説明

マクロモノマーを用いて製造した高分子をアルカリ可溶性樹脂として含む感光性樹脂組成物

【課題】
【解決手段】本発明はマクロモノマーを用いて製造した高分子をアルカリ可溶性樹脂として含む感光性樹脂組成物に関し、前記感光性樹脂組成物はカラーフィルター製造用感光剤、オーバーコート感光剤、コラムスペーサ、光遮蔽性を有する絶縁材などの様々な用途として用いることができ、感光剤の残渣、耐化学性、耐熱性などの物性を改善させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は残渣、耐化学性および耐熱性に優れた感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
本出願は2007年04月11日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2007−0035389号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
光重合型ネガティブタイプ感光性樹脂組成物は、カラーフィルター製造用感光剤、オーバーコート感光剤、コラムスペーサ、光遮蔽性を有する絶縁材などの様々な用途として用いられている。前記感光性樹脂組成物は、通常、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、光重合開始剤、溶媒などを含む。このような感光性樹脂組成物は基板上に塗布されて塗膜として形成され、前記塗膜の特定部分にフォトマスクなどを用いて放射線照射によって露光を施した後、非露光部を現像処理によって除去してパターンを形成する方式で用いることができる。
【0004】
最近、LCD(液晶ディスプレイ)の用途が既存のノートパソコンのモニターからデスクトップモニター、LCDTVなどに拡大されることにより、高品質の色を実現するためにカラーフィルター感光剤内の顔料濃度を高くし、顔料を微細分散化させており、カラーフィルター感光剤の残渣が多く残る傾向がある。このような感光剤の残渣改善のために用いる最も代表的な方法は、感光剤製造用アルカリ可溶性樹脂に含まれるバインダーポリマーの酸価(Acid Value:AV)を上げるか、分子量(Molecular Weight:MW)を下げることである。しかし、バインダーポリマーの酸価は他の構成成分との相溶性問題と現像時におけるパターンの流失問題があるために上げるのに実質的な限界が存在し、分子量を下げる方法は耐化学性を減少させる結果を招くためにそれにもまた限界がある。
【0005】
そこで、当業界では、優れた物性を有した感光剤を製造するために、アルカリ可溶性樹として用いることができる新しい物質に対する要求があり、これを開発するための様々な研究が続けて行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した技術的要求を解決するためのものであり、本発明は、マクロモノマーを用いて製造した高分子をアルカリ可溶性樹脂として利用することにより、残渣、耐化学性、耐熱性などの物性が改善された感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
1)不飽和カルボン酸エステル類、芳香族ビニル類、不飽和エーテル類、N−ビニル第3アミン類、不飽和イミド類および無水マレイン酸類モノマーからなる群より選択される1種以上の不飽和エチレン性モノマーを、熱重合開始剤および末端にカルボン酸構造を有するチオール系化合物である分子量調節剤を利用して熱重合方法によって重合して片末端に酸基を有した生成物を得るステップと;
2)前記1)ステップで得た片末端に酸基を有した生成物と末端にエポキシ構造を有するメタクリル系あるいはアクリル系モノマーを反応させてマクロモノマーを製造するステップ;および
3)前記2)ステップで得たマクロモノマーと酸基を含むモノマーを重合させるステップを含む方法によって製造された高分子をアルカリ可溶性樹脂として含む感光性樹脂組成物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明において、マクロモノマーを用いて得た高分子はアルカリ可溶性樹脂として利用することができ、前記アルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物は感光剤などとして製造され、残渣、耐化学性、耐熱性などの物性を改善させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によりマクロモノマーを用いて製造した高分子は、一般的な線状高分子とは異なり、側鎖に長枝形態を有するため、現像する時に高分子の長枝が有機顔料をよく洗い落とせる。また、前記高分子が堅固な(rigid)モノマーからなる枝を有するために高いガラス転移温度(Tg)を有するので耐化学性、耐熱性などに改善効果を示すことができる。
【0010】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0011】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、
1)不飽和カルボン酸エステル類、芳香族ビニル類、不飽和エーテル類、N−ビニル第3アミン類、不飽和イミド類および無水マレイン酸類モノマーからなる群より選択される1種以上の不飽和エチレン性モノマーを、熱重合開始剤および末端にカルボン酸構造を有するチオール系化合物である分子量調節剤を利用して熱重合方法によって重合して片末端に酸基を有した生成物を得るステップと;
2)前記1)ステップで得た片末端に酸基を有した生成物と末端にエポキシ構造を有するメタクリル系あるいはアクリル系モノマーを反応させてマクロモノマーを製造するステップ;および
3)前記2)ステップで得たマクロモノマーと酸基を含むモノマーを重合させるステップを含む方法によって製造された高分子をアルカリ可溶性樹脂として含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る高分子の製造方法中、前記1)ステップで用いることができるモノマーは次の通りである。
【0013】
前記不飽和カルボン酸エステル類モノマーは特に制限されず、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アシルオクチルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、メチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα−ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどからなる群より選択される1種以上を含む。
【0014】
前記芳香族ビニル類モノマーは特に限定されず、スチレン、α−メチルスチレン、(o,m,p)−ビニルトルエン、(o,m,p)−メトキシスチレン、(o,m,p)−クロロスチレンなどからなる群より選択される1種以上を含む。
【0015】
前記不飽和エーテル類モノマーは特に限定されず、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどからなる群より選択される1種以上を含む。
【0016】
前記N−ビニル第3アミン類モノマーは特に限定されず、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルモルホリンなどからなる群より選択される1種以上を含む。
【0017】
前記不飽和イミド類モノマーは特に限定されず、N−フェニルマレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどからなる群より選択される1種以上を含む。
【0018】
前記無水マレイン酸類モノマーは特に限定されず、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸などからなる群より選択される1種以上を含む。
【0019】
前述した不飽和エチレン性モノマーの使用量はアルカリ可溶性樹脂100重量部に対して80重量部未満が好ましい。その理由は、80重量部以上である場合、高い粘度により、前記2)ステップの反応時にアクリル系あるいはメタクリル系モノマーが反応し得るからである。
【0020】
また、前記1)ステップで用いられる熱重合開始剤は特に制限されず、具体的には2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1’−ビス−(ビス−t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどからなる群より選択される1種以上を含む。
【0021】
前記熱重合開始剤の使用量はアルカリ可溶性樹脂100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。その理由は、1重量部未である場合には重合転換率が低くなり得るし、10重量部を超過する場合には反応後の熱重合開始剤が残存し得るからである。
【0022】
また、前記1)ステップで用いられる末端にカルボン酸構造を有するチオール系化合物である分子量調節剤としては、具体的に、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプト酢酸、2−(5−クロロ−2−シアノ−3−メチルフェニル)−2−メルカプト酢酸、2−メルカプト−2−(ナフタレン−7−イル)酢酸、2−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−2−メルカプト酢酸、2−メルカプト−4−メチルベンゼンプロピオン酸、2−メルカプト−2−(プロピルチオ)酢酸、2−(イソプロピルチオ)−2−メルカプト酢酸、2−メルカプト−2−(ブチルチオ)酢酸、2−メルカプト−2−(メチルチオ)酢酸、2−メルカプト−ペラルゴン酸、2−メルカプト−3,4−ジメトキシヒドロ桂皮酸、2−メルカプト−シクロペンタントリデカン酸などからなる群より選択される1種以上を含むが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0023】
前記末端にカルボン酸構造を有するチオール系化合物である分子量調節剤の使用量は前記不飽和エチレン性モノマーに対して0.2〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。前記分子量調節剤が0.2重量%未満である場合には分子量の調節効果が微弱であり、10重量%を超過する場合には形成される高分子の分子量が過度に小さくなって、感光剤に求められる塗膜の物理的強度を確保することができず、CTA(Chain Transfer Agent)の二重体が不純物として生じ得る。
【0024】
本発明の一実施例において、前記2)ステップで得たマクロモノマーは具体的に下記化学式1で示される化合物であり得る。
【0025】
【化1】

【0026】
前記化学式1において、
Rはメチレンまたはシクロヘキシレンであり、
R1はC1〜C12のシクロヘキシルで置換もしくは非置換のアルキレン;C1〜C4のアルキルチオ;ハロゲン、シアノ基、C1〜C6のアルキル基およびC1〜C6アルコキシフェニレンのうちから選択された一つ以上で置換もしくは非置換のフェニレン;およびナフタレンからなる群より選択される一つであり、
R2は不飽和カルボン酸エステル類、芳香族ビニル類、不飽和エーテル類、N−ビニル第3アミン類、不飽和イミド類および無水マレイン酸類モノマーからなる群より選択された1種以上が重合されて生成される有機2価基であり、
R3は、ラジカル重合特性上、色々な場合であり得るが、熱重合開始剤から起因する基、連鎖移動(Chain transfer)反応、不均化(disproportionation)反応などによる水素原子、結合(combination)反応による高分子などであり得る。
【0027】
前記熱重合開始剤から起因する基は、例えば、イソブチル基、2,4−ジメチルバレロニトリル基、4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル基、ベンゼン基などを含むことができる。
【0028】
前記結合反応による高分子は様々な方法によって形成することができるために具体的には限定し難いが、不飽和カルボン酸エステル類、芳香族ビニル類、不飽和エーテル類、N−ビニル第3アミン類、不飽和イミド類および無水マレイン酸類モノマーからなる群より選択された1種以上が重合されて生成され得る。
【0029】
一実施例として、前記マクロモノマーは下記反応式のように製造され得る。
【0030】
【化2】

【0031】
前記反応は不飽和エチレン性モノマー、熱重合開始剤、末端にカルボン酸構造を有するチオール系化合物および末端にエポキシ構造を有するメタクリル系あるいはアクリル系モノマーが反応してマクロモノマーとして製造される反応に関するものである。具体的には、前記反応式のように不飽和エチレン性モノマー、熱重合開始剤および末端にカルボン酸構造を有するチオール系化合物が重合されて片末端に酸基を有した化合物が生成され、前記片末端に酸基を有した化合物が末端にエポキシ構造を有するメタクリル系あるいはアクリル系モノマーと反応してマクロモノマーが製造され得る。上記のように製造されたマクロモノマーはラジカル重合が可能であり、酸基を含むモノマーと重合する時に長鎖を有する高分子として製造され得る。このように得た高分子はアルカリ可溶性樹脂として感光性樹脂組成物に用いられ得る。
【0032】
前記高分子の製造方法中、1)ステップおよび3)ステップの重合時、重合温度と重合時間は用いる熱重合開始剤の温度に応じた半減期を考慮して決めることが好ましい。例えば、熱重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いる時、70℃における半減期が4.8時間であるために重合時間は6時間以上が好ましい。一般的に、重合温度は50〜150℃の範囲であることが好ましく、重合時間は30分〜48時間が好ましい。また、窒素雰囲気下で実施することが好ましい。
【0033】
具体的に、本発明において、前記2)ステップに用いられる末端にエポキシ構造を有するメタクリル系あるいはアクリル系モノマーとしてはアリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどからなる群より選択される1種以上を含むが、これらに限定されない。
【0034】
また、前記末端にエポキシ構造を有するメタクリル系あるいはアクリル系モノマーの使用量は前記1)ステップで得た生成物内に含まれている酸基に対して1当量〜3当量が好ましく、1.1当量〜1.5当量がより好ましい。1当量未満である場合には1)ステップの生成物末端の酸基が反応せずに残り得るし、3当量を超過する場合にはエポキシ化合物が反応せずに残るため、その後のマクロモノマーを用いた高分子を製造する時に入る酸基モノマーに影響を与える。
【0035】
本発明において、前記3)ステップでは、2)ステップで得たマクロモノマーと酸基を含むモノマーを重合させてアルカリ可溶性樹脂を重合することができる。この時、マクロモノマーと酸基を含むモノマーはラジカル重合方法によって重合することができる。
【0036】
前記ラジカル重合に用いることができるラジカル重合開始剤は当技術分野に知られているものを用いることができ、その非制限的の例としては2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1’−ビス−(ビス−t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどであり、熱重合開始剤と同一であり得る。
【0037】
前記3)ステップに用いられる酸基を含むモノマーとしては(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルコハク酸エステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどからなる群より選択される1種以上を含むが、これらに限定されない。
【0038】
また、前記3)ステップにおいて、重合時、コモノマーとして不飽和エチレン基を含むモノマーを追加してアルカリ可溶性樹脂を重合することが好ましい。不飽和エチレン基を含むモノマーは、不飽和カルボン酸エステル類モノマー、芳香族ビニル類モノマー、不飽和エーテル類モノマー、不飽和イミド類モノマー、N−ビニル第3アミン類および無水マレイン酸類モノマーなどを含む。
【0039】
これに対する一実施例として、前記アルカリ可溶性樹脂は、酸基を含むモノマーと前記マクロモノマーおよび不飽和エチレン基を含むモノマーを重合溶媒と混合し適正温度に加熱した後に窒素パージによって酸素を除去し、ラジカル重合開始剤と連鎖移動剤(CTA、chain transfer agent)を投入して重合温度を維持することによって製造され得る。
【0040】
この時、全体モノマー100重量部に対し、前記2)ステップで製造されたマクロモノマーは5〜60重量部、酸基を含むモノマーは5〜60重量部および不飽和エチレン基を含むモノマーは0〜90重量部の比率で含まれ得る。
【0041】
また、本発明に係るマクロモノマーを用いて製造した高分子をアルカリ可溶性樹脂として含む感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、光重合開始剤、溶媒などからなる群より選択された1種以上をさらに含むことができる。
【0042】
具体的に、前記感光性樹脂組成物は感光性樹脂組成物100重量部に対し、
1)アルカリ可溶性樹脂1〜20重量部と、
2)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物0.5〜30重量部と;
3)光重合開始剤0.1〜5重量部;および
4)溶媒10〜95重量部を含むことが好ましい。
【0043】
前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の非制限的の例としてはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基数2〜14のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2−トリスアクリロイルオキシメチルエチルフタル酸、プロピレン基数2〜14のプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールをα,β−不飽和カルボン酸でエステル化して得られる化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物などのグリシジル基を含有する化合物に(メタ)アクリル酸を付加して得られる化合物;β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのフタル酸ジエステル、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのトルエンジイソシアネート付加物などの水酸基またはエチレン性不飽和結合を有する化合物と多価カルボン酸とのエステル化合物、またはポリイソシアネートとの付加物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび9,9’−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンが挙げられ、これらだけに限定されず、当技術分野に知られているものなどを用いることができる。また、場合によってはこれらの化合物にシリカ分散体を用いることができ、例えば、Hanse Chemie社製のNanocryl XP series(0596、1045、21/1364)とNanopox XP series(0516、0525)等がある。
【0044】
前記光重合開始剤の非制限的の例としては2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシフェニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピプロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(3’,4’−ジメトキシフェニル)−6−トリアジン、3−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロパン酸などのトリアジン化合物;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールなどのビイミダゾール化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ)プロピルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパン−1−オン(Irgacure−907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン系化合物(Irgacure−369);Ciba Geigy社のIrgacure OXE 01、Irgacure OXE 02のようなO−アシルオキシム系化合物、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)プロピルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド系化合物;3,3’−カルボニルビニル−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−ベンゾイル−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシ−クマリン、10,10’−カルボニルビス[1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H,11H−Cl]−ベンゾピラノ[6,7,8−ij]−キノリジン−11−オンなどのクマリン系化合物などが挙げられる。
【0045】
前記溶媒の非制限的の例としてはメチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、2−エトキシプロパノール、2−メトキシプロパノール、3−メトキシブタノール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチル3−エトキシプロピオネート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ブチルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルまたはこれらの1種以上の混合物などが挙げられる。
【0046】
本発明の感光性樹脂組成物は、必要により、光増減剤、着色剤、硬化促進剤、熱重合抑制剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤、界面活性剤などの添加剤を1種以上さらに含むことができる。
【0047】
前記着色剤としては1種以上の顔料、染料またはこれらの混合物を用いることができる。具体的に例示すれば、黒色顔料としてはカーボンブラック、黒鉛、チタンブラックなどのような金属酸化物などを用いることができる。カーボンブラックの例としてはシースト5HIISAF−HS、シーストKH、シースト3HHAF−HS、シーストNH、シースト3M、シースト300HAF−LS、シースト116HMMAF−HS、シースト116MAF、シーストFMFEF−HS、シーストSOFEF、シーストVGPF、シーストSVHSRF−HSおよびシーストSSRF(東海カーボン(株));ダイアブラックII、ダイアブラックN339、ダイアブラックSH、ダイアブラックH、ダイアブラックLH、ダイアブラックHA、ダイアブラックSF、ダイアブラックN550M、ダイアブラックM、ダイアブラックE、ダイアブラックG、ダイアブラックR、ダイアブラックN760M、ダイアブラックLR、#2700、#2600、#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#900、MCF88、#52、#50、#47、#45、#45L、#25、#CF9、#95、#3030、#3050、MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA40、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30BおよびOIL31B(三菱化学(株));PRINTEX−U、PRINTEX−V、PRINTEX−140U、PRINTEX−140V、PRINTEX−95、PRINTEX−85、PRINTEX−75、PRINTEX−55、PRINTEX−45、PRINTEX−300、PRINTEX−35、PRINTEX−25、PRINTEX−200、PRINTEX−40、PRINTEX−30、PRINTEX−3、PRINTEX−A、SPECIAL BLACK−550、SPECIAL BLACK−350、SPECIAL BLACK−250、SPECIAL BLACK−100、およびLAMP BLACK−101(デグサ(株));RAVEN−1100ULTRA、RAVEN−1080ULTRA、RAVEN−1060ULTRA、RAVEN−1040、RAVEN−1035、RAVEN−1020、RAVEN−1000、RAVEN−890H、RAVEN−890、RAVEN−880ULTRA、RAVEN−860ULTRA、RAVEN−850、RAVEN−820、RAVEN−790ULTRA、RAVEN−780ULTRA、RAVEN−760ULTRA、RAVEN−520、RAVEN−500、RAVEN−460、RAVEN−450、RAVEN−430ULTRA、RAVEN−420、RAVEN−410、RAVEN−2500ULTRA、RAVEN−2000、RAVEN−1500、RAVEN−1255、RAVEN−1250、RAVEN−1200、RAVEN−1190ULTRA、RAVEN−1170(コロンビアカーボン(株))、これらの混合物などが挙げられる。
【0048】
また、着色剤の例としてはカーミン6B(C.I.12490)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、ペリレンブラック(BASF K0084.K0086)、シアニンブラック、リオノールイエロー(C.I.21090)、リオノールイエローGRO(C.I.21090)、ベンジジンイエロー4T−564D、ビクトリアピュアブルー(C.I.42595)、C.I.PIGMENT RED 3、23、97、108、122、139、140、141、142、143、144、149、166、168、175、177、180、185、189、190、192、202、214、215、220、221、224、230、235、242、254、255、260、262、264、272;C.I.PIGMENT GREEN 7、36;C.I.PIGMENT BLUE 15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、28、36、60、64;C.I.PIGMENT YELLOW 13、14、35、53、83、93、95、110、120、138、139、150、151、154、175、180、181、185、194、213;C.I.PIGMENT VIOLET 15、19、23、29、32、37などが挙げられ、この他に白色顔料、蛍光顔料なども利用することができる。
【0049】
前記硬化促進剤の例としては2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−4,6−ジメチルアミノピリジン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールトリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2−メルカプトアセテート)およびトリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)からなる群より選択される1種以上を用いることができるが、これらに限定されず、当技術分野に知られているものなどを用いることができる。
【0050】
前記熱重合抑制剤としてはp−アニソール、ヒドロキノン、ピロカテコール(pyrocatechol)、t−ブチルカテコール(t−butyl catechol)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩およびフェノチアジン(phenothiazine)からなる群より選択される1種以上を用いることができるが、これらに限定されず、当技術分野に知られているものなどを用いることができる。
【0051】
その他の可塑剤、接着促進剤、充填剤、界面活性剤なども従来の感光性樹脂組成物に含まれ得る化合物であれば用いることができる。
【0052】
本発明に係る前記感光性樹脂組成物は、カラーフィルターフォトレジスト用、オーバーコートフォトレジスト用、コラムスペーサ用、絶縁材用などに用いることができる。
【0053】
以下では実施例により本発明についてより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
<合成例1>マクロモノマーの合成
N−フェニルマレイミド58g、スチレン42g、3−メルカプトプロピオン酸6g、溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)300gを、窒素雰囲気下で機械的攪拌器(mechanical stirrer)を利用して30分間混合した。窒素雰囲気下で、反応器の温度を70℃に上げ、混合物の温度が70℃になった時、ここに熱重合開始剤であるAIBN(Azobisisobutyronitrile)2.0gを入れて6時間攪拌した。熱重合禁止剤であるMEHQ 0.07gを入れ、トリフェニルホスフィン0.2gを投入した。反応器の温度を90℃に上げ、30分間攪拌した後、グリシジルメタクリレート8gを入れ、エアー雰囲気を維持しながら、反応器の温度を120℃に上げて24時間攪拌した。(Mw:4,700、AV:1.09)
<合成例2>従来アルカリ可溶性樹脂の合成
N−フェニルマレイミド9g、スチレン11g、ベンジルメタクリレート53g、メタクリル酸28g、3−メルカプトプロピオン酸2g、溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)300gを、窒素雰囲気下で機械的攪拌器(mechanical stirrer)を利用して30分間混合した。窒素雰囲気下で、反応器の温度を70℃に上げ、混合物の温度が70℃になった時、熱重合開始剤であるAIBN(Azobisisobutyronitrile)2.0gを入れて6時間攪拌した。(Mw:10,000、AV:107)。
【0055】
<合成例3>従来アルカリ可溶性樹脂の合成
ベンジルメタクリレート75g、メタクリル酸25g、3−メルカプトプロピオン酸3.2g、溶媒であるPGMEA 300gを、窒素雰囲気下で機械的攪拌器を利用して30分間混合した。窒素雰囲気下で、反応器の温度を70℃に上げ、混合物の温度が70℃になった時、熱重合開始剤であるAIBN 2.0gを入れて6時間攪拌した。反応器の温度を90℃に上げ、トリフェニルホスフィン0.2gを投入した。熱重合禁止剤であるMEHQ 0.07gを入れて30分間攪拌した後、グリシジルメタクリレート10gを入れ、エアー雰囲気を維持しながら、反応器の温度を110℃に上げて20時間攪拌した。(MW:10,000、AV:110)。
【0056】
<合成例4>本願によるアルカリ可溶性樹脂
ベンジルメタクリレート45g、メタクリル酸15g、前記合成例1で得たマクロモノマー40g、3−メルカプトプロピオン酸3.5g、溶媒であるPGMEA 300gを、窒素雰囲気下で機械的攪拌器を利用して30分間混合した。窒素雰囲気下で、反応器の温度を70℃に上げ、混合物の温度が70℃になった時、熱重合開始剤であるAIBN 2.0gを入れて6時間攪拌した。(MW:11,000、AV:105)。
【0057】
<合成例5>本願によるアルカリ可溶性樹脂
ベンジルメタクリレート42g、メタクリル酸22g、前記合成例1で得たマクロモノマー36g、3−メルカプトプロピオン酸3.8g、溶媒であるPGMEA 300gを、窒素雰囲気下で機械的攪拌器を利用して30分間混合した。窒素雰囲気下で、反応器の温度を70℃に上げ、混合物の温度が70℃になった時、熱重合開始剤であるAIBN 2.0gを入れて6時間攪拌した。その後、反応器の温度を90℃に上げ、トリフェニルホスフィン0.2gを投入した。熱重合禁止剤であるMEHQ 0.07gを入れて30分間攪拌した後、グリシジルメタクリレート7gを入れ、エアー雰囲気を維持しながら、110℃に反応器の温度を上げて20時間攪拌した。(MW:11,500、AV:110)。
【0058】
<実施例1>
感光性樹脂組成物の成分のうち、顔料として顔料C.I.Pigment Red 254の15%分散液50g、合成例4で製造されたアルカリ可溶性樹脂5g、重合性化合物であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3g、光重合開始剤Irgacure−369 2g、有機溶媒であるPGMEA 40gを3時間混合して感光性樹脂組成物を製造した。
【0059】
<実施例2>
感光性樹脂組成物の成分のうち、顔料として顔料C.I.Pigment Green 36の15%分散液65g、前記合成例4で製造されたアルカリ可溶性樹脂5g、重合性化合物であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6g、光重合開始剤Irgacure−369 2g、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン0.2g、有機溶媒であるPGMEA 40gを3時間混合して感光性樹脂組成物を製造した。
【0060】
<実施例3>
感光性樹脂組成物の成分のうち、顔料C.I.Pigment Blue 15:4の15%分散液40g、前記合成例5で製造されたアルカリ可溶性樹脂8g、重合性化合物であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10g、光重合開始剤Irgacure−907 2g、有機溶媒であるPGMEA 40gを3時間混合して感光性樹脂組成物を製造した。
【0061】
<実施例4>
感光性樹脂組成物の成分のうち、カーボンブラックの25%分散液35g、前記合成例4で製造されたアルカリ可溶性樹脂3.5g、重合性化合物であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3.5g、光重合開始剤Irgacure−369 2.5g、3−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロパン酸1g、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン0.5g、有機溶媒であるPGMEA 40gを3時間混合して感光性樹脂組成物を製造した。
【0062】
<比較例1>
合成例2で製造されたアルカリ可溶性樹脂を用いたことを除いては、前記実施例1と同様に実施して感光性樹脂組成物を製造した。
【0063】
<比較例2>
合成例2で製造されたアルカリ可溶性樹脂を用いたことを除いては、前記実施例2と同様に実施して感光性樹脂組成物を製造した。
【0064】
<比較例3>
合成例3で製造されたアルカリ可溶性樹脂を用いたことを除いては、前記実施例3と同様に実施して感光性樹脂組成物を製造した。
【0065】
<実験例1>感光性樹脂組成物の物性評価
本発明によって製造された感光性樹脂組成物の直進性、残渣、耐化学性(耐酸性および耐溶剤性)および耐熱性を評価するために下記のような実験を行った。
【0066】
感光性樹脂組成物としては実施例1〜4で製造された組成物を用い、対照群としては比較例1〜3の組成物を用いた。
【0067】
前記感光性樹脂組成物溶液を各々ガラスにスピンコーティング(spin coating)し、約100℃で2分間プリベーク(prebake)してフィルムを形成した。形成された各フィルムを、フォトマスク(photomask)を用いて、高圧水銀ランプ(high−pressure mercury lamp)下で、100または200mJ/cm2のエネルギーで露光させた後、パターンをpH11.3〜11.7のKOHアルカリ水溶液を用いて時間別に現像し脱イオン水で洗浄した。その後、200℃で約40分間ポストベーク(postbake)した後、直進性、残渣、耐化学性(耐酸性および耐溶剤性)および耐熱性を下記のように評価し、それぞれの結果を表1に示す。
【0068】
−直進性および残渣:前記コーティング膜が形成されたガラス基板を光学顕微鏡で観察した。
【0069】
−耐酸性:前記コーティング膜が形成されたガラス基板をHCl/FeCl3=1/1重量比の水溶液中に40℃で10分間浸漬した後、コーティング膜の外観変化を観察して耐酸性を評価した。この時、外観変化のないものを良好(O)、若干の状態変化が検知されたものを普通(△)、外観が剥離しているか白く変質したものを不良(X)で表わした。
【0070】
−耐溶剤性:前記コーティング膜が形成されたガラス基板をNMP溶液中に40℃で10分間浸漬した後、コーティング膜の外観変化を観察して耐溶剤性を評価した。この時、外観変化のないものを良好(O)、若干の状態変化が検知されたものを普通(△)、外観が剥しているか溶剤色が変質したものを不良(X)で表わした。
【0071】
−耐熱性:前記コーティング膜が形成されたガラス基板を250℃のオーブンで1時間加熱処理した後、加熱処理前厚さに対する加熱処理後厚さの減少率を調査した。
【0072】
その結果を下記の表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
前記表1を参照すれば、本発明によるマクロモノマーを用いて製造したアルカリ可溶性樹脂を含む実施例1〜4の感光性樹脂組成物は、従来のモノマーを用いた比較例1〜3の組成物に比べて、直進性、残渣、耐酸性、耐溶剤性および耐熱性に優れていることが分かる。
【0075】
これにより、本発明の感光性樹脂組成物は、マクロモノマーを用いて製造したアルカリ可溶性樹脂を含むことにより、残渣、耐化学性および耐熱性を同時に満足できることを確認することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)不飽和カルボン酸エステル類、芳香族ビニル類、不飽和エーテル類、N−ビニル第3アミン類、不飽和イミド類および無水マレイン酸類モノマーからなる群より選択される1種以上の不飽和エチレン性モノマーを、熱重合開始剤および末端にカルボン酸構造を有するチオール系化合物である分子量調節剤を利用して熱重合方法によって重合して片末端に酸基を有した生成物を得るステップと;
2)前記1)ステップで得た片末端に酸基を有した生成物と末端にエポキシ構造を有するメタクリル系あるいはアクリル系モノマーを反応させてマクロモノマーを製造するステップ;および
3)前記2)ステップで得たマクロモノマーと酸基を含むモノマーを重合させるステップを含む方法によって製造された高分子をアルカリ可溶性樹脂として含む感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記3)ステップにおいて、重合時、コモノマーとして不飽和エチレン基を含むモノマーを追加する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記1)ステップにおいて、不飽和カルボン酸エステル類モノマーは、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アシルオクチルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、メチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα−ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレートおよびジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記1)ステップにおいて、芳香族ビニル類モノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、(o,m,p)−ビニルトルエン、(o,m,p)−メトキシスチレン、(o,m,p)−クロロスチレン及びその組合せからなる群より選択される1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記1)ステップにおいて、不飽和エーテル類モノマーは、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル及びその組合せからなる群より選択される1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記1)ステップにおいて、N−ビニル第3アミン類モノマーは、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルモルホリン及びその組合せからなる群より選択される1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記1)ステップにおいて、不飽和イミド類モノマーは、N−フェニルマレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド及びその組合せからなる群より選択される1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記1)ステップにおいて、無水マレイン酸類モノマーは、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸及びその組合せからなる群より選択される1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記1)ステップにおいて、熱重合開始剤は、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1’−ビス−(ビス−t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン及びその組合せからなる群より選択される1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記1)ステップにおいて、末端にカルボン酸構造を有するチオール系化合物である分子量調節剤は、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプト酢酸、2−(5−クロロ−2−シアノ−3−メチルフェニル)−2−メルカプト酢酸、2−メルカプト−2−(ナフタレン−7−イル)酢酸、2−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−2−メルカプト酢酸、2−メルカプト−4−メチルベンゼンプロピオン酸、2−メルカプト−2−(プロピルチオ)酢酸、2−(イソプロピルチオ)−2−メルカプト酢酸、2−メルカプト−2−(ブチルチオ)酢酸、2−メルカプト−2−(メチルチオ)酢酸、2−メルカプトペラルゴン酸、2−メルカプト−3,4−ジメトキシヒドロ桂皮酸、2−メルカプト−シクロペンタントリデカン酸及びその組合せからなる群より選択される1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記2)ステップにおいて、末端にエポキシ構造を有するメタクリル系あるいはアクリル系モノマーは、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート及びその組合せからなる群より選択される1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記マクロモノマーは下記化学式1で示される化合物を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物:
【化3】

前記化学式1において、
Rはメチレンまたはシクロヘキシレンであり、
R1はC1〜C12のシクロヘキシルで置換もしくは非置換のアルキレン;C1〜C4のアルキルチオ;ハロゲン、シアノ基、C1〜C6のアルキル基およびC1〜C6アルコキシフェニレンからなる群から選択された一つで置換もしくは非置換のフェニレン;およびナフタレンからなる群から選択される一つであり、
R2は不飽和カルボン酸エステル類、芳香族ビニル類、不飽和エーテル類、N−ビニル第3アミン類、不飽和イミド類および無水マレイン酸類モノマーからなる群より選択された1種以上が重合されて生成される有機2価基であり、
R3は熱重合開始剤から起因する基;連鎖移動(Chain transfer)反応または不均化(disproportionation)反応により生ずる水素原子;および結合(combination)反応により生ずる高分子からなる群から選択される。
【請求項13】
前記3)ステップにおいて、酸基を含むモノマーは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルコハク酸エステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート及びその組合せからなる群より選択される1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
前記不飽和エチレン基を含むモノマーは、不飽和カルボン酸エステル類モノマー、芳香族ビニル類モノマー、不飽和エーテル類モノマー、不飽和イミド類モノマー、N−ビニル第3アミン類、無水マレイン酸類モノマー及びその組合せからなる群より選択される1種である、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項15】
前記感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、光重合開始剤および溶媒からなる群より選択される1種以上をさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物100重量部に対し、
1)前記アルカリ可溶性樹脂1〜20重量部と;
2)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物0.5〜30重量部と;
3)光重合開始剤0.1〜5重量部;および
4)溶媒10〜95重量部を含む、請求項15に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項17】
前記感光性樹脂組成物は、カラーフィルターフォトレジスト用、オーバーコートフォトレジスト用、コラムスペーサ用および絶縁材用である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。

【公表番号】特表2010−524042(P2010−524042A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502945(P2010−502945)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002055
【国際公開番号】WO2008/127036
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】