部16上の上皮組織のより明らかな異常増殖、ならびに開口部16の突出を含む変化が、明らかに判る場合がある。
【0023】
したがって、要約すると、哺乳類(例えば、ヒト)の眼瞼のマイボーム腺10は、涙液膜の蒸発を防ぎ、眼および眼瞼に潤滑を提供する油を分泌する。これらの腺は、いわゆる「ドライアイ症候群」に至る、様々な機構によって遮断、または塞がれ(閉塞され)得る。MGDは唯一の原因ではないが、ドライアイ症候群の既知の原因である。該疾患の特徴は、正常な脂質分泌が、マイボーム腺10から流れて涙液膜の脂質層を形成するのを妨げる、マイボーム腺10内またはそれらの表面における、何らかの遮断である。このような分泌物は、水性涙液膜の蒸発を防ぎ、眼および眼瞼12、14を潤滑化する役目を果たし、よって、それらの不在が、ドライアイ症候群を引き起こし得る。マイボーム腺10の妨害物または閉塞物22、24は、腺10の上もしくは腺10の開口部16、狭窄または遮断され得る腺10の主要なチャネル18、または場合によっては、腺房20から主要なチャネル18への経路を含む他の場所において、存在し得る。
【0024】
当技術分野の現状では、多くのドライアイに対する治療が提供されているが、症状とは対照的に、根本原因を治療する必要性がある。マイボーム腺における妨害物または閉塞の結果、多くの患者がドライアイに罹患している。したがって、下の層の蒸発速度を抑えるために、眼の脂質層に、十分な皮脂の流れを回復させる、マイボーム腺の効果的な治療を提供する必要性がある。これには、マイボーム腺10内の可能性のある妨害物または閉塞22、24の弛緩または除去を含む。本出願の図2は、マイボーム腺10内の図3の妨害物または閉塞物22、24を、脂質層への皮脂の流れを回復させるように除去したものを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の一実施形態は、眼瞼の内表面に熱を印加し、マイボーム腺機能不全(MGD)によって引き起こされるドライアイを治療する、画期的かつこれまでには知られていなかった方法を含む。眼瞼の内側への熱の印加により、マイボーム腺におけるより重篤な閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度まで、マイボーム腺の温度を効果的かつ効率的に上昇させることができる。そして、マイボーム腺からの皮脂の流れを改善し、水層の蒸発を減少させるように、閉塞または妨害物を物理的に圧搾することができる。
【0026】
一部の患者は、マイボーム腺における温度を高温にしないと、圧搾するのに十分なほど溶解、弛緩、または軟化しない、マイボーム腺における妨害物または閉塞を有する。多くの場合、これらの温度は、眼瞼の外側に熱を印加する際、達成され得ないか、あるいはこれらの温度は、相当長い間、眼瞼の外側に熱を印加した後にのみ達成され得るか、のいずれかである。また、高温は、患者に許容できない疼痛反応か、患者の眼瞼への損傷かのいずれかを引き起こさせる危険な温度の熱の印加によってのみ達成され得る。これは、伝導熱損失による、眼瞼の外側とマイボーム腺との間の温度降下のためである。眼瞼の外側に印加された熱は、眼瞼組織、および眼瞼の内側で、マイボーム腺を包み込む瞼板を通って伝導的に移動しなければならない。一例として、眼瞼の外側に患者の眼瞼または周囲組織を火傷または損傷することのない熱を印加するには、マイボーム腺における温度がほんの摂氏41〜42度の温度に到達するのに、20〜30分かかり得る。患者のマイボーム腺における特定の妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるためには、温度は、例えば摂氏43〜45度の間に到達する必要があり得る。
【0027】
本願まで、マイボーム腺機能不全(MGD)を治療するには、眼瞼の外側に熱を印加することのみが既知であった。医療専門家は、眼瞼の内側に熱を印加することは、反直感的であると考えていたことであろう。眼瞼の内側へ熱を印加することは、眼瞼または眼球自体への損傷の危険性があると考えられていた。皮膚への熱の印加のこれまでの研究では、損傷は、摂氏45度もしくは摂氏45度以上の温度で生じ得ることを示している。これらの研究は、外部の角化した皮膚において行われた。内眼瞼における組織は、角化していない上皮であり、したがって、角化した皮膚ほど熱から保護されない。したがって、眼瞼の内側への熱の印加は、当然、眼瞼の外表面においてよりも低い温度で疼痛反応を引き起こすと考えられるだろう。しかしながら、眼瞼の内側への熱の印加は、意外にも、安全であるのみならず、MGD治療の一部としてマイボーム腺における妨害物および/または閉塞を取り除くのに効果的であることが、発見された。
【0028】
眼瞼の内側の加熱は、マイボーム腺へのより効果的な伝導性熱伝達を提供し得ると仮定された。より効果的な熱伝達の達成は、マイボーム腺におけるより高い温度の達成を可能にし、および/またはより効果的な時間で、マイボーム腺におけるより重篤な妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させることができる。熱伝導は、より薄い組織で増加する。マイボーム腺は、眼瞼の外側表面よりも眼瞼の内側表面の近くに位置する。さらに、眼瞼の内側とマイボーム腺との間に位置する瞼板がない。したがって、マイボーム腺への伝導性熱伝達は、眼瞼の内側を加熱すると、より効果的であることが発見された。
【0029】
この点に関して、従来の概念および既知の原理に反して、熱が眼瞼(より具体的には眼瞼結膜)の内側に印加される実験が実施された。熱は、温度を調節すれば、患者の眼を損傷することなく、眼瞼の内側に印加できることが発見された。例えば、ほとんどの患者は、麻酔なしで、また著しい疼痛もなく、摂氏43〜44.5度の表面温度に耐えることができることが確認された。一部の患者は、麻酔なしで、摂氏44.5度以上の温度に耐え得ることが認められた。さらに、より効果的な伝導性熱伝達および眼瞼表面への熱の近接により、眼瞼の外側に対してよりも、眼瞼の内側に熱を印加する場合、マイボーム腺における高温が、しかもより短時間に到達できる可能性が発見された。
【0030】
本発明に限定しないが、眼瞼の内側または内表面に熱を印加することによって、マイボーム腺の温度を効果的かつより効率的に上昇させる能力は、妨害物または閉塞の溶解点、弛緩点、または軟化点への到達に役立つことを立証できる。また、眼瞼の内側への熱の印加は、眼瞼の内表面の眼瞼縁に位置するマイボーム腺開口部に熱を印加することを含み得る。開口部もまた、妨害または閉塞される場合がある。また、眼瞼の内側、およびマイボーム腺開口部の近接部へまたは直接の熱の印加は、脂質層に対する十分な皮脂の流れの回復にも役立つことを立証できる。熱を眼瞼の「内側」または「内表面」へ印加するという用語または句が本出願において言及される場合、それには、マイボーム腺開口部への熱の印加も包含する。
熱の印加を調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。
【0031】
該熱は、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な時間の間、維持される。熱の印加中か、または熱の印加を除去した後、妨害物または閉塞を除去するのにマイボーム腺における閉塞または妨害物を圧搾、これにより腺からの皮脂の流れを回復または改善するための、改善された経路を提供する。
【0032】
一実施形態においては、眼瞼結膜の表面温度を少なくとも摂氏37度まで上昇させることにより、MGDの軽度の症例に対する治療効果を提供し始めることができる。治療温度は、体温を超える任意の温度であり得る。治療のためのある好ましい範囲は、摂氏43〜44.5度の標的で、摂氏43〜45度である。熱を印加する時間範囲は、1〜10分の間であり得、3〜6分の範囲に限定し得る。この範囲の温度は、MGDを治療する際、患者にとって効果的かつ快適であることが認められている。
【0033】
一実施形態において、熱の印加を、調節し得る。調節した熱は、温度プロファイルによる、制御熱を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得、または例えば、オン/オフ切り替えまたはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加し得る温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。
【0034】
例に過ぎないが、摂氏45〜55度に上昇させた温度が、調節した熱を印加する際、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。しかしながら、熱は、常に、患者の疼痛反応、ならびに患者の眼瞼および/またはその周囲組織に損傷が生じるか否かを考慮に入れた温度で、眼瞼に印加しなければならない。熱を印加する際、患者のMGDの重症度または患者の疼痛耐性により、患者個々に基づき、上昇させた温度を使用することができる。皮膚が明色の患者は、概して、皮膚が暗色の患者よりも熱への耐性が低く、皮膚が暗色の患者は、熱への曝露の結果、よりわずかな炎症を示す傾向があることが認められた。湿度を含む他の要因が、より高温に対する患者の耐性の一因となり得る。例えば、ヒトは、概して、湿度が低いドライサウナでは、摂氏70〜80度の熱に耐えることができる。より湿度が高い環境における熱の印加は、より低温で、疼痛および/または火傷の発生を引き起こし得る。
【0035】
患者に相当の炎症または危険を招く重症のMGDの症例は、概して治癒するため、患者の眼瞼に1度または2度の火傷を生じさせる温度を必要とし得る。第3度の火傷を生じさせる温度は、避けるべきである。要約すれば、治療時間および/または温度は、これらの差異を考慮して調節し得る。本発明は、治療温度をマイボーム腺に印加する限り、いずれの特定の温度または時間範囲にも限定されない。
【0036】
調節した熱は、治療時間中、治療温度に維持できる。該治療時間は、例えば、約1〜10分にできる。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間またはその後、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0037】
一実施形態において、妨害物または閉塞の圧搾を行った後、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる。ドライアイ症候群の治療のために多くの薬剤が提案されているが、それらのいずれも効果的、またはマイボーム腺内における妨害物の除去に対してより効果的であり得る。利用し得る薬剤の中には、局所または経口テトラサイクリンおよび化学的に修飾されたテトラサイクリン等の抗生物質、テストステロン、局所または経口コルチコステロイド、局所アンドロゲンまたはアンドロゲン類似体、魚油等のオメガ3脂肪酸組成物、ラエンネック、脂質産生を促進する酵素、脂質産生を促進する酵素の産生を刺激する剤、ならびに/またはマイボーム腺分泌または他の涙成分の分泌を促進する分泌促進物として作用する任意の剤が含まれるが、それらに限定されない。例えば、アンドロゲンおよびアンドロゲン類似体、ならびにTGF−ベータは、マイボーム腺分泌を促進する分泌促進物として作用すると報告されている。
【0038】
これらの化合物は、適切な薬剤の例証的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用し得ることを認識する。
【0039】
また、涙成分の産生に取って代わる、またはそれを促進するレスタシス(シクロスポリンA)等の剤を、本発明によるマイボーム腺の治療後、より効果的に適用することもできる。マイボーム腺の治療は脂質層を改善し、したがって、蒸発を減少し、水層を保持する。水層の保持は、涙成分剤により涙代用物を適用する必要性を軽減する。したがって、患者のMGDを治療するための本発明を用いれば、涙成分剤をそれほど頻繁に使用する必要がなくなり得る。
【0040】
眼瞼の内側への熱の印加に関する実験過程において、眼瞼の内側に位置する血管内の血流により、対流熱損失が生じることも発見された。眼瞼の内側に位置する血管を通る血流が、対流熱損失を生じさせる。血流が、身体が提供する天然の「放熱板」としての役割例を果たす。対流熱損失は、眼瞼の外側に熱を印加する時よりも、眼瞼の内側に熱を印加する場合に小さくなる。これは、眼瞼の外側よりも、マイボーム腺と眼瞼の内側との間に位置する血管が少ないためである。マイボーム腺は、眼瞼の内側の近傍に位置する。しかしながら、眼瞼の内側を加熱する際にも、やはり対流熱損失は生じる。しかしながら、血流が低下されると、対流熱損失が最小限に抑えられ、マイボーム腺において、温度をさらに効率的に、かつ短時間で達成および持続させることが可能であることが発見された。
【0041】
したがって、本発明の一実施形態は、熱に加えて、患者の眼瞼への力のさらなる印加も含む。力の印加は、より短時間に、したがってより効率的に、眼瞼の内側の眼瞼結膜およびマイボーム腺において、より効率的なより高い温度の獲得を補助し得る。これは、前述のように、力の印加が眼瞼への血流を低下させ、対流熱損失を軽減し得るためである。
【0042】
また、力の印加は、該力により生み出される圧力が、熱源を眼瞼の組織に対して押し付けるため、印加される熱源からのより効率的な伝導性熱伝達をもたらし得る。この圧迫は、いくつかの利点を有し得る。圧迫は熱が印加される組織に広がり、これにより、組織がより薄くなり、伝導性熱伝達を改善する。また、圧迫は、微細な皮膚の粗さによる眼瞼の表面の空洞部分を「絞り出す」ことができる。したがって、眼瞼に対する熱源の圧迫は、熱源と眼瞼の表面との間の表面接触を増加し(熱伝達方程式を増加する)、マイボーム腺へのより効果的な伝導性熱伝達を提供する。これは、これらの効率性の獲得により、マイボーム腺がより短時間で所望の温度レベルまで加熱されるという結果になる。さらに、そうでなければ獲得されなかったかもしれない温度の上昇が達成され得るか、または少ない熱または熱エネルギーを使用して取得することができる。加熱が眼瞼表面の極めて近位に位置し、また加熱が眼瞼表面に対してさらに押し付けられるため、熱伝達が非常に効率的になり、眼瞼の表面の温度がマイボーム腺の温度に非常に近くなる。
【0043】
印加する力を調節し得るとは、力生成手段が、眼瞼に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。また、該力は、一定の力であり得、手動で提供し得る。該力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方で印加し得る。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的に、または液体型のデバイスもしくは機構を使用して生成されるものを含む、振動型の力を含み得る。該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力の程度は、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減し得る。
【0044】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾する、あるいは、そうでなければ該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用し得る。場合によっては、眼瞼に印加されるかすかで弱い連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0045】
熱および/または力を眼瞼に印加して、MGDを治療するために、任意の装置、デバイス、または器具を使用することができる。一実施形態においては、MGDを治療するために、熱を眼瞼の内側に印加しながら、眼瞼の外側に力を印加することができる。上眼瞼または下眼瞼の内表面の加熱は、任意の簡便な方法により実行し得る。一旦加熱された閉塞を除去し、使用中の加熱するためのデバイスまたは方法を除去するのに利用可能な時間により、瞼は1つずつ、または一度に両方を加熱することができる。いくつかの熱および力を印加するデバイスを開示する。
【0046】
眼瞼結膜を加熱するためのデバイスの1つが、上記ですでに参照され、本出願が優先権を主張する、米国暫定特許出願第60/880,850号に開示されている。本出願では、加熱要素を含む瞼加温器は、眼球との中間に、眼瞼結膜に対して配置する。加熱要素は、レンズを眼球上に配置すると、眼瞼の内側に対して熱を生成するように、励起または動力を供給される。また、瞼加温器は、相当な熱が眼球に到達するのを防止し、これにより角膜および強膜を保護する、統合断熱体も含み得る。加熱要素は、瞼加温器内のその位置により、特に、眼瞼に近接する断熱体の後ろに位置し、眼球上よりも、眼瞼の内側により多くの熱を産生するように、バイアスされ得る。また、瞼加温器は、プラットホームも含み得る。プラットホームは、加熱要素の挿入または調整のためのハンドル、ならびに取付けられた加熱コントローラに、眼瞼の内側に制御した熱を産生するように、加熱要素に対する電気信号を生成させる、電気的インターフェースを含む、加熱構成要素を封入する領域を提供する。
【0047】
また、瞼加温器は、熱を眼瞼の内側に印加する際に、眼瞼の外側に制御された力を生成するデバイスと併せて使用することもできる。一実施形態においては、レンズを眼球上に位置させながら、膨張式ブラダーを有するアイカップを、眼瞼の外側に配置する。アイカップは、アイカップを瞼加温器から延在するプラットホーム上に配置させる、インターフェースを含み得る。このようにして、アイカップがプラットホーム上に係合され、ブラダーが膨張されると、制御された力が眼瞼の外側に印加され、したがって、眼瞼の内側の瞼加温器に眼瞼が押し付けられる。したがって、マイボーム腺はアイカップと瞼加温器との間に「挟まれ」、つまり取り囲まれ、アイカップは力ベクトルを瞼加温器に印加し、眼瞼上および眼瞼内のマイボーム腺において圧力を生み出す。これは、マイボーム腺における妨害物または閉塞の弛緩を補助し、眼瞼の血流を低下させ、瞼加温器により生成された熱の対流熱損失を防止する。
【0048】
代替として、力を生成するために、アイカップに膜を取付けて利用することができる。該膜は、異なる材料、および伸縮し、弾力性のある材料から作製し得る。MGD治療の一環として、眼瞼に熱および力を印加するために使用する瞼加温器およびアイカップを含む、いくつかの実施形態を開示する。本発明は、いずれの特定の種類の瞼加温器および/または力生成装置もしくはデバイスにも限定されることはない。
【0049】
別の実施形態においては、MGDを治療するために、力および熱を、マイボーム腺に近接する組織に印加することができる。前述のように、力の印加は、マイボーム腺におけるより高い温度を、しかもより短時間に、したがってより効率的に獲得するのをさらに補助し得る。力の印加は、伝導性熱伝達の効率を改善、および/または対流熱損失を軽減し得る。マイボーム腺に近接する組織に熱および力を印加するために、任意の装置、デバイス、または器具を使用することができる。また、力の印加は、熱のより長時間の維持を可能にし得る。これは、力の印加が眼瞼への血流を低下させ得、したがって対流熱損失を軽減し、眼瞼および該腺への伝導性熱伝達を高めるためである。組織に印加する熱および/または力は、前述のように、調節できる。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。該力は熱を除去した後も残存することができ、したがって、身体の放熱板効果が眼瞼を通常の温度に戻すまでの時間を伸ばす。また、力の印加は、マイボーム腺からの、弛緩、軟化、または溶解状態の閉塞または妨害物の圧搾を補助し得る。
【0050】
別の実施形態においては、MGDを治療するために、眼瞼の内側に力を印加し、眼瞼の外側に熱を印加することができる。前述のように、該力の印加は、マイボーム腺におけるより高い温度を、しかもより短時間に、したがってより効率的に獲得するのをさらに補助できる。該力の印加は、伝導性熱伝達の効率を改善、および/または対流熱損失を軽減できる。眼瞼の外側に熱および力を印加するために、任意の装置、デバイス、または器具を使用することができる。また、力の印加は、眼瞼の外側により長時間、熱を維持し得る。これは、力の印加が眼瞼への血流を低下させ得、したがって対流熱損失を軽減し、眼瞼および該腺への伝導性熱伝達を高めるためである。眼瞼の外側に印加する熱および/または眼瞼の内側に印加する力は、前述のように、調節し得る。該力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。該力は熱を除去した後も残存することができ、したがって、身体の放熱板効果が眼瞼を通常の温度に戻すまでの時間を伸ばす。また、該力の印加は、マイボーム腺からの、弛緩、軟化、または溶解状態の閉塞または妨害物の圧搾を補助し得る。
【0051】
別の実施形態においては、MGDを治療するために、力および熱の両方を眼瞼の外側に印加することができる。前述のように、該力の印加は、マイボーム腺におけるより高い温度を、しかもより短時間に、したがってより効率的に獲得するのをさらに補助できる。該力の印加は、伝導性熱伝達の効率を改善、および/または対流熱損失を軽減できる。眼瞼の外側に熱および力を印加するために、任意の装置、デバイス、または器具を使用することができる。また、力の印加は、眼瞼の外側により長時間、熱を維持し得る。これは、力の印加が眼瞼への血流を低下させ得、したがって対流熱損失を軽減し、眼瞼および該腺への伝導性熱伝達を高めるためである。眼瞼の外側に印加される熱および/または力は、前述のように、調節できる。該力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。該力は熱を除去した後も残存することができ、したがって、身体の放熱板効果が眼瞼を通常の温度に戻すまでの時間を伸ばす。また、該力の印加は、マイボーム腺からの、弛緩、軟化、または溶解状態の閉塞または妨害物の圧搾を補助し得る。
【0052】
さらに別の実施形態においては、MGDを治療するために、眼瞼の内側および外側の両方に熱を印加することができる。また、眼瞼に力を印加することもできる。前述のように、該力の印加は、マイボーム腺におけるより高い温度を、しかもより短時間に、したがってより効率的に獲得するのをさらに補助できる。該力の印加は、伝導性熱伝達の効率を改善、および/または対流熱損失を軽減できる。眼瞼の外側に熱および力を印加するために、任意の装置、デバイス、または器具を使用することができる。また、力の印加は、眼瞼の外側により長時間、熱を維持し得る。これは、該力の印加が眼瞼への血流を低下させ得、したがって対流熱損失を軽減し、眼瞼および該腺への伝導性熱伝達を高めるためである。眼瞼の外側に印加する熱および/または力は、前述のように、調節できる。該力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。該力は熱を除去した後も残存することができ、したがって、身体の放熱板効果が眼瞼を通常の温度に戻すまでの時間を伸ばす。また、該力の印加は、閉塞または妨害物の圧搾も補助し得る。
【0053】
当業者は、付随の図面と関連する以下の発明を実施するための形態を読んだ後、本発明の範囲を認識し、そのさらなる態様を明確に理解する。
【0054】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本発明のいくつかの態様を例証し、その説明と併せて、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】マイボーム腺を示す、例示的なヒトの上眼瞼および下眼瞼を図解する。
【図2】マイボーム腺の例示的な断面図を図解する。
【図3】いくつかの詰まり機構を有するマイボーム腺の例示的な断面図を図解する。
【図4】熱を、眼瞼の外部に適用する際の、内眼瞼および外眼瞼の温度に対する時間の例示的な眼瞼温度プロファイルを図解する。
【図5】熱を、該眼瞼の内側に印加する際の、眼瞼の内側および外側の温度に対する時間の例示的な眼瞼温度プロファイルを図解する。
【図6】マイボーム腺の治療に関連する、内眼瞼に熱を印加する例示的な過程を図解する、フローチャートである。
【図7】熱および力を、眼瞼の内側に印加する際の、眼瞼温度に対する時間の例示的な瞼温度プロファイルを図解する。
【図8】マイボーム腺の治療に関連する、眼瞼の外側または外表面に印加する力を付加し、内眼瞼に熱を印加する例示的な過程を図解する、フローチャートである。
【図9】マイボーム腺の治療に関連して、患者の眼瞼の内側への熱、および患者の眼瞼の外側への力の印加を促進する、本発明に関連する一実施形態による、熱および力印加デバイスを図解する。
【図10】本発明に関連する一実施形態による、患者の眼瞼の内側に熱を制御可能に供給するように、患者の眼に適合するように構成される、図9に図解された熱および力印加デバイスの瞼加温構成要素を図解する。
【図11】本発明に関連する一実施形態による、マイボーム腺を治療するために、患者の眼の上に熱印加デバイスを取付けるための、患者の眼の眼瞼の内側に瞼加温器を設置する過程を図解する。
【図12】本発明に関連する一実施形態による、熱供給構成要素および瞼加温器の特徴をさらに図解するために、図9〜11に図解された瞼加温器の横断面図を図解する。
【図13A】マイボーム腺を治療するために、患者の眼の上に力印加デバイスを取付けるステップの一部として、アイカップを瞼加温器に固定するための、瞼加温器ならびにアイカップの熱および力印加デバイスの実施形態を図解する。
【図13B】マイボーム腺を治療するために、患者の眼の上に力印加デバイスを取付けるステップの一部として、アイカップを瞼加温器に固定するための、瞼加温器ならびにアイカップの熱および力印加デバイスの実施形態を図解する。
【図14】本発明の一実施形態による、眼瞼への熱および/または力の選択的かつ制御可能な伝達を円滑にするための、図9〜13Bのアイカップとコントローラとの間に取付けられるように適合する、インターフェースを図解する。
【図15】本発明に関連する一実施形態による、患者の眼瞼の内側へ熱を、および/または患者の眼瞼の外側へ力を印加するように、瞼加温器およびアイカップ構成要素に選択的かつ制御可能に伝達するための、熱および力印加デバイスの温度および圧力制御および伝達構成要素のトップレベルの系統図を図解する。
【図16】本発明に関連する一実施形態による、熱および力印加デバイスのためのインターフェース回路図を図解する。
【図17】本発明に関連する一実施形態による、患者の眼瞼の外側に選択的かつ制御可能に力を印加するための、熱および力印加デバイスの圧力制御システムを図解する。
【図18】本発明に関連する一実施形態による、患者の眼瞼の内側に選択的かつ制御可能に熱を印加するための、熱および力印加デバイスの温度制御システムを図解する。
【図19】本発明に関連する一実施形態による、患者の眼瞼の内側へ熱を、および/または患者の眼瞼の外側へ力を、選択的かつ制御可能に印加するための、熱および力印加デバイスによって利用する基本過程を図解するフローチャートである。
【図20】本発明に関連する一実施形態による、熱および力印加デバイスのためのシステム状態の流れ図である。
【図21A】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「再設定」状態の流れ図を図解する。
【図21B】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「再設定」状態の流れ図を図解する。
【図22】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、任意の「ヒューズブロー」状態の流れ図を図解する。
【図23】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「実行」状態の流れ図を図解する。
【図24】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「休止」状態の流れ図を図解する。
【図25A】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「監視」状態の流れ図を図解する。
【図25B】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「監視」状態の流れ図を図解する。
【図26】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「停止」状態の流れ図を図解する。
【図27】本発明に関連する一実施形態による、MGDを治療するための、代替的な熱および力印加デバイスの分解斜視図を図解する。
【図28】本発明に関連する一実施形態による、図27の線A−Aに沿った断面図による、代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図29】本発明に関連する一実施形態による、図27による、代替的な熱および力印加デバイスの分解図を図解する。
【図30】本発明に関連する一実施形態による、図27による、代替的な熱および力印加デバイスの断面図を図解する。
【図31A】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図31B】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図32】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図33】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図34】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図35】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図36A】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図36B】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図37】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図38A】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図38B】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図39】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図40】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図41】熱を印加して、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させる際の熱損失を軽減するために、マイボーム腺に近接する組織への熱および力の印加を利用する、代替的なマイボーム腺治療を図解するフローチャートである。
【図42】マイボーム腺を治療するために、患者の眼瞼の外側への熱および患者の眼瞼の内側への力の印加を利用する、代替的なマイボーム腺治療を図解するフローチャートである。
【図43】マイボーム腺を治療するために、患者の眼瞼の外側への熱および力の印加を利用する、代替的なマイボーム腺治療を図解するフローチャートである。
【図44】マイボーム腺を治療するために、患者の眼瞼の内側および外側の両方への熱の印加を利用する、代替的なマイボーム腺治療を図解するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下に説明する実施形態は、当業者の本発明の実践を可能にするために必要な情報を表し、本発明を実践するための最良の形態を図解する。付随の図面を考慮に入れて以下の説明を読めば、当業者は、本発明の概念を理解し、特に本明細書で言及されていないこれらの概念の応用を認識する。これらの概念および応用が、本開示および付随の特許請求の範囲内に含まれることを理解されたい。
【0057】
本発明の一実施形態は、眼瞼の内表面に熱を印加し、マイボーム腺機能不全(MGD)によって引き起こされるドライアイを治療する、画期的かつこれまでには知られていなかった方法を含む。眼瞼の内側への熱の印加により、マイボーム腺におけるより重篤な閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度まで、マイボーム腺の温度を効果的かつ効率的に上昇させることができる。そして、マイボーム腺からの皮脂の流れを改善し、水層の蒸発を減少させるように、閉塞または妨害物を物理的に圧搾することができる。
【0058】
一部の患者は、マイボーム腺における温度を高温にしないと、圧搾するのに十分なほど溶解、弛緩、または軟化しない、マイボーム腺における妨害物または閉塞を有する。多くの場合、これらの温度は、眼瞼の外側に熱を印加する際、達成できないか、あるいはこれらの温度は、相当長い時間、眼瞼の外側に熱を印加した後にのみ達成し得るか、のいずれかである。高温は、患者に許容できない疼痛反応か、患者の眼瞼への損傷かのいずれかを引き起こすかもしれない危険な温度の熱の印加によってのみ達成し得る。これは、伝導熱損失による、眼瞼の外側とマイボーム腺との間の温度降下のためである。眼瞼の外側に印加した熱は、眼瞼組織、および眼瞼の内側で、マイボーム腺を包み込む瞼板を通って伝導的に移動しなければならない。一例として、眼瞼の外側に患者の眼瞼または周囲組織を火傷または損傷することのない熱を印加するには、マイボーム腺における温度がほんの摂氏41〜42度の温度に到達するのに、20〜30分かかり得る。患者のマイボーム腺における特定の妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるためには、温度は、例えば摂氏43〜45度の間に到達する必要があり得る。
【0059】
本願まで、マイボーム腺機能不全(MGD)を治療するには、眼瞼の外側に熱を印加することのみが既知であった。医療専門家は、眼瞼の内側に熱を印加することは、反直感的であると考えていたことであろう。眼瞼の内側へ熱を印加することは、眼瞼または眼球自体への損傷の危険性があると考えられていた。皮膚への熱の印加のこれまでの研究では、損傷は、摂氏45度もしくは摂氏45度以上の温度で生じ得ることを示している。これらの研究は、外部の角化した皮膚において成された。内眼瞼における組織は、角化していない上皮であり、したがって、角化した皮膚ほど熱から保護されない。したがって、眼瞼の内側への熱の印加は、当然、眼瞼の外表面においてよりも低い温度で疼痛反応を引き起こすと考えられるだろう。しかしながら、眼瞼の内側への熱の印加は、意外にも、安全であるのみならず、MGD治療の一部としてマイボーム腺における妨害物および/または閉塞を取り除くのに効果的であることが、発見された。
【0060】
眼瞼の内側の加熱が、マイボーム腺へより効果的に伝導性熱伝達を提供し得ると仮定した。より効果的な熱伝達の達成は、マイボーム腺におけるより高い温度の達成を可能にし、およびより効果的な時間で、マイボーム腺においてより重篤な妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させることができる。マイボーム腺は、眼瞼の外側表面よりも眼瞼の内側表面の近くに位置する。さらに、眼瞼の内側とマイボーム腺との間に位置する瞼板がない。したがって、マイボーム腺への伝導性熱伝達は、眼瞼の内側を加熱すると、より効果的であることが発見された。熱伝導は、より薄い組織で増加する。
【0061】
この点に関して、従来の概念および既知の原理に反して、熱が眼瞼(より具体的には眼瞼結膜)の内側に印加する実験を実施した。熱は、調節されれば、患者の眼を損傷することなく、眼瞼の内側に印加し得ることが発見された。例えば、ほとんどの患者は、麻酔なしで、また著しい疼痛もなく、摂氏43〜44.5度の表面温度に耐えることができることが確認された。一部の患者は、麻酔なしで、摂氏44.5度を超える温度に耐え得ることが認められた。さらに、より効果的な伝導性熱伝達および加熱デバイスの近接により、眼瞼の外側に対してよりも、眼瞼の内側に熱を印加する場合、高温に、しかもより短時間で到達し得ることが発見された。
【0062】
熱を、眼瞼の内側に印加する際に産生され得る例示的な瞼温度プロファイル32を、図5に図解する。そこでは、グラフは、一定の熱源を例示的対象患者に印加する際の時間関数として、眼瞼の内表面の温度があり得る状態を描写している。患者の眼瞼の内側に取付けられた熱源を、一定時間作動させる。この患者に関しては、眼瞼の内表面が摂氏約44度に達するまで、約30秒かかった。図4に図解される瞼温度プロファイルとは異なり、患者の眼瞼の内表面は、熱を眼瞼の内側に印加した際、より高い温度に達した。例えば、眼瞼の内側に熱を印加する際、マイボーム腺の温度を摂氏43〜45度以上にするために、2〜3分しかかからない場合がある。本発明に限定しないが、マイボーム腺の温度を上昇させる能力は、妨害物または閉塞の弛緩点、軟化点、または融点に達し、マイボーム腺における妨害物または閉塞の溶解、弛緩、または軟化に役立つことを立証できる。
【0063】
この点に関して、MGDを治療するために、マイボーム腺に近接する眼瞼の内側または内表面に熱を印加する、基本的形態の、本発明の一実施形態を、図6のフローチャートに図解する。これには、典型的には、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度までマイボーム腺を上昇させるために、熱を眼瞼の外側に直接印加する場合よりも少ない時間を要するという利点がある。さらに、眼瞼の内側の加熱により、眼瞼の外側を加熱した場合よりも高い温度に到達することが可能になり得る。
【0064】
まず、マイボーム腺における妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度まで、眼瞼の内表面に熱を印加する(ステップ40)。本発明が、この温度範囲に限定されることはないが、例えば、眼瞼の内側の温度を摂氏43〜47度に上昇させるように、熱を印加し得る。熱を印加する時間範囲は、1〜10分の間であり得、3〜6分の範囲に限定し得る。熱を調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼の内表面にとって安全であって、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、温度内および手段内に制御することを意味する。十分な温度とは、眼瞼結膜を加熱して、妨害物の所望の溶解、弛緩、または軟化を達成するために必要とされる加熱量を指す。熱は、温度が妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な所望のレベルに達するまで、一定時間維持し得る(ステップ42)。本発明は、いずれの特定の熱印加時間にも限定されないが、例えば、熱は、1〜10分間、印加し得る。その後、加熱中か、加熱後のいずれかで、マイボーム腺における妨害物または閉塞は、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾し得る(ステップ44)。
【0065】
本発明に限定しないが、マイボーム腺の温度を効果的かつより効率的に上昇させる能力は、妨害物または閉塞の弛緩点または融点に達し、マイボーム腺における妨害物または閉塞の溶解、弛緩、または軟化に役立つことが立証され得る。
【0066】
本明細書で使用する、「溶解する」、「弛緩する」、および「軟化させる」という用語、ならびにそれらの変形は、広範に解釈するべきである。これらの用語は、妨害物または閉塞をさらに簡単に解放あるいは圧搾することができるような形態への、眼または眼瞼構造の疾患に関連する妨害物または閉塞を生じさせる、もしくはそれの一因になる妨害物または閉塞物の形態もしくは状態の何らかの変更を広範に包含する。これは、限定するわけではないが、除去されるべき妨害物または閉塞物の溶解、弛緩、液化および/または軟化、ならびに/あるいは眼または眼瞼構造の疾患に関連する妨害物または閉塞を引き起こす、またはそれらの一因となる、粒子状物質を結合する物質および他の様相の溶解、弛緩、液化、または軟化を含む、それほど固体ではない形態または状態からより液体である形態または状態への変化を含むが、これらに限定しない。
【0067】
熱の印加を調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。熱を、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な時間の間、維持する。熱の印加中か、または熱の印加を除去した後に、マイボーム腺における閉塞または妨害物を圧搾して、妨害物または閉塞を除去し、これにより腺からの皮脂の流れを回復または改善するための、改善した経路を提供する。
【0068】
一実施形態においては、眼瞼結膜の表面温度を少なくとも摂氏37度まで上昇させることにより、MGDの軽度の症例に対する治療効果を提供し始めることができる。治療温度は、体温を超える任意の温度であり得る。治療のための一つの好ましい温度範囲は、摂氏43〜44.5度が標的で、摂氏43〜45度である。熱を印加する時間範囲は、1〜10分の間であり得、3〜6分の範囲に限定し得る。この範囲の温度は、MGDを治療する際、患者にとって効果的かつ快適であることが認められている。
【0069】
一実施形態において、熱の印加は、調節し得る。調節した熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含むことができる。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得、または例えば、オン/オフ切り替えまたはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加し得る温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。
【0070】
例に過ぎないが、摂氏45〜55度に上昇させた温度が、調節した熱を印加する際、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。しかしながら、熱は、常に、患者の疼痛反応、ならびに患者の眼瞼および/または周囲組織に損傷が生じるか否かを考慮に入れた温度で、眼瞼に印加するべきである。熱を印加する際、患者のMGDの重症度または患者の疼痛耐性により、患者個々に基づき、上昇させた温度を使用することができる。皮膚が明色の患者は、概して、皮膚が暗色の患者よりも熱への耐性が低く、皮膚が暗色の患者は、熱への曝露の結果、よりわずかな炎症を示す傾向があることが認められた。湿度を含む他の要因が、より高温に対する患者の耐性の一因になり得る。例えば、ヒトは、概して、湿度が低いドライサウナでは、摂氏70〜80度の熱に耐えることができる。より湿度が高い環境における熱の印加は、より低温で、疼痛および/または火傷の発生を引き起こし得る。
【0071】
患者に相当の炎症または危険を招く重症のMGDの症例は、概して治癒するため、患者の眼瞼に1度または2度の火傷を生じさせる温度を必要とする場合さえある。第3度の火傷を生じさせる温度は、避けるべきである。要約すれば、治療時間および/または温度は、これらの差異を考慮して調節し得る。本発明は、治療温度を印加する限り、いずれの特定の温度または時間範囲にも限定しない。
【0072】
調節した熱は、治療の間、治療温度で維持できる。治療時間は、例えば、約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0073】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ44)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ46)。ドライアイ症候群の治療のために多くの薬剤が提案されているが、それらのいずれも効果的、またはマイボーム腺における妨害物の除去に対してより効果的であり得る。利用し得る薬剤の中に、局所または経口テトラサイクリンおよび化学的に修飾されたテトラサイクリン等の抗生物質、テストステロン、局所または経口コルチコステロイド、局所アンドロゲンまたはアンドロゲン類似体、魚油等のオメガ3脂肪酸組成物、ラエンネック、脂質産生を促進する酵素、脂質産生を促進する酵素の産生を刺激する剤、ならびに/またはマイボーム腺分泌または他の涙成分の分泌を促進する分泌促進物として作用する任意の剤を含むが、それらに限定しない。例えば、アンドロゲンおよびアンドロゲン類似体、ならびにTGF−ベータは、マイボーム腺分泌を促進する分泌促進物として作用すると報告されている。これらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用し得ることを認識する。
【0074】
また、涙成分の産生に取って代わる、またはそれを促進するレスタシス(シクロスポリンA)等の剤を、本発明によるマイボーム腺の治療後、より効果的に適用することもできる。マイボーム腺の治療は脂質層を改善し、したがって、蒸発を減少し、水層を保持する。水層の保持は、涙成分剤により涙代用物を適用する必要性を軽減する。したがって、患者のMGDを治療するための本発明を用いれば、涙成分剤をそれほど頻繁に使用する必要がなくなり得る。
【0075】
眼瞼の内側への熱の印加に関する実験過程において、眼瞼の内側に位置する血管内の血流により、対流熱損失が生じることも発見された。眼瞼の内側に位置する血管を通る血流が、対流熱損失を生じさせる。血流は、身体が提供する天然の「放熱板」としての役割例を果たす。対流熱損失は、眼瞼の外側に熱を印加する場合よりも、眼瞼の内側に熱を印加する場合に小さくなる。これは、眼瞼の外側よりも、マイボーム腺と眼瞼の内側との間に位置する血管が少ないためである。マイボーム腺は、眼瞼の内側の近傍に位置する。しかしながら、眼瞼の内側を加熱する場合にも、やはり対流熱損失は生じる。しかしながら、血流が低下すると、対流熱損失が最小限に抑えられ、マイボーム腺において、温度をさらに効率的に、かつ短時間に達成および持続させることが可能である。
【0076】
この点に関して、熱を眼瞼の内側に印加し、様々な圧力レベルの力を眼瞼の外側に印加する際の、例示的な瞼温度プロファイル50を、図7に図解する。そこでは、グラフは、一定の熱および圧力源を例示的対象患者に印加する際の時間関数として、眼瞼の内表面および外表面の温度を描写している。最初は、眼瞼には熱または圧力を印加しない。この実施例においては、眼瞼の内側の温度は摂氏約36度であり、一方、眼瞼の外側の温度は摂氏約35度である。熱源が作動して眼瞼の内側に熱を印加し、70mmHgの圧力を眼瞼の外側に印加すると、眼瞼の内側の温度は急激に著しく上昇する。眼瞼に印加している圧力が眼瞼における血流を低下し、それが対流熱損失を軽減し、伝導性熱利得を増大する。眼瞼の外側の温度も急激に上昇するが、熱源が眼瞼の内側にあるため、眼瞼の内側においてほど著しくはない。眼瞼の内側および外側で、それぞれ摂氏約40.5および38.3度の公称温度に到達する。
【0077】
圧力が増すと、図4に図解されるように、さらに高い温度を達成する。最後に、熱源を完全に停止すると、温度は下がる。しかしながら、眼瞼の温度は、引き続き印加する力のために、直ぐには下がらない。やはり、その力が、血流を低下させ、対流熱損失を防止する。印加した後、熱および力の両方を停止すると、眼瞼の温度はより急速に下がる。これは、眼瞼における血流が妨害されず、身体の血流が「対流で迅速に熱を逃がす」のを可能にするためである。したがって、眼瞼における温度を図解する図7の瞼温度プロファイル50は、熱に加えて力を印加することで、効果的かつ迅速に上昇し得る。対流熱損失を軽減するための力の印加は、熱を眼瞼の内側または外側のいずれに印加する場合でも、印加し得ることに留意されたい。図7に図解しているように、力の印加は両方のシナリオにおいて効果的である。
【0078】
したがって、本発明の一実施形態も、熱に加えて、患者の眼瞼へのさらなる力の印加を含む。力の印加は、より短時間に、したがってより効率的に、眼瞼の内側の眼瞼結膜およびマイボーム腺において、より効率的なより高い温度の獲得をさらに補助できる。これは、前述のように、力の印加が眼瞼への血流を低下させ、対流熱損失を軽減し得るためである。
【0079】
この点に関して、MGDを治療するために眼瞼に熱および力を印加する本発明の一実施形態を、図8のフローチャートに図解する。まず、マイボーム腺の温度を所望のレベルまで上昇させるために、眼瞼に熱を印加する(ステップ60)。例えば、摂氏44〜47度まで眼瞼の内側の温度を上昇させるように、熱を印加することができる。熱は、眼瞼の内側もしくは外側、または眼瞼の両側に印加し得る。熱も調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。また、眼瞼の血流を低下させ、印加した熱に、より迅速にマイボーム腺の温度を上昇させるように、力も眼瞼に印加する(ステップ62)。力は、眼瞼の内側または外側に印加し得る。
【0080】
熱および/または力は、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度までマイボーム腺を上昇させるのに十分な時間の間、維持し得る(ステップ64)。該力は、所望の治療手技により、熱を除去した後も維持するか、またはその逆もあり得る。熱を除去した後に力を維持すると、力を除去した場合よりも、マイボーム腺の温度がよりゆっくりと散逸し得る。力を維持せずに、熱を維持することを、連続治療の間等に、眼瞼における血流を可能にすることができるように用い得る。例えば、治療と治療の間に力を印加および除去しながら、総治療時間を短縮するために、熱を維持することが望ましい場合がある。また、妨害物または閉塞が、マイボーム腺のより深部においてよりも、眼瞼縁の極めて近位に位置する場合、相当な量の力を、または熱と同じ時間、印加する必要があるとは限らない。
【0081】
また、力の印加は、該力により生み出される圧力が、熱源を眼瞼の組織に押し付けるため、印加する熱源からのより効率的な伝導性熱伝達をもたらし得る。この圧迫は、いくつかの利点を有し得る。圧迫は、熱を印加する組織に広がり、これにより、組織がより薄くなり、伝導性熱伝達を改善する。また、圧迫は、微細な皮膚の粗さによる眼瞼の表面の空洞部分を「絞り出す」ことができる。したがって、眼瞼に対する熱源の圧迫は、熱源と眼瞼の表面との間の表面接触を増加し(熱伝達方程式を増加する)、マイボーム腺へのより効果的な伝導性熱伝達を提供する。これは、これらの効率性の獲得により、マイボーム腺をより短時間で所望の温度レベルまで加熱するという結果になる。さらに、そうでなければ獲得しなかったかもしれない温度の上昇を達成し得るか、または少ない熱または熱エネルギーを使用して取得することができる。加熱が眼瞼表面の極めて近位に位置し、また加熱を眼瞼表面に対してさらに押し付けるため、熱伝達が非常に効率的になり、眼瞼の表面の温度がマイボーム腺の温度に非常に近くなる。
【0082】
さらに、マイボーム腺を加熱する時間の正確な短縮は、力を印加する場合患者により異なり、また患者の眼瞼に印加する圧力の量に基づき得るが、概して、加熱時間の変化は、これまでの方法と比較して、例えば数百パーセントも異なり得ることに留意されたい。一実施例として、これは、従来の方法と比較すると、再凝固が起きる前に妨害物または閉塞を圧搾しなければならない、5分または5分以上と解釈し得る。
【0083】
力を調節し得るとは、力生成手段を、眼瞼に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。また、該力は、一定力であり得、手動で提供し得る。例えば、力は、熱を印加しながら、技術者または医師の親指を含む指により、提供し得る。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方で印加し得る。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的、または液体型のデバイスもしくは機構を使用して生成されるものを含む、振動型の力を含み得る。力は、明確にマイボーム腺に方向付けられるように、患者の眼瞼の特定の位置またはベクトルに印加することができる。これは、該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要とされる力のレベルを低下し得る。また、該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力のレベルを、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減し得る。
【0084】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾、あるいは、該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用することができる。場合によっては、眼瞼に印加するかすかで弱く連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0085】
その後、加熱中および/もしくは力の印加中のいずれか、あるいはいずれかの後、マイボーム腺における妨害物または閉塞を、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾することができる(ステップ66)。
【0086】
熱のみを印加する、図6のフローチャートで前述したのと同じように、熱の印加を調節し得る。調節した熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得、または例えば、オン/オフ切り替えまたはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加し得る温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。
【0087】
例に過ぎないが、摂氏45〜55度に上昇させた温度が、調節した熱を印加する際、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。しかしながら、熱は、常に、患者の疼痛反応、ならびに患者の眼瞼および/または周囲組織に損傷が生じるか否かを考慮に入れた温度で、眼瞼に印加するべきである。熱を印加する際、患者のMGDの重症度または患者の疼痛耐性により、患者個々に基づき、上昇させた温度を使用することができる。皮膚が明色の患者は、概して、皮膚が暗色の患者よりも熱への耐性が低く、皮膚が暗色の患者は、熱への曝露の結果、よりわずかな炎症を示す傾向があることが認められた。湿度を含む他の要因が、より高温に対する患者の耐性の一因になり得る。例えば、ヒトは、概して、湿度が低いドライサウナでは、摂氏70〜80度の熱に耐えることができる。より湿度が高い環境における熱の印加は、より低温で、疼痛および/または火傷の発生を引き起こし得る。
【0088】
患者に相当の炎症または危険を招く重症のMGDの症例は、概して治癒するため、患者の眼瞼に第1度または第2度の火傷を生じさせる温度を必要とする場合さえある。第3度の火傷を生じさせる温度は、避けるべきである。要約すれば、治療時間および/または温度は、これらの差異を考慮して調節し得る。本発明は、治療温度を印加する限り、いずれの特定の温度または時間範囲にも限定しない。
【0089】
調節した熱は、治療の間、治療温度で維持できる。治療時間は、例えば、約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0090】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ66)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ68)。図6のフローチャートについての上記の薬剤の使用に関する説明は、本実施形態にも等しく適用可能であり、したがって、ここでは繰り返さない。それらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用し得ることを認識する。
【0091】
一実施形態においては、MGDを治療するために、熱を眼瞼の内側に印加しながら、眼瞼の外側に力を印加することができる。上眼瞼または下眼瞼の内表面の加熱は、任意の簡便な方法により行うことができる。一旦加熱した閉塞を除去するのに利用可能な時間により、瞼は1つずつ、または一度に両方を加熱することができる。眼瞼結膜を加熱するためのデバイスの1つを、図9〜14に図解する。
【0092】
図9は、熱および力印加デバイス70と称される全体デバイスを図解する。本実施形態においては、熱および力印加デバイス70は、熱および圧力生成および調節構成要素を含む、携帯型バッテリ駆動コントローラ72から成る。コントローラ72は、例えば、テーブルトップ上に載置される、または載っている非携帯型デバイスでもあり得る。本明細書で説明するようなコントローラ72は、電子および空気制御および支持構成要素を含み(ただし、これらに限定しない)、患者の眼瞼に対する熱および/または力の印加を可能にし、かつ制御するように調整する、任意のデバイスを説明および包含することを意図する。コントローラ72は、コントローラインターフェース76を介して、使い捨て構成要素74に接続し、図9に示されるように、眼瞼78において熱および力を生成する。使い捨て構成要素74は、患者の眼瞼の内側に熱を印加するレンズ(図10〜12に図解した)の形態で提供する瞼加温器90から成り、アイカップと連動して、患者の眼瞼の外側に力を印加する(図13〜14に図解した)。両方を併せて使用し、単眼のMGDを治療することができる。インターフェース76管を患者の耳77に巻き付け、任意の超過分を患者の衣服にクリップ留めすることができる。熱および力印加デバイス70は、医師が、MGDを治療するための局部的な熱および圧力治療を印加するために使用することを意図している。
【0093】
コントローラ72は、ユーザインターフェース80を含み、医師または他の技師が熱および力印加デバイス70を制御できるようにする。患者の眼瞼78に印加する温度および圧力は、温度表示部82および圧力表示部84上で見ることができる。温度および圧力表示部82、84を観察することによって、医師は、治療温度および圧力に到達したことを決定することができる。例えば、温度および圧力表示部82、84は、温度および圧力レベルならびに温度および圧力レベルの増減性質の両方を見ることができるように、セグメント棒グラフであり得る。患者の眼瞼において到達する温度レベルは、コントローラ72内の静水位に設定するか、あるいは医師または技師によって制御可能であり得る。患者の眼瞼に印加する力、したがって圧力は、力レバー86を締め付けることによって制御可能である。医師または技師が力を印加しようとする場合、力レバー86を締め付けることができる。力を解放する、したがって圧力を低減するために、力レバー86を離す。患者の眼瞼に印加する力によって形成される圧力を、圧力表示部84上に表示する。
【0094】
タイマー表示部88は、コントローラ72上に提供され、熱および/または力を患者の眼瞼78に印加した時間の量を表示することができる。タイマー表示部88は、経過した時間の累積量を表示するか、または初期期間を設定する場合にカウントダウンを提供することができる。例えば、タイマー表示部88は、いくつかの7セグメント表示部から構成し得る。一実施形態においては、タイマー表示部88は、180秒からカウントダウンし、120秒および60秒で点滅して、医師が力レバー86を離し、次いでレバー86を再び締め付けることによって、力および圧力を再印加するための指標となる。
【0095】
図10は、使い捨て構成要素74をより詳細に図解する。使い捨て構成要素74は、開示する実施形態におけるレンズを含む瞼加温器90から成る。レンズ90は、患者の眼瞼91A、91Bに熱を印加するための加熱要素を含むが、力を印加し得る断熱バックプレートも提供する。図11に示すように、レンズ90は、患者の眼の上に配置し、患者の上眼瞼および下眼瞼91A、91Bはレンズ92の外表面にある。取付けを行う前に、レンズ90の強膜側を生理食塩水または同等の潤滑滴で潤滑化することができる。次いで、レンズ90を眼瞼91A、91Bの下にある患者の眼に挿入する。加熱要素(図示せず)は、取付ける際に患者の眼瞼の内側に熱を印加できるレンズ90内に含まれる。レンズ90を構成するために使用する材料は導電性ではないが、熱伝導性であって、加熱要素内からの熱を患者の眼瞼に伝達させることができる。レンズ90は、例えば、LEXAN HPS2等の透明プラスチックを含む、プラスチックから構成することができる。さらに、レンズ90は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の生体適合性材料、エポキシ、または当業者によく知られる他の材料から構成することができる。レンズ90は柔軟であり得るが、理想的には、患者の眼球に適合するように、最小限にのみ圧縮可能であるべきである。
【0096】
レンズ90は、レンズに取付けられる、瞼加温器プラットホームまたはタブ94も含む。瞼加温器プラットホーム94は、取付ける際に患者の眼から離れて延在するように、レンズ90に対して垂直に接続し得る。瞼加温器プラットホーム94は、いくつかの利点を提供する。第1に、レンズ90およびその加熱要素の挿入および移動または調整のためのハンドルを提供する。第2に、レンズ90が患者の眼瞼の内側に熱を印加する間に、患者の眼瞼に力を印加するように取付けるための圧迫力デバイス用ガイドポストを提供する。レンズ電気的インターフェース96を支持して、レンズ90が、レンズ90の内側の加熱要素を、インターフェース76を介して、コントローラ72に電気的に接続できるようにすることもできる。次いで、コントローラ72は、取付けられると電気エネルギーを加熱要素に印加して、レンズ90の内側、したがって患者の眼瞼の内側に熱を生成する。第2に、インターフェース回路98の支持構造を提供する。インターフェース回路98は、加熱要素を活性化し、レンズ90で測定する温度をコントローラ72に逆伝達して熱調節するための電気的接続を提供する。インターフェース回路98は、本出願において図16に関して後述する。
【0097】
図12は、図9〜11において図解するレンズ90を用いる瞼加温器の横断面図を図解し、本発明の一実施形態による、瞼加温器の熱供給構成要素および特徴をさらに図解する。レンズ90は、眼瞼側92に取付けられている強膜側93によって形成される。レンズ90の強膜側93は、その周囲端の周りに屈曲100を含み、眼瞼側92の取付けを支持するための取付け端102を提供する。屈曲100のため、空洞室104は、レンズ90の内部で形成される。空洞室104は、レンズ90の内側に含まれる加熱要素106を支持し、励起されると熱を生成する。加熱要素106は、生成される熱が、内眼瞼に近接して位置し、マイボーム腺に熱を印加するように、レンズ90の眼瞼側92に隣接する。加熱要素106は、ヒューズリンク108を介してインターフェース回路98に取付け、次いで、コントローラインターフェース76に取付けられている瞼加温器プラットホーム94を介して、コントローラ72に取付ける。このように、コントローラ72は、加熱要素106に接続されるインターフェース回路98に電気信号を印加することによって、レンズ90の内側の加熱要素106に熱を生成させることができる。温度がヒューズリンク108の閾値温度レベルを超過すると、リンク108が溶解し、安全上の理由から、開回路を形成して加熱要素を無効にする。代替として、ヒューズリンク108が溶解して、所定の閾値温度で開回路を形成するように、ヒューズリンク108は、加熱要素の統合部分として提供される熱リンクであり得る。
【0098】
加熱要素106は、任意の形態の材料で提供し得る。加熱要素106は、抵抗型加熱器、厚膜加熱器、または多数の他の種類の任意の1つ、例えば、当業者によく知られる「フレックス回路」(フレキシブル基板上のエッチング加工された金属)であり得る。加熱要素106は、レンズ90の形状に形成することができる。図解した実施例において、加熱要素106は、電気的にも熱的にも伝導性のある材料である。このことは重要であり得る。導電特性は、加熱要素106に印加する電流による抵抗熱の生成を可能にする。熱伝導特性は、抵抗熱を加熱要素106全体に均等に分散させて、患者の眼瞼に対して熱をより均等に分散させる働きをする。これらの特性がなければ、加熱要素によって生成される熱を調節して、マイボーム腺における妨害物または閉塞を効率的かつ効果的に溶解、弛緩、または軟化させることがより困難となり得る。実施例は、いずれもCool Polymers,Inc製のE5101炭素負荷硫化ポリフェニレンおよびE2液晶高分子を含む。
【0099】
レンズ90のサイズは、加熱要素106の選択およびMGD治療において効果的になるように生成すべき熱の量にも関与し得る。レンズ90は、加熱要素106が生成する熱を分散する。より大きいレンズ90は、加熱要素106によって生成される熱を、より均一に、より広い表面領域上で分散し得る。患者の眼瞼に対する熱の印加は、必ずしもレンズ90に埋め込まれた加熱要素106を含む必要がないことにも留意されたい。熱印加は、例えば、空気等の環境の一部として提供し得る。印加する熱の量、マイボーム腺において到達し、その結果患者の眼瞼または周囲組織に熱を印加する温度、および熱を印加する期間は、加熱源の選択を制御することができる。
【0100】
レンズ90を構成するために使用する材料によって提供される断熱に加えて、レンズ90は、断熱の追加手段として、室104内に統合断熱体も含み得る。断熱は相当の熱が眼球に到達するのを防ぎ、したがって、角膜および強膜を保護する。本明細書で用いる、用語「断熱する」または「断熱」は、任意の構成要素または材料、および/または構成要素または材料の特定形状を含むことを意図し、眼瞼に対するよりも、眼の表面に対する熱伝導または放射への抵抗が大きい。代替として述べると、断熱体において、熱エネルギーは、眼球表面よりも眼瞼91A、91Bに対してより容易に放射し、眼球を損傷させる可能性を最小限にする。図12のレンズ90の実施例において、統合断熱体は空気であり、室104の全体容積を満たさず、加熱要素106によってできたスペースを開けて存在する自然のギャップによって形成される。加熱要素106は、レンズ90におけるその位置によってバイアスされ、また特に統合断熱体の裏側に位置して、患者の眼瞼の内側で、眼球よりも多くの熱を産生する。
【0101】
図13Aは、コントローラ72が、熱に加えて、患者の眼瞼91A、91Bに力を印加できるように調整するアイカップ110を図解する。アイカップ110は、膨張式ブラダー114を支持する、湾曲したキャリア112である。膨張式ブラダー114は、湾曲したキャリア112に取付ける。次いで、膨張式ブラダー114は、コントローラインターフェース76(図14を参照)における管118を介して、コントローラ72に接続し、コントローラ72が空気を管118に送り込み、膨張式ブラダー114を膨張させることができる。膨張すると、アイカップ110は、眼瞼91A、91Bの外部に力を印加し、一方で熱をレンズ90および加熱要素106を介して印加し得る。力を患者の眼瞼91A、91Bに印加するために、ブラダー114は、コントローラ72の制御下で膨張させる。力を解放する、したがって圧力を低減するために、ブラダー114内の空気をコントローラ72によって放出させる。
【0102】
使用することが望ましい場合は、瞼加温器プラットホーム94を、ラッチ機構116の間にあるアイカップ110におけるアイカップ開口部またはスロット113に挿入する。ラッチ機構116は、使用中に瞼加温器プラットホーム94をアイカップ110に固定するための手段を提供すると共に、瞼加温器電気的インターフェース96を、コントローラインターフェース76を介してコントローラ72に電気的に接続するためのインターフェースを提供する。ラッチ機構116は、半円形のキャリアベース119を有するキャリア117から成る。キャリアベース119は、アイカップ110に取付けられたアイカッププラットホーム121を受容する。キャリアベース119およびアイカッププラットホーム121は、クリップのように一緒に締め付けて、アイカップ110の開口部113に挿入すると、瞼加温器プラットホーム94がキャリア117に挿入される開孔部を制御する。キャリアベース119をアイカッププラットホーム121に対して締め付けない場合は、瞼加温器プラットホーム94を挿入するキャリア開孔部が閉じ、瞼加温器プラットホーム94をキャリア117、したがってアイカップ110に固定する。アイカッププラットホーム119は、アイカップ開口部113に挿入する際に、瞼加温器プラットホーム94が上に位置するように調整する。挿入すると、瞼加温器74の電気的インターフェース96は、キャリアインターフェース123に接触し、電気的インターフェース96とコントローラインターフェース76との間に電気的接続を提供する。
【0103】
図13Bは、図13Aにおいて図解されたものに対する代替ラッチ機構116Aを図解する。ラッチ機構116を水平面で押し付ける間、アイカップ110は、患者の眼瞼91A、91Bの外部に対して位置するまで瞼加温器タブ94に沿って前方に移動させる。ラッチ機構116を解放すると、アイカップ110は、瞼加温器タブ94に沿ったその位置に固定される。このように、患者の眼瞼91A、91Bは、レンズ90とアイカップ110との間に「挟まれる」。ラッチ機構116に関するさらなる情報および詳細は、図27〜30において図解し、本出願において後述する。
【0104】
図14は、コントローラインターフェース76に関するさらなる詳細を図解する。コントローラインターフェース76は、コントローラ72をレンズ90およびアイカップ110に連結し、コントローラ72がMGD治療の一部として、熱および/または力を患者の眼瞼に制御可能に印加できるようにする。コントローラインターフェース76は、コントローラ72に接続する一端にコネクタ120を含む。コネクタ120は、電気的インターフェース122および気送インターフェース124の両方を含む。以下でより詳細に説明するように、電気的インターフェース122により、コントローラ72は、電子機器配線126上で、瞼加温器90との間で電気信号を送受信することができる。電子機器配線126は、アイカップ110上のアイカップ電気的コネクタ128と連動して、瞼加温器プラットホーム94をアイカップ110に挿入すると、図13Aおよび13Bの実施例に示すように、瞼加温器90の瞼加温器電気的インターフェース96を、電子機器配線126に接続するようにする。気送インターフェース124により、コントローラ72は、管118に空気を送り込み、アイカップ110上の膨張式ブラダー114を膨張させて、患者の眼に力を印加し、膨張式ブラダー114内の空気を抜いて、力を解放し圧力を軽減する。図解した実施形態において、気送インターフェース124を、アイカップ110上の膨張式ブラダー114に安全に連結する。
【0105】
図15は、図14を補足して、コントローラ72と使い捨て構成要素74との間のインターフェース構成要素およびアイカップ110をシステムレベルで図解する。熱および力印加デバイス70のコントローラ72は、圧力制御システム130および温度制御システム132を含む。圧力制御システム130は、アイカップ110を介して患者の眼に印加する力からの圧力を制御する、コントローラ72内の制御構成要素である。温度制御システム132は、瞼加温器90を介して患者の眼に印加する熱を制御する、コントローラ72内の制御構成要素である。圧力制御システム130は、管118内の圧力を圧力制御システム130内の圧力センサ134にも伝達する。以下により詳細に説明するように、圧力センサ134を使用して、管118内の圧力レベルを決定し、圧力を圧力表示部84に表示すると共に、コントローラ72にフィードバックを提供して、システムのための様々な機能および制御を提供する。圧力センサ134は、コントローラ72、または必要に応じてコントローラ72に連結する外部データ取得デバイス(図示せず)による圧力データの記録も可能にする。
【0106】
図15は、アイカップ90上のラッチ機構116に関するさらなる詳細も図解する。ラッチ機構116Aは、瞼加温器90と瞼加温器プラットホーム94とアイカップ110との間の接続の提供を容易にし、アイカップ110を患者の眼瞼に固定するためにアイカップ開口部113をレンズプラットホーム94に滑り落ちさせる際に、瞼加温器90を電子機器配線126に提供するのを容易にする。2つの異なる種類のラッチ機構116、116Aを、図13Aおよび13Bにおいてすでに図解したが、いずれかを使用して、プラットホーム94をアイカップ110に固定することができ、または任意の他の種類を使用することができる。
【0107】
図16は、ここに開示する実施形態において、電子機器配線126を含み、コントローラ72および特に温度制御システム132を瞼加温器90と連動させて、患者の眼に熱を印加する特定の配線および支持回路を図解する。6つの配線が電子機器配線126を構成する。6つのインターフェース配線を、使い捨て構成要素74に埋め込まれるインターフェース回路98に接続する。HEATER+およびHEATER−は、プラットホーム94をコントローラインターフェース76に接続する際、瞼加温器90における加熱要素106に接続する。THERM1+およびTHERM2+は、2つのサーミスタ136A、136Bに連結する。2つのサーミスタ136A、136Bは、温度フィードバック機構の一部として、患者の眼瞼における温度の表示を提供し、温度制御システム132は、制御のために温度を監視できる。好適な実施形態において、加熱要素106と患者の眼瞼の内部との間の温度低下は最小であるため、温度調節はより簡単である。これは、サーミスタ136A、136Bが、腺において実際の温度により近い温度を記録し、したがって温度のオーバーシュートを最小限にするためである。患者の組織を損傷しないように、温度のオーバーシュートを最小限にする試みが重要である。温度サーモスタットまたは他のより複雑な調節回路を用いて、特に温度のオーバーシュートが問題である場合に、必要に応じて温度も同様に調節することができる。さらに、加熱要素106が常に励起されていても、周知の最大量の熱のみを生成し得るように、加熱要素および電力供給のサイズを選択することもできる。これは、調節回路の使用を回避し、温度のオーバーシュートを防ぐ。
【0108】
2つのサーミスタ136A、136Bを、故障した場合に冗長およびエラー確認のために提供する。サーミスタ136A、136Bの両方は、温度を示す同一信号を提供する必要がある。両方のサーミスタは、共通のRETURNに連結し、共通の反流/接地を提供する。最後に、FUSEラインを提供し、RETURNラインにも連結するヒューズ138に連結する。本出願において後述するように、コントローラ72は、ヒューズ138を飛ばすために十分なFUSEライン上で電流を送ることができる。コントローラ72は、ヒューズ138を飛ばして、瞼加温器90がすでに使用されているという表示を提供することができる。したがって、瞼加温器90を再利用する場合、コントローラ72は、FUSEライン上の開回路を検出し、ヒューズ138がすでに飛んでいることを知ることができる。
【0109】
図17は、圧力制御システム130の追加構成要素を図解し、ここに開示する実施形態に対するさらなる詳細を提供する。圧力制御システム130は、電気ポンプ139を含み、空気を管118に送り込む。他の種類のポンプを使用することもできる。逆止め弁140は、電気ポンプ139と膨張式ブラダー114との間の管118において一列に提供され、コントローラ72は、空気をシステムに引き込み、逆流放出することなく、膨張式ブラダー114を膨張させるように使用することができる。アイカップ110に対するライン圧力が、コントローラ72における最大圧力設定を超えないことを保証するための安全対策として、安全弁141も提供する。図15において図解し、上述したように、圧力センサ134は管118に連結し、様々な機能のために、管118内の圧力を圧力制御システム130に伝達する。
【0110】
図18は、好適な実施形態における温度制御システム132をより詳細に図解する。温度制御システム132は、電力システム142を含み、システム構成要素に対して電力を提供する。ここに開示する実施形態において、バッテリ144を電力供給として使用する。バッテリ144からのエネルギーは、逆バッテリ保護および低バッテリ検出回路146に提供する。バッテリ144の電力が低い場合、低バッテリ信号を、低バッテリ信号ライン148上でタイマーおよび表示部コントローラ150に伝達する。タイマーおよび表示部コントローラ150は、治療タイマーの制御およびタイマー表示部88上でのそれらの表示に関与する。また、タイマーおよび表示部コントローラ150を使用して、低バッテリ信号を含む、コントローラ72に関する他のコードをユーザに伝達する。バッテリ144からのエネルギーは、様々なDC−DC変換器152にも転送され、コントローラ72およびその操作用の構成要素が必要とする様々な電圧レベルを提供する。本発明は、任意の特定型の電力システムまたは特定の電力構成要素に限定しないことに留意されたい。
【0111】
温度制御システム132は、データインターフェース154も含み、圧力および温度データをデータロガー156に提供し得る。データロガー156は、タイマーおよび表示部コントローラ150に対するタイマーインターフェース158も含み、データに関して時間を記録できるようにする。データロガー156を使用して、分析のための患者治療に関するデータを記録し得、および/または試験目的でデータを提供し得る。データロガー156は、試験コネクタ160に連結し得、システムに関するログデータを、試験コネクタ160に連結する外部デバイス(図示せず)を介して表示および/または記録できるようにする。
【0112】
温度制御システム132の残余部分は、熱および力印加デバイス70の全体動作および制御を提供する、コントローラ72の様々な構成要素から成る。これらの構成要素は、プログラム可能なゲートアレイ(PGA)を含む様々な回路および制御構成要素の形態で提供される。該構成要素は、一緒に相互作用して、システムの動作のためのシステム論理を提供する。これらの構成要素ついて、システムの論理制御について説明する、以下の図21〜26と併せて説明する。これらの構成要素は、アナログまたはデジタル回路のいずれかによって提供し得、また必要に応じて、ソフトウェアを含むマイクロプロセッサベースの設計を使用して提供することができることに留意されたい。
【0113】
図21〜26は、コントローラ72のステートマシン、ならびに熱および力印加デバイス70の操作および論理を提供する状態で行う様々な操作を図解する。しかしながら、ステートマシンおよび様々な状態の論理を検討する前に、コントローラ72の高レベルの全体操作を、図19のフローチャートに関して説明する。図19ついて、図19において図解するコントローラ72のステートマシンを構成する様々な状態と併せて論じる。
【0114】
図19は、本発明の実施形態によるコントローラ72、および圧力制御システム130および温度制御システム132を含むそのシステムによって実行される、全体動作および熱および力印加デバイス70の動作および論理を説明するフローチャートを示す。該プロセスは、再設定状態におけるコントローラ72再設定から開始する(図19におけるステップ200、図20における再設定状態220)。該コントローラ72は、ここに開示する実施形態において、常に再設定状態で開始する。再設定状態は、電力サイクルの結果として、または新しい使い捨て構成要素74がコントローラ72に接続すると生じ得る。再設定後に、コントローラ72は、治療を開始する前に一連の試験を行い、コントローラ72およびその構成要素が適切に動作しているか否かを決定する(図19における決定202)。適切に動作していない場合はエラーを示し、コントローラ72は、停止状態に入ることによって動作を停止する(図19におけるステップ204、図20における停止状態224)。該停止状態は、加熱器を無効にする。コントローラ72が適切に動作している場合(図19における決定202)、コントローラ72は、実行および監視状態に入ることによって動作を進め、治療を開始する(図20における状態226および228)。
【0115】
オプションとして、コントローラ72は、第1に瞼加温器90上でヒューズを飛ばし、ヒューズブロー状態で開回路を形成する(図19におけるステップ205、図20におけるヒューズブロー状態222)。これは、安全および汚染の理由から、瞼加温器90を後の治療に再利用できないためである。決定202における動作確認の一部として、コントローラ72は、瞼加温器90上のヒューズが再設定状態で飛んでいるか否かを決定することができる(図20における220)。その場合、これは、瞼加温器90がすでに使用されていることの指標表示となり、コントローラ72は、停止状態に入る(図19におけるステップ204、図20における停止状態224)。コントローラ72は、ヒューズが飛んだ後瞼加温器90が除去されるまで、取付けられる瞼加温器90との動作を引き続き可能にする。かかる場合において、コントローラ72は、再設定状態に入る(図19におけるステップ200、図20における再設定状態)。
【0116】
次に、コントローラ72は、治療の準備を行う。コントローラ72は、第1に、タイマーおよび表示部コントローラ150における治療タイマーを初期化し得る。タイマーにより、コントローラ72のユーザは、熱および力の印加を含む、治療が発生した時間の量を追跡することができる。異なる患者は、治療中の熱および力の印加に異なる時間の量を要し得る。例えば、治療サイクルは、3分間の熱の印加を含み得るが、力は、3分間の治療時間中に数回印加、解放、および再印加する必要があり得る。
【0117】
続いて、コントローラ72は、温度制御システム132および圧力制御システム130が、実行状態の一部として、熱および力を患者の眼瞼に印加できるようにする(図19におけるステップ208、図20における実行状態226)。瞼加温器90およびアイカップ110の開示される実施形態において、前述のとおり、熱を患者の眼瞼の内側に印加し、力を患者の眼瞼の外側に印加する。しかしながら、コントローラ72を使用して、熱および/または力を、患者の眼またはいずれも患者の眼瞼の外側を含む支持構造の任意の一部に印加することができ、また熱を患者の眼瞼の外側に、力を患者の眼瞼の内側(ただし、これらの部位に限定しない)に印加できることに留意されたい。次いで、コントローラ72は、監視状態での熱および圧力調節の一部として、患者の眼瞼に印加する温度および力を監視する(図19におけるステップ210、図20における監視状態228)。実行および監視状態226、228は、好適な実施形態において同時に動作し、治療中に熱および力を絶えず印加し、温度および圧力を監視するようにする。実行または監視226、228中に、エラーを検出した場合(図19における決定212)、コントローラ72は停止状態に入り、治療を中止する(図19におけるステップ216、図20における停止状態224)。エラーを検出しない場合は、エラーを検出するか(図19における決定212)または治療が完了するまで(図19における決定214)、実行および監視状態226、228であり続ける。
【0118】
図21〜26は、ここに開示する実施形態による、MGD治療を提供するための温度および圧力を制御するように、コントローラ72によって実行される様々な状態の動作を詳述する、フローチャートを示す。これらの状態のそれぞれについて、概して、図19におけるフローチャートおよび図20における状態図に関して上述した。各状態およびそれらの特定の動作および機能性は、熱および力印加デバイス70およびそのコントローラ72の動作に関与するため、ここでより詳細に説明する。一部の動作は、圧力および温度制御システム130、132における様々な構成要素からの情報を必要とするため、これらの様々な構成要素への言及が、状態の動作を説明するように為される。これは、図18における温度制御システム132においてすでに導入した構成要素、および導入していない構成要素への言及を含む。
【0119】
図21は、再設定状態220のフローチャートを図解する(ステップ230)。コントローラ72は、電力サイクルが生じる、または新しい使い捨て瞼加温器90(任意の機能として無傷のヒューズ138を有する)が取付けられると、再設定状態220に入る(ステップ232)。その後、コントローラ72は確認して、電力供給電圧が設定した最小電圧レベル以上であるか否かを決定する(決定234)。ここに開示する実施形態において、バッテリ144は、少なくとも2.4ボルトを提供しなければならない。提供しない場合、バッテリエラー(例えば、「bAt」)がタイマー表示部88上に表示される(ステップ236)。図19を参照して、低バッテリエラーは、低バッテリ信号ライン148上で低バッテリ信号検出回路146から送信される低バッテリ信号に応答して、タイマーおよび表示部コントローラ150によってタイマー表示部上88に表示される。
【0120】
バッテリ144が十分な電圧を産生している場合、コントローラ72は、次に使い捨て構成要素74が取付けられているか否かを決定することによって(決定238)、再設定状態220であり続ける。取付けられていない場合、コントローラ72は、動作の準備ができていない。しかしながら、停止状態224に移る前に(ステップ246)、コントローラ72は、圧力診断試験を行う機会を利用する。図18を参照して、管118内の測定圧力を示す圧力センサ134信号は、圧力レベルを圧力表示部84に伝達する圧力レベル比較器162、およびエラー確認制御システム164に伝達される。理想的には、管118内の圧力は、周囲圧力より大きくてはならない。圧力センサ134が周囲圧力を示す信号を提供しない場合(決定240)、これは、圧力センサ134が適切に動作していない可能性があるという表示である。したがって、圧力センサ134エラーメッセージ(例えば、「E_4」)は、コントローラが停止状態224に入る前に(ステップ246)、ERRORS信号ライン171を介して(図18を参照)、タイマー表示部88上で表示される(ステップ244)。圧力センサ134が適切に圧力を測定している場合、タイマー表示部88は、再設定表示状態を保ち(例えば、「_ _ _」)(ステップ244)、コントローラ72は、使い捨て構成要素74が取付けられるまで待つ(決定238)。周囲圧力は、熱および力印加デバイス70が位置する場所によって0mmHgでない場合があるため、閾値圧力レベルを使用することに留意されたい。ここに開示する実施形態においては、閾値圧力レベルは1psiである。
【0121】
一旦使い捨て構成要素74を取付けると、コントローラ72は、次に瞼加温器90上のヒューズ138が飛んだか否かを任意に決定することができる(決定248)。本確認は、瞼加温器90が、コントローラ72によって飛び得るヒューズ138を備える場合にのみ行い、使い捨て構成要素74がすでに治療に使用されていることを示す。本例において、また図18を参照して、ヒューズ検出およびブロー回路168は、使い捨て構成要素74上のインターフェース回路98からのFUSE DETECTライン173上で、ヒューズ検出信号をエラー確認制御システム164に伝達する。これは、コントローラ72が、使い捨て構成要素74がすでに使用されているか否かを決定できるためである。ヒューズ138を飛ばす場合、コントローラ72は、安全および滅菌上の理由から、使い捨て構成要素74がまだ使用されていない使い捨て構成要素(インターフェース回路98上に無傷のヒューズ138を有する)と取り替えられるまで、現在取付けられている使い捨て構成要素74を使用する治療を提供しない。コントローラ72は、FUSE信号ライン170を介して、タイマー表示部88上にエラーメッセージ(例えば、「E_1」)を表示して、停止状態224に移る前に(ステップ252)、使い捨て構成要素74を取り替える必要があることをユーザに示す(ステップ250)。
【0122】
ヒューズ138を使い捨て構成要素74上で飛ばさない場合(決定248)、またはヒューズ確認機能がコントローラ72に含まれない場合、コントローラ72は、次に加熱要素106が接続されているか否かを決定する(決定253)。接続されていない場合、該コントローラは、接続メッセージ(例えば、「Con」)をタイマー表示部88上に表示し、加熱要素106(すなわち、瞼加温器90)がコントローラ72に接続しておらず、したがって、治療を開始できないことをユーザに示す(ステップ255)。加熱要素106がコントローラ72に接続されると、次にコントローラ72は、瞼加温器90における温度レベルが室温または周囲温度よりも低いか否かを決定する(決定254)。低い場合、これは、使い捨て構成要素74を患者の眼瞼に取付けられない場合があることを示し、ユーザがコントローラ72を準備して治療を開始するようにする。図18を参照して、サーミスタ調整回路172A、172Bは、使い捨て構成要素74におけるサーミスタ136A、136Bそれぞれからの信号をエラー確認制御システム164に伝達する。これに対し、接続メッセージ(例えば、「Con」)は、タイマー表示部88上で再度表示し得る(ステップ255)。コントローラ72は、サーミスタ136A、136Bが室温以上の温度を読み取るまで、加熱要素106の接続および瞼加温器90における温度を引き続き確認する。これは、使い捨て構成要素74を患者に取付けることを一部保証する。
【0123】
次に、コントローラ72は、瞼加温器90における温度レベルが体温よりも低い(例えば、摂氏30度)か否かを確認して決定する(決定254)。これにより、コントローラ72は、使い捨て構成要素74が患者の眼に取付けられているか否かを決定することができるが、これは、取付けられている場合に、瞼加温器90における温度が少なくとも体温でなければならないためである。瞼加温器90における温度が、少なくとも体温でない場合は、瞼加温器90における温度が異常に低いことをユーザに表示するのに応答して、エラーメッセージ(例えば、「LO」)をタイマー表示88に表示し得る(ステップ256)。コントローラ72は、その後、一連の確認を通して一巡し、瞼加温器90が適切に取付けられており、治療に使用する準備ができていることを保証する(決定253、257、254、258)。
【0124】
一旦瞼加温器90の温度が室温以上になると(決定254)、次いで、コントローラ72は、治療を開始する前に、瞼加温器90における温度が予想よりも高い温度レベルであるか否かを決定する(すなわち、温度レベル以上、例えば、摂氏30度)(決定258)。これは、治療を開始するには高いと見なされる周囲温度の表示となり得る。そうである場合、エラーメッセージ(例えば、「E_6」)は、コントローラ72が停止状態224に入る前に(ステップ262)、エラー確認制御システム164によってタイマー表示部88上に表示し得る(ステップ260)。そうでない場合、該コントローラは、圧力センサ134を介して、管118内の圧力レベルを確認し、コントローラ72がブラダー114を膨張させて患者の眼瞼に圧力を生成していないため、圧力レベルが周囲圧力であることを保証する(決定264)。圧力レベルが周囲圧力よりも低い場合、これは圧力センサ134または電源のエラー等のエラー表示となり得る。圧力レベルが周囲圧力よりも低い場合、コントローラ72は、バッテリ電圧が十分であるか否かを確認して決定し(決定261)、治療の開始を可能にする前に、一連の確認(決定253、257、254、258、264)を繰り返す。一旦これらの一連の確認が完了すると、治療を開始することができる。それに対して、コントローラ72は、タイマー表示部88を再設定させて、治療セッションの開始を示す(例えば、180秒カウントダウン)(ステップ265)。次いで、コントローラ72は、管118内の圧力レベルが周囲圧力よりも高くないこと、または圧力センサ134の表示となる望ましい圧力レベル、あるいは実行状態226に進む前の他の問題(決定267、ステップ269、271)、もしくは提供される場合はヒューズブロー状態222(ステップ268)を確認して保証する。
【0125】
再設定状態220から出た後、コントローラ72は、図22に図解するヒューズブロー状態222(ステップ272)に入り得る。その場合、コントローラ72は、瞼加温器90上でヒューズ138を飛ばし、コントローラ72を再設定した後にそれを再利用できないようにする(ステップ273)。図18を参照して、エラー確認制御システム164は、十分な電流をFUSE BLOWライン174上で、ヒューズ検出およびブロー回路168に送信し、使い捨て構成要素74においてヒューズ138を飛ばす。次いで、コントローラ72は、エラー確認制御システムシステム164を介して、ヒューズ138がFUSE DETECTライン173を介して成功裏に飛んだか否かを確認する(決定274)。ヒューズが飛ばない場合、またヒューズを飛ばす試みが7回失敗した後(決定276)、停止状態224に進む前に(ステップ280)、エラーメッセージ(例えば、「E_7」)がタイマー表示部88上に生成し得る(ステップ27)。ヒューズ138が成功裏に飛ぶと、コントローラ72は、治療を提供する準備ができている。コントローラ72は、実行および監視状態226、228(ステップ282)に入り、同時に実行させて熱および力を患者の眼瞼に印加すると共に、制御目的で印加する温度および圧力を監視する。
【0126】
図23は、実行状態226を図解する(ステップ300)。コントローラ72は実行状態226に入り、再設定状態220(図21におけるステップ268)または任意にヒューズブロー状態222(図22におけるステップ282)のいずれかから治療を開始する。実行状態226を、図25Aおよび25Bにおいて図解する監視状態228の前に論じる。図23を参照して、実行状態226は、コントローラ72によって開始し、サイクルタイマーを初期化して、システムにプログラム化されたカウントダウンタイム値においてカウントダウンタイマーを開始する(ステップ302)。図18を参照して、タイマーおよび表示部コントローラ150は、タイマーを再設定する。カウントダウンタイマーは、タイマー表示部88上に表示される。サイクルタイマーは、タイマー表示部88をサイクルの最後に点滅させて、タイマー表示88を使用して、サイクルタイマーおよびカウントダウンタイマー情報をユーザに提供するようにする。
【0127】
ここに開示する実施形態において、サイクルタイマーは、力が解放される前に力を患者の眼瞼に連続的に印加すべき時間の量である。ここに開示する実施形態において、サイクルタイマーを1分に設定する。カウントダウンタイマーは、患者の眼瞼に熱を印加する治療時間の合計である。ここに開示する実施形態において、カウントダウンタイマーを、3分に設定する。したがって、治療中に3つのサイクルが存在する。タイマーは、ユーザに視覚タイミング表示を提供するために使用するだけでなく、さらに論じるように、患者の眼瞼に対する熱および力の印加を制御するために使用する。これらのタイマー値は、ユーザがコントローラ72に提供するプログラミング指示にも基づき得る。
【0128】
その後、温度制御システム132は、瞼加温器90およびそのレンズを介して、患者の眼瞼に熱を印加できる(ステップ304)。熱治療の開始は、ここに開示する実施形態において、タイマー表示部88上の小数点を点滅させることによって、ユーザに合図する(ステップ304)。図18を参照して、治療タイマーコントローラ150は、有効信号をENABLEライン176上で生成させて、瞼加温器コントローラ178を作動し、電子機器配線126においてHEATER+およびHEATER−ラインに電気信号を印加する(図16を参照)。これにより、瞼加温器90における加熱要素106を励起し、患者の眼瞼に熱を生成させる。瞼加温器コントローラ178は、加熱要素106に対する電気信号を付けたり消したりすることによって加熱要素を制御する。しかしながら、PWM手技(ただし、これに限定しない)を含む任意の種類の加熱制御を用いることができる。その後、タイマーおよび表示部コントローラ150は、サイクルタイマーが失効していないかどうかを決定する(決定306)。失効している場合、治療を中断し(ステップ308)、休止状態229に入る(ステップ310)。これは、治療を継続できるようになる前に、力を解放する必要があるためである。休止状態229は、図24において図解し、以下で後述する。
【0129】
サイクルタイマーが失効していない場合(決定306)、開始、警告、治療温度、および治療圧力フラッグを確認する(決定312、314、316、318)。これらのフラッグは、エラー確認の一部として監視状態228により設定し、図25Aおよび25Bにおいて図解し、以下に後述する。本時点で、設定するこれらのフラッグは、熱治療を継続できることを意味することを理解する必要がある。継続できない場合は、実行状態226に戻る前に、停止状態224(ステップ317)または休止治療タイマー状態229(ステップ308、317)のいずれかに入る。フラッグを適切に設定する場合、治療タイマーは、1秒経過するにつれて(ステップ319、320)経過時間と共に減少し、加熱要素106は引き続き励起されて、治療時間が完了するまで瞼加温器90で熱を産生する(決定322)。治療タイムが完了した場合、ここに開示する実施形態において、治療タイマーはゼロまでカウントダウンし、治療タイマーは停止して(ステップ324)、停止状態224に入り、患者の眼瞼の加熱を中止する(ステップ326)。
【0130】
図25Aおよび25Bにおいて図解した監視状態228を説明する前に、休止状態229について次に説明する。休止状態229は、図24において図解する。休止状態229に入ると加熱要素106の励起を無効にし、実行状態226に再度入る前に、ユーザが力レバー86(または他の圧力制御機構)を離すまで待つ。これにより、安全対策上の理由から、眼瞼の血流を可能にするような何らかの援助がなければ、全体治療セッション中に、患者の眼瞼に力を連続的に印加しないことを保証する。タイマーおよび表示部コントローラ150は、第1に、ENABLEライン176から瞼加温器コントローラ178への有効信号を除去することによって、加熱要素106を無効にする(ステップ332)。タイマー表示部88は、変化状態から休止し、サイクル時間が点灯して、サイクルの終わりが生じたことを示す(ステップ334、338)。開始フラッグを確認して(決定336、340)、治療を再開できるように、ユーザが力を解放したことを保証し、この場合システムは、実行状態226に戻る(ステップ342)。開始フラッグは、監視状態228で設定および再設定する。
【0131】
開始フラッグを設定すると(決定336、340)、コントローラ72は、瞼加温器90における温度が定義された閾値温度レベルより上であるか否かを確認して決定することもできる。閾値温度レベルより上である場合、これは、患者に印加する熱の最高温度レベルを超過する熱を産生する加熱要素106の表示となり得る(決定337、343)。ここに開示する実施形態において、本最高温度閾値レベルは、摂氏43度である。しかしながら、本閾値温度レベルは、所望する任意の温度レベル閾値となるように設定することができる。閾値温度レベルを超過する場合、温度表示82を点滅させて本状態をユーザに示すと共に、コントローラ72が停止状態224に入る前に(ステップ343、349)、タイマー表示部88上にエラー(例えば、「E_3」)を表示することができる(ステップ341、343)。
【0132】
監視状態228は、図25Aおよび25Bのフローチャートによって図解する。監視状態228は、患者の眼瞼に印加した温度および圧力を連続的に確認する。サーミスタ136A、136Bを使用して温度を確認し、管118に連結する圧力センサ134を使用して圧力を確認する。測定する温度および圧力の結果は、温度および圧力表示部82、84を介して、コントローラ72上に表示する。温度および圧力測定を解析して、エラー状態が生じていないことを保証する。加えて、監視状態228は、治療温度および圧力に到達すると、監視状態228と同時に実行している実行状態226に信号を送る。
【0133】
図25Aを参照して、温度制御システム132は、温度が最大閾値温度レベル以上で、安全上の理由から安全機能が作動するか否かを決定する(決定352)。本閾値最大温度レベルは、摂氏45度に設定し得る。その場合、超過温度状態は、温度表示部82上で点滅し、温度が許容される温度設定を超過していることをユーザに示す(ステップ354)。さらに、エラーメッセージ(例えば、「E_3」)は、同様の点においてタイマー表示88上で表示される場合がある(ステップ356)。コントローラ72は停止状態224に入り(ステップ358)、治療を中断する。瞼加温器90における温度を設定する安全温度閾値を超過しない場合、エラー確認コントローラは、2つの温度サーミスタ136A、136Bが異なる値であるか否かを確認する(決定360)。より高い読み取りを提供するサーミスタ136A、136Bは、安全でない温度を患者の眼瞼に印加することを避けるための追加予防措置として、温度監視に使用する(ステップ362、364)。次いで、測定温度は、温度表示82上に表示される(ステップ366)。
【0134】
温度を測定するために使用するサーミスタ136A、136Bにおける温度を再度確認して、瞼加温器90における温度が、安全対策として、最大の許容可能な温度を再度超過しないことを保証する(決定368)。温度が最大の許容可能な温度を超過した場合、本確認の早期段階ですでに行われている同一のステップを行う(ステップ354、356、358)。超過しない場合は、瞼加温器コントローラ178における加熱スイッチドライバを任意に確認して、図18においてON/OFF信号ライン180を介してスイッチを切ると、熱が患者の眼瞼に印加されないことを保証するように、適切に作動することを保証する(決定370)。加熱スイッチドライバの機能が不全の場合、エラーメッセージ(例えば、「E_7」)がタイマー表示部88上に生成されて、ハードウェア障害をユーザに示し得る(ステップ372)。次いで、システムは停止状態(224)に入り、熱の印加を無効にする(ステップ374)。
【0135】
加熱スイッチドライバが適切に動作している場合(決定370)、システムは、患者の眼瞼に過剰な圧力を印加するのを避けるための安全対策として、管118内の圧力レベルが最大の許容可能な圧力を超過するか否かを決定する(決定376)。超過する場合、過剰な圧力状態が圧力表示部84およびタイマー表示部上に表示され(例えば、「E_5」)、停止状態224に入る前に(ステップ382)、過剰な圧力状態をユーザに示す(ステップ378、380)。過剰な圧力状態が存在しない場合は、測定圧力が圧力表示部84上に表示される(ステップ384)。
【0136】
次に、図25Bに示されるように、システムは、瞼加温器90における温度が治療温度設定を超過するか否かを決定する(決定386)。これは、治療を提供するために必要な瞼加温器90において温度が上昇したことを示し、治療タイマーが実行状態226において累積するようにする。システムが、治療温度設定を設定する。代替として、ユーザが、それをコントローラ72にプログラム化することができる。温度が治療温度設定を超過する場合(決定386)、治療温度フラッグを設定する(ステップ388)。超過しない場合は、治療温度フラッグをクリアする(ステップ390)。
【0137】
温度に対しても同様に、システムは、患者の眼瞼に印加する圧力を示す管118内の圧力が、治療圧力設定を超過するか否かも決定する(決定392)。これは、圧力が治療を提供するために必要なレベルに上がったことを示し、治療タイマーが実行状態226において累積するようにする。システムが、治療圧力設定を設定する。代替として、ユーザが、それをコントローラ72にプログラム化することができる。圧力レベルが治療圧力設定を超過する場合は(決定392)、治療圧力フラッグを設定する(ステップ394)。超過しない場合は、治療圧力フラッグをクリアする(ステップ396)。システムは、ユーザが使用する力レバー86を示す最小閾値レベルまで圧力レベルが増加し、治療を開始できるか否かも確認して決定する(決定398)。開始できる場合は、開始フラッグを設定する(ステップ400)。開始できない場合は、開始フラッグをクリアする(ステップ402)。
【0138】
システムは、温度サーミスタ136A、136Bも監視し、サーミスタ136A、136Bが機能不全であり得るかどうかの表示として、それらの測定信号が互いを追跡するか否かを決定する(決定404)。2つのサーミスタは、所定の温度に対して同一の出力を産生する可能性は低いが、同一の状態に応答して同様に変化する。それらが互いを適切に追跡している場合は、サーミスタに対してエラー状態が存在しないことを示す警告フラッグをクリアする(ステップ406)。そうでない場合は、警告フラッグを設定する前に(ステップ410)、エラーメッセージ(例えば、「E_2」)がタイマー表示部88上に表示される場合がある(ステップ408)。前述のとおり、実行状態226は、治療の継続を可能にする条件として、警告フラグを確認する。監視状態228は、コントローラ72を停止状態224に置く状態が生じるまで、ルーピング様式で引き続き実行する。
【0139】
図26は、コントローラステートマシンの最終状態、停止状態224を図解する。総治療時間がその事前設定した最大時間に到達したか、または任意のエラー状態が生じた際に、停止状態224に入る(ステップ420)。停止状態224に入ると、コントローラ72は、安全上の理由から、同一の使い捨て構成要素74を用いて再開始することができない。加熱要素106に対する加熱信号を、解放して患者の眼瞼への熱の印加を停止する(ステップ422)。さらに、患者の眼瞼に熱を印加しないことを保証するためのさらなる手段として、加熱要素106に対する電力供給を無効にすることもできる(ステップ423)。任意の試験コネクタを取付けて、データログまたは試験のためのセンサまたは他の動作データをメモリにダウンロードしてもよい。取付ける場合(決定424)、データはメモリにダウンロードすることができる(ステップ426)。一旦治療データをダウンロードすると、コントローラ72は治療を行っておらず、そうでなければ休止状態であるため(決定428、ステップ430)、コントローラ72は、コントローラ72が再設定されて再設定状態230に入るまで、バッテリの状態を確認することができる(図21を参照)。試験コネクタを取付けない場合、コントローラ72は、任意の試験コネクタを取付けるための確認を継続すると共に、取付けるか、またはコントローラ72を再設定して再設定状態220に入るまで(図21を参照)、バッテリレベルの確認を行う(決定425、ステップ427)。その後、システムは実行状態226に入り、この場合、一旦エラー状態を抹消し、新しい使い捨て構成要素74を取付けると、治療を再度開始することができる。
【0140】
図27〜30は、本発明が用いる、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Bの代替実施形態を図解する。図27および図28において図解されるように、装置は、断熱体440および眼瞼91A、91Bに力を印加するための手段またはレンズ440を備える。大部分の基本的形態において、断熱体440は、凹形状であって眼球442の湾曲に酷似し、本質的にコンタクトレンズに類似する。本明細書で用いる、「断熱体」という用語は、任意の構成要素または材料を含むことを意図し、眼瞼に対するよりも眼の表面に対する熱伝導性または放射性に対する抵抗が大きい。代替として述べると、断熱体において、熱エネルギーは、眼球表面よりも眼瞼に対してより容易に放射し、眼球442に損傷をもたらす可能性を最小限にする。構成したモデルにおいて、直径は、角膜を被覆するよりも十分に大きいか、または約15mmから25mmの範囲で、大部分の眼に対して十分であり、約16mmの角膜リリーフ域を仮定する。しかしながら、断熱体440の直径は、上述の範囲を超えて変化し得ることに留意されたい。
【0141】
さらに、断熱体440は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の生体適合性材料、または構成したプロトタイプの場合において、エポキシまたは当業者によく知られる他の材料から構成する。断熱体440は柔軟であり得るが、理想的には、以下の説明から明らかになるように、最小限にのみ圧縮可能であることが必要である。本発明により、断熱体440を、眼442の表面上、眼瞼の後方表面の裏側に挿入し、眼瞼または眼のいずれかを擦過または損傷しないように、滑らかな端を含む。本明細書で使用するように、「眼瞼(eyelid)または眼瞼(eyelids)」という用語は、個々または組み合わせのいずれかで、上眼瞼および下眼瞼を含むことを意図する。断熱体440は、力を印加し得るバックプレートを提供する。限られた状況において、マイボーム腺チャネル内の妨害物が最小の際には、優しく指で押す等、単に眼瞼に対して外部から印加する力の印加を通して、マイボーム腺をクリアすることができる。より具体的には、眼瞼の裏側に断熱体440を配置して、指圧力を眼瞼の外表面に印加し、眼瞼を指と断熱体440との間に「挟む」。
【0142】
他の例において、マイボーム腺の妨害物を、単純に圧力のみで治療できる程度を超えて遮断し得る。かかる場合において、熱エネルギーを眼瞼に印加し、妨害物の少なくとも一部を弛緩、破壊、破砕、軟化または液化する必要がある。熱エネルギーは、熱エネルギーを印加するためのよく知られた手段、例えば、抵抗、IR(赤外線)、超音波加熱、マイクロウェーブ等の様式のうちのいずれか1つ、発熱反応を化学的に産生する多数の「ホットパッド」のうちのいずれか1つ、または最も単純な形態の温湿布によって印加することができる。実験から、臨床的に効果的であるには、摂氏約35度から45度の間の温度まで眼瞼を加熱する必要があることが明らかになった。熱エネルギー(すなわち、熱)を眼瞼に印加する時間の長さは、妨害物がマイボーム腺チャネルを遮断する程度、ならびに妨害物の組成物に依存する。極めて稀な場合において、3分未満または5〜15秒だけ眼瞼に熱を印加することができる。一方で、極度の閉塞は、力を眼瞼に印加して軟化した妨害物を圧搾する前に、妨害物を溶解、弛緩、または軟化するために30分もの加熱を必要とし得る。実験により、眼瞼は、冷却機構として作用する循環血液との効率的な熱交換器であること、および眼瞼温度は2分未満で通常に戻り、妨害物を再硬化して、抽出を困難にすることがさらに明らかになった。したがって、治療を成功させるには、そのタイムフレーム内で、前述の圧搾力を眼瞼に印加することが必要である。したがって、好ましくはミルキングの種類の作用において、妨害物を上方に押し上げ、マイボーム腺開口部から押し出すための優しい指圧力を採用する必要がある。再度、妨害物の性質および位置に応じて、一部の例では、単なる圧縮力が効果的となり得る。
【0143】
断熱体440は、上述のとおり、眼瞼の後方と眼球442の表面との間に挿入する。アイカップ447を採用して力を提供し、したがって、眼瞼に圧力を提供する。本発明の一実施形態においては、熱エネルギーは、温湿布等を用いて上述のとおり印加し、その後1分から2分のタイムフレーム内で、アイカップ(加熱されない場合がある)を眼瞼の外表面上に配置し、そこに力を印加して、軟化した妨害物を圧搾する。図解したように、アイカップは、閉じた場合の眼瞼サイズおよび形状に酷似する。
【0144】
図29および30において、断熱体440を、加熱手段または加熱器448と共に提供する。本実施形態において、断熱体440(例えば、レンズ)は凹形状であるが、しかしながら、眼球442のそれよりも湾曲が大きく、断熱体440と眼球442との間に空気ポケットを形成するようにする。空気ポケットは、追加の断熱体を提供して、治療時間中に、印加する熱を眼球442表面に伝達するのを防ぐ。さらに、断熱体440の末端450は、実際に眼球442と物理的に接触する唯一の部分となる。断熱体440の本部分は、軟質ゴム、プラスチック、または可能であれば軟質金属等の、眼球表面を擦過または磨耗しない生体適合性材料から構成し得る。下表面452(すなわち、加熱器448の下の部分)および上表面454(すなわち、加熱器448の上の部分)は、異なる材料から加工して、眼球に対する熱伝導を最小化し、眼瞼に向けた熱伝導を促進する。前述を達成するための一方法は、下表面452に小さい空気ポケットを提供し、その層に追加絶縁体を追加することである。
【0145】
加熱器48は、抵抗型加熱器、薄膜加熱器、または当業者によく知られる「フレックス回路」(柔軟な基板上のエッチング加工された金属)等のいくつかの他の種類のうちのいずれか1つであり得る。図30に示されるように、断熱体440は、加熱器端子458が加熱器448に接続した、保持手段、ハンドル、即ち、プラットホーム456と、バッテリ460と、熱コントローラ単位462(すなわち、温度調節器)オン/オフスイッチ464と、から成る。加熱器448、バッテリ460等の電源、熱コントローラ単位462、およびオン/オフスイッチ464を備える回路は、順次に接続する。熱コントローラ単位/熱調節器462は、温度が上限温度閾値、例えば、摂氏47度に上限設定し得るように選択する。熱コントローラ単位462は、温度が超過すると回路を止めるように設計し、眼および周囲組織の損傷を避けることもできる。代替実施形態においては、加熱器448は、適切に配置した接触466および468の使用を通して、「オフデバイス」電源に接続できる(図29を参照)。
【0146】
ここで図26〜29の使い捨て構成要素74Bを再度参照して、間隔を開けて対向する一対の一端が飛び出したアーム470は、断熱体440の外表面から外側に垂直に延在し、ハンドル456と共に、アイカップ447を断熱体440に連結するための手段を定義する。各アーム470は互いに向かってテーパ状であり、それぞれノッチ472を含み、その目的は説明を進めるにつれて明らかになる。図6において最適に図解したように、加熱器448は、断熱体440において対応する陥没に嵌合し、眼瞼の内側に滑らかな均一表面を提供して、瞬きする際の摩擦および擦り切れを避けるために、2つの表面を洗い流す。代替として、加熱器448を断熱体440内に埋め込むか、またはその表面に印加あるいは接続することができ、滑らかにするコーティングオーバーレイを追加する。
【0147】
アイカップ447は、眼瞼の外表面上にかかるように調整し、本質的にその表面形状に一致し、断熱体440と動作するように調整する。アイカップ447は、中央に位置する縦方向のスロット474を含む。スロット474の上および下に位置付けられ、アイカップ447の本体から外側に垂直に延在するのは、空間を開けて対向する一端が飛び出した一対の柔軟な係合アーム476であり、一体成型されたつまみ部またはハンドル478および延在部468を含む。アイカップ447の下側に位置付けられるのは一対の隔壁480であり、互いに液体連動し、入り口手段または入り口482を含む。隔壁480は、従来の手段、例えば糊等を介してアイカップ447に取付ける(図示せず)。さらに図面から、隔壁480間に十分な空間が提供されているので、アーム470がそこを通過できることに留意されたい。
【0148】
図解していないが、アイカップ447には、アーム470が通り得る開孔部を画定する穴を有する、単一の隔壁480を提供し得ることに留意されたい。隔壁480は、ウレタンフォーム(オープンまたはクローズドセル)等の生体適合性材料、密閉空気バルーン、またはゲル充填ブラダーから加工し得る。再度、妨害の種類および程度に応じて、隔壁の厚さおよび/またはデュロメータは異なる。代替実施形態においては、隔壁480は、ゴムまたはプラスチック等の任意の柔軟な拡張可能な材料から加工できるブラダーを含み得る。しかしながら、拡張係数は、添加する液量に関して線形であることが好適である。ブラダー480は、一定量の液体で部分的に充填または膨張し得るか、または、香水エアロゾライザで使用するような、入り口482に接続した基本的なポンプをブラダー480に提供できる。液体は、好ましくは空気であるが、水、生理食塩水等の液体でもあり得る。さらに、図示していないが、液体を加熱して、存在し得るマイボーム腺妨害物の軟化を補助することもできる。任意の所定の患者に対しては、断熱体および液体のいずれかまたは両方を必要に応じて加熱し、任意の所定の妨害されたマイボーム腺を軟化することができる。
【0149】
図示されていないが、ブラダー480は、それらが膨張するにつれて圧力が印加され、軟化した腺妨害材料を腺チャネルの上に押し上げ、腺開口部から外に押し出して、腺をクリアにするような方法で加工することができる。一方法は、ブラダー480の厚さを増大させることであり、腺の底部付近の膨張に対する抵抗を少なくし(厚さを減らす)、腺開口部に到達するにつれて抵抗が増す(厚さを増す)ようにする。
【0150】
動作中に、断熱体440は、コンタクトレンズを挿入するのと該して同様の方法で、眼442の強膜上に配置する。適切に位置付けると、アーム470は眼瞼91Aと91Bとの間で外側に延在する。次いでアイカップ447を、眼瞼91A、91Bに面する凹面と共に位置付け、アーム470のノッチ端をスロット474に挿入するようにする。アイカップ447は、ノッチ472がアーム延在部468を係合するまでアーム470に沿って進め、したがってアイカップ447を断熱体440に連結し、接点466、468を接続する。次いで、加熱器448は、スイッチ446または他の手段によって駆動し、ブラダー480内の加熱された液体を同時にまたは連続的に、事前選択する時間、例えば2分間添加できる。その後、または熱の印加と同時に、ブラダー480を拡張し、軟化したマイボーム腺皮脂を押し上げ、腺開口部に向かって腺チャネルから押し出し、したがって、腺の妨害物を取り除く。治療が完了すると、次いで、つまみ部478A、478Bを互いに向かって押し、アイカップ447がアーム470から自由に滑り落ち、それを除去するようにする。その後、断熱体440を眼球442から除去し、治療が完了する。
【0151】
つまみ部478A,478Bの圧迫時に解放されるアーム470上の歯止め型機構、スロット474へのアーム470の圧入、ならびに本明細書で論じられていない当業者によく知られる他の機構等の断熱体をアイカップに係止するための様々な機構を用い得ることに留意されたい。手動制御、解放および力ならびにアイカップの手動調整を、治療中、および/またはマイボーム腺における妨害物または閉塞の圧搾が得られるまで用いることができる。特に必要とされないが、眼を損傷する可能性を最小限にするために、係止機構は「ゼロ挿入」力に近いことが好ましい。さらに、異なる形状および異なる剛性を有する異なるアイカップを用いることができる。これらの代替使い捨て構成要素74のうちの一部は、本出願の図31〜40において開示し、以下に論じる。
【0152】
図31Aおよび31Bは、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として、患者の眼瞼に熱および/または力を印加することができる使い捨て構成要素74Cの別の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、瞼加温器90Cは、2つを分離する能力またはレンズ90Cとアイカップ110Cとの間の距離を変えるように調整する能力なしに、アイカップ110Cに安全に固定する。唯一の可動構成要素は、患者の眼瞼の外側に力を印加するように制御する、膨張可能なブラダー114Cである。かかる使い捨て構成要素74Cを用いて、アイカップ110Cの位置を瞼加温器90Cに関して調整する必要がないため、治療中に技師がより簡単に取付けて使用することができる。
【0153】
使い捨て構成要素74Cは、前述の瞼加温器90A、90Bに類似するレンズの形態で、瞼加温器90Cを含む。瞼加温器90Cは、加熱要素(図示せず)を含み、レンズ93Cの内表面を患者の眼の上に配置すると、患者の眼瞼の内側に熱を印加する。瞼加温器90Cは、瞼加温器プラットホーム94Cも含み、技師または医師が瞼加温器90Cを把持し、それを患者の眼の上に取付けることができるようにする。アイカップ110Cを、患者の眼瞼の外側に力を印加するためにも提供する。アイカップ110Cは、上および下凹型カップ471A、471Bによって形成する。マイボーム腺はレンズの中心の上下に位置するため、開口473を、レンズ90Cの水平中心線を中心として、2つのカップ471Aと471Bとの間に提供し、調整を容易にする。したがって、使い捨て構成要素74Cを取付けると、患者の上眼瞼および下眼瞼が合わさるアイカップ110Cの中心において、力を印加する必要がない場合がある。瞼加温器プラットホーム94は、インターフェース部分475においてアイカップ110Cにしっかりと固定し、アイカップ110Cの内部とレンズ92Cの外表面との間の固定距離を提供する。
【0154】
図32は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Dの別の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、アイカップ110Dは、アイカップ110Dを瞼加温器プラットホーム94Dに固定し、膨張式ブラダー479A、479Bとレンズ92Dの外表面との間の距離を調整できるようにする、ラッチ機構116Dを含む。
【0155】
本実施形態においては、アイカップ110D設計は、膜またはブラダー479A、479Bを支持して、患者の眼瞼に力を印加するアイカップ481A、481Bが、互いから完全に分離されることを除いて、図31に図解するアイカップ110C設計に類似するスプリット上アイカップ481Aおよびスプリット下アイカップ481Bを含む。スプリットアイカップ481A、481Bによって、上アイカップ481Aは、下アイカップ481Bから独立して上がり、アイカップ110Dを瞼加温器94Dから解放することができる。この点において、瞼加温器プラットホーム94Dは、アイカップ110Dに取付けられて、アイカップ110Dを瞼加温器94Dに固定するアイカッププラットホーム485を固定するように調整されるホルダー483を含む。アイカッププラットホーム485は、ヒンジ487を介して瞼加温器プラットホーム94Dにヒンジ取付けされたクランプ484Aを含む。瞼加温器プラットホーム94Dは、対向するクランプ484Bを含み、クランプ484Aおよび484Bを一緒に締め付けると、アイカッププラットホーム485がホルダー483から解放され、アイカップ110Dを瞼加温器94Dから解放する。瞼加温器プラットホーム94Dは、アイカップ110Dを解放すると、クランプ484A、484Bが締め付けられて瞼加温器94Dを保持する間に保持できるグリップハンドル493も含む。
【0156】
図33は、本発明により用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Eの別の代替実施形態を図解する。本実施形態は、アイカップ110Eを瞼加温器90Eに取付けて解放するためのラッチ機構116Eが、アイカップ110Eの一部として完全に提供することを除いて、図32の使い捨て構成要素74Eに類似する。ラッチ機構116Eによって、アイカップ110Fは瞼加温器プラットホーム94Eに取付けられ、膨張式ブラダー490A、490Bとレンズ92Eの外表面との間の距離を調整できるようにする。
【0157】
本実施形態においては、アイカップ110E設計は、図32に図解するアイカップ110Eに類似する、スプリット上アイカップ491Aおよびスプリット下アイカップ491Bを含む。スプリット上アイカップ491Aおよびスプリット下アイカップ491Bは、患者の眼瞼に力を印加する膜490A、490Bを支持する。アイカッププラットホーム492、496は、アイカップ110Eから延在し、ヒンジ493を介して互いにヒンジ取付けされるクランプ494A、494Bを含む。クランプ494Aおよび494Bを一緒に締め付けると、アイカッププラットホーム492、496は互いから離れて瞼加温器プラットホーム94Eを解放する。瞼加温器プラットホーム94Eは、クランプ494A、494Bが、瞼加温器90Eをアイカップ110Eに固定するように締め付けなかった場合、アイカッププラットホーム492と496との間で圧縮される。アイカップ110Eは、クランプ494Aおよび494Bを圧縮し、アイカッププラットホーム492、496を瞼加温器プラットホーム94E上の所望の位置に移動させることによって、瞼加温器90Eに関して調整することができる。瞼加温器プラットホーム94Eは、その端部にグリップ489も含み、アイカップ110Eを、瞼加温器プラットホーム94Eに沿って所望の位置に調整可能に配置する際、瞼加温器プラットホーム94Eのより良いグリップを提供できる。
【0158】
図34は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Fの別の代替実施形態を図解する。本実施形態は、アイカップ110Fが、分離可能な構成要素を含まないアイカップ504を有する1つの部品であることを除いて、図33の使い捨て構成要素74Eに類似するラッチ機構116Fを有する。ラッチ機構116Fによって、アイカップ110Fを瞼加温器プラットホーム94Fに取付けることができ、膨張式ブラダー502、490Bとレンズ92Fの外表面との間の距離を調整することができる。アイカップ110Fは、気送インターフェース508を含むので、コントローラ72はブラダー502を膨張させることができる。
【0159】
アイカップ110Fは、ラッチ機構116Fを支持するアイカッププラットホーム510も含む。アイカッププラットホーム510は、膜またはブラダー502を支持して、患者の眼瞼に力を印加するアイカップ504A、504Bを支持する。ラッチ機構116Fは、ヒンジ513を介して互いにヒンジ取付けされるアイカップクランプ512A、512Bから成る。クランプ512Aおよび512Bを一緒に締め付ける際、アイカッププラットホーム510Iにおける開口部514をロック解除して、瞼加温器プラットホーム94Fをアイカッププラットホーム510Fに沿って横移動させることができる。このようにして、瞼加温器94Fを、アイカップ110Fに取付けて、アイカップ110Fから所望の距離に移動させることができる。瞼加温器90Fおよびそのプラットホーム94Fをアイカップ110Fから引き離すと、プラットホーム94Fが開口部514を通して引っ張られて、瞼加温器90Fをアイカップ110Fから解放できる。図33のプラットホーム94Fのように、瞼加温器プラットホーム94Eは、その端部にグリップ500も含み、瞼加温器プラットホーム94Fに沿って所望の位置に、アイカップ110Fを調整可能に配置すると、瞼加温器プラットホーム94Fのより良いグリップを提供する。
【0160】
図35は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Gの別の代替実施形態を図解する。本実施形態は、シリンジと同様の方法で作動するラッチ機構116Gを有する。アイカップ110Gは、1つの部品から形成する。アイカップ522の外表面は、その端部にプラットホーム526を有する円筒形の管524に取付ける。瞼加温器プラットホーム94Gは、管524およびプラットホーム526を通る開口部528を通して延在し、完全に押し下げるまたは係合させると、プラットホーム524に対して位置するその端部に瞼加温器プラットホーム94Gをプランジャ520の形態で含む。アイカップ90Gを瞼加温器90Gから最も遠くに移動させるために、プランジャ520を、上方または下方に完全に係合する。瞼加温器90Gを移動してアイカップ110Gに近づけるために、プランジャ520を上方または後方に引っ張る。プランジャ520は、瞼加温器90Gの移動、したがって、瞼加温器90Gとアイカップ110Gとの間の距離を制御して治療を管理する。
【0161】
図36Aおよび36Bは、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Hの別の代替実施形態を図解する。本実施形態は、図33の使い捨て構成要素74Eに類似し、個別の上アイカップ530Aおよび下アイカップ530Bを提供して、患者の上および下眼瞼に力を印加する。しかしながら、アイカップ530A、530Bの両方が係合する必要はない。それぞれ個別に係合することができる。例えば、患者の上または下眼瞼のみにおいて、そして同時に両方の眼瞼ではなく、マイボーム腺を治療することが望ましい場合がある。このように、瞼加温器プラットホーム94Hは、ヒンジ534を含む。上アイカップ530Aおよび下アイカップ530Bは、ヒンジ534に取付け、それらが瞼加温器プラットホーム94H上で回転できるようにする。使用中でない場合は、図36Aに図解されるように、アイカップ580A、580Bを回転させて、瞼加温器プラットホーム94Hから離すことができる。瞼加温器プラットホーム94Eは、図36Bに図解されるように、ヒンジ534を中心にしてアイカップ530A、530Bを回転させ、レンズ92Hの外表面に移動させることができる、溝付き表面531を含む。使用中、アイカップ580A、580Bは、瞼加温器プラットホーム94Hにおけるノッチ533上で移動し、所定の位置にロックされる。
【0162】
図37は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Iの別の代替実施形態を図解する。本実施形態において、アイカップ110Iは、膜またはブラダー541を支持して、患者の眼瞼に力を印加するアイカップ540によって形成される。アイカップ540は、瞼加温器プラットホーム94Iを通る開孔部542を含み、そこを通って延在し、使い捨て構成要素74Iが取付けられると、アイカップ110Iを瞼加温器プラットホーム94Iに取付ける。瞼加温器プラットホーム94Iは、瞼加温器プラットホーム94Iをスプリット542に係止する厚い表面543を含み、アイカップ110Iが、瞼加温器プラットホーム94Iを中心に移動するのを防ぎ、使用中に確実に嵌合するようにする。ハンドル544を、アイカップ540にも取付けると、アイカップ540に関して瞼加温器90Iを調整する場合に、技師がアイカップ540を保持することができる。
【0163】
図38Aおよび38Bは、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Jの別の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、アイカップ110Jを1つの部品として提供する。アイカップ110Jは、膜またはブラダー551を支持して、患者の眼瞼に力を印加し、開口部554が突き出すリッジ552を含む。ブラダー進行機構554は、開口部554を通して配置され、瞼加温器プラットホーム94Jは、ブラダー進行機構556における開口部554を通して延在する。ブラダー(図示せず)は、ブラダー進行機構556に取付ける。ブラダー(図示せず)を患者の眼瞼に進めて力を印加することが望ましい場合、ブラダー進行機構556を回転させて、ノッチ558がリッジ552上の溝557の内部に適合し、ブラダー進行機構556を、開口部552を通して瞼加温器90Jに向けて前方に移動させて、所定の位置に係止させる。ブラダーを瞼加温器90Jから離すことが望ましい場合、ブラダー進行機構556を引き戻して、ノッチ558を溝557から除去するようにし、回転させて、リッジ552が支持する溝557から離すことができる。
【0164】
図39は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Kの別の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、アイカップ110Kを1つの部品として提供する。アイカップ110Kは、患者の眼瞼に力を印加する、膜またはブラダー561を支持する。アイカップ110Kは、リブ構造562A、562Bを含み、瞼加温器プラットホーム94Kが延在して、アイカップ110Kを瞼加温器90Kに取付ける開口部566を有する開口室564を支持する、外表面560を含む。締め付け可能なアイカッププラットホーム568、570は、開口部566の各側面上で、一端はリブ構造562A、562Bに、別端は共通のヒンジ572に取付ける。アイカッププラットホーム568、570を締め付けると、瞼加温器プラットホーム94Kは、開口部566を通して横移動することができる。アイカップ110Kを患者の眼瞼に対して配置する場合、グリップ578を引っ張って、瞼加温器プラットホーム94Kのネック576が、下アイカッププラットホーム570において形成する溝574に挿入され、ロックダウンされる。
【0165】
図40は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Lの別の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、アイカップ110Lおよび瞼加温器94Lを、2つの個々の部品として提供する。ヒンジ590に取付けるつまみ部588A、588Bを押圧して、アイカップ110Lにおける開口482のための余地を与え、アイカップ580における開口582に沿って、瞼加温器プラットホーム94L上の所望の位置に挿入することができる。アイカップ110Lを、瞼加温器プラットホーム94L上で所望の位置に配置すると、つまみ部588A、588Bを解放し、つまみ部588A、588Bはアイカップ110Lを所定の位置に位置付けて保持する。
【0166】
本出願は、眼瞼の内部に熱を印加し、眼瞼の外側に力を印加して、MGDを治療するための装置について論じ、提供するが、他の構成も可能である。熱および力は、MGDを治療するために、いくつかの異なる組み合わせおよび方法で印加できる。例えば、図41は、患者のマイボーム腺に近接する組織に熱および力を印加して、MGDを治療するための本発明の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、熱および力を印加する。熱を印加して、望ましい温度レベルで、マイボーム腺に対して伝導性熱伝達を提供する(ステップ600)。例えば、熱を印加して、眼瞼の内側の温度を摂氏43〜47度まで上昇させることができる。熱も調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。
【0167】
力を患者のマイボーム腺に近接する組織に印加して、熱伝達の効率性を高めることもできる。上述のとおり、患者の眼瞼をその間に「挟んだ」、熱源への力の印加は、より効率的な伝導性熱伝達のための、熱源と眼瞼との間のより強い表面接触を提供する。さらに、力の印加により、眼瞼の血流が低下し、眼瞼を通る対流熱損失が軽減し、マイボーム腺における温度をより高いレベルに上昇させるのみならず、それをより迅速かつ効率的に行うことが可能になる(ステップ602)。
【0168】
熱および/または力は、マイボーム腺における温度を上昇させて、妨害または閉塞を十分に溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な時間の間、維持できる(ステップ604)。力は、所望の治療手技により、熱を除去した後も維持できるか、またはその逆もあり得る。熱を取り除いた後、力を維持することは、マイボーム腺における対流的な熱損失を低減し得、したがって、力を取り除いている場合よりも長い時間、マイボーム腺における温度レベルを治療レベルに維持し得る。力を維持せずに、熱を維持することを、連続治療の間等に、眼瞼における血流を可能にすることができるように用いることができる。例えば、治療と治療の間に力を印加および除去しながら、総治療時間を短縮するために、熱を維持することが望ましい場合がある。また、妨害物または閉塞が、マイボーム腺のより深部においてよりも、眼瞼縁の極めて近位に位置する場合、相当な量の力を、または熱の印加と同じ時間の間、印加する必要があるとは限らない。その後、加熱中および/もしくは力の印加中のいずれか、あるいはいずれかの後、マイボーム腺における妨害物または閉塞を、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾することができる(ステップ606)。
【0169】
力を調節し得るとは、力生成手段を、マイボーム腺に近接する組織に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的、または液体型のデバイスもしくは機構を使用して生成されるものを含む、振動型の力を含み得る。該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力の程度は、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減できる。
【0170】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾、あるいは、該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用できる。場合によっては、眼瞼に印加するかすかで弱く連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時に、またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0171】
患者の眼瞼の外側において熱を生成するために、本明細書に説明するものを含む、任意のデバイスを用いることができる。米国特許出願第2007/1016254号の表題「Method and apparatus for treating gland dysfunction employing heated medium」に開示される装置等の、他のデバイスを用いることができ、該出願は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。本出願では、加熱した流体の移送により、患者の眼瞼の外側に熱を印加するための装置を用いている。さらに、患者の眼瞼に熱を印加するために、流体とは対照的に、ガスを用いることができる。
【0172】
熱のみを印加する、図6のフローチャートで前述したのと同じように、制御した熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得るか、またはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加し得る温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。例に過ぎないが、摂氏47〜55度に上昇させた温度が、変調した熱を印加する場合、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。
【0173】
調節した熱は、治療時間中、治療温度で維持できる。力の印加により、熱源がマイボーム腺における温度を所望のレベルまで上昇させるのにかかる時間を短縮し得るため、治療時間は、例えば約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後のいずれかにおいて、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0174】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ606)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ608)。上記の薬剤の使用に関する図6および図8のフローチャートでの先の説明が、本実施形態にも等しく適用可能であり、したがって、ここでは繰り返さない。それらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用できることを認識する。
【0175】
図42は、患者の眼瞼に熱および力を印加してMGDを治療するための、本発明の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、熱が眼瞼の外側に印加され、力が眼瞼の内側に印加される。マイボーム腺への伝導性熱伝達を提供するために、所望の温度レベルまで、眼瞼の外側に熱が印加される(ステップ610)。例えば、熱を印加して、眼瞼の内側の温度を摂氏43〜47度まで上昇させることができる。熱も調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。
【0176】
また、熱伝達の効率を高めるために、眼瞼の内側に力を印加することもできる。上述のとおり、患者の眼瞼をその間に「挟んだ」、熱源への力の印加は、より効率的な伝導性熱伝達のための、熱源と眼瞼との間のより強い表面接触を提供する。さらに、力の印加により、眼瞼の血流が低下し、眼瞼を通る対流熱損失が軽減し、マイボーム腺における温度をより高いレベルに上昇させるのみならず、それをより迅速かつ効率的に行うことが可能になる(ステップ612)。
【0177】
熱および/または力は、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分なレベルまで、マイボーム腺における温度を上昇させるのに十分な時間の間、維持できる(ステップ614)。力は、所望の治療手技により、熱を除去した後も維持できるか、またはその逆もあり得る。熱を除去した後も力を維持することにより、マイボーム腺における対流熱損失が低下し、したがって、力を除去した場合よりもより長い時間、マイボーム腺における温度レベルを治療レベルに保持することができる。力を維持せずに、熱を維持することを、連続治療の間等に、眼瞼における血流を可能にすることができるように用いることができる。例えば、治療と治療の間に力を印加および除去しながら、総治療時間を短縮するために、熱を維持することが望ましい場合がある。また、妨害物または閉塞が、マイボーム腺のより深部においてよりも、眼瞼縁の極めて近位に位置する場合、相当な量の力を、または熱の印加と同じ時間の間、印加する必要があるとは限らない。その後、加熱中および/もしくは力の印加中のいずれか、あるいはいずれかの後、マイボーム腺における妨害物または閉塞を、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾することができる(ステップ616)。
【0178】
力を調節し得るとは、力生成手段が、眼瞼に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的、または液体型のデバイスもしくは機構を使用して生成されるものを含む、振動型の力を含み得る。該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力の程度は、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減できる。
【0179】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾、あるいは、該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用できる。場合によっては、眼瞼に印加するかすかで弱く連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時、またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0180】
患者の眼瞼の外側において熱を生成するために、本明細書に説明するものを含む、任意のデバイスを用いることができる。米国特許出願第2007/1016254号の表題「Method and apparatus for treating gland dysfunction employing heated medium」に開示される装置等の、他のデバイスを用いることができ、該出願は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。本出願では、加熱した流体の移送により、患者の眼瞼の外側に熱を印加するための装置を用いる。さらに、患者の眼瞼に熱を印加するために、流体とは対照的に、ガスを用いることができる。
【0181】
熱のみを印加する、図6のフローチャートで前述したのと同じように、制御した熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得るか、またはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加できる温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。例に過ぎないが、摂氏47〜55度に上昇させた温度が、変調した熱を印加する場合、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。
【0182】
調節した熱は、治療時間中、治療温度で維持できる。力の印加により、熱源がマイボーム腺における温度を所望のレベルまで上昇させるのにかかる時間を短縮できるため、治療時間は、例えば約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後のいずれかにおいて、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0183】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ616)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ618)。上記の薬剤の使用に関する図6および図8のフローチャートでの先の説明が、本実施形態にも等しく適用可能であり、したがって、ここでは繰り返さない。それらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用できることを認識する。
【0184】
図43は、患者の眼瞼に熱および力を印加してMGDを治療するための、本発明の代替実施形態を図解する。本実施形態では、熱および力の両方を、眼瞼の外側に印加する。マイボーム腺への伝導性熱伝達を提供するために、所望の温度レベルまで、眼瞼の外側に熱を印加する(ステップ620)。例えば、熱を印加して、眼瞼の内側の温度を摂氏43〜47度に上昇させることができる。熱も調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。
【0185】
また、熱伝達の効率を高めるために、眼瞼の外側に力も印加することができる。上述のとおり、力の印加は、より効率的な伝導性熱伝達のための、熱源と眼瞼との間のより強い表面接触を提供し得る。さらに、力の印加により、眼瞼の血流が低下し、眼瞼を通る対流熱損失が軽減し、マイボーム腺における温度をより高いレベルに上昇させるのみならず、それをより迅速かつ効率的に行うことが可能になる(ステップ622)。
【0186】
熱および/または力は、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度までマイボーム腺を上昇させるのに十分な時間の間、維持できる(ステップ624)。力は、所望の治療手技により、熱を除去した後も維持できるか、またはその逆もあり得る。熱を除去した後も力を維持することにより、マイボーム腺における対流熱損失が低下し、したがって、力を除去した場合よりもより長い時間、マイボーム腺における温度レベルを治療レベルに保持することができる。力を維持しない熱の維持を用いて、連続治療の間等に、眼瞼における血流を可能にすることができる。例えば、治療と治療の間に力を印加および除去しながら、総治療時間を短縮するために、熱を維持することが望ましい場合がある。また、妨害物または閉塞が、マイボーム腺のより深部においてよりも、眼瞼縁の極めて近位に位置する場合、相当な量の力を、または熱の印加と同じ時間の間、印加する必要があるとは限らない。その後、加熱中および/もしくは力の印加中のいずれか、あるいはいずれかの後、マイボーム腺における妨害物または閉塞を、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾することができる(ステップ626)。
【0187】
力を調節し得るとは、力生成手段が、眼瞼に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加できる。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的、または液体型のデバイスもしくは機構を使用して生成されるものを含む、振動型の力を含み得る。該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力の程度は、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減できる。
【0188】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾、あるいは、該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用できる。場合によっては、眼瞼に印加するかすかで弱く連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時、またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0189】
患者の眼瞼の外側において熱を生成するために、本明細書に説明するものを含む、任意のデバイスを用いることができる。米国特許出願第2007/1016254号の表題「Method and apparatus for treating gland dysfunction employing heated medium」に開示される装置等の、他のデバイスを用いることができ、該出願は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。本出願では、加熱した流体の移送により、患者の眼瞼の外側に熱を印加するための装置が用いられている。さらに、患者の眼瞼に熱を印加するために、流体とは対照的に、ガスを用いることができる。
【0190】
熱のみを印加する、図6のフローチャートで前述したのと同じように、制御した熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得るか、またはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加できる温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。例に過ぎないが、摂氏47〜55度に上昇させた温度が、変調した熱を印加する場合、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。
【0191】
調節した熱は、治療時間中、治療温度で維持できる。力の印加により、熱源がマイボーム腺における温度を所望のレベルまで上昇させるのにかかる時間を短縮できるため、治療時間は、例えば約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後のいずれかにおいて、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0192】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ626)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ628)。上記の薬剤の使用に関する図6および図8のフローチャートでの先の説明が、本実施形態にも等しく適用可能であり、したがって、ここでは繰り返さない。それらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用できることを認識する。
【0193】
図44は、患者の眼瞼に熱および力を印加してMGDを治療するための、本発明の代替実施形態を図解する。本実施形態では、熱を、患者の眼瞼の内表面および外部表面の両方に印加する。また、眼瞼に力を印加することもできる。マイボーム腺へのさらに効率的な伝導性熱伝達を提供するために、所望の温度レベルまで、眼瞼の内側および外側の両方に熱を印加する(ステップ630)。例えば、熱を印加して、眼瞼の内側の温度を摂氏43〜47度に上昇させることができる。熱も調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。
【0194】
また、熱伝達の効率を高めるために、眼瞼に力も印加することができる。これまでに説明したように、力の印加は、より効率的な伝導性熱伝達のための、熱源と眼瞼との間のより強い表面接触を提供し得る。さらに、力の印加により、眼瞼の血流が低下し、眼瞼を通る対流熱損失が軽減し、マイボーム腺における温度をより高いレベルに上昇させるのみならず、それをより迅速かつ効率的に行うことが可能になる(ステップ632)。
【0195】
熱および/または力は、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度までマイボーム腺を上昇させるのに十分な時間の間、維持できる(ステップ634)。力を、所望の治療手技により、熱を除去した後も維持できるか、またはその逆もあり得る。熱を除去した後も力を維持することにより、マイボーム腺における対流熱損失が低下し、したがって、力を除去した場合よりもより長い時間、マイボーム腺における温度レベルを治療レベルに保持することができる。力を維持せずに、熱を維持することを、連続治療の間等に、眼瞼における血流を可能にすることができるように用いることができる。例えば、治療と治療の間に力を印加および除去しながら、総治療時間を短縮するために、熱を維持することが望ましい場合がある。また、妨害物または閉塞が、マイボーム腺のより深部においてよりも、眼瞼縁の極めて近位に位置する場合、相当な量の力を、または熱の印加と同じ時間の間、印加する必要があるとは限らない。その後、加熱中および/もしくは力の印加中のいずれか、あるいはいずれかの後、マイボーム腺における妨害物または閉塞を、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾することができる(ステップ636)。
【0196】
力を調節し得るとは、力生成手段が、眼瞼に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加できる。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的な、または液体型のデバイスもしくは機構を使用するものを含む、振動型の力を含み得る。該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力の程度は、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減できる。
【0197】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾、あるいは、該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用できる。場合によっては、眼瞼に印加するかすかで弱く連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時、またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0198】
患者の眼瞼の内側および外側において熱を生成するために、本明細書に説明するものを含む、任意のデバイスを用いることができる。熱のみを印加する、図6のフローチャートで前述したのと同じように、制御された熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得るか、またはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加できる温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。例に過ぎないが、摂氏47〜55度に上昇させた温度が、変調した熱を印加する場合、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。
【0199】
調節した熱は、治療時間中、治療温度で維持できる。力の印加により、熱源がマイボーム腺における温度を所望のレベルまで上昇させるのにかかる時間を短縮できるため、治療時間は、例えば約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後のいずれかにおいて、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0200】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ636)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ638)。上記の薬剤の使用に関する図6および図8のフローチャートでの先の説明が、本実施形態にも等しく適用可能であり、したがって、ここでは繰り返さない。それらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用できることを認識する。
【0201】
当業者は、本発明の好適な実施形態への改良および修正を認識するだろう。本出願において使用する熱は、熱エネルギーの印加を意味し得る。熱を、任意の種類の熱エネルギーを使用して、患者の眼瞼、関連した構造、または周囲の組織に印加できる。力は、任意の種類の力または力生成手段もしくはデバイスを使用して、患者の眼瞼、関連した構造、および/または周囲の組織に圧力を印加するために、患者の眼瞼に印加できる。そのようなすべての改良および修正を、本出願において開示する概念、および以下の請求項の範囲内であると見なす。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2007年1月17日出願の米国暫定特許出願第60/880,850号の表題「Method and Apparatus for Treating Meibomian Gland Obstructive Disease」に対する優先権を主張し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願はまた、2006年5月15日出願の米国出願第11/434,033号の表題「Method and Apparatus for Treating Gland Dysfunction Employing Heated Medium」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本出願はまた、2006年5月15日出願の米国出願第11/434,446号の表題「Method and Apparatus for Treating Gland Dysfunction」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
本出願はまた、2006年5月15日出願の米国出願第11/434,054号の表題「Method and Apparatus for Treating Meibomian Gland Dysfunction」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0005】
本出願はまた、2006年9月29日出願の米国出願第11/541,291号の表題「Method and Apparatus for Treating Meibomian Gland Dysfunction Employing Fluid Jet」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0006】
本出願はまた、2006年9月29日出願の米国出願第11/541,418号の表題「Treatment of Meibomian Glands」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0007】
本出願はまた、2006年9月29日出願の米国出願第11/541,308号の表題「Melting Meibomian Gland Obstructions」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0008】
本出願はまた、2007年8月17日出願の米国出願第11/893,669号の表題「Meibomian Gland Illuminating and Imaging」にも関連し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0009】
本発明の分野は、概して、哺乳類の眼の治療に関する。より具体的には、本発明は、「ドライアイ」状態に関与するか、または「ドライアイ」状態に罹患している患者に対する要因かのいずれかであり得る、マイボーム腺機能不全(MGD)の治療に関する。房水を保持するために眼の涙液膜上で生成され、保持される十分な保護脂質層の促進を支援するために、患者のマイボーム腺を治療する。
【背景技術】
【0010】
ヒトの眼において、眼表面を覆っている涙液膜は、3層から成る。眼表面と接触する最も内側の層は、粘液層である。粘液層は、多くのムチンから成る。涙液膜の大部分を成す中間層は、水層である。水層は、眼の乾燥を防ぐために、保護層および潤滑を提供するという点において重要である。眼の乾燥は、かゆみ、ひりひりした痛み(burning)、および炎症等の症状を引き起こし、不快感をもたらし得る。最も外側の層は、「マイバム(meibum)」、または「皮脂」として知られる多くの脂質から成る。この最も外側の脂質層は、非常に薄く、典型的には、250nm未満の厚さである。該脂質層は、水層および粘液層が蒸発する速度を抑えるために、これらの層上に保護被膜を形成する。高速の水層の蒸発は、眼の乾燥を引き起こし得る。したがって、脂質層が水層の蒸発速度を抑えるほど十分ではない場合、眼の乾燥が起こり得る。脂質層はまた、瞬きの間、眼瞼を潤滑化し、ドライアイを防ぐ。眼の乾燥は、広く認識されている眼疾患であり、概して「ドライアイ」として知られている。脂質層を改善することができれば、蒸発速度が、減速し、潤滑が改善され、ドライアイ状態の部分的または完全な緩和が達成される。
【0011】
最も外側の脂質層を形成する皮脂は、本出願の図1〜3に例証されるように、眼のマイボーム腺10によって分泌される。マイボーム腺は、上眼瞼12および下眼瞼14の両方に位置する、拡大した特殊な皮脂腺の種類(sebaceous−type)の腺(したがって、分泌物を説明するために「皮脂(sebum)」を使用)である。マイボーム腺は、脂質分泌物を眼瞼縁へ放出するように作られ、したがって、哺乳類が瞬きし、脂質分泌物が広がるにつれて、涙液膜の脂質層を形成する、開口部16を含む。典型的なヒトの上眼瞼12は、約25本のマイボーム腺を有し、下眼瞼14は、上眼瞼に位置するマイボーム腺より若干大きい約20本のマイボーム腺を有する。それぞれのマイボーム腺10は、真っ直ぐな長い中央管18を有し、管18の内表面は4つの上皮層で覆われている。中央管18の長さに沿って、腺房と称される、複数の、袋状に横方向に突出した構造20があり、ここで該腺の分泌物が生成さている。それぞれの腺房20の内層は、これらの特殊な細胞がマイボーム腺の分泌物を供給するという点において、主要な中央管18とは異なる。分泌物は、それぞれの腺房20から管18に流れる。
【0012】
はっきりとは確立されていないが、それぞれの腺房20と中央管18との間には、必要とされる時まで分泌物を保持し、その時に分泌物を中央管18に放出する、弁機構があると思われる。マイボーム分泌物は、その後、中央管18に保存され、それぞれの腺の開口部を通って眼瞼縁に放出される。マイボーム腺10を取り囲むRiolan筋の瞬きおよび圧迫作用が、マイボーム腺10からの分泌物の放出のために、開口部を開口する、主要な機構であると考えられる。瞬きは、上眼瞼12に、涙液膜の他の2層上にマイボーム腺10によって分泌される脂質の層を敷かせ、ひいては、下の層が蒸発する速度を抑える一種の保護被膜を形成する。したがって、不完全な脂質層または不十分な量のこのような脂質は、水層の加速的蒸発をもたらし得、次いで、集合的に「ドライアイ」と称される、かゆみ、ひりひりした痛み(burning)、炎症、および乾燥等の症状を引き起こす。
【0013】
ドライアイの症状を治療するために、様々な治療様式が開発されている。これらの様式は、天然の含水涙液膜を複製およびそれに取って代わることを目的とする目薬、および涙産生細胞を刺激することを目的とする医薬品を含む。例えば、Refresh Endura(登録商標)、Soothe(登録商標)、およびSystane(登録商標)の目薬等の目薬は、自然発生的な健康な涙液膜を厳密に複製するように設計されている。しかしながら、それらの使用および投与は、単に、症状の治療に過ぎず、根本原因の治療にはならない。さらに、水性目薬の使用は、概して無期限となり、それ故に、使用の延長が煩わしく、費用が高くなり得る。
【0014】
また、マイボーム腺機能不全を治療するために、テトラサイクリンの使用等の医薬的様式も示唆されている。当該の治療の1つが、米国特許出願公開第2003/0114426号の表題「Method for Treating Meibomian Gland Disease」、Pflugfelderらの米国特許第6,455,583号の表題「Method for Treating Meibomian Gland Disease」、およびPCT国際公開第WO 99/58131号の表題「Use of Tetracyclines for Treating Meibomian Gland Disease」に開示されている。しかしながら、この治療は、全世界的に、臨床的に有効であるとは証明されておらず、MGDが感染を伴わない腺の妨害物の結果である場合、不必要であり得る。
【0015】
また、MGDを治療するためのコルチコステロイド剤の使用が、Pflugfelderらの米国特許第6,153,607号の表題「Non−preserved Topical Corticosteroid for Treatment of Dry Eye,filamentary Keratitis,and Delayed Tear Clearance(or Turnover)」に開示されているように、に提案されている。やはり、この提案された治療は、根本原因の治療とは対照的に、ドライアイの症状を治療するように思われる。
【0016】
加えて、局所的に適用されたアンドロゲンまたはアンドロゲン類似体もまた、乾性結膜炎における急性ドライアイの兆候および症状を治療するために使用されている。これは、共にSullivanの米国特許第5,958,912号および第6,107,289号、共に表題「Ocular Therapy in Keratoconjunctivitis Sicca Using Topically Applied Androgens or TGF−beta」に開示されている。
【0017】
涙液膜脂質層とドライアイ疾患との間には、相関関係がある。眼への様々な異なる病状および損傷、ならびにそれらの状態に対する脂質層の関係が、Surv Opthalmol 52:369−374, 2007で再検討されている。脂質層の状態が、水層または他の原因と比較すると、ドライアイ疾患に最も大きな影響をもたらすことは明らかである。したがって、ドライアイ状態は、多くの病因を有するが、マイボーム腺10が脂質層を十分に生成できないことが、一般的なドライアイ状態の一般的原因である。この状態は、「マイボーム腺機能不全」(MGD)として知られる症状である。MGDは、マイボーム腺10が妨害または閉塞される疾患である。図3は、このような妨害物22、24、または閉塞22、24の一実施例を例証する。栓妨害物22が、中央管18の開口部16に生じ得る。代替として、特定の腺房20を遮断する、妨害物および閉塞22、24が生じ得る。妨害物または閉塞22、24は、マイボーム腺10が部分的に遮断もしくは塞がれる、完全に遮断もしくは塞がれる、またはそれらのいずれかの変形を意味し得る。妨害物および閉塞22、24は、固体、半固体、または粘質の凝固した分泌物、および/または栓の形態であり得、不全(compromise)、またはより具体的には、分泌の減少もしくは停止をもたらす。また、分泌が減少または制限されると、マイボーム腺10は、しばしば、感染症状の可能性を示す黄色味を帯びた色により証明される、閉塞または妨害状態により、損なわれ得る。あるいは、マイボーム腺10は、そうでなければ、結果として生じる保護脂質膜が、眼の上の下層の蒸発を防ぐには十分ではないため、損なわれ得る。
【0018】
MGDは、しばしば、角化した妨害物の結果生じ、それは、腺10のマイボーム腺開口部16および/または中央管(導管)18、または場合により、腺房または腺房弁(それらが実際に存在すると仮定して)、または中央管18との腺房の接合部20を部分的または完全に遮断する。このような妨害物22、24は、個々のマイボーム腺10の分泌機能を損なう。より具体的には、これらの角化した妨害物は、バクテリア、皮脂腺基質、死んだ、および/または剥離した上皮細胞の様々な組み合わせと関連し得、またはそれらの組み合わせをもたらし得る(Meibomian Gland Dysfunction and Contact Lens Intolerance,Journal of the Optometric Association,Vol.51,No.3,Korb et al.,(1980),pp.243−51を参照されたい)。
【0019】
閉経の際に生じる、ホルモンの変化、特に、エストロゲンレベルの変化は、マイボーム腺10によって分泌される油の粘化をもたらし得る。これは、腺開口部の詰まりをもたらし得る。さらに、エストロゲンレベルの低下もまた、ブドウ球菌が増殖し得る条件を促進し得る。これは、マイボーム腺10の腺機能を損ない、さらに閉塞の一因になり、ひいては、分泌速度の低下をもたらす、腺10へのバクテリアの移動を引き起こし得る。
【0020】
マイボーム腺10からの分泌物の流れが、閉塞22、24の存在により制限される場合、眼瞼縁上の細胞は、腺開口部16を覆って増殖することが観察されている。これは、皮脂の流れをさらに制限し、ドライアイの症状を悪化し得る。年齢、瞬きの障害、通常の瞬きを損なうコンピュータ使用等の活動、コンタクトレンズ使用、コンタクトレンズの衛生、化粧品の使用、または他の疾病、特に、糖尿病を含む、追加要因もまた、マイボーム腺機能不全を引き起こす、または悪化させ得る。腺10の腺房20が、腺10の主要なチャネルとの接合部に弁を有し得るという説が立てられている。発明者らは、これらの弁が存在するならば、それらも場合によっては妨害され、腺房20からの流れの低下または遮断をもたらすという仮説を立てる。これらの妨害物または閉塞22、24は、様々な構成を有し得る。
【0021】
個々のマイボーム腺10の状態は、透明なマイボーム液が産生される、最適な状態から、乳状の液体または濃厚なもしくはクリーム状の分泌物が産生される軽度または中程度のマイボーム腺機能不全、そしていかなる種類の分泌物も得られない完全な遮断へと、異なり得る(“Increase in Tear Film Lipid Layer Thickness Following Treatment of Meibomian Gland Dysfunction,” Lacrimal Gland, Tear Film, and Dry Eye Syndromes,” Korb, et al., pp. 293−98, Edited by D. A. Sullivan, Plenum Press, New Yorkを参照されたい)。マイボーム腺10の分泌の著しい化学変化が、マイボーム腺機能不全により生じ、その結果、自然発生的な涙液膜の構成が変化し、次いで、ドライアイの一因になる。
【0022】
MGDは、可視的な指標が必ずしも存在しないため、診断が難しい場合がある。例えば、マイボーム腺10の炎症である、マイボーム腺炎が、MGDに至り得る。マイボーム腺炎はまた、眼瞼炎(瞼の炎症)を伴い得る。マイボーム腺炎は、瞼外部の検査により明らかであるが、MGDは、細隙灯生体顕微鏡を拡大して検査した場合でさえ、明らかになるとは限らない。これは、外部兆候があるとは限らず、または外部兆候が、最小であるため見落とされる場合があるためである。明らかな瞼の炎症のないMGDの外部兆候は、マイボーム腺の開口部16の微妙な変化、開口部16上の上皮組織の異常増殖、および妨害物として作用する凝固物質による腺10の開口部16の突出に限定され得る。明らかな瞼の炎症のない重度のMGDの場合、鋸歯状または波状の眼瞼縁、開口部のくぼみおよび開口部16上の上皮組織のより明らかな異常増殖、ならびに開口部16の突出を含む変化が、明らかに判る場合がある。
【0023】
したがって、要約すると、哺乳類(例えば、ヒト)の眼瞼のマイボーム腺10は、涙液膜の蒸発を防ぎ、眼および眼瞼に潤滑を提供する油を分泌する。これらの腺は、いわゆる「ドライアイ症候群」に至る、様々な機構によって遮断、または塞がれ(閉塞され)得る。MGDは唯一の原因ではないが、ドライアイ症候群の既知の原因である。該疾患の特徴は、正常な脂質分泌が、マイボーム腺10から流れて涙液膜の脂質層を形成するのを妨げる、マイボーム腺10内またはそれらの表面における、何らかの遮断である。このような分泌物は、水性涙液膜の蒸発を防ぎ、眼および眼瞼12、14を潤滑化する役目を果たし、よって、それらの不在が、ドライアイ症候群を引き起こし得る。マイボーム腺10の妨害物または閉塞物22、24は、腺10の上もしくは腺10の開口部16、狭窄または遮断され得る腺10の主要なチャネル18、または場合によっては、腺房20から主要なチャネル18への経路を含む他の場所において、存在し得る。
【0024】
当技術分野の現状では、多くのドライアイに対する治療が提供されているが、症状とは対照的に、根本原因を治療する必要性がある。マイボーム腺における妨害物または閉塞の結果、多くの患者がドライアイに罹患している。したがって、下の層の蒸発速度を抑えるために、眼の脂質層に、十分な皮脂の流れを回復させる、マイボーム腺の効果的な治療を提供する必要性がある。これには、マイボーム腺10内の可能性のある妨害物または閉塞22、24の弛緩または除去を含む。本出願の図2は、マイボーム腺10内の図3の妨害物または閉塞物22、24を、脂質層への皮脂の流れを回復させるように除去したものを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の一実施形態は、眼瞼の内表面に熱を印加し、マイボーム腺機能不全(MGD)によって引き起こされるドライアイを治療する、画期的かつこれまでには知られていなかった方法を含む。眼瞼の内側への熱の印加により、マイボーム腺におけるより重篤な閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度まで、マイボーム腺の温度を効果的かつ効率的に上昇させることができる。そして、マイボーム腺からの皮脂の流れを改善し、水層の蒸発を減少させるように、閉塞または妨害物を物理的に圧搾することができる。
【0026】
一部の患者は、マイボーム腺における温度を高温にしないと、圧搾するのに十分なほど溶解、弛緩、または軟化しない、マイボーム腺における妨害物または閉塞を有する。多くの場合、これらの温度は、眼瞼の外側に熱を印加する際、達成され得ないか、あるいはこれらの温度は、相当長い間、眼瞼の外側に熱を印加した後にのみ達成され得るか、のいずれかである。また、高温は、患者に許容できない疼痛反応か、患者の眼瞼への損傷かのいずれかを引き起こさせる危険な温度の熱の印加によってのみ達成され得る。これは、伝導熱損失による、眼瞼の外側とマイボーム腺との間の温度降下のためである。眼瞼の外側に印加された熱は、眼瞼組織、および眼瞼の内側で、マイボーム腺を包み込む瞼板を通って伝導的に移動しなければならない。一例として、眼瞼の外側に患者の眼瞼または周囲組織を火傷または損傷することのない熱を印加するには、マイボーム腺における温度がほんの摂氏41〜42度の温度に到達するのに、20〜30分かかり得る。患者のマイボーム腺における特定の妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるためには、温度は、例えば摂氏43〜45度の間に到達する必要があり得る。
【0027】
本願まで、マイボーム腺機能不全(MGD)を治療するには、眼瞼の外側に熱を印加することのみが既知であった。医療専門家は、眼瞼の内側に熱を印加することは、反直感的であると考えていたことであろう。眼瞼の内側へ熱を印加することは、眼瞼または眼球自体への損傷の危険性があると考えられていた。皮膚への熱の印加のこれまでの研究では、損傷は、摂氏45度もしくは摂氏45度以上の温度で生じ得ることを示している。これらの研究は、外部の角化した皮膚において行われた。内眼瞼における組織は、角化していない上皮であり、したがって、角化した皮膚ほど熱から保護されない。したがって、眼瞼の内側への熱の印加は、当然、眼瞼の外表面においてよりも低い温度で疼痛反応を引き起こすと考えられるだろう。しかしながら、眼瞼の内側への熱の印加は、意外にも、安全であるのみならず、MGD治療の一部としてマイボーム腺における妨害物および/または閉塞を取り除くのに効果的であることが、発見された。
【0028】
眼瞼の内側の加熱は、マイボーム腺へのより効果的な伝導性熱伝達を提供し得ると仮定された。より効果的な熱伝達の達成は、マイボーム腺におけるより高い温度の達成を可能にし、および/またはより効果的な時間で、マイボーム腺におけるより重篤な妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させることができる。熱伝導は、より薄い組織で増加する。マイボーム腺は、眼瞼の外側表面よりも眼瞼の内側表面の近くに位置する。さらに、眼瞼の内側とマイボーム腺との間に位置する瞼板がない。したがって、マイボーム腺への伝導性熱伝達は、眼瞼の内側を加熱すると、より効果的であることが発見された。
【0029】
この点に関して、従来の概念および既知の原理に反して、熱が眼瞼(より具体的には眼瞼結膜)の内側に印加される実験が実施された。熱は、温度を調節すれば、患者の眼を損傷することなく、眼瞼の内側に印加できることが発見された。例えば、ほとんどの患者は、麻酔なしで、また著しい疼痛もなく、摂氏43〜44.5度の表面温度に耐えることができることが確認された。一部の患者は、麻酔なしで、摂氏44.5度以上の温度に耐え得ることが認められた。さらに、より効果的な伝導性熱伝達および眼瞼表面への熱の近接により、眼瞼の外側に対してよりも、眼瞼の内側に熱を印加する場合、マイボーム腺における高温が、しかもより短時間に到達できる可能性が発見された。
【0030】
本発明に限定しないが、眼瞼の内側または内表面に熱を印加することによって、マイボーム腺の温度を効果的かつより効率的に上昇させる能力は、妨害物または閉塞の溶解点、弛緩点、または軟化点への到達に役立つことを立証できる。また、眼瞼の内側への熱の印加は、眼瞼の内表面の眼瞼縁に位置するマイボーム腺開口部に熱を印加することを含み得る。開口部もまた、妨害または閉塞される場合がある。また、眼瞼の内側、およびマイボーム腺開口部の近接部へまたは直接の熱の印加は、脂質層に対する十分な皮脂の流れの回復にも役立つことを立証できる。熱を眼瞼の「内側」または「内表面」へ印加するという用語または句が本出願において言及される場合、それには、マイボーム腺開口部への熱の印加も包含する。
熱の印加を調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。
【0031】
該熱は、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な時間の間、維持される。熱の印加中か、または熱の印加を除去した後、妨害物または閉塞を除去するのにマイボーム腺における閉塞または妨害物を圧搾、これにより腺からの皮脂の流れを回復または改善するための、改善された経路を提供する。
【0032】
一実施形態においては、眼瞼結膜の表面温度を少なくとも摂氏37度まで上昇させることにより、MGDの軽度の症例に対する治療効果を提供し始めることができる。治療温度は、体温を超える任意の温度であり得る。治療のためのある好ましい範囲は、摂氏43〜44.5度の標的で、摂氏43〜45度である。熱を印加する時間範囲は、1〜10分の間であり得、3〜6分の範囲に限定し得る。この範囲の温度は、MGDを治療する際、患者にとって効果的かつ快適であることが認められている。
【0033】
一実施形態において、熱の印加を、調節し得る。調節した熱は、温度プロファイルによる、制御熱を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得、または例えば、オン/オフ切り替えまたはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加し得る温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。
【0034】
例に過ぎないが、摂氏45〜55度に上昇させた温度が、調節した熱を印加する際、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。しかしながら、熱は、常に、患者の疼痛反応、ならびに患者の眼瞼および/またはその周囲組織に損傷が生じるか否かを考慮に入れた温度で、眼瞼に印加しなければならない。熱を印加する際、患者のMGDの重症度または患者の疼痛耐性により、患者個々に基づき、上昇させた温度を使用することができる。皮膚が明色の患者は、概して、皮膚が暗色の患者よりも熱への耐性が低く、皮膚が暗色の患者は、熱への曝露の結果、よりわずかな炎症を示す傾向があることが認められた。湿度を含む他の要因が、より高温に対する患者の耐性の一因となり得る。例えば、ヒトは、概して、湿度が低いドライサウナでは、摂氏70〜80度の熱に耐えることができる。より湿度が高い環境における熱の印加は、より低温で、疼痛および/または火傷の発生を引き起こし得る。
【0035】
患者に相当の炎症または危険を招く重症のMGDの症例は、概して治癒するため、患者の眼瞼に1度または2度の火傷を生じさせる温度を必要とし得る。第3度の火傷を生じさせる温度は、避けるべきである。要約すれば、治療時間および/または温度は、これらの差異を考慮して調節し得る。本発明は、治療温度をマイボーム腺に印加する限り、いずれの特定の温度または時間範囲にも限定されない。
【0036】
調節した熱は、治療時間中、治療温度に維持できる。該治療時間は、例えば、約1〜10分にできる。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間またはその後、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0037】
一実施形態において、妨害物または閉塞の圧搾を行った後、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる。ドライアイ症候群の治療のために多くの薬剤が提案されているが、それらのいずれも効果的、またはマイボーム腺内における妨害物の除去に対してより効果的であり得る。利用し得る薬剤の中には、局所または経口テトラサイクリンおよび化学的に修飾されたテトラサイクリン等の抗生物質、テストステロン、局所または経口コルチコステロイド、局所アンドロゲンまたはアンドロゲン類似体、魚油等のオメガ3脂肪酸組成物、ラエンネック、脂質産生を促進する酵素、脂質産生を促進する酵素の産生を刺激する剤、ならびに/またはマイボーム腺分泌または他の涙成分の分泌を促進する分泌促進物として作用する任意の剤が含まれるが、それらに限定されない。例えば、アンドロゲンおよびアンドロゲン類似体、ならびにTGF−ベータは、マイボーム腺分泌を促進する分泌促進物として作用すると報告されている。
【0038】
これらの化合物は、適切な薬剤の例証的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用し得ることを認識する。
【0039】
また、涙成分の産生に取って代わる、またはそれを促進するレスタシス(シクロスポリンA)等の剤を、本発明によるマイボーム腺の治療後、より効果的に適用することもできる。マイボーム腺の治療は脂質層を改善し、したがって、蒸発を減少し、水層を保持する。水層の保持は、涙成分剤により涙代用物を適用する必要性を軽減する。したがって、患者のMGDを治療するための本発明を用いれば、涙成分剤をそれほど頻繁に使用する必要がなくなり得る。
【0040】
眼瞼の内側への熱の印加に関する実験過程において、眼瞼の内側に位置する血管内の血流により、対流熱損失が生じることも発見された。眼瞼の内側に位置する血管を通る血流が、対流熱損失を生じさせる。血流が、身体が提供する天然の「放熱板」としての役割例を果たす。対流熱損失は、眼瞼の外側に熱を印加する時よりも、眼瞼の内側に熱を印加する場合に小さくなる。これは、眼瞼の外側よりも、マイボーム腺と眼瞼の内側との間に位置する血管が少ないためである。マイボーム腺は、眼瞼の内側の近傍に位置する。しかしながら、眼瞼の内側を加熱する際にも、やはり対流熱損失は生じる。しかしながら、血流が低下されると、対流熱損失が最小限に抑えられ、マイボーム腺において、温度をさらに効率的に、かつ短時間で達成および持続させることが可能であることが発見された。
【0041】
したがって、本発明の一実施形態は、熱に加えて、患者の眼瞼への力のさらなる印加も含む。力の印加は、より短時間に、したがってより効率的に、眼瞼の内側の眼瞼結膜およびマイボーム腺において、より効率的なより高い温度の獲得を補助し得る。これは、前述のように、力の印加が眼瞼への血流を低下させ、対流熱損失を軽減し得るためである。
【0042】
また、力の印加は、該力により生み出される圧力が、熱源を眼瞼の組織に対して押し付けるため、印加される熱源からのより効率的な伝導性熱伝達をもたらし得る。この圧迫は、いくつかの利点を有し得る。圧迫は熱が印加される組織に広がり、これにより、組織がより薄くなり、伝導性熱伝達を改善する。また、圧迫は、微細な皮膚の粗さによる眼瞼の表面の空洞部分を「絞り出す」ことができる。したがって、眼瞼に対する熱源の圧迫は、熱源と眼瞼の表面との間の表面接触を増加し(熱伝達方程式を増加する)、マイボーム腺へのより効果的な伝導性熱伝達を提供する。これは、これらの効率性の獲得により、マイボーム腺がより短時間で所望の温度レベルまで加熱されるという結果になる。さらに、そうでなければ獲得されなかったかもしれない温度の上昇が達成され得るか、または少ない熱または熱エネルギーを使用して取得することができる。加熱が眼瞼表面の極めて近位に位置し、また加熱が眼瞼表面に対してさらに押し付けられるため、熱伝達が非常に効率的になり、眼瞼の表面の温度がマイボーム腺の温度に非常に近くなる。
【0043】
印加する力を調節し得るとは、力生成手段が、眼瞼に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。また、該力は、一定の力であり得、手動で提供し得る。該力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方で印加し得る。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的に、または液体型のデバイスもしくは機構を使用して生成されるものを含む、振動型の力を含み得る。該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力の程度は、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減し得る。
【0044】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾する、あるいは、そうでなければ該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用し得る。場合によっては、眼瞼に印加されるかすかで弱い連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0045】
熱および/または力を眼瞼に印加して、MGDを治療するために、任意の装置、デバイス、または器具を使用することができる。一実施形態においては、MGDを治療するために、熱を眼瞼の内側に印加しながら、眼瞼の外側に力を印加することができる。上眼瞼または下眼瞼の内表面の加熱は、任意の簡便な方法により実行し得る。一旦加熱された閉塞を除去し、使用中の加熱するためのデバイスまたは方法を除去するのに利用可能な時間により、瞼は1つずつ、または一度に両方を加熱することができる。いくつかの熱および力を印加するデバイスを開示する。
【0046】
眼瞼結膜を加熱するためのデバイスの1つが、上記ですでに参照され、本出願が優先権を主張する、米国暫定特許出願第60/880,850号に開示されている。本出願では、加熱要素を含む瞼加温器は、眼球との中間に、眼瞼結膜に対して配置する。加熱要素は、レンズを眼球上に配置すると、眼瞼の内側に対して熱を生成するように、励起または動力を供給される。また、瞼加温器は、相当な熱が眼球に到達するのを防止し、これにより角膜および強膜を保護する、統合断熱体も含み得る。加熱要素は、瞼加温器内のその位置により、特に、眼瞼に近接する断熱体の後ろに位置し、眼球上よりも、眼瞼の内側により多くの熱を産生するように、バイアスされ得る。また、瞼加温器は、プラットホームも含み得る。プラットホームは、加熱要素の挿入または調整のためのハンドル、ならびに取付けられた加熱コントローラに、眼瞼の内側に制御した熱を産生するように、加熱要素に対する電気信号を生成させる、電気的インターフェースを含む、加熱構成要素を封入する領域を提供する。
【0047】
また、瞼加温器は、熱を眼瞼の内側に印加する際に、眼瞼の外側に制御された力を生成するデバイスと併せて使用することもできる。一実施形態においては、レンズを眼球上に位置させながら、膨張式ブラダーを有するアイカップを、眼瞼の外側に配置する。アイカップは、アイカップを瞼加温器から延在するプラットホーム上に配置させる、インターフェースを含み得る。このようにして、アイカップがプラットホーム上に係合され、ブラダーが膨張されると、制御された力が眼瞼の外側に印加され、したがって、眼瞼の内側の瞼加温器に眼瞼が押し付けられる。したがって、マイボーム腺はアイカップと瞼加温器との間に「挟まれ」、つまり取り囲まれ、アイカップは力ベクトルを瞼加温器に印加し、眼瞼上および眼瞼内のマイボーム腺において圧力を生み出す。これは、マイボーム腺における妨害物または閉塞の弛緩を補助し、眼瞼の血流を低下させ、瞼加温器により生成された熱の対流熱損失を防止する。
【0048】
代替として、力を生成するために、アイカップに膜を取付けて利用することができる。該膜は、異なる材料、および伸縮し、弾力性のある材料から作製し得る。MGD治療の一環として、眼瞼に熱および力を印加するために使用する瞼加温器およびアイカップを含む、いくつかの実施形態を開示する。本発明は、いずれの特定の種類の瞼加温器および/または力生成装置もしくはデバイスにも限定されることはない。
【0049】
別の実施形態においては、MGDを治療するために、力および熱を、マイボーム腺に近接する組織に印加することができる。前述のように、力の印加は、マイボーム腺におけるより高い温度を、しかもより短時間に、したがってより効率的に獲得するのをさらに補助し得る。力の印加は、伝導性熱伝達の効率を改善、および/または対流熱損失を軽減し得る。マイボーム腺に近接する組織に熱および力を印加するために、任意の装置、デバイス、または器具を使用することができる。また、力の印加は、熱のより長時間の維持を可能にし得る。これは、力の印加が眼瞼への血流を低下させ得、したがって対流熱損失を軽減し、眼瞼および該腺への伝導性熱伝達を高めるためである。組織に印加する熱および/または力は、前述のように、調節できる。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。該力は熱を除去した後も残存することができ、したがって、身体の放熱板効果が眼瞼を通常の温度に戻すまでの時間を伸ばす。また、力の印加は、マイボーム腺からの、弛緩、軟化、または溶解状態の閉塞または妨害物の圧搾を補助し得る。
【0050】
別の実施形態においては、MGDを治療するために、眼瞼の内側に力を印加し、眼瞼の外側に熱を印加することができる。前述のように、該力の印加は、マイボーム腺におけるより高い温度を、しかもより短時間に、したがってより効率的に獲得するのをさらに補助できる。該力の印加は、伝導性熱伝達の効率を改善、および/または対流熱損失を軽減できる。眼瞼の外側に熱および力を印加するために、任意の装置、デバイス、または器具を使用することができる。また、力の印加は、眼瞼の外側により長時間、熱を維持し得る。これは、力の印加が眼瞼への血流を低下させ得、したがって対流熱損失を軽減し、眼瞼および該腺への伝導性熱伝達を高めるためである。眼瞼の外側に印加する熱および/または眼瞼の内側に印加する力は、前述のように、調節し得る。該力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。該力は熱を除去した後も残存することができ、したがって、身体の放熱板効果が眼瞼を通常の温度に戻すまでの時間を伸ばす。また、該力の印加は、マイボーム腺からの、弛緩、軟化、または溶解状態の閉塞または妨害物の圧搾を補助し得る。
【0051】
別の実施形態においては、MGDを治療するために、力および熱の両方を眼瞼の外側に印加することができる。前述のように、該力の印加は、マイボーム腺におけるより高い温度を、しかもより短時間に、したがってより効率的に獲得するのをさらに補助できる。該力の印加は、伝導性熱伝達の効率を改善、および/または対流熱損失を軽減できる。眼瞼の外側に熱および力を印加するために、任意の装置、デバイス、または器具を使用することができる。また、力の印加は、眼瞼の外側により長時間、熱を維持し得る。これは、力の印加が眼瞼への血流を低下させ得、したがって対流熱損失を軽減し、眼瞼および該腺への伝導性熱伝達を高めるためである。眼瞼の外側に印加される熱および/または力は、前述のように、調節できる。該力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。該力は熱を除去した後も残存することができ、したがって、身体の放熱板効果が眼瞼を通常の温度に戻すまでの時間を伸ばす。また、該力の印加は、マイボーム腺からの、弛緩、軟化、または溶解状態の閉塞または妨害物の圧搾を補助し得る。
【0052】
さらに別の実施形態においては、MGDを治療するために、眼瞼の内側および外側の両方に熱を印加することができる。また、眼瞼に力を印加することもできる。前述のように、該力の印加は、マイボーム腺におけるより高い温度を、しかもより短時間に、したがってより効率的に獲得するのをさらに補助できる。該力の印加は、伝導性熱伝達の効率を改善、および/または対流熱損失を軽減できる。眼瞼の外側に熱および力を印加するために、任意の装置、デバイス、または器具を使用することができる。また、力の印加は、眼瞼の外側により長時間、熱を維持し得る。これは、該力の印加が眼瞼への血流を低下させ得、したがって対流熱損失を軽減し、眼瞼および該腺への伝導性熱伝達を高めるためである。眼瞼の外側に印加する熱および/または力は、前述のように、調節できる。該力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。該力は熱を除去した後も残存することができ、したがって、身体の放熱板効果が眼瞼を通常の温度に戻すまでの時間を伸ばす。また、該力の印加は、閉塞または妨害物の圧搾も補助し得る。
【0053】
当業者は、付随の図面と関連する以下の発明を実施するための形態を読んだ後、本発明の範囲を認識し、そのさらなる態様を明確に理解する。
【0054】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本発明のいくつかの態様を例証し、その説明と併せて、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】マイボーム腺を示す、例示的なヒトの上眼瞼および下眼瞼を図解する。
【図2】マイボーム腺の例示的な断面図を図解する。
【図3】いくつかの詰まり機構を有するマイボーム腺の例示的な断面図を図解する。
【図4】熱を、眼瞼の外部に適用する際の、内眼瞼および外眼瞼の温度に対する時間の例示的な眼瞼温度プロファイルを図解する。
【図5】熱を、該眼瞼の内側に印加する際の、眼瞼の内側および外側の温度に対する時間の例示的な眼瞼温度プロファイルを図解する。
【図6】マイボーム腺の治療に関連する、内眼瞼に熱を印加する例示的な過程を図解する、フローチャートである。
【図7】熱および力を、眼瞼の内側に印加する際の、眼瞼温度に対する時間の例示的な瞼温度プロファイルを図解する。
【図8】マイボーム腺の治療に関連する、眼瞼の外側または外表面に印加する力を付加し、内眼瞼に熱を印加する例示的な過程を図解する、フローチャートである。
【図9】マイボーム腺の治療に関連して、患者の眼瞼の内側への熱、および患者の眼瞼の外側への力の印加を促進する、本発明に関連する一実施形態による、熱および力印加デバイスを図解する。
【図10】本発明に関連する一実施形態による、患者の眼瞼の内側に熱を制御可能に供給するように、患者の眼に適合するように構成される、図9に図解された熱および力印加デバイスの瞼加温構成要素を図解する。
【図11】本発明に関連する一実施形態による、マイボーム腺を治療するために、患者の眼の上に熱印加デバイスを取付けるための、患者の眼の眼瞼の内側に瞼加温器を設置する過程を図解する。
【図12】本発明に関連する一実施形態による、熱供給構成要素および瞼加温器の特徴をさらに図解するために、図9〜11に図解された瞼加温器の横断面図を図解する。
【図13A】マイボーム腺を治療するために、患者の眼の上に力印加デバイスを取付けるステップの一部として、アイカップを瞼加温器に固定するための、瞼加温器ならびにアイカップの熱および力印加デバイスの実施形態を図解する。
【図13B】マイボーム腺を治療するために、患者の眼の上に力印加デバイスを取付けるステップの一部として、アイカップを瞼加温器に固定するための、瞼加温器ならびにアイカップの熱および力印加デバイスの実施形態を図解する。
【図14】本発明の一実施形態による、眼瞼への熱および/または力の選択的かつ制御可能な伝達を円滑にするための、図9〜13Bのアイカップとコントローラとの間に取付けられるように適合する、インターフェースを図解する。
【図15】本発明に関連する一実施形態による、患者の眼瞼の内側へ熱を、および/または患者の眼瞼の外側へ力を印加するように、瞼加温器およびアイカップ構成要素に選択的かつ制御可能に伝達するための、熱および力印加デバイスの温度および圧力制御および伝達構成要素のトップレベルの系統図を図解する。
【図16】本発明に関連する一実施形態による、熱および力印加デバイスのためのインターフェース回路図を図解する。
【図17】本発明に関連する一実施形態による、患者の眼瞼の外側に選択的かつ制御可能に力を印加するための、熱および力印加デバイスの圧力制御システムを図解する。
【図18】本発明に関連する一実施形態による、患者の眼瞼の内側に選択的かつ制御可能に熱を印加するための、熱および力印加デバイスの温度制御システムを図解する。
【図19】本発明に関連する一実施形態による、患者の眼瞼の内側へ熱を、および/または患者の眼瞼の外側へ力を、選択的かつ制御可能に印加するための、熱および力印加デバイスによって利用する基本過程を図解するフローチャートである。
【図20】本発明に関連する一実施形態による、熱および力印加デバイスのためのシステム状態の流れ図である。
【図21A】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「再設定」状態の流れ図を図解する。
【図21B】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「再設定」状態の流れ図を図解する。
【図22】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、任意の「ヒューズブロー」状態の流れ図を図解する。
【図23】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「実行」状態の流れ図を図解する。
【図24】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「休止」状態の流れ図を図解する。
【図25A】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「監視」状態の流れ図を図解する。
【図25B】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「監視」状態の流れ図を図解する。
【図26】本発明に関連する一実施形態による、図20のシステム状態の流れ図による、「停止」状態の流れ図を図解する。
【図27】本発明に関連する一実施形態による、MGDを治療するための、代替的な熱および力印加デバイスの分解斜視図を図解する。
【図28】本発明に関連する一実施形態による、図27の線A−Aに沿った断面図による、代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図29】本発明に関連する一実施形態による、図27による、代替的な熱および力印加デバイスの分解図を図解する。
【図30】本発明に関連する一実施形態による、図27による、代替的な熱および力印加デバイスの断面図を図解する。
【図31A】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図31B】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図32】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図33】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図34】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図35】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図36A】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図36B】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図37】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図38A】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図38B】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図39】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図40】本発明の一実施形態による、別の代替的な熱および力印加デバイスの図解である。
【図41】熱を印加して、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させる際の熱損失を軽減するために、マイボーム腺に近接する組織への熱および力の印加を利用する、代替的なマイボーム腺治療を図解するフローチャートである。
【図42】マイボーム腺を治療するために、患者の眼瞼の外側への熱および患者の眼瞼の内側への力の印加を利用する、代替的なマイボーム腺治療を図解するフローチャートである。
【図43】マイボーム腺を治療するために、患者の眼瞼の外側への熱および力の印加を利用する、代替的なマイボーム腺治療を図解するフローチャートである。
【図44】マイボーム腺を治療するために、患者の眼瞼の内側および外側の両方への熱の印加を利用する、代替的なマイボーム腺治療を図解するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下に説明する実施形態は、当業者の本発明の実践を可能にするために必要な情報を表し、本発明を実践するための最良の形態を図解する。付随の図面を考慮に入れて以下の説明を読めば、当業者は、本発明の概念を理解し、特に本明細書で言及されていないこれらの概念の応用を認識する。これらの概念および応用が、本開示および付随の特許請求の範囲内に含まれることを理解されたい。
【0057】
本発明の一実施形態は、眼瞼の内表面に熱を印加し、マイボーム腺機能不全(MGD)によって引き起こされるドライアイを治療する、画期的かつこれまでには知られていなかった方法を含む。眼瞼の内側への熱の印加により、マイボーム腺におけるより重篤な閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度まで、マイボーム腺の温度を効果的かつ効率的に上昇させることができる。そして、マイボーム腺からの皮脂の流れを改善し、水層の蒸発を減少させるように、閉塞または妨害物を物理的に圧搾することができる。
【0058】
一部の患者は、マイボーム腺における温度を高温にしないと、圧搾するのに十分なほど溶解、弛緩、または軟化しない、マイボーム腺における妨害物または閉塞を有する。多くの場合、これらの温度は、眼瞼の外側に熱を印加する際、達成できないか、あるいはこれらの温度は、相当長い時間、眼瞼の外側に熱を印加した後にのみ達成し得るか、のいずれかである。高温は、患者に許容できない疼痛反応か、患者の眼瞼への損傷かのいずれかを引き起こすかもしれない危険な温度の熱の印加によってのみ達成し得る。これは、伝導熱損失による、眼瞼の外側とマイボーム腺との間の温度降下のためである。眼瞼の外側に印加した熱は、眼瞼組織、および眼瞼の内側で、マイボーム腺を包み込む瞼板を通って伝導的に移動しなければならない。一例として、眼瞼の外側に患者の眼瞼または周囲組織を火傷または損傷することのない熱を印加するには、マイボーム腺における温度がほんの摂氏41〜42度の温度に到達するのに、20〜30分かかり得る。患者のマイボーム腺における特定の妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるためには、温度は、例えば摂氏43〜45度の間に到達する必要があり得る。
【0059】
本願まで、マイボーム腺機能不全(MGD)を治療するには、眼瞼の外側に熱を印加することのみが既知であった。医療専門家は、眼瞼の内側に熱を印加することは、反直感的であると考えていたことであろう。眼瞼の内側へ熱を印加することは、眼瞼または眼球自体への損傷の危険性があると考えられていた。皮膚への熱の印加のこれまでの研究では、損傷は、摂氏45度もしくは摂氏45度以上の温度で生じ得ることを示している。これらの研究は、外部の角化した皮膚において成された。内眼瞼における組織は、角化していない上皮であり、したがって、角化した皮膚ほど熱から保護されない。したがって、眼瞼の内側への熱の印加は、当然、眼瞼の外表面においてよりも低い温度で疼痛反応を引き起こすと考えられるだろう。しかしながら、眼瞼の内側への熱の印加は、意外にも、安全であるのみならず、MGD治療の一部としてマイボーム腺における妨害物および/または閉塞を取り除くのに効果的であることが、発見された。
【0060】
眼瞼の内側の加熱が、マイボーム腺へより効果的に伝導性熱伝達を提供し得ると仮定した。より効果的な熱伝達の達成は、マイボーム腺におけるより高い温度の達成を可能にし、およびより効果的な時間で、マイボーム腺においてより重篤な妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させることができる。マイボーム腺は、眼瞼の外側表面よりも眼瞼の内側表面の近くに位置する。さらに、眼瞼の内側とマイボーム腺との間に位置する瞼板がない。したがって、マイボーム腺への伝導性熱伝達は、眼瞼の内側を加熱すると、より効果的であることが発見された。熱伝導は、より薄い組織で増加する。
【0061】
この点に関して、従来の概念および既知の原理に反して、熱が眼瞼(より具体的には眼瞼結膜)の内側に印加する実験を実施した。熱は、調節されれば、患者の眼を損傷することなく、眼瞼の内側に印加し得ることが発見された。例えば、ほとんどの患者は、麻酔なしで、また著しい疼痛もなく、摂氏43〜44.5度の表面温度に耐えることができることが確認された。一部の患者は、麻酔なしで、摂氏44.5度を超える温度に耐え得ることが認められた。さらに、より効果的な伝導性熱伝達および加熱デバイスの近接により、眼瞼の外側に対してよりも、眼瞼の内側に熱を印加する場合、高温に、しかもより短時間で到達し得ることが発見された。
【0062】
熱を、眼瞼の内側に印加する際に産生され得る例示的な瞼温度プロファイル32を、図5に図解する。そこでは、グラフは、一定の熱源を例示的対象患者に印加する際の時間関数として、眼瞼の内表面の温度があり得る状態を描写している。患者の眼瞼の内側に取付けられた熱源を、一定時間作動させる。この患者に関しては、眼瞼の内表面が摂氏約44度に達するまで、約30秒かかった。図4に図解される瞼温度プロファイルとは異なり、患者の眼瞼の内表面は、熱を眼瞼の内側に印加した際、より高い温度に達した。例えば、眼瞼の内側に熱を印加する際、マイボーム腺の温度を摂氏43〜45度以上にするために、2〜3分しかかからない場合がある。本発明に限定しないが、マイボーム腺の温度を上昇させる能力は、妨害物または閉塞の弛緩点、軟化点、または融点に達し、マイボーム腺における妨害物または閉塞の溶解、弛緩、または軟化に役立つことを立証できる。
【0063】
この点に関して、MGDを治療するために、マイボーム腺に近接する眼瞼の内側または内表面に熱を印加する、基本的形態の、本発明の一実施形態を、図6のフローチャートに図解する。これには、典型的には、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度までマイボーム腺を上昇させるために、熱を眼瞼の外側に直接印加する場合よりも少ない時間を要するという利点がある。さらに、眼瞼の内側の加熱により、眼瞼の外側を加熱した場合よりも高い温度に到達することが可能になり得る。
【0064】
まず、マイボーム腺における妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度まで、眼瞼の内表面に熱を印加する(ステップ40)。本発明が、この温度範囲に限定されることはないが、例えば、眼瞼の内側の温度を摂氏43〜47度に上昇させるように、熱を印加し得る。熱を印加する時間範囲は、1〜10分の間であり得、3〜6分の範囲に限定し得る。熱を調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼の内表面にとって安全であって、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、温度内および手段内に制御することを意味する。十分な温度とは、眼瞼結膜を加熱して、妨害物の所望の溶解、弛緩、または軟化を達成するために必要とされる加熱量を指す。熱は、温度が妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な所望のレベルに達するまで、一定時間維持し得る(ステップ42)。本発明は、いずれの特定の熱印加時間にも限定されないが、例えば、熱は、1〜10分間、印加し得る。その後、加熱中か、加熱後のいずれかで、マイボーム腺における妨害物または閉塞は、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾し得る(ステップ44)。
【0065】
本発明に限定しないが、マイボーム腺の温度を効果的かつより効率的に上昇させる能力は、妨害物または閉塞の弛緩点または融点に達し、マイボーム腺における妨害物または閉塞の溶解、弛緩、または軟化に役立つことが立証され得る。
【0066】
本明細書で使用する、「溶解する」、「弛緩する」、および「軟化させる」という用語、ならびにそれらの変形は、広範に解釈するべきである。これらの用語は、妨害物または閉塞をさらに簡単に解放あるいは圧搾することができるような形態への、眼または眼瞼構造の疾患に関連する妨害物または閉塞を生じさせる、もしくはそれの一因になる妨害物または閉塞物の形態もしくは状態の何らかの変更を広範に包含する。これは、限定するわけではないが、除去されるべき妨害物または閉塞物の溶解、弛緩、液化および/または軟化、ならびに/あるいは眼または眼瞼構造の疾患に関連する妨害物または閉塞を引き起こす、またはそれらの一因となる、粒子状物質を結合する物質および他の様相の溶解、弛緩、液化、または軟化を含む、それほど固体ではない形態または状態からより液体である形態または状態への変化を含むが、これらに限定しない。
【0067】
熱の印加を調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。熱を、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な時間の間、維持する。熱の印加中か、または熱の印加を除去した後に、マイボーム腺における閉塞または妨害物を圧搾して、妨害物または閉塞を除去し、これにより腺からの皮脂の流れを回復または改善するための、改善した経路を提供する。
【0068】
一実施形態においては、眼瞼結膜の表面温度を少なくとも摂氏37度まで上昇させることにより、MGDの軽度の症例に対する治療効果を提供し始めることができる。治療温度は、体温を超える任意の温度であり得る。治療のための一つの好ましい温度範囲は、摂氏43〜44.5度が標的で、摂氏43〜45度である。熱を印加する時間範囲は、1〜10分の間であり得、3〜6分の範囲に限定し得る。この範囲の温度は、MGDを治療する際、患者にとって効果的かつ快適であることが認められている。
【0069】
一実施形態において、熱の印加は、調節し得る。調節した熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含むことができる。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得、または例えば、オン/オフ切り替えまたはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加し得る温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。
【0070】
例に過ぎないが、摂氏45〜55度に上昇させた温度が、調節した熱を印加する際、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。しかしながら、熱は、常に、患者の疼痛反応、ならびに患者の眼瞼および/または周囲組織に損傷が生じるか否かを考慮に入れた温度で、眼瞼に印加するべきである。熱を印加する際、患者のMGDの重症度または患者の疼痛耐性により、患者個々に基づき、上昇させた温度を使用することができる。皮膚が明色の患者は、概して、皮膚が暗色の患者よりも熱への耐性が低く、皮膚が暗色の患者は、熱への曝露の結果、よりわずかな炎症を示す傾向があることが認められた。湿度を含む他の要因が、より高温に対する患者の耐性の一因になり得る。例えば、ヒトは、概して、湿度が低いドライサウナでは、摂氏70〜80度の熱に耐えることができる。より湿度が高い環境における熱の印加は、より低温で、疼痛および/または火傷の発生を引き起こし得る。
【0071】
患者に相当の炎症または危険を招く重症のMGDの症例は、概して治癒するため、患者の眼瞼に1度または2度の火傷を生じさせる温度を必要とする場合さえある。第3度の火傷を生じさせる温度は、避けるべきである。要約すれば、治療時間および/または温度は、これらの差異を考慮して調節し得る。本発明は、治療温度を印加する限り、いずれの特定の温度または時間範囲にも限定しない。
【0072】
調節した熱は、治療の間、治療温度で維持できる。治療時間は、例えば、約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0073】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ44)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ46)。ドライアイ症候群の治療のために多くの薬剤が提案されているが、それらのいずれも効果的、またはマイボーム腺における妨害物の除去に対してより効果的であり得る。利用し得る薬剤の中に、局所または経口テトラサイクリンおよび化学的に修飾されたテトラサイクリン等の抗生物質、テストステロン、局所または経口コルチコステロイド、局所アンドロゲンまたはアンドロゲン類似体、魚油等のオメガ3脂肪酸組成物、ラエンネック、脂質産生を促進する酵素、脂質産生を促進する酵素の産生を刺激する剤、ならびに/またはマイボーム腺分泌または他の涙成分の分泌を促進する分泌促進物として作用する任意の剤を含むが、それらに限定しない。例えば、アンドロゲンおよびアンドロゲン類似体、ならびにTGF−ベータは、マイボーム腺分泌を促進する分泌促進物として作用すると報告されている。これらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用し得ることを認識する。
【0074】
また、涙成分の産生に取って代わる、またはそれを促進するレスタシス(シクロスポリンA)等の剤を、本発明によるマイボーム腺の治療後、より効果的に適用することもできる。マイボーム腺の治療は脂質層を改善し、したがって、蒸発を減少し、水層を保持する。水層の保持は、涙成分剤により涙代用物を適用する必要性を軽減する。したがって、患者のMGDを治療するための本発明を用いれば、涙成分剤をそれほど頻繁に使用する必要がなくなり得る。
【0075】
眼瞼の内側への熱の印加に関する実験過程において、眼瞼の内側に位置する血管内の血流により、対流熱損失が生じることも発見された。眼瞼の内側に位置する血管を通る血流が、対流熱損失を生じさせる。血流は、身体が提供する天然の「放熱板」としての役割例を果たす。対流熱損失は、眼瞼の外側に熱を印加する場合よりも、眼瞼の内側に熱を印加する場合に小さくなる。これは、眼瞼の外側よりも、マイボーム腺と眼瞼の内側との間に位置する血管が少ないためである。マイボーム腺は、眼瞼の内側の近傍に位置する。しかしながら、眼瞼の内側を加熱する場合にも、やはり対流熱損失は生じる。しかしながら、血流が低下すると、対流熱損失が最小限に抑えられ、マイボーム腺において、温度をさらに効率的に、かつ短時間に達成および持続させることが可能である。
【0076】
この点に関して、熱を眼瞼の内側に印加し、様々な圧力レベルの力を眼瞼の外側に印加する際の、例示的な瞼温度プロファイル50を、図7に図解する。そこでは、グラフは、一定の熱および圧力源を例示的対象患者に印加する際の時間関数として、眼瞼の内表面および外表面の温度を描写している。最初は、眼瞼には熱または圧力を印加しない。この実施例においては、眼瞼の内側の温度は摂氏約36度であり、一方、眼瞼の外側の温度は摂氏約35度である。熱源が作動して眼瞼の内側に熱を印加し、70mmHgの圧力を眼瞼の外側に印加すると、眼瞼の内側の温度は急激に著しく上昇する。眼瞼に印加している圧力が眼瞼における血流を低下し、それが対流熱損失を軽減し、伝導性熱利得を増大する。眼瞼の外側の温度も急激に上昇するが、熱源が眼瞼の内側にあるため、眼瞼の内側においてほど著しくはない。眼瞼の内側および外側で、それぞれ摂氏約40.5および38.3度の公称温度に到達する。
【0077】
圧力が増すと、図4に図解されるように、さらに高い温度を達成する。最後に、熱源を完全に停止すると、温度は下がる。しかしながら、眼瞼の温度は、引き続き印加する力のために、直ぐには下がらない。やはり、その力が、血流を低下させ、対流熱損失を防止する。印加した後、熱および力の両方を停止すると、眼瞼の温度はより急速に下がる。これは、眼瞼における血流が妨害されず、身体の血流が「対流で迅速に熱を逃がす」のを可能にするためである。したがって、眼瞼における温度を図解する図7の瞼温度プロファイル50は、熱に加えて力を印加することで、効果的かつ迅速に上昇し得る。対流熱損失を軽減するための力の印加は、熱を眼瞼の内側または外側のいずれに印加する場合でも、印加し得ることに留意されたい。図7に図解しているように、力の印加は両方のシナリオにおいて効果的である。
【0078】
したがって、本発明の一実施形態も、熱に加えて、患者の眼瞼へのさらなる力の印加を含む。力の印加は、より短時間に、したがってより効率的に、眼瞼の内側の眼瞼結膜およびマイボーム腺において、より効率的なより高い温度の獲得をさらに補助できる。これは、前述のように、力の印加が眼瞼への血流を低下させ、対流熱損失を軽減し得るためである。
【0079】
この点に関して、MGDを治療するために眼瞼に熱および力を印加する本発明の一実施形態を、図8のフローチャートに図解する。まず、マイボーム腺の温度を所望のレベルまで上昇させるために、眼瞼に熱を印加する(ステップ60)。例えば、摂氏44〜47度まで眼瞼の内側の温度を上昇させるように、熱を印加することができる。熱は、眼瞼の内側もしくは外側、または眼瞼の両側に印加し得る。熱も調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。また、眼瞼の血流を低下させ、印加した熱に、より迅速にマイボーム腺の温度を上昇させるように、力も眼瞼に印加する(ステップ62)。力は、眼瞼の内側または外側に印加し得る。
【0080】
熱および/または力は、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度までマイボーム腺を上昇させるのに十分な時間の間、維持し得る(ステップ64)。該力は、所望の治療手技により、熱を除去した後も維持するか、またはその逆もあり得る。熱を除去した後に力を維持すると、力を除去した場合よりも、マイボーム腺の温度がよりゆっくりと散逸し得る。力を維持せずに、熱を維持することを、連続治療の間等に、眼瞼における血流を可能にすることができるように用い得る。例えば、治療と治療の間に力を印加および除去しながら、総治療時間を短縮するために、熱を維持することが望ましい場合がある。また、妨害物または閉塞が、マイボーム腺のより深部においてよりも、眼瞼縁の極めて近位に位置する場合、相当な量の力を、または熱と同じ時間、印加する必要があるとは限らない。
【0081】
また、力の印加は、該力により生み出される圧力が、熱源を眼瞼の組織に押し付けるため、印加する熱源からのより効率的な伝導性熱伝達をもたらし得る。この圧迫は、いくつかの利点を有し得る。圧迫は、熱を印加する組織に広がり、これにより、組織がより薄くなり、伝導性熱伝達を改善する。また、圧迫は、微細な皮膚の粗さによる眼瞼の表面の空洞部分を「絞り出す」ことができる。したがって、眼瞼に対する熱源の圧迫は、熱源と眼瞼の表面との間の表面接触を増加し(熱伝達方程式を増加する)、マイボーム腺へのより効果的な伝導性熱伝達を提供する。これは、これらの効率性の獲得により、マイボーム腺をより短時間で所望の温度レベルまで加熱するという結果になる。さらに、そうでなければ獲得しなかったかもしれない温度の上昇を達成し得るか、または少ない熱または熱エネルギーを使用して取得することができる。加熱が眼瞼表面の極めて近位に位置し、また加熱を眼瞼表面に対してさらに押し付けるため、熱伝達が非常に効率的になり、眼瞼の表面の温度がマイボーム腺の温度に非常に近くなる。
【0082】
さらに、マイボーム腺を加熱する時間の正確な短縮は、力を印加する場合患者により異なり、また患者の眼瞼に印加する圧力の量に基づき得るが、概して、加熱時間の変化は、これまでの方法と比較して、例えば数百パーセントも異なり得ることに留意されたい。一実施例として、これは、従来の方法と比較すると、再凝固が起きる前に妨害物または閉塞を圧搾しなければならない、5分または5分以上と解釈し得る。
【0083】
力を調節し得るとは、力生成手段を、眼瞼に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。また、該力は、一定力であり得、手動で提供し得る。例えば、力は、熱を印加しながら、技術者または医師の親指を含む指により、提供し得る。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方で印加し得る。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的、または液体型のデバイスもしくは機構を使用して生成されるものを含む、振動型の力を含み得る。力は、明確にマイボーム腺に方向付けられるように、患者の眼瞼の特定の位置またはベクトルに印加することができる。これは、該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要とされる力のレベルを低下し得る。また、該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力のレベルを、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減し得る。
【0084】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾、あるいは、該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用することができる。場合によっては、眼瞼に印加するかすかで弱く連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0085】
その後、加熱中および/もしくは力の印加中のいずれか、あるいはいずれかの後、マイボーム腺における妨害物または閉塞を、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾することができる(ステップ66)。
【0086】
熱のみを印加する、図6のフローチャートで前述したのと同じように、熱の印加を調節し得る。調節した熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得、または例えば、オン/オフ切り替えまたはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加し得る温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。
【0087】
例に過ぎないが、摂氏45〜55度に上昇させた温度が、調節した熱を印加する際、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。しかしながら、熱は、常に、患者の疼痛反応、ならびに患者の眼瞼および/または周囲組織に損傷が生じるか否かを考慮に入れた温度で、眼瞼に印加するべきである。熱を印加する際、患者のMGDの重症度または患者の疼痛耐性により、患者個々に基づき、上昇させた温度を使用することができる。皮膚が明色の患者は、概して、皮膚が暗色の患者よりも熱への耐性が低く、皮膚が暗色の患者は、熱への曝露の結果、よりわずかな炎症を示す傾向があることが認められた。湿度を含む他の要因が、より高温に対する患者の耐性の一因になり得る。例えば、ヒトは、概して、湿度が低いドライサウナでは、摂氏70〜80度の熱に耐えることができる。より湿度が高い環境における熱の印加は、より低温で、疼痛および/または火傷の発生を引き起こし得る。
【0088】
患者に相当の炎症または危険を招く重症のMGDの症例は、概して治癒するため、患者の眼瞼に第1度または第2度の火傷を生じさせる温度を必要とする場合さえある。第3度の火傷を生じさせる温度は、避けるべきである。要約すれば、治療時間および/または温度は、これらの差異を考慮して調節し得る。本発明は、治療温度を印加する限り、いずれの特定の温度または時間範囲にも限定しない。
【0089】
調節した熱は、治療の間、治療温度で維持できる。治療時間は、例えば、約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0090】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ66)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ68)。図6のフローチャートについての上記の薬剤の使用に関する説明は、本実施形態にも等しく適用可能であり、したがって、ここでは繰り返さない。それらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用し得ることを認識する。
【0091】
一実施形態においては、MGDを治療するために、熱を眼瞼の内側に印加しながら、眼瞼の外側に力を印加することができる。上眼瞼または下眼瞼の内表面の加熱は、任意の簡便な方法により行うことができる。一旦加熱した閉塞を除去するのに利用可能な時間により、瞼は1つずつ、または一度に両方を加熱することができる。眼瞼結膜を加熱するためのデバイスの1つを、図9〜14に図解する。
【0092】
図9は、熱および力印加デバイス70と称される全体デバイスを図解する。本実施形態においては、熱および力印加デバイス70は、熱および圧力生成および調節構成要素を含む、携帯型バッテリ駆動コントローラ72から成る。コントローラ72は、例えば、テーブルトップ上に載置される、または載っている非携帯型デバイスでもあり得る。本明細書で説明するようなコントローラ72は、電子および空気制御および支持構成要素を含み(ただし、これらに限定しない)、患者の眼瞼に対する熱および/または力の印加を可能にし、かつ制御するように調整する、任意のデバイスを説明および包含することを意図する。コントローラ72は、コントローラインターフェース76を介して、使い捨て構成要素74に接続し、図9に示されるように、眼瞼78において熱および力を生成する。使い捨て構成要素74は、患者の眼瞼の内側に熱を印加するレンズ(図10〜12に図解した)の形態で提供する瞼加温器90から成り、アイカップと連動して、患者の眼瞼の外側に力を印加する(図13〜14に図解した)。両方を併せて使用し、単眼のMGDを治療することができる。インターフェース76管を患者の耳77に巻き付け、任意の超過分を患者の衣服にクリップ留めすることができる。熱および力印加デバイス70は、医師が、MGDを治療するための局部的な熱および圧力治療を印加するために使用することを意図している。
【0093】
コントローラ72は、ユーザインターフェース80を含み、医師または他の技師が熱および力印加デバイス70を制御できるようにする。患者の眼瞼78に印加する温度および圧力は、温度表示部82および圧力表示部84上で見ることができる。温度および圧力表示部82、84を観察することによって、医師は、治療温度および圧力に到達したことを決定することができる。例えば、温度および圧力表示部82、84は、温度および圧力レベルならびに温度および圧力レベルの増減性質の両方を見ることができるように、セグメント棒グラフであり得る。患者の眼瞼において到達する温度レベルは、コントローラ72内の静水位に設定するか、あるいは医師または技師によって制御可能であり得る。患者の眼瞼に印加する力、したがって圧力は、力レバー86を締め付けることによって制御可能である。医師または技師が力を印加しようとする場合、力レバー86を締め付けることができる。力を解放する、したがって圧力を低減するために、力レバー86を離す。患者の眼瞼に印加する力によって形成される圧力を、圧力表示部84上に表示する。
【0094】
タイマー表示部88は、コントローラ72上に提供され、熱および/または力を患者の眼瞼78に印加した時間の量を表示することができる。タイマー表示部88は、経過した時間の累積量を表示するか、または初期期間を設定する場合にカウントダウンを提供することができる。例えば、タイマー表示部88は、いくつかの7セグメント表示部から構成し得る。一実施形態においては、タイマー表示部88は、180秒からカウントダウンし、120秒および60秒で点滅して、医師が力レバー86を離し、次いでレバー86を再び締め付けることによって、力および圧力を再印加するための指標となる。
【0095】
図10は、使い捨て構成要素74をより詳細に図解する。使い捨て構成要素74は、開示する実施形態におけるレンズを含む瞼加温器90から成る。レンズ90は、患者の眼瞼91A、91Bに熱を印加するための加熱要素を含むが、力を印加し得る断熱バックプレートも提供する。図11に示すように、レンズ90は、患者の眼の上に配置し、患者の上眼瞼および下眼瞼91A、91Bはレンズ92の外表面にある。取付けを行う前に、レンズ90の強膜側を生理食塩水または同等の潤滑滴で潤滑化することができる。次いで、レンズ90を眼瞼91A、91Bの下にある患者の眼に挿入する。加熱要素(図示せず)は、取付ける際に患者の眼瞼の内側に熱を印加できるレンズ90内に含まれる。レンズ90を構成するために使用する材料は導電性ではないが、熱伝導性であって、加熱要素内からの熱を患者の眼瞼に伝達させることができる。レンズ90は、例えば、LEXAN HPS2等の透明プラスチックを含む、プラスチックから構成することができる。さらに、レンズ90は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の生体適合性材料、エポキシ、または当業者によく知られる他の材料から構成することができる。レンズ90は柔軟であり得るが、理想的には、患者の眼球に適合するように、最小限にのみ圧縮可能であるべきである。
【0096】
レンズ90は、レンズに取付けられる、瞼加温器プラットホームまたはタブ94も含む。瞼加温器プラットホーム94は、取付ける際に患者の眼から離れて延在するように、レンズ90に対して垂直に接続し得る。瞼加温器プラットホーム94は、いくつかの利点を提供する。第1に、レンズ90およびその加熱要素の挿入および移動または調整のためのハンドルを提供する。第2に、レンズ90が患者の眼瞼の内側に熱を印加する間に、患者の眼瞼に力を印加するように取付けるための圧迫力デバイス用ガイドポストを提供する。レンズ電気的インターフェース96を支持して、レンズ90が、レンズ90の内側の加熱要素を、インターフェース76を介して、コントローラ72に電気的に接続できるようにすることもできる。次いで、コントローラ72は、取付けられると電気エネルギーを加熱要素に印加して、レンズ90の内側、したがって患者の眼瞼の内側に熱を生成する。第2に、インターフェース回路98の支持構造を提供する。インターフェース回路98は、加熱要素を活性化し、レンズ90で測定する温度をコントローラ72に逆伝達して熱調節するための電気的接続を提供する。インターフェース回路98は、本出願において図16に関して後述する。
【0097】
図12は、図9〜11において図解するレンズ90を用いる瞼加温器の横断面図を図解し、本発明の一実施形態による、瞼加温器の熱供給構成要素および特徴をさらに図解する。レンズ90は、眼瞼側92に取付けられている強膜側93によって形成される。レンズ90の強膜側93は、その周囲端の周りに屈曲100を含み、眼瞼側92の取付けを支持するための取付け端102を提供する。屈曲100のため、空洞室104は、レンズ90の内部で形成される。空洞室104は、レンズ90の内側に含まれる加熱要素106を支持し、励起されると熱を生成する。加熱要素106は、生成される熱が、内眼瞼に近接して位置し、マイボーム腺に熱を印加するように、レンズ90の眼瞼側92に隣接する。加熱要素106は、ヒューズリンク108を介してインターフェース回路98に取付け、次いで、コントローラインターフェース76に取付けられている瞼加温器プラットホーム94を介して、コントローラ72に取付ける。このように、コントローラ72は、加熱要素106に接続されるインターフェース回路98に電気信号を印加することによって、レンズ90の内側の加熱要素106に熱を生成させることができる。温度がヒューズリンク108の閾値温度レベルを超過すると、リンク108が溶解し、安全上の理由から、開回路を形成して加熱要素を無効にする。代替として、ヒューズリンク108が溶解して、所定の閾値温度で開回路を形成するように、ヒューズリンク108は、加熱要素の統合部分として提供される熱リンクであり得る。
【0098】
加熱要素106は、任意の形態の材料で提供し得る。加熱要素106は、抵抗型加熱器、厚膜加熱器、または多数の他の種類の任意の1つ、例えば、当業者によく知られる「フレックス回路」(フレキシブル基板上のエッチング加工された金属)であり得る。加熱要素106は、レンズ90の形状に形成することができる。図解した実施例において、加熱要素106は、電気的にも熱的にも伝導性のある材料である。このことは重要であり得る。導電特性は、加熱要素106に印加する電流による抵抗熱の生成を可能にする。熱伝導特性は、抵抗熱を加熱要素106全体に均等に分散させて、患者の眼瞼に対して熱をより均等に分散させる働きをする。これらの特性がなければ、加熱要素によって生成される熱を調節して、マイボーム腺における妨害物または閉塞を効率的かつ効果的に溶解、弛緩、または軟化させることがより困難となり得る。実施例は、いずれもCool Polymers,Inc製のE5101炭素負荷硫化ポリフェニレンおよびE2液晶高分子を含む。
【0099】
レンズ90のサイズは、加熱要素106の選択およびMGD治療において効果的になるように生成すべき熱の量にも関与し得る。レンズ90は、加熱要素106が生成する熱を分散する。より大きいレンズ90は、加熱要素106によって生成される熱を、より均一に、より広い表面領域上で分散し得る。患者の眼瞼に対する熱の印加は、必ずしもレンズ90に埋め込まれた加熱要素106を含む必要がないことにも留意されたい。熱印加は、例えば、空気等の環境の一部として提供し得る。印加する熱の量、マイボーム腺において到達し、その結果患者の眼瞼または周囲組織に熱を印加する温度、および熱を印加する期間は、加熱源の選択を制御することができる。
【0100】
レンズ90を構成するために使用する材料によって提供される断熱に加えて、レンズ90は、断熱の追加手段として、室104内に統合断熱体も含み得る。断熱は相当の熱が眼球に到達するのを防ぎ、したがって、角膜および強膜を保護する。本明細書で用いる、用語「断熱する」または「断熱」は、任意の構成要素または材料、および/または構成要素または材料の特定形状を含むことを意図し、眼瞼に対するよりも、眼の表面に対する熱伝導または放射への抵抗が大きい。代替として述べると、断熱体において、熱エネルギーは、眼球表面よりも眼瞼91A、91Bに対してより容易に放射し、眼球を損傷させる可能性を最小限にする。図12のレンズ90の実施例において、統合断熱体は空気であり、室104の全体容積を満たさず、加熱要素106によってできたスペースを開けて存在する自然のギャップによって形成される。加熱要素106は、レンズ90におけるその位置によってバイアスされ、また特に統合断熱体の裏側に位置して、患者の眼瞼の内側で、眼球よりも多くの熱を産生する。
【0101】
図13Aは、コントローラ72が、熱に加えて、患者の眼瞼91A、91Bに力を印加できるように調整するアイカップ110を図解する。アイカップ110は、膨張式ブラダー114を支持する、湾曲したキャリア112である。膨張式ブラダー114は、湾曲したキャリア112に取付ける。次いで、膨張式ブラダー114は、コントローラインターフェース76(図14を参照)における管118を介して、コントローラ72に接続し、コントローラ72が空気を管118に送り込み、膨張式ブラダー114を膨張させることができる。膨張すると、アイカップ110は、眼瞼91A、91Bの外部に力を印加し、一方で熱をレンズ90および加熱要素106を介して印加し得る。力を患者の眼瞼91A、91Bに印加するために、ブラダー114は、コントローラ72の制御下で膨張させる。力を解放する、したがって圧力を低減するために、ブラダー114内の空気をコントローラ72によって放出させる。
【0102】
使用することが望ましい場合は、瞼加温器プラットホーム94を、ラッチ機構116の間にあるアイカップ110におけるアイカップ開口部またはスロット113に挿入する。ラッチ機構116は、使用中に瞼加温器プラットホーム94をアイカップ110に固定するための手段を提供すると共に、瞼加温器電気的インターフェース96を、コントローラインターフェース76を介してコントローラ72に電気的に接続するためのインターフェースを提供する。ラッチ機構116は、半円形のキャリアベース119を有するキャリア117から成る。キャリアベース119は、アイカップ110に取付けられたアイカッププラットホーム121を受容する。キャリアベース119およびアイカッププラットホーム121は、クリップのように一緒に締め付けて、アイカップ110の開口部113に挿入すると、瞼加温器プラットホーム94がキャリア117に挿入される開孔部を制御する。キャリアベース119をアイカッププラットホーム121に対して締め付けない場合は、瞼加温器プラットホーム94を挿入するキャリア開孔部が閉じ、瞼加温器プラットホーム94をキャリア117、したがってアイカップ110に固定する。アイカッププラットホーム119は、アイカップ開口部113に挿入する際に、瞼加温器プラットホーム94が上に位置するように調整する。挿入すると、瞼加温器74の電気的インターフェース96は、キャリアインターフェース123に接触し、電気的インターフェース96とコントローラインターフェース76との間に電気的接続を提供する。
【0103】
図13Bは、図13Aにおいて図解されたものに対する代替ラッチ機構116Aを図解する。ラッチ機構116を水平面で押し付ける間、アイカップ110は、患者の眼瞼91A、91Bの外部に対して位置するまで瞼加温器タブ94に沿って前方に移動させる。ラッチ機構116を解放すると、アイカップ110は、瞼加温器タブ94に沿ったその位置に固定される。このように、患者の眼瞼91A、91Bは、レンズ90とアイカップ110との間に「挟まれる」。ラッチ機構116に関するさらなる情報および詳細は、図27〜30において図解し、本出願において後述する。
【0104】
図14は、コントローラインターフェース76に関するさらなる詳細を図解する。コントローラインターフェース76は、コントローラ72をレンズ90およびアイカップ110に連結し、コントローラ72がMGD治療の一部として、熱および/または力を患者の眼瞼に制御可能に印加できるようにする。コントローラインターフェース76は、コントローラ72に接続する一端にコネクタ120を含む。コネクタ120は、電気的インターフェース122および気送インターフェース124の両方を含む。以下でより詳細に説明するように、電気的インターフェース122により、コントローラ72は、電子機器配線126上で、瞼加温器90との間で電気信号を送受信することができる。電子機器配線126は、アイカップ110上のアイカップ電気的コネクタ128と連動して、瞼加温器プラットホーム94をアイカップ110に挿入すると、図13Aおよび13Bの実施例に示すように、瞼加温器90の瞼加温器電気的インターフェース96を、電子機器配線126に接続するようにする。気送インターフェース124により、コントローラ72は、管118に空気を送り込み、アイカップ110上の膨張式ブラダー114を膨張させて、患者の眼に力を印加し、膨張式ブラダー114内の空気を抜いて、力を解放し圧力を軽減する。図解した実施形態において、気送インターフェース124を、アイカップ110上の膨張式ブラダー114に安全に連結する。
【0105】
図15は、図14を補足して、コントローラ72と使い捨て構成要素74との間のインターフェース構成要素およびアイカップ110をシステムレベルで図解する。熱および力印加デバイス70のコントローラ72は、圧力制御システム130および温度制御システム132を含む。圧力制御システム130は、アイカップ110を介して患者の眼に印加する力からの圧力を制御する、コントローラ72内の制御構成要素である。温度制御システム132は、瞼加温器90を介して患者の眼に印加する熱を制御する、コントローラ72内の制御構成要素である。圧力制御システム130は、管118内の圧力を圧力制御システム130内の圧力センサ134にも伝達する。以下により詳細に説明するように、圧力センサ134を使用して、管118内の圧力レベルを決定し、圧力を圧力表示部84に表示すると共に、コントローラ72にフィードバックを提供して、システムのための様々な機能および制御を提供する。圧力センサ134は、コントローラ72、または必要に応じてコントローラ72に連結する外部データ取得デバイス(図示せず)による圧力データの記録も可能にする。
【0106】
図15は、アイカップ90上のラッチ機構116に関するさらなる詳細も図解する。ラッチ機構116Aは、瞼加温器90と瞼加温器プラットホーム94とアイカップ110との間の接続の提供を容易にし、アイカップ110を患者の眼瞼に固定するためにアイカップ開口部113をレンズプラットホーム94に滑り落ちさせる際に、瞼加温器90を電子機器配線126に提供するのを容易にする。2つの異なる種類のラッチ機構116、116Aを、図13Aおよび13Bにおいてすでに図解したが、いずれかを使用して、プラットホーム94をアイカップ110に固定することができ、または任意の他の種類を使用することができる。
【0107】
図16は、ここに開示する実施形態において、電子機器配線126を含み、コントローラ72および特に温度制御システム132を瞼加温器90と連動させて、患者の眼に熱を印加する特定の配線および支持回路を図解する。6つの配線が電子機器配線126を構成する。6つのインターフェース配線を、使い捨て構成要素74に埋め込まれるインターフェース回路98に接続する。HEATER+およびHEATER−は、プラットホーム94をコントローラインターフェース76に接続する際、瞼加温器90における加熱要素106に接続する。THERM1+およびTHERM2+は、2つのサーミスタ136A、136Bに連結する。2つのサーミスタ136A、136Bは、温度フィードバック機構の一部として、患者の眼瞼における温度の表示を提供し、温度制御システム132は、制御のために温度を監視できる。好適な実施形態において、加熱要素106と患者の眼瞼の内部との間の温度低下は最小であるため、温度調節はより簡単である。これは、サーミスタ136A、136Bが、腺において実際の温度により近い温度を記録し、したがって温度のオーバーシュートを最小限にするためである。患者の組織を損傷しないように、温度のオーバーシュートを最小限にする試みが重要である。温度サーモスタットまたは他のより複雑な調節回路を用いて、特に温度のオーバーシュートが問題である場合に、必要に応じて温度も同様に調節することができる。さらに、加熱要素106が常に励起されていても、周知の最大量の熱のみを生成し得るように、加熱要素および電力供給のサイズを選択することもできる。これは、調節回路の使用を回避し、温度のオーバーシュートを防ぐ。
【0108】
2つのサーミスタ136A、136Bを、故障した場合に冗長およびエラー確認のために提供する。サーミスタ136A、136Bの両方は、温度を示す同一信号を提供する必要がある。両方のサーミスタは、共通のRETURNに連結し、共通の反流/接地を提供する。最後に、FUSEラインを提供し、RETURNラインにも連結するヒューズ138に連結する。本出願において後述するように、コントローラ72は、ヒューズ138を飛ばすために十分なFUSEライン上で電流を送ることができる。コントローラ72は、ヒューズ138を飛ばして、瞼加温器90がすでに使用されているという表示を提供することができる。したがって、瞼加温器90を再利用する場合、コントローラ72は、FUSEライン上の開回路を検出し、ヒューズ138がすでに飛んでいることを知ることができる。
【0109】
図17は、圧力制御システム130の追加構成要素を図解し、ここに開示する実施形態に対するさらなる詳細を提供する。圧力制御システム130は、電気ポンプ139を含み、空気を管118に送り込む。他の種類のポンプを使用することもできる。逆止め弁140は、電気ポンプ139と膨張式ブラダー114との間の管118において一列に提供され、コントローラ72は、空気をシステムに引き込み、逆流放出することなく、膨張式ブラダー114を膨張させるように使用することができる。アイカップ110に対するライン圧力が、コントローラ72における最大圧力設定を超えないことを保証するための安全対策として、安全弁141も提供する。図15において図解し、上述したように、圧力センサ134は管118に連結し、様々な機能のために、管118内の圧力を圧力制御システム130に伝達する。
【0110】
図18は、好適な実施形態における温度制御システム132をより詳細に図解する。温度制御システム132は、電力システム142を含み、システム構成要素に対して電力を提供する。ここに開示する実施形態において、バッテリ144を電力供給として使用する。バッテリ144からのエネルギーは、逆バッテリ保護および低バッテリ検出回路146に提供する。バッテリ144の電力が低い場合、低バッテリ信号を、低バッテリ信号ライン148上でタイマーおよび表示部コントローラ150に伝達する。タイマーおよび表示部コントローラ150は、治療タイマーの制御およびタイマー表示部88上でのそれらの表示に関与する。また、タイマーおよび表示部コントローラ150を使用して、低バッテリ信号を含む、コントローラ72に関する他のコードをユーザに伝達する。バッテリ144からのエネルギーは、様々なDC−DC変換器152にも転送され、コントローラ72およびその操作用の構成要素が必要とする様々な電圧レベルを提供する。本発明は、任意の特定型の電力システムまたは特定の電力構成要素に限定しないことに留意されたい。
【0111】
温度制御システム132は、データインターフェース154も含み、圧力および温度データをデータロガー156に提供し得る。データロガー156は、タイマーおよび表示部コントローラ150に対するタイマーインターフェース158も含み、データに関して時間を記録できるようにする。データロガー156を使用して、分析のための患者治療に関するデータを記録し得、および/または試験目的でデータを提供し得る。データロガー156は、試験コネクタ160に連結し得、システムに関するログデータを、試験コネクタ160に連結する外部デバイス(図示せず)を介して表示および/または記録できるようにする。
【0112】
温度制御システム132の残余部分は、熱および力印加デバイス70の全体動作および制御を提供する、コントローラ72の様々な構成要素から成る。これらの構成要素は、プログラム可能なゲートアレイ(PGA)を含む様々な回路および制御構成要素の形態で提供される。該構成要素は、一緒に相互作用して、システムの動作のためのシステム論理を提供する。これらの構成要素ついて、システムの論理制御について説明する、以下の図21〜26と併せて説明する。これらの構成要素は、アナログまたはデジタル回路のいずれかによって提供し得、また必要に応じて、ソフトウェアを含むマイクロプロセッサベースの設計を使用して提供することができることに留意されたい。
【0113】
図21〜26は、コントローラ72のステートマシン、ならびに熱および力印加デバイス70の操作および論理を提供する状態で行う様々な操作を図解する。しかしながら、ステートマシンおよび様々な状態の論理を検討する前に、コントローラ72の高レベルの全体操作を、図19のフローチャートに関して説明する。図19ついて、図19において図解するコントローラ72のステートマシンを構成する様々な状態と併せて論じる。
【0114】
図19は、本発明の実施形態によるコントローラ72、および圧力制御システム130および温度制御システム132を含むそのシステムによって実行される、全体動作および熱および力印加デバイス70の動作および論理を説明するフローチャートを示す。該プロセスは、再設定状態におけるコントローラ72再設定から開始する(図19におけるステップ200、図20における再設定状態220)。該コントローラ72は、ここに開示する実施形態において、常に再設定状態で開始する。再設定状態は、電力サイクルの結果として、または新しい使い捨て構成要素74がコントローラ72に接続すると生じ得る。再設定後に、コントローラ72は、治療を開始する前に一連の試験を行い、コントローラ72およびその構成要素が適切に動作しているか否かを決定する(図19における決定202)。適切に動作していない場合はエラーを示し、コントローラ72は、停止状態に入ることによって動作を停止する(図19におけるステップ204、図20における停止状態224)。該停止状態は、加熱器を無効にする。コントローラ72が適切に動作している場合(図19における決定202)、コントローラ72は、実行および監視状態に入ることによって動作を進め、治療を開始する(図20における状態226および228)。
【0115】
オプションとして、コントローラ72は、第1に瞼加温器90上でヒューズを飛ばし、ヒューズブロー状態で開回路を形成する(図19におけるステップ205、図20におけるヒューズブロー状態222)。これは、安全および汚染の理由から、瞼加温器90を後の治療に再利用できないためである。決定202における動作確認の一部として、コントローラ72は、瞼加温器90上のヒューズが再設定状態で飛んでいるか否かを決定することができる(図20における220)。その場合、これは、瞼加温器90がすでに使用されていることの指標表示となり、コントローラ72は、停止状態に入る(図19におけるステップ204、図20における停止状態224)。コントローラ72は、ヒューズが飛んだ後瞼加温器90が除去されるまで、取付けられる瞼加温器90との動作を引き続き可能にする。かかる場合において、コントローラ72は、再設定状態に入る(図19におけるステップ200、図20における再設定状態)。
【0116】
次に、コントローラ72は、治療の準備を行う。コントローラ72は、第1に、タイマーおよび表示部コントローラ150における治療タイマーを初期化し得る。タイマーにより、コントローラ72のユーザは、熱および力の印加を含む、治療が発生した時間の量を追跡することができる。異なる患者は、治療中の熱および力の印加に異なる時間の量を要し得る。例えば、治療サイクルは、3分間の熱の印加を含み得るが、力は、3分間の治療時間中に数回印加、解放、および再印加する必要があり得る。
【0117】
続いて、コントローラ72は、温度制御システム132および圧力制御システム130が、実行状態の一部として、熱および力を患者の眼瞼に印加できるようにする(図19におけるステップ208、図20における実行状態226)。瞼加温器90およびアイカップ110の開示される実施形態において、前述のとおり、熱を患者の眼瞼の内側に印加し、力を患者の眼瞼の外側に印加する。しかしながら、コントローラ72を使用して、熱および/または力を、患者の眼またはいずれも患者の眼瞼の外側を含む支持構造の任意の一部に印加することができ、また熱を患者の眼瞼の外側に、力を患者の眼瞼の内側(ただし、これらの部位に限定しない)に印加できることに留意されたい。次いで、コントローラ72は、監視状態での熱および圧力調節の一部として、患者の眼瞼に印加する温度および力を監視する(図19におけるステップ210、図20における監視状態228)。実行および監視状態226、228は、好適な実施形態において同時に動作し、治療中に熱および力を絶えず印加し、温度および圧力を監視するようにする。実行または監視226、228中に、エラーを検出した場合(図19における決定212)、コントローラ72は停止状態に入り、治療を中止する(図19におけるステップ216、図20における停止状態224)。エラーを検出しない場合は、エラーを検出するか(図19における決定212)または治療が完了するまで(図19における決定214)、実行および監視状態226、228であり続ける。
【0118】
図21〜26は、ここに開示する実施形態による、MGD治療を提供するための温度および圧力を制御するように、コントローラ72によって実行される様々な状態の動作を詳述する、フローチャートを示す。これらの状態のそれぞれについて、概して、図19におけるフローチャートおよび図20における状態図に関して上述した。各状態およびそれらの特定の動作および機能性は、熱および力印加デバイス70およびそのコントローラ72の動作に関与するため、ここでより詳細に説明する。一部の動作は、圧力および温度制御システム130、132における様々な構成要素からの情報を必要とするため、これらの様々な構成要素への言及が、状態の動作を説明するように為される。これは、図18における温度制御システム132においてすでに導入した構成要素、および導入していない構成要素への言及を含む。
【0119】
図21は、再設定状態220のフローチャートを図解する(ステップ230)。コントローラ72は、電力サイクルが生じる、または新しい使い捨て瞼加温器90(任意の機能として無傷のヒューズ138を有する)が取付けられると、再設定状態220に入る(ステップ232)。その後、コントローラ72は確認して、電力供給電圧が設定した最小電圧レベル以上であるか否かを決定する(決定234)。ここに開示する実施形態において、バッテリ144は、少なくとも2.4ボルトを提供しなければならない。提供しない場合、バッテリエラー(例えば、「bAt」)がタイマー表示部88上に表示される(ステップ236)。図19を参照して、低バッテリエラーは、低バッテリ信号ライン148上で低バッテリ信号検出回路146から送信される低バッテリ信号に応答して、タイマーおよび表示部コントローラ150によってタイマー表示部上88に表示される。
【0120】
バッテリ144が十分な電圧を産生している場合、コントローラ72は、次に使い捨て構成要素74が取付けられているか否かを決定することによって(決定238)、再設定状態220であり続ける。取付けられていない場合、コントローラ72は、動作の準備ができていない。しかしながら、停止状態224に移る前に(ステップ246)、コントローラ72は、圧力診断試験を行う機会を利用する。図18を参照して、管118内の測定圧力を示す圧力センサ134信号は、圧力レベルを圧力表示部84に伝達する圧力レベル比較器162、およびエラー確認制御システム164に伝達される。理想的には、管118内の圧力は、周囲圧力より大きくてはならない。圧力センサ134が周囲圧力を示す信号を提供しない場合(決定240)、これは、圧力センサ134が適切に動作していない可能性があるという表示である。したがって、圧力センサ134エラーメッセージ(例えば、「E_4」)は、コントローラが停止状態224に入る前に(ステップ246)、ERRORS信号ライン171を介して(図18を参照)、タイマー表示部88上で表示される(ステップ244)。圧力センサ134が適切に圧力を測定している場合、タイマー表示部88は、再設定表示状態を保ち(例えば、「_ _ _」)(ステップ244)、コントローラ72は、使い捨て構成要素74が取付けられるまで待つ(決定238)。周囲圧力は、熱および力印加デバイス70が位置する場所によって0mmHgでない場合があるため、閾値圧力レベルを使用することに留意されたい。ここに開示する実施形態においては、閾値圧力レベルは1psiである。
【0121】
一旦使い捨て構成要素74を取付けると、コントローラ72は、次に瞼加温器90上のヒューズ138が飛んだか否かを任意に決定することができる(決定248)。本確認は、瞼加温器90が、コントローラ72によって飛び得るヒューズ138を備える場合にのみ行い、使い捨て構成要素74がすでに治療に使用されていることを示す。本例において、また図18を参照して、ヒューズ検出およびブロー回路168は、使い捨て構成要素74上のインターフェース回路98からのFUSE DETECTライン173上で、ヒューズ検出信号をエラー確認制御システム164に伝達する。これは、コントローラ72が、使い捨て構成要素74がすでに使用されているか否かを決定できるためである。ヒューズ138を飛ばす場合、コントローラ72は、安全および滅菌上の理由から、使い捨て構成要素74がまだ使用されていない使い捨て構成要素(インターフェース回路98上に無傷のヒューズ138を有する)と取り替えられるまで、現在取付けられている使い捨て構成要素74を使用する治療を提供しない。コントローラ72は、FUSE信号ライン170を介して、タイマー表示部88上にエラーメッセージ(例えば、「E_1」)を表示して、停止状態224に移る前に(ステップ252)、使い捨て構成要素74を取り替える必要があることをユーザに示す(ステップ250)。
【0122】
ヒューズ138を使い捨て構成要素74上で飛ばさない場合(決定248)、またはヒューズ確認機能がコントローラ72に含まれない場合、コントローラ72は、次に加熱要素106が接続されているか否かを決定する(決定253)。接続されていない場合、該コントローラは、接続メッセージ(例えば、「Con」)をタイマー表示部88上に表示し、加熱要素106(すなわち、瞼加温器90)がコントローラ72に接続しておらず、したがって、治療を開始できないことをユーザに示す(ステップ255)。加熱要素106がコントローラ72に接続されると、次にコントローラ72は、瞼加温器90における温度レベルが室温または周囲温度よりも低いか否かを決定する(決定254)。低い場合、これは、使い捨て構成要素74を患者の眼瞼に取付けられない場合があることを示し、ユーザがコントローラ72を準備して治療を開始するようにする。図18を参照して、サーミスタ調整回路172A、172Bは、使い捨て構成要素74におけるサーミスタ136A、136Bそれぞれからの信号をエラー確認制御システム164に伝達する。これに対し、接続メッセージ(例えば、「Con」)は、タイマー表示部88上で再度表示し得る(ステップ255)。コントローラ72は、サーミスタ136A、136Bが室温以上の温度を読み取るまで、加熱要素106の接続および瞼加温器90における温度を引き続き確認する。これは、使い捨て構成要素74を患者に取付けることを一部保証する。
【0123】
次に、コントローラ72は、瞼加温器90における温度レベルが体温よりも低い(例えば、摂氏30度)か否かを確認して決定する(決定254)。これにより、コントローラ72は、使い捨て構成要素74が患者の眼に取付けられているか否かを決定することができるが、これは、取付けられている場合に、瞼加温器90における温度が少なくとも体温でなければならないためである。瞼加温器90における温度が、少なくとも体温でない場合は、瞼加温器90における温度が異常に低いことをユーザに表示するのに応答して、エラーメッセージ(例えば、「LO」)をタイマー表示88に表示し得る(ステップ256)。コントローラ72は、その後、一連の確認を通して一巡し、瞼加温器90が適切に取付けられており、治療に使用する準備ができていることを保証する(決定253、257、254、258)。
【0124】
一旦瞼加温器90の温度が室温以上になると(決定254)、次いで、コントローラ72は、治療を開始する前に、瞼加温器90における温度が予想よりも高い温度レベルであるか否かを決定する(すなわち、温度レベル以上、例えば、摂氏30度)(決定258)。これは、治療を開始するには高いと見なされる周囲温度の表示となり得る。そうである場合、エラーメッセージ(例えば、「E_6」)は、コントローラ72が停止状態224に入る前に(ステップ262)、エラー確認制御システム164によってタイマー表示部88上に表示し得る(ステップ260)。そうでない場合、該コントローラは、圧力センサ134を介して、管118内の圧力レベルを確認し、コントローラ72がブラダー114を膨張させて患者の眼瞼に圧力を生成していないため、圧力レベルが周囲圧力であることを保証する(決定264)。圧力レベルが周囲圧力よりも低い場合、これは圧力センサ134または電源のエラー等のエラー表示となり得る。圧力レベルが周囲圧力よりも低い場合、コントローラ72は、バッテリ電圧が十分であるか否かを確認して決定し(決定261)、治療の開始を可能にする前に、一連の確認(決定253、257、254、258、264)を繰り返す。一旦これらの一連の確認が完了すると、治療を開始することができる。それに対して、コントローラ72は、タイマー表示部88を再設定させて、治療セッションの開始を示す(例えば、180秒カウントダウン)(ステップ265)。次いで、コントローラ72は、管118内の圧力レベルが周囲圧力よりも高くないこと、または圧力センサ134の表示となる望ましい圧力レベル、あるいは実行状態226に進む前の他の問題(決定267、ステップ269、271)、もしくは提供される場合はヒューズブロー状態222(ステップ268)を確認して保証する。
【0125】
再設定状態220から出た後、コントローラ72は、図22に図解するヒューズブロー状態222(ステップ272)に入り得る。その場合、コントローラ72は、瞼加温器90上でヒューズ138を飛ばし、コントローラ72を再設定した後にそれを再利用できないようにする(ステップ273)。図18を参照して、エラー確認制御システム164は、十分な電流をFUSE BLOWライン174上で、ヒューズ検出およびブロー回路168に送信し、使い捨て構成要素74においてヒューズ138を飛ばす。次いで、コントローラ72は、エラー確認制御システムシステム164を介して、ヒューズ138がFUSE DETECTライン173を介して成功裏に飛んだか否かを確認する(決定274)。ヒューズが飛ばない場合、またヒューズを飛ばす試みが7回失敗した後(決定276)、停止状態224に進む前に(ステップ280)、エラーメッセージ(例えば、「E_7」)がタイマー表示部88上に生成し得る(ステップ27)。ヒューズ138が成功裏に飛ぶと、コントローラ72は、治療を提供する準備ができている。コントローラ72は、実行および監視状態226、228(ステップ282)に入り、同時に実行させて熱および力を患者の眼瞼に印加すると共に、制御目的で印加する温度および圧力を監視する。
【0126】
図23は、実行状態226を図解する(ステップ300)。コントローラ72は実行状態226に入り、再設定状態220(図21におけるステップ268)または任意にヒューズブロー状態222(図22におけるステップ282)のいずれかから治療を開始する。実行状態226を、図25Aおよび25Bにおいて図解する監視状態228の前に論じる。図23を参照して、実行状態226は、コントローラ72によって開始し、サイクルタイマーを初期化して、システムにプログラム化されたカウントダウンタイム値においてカウントダウンタイマーを開始する(ステップ302)。図18を参照して、タイマーおよび表示部コントローラ150は、タイマーを再設定する。カウントダウンタイマーは、タイマー表示部88上に表示される。サイクルタイマーは、タイマー表示部88をサイクルの最後に点滅させて、タイマー表示88を使用して、サイクルタイマーおよびカウントダウンタイマー情報をユーザに提供するようにする。
【0127】
ここに開示する実施形態において、サイクルタイマーは、力が解放される前に力を患者の眼瞼に連続的に印加すべき時間の量である。ここに開示する実施形態において、サイクルタイマーを1分に設定する。カウントダウンタイマーは、患者の眼瞼に熱を印加する治療時間の合計である。ここに開示する実施形態において、カウントダウンタイマーを、3分に設定する。したがって、治療中に3つのサイクルが存在する。タイマーは、ユーザに視覚タイミング表示を提供するために使用するだけでなく、さらに論じるように、患者の眼瞼に対する熱および力の印加を制御するために使用する。これらのタイマー値は、ユーザがコントローラ72に提供するプログラミング指示にも基づき得る。
【0128】
その後、温度制御システム132は、瞼加温器90およびそのレンズを介して、患者の眼瞼に熱を印加できる(ステップ304)。熱治療の開始は、ここに開示する実施形態において、タイマー表示部88上の小数点を点滅させることによって、ユーザに合図する(ステップ304)。図18を参照して、治療タイマーコントローラ150は、有効信号をENABLEライン176上で生成させて、瞼加温器コントローラ178を作動し、電子機器配線126においてHEATER+およびHEATER−ラインに電気信号を印加する(図16を参照)。これにより、瞼加温器90における加熱要素106を励起し、患者の眼瞼に熱を生成させる。瞼加温器コントローラ178は、加熱要素106に対する電気信号を付けたり消したりすることによって加熱要素を制御する。しかしながら、PWM手技(ただし、これに限定しない)を含む任意の種類の加熱制御を用いることができる。その後、タイマーおよび表示部コントローラ150は、サイクルタイマーが失効していないかどうかを決定する(決定306)。失効している場合、治療を中断し(ステップ308)、休止状態229に入る(ステップ310)。これは、治療を継続できるようになる前に、力を解放する必要があるためである。休止状態229は、図24において図解し、以下で後述する。
【0129】
サイクルタイマーが失効していない場合(決定306)、開始、警告、治療温度、および治療圧力フラッグを確認する(決定312、314、316、318)。これらのフラッグは、エラー確認の一部として監視状態228により設定し、図25Aおよび25Bにおいて図解し、以下に後述する。本時点で、設定するこれらのフラッグは、熱治療を継続できることを意味することを理解する必要がある。継続できない場合は、実行状態226に戻る前に、停止状態224(ステップ317)または休止治療タイマー状態229(ステップ308、317)のいずれかに入る。フラッグを適切に設定する場合、治療タイマーは、1秒経過するにつれて(ステップ319、320)経過時間と共に減少し、加熱要素106は引き続き励起されて、治療時間が完了するまで瞼加温器90で熱を産生する(決定322)。治療タイムが完了した場合、ここに開示する実施形態において、治療タイマーはゼロまでカウントダウンし、治療タイマーは停止して(ステップ324)、停止状態224に入り、患者の眼瞼の加熱を中止する(ステップ326)。
【0130】
図25Aおよび25Bにおいて図解した監視状態228を説明する前に、休止状態229について次に説明する。休止状態229は、図24において図解する。休止状態229に入ると加熱要素106の励起を無効にし、実行状態226に再度入る前に、ユーザが力レバー86(または他の圧力制御機構)を離すまで待つ。これにより、安全対策上の理由から、眼瞼の血流を可能にするような何らかの援助がなければ、全体治療セッション中に、患者の眼瞼に力を連続的に印加しないことを保証する。タイマーおよび表示部コントローラ150は、第1に、ENABLEライン176から瞼加温器コントローラ178への有効信号を除去することによって、加熱要素106を無効にする(ステップ332)。タイマー表示部88は、変化状態から休止し、サイクル時間が点灯して、サイクルの終わりが生じたことを示す(ステップ334、338)。開始フラッグを確認して(決定336、340)、治療を再開できるように、ユーザが力を解放したことを保証し、この場合システムは、実行状態226に戻る(ステップ342)。開始フラッグは、監視状態228で設定および再設定する。
【0131】
開始フラッグを設定すると(決定336、340)、コントローラ72は、瞼加温器90における温度が定義された閾値温度レベルより上であるか否かを確認して決定することもできる。閾値温度レベルより上である場合、これは、患者に印加する熱の最高温度レベルを超過する熱を産生する加熱要素106の表示となり得る(決定337、343)。ここに開示する実施形態において、本最高温度閾値レベルは、摂氏43度である。しかしながら、本閾値温度レベルは、所望する任意の温度レベル閾値となるように設定することができる。閾値温度レベルを超過する場合、温度表示82を点滅させて本状態をユーザに示すと共に、コントローラ72が停止状態224に入る前に(ステップ343、349)、タイマー表示部88上にエラー(例えば、「E_3」)を表示することができる(ステップ341、343)。
【0132】
監視状態228は、図25Aおよび25Bのフローチャートによって図解する。監視状態228は、患者の眼瞼に印加した温度および圧力を連続的に確認する。サーミスタ136A、136Bを使用して温度を確認し、管118に連結する圧力センサ134を使用して圧力を確認する。測定する温度および圧力の結果は、温度および圧力表示部82、84を介して、コントローラ72上に表示する。温度および圧力測定を解析して、エラー状態が生じていないことを保証する。加えて、監視状態228は、治療温度および圧力に到達すると、監視状態228と同時に実行している実行状態226に信号を送る。
【0133】
図25Aを参照して、温度制御システム132は、温度が最大閾値温度レベル以上で、安全上の理由から安全機能が作動するか否かを決定する(決定352)。本閾値最大温度レベルは、摂氏45度に設定し得る。その場合、超過温度状態は、温度表示部82上で点滅し、温度が許容される温度設定を超過していることをユーザに示す(ステップ354)。さらに、エラーメッセージ(例えば、「E_3」)は、同様の点においてタイマー表示88上で表示される場合がある(ステップ356)。コントローラ72は停止状態224に入り(ステップ358)、治療を中断する。瞼加温器90における温度を設定する安全温度閾値を超過しない場合、エラー確認コントローラは、2つの温度サーミスタ136A、136Bが異なる値であるか否かを確認する(決定360)。より高い読み取りを提供するサーミスタ136A、136Bは、安全でない温度を患者の眼瞼に印加することを避けるための追加予防措置として、温度監視に使用する(ステップ362、364)。次いで、測定温度は、温度表示82上に表示される(ステップ366)。
【0134】
温度を測定するために使用するサーミスタ136A、136Bにおける温度を再度確認して、瞼加温器90における温度が、安全対策として、最大の許容可能な温度を再度超過しないことを保証する(決定368)。温度が最大の許容可能な温度を超過した場合、本確認の早期段階ですでに行われている同一のステップを行う(ステップ354、356、358)。超過しない場合は、瞼加温器コントローラ178における加熱スイッチドライバを任意に確認して、図18においてON/OFF信号ライン180を介してスイッチを切ると、熱が患者の眼瞼に印加されないことを保証するように、適切に作動することを保証する(決定370)。加熱スイッチドライバの機能が不全の場合、エラーメッセージ(例えば、「E_7」)がタイマー表示部88上に生成されて、ハードウェア障害をユーザに示し得る(ステップ372)。次いで、システムは停止状態(224)に入り、熱の印加を無効にする(ステップ374)。
【0135】
加熱スイッチドライバが適切に動作している場合(決定370)、システムは、患者の眼瞼に過剰な圧力を印加するのを避けるための安全対策として、管118内の圧力レベルが最大の許容可能な圧力を超過するか否かを決定する(決定376)。超過する場合、過剰な圧力状態が圧力表示部84およびタイマー表示部上に表示され(例えば、「E_5」)、停止状態224に入る前に(ステップ382)、過剰な圧力状態をユーザに示す(ステップ378、380)。過剰な圧力状態が存在しない場合は、測定圧力が圧力表示部84上に表示される(ステップ384)。
【0136】
次に、図25Bに示されるように、システムは、瞼加温器90における温度が治療温度設定を超過するか否かを決定する(決定386)。これは、治療を提供するために必要な瞼加温器90において温度が上昇したことを示し、治療タイマーが実行状態226において累積するようにする。システムが、治療温度設定を設定する。代替として、ユーザが、それをコントローラ72にプログラム化することができる。温度が治療温度設定を超過する場合(決定386)、治療温度フラッグを設定する(ステップ388)。超過しない場合は、治療温度フラッグをクリアする(ステップ390)。
【0137】
温度に対しても同様に、システムは、患者の眼瞼に印加する圧力を示す管118内の圧力が、治療圧力設定を超過するか否かも決定する(決定392)。これは、圧力が治療を提供するために必要なレベルに上がったことを示し、治療タイマーが実行状態226において累積するようにする。システムが、治療圧力設定を設定する。代替として、ユーザが、それをコントローラ72にプログラム化することができる。圧力レベルが治療圧力設定を超過する場合は(決定392)、治療圧力フラッグを設定する(ステップ394)。超過しない場合は、治療圧力フラッグをクリアする(ステップ396)。システムは、ユーザが使用する力レバー86を示す最小閾値レベルまで圧力レベルが増加し、治療を開始できるか否かも確認して決定する(決定398)。開始できる場合は、開始フラッグを設定する(ステップ400)。開始できない場合は、開始フラッグをクリアする(ステップ402)。
【0138】
システムは、温度サーミスタ136A、136Bも監視し、サーミスタ136A、136Bが機能不全であり得るかどうかの表示として、それらの測定信号が互いを追跡するか否かを決定する(決定404)。2つのサーミスタは、所定の温度に対して同一の出力を産生する可能性は低いが、同一の状態に応答して同様に変化する。それらが互いを適切に追跡している場合は、サーミスタに対してエラー状態が存在しないことを示す警告フラッグをクリアする(ステップ406)。そうでない場合は、警告フラッグを設定する前に(ステップ410)、エラーメッセージ(例えば、「E_2」)がタイマー表示部88上に表示される場合がある(ステップ408)。前述のとおり、実行状態226は、治療の継続を可能にする条件として、警告フラグを確認する。監視状態228は、コントローラ72を停止状態224に置く状態が生じるまで、ルーピング様式で引き続き実行する。
【0139】
図26は、コントローラステートマシンの最終状態、停止状態224を図解する。総治療時間がその事前設定した最大時間に到達したか、または任意のエラー状態が生じた際に、停止状態224に入る(ステップ420)。停止状態224に入ると、コントローラ72は、安全上の理由から、同一の使い捨て構成要素74を用いて再開始することができない。加熱要素106に対する加熱信号を、解放して患者の眼瞼への熱の印加を停止する(ステップ422)。さらに、患者の眼瞼に熱を印加しないことを保証するためのさらなる手段として、加熱要素106に対する電力供給を無効にすることもできる(ステップ423)。任意の試験コネクタを取付けて、データログまたは試験のためのセンサまたは他の動作データをメモリにダウンロードしてもよい。取付ける場合(決定424)、データはメモリにダウンロードすることができる(ステップ426)。一旦治療データをダウンロードすると、コントローラ72は治療を行っておらず、そうでなければ休止状態であるため(決定428、ステップ430)、コントローラ72は、コントローラ72が再設定されて再設定状態230に入るまで、バッテリの状態を確認することができる(図21を参照)。試験コネクタを取付けない場合、コントローラ72は、任意の試験コネクタを取付けるための確認を継続すると共に、取付けるか、またはコントローラ72を再設定して再設定状態220に入るまで(図21を参照)、バッテリレベルの確認を行う(決定425、ステップ427)。その後、システムは実行状態226に入り、この場合、一旦エラー状態を抹消し、新しい使い捨て構成要素74を取付けると、治療を再度開始することができる。
【0140】
図27〜30は、本発明が用いる、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Bの代替実施形態を図解する。図27および図28において図解されるように、装置は、断熱体440および眼瞼91A、91Bに力を印加するための手段またはレンズ440を備える。大部分の基本的形態において、断熱体440は、凹形状であって眼球442の湾曲に酷似し、本質的にコンタクトレンズに類似する。本明細書で用いる、「断熱体」という用語は、任意の構成要素または材料を含むことを意図し、眼瞼に対するよりも眼の表面に対する熱伝導性または放射性に対する抵抗が大きい。代替として述べると、断熱体において、熱エネルギーは、眼球表面よりも眼瞼に対してより容易に放射し、眼球442に損傷をもたらす可能性を最小限にする。構成したモデルにおいて、直径は、角膜を被覆するよりも十分に大きいか、または約15mmから25mmの範囲で、大部分の眼に対して十分であり、約16mmの角膜リリーフ域を仮定する。しかしながら、断熱体440の直径は、上述の範囲を超えて変化し得ることに留意されたい。
【0141】
さらに、断熱体440は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の生体適合性材料、または構成したプロトタイプの場合において、エポキシまたは当業者によく知られる他の材料から構成する。断熱体440は柔軟であり得るが、理想的には、以下の説明から明らかになるように、最小限にのみ圧縮可能であることが必要である。本発明により、断熱体440を、眼442の表面上、眼瞼の後方表面の裏側に挿入し、眼瞼または眼のいずれかを擦過または損傷しないように、滑らかな端を含む。本明細書で使用するように、「眼瞼(eyelid)または眼瞼(eyelids)」という用語は、個々または組み合わせのいずれかで、上眼瞼および下眼瞼を含むことを意図する。断熱体440は、力を印加し得るバックプレートを提供する。限られた状況において、マイボーム腺チャネル内の妨害物が最小の際には、優しく指で押す等、単に眼瞼に対して外部から印加する力の印加を通して、マイボーム腺をクリアすることができる。より具体的には、眼瞼の裏側に断熱体440を配置して、指圧力を眼瞼の外表面に印加し、眼瞼を指と断熱体440との間に「挟む」。
【0142】
他の例において、マイボーム腺の妨害物を、単純に圧力のみで治療できる程度を超えて遮断し得る。かかる場合において、熱エネルギーを眼瞼に印加し、妨害物の少なくとも一部を弛緩、破壊、破砕、軟化または液化する必要がある。熱エネルギーは、熱エネルギーを印加するためのよく知られた手段、例えば、抵抗、IR(赤外線)、超音波加熱、マイクロウェーブ等の様式のうちのいずれか1つ、発熱反応を化学的に産生する多数の「ホットパッド」のうちのいずれか1つ、または最も単純な形態の温湿布によって印加することができる。実験から、臨床的に効果的であるには、摂氏約35度から45度の間の温度まで眼瞼を加熱する必要があることが明らかになった。熱エネルギー(すなわち、熱)を眼瞼に印加する時間の長さは、妨害物がマイボーム腺チャネルを遮断する程度、ならびに妨害物の組成物に依存する。極めて稀な場合において、3分未満または5〜15秒だけ眼瞼に熱を印加することができる。一方で、極度の閉塞は、力を眼瞼に印加して軟化した妨害物を圧搾する前に、妨害物を溶解、弛緩、または軟化するために30分もの加熱を必要とし得る。実験により、眼瞼は、冷却機構として作用する循環血液との効率的な熱交換器であること、および眼瞼温度は2分未満で通常に戻り、妨害物を再硬化して、抽出を困難にすることがさらに明らかになった。したがって、治療を成功させるには、そのタイムフレーム内で、前述の圧搾力を眼瞼に印加することが必要である。したがって、好ましくはミルキングの種類の作用において、妨害物を上方に押し上げ、マイボーム腺開口部から押し出すための優しい指圧力を採用する必要がある。再度、妨害物の性質および位置に応じて、一部の例では、単なる圧縮力が効果的となり得る。
【0143】
断熱体440は、上述のとおり、眼瞼の後方と眼球442の表面との間に挿入する。アイカップ447を採用して力を提供し、したがって、眼瞼に圧力を提供する。本発明の一実施形態においては、熱エネルギーは、温湿布等を用いて上述のとおり印加し、その後1分から2分のタイムフレーム内で、アイカップ(加熱されない場合がある)を眼瞼の外表面上に配置し、そこに力を印加して、軟化した妨害物を圧搾する。図解したように、アイカップは、閉じた場合の眼瞼サイズおよび形状に酷似する。
【0144】
図29および30において、断熱体440を、加熱手段または加熱器448と共に提供する。本実施形態において、断熱体440(例えば、レンズ)は凹形状であるが、しかしながら、眼球442のそれよりも湾曲が大きく、断熱体440と眼球442との間に空気ポケットを形成するようにする。空気ポケットは、追加の断熱体を提供して、治療時間中に、印加する熱を眼球442表面に伝達するのを防ぐ。さらに、断熱体440の末端450は、実際に眼球442と物理的に接触する唯一の部分となる。断熱体440の本部分は、軟質ゴム、プラスチック、または可能であれば軟質金属等の、眼球表面を擦過または磨耗しない生体適合性材料から構成し得る。下表面452(すなわち、加熱器448の下の部分)および上表面454(すなわち、加熱器448の上の部分)は、異なる材料から加工して、眼球に対する熱伝導を最小化し、眼瞼に向けた熱伝導を促進する。前述を達成するための一方法は、下表面452に小さい空気ポケットを提供し、その層に追加絶縁体を追加することである。
【0145】
加熱器48は、抵抗型加熱器、薄膜加熱器、または当業者によく知られる「フレックス回路」(柔軟な基板上のエッチング加工された金属)等のいくつかの他の種類のうちのいずれか1つであり得る。図30に示されるように、断熱体440は、加熱器端子458が加熱器448に接続した、保持手段、ハンドル、即ち、プラットホーム456と、バッテリ460と、熱コントローラ単位462(すなわち、温度調節器)オン/オフスイッチ464と、から成る。加熱器448、バッテリ460等の電源、熱コントローラ単位462、およびオン/オフスイッチ464を備える回路は、順次に接続する。熱コントローラ単位/熱調節器462は、温度が上限温度閾値、例えば、摂氏47度に上限設定し得るように選択する。熱コントローラ単位462は、温度が超過すると回路を止めるように設計し、眼および周囲組織の損傷を避けることもできる。代替実施形態においては、加熱器448は、適切に配置した接触466および468の使用を通して、「オフデバイス」電源に接続できる(図29を参照)。
【0146】
ここで図26〜29の使い捨て構成要素74Bを再度参照して、間隔を開けて対向する一対の一端が飛び出したアーム470は、断熱体440の外表面から外側に垂直に延在し、ハンドル456と共に、アイカップ447を断熱体440に連結するための手段を定義する。各アーム470は互いに向かってテーパ状であり、それぞれノッチ472を含み、その目的は説明を進めるにつれて明らかになる。図6において最適に図解したように、加熱器448は、断熱体440において対応する陥没に嵌合し、眼瞼の内側に滑らかな均一表面を提供して、瞬きする際の摩擦および擦り切れを避けるために、2つの表面を洗い流す。代替として、加熱器448を断熱体440内に埋め込むか、またはその表面に印加あるいは接続することができ、滑らかにするコーティングオーバーレイを追加する。
【0147】
アイカップ447は、眼瞼の外表面上にかかるように調整し、本質的にその表面形状に一致し、断熱体440と動作するように調整する。アイカップ447は、中央に位置する縦方向のスロット474を含む。スロット474の上および下に位置付けられ、アイカップ447の本体から外側に垂直に延在するのは、空間を開けて対向する一端が飛び出した一対の柔軟な係合アーム476であり、一体成型されたつまみ部またはハンドル478および延在部468を含む。アイカップ447の下側に位置付けられるのは一対の隔壁480であり、互いに液体連動し、入り口手段または入り口482を含む。隔壁480は、従来の手段、例えば糊等を介してアイカップ447に取付ける(図示せず)。さらに図面から、隔壁480間に十分な空間が提供されているので、アーム470がそこを通過できることに留意されたい。
【0148】
図解していないが、アイカップ447には、アーム470が通り得る開孔部を画定する穴を有する、単一の隔壁480を提供し得ることに留意されたい。隔壁480は、ウレタンフォーム(オープンまたはクローズドセル)等の生体適合性材料、密閉空気バルーン、またはゲル充填ブラダーから加工し得る。再度、妨害の種類および程度に応じて、隔壁の厚さおよび/またはデュロメータは異なる。代替実施形態においては、隔壁480は、ゴムまたはプラスチック等の任意の柔軟な拡張可能な材料から加工できるブラダーを含み得る。しかしながら、拡張係数は、添加する液量に関して線形であることが好適である。ブラダー480は、一定量の液体で部分的に充填または膨張し得るか、または、香水エアロゾライザで使用するような、入り口482に接続した基本的なポンプをブラダー480に提供できる。液体は、好ましくは空気であるが、水、生理食塩水等の液体でもあり得る。さらに、図示していないが、液体を加熱して、存在し得るマイボーム腺妨害物の軟化を補助することもできる。任意の所定の患者に対しては、断熱体および液体のいずれかまたは両方を必要に応じて加熱し、任意の所定の妨害されたマイボーム腺を軟化することができる。
【0149】
図示されていないが、ブラダー480は、それらが膨張するにつれて圧力が印加され、軟化した腺妨害材料を腺チャネルの上に押し上げ、腺開口部から外に押し出して、腺をクリアにするような方法で加工することができる。一方法は、ブラダー480の厚さを増大させることであり、腺の底部付近の膨張に対する抵抗を少なくし(厚さを減らす)、腺開口部に到達するにつれて抵抗が増す(厚さを増す)ようにする。
【0150】
動作中に、断熱体440は、コンタクトレンズを挿入するのと該して同様の方法で、眼442の強膜上に配置する。適切に位置付けると、アーム470は眼瞼91Aと91Bとの間で外側に延在する。次いでアイカップ447を、眼瞼91A、91Bに面する凹面と共に位置付け、アーム470のノッチ端をスロット474に挿入するようにする。アイカップ447は、ノッチ472がアーム延在部468を係合するまでアーム470に沿って進め、したがってアイカップ447を断熱体440に連結し、接点466、468を接続する。次いで、加熱器448は、スイッチ446または他の手段によって駆動し、ブラダー480内の加熱された液体を同時にまたは連続的に、事前選択する時間、例えば2分間添加できる。その後、または熱の印加と同時に、ブラダー480を拡張し、軟化したマイボーム腺皮脂を押し上げ、腺開口部に向かって腺チャネルから押し出し、したがって、腺の妨害物を取り除く。治療が完了すると、次いで、つまみ部478A、478Bを互いに向かって押し、アイカップ447がアーム470から自由に滑り落ち、それを除去するようにする。その後、断熱体440を眼球442から除去し、治療が完了する。
【0151】
つまみ部478A,478Bの圧迫時に解放されるアーム470上の歯止め型機構、スロット474へのアーム470の圧入、ならびに本明細書で論じられていない当業者によく知られる他の機構等の断熱体をアイカップに係止するための様々な機構を用い得ることに留意されたい。手動制御、解放および力ならびにアイカップの手動調整を、治療中、および/またはマイボーム腺における妨害物または閉塞の圧搾が得られるまで用いることができる。特に必要とされないが、眼を損傷する可能性を最小限にするために、係止機構は「ゼロ挿入」力に近いことが好ましい。さらに、異なる形状および異なる剛性を有する異なるアイカップを用いることができる。これらの代替使い捨て構成要素74のうちの一部は、本出願の図31〜40において開示し、以下に論じる。
【0152】
図31Aおよび31Bは、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として、患者の眼瞼に熱および/または力を印加することができる使い捨て構成要素74Cの別の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、瞼加温器90Cは、2つを分離する能力またはレンズ90Cとアイカップ110Cとの間の距離を変えるように調整する能力なしに、アイカップ110Cに安全に固定する。唯一の可動構成要素は、患者の眼瞼の外側に力を印加するように制御する、膨張可能なブラダー114Cである。かかる使い捨て構成要素74Cを用いて、アイカップ110Cの位置を瞼加温器90Cに関して調整する必要がないため、治療中に技師がより簡単に取付けて使用することができる。
【0153】
使い捨て構成要素74Cは、前述の瞼加温器90A、90Bに類似するレンズの形態で、瞼加温器90Cを含む。瞼加温器90Cは、加熱要素(図示せず)を含み、レンズ93Cの内表面を患者の眼の上に配置すると、患者の眼瞼の内側に熱を印加する。瞼加温器90Cは、瞼加温器プラットホーム94Cも含み、技師または医師が瞼加温器90Cを把持し、それを患者の眼の上に取付けることができるようにする。アイカップ110Cを、患者の眼瞼の外側に力を印加するためにも提供する。アイカップ110Cは、上および下凹型カップ471A、471Bによって形成する。マイボーム腺はレンズの中心の上下に位置するため、開口473を、レンズ90Cの水平中心線を中心として、2つのカップ471Aと471Bとの間に提供し、調整を容易にする。したがって、使い捨て構成要素74Cを取付けると、患者の上眼瞼および下眼瞼が合わさるアイカップ110Cの中心において、力を印加する必要がない場合がある。瞼加温器プラットホーム94は、インターフェース部分475においてアイカップ110Cにしっかりと固定し、アイカップ110Cの内部とレンズ92Cの外表面との間の固定距離を提供する。
【0154】
図32は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Dの別の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、アイカップ110Dは、アイカップ110Dを瞼加温器プラットホーム94Dに固定し、膨張式ブラダー479A、479Bとレンズ92Dの外表面との間の距離を調整できるようにする、ラッチ機構116Dを含む。
【0155】
本実施形態においては、アイカップ110D設計は、膜またはブラダー479A、479Bを支持して、患者の眼瞼に力を印加するアイカップ481A、481Bが、互いから完全に分離されることを除いて、図31に図解するアイカップ110C設計に類似するスプリット上アイカップ481Aおよびスプリット下アイカップ481Bを含む。スプリットアイカップ481A、481Bによって、上アイカップ481Aは、下アイカップ481Bから独立して上がり、アイカップ110Dを瞼加温器94Dから解放することができる。この点において、瞼加温器プラットホーム94Dは、アイカップ110Dに取付けられて、アイカップ110Dを瞼加温器94Dに固定するアイカッププラットホーム485を固定するように調整されるホルダー483を含む。アイカッププラットホーム485は、ヒンジ487を介して瞼加温器プラットホーム94Dにヒンジ取付けされたクランプ484Aを含む。瞼加温器プラットホーム94Dは、対向するクランプ484Bを含み、クランプ484Aおよび484Bを一緒に締め付けると、アイカッププラットホーム485がホルダー483から解放され、アイカップ110Dを瞼加温器94Dから解放する。瞼加温器プラットホーム94Dは、アイカップ110Dを解放すると、クランプ484A、484Bが締め付けられて瞼加温器94Dを保持する間に保持できるグリップハンドル493も含む。
【0156】
図33は、本発明により用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Eの別の代替実施形態を図解する。本実施形態は、アイカップ110Eを瞼加温器90Eに取付けて解放するためのラッチ機構116Eが、アイカップ110Eの一部として完全に提供することを除いて、図32の使い捨て構成要素74Eに類似する。ラッチ機構116Eによって、アイカップ110Fは瞼加温器プラットホーム94Eに取付けられ、膨張式ブラダー490A、490Bとレンズ92Eの外表面との間の距離を調整できるようにする。
【0157】
本実施形態においては、アイカップ110E設計は、図32に図解するアイカップ110Eに類似する、スプリット上アイカップ491Aおよびスプリット下アイカップ491Bを含む。スプリット上アイカップ491Aおよびスプリット下アイカップ491Bは、患者の眼瞼に力を印加する膜490A、490Bを支持する。アイカッププラットホーム492、496は、アイカップ110Eから延在し、ヒンジ493を介して互いにヒンジ取付けされるクランプ494A、494Bを含む。クランプ494Aおよび494Bを一緒に締め付けると、アイカッププラットホーム492、496は互いから離れて瞼加温器プラットホーム94Eを解放する。瞼加温器プラットホーム94Eは、クランプ494A、494Bが、瞼加温器90Eをアイカップ110Eに固定するように締め付けなかった場合、アイカッププラットホーム492と496との間で圧縮される。アイカップ110Eは、クランプ494Aおよび494Bを圧縮し、アイカッププラットホーム492、496を瞼加温器プラットホーム94E上の所望の位置に移動させることによって、瞼加温器90Eに関して調整することができる。瞼加温器プラットホーム94Eは、その端部にグリップ489も含み、アイカップ110Eを、瞼加温器プラットホーム94Eに沿って所望の位置に調整可能に配置する際、瞼加温器プラットホーム94Eのより良いグリップを提供できる。
【0158】
図34は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Fの別の代替実施形態を図解する。本実施形態は、アイカップ110Fが、分離可能な構成要素を含まないアイカップ504を有する1つの部品であることを除いて、図33の使い捨て構成要素74Eに類似するラッチ機構116Fを有する。ラッチ機構116Fによって、アイカップ110Fを瞼加温器プラットホーム94Fに取付けることができ、膨張式ブラダー502、490Bとレンズ92Fの外表面との間の距離を調整することができる。アイカップ110Fは、気送インターフェース508を含むので、コントローラ72はブラダー502を膨張させることができる。
【0159】
アイカップ110Fは、ラッチ機構116Fを支持するアイカッププラットホーム510も含む。アイカッププラットホーム510は、膜またはブラダー502を支持して、患者の眼瞼に力を印加するアイカップ504A、504Bを支持する。ラッチ機構116Fは、ヒンジ513を介して互いにヒンジ取付けされるアイカップクランプ512A、512Bから成る。クランプ512Aおよび512Bを一緒に締め付ける際、アイカッププラットホーム510Iにおける開口部514をロック解除して、瞼加温器プラットホーム94Fをアイカッププラットホーム510Fに沿って横移動させることができる。このようにして、瞼加温器94Fを、アイカップ110Fに取付けて、アイカップ110Fから所望の距離に移動させることができる。瞼加温器90Fおよびそのプラットホーム94Fをアイカップ110Fから引き離すと、プラットホーム94Fが開口部514を通して引っ張られて、瞼加温器90Fをアイカップ110Fから解放できる。図33のプラットホーム94Fのように、瞼加温器プラットホーム94Eは、その端部にグリップ500も含み、瞼加温器プラットホーム94Fに沿って所望の位置に、アイカップ110Fを調整可能に配置すると、瞼加温器プラットホーム94Fのより良いグリップを提供する。
【0160】
図35は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Gの別の代替実施形態を図解する。本実施形態は、シリンジと同様の方法で作動するラッチ機構116Gを有する。アイカップ110Gは、1つの部品から形成する。アイカップ522の外表面は、その端部にプラットホーム526を有する円筒形の管524に取付ける。瞼加温器プラットホーム94Gは、管524およびプラットホーム526を通る開口部528を通して延在し、完全に押し下げるまたは係合させると、プラットホーム524に対して位置するその端部に瞼加温器プラットホーム94Gをプランジャ520の形態で含む。アイカップ90Gを瞼加温器90Gから最も遠くに移動させるために、プランジャ520を、上方または下方に完全に係合する。瞼加温器90Gを移動してアイカップ110Gに近づけるために、プランジャ520を上方または後方に引っ張る。プランジャ520は、瞼加温器90Gの移動、したがって、瞼加温器90Gとアイカップ110Gとの間の距離を制御して治療を管理する。
【0161】
図36Aおよび36Bは、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Hの別の代替実施形態を図解する。本実施形態は、図33の使い捨て構成要素74Eに類似し、個別の上アイカップ530Aおよび下アイカップ530Bを提供して、患者の上および下眼瞼に力を印加する。しかしながら、アイカップ530A、530Bの両方が係合する必要はない。それぞれ個別に係合することができる。例えば、患者の上または下眼瞼のみにおいて、そして同時に両方の眼瞼ではなく、マイボーム腺を治療することが望ましい場合がある。このように、瞼加温器プラットホーム94Hは、ヒンジ534を含む。上アイカップ530Aおよび下アイカップ530Bは、ヒンジ534に取付け、それらが瞼加温器プラットホーム94H上で回転できるようにする。使用中でない場合は、図36Aに図解されるように、アイカップ580A、580Bを回転させて、瞼加温器プラットホーム94Hから離すことができる。瞼加温器プラットホーム94Eは、図36Bに図解されるように、ヒンジ534を中心にしてアイカップ530A、530Bを回転させ、レンズ92Hの外表面に移動させることができる、溝付き表面531を含む。使用中、アイカップ580A、580Bは、瞼加温器プラットホーム94Hにおけるノッチ533上で移動し、所定の位置にロックされる。
【0162】
図37は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Iの別の代替実施形態を図解する。本実施形態において、アイカップ110Iは、膜またはブラダー541を支持して、患者の眼瞼に力を印加するアイカップ540によって形成される。アイカップ540は、瞼加温器プラットホーム94Iを通る開孔部542を含み、そこを通って延在し、使い捨て構成要素74Iが取付けられると、アイカップ110Iを瞼加温器プラットホーム94Iに取付ける。瞼加温器プラットホーム94Iは、瞼加温器プラットホーム94Iをスプリット542に係止する厚い表面543を含み、アイカップ110Iが、瞼加温器プラットホーム94Iを中心に移動するのを防ぎ、使用中に確実に嵌合するようにする。ハンドル544を、アイカップ540にも取付けると、アイカップ540に関して瞼加温器90Iを調整する場合に、技師がアイカップ540を保持することができる。
【0163】
図38Aおよび38Bは、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Jの別の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、アイカップ110Jを1つの部品として提供する。アイカップ110Jは、膜またはブラダー551を支持して、患者の眼瞼に力を印加し、開口部554が突き出すリッジ552を含む。ブラダー進行機構554は、開口部554を通して配置され、瞼加温器プラットホーム94Jは、ブラダー進行機構556における開口部554を通して延在する。ブラダー(図示せず)は、ブラダー進行機構556に取付ける。ブラダー(図示せず)を患者の眼瞼に進めて力を印加することが望ましい場合、ブラダー進行機構556を回転させて、ノッチ558がリッジ552上の溝557の内部に適合し、ブラダー進行機構556を、開口部552を通して瞼加温器90Jに向けて前方に移動させて、所定の位置に係止させる。ブラダーを瞼加温器90Jから離すことが望ましい場合、ブラダー進行機構556を引き戻して、ノッチ558を溝557から除去するようにし、回転させて、リッジ552が支持する溝557から離すことができる。
【0164】
図39は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Kの別の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、アイカップ110Kを1つの部品として提供する。アイカップ110Kは、患者の眼瞼に力を印加する、膜またはブラダー561を支持する。アイカップ110Kは、リブ構造562A、562Bを含み、瞼加温器プラットホーム94Kが延在して、アイカップ110Kを瞼加温器90Kに取付ける開口部566を有する開口室564を支持する、外表面560を含む。締め付け可能なアイカッププラットホーム568、570は、開口部566の各側面上で、一端はリブ構造562A、562Bに、別端は共通のヒンジ572に取付ける。アイカッププラットホーム568、570を締め付けると、瞼加温器プラットホーム94Kは、開口部566を通して横移動することができる。アイカップ110Kを患者の眼瞼に対して配置する場合、グリップ578を引っ張って、瞼加温器プラットホーム94Kのネック576が、下アイカッププラットホーム570において形成する溝574に挿入され、ロックダウンされる。
【0165】
図40は、本発明によって用いられ、MGD治療の一部として患者の眼瞼に熱および/または力を印加し得る、使い捨て構成要素74Lの別の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、アイカップ110Lおよび瞼加温器94Lを、2つの個々の部品として提供する。ヒンジ590に取付けるつまみ部588A、588Bを押圧して、アイカップ110Lにおける開口482のための余地を与え、アイカップ580における開口582に沿って、瞼加温器プラットホーム94L上の所望の位置に挿入することができる。アイカップ110Lを、瞼加温器プラットホーム94L上で所望の位置に配置すると、つまみ部588A、588Bを解放し、つまみ部588A、588Bはアイカップ110Lを所定の位置に位置付けて保持する。
【0166】
本出願は、眼瞼の内部に熱を印加し、眼瞼の外側に力を印加して、MGDを治療するための装置について論じ、提供するが、他の構成も可能である。熱および力は、MGDを治療するために、いくつかの異なる組み合わせおよび方法で印加できる。例えば、図41は、患者のマイボーム腺に近接する組織に熱および力を印加して、MGDを治療するための本発明の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、熱および力を印加する。熱を印加して、望ましい温度レベルで、マイボーム腺に対して伝導性熱伝達を提供する(ステップ600)。例えば、熱を印加して、眼瞼の内側の温度を摂氏43〜47度まで上昇させることができる。熱も調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。
【0167】
力を患者のマイボーム腺に近接する組織に印加して、熱伝達の効率性を高めることもできる。上述のとおり、患者の眼瞼をその間に「挟んだ」、熱源への力の印加は、より効率的な伝導性熱伝達のための、熱源と眼瞼との間のより強い表面接触を提供する。さらに、力の印加により、眼瞼の血流が低下し、眼瞼を通る対流熱損失が軽減し、マイボーム腺における温度をより高いレベルに上昇させるのみならず、それをより迅速かつ効率的に行うことが可能になる(ステップ602)。
【0168】
熱および/または力は、マイボーム腺における温度を上昇させて、妨害または閉塞を十分に溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な時間の間、維持できる(ステップ604)。力は、所望の治療手技により、熱を除去した後も維持できるか、またはその逆もあり得る。熱を取り除いた後、力を維持することは、マイボーム腺における対流的な熱損失を低減し得、したがって、力を取り除いている場合よりも長い時間、マイボーム腺における温度レベルを治療レベルに維持し得る。力を維持せずに、熱を維持することを、連続治療の間等に、眼瞼における血流を可能にすることができるように用いることができる。例えば、治療と治療の間に力を印加および除去しながら、総治療時間を短縮するために、熱を維持することが望ましい場合がある。また、妨害物または閉塞が、マイボーム腺のより深部においてよりも、眼瞼縁の極めて近位に位置する場合、相当な量の力を、または熱の印加と同じ時間の間、印加する必要があるとは限らない。その後、加熱中および/もしくは力の印加中のいずれか、あるいはいずれかの後、マイボーム腺における妨害物または閉塞を、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾することができる(ステップ606)。
【0169】
力を調節し得るとは、力生成手段を、マイボーム腺に近接する組織に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的、または液体型のデバイスもしくは機構を使用して生成されるものを含む、振動型の力を含み得る。該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力の程度は、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減できる。
【0170】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾、あるいは、該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用できる。場合によっては、眼瞼に印加するかすかで弱く連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時に、またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0171】
患者の眼瞼の外側において熱を生成するために、本明細書に説明するものを含む、任意のデバイスを用いることができる。米国特許出願第2007/1016254号の表題「Method and apparatus for treating gland dysfunction employing heated medium」に開示される装置等の、他のデバイスを用いることができ、該出願は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。本出願では、加熱した流体の移送により、患者の眼瞼の外側に熱を印加するための装置を用いている。さらに、患者の眼瞼に熱を印加するために、流体とは対照的に、ガスを用いることができる。
【0172】
熱のみを印加する、図6のフローチャートで前述したのと同じように、制御した熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得るか、またはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加し得る温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。例に過ぎないが、摂氏47〜55度に上昇させた温度が、変調した熱を印加する場合、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。
【0173】
調節した熱は、治療時間中、治療温度で維持できる。力の印加により、熱源がマイボーム腺における温度を所望のレベルまで上昇させるのにかかる時間を短縮し得るため、治療時間は、例えば約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後のいずれかにおいて、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0174】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ606)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ608)。上記の薬剤の使用に関する図6および図8のフローチャートでの先の説明が、本実施形態にも等しく適用可能であり、したがって、ここでは繰り返さない。それらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用できることを認識する。
【0175】
図42は、患者の眼瞼に熱および力を印加してMGDを治療するための、本発明の代替実施形態を図解する。本実施形態においては、熱が眼瞼の外側に印加され、力が眼瞼の内側に印加される。マイボーム腺への伝導性熱伝達を提供するために、所望の温度レベルまで、眼瞼の外側に熱が印加される(ステップ610)。例えば、熱を印加して、眼瞼の内側の温度を摂氏43〜47度まで上昇させることができる。熱も調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。
【0176】
また、熱伝達の効率を高めるために、眼瞼の内側に力を印加することもできる。上述のとおり、患者の眼瞼をその間に「挟んだ」、熱源への力の印加は、より効率的な伝導性熱伝達のための、熱源と眼瞼との間のより強い表面接触を提供する。さらに、力の印加により、眼瞼の血流が低下し、眼瞼を通る対流熱損失が軽減し、マイボーム腺における温度をより高いレベルに上昇させるのみならず、それをより迅速かつ効率的に行うことが可能になる(ステップ612)。
【0177】
熱および/または力は、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分なレベルまで、マイボーム腺における温度を上昇させるのに十分な時間の間、維持できる(ステップ614)。力は、所望の治療手技により、熱を除去した後も維持できるか、またはその逆もあり得る。熱を除去した後も力を維持することにより、マイボーム腺における対流熱損失が低下し、したがって、力を除去した場合よりもより長い時間、マイボーム腺における温度レベルを治療レベルに保持することができる。力を維持せずに、熱を維持することを、連続治療の間等に、眼瞼における血流を可能にすることができるように用いることができる。例えば、治療と治療の間に力を印加および除去しながら、総治療時間を短縮するために、熱を維持することが望ましい場合がある。また、妨害物または閉塞が、マイボーム腺のより深部においてよりも、眼瞼縁の極めて近位に位置する場合、相当な量の力を、または熱の印加と同じ時間の間、印加する必要があるとは限らない。その後、加熱中および/もしくは力の印加中のいずれか、あるいはいずれかの後、マイボーム腺における妨害物または閉塞を、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾することができる(ステップ616)。
【0178】
力を調節し得るとは、力生成手段が、眼瞼に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加し得る。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的、または液体型のデバイスもしくは機構を使用して生成されるものを含む、振動型の力を含み得る。該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力の程度は、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減できる。
【0179】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾、あるいは、該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用できる。場合によっては、眼瞼に印加するかすかで弱く連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時、またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0180】
患者の眼瞼の外側において熱を生成するために、本明細書に説明するものを含む、任意のデバイスを用いることができる。米国特許出願第2007/1016254号の表題「Method and apparatus for treating gland dysfunction employing heated medium」に開示される装置等の、他のデバイスを用いることができ、該出願は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。本出願では、加熱した流体の移送により、患者の眼瞼の外側に熱を印加するための装置を用いる。さらに、患者の眼瞼に熱を印加するために、流体とは対照的に、ガスを用いることができる。
【0181】
熱のみを印加する、図6のフローチャートで前述したのと同じように、制御した熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得るか、またはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加できる温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。例に過ぎないが、摂氏47〜55度に上昇させた温度が、変調した熱を印加する場合、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。
【0182】
調節した熱は、治療時間中、治療温度で維持できる。力の印加により、熱源がマイボーム腺における温度を所望のレベルまで上昇させるのにかかる時間を短縮できるため、治療時間は、例えば約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後のいずれかにおいて、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0183】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ616)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ618)。上記の薬剤の使用に関する図6および図8のフローチャートでの先の説明が、本実施形態にも等しく適用可能であり、したがって、ここでは繰り返さない。それらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用できることを認識する。
【0184】
図43は、患者の眼瞼に熱および力を印加してMGDを治療するための、本発明の代替実施形態を図解する。本実施形態では、熱および力の両方を、眼瞼の外側に印加する。マイボーム腺への伝導性熱伝達を提供するために、所望の温度レベルまで、眼瞼の外側に熱を印加する(ステップ620)。例えば、熱を印加して、眼瞼の内側の温度を摂氏43〜47度に上昇させることができる。熱も調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。
【0185】
また、熱伝達の効率を高めるために、眼瞼の外側に力も印加することができる。上述のとおり、力の印加は、より効率的な伝導性熱伝達のための、熱源と眼瞼との間のより強い表面接触を提供し得る。さらに、力の印加により、眼瞼の血流が低下し、眼瞼を通る対流熱損失が軽減し、マイボーム腺における温度をより高いレベルに上昇させるのみならず、それをより迅速かつ効率的に行うことが可能になる(ステップ622)。
【0186】
熱および/または力は、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度までマイボーム腺を上昇させるのに十分な時間の間、維持できる(ステップ624)。力は、所望の治療手技により、熱を除去した後も維持できるか、またはその逆もあり得る。熱を除去した後も力を維持することにより、マイボーム腺における対流熱損失が低下し、したがって、力を除去した場合よりもより長い時間、マイボーム腺における温度レベルを治療レベルに保持することができる。力を維持しない熱の維持を用いて、連続治療の間等に、眼瞼における血流を可能にすることができる。例えば、治療と治療の間に力を印加および除去しながら、総治療時間を短縮するために、熱を維持することが望ましい場合がある。また、妨害物または閉塞が、マイボーム腺のより深部においてよりも、眼瞼縁の極めて近位に位置する場合、相当な量の力を、または熱の印加と同じ時間の間、印加する必要があるとは限らない。その後、加熱中および/もしくは力の印加中のいずれか、あるいはいずれかの後、マイボーム腺における妨害物または閉塞を、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾することができる(ステップ626)。
【0187】
力を調節し得るとは、力生成手段が、眼瞼に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加できる。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的、または液体型のデバイスもしくは機構を使用して生成されるものを含む、振動型の力を含み得る。該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力の程度は、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減できる。
【0188】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾、あるいは、該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用できる。場合によっては、眼瞼に印加するかすかで弱く連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時、またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0189】
患者の眼瞼の外側において熱を生成するために、本明細書に説明するものを含む、任意のデバイスを用いることができる。米国特許出願第2007/1016254号の表題「Method and apparatus for treating gland dysfunction employing heated medium」に開示される装置等の、他のデバイスを用いることができ、該出願は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。本出願では、加熱した流体の移送により、患者の眼瞼の外側に熱を印加するための装置が用いられている。さらに、患者の眼瞼に熱を印加するために、流体とは対照的に、ガスを用いることができる。
【0190】
熱のみを印加する、図6のフローチャートで前述したのと同じように、制御した熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得るか、またはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加できる温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。例に過ぎないが、摂氏47〜55度に上昇させた温度が、変調した熱を印加する場合、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。
【0191】
調節した熱は、治療時間中、治療温度で維持できる。力の印加により、熱源がマイボーム腺における温度を所望のレベルまで上昇させるのにかかる時間を短縮できるため、治療時間は、例えば約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後のいずれかにおいて、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0192】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ626)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ628)。上記の薬剤の使用に関する図6および図8のフローチャートでの先の説明が、本実施形態にも等しく適用可能であり、したがって、ここでは繰り返さない。それらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用できることを認識する。
【0193】
図44は、患者の眼瞼に熱および力を印加してMGDを治療するための、本発明の代替実施形態を図解する。本実施形態では、熱を、患者の眼瞼の内表面および外部表面の両方に印加する。また、眼瞼に力を印加することもできる。マイボーム腺へのさらに効率的な伝導性熱伝達を提供するために、所望の温度レベルまで、眼瞼の内側および外側の両方に熱を印加する(ステップ630)。例えば、熱を印加して、眼瞼の内側の温度を摂氏43〜47度に上昇させることができる。熱も調節し得るとは、加熱手段または要素を、眼瞼に対して安全であり、マイボーム腺における閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化させるために十分な温度で安全である、該温度内および該手段内に制御することを意味する。
【0194】
また、熱伝達の効率を高めるために、眼瞼に力も印加することができる。これまでに説明したように、力の印加は、より効率的な伝導性熱伝達のための、熱源と眼瞼との間のより強い表面接触を提供し得る。さらに、力の印加により、眼瞼の血流が低下し、眼瞼を通る対流熱損失が軽減し、マイボーム腺における温度をより高いレベルに上昇させるのみならず、それをより迅速かつ効率的に行うことが可能になる(ステップ632)。
【0195】
熱および/または力は、妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるのに十分な温度までマイボーム腺を上昇させるのに十分な時間の間、維持できる(ステップ634)。力を、所望の治療手技により、熱を除去した後も維持できるか、またはその逆もあり得る。熱を除去した後も力を維持することにより、マイボーム腺における対流熱損失が低下し、したがって、力を除去した場合よりもより長い時間、マイボーム腺における温度レベルを治療レベルに保持することができる。力を維持せずに、熱を維持することを、連続治療の間等に、眼瞼における血流を可能にすることができるように用いることができる。例えば、治療と治療の間に力を印加および除去しながら、総治療時間を短縮するために、熱を維持することが望ましい場合がある。また、妨害物または閉塞が、マイボーム腺のより深部においてよりも、眼瞼縁の極めて近位に位置する場合、相当な量の力を、または熱の印加と同じ時間の間、印加する必要があるとは限らない。その後、加熱中および/もしくは力の印加中のいずれか、あるいはいずれかの後、マイボーム腺における妨害物または閉塞を、皮脂の流れを該腺から回復して、十分な脂質層を確立するように、圧搾することができる(ステップ636)。
【0196】
力を調節し得るとは、力生成手段が、眼瞼に印加しても安全な圧力範囲内であり、マイボーム腺における温度が十分に上昇されるのを十分可能にする圧力に、制御することを意味する。力は、加熱中、加熱後、または加熱中と加熱後の両方に印加できる。いずれの場合も、該力は、弛緩、軟化、または溶解状態にある閉塞または妨害物の、マイボーム腺からの圧搾を補助することができる。該力は、機械的な、または液体型のデバイスもしくは機構を使用するものを含む、振動型の力を含み得る。該腺における妨害物または閉塞の圧搾に必要な力の程度は、妨害物または閉塞に熱を印加し、それらを溶解、軟化、または弛緩状態に置くと、大幅に軽減できる。
【0197】
また、力の印加は、該腺からの閉塞または妨害物の液体または懸濁液の動きを刺激することができる。本発明は、概して、調節された力またはミルキングアクションを眼瞼に印加し、液体または懸濁液を圧搾、あるいは、該腺からの液体の動きを機械的に刺激する、デバイスと共に使用できる。場合によっては、眼瞼に印加するかすかで弱く連続した力が、液体および懸濁液の圧搾を補助する。また、加熱と同時、またはその直後に力を印加する場合、圧搾をさらに補助するために、振動を使用することもできる。
【0198】
患者の眼瞼の内側および外側において熱を生成するために、本明細書に説明するものを含む、任意のデバイスを用いることができる。熱のみを印加する、図6のフローチャートで前述したのと同じように、制御された熱は、温度プロファイルに従った熱の制御を含み得る。温度プロファイルは、一定温度であり得、ランプアップ、ランプダウン、ピーク、および谷を含み得る。さらに、温度プロファイルは、熱パルスを含み得るか、またはパルス幅変調(PWM)法の使用を含む、様々な性質を用いて変調できる。変調した熱の使用により、上昇した温度がより短時間の間印加されるため、患者の眼瞼への損傷なく、眼瞼における温度をさらに高く上昇させることが可能になる。マイボーム腺における妨害物または閉塞は、変調した熱を使用せずに印加できる温度を超える、溶解点、弛緩点、または軟化点を有し得る。妨害物または閉塞を溶解、弛緩、または軟化させるために必要とされる温度は、妨害物または閉塞がどれだけ角化しているかに依存し得る。すべての妨害物または閉塞が、同一の溶解点、弛緩点、または軟化点を有するわけではない。例に過ぎないが、摂氏47〜55度に上昇させた温度が、変調した熱を印加する場合、特に、眼瞼が麻酔されている場合、可能であり得る。
【0199】
調節した熱は、治療時間中、治療温度で維持できる。力の印加により、熱源がマイボーム腺における温度を所望のレベルまで上昇させるのにかかる時間を短縮できるため、治療時間は、例えば約1〜10分であり得る。熱はまた、閉塞または妨害物を溶解、弛緩、または軟化状態に保持するように、繰り返し印加し、所望の時間の間、維持することができる。調節した熱によるこのような治療の間、またはその後のいずれかにおいて、マイボーム腺からの脂質および他の流体の機械的圧搾によって、本質的に溶解した、あるいは懸濁状態にある(固体を共に結合する材料を溶解することによって)、透明な妨害物が除去されることが認められた。
【0200】
任意に、閉塞または妨害物の圧搾を行った後(ステップ636)、皮脂の自由な流れを促進する、および/または、眼または眼瞼の炎症または感染を低減もしくは予防するために、任意の薬剤をマイボーム腺に適用することができる(ステップ638)。上記の薬剤の使用に関する図6および図8のフローチャートでの先の説明が、本実施形態にも等しく適用可能であり、したがって、ここでは繰り返さない。それらの化合物は、適切な薬剤の図解的な例であるが、当業者は、他の薬理学的化合物を利用できることを認識する。
【0201】
当業者は、本発明の好適な実施形態への改良および修正を認識するだろう。本出願において使用する熱は、熱エネルギーの印加を意味し得る。熱を、任意の種類の熱エネルギーを使用して、患者の眼瞼、関連した構造、または周囲の組織に印加できる。力は、任意の種類の力または力生成手段もしくはデバイスを使用して、患者の眼瞼、関連した構造、および/または周囲の組織に圧力を印加するために、患者の眼瞼に印加できる。そのようなすべての改良および修正を、本出願において開示する概念、および以下の請求項の範囲内であると見なす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイボーム腺機能不全の治療方法であって、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の内表面に熱を印加するステップと、
前記熱を一定時間維持するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行う、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記妨害物を前記溶解、弛緩、または軟化した状態に維持するために、選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記温度レベルは、摂氏約43〜47度である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マイボーム腺からの液体の自由流れを促進するために、前記眼瞼またはマイボーム腺を薬剤で治療するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記薬剤は、抗生物質、局所テトラサイクリン、局所コルチコステロイド、経口コルチコステロイド、局所アンドロゲン、局所アンドロゲン類似体、TGF−β、オメガ3組成物、脂質産生を促進する酵素、脂質産生を促進する酵素の産生を刺激する薬剤、マイボーム腺分泌を強化するための分泌促進物として作用する薬剤、涙成分の産生に取って代わる薬剤、および涙成分の産生を促進する剤から成る群から選択した薬剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記患者の眼瞼の外部表面に圧力を印加するために、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
一定時間、前記患者の眼瞼の前記外部表面への前記力を維持するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記力を維持するステップは、前記妨害物が溶解、弛緩、または軟化した状態であり続ける間、前記妨害物を圧搾する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記力を維持するステップは、熱散逸を軽減するために、前記眼瞼の血流を低下させる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記温度レベルは、摂氏約43〜55度である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持し、および前記力を一定時間維持するステップの間に行う、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記患者の眼瞼の内表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップは、前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記力を除去するステップを含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記力を除去するステップの後に行う、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面への前記力を維持する前記ステップの間に行う、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップと、前記溶解、弛緩、または軟化した状態の間、前記妨害物を圧搾するために、選択した時間の後、前記力を印加および維持するステップと、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記患者の眼瞼の前記外部表面に印加した前記力は、機械力、電気力、空気力、および手動の圧迫力から成る群を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記患者の眼瞼の前記内表面に前記熱を印加する際に、前記熱を調節するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記患者の眼瞼の前記外部表面に前記力を印加する際に、前記力を調節するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、前記患者の眼瞼の外部表面に熱を印加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
マイボーム腺機能不全の治療方法であって、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の内表面に熱を印加するステップと、
前記熱を一定時間維持するステップと、
前記患者の眼瞼の前記内表面に圧力を印加するために、前記患者の眼瞼の前記内表面に力を印加するステップと、を含む、方法。
【請求項27】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行う、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記患者の眼瞼の内表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行う、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記妨害物を前記溶解、弛緩、または軟化した状態に維持するために、選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記熱を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記温度レベルは、摂氏約43〜47度である、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記マイボーム腺からの液体の自由流れを促進するために、前記眼瞼またはマイボーム腺を薬剤で治療するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記薬剤は、抗生物質、局所テトラサイクリン、局所コルチコステロイド、経口コルチコステロイド、局所アンドロゲン、局所アンドロゲン類似体、TGF−β、オメガ3組成物、脂質産生を促進する酵素、脂質産生を促進する酵素の産生を刺激する薬剤、マイボーム腺分泌を強化するための分泌促進物として作用する薬剤、涙成分の産生に取って代わる薬剤、および涙成分の産生を促進する薬剤から成る群から選択した薬剤である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
一定時間、前記患者の眼瞼の前記内表面への前記力を維持するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記力を維持するステップは、前記妨害物が溶解、弛緩、または軟化した状態であり続ける間、前記妨害物を圧搾する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記力を維持するステップは、前記眼瞼における熱散逸を軽減するために、前記眼瞼の血流を低下させる、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記温度レベルは、摂氏約43〜55度である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行う、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持し、および前記力を一定時間維持するステップの間に行う、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行う、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記患者の眼瞼の前記内表面から前記力を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記内表面から前記力を除去する前記ステップの後に行う、請求項27に記載の方法。
【請求項44】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含み、
前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記内表面への前記力を維持する前記ステップの間う、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップと、前記溶解、弛緩、または軟化した状態の間、前記妨害物を圧搾するために、選択した時間の後、前記力を印加および維持するステップと、をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記力を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項35に記載の方法。
【請求項47】
前記患者の眼瞼の前記内表面に印加した前記力は、機械力、電気力、空気力、および手動の圧迫力から成る群を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項48】
前記患者の眼瞼の前記内表面に前記熱を印加する際に、前記熱を調節するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項49】
前記患者の眼瞼の前記内表面に前記力を印加する際に、前記力を調節するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項50】
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、前記患者の眼瞼の外部表面に熱を印加するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項51】
マイボーム腺機能不全の治療方法であって、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の外部表面に熱を印加するステップと、
前記熱を一定時間維持するステップと、
前記患者の眼瞼の前記外部表面に圧力を印加するために、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するステップと、を含む、方法。
【請求項52】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行う、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行う、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記妨害物を前記溶解、弛緩、または軟化した状態に維持するために、選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記熱を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記温度レベルは、摂氏約43〜47度である、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記マイボーム腺からの液体の自由流れを促進するために、前記眼瞼またはマイボーム腺を薬剤で治療するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
前記薬剤は、抗生物質、局所テトラサイクリン、局所コルチコステロイド、経口コルチコステロイド、局所アンドロゲン、局所アンドロゲン類似体、TGF−β、オメガ3組成物、脂質産生を促進する酵素、脂質産生を促進する酵素の産生を刺激する薬剤、マイボーム腺分泌を強化するための分泌促進物として作用する薬剤、涙成分の産生に取って代わる薬剤、および涙成分の産生を促進する薬剤から成る群から選択した薬剤である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
一定時間、前記患者の眼瞼の前記外部表面への前記力を維持するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
前記力を維持するステップは、前記妨害物が溶解、弛緩、または軟化した状態であり続ける間、前記妨害を圧搾する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記力を維持するステップは、前記眼瞼からの熱散逸を軽減するために、前記眼瞼の血流を低下させる、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記温度レベルは、摂氏約43〜55度である、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記圧搾するステップは、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行われる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持、および前記力を一定時間維持するステップの間に行う、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行う、請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記力を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記力を除去するステップの後に行う、請求項60に記載の方法。
【請求項69】
前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面への前記力を維持する前記ステップの間に行う、請求項60に記載の方法。
【請求項70】
選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップと、前記溶解、弛緩、または軟化した状態の間、前記妨害物を圧搾するために、選択した時間の後、前記力を印加および維持するステップと、をさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
前記力を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項60に記載の方法。
【請求項72】
熱を印加するステップは、前記眼の強膜の前記外部表面上の前記患者の眼瞼の裏側に、断熱体を位置付けるステップをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項73】
前記患者の眼瞼の前記外部表面に前記熱を印加する際に、前記熱を調節するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項74】
前記患者の眼瞼の前記内表面に前記力を印加する際に、前記力を調節するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項75】
前記患者の眼瞼の前記外部表面に印加した前記力は、機械力、電気力、空気力、および手動の圧迫力から成る群を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項76】
マイボーム腺機能不全の治療方法であって、
患者のマイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、前記マイボーム腺に近接する組織に熱を印加するステップと、
圧力を印加し、前記組織の一領域における血流を低下させ、前記熱からの対流熱損失を軽減するように、前記組織への前記熱を維持しながら、前記患者のマイボーム腺に近接する前記組織に力を印加するステップと、を含む、方法。
【請求項77】
前記熱を印加するステップは、患者の眼瞼の内表面に前記熱を印加するステップを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記熱を印加するステップは、患者の眼瞼の外部表面に前記熱を印加するステップを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記力を印加するステップは、患者の眼瞼の内表面に前記熱を印加するステップを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記力を印加するステップは、患者の眼瞼の外部表面に前記力を印加するステップを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
一定時間、前記患者のマイボーム腺に近接する前記組織への前記熱を維持するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
一定時間、前記組織への前記力を維持するステップをさらに含み、前記熱は、前記力を維持しなかった場合に、そうでなければ前記一定時間の間に到達できたであろう温度レベルよりも高い温度レベルを達成する、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
前記熱を維持する前記ステップの間、前記温度レベルは、前記力を前記組織に印加しなかった場合に、そうでなければ到達しなかったであろうレベルまで上昇する、請求項76に記載の方法。
【請求項84】
前記力を、少なくとも約120mmHg、少なくとも約300mmHg、および少なくとも約350mmHgから成る群を含む圧力で印加する、請求項76に記載の方法。
【請求項85】
前記組織に印加した前記熱は、摂氏約43〜約55度の範囲である、請求項76に記載の方法。
【請求項86】
前記組織から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記力を、前記熱を除去した後、引き続き前記組織に維持する、請求項76に記載の方法。
【請求項87】
溶解、弛緩、または軟化した状態の間、前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項88】
前記力を、前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾する前記ステップの間、前記組織に維持する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記組織から前記力を除去するステップをさらに含み、前記妨害物を圧搾する前記ステップを、前記力を除去するステップの後に行う、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記力を、前記妨害物が前記マイボーム腺から圧搾されるまで、前記組織に維持する、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
前記力を、時間間隔をおいて前記組織に印加する、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
前記組織に印加した前記力は、一定である、請求項76に記載の方法。
【請求項93】
前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップと、前記溶解、弛緩、または軟化した状態にある間、前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するために前記力を印加および維持するステップと、をさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
前記組織への前記力を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項82に記載の方法。
【請求項95】
前記力を、前記組織に印加した機械力により印加する、請求項76に記載の方法。
【請求項96】
熱を印加するステップは、前記眼の強膜の前記外部表面上の前記患者の眼瞼の裏側に、断熱体を位置付けるステップをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項97】
前記熱を前記組織に印加する際に、前記熱を調節するステップをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項98】
前記力を前記組織に印加する際に、前記力を調節するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項99】
前記組織に印加した前記力は、機械力、電気力、空気力、および手動の圧迫力から成る群を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項100】
マイボーム腺機能不全を治療するための装置であって、
瞼加温器であって、
断熱体と、
前記断熱体に埋め込まれた加熱要素と、を備える瞼加温器を含み、
前記瞼加温器は、患者の眼の前記強膜の前記外部表面上の、患者の眼瞼の裏側に位置付けるように調整し、
前記瞼加温器は、前記マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者のマイボーム腺に近接する組織に熱を印加し、前記加熱要素を介して、前記患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように調整した、装置。
【請求項101】
前記断熱体は、患者の眼の前記強膜の前記外部表面上の、患者の眼瞼の裏側に位置付けるように調整した、請求項100に記載の装置。
【請求項102】
前記瞼加温器は、前記断熱体から延在するプラットホームをさらに備える、請求項100に記載の装置。
【請求項103】
前記断熱体は、前記加熱要素に連結した電気的インターフェースをさらに備え、エネルギー源を前記電気的インターフェースに連結すると、電力が前記加熱要素に印加されて熱を生成するようになっている、請求項100に記載の装置。
【請求項104】
コントローラに連結するように調整するコントローラインターフェースをさらに備え、前記コントローラインターフェースを、前記コントローラを前記加熱要素に連結するように、前記加熱要素に連結した、請求項103に記載の装置。
【請求項105】
前記コントローラインターフェースは、電気配線を備え、前記電気配線は、前記加熱要素に電気的に連結する、請求項103に記載の装置。
【請求項106】
前記断熱体は、前記加熱要素により生成された前記熱を感知する、少なくとも1つのサーミスタをさらに備える、請求項100に記載の装置。
【請求項107】
前記断熱体は、ヒューズをさらに備え、前記ヒューズは、前記断熱体が患者の眼にすでに取付けられていない場合、損なわれていない、請求項100に記載の装置。
【請求項108】
断熱体は、前記患者の眼の上に位置付けた際に、前記加熱要素により生み出された熱が前記患者の眼を損傷するのを防ぐように、前記加熱要素を取り囲む断熱材を備える、請求項101に記載の装置。
【請求項109】
前記断熱材は、空気を含む、請求項108に記載の装置。
【請求項110】
前記断熱体は、Lexan、プラスチック、生体適合性材料、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、およびエポキシから成る群からの材料を含む、請求項100に記載の装置。
【請求項111】
ブラダーを備えるアイカップであって、前記患者の眼瞼の前記外部表面に位置付けるように調整するアイカップをさらに備え、
前記アイカップを、前記ブラダーを介して、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するように調整する、請求項100に記載の装置。
【請求項112】
前記ブラダーは、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するように、拡張可能である、請求項111に記載の装置。
【請求項113】
前記瞼加温器は、前記断熱体から延在する、瞼加温器プラットホームを含む、請求項111に記載の装置。
【請求項114】
前記瞼加温器は、レンズから延在するプラットホームを含み、前記プラットホームは、前記患者の眼瞼を前記断熱体と前記ブラダーとの間に挟むように、前記アイカップにおける開口部を通って延在する、請求項113に記載の装置。
【請求項115】
前記絶縁体は、前記加熱要素に連結した電気的インターフェースをさらに備え、エネルギー源を前記電気的インターフェースに連結すると、電力が前記加熱要素に印加されて熱を生成するようになっている、請求項111に記載の装置。
【請求項116】
前記アイカップは、前記瞼加温器プラットホームを前記アイカップの開口部の中に挿入すると、前記電気的インターフェースに連結する、キャリアインターフェースを有するキャリアを備える、請求項115に記載の装置。
【請求項117】
前記アイカップは、前記瞼加温器プラットホームを、前記アイカップの開口部から除去するのを可能にするように係合した、ラッチ機構をさらに備える、請求項113に記載の装置。
【請求項118】
前記ラッチ機構は、握り締めて、記瞼加温器プラットホームを前記アイカップ開口部から解除し、前記瞼加温器を前記アイカップから解除する、つまみ部を備える、請求項117に記載の装置。
【請求項119】
前記アイカップは、前記瞼加温器プラットホームを前記アイカップの前記開口部の中に挿入すると、前記電気的インターフェースに連結する、キャリアインターフェースを有するキャリアを備え、
前記ラッチ機構を、前記キャリアの一部として形成されるキャリアプラットホームと、締め付けると、前記瞼加温器プラットホームを前記アイカップ開口部から解除し、前記瞼加温器を前記アイカップから解除する、クリップを共に形成する、前記アイカップに連結するアイカッププラットホームと、を備える、請求項116に記載の装置。
【請求項120】
コントローラに連結するように調整するコントローラインターフェースをさらに備え、前記キャリアインターフェースが、前記瞼加温器プラットホームを前記アイカップ開口部の中に挿入すると、前記コントローラを前記ブラダーおよび前記加熱要素に連結するように、前記コントローラインターフェースに連結する、請求項116に記載の装置。
【請求項121】
前記コントローラインターフェースは、電子機器配線と、気送管とを備え、前記瞼加温器プラットホームを前記アイカップ開口部の中に挿入すると、前記電子機器配線は、電気的に前記加熱要素に連結し、前記気送管は、前記ブラダーに流体連結する、請求項120に記載の装置。
【請求項122】
前記断熱体は、前記加熱要素に印加されるエネルギーを調節し、前記加熱要素により生成される前記熱を調節する、温度調節器を含む、請求項100に記載の装置。
【請求項123】
マイボーム腺機能不全を治療するためのシステムであって、
コントローラと、
瞼加温器であって、患者の眼の前記強膜の前記外部表面上の患者の眼瞼の裏側に位置付けるように調整する、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の内表面に熱を印加する、瞼加温器と、
前記コントローラを前記瞼加温器に連結するように調整する、コントローラインターフェースと、を備え、
前記コントローラは、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に信号を送信し、
一定時間、前記患者の眼瞼の前記内表面に前記熱を維持するために、前記瞼加温器への前記信号を維持するようにさらに調整する、システム。
【請求項124】
前記コントローラは、前記加熱要素を制御して、前記加熱要素により生成される熱の量を制御するように調整する、瞼加温器コントローラをさらに備える、請求項123に記載のシステム。
【請求項125】
前記瞼加温器コントローラは、パルス幅変調コントローラである、請求項124に記載のシステム。
【請求項126】
前記コントローラを、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する前に、前記瞼加温器コントローラ上のヒューズを確認し、前記瞼加温器がすでに使用されているかどうかを判断するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項127】
前記コントローラは、治療タイマーをさらに備え、前記治療タイマーは、前記コントローラが、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する時間を制御する、請求項123に記載のシステム。
【請求項128】
前記コントローラは、治療タイマー表示部を有する表示部をさらに備え、前記コントローラを、前記治療タイマーの前記治療タイマー表示部に前記時間を表示するように調整する、請求項127に記載のシステム。
【請求項129】
前記瞼加温器は、前記瞼加温器における前記温度レベルを測定するように調整する、温度フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラは、前記温度フィードバックデバイスを使用して、前記瞼加温器における前記温度レベルを監視するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項130】
前記温度フィードバックデバイスは、少なくとも1つのサーミスタを備える、請求項129に記載のシステム。
【請求項131】
前記コントローラは、前記温度フィードバックデバイスからの前記瞼加温器における前記温度レベルに基づき、前記加熱要素により生成される前記熱を調節するように、前記瞼加温器への前記信号を調節する、請求項129に記載のシステム。
【請求項132】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが閾値温度レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記瞼加温器への前記信号を無効にし、前記加熱要素による熱の前記生成を中止するように、さらに調整する、請求項131に記載のシステム。
【請求項133】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが初めに満たされないか、または体温を超過する場合、エラーを生成し、および/または前記加熱要素に熱を生成させる前記瞼加温器への前記信号を送信しないようにさらに調整する、請求項131に記載のシステム。
【請求項134】
前記コントローラは、前記瞼加温器における前記温度レベルを表示する温度レベル表示部を備える表示部を、さらに備える、請求項123に記載のシステム。
【請求項135】
患者の眼瞼の外部表面に位置付けるように調整する、力生成デバイスをさらに備え、前記力生成デバイスは、患者の眼瞼の前記外部表面に圧力を印加する、請求項123に記載のシステム。
【請求項136】
前記コントローラは、前記力生成デバイスを制御し、前記力生成デバイスにより生成される圧力の量を制御するように調整する、圧力コントローラをさらに備える、請求項123に記載のシステム。
【請求項137】
前記力生成デバイスは、前記アイカップを前記患者の眼瞼の前記外部表面に位置付けるように調整する、ブラダーを備えるアイカップを備え、
前記圧力コントローラを、前記ブラダーを膨張させて、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するように調整する、請求項136に記載のシステム。
【請求項138】
前記コントローラは、力レバーをさらに備え、前記圧力コントローラを、前記力レバーの係合に応じて、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御するようにさらに調整する、請求項135に記載のシステム。
【請求項139】
前記コントローラは、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を測定するように調整する圧力フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスを使用して、前記患者の眼瞼の前記外部表面における前記圧力レベルを監視するようにさらに調整する、請求項135に記載のシステム。
【請求項140】
前記コントローラを、前記圧力生成デバイスにより生成される前記圧力が閾値圧力レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記力生成デバイスにより生成される圧力を無効にして、前記患者の眼瞼の前記外部表面において生成される圧力を中止するようにさらに調整する、請求項139に記載のシステム。
【請求項141】
前記コントローラは、前記患者の眼瞼の前記外部表面に印加した前記圧力を表示する、圧力レベル表示部を備える表示部をさらに備える、請求項123に記載のシステム。
【請求項142】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスにより測定された前記温度レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項129に記載のシステム。
【請求項143】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスにより測定された前記圧力レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項139に記載のシステム。
【請求項144】
前記コントローラは、前記コントローラに動力を供給するエネルギー源をさらに備え、前記コントローラを、前記エネルギー源が閾値エネルギー量を生成することができない場合、エラーを生成するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項145】
前記コントローラを、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御することにより、前記マイボーム腺からの前記妨害物の前記圧搾を補助するようにさらに調整する、請求項135に記載のシステム。
【請求項146】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成するように前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項147】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成し、前記患者の眼瞼の血流を低下させ、前記眼瞼からの熱散逸を軽減するように、前記瞼加温器へ信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項135に記載のシステム。
【請求項148】
前記コントローラを、前記瞼加温器への信号を生成し、摂氏約35〜47度の間の温度レベルの前記熱を生成するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項149】
前記コントローラを、前記瞼加温器への可変信号を生成し、摂氏約35〜55度の間の温度レベルの前記熱を生成するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項150】
マイボーム腺機能不全を治療するためのシステムであって、
コントローラと、
加熱要素を含む瞼加温器であって、患者の眼の前記強膜の前記外部表面上の患者の眼瞼の裏側に位置付けるように調整し、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の内表面に熱を印加する、瞼加温器と、
前記患者の眼瞼の前記内表面に位置付けられるように調整する力生成デバイスであって、患者の眼瞼の前記内表面に圧力を印加する力生成デバイスと、
前記コントローラを前記瞼加温器および前記力生成デバイスに連結するように調整する、コントローラインターフェースと、を備え、
前記コントローラを、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に信号を送信し、
前記患者の眼瞼の前記内表面に圧力を生成するように前記力生成デバイスを制御し、
一定時間、前記患者の眼瞼の前記内表面に前記熱を維持するために、前記瞼加温器への前記信号を維持するようにさらに調整する、システム。
【請求項151】
前記コントローラを、前記加熱要素を制御して、前記加熱要素により生成される熱の量を制御するように調整し、瞼加温器コントローラをさらに備える、請求項150に記載のシステム。
【請求項152】
前記瞼加温器コントローラは、パルス幅変調コントローラである、請求項151に記載のシステム。
【請求項153】
前記コントローラを、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する前に、前記瞼加温器上のヒューズを確認し、前記瞼加温器がすでに使用されているかどうかを判断するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項154】
前記コントローラは、治療タイマーをさらに備え、前記治療タイマーは、前記コントローラが、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する時間を制御する、請求項150に記載のシステム。
【請求項155】
前記コントローラは、治療タイマー表示部を有する表示部をさらに備え、前記コントローラを、前記治療タイマーの前記治療タイマー表示部に前記時間を表示するように調整する、請求項154に記載のシステム。
【請求項156】
前記瞼加温器は、前記瞼加温器における前記温度レベルを測定するように調整する、温度フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスを使用して、前記瞼加温器における前記温度レベルを監視するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項157】
前記温度フィードバックデバイスは、少なくとも1つのサーミスタを備える、請求項156に記載のシステム。
【請求項158】
前記コントローラは、前記温度フィードバックデバイスからの前記瞼加温器における前記温度レベルに基づき、前記加熱要素により生成される前記熱を調節するように、前記瞼加温器へ送信される前記信号を調節する、請求項156に記載のシステム。
【請求項159】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが閾値温度レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記瞼加温器への前記信号を無効にし、前記加熱要素による熱の前記生成を中止するように、さらに調整する、請求項158に記載のシステム。
【請求項160】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが初めに満たされないか、または体温を超過する場合、エラーを生成し、および/または前記加熱要素に熱を生成させる前記瞼加温器への前記信号を送信しないようにさらに調整する、請求項158に記載のシステム。
【請求項161】
前記コントローラは、前記瞼加温器における前記温度レベルを表示する温度レベル表示部を備える表示部を、さらに備える、請求項150に記載のシステム。
【請求項162】
前記コントローラを、前記力生成デバイスを制御し、前記力生成デバイスにより生成される圧力の量を制御するように調整する、圧力コントローラをさらに備える、請求項150に記載のシステム。
【請求項163】
前記コントローラは、力レバーをさらに備え、前記圧力コントローラを、前記力レバーの係合に応じて、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項164】
前記コントローラは、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を測定するように調整する圧力フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスを使用して、前記患者の眼瞼の前記内表面における前記圧力レベルを監視するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項165】
前記コントローラを、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力が閾値圧力レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記力生成デバイスにより生成される圧力を無効にして、前記患者の眼瞼の前記内表面において生成される圧力を中止するようにさらに調整する、請求項164に記載のシステム。
【請求項166】
前記コントローラは、前記患者の眼瞼の前記内表面に印加した前記圧力を表示する、圧力レベル表示部を備える表示部をさらに備える、請求項150に記載のシステム。
【請求項167】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスにより測定された前記温度レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項156に記載のシステム。
【請求項168】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスにより測定された前記圧力レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項164に記載のシステム。
【請求項169】
前記コントローラは、前記コントローラに動力を供給するエネルギー源をさらに備え、前記コントローラを、前記エネルギー源が閾値エネルギー量を生成することができない場合、エラーを生成するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項170】
前記コントローラを、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御することにより、前記マイボーム腺からの前記妨害物の前記圧搾を補助するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項171】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成するように前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項172】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成し、前記患者の眼瞼の血流を低下させ、前記患者の眼瞼の前記内表面に印加された前記熱から対流熱損失を軽減するように、前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項173】
前記コントローラを、前記瞼加温器への信号を生成し、摂氏約35〜55度の間の温度レベルの前記熱を生成するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項174】
マイボーム腺機能不全を治療するためのシステムであって、
コントローラと、
瞼加温器であって、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の外部表面に熱を印加するように調整する、瞼加温器と、
患者の眼瞼の前記外部表面に位置付けられるように調整する力生成デバイスであって、患者の眼瞼の前記外部表面に圧力を印加する、力生成デバイスと、
前記コントローラを前記瞼加温器および前記力生成デバイスに連結するように調整する、コントローラインターフェースと、を備え、
前記コントローラを、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記外部表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に信号を送信し、
前記患者の眼瞼の前記外部表面に圧力を生成するように前記力生成デバイスを制御し、
一定時間、前記患者の眼瞼の前記外部表面に前記熱を維持するために、前記瞼加温器への前記信号を維持するようにさらに調整する、システム。
【請求項175】
前記コントローラを、前記加熱要素を制御して、前記加熱要素により生成される熱の量を制御するように調整する、瞼加温器コントローラをさらに備える、請求項174に記載のシステム。
【請求項176】
前記瞼加温器コントローラは、パルス幅変調コントローラである、請求項175に記載のシステム。
【請求項177】
前記コントローラを、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記外部表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する前に、前記瞼加温器上のヒューズを確認し、前記瞼加温器がすでに使用されているかどうかを判断するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項178】
前記コントローラは、治療タイマーをさらに備え、前記治療タイマーは、前記コントローラが、患者の眼瞼の前記外部表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する時間を制御する、請求項174に記載のシステム。
【請求項179】
前記コントローラは、治療タイマー表示部を有する表示部をさらに備え、前記コントローラを、前記治療タイマーの前記治療タイマー表示部に前記時間を表示するように調整する、請求項178に記載のシステム。
【請求項180】
前記瞼加温器は、前記瞼加温器における前記温度レベルを測定するように調整する、温度フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスを使用して、前記瞼加温器における前記温度レベルを監視するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項181】
前記温度フィードバックデバイスは、少なくとも1つのサーミスタを備える、請求項180に記載のシステム。
【請求項182】
前記コントローラは、前記温度フィードバックデバイスからの前記瞼加温器における前記温度レベルに基づき、前記加熱要素により生成される前記熱を調節するように、前記瞼加温器へ送信される前記信号を調節する、請求項180に記載のシステム。
【請求項183】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが閾値温度レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記瞼加温器への前記信号を無効にし、前記加熱要素による熱の前記生成を中止するように、さらに調整する、請求項182に記載のシステム。
【請求項184】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが初めに満たされないか、または体温を超過する場合、エラーを生成し、および/または前記加熱要素に熱を生成させる前記瞼加温器への前記信号を送信しないようにさらに調整する、請求項182に記載のシステム。
【請求項185】
前記コントローラは、前記瞼加温器における前記温度レベルを表示する温度レベル表示部を備える表示部を、さらに備える、請求項174に記載のシステム。
【請求項186】
前記コントローラを、前記力生成デバイスを制御し、前記力生成デバイスにより生成される圧力の量を制御するように調整する、圧力コントローラをさらに備える、請求項174に記載のシステム。
【請求項187】
前記力生成デバイスは、前記アイカップを前記患者の眼瞼の前記外部表面に位置付けるように調整する、ブラダーを備えるアイカップを備え、
前記圧力コントローラを、前記ブラダーを膨張させて、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するように調整する、請求項186に記載のシステム。
【請求項188】
前記コントローラは、力レバーをさらに備え、前記コントローラを、前記力レバーの係合に応じて、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項189】
前記コントローラは、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を測定するように調整する圧力フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスを使用して、前記患者の眼瞼の前記外部表面における前記圧力レベルを監視するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項190】
前記コントローラを、前記圧力生成デバイスにより生成される前記圧力が閾値圧力レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記力生成デバイスにより生成される圧力を無効にして、前記患者の眼瞼の前記外部表面において生成される圧力を中止するようにさらに調整する、請求項189に記載のシステム。
【請求項191】
前記コントローラは、前記患者の眼瞼の前記外部表面に印加される前記圧力を表示する、圧力レベル表示部を備える表示部をさらに備える、請求項174に記載のシステム。
【請求項192】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスにより測定された前記温度レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項180に記載のシステム。
【請求項193】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスにより測定された前記圧力レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項189に記載のシステム。
【請求項194】
前記コントローラは、前記コントローラに動力を供給するエネルギー源をさらに備え、前記コントローラを、前記エネルギー源が閾値エネルギー量を生成することができない場合、エラーを生成するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項195】
前記コントローラを、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御することにより、前記マイボーム腺からの前記妨害物の前記圧搾を補助するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項196】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成するように前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項197】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成し、前記患者の眼瞼の血流を低下させ、前記患者の眼瞼の前記外部表面に印加された前記熱から対流熱損失を軽減するように、前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項198】
前記コントローラを、前記瞼加温器への可変信号を生成し、摂氏約35〜55度の間の温度レベルの前記熱を生成するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項199】
マイボーム腺機能不全を治療するためのシステムであって、
コントローラと、
加熱要素を含む瞼加温器であって、前記マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者のマイボーム腺に近接する組織に印加するように調整する、瞼加温器と、
前記組織上に位置付けるように調整する力生成デバイスであって、前記組織に圧力を印加する、力生成デバイスと、
前記コントローラを前記瞼加温器および前記力生成デバイスに連結するように調整する、コントローラインターフェースと、を備え、
前記コントローラを、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、前記組織に熱を印加するように、前記瞼加温器に信号を送信し、
前記組織上で圧力を生成し、前記組織の前記領域における前記血流を低下させ、前記組織における熱散逸を軽減するように、前記力生成デバイスを制御し、
一定時間、前記組織上に前記熱を維持するために、前記瞼加温器への前記信号を維持するようにさらに調整する、システム。
【請求項200】
前記コントローラを、前記加熱要素を制御して、前記加熱要素により生成される熱の量を制御するように調整する、瞼加温器コントローラをさらに備える、請求項199に記載のシステム。
【請求項201】
前記瞼加温器コントローラは、パルス幅変調コントローラである、請求項200に記載のシステム。
【請求項202】
前記コントローラを、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、前記組織に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する前に、前記瞼加温器上のヒューズを確認し、前記瞼加温器がすでに使用されているかどうかを判断するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項203】
前記コントローラは、治療タイマーをさらに備え、前記治療タイマーは、前記コントローラが、前記組織に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する時間を制御する、請求項199に記載のシステム。
【請求項204】
前記コントローラは、治療タイマー表示部を有する表示部をさらに備え、前記コントローラを、前記治療タイマーの前記治療タイマー表示部に前記時間を表示するように調整する、請求項203に記載のシステム。
【請求項205】
前記瞼加温器は、前記瞼加温器における前記温度レベルを測定するように調整する、温度フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスを使用して、前記瞼加温器における前記温度レベルを監視するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項206】
前記温度フィードバックデバイスは、少なくとも1つのサーミスタを備える、請求項205に記載のシステム。
【請求項207】
前記コントローラは、前記温度フィードバックデバイスからの前記瞼加温器における前記温度レベルに基づき、前記加熱要素により生成される前記熱を調節するように、前記瞼加温器へ送信される前記信号を調節する、請求項205に記載のシステム。
【請求項208】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが閾値温度レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記瞼加温器への前記信号を無効にし、前記加熱要素による熱の前記生成を中止するように、さらに調整する、請求項207に記載のシステム。
【請求項209】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが初めに満たされないか、または体温を超過する場合、エラーを生成し、および/または前記加熱要素に熱を生成させる前記瞼加温器への前記信号を送信しないようにさらに調整する、請求項207に記載のシステム。
【請求項210】
前記コントローラは、前記瞼加温器における前記温度レベルを表示する温度レベル表示部を備える表示部を、さらに備える、請求項199に記載のシステム。
【請求項211】
前記コントローラを、前記力生成デバイスを制御し、前記力生成デバイスにより生成される圧力の量を制御するように調整する、圧力コントローラをさらに備える、請求項199に記載のシステム。
【請求項212】
前記コントローラは、力レバーをさらに備え、前記コントローラを、前記力レバーの係合に応じて、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項213】
前記コントローラは、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を測定するように調整する圧力フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスを使用して、前記患者の眼瞼の前記内表面における前記圧力レベルを監視するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項214】
前記コントローラを、前記圧力生成デバイスにより生成される前記圧力が閾値圧力レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記力生成デバイスにより生成される圧力を無効にして、前記組織において生成される圧力を中止するようにさらに調整する、請求項213に記載のシステム。
【請求項215】
前記コントローラは、前記組織に印加される前記圧力を表示する、圧力レベル表示部を備える表示部をさらに備える、請求項199に記載のシステム。
【請求項216】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスにより測定された前記温度レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項205に記載のシステム。
【請求項217】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスにより測定された前記圧力レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項213に記載のシステム。
【請求項218】
前記コントローラは、前記コントローラに動力を供給するエネルギー源をさらに備え、前記コントローラを、前記エネルギー源が閾値エネルギー量を生成することができない場合、エラーを生成するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項219】
前記コントローラを、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御することにより、前記マイボーム腺からの前記妨害物の前記圧搾を補助するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項220】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成するように前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項221】
前記コントローラを、前記瞼加温器への可変信号を生成し、摂氏約35〜55度の間の温度レベルの前記熱を生成するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項1】
マイボーム腺機能不全の治療方法であって、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の内表面に熱を印加するステップと、
前記熱を一定時間維持するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行う、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記妨害物を前記溶解、弛緩、または軟化した状態に維持するために、選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記温度レベルは、摂氏約43〜47度である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マイボーム腺からの液体の自由流れを促進するために、前記眼瞼またはマイボーム腺を薬剤で治療するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記薬剤は、抗生物質、局所テトラサイクリン、局所コルチコステロイド、経口コルチコステロイド、局所アンドロゲン、局所アンドロゲン類似体、TGF−β、オメガ3組成物、脂質産生を促進する酵素、脂質産生を促進する酵素の産生を刺激する薬剤、マイボーム腺分泌を強化するための分泌促進物として作用する薬剤、涙成分の産生に取って代わる薬剤、および涙成分の産生を促進する剤から成る群から選択した薬剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記患者の眼瞼の外部表面に圧力を印加するために、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
一定時間、前記患者の眼瞼の前記外部表面への前記力を維持するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記力を維持するステップは、前記妨害物が溶解、弛緩、または軟化した状態であり続ける間、前記妨害物を圧搾する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記力を維持するステップは、熱散逸を軽減するために、前記眼瞼の血流を低下させる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記温度レベルは、摂氏約43〜55度である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持し、および前記力を一定時間維持するステップの間に行う、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記患者の眼瞼の内表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップは、前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記力を除去するステップを含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記力を除去するステップの後に行う、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面への前記力を維持する前記ステップの間に行う、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップと、前記溶解、弛緩、または軟化した状態の間、前記妨害物を圧搾するために、選択した時間の後、前記力を印加および維持するステップと、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記患者の眼瞼の前記外部表面に印加した前記力は、機械力、電気力、空気力、および手動の圧迫力から成る群を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記患者の眼瞼の前記内表面に前記熱を印加する際に、前記熱を調節するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記患者の眼瞼の前記外部表面に前記力を印加する際に、前記力を調節するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、前記患者の眼瞼の外部表面に熱を印加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
マイボーム腺機能不全の治療方法であって、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の内表面に熱を印加するステップと、
前記熱を一定時間維持するステップと、
前記患者の眼瞼の前記内表面に圧力を印加するために、前記患者の眼瞼の前記内表面に力を印加するステップと、を含む、方法。
【請求項27】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行う、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記患者の眼瞼の内表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行う、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記妨害物を前記溶解、弛緩、または軟化した状態に維持するために、選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記熱を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記温度レベルは、摂氏約43〜47度である、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記マイボーム腺からの液体の自由流れを促進するために、前記眼瞼またはマイボーム腺を薬剤で治療するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記薬剤は、抗生物質、局所テトラサイクリン、局所コルチコステロイド、経口コルチコステロイド、局所アンドロゲン、局所アンドロゲン類似体、TGF−β、オメガ3組成物、脂質産生を促進する酵素、脂質産生を促進する酵素の産生を刺激する薬剤、マイボーム腺分泌を強化するための分泌促進物として作用する薬剤、涙成分の産生に取って代わる薬剤、および涙成分の産生を促進する薬剤から成る群から選択した薬剤である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
一定時間、前記患者の眼瞼の前記内表面への前記力を維持するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記力を維持するステップは、前記妨害物が溶解、弛緩、または軟化した状態であり続ける間、前記妨害物を圧搾する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記力を維持するステップは、前記眼瞼における熱散逸を軽減するために、前記眼瞼の血流を低下させる、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記温度レベルは、摂氏約43〜55度である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行う、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持し、および前記力を一定時間維持するステップの間に行う、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記内表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行う、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記患者の眼瞼の前記内表面から前記力を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記内表面から前記力を除去する前記ステップの後に行う、請求項27に記載の方法。
【請求項44】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含み、
前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記内表面への前記力を維持する前記ステップの間う、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップと、前記溶解、弛緩、または軟化した状態の間、前記妨害物を圧搾するために、選択した時間の後、前記力を印加および維持するステップと、をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記力を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項35に記載の方法。
【請求項47】
前記患者の眼瞼の前記内表面に印加した前記力は、機械力、電気力、空気力、および手動の圧迫力から成る群を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項48】
前記患者の眼瞼の前記内表面に前記熱を印加する際に、前記熱を調節するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項49】
前記患者の眼瞼の前記内表面に前記力を印加する際に、前記力を調節するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項50】
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、前記患者の眼瞼の外部表面に熱を印加するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項51】
マイボーム腺機能不全の治療方法であって、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の外部表面に熱を印加するステップと、
前記熱を一定時間維持するステップと、
前記患者の眼瞼の前記外部表面に圧力を印加するために、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するステップと、を含む、方法。
【請求項52】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行う、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行う、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記妨害物を前記溶解、弛緩、または軟化した状態に維持するために、選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記熱を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記温度レベルは、摂氏約43〜47度である、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記マイボーム腺からの液体の自由流れを促進するために、前記眼瞼またはマイボーム腺を薬剤で治療するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
前記薬剤は、抗生物質、局所テトラサイクリン、局所コルチコステロイド、経口コルチコステロイド、局所アンドロゲン、局所アンドロゲン類似体、TGF−β、オメガ3組成物、脂質産生を促進する酵素、脂質産生を促進する酵素の産生を刺激する薬剤、マイボーム腺分泌を強化するための分泌促進物として作用する薬剤、涙成分の産生に取って代わる薬剤、および涙成分の産生を促進する薬剤から成る群から選択した薬剤である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
一定時間、前記患者の眼瞼の前記外部表面への前記力を維持するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
前記力を維持するステップは、前記妨害物が溶解、弛緩、または軟化した状態であり続ける間、前記妨害を圧搾する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記力を維持するステップは、前記眼瞼からの熱散逸を軽減するために、前記眼瞼の血流を低下させる、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記温度レベルは、摂氏約43〜55度である、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記圧搾するステップは、前記熱を一定時間維持する前記ステップの間に行われる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記圧搾するステップを、前記熱を一定時間維持、および前記力を一定時間維持するステップの間に行う、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記熱を除去する前記ステップの後に行う、請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記力を除去するステップをさらに含み、前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面から前記力を除去するステップの後に行う、請求項60に記載の方法。
【請求項69】
前記圧搾するステップを、前記患者の眼瞼の前記外部表面への前記力を維持する前記ステップの間に行う、請求項60に記載の方法。
【請求項70】
選択した時間の後、前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップと、前記溶解、弛緩、または軟化した状態の間、前記妨害物を圧搾するために、選択した時間の後、前記力を印加および維持するステップと、をさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
前記力を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項60に記載の方法。
【請求項72】
熱を印加するステップは、前記眼の強膜の前記外部表面上の前記患者の眼瞼の裏側に、断熱体を位置付けるステップをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項73】
前記患者の眼瞼の前記外部表面に前記熱を印加する際に、前記熱を調節するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項74】
前記患者の眼瞼の前記内表面に前記力を印加する際に、前記力を調節するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項75】
前記患者の眼瞼の前記外部表面に印加した前記力は、機械力、電気力、空気力、および手動の圧迫力から成る群を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項76】
マイボーム腺機能不全の治療方法であって、
患者のマイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、前記マイボーム腺に近接する組織に熱を印加するステップと、
圧力を印加し、前記組織の一領域における血流を低下させ、前記熱からの対流熱損失を軽減するように、前記組織への前記熱を維持しながら、前記患者のマイボーム腺に近接する前記組織に力を印加するステップと、を含む、方法。
【請求項77】
前記熱を印加するステップは、患者の眼瞼の内表面に前記熱を印加するステップを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記熱を印加するステップは、患者の眼瞼の外部表面に前記熱を印加するステップを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記力を印加するステップは、患者の眼瞼の内表面に前記熱を印加するステップを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記力を印加するステップは、患者の眼瞼の外部表面に前記力を印加するステップを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
一定時間、前記患者のマイボーム腺に近接する前記組織への前記熱を維持するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
一定時間、前記組織への前記力を維持するステップをさらに含み、前記熱は、前記力を維持しなかった場合に、そうでなければ前記一定時間の間に到達できたであろう温度レベルよりも高い温度レベルを達成する、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
前記熱を維持する前記ステップの間、前記温度レベルは、前記力を前記組織に印加しなかった場合に、そうでなければ到達しなかったであろうレベルまで上昇する、請求項76に記載の方法。
【請求項84】
前記力を、少なくとも約120mmHg、少なくとも約300mmHg、および少なくとも約350mmHgから成る群を含む圧力で印加する、請求項76に記載の方法。
【請求項85】
前記組織に印加した前記熱は、摂氏約43〜約55度の範囲である、請求項76に記載の方法。
【請求項86】
前記組織から前記熱を除去するステップをさらに含み、前記力を、前記熱を除去した後、引き続き前記組織に維持する、請求項76に記載の方法。
【請求項87】
溶解、弛緩、または軟化した状態の間、前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項88】
前記力を、前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾する前記ステップの間、前記組織に維持する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記組織から前記力を除去するステップをさらに含み、前記妨害物を圧搾する前記ステップを、前記力を除去するステップの後に行う、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記力を、前記妨害物が前記マイボーム腺から圧搾されるまで、前記組織に維持する、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
前記力を、時間間隔をおいて前記組織に印加する、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
前記組織に印加した前記力は、一定である、請求項76に記載の方法。
【請求項93】
前記熱を印加および維持する前記ステップを繰り返し行うステップと、前記溶解、弛緩、または軟化した状態にある間、前記マイボーム腺から前記妨害物を圧搾するために前記力を印加および維持するステップと、をさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
前記組織への前記力を維持する前記時間は、約1〜10分である、請求項82に記載の方法。
【請求項95】
前記力を、前記組織に印加した機械力により印加する、請求項76に記載の方法。
【請求項96】
熱を印加するステップは、前記眼の強膜の前記外部表面上の前記患者の眼瞼の裏側に、断熱体を位置付けるステップをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項97】
前記熱を前記組織に印加する際に、前記熱を調節するステップをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項98】
前記力を前記組織に印加する際に、前記力を調節するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項99】
前記組織に印加した前記力は、機械力、電気力、空気力、および手動の圧迫力から成る群を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項100】
マイボーム腺機能不全を治療するための装置であって、
瞼加温器であって、
断熱体と、
前記断熱体に埋め込まれた加熱要素と、を備える瞼加温器を含み、
前記瞼加温器は、患者の眼の前記強膜の前記外部表面上の、患者の眼瞼の裏側に位置付けるように調整し、
前記瞼加温器は、前記マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者のマイボーム腺に近接する組織に熱を印加し、前記加熱要素を介して、前記患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように調整した、装置。
【請求項101】
前記断熱体は、患者の眼の前記強膜の前記外部表面上の、患者の眼瞼の裏側に位置付けるように調整した、請求項100に記載の装置。
【請求項102】
前記瞼加温器は、前記断熱体から延在するプラットホームをさらに備える、請求項100に記載の装置。
【請求項103】
前記断熱体は、前記加熱要素に連結した電気的インターフェースをさらに備え、エネルギー源を前記電気的インターフェースに連結すると、電力が前記加熱要素に印加されて熱を生成するようになっている、請求項100に記載の装置。
【請求項104】
コントローラに連結するように調整するコントローラインターフェースをさらに備え、前記コントローラインターフェースを、前記コントローラを前記加熱要素に連結するように、前記加熱要素に連結した、請求項103に記載の装置。
【請求項105】
前記コントローラインターフェースは、電気配線を備え、前記電気配線は、前記加熱要素に電気的に連結する、請求項103に記載の装置。
【請求項106】
前記断熱体は、前記加熱要素により生成された前記熱を感知する、少なくとも1つのサーミスタをさらに備える、請求項100に記載の装置。
【請求項107】
前記断熱体は、ヒューズをさらに備え、前記ヒューズは、前記断熱体が患者の眼にすでに取付けられていない場合、損なわれていない、請求項100に記載の装置。
【請求項108】
断熱体は、前記患者の眼の上に位置付けた際に、前記加熱要素により生み出された熱が前記患者の眼を損傷するのを防ぐように、前記加熱要素を取り囲む断熱材を備える、請求項101に記載の装置。
【請求項109】
前記断熱材は、空気を含む、請求項108に記載の装置。
【請求項110】
前記断熱体は、Lexan、プラスチック、生体適合性材料、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、およびエポキシから成る群からの材料を含む、請求項100に記載の装置。
【請求項111】
ブラダーを備えるアイカップであって、前記患者の眼瞼の前記外部表面に位置付けるように調整するアイカップをさらに備え、
前記アイカップを、前記ブラダーを介して、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するように調整する、請求項100に記載の装置。
【請求項112】
前記ブラダーは、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するように、拡張可能である、請求項111に記載の装置。
【請求項113】
前記瞼加温器は、前記断熱体から延在する、瞼加温器プラットホームを含む、請求項111に記載の装置。
【請求項114】
前記瞼加温器は、レンズから延在するプラットホームを含み、前記プラットホームは、前記患者の眼瞼を前記断熱体と前記ブラダーとの間に挟むように、前記アイカップにおける開口部を通って延在する、請求項113に記載の装置。
【請求項115】
前記絶縁体は、前記加熱要素に連結した電気的インターフェースをさらに備え、エネルギー源を前記電気的インターフェースに連結すると、電力が前記加熱要素に印加されて熱を生成するようになっている、請求項111に記載の装置。
【請求項116】
前記アイカップは、前記瞼加温器プラットホームを前記アイカップの開口部の中に挿入すると、前記電気的インターフェースに連結する、キャリアインターフェースを有するキャリアを備える、請求項115に記載の装置。
【請求項117】
前記アイカップは、前記瞼加温器プラットホームを、前記アイカップの開口部から除去するのを可能にするように係合した、ラッチ機構をさらに備える、請求項113に記載の装置。
【請求項118】
前記ラッチ機構は、握り締めて、記瞼加温器プラットホームを前記アイカップ開口部から解除し、前記瞼加温器を前記アイカップから解除する、つまみ部を備える、請求項117に記載の装置。
【請求項119】
前記アイカップは、前記瞼加温器プラットホームを前記アイカップの前記開口部の中に挿入すると、前記電気的インターフェースに連結する、キャリアインターフェースを有するキャリアを備え、
前記ラッチ機構を、前記キャリアの一部として形成されるキャリアプラットホームと、締め付けると、前記瞼加温器プラットホームを前記アイカップ開口部から解除し、前記瞼加温器を前記アイカップから解除する、クリップを共に形成する、前記アイカップに連結するアイカッププラットホームと、を備える、請求項116に記載の装置。
【請求項120】
コントローラに連結するように調整するコントローラインターフェースをさらに備え、前記キャリアインターフェースが、前記瞼加温器プラットホームを前記アイカップ開口部の中に挿入すると、前記コントローラを前記ブラダーおよび前記加熱要素に連結するように、前記コントローラインターフェースに連結する、請求項116に記載の装置。
【請求項121】
前記コントローラインターフェースは、電子機器配線と、気送管とを備え、前記瞼加温器プラットホームを前記アイカップ開口部の中に挿入すると、前記電子機器配線は、電気的に前記加熱要素に連結し、前記気送管は、前記ブラダーに流体連結する、請求項120に記載の装置。
【請求項122】
前記断熱体は、前記加熱要素に印加されるエネルギーを調節し、前記加熱要素により生成される前記熱を調節する、温度調節器を含む、請求項100に記載の装置。
【請求項123】
マイボーム腺機能不全を治療するためのシステムであって、
コントローラと、
瞼加温器であって、患者の眼の前記強膜の前記外部表面上の患者の眼瞼の裏側に位置付けるように調整する、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の内表面に熱を印加する、瞼加温器と、
前記コントローラを前記瞼加温器に連結するように調整する、コントローラインターフェースと、を備え、
前記コントローラは、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に信号を送信し、
一定時間、前記患者の眼瞼の前記内表面に前記熱を維持するために、前記瞼加温器への前記信号を維持するようにさらに調整する、システム。
【請求項124】
前記コントローラは、前記加熱要素を制御して、前記加熱要素により生成される熱の量を制御するように調整する、瞼加温器コントローラをさらに備える、請求項123に記載のシステム。
【請求項125】
前記瞼加温器コントローラは、パルス幅変調コントローラである、請求項124に記載のシステム。
【請求項126】
前記コントローラを、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する前に、前記瞼加温器コントローラ上のヒューズを確認し、前記瞼加温器がすでに使用されているかどうかを判断するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項127】
前記コントローラは、治療タイマーをさらに備え、前記治療タイマーは、前記コントローラが、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する時間を制御する、請求項123に記載のシステム。
【請求項128】
前記コントローラは、治療タイマー表示部を有する表示部をさらに備え、前記コントローラを、前記治療タイマーの前記治療タイマー表示部に前記時間を表示するように調整する、請求項127に記載のシステム。
【請求項129】
前記瞼加温器は、前記瞼加温器における前記温度レベルを測定するように調整する、温度フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラは、前記温度フィードバックデバイスを使用して、前記瞼加温器における前記温度レベルを監視するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項130】
前記温度フィードバックデバイスは、少なくとも1つのサーミスタを備える、請求項129に記載のシステム。
【請求項131】
前記コントローラは、前記温度フィードバックデバイスからの前記瞼加温器における前記温度レベルに基づき、前記加熱要素により生成される前記熱を調節するように、前記瞼加温器への前記信号を調節する、請求項129に記載のシステム。
【請求項132】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが閾値温度レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記瞼加温器への前記信号を無効にし、前記加熱要素による熱の前記生成を中止するように、さらに調整する、請求項131に記載のシステム。
【請求項133】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが初めに満たされないか、または体温を超過する場合、エラーを生成し、および/または前記加熱要素に熱を生成させる前記瞼加温器への前記信号を送信しないようにさらに調整する、請求項131に記載のシステム。
【請求項134】
前記コントローラは、前記瞼加温器における前記温度レベルを表示する温度レベル表示部を備える表示部を、さらに備える、請求項123に記載のシステム。
【請求項135】
患者の眼瞼の外部表面に位置付けるように調整する、力生成デバイスをさらに備え、前記力生成デバイスは、患者の眼瞼の前記外部表面に圧力を印加する、請求項123に記載のシステム。
【請求項136】
前記コントローラは、前記力生成デバイスを制御し、前記力生成デバイスにより生成される圧力の量を制御するように調整する、圧力コントローラをさらに備える、請求項123に記載のシステム。
【請求項137】
前記力生成デバイスは、前記アイカップを前記患者の眼瞼の前記外部表面に位置付けるように調整する、ブラダーを備えるアイカップを備え、
前記圧力コントローラを、前記ブラダーを膨張させて、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するように調整する、請求項136に記載のシステム。
【請求項138】
前記コントローラは、力レバーをさらに備え、前記圧力コントローラを、前記力レバーの係合に応じて、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御するようにさらに調整する、請求項135に記載のシステム。
【請求項139】
前記コントローラは、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を測定するように調整する圧力フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスを使用して、前記患者の眼瞼の前記外部表面における前記圧力レベルを監視するようにさらに調整する、請求項135に記載のシステム。
【請求項140】
前記コントローラを、前記圧力生成デバイスにより生成される前記圧力が閾値圧力レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記力生成デバイスにより生成される圧力を無効にして、前記患者の眼瞼の前記外部表面において生成される圧力を中止するようにさらに調整する、請求項139に記載のシステム。
【請求項141】
前記コントローラは、前記患者の眼瞼の前記外部表面に印加した前記圧力を表示する、圧力レベル表示部を備える表示部をさらに備える、請求項123に記載のシステム。
【請求項142】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスにより測定された前記温度レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項129に記載のシステム。
【請求項143】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスにより測定された前記圧力レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項139に記載のシステム。
【請求項144】
前記コントローラは、前記コントローラに動力を供給するエネルギー源をさらに備え、前記コントローラを、前記エネルギー源が閾値エネルギー量を生成することができない場合、エラーを生成するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項145】
前記コントローラを、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御することにより、前記マイボーム腺からの前記妨害物の前記圧搾を補助するようにさらに調整する、請求項135に記載のシステム。
【請求項146】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成するように前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項147】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成し、前記患者の眼瞼の血流を低下させ、前記眼瞼からの熱散逸を軽減するように、前記瞼加温器へ信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項135に記載のシステム。
【請求項148】
前記コントローラを、前記瞼加温器への信号を生成し、摂氏約35〜47度の間の温度レベルの前記熱を生成するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項149】
前記コントローラを、前記瞼加温器への可変信号を生成し、摂氏約35〜55度の間の温度レベルの前記熱を生成するようにさらに調整する、請求項123に記載のシステム。
【請求項150】
マイボーム腺機能不全を治療するためのシステムであって、
コントローラと、
加熱要素を含む瞼加温器であって、患者の眼の前記強膜の前記外部表面上の患者の眼瞼の裏側に位置付けるように調整し、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の内表面に熱を印加する、瞼加温器と、
前記患者の眼瞼の前記内表面に位置付けられるように調整する力生成デバイスであって、患者の眼瞼の前記内表面に圧力を印加する力生成デバイスと、
前記コントローラを前記瞼加温器および前記力生成デバイスに連結するように調整する、コントローラインターフェースと、を備え、
前記コントローラを、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に信号を送信し、
前記患者の眼瞼の前記内表面に圧力を生成するように前記力生成デバイスを制御し、
一定時間、前記患者の眼瞼の前記内表面に前記熱を維持するために、前記瞼加温器への前記信号を維持するようにさらに調整する、システム。
【請求項151】
前記コントローラを、前記加熱要素を制御して、前記加熱要素により生成される熱の量を制御するように調整し、瞼加温器コントローラをさらに備える、請求項150に記載のシステム。
【請求項152】
前記瞼加温器コントローラは、パルス幅変調コントローラである、請求項151に記載のシステム。
【請求項153】
前記コントローラを、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する前に、前記瞼加温器上のヒューズを確認し、前記瞼加温器がすでに使用されているかどうかを判断するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項154】
前記コントローラは、治療タイマーをさらに備え、前記治療タイマーは、前記コントローラが、患者の眼瞼の前記内表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する時間を制御する、請求項150に記載のシステム。
【請求項155】
前記コントローラは、治療タイマー表示部を有する表示部をさらに備え、前記コントローラを、前記治療タイマーの前記治療タイマー表示部に前記時間を表示するように調整する、請求項154に記載のシステム。
【請求項156】
前記瞼加温器は、前記瞼加温器における前記温度レベルを測定するように調整する、温度フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスを使用して、前記瞼加温器における前記温度レベルを監視するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項157】
前記温度フィードバックデバイスは、少なくとも1つのサーミスタを備える、請求項156に記載のシステム。
【請求項158】
前記コントローラは、前記温度フィードバックデバイスからの前記瞼加温器における前記温度レベルに基づき、前記加熱要素により生成される前記熱を調節するように、前記瞼加温器へ送信される前記信号を調節する、請求項156に記載のシステム。
【請求項159】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが閾値温度レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記瞼加温器への前記信号を無効にし、前記加熱要素による熱の前記生成を中止するように、さらに調整する、請求項158に記載のシステム。
【請求項160】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが初めに満たされないか、または体温を超過する場合、エラーを生成し、および/または前記加熱要素に熱を生成させる前記瞼加温器への前記信号を送信しないようにさらに調整する、請求項158に記載のシステム。
【請求項161】
前記コントローラは、前記瞼加温器における前記温度レベルを表示する温度レベル表示部を備える表示部を、さらに備える、請求項150に記載のシステム。
【請求項162】
前記コントローラを、前記力生成デバイスを制御し、前記力生成デバイスにより生成される圧力の量を制御するように調整する、圧力コントローラをさらに備える、請求項150に記載のシステム。
【請求項163】
前記コントローラは、力レバーをさらに備え、前記圧力コントローラを、前記力レバーの係合に応じて、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項164】
前記コントローラは、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を測定するように調整する圧力フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスを使用して、前記患者の眼瞼の前記内表面における前記圧力レベルを監視するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項165】
前記コントローラを、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力が閾値圧力レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記力生成デバイスにより生成される圧力を無効にして、前記患者の眼瞼の前記内表面において生成される圧力を中止するようにさらに調整する、請求項164に記載のシステム。
【請求項166】
前記コントローラは、前記患者の眼瞼の前記内表面に印加した前記圧力を表示する、圧力レベル表示部を備える表示部をさらに備える、請求項150に記載のシステム。
【請求項167】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスにより測定された前記温度レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項156に記載のシステム。
【請求項168】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスにより測定された前記圧力レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項164に記載のシステム。
【請求項169】
前記コントローラは、前記コントローラに動力を供給するエネルギー源をさらに備え、前記コントローラを、前記エネルギー源が閾値エネルギー量を生成することができない場合、エラーを生成するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項170】
前記コントローラを、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御することにより、前記マイボーム腺からの前記妨害物の前記圧搾を補助するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項171】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成するように前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項172】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成し、前記患者の眼瞼の血流を低下させ、前記患者の眼瞼の前記内表面に印加された前記熱から対流熱損失を軽減するように、前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項173】
前記コントローラを、前記瞼加温器への信号を生成し、摂氏約35〜55度の間の温度レベルの前記熱を生成するようにさらに調整する、請求項150に記載のシステム。
【請求項174】
マイボーム腺機能不全を治療するためのシステムであって、
コントローラと、
瞼加温器であって、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の外部表面に熱を印加するように調整する、瞼加温器と、
患者の眼瞼の前記外部表面に位置付けられるように調整する力生成デバイスであって、患者の眼瞼の前記外部表面に圧力を印加する、力生成デバイスと、
前記コントローラを前記瞼加温器および前記力生成デバイスに連結するように調整する、コントローラインターフェースと、を備え、
前記コントローラを、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記外部表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に信号を送信し、
前記患者の眼瞼の前記外部表面に圧力を生成するように前記力生成デバイスを制御し、
一定時間、前記患者の眼瞼の前記外部表面に前記熱を維持するために、前記瞼加温器への前記信号を維持するようにさらに調整する、システム。
【請求項175】
前記コントローラを、前記加熱要素を制御して、前記加熱要素により生成される熱の量を制御するように調整する、瞼加温器コントローラをさらに備える、請求項174に記載のシステム。
【請求項176】
前記瞼加温器コントローラは、パルス幅変調コントローラである、請求項175に記載のシステム。
【請求項177】
前記コントローラを、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者の眼瞼の前記外部表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する前に、前記瞼加温器上のヒューズを確認し、前記瞼加温器がすでに使用されているかどうかを判断するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項178】
前記コントローラは、治療タイマーをさらに備え、前記治療タイマーは、前記コントローラが、患者の眼瞼の前記外部表面に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する時間を制御する、請求項174に記載のシステム。
【請求項179】
前記コントローラは、治療タイマー表示部を有する表示部をさらに備え、前記コントローラを、前記治療タイマーの前記治療タイマー表示部に前記時間を表示するように調整する、請求項178に記載のシステム。
【請求項180】
前記瞼加温器は、前記瞼加温器における前記温度レベルを測定するように調整する、温度フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスを使用して、前記瞼加温器における前記温度レベルを監視するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項181】
前記温度フィードバックデバイスは、少なくとも1つのサーミスタを備える、請求項180に記載のシステム。
【請求項182】
前記コントローラは、前記温度フィードバックデバイスからの前記瞼加温器における前記温度レベルに基づき、前記加熱要素により生成される前記熱を調節するように、前記瞼加温器へ送信される前記信号を調節する、請求項180に記載のシステム。
【請求項183】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが閾値温度レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記瞼加温器への前記信号を無効にし、前記加熱要素による熱の前記生成を中止するように、さらに調整する、請求項182に記載のシステム。
【請求項184】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが初めに満たされないか、または体温を超過する場合、エラーを生成し、および/または前記加熱要素に熱を生成させる前記瞼加温器への前記信号を送信しないようにさらに調整する、請求項182に記載のシステム。
【請求項185】
前記コントローラは、前記瞼加温器における前記温度レベルを表示する温度レベル表示部を備える表示部を、さらに備える、請求項174に記載のシステム。
【請求項186】
前記コントローラを、前記力生成デバイスを制御し、前記力生成デバイスにより生成される圧力の量を制御するように調整する、圧力コントローラをさらに備える、請求項174に記載のシステム。
【請求項187】
前記力生成デバイスは、前記アイカップを前記患者の眼瞼の前記外部表面に位置付けるように調整する、ブラダーを備えるアイカップを備え、
前記圧力コントローラを、前記ブラダーを膨張させて、前記患者の眼瞼の前記外部表面に力を印加するように調整する、請求項186に記載のシステム。
【請求項188】
前記コントローラは、力レバーをさらに備え、前記コントローラを、前記力レバーの係合に応じて、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項189】
前記コントローラは、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を測定するように調整する圧力フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスを使用して、前記患者の眼瞼の前記外部表面における前記圧力レベルを監視するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項190】
前記コントローラを、前記圧力生成デバイスにより生成される前記圧力が閾値圧力レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記力生成デバイスにより生成される圧力を無効にして、前記患者の眼瞼の前記外部表面において生成される圧力を中止するようにさらに調整する、請求項189に記載のシステム。
【請求項191】
前記コントローラは、前記患者の眼瞼の前記外部表面に印加される前記圧力を表示する、圧力レベル表示部を備える表示部をさらに備える、請求項174に記載のシステム。
【請求項192】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスにより測定された前記温度レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項180に記載のシステム。
【請求項193】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスにより測定された前記圧力レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項189に記載のシステム。
【請求項194】
前記コントローラは、前記コントローラに動力を供給するエネルギー源をさらに備え、前記コントローラを、前記エネルギー源が閾値エネルギー量を生成することができない場合、エラーを生成するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項195】
前記コントローラを、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御することにより、前記マイボーム腺からの前記妨害物の前記圧搾を補助するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項196】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成するように前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項197】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成し、前記患者の眼瞼の血流を低下させ、前記患者の眼瞼の前記外部表面に印加された前記熱から対流熱損失を軽減するように、前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項198】
前記コントローラを、前記瞼加温器への可変信号を生成し、摂氏約35〜55度の間の温度レベルの前記熱を生成するようにさらに調整する、請求項174に記載のシステム。
【請求項199】
マイボーム腺機能不全を治療するためのシステムであって、
コントローラと、
加熱要素を含む瞼加温器であって、前記マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、患者のマイボーム腺に近接する組織に印加するように調整する、瞼加温器と、
前記組織上に位置付けるように調整する力生成デバイスであって、前記組織に圧力を印加する、力生成デバイスと、
前記コントローラを前記瞼加温器および前記力生成デバイスに連結するように調整する、コントローラインターフェースと、を備え、
前記コントローラを、
マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、前記組織に熱を印加するように、前記瞼加温器に信号を送信し、
前記組織上で圧力を生成し、前記組織の前記領域における前記血流を低下させ、前記組織における熱散逸を軽減するように、前記力生成デバイスを制御し、
一定時間、前記組織上に前記熱を維持するために、前記瞼加温器への前記信号を維持するようにさらに調整する、システム。
【請求項200】
前記コントローラを、前記加熱要素を制御して、前記加熱要素により生成される熱の量を制御するように調整する、瞼加温器コントローラをさらに備える、請求項199に記載のシステム。
【請求項201】
前記瞼加温器コントローラは、パルス幅変調コントローラである、請求項200に記載のシステム。
【請求項202】
前記コントローラを、マイボーム腺における妨害物を溶解、弛緩、または軟化させる温度レベルまで、前記組織に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する前に、前記瞼加温器上のヒューズを確認し、前記瞼加温器がすでに使用されているかどうかを判断するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項203】
前記コントローラは、治療タイマーをさらに備え、前記治療タイマーは、前記コントローラが、前記組織に熱を印加するように、前記瞼加温器に前記信号を送信する時間を制御する、請求項199に記載のシステム。
【請求項204】
前記コントローラは、治療タイマー表示部を有する表示部をさらに備え、前記コントローラを、前記治療タイマーの前記治療タイマー表示部に前記時間を表示するように調整する、請求項203に記載のシステム。
【請求項205】
前記瞼加温器は、前記瞼加温器における前記温度レベルを測定するように調整する、温度フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスを使用して、前記瞼加温器における前記温度レベルを監視するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項206】
前記温度フィードバックデバイスは、少なくとも1つのサーミスタを備える、請求項205に記載のシステム。
【請求項207】
前記コントローラは、前記温度フィードバックデバイスからの前記瞼加温器における前記温度レベルに基づき、前記加熱要素により生成される前記熱を調節するように、前記瞼加温器へ送信される前記信号を調節する、請求項205に記載のシステム。
【請求項208】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが閾値温度レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記瞼加温器への前記信号を無効にし、前記加熱要素による熱の前記生成を中止するように、さらに調整する、請求項207に記載のシステム。
【請求項209】
前記コントローラを、前記瞼加温器における前記温度レベルが初めに満たされないか、または体温を超過する場合、エラーを生成し、および/または前記加熱要素に熱を生成させる前記瞼加温器への前記信号を送信しないようにさらに調整する、請求項207に記載のシステム。
【請求項210】
前記コントローラは、前記瞼加温器における前記温度レベルを表示する温度レベル表示部を備える表示部を、さらに備える、請求項199に記載のシステム。
【請求項211】
前記コントローラを、前記力生成デバイスを制御し、前記力生成デバイスにより生成される圧力の量を制御するように調整する、圧力コントローラをさらに備える、請求項199に記載のシステム。
【請求項212】
前記コントローラは、力レバーをさらに備え、前記コントローラを、前記力レバーの係合に応じて、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項213】
前記コントローラは、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を測定するように調整する圧力フィードバックデバイスをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスを使用して、前記患者の眼瞼の前記内表面における前記圧力レベルを監視するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項214】
前記コントローラを、前記圧力生成デバイスにより生成される前記圧力が閾値圧力レベルを超過する場合、エラーを生成し、および/または前記力生成デバイスにより生成される圧力を無効にして、前記組織において生成される圧力を中止するようにさらに調整する、請求項213に記載のシステム。
【請求項215】
前記コントローラは、前記組織に印加される前記圧力を表示する、圧力レベル表示部を備える表示部をさらに備える、請求項199に記載のシステム。
【請求項216】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記温度フィードバックデバイスにより測定された前記温度レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項205に記載のシステム。
【請求項217】
前記コントローラは、データログをさらに備え、前記コントローラを、前記圧力フィードバックデバイスにより測定された前記圧力レベルに関連する情報を保存するようにさらに調整する、請求項213に記載のシステム。
【請求項218】
前記コントローラは、前記コントローラに動力を供給するエネルギー源をさらに備え、前記コントローラを、前記エネルギー源が閾値エネルギー量を生成することができない場合、エラーを生成するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項219】
前記コントローラを、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を制御することにより、前記マイボーム腺からの前記妨害物の前記圧搾を補助するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項220】
前記コントローラを、前記コントローラが熱を生成するように前記瞼加温器に信号を送信している間、前記力生成デバイスにより生成される前記圧力を維持するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【請求項221】
前記コントローラを、前記瞼加温器への可変信号を生成し、摂氏約35〜55度の間の温度レベルの前記熱を生成するようにさらに調整する、請求項199に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36A】
【図36B】
【図37】
【図38A】
【図38B】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36A】
【図36B】
【図37】
【図38A】
【図38B】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公表番号】特表2010−516343(P2010−516343A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546506(P2009−546506)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/051309
【国際公開番号】WO2008/089327
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509050214)テイアサイエンス・インコーポレーテツド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/051309
【国際公開番号】WO2008/089327
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509050214)テイアサイエンス・インコーポレーテツド (8)
【Fターム(参考)】
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